説明

検査路設定及び検査領域決定方法

【課題】取り扱いが容易であり、全ての検査領域を確実にカバーできる検査路設定方法、及び検査領域決定方法を提供すること。
【解決手段】本発明は、三次元対象物(3)を検査するために、少なくとも1つの光学撮像装置(4)、特にカメラの検査路(2)を設定する方法に関する。撮像装置(4)と対象物(3)は、変位装置(5、6)によって、互いに相対運動が可能である。本発明に係る方法によれば、算術演算ユニット(10)によって、対象物(3)及び/又は対象物上の検査される領域(12)の設計データ(8)、特にCADデータ及び/又はセンサによって決定されたデータ、及び撮像装置(4)の光学撮像特性に基づいて、光学撮像装置(4)の検査路(2)が自動的に決定される。この場合、ある規定の幾何学的関係が、撮像装置(4)と検査される表面との間に設定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、三次元物体を検査するために、少なくとも1つの光学撮像装置、特にカメラの検査路を設定する方法に関し、前記方法においては、撮像装置と対象物は、変位装置によって、お互いに相対運動する。本発明は、また、三次元対象物に関する電子的に記憶された設計データ、特にCADデータに基づいて三次元対象物の表面検査領域を決定する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
カメラを用いた表面検査方法としては、カメラを検査対象物に対して相対運動させ、対象物表面を光学走査する方法がある。大きな対象物に対しては、光学撮像装置又はカメラが対象物に沿って動く検査路を指定することが必要となる。このため、検査対象物及び/又は光学撮像装置が変位装置、例えば、コンベヤベルト、ロボット、マニピュレータ、ハンドリング装置等に取り付けられ、対象物と撮像装置が、可能な限り全ての自由度において、お互いに相対運動できるようにする。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
この変位装置の一連の動き、すなわち光学撮像装置の検査路を、変位装置の制御に対して設定しなければならない。この場合、三次元対象物の表面領域を全て走査するには多くの調整が必要となるため、複雑な形状である三次元対象物、例えば車体では、複雑な処理となる。一般には、変位装置の一連の動きはマニュアルで設定されなければならないか、又は、少なくともマニュアルで検査され、必要であれば補正されなければならない。この場合、対象物の検査表面領域も選択される必要がある。また、これらの設定も大部分はマニュアルで行われる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の目的は、取り扱いが容易であり、全ての検査領域を確実にカバーできる検査路設定方法、及び検査領域決定方法を提供することにある。
【0005】
この目的は、基本的には、最初に述べたタイプの検査路設定方法を用いて、以下のように達成される。すなわち、対象物及び/又は対象物の検査領域に関する設計データ、特にCADデータ及び/又はセンサによって決定されたデータに基づいて、及び電子形態で記憶された撮像装置の光学撮像特性に基づいて、さらに論理演算ユニットを用いて、光学撮像装置の検査路を、撮像装置と検査表面との間にある特定の幾何学的関係を設定することによって、自動的に決定する。これにより、設計データ及び光学撮像装置の画像特性に基づいて、労力のかかるマニュアルによる計算や決定を行わずに、撮像装置に必要な経路を自動で算出することが可能となる。特に、撮像装置と検査表面との間の特定の幾何学的関係によって定義されるある特定の撮像条件を設定することによって、光学検査中に、対象物を全体にわたってカバーするために、又は対象物の検査領域を完全にカバーするために、撮像装置の全ての位置を決定することができる。
【0006】
検査する対象物の正確な形状は、その対象物に関する電子的に記憶された設計データに基づいて、どの検査精度のレベルにおいても正確に把握されている。そのため、この情報に基づいて、一連の動きをマニュアルで設定することなく、検査路を自動で決定することが可能となる。また、センサデータ、例えば、スキャニング等を行って、撮像し、その画像を評価することによって得たデータ、に基づいて関連した設計データを作成してもよい。この場合、対象物に関連した必要な設計データは自動で学習されるので、それらデータを個別に設定する必要がない。また、それらデータは自動で記憶される。センサデータから設計データを決定することにより、既存の設計データの精度が改善されるか、又は、分解能が改善される。
【0007】
