説明

植物胎座抽出物、その生産方法及びその使用

【課題】本発明は植物の対応する器官又は適当な部分から又は植物の対応する器官又は部分の細胞株から生産される植物胎座抽出物、特に穀類胎座抽出物、その製造方法、個別に又は組み合わせでのその薬剤用、化粧品用、食餌用その他の組成物での使用、特に経口適用のための上記製品を非希釈または希釈した形で含むカプセルの形での使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は植物胎座抽出物に関し、特に、植物の対応する器官又は適当な部分から、又は植物の対応する器官又は適当な部分の細胞株から製造される穀類の胎座抽出物、その製造方法、及び個別の又は組み合わせでの薬剤、化粧品、食餌用の組成物及びその他の組成物への使用、特にその製品を非希釈または希釈した形で含む経口適用のためのカプセルの形の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
動物器官の抽出物、特に動物胎盤抽出物は薬剤(医薬)と化粧品の基礎成分として非常に重要である。動物胎盤抽出物は含まれている活性成分のために薬剤(医薬)と化粧品に特に広く使われているが[”Seifen-Oele-Fette-Wachse” 112, 211〜218(1986)参照]、多くの場合必要に応じて低分子添加物が補足されている。例えば日本のようないくつかの国では動物器官抽出物の応用はある種の条件下でのみ許されている。例えばブタの胎盤をベースにした抽出物であり、これは日本で2000年12月12日から法律で禁止されている牛の胎盤の抽出物の代わりに使うことができる[R. Riemshneider, M. Heisler, Relata Tecnica Web Site htpp://www.vevy.com/relata, Issues, Articles 2001, 3 pages]。
動物器官抽出物、特に動物胎盤抽出物には多種類の成分或いは活性成分があるという特徴があり、これらは完全抽出物の形で、又はこの抽出物から単離された個別の物質の形で使われる。例えば、動物の胎盤抽出物では100種以上の成分が検出されている[“Kosmetik International” 6, 1〜8(1978)参照]。動物の胎盤抽出物のある種の個別の物質の一部については、特に必要な費用が大きすぎると思われるために合成に成功していない。
多数の動物器官の抽出物、特に胎盤抽出物は今日大なり小なり生の形で入手できる。例えば上記のブタの胎盤抽出物がそうである。その製造には、新鮮な器官材料を洗浄し、破砕し(最終的にはコロイドミルで)、得られた器官材料のパルプを−10〜−20℃で有機溶媒で処理して抽出する。
上記の水性動物粗抽出物を遠心分離又はろ過又はその他の適当な方法で分離した後、この粗抽出物をさらに処理して純粋な蛋白を含む又は蛋白を含まない抽出物とし、これを例えば0.2μm Millipore(登録商標)フィルターで無菌ろ過して以後の使用に供する。このような製剤には時に蛋白又は高分子量蛋白分解生成物が残っていることがあり、これは病原性と免疫原性があるかもしれず、また定期的に又は繰り返して適用した後で、大部分長期のインキュベーションの期間との組み合わせで、重い病気になる可能性がある。動物器官抽出物の場合、特に動物の胎盤抽出物の場合、特にTSE(transmissible spongioforme encephalopathy)、特にBSE(mad cow disease)とJacob-Creutzfeld病の臨床的所見が一般に知られていて、これは一般的でないウィルス、すなわちプリオンが原因である。しかし、ヒトに適用したとき発ガン性を持ち得るような蛋白含有の動物胎盤抽出物はすでに知られている。
動物器官抽出物、特に動物胎盤抽出物は、中でもプリオン、特にBSEプリオンの関係で起こった諸問題のために世界的に悪評を得ている。ある年齢以上の器官を大量に使った場合、器官材料がBSEのない群から得られているということを確実に証明するのは難しい。実験的に最終製品にBSEがないことをゴールデンハムスターのモデルテストで試験するには少なくとも9ヶ月が必要であり、多くの場合実際的でない。安全で迅速なBSEと試験方法は今のところ知られていない。
DE−OS 24 05 983とDE−OS 20 21 969で低分子量成分と天然の新鮮な器官材料から生産された動物器官抽出物の組み合わせが知られているが、しかしこれも上記の欠点を持っている。
このような複雑な事情を避けるために、EP−A−0 552 516では水溶性合成動物器官抽出物の製造経路が示されていて、天然の動物器官抽出物にも含まれている低分子量成分が合成して製造されている。
天然の動物器官抽出物が上記の不利な点を持つのに対して、合成の動物器官抽出物は、ある種の成分が欠けているために、大部分天然の動物器官抽出物、特に動物胎盤抽出物の生化学的活性を全面的に示すことがないという欠点を持っている。
【特許文献1】DE−OS 24 05 983
【特許文献2】DE−OS 20 21 969
【特許文献3】EP−A−0 552 516
【非特許文献1】”Seifen-Oele-Fette-Wachse” 112, 211〜218(1986)
【非特許文献2】R. Riemshneider, M. Heisler, Relata Tecnica Web Site htpp://www.vevy.com/relata, Issues, Articles 2001, 3 pages
【非特許文献3】“Kosmetik International” 6, 1〜8(1978)参照
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
今まで知られている動物器官抽出物の欠点(不利な点)は、パッチテストで分かるように、アレルギー学的な影響及びその他の望ましくない影響の全くない植物器官抽出物、特に植物胎座抽出物、中でも穀類の胎座抽出物に置き換えることで避けられることが見いだされた。
本出願の発明についての問題(目的)は、少なくとも既知の天然及び合成動物器官抽出物、特に動物胎盤抽出物の生化学的活性のプロフィールを持ち、好ましくは実質的な改良をもたらし、また、特に天然の動物器官抽出物に見られる望ましくない物質、中でも免疫原性及び病原性蛋白と蛋白の分解生成物を含まず、その望ましくない影響を受けない植物胎座抽出物、特に穀類の胎座抽出物を提供することにある。
本発明の第1の態様は、上記の望ましくない影響がなく、活性成分の含有量が大きいために、薬剤、化粧品、その他の組成物で評判を落とした動物器官抽出物、特に動物胎盤抽出物を完全に代替できる水性植物器官抽出物、特に植物胎座抽出物、中でも穀類の胎座抽出物に関する。
本発明の他の態様は植物器官、特に穀類の群より選ばれた植物の、相当する器官又は部分の植物胎座又は植物あるいは細胞株の相当する部分から得ることができる水性植物器官抽出物、特に植物胎座抽出物、中でも穀類の胎座抽出物の製造方法に関する。
さらに本発明の第3の態様は植物器官抽出物、特に植物胎座抽出物、中でも穀類の胎座抽出物の個別に又は混合物の形での化粧品配合物の製造への使用、医用製剤の製造及び/又は食餌サプリメント又は食餌サプリメントとして使用可能なものの製造への使用に関する。後者の場合には非希釈又は希釈した形で上記の製品を含む直接経口的に適用(又は摂取)するためのカプセルの形で使用される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0004】
本発明は穀類からの植物胎座抽出物を例に取って説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明はまた他の植物器官からの植物抽出物及び穀類以外の胎座抽出物の製造にも適用される。
本発明に従って植物胎座抽出物を製造するには、好ましくはコムギ、コメ、トウモロコシ、オオムギ、ライムギ、オートムギ、ソルガム(キビ)、ライコムギ(コムギとライムギの交配種)及びスペルトコムギのような穀類のいわゆる「胎座」が用いられる。ここで「植物の胎座」とは心皮(果皮)、胚珠(種皮)及びアリューロン層(蛋白を含む細胞に富む最外層の粉末層(内胚乳))の全体を意味し、以下では一般的に「心皮(果皮)胎座材料」又は「胎座材料」と呼ぶ。
本発明によれば植物胎座抽出物、特に穀類の胎座抽出物は次の2つの異なる方法、すなわち、新鮮な植物胎座出発物質からの抽出、及び新鮮な植物胎座物質から製造されて細胞バンクに預けられている植物胎座細胞株からの方法、で製造できる。例えば、Pharmacological InstituteとBiochemistry Department of the Chemical Central Institute of the Brasilian Federal University Santa Maria (UFSM) S. Maria, RS, Brasilの細胞バンクには、Dr. A. BrownとProf. Dr. R. Riemschneiderによって製造された次の植物胎座細胞株培養物が寄託されている。すなわち、secale cereale, triticum vulgare, oryza sativa, triticaleその他の植物胎座細胞株培養物である。これらの細胞培養物は本出願の出願者の要求によって公開された。上記の細胞バンクに預けられた上記の植物胎座細胞株は公開されていて、どの第三者でも要求に応じて上記の大学から配達してくれる。
植物胎座細胞株から生産され無菌ろ過された本発明による胎座抽出物は、個別に又は混合物の形で、好ましくは少なくとも1種の合成的に生産された植物胎座抽出物と又は新鮮な植物胎座材料から作られた少なくとも1種の植物胎座抽出物と又はその両方との混合物の形で使われる。このとき、無菌化ろ過された胎座細胞株から生産された植物胎座抽出物と合成的に生産された植物胎座抽出物及び/又は新鮮な植物胎座材料から生産された植物胎座抽出物との重量比が好ましくは(1〜99):(99〜1)、特に(1〜50):(50〜1)、中でも(1〜20):(99〜80)である。
【0005】
本発明による植物胎座抽出物、特にコムギ、コメ、トウモロコシ、オオムギ、ライムギ、オートムギ、ソルガム(キビ)、ライコムギ(コムギとライムギの交配種)及びスペルトコムギよりなる群から選ばれた穀類の胎座抽出物の製造方法は次のようにして行われる。
(IA)最初のステップとして、集積した(収集した)心皮(果皮)胎座材料を洗浄し、機械的に粉砕し、植物細胞壁材料を破壊(開裂)させるために超音波発生器で処理し、その後得られた細胞塊を次のステップ(II)に移し、又は、
(IB)市販の植物細胞株材料を好ましくは25〜30℃の温度の湯浴中で活性化し、次に選ばれた細胞株に所定の予熱した培養媒体を混合添加し、その後好ましくは約37℃の温度で好ましくは約5%のCO2を含む雰囲気中で公知の方法でインキュベートし、培養媒体をデカンテーションで除き、得られた細胞塊を適当なバッファーで洗浄し、細胞を大量生産に適した濃度に希釈しながら完全媒体に導入することにより、上に得られた細胞を懸濁大量培養用の出発原料として用い、この細胞懸濁物を所望の細胞塊を生産するための培養装置に接種することにより、上に得られた懸濁培養物中の細胞を無菌のCO2/空気混合物中で大規模に培養し、このとき、プラスミドとDNA分析を導入して大規模に培養した細胞が最初の細胞培養物に対応することがわかるようにする。
(II)次に第2ステップとして、ステップ(I)で得られた懸濁細胞材料を有機溶媒及び/又は水中で処理して抽出物を製造し、水相を好ましくは遠心分離で分離し、必要に応じて有機溶媒で多数回処理して、すべての残存脂質分(残渣I)を取り除いて、必要に応じて懸濁物の形で、水性粗抽出物を作り、
水性粗抽出物を出発原料に応じて精製または処理し、そして
得られた粗抽出物を所望のpH値、好ましくは5.0〜7.2に調節した後、好ましくは0.2μm Millipore(登録商標)フィルター又はPall-candleを用いて無菌ろ過する。
一般的に本発明によって植物胎座抽出物、特に穀類胎座抽出物を製造する各種の方法はsecale cerealeの胎座抽出物を例にとって次の反応図式で示すことができる。

