説明

樹脂組成物及びその硬化物並びにそれを用いて得られるプリント配線板

【課題】400〜420nmのレーザー光に対して高い光重合能力を発揮できると共に、十分な表面硬化性と深部硬化性が得られ、さらに熱安定性が優れた光硬化性、又は光硬化性・熱硬化性の樹脂組成物、及びその硬化物並びにそれを用いてパターン形成されたプリント配線板を提供する。
【解決手段】(A)カルボン酸含有樹脂、(B)一般式(I)で表されるオキシムエステル基を含むオキシムエステル系光重合開始剤、(C)一般式(II)で表される構造を持つアミノアセトフェノン系光重合開始剤、(D)分子中に1個以上のエチレン性不飽和基を有する化合物、及び(E)青色顔料を含有し、希アルカリ溶液により現像可能な組成物であって、その塗膜の400〜420nmの波長における吸光度が、25μm当たり0.5〜1.2である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント配線板の製造に用いられるエッチングレジストやソルダーレジストとして、更に各種電子部品の絶縁樹脂層として、有用な光硬化性、又は光硬化性・熱硬化性の樹脂組成物、及びその硬化物並びにそれを用いて得られるプリント配線板に関するものであり、さらに詳しくは、最大波長が400〜420nmの青紫レーザー発振光源によって硬化し得る光硬化性、又は光硬化性・熱硬化性の樹脂組成物及びその硬化物並びにそれを用いて得られるプリント配線板に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プリント配線板の最外層には、ソルダーレジスト膜が形成されている。ソルダーレジストとは、プリント配線板の表面を覆い、はんだによる被覆や部品実装の際、回路表面に不必要なはんだが付着してしまう事を防ぐ保護コーティング材である。さらに永久保護マスクとしてプリント配線板の銅箔回路を湿度やほこりなどから保護すると同時に、電気的トラブルから回路を守る絶縁体機能があり、耐薬品性、耐熱性に優れ、はんだ付けをする際の高熱や金めっきにも耐えられる保護皮膜である。ソルダーレジストの形成方法は、一般的に活性エネルギー線をマスクパターンに介して照射することにより、パターンを形成するフォトリソグラフィー法が用いられている。
【0003】
近年、省資源あるいは省エネルギーといった環境を配慮したフォトリソグラフィー法として、レーザー光を光源とした直接描画方式(レーザーダイレクトイメージング)が実用化されている。直接描画装置とは、レーザー光に感光する光硬化性樹脂組成物の膜がすでに形成されたプリント配線板に、パターンデータを高速に直接レーザー光で描画する装置である。マスクパターンを必要としなことが特長であり、製造工程の短縮とコストの大幅な削減が可能となり、多品種小ロット、短納期に適した手法である。
【0004】
直接描画装置は、従来のマスクパターン露光のような露光部全面を同時に露光することができないため、従来のマスクパターン露光と同等の露光時間を得るためには高速で露光する必要がある。さらには、従来のマスクパターン露光に使用されている光源はメタルハライドランプ等の波長が300〜420nmと広いものなのに対して、直接描画装置の波長は用いられる光源によって替わるが、通常は単一波長の光線である。例えば青紫レーザーの波長は、405nm付近である。
【0005】
しかしながら、従来のソルダーレジストを、波長405nm付近の直接描画装置を用いて露光しても、ソルダーレジストに求められる耐熱性や絶縁性を得ることができる塗膜を形成できない。その理由としては、従来のソルダーレジストに含有している光重合開始剤は、α−アセトフェノン系開始剤であり、400〜420nmに対する吸収が低く、光重合開始能力が405nmといった単一波長光線のみでは十分で無く、非常に多くの露光時間を必要としていた。したがって、従来の光重合開始剤からなる光重合性組成物は、その使用が著しく限定されていた。
【0006】
そこで405nmといった単一波長光線のみでも高い光重合能力を発揮することができる光重合開始剤や、その光重合開始剤を用いた組成物の提案がなされてきた(例えば、特許文献1、及び特許文献2参照)。しかしながら、これらの技術は、確かに405nmといった単一光線のみでも十分な光重合能力を発揮することができるが、深部硬化性と表面硬化性が同時に得られず、更には熱処理後に回路上での光重合開始剤の失活が原因で感度が著しく低下し、銅回路上で剥離が生じる問題を抱えている。
【0007】
また、レーザー光による直描画像形成は、一般に大気雰囲気化で行われるために酸素による反応阻害が起きやすく、露光後に不要部分を取り除く現像工程で、必要な部分のレジストの表面部が取り除かれてしまい、結果として光沢不良を引き起こしやすいという問題がある。更に、プリント配線板の保護が目的のソルダーレジストにおいて、光沢の不良は外観の不良という問題だけでなく、本来反応すべき部分の反応が充分でないためにその皮膜の表面は耐薬品性が悪く、さらには電気特性も劣るという問題も引き起こしていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2001−235858号公報(特許請求の範囲)
【特許文献2】国際公開WO02/096969公報(特許請求の範囲)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、400〜420nmのレーザー光に対して高い光重合能力を発揮できると共に、十分な表面硬化性と深部硬化性が得られ、さらに熱安定性が優れた光硬化性、又は光硬化性・熱硬化性の樹脂組成物であって、特に、ソルダーレジスト用途として、又、400〜420nmのレーザー光による直接描画に用いるに好適な光硬化性、又は光硬化性・熱硬化性の樹脂組成物、及びその硬化物並びにそれを用いてパターン形成されたプリント配線板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
発明者らは、上記目的を達成するために鋭意研究を行った結果、(A)カルボン酸含有樹脂、
(B)一般式(I)で表されるオキシムエステル基を含むオキシムエステル系光重合開始剤、
【化5】

(式中、Rは、水素原子、炭素数1〜7のアルキル基、又はフェニル基を表わし、Rは、炭素数1〜7のアルキル基、又はフェニル基を表わす。)
(C)一般式(II)で表される構造を持つアミノアセトフェノン系光重合開始剤、
【化6】

(式中、R、Rは、炭素数1〜12のアルキル基又はアリールアルキル基を表わし、R、Rは、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基又は2つが結合した環状アルキルエーテル基を表わす。)
(D)分子中に1個以上のエチレン性不飽和基を有する化合物(但し、カルボン酸含有化合物は除く)、
(E)青色顔料を含有し、希アルカリ溶液により現像可能な組成物であって、その塗膜の400〜420nmの波長における吸光度が、25μm当たり0.5〜1.2である光硬化性の樹脂組成物が、400〜420nmのレーザー光に対して高い光重合能力を発揮できると共に、十分な表面硬化性と深部硬化性が得られ、さらに熱安定性が優れた組成物であることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0011】
本発明の光硬化性、又は光硬化性・熱硬化性の樹脂組成物の提供形態としては、液状の形態であってもよく、また、感光性ドライフィルムの形態であってもよい。
また、本発明によれば、本発明の光硬化性、又は光硬化性・熱硬化性の樹脂組成物の硬化物、および該硬化物のパターンを形成してなるプリント配線板が提供される。
【発明の効果】
【0012】
