説明

機器、冷却機能監視装置およびファン劣化モニタリングプログラム

【課題】
本発明は、稼動に伴って発熱する発熱部品と、気流を生じさせてその発熱部品を空冷するファンとを備えた機器、ファンの冷却機能を監視する冷却機能監視装置、およびそのような機器内で実行されて、その機器にファンの劣化をモニタリングする機能を付与するファン劣化モニタリングプログラムに関し、ファンの気流発生能力(空冷能力)の劣化を正確に検出することを目的とする。
【解決手段】
ファンが正常状態にあるときの金属部品の稼働率と温度との関係をあらかじめ記憶しておいて、稼動時には、発熱部品の温度および基準点の温度を実測して発熱部品の温度を指定し、実測した発熱部品の温度が推定温度よりも所定の閾値温度以上高温であったときに冷却能力劣化状態にあると判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、稼動に伴って発熱する発熱部品と、気流を生じさせてその発熱部品を空冷するファンとを備えた機器、ファンの冷却機能を監視する冷却機能監視装置、およびそのような機器内で実行されて、その機器にファンの劣化をモニタリングする機能を付与するファン劣化モニタリングプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、稼動に伴って発熱する発熱部品を機器内に搭載する必要がある場合に、その発熱部品の、機器内での配置場所を工夫したり、配置場所の工夫のみでは足りない場合にファンを搭載してその発熱部品のまわりに気流を生じさせてその発熱部品を空冷することが行われている。
【0003】
例えば、パーソナルコンピュータでは、CPUの回路が構成されたLSIの発熱が大きく、また、このLSIは動作保証の上限温度が例えば95℃程度であってあまり高くないため、そのLSIに冷却用の放熱フィンを取り付け、ファンで気流を生じさせてそのLSIを空冷するということが行われている。
【0004】
図1は、CPUの温度とファンの回転数との関係を示した図である。
【0005】
ここでは一例として、CPUの温度が45℃以下のときはファンは停止しており、85℃以上になるとそのファンがその能力一杯(100%)でフル回転する。ここでは、CPUの動作保証温度は95℃としている。
【0006】
ファンも電力を消費するため、またファンは回転させることによって寿命に近づくため、できるだけは回転を抑え、空冷の必要に応じて必要な回転数だけ回転して必要なだけの気流を生じさせるようになっている。
【0007】
ここで問題となるのは、機器が新品のときは十分に空冷できていたのに、使っているうちに、ファンは回転しているのに十分な空冷が得られなくなるという現象である。この現象が生じる原因の1つとして、その機器を使ってる間にファンのまわりに塵埃が付着しファンが設定された回転数で回転していても十分な気流が発生せずに十分な空冷が得られないという点が挙げられる。
【0008】
CPUの場合、動作保証温度以上に温度が上昇するのを避けるため、温度が動作保証温度を超えそうになると、CPUが短い周期で定期的に停止するというスロットリングが行われる。
【0009】
図2は、CPUのスロットリングを表わした図である。
【0010】
温度が上昇し過ぎると、CPUに向けて短い周期でストップ信号が出され、CPUはそのストップ信号を受けているオフ期間は動作を停止しオフ期間とオフ期間との間のオン期間のみ、動作する。このようなスロットリングが行われると、CPUの温度上昇が抑えられるが、CPUの処理速度が低下する。
【0011】
ファンのまわりに塵埃が付着して十分な空冷が得られず、その結果、上記のスロットリングが行なわれると、ファンは回転していることからそこに原因があるとは気付かずにCPUの処理速度が低下するという現象が生じることになる。また、温度がさらに上昇するとCPUが停止するが、ファンに問題があることには気付かずにもっと大きな故障と思い込んで買い換えや修理依頼を強いることにもなりかねない。
【0012】
従来より、ファン劣化を判定する様々な手続が提案されている。
【0013】
例えば特許文献1には、周囲温度を測定しその周囲温度に基づいてファンの劣化を判定することが提案されている。
【0014】
また、特許文献2には、ファンの回転数が低下してきたことをもってファンが劣化したものと見なすことが提案されている。
【0015】
さらに、特許文献3にはモータの運転状況を記憶しておいて、故障解析を容易にすることが提案されている。