【0006】
本発明による水溶性植物器官抽出物はEP−A−0 552 516に記されたように合成植物及び/又は動物器官抽出物と組み合わせることができ、また天然の植物及び/又は動物器官抽出物またはその両方とも組み合わせることができる。この場合、これらの組み合わせによって合成器官抽出物単独の場合より生化学的活性プロフィールが改良され、天然器官抽出物の望ましくない副作用がなくなる。本発明の方法によれば、特に、ウィルスもプリオンも全く含まない合成器官抽出物と植物細胞株器官抽出物の組み合わせを技術的に簡単でエレガントな仕方で製造することが可能になる。これは現在の緊急問題であるTSE問題、中でもBSE問題の関連で特に重要である。
本発明による植物胎座抽出物、特に穀類の胎座抽出物は選ばれた植物の市販の植物胎座細胞株から次のステップを持つことを特徴とする方法で製造されるのが好ましい。
(a)選択した植物細胞株を好ましくは25〜30℃の温度の湯浴中で活性化、
(b)選択した細胞に所定の予熱した培養媒体を混合添加し、その後好ましくは約37℃の温度で好ましくは約5%のCO2を含む雰囲気中で公知の方法でインキュベート、
(c)培養媒体をデカンテーションで除き、得られた細胞塊を適当なバッファーで洗浄し、大量生産に適した濃度に希釈しながら完全媒体に導入することにより、上に得られた細胞を分離し、懸濁又は表面大量培養用の出発原料として使用、
(d)この細胞懸濁物を無菌のCO2/空気混合物中で所望の細胞塊を生産するための培養装置内に接種することにより上に得られた懸濁培養物中の細胞を公知の方法で大規模に培養、
このとき、プラスミドとDNA分析を導入して大規模に培養した細胞が最初の細胞培養物に対応することがわかるようにし、
(e)培養で得られた懸濁細胞材料を有機溶媒及び/又は水中で処理して抽出物を製造し、水相を好ましくは遠心分離(ドラム遠心分離)で分離し、必要に応じて有機溶媒で多数回処理して、残存脂質分を水相から除去し、必要に応じて懸濁物の形で、水性粗抽出物を形成、
【0007】
油溶性の成分を分離するために、ドラム遠心分離の残渣のオリーブ油/ヒマワリ油/ミリスチン酸イソプロピルによる抽出又は乾燥し収穫した細胞材料のリポイド混合物による直接抽出を上記の方法または同様の方法で行い、
(f)出発原料に応じて粗抽出物を精製または処理、及び
(g)得られた抽出物を所望のpH値、好ましくは5.0〜7.2に調節した後、好ましくは0.2μm又は0.1μm Millipore(登録商標)フィルター又はPALL-candleを用いて無菌ろ過。
本発明の植物胎座抽出物、特に穀類の胎座抽出物製造方法の好ましい態様は次のように:
ステップ(d)で得られた植物細胞塊をエチルエーテル又はクロロフォルム中に懸濁し、冷却室で約−10℃〜約−20℃の温度で約8日から約15日貯蔵し、その後遠心分離して水相を分離する、
pH7.2〜7.5で窒素を導入してステップ(f)の透析物(外部溶液)からエーテル又はクロロフォルムを徹底的に除去する、及び又は
ステップ(a)では、市販の植物細胞株を個別に又は本明細書に記した市販でない特定の植物細胞株を含む混合物として用いることを特徴とする。
本発明の植物胎座抽出物を製造し、本発明の方法を行うには、少なくとも1つの細胞株、好ましくはコムギ、コメ、トウモロコシ、オオムギ、ライムギ、オートムギ、ソルガム(キビ)、ライコムギ、スペルトコムギよりなる群から選ばれた穀類の「胎座細胞株」の少なくとも1つを植物細胞株として使用する。
【0008】
Pharmacological InstituteとBiochemistry Department of the Chemical Central Institute of the Brasilian Federal University Santa Maria (UFSM) S. Maria, RS, Brasilの細胞バンクには、Dr. A. BrownとProf. Dr. R. Riemschneiderによって製造された次の細胞株培養物が寄託されている。すなわち、secale (rye) cereale, triticum vulgare, oryza sativa, triticaleその他の植物胎座細胞株培養物である。これらの細胞培養物は本出願の出願者の要求に応じて自由に使えるように送られてきた。この大学ではどの第三者でも要求に応じて自由に使えるように配達してくれる。
ステップ(e)で穀類の胎座抽出物を製造するために、1種以上の有機溶媒で長時間処理した細胞材料の水相をさらにアルカリ性及び/又は酸性の媒体中及び/又は有機溶媒を用いて処理し、必要に応じて超音波発生器中で破砕する。処理した材料は次に遠心分離と水で洗浄の後、化学的及び/又は酵素的部分加水分解で処理し、その後必要に応じて透析する。
本発明の方法のさらなる好ましい態様は、穀類の胎座細胞株から植物器官抽出物を製造するに際し、遺伝子操作を受けたことがなく、望ましくない物質、特に天然の植物抽出物にあって望ましくない影響のある免疫原性及び/又は病原性蛋白(プリオン)及び蛋白分解生成物を含まず、殺虫剤の残渣が検出されない材料を出発材料として用いることを特徴とする。
さらにその他の態様では、本発明は、胎座、コラーゲン、又はその他の器官の抽出物又はそれらの組み合わせへの代替品または補足品としての、また化粧品配合物の製造への、また免疫系改良のため、細胞代謝の活性化のため、胃腸病、特に潰瘍の処置のため、外傷又は内傷の治癒のための局所的、皮下、動脈内又は筋肉内への適用のため、動脈硬化又は放射線障害の処置のための医薬製剤の製造への、前記の水性器官抽出物、特に植物胎座抽出物の個別の又はそれらの混合物又は組み合わせとしての使用に関する。前記の本発明による水性植物器官抽出物と抽出物の組み合わせは性欲促進効果を持つ組成物の製造への使用に適している。特に、穀類の植物細胞株と好ましくはgingko biloba、シカモア、サッカロミケス、トルラ及び藍色植物から生産された抽出物との組み合わせ、及び性欲促進効果を持つ組成物での活性成分として使用できる動物細胞株系の抽出物との組み合わせが適している。植物胎座抽出物はまた、個別に又は混合物の成分として又はこれらの組み合わせで非希釈または希釈した形で含むカプセルの形で、食品サプリメントのように直接経口適用するために用いられる。
【0009】
さらに、本発明は、本発明による粗抽出物、粗抽出物の混合物及びそれらの前駆物質を含む植物抽出物及び抽出物の混合物の、着色した織物と着色塗料、特に水系ラッカーによるラッカー製作品の安定化と耐久性改良への使用、及び培養媒体、栄養液、食餌液の製造への使用に関する。
本発明、特に本発明の方法の好ましい種類Bのステップ(a)から(g)について添付の図面を参照しながら次に説明する。
ad step(a)
適した供給源から、自身の細胞培養物から、又は市販の細胞株から、例えばコムギ、コメ、トウモロコシ、オオムギ、ライムギ、オートムギ、ソルガム(キビ)、ライコムギ、スペルトコムギよりなる群より選ばれた穀類からの細胞株からの深冷凍植物細胞株培養物の霜取りをする。
ad step(b)
選択した植物細胞株の培養物を所定の処方によってインキュベートする。
ad step(c)
大量培養の出発材料としての植物細胞を生産する。
ad step(d)
懸濁した植物細胞を最初懸濁培養びんで(図1及び2)、次いで図3に従って50〜2000Lのコイル培養器IGVで培養する。
ad step(e)
収穫した懸濁植物細胞材料を0℃好ましくは−10〜−20℃の温度で有機溶媒中で好ましくは6〜14日間処理ことによって抽出する。
