説明

枚葉式ストッカー

【課題】 複数枚のウエハ等の平板状部材を、一枚毎に最小限のスペースで保管することができ、よって当該平板状部材の搬入出も容易となる枚葉式ストッカーを提供する。
【解決手段】 平板状部材3の搬入口11と搬出口12とが設けられたケーシング10内に、平板状部材3の移送方向の両側の上下部にそれぞれ配設された回転部材15a、15bと、これら回転部材間に架け渡された無端部材17a、17bと、両側の無端部材間の複数箇所において、移送方向を横切るように水平に架設された複数の支持部材18a、18bとからなる少なくとも2組の支持装置13a、13bを、互いの移送方向に隣接する支持部材18a、18bによって平板状部材3の移送方向両端部を支持するように間隔をおいて設置し、これら支持装置の回転部材15a、15bを逆方向に同期回転させる駆動手段を設けることにより、支持部材18a、18bによって支持した平板状部材3を昇降させるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウエハ等の平板状部材を、一枚ずつ一時保管するための枚葉式ストッカーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、半導体用ウエハやLCD(液晶ディスプレイ)、PDP(プラズマディスプレイ)、EL(電界発光ディスプレイ)等の平板ディスプレイ用ガラス基板の製造工場等においては、上記半導体用ウエハやガラス基板等(以下、ウエハ等と称す。)を一の製造工程から他の製造工程へと搬送する過程で、時間調整等のためにこれらを一時保管しておくクリーンストッカーが設けられている。
【0003】
従来のこの種のクリーンストッカーは、搬入口および搬出口が設けられ、内部がクリーンエア(清浄空気)によって充満された建屋の内部の両側に、ウエハ等を収納したカセットを格納する複数段の棚が配設され、これら棚間の中央部分に、棚に対するカセットの出し入れを行うスタッカークレーンが、棚と上記搬入口および搬出口との間に走行自在に設けられるとともに、各棚の後面側に、清浄化した空気を建屋内に流動させるファンフィルターユニットが設けられたものである。
【0004】
ところで、上記クリーンストッカーにウエハ等を保管する場合には、図4に示すような、内部がカセットピン2によって上下方向に複数段に区切られたカセット1を用いたバッチ方式の搬送・保管形態が採用されている。
そして、ウエハ等3を上記クリーンストッカーに保管する際には、先ずその前工程において、装置から搬出された複数枚の上記ウエハ等3を、カセット1のカセットピン2間に格納して上記クリーンストッカーに搬入するとともに、当該クリーンストッカーから搬出した際には、再びこれらウエハ等3をカセット1から取り出して後工程の装置等に搬送するようになっている。
【特許文献1】特開2003−249538公報
【特許文献2】特開平8−340043号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このようなカセット1を用いたバッチ方式の搬送・保管形態にあっては、複数枚のウエハ等3を一のカセット1内に格納して一括搬送しているため、搬送中の振動によりカセットピン2とウエハ等3が図中A部において接触・摺動し、ウエハ等3に静電気が帯電するという欠点がある。
【0006】
また、クリーンストッカーに保管するたびに、カセット1に対するウエハ等3の収納・取り出しを行う必要があり、工程や装置が複雑化するという問題点もある。
このため、近年、これらウエハ等の搬送においては、上記従来のカセット1を用いたバッチ方式から、一枚ずつのウエハ等を搬送する、いわゆる枚葉搬送方式に移行する要請が高まっている。
【0007】
しかしながら、上記従来のクリーンストッカーのように、スタッカークレーンを用いた保管形態によっては、搬送頻度がカセット1を用いた場合と比較して、数十倍にもなるためにコストが嵩むとともに、膨大な面積および容積を要するという問題点がある。
【0008】
