説明

架橋用組成物、架橋体及び架橋発泡体、並びにそれを用いた履物及び積層体

【課題】低反撥弾性(衝撃吸収性)及び引裂強度が優れた架橋体及び架橋発泡体、並びにそれを用いた履物及び積層体を与えうる架橋発泡用組成物を提供すること。
【解決手段】(A)アルキレン単位とビニル芳香族単量体単位とを主体とする共重合体、又は共役ジエン単位とビニル芳香族単量体単位とを主体とする共重合体、の一部又は全部を水素添加した水素添加共重合体と、(B)水素添加炭化水素系可塑剤と、(C)無機充填剤と、(D)架橋剤と、を含有する架橋用組成物とすること。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、架橋用組成物、架橋体及び架橋発泡体、並びにそれを用いた履物及び積層体に関する。
【背景技術】
【0002】
架橋発泡体は、軽量かつ柔軟であり、機械強度が高い材料として、履物用材料や、各種日用品や、包装用材料等として幅広く用いられている。近年、衝撃吸収体用のベースポリマーとしては、ポリスチレン、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体等の樹脂や、天然ゴム、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体等のエラストマーが用いられている。
【0003】
例えば、特許文献1には、衝撃吸収発泡体用のポリマーとして、芳香族ビニルモノマーを含有する共重合体と粘着付与剤(非水素添加の脂肪族炭化水素)の組合せが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−107519号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、衝撃吸収体等として用いられる架橋発泡体の性能は必ずしも十分ではない。軽量かつ柔軟であるだけでなく、各種物性のバランスに優れた架橋発泡体が求められている。例えば、履物用の衝撃吸収体等として用いる場合であれば、軽量かつ柔軟であるだけでなく、低反撥弾性であり、引裂強度に優れた架橋発泡体である必要がある。
【0006】
そこで、本発明は、低反撥弾性(衝撃吸収性)及び引裂強度に優れた架橋用組成物、架橋体及び架橋発泡用組成物、並びにそれを用いた履物及び積層体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意検討を重ねた結果、(A)アルキレン単位とビニル芳香族単位を主体とする共重合体、又は共役ジエン単位とビニル芳香族単量体単位を主体とする共重合体、の一部又は全部を水素添加した水素添加共重合体と、(B)水素添加炭化水素系可塑剤と、(C)無機充填剤と、(D)架橋剤と、を含有する架橋用組成物とすることで、低反撥弾性であり引裂強度に優れた架橋体及び架橋発泡体とし得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
即ち、本発明は、以下のものを提供する。
[1](A)アルキレン単位とビニル芳香族単量体単位とを主体とする共重合体、又は共役ジエン単位とビニル芳香族単量体単位とを主体とする共重合体、の一部又は全部が水素添加された水素添加共重合体と、(B)水素添加炭化水素系可塑剤と、(C)無機充填剤と、(D)架橋剤と、を含有する架橋用組成物。
[2](B)成分の軟化点が、60〜150℃である、[1]に記載の架橋用組成物。
[3](B)成分が、水素添加前の炭化水素系可塑剤中に含まれる不飽和基の10mol%以上が水素添加されたものである、[1]又は[2]に記載の架橋用組成物。
[4](A)成分が、共役ジエン単位とビニル芳香族単量体単位とを主体とする共重合体の一部又は全部が水素添加された水素添加共重合体である、[1]〜[3]のいずれか一項に記載の架橋用組成物。
[5](A)成分が、共役ジエン単位とビニル芳香族単量体単位とを主体とするブロック共重合体の一部又は全部が水素添加された水素添加共重合体である、[4]に記載の架橋用組成物。
[6](A)成分の共役ジエン単位の水素添加前に含まれる不飽和基の合計に対して、10〜90mol%が水素添加された、[5]に記載の架橋用組成物。
[7](E)エチレン系共重合体を更に含有する、[1]〜[6]のいずれか一項に記載の架橋用組成物。
[8](F)発泡剤を更に含有する、[1]〜[7]のいずれか一項に記載の架橋用組成物。
[9](A)成分のtanδピーク温度が、−10〜40℃である、[1]〜[8]のいずれか一項に記載の架橋用組成物。
[10](A)成分が、ビニル芳香族単量体と共役ジエン単量体とを主体とする水素添加共重合体ブロックを含有する、[9]に記載の架橋用組成物。
[11]架橋用組成物において、(A)成分が、30〜90質量%であり、(B)成分が、0.5〜20質量であり、(C)成分が、0.5〜20質量%であり、(D)成分が、0.05〜3質量%であり、(E)成分が、0.2〜10質量%であり、(F)成分が、5〜60質量%である、[8]〜[10]のいずれか一項に記載の架橋用組成物。
[12][1]〜[11]のいずれか一項に記載の組成物よりなる架橋体。
[13][1]〜[11]のいずれか一項に記載の組成物よりなる架橋発泡体。
[14][13]に記載の架橋発泡体を含む履物。
[15][13]に記載の架橋発泡体をミッドソール又はインソールとして含む履物。
[16][13]に記載の架橋発泡体と、該架橋発泡体が積層された部材と、を含む積層体。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、低反撥弾性(衝撃吸収性)でありながら、引裂強度に優れた架橋体及び架橋発泡体、並びにそれを用いた履物及び積層体を与えうる架橋発泡用組成物を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための形態(以下、単に「本実施形態」という。)について詳細に説明する。以下の本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明を以下の内容に限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨の範囲内で適宜に変形して実施できる。
【0011】
本実施形態の架橋用組成物は、(A)アルキレン単位とビニル芳香族単量体単位を主体とする共重合体、又は共役ジエン単位とビニル芳香族単量体単位を主体とする共重合体、の一部又は全部が水素添加された水素添加共重合体と、(B)水素添加炭化水素系可塑剤と、(C)無機充填剤と、(D)架橋剤と、を含有する架橋用組成物を含有する。
【0012】
<(A)成分>
(A)成分は、アルキレン単位とビニル芳香族単量体単位を主体とする共重合体、又は共役ジエン単位とビニル芳香族単量体単位を主体とする共重合体、を水素添加した水素添加共重合体である。
【0013】
本実施形態において、共重合体を構成する各単量体単位の命名は、該単量体単位が由来する単量体の命名に従っている。
例えば、「ビニル芳香族単量体単位」とは、単量体であるビニル芳香族化合物を重合した結果生ずる、重合体の構成単位を意味する。その構造は、置換ビニル基に由来する置換エチレン基の二つの炭素が結合部位となっている分子構造である。
