説明

植物のアフラモムムアングスチホリウム又はロンゴザの抽出物を含む、特に抗老化活性を有する化粧料組成物

本発明は、化粧料組成物に関する。前記組成物は、植物のアフラモムムアングスチホリウム又はロンゴザの種子の抽出物を活性成分として、場合により化粧料として許容可能な担体中に含むことを特徴とする。前記化粧料組成物は、良好な抗老化活性を示す。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、植物のアフラモムムアングスチホリウム又はロンゴザの種子の抽出物を活性成分として含むことを特徴とする、特に抗老化活性を有する化粧料組成物に本質的に関する。
【0002】
本発明は、特に抗老化活性を有する化粧料組成物を特に製造するための、植物のアフラモムムアングスチホリウム又はロンゴザの種子の抽出物の化粧料剤としての使用にも関する。
【0003】
以下の説明及び特許請求の範囲では、簡潔さのために用語「ロンゴザ(Longoza)」を使用するのが好ましいであろうが、この用語は、当然、差異を示唆することなく植物のアフラモムムアングスチホリウムも意味する。
【0004】
[従来技術]
Revue francaise des Corps Gras [French review of fatty substances]、No.1 of January 1983、pages 21 to 25に所載のE.M.Gaydouらによる論文では、植物のアフラモムムアングスチホリウムを含めたマダガスカルのいくつかの植物(Table 1、continuation 2、page 24参照)からの種子から抽出した油の脂肪酸組成物に関する研究について記載している。この組成物は、無極性溶媒、特にヘキサンを使用したこの植物の種子の抽出物である(page 24、「Partie experimentale」[Experimental section]、1st paragraph参照)。
【0005】
[発明の目的]
本発明の目的は、良好な抗老化活性、若しくは以前から知られている抗老化用化粧料剤と比較して改善された抗老化活性を有し、及び/又は化粧料用の、特に皮膚への局所塗布に関して非常に良好な適合性を有し、及び/又は副作用及び刺激作用がないか若しくは実質的にない化粧料剤としての新規の活性成分を見出す解決策の提供からなる技術的課題を解決することである。
【0006】
本発明の目的は、広範に入手可能であるか又は容易に栽培可能な天然資源から得られる活性成分を用いて、上述の技術的課題を解決することである。
【0007】
本発明の目的は、工業規模で、特に化粧料規模で使用するのに十分な量の調製を可能にする活性成分を得る方法を提供することによって上述の技術的課題を解決することでもある。
【0008】
[発明の概要]
本発明は、工業規模で、特に化粧料規模で使用し得る、簡単で、比較的安価な方法で、上述の技術的課題に対する解決策を提供する。
【0009】
第1の態様によれば、本発明は、植物のアフラモムムアングスチホリウム又はロンゴザの種子の抽出物を活性成分として、化粧料として許容可能な賦形剤中に含むことを特徴とする化粧料組成物を提供する。
【0010】
第2の態様によれば、本発明は、化粧料組成物を製造するために、植物のアフラモムムアングスチホリウム又はロンゴザの種子の抽出物を化粧料剤として使用することにも関する。
【0011】
本発明の有利な実施形態によれば、ロンゴザの抽出物は、抗老化活性を有する化粧料剤として使用される。
【0012】
本発明の有利な変形形態及び実施によれば、植物のロンゴザの種子の抽出物は、抗しわ活性用に使用され、特にしわの出現を減らすか、なくすか、又は遅らせるために、即ち、特に、真皮表皮接合部(dermal−epidermal junction)つまりDEJ部に存在するコラーゲン、特にVII型コラーゲンの合成を刺激する作用による、並びに/又はオキシタラン線維及び/若しくはエラウニン線維での作用による、皮膚の構造を保つか又は再生する作用のために使用される。したがって、本発明は、抗しわ効果、即ち、皮膚の弾性及び/又は引締まりの保護、修復又は再生からなる効果を有することを可能にする。本発明は、化学線の作用による、特に紫外線による老化に対して皮膚を保護することも可能にする。
【0013】
