説明

樹脂組成物、プリプレグおよび金属箔張積層板

【課題】誘電特性や耐熱性に優れ、難燃性が良好なシアン酸エステル樹脂組成物およびこれを用いたプリプレグ、金属箔張積層板の提供。
【解決手段】ブロム化エポキシ樹脂(a)、シアン酸エステル樹脂(b) 、スチレン及び/又は置換スチレンの低重合体(c)、ブロム化ポリカーボネートオリゴマー(d)、球状シリカ(e)を含有する樹脂組成物であって、該樹脂組成物中のシアネート基/エポキシ基の当量比が2.5〜4.5の範囲である樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント配線板材料用のプリプレグ及び積層板に関する。本発明で得られるプリプレグや金属箔張積層板は、誘電特性や耐熱性に優れ、難燃性が良好なことから、主に高周波用分野の多層プリント配線板材料として好適である。
【背景技術】
【0002】
近年、パーソナルコンピューター、サーバーをはじめとする情報端末機器およびインターネットルーター、光通信などの通信機器は、大容量の情報を高速で処理することが要求され、電気信号の高速化・高周波化が進んでいる。それに伴い、これらに用いられるプリント配線板用の積層板は高周波への要求に対応するため、低誘電率化、誘電正接化、特に低誘電正接が求められている。これとは別に、環境問題から溶融温度が高い鉛フリーはんだが使用され始めており(例えば特許文献1参照)、更なる耐熱性も要求されている。従来、高周波用途の積層板材料としては、主にポリフェニレンエーテル樹脂(特許文献2参照)やシアン酸エステル樹脂(例えば特許文献3参照)などが使用されているが、ポリフェニレンエーテル樹脂は、分子量が比較的高分子量であるため、溶融粘度が高く、成形時の流れ特性が不十分であり、特に多層板において制約が大きく実用性に問題がある。また、シアン酸エステル樹脂は、溶融粘度が低く、成形性は良好であるが、低誘電率,低誘電正接の点でやや不十分であることや、耐熱性については、共晶はんだ環境下においては特に認められないが、高温処理される鉛フリーはんだ環境下では、耐熱性への要求が非常に厳しくなるため、耐熱性においても改善が必要であった。
【0003】
【特許文献1】特開2001−308509号公報
【特許文献2】特開2005−112981号公報
【特許文献3】特開2005−120173号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、誘電特性や耐熱性に優れ、難燃性が良好なシアン酸エステル樹脂組成物およびこれを用いたプリプレグ、金属箔張積層板を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、上記した課題を解決するため、鋭意検討した結果、エポキシ樹脂とシアン酸エステル樹脂と特定の熱可塑性樹脂と球状シリカを必須成分とする樹脂組成物であって、シアネート基/エポキシ基の当量比が特定範囲である樹脂組成物を使用することにより、誘電特性や耐熱性に優れる金属箔張積層板が得られることを見出し、本発明に至った。即ち本発明は、ブロム化エポキシ樹脂(a)、シアン酸エステル樹脂(b) 、スチレン及び/又は置換スチレンの低重合体(c)、ブロム化ポリカーボネートオリゴマー(d)、球状シリカ(e)を含有する樹脂組成物であって、該樹脂組成物中のシアネート基/エポキシ基の当量比が2.5〜4.5の範囲である樹脂組成物であり、好ましくは、該樹脂組成物中のスチレン及び/又は置換スチレンの低重合体(c)の含有量が、樹脂組成物中の樹脂固形分に対して、3〜20重量%、該樹脂組成物中のブロム化ポリカーボネートオリゴマー(d)の含有量が、樹脂組成物中の樹脂固形分に対して、3〜25重量%、該樹脂組成物中の球状シリカ(e)の含有量が、樹脂組成物中の樹脂固形分 100重量部に対して、10〜50重量部である樹脂組成物であり、より好ましくは、これら樹脂組成物を基材に含浸又は塗布してなるプリプレグであり、これらプリプレグを少なくとも1枚以上重ね、その片面もしくは両面に金属箔を配して積層成形して得られる金属箔張積層板である。
【発明の効果】
【0006】