また、「共役ジエン単量体単位」とは、単量体である共役ジエンを重合した結果生ずる、重合体の構成単位を意味し、その構造は、共役ジエン単量体に由来するオレフィンの二つの炭素が結合部位となっている分子構造である。
【0014】
本実施形態において、「主体とする」とは、共重合体中、単量体単位を60質量%以上含有することを意味する。軽量性、柔軟性、低反撥弾性及び高い引裂強度の観点から、単量体単位を80質量%以上含有することが好ましく、90質量%以上含有することがより好ましく、95質量%以上含有することが更に好ましい。
例えば、本実施形態において、アルキレン単位とビニル芳香族単位を主体とする共重合体とは、アルキレン単位とビニル芳香族単位の合計量が共重合体に対して60質量%以上であればよい。共役ジエン単位とビニル芳香族単位を主体とする共重合体についても同様に、共役ジエン単位とビニル芳香族単位の合計量が共重合体に対して60質量%以上であればよい。
【0015】
本実施形態において、ビニル芳香族単量体単位とは、特に限定されず、公知のものを用いることができる。例えば、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ジビニルベンゼン、1,1−ジフェニルエチレン、N,N−ジメチル−p−アミノエチルスチレン、N,N−ジエチル−p−アミノエチルスチレン等のビニル芳香族化合物が挙げられ、これらは1種または2種以上を使用してもよい。それらの中でも、経済性の点で、スチレンが好ましい。
【0016】
本実施形態において、共役ジエンは、1対の共役二重結合を有するジオレフィンであり、例えば、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン(イソプレン)、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、2−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン等が挙げられる。好ましくは、1,3−ブタジエン、イソプレンが挙げられる。これらは1種または2種以上を使用してもよい。1,3−ブタジエンとイソプレンの中では、機械強度の観点から、1,3−ブタジエンを主体とするのがより好ましい。
【0017】
本実施形態において、アルキレン単位とは、エチレン単位、メチレン単位、プロピレン単位、ブチレン単位、ヘキシレン単位及びオクチレン単位等のモノオレフィン単位を表す。それらの中でも、経済性の観点から、エチレン単位、プロピレン単位及びブチレン単位が好ましい。
アルキレンとは、エチレン、プロピレン、ブテン、へキセン及びオクテン等のモノオレフィンを表し、これらは1種又は2種以上を使用してもよい。
【0018】
本実施形態において、(A)成分の重合方法は、特に限定はされず、公知の方法でもよい。例えば、配位重合、アニオン重合又はカチオン重合等の重合方法が挙げられる。本実施形態では、構造制御の容易さの観点から、(A)成分はアニオン重合によるものが好ましい。
【0019】
例えば、アニオン重合のブロック共重合体の製造方法としては、特に限定されず、公知の方法を用いてもよい。例えば、特公昭36−19286号公報、特公昭43−17979号公報、特公昭46−32415号公報、特公昭49−36957号公報、特公昭48−2423号公報、特公昭48−4106号公報、特公昭56−28925号公報、特開昭59−166518号公報、特開昭60−186577号公報等に記載された方法が挙げられる。
【0020】
(A)成分は、機械強度の観点から、ビニル芳香族単量体単位を主体とするブロックを1つ以上含有することが好ましい。引裂強度の観点から、分子両末端部にビニル芳香族単量体単位を主体とするブロックを有する構造がより好ましい。
【0021】
(A)成分中のビニル芳香族単量体単位を主体とするブロックの含有量は、特に限定されず、柔軟性の観点から、好ましくは5質量%以上、65質量%以下であることが好ましい。10質量%以上、35質量%以下がより好ましく、13質量%以上、30質量%以下が更に好ましい。
【0022】
水素添加共重合体中のビニル芳香族単量体を主体とするブロックの含有量は、四酸化オスミウムを触媒として水素添加前の共重合体をtert−ブチルハイドロパーオキサイドにより酸化分解する方法(I.M.KOLTHOFF,et al.,J.Polym.Sci.1,429(1946)に記載の方法、以下、「四酸化オスミウム酸法」ともいう。)により得たビニル芳香族化合物重合体ブロックの質量(ここで、平均重合度が30以下のビニル芳香族化合物重合体は除かれている。)を用いて、次の式で定義される。

ビニル芳香族化合物重合体ブロックの含有量(質量%)=(水素添加前の共重合体中のビニル芳香族化合物重合体ブロックの質量/水素添加前の共重合体の質量)×100
【0023】
本実施形態では、(A)成分が、共役ジエン単位とビニル芳香族単量体単位を主体とする共重合体を水素添加した水素添加共重合体であることが好ましい。(A)成分が、かかる水素添加共重合体であることで、高い経済性を達成できるため好適である。
【0024】
(A)成分の共重合体の結合形式は、特に限定されず、例えば、ブロック共重合体、グラフト共重合体、ランダム共重合体、交互共重合体、あるいはこれらの組み合わせであってもよい。それらの中でも、機械強度の観点から、ブロック共重合体が好ましい。かかる観点から、(A)成分が、共役ジエン単位とビニル芳香族単量体単位を主体とするブロック共重合体の一部又は全部が水素添加された水素添加共重合体であることがより好ましい。
【0025】
(A)成分は、低反撥弾性の観点から、tanδピーク温度の少なくとも1つが、−10〜40℃の範囲にあることが好ましい。より好ましくは、−5〜30℃であり、更に好ましくは−3〜25℃の範囲である。
本実施形態において、tanδピーク温度の測定は、動的粘弾性測定(1Hz)により求めることができる。より具体的には、動的粘弾性データは、レオメーター装置(例えば、「ARES」(ティーエイインスツルメントー株式会社製))の捻りタイプのジオメトリーを用いて、実行測定長さ25mm、ひずみ0.5%、周波数1Hz、−50℃から50℃まで、昇温速度3℃/分で求めることができる。ピーク温度は、例えば、「RSI Orchestrator」(ティーエイインスツルメントー株式会社製)により求めることができる。
【0026】
tanδ値ピーク温度やピークtanδ曲線形状の制御は、例えば、
(1)共役ジエン中のビニル結合量を制御すること、
(2)共役ジエンとビニル芳香族化合物の共重合ブロックを含有させること、
(3)共重合体中におけるビニル芳香族化合物の濃度をテーパー状、階段状、凹状あるいは凸状等に傾斜をつけること、
(4)分子量分布を大きくすること、
(5)ビニル芳香族化合物を主体とするブロックの大きさを制御すること、
(6)2種類以上の共役ジエンの共重合体ブロックにすること、
(7)共重合体中の二重結合の水素添加率を変更すること、の少なくとも一つによって行うことができる。
【0027】