この発明は、かかる事情に鑑みなされたもので、複数枚のウエハ等の平板状部材を、一枚毎に最小限のスペースで保管することができ、よって当該平板状部材の搬入出も容易となる枚葉式ストッカーを提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、平板状部材の搬入口と搬出口とが設けられたケーシング内に、上記平板状部材の移送方向の両側の上下部にそれぞれ配設された回転部材と、これら回転部材間に架け渡された無端部材と、両側の上記無端部材間の複数箇所において、上記移送方向を横切るように水平に架設された複数の支持部材とからなる少なくとも2組の支持装置を、互いの上記移送方向に隣接する上記支持部材によって上記平板状部材の移送方向両端部を支持するように間隔をおいて設置し、これら支持装置の上記回転部材を逆方向に同期回転させる駆動手段を設けることにより、上記支持部材によって支持した上記平板状部材を昇降させるようにしたことを特徴とするものである。
【0010】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のケーシングの下部には、上記搬入口から搬出口に向けて上記平板状部材の両側部を支持しつつ搬送するローラと、上記平板状部材の裏面側に上記ローラと並列的に配設され、噴出する気体によって上記平板状部材を浮上させる浮上ユニットとを備えた平板状部材の搬送装置が設けられ、上記支持装置の上記無端部材および支持部材が上記ローラ間に配置されていることを特徴とするものである。
【0011】
さらに、請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のケーシング内には、上記搬送装置と上記隣接する支持部材とを内包する第2のケーシングが設けられ、当該第2のケーシングには、内部を分子状汚染物質が10ppb以下に除去された大気圧露点−100℃以下のクリーンドライエア(以下、超低露点空気と称す。)によって充満させる第1のクリーンドライエアの供給管と、上記浮上ユニットに、上記平板状部材の浮上用気体として上記クリーンドライエアを供給する第2のクリーンドライエアの供給管とが設けられていることを特徴とするものである。
【0012】
なお、上記平板状部材が、極度に分子状汚染物質を嫌うものである場合には、上記超低露点空気として、5ppb以下の分子状汚染物質が除去されたものを用いることが一層好ましい。
【0013】
ここで、上記超低露点空気は、例えばシリカゲル等の高い吸水性を有する円板状部材を複数段に設け、これら円板状部材を回転させつつ、外気をブロアーから上記複数段の円板状部材の一区画に通過させて、順次その露点を下げるとともに、水分を吸収した上記円板状部材を上記回転方向の他の区画において、ヒータ等により乾燥する周知の超低露点空気の供給装置によって得ることができる。
【0014】
なお、上記超低露点空気の供給装置によれば、複数段に配されたシリカゲル等の円板状部材を通過する際に、空気中に含まれる有機物等の汚染物質も捕集・除去されるが、さらに最終段に所定のULPAフィルタを設置することにより、分子状汚染物質が10ppb以下に除去された清浄な上記超低露点空気を得ることができる。
【発明の効果】
【0015】
請求項1〜3のいずれかに記載の発明によれば、先ずケーシングの搬入口から内部に導入された平板状部材を、上記支持装置の支持部材間を通して、その搬送方向の両端部を、2組の支持装置の移送方向に隣接する支持部材の上方に位置させて停止させる。次いで、上記駆動手段によって、互いの回転部材を逆方向に同期回転させることにより、互いの上記支持部材を上昇させる。
【0016】
これにより、上記支持部材によって平板状部材の移送方向両端部を掬い上げて上昇させる。次いで、上記支持部材の下方に位置する支持部材間に、上記ケーシングの搬入口から内部に導入された他の平板状部材を通し、同様に上記駆動手段によって、支持装置の回転部材を逆方向に同期回転させることにより、当該平板状部材の両端部を掬い上げて上昇させる。
【0017】
そして、以上の工程を繰り返すことにより、隣接する支持装置の複数の支持部材間に、複数枚の平板状部材を一枚毎、格納することができる。
また、上記支持装置間に格納してある平板状部材を搬出する際には、上述した上昇工程を繰り返して、上方の平板状部材から順次プッシャ等を用いてケーシングの搬出口に払い出したり、あるいは駆動手段によって上記回転部材を上述した上昇工程とは反対の方向に互いに逆回転させて支持部材を降下させることにより、下方の平板状部材から順次ケーシングの搬出口に送ることができる。