本発明の樹脂組成物から得られるプリプレグや、これを硬化した金属箔張積層板は、誘電特性や耐熱性に優れ、難燃性も良好であることから、高周波用途の多層プリント配線板材料に好適であり、工業的な実用性は極めて高いものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明で使用するブロム化エポキシ樹脂(a)とは、1分子中に2個以上のエポキシ基を有する臭素原子含有化合物であれば特に限定されない。具体的には、ブロム化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ブロム化フェノールノボラック型エポキシ樹脂などが例示され、1種あるいは2種類以上を適宜混合して使用することも可能である。樹脂組成物中のブロム化エポキシ樹脂(a)の含有量は、樹脂組成物中の樹脂固形分において、50重量%以下であり、好ましくは、5〜40重量%である。上記下限値未満では難燃性が低下し、上限値を超えると、耐熱性が低下する問題が生じる。
【0008】
本発明の樹脂組成物には、ブロム化エポキシ樹脂(a)以外の非ブロム化エポキシ樹脂を含有させることも可能である。非ブロム化エポキシ樹脂としては、具体的には、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、トリスフェノールメタン型エポキシ樹脂、多官能フェノール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂、シクロペンタジエン型エポキシ樹脂、イソシアネート変性エポキシ樹脂などが例示され、1種あるいは2種類以上を適宜混合して使用することも可能である。
【0009】
本発明で使用するシアン酸エステル樹脂(b)とは、1分子中に2個以上のシアネート基を有する化合物であれば特に限定されない。具体的には、1,3-ジシアネートベンゼン、1,3,5-トリシアネートベンゼン、ビス(3,5-ジメチル-4-シアネートフェニル)メタン、1,3-、1,4-、1,6-、1,8-、2,6-または2,7-ジシアネートナフタレン、1,3,8-トリシアネートナフタレン、4,4’-ジシアネートビフェニル、ビス(4-シアネートフェニル)メタン、2,2-ビス(4-シアネートフェニル)プロパン、2,2-ビス(3,5-ジブロモ-4-シアネートフェニル)プロパン、ビス(4-シアネートフェニル)エーテル、ビス(4-シアネートフェニル)チオエーテル、ビス(4-シアネートフェニル)スルフォンおよび各種ノボラック樹脂とブロム化シアンとの反応によって得られるシアン酸エステル化合物などが例示され、1種または2種以上を適宜混合して使用することも可能である。好ましいシアン酸エステル化合物(b)としては、2,2-ビス(4-シアネートフェニル)プロパン、ビス(3,5-ジメチル-4-シアネートフェニル)メタン、フェノールノボラック型シアン酸エステル、ナフトールアラルキルノボラック型シアン酸エステル、およびそれらのプレポリマーが挙げられる。樹脂組成物中のシアン酸エステル樹脂(b)の含有量は、シアン酸エステル樹脂(b)のシアネート基と、ブロム化エポキシ樹脂(a)と非ブロム化エポキシ樹脂を併せたエポキシ樹脂の合計エポキシ基との当量比で、シアネート基/エポキシ基で2.5〜4.5の範囲であり、好ましくは2.8〜4.4の範囲が好適である。上記範囲の下限値未満では電気特性、特に誘電正接の増加が大きく、上限値を超えると吸湿時の材料物性、特に吸湿耐熱性の低下が大きくなり本目的に適さない。
【0010】
本発明で使用するスチレン及び/又は置換スチレンの低重合体(c)とは、スチレン、ビニルトルエン、α-メチルスチレンからなる芳香族ビニル化合物の1種或いは2種以上を重合してなる、数平均分子量 178〜800、平均の芳香核数が 2〜6、芳香核数の 2〜6の合計の含有量が 50重量%以上、沸点が 300℃以上である分岐構造のない化合物或いは樹脂である。樹脂組成物中のスチレン及び/又は置換スチレンの低重合体(c)の含有量は特に限定はないが、樹脂組成物中の樹脂固形分において、3〜20重量%の範囲が好ましく、5〜15重量%の範囲が特に好適である。上記範囲の下限値未満では電気特性、特に誘電正接が増加し、上限値を超えるとガラス転移点が低下するなどの問題が生じる。
【0011】