(A)成分は、引裂強度及び架橋用組成物の相容性の観点から、ビニル芳香族単量体と共役ジエン単位を主体とする水素添加共重合体ブロックを含有することが好ましい。かかる共重合体ブロックを含有することで、tanδ値ピーク温度及びピークtanδ曲線形状を高い制御で行うことができる観点からも好ましい。
【0028】
(A)成分中の、ビニル芳香族単量体単位と共役ジエン単位を主体とする水素添加共重合体ブロックに含まれるビニル芳香族単量体の比率は、特に限定されず、低反撥弾性の観点から25質量%以上、柔軟性と低反撥弾性の観点から75質量%以下が好ましい。より好ましくは、35質量%以上70質量%以下であり、更に好ましくは、45質量%以上65質量%以下である。
【0029】
(A)成分中の、ビニル芳香族単量体と共役ジエン単位を主体とする水素添加共重合体ブロックに含まれるビニル芳香族単量体の分布は特に限定されず、均一に分布していてもよいし、テーパー状、階段状、凹状又は凸状等に傾斜した分布であってもよい。
【0030】
本実施形態では、耐低温硬化性と低反撥弾性の観点から、ビニル芳香族単量体含有量が異なる、ビニル芳香族単量体と共役ジエンの水素添加共重合体ブロックを2個以上(A)成分中に含有することが好ましい。
【0031】
(A)成分に含まれる共役ジエン単量体の水素添加率は、特に限定されず、水素添加前の共役ジエン単量体の全不飽和結合に対して10〜90mol%が好ましい。より好ましくは15〜75mol%であり、更に好ましくは20〜50molである。
【0032】
(A)成分の水素添加前の共重合体における共役ジエン部分のミクロ構造(シス、トランス、ビニルの比率)は、後述する極性化合物等の使用により任意に変えることができる。水素添加前の共役ジエン部分のビニル結合量は、特に限定されないが、製造性の観点から5%以上が好ましく、機械強度の観点から75%以下が好ましい。より好ましくは10〜50%であり、更に好ましくは15〜40%であり、より更に好ましくは15%以上30%未満である。
【0033】
本実施形態では、それぞれの分子中のビニル結合量の分布は特に限定されず、ビニル結合量にばらつきがあってもよい。
「ビニル結合量」とは、水素添加前の共役ジエンの1,2−結合、3,4−結合及び1,4−結合の結合様式で組み込まれているうちの、1,2−結合及び3,4−結合で組み込まれているものの割合を意味する。
ビニル結合量の測定は、核磁気共鳴装置(NMR)によって行うことができる。
【0034】
(A)成分の重量平均分子量は、架橋発泡体における引張強度等の機械的強度や引裂強度、耐圧縮永久歪性の観点から60000以上が好ましく、成形加工性の観点から500000以下が好ましい。70000〜450000の範囲がより好ましく、90000〜400000の範囲が更に好ましい。
本実施形態の水素添加共重合体の分子量分布は、特に限定されず、1.01〜6.00であることが好ましく、成形加工性の点からは1.03〜5.00がより好ましく、1.03〜2.00の範囲が更に好ましい。
【0035】
本実施形態において、共重合体中の共役ジエンに基づくビニル結合量や、水素添加共重合体の水素添加率は、核磁気共鳴装置(NMR)によって測定できる。
【0036】
本実施形態において、共重合体の重量平均分子量及び分子量分布は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー測定(装置:「LC−10」(島津製作所製)、カラム:TSKgelGMHXL(4.6mmID×30cm)2本、溶媒:テトラヒドロフラン)によるポリスチレン換算分子量より求めることができる。
【0037】
(A)成分中に重合体ブロックが複数存在している場合には、各々の分子量や組成等の構造は同一であってもよいし、異なっていてもよい。各ブロックの境界や最端部は必ずしも明瞭に区別されなくてもよい。
【0038】
各重合体ブロック中のビニル芳香族単量体の分布は、特に限定されず、均一に分布していてもよいし、テーパー状、階段状、凸状又は凹状に分布していてもよい。また、重合体ブロック中に、結晶部が存在していてもよい。
各共重合体ブロック中には、ビニル芳香族化合物含有量の異なるセグメントが複数個共存していてもよい。
【0039】
本実施形態において、各ブロック中の共役ジエン単位のビニル単位の分布は特に限定されないが、ばらつきがあってもよい。ビニル単位の分布を制御する方法としては、特に限定されず、公知の方法によって行うことができる。例えば、重合反応中にビニル化剤を添加することや、重合中の温度を変化させること等が挙げられる。
また、共役ジエン単位の水素添加率に分布は特に限定されないが、ばらつきがあってもよい。水素添加率の分布を制御する方法としては、特に限定されず、公知の方法によって行うことができる。例えば、ビニル単位の分布を変更すること、又は、単量体の水素添加速度を変更すること等が挙げられる。例えば、イソプレンとブタジエンを共重合した後に、触媒を用いて水素添加し、イソプレン単位とブタジエン単位の水素添加速度の差を利用する方法等により制御することができる。
【0040】
これらの共重合体の製造方法は、特に限定されず、公知の方法のいずれでもよく、例えば、炭化水素溶媒中で有機アルカリ金属化合物等の開始剤を用いてアニオンリビング重合により得られる。
炭化水素溶媒としては、特に限定されず、公知のものを用いることができる。例えば、n−ブタン、イソブタン、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン等の脂肪族炭化水素類;シクロヘキサン、シクロヘプタン、メチルシクロヘプタン等の脂環式炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素が挙げられる。
【0041】
開始剤としては、特に限定されず、一般的に共役ジエン化合物とビニル芳香族化合物に対しアニオン重合活性があることが知られている脂肪族炭化水素アルカリ金属化合物、芳香族炭化水素アルカリ金属化合物、有機アミノアルカリ金属化合物等を用いることができる。
アルカリ金属としてはリチウム、ナトリウム、カリウム等が挙げられる。
【0042】
有機アルカリ金属化合物としては、特に限定されず、好ましくは、炭素数1〜20の脂肪族及び芳香族炭化水素リチウム化合物であり、1分子中に1個のリチウムを含む化合物、1分子中に複数のリチウムを含むジリチウム化合物、トリリチウム化合物、テトラリチウム化合物が好ましい。具体的には、n−プロピルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、n−ペンチルリチウム、n−ヘキシルリチウム、ベンジルリチウム、フェニルリチウム、トリルリチウム、ジイソプロペニルベンゼンとsec−ブチルリチウムの反応生成物、ジビニルベンゼンとsec−ブチルリチウムと1,3−ブタジエンの反応生成物等が挙げられる。
【0043】
水素添加物は、例えば、上記で得られた共重合体を水素添加することにより得ることができる。水素添加触媒としては、特に限定されず、公知のものを用いることができ、例えば、以下のものが挙げられる。
(1)Ni、Pt、Pd、Ru等の金属をカーボン、シリカ、アルミナ、ケイソウ土等に担持させた担持型不均一系水素添加触媒、
