説明

椅子型マッサージ機

【課題】被施療者の個人差によって異なる検出信号等の強さを補正して、正確な生体情報を検出することのできる椅子型マッサージ機を提供する。
【解決手段】被施療者の患部をマッサージするマッサージ手段と、該マッサージ手段を制御する制御手段50と、該制御手段に電気的に接続され、被施療者の生体情報を検出して、制御手段に送信する生体情報検出手段30と、制御手段に電気的に接続される操作部40と、を有する椅子型マッサージ機において、制御手段50は、生体情報検出手段30から受信した生体情報に関する信号の強度に応じて、受信感度を切り替えるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被施療者の個人差によって異なる検出信号等の強さを補正して、正確な生体情報を検出することのできる椅子型マッサージ機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
椅子型マッサージ機において、被施療者の心拍数、皮膚温度などの生体情報を測定することのできる生体情報検出手段を具えたものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
生体情報検出手段は、電極等から構成され、椅子の肘掛けの先端近傍に配備されて、生体情報検出手段に被施療者の指腹や手の平を接触させることによって、被施療者の生体情報を検出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−46382号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、同じ生体情報であっても、被施療者の個人差、例えば、年齢や皮膚の状態によっては、検出される信号の強さに違いがある。
例えば、心拍ゆらぎ測定によるストレス判定に用いられるCVRRは、年齢により値が異なる。
また、心拍波形は、両手から検出する場合、被施療者の心臓の位置によって、検出される波形の強さに個人差が生じる。
得られた生体情報に基づいて、マッサージ強さ、マッサージ部位、マッサージコース等に反映させるためには、被施療者間の個人差による検出信号等の強さを補正して、正確な生体情報を獲得することが求められる。
【0005】
さらに、特許文献1の生体情報検出手段では、生体情報の測定精度を高めるためには、被施療者は、生体情報検出手段に指腹や手の平を安定した状態で押し付けておく必要がある。測定中に、指腹や手の平が生体情報検出手段から離れたり、動いたりすると、測定が上手く行なえなかったり、測定精度に狂いが生じてしまうことがある。
【0006】
本発明の目的は、被施療者の個人差によって異なる検出信号等の強さを補正して、正確な生体情報を検出することのできる椅子型マッサージ機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の椅子型マッサージ機は、
被施療者の患部をマッサージするマッサージ手段と、
該マッサージ手段を制御する制御手段と、
該制御手段に電気的に接続され、被施療者の生体情報を検出して、制御手段に送信する生体情報検出手段と、
制御手段に電気的に接続される操作部と、
を有する椅子型マッサージ機において、
制御手段は、生体情報検出手段から受信した生体情報に関する信号の強度に応じて、受信感度を切り替えるようにした。
【0008】
また、本発明の椅子型マッサージ機は、
被施療者の患部をマッサージするマッサージ手段と、
該マッサージ手段を制御する制御手段と、
該制御手段に電気的に接続され、被施療者の生体情報を検出して、制御手段に送信する生体情報検出手段と、
制御手段に電気的に接続される操作部と、
を有する椅子型マッサージ機において、
操作部には、被施療者の年齢を入力する年齢入力部を有し、
制御手段は、年齢入力部に入力された被施療者の年齢に基づいて、生体情報検出手段から受信した生体情報に関する信号から得られるストレス度合の判定基準を切り替えるようにした。
【発明の効果】
【0009】
本発明の椅子型マッサージ機によれば、制御手段によって、生体情報検出手段により受信された生体情報に関する信号の受信感度を切り替えることで、生体情報を正確に測定することができる。具体的には、制御手段に増幅回路を配備し、生体情報に関する信号の受信感度が低い場合には、増幅回路を通過させることで増幅を行なえばよい。