本発明の光硬化性、又は光硬化性・熱硬化性の樹脂組成物は、表面硬化性と深部硬化性が優れ、波長が400〜420nmのレーザー発振光源によるパターン形成が可能であり、レーザーダイレクトイメージング用ソルダーレジストとして用いることが可能となる。
さらに、このようなレーザーダイレクトイメージング用ソルダーレジストを用いることにより、ネガパターンが不要になり、初期生産性の向上、低コスト化に貢献できる。
また、本発明の光硬化性、又は光硬化性・熱硬化性の樹脂組成物は、表面硬化性と深部硬化性に優れ、高感度で高解像性であることから、信頼性の高いプリント配線板を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】露光・現像によって得られた樹脂組成物の断面形状の模式図
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の光硬化性、又は光硬化性・熱硬化性の樹脂組成物は、(A)カルボン酸含有樹脂、(B)一般式(I)で表されるオキシムエステル基を含むオキシムエステル系光重合開始剤、(C)一般式(II)で表されるアミノアセトフェノン系光重合開始剤、(D)分子中に1個以上のエチレン性不飽和基を有する化合物(但し、カルボン酸含有化合物は除く)、(E)青色顔料を含有し、希アルカリ溶液により現像可能な組成物であって、その塗膜の400〜420nmの波長における吸光度が、25μm当たり0.5〜1.2であることを特徴とする組成物である。
【0015】
即ち、前記カルボン酸含有樹脂(A)、一般式(I)で表されるオキシムエステル基を含むオキシムエステル系光重合開始剤(B)、一般式(II)で表されるアミノアセトフェノン系光重合開始剤(C)、及び分子中に1個以上のエチレン性不飽和基を有する化合物(但し、カルボン酸含有化合物は除く)(D)を含むことにより、希アルカリ水溶液により現像可能な組成物になり、更にオキシムエステル系光重合開始剤(B)、アミノアセトフェノン系光重合開始剤(C)、及び青色顔料(E)により、その塗膜の400〜420nmの波長における吸光度を、25μm当たり0.5〜1.2に調整することが可能となり、表面硬化性と深部硬化性に優れた塗膜を形成できることを見出した。
【0016】
以下、本発明の光硬化性、又は光硬化性・熱硬化性の樹脂組成物の各構成成分について詳しく説明する。
本発明の光硬化性、又は光硬化性・熱硬化性の樹脂組成物に含まれるカルボン酸含有樹脂(A)としては、分子中にカルボキシル基を含有している公知慣用の樹脂化合物が使用できる。更に分子中にエチレン性不飽和二重結合を有するカルボン酸含有感光性樹脂(A’)が、光硬化性や耐現像性の面からより好ましい。
具体的には、下記に列挙するような樹脂が挙げられる。
【0017】
(1)(メタ)アクリル酸などの不飽和カルボン酸と、それ以外の不飽和二重結合を有する化合物の1種類以上とを共重合することにより得られるカルボン酸含有樹脂、
(2)(メタ)アクリル酸などの不飽和カルボン酸と、それ以外の不飽和二重結合を有する化合物の1種類以上との共重合体に、グリシジル(メタ)アクリレートや3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレートなどのエポキシ基と不飽和二重結合を有する化合物や(メタ)アクリル酸クロライドなどによって、エチレン性不飽和基をペンダントとして付加させることによって得られるカルボン酸含有感光性樹脂、
(3)グリシジル(メタ)アクリレートや3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート等のエポキシ基と不飽和二重結合を有する化合物と、それ以外の不飽和二重結合を有する化合物との共重合体に、(メタ)アクリル酸などの不飽和カルボン酸を反応させ、生成した二級の水酸基に多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボン酸含有感光性樹脂、
(4)無水マレイン酸などの不飽和二重結合を有する酸無水物と、それ以外の不飽和二重結合を有する化合物との共重合体に、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートなどの水酸基と不飽和二重結合を有する化合物を反応させて得られるカルボン酸含有感光性樹脂、
(5)多官能エポキシ化合物と(メタ)アクリル酸などの不飽和モノカルボン酸を反応させ、生成した水酸基に飽和又は不飽和多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボン酸含有感光性樹脂、
(6)ポリビニルアルコール誘導体などの水酸基含有ポリマーに、飽和又は不飽和多塩基酸無水物を反応させた後、生成したカルボン酸に一分子中にエポキシ基と不飽和二重結合を有する化合物を反応させて得られる水酸基含有のカルボン酸含有感光性樹脂、
(7)多官能エポキシ化合物と、(メタ)アクリル酸などの不飽和モノカルボン酸と、一分子中に少なくとも1個のアルコール性水酸基と、エポキシ基と反応するアルコール性水酸基以外の1個の反応性基を有する化合物(例えば、ジメチロールプロピオン酸など)との反応生成物に、飽和又は不飽和多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボン酸含有感光性樹脂、
(8)一分子中に少なくとも2個のオキセタン環を有する多官能オキセタン化合物に(メタ)アクリル酸などの不飽和モノカルボン酸を反応させ、得られた変性オキセタン樹脂中の第一級水酸基に対して飽和又は不飽和多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボン酸含有感光性樹脂、及び
(9)多官能エポキシ樹脂(例えば、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂など)に不飽和モノカルボン酸(例えば、(メタ)アクリル酸など)を反応させた後、多塩基酸無水物(例えば、テトラヒドロフタル酸無水物など)を反応させて得られるカルボン酸含有感光性樹脂に、更に、分子中に1個のオキシラン環と1個以上のエチレン性不飽和基を有する化合物(例えば、グリシジル(メタ)アクリレートなど)を反応させて得られるカルボン酸含有感光性樹脂などが挙げられるが、これらに限定されるものでは無い。
これらの例示の中で好ましいものとしては、上記(2)、(5)、(7)、(9)のカルボン酸含有感光性樹脂であり、特に上記(9)のカルボン酸含有感光性樹脂が、光硬化性、硬化塗膜特性の面から好ましい。
なお、本明細書において、(メタ)アクリレートとは、アクリレート、メタクリレート及びそれらの混合物を総称する用語で、他の類似の表現についても同様である。
【0018】
上記のようなカルボン酸含有樹脂(A)は、バックボーン・ポリマーの側鎖に多数の遊離のカルボキシル基を有するため、希アルカリ水溶液による現像が可能になる。
また、上記カルボン酸含有樹脂(A)の酸価は、40〜200mgKOH/gの範囲であり、より好ましくは45〜120mgKOH/gの範囲である。カルボン酸含有樹脂の酸価が40mgKOH/g未満であるとアルカリ現像が困難となり、一方、200mgKOH/gを超えると現像液による露光部の溶解が進むために、必要以上にラインが痩せたり、場合によっては、露光部と未露光部の区別なく現像液で溶解剥離してしまい、正常なレジストパターンの描画が困難となるので好ましくない。
また、上記カルボン酸含有樹脂(A)の重量平均分子量は、樹脂骨格により異なるが、一般的に2,000〜150,000、さらには5,000〜100,000の範囲にあるものが好ましい。重量平均分子量が2,000未満であると、タックフリー性能が劣ることがあり、露光後の塗膜の耐湿性が悪く現像時に膜減りが生じ、解像度が大きく劣ることがある。一方、重量平均分子量が150,000を超えると、現像性が著しく悪くなることがあり、貯蔵安定性が劣ることがある。