(2)Ni、Co、Fe、Cr等の有機酸塩又はアセチルアセトン塩等の遷移金属塩と有機アルミニウム等の還元剤とを用いる、いわゆるチーグラー型水素添加触媒、
(3)Ti、Ru、Rh、Zr等の有機金属化合物等のいわゆる有機金属錯体、等の均一系水素添加触媒が用いられる。
【0044】
具体的な水素添加触媒としては、例えば、特公昭42−8704号公報、特公昭43−6636号公報、特公昭63−4841号公報、特公平1−37970号公報、特公平1−53851号公報、特公平2−9041号公報に記載された水素添加触媒を用いることができる。
【0045】
好ましい水素添加触媒としては、チタノセン化合物及び/又は還元性有機金属化合物との混合物が挙げられる。
チタノセン化合物としては、例えば、特開平8−109219号公報に記載された化合物を用いることができる。具体的には、ビスシクロペンタジエニルチタンジクロライド、モノペンタメチルシクロペンタジエニルチタントリクロライド等の(置換)シクロペンタジエニル骨格、インデニル骨格又はフルオレニル骨格を有する配位子を少なくとも1つ以上有する化合物が挙げられる。
還元性有機金属化合物としては、有機リチウム等の有機アルカリ金属化合物、有機マグネシウム化合物、有機アルミニウム化合物、有機ホウ素化合物あるいは有機亜鉛化合物等が挙げられる。
【0046】
本実施形態では、必要に応じて、(A)成分に、水酸基、エポキシ基、アミノ基、シラノール基、アルコキシシラン基から選ばれる官能基を少なくとも1個以上有する原子団を結合させてもよい。
【0047】
本実施形態の架橋用組成物中の(A)成分の含有量は、特に限定されず、低反撥弾性、引裂強度及び永久歪の観点から、30質量%以上が好ましく、加工性と低コストの観点から、90質量%以下が好ましい。35質量%以上、85質量%以下がより好ましく、45質量%以上、80質量%以下が更に好ましい。
【0048】
<(B)成分>
本実施形態で用いる(B)水素添加炭化水素系可塑剤とは、炭化水素樹脂を水素添加した可塑剤である。
本実施形態における炭化水素系可塑剤は、炭素と水素を主体とする樹脂であればよく、その種類は特に限定されない。具体例としては、天然樹脂系のロジン又はテルペン樹脂、合成樹脂系の石油樹脂に含まれる脂肪族樹脂又は芳香族樹脂、脂肪族単量体と芳香族単量体の共重合体、脂環族樹脂、クマロン・インデン樹脂、スチレン系樹脂等及びそれらの水素添加樹脂が挙げられる。
【0049】
天然樹脂系のロジンとしては、特に限定されず、ガムロジン、重合ロジン、変性ロジンのグリセリン及びペンタエリスリトールエステル等が挙げられる。
天然樹脂系のテルペンとしては、特に限定されず、テルペン樹脂(α−ピネン、β−ピネン、ジペンテン系)、芳香族変性テルペン樹脂及びテルペンフェノール樹脂等が挙げられる。
合成樹脂系の脂肪族樹脂としては、特に限定されず、イソプレン、ピペリレン等の重合物が挙げられる。
合成樹脂系の芳香族樹脂としては、特に限定されず、スチレン、ビニルトルエン、インデン等の重合物等が挙げられる。
脂環族樹脂としては、特に限定されず、ジシクロペンタジエン等の重合物が挙げられる。
本実施形態では、これらの水素添加炭化水素系可塑剤は、単独で用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてよい。
【0050】
市販の水素添加炭化水素系可塑剤としては、「アルコンP」(荒川化学社製、完全水素添加品)、「アルコンM」(荒川化学工業製、部分水素添加品)、「クリアロンP」(ヤスハラケミカル社製、完全水素添加品)、「ピコタック8095」(イーストマン社製)等が挙げられる。
架橋用組成物に(B)成分を含有させることで、架橋用組成物の相容性が高くなり、架橋速度のムラを小さくでき、架橋体や架橋発泡体とする場合には、気泡を小さくし、その形状のバラツキも小さくできるため、均質な架橋体又は架橋発泡体が得られ、その結果、機械強度に優れるだけでなく表面平滑性も優れた成形体が得られる。
【0051】
機械強度の観点から、(B)成分は、水素添加前の炭化水素系可塑剤に含まれる不飽和基の10mol%以上が水素添加されたものが好ましい。架橋速度のムラを低減する観点から、水素添加前の不飽和基の90mol%以下が水素添加された部分水素添加タイプが好ましい。
本実施形態によれば、(B)成分は、部分水素添加された炭化水素系可塑剤が好ましい。より好ましくは水素添加率が15mol%以上、85mol%以下である部分水素添加タイプであり、更に好ましくは水素添加率が20mol%以上、80mol%以下である部分水素添加タイプである。
【0052】
本実施形態において、(B)成分の水素添加率は、水素添加前後のヨウ素価から求めることができる。(B)成分のヨウ素価は、特に限定されず、200g以下が好ましい。ヨウ素価は、主に天然由来の複雑な混合物に含まれるC=C結合の数を比較するために使用され、本実施形態では、ASTM−D1959に準ずる方法で求めることができる。
【0053】
(B)成分の重量平均分子量は、特に限定されず、機械強度の観点から100以上が好ましく、組成物の相容性の観点から3000以下が好ましい。(B)成分の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定できる。(B)成分の重量平均分子量は、GPC測定(装置:「LC−10」(島津製作所製)、カラム:TSKgelGMHXL(4.6mmID×30cm)2本、溶媒:テトラヒドロフラン)によるポリスチレン換算分子量より求めることができる。
【0054】
(B)成分としては、組成物の相容性の観点から、脂環環状構造を有する炭化水素樹脂を水素添加した水素添加炭化水素系可塑剤が好ましい。
水素添加する方法は、特に限定されず、公知の方法を用いることができる。例えば、パラジウム、ルテニウム、ロジウム等の貴金属又はそれらを活性炭素、活性アルミナ、珪藻土等の坦体上に担持したものを触媒として用いる方法が挙げられる。
【0055】
水素添加を行う際の反応形式は、特に限定されず、公知の方法を用いることができる。例えば、粉末状の触媒を懸濁攪拌しながら反応を行うバッチ方式にしてもよいし、成形した触媒を充填した反応塔を用いた連続方式にしてもよい。
【0056】
水素添加の際の反応溶媒は用いてもよいし、用いなくてもよい。反応溶媒を用いる際は、反応溶媒の種類は特に限定されず、通常用いられる溶媒を用いることができる。例えば、アルコール類、エーテル類、エステル類、飽和炭化水素類が使用される。
【0057】
水素添加の際の反応温度は、特に限定されないが、好ましくは20〜250℃、より好ましくは、50〜200℃である。反応温度が20℃以上とすることで、水素化速度を速くでき、250℃以下とすることで、水素添加物の分解反応を抑制できるため好適である。
【0058】
(B)成分の軟化点は、特に限定されず、低反撥弾性の観点から、50℃以上、150℃以下の範囲が好ましく、75℃以上、135℃の範囲がより好ましく、85℃以上、125℃の範囲が更に好ましい。
本実施形態では、軟化点は、ASTM−E28に準拠して測定できる。
一般に、炭化水素樹脂のガラス転移温度は、軟化点と相関する傾向にあり、炭化水素樹脂のガラス転移温度は、その炭化水素樹脂の軟化点よりも50℃程度低い傾向にある。従って、低反発弾性にできるため、(B)成分がかかる軟化点を有することは好適である。