本発明に関しては、許容可能な化粧料用溶媒、特にアルコール溶媒又は水性アルコール溶媒を用いて調製した、植物のアフラモムムアングスチホリウム又はロンゴザの種子の抽出物が、有利に使用されよう。
【0014】
本発明の具体的な実施形態によれば、植物の種子の抽出物は、粉砕した種子をアルコール溶媒又は水性アルコール溶媒で抽出するステップからなる少なくとも1つのステップを含む抽出方法によって得られる。
【0015】
この粉砕は、微粉が得られるまで行うことが好ましい。この粉末の粒は、約0.01〜1mmの直径を有することが有利である。
【0016】
本発明による方法の有利な実施形態によれば、1〜4個の炭素原子を含有する一価アルコール又はポリオールであるアルコール溶媒又は水性アルコール溶媒が使用される。このアルコールは、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール及びブチレングリコール、好ましくはエタノールから選択されることが有利である。この抽出プロセスは、大気圧か、又はより高圧下であっても沸点が約120℃を超えないような圧力で、周囲温度か、又は最大で溶媒の沸点までの範囲に及び得る温度で行うことができる。アルコールと水との相対容量比は、30/70〜100/0の範囲内で選択されることが好ましい。
【0017】
連続するいくつかの抽出ステップは、抽出するべき材料が検討中の溶媒によって完全に枯渇するまで行うことができる。
【0018】
抽出時間は、抽出する材料が結果として完全に枯渇するように、検討中の溶媒、温度、場合により使用圧力に従って変わる。実際には、この時間は、有益な工業的利用のために、半時間未満に制限されよう。この時間は、一般的に30分程度であろう。
【0019】
この抽出法の実施の具体的変法によれば、無極性有機溶媒、例えばヘキサン又はn−ヘプタンを使用する抽出ステップからなる少なくとも1つのステップでの脂質の除去により、得られたアルコール又は水性アルコール抽出物を脱脂されることによって、脱脂アルコール又は水性アルコール抽出物を得ることが有利である。
【0020】
この抽出法の具体的な実施形態によれば、脱脂アルコール又は水性アルコール抽出物は、それ自体で、本発明による活性成分又は活性薬剤を構成し得る。
【0021】
本発明による抽出法の実施の別の具体的な変法によれば、脱脂アルコール又は水性アルコール抽出物を炭などの適切な脱色剤上での濾過による脱色ステップ、次いで炭を除去した後、最初の抽出ステップに使用した溶液と同じでも異なっていてもよいアルコール又は水性アルコール溶媒の溶液で洗浄するステップからなるステップに供することができる。
【0022】
別の具体的な変法によれば、上述の活性成分の別の形態を得るために、抽出溶媒を実質的に完全に蒸発させて、上述の活性成分としてそのまま使用し得るか、又は化粧料として許容可能な溶媒、特にアルコール若しくは水性アルコール混合液の中に再度溶解し得る乾燥抽出物を得ることができる。
【0023】
本発明の別の有利な変法によれば、抽出ステップに使用するアルコールはエタノールである。
【0024】
本発明に関しては、得られる抽出物は、化粧料剤として使用しやすく、それが水相中に組み込まれるためであろうが、脂相中に組み込まれるためであろうかに関係なく、化粧料組成物の調製すべき他の成分と混合しやすい。
【0025】
第3の態様によれば、本発明は、上記で定義した植物のアフラモムムアングスチホリウム又はロンゴザの種子の抽出物の、化粧料として有効な量を、美容ケアの必要がある個人の皮膚に局所塗布することを含むことを特徴とする美容ケア方法にも関する。
【0026】
本発明の有利な実施形態によれば、この美容ケア方法は、特に、化学線、とりわけ紫外線の作用から生じる老化作用を抑制する目的で、抗老化ケアの必要がある皮膚の領域に、上述の植物のアフラモムムアングスチホリウム又はロンゴザの種子の抽出物を塗布するために使用される。
【0027】
より具体的には、この抗老化活性は、特に、しわの出現を減らすか、なくすか、又は遅らせるための抗しわ活性に定められる。
【0028】
本発明は、特に、真皮表皮接合部つまりDEJ部に存在するコラーゲン、特にVII型コラーゲンの合成を刺激する作用並びに/又はオキシタラン線維及び/若しくはエラウニン線維での修復作用による皮膚の構造を保つか又は再生する作用、即ち皮膚の弾性並びに/又は引締まりの保護、修復又は再生からなる効果も有する。
【0029】
