説明

樹脂付着装置

【課題】フィラメントワインディング成形における、繊維に樹脂を付着させる樹脂付着装置であって、特に、液滴噴射方式の樹脂付着装置において、樹脂を繊維に噴射した後に、樹脂の主剤及び硬化剤を撹拌混合することで、主剤及び硬化剤の撹拌混合不良を防止する。
【解決手段】繊維3を搬送する搬送装置10と、搬送装置10により搬送される繊維3の表面に向けて、樹脂6の主剤21、及び硬化剤22を噴射する液滴噴射装置11と、繊維3の表面に付着した樹脂6の主剤21、及び硬化剤22を撹拌する撹拌装置12と、を具備し、撹拌装置12は、樹脂6の主剤21、及び硬化剤22が液滴噴射装置11から噴射される位置より下流側に設置されている、樹脂付着装置7である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
フィラメントワインディング成形において、繊維に樹脂を付着させる樹脂付着装置の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、フィラメントワインディング成形における樹脂付着装置として、樹脂が溜められる樹脂槽と、該樹脂槽内の樹脂に下部が浸かった状態で配置される回転ローラと、該回転ローラの表面に付着した樹脂の量を調整するためのナイフエッジと、を備え、前記回転ローラを繊維の送り速度に応じて回転させることにより、前記回転ローラの表面に付着した樹脂を、前記回転ローラの上部に触れつつ送られてくる繊維に付着させる、ローラ方式の装置が知られている(例えば、特許文献1)。
【0003】
ローラ方式の樹脂付着装置は、繊維の送り速度を速くすると回転ローラの表面に十分な量の樹脂が付着せず、結果として繊維に対して樹脂を十分に付着することができない。従って、ローラ方式では処理速度をあげると樹脂の付着ムラが生じるおそれがあるため、処理速度に限界があり、フィラメントワインディング成形の生産性向上の妨げになっていた。
【0004】
そこで、繊維をマンドレルに巻き付ける時点、ないしその前後に、繊維表面に向けて樹脂を噴射する液滴噴射方式の樹脂付着装置が発明されている(例えば、特許文献2)。
【特許文献1】特開2007−185827号公報
【特許文献2】特開平4−115930号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
液滴噴射方式の樹脂付着装置においては、樹脂の主剤と、硬化剤とを別々のノズルから搬送中の繊維に噴射する方式がある。この方式では、ノズル性能や液滴特性等の影響により、ノズルから噴射される液滴を充分に微少に出来ない場合や、主剤と硬化剤が充分近い状態で繊維に付着できない場合がある。この場合、主剤及び硬化剤が繊維に付着するものの、両剤が十分に撹拌混合されないため、不良な成形品を生産してしまうという問題点があった。
【0006】
本発明は、かかる問題を解決すべくなされたものであり、フィラメントワインディング成形における、繊維に樹脂を付着させる樹脂付着装置であって、特に、液滴噴射方式の樹脂付着装置において、樹脂を繊維に噴射した後に、樹脂の主剤及び硬化剤を撹拌混合することで、主剤及び硬化剤の撹拌混合不良を防止する樹脂付着装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0008】
第1の発明に係る樹脂付着装置は、フィラメントワインディング成形における、繊維に樹脂を付着させる樹脂付着装置であって、繊維を搬送する搬送装置と、該搬送装置により搬送される繊維の表面に向けて、樹脂の主剤、及び硬化剤を噴射する液滴噴射装置と、前記繊維の表面に付着した樹脂の主剤、及び硬化剤を撹拌する撹拌装置と、を具備し、前記撹拌装置は、前記樹脂の主剤、及び硬化剤が前記液滴噴射装置から噴射される位置より下流側に設置されている。
【0009】
第2の発明に係る樹脂付着装置は、第1の発明に係る樹脂付着装置において、前記撹拌装置は、前記繊維に接触する撹拌部材を有するものである。
【0010】
第3の発明に係る樹脂付着装置は、第2の発明に係る樹脂付着装置において、前記撹拌部材は、前記繊維を挟むように対向して設けられた撹拌ローラ対である。
【0011】
第4の発明に係る樹脂付着装置は、第3の発明に係る樹脂付着装置において、前記撹拌ローラは、ローラ表面に幅方向の溝が形成されているものである。
【0012】
第5の発明に係る樹脂付着装置は、第1の発明に係る樹脂付着装置において、前記撹拌装置は、前記繊維から離間した位置より前記樹脂の主剤、及び硬化剤を撹拌するものである。
【0013】
