説明

構造化した焼結活性表面を有する半製品およびその製造方法

本発明は構造化表面を有する半製品において、少なくとも1つの高融点金属を有し、酸化し、且つ次に還元した表面を含む半製品、およびそれらの製造方法、および高キャパシタンス素子の製造へのそれらの使用も含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は構造化した焼結活性表面を有する高融点金属の半製品、例えばワイヤーあるいはシート、および少なくとも部分的に前記の表面を有する半製品、およびそれらの製造および使用に関する。
【0002】
コンデンサは電気工学において必須の素子である。特に携帯装置の数の増加、およびコンピュータ技術の急激なさらなる発展のために、それらの素子はより高い要求を満たさねばならない。モバイル用途では、素子のサイズ全体がより小さくなってきており、一方、電気的パラメータ、例えば特にキャパシタンスおよび絶縁耐力は同じのままである。定常的に減少するプロセッサ(CPU)のサイクルタイムは、応答し、且つより低い抵抗(等価直列抵抗(ESR))あるいはインダクタンス(ESL)を有する素子を必要とする。これは、使用される材料および技術に大いなる課題を与える。
【0003】
電気素子のキャパシタンスを増加するために、高キャパシタンス粉末を使用することが一般的である。前記粉末の比電荷はこの場合、小さい素子のキャパシタンスの体積収率を増加させるためにより大きくならねばならない。2000年での上限が70,000μC/gだったのに対して、現在は約100,000〜200,000μC/gのキャパシタンスを有する粉末がある。該粉末のより高い電荷は、比表面積の増加によって実質的に達成される。
【0004】
コンデンサの陽極を製造するために、通常、該粉末を半製品、例えばワイヤーとともにプレスし、そして一般には1200℃を超える高温で、高真空中で焼結する。これは粉末の比表面積の損失を伴う。
【0005】
該粉末の電荷の増加、即ち、比表面積の増加にも伴って、この損失はより大きくなり、なぜなら、粉末がより焼結活性になるからである。コンデンサ内で可能な最大電荷を得るため、従って焼結温度を可能な限り低く保ってこの損失を最小化することが試みられている。他方で、陽極導電体(anode conductor)への該粉末の結合は、コンデンサの品質に決定的に重要である。良好な結合は工程中のさらなる加工性、残留電流挙動、および電流および電圧ピークに関しての安定性にとって重要である。可能な限り広い結合面積は、特に低い抵抗およびその結果として低いESR値を生じる。
【0006】
従って、陽極導電体に関して良好な結合の形成は、特に高キャパシタンス半製品製造のための高キャパシタンス粉末の使用における課題であり、なぜならそれらの粉末は比較的低い温度でのみ焼結できるからである。より高い温度は表面積を過剰に減少させ、従って必要な電荷が得られない。さらには、陽極導電体の製造に使用される半製品、例えばワイヤーあるいはシートは、それらの製造、例えば、その後ワイヤー状に引き出されるあるいはシート状に巻かれるインゴットの溶融冶金的製造において、既に高温で処理されており、従って非常に滑らかな表面を有している。従ってより低い温度では、それらはあまり触媒活性ではなく、且つ、粉末の微細な表面との弱い結合傾向のみを示す。表面焼結された高キャパシタンス粉末の半製品からの剥離力は弱い。
【0007】
US6226173号B1、US6495021号B2、およびWO01/57928号A1は、導電性のスポンジ状構造の形態での陽極の製造について記載しており、それは酸化、その次の還元によって製造され、且つ基板上の櫛歯形状の導電物質の意図された用途を記載している。これがキャパシタンス素子を産出する。その後、誘電膜をスポンジ表面上に製造できる。しかし、堆積工程が比較的困難である。
【0008】
この背景に反して、高キャパシタンス素子が充分な機械的安定性および電流および電圧ピークに関する安定性を有するために、高キャパシタンス材料と共に焼結できる高キャパシタンス素子製造用の半製品の必要性がある。
【0009】
前記の課題は、構造化表面を有する半製品であって、少なくとも1つの高融点金属を含有し、酸化し、そしてその後、再還元された表面を含む半製品によって達成される。それらの粗面化された表面のために、前記の半製品は焼結による高キャパシタンス材料の被覆に特に適している。
【0010】