【0059】
本実施形態の架橋用組成物における(B)成分の含有量は、特に限定されず、低反撥弾性の観点から、0.5質量%以上が好ましく、機械強度の観点から、20質量%以下が好ましい。より好ましくは、2質量%以上、15質量%以下であり、更に好ましくは3質量%以上、10質量%以下である。
【0060】
<(C)成分>
本実施形態で用いる(C)無機充填剤は、特に限定されず、公知のものを用いることができる。例えば、熱可塑性樹脂やゴム状重合体の配合等に一般的に用いられるものを用いることができる。
具体的には、シリカ、タルク、マイカ、ケイ酸カルシウム、ハドロタルサイト、カオリン、珪藻土、グラファイト、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム等の無機充填剤、カーボンブラック等が挙げられる。
【0061】
本実施形態の架橋用組成物における(C)成分の含有量は、特に限定されず、発泡性と形状安定性の観点から、0.5質量%以上が好ましく、軽量化と引裂強度の観点から20質量%以下が好ましい。より好ましくは、15質量%以下であり、更に好ましくは10質量%以下である。
【0062】
<(D)成分>
(D)成分は、架橋可能な化合物であればよく、その種類は限定されない。例えば、有機過酸化物、イオウ化合物等が挙げられる。それらの中でも、経済性の観点から有機過酸化物が好ましい。
具体的には、ジクミルペルオキシド、ジ−t−ブチルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(t−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3、1,3−ビス(t−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルペルオキシ)バレレート、ベンゾイルペルオキシド、p−クロロベンゾイルペルオキシド、2,4−ジクロロベンゾイルペルオキシド、t−ブチルペルオキシベンゾエート、t−ブチルペルベンゾエート、t−ブチルペルオキシイソプロピルカーボネート、ジアセチルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、t−ブチルクミルペルオキシド等が挙げられる。
【0063】
本実施形態の架橋用組成物における(D)成分の含有量は、特に限定されず、機械強度、耐圧縮永久歪及び発泡性の観点から、0.05質量%以上が好ましく、柔軟性及び機械強度の観点から、3質量%以下が好ましい。0.2質量%以上、1.5質量%以下がより好ましく、0.3質量%以上、1.0質量%以下が更に好ましい。
【0064】
<(E)成分>
本実施形態の架橋発泡用組成物には、更に、(E)発泡剤を含有させることが好ましい。これにより、効率よく発泡できるだけでなく軽量化することができる。
【0065】
(E)成分としては特に限定されず、公知のものを用いることができる。具体例としては、アゾジカルボンアミド(ADCA)、N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン、4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、ジフェニルスルホン−3,3’−ジスルホニルヒドラジド、p−トルエンスルホニルセミカルバジド、トリヒドラジノトリアジン等の有機系熱分解型発泡剤、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素アンモニウム、炭酸アンモニウム等の無機系熱分解型発泡剤等が好ましい。それらの中でも、引裂強度の観点から、アゾジカルボンアミド(ADCA)、炭酸水素ナトリウムがより好ましい。
【0066】
本実施形態の架橋発泡用組成物における(E)成分の含有量は、特に限定されず、軽量化の観点から0.2質量%以上、引裂強度と耐圧縮永久歪の観点から10質量%以下が好ましい。より好ましくは、0.5質量%以上、5質量%以下であり、更に好ましくは0.8質量%以上、2.0質量%以下である。
【0067】
<(F)成分>
本実施形態では、(F)エチレン系共重合体を含有させることが好ましい。
本実施形態で用いることができるエチレン系共重合体は、特に限定されず、エチレンを構成単位として含む共重合体であればよく、公知のものを用いることができる。例えば、エチレンの重合体であるポリエチレン(PE)や、エチレンと酢酸ビニルとを共重合させて得られるエチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレンと炭素原子数3〜10のα−オレフィンとからなる低結晶性のランダム共重合体であるエチレン・α−オレフィン共重合体、エチレンとα−オレフィンを含むブロック共重合体(例えば、ハードセグメントが結晶性ポリエチレンで、ソフトセグメントがエチレン−オクテンのランダムブロックからなるマルチブロック共重合体)等が挙げられる。エチレン・α−オレフィンとして、ソフトセグメント部とハードセグメント部を含有するものが好ましい。分子鎖中にソフトセグメント部とハードセグメント部とを併せ持つことで、圧縮永久歪をより小さくすることができる。
これらのエチレン系共重合体は、単独で用いてもよいし、2種類以上組み合わせても用いてもよい。
【0068】
本実施形態の架橋用組成物を他の材料と接着するために、接着剤を使用する場合には、エチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)を併用することが好ましい。
架橋用組成物の機械強度を高めるためには、エチレン・α−オレフィン共重合体を併用することが特に好ましい。エチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)及びエチレン・α−オレフィン共重合体を併用してもよい。
本実施形態で用いることができるエチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)としては、特に限定されず、市販されているものを用いることができる。
本実施形態で用いることができるエチレン・α−オレフィン共重合体としては、特に限定されず、市販されているものを用いることができる。例えば、「タフマー(三井化学製)」、「エンゲージ(ダウ社製)」、「インフューズ(ダウ社製)」等が挙げられる。
【0069】
ポリエチレンの種類は限定されず、公知のものを用いることができる。例えば、高密度ポリエチレン、超高分子量高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン等が挙げられる。
【0070】
(F)成分は、引裂強度や低反撥弾性の観点から、ショアーA硬度が70度以上のエチレン系共重合体を含有することが好ましい。引裂強度や軽量化の観点から、ショアーA硬度が75度以上のエチレン系共重合体を含有することが好ましいく、80度以上がより好ましく、83度以上が更に好ましい。
【0071】
本実施形態におけるショアーA硬度は、ASTM−D2240に準拠して行い、例えば、Asker Cタイプ デュロメーター硬度計を用いて測定できる。