また、操作部に年齢入力部を配備した場合には、被施療者の入力した年齢や年齢帯域に基づいて想定される生体情報に関する信号から得られるストレス度合の判定基準を切り替えることで、年齢による個人差を補正して、ストレス判定を正確に行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明を適用することのできる椅子型マッサージ機の斜視図である。
【図2】生体情報検出部を有する補助操作部の心拍検出部側の斜視図である。
【図3】生体情報検出部を有する補助操作部の皮膚抵抗検出部側の斜視図である。
【図4】制御ブロック図である。
【図5】心拍波形の一例を示すグラフである。
【図6】各年齢帯域別のCVRR値によるストレスレベルとマッサージコースとの関係を示すテーブルである。
【図7】ストレスレベルによるマッサージコース選択のフローチャート図である。
【図8】ストレスレベルと凝りレベルに基いて選択されるマッサージコースを表わすテーブルである。
【図9】ストレスレベルと凝りレベルによるマッサージコース選択のフローチャート図である。
【図10】電極間接触抵抗と皮膚電気抵抗の関係を示すグラフである。
【図11】被施療者の皮膚の状態に応じて凝りレベルを判定するマッサージコースのフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面に沿って本発明について詳細に説明する。
図1は、本発明を適用することのできる椅子型マッサージ機(10)の斜視図である。椅子型マッサージ機(10)は、床面に載置されるベース部(11)に、被施療者の腰掛ける座部(12)が揺動可能に支持されている。座部(12)の後端側には、被施療者の背中の当たる背凭れ部(14)、座部(12)の前端側には、被施療者の脚部を収容する脚部用ユニット(16)が支持されている。
脚部用ユニット(16)は、図1に示すように、被施療者の脚部(膝より下の部分)を挿入する凹部(17)(17)を有している。
【0012】
座部(12)、背凭れ部(14)及び脚部用ユニット(16)は、夫々、ベース部(11)に対してリクライニング機構(図1には図示せず)により傾動可能となっている。リクライニング機構は、複数のアクチュエータ等により、座部(12)、背凭れ部(14)及び脚部用ユニット(16)を独立して傾動させる構成としたり、1基のアクチュエータとリンク機構を組み合わせることで、座部(12)、背凭れ部(14)及び脚部用ユニット(16)を協調して傾動させるようにすることができる。
【0013】
また、座部(12)の左右両側には、座部(12)と一体に傾動可能な肘置き(18)(18)が設けられている。
【0014】
座部(12)、背凭れ部(14)及び脚部用ユニット(16)には、図1に示すように、夫々被施療者にマッサージを施す座部用マッサージ手段(20)、背凭れ部用マッサージ手段(22)、脚部用マッサージ手段(24)が配備される。
座部用マッサージ手段(20)として、エアバッグタイプやバイブレーションタイプ、ローラタイプのマッサージ手段を例示できる。
また、背凭れ部用マッサージ手段(22)として、エアバッグタイプ、揉み玉タイプ、バイブレーションタイプ、ローラタイプのマッサージ手段を例示することができる。揉み玉タイプ、ローラタイプのマッサージ手段の場合、背凭れ部(14)の長手方向に沿って上下に昇降可能とすることができる。
【0015】
脚部用マッサージ手段(24)として、エアバッグタイプ、バイブレーションタイプ、ローラタイプのものを例示することができる。被施療者の上半身への振動等の影響を抑えるために、エアバッグタイプのものを使用することが望ましい。
脚部用マッサージ手段(24)にエアバッグを採用する場合、図1に示すように、凹部(17)の内側面及び凹部(17)の底面に夫々1又は複数のエアバッグを装備し、エアバッグの膨張、収縮によって、被施療者のふくらはぎや足首、足先をマッサージすることができるようにすることが望ましい。
【0016】
椅子型マッサージ機(10)の操作は、図1に示すように、一方の肘置き(18)に配備された操作部(40)により行なわれる。
操作部(40)は、電源スイッチ、マッサージコース、マッサージポイント、マッサージ強さ等を選択する複数の操作ボタンを具える。また、操作部(40)には、選択されたマッサージコース、マッサージ手段(20)(22)(24)の動作状態、位置、強さ、経過時間等のマッサージ情報や、後述する生体情報検出手段(30)により検出された生体情報を表示する表示部を具える。
【0017】