本発明の態様のいずれか1つに関しては、前記抽出物は、組成物の全重量に対して0.001重量%〜5重量%、好ましくは0.01重量%〜1重量%の、乾燥抽出物ベースで表される濃度で存在する。
【0030】
当業者であれば、本発明の他の目的、特性及び利点は、添付図を参照して示される以下の説明から明白であろう。
【0031】
以下の実施例では、特に示されない限り、すべての比率(%)は重量によって示され、温度は、室温、即ち25℃であるか又は摂氏温度で示され、圧力は大気圧である。
【0032】
実施例1
本発明による、植物のアフラモムムアングスチホリウム又はロンゴザの種子の、脱脂アルコール又は水性アルコール抽出物の調製の実施例
フランスのSOTRAMEX社から入手できる様々な市販バッチから植物のロンゴザの種子100kgを使用して以下の抽出手順を行う。
【0033】
a)まず、市販の乾燥種子を、例えば0.01mm〜1mmの平均粒径が得られるまで粉砕する。
【0034】
b)次いで、粉砕した種子の3連続の抽出ステップを、各回、水性アルコール混合液(例えば体積比70/30のエタノール/水混合液)500リットル(L)を使用して行うが、例えば50℃に少し加熱し、約30分間攪拌するのが有利である。好ましいアルコールは、その周知の生体適合性のため、エタノールである。この抽出ステップが、純アルコールを使用してまったく容易に行い得ることは明らかに理解される。
【0035】
洗浄処置である抽出ケークの濾過を各抽出ステップ後に行う。この濾過は、例えば、0.70μmの孔径を有するフィルターを通して行い、洗浄ステップを、体積/体積が70/30の水性アルコール混合液30Lを使用して行う。
【0036】
c)次いで、濾過された全容量が約1500Lに達するまで、各濾液を混合し、得られた溶液は不透明である。
【0037】
d)次いで、脂質の除去からなるステップ、即ち脱脂ステップを、無極性有機溶媒、例えばn−ヘプタンを使用する液/液抽出ステップ階によって有利に行う。
【0038】
3つの抽出ステップを、各回、約500Lのn−ヘプタンを使用し、激しく攪拌して行うことが有利である。
【0039】
水性アルコール相からヘプタン相が分離されるように、沈殿による分離を実施し、このヘプタン相を廃棄する。
【0040】
こうして得られた脱脂水性アルコール相は、実質的に透明であり、約1500Lの容量を有する。
【0041】
本発明の現在の好ましい実施形態によれば、以下の実施例に示されるように、この脱脂水性アルコール相は、それ自体で、化粧料組成物を製造するための化粧料剤又は活性成分として使用できる、本発明によるロンゴザ又はアフラモムムアングスチホリウムの種子の抽出物(抽出物1d)を構成する。この水性アルコール溶液は、0.47重量%の乾燥抽出物を含有する。
【0042】
使用する抽出溶媒の量及び水性アルコール混合液中のアルコールの比率などの抽出ステップのパラメータを改変することによって、様々な含量、例えばより高い含量、特に約1重量%の乾燥抽出物を得ることができ、乾燥抽出物の重量濃度は、一定の限界まで変化し得ることが理解される。
【0043】
e)実施の変法によれば、例えば、水性アルコール相を、最大温度50℃まで、場合により減圧下で加熱することによる蒸留ステップによって、n−ヘプタンなどの使用される微量の無極性有機溶媒を除去するステップからなるステップを行うことができる。
【0044】
f)次いで、無極性有機溶媒をもはや含んでいない脱脂アルコール又は水性アルコール溶液の希釈は、アルコール又は水性アルコール溶媒の溶液を添加することによって、1500Lの容量が再度得られるまで行うことができる。
【0045】
g)また、脱脂溶液の脱色ステップは、当業者に周知であるように、周囲温度で1時間、攪拌しながら炭で処理することによって行うことができる。
【0046】
次いで、0.45μmの孔径を有するフィルターにより炭の濾過し、次いでアルコール又は水性アルコール溶液を3L使用して、濾過された炭を洗浄できる。
【0047】
この脱脂及び脱色されたアルコール又は水性アルコール溶液は、透明であり、約1500Lの容量を有する。
【0048】
h)次いで、前記溶液の濃縮ステップは、特に、最大50℃の適温まで、場合により減圧下で加熱することにより、アルコールを蒸発させて本質的に水性の相を得ることによって主に行うことができる。この本質的に水性の溶液は、そのままでも、この溶液による活性成分として使用できる。