又は、好ましくは3000rpmで遠心分離で水性粗抽出物を生産することによって抽出する。ただし、遠心分離の残渣は油溶性抽出物のために重要なときがある。
【0010】
ad step(f)及び(g)
さらに処理して、純粋な蛋白含有又は蛋白非含有植物器官抽出物、特に植物胎座抽出物を得て、貯蔵する前に無菌ろ過する。
選択した植物細胞株が懸濁培養で成長している場合、最初に「ロータリー・シェーカー法」を行い、懸濁培養びんで、すなわち添付した図1、2に従って、培養を行う。
次に、例えばMoorらの方法に従って50Lから1500Lまでの発酵器で非常に大きな規模で懸濁培養を行う。
図3に従う植物細胞のバイオマス生産には50Lから2000Lまでのコイル培養器IGVも適当である。
以下に添付した図を参照して本発明を詳細に説明する。
【0011】
図1に吸引びんから製作した懸濁培養びんを示す。培養媒体を間で添加でき、また間でサンプリングができるように、培養媒体更新用の管とサンプリング管はクランプで塞いである。「材料を加える」場合、培養媒体更新用の管からクランプを取り除き、培養媒体をゴム製シールキャップを通して注入する。サンプリングの場合、サンプリング管からクランプを外す。その後、汎用容器を無菌容器に取り替える。容器には4分の1を越えて入れてはいけない。撹拌子には「カラー」をつけてマグネットとびんの底との接触を最低限にするように注意する。
図2に懸濁状態で細胞を培養するのに用いる容器を示す。プラスチックで被覆したマグネットで外部のマグネットスターラーを使って撹拌する。
図3に懸濁培養物中で植物細胞を生産するためのコイル培養器IGVを示す。
図4aに皮膚の湿度を測定する装置(Corneometer CM 820 PC)を示す。
図4bに皮膚の湿度を測定するために皮膚に押しつける先端面として平面コンデンサーを持つCorneometer CM 820 PCのセンサーを示す。
図5に後で記す実施例5で添加物を含まない(コントロール)スキンクリーム又はライコムギの「胎座」抽出物を変量して(1%及び3%)添加したスキンクリームを1回適用した後の皮膚の湿度保持能力(単位h)を示した図を示す。
細胞株培養を経由する上記穀類「胎座」部分から出発する本発明による好ましい植物器官抽出物の製造は実質的に下記に手短に記す3ステップで行われる。
(1)最初に、遺伝子操作を受けたことがなく、殺虫剤の残渣が検出されない穀類の心皮(種皮)と蛋白に富むアリューロン層の細胞から1つ又は2つの「胎座」細胞培養物の生産。
何年も前に、細胞を適正な技術で穀類の種皮の心皮からと蛋白に富むアリューロン層から取り、適当な培養液中での培養に用いられた。これら両方の細胞培養物は適当な条件下で深冷凍され、Federal University Santa Maria (UFSM) S. Maria, RS, Brasilに寄託された。必要な培養液と次のステップ(2)に用いる溶液の組成に関する詳細は下に例示する。
(2)1項に従って製造された両方の穀類の「胎座」細胞培養物から、まず多数の各10Lの懸濁培養びん中で、次に発酵器(1000〜4000L)又はコイル培養器(1000〜2000L)中での、十分な量の植物細胞塊の生産。
(3)2項に従って得られた細胞塊から穀類の「胎座」抽出物の製造(以下に示す実施例参照)。
すべての場合、特に装置に関して及び培養媒体に関して無菌状態を厳密に保持することが重要であり、培養媒体としては実質的な量が必要なので、使用の前にそれを試験し、無菌化しなければならない。
算術的な考慮に基づく細胞の増殖については、上記の大量培養方法によって深冷凍細胞培養物から出発して十分な量の細胞塊を比較的短期間に供給できると期待できる。ゆっくりと成長する細胞は、1週間以内に10倍まで、6週間以内に106倍まで増える。1つの細胞から出発して12週以内に1012個の細胞(4kg)を生産でき、15週以内に1015個の細胞(4000kg)を生産できる。
【0012】
生産の間、また適当な培養液の使用の間、それから生産された抽出物が後でどのような薬学的、皮膚科学的に望ましくない影響の原因にもならないような成分のみを使うように注意しなければならない。中でも、本発明によって製造した植物胎座抽出物を医薬、化粧品及び食餌に使用するときに注意しなければならない。
適当な培養液の選択と細胞塊を生産するための細胞の増殖の条件の標準化のためには、増殖の間細胞株が変化せず、突然変異しないことが重要である。プラスミドとDNA分析の導入によって大量に培養された細胞が最初の細胞培養物に相当することを示すことができる。
本発明によって生産された水溶性植物器官抽出物、特に植物胎座抽出物はEP−A−0 552 516に記載された合成の植物及び/又は動物器官抽出物及び天然の植物及び/又は動物器官抽出物又はその両方と組み合わせることができる。これらの組み合わせの場合には合成器官抽出物よりも改善された、天然の器官抽出物の持つ望ましくない副作用のない、改善された生化学的活性のプロフィールが得られる。本発明によって合成抽出物と細胞株抽出物の組み合わせの、TSE問題、特にBSE問題に関連して重要な、ウィルス及びプリオンが全くない器官抽出物を、特に技術的に単純にエレガントに製造できる。
本発明による植物胎座抽出物は植物胎座を通常希釈した形で含み、胎座乾燥物質の含有量で0.001〜15重量%、好ましくは0.1〜10重量%、さらに好ましくは1〜6重量%である。
【0013】
この植物胎座抽出物は上記の用途分野に0.001〜20重量%、好ましくは0.1〜12重量%、さらに好ましくは0.5〜6重量%の量で使われる。
植物と動物の細胞株から製造された細胞抽出物とそれに相当する合成細胞抽出物の組み合わせでのこれらの重量比は広い範囲、例えば(1〜50):(98〜50)、好ましくは(1〜20):(99〜80)、さらに好ましくは(1〜10):(99〜90)の範囲で変えることができる。このことは新鮮な植物器官から製造した抽出物とそれに相当する植物細胞株から製造した抽出物の組み合わせにも適用される。また、3種の抽出物全部、すなわち、細胞株の器官抽出物とそれに相当する天然器官抽出物とそれに相当する合成器官抽出物の広い範囲、例えば(1〜20):(1〜10):(残りが合成抽出物)、好ましくは(1〜10):(1〜5):(残りが合成抽出物)、さらに好ましくは(1〜5):(1〜5):(残りが合成抽出物)での組み合わせも興味深い。ただし、上記の重量比は本発明をわかりやすくするために示したものであって、本発明はこれに限定されない。
すでに引用したEP−A−0 552 516で開示されたように、ある種の成分の量を増加させることにより、例えばグリシンの量を4.5%まで増加、ソルビトールの量とマンニトールの量を6%まで増加、パンテノールの量を35%まで増加させることにより天然抽出物にはない特定の化粧品効果を達成することができる。
本発明による穀類の器官抽出物、特に胎座抽出物は通常次の特性で特定される。
pH値、乾燥残渣(105℃で5h)、N含有量(キエルダール法による、アミノ酸測定:薄層クロマトグラフィー(TLC)とHPLCによりニンヒドリンを用いる定性分析;ペプチドの検出:ビウレット試薬による、蛋白非含有(スルフォサリチル酸による);核酸成分:TLC;炭化水素成分:TLC、UVスペクトル(1:50又は1:100)、HPLC、DAB 10による無菌試験。
穀類の胎座抽出物を特定するのに用いることができる特定の特性は中でも代謝活性を定量する測定であって、例えば呼吸と発酵の増加を定量するWarburg試験と魚とオタマジャクシの成長の増大:変態の促進である。
上記すべての抽出物の活性は次の実験(生化学的及び生物学的試験)で定量され互いに比較された。
【0014】
【表1】