第6の発明に係る樹脂付着装置は、第5の発明に係る樹脂付着装置において、前記撹拌装置は、音波により振動撹拌する音波振動撹拌装置である。
【0014】
第7の発明に係る樹脂付着装置は、第1から第6のいずれか1つの発明に係る樹脂付着装置において、前記撹拌装置は前記繊維を加熱する加熱装置を具備するものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0016】
第1の発明においては、繊維の表面に付着した樹脂の主剤、及び硬化剤を撹拌する撹拌装置は、樹脂の主剤、及び硬化剤が液滴噴射装置から噴射される位置より下流側に設置されていることから、樹脂噴射時に主剤、及び硬化剤の撹拌混合不良が生じた場合でも、樹脂噴射後に主剤、及び硬化剤の撹拌混合が可能なため、撹拌混合不良がなく、不良な成形品の生産を防止することができる。
【0017】
第2の発明においては、撹拌装置が、繊維に接触する撹拌部材を有することから、搬送された繊維が撹拌装置を通過することで、繊維に付着した樹脂が撹拌部材と接触し、付着した樹脂の主剤、及び硬化剤が流動し、両剤を撹拌混合することができる。
【0018】
第3の発明においては、撹拌部材が、繊維を挟むように対向して設けられた撹拌ローラ対であることから、搬送された繊維が撹拌ローラを通過することで、繊維がローラに押され、付着した樹脂の主剤、及び硬化剤が流動し、両剤を撹拌混合することができる。
【0019】
第4の発明においては、撹拌ローラはローラ表面に幅方向の溝が形成されていることから、溝部が主剤、及び硬化剤の流動撹拌を促進するため、両剤の撹拌混合効率を向上することができる。また、繊維のローラ表面への付着を防止することができる。
【0020】
第5の発明においては、撹拌装置が繊維から離間した位置より樹脂の主剤、及び硬化剤を撹拌することから、撹拌装置が繊維に接触することなく、繊維に付着した主剤、及び硬化剤を撹拌混合することができる。そのため、繊維に対するダメージを軽減することができる。
【0021】
第6の発明においては、撹拌装置が音波により振動撹拌する音波振動撹拌装置であることから、撹拌装置が繊維に接触することなく、繊維に付着した主剤、及び硬化剤を撹拌混合することができる。そのため、繊維に対するダメージを軽減することができる。
【0022】
第7の発明においては、撹拌装置は繊維を加熱する加熱装置を具備することから、繊維を加熱することで主剤、及び硬化剤の撹拌混合が促進されるため、両剤の撹拌混合効率を向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態に係るフィラメントワインディング装置1(以下、FW装置1と称す)について図面に基づいて説明する。図1は本発明に係る樹脂付着装置7を含むFW装置1の斜視図である。
【0024】
FW装置1は、ボビン2からのカーボン繊維3(以下、繊維3とする)の解舒を担う解舒装置4と、繊維3に所定のテンションを付与するテンション装置5と、繊維3に対して樹脂6(図3)を噴射して付着させる樹脂付着装置7と、繊維3をトラバースさせるトラバース装置8と、から構成されている。
【0025】
FW装置1は、樹脂付着装置7により樹脂6が付着された繊維3をトラバース装置8によりトラバースしながら、マンドレル9に巻き付ける。繊維3は上下にフラット面を有するテープ状を呈しており、図1に示すように、樹脂付着装置7は繊維3の上面に樹脂6を付着させる。
【0026】
樹脂付着装置7は、搬送装置10と、液滴噴射装置11と、撹拌装置12と、から構成されている。
【0027】
搬送装置10は、液滴噴射装置11、及び撹拌装置12を挟むように、上流側に配置された第1搬送ローラ13と、下流側に配置された第2搬送ローラ14と、から構成されている。第1搬送ローラ13、及び第2搬送ローラ14はフリーローラであり、マンドレル9が回転して繊維3が走行することにより回転する。なお、第1搬送ローラ13、及び第2搬送ローラ14を駆動ローラとして、ローラ自体を回転させることも可能である。
【0028】
図2は、液滴噴射装置11の側面図である。
液滴噴射装置11は、第1ヘッド15・15・15と、第2ヘッド16・16・16と、主剤タンク17と、硬化剤タンク18と、第1経路19と、第2経路20と、から構成されている。
【0029】
第1ヘッド15・15・15は、主剤噴射用のノズル群である。第2ヘッド16・16・16は、硬化剤噴射用のノズル群である。各ヘッド15・16は繊維3の搬送方向に沿って交互に配置されている。
【0030】
主剤タンク17は樹脂6の主剤21が充填されている。硬化剤タンク18は硬化剤22が充填されている。
【0031】