【特許文献1】特開平3−203395号公報
【特許文献2】特開2004−27987号公報
【特許文献3】特開2002−58280号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
CPU等の発熱部品の稼動時の温度上昇は、ファンの劣化によっても生じるが、それのみでなく、その発熱部品を搭載した機器のその時の環境温度によっても影響を受ける。例えば、周囲温度が40℃になったらファンの劣化と見なす場合に、環境温度が25℃のときは15℃の余裕があり、近くの発熱部品の影響で周囲温度が35℃にまで上昇してもファンの劣化とは検出されないが、環境温度が35℃のときは発熱部品の影響で周囲温度が45℃近くに上昇してしまい正常ではあるにもかかわらずファンの劣化と判定されてしまうおそれがある。
【0017】
したがって、周囲温度を測定してファンの劣化を検出するという特許文献1の提案ではファンの劣化を正確に検出することはできない。
【0018】
また、特許文献2は、ファンの回転数によってファンの劣化を検出する提案であるが、この提案を採用してファンの劣化が検出できるのは、ファンの回転数が常に一定の場合に限られ、また、ファンの周りに塵埃が付着して冷却能力が低下していてもファンの回転数さえ正常であればファンの劣化(気流発生能力の劣化)を検出することができない。
【0019】
また、特許文献3は、その機器に故障が発生したときにファンの回転の履歴を調べて故障解析を容易にするものであり、ファンの劣化の検出とは無関係である。
【0020】
本発明は、上記事情に鑑み、ファンの気流発生能力(空冷能力)の劣化を正確に検出する能力を備えた機器、ファンの冷却機能の劣化を正確に検出する能力を備えた冷却機能監視装置、および機器にそのような能力を付与するファン劣化モニタリングプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
上記目的を達成する本発明の機器は、稼動に伴って発熱する発熱部品と、気流を生じさせて発熱部品を空冷するファンとを備えた機器において、
上記ファンが正常状態にあるときの、発熱部品の稼働率と発熱部品の温度との関係を記憶しておく記憶部と、
発熱部品の温度と発熱部品から離れた基準点の温度とを測定する温度センサと、
上記記憶部に記憶された関係と基準点の実測温度とに基づいて、発熱部品の現在の稼働率に対応する発熱部品の推定温度を求める温度推定部と、
上記温度センサで測定した前記発熱部品の実測温度と温度推定部で求められた推定温度とに基づき冷却能力劣化状態にあるか否かを判定する判定部と、
上記判定部での冷却能力劣化状態にある旨の判定を受けてユーザに向けて警告する警告部とを備えたことを特徴とする。
【0022】
本発明の機器は、ファンが正常状態にあるときの発熱部品の稼働率と温度との関係をあらかじめ記憶しておいて、稼動時には、発熱部品の温度および基準点の温度を実測して発熱部品の温度を推定し、実測した発熱部品の温度と推定温度に基づき冷却能力劣化状態にあるか判定する。ここで、その判定は、実測した発熱部品の温度が推定温度よりも所定の閾値温度以上高温であったときに冷却能力劣化状態にあると判定するものであり、正確な判定が行われる。
【0023】
ここで、本発明の機器において、上記記憶部が、所定の環境温度下における、発熱部品の稼働率と発熱部品の温度との関係を記憶しておくものであり、上記温度推定部が、記憶部に記憶された関係を温度センサで測定された基準点の実測温度に基づいて補正し、補正後の関係に基づいて、発熱部品の現在の稼働率に対する発熱部品の推定温度を求めるものであることが好ましい。
【0024】
このように構成すると、所定の(1つの)環境温度下における発熱部品の稼働率と発熱部品の温度との関係を記憶しておくだけで済み、記憶容量の節約となる。
【0025】
ただし、上記記憶部に記憶容量の余裕があるときは、様々な環境温度下における発熱部品の稼働率と発熱部品の温度との関係を記憶しておき、基準点の測定温度に対応する関係を参照することで、上記の補正なしに、発熱部品の推定温度を求めるようにしてもよい。
【0026】
尚、上記の本発明は、プログラムを実行するCPUが内蔵されたコンピュータであって、そのCPUを発熱部品とするものであってもよい。
【0027】
また、本発明の機器は、画像を表示する表示画面を備え、上記警告部は、その表示画面上に警告を表わす画像を表示するものであってもよい。
【0028】