【0018】
この結果、本発明に係る枚葉式ストッカーによれば、簡易な設備によって、複数枚のウエハ等の平板状部材を、一枚毎に最小限のスペースで保管することができるとともに、従来のカセットを用いたバッチ式の搬送・保管形態と比較して、上記平板状部材の搬入出も一層容易となる。
【0019】
この際に、搬入口からケーシングの内部に平板状部材を導入する手段や、支持部材間から上記平板状部材を搬出口側に送る手段としては、各種形態の搬送手段を用いることが可能であるが、例えば請求項2に記載の発明のような平板状部材の搬送装置が好適に用いられる。この搬送装置によれば、平板状部材の両端をローラによって支持しつつ支持部材間に搬送できるとともに、浮上ユニットによって非接触により平板状部材の裏面側を支持することにより、平板状部材の裏面側に搬送痕が付くことを防止しつつ、搬送中の撓みも防ぐことができる。
【0020】
また、上記支持装置の支持部材を上記ローラ間に配置しているので、両者の干渉も防ぐことができ、かつローラの下方に支持部材を位置させておくことにより、容易に支持部材によって平板状部材の両端部を掬い上げて上昇させることが可能となる。
【0021】
さらに、上記平板状部材が、上記ウエハ等である場合には、搬送中および保管中にその表裏面に水分が吸着すると、自然酸化膜成長を促進したり、その内部に金属や有機物が溶け込んで新たな汚染源となり得る。また特に、水分が付着した表面にプロセスチャンバ内において腐食性ガスが接触すると、水分層にガス分子が溶け込み、活性なイオンとなって金属表面を腐食することも知られている。
【0022】
また、上記圧縮空気中に含まれる微細な有機物等の汚染物質が、上記ウエハ等に付着すると、後工程において金属膜を形成した際に、絶縁抵抗が得られなくなったり、あるいは当該金属膜の剥離を招くおそれがある。
これらの弊害は、近年における上記半導体用ウエハや平板ディスプレイ用ガラス基板の大型化および細密化に伴って顕著になってきている。
【0023】
この点、請求項3に記載の発明によれば、上記搬送装置と支持部材とを内包する第2のケーシングを設け、この第2のケーシングに、超低露点空気を充満させるとともに、浮上ユニットにおける平板状部材の浮上用気体として上記超低露点空気を供給しているので、搬送中および保管中に、上記平板状部材に有害となる水分や有機物等の汚染物質が付着するおそれがなく、よって平板状部材の製造歩留まりや品質の向上を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
図1〜図3は、本発明に係る枚葉式ストッカーを、上記ウエハ等3を保管するストッカーに適用した一実施形態を示すもので、図中符号10が外ケーシングである。
この外ケーシング10の下部両端には、搬入口11および搬出口12が形成されるとともに、内部には、第1の支持装置13a、13bと、第2の支持装置14a、14bとが設置されている。
【0025】
これら第1の支持装置13a、13bは、上記ウエハ等3の搬送方向に向けて順次配設されたもので、それぞれ上記搬送方向の両側の上部に対向配置された一対のスプロケット(回転部材)15a、15bと、これらの下方に対向配置された一対のスプロケット(回転部材)16a、16bとを有しており、これら上下のスプロケット15a、16a間およびスプロケット15b、16b間には、チェーン(無端部材)17a、17bが架け渡されている。
【0026】
そして、搬送方向の両側に対向するチェーン17a、17b間には、それぞれ全周にわたって等間隔に多数本の支持棒(支持部材)18a、18bが上記移送方向を横切るように水平に架設されている。ここで、第1の支持装置13a、13bは、互いに隣接する側の支持棒18a、18b間の距離が、想定される最大長さのウエハ等3の移送方向の長さ寸法よりも幾分短くなるように間隔をおいて設置されている。そして、各々の第1の支持装置13a、13bを囲むようにして、第2の支持装置14a、14bが配設されている。
【0027】
これら第2の支持装置14a、14bにおいては、それぞれ上記搬送方向の両側であって、かつ上記スプロケット15a、15bの上方に、これらを間に挟むようにして2組ずつのスプロケット(回転部材)19a〜19dが対向配置されている。他方、上記スプロケット16a、16bの下方であって、かつ2組のスプロケット19a〜19dの直下には、それぞれ2組ずつのスプロケット(回転部材)20a〜20dが設けられている。