第1経路19は、第1ヘッド15・15・15と主剤タンク17とを接続し、主剤タンク17に充填された主剤21を第1ヘッド15・15・15へ供給する。第2経路20は、第2ヘッド16・16・16と、硬化剤タンク18とを接続し、硬化剤タンク18に充填された硬化剤22を第2ヘッド16・16・16へ供給する。第1経路19及び第2経路20は、金属又は樹脂製の管や、ホース等からなる。なお、第1経路19及び第2経路20には、流量をコントロールするための電磁弁やポンプなどを設けることができる。
【0032】
図3は、第1ヘッド15、及び第2ヘッド16近傍の側面図である。
第1ヘッド15は第1経路19から供給された主剤21を受ける一つの接続室23と、接続室23に連設されて主剤21が溜められる一つの貯留室24と、貯留室24から分岐された複数個の圧力室25とを備える。各圧力室25には、主剤21の噴出し口となるノズル26aが設けられている。第1ヘッド15は、電圧により伸縮するピエゾ素子27を圧力室25に対する圧力発生源とするものであり、各圧力室25の隔壁(上壁)には、ピエゾ素子27により振動される振動板28が設置されている。ピエゾ素子27の伸縮を受けて、図3に仮想線で示すように、振動板28が下方に膨らむ凸状に姿勢変位すると、圧力室25内の体積が減少する。これにより、第1ヘッド15の下面に開口するノズル26aから、ピコリットルオーダーの所定量の液滴からなる主剤21が繊維3の上面に向けて噴射される。この状態から図3に実線で示すように振動板28がフラットに戻ると、圧力室25内の体積が増加する。これにより、貯留室24から圧力室25へ主剤21が供給される。
【0033】
接続室23には、主剤21を加熱して、所定温度(40〜100℃の一定温度)に維持するための熱線(恒温手段)29と、接続室23内の温度を検知するための温度センサ(不図示)とが設置されている。温度センサによる検出結果を予め設定されている閾値と比較し、この比較結果に基づいて熱線29をオン・オフ制御することで、主剤21を所定温度(例えば80℃以上)に保つ。
【0034】
第2ヘッド16の構成も第1ヘッド15の構成と同等であり、図3において、同一の部材には同一の符号を付して、その説明を省略する。なお、符号26bは、硬化剤吐出用のノズルを示す。
【0035】
撹拌装置12は、樹脂6の主剤21と硬化剤22の付着した繊維3に外力を加えて、主剤21又は硬化剤22を積極的に流動させて主剤21と硬化剤22とを混合させる装置である。図1に示すように、撹拌装置12は液滴噴射装置11の下流側に設置され、繊維3の表面に付着した樹脂6の主剤21、及び硬化剤22を撹拌混合する。つまり、撹拌装置12は樹脂6の主剤21、及び硬化剤22が液滴噴射装置11から噴射される位置より下流側に設けられ、液滴噴射装置11で樹脂6が付着された繊維3は、トラバース装置8によりトラバースされる前に、必ず撹拌装置12を通過し、付着した樹脂6の主剤21、及び硬化剤22が撹拌混合されることとなる。
【0036】
このように、樹脂付着装置7において、繊維3の表面に付着した樹脂6の主剤21、及び硬化剤22を撹拌混合する撹拌装置12は、主剤21、及び硬化剤22が液滴噴射装置11から噴射される位置より下流側に設置されていることから、樹脂6噴射時に主剤21、及び硬化剤22の撹拌混合不良が生じた場合でも、樹脂6噴射後に主剤21、及び硬化剤22の撹拌混合が可能なため、撹拌混合不良がなく、不良な成形品の生産を防止することができる。以下に撹拌装置12の実施例について説明する。
【0037】
撹拌装置12の第1実施例について説明する。図4は撹拌装置12の第1実施例である撹拌ローラ30・30の斜視図である。第1実施例に係る撹拌装置12は、撹拌部材として一対の撹拌ローラ30・30を有する。なお、第1実施例に係る撹拌装置12においては、撹拌ローラを一対設置した場合について説明するが、撹拌ローラ30・30を複数対設置しても構わない。
【0038】
撹拌ローラ30・30は、繊維3の上下のフラット面を挟むように対向して配置されている。撹拌ローラ30・30は、図示せぬ駆動源と接続され、撹拌ローラ30・30が繊維3をニップするニップ点31に搬送されてきた繊維3を搬送方向へ押し出す方向(図4矢印32、33)へ回動する。なお、撹拌ローラ30・30はフリーローラであってもよい。
【0039】
図4に示すように、液滴噴射装置11(図示左上方向)から搬送されてきた繊維3は、ニップ点31において撹拌ローラ30・30にニップされながら、図示右下方向へ搬送される。この時、繊維3は、図示上下方向から撹拌ローラ30・30により押された状態となる。繊維3が押された状態となることにより、繊維3に付着している主剤21、及び硬化剤22が互いに流動する。主剤21、及び硬化剤22が互いに流動することにより、両剤が撹拌され混合する。