【0015】
器官抽出物を医用に用いる場合、ラビット試験による発熱物質含有量に関する試験すなわちLAL試験が必要である。抽出物を特定するのに用いられる特定の特性として、例えば、細胞壁材料から生産される植物抽出物についてヒドロキシプロリン含有量の定量がある。数種の酵母細胞製剤はWARBURG試験で発酵活性が大きく増加するという特徴がある。そのような製剤の呼吸活性の増加についても同様のことが言える(DE−C2−40 42 157(Salvioni)参照)。
皮膚科学的な親和性と毒性は定法に従って次の表2に示す方法で試験した。
【0016】
【表2】

【0017】
本発明の定法、すなわちGMP(Good Manufacturing Practice良好な製造方法)に従って製造された穀類の器官抽出物は正しいやりかたで生産される限り、上記試験をなんら問題なく通った。さらなる詳細は次の実施例で示されるが、本発明は実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0018】
実施例1
ライムギの「胎座」抽出物の製作(ライムギ=cereale secale)
1.1 まず、ライムギの種皮の心皮からとライムギの種の蛋白に富むアリューロン層からとの「胎座」細胞培養物を予熱した培養媒体(下記参照)と混合して活性化し、次に37℃で5%のCO2を含む雰囲気中でインキュベートした。使用した培養媒体の組成は次のようである(単位g/L)
MgSO4・7H2 0.15〜0.3
Ca(NO3)2 0.2〜0.4
KNO3 0.05〜0.09
KCl 0.04〜0.09
Na2SO4 0.1〜0.4
MnSO4・7H2 0.005〜0.01
ZnSO4・7H2 0.001〜0.006
KI 0.001〜0.003
Fe2(SO4)3・6H2 0.001〜0.004
NaH2PO4・H2 0.04〜0.09
Ca−Pantothenate 0.00008〜0.00015
Thiamine.HCl 0.00008〜0.00016
Glycine 0.002〜0.009
Methionine 0.0001〜0.0003
Asparagine 0.0001〜0.0008
Cysteine.HCl 0.008〜0.0022
Saccharose 20g
Coconut milk 20%(15気圧で15分脱蛋白後無菌化)
最初の培養媒体をデカンテーションで除き、得られた細胞塊を適当なバッファーで洗浄し、細胞を完全媒体中に接種し、大量生産に適した濃度に希釈して、懸濁して大量生産の出発材料として用いられる生産細胞を製造した。

【0019】
溶液Vは分析し、所望の標準pH6.7に調節する(標準化)。例えばpH6.7;乾燥残渣1.6〜1.8%;N1.9〜2.0mg/mL;0.3%フェノキシエタノールによる保存;ライムギ「胎座」抽出物(表3)[食品サプリメントとして経口カプセルに抽出物を使う場合、nipagin(p−ヒドロキシ安息香酸メチルエステル)で保存を行う]。
両方の細胞培養から得られた細胞塊を合わせ、ジエチルエーテル(エーテル4部と水1部)中−20℃で14日保存する。合わせた細胞塊を防爆型ドラム遠心分離器で残渣Iと水相に分離する。後者を吸引して除き、2つの部分に分ける:溶液Iは0.3%のフェノキシエタノールで保存する。
溶液Iの半分は室温で0.1〜0.5NのNaOHと共に撹拌し:溶液II;他の半分は同様に0.1〜0.5NのHClで処理する:溶液III。
両方の溶液は合わせ(II+III)、pHを6.7に調節する。ろ過の後、溶液IVと残渣IIが得られる。残渣IIをブチレングリコール:エタノール:水(5:1:1)で室温で24時間抽出する。溶媒混合物を0.1torrの真空で除去し、残った液体を溶液Vに加え、pHを6.7に調節する。ろ過の後、残った蛋白をろ液から酸混合物のクエン酸チクルス(クエン酸:リンゴ酸:コハク酸(2:0.3:1))を使って沈殿させる。ろ液の溶液Vは溶液IVと合わせ、コハク酸でpH6.7に調節する(レビューad 1.1参照)。溶液IV/V混合物は分析し、蒸留水で希釈し保存剤フェノキシエタノールその他を添加して所望の標準値に調節する(後調整:公知の方法で乾燥残渣、窒素含有量及びpHについて所望の標準値に調節する)(表3、抽出物3参照)。
1.2 secale cerealeから生産された細胞塊の抽出のもう一つのやりかたは次のように行われる。

分析(標準化)の後、例えば、乾燥残渣を約1.6〜1.8%に、Nを1.9〜2.0mg/mLに調節し、0.3%までのフェノキシエタノールで保存処理をした後、0.2μm Millipore(登録商標)で無菌ろ過を行い、ライムギの「胎座」抽出物IIを得る(表3参照)。
【0020】
【表3】

【0021】
表3に示したライムギ胎座抽出物の毒性と薬学的データは次の通りである。
マウスに対する急性毒性(個体数140) DL 50 i.v.>25mL/kg
I.p.>50mg/kg
p.o.>25g/kg
ラットに対する急性毒性(個体数90) DL 50 i.v.>25mL/kg
I.p.>20mL/kg
albino ratsに対する慢性毒性の定量(個体数40) :毒性なし
イヌに対する毒性(10匹のビーグルイヌ、年齢26週) :毒性なし
ラットに対する生殖性、多産性、奇形遺伝性の定量(80匹) :障害なし
ラットに対する産中、産後毒性の定量(30匹、年齢21日) :障害なし
妊娠(動物の年齢約100日) :悪影響なし
ラビットに対する奇形遺伝活性の決定(20匹、体重約2.4kg):否定的知見なし
1.2 ライムギの胎座による抽出物の活性の証明の実験
1.2.1 傷治癒の試験、皮膚張力の測定
1.2.2 呼吸の増加(WARBURG)
1.2.3 PADBERG法の適用
1.2.4 ヒトの線維芽細胞とケラチノサイトへの影響(MTT試験)
ad 1.2.1 傷治癒の試験、皮膚張力の測定
本発明の抽出物の有効性を証明するためにDE−PS 37 11 054によるラットの治癒試験と次いで皮膚張力測定を行った(EP−A−0 552 516表IIも参照)。結果を次の表4に要約する。
【0022】
【表4】