このようなカルボン酸含有樹脂(A)及び/又はカルボン酸含有感光性樹脂(A’)の配合量は、全組成物中に、20〜60質量%、好ましくは30〜50質量%である。上記範囲より少ない場合、塗膜強度が低下したりするので好ましくない。一方、上記範囲より多い場合、粘性が高くなったり、塗布性等が低下するので好ましくない。
【0019】
本願発明に用いられるオキシムエステル系光重合開始剤(B)は、下記一般式(I)で表されるオキシムエステル基を含むオキシムエステル系光重合開始剤であり、
【化7】

(式中、Rは、水素原子、炭素数1〜7のアルキル基、又はフェニル基を表わし、Rは、炭素数1〜7のアルキル基、又はフェニル基を表わす。)
例えば、前記特許文献1に記載されたものなどが挙げられる。このようなオキシムエステル系光重合開始剤(B)で好ましいものとしては、下記式(III)で表わされる光重合開始剤(2−(アセチルオキシイミノメチル)チオキサンテン−9−オン)、
【化8】

下記一般式(IV)で表される構造を持つ光重合開始剤、及び下記一般式(V)で表される構造を持つ光重合開始剤
【化9】

(式中、R、Rは、それぞれ独立に炭素数1〜12のアルキル基を表し、R、R10、R11、R12は、それぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を表し、nは0〜5の整数を表す。Mは硫黄原子を表す。R13は、水素原子又は炭素数1〜12のアルキル基を表し、R14、R15は、炭素数1〜12のアルキル基を表す。)
が挙げられる。市販品としては、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製のCGI−325、イルガキュアー OXE01、イルガキュアー OXE02が挙げられる。これらのオキシムエステル系光重合開始剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
このようなオキシムエステル系光重合開始剤(B)を含む光硬化性、又は光硬化性・熱硬化性の樹脂組成物は、単独でプリント配線板などの銅上に塗布した場合、銅との界面で銅原子と反応し、光重合開始剤としての機能が失活するという問題があり、後述のアミノアセトフェノン系光重合開始剤(C)と併用する必要がある。
【0020】
このようなオキシムエステル系光重合開始剤(B)の配合量としては、前記カルボン酸含有樹脂(A)100質量部に対して、0.01〜10質量部、好ましくは0.01〜5質量部の割合である。オキシムエステル系光重合開始剤(B)の配合量が、前記カルボン酸含有樹脂(A)100質量部に対し、0.01質量部未満であると、光による分子中に1個以上のエチレン性不飽和基を有する化合物(D)、及びカルボン酸含有樹脂(A)の硬化が十分でなく、硬化被膜の吸湿性が高くなってPCT耐性が低下し易くなり、また、はんだ耐熱性や耐無電解めっき性も低くなり易い。一方、オキシムエステル系光重合開始剤(B)の配合量が、前記カルボン酸含有樹脂(A)100質量部に対し、10質量部を超えた場合、硬化塗膜の形状がレーザー照射している部分よりも大きく感光する(ハレーション)現象が発生しやすく、さらに硬化深度も得られにくくなるので好ましくない。
【0021】
本発明に用いられる下記一般式(II)で示される構造を持つアミノアセトフェノン系光重合開始剤(C)としては、
【化10】

(式中、R、Rは、炭素数1〜12のアルキル基又はアリールアルキル基を表わし、R、Rは、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基又は2つが結合した環状アルキルエーテル基を表わす。)
例えば、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノアミノプロパノン−1、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタン−1−オン、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン、N,N−ジメチルアミノアセトフェノンなどが挙げられる。市販品としては、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製のイルガキュアー907、イルガキュアー369、イルガキュアー379などが挙げられる。
このようなアミノアセトフェノン系光重合開始剤(C)は、前記オキシムエステル系光重合開始剤(B)の重合を阻害することなく、更に、前記オキシムエステル系光重合開始剤(B)は銅上で熱により失活する現象を補う働きをする。
【0022】
このようなアミノアセトフェノン系光重合開始剤(C)の配合量としては、前記カルボン酸含有有樹脂(A)100質量部に対して、0.1〜30質量部、好ましくは0.5〜15質量部の割合である。アミノアセトフェノン系光重合開始剤(C)の配合量が、前記カルボン酸含有樹脂(A)100質量部に対し、0.1質量部未満であると、銅上での光硬化性が不足し、塗膜が剥離したり、耐薬品性等の塗膜特性が低下するので、好ましくない。一方、アミノアセトフェノン系光重合開始剤(C)の配合量が、前記カルボン酸含有樹脂(A)100質量部に対し、30質量部を超えた場合、耐熱性や電気特性が低下するので好ましくない。
【0023】
また、本発明の光硬化性、又は光硬化性・熱硬化性の樹脂組成物は、光開始助剤として3級アミン化合物やベンゾフェノン化合物を含有することができる。そのような3級アミン類としては、エタノールアミン類、4,4’−ジメチルアミノベンゾフェノン(日本曹達社製ニッソキュアーMABP)、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン(保土ヶ谷化学工業製EAB)、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル(日本化薬社製カヤキュアーEPA)、2−ジメチルアミノ安息香酸エチル(インターナショナルバイオ−シンセエティックス社製Quantacure DMB)、4−ジメチルアミノ安息香酸(n−ブトキシ)エチル(インターナショナルバイオ−シンセエティックス社製Quantacure BEA)、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエチルエステル(日本化薬社製カヤキュアーDMBI)、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル(Van Dyk社製Esolol 507)等が挙げられる。これら公知慣用の3級アミン化合物は単独で又は2種類以上の混合物として使用できる。
これらの中で、特に4,4’−ジメチルアミノベンゾフェノンや4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノンなどのジアルキルアミノベンゾフェノン(F)が好ましい。特に、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノンが、毒性も少なく、好ましく用いられる。理由としては、波長400〜420nmの領域に大きな吸収を有しており、後述する吸光度に大きな影響を与え本発明の目的である表面硬化性と硬化深度が達成できる。
このようなジアルキルアミノベンゾフェノン(F)の配合量としては、前記カルボン酸含有樹脂(A)100質量部に対して、5質量部以下、好ましくは、0.01〜5質量部、より好ましくは0.1〜2質量部の割合である。ジアルキルアミノベンゾフェノン(F)の配合量が、前記カルボン酸含有樹脂(A)100質量部に対し5質量部を超えた場合、電気特性が低下するので好ましくない。
【0024】