半製品は、好ましくは陽極あるいは陽極導電体、例えばワイヤー、シート、テープ、あるいは他の成形された部品の形態を意味すると理解される。前記陽極導電体は、好ましくはチタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデン、および/またはタングステンを含む群からの高融点金属で被覆されてもよく、あるいはそれらの金属で直接的に構成されてもよい。好ましい高融点材料は、チタン、タングステン、およびモリブデンであり、特にニオブおよびタンタルである。さらには、前記の高融点金属を含有する合金と、特にアルミニウム、シリコン、亜鉛、カドミウム、ガリウム、ゲルマニウム、インジウム、スズ、アンチモン、テルル、タリウム、鉛、ビスマス、イットリウム、あるいは希土類元素との合金、あるいは前記の高融点金属自身との合金、例えばTa−Ti、Nb−Ti、Nb−VまたはTa−Nb合金もまた使用できる。
【0011】
前記陽極導電体および/または被膜に、異種の金属および/または金属イオンで、あるいはリン、窒素、ホウ素で追加的にドープしてもよい。それらの元素でのドーピングは、原則として公知であり、且つ通常窒素でのドーピングの場合には10ppmから10,000ppmの範囲で、リンの場合は10ppmから1000ppmの量で、且つ、ホウ素の場合は10ppm〜1000ppmの量で使用される。被覆された陽極導電体の場合、高融点金属を他の導電性金属、例えば銀、銅、あるいはアルミニウムの上に適用してもよい。陽極導電体の高融点金属での被覆は、好ましくは10nm〜1mm、より良くは100μm、特に10nm〜50μm、特に好ましいのは100nm〜10μmの厚さを有する。
【0012】
本発明による半製品は、酸化と、その酸化した表面の還元によって製造された層である、構造化表面も含む。該表面は、粗面化された構造を特徴とし、開孔構造が好ましい。
【0013】
本発明による半製品は、好ましい実施態様において、本発明による処理の前の表面積と比べた本発明による処理の後の半製品の比表面積が、10〜100,000倍、あるいは10〜10,000倍、あるいは10〜1000倍、あるいは10〜100倍、あるいは100〜10,000倍、あるいは100〜1000倍大きいという事実によって特徴付けられる。本発明による処理は、半製品の酸化と、その次の還元を含む。
【0014】
好ましい半製品は、20Vで形成したとき、基礎面積1cm2あたり、100nFより大きい、好ましくは1μF〜50μF、特に好ましくは2μF〜10μFのキャパシタンスを有する表面を有する。前記の基礎面積は、酸化/還元処理前の半製品の面積を意味するとして理解される。好ましいキャパシタンス値は、50nm〜100μm(1μF〜50μF(20Vで形成))、あるいは100nm〜1μm(2μF〜10μF(20Vで形成))の厚さを有する処理層に関する。測定されたキャパシタンスは、酸化/還元処理によって製造された半製品の比表面積の増加に比例する。
【0015】
本発明によって処理されていない半製品のキャパシタンスは、1cm2あたり200nFより下、特に1cm2あたり10nFより下である。処理された半製品のキャパシタンスは、1cm2あたり1μFより上である。好ましいキャパシタンス値は、従って、一方では、それら自身が高キャパシタンスを有し、且つ他方では、焼結工程によって高キャパシタンス材料と安定に結合するのに特に適した、構造化表面を示す。
【0016】
"高キャパシタンス"は、本発明によれば、高い比表面積を有する材料に用いられる用語である。例えば、>0.3m2/gの比表面積を有する材料が、高キャパシタンスとして呼ばれても良い。コンデンサの式は、キャパシタンスCが比表面積Aに比例し、且つ誘電体の厚さdに反比例することを示す。比例定数εは、誘電率として定義され、ここでC=ε*A/dである。
【0017】
高キャパシタンス半製品は、少なくとも10の、巨視的な表面積に対する微視的な表面積の比、あるいは構造化していない表面積に対する構造化表面積の比を有する半製品に用いられる用語である。例えば1cm2の未処理の巨視的な表面積は従って、本発明の処理後には少なくとも10cm2の微視的な表面積を有する。
【0018】
上に述べたように、コンデンサの式は本発明による半製品の表面の陽極酸化およびそのキャパシタンスの測定後に微視的表面を計算するのを可能にする。そのように検出されたキャパシタンスは、従って微視的表面の関数であり、且つ、それらの測定に使用できる。
【0019】
陽極酸化は実際の微視的表面に影響するため、表面の一部が半製品の残りから絶縁されることになるので、それらは検出されたキャパシタンスに寄与しない。結果として、半製品の実際の微視的表面は、この方法で測定されたものより高いことがある。
【0020】
走査型電子顕微鏡写真によって、構造化表面が様々な形状の開口部を有していることが示され、10nm〜10μmの壁と壁との間の平均距離を有する開口部が特に大半を占める。
【0021】
半製品の意図されている使用によっては、半製品の全表面が次の焼結によって活性化されることが絶対的に必要とされるわけではない。高キャパシタンス素子の製造において、通常、0.2mm2〜1mm2の表面積を高キャパシタンス材料で被覆するため、相当する部分的な半製品の表面処理で充分なことがある。本発明の目的では、高融点金属を含有し、酸化されそして次に再還元された表面を含む半製品は、完全に表面処理された半製品および部分的に表面処理された半製品の両方である。