さらに、操作部(40)には、生体情報検出手段(30)による被施療者の生体情報の測定の際に、被施療者の個人差を補正するための年齢入力部を有する。年齢入力部は、被施療者の年齢帯域毎に「20〜39」、「40〜59」及び「60〜」の選択を可能とするボタンを有する。また、数値により年齢を入力するようにしてもよい。
年齢入力部により入力された被施療者の年齢は、制御手段(50)に送信される。
【0018】
椅子型マッサージ機(10)には、被施療者の生体情報を測定するための生体情報検出手段(30)が配備される。生体情報検出手段(30)により測定される生体情報として皮膚抵抗と心拍を例示することができる。これらは夫々、後述する皮膚抵抗検出部(60)と心拍検出部(70)により測定される。勿論、測定される生体情報は、これらに限定されるものではなく、体温、脈拍、発汗量等とすることもできる。
【0019】
生体情報検出手段(30)は、例えば、図2及び図3に示すように、検出用の複数の電極(62)(72)(74)(80)を配備した筒状形状の補助操作部(42)に設けることができる。補助操作部(42)は、被施療者が両手で夫々補助操作部(42)の端部を把持できる外径(直径約3cm〜5cm程度)であり、一端側に、皮膚抵抗検出部(60)となる第1の電極(62)、心拍検出部(70)となる第2の電極(72)、グランド用の第3の電極(80)を有し、他端側に心拍検出部(70)の第2の電極(72)と対をなす第4の電極(74)を有している。グランド用の第3の電極(80)は、第1の電極(62)及び第2の電極(72)で共用している。
より詳細には、心拍検出部(70)である第2の電極(72)及び第4の電極(74)は、補助操作部(42)の軸方向に沿う周面の両端近傍に夫々配置され、皮膚抵抗検出部(60)である第1の電極(62)及びグランド用の第3の電極(80)は、第2電極(72)の裏面側に周方向に並んで配置されている。
これら電極(62)(72)(74)(80)は、補助操作部(42)から延出したコード(48)により、後述する制御手段(50)に電気的に接続されている。
【0020】
被施療者が補助操作部(42)を掴み、両手の掌が心拍検出部(70)である第2の電極(72)と第4の電極(74)、一方の手の指先が皮膚抵抗検出部(60)である第1の電極(62)とグランド用の第3の電極(80)に触れることで、通電が開始され、自動的に制御手段(50)により検出が開始される。
なお、心拍を検出する場合には、両手で補助操作部(42)を掴む必要があるが、皮膚抵抗のみを検出する場合には、第1の電極(62)と第3の電極(80)に指先が触れるだけでよい。
生体情報検出手段(30)による生体情報の検出プロセスについては後述する。
【0021】
その他の生体情報として、被施療者の体温を測定、検出する場合には、生体情報検出手段(30)として、温度センサを用いることができ、また、脈拍を測定、検出する場合には、生体情報検出手段(30)として、フォトセンサを配置すればよい。
【0022】
補助操作部(42)は、前記操作部(40)にて行なわれる操作の一部を行なうようにしてもよい。この場合、操作ボタン(44)(46)は、図2に示すように、心拍検出部(70)である第2の電極(72)と第4の電極(74)の間に配置することができる。操作ボタン(44)(46)として、例えば、リクライニング機構(図示せず)の操作を行なうリクライニングボタン(44)や、現在行なわれているマッサージ動作を繰り返して行なう操作命令を行なう繰り返しボタン(46)など、被施療者がマッサージ中に必要と思われる操作のみを行なうことのできるものとすることが望ましい。これにより、被施療者が操作部(40)を操作するために、起き上がったり、手を伸ばす必要はなく、マッサージの妨げとなることがない。また、補助操作部(42)の操作ボタン数を少なくしておくことで、被施療者は、操作の度に補助操作部(42)を目視する必要もないから、マッサージの妨げとなることもない。
【0023】
生体情報検出手段(30)は、上記に限らず、図1に示すように、肘置き(18)(18)の前端側上面に直接配置してもよい。この位置は、被施療者が座部(12)に腰掛けた状態で、肘置き(18)(18)に被施療者の腕部(肘より先の部分)を載せ、手の平が下向きとなるようにしたときに、人差し指と中指が触れる位置又は手の平と触れる位置とすることが望ましい。
この位置に生体情報検出手段(30)を配備することで、被施療者は、特に意識することなく、自然な状態で生体情報検出手段(30)に触れることができ、測定中に疲れを感じることはない。
【0024】