また、上記目的を達成するために、上記した本発明の特徴ある構成をもつ冷却機能監視装置としてもよい。
【0029】
また、上記目的を達成する本発明のファン劣化モニタリングプログラムは、稼動に伴って発熱する発熱部品と、気流を生じさせて該発熱部品を空冷するファンとを備えプログラムを実行する機器内で実行されるファン劣化モニタリングプログラムであって、上記機器を、
記憶部に記憶された、上記ファンが正常状態にあるときの、発熱部品の稼働率と発熱部品の温度との関係を用い、
記憶部に記憶された上記関係と発熱部品から離れた基準点の実測温度とに基づいて、発熱部品の現在の稼働率に対応する発熱部品の推定温度を求める温度推定部と、
前記発熱部品の実測温度と温度推定部で求められた推定温度とに基づき冷却能力劣化状態にあるか否かを判定する判定部と、
判定部での冷却能力劣化状態にある旨の判定を受けてユーザに向けて警告する警告部とを備えた機器として動作させることを特徴とする。ここで、その判定は、実測した発熱部品の温度が推定温度よりも所定の閾値温度以上高温であったときに冷却能力劣化状態にあると判定するものであり、正確な判定が行われる。
【0030】
また、上記本発明のファン劣化モニタリングプログラムにおいて、
上記記憶部が、所定の環境温度下における、発熱部品の稼働率と発熱部品の温度との関係を記憶しておくものであり、
上記温度推定部が、記憶部に記憶された関係を温度センサで測定された基準点の実測温度に基づいて補正し、補正後の関係に基づいて、発熱部品の現在の稼働率に対する発熱部品の推定温度を求めるものであることが好ましい。
【0031】
あるいは、上記の本発明の機器の場合と同様、記憶容量に余裕があるときは、様々な環境温度下における発熱部品の稼働率と発熱部品の温度との関係を記憶しておき、基準点の測定温度に対応する関係を参照することで、上記の補正なしに、発熱部品の推定温度を求めるようにしてもよい。
【0032】
また、上記目的を達成するために、上記した本発明の特徴ある構成をもつ冷却機能監視装置として機能させるファン劣化モニタリングプログラムとしてもよい。
【発明の効果】
【0033】
以上の本発明によれば、ファンの空冷能力の劣化を正確に検出することができる。特に、温度により稼働率が変化する発熱部品を用いる機器について、その劣化検出が正確なものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下、本発明の実施形態について説明する。
【0035】
図3は、本発明の機器の一実施形態であるノート型パーソナルコンピュータ(以下、「ノートパソコン」と略記する)の外観斜視図である。
【0036】
このノートパソコン10は、本体ユニット20と表示ユニット30とを備えており、これら本体ユニット20と表示ユニット30は、表示ユニット30が本体ユニット20に対し矢印A−A方向に開閉自在となるように連結部40で連結されている。この図1には、表示ユニット30が本体ユニット20に対し開いた状態にあるノートパソコンが示されている。
【0037】
本体ユニット20には、その上面に、キーボード21、トラックパッド22、左クリックボタン23、右クリックボタン24、および、表示ユニット30を閉じたときにその表示ユニット30を係止する係止ユニット25が備えられている。また、この本体ユニット20の側面には、CDやDVD等の光ディスクを搭載してアクセスする光ディスクドライブの側面26、およびMOを搭載してアクセスするMOドライブの開閉蓋27が外面に表われている。
【0038】
また、このノートパソコン10の表示ユニット30は、その前面に大きな表示画面31が広がっており、さらにその表示画面31よりも上には、この表示ユニット30を閉じたときに本体ユニット20の係止ユニット25に係止する留め具ユニット32が備えられている。
【0039】
図4は、図3に外観を示したノートパソコンのハードウェア構成図である。
【0040】
図4のハードウェア構成図には、ハードディスクコントローラ111、MOドライブ112、光ディスクドライブ113、トラックパッドコントローラ114、キーボードコントローラ115、ディスプレイコントローラ116、通信用ボード117、CPU118、メモリ119、温度検出ユニット120、およびファン制御ユニット121が示されており、それらはバス110で相互に接続されている。
【0041】