検査路は、光学撮像装置が、固定された又は移動する対象物のまわりを動くように、設定される。この際、変位装置の移動可能範囲を考慮することが好ましい。変位装置は、マニピュレータやハンドリング装置や、多自由度で動かせる、例えば、複数の回転軸のまわりに動かせる多軸移動ユニットとして設計することが特に好適である。
【0008】
検査路を設定する場合、撮像装置の複数の撮像位置は、撮像された複数の画像で、三次元対象物を完全に覆うか、又は対象物の検査領域全てを覆うように、決定されることが好ましい。これを達成するため、設計データに基づいて決定された検査対象物の表面が、検査中に撮像された複数の画像によって完全にカバーされるかどうか判断するためのチェックが行われる。これは、光学撮像装置の既知である光学撮像特性及び検査路で決定される光学撮像装置の位置に基づいて、決定することができる。
【0009】
本発明に係る方法の特に好適な実施形態においては、画像撮影時点が、変位装置の変位情報及び撮像装置の決められた撮像位置に基づいて決定される。検査路を移動する間の、変位装置の実際の変位情報及び撮像位置を考慮することによって、この情報を光学走査工程に直接用いて、特に分解能、位置及び/又は時間の関数として、撮像を制御し、作動させる。
【0010】
本発明によれば、1つの照明装置が撮像装置に割り付けられ、検査路は、撮像装置と照明装置と検査表面との間にある特定の幾何学的関係を設定することによって、決定される。その結果、検査路は、また、照明状況を考慮することでも決定される。照明装置と撮像装置を単一の検査ユニットに組み合わせている場合は、検査路がその検査ユニットに対して決定される。しかしながら、画像装置と照明装置を互いに独立に移動可能なように、画像装置及び照明装置にそれぞれ変位装置を設けてもよい。この場合、独立した検査路が撮像装置及び照明装置に対して設定され、これによって2つの検査路は、一時的に、互いに協働するように、検査路が決定される。複数の撮像装置、複数の照明装置、及び/又は、複数の検査ユニットが設けられた場合も同様である。
【0011】
検査路の設定には、全ての変位装置の一連の動きの設定、及び場合によっては、対象物が移動可能であればその対象物自身の一連の動きの設定を含んでもよい。これを実現するために、本発明の特に好ましい変更形態では、対象物及び撮像装置及び/又は照明装置との間の相対運動の一連の動きが、検査路から決定される。
【0012】
この一連の動きの決定においては、検査中の一連の動きを最適化するために、検査時間及び/又は検査路は、できるだけ短くするように考慮することが好ましい。
【0013】
光学撮像特性、例えばカメラ焦点距離に応じて、光学撮像装置の画像は、表面検査領域よりも大きなサイズとなることもあるので、本発明によれば、検査領域を光学撮像装置の各画像内に対して割り付けてもよい。その検査領域は検査の間に画像処理ソフトウェアを用いて評価される。
【0014】
この目的を実現するため、検査領域及び検査路に基づいて、設計データで定義される対象物又は対象物の検査領域が完全にカバーされるかどうかを判定するチェックを特に行うようにしてもよい。これは、例えば、算出された検査路上でコンピュータシミュレーションによる検査を行うことで実行することができる。そして、全ての検査領域が実際にカバーされたかどうかの判定チェックを行うため、画像内に定義された検査領域が、設計データに基づいて定義された対象物上にマーキングされる。
【0015】
さらに、付加的にマニュアル制御を可能とするために、検査路及び/又は上述の定義された対象物の検査領域をディスプレイ手段、特に画面に視覚化するようにしてもよい。
【0016】
本発明の目的は、また、三次元対象物に関する電子的に記憶された設計データ、特にCADデータに基づいて、その対象物の表面検査領域を決定する方法によっても実現される。好適には、上述の方法と組み合わせてもよい。しかしながら、検査路設定とは別個に、対象物の検査領域決定を適用してもよい。本発明によれば、対象物上の指定の領域に対して、これらの領域を検査すべきかどうか、また、どんな方法で検査すべきかが設定される。そして、撮像装置を用いて検査する間に、検査すべき領域が実際に撮影された画像に対して割り付けられる。それによって、検査すべき領域が、全て撮像されたかどうかの判定チェックが、検査中に行われる。検査中に行われるこのチェックは、自動又はマニュアル経路設定のどちらに対しても使用することができ、対象物全体が実際に撮影されたことを確実にする。
【0017】
本発明の方法に係る特に好適な実施形態においては、対象物に関する設計データ、特に幾何学形状又は幾何学的関係から決定されるパラメータに基づいて、検査されない領域及び/又はある特定の方法で検査すべき領域が、自動的に判断される。この方法においては、対象物の検査領域全てが、設計データから、自動的に決定される。一方、例えば、その幾何学形状により有効な方法では検査することができない領域が、自動的に除外され、このため、これらの領域をマニュアルで選択したり、ラベリングしたりする必要がない。検査領域をマニュアルで選択する際に必要な労力が、これによって、大幅に軽減される。