本発明で使用するブロム化ポリカーボネートオリゴマー(d)とは、ポリカーボネート構造を有する臭素原子含有オリゴマーであれば、特に限定されない。ブロム化ポリカーボネートオリゴマー(d)の分子量は特に限定されないが、重量平均分子量で 500〜3000のものが好適である。樹脂組成物中のブロム化ポリカーボネートオリゴマー(d)の含有量は特に限定はないが、樹脂組成物中の樹脂固形分おいて、3〜25重量%の範囲が好ましく、5〜20重量%の範囲が特に好適である。上記範囲の下限値未満では電気特性、特に誘電正接が増加し、また難燃性が不足し、上限値を超えると耐熱性の低下が大きくなるなどの問題が生じる。
【0012】
本発明で使用する球状シリカ(e)としては、球状溶融シリカ、球状合成シリカが挙げられ、1種もしくは2種類以上を適宜混合して使用することも可能である。球状シリカ(e)の平均粒径としては、3μm以下が好ましく、特に平均粒径 0.1〜1μmの球状シリカがより好適である。樹脂組成物中の球状シリカ(e)の含有量は特に限定はないが、樹脂組成物中の樹脂固形分 100重量部に対し、10〜50重量部の範囲が好ましく、20〜40重量部の範囲が特に好適である。上記範囲の下限値未満では電気特性、特に誘電率が増加し、上限値を超えると、ドリル加工時の小径ドリルビットの折損や、成形時の流れ特性が悪化するなどの問題が生じる。球状シリカ(e)の表面処理については、積層板用途において一般に使用されるものであれば適用可能であり、エポキシシラン処理、アミノシラン処理などが例示される。
【0013】
本発明の樹脂組成物には必要に応じて、硬化促進剤を使用することが可能である。これらは公知であり、一般に使用されているものであれば特に限定されない。代表例としては、銅、亜鉛、コバルト、ニッケル等の有機金属塩類、イミダゾール類およびその誘導体、第3級アミンなどが挙げられる。
【0014】
本発明において、必要に応じて有機溶剤を使用するが、その種類としては、ブロム化エポキシ樹脂(a)とシアン酸エステル樹脂(b)の混合物と相溶するものであれば、特に限定されない。具体的には、アセトン、メチルエチルケトン、メチルセルソルブ、プロピレングリコールメチルエーテルおよびそのアセテート、トルエン、キシレン、ジメチルホルムアミドなどが挙げられ、これらは1種あるいは2種以上を適宜混合して使用することも可能である。
【0015】
本発明で使用する基材としては、各種のプリント配線板用材料に用いられている周知のものを使用することができる。基材の材質としては、Eガラス、Dガラス、Sガラス、Tガラス、NEガラスなどの無機繊維、ポリイミド、ポリアミド、ポリエステルなどの有機繊維などが例示され、目的とする用途や性能により適宜することが可能である。基材の形状としては織布、不織布などが例示される。基材の厚みについては、特に制限されるものではないが、通常は 0.02〜0.2mm程度を使用する。また、シランカップリング剤などで表面処理したものや物理的に開繊処理を施したものは、吸湿耐熱性の面から好適に使用できる。
【0016】
本発明におけるプリプレグの製造方法は、ハロゲン化エポキシ樹脂(a)、シアン酸エステル樹脂(b)、スチレン及び/又は置換スチレンの低重合体(c)、ブロム化ポリカーボネートオリゴマー(d)、球状シリカ(e)を必須成分として含有する樹脂組成物と基材とを組み合わせてプリプレグが得られる方法であれば、特に限定されない。例えば、上記樹脂組成物を基材に含浸または塗布させた後、100〜200℃の乾燥機中で、1〜30分加熱させる方法などにより半硬化(Bステ-ジ化)させ、プリプレグを製造する方法などが挙げられる。プリプレグにおける基材に対する球状シリカを含む樹脂組成物量は、30〜90重量%の範囲が好ましい。
【0017】
本発明の金属箔張積層板は、上述のプリプレグを用いて積層成形したものである。具体的には前述のプリプレグを1枚あるいは複数枚以上を重ね、所望によりその片面もしくは両面に、銅やアルミニウムなどの金属箔を配置した構成で、積層成形することにより製造する。使用する金属箔は、プリント配線板材料に用いられるものであれば、特に限定されないが、圧延銅箔、電解銅箔などの公知の銅箔が好ましい。金属箔の厚みは、3〜70μmが好ましく、好適には5〜18μである。成形条件としては、通常のプリント配線板用積層板および多層板の手法が適用できる。例えば、多段プレス、多段真空プレス、連続成形、オートクレーブ成形機などを使用し、温度は 150〜300℃、圧力は 2〜100kgf/cm2、加熱時間は 0.05〜5時間の範囲が一般的である。また、本発明のプリプレグと、別途作成した内層用の配線板を組み合わせ、積層成形することにより、多層板とすることも可能である。以下に実施例、比較例を示し、本発明を詳細に説明する。