【0072】
本実施形態では、低反撥弾性の観点から、ブチルゴムを併用してもよい。
本実施形態で用いることができるブチルゴムは、特に限定されず、公知のものを用いることができる。
【0073】
本実施形態では、製造時の加工性や物性を改良する目的で、ハロゲンを有する重合体を併用してもよい。
本実施形態で用いることができるハロゲンを有する重合体としては、特に限定されず、公知のものを用いることができる。臭素化ブチルゴムや塩素化ポリエチレン等が好ましい。
【0074】
本実施形態における架橋用組成物には、必要に応じて、他の重合体、架橋助剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、難燃剤、塩酸吸収剤、帯電防止剤、ガラス繊維、炭素繊維、金属ウィスカ等の補強剤、酸化チタン、酸化鉄、カーボンブラック、顔料、染料等の各種添加剤を、本実施形態の目的を損なわない範囲で配合することができる。
【0075】
本実施形態において、より優れた低反発弾性(衝撃吸収性)及び機械強度を有する組成物とするには、架橋用樹脂組成物において、(A)成分が30質量%以上90質量%以下であり、(B)成分が0.5質量%以上20質量%以下であり、(C)成分が0.5質量%以上20質量%以下であり、(D)成分が0.05質量%以上3質量%以下であり、(E)成分が、0.2質量%以上10質量%以下であり、(F)成分が、5質量%以上60質量%以下であることが好ましい。
更に好ましくは、(A)成分が45質量%以上85質量%以下であり、(B)成分が2質量%以上15質量%以下であり、(C)成分が0.5質量%以上15質量%以下であり、(D)成分が0.2質量%以上1.5質量%以下であり、(E)成分が、0.5質量%以下、5質量%以下であり、(F)成分が20質量%以上50質量%以下である。
【0076】
本実施形態に係る架橋用組成物や架橋発泡用組成物は、(A)成分〜(D)成分を、必要に応じて(E)成分と(F)成分も、所定の割合で混練機によって溶融混合し、調製できる。特に、(D)架橋剤や(E)発泡剤を用いる場合は、これらの分解温度より低い温度にて溶融混合し、調製することが好ましい。
【0077】
本実施形態において用いることができる混練機の種類は、特に限定されず、例えば、ヘンシェルミキサ−、バンバリ−ミキサー、ロール、押出機等を用いることができる。
【0078】
本実施形態において、混合の方法は特に限定されるものではなく、例えば、(D)成分や(E)成分以外をあらかじめ混合した後に、(D)成分と(E)成分を添加して混合してもよい。
【0079】
また、本実施形態に係る架橋用組成物の形状は特に限定されず、必要に応じて、混合物を所望の形状に成形することができる。例えば、造粒機等によりペレット状、シート状(フィルム状というときもある。)、ストランド状、チップ状等に調製することができる。
本実施形態に係る架橋用組成物のシートは、例えば、上記のようにして得られたペレットを押出機又はカレンダー成形機を用いることで調製できる。
あるいは本実施形態の架橋用組成物の諸成分をブラベンダー等で混練した後に、カレンダーロールでシート状に成形する方法、プレス成形機でシート化する方法、押出機を用いて混練した後にTダイ又は環状ダイを通してシート化する方法等によって、未架橋かつ未発泡状態の発泡性シートを調製できる。
【0080】
本実施形態の架橋用組成物を架橋発泡させることで、架橋発泡体とすることができる。本実施形態の架橋発泡体は、低反撥弾性と引裂強度に優れる。本実施形態では、架橋用組成物をプレス成形や射出成形することによって架橋発泡させることができる。例えば、本実施形態の架橋用組成物は、ペレット状にした組成物を用いて、所定の型にインジェクション架橋(発泡)成型する場合等にも好適である。
【0081】
ここで、本実施形態の架橋用組成物をシート化した一例について述べる。
上記方法等によってシート化された本実施形態の架橋用組成物を金型の容積に対して1.0〜1.2倍の範囲の大きさに裁断し、120〜200℃に保持された金型内に挿入する。金型の型締め圧力は30〜300kgf/cm2、保持時間10〜90分の条件下で加圧溶融して、架橋反応と発泡剤の分解を行なった後、金型を開放して組成物を発泡させることにより、一次架橋発泡体を作製できる。
【0082】
一次架橋発泡体を作成する際の架橋発泡用金型の形状は、特に制限はされないが、シートが得られるような形状を有している金型が用いられる。この架橋発泡用金型は、樹脂の溶融時や発泡剤の分解時に発生するガスが抜けないように、完全に密閉された構造であることが好ましい。また、型枠としては、内面にテーパーが付いている型枠が樹脂の離型性の観点から好ましい。
【0083】
本実施形態では、必要に応じて、一次架橋発泡体を圧縮成形することによって、所定の形状を付与してもよい。このときの圧縮成形条件は、特に限定されず、例えば、金型温度が120〜200℃、型締め圧力が30〜300kgf/cm2、圧縮時間が5〜60分、圧縮比が1.1〜3.0の範囲である。
【0084】
本実施形態では、シート状以外にも各種形状や大きさに架橋発泡用組成物を成形して、発泡成形体とすることができる。本実施形態では、得られる発泡成形体や、それを構成する架橋用組成物の形状や大きさは、特に限定されず、シート状以外にも種々の形状に成形できる。
【0085】
本実施形態の架橋発泡体は、シート(フィルムと呼ばれることもある。)、各種形状の射出成形品、中空成形品、圧空成形品、真空成形品、押出成形品等としても活用できる。
【0086】
具体的には、本実施形態の架橋体や架橋発泡体は、シート、各種形状の成形品にして活用できる。例えば、マンション等の床材、壁材、天井、窓枠、シャッター、ドア、防音壁、屋根材、制振装置、免振面新装置、ダンパー、給水管・排水管等の配管等の建材;制振フィルム、免振シート、防振マット等の転倒防止シート・マット・フィルム:レコードの支持ターンテーブル、CDプレイヤー、マイクホルダー、スピーカーのコーンエッジ、ラジカセ、ミニディスク等の音響機器;コピー機、FAX、プリンター等のOA機器;携帯電話、モバイルPC等の情報伝達装置等の不快音や共振音を低減できる部材として用いることができる。
【0087】
また、テレビ、冷蔵庫、エアコンの室外機やダクト内の音等の家電製品内にあるモーター駆動によって生じる不快音や共振音、自動車のエンジンルームや自動車車内の騒音を低減する部材等として用いることができる。それらの中でも、衝撃吸収性が高いことから、靴等の衝撃吸収発泡体、転倒防止シート・マット・フィルムに好適であり、さらにまた、給水管や排水管等の配管の防音シートとしても好適である。
【0088】
それらの中でも、本実施形態の架橋発泡体は、履物用材料として好適に用いることができ、履物用材料の中でも靴用のミッドソール又はインソールとして好適に用いることができる。
【0089】
ミッドソールやインソール等は、靴底に用いられるソールとして、軽量であるだけでなく、着地時の衝撃を緩和するために低反撥弾性である必要があり、かつ十分な機械強度を有する必要がある。かかる観点から、所望の形状とするために、成形容易であるだけでなく、低反撥弾性(衝撃吸収性)及び引裂強度に優れているため好適である。