図4は、本発明の椅子型マッサージ機(10)の制御系のブロック図である。椅子型マッサージ機(10)のすべての制御は、制御手段(50)により行なわれる。制御手段(50)は、マイクロプロセッサ等から構成され、種々の制御プログラム、マッサージプログラム等を記憶するメモリ(図示せず)を有する。
【0025】
制御手段(50)には、図4に示すように、操作部(40)、補助操作部(42)、生体情報検出手段(30)、マッサージ手段(20)(22)(24)、リクライニング機構(28)が電気的に接続されており、操作部(40)及び/又は補助操作部(42)からの操作命令や、制御手段(50)に予め記憶されたプログラムに基づいて、マッサージ手段(20)(22)(24)等は作動する。
【0026】
座部用マッサージ手段(20)、背凭れ部用マッサージ手段(22)及び脚部用マッサージ手段(24)は、モータ駆動の場合(例えば、ローラタイプ、揉み玉タイプ)、制御手段(50)には、モータ駆動回路を介して接続される。また、マッサージ手段がエアバッグタイプの場合、制御手段(50)には、エアポンプ及びバルブが電気的に接続され、エアバッグの膨張、収縮が制御される。
【0027】
リクライニング機構(28)についても、モータ駆動の場合、モータ駆動回路を介して制御手段(50)に接続される。
リクライニング機構(28)は、制御手段(50)からの命令に基づいて、座部(12)、背凭れ部(14)及び脚部用ユニット(16)を所望の角度に傾動させる。
【0028】
制御手段(50)による被施療者の生体情報の検出は、以下の要領で行なうことができる。
生体情報として、心拍を測定する場合、前述の心拍検出部(70)により、左右の手の電位を夫々検出して、制御手段(50)にて電位差を測定することで、被施療者の心拍を測定することができる。具体的には、前述の補助操作部(42)を被施療者が把持することによって測定することで、一方の手で第1乃至第3の電極(62)(72)(80)に触れ、他方の手で第4の電極(74)に触れる。
【0029】
図5は、心拍検出部(70)である第2の電極(72)と第4の電極(74)の電位に基づいて、検出された心拍波形の一例を示している。心拍波形の突出した部分(R波)の間隔の振れ幅(CVRR)を検出することにより、ストレス度合が判定される。振れ幅(CVRR)の検出は、制御手段(50)に内蔵されているゆらぎ検出回路(32)(図4参照)によって行なわれる。
ゆらぎ検出回路(32)にて検出された振れ幅(CVRR)が小さいほど、被施療者の覚醒度合いが高く、ストレスを受けている状態であり、振れ幅(CVRR)が大きいほど、被施療者がストレスが少なくてリラックスしていることを意味する。
【0030】
心拍波形の測定では、個人差(被施療者の心臓の位置等)により、受信される信号の強さが変化する。
そこで、心拍検出部(70)にて検出された信号の強さに応じて、制御手段(50)における受信感度を切り替える。
図4に示すように、心拍検出部(70)である第2及び第4電極(72)(74)からの出力は、第1増幅器(76)にて増幅され(低ゲイン)、制御手段(50)に送信されるが、検出された信号が所定の閾値よりも小さければ、第1増幅器(76)と直列に接続された第2増幅器(78)によって更に増幅されて(高ゲイン)、制御手段(50)に入力する。
これにより、入力される信号が小さい場合でも、所定の感度で制御手段(50)は心拍に関する信号を受信することができる。
【0031】
上記感度の切替えは、例えば、CVRR値のR波のピークを低ゲインの入力値に対して10m秒毎に読み込み、100m秒毎(10個)の移動平均を算出して、平均値する。この移動平均に用いた10個の入力値に対して、ピーク検出を行なうために、5番目の値を測定値として、測定値が2.5Vよりも大きいときには、「入力値−2.5V」、測定値が2.5V以下の場合には、「2.5V−入力値」として、1秒(100個)の移動平均値を算出して、整流値とする。
算出された低ゲインの整流値が、所定の閾値以上、例えば、0.2V以上であれば、低ゲインにより得られた心拍信号を制御手段(50)は採用し、低ゲインの整流値が所定の閾値よりも小さければ、第2増幅器(78)によって更に増幅した高ゲインの心拍信号を採用する。
【0032】
上記のように、測定された心拍に関する信号の大きさに基づいて、自動的に感度を切り替えるようにすることで、心拍信号の大小により心拍波形判定不能となることを防止できる。
【0033】
上記で得られたCVRR値は、一般的に年齢が高くなるほど標準的な値が下がってくる特徴がある。年代別にみてみると、40歳未満場合は、標準的な値は4.0であるが、40歳以上60歳未満の場合は3.0、60歳以上の場合は2.6となる。