本発明の光硬化性、又は光硬化性・熱硬化性の樹脂組成物は、さらに必要に応じて、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル等のベンゾインとベンゾインアルキルエーテル類;アセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノン等のアセトフェノン類;2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、1−クロロアントラキノン等のアントラキノン類;2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン等のチオキサントン類;アセトフェノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタール等のケタール類;ベンゾフェノン、4−ベンゾイルジフェニルスルフィド、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルスルフィド、4−ベンゾイル−4’−エチルジフェニルスルフィド、4−ベンゾイル−4’−プロピルジフェニルスルフィド等のベンゾフェノン類又はキサントン類;2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイドなどのホスフィンオキサイド類などの公知慣用の光重合開始剤を、併用してもよい。
これらの中で、特に好ましいものとしては、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルスルフィドであり、さらに好ましいものは2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン等のチオキサントン系光重合開始剤を併用することが、高感度化の面から好ましい。
このような光重合開始剤、及び光開始助剤の配合量は、前記オキシムエステル系光重合開始剤(B)、アミノアセトフェノン系光重合開始剤(C)、アルキルアミノベンゾフェノン(F)との総量が、前記カルボン酸含有樹脂(A)100質量部に対して、20質量部以下となる範囲である。上記範囲より多い場合、電気特性が低下するので、好ましくない。
【0025】
本発明の光硬化性、又は光硬化性・熱硬化性の樹脂組成物に用いられる分子中に1個以上のエチレン性不飽和基を有する化合物(D)(但し、前記カルボン酸含有感光性樹脂(A’)であるカルボン酸含有化合物は除く)は、活性エネルギー線照射により、光硬化して、前記カルボン酸含有樹脂(A)を、アルカリ水溶液に不溶化、又は不溶化を助けるものである。
このような化合物(D)としては、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレートなどのヒドロキシアルキルアクリレート類;エチレングリコール、メトキシテトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコールなどのグリコールのモノ又はジアクリレート類;N,N−ジメチルアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミドなどのアクリルアミド類;N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリレートなどのアミノアルキルアクリレート類;ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリス−ヒドロキシエチルイソシアヌレートなどの多価アルコール又はこれらのエチレオキサイド付加物もしくはプロピレンオキサイド付加物などの多価アクリレート類;フェノキシアクリレート、ビスフェノールAジアクリレート、及びこれらのフェノール類のエチレンオキサイド付加物もしくはプロピレンオキサイド付加物などのアクリレート類;グリセリンジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、トリグリシジルイソシアヌレートなどのグリシジルエーテルのアクリレート類;及びメラミンアクリレート、及び/又は上記アクリレートに対応する各メタクリレート類などが挙げられる。これらの中で、特に分子中に2個以上のエチレン性不飽和基を有する化合物である多官能(メタ)アクリレート化合物が、光硬化性に優れ好ましい。
さらに、ビスフェノールA、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールおよびクレゾールノボラック型エポキシ樹脂などの多官能エポキシ樹脂に、アクリル酸を反応させたエポキシアクリレート樹脂や、さらにそのエポキシアクリレート樹脂の水酸基に、ペンタエリスリトールトリアクリレートなどのヒドロキシアクリレートとイソホロンジイソシアネートなどのジイソシアネートのハーフウレタン化合物を反応させたエポキシウレタンアクリレート化合物などが、挙げられる。このようなエポキシアクリレート系樹脂は、指触乾燥性を低下させることなく、光硬化性を向上させることができる。
【0026】
このような分子中に1個以上のエチレン性不飽和基を有する化合物(D)の配合量は、前記カルボン酸含有樹脂(A)100質量部に対して、5〜100質量部、より好ましくは、10〜70質量部の割合である。前記配合量が、5質量部未満の場合、光硬化性が低下し、活性エネルギー線照射後のアルカリ現像により、パターン形成が困難となるので、好ましくない。一方、100質量部を超えた場合、アルカリ水溶液に対する溶解性が低下したり、塗膜が脆くなるので、好ましくない。
【0027】
本発明の特徴の一つである青色顔料(E)は、通常着色顔料として使用されるものであるが、本発明における400〜420nmのレーザー光を用いた場合、青色顔料(例えば、フタロシアニン・ブルー)を添加したものの方が、より低露光量で光沢感度が得られること見出した。
この青色顔料(例えば、フタロシアニン・ブルー系顔料)の増感効果の理由は、明らかでないが、例えば本発明の範囲である25μm当たりの吸光度が0.5以下の樹脂組成物に、フタロシアニン・ブルーを添加し、吸光度を0.5以上にするだけで十分な表面硬化性と硬化深度が同時に低露光量で得られることが明らかとなった。また、この増感効果は、表面の反応性(光沢改善)に効果があり、硬化深度は逆に悪くなる。すなわち、レーザー光を反射するような働きをする。この働きはレジストの形状の安定化にも有効である。
例えば、レジストの断面形状を見た場合、フタロシアニン・ブルーを含まず、吸光度が0.5よりも低い場合は、レジストの断面形状は底部が大きく広がった形状であり、また、塗膜表面部の光沢もない状況にある。また、フタロシアニン・ブルーが含まず、吸光度が0.5よりも大きな場合は、表層部が大きく広がり底部は細くなる状況がある。しかし、本発明の吸光度の適正範囲内で、オキシムエステル系光重合開始剤(B)、アミノアセトフェノン系光重合開始剤(C)、及び青色顔料(E)、又は更にジアルキルベンゾフェノン(F)を含有する場合、硬化皮膜厚が5〜100μmの範囲内で、レーザー光源の照射寸法とほぼ同じ寸法の底部を有するレジスト形状が得られ且つ表面の光沢が得られることを見出した。
このような青色顔料(E)の適正なの添加量は、乾燥塗膜の400〜420nmの波長における吸光度が、25μm当たり0.5〜1.2となる範囲であれば任意に添加することができる。
このような青色顔料(E)としては、α型銅フタロシアニン・ブルー、α型モノクロル銅フタロシアニン・ブルー、β型銅フタロシアニン・ブルー、ε型銅フタロシアニン・ブルー、コバルトフタロシアニン・ブルー、メタルフリーフタロシアニン・ブルーなどのフタロシアニン・ブルー系顔料、紺青などの無機顔料が挙げられるが、特にフタロシアニン・ブルー系顔料が好ましい。