【0090】
本実施形態の靴用ミッドソールは、例えば、成型後に、アウトソールやアッパーを貼り合わせて使用される。本実施形態の靴用インソール(中敷)は、例えば、靴を製造後に、靴内に挿入して使用される。
【0091】
本実施形態では、架橋発泡体を各種材料と積層体とすることができる。これにより、各種用途に応じて使用することができる。
例えば、本実施形態の架橋発泡体と、この架橋発泡体と積層された合板を含む積層体等とすることができる。本実施形態では、積層する方法は特に限定されず、公知の方法を用いることができる。例えば、接着剤で貼り合わせたり、金型内で成型と接着を同時に行ったり、積層後に過熱し架橋し接着させる等が挙げられる。
【実施例】
【0092】
以下、実施例により本実施形態をより具体的に説明するが、本実施形態はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0093】
(I)重合体の特性及び物性の測定
重合体の特性及び物性の測定は、次のようにして行った。
(1)スチレン含有量、共役ジエンのビニル結合量、共役ジエン化合物に基づく二重結合の水素添加率
ビニル芳香族単量体単位、ブタジエンの1,4−結合単位及び1,2−結合単位、エチレン単位あるいはブチレン単位量は、核磁気共鳴スペクトル解析(NMR)により測定した。詳細な測定条件は以下のとおりである。
測定機器:「JNM−LA400」(JEOL製)
溶媒:重水素化クロロホルム
サンプル濃度:50mg/mL
観測周波数:400MHz
化学シフト基準:テトラメチルシラン(TMS)
パルスディレイ:2.904秒
スキャン回数:64回
パルス幅:45°
測定温度:26℃
【0094】
(2)ポリスチレンブロック含有量
水素添加前の共重合体を用い、I.M.Kolthoff,et al.,J.Polym.Sci.1,429(1946)に記載の四酸化オスミウム酸法で測定した。共重合体の分解にはオスミウム酸溶液の0.1g/125mL第3級ブタノール溶液を用いた。
【0095】
(3)重量平均分子量及び分子量分布
本実施形態において、共重合体の重量平均分子量及び分子量分布は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定(測定装置:「LC−10」(島津製作所製)、カラム:TSKgelGMHXL(4.6mmID×30cm)2本、溶媒:テトラヒドロフラン)による市販の標準ポリスチレンによるポリスチレン換算分子量より求めた。
分子量分布は、得られた重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)である。
【0096】
(4)カップリング率
GPC測定の分子量分布を、カップリング前のピーク面積とカップリング後のピーク面積を用いて、カップリング率を求めた。
【0097】
(5)tanδピーク温度
tanδピーク温度は、動的粘弾性測定(1Hz)により求めた。具体的には、動的粘弾性データは、試料を、幅10mm、長さ35mmのサイズにカットし、装置「ARES」(ティーエイインスツルメントー株式会社製)の捻りタイプのジオメトリーに、試料をセットし、実効測定長さは25mm、ひずみ0.5%、周波数1Hz、−50℃から50℃まで、昇温速度3℃/分で求めた値である。ピーク温度は、「RSI Orchestrator」(ティーエイインスツルメントー株式会社製)の自動測定より求めた。
(II)ビニル芳香族を含有する共重合体(A)の製造方法
(1)水素添加触媒の調製
水素添加反応に用いた水素添加触媒Iは、下記の方法で調製した。
窒素置換した反応容器に乾燥、精製したシクロヘキサン1Lを仕込み、ビス(η5−シクロペンタジエニル)チタニウムジクロリド100mmolを添加し、十分に攪拌しながらトリメチルアルミニウム200mmolを含むn−ヘキサン溶液を添加して、室温にて3日間反応させた。
【0098】
(2)共重合体(A)の製造方法
内容積が10Lの攪拌装置及びジャケット付き槽型反応器を用いて、ブロック共重合体を以下の方法で調製した。
所定量のシクロヘキサンを反応器に仕込んで、温度70℃に調整した後、n−ブチルリチウムの量を全モノマー(反応器に投入したブタジエンモノマー及びスチレンモノマーの総量)の重量に対して、0.09質量部となるようなに反応器の底部からそれぞれ添加し、更にN,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミンの量がn−ブチルリチウム1molに対して0.7molとなるようにN,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミンのシクロヘキサン溶液を添加し、その後モノマーとしてスチレン20質量部を含有するシクロヘキサン溶液(モノマー濃度24質量%)を10分間で供給し、反応器内温度を70℃に調整した。供給停止後、15分間反応器内温度を70℃に調整しながら反応させた。
次に、ブタジエン33質量部とスチレン47質量部とを含有するシクロヘキサン溶液(モノマー濃度24質量%)を60分間かけて一定速度で連続的に反応器に供給し、その間の反応器内温度を70〜80℃になるように調整し、供給停止後、10分間反応器内温度を70℃に調整しながら反応させた。
重合終了後、2官能カップリング剤安息香酸エチルの量が、n−ブチルリチウム1molに対して0.5当量になるように安息香酸エチルのシクロヘキサン溶液を添加し、反応器内温度を70℃に調整しながら10分間反応させた。
バッチカップリング重合で得られた共重合体を分析したところ、スチレン含有量は67質量%であり、ポリスチレンブロック含有量が20質量%であり、ブタジエン部のビニル結合量は25質量%であり、カップリング率は50%であり、重量平均分子量(Mw)は1900000、分子量分布(Mw/Mn)は1.7であった。
次に、バッチカップリング重合で得られた共重合体に、上記水素添加触媒を非水素添加共重合体100質量部当たりチタン換算として100ppm添加し、水素圧0.7MPa、65℃で水素添加反応を行った。反応終了後にメタノールを添加し、次に安定剤としてオクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートを、重合体100質量部に対して0.25質量部添加し、水素添加共重合体(ポリマー1)を得た。
ポリマー1の水素添加率は30%であり、メルトフローレート(MFR、190℃,2.16kg)は、4g/10分であり、tanδピーク温度は18℃であった。
【0099】
(III)その他の配合組成
・(B−1):「アルコンM−100」(商品名、荒川化学工業株製、軟化点:100℃、部分水素添加タイプ)
・(B−2):「アルコンP−100」(商品名、荒川化学工業株製、軟化点:100℃、完全水素添加タイプ、ヨウ素価30g以下)
・非水素添加炭化水素系可塑剤(1):「HIKOREZ A−1100」(商品名、KOLON社製、非水素添加タイプ)
・エチレン系共重合体(1):「ENGAGE8480」(商品名、ダウ社製、比重0.902、ショアーA硬度:89度、ガラス転移温度:−31℃)