【0034】
年齢に応じて標準的な値が変わるCVRR値に対し、図6に示すように、各年齢帯域別のCVRR値に対するストレステーブルを作成し、年齢によってストレス度合の判定基準を切り替えている。そして、年齢帯域と測定されたCVRR値に対して、被施療者に施されるマッサージコースを設定する。
【0035】
図6中、マッサージコース1は、CVRR値の高い、即ちストレスの低い被施療者に対するマッサージコースである。マッサージコースとして、指圧中心のマッサージを例示でき、これにより、被施療者の患部の指圧ポイントを活性化することができ、凝っている患部に強い刺激を与えるマッサージコースである。このコースは、活性効果は強いが、リラックス効果は低いコースである。
【0036】
マッサージコース2は、中間強さのマッサージコースであり、叩き中心のマッサージコースとすることができる。このマッサージコースは、凝りの強い被施療者には少し物足りず、マッサージ効果は低いが、幅広く弱い凝りに対して患部をほぐすことのできるコースである。叩きによる弱い振動により、リラックス効果も併せ持つコースである。
【0037】
マッサージコース3は、CVRR値が低い、即ちストレスの強い被施療者に対するマッサージコースである。マッサージコースとして、弱めのマッサージコースは、例えば、揉み中心のマッサージコースを例示できる。このマッサージコースは、最も刺激の少ないコースであり、リラックス効果の高いコースである。本マッサージコースではゆったりとしたマッサージが施され、被施療者が精神的にもリラックスすることができる。
【0038】
図6のストレステーブルを用いたマッサージコースは、図7に示すフローチャート図により行なうことができる。
【0039】
被施療者が操作部(40)の操作により、本マッサージコースを選択すると、年齢入力部への年齢入力が求められ(ステップ1)、この状態で、補助操作部(42)を両手で掴むことによって、心拍検出部(70)の第2の電極(72)と第4の電極(74)の電位に基づき、心拍波形が検出されて、制御手段(50)にてCVRR値が測定される(ステップ2)。
なお、このとき、心拍波形の出力が小さい場合には、上記の感度切替えにより、高ゲインにより出力を行なう。
制御手段(50)は、得られたCVRR値とステップ1にて入力された年齢に基づいてストレスレベルを判定し(ステップ3)、ストレスレベルに基づいて、ストレステーブルを参照してマッサージコースを選択する(ステップ4)。
マッサージコースが選択されると、制御手段(50)は、マッサージコースに応じたマッサージを被施療者に施す(ステップ5)。
【0040】
上記により、被施療者の年齢により差異のあるCVRR値を補正して、ストレスレベルを判定でき、使用者の年齢、精神的疲労度合い等に最適なマッサージコースを自動的に選択して、最適なマッサージを施すことができる。
【0041】
また、上述したCVRR値に基づくストレスレベルと、生体情報として、さらに、被施療者の皮膚抵抗を測定することで、被施療者の凝りレベルを判定し、これらストレスレベルと凝りレベルに基づき、マッサージコースを選択するようにすることもできる。
【0042】
被施療者の皮膚抵抗は、マッサージが施された際の被施療者の発汗量を測定するものであり、凝りが弱い、即ち凝りレベルが小さい程、発汗量は少なくなるから、皮膚抵抗検出部(60)である第1の電極(62)と第3電極(80)間に流れる電流は少なくなり、凝りが強い程、発汗量は多くなるから、第1の電極(62)と第3電極(80)間に流れる電流は多くなる傾向にある。
【0043】
皮膚抵抗の測定は、補助操作部(42)の一端側に配置された第1の電極(62)と第3の電極(80)に被施療者の片手の手指が触れるように、掴むことで行なうことができる。
第1の電極(62)により得られた皮膚抵抗に関する信号は、制御手段(50)に送信されて、凝りレベルの判定に用いられる。
制御手段(50)は、皮膚抵抗検出部(60)である第1の電極(62)から得られた皮膚抵抗に関する信号を元に、凝りレベルを1〜8段階に分類する。なお、凝りレベル1は、最も凝りが弱い状態を示しており、凝りレベルが高くなるにつれて、凝りが強くなっていくようにしている。
【0044】
図8は、凝りレベルと前述したストレスレベルによって、マッサージコース(前述)を選択するテーブルを示している。図に示すように、ストレスレベルが同じ場合、凝りレベルが強いほど、刺激の強いマッサージ(前述のマッサージコース1)が選択され、また、凝りレベルが同じ場合、ストレスレベルが大きくなる程、刺激の弱いマッサージ(前述のマッサージコース3)が選択されるようにしている。