【0049】
i)さらなる別の実施の変法によれば、本質的に水性の前記溶液の凍結乾燥は、そのままでも本発明による活性成分として使用し得る乾燥抽出物が得られるように行うことができる。
【0050】
j)本発明に従ってこの乾燥抽出物を化粧料組成物中に組み込むために、前記組成物の製造時に、化粧料として許容可能な溶媒中で、特に、水、アルコール若しくは1,3−ブチレングリコール中か又はこれらの溶媒の混合液中で、その用時調製溶液を調製することもできる。したがって、この実施形態によれば、植物のアフラモムムアングスチホリウム又はロンゴザの乾燥抽出物の溶液を所望の濃度で調製することが可能である。
【0051】
k)最後に、所望の化粧料組成物を製造するための、上記抽出物の様々な溶液の使用を待つ間、これらの溶液を詰めるステップからなるプロセスを行うことができる。これに関しては、適切な容量の瓶の中に詰める前に、予め、0.22μmの孔径を有するフィルターを通しての滅菌濾過を実施し、次いで、冷蔵室中に例えば4℃で保管することが好ましい。
【0052】
本発明による実施例2
活着条件下で維持され、紫外線を用いて人為的に老化させたヒトの皮膚の実験モデルに関する、ロンゴザ(アフラモムムアングスチホリウム)の抽出物の抗老化活性の決定
本発明によるロンゴザの抽出物の抗老化活性を決定するために、活着条件下で維持し、紫外線(「UV」)を用いて人為的に老化させた皮膚の実験モデルを使用することによって、抗老化効果を評価した。
【0053】
この試験は、VII型コラーゲンの免疫組織化学的評価による真皮表皮接合部の質の再生の分析と、オキシタラン−エラウニン網目構造を研究することによる真皮表層の弾性線維の質の再生の分析と、画像分析での形態計測定量化による真皮中層/深層の弾性線維の質の再生の分析とによって評価した。
【0054】
この試験を行うために、8人の異なるドナーを使用して、形成手術後に女性から皮膚の断片を取った。これらの断片を、それ自体、培養ウェル上の懸濁液中に入ったインサートの中に入れた。
【0055】
ゲンタマイシン抗生物質、ウシ下垂体抽出物、ウシ胎児血清及びヒドロコルチゾンを補充した、当業者に周知のMEM培地を、該ウェルの底に添加する。この培地は、該ウェルの底からの拡散によって、12μm厚の多孔質膜を通り抜ける。この培地を、3日毎に除去した。
【0056】
実験的に老化させたモデルは、それぞれ、1日後(「D1」)及び3日目(「D3」)での、UVA要素(8J/cm)及びUVB要素(2J/cm)を含む2つの紫外線照射を実施することにより、老化中に観察される変化と同じ皮膚の変化を生じさせることによって実現する。
【0057】
上記実施例1のステップd)の終了時に得られる、ロンゴザの抽出物(抽出物1d)の溶液の、培地中の5%溶液を調製する。1日目(「D0」)から10日目(「D10」)まで、この5%溶液を、週に3回、皮膚断片の表面に塗布する。
【0058】
したがって、この実験に関しては、
a)活着条件下に単に置いた対照皮膚と、
b)活着条件下に維持し、UVA及びUVB照射により実験的に老化させた皮膚(参照の対照皮膚)と、
c)上記に示すようにロンゴザの抽出物を塗布して、活着条件下に維持し、紫外線A/B照射により人為的に老化させた皮膚と
の比較を行う。
【0059】
いくつかの皮膚培養を、VI型コラーゲンの免疫組織化学的分析のために4日目(「D4」)に中止し、その他を、弾性線維の形態計測分析のために10日目(「D10」)に中止する。
【0060】
得られた結果は、以下の通りである。
1)弾性線維の組織学的定量化
弾性線維は、(+)カテキン染色によって可視化し、カメラプロダクションから提供されたソフトウェアをそのコンピュータに備えたコンピュータ支援Leitz XC−75CEカメラにより得られるコンピュータ処理画像分析によって形態計測的に定量化する。
【0061】
真皮表層のオキシタラン線維及びエラウニン線維の平均長(μm)を評価し、これらの平均表面積(μm)も評価する。
【0062】
本発明者らにより得られた結果の状況から、使用した皮膚老化モデルでは、オキシタラン線維の平均長(42.7μm)並びに真皮のオキシタラン線維及びエラウニン線維の平均表面積(2339μm)の、対照皮膚(長さ64μm及び表面積2808.9μm)と比較した統計的に有意な減少を、偏差p<0.05の統計的に有意な値で実証することができた。