・臭素化ブチルゴム(1):「BROMOBUTYL2244」(商品名、JSR社製、ハロゲン量2%、比重0.93)
・発泡剤:「エクセラーAK−2」(商品名、永和化成工業製、DPT/ADCA)
*DPT:N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン
*ADCA:アゾジカルボン酸アミド
【0100】
(IV)架橋発泡体の製造
溶融混練機としてニーダーを用いて、表1に示した第一工程の配合成分を混練り温度110〜120℃、混練り時間15分で混練りした。次に、溶融混練機として2本ロールオープンミルを用いて、第一工程の混練物と表1に示した第二工程の各配合成分とを混練り温度90〜100℃、混練り時間10分で混練りした。
次に、圧縮成形機を用いて得られた混練物を温度170℃、圧力150kgf/cm2で15分間圧縮し、金型を開放して組成物を発泡させることにより、一次架橋発泡体を作製した。一次発泡体を、24時間室温保管後に、170℃15分150kgf/cm2の圧力で(圧縮倍率:140〜150%)、10分間保持し、水冷で室温まで冷却し、圧力を開放して、厚み1cmの架橋発泡成形品を得た。
【0101】
(V)架橋発泡成形品の特性の測定
(1)表面平滑度
(IV)で得た一次架橋発泡体の表面の平滑度を目視で評価した。気泡形状が細かく均一なものを平滑で良いと評価して「○」とした。気泡形状が不均一や粗く粗度が大きい場合を悪いと評価して「×」とした。
【0102】
(2)22℃硬度(Asker C)
(IV)で得た架橋発泡成形品を用いて、ASTM−D2240に準拠して測定した。
【0103】
(3)剥離強度
(IV)で得た架橋発泡成型品を、幅2cmに切断後、厚みの中央部分に切れ込みを入れ、100mm/分の速度で剥離させた。
剥離強度=測定最大剥離強度/2(N/cm)
【0104】
(4)反撥弾性
(IV)で得た架橋発泡成型品を用い、スチール製の球(16.3g)を該試験片上に落下させ、下記式から反撥弾性を測定した。測定温度は22℃で行った。反撥弾性の数値の小さい方が衝撃吸収性に優れることを示す。
14%以下を合格「○」とし、16%以上を不合格「×」とした。15%を「△」とした。

反撥弾性(%)=[HR/H0]×100
0=球の落下高さ
R=球が反撥した高さ
【0105】
実施例1〜5、比較例1〜3の結果を以下の表1に示す。
【0106】
【表1】

【0107】
実施例1〜5はいずれも、比重が0.21g/cc以下であり、22℃硬度が16度以上であり、剥離強度は19N/cm以上であり、反撥弾性はいずれも「○」(14%以下)であった。
一方、比較例1は、表面平滑度が「×」であり、剥離強度が15N/cmであった。比較例2は反撥弾性が「×」(16%以上)であった。比較例3は、表面平滑性が「×」であり、剥離強度が15N/cmであった。
以上より、本実施例によれば、少なくとも、(A)アルキレン単位とビニル芳香族単量体単位を主体とする共重合体、又は共役ジエン単位とビニル芳香族単量体単位を主体とする共重合体を水素添加した水素添加共重合体、(B)水素添加炭化水素系可塑剤、(C)無機充填剤、(D)架橋剤を含有する架橋用組成物を用いることで、低反撥弾性(衝撃吸収性)及び引裂強度に優れた架橋体及び架橋発泡体が得られることが示された。
【産業上の利用可能性】
【0108】
本発明の架橋用組成物、架橋体及び架橋発泡体は、各種形状の成形品として幅広い分野で利用できる。例えば、マンション等の建材、各種フィルム、音響機器やOA機器や携帯電話等の機器装置類、家電製品等の各種部材等として幅広い分野で利用できる。特に、本発明の架橋発泡体は、履物用材料として好適であり、とりわけ履物の中でも、靴用のミッドソールやインソールとして好適に利用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)アルキレン単位とビニル芳香族単量体単位とを主体とする共重合体、又は共役ジエン単位とビニル芳香族単量体単位とを主体とする共重合体、の一部又は全部が水素添加された水素添加共重合体と、
(B)水素添加炭化水素系可塑剤と、
(C)無機充填剤と、
(D)架橋剤と、
を含有する架橋用組成物。
【請求項2】
前記(B)成分の軟化点が、60〜150℃である、請求項1に記載の架橋用組成物。
【請求項3】
前記(B)成分が、水素添加前の炭化水素系可塑剤中に含まれる不飽和基の10mol%以上が水素添加されたものである、請求項1又は2に記載の架橋用組成物。
【請求項4】
前記(A)成分が、前記共役ジエン単位と前記ビニル芳香族単量体単位とを主体とする共重合体の一部又は全部が水素添加された水素添加共重合体である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の架橋用組成物。
【請求項5】
前記(A)成分が、前記共役ジエン単位と前記ビニル芳香族単量体単位とを主体とするブロック共重合体の一部又は全部が水素添加された水素添加共重合体である、請求項4に記載の架橋用組成物。
【請求項6】
前記(A)成分の前記共役ジエン単位の水素添加前に含まれる不飽和基の合計に対して、10〜90mol%が水素添加された、請求項5に記載の架橋用組成物。
【請求項7】
(E)エチレン系共重合体を更に含有する、請求項1〜6のいずれか一項に記載の架橋用組成物。
【請求項8】
(F)発泡剤を更に含有する、請求項1〜7のいずれか一項に記載の架橋用組成物。
【請求項9】
前記(A)成分のtanδピーク温度が、−10〜40℃である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の架橋用組成物。
【請求項10】
前記(A)成分が、前記ビニル芳香族単量体と共役ジエン単量体とを主体とする水素添加共重合体ブロックを含有する、請求項9に記載の架橋用組成物。
【請求項11】
前記架橋用組成物において、
前記(A)成分が、30〜90質量%であり、
前記(B)成分が、0.5〜20質量であり、
前記(C)成分が、0.5〜20質量%であり、
前記(D)成分が、0.05〜3質量%であり、
前記(E)成分が、0.2〜10質量%であり、
前記(F)成分が、5〜60質量%である、請求項8〜10のいずれか一項に記載の架橋用組成物。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか一項に記載の組成物よりなる架橋体。
【請求項13】
請求項1〜11のいずれか一項に記載の組成物よりなる架橋発泡体。
【請求項14】
請求項13に記載の架橋発泡体を含む履物。
【請求項15】
請求項13に記載の架橋発泡体をミッドソール又はインソールとして含む履物。
【請求項16】
請求項13に記載の架橋発泡体と、該架橋発泡体が積層された部材と、を含む積層体。

【公開番号】特開2010−159349(P2010−159349A)
【公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−2476(P2009−2476)
【出願日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【出願人】(303046314)旭化成ケミカルズ株式会社 (2,513)
【Fターム(参考)】