【0018】
検査領域は、対象物の設計データに基づいて作成可能である演算された画像又は人工の画像として記憶されることが好ましい。これら人工の画像が、検査中に実際に撮像された画像と比較されてもよい。さらに、光学検査を可能とするために、これらの演算された画像を視覚化してもよい。
【0019】
本発明の方法に係るある実施形態においては、自動生成された検査領域をマニュアルで再度処理を施し、自動生成された検査領域に対して補正を行ってもよい。
【0020】
また、制御の目的のために、検査領域を有する人工画像及び/又は検査領域を視覚化したものを、実際に撮像した画像内に重なるように表示してもよい。
【0021】
本発明によれば、検査中に、検査すべき領域を実際の画像に対して、より正確に割り付けるために、設計データから決定される検査領域における特徴と、撮像された画像における認識可能な特徴とを比較してもよい。それら特徴の位置にずれがある場合は、この比較において、検査領域の特徴と実際の画像内の特徴とがお互いに重なるように移動することによって位置補正を行うことができる。この調整によって、別の検査プロセスに対しても、検査領域の実際の画像に対する割付けが容易になる。この特徴の探索は、現在の画像に対して行うのと同様に、既に撮影された画像に対しても行うことができる。
【0022】
上述の2つの方法の特に好ましい実施形態によれば、光学撮像装置は、また、三次元的に調整される。これによって、画像内における撮影された対象物の位置を正確に決めることが可能となる。また、画像内において認識可能な特徴と設計データの特徴との比較に基づいて、位置の微調整が可能となる。そのため、この方法においては、三次元調整されたデータと設計データとを比較することによって対象物の位置を微調整することが可能となる。検査すべき領域を実際の画像に正確に投影できるため、このタイプの位置微調整は特に好適である。例えば、変位装置に対する対象物の位置ズレのように他の誤差要因が確実に検知されることがないため、対象物の位置のみが、センサによって正確に検知されるだけでは、上述のような確実性は得られない。
【0023】
撮像装置と変位装置が、お互いに対して調整されることは特に好適である。ある座標系において、それらの相対座標は既知であり、そのため、いかなる場合でも容易に、且つ正確にそれらの相対位置を決定することができる。
【0024】
以下では、本発明に係る方法の別の特徴、効果及び可能な用途が、例示される実施形態及び図面を参照して詳細に説明される。ここで記載される、及び/又は、図示される全ての構成要件は、それら構成要件のうちの1つのみであっても、若しくは、それらの組合せであっても、本発明の一部であり、請求項又は参照文献の文言とは独立したものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
図1は、本発明に係る方法によって、光学撮像装置4に対して、車体として示されている三次元物体3のまわりに検査路2が決定される、表面検査システム1の概略図である。このシステムは、例えば、塗装検査用に適している。しかしながら、車体の塗装検査や表面検査に限定されるものではない。このシステムの利点は、多種多様な用途に対して幅広く適応できることにあり、また、容易に組み替えることができる点にある。
【0026】
示された例において、光学撮像装置4は、検査ユニットに統合される。この検査ユニットには、撮像装置4である少なくとも1つのカメラと少なくとも1つの照明装置が配置される。光学撮像装置4は、ロボット又はマニピュレータとして設計された変位装置5を用いて、三次元対象物3に対して相対運動することができ、三次元対象物3は、コンベヤベルトとして設計された変位装置6上で移動することが可能である。その結果、光学撮像装置4と三次元対象物3との間で相対運動が実現できる。変位装置5及び6は、共通の制御装置7によって制御される。
【0027】
対象物3、及び/又は対象物3の検査領域に関しては、電子的に記憶された設計データ8が利用可能であり、これら設計データ8は、特に、対応する三次元設計プログラムのCADデータである。対象物3の三次元設計データはこれらの設計データから得ることが可能である。さらに、撮像装置4の光学撮像特性は、カメラパラメータ9として既知である。これらカメラパラメータ9は、自動カメラ調整によって作成されることが好ましい。この自動カメラ調整には、画像特性や光学撮像装置4又はカメラの空間的位置等の調整が含まれる。
【0028】