【0040】
図4に示すように、撹拌ローラ30・30はローラ表面に溝34を具備する。溝34は撹拌ローラ30の軸方向に等間隔で設けられている。なお、図4においては、溝34が撹拌ローラ30の一部分にのみ設けられているが、溝34はローラ表面全体に設けられている。溝34は、撹拌ローラ30の側面からローラ表面の中心へ向けて、撹拌ローラ30の回転方向に対して角度をつけて設けられている。溝34が角度をつけて設けられていることから、撹拌ローラ30の回転の際に溝34の傾斜により、ローラ面に付着した主剤21、及び硬化剤22がローラ面の中心に集められ、集められた主剤21、及び硬化剤22が、後に搬送される繊維3へ再付着し易くなる。なお、撹拌ローラ30・30は、ローラ表面が溝加工となっているものに限定されず、ローラ表面が梨地加工であっても構わない。
【0041】
撹拌ローラ30は軸心にヒータ40が挿入されている。ヒータ40は電源41に接続されている。ヒータ40が加熱されることにより、撹拌ローラ30のローラ表面が加熱される。ローラ表面が加熱されることで、ニップ点31でニップされた繊維3も加熱される。
【0042】
ヒータ40は図示下側の撹拌ローラ30のみに挿入されているが、図示上側の撹拌ローラ30のみに挿入してもよく、また、撹拌ローラ30・30の両方に挿入しても構わない。また、加熱装置はヒータ40に限定されるものではなく、撹拌ローラ30のローラ表面が加熱されれば、他の方式の加熱装置を設けても構わない。
【0043】
このように、第1実施例に係る撹拌装置12を具備する樹脂付着装置7は、撹拌装置12が、撹拌部材として、繊維3を挟むように対向して設けられた一対の撹拌ローラ30・30を有することから、搬送された繊維3が撹拌ローラ30・30を通過することで、繊維3がローラに押され、付着した樹脂6の主剤21、及び硬化剤22が流動し、両剤を撹拌混合することができる。
【0044】
また、第1実施例に係る撹拌装置12を具備する樹脂付着装置7は、撹拌ローラ30・30が、ローラ表面に幅方向の溝34が形成されていることから、溝34が主剤21、及び硬化剤22の流動撹拌を促進するため、両剤の撹拌混合効率を向上することができる。また、繊維6のローラ表面への付着を防止することができる。
【0045】
さらに、第1実施例に係る撹拌装置12を具備する樹脂付着装置7は、撹拌装置12である撹拌ローラ30が繊維3を加熱する加熱装置を具備することから、繊維3を加熱することで主剤21、及び硬化剤22の撹拌混合が促進されるため、両剤の撹拌混合効率を向上することができる。
【0046】
なお、上記第1実施例では、撹拌部材が繊維に接触して撹拌を行うものとして記載したが、その他に例えば、ローラに所定の角度で巻き付き接触するだけのタイプ、あるいは、板状体に押圧接触するタイプなど種々の機構が適用可能である。
【0047】
次に、撹拌装置12の第2実施例について説明する。図5は撹拌装置12の第2実施例である音波振動撹拌装置35の側面図である。第2実施例に係る撹拌装置12は、繊維3から離間した位置より樹脂6の主剤21、及び硬化剤22を撹拌混合する。繊維3から離間した位置より主剤21、及び硬化剤22を撹拌混合する撹拌装置12としては、図5に示すような、音波により振動撹拌する音波振動撹拌装置35が挙げられる。以下、音波振動撹拌装置35について説明する。なお、第2実施例に係る撹拌装置12においては、音波振動撹拌装置35を一台設置した場合について説明するが、音波振動撹拌装置35を複数台設置しても構わない。
【0048】
図5に示すように、音波振動撹拌装置35は、振動子36と、高周波電源37と、から構成されている。振動子36は、音波振動撹拌装置35の撹拌部を形成する。振動子36は、電圧を加えると歪みが生じる圧電素子材料である。高周波電源37は、振動子36と接続され、振動子36に電圧を供給する。なお、音波振動撹拌装置35は、振動子36と、高周波電源37と、から構成されるものに限定されることはなく、音波を発することで振動を繊維3に伝達し、且つ撹拌部が繊維3と非接触であればよい。
【0049】
音波振動撹拌装置35は、振動子36が繊維3の上面近傍となるように設置される。振動子36から繊維3までの距離は特に限定されないが、振動子36の音波振動が繊維3に伝わる距離であればよい。ただし、振動子36と繊維3とは非接触である。
【0050】