【0028】
そして、各々の第2の支持装置14a(14b)における上下2組のスプロケット19a(19b)、19c(19d)、20a(20b)、20c(20d)間に、それぞれチェーン(無端部材)21a(21b)が巻回されている。また、搬送方向の両側に対向するチェーン21a、21b間には、それぞれ全周にわたって等間隔に多数本の支持棒(支持部材)22a、22bが上記移送方向を横切るように水平に架設されている。
【0029】
これら第2の支持装置14a、14bは、互いに隣接する側の支持棒22a、22b間の距離が、想定される最小長さのウエハ等3の移送方向の長さ寸法よりも幾分短くなるように、間隔をおいて設置されている。
また、後述する搬送装置の高さ位置に、第1の支持装置13a、13bおよび第2の支持装置14a、14bにおける支持棒18a、18b、22a、22bの高さを検出するためのセンサー(図示せず)が設けられている。
【0030】
そして、第1の支持装置13a、13aおよび第2の支持装置14a、14bには、それぞれ上記センサーと連動して、スプロケット(15a、16a)、(15b、16b)、(19a、19c、20a、20c)、(19b、19d、20b、20d)を同期的に回転駆動するための図示されないサーボモータ(駆動手段)が設けられている。
【0031】
ここで、このサーボモータは、第1の支持装置13a、13aについては、スプロケット15a、16aとスプロケット15b、16bとを同期的かつ逆方向に回転させるように制御されている。また、同様に上記サーボモータは、第2の支持装置14a、14bについては、スプロケット19a、19c、20a、20cと、スプロケット19b、19d、20b、20dとを同期的かつ逆方向に回転させるように制御されている。
【0032】
そしてさらに、外ケーシング10の内部には、第1の支持装置13a、13bの上下のスプロケット15a、16a、15b、16b間において、第1の支持装置13a、13bの隣接する支持棒18a、18bおよび第2の支持装置14a、14bの隣接する支持棒22a、22bのみを内包する内ケーシング(第2のケーシング)25が設けられている。そして、この内ケーシング25の側面および上面には、これら支持棒18a、18b、22a、22bの貫通を許容するスリット26が形成されている。
【0033】
また、この内ケーシング25内には、内部を分子状汚染物質が10ppb以下に除去された大気圧露点−100℃以下のクリーンドライエア(超低露点空気)によって充満させる超低露点空気の供給管(第1のクリーンドライエアの供給管、図示を略す。)が接続されている。
他方、内ケーシング25の下部には、前工程の装置等から搬入口11に導入され、第1および第2の支持装置13a、13b、14a、14bの下部を通じて搬出口12から次工程の装置等に至るウエハ等3の搬送装置30が連続的に設けられている。
【0034】
この搬送装置30は、天井および両側面が閉じられた搬送路ケーシング31内に、ウエハ等3の両端部を支持しつつ搬出口12側へと搬送するローラコンベア32と、このローラコンベア32のガイド付き搬送ローラ32a間の所定間隔をおいた2箇所に、ウエハ等3を裏面側から非接触で支持する浮上ユニット33とが設けられることにより概略構成されている。
【0035】
ここで、各浮上ユニット33は、図3に示すように、平面視長方形の金属製の筐体からなるチャンバー34の上面に、多孔質セラミック板35が取り付けられるとともに、チャンバー34の下面に、上記超低露点空気の供給管(第2のクリーンドライエアの供給管)36が接続されたものである。そして、独立した複数の浮上ユニット33が、搬送ローラ32aと並行に2列を形成するように配置されている。
【0036】
さらに、搬送ローラ32aと浮上ユニット33との間および浮上ユニット33間には、それぞれ上記搬送方向に帯板状に延在して搬送路ケーシング31の下面を構成するとともに、超低露点空気による浮上効果を向上させるための塞ぎ部材37が介装されている。なお、ローラコンベア32の駆動源となるモータは、搬送路ケーシング31の外部に設けられている。
【0037】