【0028】
本発明の光硬化性の樹脂組成物を、ソルダーレジストなどの耐熱性を必要とする樹脂組成物として使用する場合、分子中に2個以上の環状エーテル基及び/又は環状チオエーテル基を有する熱硬化性成分(以下、環状(チオ)エーテル化合物と略す。)(G)を配合することができる。
このような環状(チオ)エーテル化合物は、分子中に3、4または5員環の環状エーテル基、又は環状チオエーテル基のいずれか一方又は2種類の基を2個以上有する化合物であり、例えば、分子内に少なくとも2つ以上のエポキシ基を有する化合物、すなわち多官能エポキシ化合物(G−1)、分子内に少なくとも2つ以上のオキセタニル基を有する化合物、すなわち多官能オキセタン化合物(G−2)、分子内に2個以上のチオエーテル基を有する化合物、すなわちエピスルフィド樹脂などが挙げられる。
【0029】
前記多官能性エポキシ化合物(G−1)としては、例えば、ジャパンエポキシレジン社製のエピコート828、エピコート834、エピコート1001、エピコート1004、大日本インキ化学工業社製のエピクロン840、エピクロン850、エピクロン1050、エピクロン2055、東都化成社製のエポトートYD−011、YD−013、YD−127、YD−128、ダウケミカル社製のD.E.R.317、D.E.R.331、D.E.R.661、D.E.R.664、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社のアラルダイド6071、アラルダイド6084、アラルダイドGY250、アラルダイドGY260、住友化学工業社製のスミ−エポキシESA−011、ESA−014、ELA−115、ELA−128、旭化成工業社製のA.E.R.330、A.E.R.331、A.E.R.661、A.E.R.664等(何れも商品名)のビスフェノールA型エポキシ樹脂;ジャパンエポキシレジン社製のエピコートYL903、大日本インキ化学工業社製のエピクロン152、エピクロン165、東都化成社製のエポトートYDB−400、YDB−500、ダウケミカル社製のD.E.R.542、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製のアラルダイド8011、住友化学工業社製のスミ−エポキシESB−400、ESB−700、旭化成工業社製のA.E.R.711、A.E.R.714等(何れも商品名)のブロム化エポキシ樹脂;ジャパンエポキシレジン社製のエピコート152、エピコート154、ダウケミカル社製のD.E.N.431、D.E.N.438、大日本インキ化学工業社製のエピクロンN−730、エピクロンN−770、エピクロンN−865、東都化成社製のエポトートYDCN−701、YDCN−704、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製のアラルダイドECN1235、アラルダイドECN1273、アラルダイドECN1299、アラルダイドXPY307、日本化薬社製のEPPN−201、EOCN−1025、EOCN−1020、EOCN−104S、RE−306、住友化学工業社製のスミ−エポキシESCN−195X、ESCN−220、旭化成工業社製のA.E.R.ECN−235、ECN−299等(何れも商品名)のノボラック型エポキシ樹脂;大日本インキ化学工業社製のエピクロン830、ジャパンエポキシレジン社製エピコート807、東都化成社製のエポトートYDF−170、YDF−175、YDF−2004、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製のアラルダイドXPY306等(何れも商品名)のビスフェノールF型エポキシ樹脂;東都化成社製のエポトートST−2004、ST−2007、ST−3000(商品名)等の水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂;ジャパンエポキシレジン社製のエピコート604、東都化成社製のエポトートYH−434、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製のアラルダイドMY720、住友化学工業社製のスミ−エポキシELM−120等(何れも商品名)のグリシジルアミン型エポキシ樹脂;チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製のアラルダイドCY−350(商品名)等のヒダントイン型エポキシ樹脂;ダイセル化学工業社製のセロキサイド2021、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製のアラルダイドCY175、CY179等(何れも商品名)の脂環式エポキシ樹脂;ジャパンエポキシレジン社製のYL−933、ダウケミカル社製のT.E.N.、EPPN−501、EPPN−502等(何れも商品名)のトリヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂;ジャパンエポキシレジン社製のYL−6056、YX−4000、YL−6121(何れも商品名)等のビキシレノール型もしくはビフェノール型エポキシ樹脂又はそれらの混合物;日本化薬社製EBPS−200、旭電化工業社製EPX−30、大日本インキ化学工業社製のEXA−1514(商品名)等のビスフェノールS型エポキシ樹脂;ジャパンエポキシレジン社製のエピコート157S(商品名)等のビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂;ジャパンエポキシレジン社製のエピコートYL−931、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製のアラルダイド163等(何れも商品名)のテトラフェニロールエタン型エポキシ樹脂;チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製のアラルダイドPT810、日産化学工業社製のTEPIC等(何れも商品名)の複素環式エポキシ樹脂;日本油脂社製ブレンマーDGT等のジグリシジルフタレート樹脂;東都化成社製ZX−1063等のテトラグリシジルキシレノイルエタン樹脂;新日鉄化学社製ESN−190、ESN−360、大日本インキ化学工業社製HP−4032、EXA−4750、EXA−4700等のナフタレン基含有エポキシ樹脂;大日本インキ化学工業社製HP−7200、HP−7200H等のジシクロペンタジエン骨格を有するエポキシ樹脂;日本油脂社製CP−50S、CP−50M等のグリシジルメタアクリレート共重合系エポキシ樹脂;さらにシクロヘキシルマレイミドとグリシジルメタアクリレートの共重合エポキシ樹脂;エポキシ変性のポリブタジエンゴム誘導体(例えばダイセル化学工業製PB−3600等)、CTBN変性エポキシ樹脂(例えば東都化成社製のYR−102、YR−450等)等が挙げられるが、これらに限られるものではない。これらのエポキシ樹脂は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも特にノボラック型エポキシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂又はそれらの混合物が好ましい。
【0030】