このタイプの調整は、固定の既知位置に配置された例えば複数の点のようなパターンを有するプレート(plate)に基づいて、自動的に実行することができる。調整用プレート(caliblation plate)の既知位置、及び既知のパターンに基づいて、カメラ4の画像特性及び空間的位置が正確に決定される。固定して取り付けられたカメラを用い、対象物3に対応付けられた変位装置6によって、三次元対象物3とその固定して取り付けられたカメラとの相対運動が行われる場合、調整用プレートは、独立した変位装置に配置してもよい。調整を行うため、光学撮像装置4及び/又は調整用プレートが取り付けられた変位装置を調整位置に移動し、画像を撮影し、適切な調整ソフトウェアで評価してもよい。
【0029】
設計データ8及びカメラパラメータ9は、論理演算ユニット10によって読み込まれる。これらのデータを用いて、論理演算ユニット10は、撮像装置と検査表面の間にある特定の幾何学的関係を設定することによって、光学撮像装置4の検査路2を、本発明に係る方法に従って自動で決定する。この幾何学的関係、例えば、検査表面と光学撮像装置4との間の距離、及び/又は表面法線と撮像装置4の光軸との間の角度、を設定することによって、論理演算ユニット10のプログラムが、電子的な設計データ8及びカメラパラメータ9に関して、対象物3に対する光学撮像装置4の光学検査路2を算出する。また、検査路2を通じて互いに結びつけられる支持点も設計データ8に設定される。
【0030】
撮像装置が固定されているシステムの場合、その撮像装置の方向に応じて、可能な検査路2が、予め定義されている。この場合、検査路2の設定は、車体3のまわりを光学撮像装置がたどる画像トラック(the image track)を算出することに限定される。一方、移動可能な撮像装置4の場合は、撮像装置の位置は、検査する対象物3の表面形状に対して柔軟に適合させることができる。特に小型の光学撮像装置4の場合は、対象物3の表面上の検査路を自由に定義し、設定することができる。これは、固定された、又は移動する対象物3のまわりで、光学撮像装置4を多自由度で誘導することが可能だからである。
【0031】
検査路2を設定する際、三次元対象物3の全体、又は対象物3の予め指定された検査領域全てがそれら撮影画像でカバーされるように、それぞれの撮像位置が、既知の光学撮像特性によって決められる。検査路2の全体は、媒介路によって接続される複数の非接続の検査路部分で構成される。これら媒介路上では撮影が行われないため、媒介路上では高速で走査される。
【0032】
光学撮像装置4の検査路2に基づいて、また、変位装置5、6の可能な変位範囲を含む変位情報11を用いて、対象物3と撮像装置4との相対運動の一連の動きを決定することができる。この一連の動きは、論理演算ユニット10によって、制御装置7に出力され、変位装置5、6を制御する。最後に、変位装置5、6の変位情報11と、撮像装置4の予め設定された撮像位置を考慮して、変位装置5、6が一連の運動を行う間、撮影する適切な時点を決めることができる。
【0033】
本発明に係る検査路2の設定方法によれば、独立した複数の撮像装置4又はカメラが、必ず、対象物3、例えば車体を追従するように、全ての検査路が決定される。これにより、対象物の検査すべき全ての領域の画像が撮影される。これら検査路2に基づいて、種々の異なる変位装置5、6の一連の動きが、例えばマニピュレータが移動する移動路の形態で、決定される。検査路上の所定の撮像位置に基づいて、例えばカメラ位置を各撮像時点に関連付けして設定することによって、それぞれの光学撮像装置4の撮像時点が、上述のマニピュレータの移動路に沿って決定される。この一連の動きは、制御プログラムとしての論理演算ユニット10によって、制御装置7へ送られ、変位装置5、6が適切な位置に自動で移動する。
【0034】
検査路自動設定に加えて、本発明は、また、表面の検査領域12を決定する方法を提供する。三次元対象物3、例えば、車体では、検査しない領域も多々ある。それらとしては、後に飾り用又は保護用ガーニッシュストリップで覆われる塗装面や、窓ガラス用溝、湾曲溝や、ナンバープレートや板金端部等がおかれる凹形くぼみの側面などが挙げられる。
【0035】
このタイプの検査しない領域13を、図3に示す。これらとしては、車体3の保護用ガーニッシュストリップ用の垂直柱部及び水平取付け部表面がある。検査しない領域13は、それらの幾何学形状及び外観に基づいて、設計データ8から自動で決定される。これら検査しない領域13が、対象物3上に設定される。検査領域12も同様であり、撮像装置4で検査が行われている間に、これら検査領域12が、撮影された画像に割り付けられる。この画像への割り付けは、設計データ8及び既知のカメラパラメータ9に基づいて行われ、これによって光学撮像装置4からの画像14には、検査領域12と検査しない領域13が含まれるようになる。
【0036】