【0063】
この結果は、添付書類に添付した図1で報告し、Leitz XC−75CEカメラを備えたLeitz電子顕微鏡で撮った写真は、図2A(対照皮膚)、2B(皮膚+UV)及び2C(皮膚+UV+ロンゴザ)と題する。
【0064】
本発明による、実施例1で得られた脱脂アルコール又は水性アルコール抽出物形態のロンゴザの抽出物では、オキシタラン線維及びエラウニン線維による修復効果が有意であることが認められよう。
【0065】
具体的には、本発明によるロンゴザの抽出物で治療した皮膚のオキシタラン線維の平均長は、75μm(p<0.05)である。エラウニン線維の平均長は、その長さが200μmまで減少する実験的に老化させた皮膚と比較して、267.4μmまで増加する。同様に、エラウニン線維の平均表面積は、偏差p<0.05で3397.2μmまで有意に増加する。
【0066】
したがって、真皮中層及び真皮深層の老熟した弾性線維に関する修復効果も、それ自体、対照+紫外線と比較して有意である(真皮中層については+7.7%、及び真皮深層については+8.4%)。
【0067】
これらのすべての結果は、添付書類に付けた図1から見て明らかである。
【0068】
2)VII型コラーゲンの免疫組織化学的分析
上記に示すように、形成手術後に女性から採取して冷凍した皮膚の断片を使用して、免疫組織検査によって、基底膜レベルに位置するVII型コラーゲンを検出できる。
【0069】
この免疫検出は、Vector Laboratories、USAから入手でき、DAB(ジアミノベンジジン)などの可視化剤で可視化される、ABCペルオキシダーゼと称する市販のキットを使用する3層間接酵素抗体法によって行う。
【0070】
この評価は、標識の強度及びその形状、即ち真皮表皮接合部での多かれ少なかれ有意な伸びを特定する、0〜3の範囲の半定量的評点によって行う。
【0071】
皮膚を紫外線老化させた上述の実験モデルは、真皮表皮接合(DEJ)部でVII型コラーゲンを変質させることができた。
【0072】
実際には、1.67の評点は、対照皮膚の場合の2.4に比して得られた。
【0073】
この差は、偏差p<0.05で統計的有意性がある。
【0074】
本発明によるロンゴザの抽出物を使用する場合、VII型コラーゲンに関する有意な修復効果は、上述の条件下で紫外線を使用して実験的に老化させた皮膚と比較して、偏差p<0.05で認められる。
【0075】
VII型コラーゲンのこの免疫組織化学的評価の得られた結果を、添付書類中に添付した図3に報告する。
【0076】
さらに、図3Aは、電子顕微鏡下で撮った対照皮膚の断面の写真を示し、図3Bは、紫外線照射により人為的に老化させた皮膚についての同様の写真を示し、図3Cは、紫外線照射により人為的に老化させ、本発明によるロンゴザの抽出物で治療した皮膚についての同条件下で撮った写真を示す。
【0077】
UVの存在下では、VII型コラーゲンの標識強度の低下が、DEJ部で認められる。
【0078】
他方では、上記に示されるように、本発明によるロンゴザの抽出物で皮膚を治療する場合では、UVなしの対照皮膚の標識強度と同様の標識強度が認められるため、本発明によるロンゴザの抽出物により示される保護の有効性が示される。
【0079】
上記の結論としては、活着条件下で維持されるヒトの皮膚に関し、使用した実験的老化モデル効果によって、真皮表層のオキシタラン線維及びエラウニン線維と、真皮中層/深層の弾性網目構造と、真皮表皮接合部中のVII型コラーゲンとに対する、本発明によるロンゴザの抽出物の有意な修復効果を実証することができた。
【0080】
したがって、本発明は、コラーゲン又はエラスチンなどの構造タンパク質の保護、さらに真皮表皮接合の強化も目的として、局所使用向けの化粧料組成物を調製するための化粧料剤として使用できる。
【0081】
化粧料組成物の配合の様々な例は、例示として以下に示されるものであり、したがって、本発明の範囲を限定できない。
【0082】
本説明のすべての実施例では、特に示されない限り、すべての比率(%)は、重量によって示される。
【0083】
本発明による実施例3
顔の引締めを改善するためのゲル化粧料
− 実施例1のd)で得られたロンゴザの脱脂アルコール又は水性アルコール抽出物
2%
− グリコール 3%