ハードディスクコントローラ111は、このノートパソコン10に内蔵されたハードディスク51のアクセスを担う構成要素であり、このハードディスク51には、このノートパソコン10内で実行されるOS(オペレーティングシステム)や各種のアプリケーションプログラムが格納されている。このハードディスク51内には、それらのプログラムのうちの1つである、図7を参照して後述するファン劣化モニタリングプログラムも格納されている。
【0042】
MOドライブ112は、図1に示す開閉蓋27から装填されたMO52をアクセスする役割を担っており、また、光ディスクドライブ113は、装填された光ディスク53をアクセスする役割を担っている。
【0043】
また、トラックパッドコントローラ114、キーボードコントローラ115、およびディスプレイコントローラ116は、それぞれ、トラックパッド22(左クリックボタン23および右クリックボタン24を含む)の操作の検出、キーボード21の操作の検出、および表示画面31への画面表示制御を担っている。
【0044】
更に、CPU118は、ハードディスク51に格納されていたプログラムが読み出されてメモリ119上に展開され、そのメモリ119上に展開されたプログラムを実行する役割を担っている。このCPU118は、動作時にかなり大きな発熱を伴う回路部品である。
【0045】
また、メモリ119は、上記のようにプログラムが展開されるとともに、CPU118でのプログラムの実行時の各種データが格納される。
【0046】
温度検出ユニット120は、本体ユニットに内蔵された温度センサ41による温度検出を担っており、ファン制御ユニット121は本体ユニットに設置されたファン42の回転制御を担っている。
【0047】
図5は、本体ユニット20内の部品の概略配置図である。尚、ここでは、以下の説明に必要な部品のみを示している。
【0048】
この図5には、本体ユニットに内蔵された部品のうちの、CPU118、メモリ119、チップセット130、ファン42、および温度センサ41が示されている。ここで、チップセット130は、図4に示すトラックパッドコントローラ114、キーボードコントローラ115、およびディスクコントローラ116等を集合した回路部品である。
【0049】
本体ユニット20内の発熱部品の主なものとして、CPU118、メモリ119、およびチップセット130が挙げられる。ここでは、CPU118の発熱量が最大であり、動作保証温度との関係で冷却を最も必要としているため、ファン42はCPU118を中心に冷却する位置に配置されている。
【0050】
温度センサ41は、CPU118からは離れた位置に置かれており、その配置場所(本発明にいう基準点の一例)の温度を測定するとともにCPU118の温度もリモートで測定する機能を有する。
【0051】
図4に示すハードディスク51には、ファン42が正常状態にあるときの、CPU118の稼働率とそのCPU118の温度との関係があらかじめ格納されており、後述する図7に示すファン劣化モニタリングプログラムの実行にあたってはその関係がメモリ119上に読み出されて参照される。このファン劣化モニタリングプログラムが冷却機能を監視する制御部としてノートパソコン10を機能させる。
【0052】
図6は、CPU118の稼働率と温度との関係を示したグラフである。
【0053】
この図6に示すグラフf(α)は、環境温度(ノートパソコン10の外部の温度)が25℃にあるときの、CPU稼働率αに対するCPUの温度t25を示したグラフである。
【0054】
このグラフf(α)は、ノートパソコン1台1台について測定するものではなく、典型的な1台もしくは数台について測定し、その平均的な測定結果のグラフが同種のノートパソコンの全てに記憶される。尚、この図6に示す多数のドットは測定時のデータを示したものであり、ノートパソコンにはグラフf(α)のみ記憶される。
【0055】
図7は、ファン劣化モニタリングプログラムを表わすフローチャートである。
【0056】
ここでは、先ず、温度センサ41による温度測定が行われる(ステップS1)。ここでは、その温度センサ41が配置された場所の温度LとCPU118の温度tremoteとの双方について温度測定が行われる。
【0057】
次にCPU118の温度推定が行われる(ステップS2)。
この温度推定のステップS2では、下記の(1)式、
F(α)=f(α)+(L−C25) …(1)
によってCPUの推定温度F(α)が求められる。
【0058】