【0022】
本発明のさらなる主題は、表面構造化半製品の製造方法において、少なくとも1つの高融点金属を含有する半製品の表面を、酸化させ、そして次に、得られた酸化物層を再還元させる方法である。
【0023】
表面の酸化/還元処理は特に、熱処理の下で商業的に生産された半製品、例えば溶融冶金的に引き出されたワイヤーあるいは巻かれたシートなどを焼結活性半製品に変換することを可能にする。
【0024】
半製品表面の少なくとも一部分に酸化を行って、表面構造化半製品を製造する。前記の酸化は、例えば、熱酸化、化学酸化、あるいは陽極酸化であってよく、好ましくは10nm〜1mm、より良くは100μm、特に50nm〜10μm、特に好ましいのは100nm〜1μmの厚さを有する酸化物層を半製品上に製造する。好ましくは、陽極酸化を、好ましくは1V〜50,000V、特に好ましくは5V〜1000Vの電圧で、電解質、好ましくは酸性溶液、例えば希リン酸あるいは過塩素酸(0.01%〜10%)中で実施する。半製品のタンタル表面の場合は約2nm/V、ニオブ表面の場合は約4nm/Vの酸化物層の成長が予想し得る。
【0025】
得られた酸化半製品の表面を、適宜、適した溶剤、例えば水あるいはエタノールで洗浄し、そしてその後乾燥してもよい。
【0026】
さらなる工程において、半製品の酸化表面を、次に、還元剤を用いて再還元する。リチウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム、ストロンチウム、アルミニウム、それらの水素化物あるいは合金あるいは水素を、例えば還元剤として使用できる。該還元剤は、この場合、液体あるいはガスが有利である。金属性還元剤の蒸気を好ましくは使用し、使用する金属に依存して、200℃〜3000℃、有利には650℃〜1500℃の温度で前記の還元を実施することが可能である。650℃〜1500℃の温度でのマグネシウム蒸気の使用が特に好ましいことが判明しており、半製品の酸化表面はマグネシウム酸化物の形成で再還元される。これは、出発材料と比べて増加した比表面積によって特徴付けられる、焼結活性金属表面を残す。
【0027】
還元中に生成する還元剤の酸化物を、適宜、溶剤、例えば希釈した酸によって除去し、そしてその後乾燥させてもよい。
【0028】
二次元的に成形した半製品(例えば膜あるいはシート)に上述の工程を行うなら、表面の一部分を狙った処理もまた可能である。ここでは、処理前に半製品の表面を少なくとも部分的に覆い、従って覆われていない領域だけが酸化され、還元され、そしてこのやりかたで上述のように構造化する。この目的のために、例えばタンタルあるいはニオブのシート表面をフォトレジストで覆う。このフォトレジストを、構造化される領域に相当する開口部を有しているマスクを通して露光する。露光後、前記のフォトレジストを現像し、そしてレジストの露光した部分を除去する。フォトレジストのタイプ次第で、原理的には反転の工程もまた可能である。このように、半製品の一部分がレジストに覆われたままになる。酸化の間、被覆されていない部分だけが酸化され、そして次の還元の間に構造化される。この部分だけがそのとき、増加した表面積(例えばBET法で測定可能)あるいは他の特徴的な特性を有する所望の表面構造を有している。
【0029】
半製品上に残っているレジストは、還元の間には不要であることから、酸化の後に除去してよい。本方法のこの実施態様が有利である。しかしながら、除去を単に還元の後に実施してもよい。
【0030】
本発明の目的では、酸化は好ましくは、酸化される表面の50質量%を超える、好ましくは80質量%を超える、特に好ましくは90〜100質量%の酸化の意味として理解される。本発明の目的では、還元は好ましくは酸化された表面層の50質量%を超える、好ましくは80質量%を超える、特に好ましくは90〜100質量%の還元の意味として理解される。
【0031】
記載した方法は、明らかにより高い比表面積を有する固着した層が、半製品の元々密な表面の上に形成する効果を有する。半製品の焼結活性表面の構造はこの場合、特に還元温度および酸化物層厚によって影響され、そのため、焼結して付けられるそれぞれの高キャパシタンス材料への、表面構造の適合を実行できる。
【0032】
従って、本発明のさらなる主題は、前記の表面構造化半製品を焼結工程による高キャパシタンス材料の半製品上への結合により、高キャパシタンス素子の製造のために用いる使用である。
【0033】
高キャパシタンス材料は例えば、高キャパシタンス金属粉末であり、高キャパシタンス表面を有するさらなる半製品でもある。
【0034】