− 市販のAMPSポリマー(商標Sepigel305(登録商標)) 3%
− 水素化ひまし油(Cremophor CO−60(登録商標)) 2%
− ポリエチレングリコール 1.5%
− 防腐剤 0.5%
− 濃縮香料 0.3%
− UV遮蔽剤(ベンゾフェノン−4) 1%
− 水、100%までの適量
【0084】
このゲルは、顔面皮膚の引締めの改善を得るために、顔に、特にしわを含む領域に1日1回数週間塗布することができ、したがって、この治療の終了時には、皮膚に対する明らかな若返り効果及びのこれらのしわの減少又は消失の明らかな効果による柔軟性の再生が認められる。
【0085】
本発明による実施例4
エマルジョン形態の抗しわ用デイクリーム
− 実施例1のd)で得られたロンゴザの脱脂アルコール又は水性アルコール抽出物
2%
− ステアレス−21(Brij721) 2.5%
− グリセリルステアレート(Tegrin) 1.1%
− ステアリルアルコール 5%
− グリセロールトリカプレート/カプリレート 12.5%
− ブチレングリコール 3%
− グリセロール 2%
− 防腐剤 0.5%
− 濃縮香料 0.5%
− UV遮蔽剤(オクチルメトキシシンナメート) 7.5%
− 水、100%までの適量
【0086】
本発明による実施例5
抗しわ用トニックローション
− 実施例1のd)で得られたロンゴザの脱脂アルコール又は水性アルコール抽出物
2%
− ブチレングリコール 3%
− EDTA 0.1%
− 可溶化剤 1%
− 濃縮香料 0.3%
− エタノール 5%
− UV遮蔽剤(ベンゾフェノン−4) 0.13%
− 水、100%までの適量
【0087】
本発明による実施例6
対紫外線保護向け顔面メイクアップ用パウダー
− 実施例1のd)で得られたロンゴザの脱脂アルコール又は水性アルコール抽出物
0.25%
− タルク 17%
− マイカ 20%
− 絹雲母 20%
− 顔料 8%
− 有機粉末(ナイロン) 20%
− シリカ 8.75%
− シリコーン油又は鉱油 3%
− UV遮蔽剤(オクチルメトキシシンナメート) 3%
【0088】
本発明による実施例7
抗しわ処置用ファンデーション
− 実施例1のd)で得られたロンゴザの脱脂アルコール又は水性アルコール抽出物
2%
− ポリグリセリル−4イソステアレート及びセチルジメチコンコポリオール及びヘキシルラウレート 5.1%
− シクロペンタシロキサン及びシクロヘキサシロキサン 5.0%
− セチルジメチコン 1.0%
− カプリル/カプリントリグリセリド 2.2%
− オクチルステアレート 1.4%
− 鉱油 3.5%
− 水素化ひまし油 1.2%
− 蜜ろう 0.8%
− ポリ(メチルメタクリレート) 1.1%
− 酸化鉄 0.45%
− 二酸化チタン 5.2%
− NaCl 0.6%
− 濃縮香料 0.1%
− UV遮蔽剤(オクチルシンナメート) 3%
− 水、100%までの適量
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】x軸に沿って報告される、対照皮膚を形成する同じヒトの皮膚(「対照皮膚」の名称で報告される結果)、又は紫外線を用いて人為的に老化させた同じヒトの皮膚(「+UV」と称する)と比較した、活着条件下で維持し、紫外線を用いて人為的に老化させたヒトの皮膚上に植物のアフラモムムアングスチホリウム又はロンゴザの種子の抽出物(「UV+ロンゴザ」の名称で報告される結果)と、y軸に沿って示される、マイクロメートル単位で0〜350の範囲の尺度の弾性線維の平均長とから得られる、コンピュータ処理画像分析でのオキシタラン−エラウニン網目構造の分析を通じた弾性線維の組織学的定量化による試験の結果を表すグラフである。
【図2A】図2Aは、電子顕微鏡で撮った、倍率400倍の対照皮膚の写真を示し、図2Bは、同一条件下で撮った、紫外線を用いて人為的に老化させた皮膚の写真を示し、図2Cは、本発明に関して、オキシタラン−エラウニン網目構造及び老熟した弾性線維の再生を示す、以下の実施例1に従って調製した本発明によるロンゴザの種子のアルコール又は水性アルコール抽出物の存在中でUV老化処理を組み合わせることによって得られた結果を示す写真である。
