説明

樹脂充填装置

【課題】ケーシングには上方に開口するように樹脂注入口が形成されており、この樹脂注入口から定量の樹脂を注入するが、電子部品が内蔵されたケーシング内に短時間で確実に樹脂を充填することのできる樹脂充填装置を提供する。
【解決手段】ケーシング4を載置した状態で回転する回転板1を備え、この回転板1の上面に、ケーシング4の樹脂注入口41を回転軸心R上に位置させ、かつ上方に開口するように保持する保持機構3を設け、回転板1とともにケーシング4を回転させた状態で樹脂注入口41に上方から樹脂を注入する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品が内蔵されたケーシング内に樹脂を充填する樹脂充填装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ケーシング内に電子部品を内蔵する場合、さらにケーシング内にエポキシ等の樹脂を充填し、耐候性などを向上させることが行われている。ケーシングには上方に開口するように樹脂注入口が形成されており、この樹脂注入口から定量の樹脂を注入する。
【0003】
一般に従来ではこの樹脂注入口からケーシング内部に、樹脂の自重で注入し、ケーシング内部では樹脂が自重によってケーシング内の空間に拡がって行くように構成されている。また、樹脂が内部空間内の隅々に行き渡るように、注入工程の途中でケーシングの姿勢を変更することも行われている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2005−19723号公報(図5)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献に記載された樹脂の充填方法では、樹脂の自重によって樹脂がケーシング内部に拡がるのを待たなければならないので、充填速度を速くすることができず充填に長時間を要することとになる。また、充填校からケーシング内部に入った樹脂がすぐに狭い部分を通らなければならないような形状の場合には、その狭い部分を樹脂が塞がないようにさらに充填速度を遅くしなければならない。特に冬期のように樹脂の粘度が高くなる場合には更に充填時間が長くなるという不具合が生じる。
【0005】
そこで本発明は、上記の問題点に鑑み、ケーシング内に短時間で確実に樹脂を充填することのできる樹脂充填装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明による樹脂充填装置は、電子部品が内蔵されたケーシング内に樹脂を充填する樹脂充填装置において、ケーシングを載置した状態で回転する回転板を備え、この回転板の上面に、ケーシングの樹脂注入口を回転軸心上に位置させ、かつ上方に開口するように保持する保持機構を設け、回転板とともにケーシングを回転させた状態で樹脂注入口に上方から樹脂を注入することを特徴とする。
【0007】
樹脂注入口は回転軸心上に位置するので、回転板が回転しても樹脂注入口の位置は変化しない。従って、外部から樹脂注入口への樹脂の注入装置は回転させる必要がなく従来通りの手法で樹脂をケーシング内に注入できる。注入された樹脂は遠心力により強制的にケーシングの内部を回転軸心から遠ざかる方向に移動する。加点速度を速くするほど遠心力が大きくなり、樹脂の粘度に応じて回転速度を適切に設定すると、樹脂の自重で充填する場合より速い速度でケーシング内に樹脂を行き渡らせることができる。
【0008】
なお、上記回転板はサーボモータにより回転され、上記保持機構に対してケーシングを着脱するために設定された投入位置および払出位置で保持機構を停止し得るように構成することが望ましい。
【発明の効果】
【0009】
以上の説明から明らかなように、本発明は、ケーシングを回転させながら樹脂を注入するので樹脂が遠心力でケーシング内を移動し、そのため短時間で樹脂をケーシング内の隅々まで充填することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図1を参照して、1は回転板であり駆動モータ2によって回転自在に保持されている。このモータ2はサーボモータであり、付属のロータリエンコーダ21により回転自在に保持されている。このサーボモータ2にはロータリエンコーダ21が取り付けられており、ロータリーエンコーダ21から出力される位相信号を基に図外のコントローラによってフィードバック制御されている。従って、回転速度のほか、停止位置を自在に設定することができる。
【0011】
回転板1の上面には保持機構であるホルダ3が取り付けられている。このホルダ3にはケーシング4が着脱自在に保持されるように構成されている。ケーシング4内には図示しない電子部品が内蔵されており、上面に開口する樹脂の注入口41が開設されている。ホルダ3にケーシング4をセットすると、注入口41が回転板1の回転軸線Rの線上に位置するように設定されている。従って、ホルダ3にケーシング4をセットした状態で回転板1を回転させると、注入口41は常に回転軸線R上から移動しない。
【0012】
回転板3の上方には樹脂を定量吐出する注入装置6が上下方向に進退自在に取り付けられている。なお、注入装置6のノズル61は回転軸線R上に位置するように設定されている。なお、5は回転板1の回転時の振動を軽減するためのバランサである。
【0013】
上記構成で、ホルダ3が予め設定された投入および払出位置になるように回転板1を停止させる。その状態で図示しないローダによってホルダ3にケーシング4をセットする。なお、その際注入装置6は上方に待避している。ケーシング4をホルダ3にセットすると回転板1は所定の回転速度になるように回転を開始するとともに、注入装置6を下降させ、ノズル61の先端が注入口41内に入り込ませる。その状態でノズル61からケーシング4内にエポキシ樹脂を定量注入する。注入されたエポキシ樹脂は遠心力により回転軸線Rから離れる方向に移動する。その際、ケーシング4内の空気とエポキシ樹脂とが置換されるが、空気の抜け道がエポキシ樹脂によって閉塞されても、遠心力がエポキシ樹脂に作用するため空気はエポキシ樹脂によって押し出され、エポキシ樹脂はケーシング4内の隅々にまで行き渡る。
【0014】
さらに回転を継続して十分に抜気した後、回転板1を停止させるとともに注入装置6を上方に待避させる。そしてホルダ3が上記の投入および払出位置になるように回転板1を位置決めする。上記の図示しないローダにより充填済みのケーシング4をホルダ3から取り外すとともに新たなケーシング4をホルダ3にセットし、上述の充填サイクルを繰り返す。
【0015】
なお、本発明は上記した形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加えてもかまわない。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施の形態の構成を示す図
【符号の説明】
【0017】
1 回転板
2 モータ
3 ホルダ
4 ケーシング
6 注入装置
41 注入口
R 回転軸線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品が内蔵されたケーシング内に樹脂を充填する樹脂充填装置において、ケーシングを載置した状態で回転する回転板を備え、この回転板の上面に、ケーシングの樹脂注入口を回転軸心上に位置させ、かつ上方に開口するように保持する保持機構を設け、回転板とともにケーシングを回転させた状態で樹脂注入口に上方から樹脂を注入することを特徴とする樹脂充填装置。
【請求項2】
上記回転板はサーボモータにより回転され、上記保持機構に対してケーシングを着脱するために設定された投入位置および払出位置で保持機構を停止し得るようにしたことを特徴とする請求項1に記載の樹脂充填装置。

【図1】
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【公開番号】特開2010−12620(P2010−12620A)
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−172214(P2008−172214)
【出願日】平成20年7月1日(2008.7.1)
【出願人】(000100562)アール・ビー・コントロールズ株式会社 (97)
【Fターム(参考)】