図5に示すように、液滴噴射装置11から搬送された繊維3は、音波振動撹拌装置35の下部を通過する。この時、振動子36は高周波電源37より電圧が供給されることで振動運動を行う。振動子36が振動運動をすることにより音波振動が発生する。この音波振動が繊維3に伝わることで繊維3が振動する。繊維3が振動することで、繊維3に付着している主剤21、及び硬化剤22が互いに流動する。主剤21、及び硬化剤22が互いに流動することにより、両剤が撹拌され混合する。
【0051】
音波振動撹拌装置35は、下部に加熱装置42を具備する。音波振動撹拌装置35を作動させるとともに、加熱装置42を同時に作動させることにより、繊維3を下部から加熱しながら、繊維3に付着した樹脂6を上部から撹拌混合することができる。
【0052】
第2実施例に係る撹拌装置12は、音波により振動撹拌する音波振動撹拌装置35に限定して説明したが、撹拌部が繊維3から離間し、且つ繊維3に付着した樹脂6の主剤21、及び硬化剤22を撹拌混合するものであれば、音波により振動撹拌する音波振動撹拌装置35に限定されない。
【0053】
このように、第2実施例に係る撹拌装置12を具備する樹脂付着装置7は、撹拌装置12の撹拌部が繊維から離間して設けられていることから、撹拌装置12の撹拌部が繊維3に接触することなく、繊維3に付着した主剤21、及び硬化剤22を撹拌混合をすることができる。そのため、繊維3に対するダメージを軽減することができる。
【0054】
また、第2実施例に係る撹拌装置12を具備する樹脂付着装置7は、撹拌装置12が繊維3を加熱する加熱装置を具備することから、繊維3を加熱することで主剤21、及び硬化剤22の撹拌混合が促進されるため、両剤の撹拌混合効率を向上することができる。
【0055】
なお、本発明に係る撹拌装置12は、第1及び第2実施例に限定されるものではなく、繊維3に付着した樹脂6の主剤21、及び硬化剤22を撹拌混合できる構成であればよい。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明に係る樹脂付着装置7を含むFW装置1の斜視図。
【図2】液滴噴射装置11の側面図。
【図3】第1ヘッド15、及び第2ヘッド16近傍の側面図。
【図4】撹拌装置12の第1実施例である撹拌ローラ30・30の斜視図。
【図5】撹拌装置12の第2実施例である音波振動撹拌装置35の側面図。
【符号の説明】
【0057】
3 繊維
6 樹脂
7 樹脂付着装置
10 搬送装置
11 液滴噴射装置
12 撹拌装置
21 主剤
22 硬化剤
30 撹拌ローラ
34 溝
35 音波振動撹拌装置
40 ヒータ
42 加熱装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィラメントワインディング成形における、繊維に樹脂を付着させる樹脂付着装置であって、
繊維を搬送する搬送装置と、
該搬送装置により搬送される繊維の表面に向けて、樹脂の主剤、及び硬化剤を噴射する液滴噴射装置と、
前記繊維の表面に付着した樹脂の主剤、及び硬化剤を撹拌する撹拌装置と、
を具備し、
前記撹拌装置は、前記樹脂の主剤、及び硬化剤が前記液滴噴射装置から噴射される位置より下流側に設置されている、
ことを特徴とする樹脂付着装置。
【請求項2】
前記撹拌装置は、前記繊維に接触する撹拌部材を有することを特徴とする請求項1に記載の樹脂付着装置。
【請求項3】
前記撹拌部材は、前記繊維を挟むように対向して設けられた撹拌ローラ対であることを特徴とする請求項2に記載の樹脂付着装置。
【請求項4】
前記撹拌ローラは、ローラ表面に幅方向の溝が形成されていることを特徴とする請求項3に記載の樹脂付着装置。
【請求項5】
前記撹拌装置は、前記繊維から離間した位置より前記樹脂の主剤、及び硬化剤を撹拌することを特徴とする請求項1に記載の樹脂付着装置。
【請求項6】
前記撹拌装置は、音波により振動撹拌する音波振動撹拌装置であることを特徴とする請求項5に記載の樹脂付着装置。
【請求項7】
前記撹拌装置は、前記繊維を加熱する加熱装置を具備することを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の樹脂付着装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−126054(P2009−126054A)
【公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−303336(P2007−303336)
【出願日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】