以上の構成からなる枚葉式ストッカーにおいては、上記超低露点空気の供給管から供給される超低露点空気によって内ケーシング25内に超低露点空気を連続的に導入することにより、内ケーシング25および搬送路ケーシング31内を超低露点空気の雰囲気下に保持する。この状態で、超低露点空気の供給管36から浮上ユニット33に供給される超低露点空気によって、ウエハ等3との間に0.1〜0.2mmの空気膜を形成することにより、当該ウエハ等3を裏面側から非接触で支持しつつ、ローラコンベア32によって前工程の装置等からウエハ等3を内ケーシング25内に搬入する。
【0038】
この際に、高さ検出センサーからの検出信号に基づいて、サーボモータを駆動し、スプロケット15a、16a、15b、16b、19a〜d、20a〜dを回転させることにより、それぞれの支持棒18a、22aを、搬送装置30の搬送ローラ32a上面よりも、幾分下方に位置させておく。
【0039】
次いで、ウエハ等3の搬送方向両端部が、第1の支持装置13a、13bの隣接する支持棒18a、18b上に位置した際に、ローラコンベア32による搬送を停止し、サーボモータを作動させて、支持棒18a、18b、22a、22bの移動速度が一定になるようにスプロケット15a、16a、15b、16b、19a〜d、20a〜dを同期的に回転させる。
【0040】
この時に、図1中左方の第1および第2の支持装置13a、14aについては、スプロケット15a、16a、19a、19c、20a、20cを反時計回り方向に回転させ、同図中右方の第1および第2の支持装置13b、14bについては、スプロケット15b、16b、19b、19d、20b、20dを時計回り方向に回転させる。すると、ウエハ等3は、合計4本の支持棒18a、18b、22a、22bによって裏面側から掬い上げられて上昇する。
【0041】
次いで、上下方向の支持棒18a、18b、22a、22bの1ピッチ分を上昇させた後に、一旦サーボモータを停止させるとともに、ローラコンベア32を作動させて、同様に下方の支持棒18a、18b、22a、22b間に次のウエハ等3を位置させる。
そして、以上の工程を繰り返すことにより、内ケーシング25内の上方に向けて複数枚のウエハ等3を支持棒18a、18b、22a、22b間に一枚ずつ収納し、保管する。
【0042】
このようにして、上記枚葉式ストッカーに格納たウエハ等3を搬出する際には、上記サーボモータによって、スプロケットを上述した上昇工程とは反対の方向、すなわち図1中左方の第1および第2の支持装置13a、14aについては、スプロケット15a、16a、19a、19c、20a、20cを時計回り方向に回転させ、同図中右方の第1および第2の支持装置13b、14bについては、スプロケット15b、16b、19b、19d、20b、20dを反時計回り方向に回転させる。
【0043】
これにより、ウエハ等3を支持している支持棒18a、18b、22a、22bが降下する。そこで、最下方のウエハ等3を搬送装置30の搬送ローラ32a上に載置して、搬出口12側へと搬出することを順次繰り返すことにより、当該枚葉ストッカーに格納してある複数枚のウエハ等3を、搬送装置25によって後工程の装置等へと搬送して行くことができる。
【0044】
このように、上記枚葉式ストッカーによれば、簡易な設備によって、複数枚のウエハ等3を、一枚毎に最小限のスペースで保管することができるとともに、従来のカセットを用いたバッチ式の搬送・保管形態と比較して、当該ウエハ等3の搬入出も一層容易となる。
【0045】
加えて、外ケーシング10内に、搬送装置30との取り合い部分と、隣接してウエハ等3を支持している支持棒18a、18b、22a、22bとを内包する内ケーシング25を設け、この内ケーシング25に、超低露点空気を充満させるとともに、浮上ユニット33におけるウエハ等3の浮上用気体として上記超低露点空気を供給しているので、搬送中および保管中に、ウエハ等3に有害となる水分や有機物等の汚染物質が付着するおそれがなく、よってウエハ等3の製造歩留まりや品質の向上を図ることもできる。
【0046】
なお、上記実施の形態においては、本発明をウエハ等3の保管に用いる枚葉式ストッカーに適用した場合に付いてのみ説明したが、これに限定されるものではなく、本発明は、各種の平板状部材の保管に適用することが可能である。