【0045】
図8のテーブルを用いたマッサージコースは、図9に示すフローチャート図により行なうことができる。
【0046】
被施療者が操作部(50)の操作により、本マッサージコースを選択すると、補助操作部(42)を両手で掴むことによって、心拍検出部(70)の第2の電極(72)と第4の電極(74)の電位に基づき、心拍波形が検出されて、制御手段(50)にてCVRR値が測定される(ステップ1)。
なお、このとき、心拍波形の出力が小さい場合には、上記の感度切替えにより、高ゲインにより出力を行なう。
制御手段(50)は、得られたCVRR値に基づいてストレスレベルを判定する(ステップ2)
【0047】
次に、凝りレベルを測定するが、皮膚抵抗は、片手での測定で足りるから、補助操作部(42)の持ち替えの指示(例えば「片手で持って下さい」等)を表示部に行なう(ステップ3)。
【0048】
凝りレベルの検出は、皮膚抵抗検出部(60)である第1の電極(62)の電流を測定し(ステップ4)、制御手段(50)にて凝りレベルが判定される(ステップ5)。
【0049】
ステップ2にて得られたストレスレベルとステップ5にて得られた凝りレベルに基づいて、図8のテーブルを参照してマッサージコースが選択される(ステップ6)。
マッサージコースが選択されると、制御手段(50)は、マッサージコースに応じたマッサージを被施療者に施す(ステップ6)。
【0050】
上記によれば、被施療者の身体の状態(凝りレベル)と、精神的な状態(ストレスレベル)に基づいて、被施療者に最適なマッサージコースを自動的に選択し、ストレスのある場合にはストレスを緩和し、ストレスが低く、凝りがある場合には凝り解消効果の高いマッサージを施すことで、身体、精神の両面からの状態に基づいた効果的なマッサージを行なうことができる。
【0051】
さらに、上記凝りレベルとストレスレベルによるマッサージコースの選択に、上述した年齢をパラメータとした判定を行なうようにしてもよい。
【0052】
なお、上記した凝りレベルの測定の際に、手の乾燥度合いに応じて、皮膚抵抗検出部(60)の感度を切り替えることが望ましい。
具体的には、図10に示すように、被施療者が乾燥肌などの場合、皮膚抵抗検出部(60)に手を触れても、皮膚が乾燥しており、皮膚抵抗検出部(60)と皮膚との間の電気抵抗が大きくなりすぎて、第1の電極(62)と第3の電極(80)との電流が測定できず、判定不能となる虞れがあった。この対応として、ハンディクリーム等を手に塗ることで、皮膚の電気抵抗を標準的な値とする必要があった。
【0053】
そこで、皮膚抵抗検出部(60)と手指との接触を検知した際に、皮膚抵抗検出部(60)と皮膚の間の抵抗値に閾値を設け(図10参照)、標準と乾燥肌の被施療者の2つのタイプを区別することで、被施療者の肌のタイプを判別するようにした。
【0054】
図4に示すように、皮膚抵抗検出部(60)である第1の電極(62)からの出力を、第1増幅器(64)にて増幅し(低ゲイン)、制御手段(50)に送信されるが、電極間接触抵抗を測定したときに(フローチャート図11のステップ1)、抵抗値が所定の閾値以下の場合は、標準肌としてそのままのゲイン(低ゲイン)で皮膚抵抗を測定する(ステップ3)。電極間接触抵抗が所定の閾値を越える場合には、乾燥肌と判断して、第1増幅器(64)と直列に接続された第2増幅器(66)(図4)によって更に増幅(高ゲイン)する(ステップ2)。これにより、電極間接触抵抗を図10の一点鎖線Aで示すように、標準肌と同レベルまで小さくすることができる。
【0055】
このように、被施療者の皮膚の状態に応じて、ゲインの切替えを行なった後、皮膚抵抗を測定し(ステップ3)、凝りレベルの判定(ステップ4)や、表示部への表示を行なう(ステップ5)。
次に、凝りレベルに応じたマッサージコース(例えば、上記マッサージコース1乃至3)が選択され(ステップ6)、マッサージが行なわれる(ステップ7)。
【0056】
マッサージコース中に、被施療者の凝りレベルの変化を目視的に認識できるようにするために、適宜凝りレベルの判定を行ない(ステップ8)、表示部に表示するようにしてもよい(ステップ9)。なお、凝りレベルの判定は、ステップ1にて判定されたゲインに基づいて行なう。
【0057】