【0023】
表4に要約された皮膚張力の測定結果は本発明の製剤がコントロール群に比較して優れた活性を持っていることを示している。
WARBURG試験の結果
ライムギ「胎座」抽出物IとIIの呼吸の増加についての因子は次のようである。
抽出物I:1.95
抽出物II:2.05
ad 1.2.2 呼吸増加試験
「ラットの肝臓のホモジェネートでの呼吸の増加についての試験溶液の活性の検査(Warburg−method)」を考慮して次の手順で呼吸増加についての因子を得た。
方法と手順
A.溶液
1.Soerensenのバッファー、pH7.4: Na2PO4・2H2O 11.87g/Lの溶液80.4mLとKH2PO49.08g/Lの溶液19.6mLよりなる。
両溶液を合わせた後pHを調べ、必要に応じて一方又は他方の溶液を加えて補正した。
2.ラットのホモジェネート:ラットを24日間絶食の後頭を取り、血液を抜き、肝臓を取り出し、直ちに氷上で冷却した。これを洗浄し、セルローズで乾燥した後、破砕した肝臓6gをテフロン(登録商標)心棒(teflon pistill)付きのPotter-Elvehjemによるホモジェナイザーに入れ、30mLの冷却したSoerensenのバッファーで満たし、氷冷下2〜30分均質化した。得られた均質化生成物は均質化の間に混入した空気を逃がすために3分氷冷下静置した。
3.6N KOH
4.本特許出願の試験溶液、例えば、表3と4の抽出物I
5.蒸留水
【0024】
B.実験の手順
円筒形の挿入物(ZE)とサイドアーム(SA)を持ち、容量約13mLの円錐形のWARBURG容器に次のように加えた。
添加計画、量はmLで示す。

溶液はピペットで上記の順序で導入した。KOHの表面を大きくするために、円筒形の挿入物の中に折り曲げたフィルターテープを導入した。添加終了直後に容器をサイドアームの底部の適当な管バルブストッパーで密封し、容器をマノメータにつなぎ、クランプ又は包装用ガムで固定した。コックを開いたマノメータを37℃で平衡にした装置に導入し、反応液を平衡に保つために、また最初は大変早い呼吸を押さえるために60分間振とうした。その後、絞りコックを使って右側のマノメータの横の足をマーク「15」に調節し、左側の横の足でのマーク「15」との差を記録した。マノメータのコックを閉じ、装置を傾けて横の足から主部に溶液を導入した(時間0)。20分後振とう装置を止め、右側のマノメータの横の足をマーク「15」に調節し(V=一定)、左側の横の足でのマーク「15」との差を記録した。
実験は測定時間100分の間継続した。
もしいくつかの管で酸素の消費が大きすぎてマノメータの長さが足りないときは、マノメータを読みとった後直ちにマノメータのコックを開いて圧力の補償を適時に行う。このとき右側の横の足をマーク「15」に再調整し、左側の横の足でのマーク「15」との差を記録し、直ちに再びマノメータのコックを閉じる。最後の読みとりをしてから、マノメータのコックを開き、容器の容量とマノメータの容量を記録する。
【0025】
評価
最初空気圧と温度変化をバランスさせるために容器3/4と7/8は対応するサーモバロメータ(TB:容器1/2又は5/6)と同等にする。その後管3/4と7/8のO2容器定数を次の式から計算する。
K=[Vg・(273/T)+Vf・α]/P0
g=気相の体積(容器とマノメータの「15」マークまでの体積−Vf
f=容器内の液体の全容積、T=試験温度 °K、α=ブンゼン吸収係数
(O237℃=0.0239)
0=0.1 MPa(760mmHg)=10,0000 Brodie溶液において1気圧、Brodie溶液のmmで測定(マノメータの充填)
呼吸で作られる2酸化炭素はKOHに完全に吸収されるから(h=マノメータの差)消費した酸素は直接次の式で計算できる。
X(μL O2)=h・k
管7/8で消費されたO2 μLを管3/4で消費されたO2 μLで割ると呼吸の増加の程度を示す因子が得られる。
ad 1.2.3 Padberg法の適用
試験対象の抽出物の化粧品としての活性をPadberg法で定量した。この目的で2%の抽出物を添加し、無添加のものをコントロールに用いてw/oクリームを試験した。Padberg試験は次のようにして行った。
皮膚の試験場所をマークする。
皮膚を傷つけるために非イオン性界面活性剤の1%溶液で皮膚の試験場所を予備処理する(「主観的な粗い皮膚」)。
【0026】
試験場所を37℃の温湯で洗浄する。
試験場所を乾燥する。
20℃、相対湿度60%で45分間被検者を環境に適応させる。
0.5%メチレンブルー20%と1%非イオン性界面活性剤80%を含むスポット溶液20mLを適用する。
試験場所へのスポット溶液の影響を30秒間続ける。
染料を1分乾燥する。
過剰の染料を使用した非イオン性界面活性剤の0.2%溶液で除去する。
ラウリン酸ナトリウム溶液(ラウリン酸ナトリウム2.3%、純水48.7%、イソプロピルアルコール49%)各2mLで各60秒2回溶出する。
分光器を使って溶出物の660nmでの吸収を定量する。
試験処理は1日2回サンプルを適用し、20日間行った。試験の前3日間と試験中は確実に被検者が他の化粧品を全く使っていないようにした。処理が始まってから日21に最終評価の前に4時間の溶出を含めて上記のステップを行った。
次の表5に各被検者へのw/oクリームの適用前後のメチレンブルーの吸収の比を%で示すが、抽出物を含むクリームをコントロールに対して比較してある。
メチレンブルーの吸収量は皮膚の粗さに比例し、表に示す含有量%は、クリームで処理された皮膚はメチレンブルーを少量しか吸収しないという事実を考慮して次の式で求めた。
皮膚粗さ%=(適用後の吸収)/(非処理皮膚の吸収)×100
21人の被検者についての結果からライムギの「胎座」抽出物(I欄)はコントロールのクリーム(II欄)に比べて粗さ値が優れていることがわかる。
【0027】
【表5】

【0028】
ライムギ「胎座」抽出物の白化効果の定量(ハンドクリーム乳剤に抽出物を含有、ハンドクリームの組成は下記)。
結果 ライムギ「胎座」抽出物を含む乳剤に水を加え、80℃に加熱して乳化を破壊し、水相を分離し、真空にし、遠心分離し、残渣を凍結乾燥した。
得られた凍結乾燥物の所定量を脱イオン水に溶解し、さらに下記のように処理した。
マウスのB16メラノーマ細胞を培養媒体に導入し、37℃、5% CO2+95% 空気で試験サンプル又はコントロールと共に6日間培養した。このとき培養媒体を第3日に入れ替えた。
細胞を6mLのEDTA溶液を使って分離し、細胞を数えて、白化効果の評価を行った。
【0029】
【表6】

【0030】
ハンドクリームの組成
アセチル化ラノニンアルコール5%、ラノリン誘導体(可溶)1%、多ステロール抽出物5%、ワセリン5%、ポリビニルアルコールゲル0.75%、NaOH 10%、エトキシ化脂肪アミン3.75%、ライムギ「胎座」抽出物0.3%、香油0.2%、蒸留水を加えて100%。
評価の基準
a)白化効果(メラミン防止)の評価の尺度
ブラインドテストと同様 −
僅かな白化効果 +
顕著な白化効果 ++
強い白化効果 +++
測定試験の順序
1.試験培養媒体の調製と無菌化
2.細胞浮上溶液の調製
3.培養媒体のpH値の調整
4.ペトリ皿への培養媒体の伸展
5.マウスのB16メラノーマ細胞の接種
6.恒温槽での培養(37℃、5% CO2、95% 空気)
7.第3日に培養媒体の入れ替え
8.恒温槽での培養(37℃、5% CO2、95% 空気)
【0031】
【表7】

【0032】
ad 1.2.4 ヒトの繊維芽細胞への細胞活性化効果(MTT−試験)
正常なヒトの皮膚繊維芽細胞をFBS(ウシの胎児血清)1%を加えたDulbecco変性イーグル媒体(DMEM)中CO2 5%、空気 95%の雰囲気下37℃で培養した、第5段階と第7段階後のものを試験に用いた。
コントロールとしてライムギ「胎座」抽出物(CR−1)なしのDMEM+1%FBS中で培養を行った。
MTT検定
MTT検定ではライムギ「胎座」抽出物の細胞代謝活性化を評価するためにヒトの繊維芽細胞を用いた。
選んだ細胞を変量したライムギ「胎座」抽出物(CR−1)を含む又はライムギ「胎座」抽出物(CR−1)を含まない(コントロール)上記媒体中で48時間培養した。媒体を除去した後、細胞中に生成した青いホルマザンを200μLの2−プロパノール中で可溶化した。ホルマザンの含有量の定量はミクロプレートリーダを用いて550nmの消光の測定で行った。結果を次の図式に示す。