【図2B】図2Aは、電子顕微鏡で撮った、倍率400倍の対照皮膚の写真を示し、図2Bは、同一条件下で撮った、紫外線を用いて人為的に老化させた皮膚の写真を示し、図2Cは、本発明に関して、オキシタラン−エラウニン網目構造及び老熟した弾性線維の再生を示す、以下の実施例1に従って調製した本発明によるロンゴザの種子のアルコール又は水性アルコール抽出物の存在中でUV老化処理を組み合わせることによって得られた結果を示す写真である。
【図2C】図2Aは、電子顕微鏡で撮った、倍率400倍の対照皮膚の写真を示し、図2Bは、同一条件下で撮った、紫外線を用いて人為的に老化させた皮膚の写真を示し、図2Cは、本発明に関して、オキシタラン−エラウニン網目構造及び老熟した弾性線維の再生を示す、以下の実施例1に従って調製した本発明によるロンゴザの種子のアルコール又は水性アルコール抽出物の存在中でUV老化処理を組み合わせることによって得られた結果を示す写真である。
【図3】x軸に沿って、それぞれ、「対照皮膚」、紫外線のみを受けた皮膚(「+UV」と称する)、及び本発明によるロンゴザの同じ抽出物の存在中で紫外線処理を受けた皮膚(「UV+ロンゴザ」)と、y軸に沿って、0〜3.5の範囲の尺度に従って得られる評点とで得られた結果を示した、真皮表皮接合部で見出されるVII型コラーゲンの免疫組織化学的評価の測定結果であって、紫外線照射することにより実験的に老化させた皮膚と比較した、本発明のロンゴザの抽出物による、VII型コラーゲンに関する有意な修復効果を実証する前記結果を表すグラフである。
【図4A】図4Aは、真皮表皮接合部又はDEJ部(「対照皮膚」)でのVII型コラーゲンの標識強度を示す皮膚の真皮表皮接合部での断面を示す写真であり、図4Bは、同条件下で、紫外線を受けた皮膚(「皮膚+UV」)を表し、図4Cは、本発明によるロンゴザの種子の抽出物の存在中で紫外線を受けた同じ皮膚(「皮膚+UV+ロンゴザ」)を表し、本発明によるロンゴザの抽出物では、観察される標識強度が、UVを受けない対照皮膚の強度に近いことを示す写真である。
【図4B】図4Aは、真皮表皮接合部又はDEJ部(「対照皮膚」)でのVII型コラーゲンの標識強度を示す皮膚の真皮表皮接合部での断面を示す写真であり、図4Bは、同条件下で、紫外線を受けた皮膚(「皮膚+UV」)を表し、図4Cは、本発明によるロンゴザの種子の抽出物の存在中で紫外線を受けた同じ皮膚(「皮膚+UV+ロンゴザ」)を表し、本発明によるロンゴザの抽出物では、観察される標識強度が、UVを受けない対照皮膚の強度に近いことを示す写真である。
【図4C】図4Aは、真皮表皮接合部又はDEJ部(「対照皮膚」)でのVII型コラーゲンの標識強度を示す皮膚の真皮表皮接合部での断面を示す写真であり、図4Bは、同条件下で、紫外線を受けた皮膚(「皮膚+UV」)を表し、図4Cは、本発明によるロンゴザの種子の抽出物の存在中で紫外線を受けた同じ皮膚(「皮膚+UV+ロンゴザ」)を表し、本発明によるロンゴザの抽出物では、観察される標識強度が、UVを受けない対照皮膚の強度に近いことを示す写真である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物のアフラモムムアングスチホリウム(Aframomum angustifolium)又はロンゴザの種子の抽出物を活性成分として、化粧料として許容可能な賦形剤中に含むことを特徴とする化粧料組成物。
【請求項2】
抽出物が、化粧料として許容可能な溶媒、特に、アルコール又は水性アルコール溶媒を用いて調製した、植物のアフラモムムアングスチホリウム又はロンゴザの種子の抽出物であることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
植物の種子の抽出物が、粉砕した種子をアルコール又は水性アルコール溶媒で抽出するステップからなる少なくとも1つのステップを含む抽出方法によって得られることを特徴とする、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
無極性有機溶媒、例えばヘキサン又はn−ヘプタンで抽出するステップからなる少なくとも1つのステップによる脂質の除去によって、得られたアルコール又は水性アルコール抽出物を脱脂して、脱脂アルコール又は水性アルコール抽出物を得ることを特徴とする、請求項2又は3に記載の組成物。
【請求項5】
脱脂アルコール又は水性アルコール抽出物が、それ自体、活性成分を構成することを特徴とする、請求項2〜4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