これら領域12、13は、論理演算ユニット15を用いて、設計データ8と、光学撮像特性及びカメラ位置を含んだ光学撮像装置4のカメラパラメータ9とに基づいて、決定される。論理演算ユニット15は、検査路自動設定に用いられる論理演算ユニット10と同じであってもよい。また、論理演算ユニット15は、検査中にカメラで撮像された全ての画像を演算して、検査領域12をそれら撮影された画像内に描画する。検査しない領域13は、演算された画像14での検査領域12以外の部分である。
【0037】
計算された画像14の自動作成された検査領域12を、例えば、グラフィックファインエディタ(graphic fine editor)17によって、後処理してもよい。種々の検査ゾーンを、ファインエディタ17を用いて、決定してもよい。
【0038】
論理演算ユニット15で作成し、必要であればファインエディタ17で後処理した、検査領域12及び検査しない領域13を含む画像14は、各撮像装置4毎にメモリ16に記憶される。そして、論理演算ユニット15に含まれるグラフィックエディタ17を用いて、後処理される。
【0039】
各カメラに対するメモリ装置16に記憶された検査領域12が、必要となる表面全体をカバー可能かどうかをチェックするため、検査領域12による対象物3のカバー状況をチェックするチェックモジュール18が、論理演算ユニット15に設けられる。
【0040】
検査領域12、検査しない領域13が定義された、演算されたカメラ画像14に従って、カメラで撮像された実際の画像における対象物3の正確な位置あわせを行うため、三次元調整された画像と設計データ8とを比較することによって、対象物13の位置微調整が行われる。これによって、計算された画像14とカメラで撮像された画像とが、正確に重なることが保証される。これは、設計データ8に基づいて演算された画像14と撮像された画像とにおける際立った幾何学形状を検査することで、達成される。これによって、特に、検査領域12が撮影画像において正確に定義され、後の画像評価にて正確に処理されることが保証される。
【0041】
特に、設計データに基づいて自動で行われ、検査中にチェックされる検査路自動設定、及び検査領域決定によって、検査システムのマニュアルによる構成及び検査路のマニュアルによる基準設定を行わずにすむため、光学撮像システムを用いた表面検査が簡略化される。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】図1は、検査路を設定するシーケンスを示す概略図である。
【図2】図2は、検査される表面領域を決定するシーケンスを示す概略図である。
【図3】図3は、対象物上の検査する領域を含む画像の概略図である。
【符号の説明】
【0043】
1…表面検査システム 2…検査路
3…三次元対象物、車体 4…光学撮像装置
5…変位装置、マニピュレータ 6…変位装置、コンベヤベルト
7…制御ユニット 8…設計データ
9…カメラパラメータ、光学撮像特性 10、15…論理演算ユニット
11…変位情報 12…検査領域
13…検査しない領域 14…画像
16…メモリ
17…ファインエディタ(Fine editor)
18…チェックモジュール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
三次元対象物(3)を検査するための少なくとも1つの光学撮像装置(4)、特にカメラの検査路(2)を設定する検査路設定方法であって、前記少なくとも1つの光学撮像装置(4)と前記三次元対象物(3)が、変位装置(5、6)によって互いに相対運動可能であり、
前記対象物(3)及び/又は前記対象物の検査する領域(12)の設計データ(8)、特にCADデータ及び/又はセンサによって決定されたデータ、に基づいて、且つ、電子形態で記憶された前記撮像装置(4)の光学撮像特性に基づいて、論理演算ユニット(10)を用いて、前記光学撮像装置(4)と前記検査する領域との間に所定の幾何学的関係を設定することによって、前記光学撮像装置(4)の前記検査路(2)を自動的に決定することを特徴とする検査路設定方法。
【請求項2】
請求項1記載の検査路設定方法において、前記光学撮像装置(4)は、固定された前記対象物(3)、又は動いている前記対象物(3)のまわりを案内されることを特徴とする検査路設定方法。
【請求項3】
請求項1又は2記載の検査路設定方法において、前記三次元対象物(3)の全てが、又は前記対象物の検査する領域の全てが、撮影された画像によってカバーされるように、前記撮像装置(4)の撮像位置が決定されることを特徴とする検査路設定方法。
【請求項4】