また、スプロケットに無端部材としてチェーン17a、17b、21a、21bを架け渡した場合について説明したが、上記チェーンに代えて、ワイヤやベルト等を用いることもできる。
【0047】
さらに、上記実施の形態においては、搬入口11および搬出口12をケーシングの下部に設け、一旦格納したウエハ等3を取り出す場合には、上記サーボモータによって、スプロケットを上述した上昇工程とは反対の方向に回転させて、支持棒18a、18b、22a、22bが降下させることにより、下方のウエハ等3から順次搬出口に送るようにしたが、これに限るものではなく、搬入口11を下部に設けるとともに、搬出口12を上部に設け、支持棒間に格納してあるウエハ等3を搬出する際に、上述した上昇工程を繰り返して、上方のウエハ等3から順次プッシャ等を用いて搬出口12に払い出すようにすることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明に係る枚葉式ストッカーの一実施形態を示す縦断面図である。
【図2】図1の平面図である。
【図3】図1の搬送装置の横断面図である。
【図4】従来のウエハ等の搬送に用いられているカセットを示す正面図である。
【符号の説明】
【0049】
10 外ケーシング(ケーシング)
11 搬入口
12 搬出口
13a、13b 第1の支持装置
14a、14b 第2の支持装置
15a、15b、16a、16b、19a、19b、19c、19d、20a、20b、20c、20d スプロケット(回転部材)
17a、17b、21a、21b チェーン(無端部材)
18a、18b、22a、22b 支持棒(支持部材)
25 内ケーシング(第2のケーシング)
30 搬送装置
32 ローラコンベア
32a 搬送ローラ
33 浮上ユニット
36 超低露点空気の供給管(第2のクリーンドライエアの供給管)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平板状部材の搬入口と搬出口とが設けられたケーシング内に、上記平板状部材の移送方向の両側の上下部にそれぞれ配設された回転部材と、これら回転部材間に架け渡された無端部材と、両側の上記無端部材間の複数箇所において、上記移送方向を横切るように水平に架設された複数の支持部材とからなる少なくとも2組の支持装置を、互いの上記移送方向に隣接する上記支持部材によって上記平板状部材の移送方向両端部を支持するように間隔をおいて設置し、これら支持装置の上記回転部材を逆方向に同期回転させる駆動手段を設けることにより、上記支持部材によって支持した上記平板状部材を昇降させるようにしたことを特徴とする枚葉式ストッカー。
【請求項2】
上記ケーシングの下部には、上記搬入口から搬出口に向けて上記平板状部材の両側部を支持しつつ搬送するローラと、上記平板状部材の裏面側に上記ローラと並列的に配設され、噴出する気体によって上記平板状部材を浮上させる浮上ユニットとを備えた平板状部材の搬送装置が設けられ、上記支持装置の上記無端部材および支持部材が上記ローラ間に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の枚葉式ストッカー。
【請求項3】
上記ケーシング内には、上記搬送装置と上記隣接する支持部材とを内包する第2のケーシングが設けられ、当該第2のケーシングには、内部を分子状汚染物質が10ppb以下に除去された大気圧露点−100℃以下のクリーンドライエアによって充満させる第1のクリーンドライエアの供給管と、上記浮上ユニットに、上記平板状部材の浮上用気体として上記クリーンドライエアを供給する第2のクリーンドライエアの供給管とが設けられていることを特徴とする請求項2に記載の枚葉式ストッカー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−32528(P2006−32528A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−207061(P2004−207061)
【出願日】平成16年7月14日(2004.7.14)
【出願人】(504157024)国立大学法人東北大学 (2,297)
【出願人】(000206211)大成建設株式会社 (1,602)
【Fターム(参考)】