マッサージコースが完了又はタイマー等により終了するまで(ステップ10)、凝りレベルの判定(ステップ8)と表示部への表示(ステップ9)は繰り返すことが望ましい。これにより、逐次的にマッサージ効果を確認できる利点がある。
【0058】
被施療者の皮膚の状態に応じて、ゲインを切り替えることで、凝りレベルを正確に測定することができ、乾燥肌の被施療者の場合でも、ハンディクリーム等を塗ることなく、凝りレベルの判定を受けることができる。
【0059】
上記何れの実施例においても、心拍波形を検出する際には、被施療者の上半身の揺動や振動、移動を極力抑えて、安静な状態で測定を行なえるように、測定の間は、マッサージを停止させたり、マッサージを施すとしても、測定への影響が小さい脚部へのエアバッグによるマッサージや、背筋伸ばし等のマッサージとすることが望ましい。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明は、被施療者の個人差によって異なる検出信号等の強さを補正して、正確な生体情報を検出することのできる椅子型マッサージ機として有用である。
【符号の説明】
【0061】
(10) 椅子型マッサージ機
(30) 生体情報検出手段
(40) 操作部
(42) 補助操作部
(50) 制御手段
(60) 皮膚抵抗検出部
(70) 心拍検出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被施療者の患部をマッサージするマッサージ手段と、
該マッサージ手段を制御する制御手段と、
該制御手段に電気的に接続され、被施療者の生体情報を検出して、制御手段に送信する生体情報検出手段と、
制御手段に電気的に接続される操作部と、
を有する椅子型マッサージ機において、
制御手段は、生体情報検出手段から受信した生体情報に関する信号の強度に応じて、受信感度を切り替えるようにしたことを特徴とする椅子型マッサージ機。
【請求項2】
被施療者の患部をマッサージするマッサージ手段と、
該マッサージ手段を制御する制御手段と、
該制御手段に電気的に接続され、被施療者の生体情報を検出して、制御手段に送信する生体情報検出手段と、
制御手段に電気的に接続される操作部と、
を有する椅子型マッサージ機において、
操作部には、被施療者の年齢を入力する年齢入力部を有し、
制御手段は、年齢入力部に入力された被施療者の年齢に基づいて、生体情報検出手段から受信した生体情報に関する信号から得られるストレス度合の判定基準を切り替えるようにしたことを特徴とする椅子型マッサージ機。
【請求項3】
生体情報は、心拍に関する信号である請求項1又は請求項2に記載の椅子型マッサージ機。
【請求項4】
生体情報検出手段は、被施療者の皮膚抵抗を測定する皮膚抵抗検出部と、心拍を測定する心拍検出部を有しており、制御手段は、皮膚抵抗検出部により測定された被施療者の皮膚抵抗に関する信号と、心拍検出部により測定された心拍に関する信号を受信し、これら信号に基づいてマッサージ手段を制御する請求項1乃至請求項3の何れかに記載の椅子型マッサージ機。
【請求項5】
生理情報検出手段は、左右一対配備され、一方の生理情報検出手段には、皮膚抵抗検出部として第1の電極、心拍検出部として第2の電極、及び、グランド用の第3の電極を具え、他方の生理情報検出手段には、心拍検出部として第4の電極を有しており、前記グランド用の第3電極は、第1の電極及び第2の電極が共用する請求項4に記載の椅子型マッサージ機。
【請求項6】
制御手段は、皮膚抵抗検出部により測定された皮膚抵抗に関する信号に基づいて、皮膚抵抗検出部により測定された皮膚抵抗に関する信号の受信感度を切り替える請求項4又は請求項5に記載の椅子型マッサージ機。
【請求項7】
生理情報検出手段は、被施療者が掴持する補助操作部に配備されており、補助操作部の一端側に第1の電極、第2の電極及び第3の電極が配置され、他端側に第4の電極が配置される請求項5又は請求項6に記載の椅子型マッサージ機。
【請求項8】
操作部は、補助操作部の中央に配置される請求項7に記載の椅子型マッサージ機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−233861(P2010−233861A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−85903(P2009−85903)
【出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(000214892)三洋電機コンシューマエレクトロニクス株式会社 (1,582)
【Fターム(参考)】