例えば、高融点金属、好ましくは、チタン、モリブデン、タングステン、ハフニウム、バナジウム、ジルコニウム、ニオブあるいはタンタルあるいは前記の金属の合金あるいは前記の粉末の混合物を含有する高キャパシタンス金属粉末が焼結に使用できる。前記の高キャパシタンス金属粉末は、例えば、還元剤として、同様に好ましくは上に記載した温度で蒸発したリチウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム、ストロンチウムあるいはアルミニウム、あるいはそれらの金属の水素化物あるいは水素を使用した、対応する金属酸化物粉末の還元によって得られる。より良い還元のために、粉末状の還元剤も粉末状の金属酸化物に添加できる。高キャパシタンス粉末に適した特に好ましい製造方法は、WO00/67936号内に記載されている。
【0035】
焼結して付けられる高キャパシタンス半製品を、上に記載された本発明による方法によって製造できる。
【0036】
高キャパシタンス材料の半製品への結合に充分な安定性を与えるために、半製品上に適用されるあるいはプレスされる高キャパシタンス材料は、例えば高温で保護ガスあるいは真空中で固めてよい(焼結)。従来の半製品による高キャパシタンス材料の充分な固化を達するため、焼結は、使用される高キャパシタンス材料に依存し、一般に1500℃より高い温度で実施する。最適焼結条件は、当業者自身による少ない回数の条件出しによってすぐに確立できる。高キャパシタンス材料としてタンタル粉末を使用する場合、焼結を通常900〜5000℃で、有利には1000℃〜1300℃で、特に1000℃〜1200℃で実施する。高キャパシタンス材料としてニオブ粉末を使用する場合、焼結を通常800℃〜1400℃で、有利には100℃〜1300℃で、特に900℃〜1200℃で実施する。
【0037】
焼結活性を増加させるための、ここで記載された半製品の事前の表面処理は、未処理の半製品よりも焼結工程をより低い温度で実施することを可能にする。本発明による半製品は、従って、より焼結活性であると云える。"より焼結活性"は、同じ温度でより焼結する材料、あるいは、高い温度のより低い焼結活性材料よりも、低い温度で等しく焼結する材料について使用される用語である。
【0038】
従って本発明による処理は、処理された半製品の焼結温度が未処理の半製品の焼結温度よりも下であるという効果を有する。前記の処理に帰する焼結温度の低下は、50℃あるいはそれより上であり得る。処理された半製品の焼結温度は、未処理の半製品の焼結温度よりも100℃あるいは150℃下でもあり得る。極端な場合では、約200℃〜約500℃の焼結温度の低下もまた可能である。
【0039】
本発明による方法、即ち半製品の酸化と、その次の還元は、半製品に焼結活性を与える。焼結温度に影響する以外には、この表面は、相応する測定方法によって明らかに実証されるように、フォーム状構造によって特徴付けられる。前記のフォーム状構造は実質的に、一次グレインとも呼ばれるいわゆる一次粒子によって形成される。
【0040】
本発明による処理に対して、例えばエッチングなどの表面処理の代替的な方法はフォーム状表面構造をもたらさず、むしろチャネル状表面構造をもたらし、チャネルが角度のついた経路を辿ることも可能である。
【0041】
このように、安定した高キャパシタンス素子が必要な焼結時間の延長をしないで得られる。結果として、焼結による高キャパシタンス材料の表面積の低下が、機械的な安定性あるいは電流および電圧ピークに関する安定性における欠点を容認せずとも最小化される。
【0042】
半製品が陽極接触のためのワイヤーの形状をとる場合、該ワイヤーの引っ張り切断抵抗(Chatillon DEGS50引張圧縮測定器によって測定)は1.1〜5倍増加する。
【0043】
焼結に使用された高キャパシタンス材料と同じ材料からなる構造化表面を有する半製品の使用が特に好ましい。特に、少なくとも1つの高融点金属、例えばチタン、モリブデン、タングステン、ニオブあるいはタンタル、あるいは少なくとも1つのそれらの金属を含有する合金を含有し、一次粒子の平均直径が50nm〜10μm、特に好ましくは100nm〜1μmを有し、二次凝集物の粒度分布が1〜300μmを有する高キャパシタンス粉末が、1500℃より低い、有利には1300℃より低い、特に1200℃の温度で、焼結活性を有する記載した半製品と共に焼結するのに適している。上述の表面構造化半製品と共に焼結することによる高キャパシタンス半製品の融合物への使用が特に興味深い。好ましくは、融合される半製品は同一の材料から、且つ同一の工程条件によって製造されて、そのため均質な表面構造を有する。
【0044】
高キャパシタンス材料の焼結後、得られる素子を誘電層、例えば酸化物層で被覆して、素子に電気特性を備えてもよい。
【0045】
得られる高キャパシタンス素子を、例えばコンデンサあるいはメモリセルに適合させ得る。
【0046】
方法:
以下の実施例に記載される陽極の還元、形成および測定は、実施例内に特に記載されない限り、以下のパラメータに基づいて行った。