脱脂アルコール又は水性アルコール抽出物を炭などの適切な脱色剤上での濾過により脱色するステップ、次いで炭を除去した後、最初の抽出ステップに使用した溶液と同じでも異なっていてもよいアルコール又は水性アルコール溶媒の溶液で洗浄するステップからなるステップに供することを特徴とする、請求項4又は5のいずれかに記載の組成物。
【請求項7】
抽出溶媒を、実質的に完全に蒸発させて、活性成分としてそのまま使用し得るか、又は活性成分の別の形態を得るために、化粧料として許容可能な溶媒、特にアルコール若しくは水性アルコール混合液の中に再度溶解し得る乾燥抽出物を得ることを特徴とする、請求項2〜6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
アルコール、又は水性アルコール混合液用に使用するアルコールが、1〜4個の炭素原子を含有する一価アルコール又はポリオールであることを特徴とする、請求項2〜7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
前記アルコールが、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、エチレングリコール、ポリプロピレングリコール及びブチレングリコールから選択されることを特徴とする、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
前記アルコールがエタノールであることを特徴とする、請求項8又は9に記載の組成物。
【請求項11】
ロンゴザの種子の抽出物が、組成物の全重量に対して、0.001重量%〜5重量%、好ましくは0.01重量%〜1重量%の、乾燥抽出物ベースで表される濃度で存在することを特徴とする、請求項1〜10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
化粧料組成物を製造するための、有利には請求項2〜11のいずれか一項に記載の通りである、植物のアフラモムムアングスチホリウム又はロンゴザの種子の抽出物の、化粧料剤としての使用。
【請求項13】
ロンゴザの抽出物が、抗老化活性のために使用されることを特徴とする、請求項12に記載の使用。
【請求項14】
有利には請求項2〜11のいずれか一項に記載の通りである、植物のアフラモムムアングスチホリウム又はロンゴザの種子の抽出物の、化粧料として有効な量を、美容ケアを必要とする個人の皮膚に局所塗布することを含むことを特徴とする美容ケア方法。
【請求項15】
化学線、特に紫外線の作用から生ずる老化作用を特に抑制するために、植物のアフラモムムアングスチホリウム又はロンゴザの種子の抽出物を、抗老化ケアを必要とする皮膚の領域に塗布することを特徴とする、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
抗老化活性が、しわの出現を減らすか、なくすか、又は遅らせるための抗しわ活性、特に、真皮表皮接合部つまりDEJ部に特に存在するコラーゲン、特にVII型コラーゲンの合成を刺激する作用による、並びに/又はオキシタラン線維及び/若しくはエラウニン線維での修復作用による、皮膚の構造を保つ又は再生する作用、即ち、皮膚の弾性並びに/又は引締まりの保護、修復又は再生からなる効果を特に対象とすることを特徴とする、請求項14に記載の方法。

【図1】
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【図3】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【公表番号】特表2009−510155(P2009−510155A)
【公表日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−534057(P2008−534057)
【出願日】平成18年10月2日(2006.10.2)
【国際出願番号】PCT/FR2006/050982
【国際公開番号】WO2007/042709
【国際公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【出願人】(502189579)エルブイエムエイチ レシェルシェ (68)
【Fターム(参考)】