前記多官能オキセタン化合物(G−2)としては、ビス[(3−メチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]エーテル、ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]エーテル、1,4−ビス[(3−メチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、1,4−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、(3−メチル−3−オキセタニル)メチルアクリレート、(3−エチル−3−オキセタニル)メチルアクリレート、(3−メチル−3−オキセタニル)メチルメタクリレート、(3−エチル−3−オキセタニル)メチルメタクリレートやそれらのオリゴマー又は共重合体等の多官能オキセタン類の他、オキセタンアルコールとノボラック樹脂、ポリ(p−ヒドロキシスチレン)、カルド型ビスフェノール類、カリックスアレーン類、カリックスレゾルシンアレーン類、又はシルセスキオキサンなどの水酸基を有する樹脂とのエーテル化物などが挙げられる。その他、オキセタン環を有する不飽和モノマーとアルキル(メタ)アクリレートとの共重合体なども挙げられる。
【0031】
前記分子中に2個以上の環状チオエーテル基を有する化合物としては、例えば、ジャパンエポキシレジン社製のビスフェノールA型エピスルフィド樹脂 YL7000などが挙げられる。また、同様の合成方法を用いて、ノボラック型エポキシ樹脂のエポキシ基の酸素原子を硫黄原子に置き換えたエピスルフィド樹脂なども用いることができる。
【0032】
このような環状(チオ)エーテル(G)により、耐熱性を付与する場合の配合量は、前記カルボン酸含有樹脂のカルボキシル基1当量に対して、0.6〜2.0当量、好ましくは、0.8〜1.5当量となる範囲である。環状(チオ)エーテル(G)の配合量が、上記範囲より少ない場合、カルボキシル基が残り、耐熱性、耐アルカリ性、電気絶縁性などが低下するので、好ましくない。一方、上記範囲を超えた場合、低分子量の環状(チオ)エーテル(G)が残存することにより、塗膜の強度などが低下するので、好ましくない。
【0033】
上記環状(チオ)エーテル化合物(G)を使用する場合、熱硬化触媒を含有することが好ましい。そのような熱硬化触媒としては、例えば、イミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、4−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−(2−シアノエチル)−2−エチル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール誘導体;ジシアンジアミド、ベンジルジメチルアミン、4−(ジメチルアミノ)−N,N−ジメチルベンジルアミン、4−メトキシ−N,N−ジメチルベンジルアミン、4−メチル−N,N−ジメチルベンジルアミン等のアミン化合物、アジピン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド等のヒドラジン化合物;トリフェニルホスフィン等のリン化合物など、また市販されているものとしては、例えば四国化成工業社製の2MZ−A、2MZ−OK、2PHZ、2P4BHZ、2P4MHZ(いずれもイミダゾール系化合物の商品名)、サンアプロ社製のU−CAT3503N、U−CAT3502T(いずれもジメチルアミンのブロックイソシアネート化合物の商品名)、DBU、DBN、U−CATSA102、U−CAT5002(いずれも二環式アミジン化合物及びその塩)などがある。特に、これらに限られるものではなく、エポキシ樹脂やオキセタン化合物の熱硬化触媒、もしくはエポキシ基及び/又はオキセタニル基とカルボキシル基の反応を促進するものであればよく、単独で又は2種以上を混合して使用してもかまわない。また、密着性付与剤としても機能するグアナミン、アセトグアナミン、ベンゾグアナミン、メラミン、2,4−ジアミノ−6−メタクリロイルオキシエチル−S−トリアジン、2−ビニル−2,4−ジアミノ−S−トリアジン、2−ビニル−4,6−ジアミノ−S−トリアジン・イソシアヌル酸付加物、2,4−ジアミノ−6−メタクリロイルオキシエチル−S−トリアジン・イソシアヌル酸付加物等のS−トリアジン誘導体を用いることもでき、好ましくはこれら密着性付与剤としても機能する化合物を前記熱硬化触媒と併用する。
これら熱硬化触媒の配合量は、通常の量的割合で充分であり、例えばカルボン酸含有樹脂(A)または環状(チオ)エーテル化合物(G)100質量部に対して、0.1〜20質量部、好ましくは0.5〜15.0質量部の割合である。
【0034】
本発明の光硬化性、又は光硬化性・熱硬化性の樹脂組成物は、塗膜の物理的強度等を上げるために、必要に応じて、フィラーを配合することができる。このようなフィラーとしては、公知慣用の無機又は有機フィラーが使用できるが、特に硫酸バリウム、球状シリカおよびタルクが好ましく用いられる。さらに、前述の1個以上のエチレン性不飽和基を有する化合物(D)や前記多官能エポキシ樹脂(G−1)にナノシリカを分散したHanse−Chemie社製のNANOCRYL(商品名) XP 0396、XP 0596、XP 0733、XP 0746、XP 0765、XP 0768、XP 0953、XP 0954、XP 1045(何れも製品グレード名)や、Hanse−Chemie社製のNANOPOX(商品名) XP 0516、XP 0525、XP 0314(何れも製品グレード名)も使用できる。
これらを単独で又は2種以上配合することができる。
【0035】
これらフィラーの配合量は、前記カルボン酸含有樹脂(A)100質量部に対して、300質量部以下、好ましくは0.1〜300質量部、より好ましくは、0.1〜150質量部の割合である。前記フィラーの配合量が、300質量部を超えた場合、組成物の粘度が高くなり印刷性が低下したり、硬化物が脆くなるので好ましくない。
【0036】
さらに、本発明の光硬化性、又は光硬化性・熱硬化性の樹脂組成物は、前記カルボン酸含有樹脂(A)の合成や組成物の調整のため、又は基板やキャリアフィルムに塗布するための粘度調整のため、有機溶剤を使用することができる。
このような有機溶剤としては、ケトン類、芳香族炭化水素類、グリコールエーテル類、グリコールエーテルアセテート類、エステル類、アルコール類、脂肪族炭化水素、石油系溶剤などが挙げることができる。より具体的には、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;トルエン、キシレン、テトラメチルベンゼン等の芳香族炭化水素類;セロソルブ、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、カルビトール、メチルカルビトール、ブチルカルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル等のグリコールエーテル類;酢酸エチル、酢酸ブチル、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールブチルエーテルアセテートなどのエステル類;エタノール、プロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール等のアルコール類;オクタン、デカン等の脂肪族炭化水素;石油エーテル、石油ナフサ、水添石油ナフサ、ソルベントナフサ等の石油系溶剤などである。
このような有機溶剤は、単独で又は2種以上の混合物として用いられる。
【0037】
本発明の光硬化性、又は光硬化性・熱硬化性の樹脂組成物は、さらに必要に応じて、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、t−ブチルカテコール、ピロガロール、フェノチアジンなどの公知慣用の熱重合禁止剤、微粉シリカ、有機ベントナイト、モンモリロナイトなどの公知慣用の増粘剤、シリコーン系、フッ素系、高分子系などの消泡剤及び/又はレベリング剤、イミダゾール系、チアゾール系、トリアゾール系等のシランカップリング剤などのような公知慣用の添加剤類を配合することができる。