【0047】
比表面積の測定:
比表面積の測定をBET測定、即ち、Braunauner、EmmettおよびTellerによるガス収着によって、Micromeritics社のTristar型の装置を用いて実施した。
【0048】
陽極酸化:
形成電圧 20V
形成電流 1mA/g
最終形成時間 2時間
電解質 0.1% H3PO4
温度 85℃。
【0049】
キャパシタンス測定
電解質 10% H3PO4
温度 23℃
周波数 120Hz。
【0050】
微視的表面の算出
微視的表面を、測定したキャパシタンスから、式
C=ε*A/d
[式中、
Cは測定されたキャパシタンス、εは金属酸化物の誘電率(ここで五酸化タンタルの場合、εは27×10-12Fm-1)、dは形成電圧1ボルト当たり2nmの厚さと仮定して、陽極酸化電圧から算出された誘電酸化物層の厚さ(陽極酸化電圧20Vで40nm)、Aは決定される微視的表面]
によって算出した。
【0051】
還元:
酸化された半製品を次に、微細な網目の格子上に置き、その下にるつぼを配置した。該るつぼは酸素含有率に対して2倍の化学量論組成量のマグネシウムを含有した。その後、加熱をアルゴン下、950℃までで1時間行った。それによってマグネシウムを蒸発させ、そしてその上の半製品の酸化物層と反応させた。金属表面の冷却後、パッシベーション用に空気をゆっくりと添加した。還元材料を、リン酸で洗浄し、次に完全脱イオン水(FD水)で中性に洗浄し、そして乾燥させた。
【0052】
本発明を以下の実施例および図によって説明し、それらは単に本発明をより詳細に説明するものであり、本発明を制限しないものとする。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】陽極酸化および次のMg蒸気による還元後の半製品表面(層厚300nm)を示す図である。
【図2】同様に陽極酸化および次のMg蒸気による還元後の半製品表面(層厚800nm)を示す図である。
【図3】相応する表面の断面を示す図である。
【図4】陽極酸化および次のMg蒸気による還元後の半製品表面(層厚400nm)を示す図である。
【0054】
例示的実施形態:
実施例1
Taシート(1cm×1cm)を0.1%リン酸中85℃、150Vで、定電流で形成し、そして定電位でさらに2時間形成する。約300nmの厚さの酸化物層を該シート上に形成する。形成されたシートをFD水で洗浄し、そして乾燥させる。前記の製品を次に、上述のように還元した。
【0055】
構造化表面が下記の図1の走査型電子顕微鏡写真で見られる。引き続いてのこのシートの20Vでの陽極酸化は、3.45μFのキャパシタンスを生じ、それは51cm2の微視的表面に相当する。構造化表面なしでは、前記のシートは検出下限の500nFより低いキャパシタンスを有している。
【0056】
実施例2
Taシート(1cm×1cm)を0.1%リン酸中85℃、400Vで、定電流で形成し、そして定電位でさらに2時間陽極酸化する。約800nmの厚さの酸化物層を該シート上に形成する。形成されたシートをFD水で洗浄し、そして乾燥させる。前記の製品を次に、上述のように還元した。
【0057】
引き続いてのこのシートの20Vでの形成は、81.7cm2の微視的表面に相当する5.52μFのキャパシタンスを生じる。構造化表面なしでは、前記のシートは500nFより低いキャパシタンスを有している。
【0058】
図2および図3の走査型電子顕微鏡写真は、平面および断面像(顕微鏡写真)としての構造化表面を示す。
【0059】
実施例3
Taワイヤー(直径=0.49mm)を0.1%リン酸中85℃、400Vで、定電流で形成し、そして定電位でさらに2時間形成する。約800nmの厚さの酸化物層を該ワイヤー上に形成する。形成されたワイヤーをFD水で洗浄し、そして乾燥させる。前記の製品を次に、上述のように還元した。
【0060】
走査型電子顕微鏡写真(図4)に構造化表面の平面図を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造化された焼結活性表面を有する半製品において、少なくとも1つの高融点金属を含有し、酸化され、次に再還元された表面を有する半製品。
【請求項2】
半製品が、チタン、モリブデン、タングステン、ニオブ、タンタル、あるいは1つあるいはそれより多くのそれらの金属の合金の表面を有する陽極導電体であることを特徴とする、請求項1に記載の半製品。
【請求項3】
半製品および/またはその被膜を、異なる金属および/または金属イオンで、および/または1つあるいはそれより多くのリン、窒素、ケイ素あるいはホウ素の元素でドープされていることを特徴とする、請求項1および2のいずれか1項に記載の半製品。
【請求項4】
構造化表面が50nm〜50μmの厚さであることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項に記載の半製品。