請求項3記載の検査路設定方法において、撮像時点は、前記変位装置(5、6)の変位情報(11)と前記撮像装置(4)の前記撮像位置とを考慮して、決定されることを特徴とする検査路設定方法。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の検査路設定方法において、照明装置が前記撮像装置(4)に割り当てられ、前記検査路(2)は、前記撮像装置(4)と前記照明装置と前記検査する表面との間に所定の幾何学的関係を設定することによって、決定されることを特徴とする検査路設定方法。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の検査路設定方法において、前記対象物(3)と前記撮像装置(4)及び/又は前記照明装置との間の相対運動の一連の動きは、前記検査路(2)から決定されることを特徴とする検査路設定方法。
【請求項7】
請求項6記載の検査路設定方法において、一連の動きを決定する際、検査時間及び/又は前記検査路は、できる限り短くすることを特徴とする検査路設定方法。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の検査路設定方法において、前記画像内における検査する領域(12)は、前記光学撮像装置(4)の各画像に割り付けられることを特徴とする検査路設定方法。
【請求項9】
請求項8記載の検査路設定方法において、前記検査する領域(12)と前記検査路(2)とに基づいて、前記設計データ(8)によって定義された前記対象物(3)、又は、前記設計データ(8)によって定義される前記対象物(3)の前記検査する領域(12)の全体、が完全にカバーされているかどうかを判断するチェックを行うことを特徴とする検査路設定方法。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項に記載の検査路設定方法において、前記検査路(2)及び/又は対象物(3)上に定義された前記検査する領域(12)は、ディスプレイ手段、特に画面上に視覚化されることを特徴とする検査路設定方法。
【請求項11】
三次元対象物(3)に関する、電子形態で存在する設計データ(8)、特にCADデータに基づいて、前記対象物(3)の表面上の検査する領域(12)を決定する検査領域決定方法であって、
前記対象物上の指定の領域(12、13)に対して、前記指定の領域(12、13)は、検査すべきかどうか、及び、どのような方法で検査すべきかを定めて、さらに、撮像装置(4)による検査中に、前記定められた検査する領域(12)が、実際に撮影した画像に割り付けられることを特徴とする検査領域決定方法。
【請求項12】
請求項11記載の検査領域決定方法において、検査する領域(12)と検査しない領域(13)と、及び/又はある特定の方法で検査する領域(12)は、前記設計データ(8)に基づいて、特に幾何学形状又はその他のパラメータを決定することによって、自動的に決定されることを特徴とする検査領域決定方法。
【請求項13】
請求項11又は12記載の検査領域決定方法において、前記検査する領域(12)は、計算された画像(14)として記憶及び/又は視覚化されることを特徴とする検査領域決定方法。
【請求項14】
請求項12又は13記載の検査領域決定方法において、前記自動生成された検査する領域(12)は、マニュアルで処理可能であることを特徴とする検査領域決定方法。
【請求項15】
請求項11〜14のいずれか1項に記載の検査領域決定方法において、前記検査領域(12)を有する前記計算された画像(14)及び/又は前記検査領域(12)の視覚化されたものは、実際に撮影された前記画像内に表示されることを特徴とする検査領域決定方法。
【請求項16】
請求項1〜15のいずれか1項に記載の方法において、前記設計データ(8)から決定された前記検査する領域(2)における特徴が、撮影された前記画像内の認識可能な特徴と比較され、必要であれば、前記比較の結果に基づいて位置補正を行うことを特徴とする方法。
【請求項17】
請求項1〜16のいずれか1項に記載の方法において、前記光学撮像装置(4)は、三次元的に調整されることを特徴とする方法。
【請求項18】
請求項17記載の方法において、前記画像内の前記対象物(3)の位置を微調整することを特徴とする方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2007−527993(P2007−527993A)
【公表日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−553494(P2006−553494)
【出願日】平成17年2月10日(2005.2.10)
【国際出願番号】PCT/EP2005/001311
【国際公開番号】WO2005/090951
【国際公開日】平成17年9月29日(2005.9.29)
【出願人】(506280948)イスラ ヴィズィオーン ジュステーム アーゲー (5)
【Fターム(参考)】