また、本発明の光硬化性、又は光硬化性・熱硬化性の樹脂組成物は、解像性等に悪影響を与えない範囲内で、青色顔料以外の着色顔料を添加することができる。
【0038】
本発明の光硬化性、又は光硬化性・熱硬化性の樹脂組成物は、例えば前記有機溶剤で塗布方法に適した粘度に調整し、基材上に、ディップコート法、フローコート法、ロールコート法、バーコーター法、スクリーン印刷法、カーテンコート法等の方法により塗布し、約60〜100℃の温度で組成物中に含まれる有機溶剤を揮発乾燥(仮乾燥)させることにより、タックフリーの塗膜を形成できる。また、上記組成物をキャリアフィルム上に塗布し、乾燥させてフィルムとして巻き取ったものを基材上に張り合わせることにより、樹脂絶縁層を形成できる。その後、直接描画装置(レーザーダイレクトイメージング装置)でパターンを描画し、又は接触式(又は非接触方式)により、パターンを形成したフォトマスクを通して選択的に活性エネルギー線により露光し、未露光部を希アルカリ水溶液(例えば0.3〜3%炭酸ソーダ水溶液)により現像してレジストパターンが形成される。さらに、熱硬化性成分を含有している場合、例えば約140〜180℃の温度に加熱して熱硬化させることにより、前記カルボン酸含有樹脂(A)のカルボキシル基と、分子中に2個以上の環状エーテル基及び/又は環状(チオ)エーテル基を有する熱硬化性成分(G)が反応し、耐熱性、耐薬品性、耐吸湿性、密着性、電気特性などの諸特性に優れた硬化塗膜を形成することができる。
【0039】
上記基材としては、紙フェノール、紙エポキシ、ガラス布エポキシ、ガラスポリイミド、ガラス布/不繊布エポキシ、ガラス布/紙エポキシ、合成繊維エポキシ、フッ素・ポリエチレン・PPO・シアネートエステル等を用いた高周波回路用銅張積層版等の材質を用いたもので全てのグレード(FR−4等)の銅張積層版、その他ポリイミドフィルム、PETフィルム、ガラス基板、セラミック基板、ウエハ板等を挙げることができる。
【0040】
本発明の光硬化性、又は光硬化性・熱硬化性の樹脂組成物を塗布した後に行なう揮発乾燥は、熱風循環式乾燥炉、IR炉、ホットプレート、コンベクションオーブンなど(蒸気による空気加熱方式の熱源を備えたものを用い乾燥機内の熱風を向流接触せしめる方法およびノズルより支持体に吹き付ける方式)を用いて行なうことができる。
【0041】
上記活性エネルギー線照射に用いられる露光機としては、前記したように、直接描画装置(例えばコンピューターからのCADデータにより直接レーザーで画像を描くレーザーダイレクトイメージング装置)を用いることができる。活性エネルギー線としては、最大波長が400〜420nmの範囲にあるレーザー光を用いていればよい。また、その露光量は膜厚等によって異なるが、一般には2〜100mJ/cm、好ましくは5〜60mJ/cm、さらに好ましくは10〜30mJ/cmの範囲内とすることができる。上記直接描画装置としては、例えばペンタックス社製、日立ビアメカニクス社製、ボール・セミコンダクター社製等のものを使用することができ、いずれの装置を用いてもよい。
【0042】
前記現像方法としては、ディッピング法、シャワー法、スプレー法、ブラシ法などがあり、現像液としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、リン酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、アンモニア、テトラメチルアンモニウムハイドロオキシドなどのアルカリ水溶液が使用できる。
【実施例】
【0043】
以下に、実施例および比較例を示して本発明について具体的に説明するが、本発明が下記実施例に限定されるものではないことはもとよりである。
【0044】
合成例1
攪拌機、温度計、環流冷却管、滴下ロート及び窒素導入管を備えた2リットルのセパラブルフラスコに、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(日本化薬(株)製、EOCN−104S、軟化点92℃、エポキシ当量=220g/当量)660g、カルビトールアセテート 421.3g、及びソルベントナフサ 180.6gを仕込み、90℃に加熱・攪拌し、溶解した。次に、一旦60℃まで冷却し、アクリル酸 216g、トリフェニルホスフィン 4.0g、メチルハイドロキノン1.3gを加えて、100℃で12時間反応させ、酸価が0.2mgKOH/gの反応生成物を得た。これにテトラヒドロ無水フタル酸 241.7gを仕込み、90℃に加熱し、6時間反応させた。これにより、不揮発分=65質量%、固形分酸価=77mgKOH/g、二重結合当量(不飽和基1モル当たりの樹脂のg重量)=400g/当量、重量平均分子量=7,000のカルボン酸含有感光性樹脂(A’)の溶液を得た。以下、このカルボン酸含有感光性樹脂の溶液を、A−1ワニスと称す。
【0045】
合成例2
攪拌機、温度計、環流冷却管、滴下ロート及び窒素導入管を備えた2リットルのセパラブルフラスコに、o−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(エポキシ当量=215g/当量、1分子中に平均して6個のフェノール核を有する)430gおよびアクリル酸144g(2モル)を仕込んだ。撹拌しつつ120℃まで加熱し、120℃を保ったまま10時間反応を続けた。いったん反応生成物を室温まで冷却し、無水コハク酸190g(1.9モル)を加え、80℃に加熱して4時間反応した。ふたたび、この反応生成物を室温まで冷却した。この生成物固形分の酸価は、139mgKOH/gであった。
この溶液にグリシジルメタクリレート85.2g(0.6モル)およびプロピレングリコールメチルエーテルアセテート45.9gを加え、撹拌しつつ110℃まで加熱し、110℃を保ったまま6時間反応を続けた。この反応生成物を室温まで冷却したところ、粘調な溶液が得られた。このようにして、不揮発分=65質量%、固形分酸価=86mgKOH/gのカルボン酸含有感光性樹脂(A’)の溶液を得た。以下、このカルボン酸含有感光性樹脂の溶液を、A−2ワニスと称す。
【0046】
合成例3
攪拌機、温度計、環流冷却管、滴下ロート及び窒素導入管を備えた2リットルのセパラブルフラスコに、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂のエピクロンN−680(大日本インキ化学工業(株)製、エポキシ当量=215g/当量)215部を入れ、カルビトールアセテート266.5部を加え、加熱溶解した。この樹脂溶液に、重合禁止剤としてハイドロキノン0.05部と、反応触媒としてトリフェニルホスフィン1.0部を加えた。この混合物を85〜95℃に加熱し、アクリル酸72部を徐々に滴下し、24時間反応させた。このエポキシアクリレートに、予めイソホロンジイソシアネートとペンタエリスリトールトリアクリレートを1:1モルで反応させたハーフウレタン208部を徐々に滴下し、60〜70℃で4時間反応させた。このようにして得られた分子中に2個以上のエチレン性不飽和基を有する化合物(D)であるエポキシウレタンアクリレートワニス(不揮発分=65質量%)を、以下D−1ワニスと称す。
【0047】
上記合成例1〜3の樹脂溶液を用い、表1に示す種々の成分とともに表1に示す割合(質量部)にて配合し、攪拌機にて予備混合した後、3本ロールミルで混練し、ソルダーレジスト用の光硬化性・熱硬化性の樹脂組成物を調製した。ここで、得られた光硬化性・熱硬化性の樹脂組成物の分散度をエリクセン社製グラインドメータによる粒度測定にて評価したところ15μm以下であった。
【0048】
【表1】

【0049】
性能評価:
<吸光度>