【実施例】
【0018】
(実施例1)
2,2-ビス(4-シアネートフェニル)プロパンのプレポリマー(CA210:シアネート当量139、三菱ガス化学製) 44重量部、ブロム化ビスフェノールA型エポキシ樹脂(DER515、エポキシ当量545、Br.含有量 23%、ダウケミカルジャパン) 27重量部、ブロム化ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エピクロン153、エポキシ当量400、Br.含有量 48%、大日本インキ化学工業製) 9重量部、ブロム化ポリカーボネートオリゴマー(FG8500、重量平均分子量3000、Br.含有量 58%、 帝人化成製) 10重量部、低分子量ポリスチレン(PICCOLASTIC A-5、米国ハーキュリーズ社製) 10重量部、球状合成シリカ(SC2050、平均粒径0.5μm、アドマテックス製) 30重量部、オクチル酸亜鉛 0.015重量部を攪拌混合しワニスを得た。このワニスをメチルエチルケトンで希釈し、厚さ0.08mmのEガラスクロスに含浸させ、160℃で 8分加熱させて、樹脂組成物量が 54重量%のプリプレグを得た。次に、このプリプレグを 8枚重ねたものの上下面に 18μmの電解銅箔を配置し、温度 200℃、面圧 30kgf/cmで160分間プレスし、厚さ 0.8mmの両面銅張積層板を得た。物性測定結果を表1に示す。
【0019】
(実施例2)
2,2-ビス(4-シアネートフェニル)プロパンのプレポリマー(CA210) 40重量部、ブロム化ビスフェノールA型エポキシ樹脂(DER515) 30重量部、ブロム化ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エピクロン153) 10重量部、ブロム化ポリカーボネートオリゴマー(FG8500) 10重量部、α-メチルスチレンオリゴマー(クリスタレックス3085 重量平均分子量:664、米国ハーキュレス製) 10重量部、球状合成シリカ(SC2050) 25重量部、オクチル酸亜鉛 0.02重量部を攪拌混合しワニスを得た。このワニスを使用する以外は実施例1と同様に行い、厚さ 0.8mmの両面銅張積層板を得た。物性測定結果を表1に示す。
【0020】
(実施例3)
2,2-ビス(4-シアネートフェニル)プロパンのプレポリマー(CA210) 50重量部、ブロム化ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エピクロン153) 10重量部、ブロム化フェノールノボラック型エポキシ樹脂(BREN-S、エポキシ当量285、Br.含有量 36%、日本化薬製) 10重量部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エピコート 828EL、エポキシ当量190、ジャパンエポキシレジン製) 10重量部、ブロム化ポリカーボネートオリゴマー(FG8500) 10重量部、低分子量ポリスチレン(PICCOLASTIC A-5) 10重量部、球状溶融シリカ(FB-3SDC、平均粒径3μm、電気化学工業製) 20重量部、オクチル酸亜鉛 0.02重量部を攪拌混合しワニスを得た。このワニスを使用する以外は実施例1と同様に行い、厚さ 0.8mmの両面銅張積層板を得た。物性測定結果を表1に示す。
【0021】
(実施例4)
2,2-ビス(4-シアネートフェニル)プロパンのプレポリマー(CA210) 48重量部、ブロム化ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エピクロン153) 5重量部、クレゾールノボラック型エポキシエポキシ樹脂(ESCN-220F、エポキシ当量215、住友化学製) 10重量部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エピコート 828EL) 12重量部、ブロム化ポリカーボネートオリゴマー(FG8500) 20重量部、低分子量ポリスチレン(PICCOLASTIC A-5) 5重量部、球状合成シリカ(SC2050) 40重量部、オクチル酸亜鉛 0.02重量部を攪拌混合しワニスを得た。このワニスを使用する以外は実施例1と同様に行い、厚さ 0.8mmの両面銅張積層板を得た。物性測定結果を表1に示す。