【0033】
実施例2
実施例1の残渣I(レビューad 1.1)のさらなる処理
機械的にカットし、破砕した実施例1.1の残渣Iの植物器官材料5kgをpH6.5のクエン酸塩コハク酸塩バッファーに懸濁させ、強力な振動を与える1kwの超音波発生器で処理した。遠心分離で得られた残渣は所望の細胞壁材料を含んでいて、これは次の酵素的、化学的加水分解処理の原料として用いた。
10%セルラーゼで40℃で5日間処理した後遠心分離した。残渣Iを4℃で貯蔵して以後の処理に用いた。上澄み液Iは硫酸で濃度2Nに調節し、オートクレーブで5日間15気圧で(4〜9℃で)部分加水分解した。分離後、残渣IIと溶液IIが得られ、これらのpHを5.9に調節した。残渣Iと残渣IIはオートクレーブ中で3N HClで部分加水分解し、次に(Iからの)加水分解物IIと合わせて透析した。透析物を真空中20℃で減量して乾燥残渣3%とした後、pHを6.7に調節し、無菌ろ過(0.2μm)を行った。
得られたライムギ「胎座」抽出物IIIは次の特性を持っていた。
pH6.7;乾燥残渣2.9%;N 3.1mg/mL;アミノ酸:TLCとニンヒドリンで検出;代謝活性 WARBURG因子:>1.8;無菌性 発熱体なし(フェノキシエタノール0.3%);蛋白なし。
実施例3
油溶性ライムギ「胎座」抽出物の調製
抽出A
(実施例1で得られた)残渣Iの植物器官材料を実施例2で破砕し、超音波照射して処理したものを10倍量のオリーブ油/ミリスチン酸イソプロピル/ヒマワリ油(4.5:1:0.02)で窒素雰囲気下室温で30日抽出を行い、望ましくない成分を適当なろ材で除去した:抽出物I。
抽出B
上記Aに記したように心皮胎座とアリューロン層から得られた乾燥細胞塊をオリーブ油/ミリスチン酸イソプロピル/ヒマワリ油で窒素雰囲気下室温で30日抽出を行い、抽出物IIを形成した。
【0034】
窒素下で保存した抽出物Iと抽出物IIを合わせ、分析し、最後にライムギ「胎座」抽出物IIIを得た。
油溶性ライムギ「胎座」抽出物はw/o型(油中水型)の脂肪性クリームとオイル(乳剤)への混合に優れていて、乳剤の出発相の胎座成分がその活性を十分に発揮する。乳剤は褐色の油で、典型的なかすかな匂いを持つが、2%までの添加では化粧品の香料には影響しない。
油溶性抽出物を標準化する。評価とプロセスの制御に重要な特性はけん化数とビタミンA、D2、E、K3、プロビタミンのような油溶性ビタミンの含有量である。抽出物はホルモンを含まない(品質標準参照)。抽出物は保存寿命1年を保証されるように安定化される(酸化防止剤を添加)。
性質(一般レビュー)
けん化数 >120
ヨウ素数
ビタミン、例えば A、D2、E、K3
(上記に加えて)プロビタミン カロチノイド
フィトステリン
不飽和脂肪酸 リノール酸
リノレン酸
アラキドン酸
ホルモン C17−ケトステロイド
検出せず
無菌性 発熱体なし(無菌)
毒性
DL50 p.o. 50mL/kgマウス

1回経口適用の急性毒性試験で抽出物は非毒性。DL50の値は>50mL/kgマウス。
【0035】
油溶性抽出物のヨウ素数(Wijsによる)
定義:ヨウ素数は100gの物質中に結合したハロゲン化物のグラム数をヨウ素として計算したものを示す。
試薬:4塩化炭素、Wijs溶液(1塩化ヨード溶液)、ヨウ化カリウム溶液25%、澱粉溶液、0.1Nチオ硫酸ナトリウム溶液
分析:250mLヨウ素数フラスコ中で抽出物0.25〜0.3g(正確に秤量)をテトラクロロエタン10mLに溶解し、Wijs溶液25mLを加え、密封状態で暗中で30分貯蔵する。その後、25% KI溶液10mLとH2O 100mLを添加し、直ちに0.1N Na223と淡褐色になるまで激しく振とうする。澱粉約5mLを加えた後完全に脱色するまで滴定を続ける。ブラインド試験を同様に行う。
計算:(ブラインド試験での0.1N Na223のmL数−サンプルの0.1N Na223のmL数×1.27)/(秤量した量)=上記の実施例の結果
【0036】
w/o型ナイトクリーム
ステアリン酸イソプロピル 16.0%
Eutanol G 15.6%
パラフィンオイル 5.0%
Lunacera M 7.0%
ステアリン酸アルミニウムDF 30 2.0%
Lameform GE 2 5.0%
Lunacera alba 7.0%
ボラックス 0.5%
グリセリン 3.0%
Dowicil 200 0.2%
油溶性胎座抽出物 3.0%
香油 0.5%
Oxynex 2004 0.1%
水を加えて 100%
製剤の処方
ステアリン酸アルミニウムとパラフィン油をステアリン酸塩が完全に溶解するまで加熱する。その後Lunacera M、Lameform GE 2、ステアリン酸イソプロピル、Eutanol G、Lunacera alba、Oxynex 2004を加える。脂肪相を約80℃に加熱する。
グリセリン、ボラックス、Dowicilよりなる水相も80℃に加熱し、脂肪相を最初激しく撹拌しながら徐々に加える。
約30℃で胎座抽出物と香油を加える。得られた乳化物をステップ2でホモジェナイズする。
実施例4
コメ胎座抽出物の調製(コメ:oryza satlva)
出発材料として用いた細胞培養物は(種皮の切り取った心皮から調製した)コメ胎座細胞培養物である。これはBiochemistry Department of the Chemical Institute of the Brasilian Federal University S. Maria (UFSM)のDr. A. Brownによって1990年に調製され、深冷凍保存されたものである。霜取りした細胞培養物を通常の方法で変性培養液に導入し、異なった系で十分な量の細胞塊を培養した。細胞塊をある期間ブチレングリコール/エタノール/水の混合物で処理し、その後約0.1torrの真空で処理した。液状の蒸留残渣のpHをコハク酸で6.8に調節し、残った蛋白をろ過した後分析し、必要に応じて透析した。乾燥残渣を蒸留水で希釈して、又は0.1torrの真空で減量して調節した後、N−濃度と保存材nipagin(4−ヒドロキシ安息香酸メチルエステル)を0.3%に調節し、pHを6.8に調節した。次に、Millipore(登録商標)0.2μmフィルターで無菌ろ過を行った。得られた分析データは次のようである。
【0037】
pH価 6.82
乾燥物質 1.8%
N含有量 >1.8mg/mL
WARGURG因子 >1.8
アミノ酸 検出(ニンヒドリン)
ペプチド 検出(ビウレット)
蛋白 なし
重金属 <20ppm
As <2ppm
無菌性 発熱体なし、プリオンなし
毒性 否定的知見なし(実施例1と同様)
白化効果 +++
【0038】
試験
1.1〜3%のコメ「胎座」抽出物を含むw/o乳化剤はヒトの皮膚の湿度保持能力を整え、改善する。下記表9参照:「皮膚湿度の測定」
2.実施例1と同様の処方によるコメ「胎座」抽出物配合物の適用後の「白化効果」の検出
3.オタマジャクシ(xenopus laevis DAUDIN)の成長と変態に対するコメ胎座抽出物の影響
オタマジャクシの成長を日1(カエルのペアが卵を産み落としたとき)から日66まで観察し、日3から始めて、自由に泳ぎ回るオタマジャクシに発達してから測定を行った。水温は24℃。日7にオタマジャクシを抽出物による試験を行う群とコントロールの2つの群に分けた。各実験群のオタマジャクシは約150匹であった。
水の量を各群当たり日21まで2.5L、日35まで5L、日36〜67まで7.5Lに増やした。市販の水槽用多孔質石を使って通気した。7日ごとに水槽の水を入れ替えた。餌は日7からはイラクサの粉末であり、それ以前はLiquifryを使った。
抽出物の添加は0.2%の量を毎週3回行った。
長さの測定値は記録しなかった。
変態は、抽出物を加えたほうは日50に始まったが、コントロールでは日56になって漸く始まった(表8参照)。
カエルxenopus laevisは肉食で、新鮮なレバーを餌として与えたが、オタマジャクシは草食である(イラクサ)。
【0039】
【表8】