【請求項5】
酸化と、その次の還元後の半製品の比表面積が、酸化および次の還元を含む処理前の半製品の比表面積と比較して、およそ10〜100,000倍大きいことを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項に記載の半製品。
【請求項6】
20Vの電圧で形成するとき、厚さ50nm〜10μmを有する構造化表面が、基礎面積1cm2あたり1μF〜50μFのキャパシタンスを有することを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項に記載の半製品。
【請求項7】
焼結による、高キャパシタンス材料での被覆のための、請求項1から6までのいずれか1項に記載の半製品。
【請求項8】
請求項1から7までのいずれか1項に記載の半製品を含有する高キャパシタンス素子。
【請求項9】
請求項1から7までのいずれか1項に記載の半製品上に、さらなる高キャパシタンス材料を表面焼結させた半製品を含有する、請求項8に記載の素子。
【請求項10】
高キャパシタンス材料が高キャパシタンス粉末あるいは高キャパシタンス半製品であることを特徴とする、請求項9に記載の素子。
【請求項11】
高キャパシタンス材料が、高融点金属を含有することを特徴とする、請求項9に記載の素子。
【請求項12】
請求項1から7までのいずれか1項に記載の表面構造化半製品の製造方法において、
a)少なくとも1つの高融点金属を含有する表面の酸化、および
b)酸化した表面の次の還元
を含む方法。
【請求項13】
半製品表面を、処理前に少なくとも部分的に覆って、覆われていない領域だけに請求項11に記載の処理をすることを特徴とする、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
酸化が、熱酸化、陽極酸化あるいは化学酸化であることを特徴とする、請求項12および13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
還元を、リチウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム、ストロンチウム、アルミニウム、それらの水素化物あるいは水素によって実施することを特徴とする、請求項12から14までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
還元を、リチウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム、ストロンチウムあるいはアルミニウムの蒸気によって実施し、使用する金属に応じて還元を650℃〜3000℃の温度で実施することを特徴とする、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
熱処理した半製品を使用することを特徴とする、請求項12から16までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
高キャパシタンス素子の製造方法において、
高キャパシタンス材料を、請求項11から16までのいずれか1項に記載の表面構造化半製品の上に焼結工程によって結合させることを特徴とする方法。
【請求項19】
少なくとも1つの高融点金属を含有する高キャパシタンス材料を表面構造化半製品上へ表面焼結することを、1500℃より低い温度で実施することを特徴とする、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
請求項1から6までのいずれか1項に記載の表面構造化半製品を、高キャパシタンス材料と共に焼結することにより、高キャパシタンス素子の製造のために用いる使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2010−500771(P2010−500771A)
【公表日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−524177(P2009−524177)
【出願日】平成19年8月10日(2007.8.10)
【国際出願番号】PCT/EP2007/058293
【国際公開番号】WO2008/019992
【国際公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【出願人】(507239651)ハー.ツェー.スタルク ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (59)
【氏名又は名称原語表記】H.C. Starck GmbH
【住所又は居所原語表記】Im Schleeke 78−91, D−38642 Goslar, Germany
【Fターム(参考)】