吸光度の測定には、紫外可視分光光度計(日本分光株式会社製 Ubest−V−570DS)、及び積分球装置(日本分光株式会社製 ISN−470)を使用した。実施例1〜7及び比較例1〜7の光硬化性・熱硬化性の樹脂組成物をガラス板にアプリケーター塗布後、熱風循環式乾燥炉を用いて80℃,30分乾燥し、光硬化性・熱硬化性の樹脂組成物の乾燥塗膜をガラス板上に作製した。紫外可視分光光度計及び積分球装置を用いて、光硬化性・熱硬化性の樹脂組成物を塗布したガラス板と同一のガラス板で、500〜300nmにおける吸光度ベースラインを測定した。作製した乾燥塗膜付きガラス板の吸光度を測定し、ベースラインから乾燥塗膜の吸光度を算出でき、目的の光の波長405nmにおける吸光度を得た。塗布膜厚のずれによる吸光度のずれを防ぐため、この作業をアプリケーターによる塗布厚を4段階に変えて行い、塗布厚と405nmにおける吸光度のグラフを作成し、その近似式から膜厚25μmの乾燥塗膜の吸光度を算出して、それぞれの吸光度とした。
その評価結果を表2に示す。
【0050】
<最適露光量>
銅貼り積層基板をバフロール研磨後、水洗、乾燥し、前記実施例1〜7及び比較例1〜7の光硬化性・熱硬化性の樹脂組成物をスクリーン印刷法により塗布し、80℃の熱風循環式乾燥炉で30分乾燥させた。乾燥後、フォトマスク(イーストマン・コダック社製、ステップタブレットNo.2)を介して、波長405nmの青紫レーザーを搭載した直接描画装置を用いて露光した。照射したものをテストピースとし、スプレー圧0.2MPaの現像液(炭酸ナトリウム水溶液)にて60秒間の現像を行なった後、残存塗膜の段数を目視判定した。残存塗膜の段数が6段になる露光量を、適正露光量とした。
その評価結果を表2に示す。
【0051】
<表面硬化性>
上記最適露光量と同様にして作製した基板を、フォトマスク無しで露光して上記と同様に現像し現像塗膜を得た。露光量は、上記最適露光量評価で得られた露光量とした。現像塗膜を高圧水銀灯で1000mJ/cmの紫外線照射後、150℃,60分の熱硬化をすることにより硬化塗膜を得た。このようにして得られた硬化塗膜の表面硬化性は、光沢度計マイクロトリグロス(ビッグガードナー社製)を用いて60°時の光沢度について評価した。評価基準は現像後の光沢度50以上を良好、光沢度50未満を不良とした。
その評価結果を表2に示す。
【0052】
<断面形状>
実施例1〜7及び比較例1〜7の光硬化性・熱硬化性の樹脂組成物を、ライン/スペースが300/300、銅厚50μmの回路パターン基板をバフロール研磨後、水洗し、乾燥してからスクリーン印刷法により塗布し、80℃の熱風循環式乾燥炉で30分間乾燥させる。乾燥後、波長405nmの青紫レーザーを搭載した直接描画装置を用いて露光した。露光パターンは、スペース部に20/30/40/50/60/70/80/90/100μmのラインを描画させるパターンを使用した。露光量は、上記最適露光量評価によって得られた露光量とした。露光後、炭酸ナトリウム水溶液によって現像を行ってパターンを形成し、高圧水銀灯で1000mJ/cmの紫外線照射後、150℃,60分の熱硬化をすることにより硬化塗膜を得た。硬化塗膜の設計値100μmライン部のクロスセクションを観察した。
この形状を図面に記載した模式図のように、A〜Eの5段階に別けて評価した。図面は、以下のような現象が発生した時の模式図を示す。特に、A評価の場合、設計値からのずれがライン上部、下部ともに5μm以内のものとした。その結果を表2に示す。
A評価:設計幅通りの理想状態
B評価:耐現像性不足等による表面層の食われ発生
C評価:アンダーカット状態
D評価:ハレーション等による線太り発生
E評価:表面層の線太りとアンダーカットが発生
【0053】
【表2】

【0054】
上記表2に示す結果から判るように、本発明の光硬化性、又は光硬化性・熱硬化性の樹脂組成物は、400〜420nmの青紫レーザー光に対して高い光重合能力を発揮できると共に、十分な深部硬化性が得られ、さらに表面硬化性と熱安定性が優れた組成物であって、特に、ソルダーレジスト用途として、又、400〜420nmのレーザー光による直接描画に用いるに好適な光硬化性・熱硬化性の樹脂組成物、並びにそれを用いてパターン形成されたプリント配線板を提供することが可能である。
【符号の説明】
【0055】
1a ライン幅の設計値
1b 露光・現像後の樹脂組成物
1c 基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)カルボン酸含有樹脂、
(B)下記一般式(I)で表されるオキシムエステル基を含むオキシムエステル系光重合開始剤、
【化1】

(式中、Rは、水素原子、炭素数1〜7のアルキル基、又はフェニル基を表わし、Rは、炭素数1〜7のアルキル基、又はフェニル基を表わす。)
(C)下記一般式(II)で表される構造を持つアミノアセトフェノン系光重合開始剤、
【化2】

(式中、R、Rは、炭素数1〜12のアルキル基又はアリールアルキル基を表わし、R、Rは、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基又は2つが結合した環状アルキルエーテル基を表わす。)
(D)分子中に1個以上のエチレン性不飽和基を有する化合物(但し、カルボン酸含有化合物は除く)、及び
(E)青色顔料を含有し、希アルカリ溶液により現像可能な組成物であって、その塗膜の400〜420nmの波長における吸光度が、25μm当たり0.5〜1.2であることを特徴とする光硬化性の樹脂組成物。
【請求項2】
前記カルボン酸含有樹脂(A)が全組成物中に、20〜60質量%含有し、前記カルボン酸含有有樹脂(A)100質量部に対して、前記オキシムエステル系光重合開始剤(B)を0.01〜10質量部、前記アミノアセトフェノン系光重合開始剤(C)を0.1〜30質量部、前記化合物(D)を5〜100質量部の割合で含有し、前記青色顔料(E)が乾燥塗膜の400〜420nmの波長における吸光度が、25μm当たり0.5〜1.2となる範囲で含有することを特徴とする請求項1記載の光硬化性の樹脂組成物。
【請求項3】
更に、(F)ジアルキルアミノベンゾフェノンを前記カルボン酸含有樹脂(A)100質量部に対して、5質量部以下含むことを特徴とする請求項1または2記載の光硬化性の樹脂組成物。
【請求項4】
更に、(G)分子中に2個以上の環状エーテル基及び/又は環状チオエーテル基を有する熱硬化性成分を、前記カルボン酸含有樹脂(A)のカルボキシル基1当量に対して、0.6〜2.0当量含むことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の光硬化性の樹脂組成物。
【請求項5】
前記請求項1乃至4のいずれか一項に記載の樹脂組成物を、キャリアフィルムに塗布・乾燥して得られる光硬化性、又は光硬化性のドライフィルム。
【請求項6】
前記請求項1乃至4のいずれか一項に記載の樹脂組成物、又は前記請求項5に記載のドライフィルムを、銅上にて光硬化して得られる硬化物。
【請求項7】
前記請求項1乃至4のいずれか一項に記載の樹脂組成物、又は前記請求項5に記載のドライフィルムを、波長が350〜420nmのレーザー光にて光硬化して得られる硬化物を有するプリント配線板。

【図1】
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【公開番号】特開2012−103703(P2012−103703A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−259566(P2011−259566)
【出願日】平成23年11月28日(2011.11.28)
【分割の表示】特願2006−240556(P2006−240556)の分割
【原出願日】平成18年9月5日(2006.9.5)
【出願人】(591021305)太陽ホールディングス株式会社 (327)
【Fターム(参考)】