ここで、f(α)は、図6に示すグラフのうちのCPUの現在の稼働率αに対する値であり、LはステップS1で測定された、温度センサ41の配置場所の温度である。また、図6に示すグラフf(α)は、ノートパソコン10の外部の環境温度が25℃のときのCPU118の温度であり、温度センサ41はノートパソコン10の内部であってその温度センサ41の配置場所の温度は環境温度25℃とは異なるため、環境温度25℃と温度センサ41の配置場所の温度との差異に起因するCPUの推定温度の誤差を補正するために、(1)式に補正値C25を導入している。
【0059】
図7のステップS3では、CPUの実測温度tremoteとCPUの推定温度F(α)との差分
remote−F(α)
が求められ、その差分が閾値温度Tを越えているか否かが判定される。その差分が閾値温度Tを越えていないときは、未だ冷却能力劣化状態にはないと判定されてステップS1に戻り、再度、温度測定が行われるとともに、CPUの新たな稼働率に基づく温度推定が行われる。
【0060】
尚、CPUの稼働率αとしては、瞬時瞬時の稼働率ではなく、温度が変化する時間と同レベルの時間の稼動平均値が採用されている。
【0061】
一方、ステップS3で、差分(tremote−F(α))が閾値温度Tを越えている冷却能力劣化状態にあると判定されたときは、スラップS4に進み、図1に示すノートパソコン10の表示画面31上にファンの冷却能力が劣化している旨、警告が表示される。
【0062】
この警告表示を確認したユーザは、ファンの周りに付着した塵埃を除去する清掃を行ない、これにより冷却能力の劣化の解消が期待される。
【0063】
上記の実施形態によれば、ファンの冷却能力劣化が高精度に判定され、ユーザに向けて適切な情報を提供することができる。
【0064】
尚、上記の実施形態では、環境温度が25℃のときのCPUの稼動率αとCPUの温度との関係のみを記憶しておき、その関係を用いて温度推定が行われたが、複数の環境温度に対応した、CPUの稼働率とCPUの温度との関係であって、補正値C25による補正後の関係を記憶しておき、上述の(1)式の演算で行うことなく、温度センサ41の配置場所の実測温度とCPUの稼働率αとから直接に推定温度を求めてもよい。
【0065】
また、上記の実施形態は、CPUを本発明にいう発熱部品とするものであるが、配置場所や使用方法等によって、CPU118ではなく、メモリ119やチップセット130の方がより強く冷却する必要があるときは、メモリ119あるいはチップセット130を本発明にいう発熱部品として上記と同様の処理を行ってもよい。
【0066】
さらに、本発明はノートパソコンに限らず、デスクトップ型のパーソナルコンピュータや、その他一般の機器に広く採用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】CPUの温度とファンの回転数との関係を示した図である。
【図2】CPUのスロットリングを表わした図である。
【図3】本発明の機器の一実施形態であるノートパソコンの外観斜視図である。
【図4】図3に外観を示したノートパソコンのハードウェア構成図である。
【図5】本体ユニット内の部品の概略配置図である。
【図6】CPUの稼働率と温度との関係を示したグラフである。
【図7】ファン劣化モニタリングプログラムを表わすフローチャートである。
【符号の説明】
【0068】
10 ノートパソコン
20 本体ユニット
30 表示ユニット
41 温度センサ
42 ファン
118 CPU
119 メモリ
120 温度検出ユニット
121 ファン制御ユニット
130 チップセット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
稼動に伴って発熱する発熱部品と、気流を生じさせて該発熱部品を空冷するファンとを備えた機器において、
前記ファンが正常状態にあるときの、前記発熱部品の稼働率と該発熱部品の温度との関係を記憶しておく記憶部と、
前記発熱部品の温度と該発熱部品から離れた基準点の温度とを測定する温度センサと、
前記記憶部に記憶された前記関係と前記基準点の実測温度とに基づいて、前記発熱部品の現在の稼働率に対応する該発熱部品の推定温度を求める温度推定部と、
前記温度センサで測定した前記発熱部品の実測温度と前記温度推定部で求められた推定温度とに基づき冷却能力劣化状態にあるか否かを判定する判定部と、
前記判定部での前記冷却能力劣化状態にある旨の判定を受けてユーザに向けて警告する警告部とを備えたことを特徴とする機器。
【請求項2】