【0040】
第1の数:カエルの数
第2の数:変態の数
(しっぽが完全にまたはほとんど完全になくなったとき変態が終了したとした。)
1、2:コントロール
3、4:コメ「胎座」抽出物
実施例5
ライコムギ「胎座」抽出物の生産
ライコムギ「胎座」抽出物を生産するために、Biochemistry Department of the Chemical Central Institute of UFSM S. Maria R.S., Brasiliaで1992年に調製され、そこで深冷凍状態で保存されたライコムギの種皮の心皮からの細胞培養物を用いた。
細胞培養物を霜取りし、懸濁での培養で十分な量の細胞塊が生産された。その後の処理は次のスキーム3のレビューに従って行った。

クリームを含有するライコムギ「胎座」抽出物又はコメ「胎座」抽出物の1回適用の後及び14日後ごとに皮膚湿度の測定を行った(Corneometer、図4a及び4b)。
5%のライコムギ「胎座」抽出物又はコメ「胎座」抽出物を次の処方に従って導入した。
フェーズI 70℃で溶融:Cetlol V 10%;Lanette N 10%;Migiyol 5%;Adeps lanae 812.2%;フェノキシエタノール0.3%
フェーズII 約70℃に加熱、含有量:フェノキシエタノール0.3%;Karion fl., Karlon F 5%;水62.3%
フェースIIを撹拌下にフェーズIに導入した。混合物が32℃まで冷却するまで撹拌を継続し、その後撹拌下にライコムギ「胎座」抽出物及びコメ「胎座」抽出物(5%)と香油を導入し、均質化した。
同様にして、コラーゲン(1%)5%を含むクリームと添加物を何も含まないコントロールのクリームを調製した。
湿度保持能力について次の測定結果が得られた。
【0041】
【表9】

【0042】
乾燥した皮膚の人の皮膚温度の対するライコムギ「胎座」抽出物を含む油/水乳化物の影響の試験
乳化物の皮膚温度に対する影響を40歳から60歳までの年齢で乾燥した皮膚の被検者について試験した。結果は次の表10に要約する。
【0043】
【表10】