【0022】
(実施例5)
2,2-ビス(4-シアネートフェニル)プロパンのプレポリマー(CA210) 40重量部、ブロム化ビスフェノールA型エポキシ樹脂(DER515) 30重量部、ブロム化ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エピクロン153) 10重量部、ブロム化ポリカーボネートオリゴマー(FG8500) 5重量部、低分子量ポリスチレン(PICCOLASTIC A-5) 15重量部、球状合成シリカ(SC2050) 25重量部、オクチル酸亜鉛 0.02重量部を攪拌混合しワニスを得た。このワニスを使用する以外は実施例1と同様に行い、厚さ 0.8mmの両面銅張積層板を得た。物性測定結果を表1に示す。
【0023】
(比較例1)
2,2-ビス(4-シアネートフェニル)プロパンのプレポリマー(CA210) 30重量部、ブロム化ビスフェノールA型エポキシ樹脂(DER515) 45重量部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エピコート 828EL) 5重量部、ブロム化ポリカーボネートオリゴマー(FG8500) 10重量部、低分子量ポリスチレン(PICCOLASTIC A-5) 10重量部、球状合成シリカ(SC2050) 30重量部、オクチル酸亜鉛 0.04重量部を攪拌混合しワニスを得た。このワニスを使用する以外は実施例1と同様に行い、厚さ 0.8mmの両面銅張積層板を得た。物性測定結果を表1に示す。
【0024】
(比較例2)
2,2-ビス(4-シアネートフェニル)プロパンのプレポリマー(CA210) 60重量部、ブロム化ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エピクロン153) 25重量部、ブロム化ポリカーボネートオリゴマー(FG8500) 10重量部、低分子量ポリスチレン(PICCOLASTIC A-5) 5重量部、球状合成シリカ(SC2050) 30重量部、オクチル酸亜鉛 0.01重量部を攪拌混合しワニスを得た。このワニスを使用する以外は実施例1と同様に行い、厚さ 0.8mmの両面銅張積層板を得た。物性測定結果を表2に示す。
【0025】
(比較例3)
2,2-ビス(4-シアネートフェニル)プロパンのプレポリマー(CA210) 40重量部、ブロム化ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エピクロン153) 20重量部、ブロム化フェノールノボラック型エポキシ樹脂(BREN-S) 10重量部、ブロム化ポリカーボネートオリゴマー(FG8500) 30重量部、球状合成シリカ(SC2050) 30重量部、オクチル酸亜鉛 0.02重量部を攪拌混合しワニスを得た。このワニスを使用する以外は実施例1と同様に行い、厚さ 0.8mmの両面銅張積層板を得た。物性測定結果を表2に示す。
【0026】
(比較例4)
2,2-ビス(4-シアネートフェニル)プロパンのプレポリマー(CA210) 42重量部、ブロム化ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エピクロン153) 33重量部、低分子量ポリスチレン(PICCOLASTIC A-5) 25重量部、球状合成シリカ(SC2050) 20重量部、オクチル酸亜鉛 0.02重量部を攪拌混合しワニスを得た。このワニスを使用する以外は実施例1と同様に行い、厚さ 0.8mmの両面銅張積層板を得た。物性測定結果を表2に示す。
【0027】
(比較例5)
2,2-ビス(4-シアネートフェニル)プロパンのプレポリマー(CA210) 45重量部、ブロム化ビスフェノールA型エポキシ樹脂(DER515) 30重量部、ブロム化ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エピクロン153)5重量部、ブロム化ポリカーボネートオリゴマー(FG8500) 10重量部、低分子量ポリスチレン(PICCOLASTIC A-5) 10重量部、破砕シリカ(FS-20、平均粒径4.9μm、電気化学工業製) 60重量部、オクチル酸亜鉛 0.02重量部を攪拌混合しワニスを得た。このワニスを使用する以外は実施例1と同様に行い、厚さ 0.8mmの両面銅張積層板を得た。物性測定結果を表2に示す。