前記判定部は、前記温度センサで測定した前記発熱部品の実測温度が前記温度推定部で求められた推定温度よりも所定の閾値温度以上高温である場合に冷却能力劣化状態と判定することを特徴とする請求項1記載の機器。
【請求項3】
前記記憶部が、所定の環境温度下における、前記発熱部品の稼働率と該発熱部品の温度との関係を記憶しておくものであり、
前記温度推定部が、前記記憶部に記憶された関係を前記温度センサで測定された前記基準点の実測温度に基づいて補正し、補正後の関係に基づいて、前記発熱部品の現在の稼働率に対する該発熱部品の推定温度を求めるものであることを特徴とする請求項1記載の機器。
【請求項4】
この機器が、プログラムを実行するCPUが内蔵されたコンピュータであって、該CPUを前記発熱部品とするものであることを特徴とする請求項1記載の機器。
【請求項5】
画像を表示する表示画面を備え、
前記警告部は、前記表示画面上に警告を表わす画像を表示するものであることを特徴とする請求項1記載の機器。
【請求項6】
稼動に伴って発熱する発熱部品と、気流を生じさせて該発熱部品を空冷するファンとを備えた機器に用いられる冷却機能監視装置において、
記憶部に記憶された、前記ファンが正常状態にあるときの、前記発熱部品の稼働率と該発熱部品の温度との関係を用い、
前記記憶部に記憶された前記関係と前記発熱部品から離れた基準点の実測温度とに基づいて、前記発熱部品の現在の稼働率に対応する該発熱部品の推定温度を求める温度推定部と、
前記発熱部品の実測温度と前記温度推定部で求められた推定温度とに基づき冷却能力劣化状態にあるか否かを判定する判定部と、
前記判定部での判定結果を出力する出力部と、
を備えたことを特徴とする冷却機能監視装置。
【請求項7】
稼動に伴って発熱する発熱部品と、気流を生じさせて該発熱部品を空冷するファンとを備えた、プログラムを実行する機器内で実行され、該機器を、
記憶部に記憶された、前記ファンが正常状態にあるときの、前記発熱部品の稼働率と該発熱部品の温度との関係を用い、
前記記憶部に記憶された前記関係と前記発熱部品から離れた基準点の実測温度とに基づいて、前記発熱部品の現在の稼働率に対応する該発熱部品の推定温度を求める温度推定部と、
前記発熱部品の実測温度と前記温度推定部で求められた推定温度とに基づき冷却能力劣化状態にあるか否かを判定する判定部と、
前記判定部での前記冷却能力劣化状態にある旨の判定を受けてユーザに向けて警告する警告部とを備えた機器として動作させることを特徴とするファン劣化モニタリングプログラム。
【請求項8】
前記判定部は、前記温度センサで測定した実測温度が前記温度推定部で求められた推定温度よりも所定の閾値温度以上高温である場合に冷却能力劣化状態と判定することを特徴とする請求項7記載のファン劣化モニタリングプログラム。
【請求項9】
前記記憶部が、所定の環境温度下における、前記発熱部品の稼働率と該発熱部品の温度との関係を記憶しておくものであり、
前記温度推定部が、前記記憶部に記憶された関係を前記温度センサで測定された前記基準点の実測温度に基づいて補正し、補正後の関係に基づいて、前記発熱部品の現在の稼働率に対する該発熱部品の推定温度を求めるものであることを特徴とする請求項7記載のファン劣化モニタリングプログラム。
【請求項10】
稼動に伴って発熱する発熱部品と、気流を生じさせて該発熱部品を空冷するファンとを備えた、プログラムを実行する機器内で実行され、該機器を、
記憶部に記憶された、前記ファンが正常状態にあるときの、前記発熱部品の稼働率と該発熱部品の温度との関係を用い、
前記記憶部に記憶された前記関係と前記発熱部品から離れた基準点の実測温度とに基づいて、前記発熱部品の現在の稼働率に対応する該発熱部品の推定温度を求める温度推定部と、
前記発熱部品の実測温度と前記温度推定部で求められた推定温度とに基づき冷却能力劣化状態にあるか否かを判定する判定部と、
前記判定部での判定結果を出力する出力部と、
を備えた冷却機能監視装置として動作させることを特徴とするファン劣化モニタリングプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−249719(P2007−249719A)
【公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−73682(P2006−73682)
【出願日】平成18年3月17日(2006.3.17)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】