【0044】
ライコムギ「胎座」抽出物を使用しないときは皮膚温度に対する検出できるような安定化効果(小さなΔTの値)は得られなかった。従って、コントロールの乳化物では大きなΔTの値が得られた。
次の処方に従って、ライコムギ「胎座」抽出物を導入してラノリンを含むハンドクリームの配合を作成した。クリーム配合の最終的な組成は次のようである。
可溶性ラノリン誘導体 1.0重量%
アセチル化ラノリンアルコール 5.0重量%
液状多ステロール抽出物 5.0重量%
ワセリン 5.0重量%
ポリビニルアルコール 0.75重量%
10% NaOH 2.25重量%
ライコムギ「胎座」抽出物 6.0重量%
エトキシ化脂肪性アミン 3.75重量%
香油 0.3重量%
蒸留水を加えて 100.00重量%
【0045】
このハンドクリームを調製するために脂肪相成分とワセリンを約75℃に加熱した。同時にPVAゲルを約80℃の熱湯に分散させて徐々に溶解させた。得られた分散物にエトキシ化脂肪性アミン(約25EO単位を含む)と必要に応じて乳化剤を加え、加熱した脂肪相をその中に乳化させた。5分間撹拌の後混合物の温度を60℃に冷却し、次いで10% NaOHを加え、40℃に冷却した。その後ゆっくり撹拌しながらライコムギ「胎座」抽出物6%と香油を加えた。反応混合物はよく均質化された。ハンドクリームが安定して配合され、ライコムギ「胎座」抽出物を含まない反応混合物に比べて皮膚の状態調節が改善された。
クリームベースは次のようにして配合した。
ワセリン 40重量%
セタノール 18重量%
ソルビタンセスキオレエート 5重量%
ポリオキシエチレンラウリルエーテル 0.5重量%
安息香酸p−ヒドロキシアルキル 0.2重量%
ライコムギ「胎座」抽出物によるクリームベース 5.0重量%
水を加えて 100.00重量%
実施例6
新鮮なライムギ胎座からのライムギ胎座抽出物の調製、必要に応じて実施例1に記載した細胞培養物に基づくライムギ胎座抽出物との組み合わせ
出発材料:よく洗浄した胎座材料を含むライムギ心皮をさらに洗浄し、破砕し(プロセスA)、ブチレングリコール/エタノール/水で処理した(実施例1、見出し1.2参照)。その後の抽出では実施例1に記載した方法を継続した。
新鮮なライムギ心皮100kgからNaOH抽出とHCl抽出の後で得られた塊IIIから溶液VIII200Lが得られ、標準化後のその乾燥残渣を1.7%の値に調節した。この抽出物は実施例1に記載した細胞培養物に基づくライムギ胎座抽出物の1つと容易に組み合わせることができるが、ライムギ胎座抽出物なしでも使用できる。
1:1ライムギ胎座抽出物の特性は例えば次のようである:pH6.70;乾燥残渣1.71%;N:1.89 mg/mL;Warburg因子1.95;その他のデータは表1の通り。
【0046】
実施例7
実施例1による、及び本出願の記載による胎座含有ライムギ心皮から生産された細胞培養物からのライムギ胎座抽出物の調製
詳細は実施例1のレビュー ad 1.1に示す通り。
プラスミドとDNA分析によってライムギ胎座の最初の培養物の細胞と培養後の細胞とは同じであることが証明された。
実施例8
細胞培養によるコムギ胎座抽出物(コムギ:triticum vulgare)の調製
出発培養物:1991年に実施例4と同様にUFSMで調製されたコムギ胎座培養物で、これから上記のように十分な量の細胞塊が培養された。
細胞塊は次にプロピレングリコール/水/エタノール混合物で処理し、溶媒を0.1 torrの真空で部分的に除去した。残った水性蒸留残渣をクエン酸cyclusの酸で沈殿させて脱蛋白し、pHを6.7に調節し、透析した。保存剤を所望の量加えた後、乾燥残渣を2.0〜2.3%に調節した。最終のpHは6.7であった。無菌ろ過を公知の方法で行った。
コムギ胎座抽出物の活性に関するデータは次の通りである。
肝臓ホモジェネートの呼吸の増加
WARBURG因子 2.3
xenopus leavisでの変態の加速 5日
Padberg法:
粗さ値(試験クリーム):(コントロールクリーム) 59:90
パッチ試験:試験クリームとコントロールクリーム 0
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】図1は吸引びんから製作した懸濁培養びん。
【図2】図2は懸濁状態で細胞を培養するのに用いる容器。
【図3】図3は懸濁培養物中で植物細胞を生産するためのコイル培養器。
【図4a】図4aは皮膚の湿度を測定する装置。
【図4b】図4は皮膚の湿度を測定するためのセンサー。
【図5】図5は実施例5における皮膚の保湿能力を示す図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物胎座抽出物、特にコムギ、コメ、トウモロコシ、オオムギ、ライムギ、オートムギ、ソルガム(キビ)、ライコムギ、スペルトコムギよりなる群より選ばれた穀類の胎座抽出物の製造方法で、次のステップよりなることを特徴とする植物胎座抽出物の製造方法:
(IA)最初のステップとして、心皮(果皮)胎座材料全体を洗浄し、機械的に粉砕し、植物細胞壁材料を開裂させるために超音波発生器で処理し、その後得られた細胞塊を次のステップ(II)に移し、又は、
(IB)市販の植物細胞株材料を好ましくは25〜30℃の温度の湯浴中で活性化し、
次に選ばれた細胞株に所定の予熱した培養媒体を混合添加し、その後好ましくは約37℃の温度で好ましくは約5%のCO2を含む雰囲気中で公知の方法でインキュベートし、
培養媒体をデカンテーションで除き、得られた細胞塊を適当なバッファーで洗浄し、細胞を大量生産に適した濃度に希釈しながら完全媒体に導入することにより、上に得られた細胞を懸濁大量培養用の出発原料として用い、
この細胞懸濁物を所望の細胞塊を生産するための培養装置に接種することにより、上に得られた懸濁培養物中の細胞を無菌のCO2/空気混合物中で大規模に培養し、
このとき、プラスミドとDNA分析を導入して大規模に培養した細胞が最初の細胞培養物に対応することがわかるようにし、
(II)次に第2ステップとして、ステップ(I)で得られた懸濁細胞材料を有機溶媒及び/又は水中で処理して抽出物を製造し、水相を好ましくは遠心分離で分離し、必要に応じて有機溶媒で多数回処理して、すべての残存脂質分(残渣I)を取り除いて、必要に応じて懸濁物の形で、水性粗抽出物を作り、
水性粗抽出物を出発原料に応じて精製または処理し、そして
得られた粗抽出物を所望のpH値、好ましくは5.0〜7.2に調節した後、好ましくは0.2μm Millipore(登録商標)フィルター又はPall-candleを用いて無菌ろ過する。
【請求項2】
次のステップよりなることを特徴とする請求項1記載の方法:
(a)選択した植物細胞株を好ましくは25〜30℃の温度の湯浴中で活性化、
(b)選択した細胞株に所定の予熱した培養媒体を混合添加し、その後好ましくは約37℃の温度で好ましくは約5%のCO2を含む雰囲気中で公知の方法でインキュベート、
(c)培養媒体をデカンテーションで除き、得られた細胞塊を適当なバッファーで洗浄し、大量生産に適した濃度に希釈しながら完全媒体に導入することにより、上に得られた細胞を分離し、懸濁大量培養用の出発原料として使用、
(d)この細胞懸濁物を無菌のCO2/空気混合物中で培養装置内に接種することにより上に得られた懸濁培養物中の細胞を公知の方法で大規模に培養、
(e)培養で得られた懸濁細胞材料を有機溶媒及び/又は水中で処理して抽出物を製造し、水相を好ましくは遠心分離で分離し、必要に応じて有機溶媒で多数回処理して、残存脂質分(残渣I)を水相から除去し、必要に応じて懸濁物の形で、水性粗抽出物を形成、
(f)出発原料に応じて粗抽出物を精製または処理、及び
(g)得られた抽出物を所望のpH値、好ましくは5.0〜7.2に調節した後、好ましくは0.2μm Millipore(登録商標)フィルター又はPALL-candleを用いて抽出物を無菌ろ過。
【請求項3】
ステップ(d)で得られた植物細胞塊をエチルエーテル又はクロロフォルム中に懸濁し、冷却室で約−10℃〜約−20℃の温度で約8日から約15日貯蔵し、その後遠心分離して水相を分離することを特徴とする請求項2記載の方法。
【請求項4】
pH7.2〜7.5で窒素を導入してステップ(f)の透析物(外部溶液)からエーテル又はクロロフォルムを徹底的に除去することを特徴とする請求項2又は3に記載の方法。
【請求項5】
ステップ(a)でコムギ、コメ、トウモロコシ、オオムギ、ライムギ、オートムギ、ソルガム(キビ)、ライコムギ、スペルトコムギの穀類の特別に作られた及び/又は市販の細胞株の細胞培養物を別個に又は混合物の形で使うことを特徴とする請求項1〜4の少なくとも1つに記載の方法。
【請求項6】
植物細胞株として、コムギ、コメ、トウモロコシ、オオムギ、ライムギ、オートムギ、ソルガム(キビ)、ライコムギ、スペルトコムギよりなる群より選ばれた穀類の「胎座」種(果皮(心皮)から、種皮(胚珠)から及び/又は蛋白に富むアリューロン層からの胎座)の少なくとも1の細胞株を用いることを特徴とする請求項5記載の方法。
【請求項7】
細胞壁材料が重要であるとき、水中又は有機溶剤中に懸濁した細胞材料を超音波発生器の中で開裂し、得られた材料を遠心分離して水で洗浄した後、化学的及び/又は酵素的な部分加水分解で処理し、透析することを特徴とする請求項1〜6の少なくとも1つに記載の方法。
【請求項8】
穀類の細胞株から植物胎座抽出物を製造するに際し、遺伝子操作を受けたことがなく、望ましくない物質、特に免疫原性及び/又は病原性蛋白(プリオン)及び蛋白分解生成物を含まず、殺虫剤の残渣が検出されない材料を出発材料として用いることを特徴とする請求項1〜7の少なくとも1つに記載の方法。
【請求項9】
1種以上の異なる植物細胞株から製造された1種以上の無菌のろ過された植物胎座抽出物を製造し、必要に応じて1種以上の異なる動物性細胞株から生産された無菌のろ過された動物器官抽出物と組み合わせ、そして必要に応じて1種以上の合成的に製造された動物器官抽出物及び/又は新鮮な動物器官から生産された一種以上の異なる動物器官抽出物及び/又は必要に応じて1種以上の異なる植物の新鮮な器官又は部分から生産された1種以上の植物抽出物と組み合わせることを特徴とする請求項1〜8の少なくとも1つに記載の方法。
【請求項10】
植物胎座抽出物と動物器官抽出物との重量比が(1〜99):(99〜1)、好ましくは(1〜50):(50〜1)、さらに好ましくは(1〜20):(99〜80)であることを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記請求項1〜10の少なくとも1つに記載された植物抽出物及び抽出物の混合物の、植物及び/又は動物胎座抽出物の代替物または補足物としての使用。
【請求項12】
請求項1〜10の少なくとも1つに記載された植物胎座抽出物及び抽出物の混合物の、化粧品配合物の製造への使用。
【請求項13】
請求項1〜10の少なくとも1つに記載された植物抽出物及び抽出物の混合物の、ラジカル除去効果を有する製剤への使用、特に化粧品用及び/又は技術的な目的での使用。
【請求項14】
請求項1〜10の少なくとも1つに記載された植物抽出物及び抽出物の混合物の、メラミンの生成を阻止する性質(白化効果)を持つ化粧品配合物の製造への使用。
【請求項15】
請求項1〜10の少なくとも1つに記載された植物抽出物及び抽出物の混合物の、外傷又は内傷の治癒のため、動脈硬化又は放射線障害の処置のための局所的、皮下、動脈内又は筋肉内に適用する医薬製剤の製造への使用。
【請求項16】
請求項1〜10の少なくとも1つに記載された植物抽出物及び抽出物の混合物の、免疫系の改善、細胞代謝の活性化又は胃腸病特に潰瘍の処置のための医薬製剤の製造への使用。
【請求項17】
請求項1〜10の少なくとも1つに記載された植物抽出物及び抽出物の混合物の、性欲促進効果を持つ組成物の製造への使用。
【請求項18】
請求項1〜10の少なくとも1つに記載された植物抽出物及び抽出物の混合物及びそれらに含まれる粗抽出物と前駆物質の、着色した織物と着色塗料、特にラッカー製作品の安定化と耐久性改良への使用。
【請求項19】
請求項1〜10の少なくとも1つに記載された植物抽出物及び抽出物の混合物の、培養液、栄養液、食餌液の製造への使用。
【請求項20】
請求項1〜8の少なくとも1つに記載された方法によって植物の新鮮な胎座材料又は対応する器官又は部分の細胞株から得られる植物胎座抽出物。
【請求項21】
請求項9〜10の少なくとも1つに記載された方法によって得られる植物胎座抽出物及び抽出物の混合物。
【請求項22】
医用、化粧品用、食餌用製剤のための、及び着色した織物と着色塗料特に水系ラッカーによるラッカー製作品の安定化と耐久性改良のための、請求項1〜10の少なくとも1つに記載された方法によって得られる植物胎座抽出物及び抽出物の混合物。
【請求項23】
請求項1〜10の少なくとも1つに記載された方法によって、特に上記製品を非希釈または希釈した形で含むカプセルの形で得られる、経口適用のための、特に食品サプリメントとして用いる、植物胎座抽出物及び抽出物の混合物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【公表番号】特表2007−515376(P2007−515376A)
【公表日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−508981(P2005−508981)
【出願日】平成15年8月20日(2003.8.20)
【国際出願番号】PCT/EP2003/009239
【国際公開番号】WO2005/027946
【国際公開日】平成17年3月31日(2005.3.31)
【出願人】(592079815)山川貿易株式会社 (1)
【Fターム(参考)】