【0028】
【表1】

【0029】
【表2】

【0030】
(測定方法)
1)ガラス転移温度 : JIS C6481に準拠しDMA法にて測定。(n=2)
2)誘電特性 : 0.8mm銅張積層板の銅箔をエッチング除去後に110x1.0mmの大きさに切断し空洞共振法[Agilent製 S-PARAMETER NETWORK ANALAYZER 8722ES]で1GHzの値を測定。(n=6)
3)T-288(time to delamination) : IPC TM-650 に準じて、18μm銅箔付きの試験片(5mm×5mm×0.8mm)を使用し、TMA装置(エスアイアイ・ナノテクノロジー製EXSTAR6000 TMA/SS6100)を用い、昇温速度10℃/minで288℃まで加熱。288℃に到達後温度を一定に保持し、288℃到達時からデラミネーションが発生するまでの時間を測定、10分未満を不合格とした。(n=2)
4)吸湿耐熱性 : 60mm×60mmのサンプルの片面の半分以外の全銅箔をエッチング除去した試験片をプレッシャークッカー試験機(平山製作所社製、PC-3型)で121℃、2気圧で3時間処理後260℃の半田の中に30sec浸漬した後の外観変化を目視で観察(フクレ発生数/試験数:n=4)
5)耐燃性 : UL94垂直試験法に準じて測定(n=5)
6)ドリル加工性:厚さ0.1mmのEガラスクロスを使用した樹脂量45重量%のプリプレグ8枚の両面に厚さ12μmの銅箔を配置し、厚さ0.8mmの銅張積層板を作成し、この試験片(510mm×340mm×0.8mm)を1枚使用し、エントリーシート(LE800 厚さ0.070mm、三菱ガス化学製)を重ね、ドリルビット(MD J492B 0.105x1.6mm、ユニオンツール製)、回転数160krpm、送り速度1.2m/minの条件で、0.2mmピッチで5000穴まで、NCドリルマシン(H-MARK-20V日立ビアメカニクス製)で加工し、5000穴までドリル折損がないものを合格(○)、1例でもドリル折損があったものを不合格(×)とした。(n=3)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブロム化エポキシ樹脂(a)、シアン酸エステル樹脂(b) 、スチレン及び/又は置換スチレンの低重合体(c)、ブロム化ポリカーボネートオリゴマー(d)、球状シリカ(e)を含有する樹脂組成物であって、該樹脂組成物中のシアネート基/エポキシ基の当量比が2.5〜4.5の範囲である樹脂組成物。
【請求項2】
該樹脂組成物中のスチレン及び/又は置換スチレンの低重合体(c)の含有量が、樹脂組成物中の樹脂固形分に対して、3〜20重量%である請求項1記載の樹脂組成物。
【請求項3】
該樹脂組成物中のブロム化ポリカーボネートオリゴマー(d)の含有量が、樹脂組成物中の樹脂固形分に対して、3〜25重量%である請求項1又は2に記載の樹脂組成物。
【請求項4】
該樹脂組成物中の球状シリカ(e)の含有量が、樹脂組成物中の樹脂固形分 100重量部に対して、10〜50重量部である請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂組成物。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の樹脂組成物を基材に含浸又は塗布してなるプリプレグ。
【請求項6】
請求項5記載のプリプレグを少なくとも1枚以上重ね、その片面もしくは両面に金属箔を配して積層成形して得られる金属箔張積層板。

【公開番号】特開2008−75012(P2008−75012A)
【公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−257298(P2006−257298)
【出願日】平成18年9月22日(2006.9.22)
【出願人】(000004466)三菱瓦斯化学株式会社 (1,281)
【Fターム(参考)】