説明

欠陥検査方法及びこれを用いた装置

【課題】
パルスレーザ光源から発射されるパルスレーザのパルス発振周波数よりも高いサンプリングレートで試料にダメージを与えることなく検査することを可能にする。
【解決手段】
パルス光源から発射されたパルス光の1パルス分の光を複数のパルスに分割し、この分割されたパルス光を試料に照射し、照射により試料から発生した散乱光を集光して検出し、試料からの散乱光を集光して検出して得た情報を用いて試料上の欠陥を検出する欠陥検出方法において、1パルス分の光を複数のパルス光に分割することを、分割した各パルス光のピーク値がほぼ一定になるように制御して分割するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体製造工程やフラットパネルデイスプレイの製造工程に代表される薄膜プロセスを経て試料上に形成された微細パターンの欠陥や異物などの欠陥検査方法及びこれを用いた装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の半導体デバイスの検査装置として、特許文献1(特開2003−130808号公報)及び特許文献2(特開2007−85958号公報)に記載されているような構成のものがある。この特許文献1に記載されている半導体デバイスの検査装置は、光源にVUV(Vacuume Ultraviolet)域のパルスレーザが用いられている。この領域のパルスレーザ光はパルス繰返し周波数が低いため、そのまま用いたのでは検査速度が低下してしまう。このため、特許文献1にはレーザ光源を発振したパルス光を遅延光路にて複数のパルスに分割する方法が記載されている。
【0003】
また、特許文献2に記載されている半導体デバイスの検査装置は、パルス発振のUV(Ultraviolet)レーザを用いているが,パルスの尖頭値を低減させて試料へのダメージを抑えるために、光源から発射されたパルスレーザを分割して試料に照射する構成が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−130808号公報
【特許文献2】特開2007−85958号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
散乱光検出方式による半導体ウェハ上の欠陥検出感度を向上するためには、欠陥からの散乱光を多く検出することが有効である。レイリー散乱領域では一般に散乱光は波長の4乗に反比例する特性があり、短波長化することにより、欠陥からの散乱光強度を高くすることができる。検査用途に適用可能な高出力の短波長光源としては、DUV領域の248nm(KrF)エキシマレーザや193nm(ArF)エキシマレーザ及び、157nm(F2)レーザなどがある。これらの気体レーザは、高出力の利点はあるが、パルス発振周波数が数kHz程度であり、検査向けに行われる散乱光のサンプリング周波数(数MHz以上)に対して、3桁以上遅い。このため、照明パルスに対応して散乱光をサンプリングすると、検査時間が遅くなるという問題がある。
【0006】
このようなパルスレーザ光源を検査装置に用いる方法として、特許文献1および2にはパルスレーザ光源から発射されたレーザを光路の途中で複数のパルスに分割して試料に照射する方法が記載されているが、特許文献1および2ではパルスの尖頭値を低減することを目的としており、パルスレーザ光源から発射されるパルスレーザのパルス発振周波数よりも高いサンプリングレートで試料を検査することについては記載されていない。
【0007】
また、欠陥散乱光は照明のレーザ光強度に比例するため高感度化のためには、レーザ光強度を高めたい。しかし、ウェハをパルス照明すると、パルス尖頭値に起因したウェハの瞬時温度上昇に伴うウェハのダメージと、連続パルス照明による平均的なウェハ温度上昇によるウェハダメージの問題があるため、レーザ光強度を高める制約条件となっている。これら、瞬時温度上昇と平均温度上昇によるダメージを受ける限界照度以下に照度を確保して検査する必要がある。
【0008】
さらに、ウェハ上には多種の欠陥があり、ウェハ製造工程や半導体デバイス製造工程では多種の欠陥を安定して検出するニーズが高い。これら欠陥の大きさや形状などによって、欠陥の散乱分布が多様に変化する。このため、欠陥散乱分布が変化しても散乱光を検出可能な光学系の構成にする必要がある。
【0009】
本発明の目的は、上記した従来技術の課題を解決して、パルスレーザ光源から発射されるパルスレーザのパルス発振周波数よりも高いサンプリングレートで試料にダメージを与えることなく検査することが可能な半導体デバイスの欠陥検査装置及び欠陥検査方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明では、パルス光源から発射されたパルス光の1パルス分の光を複数のパルスに分割し、この分割されたパルス光を試料に照射し、照射により試料から発生した散乱光を集光して検出し、試料からの散乱光を集光して検出して得た情報を用いて試料上の欠陥を検出する欠陥検出方法において、1パルス分の光を複数のパルス光に分割することを、分割した各パルス光のピーク値がほぼ一定になるように制御して分割するようにした。
【0011】
また、上記課題を解決するために、本発明では、欠陥検出装置を、パルスレーザを発射するパルスレーザ光源と、このパルスレーザ光源から発射されたパルス光の1パルス分の光を複数のパルスに分割するパルス分割手段と、このパルス分割手段で分割されたパルス光を試料に照射する照射手段と、この照射手段により分割されたパルス光が照射された試料から発生した散乱光を集光して検出する散乱光検出手段と、この散乱光検出手段で試料からの散乱光を集光して検出して得た情報を用いて試料上の欠陥を検出する信号処理手段とを備え、パルス分割手段には、1パルス分の光を複数のパルス光に分割するためのパルス分割光路部と、このパルス分割光路部から出射するパルス分割されたレーザの各分割されたパルスごとのピーク値がほぼ一定になるように制御するパルスピーク値制御部を備えて構成した。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、散乱光のサンプリング周波数よりも低い繰返し周波数のパルス光源を用いた場合においても、実質的なサンプリング周波数を低下させることなく、高速に検査することが可能となる。さらに、複数視野を同じ照明条件で同時照明することにより、高速検査を可能とする。さらに、複数視野を異なる光学条件で同時照明することにより、各種欠陥の高感度検出を可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】検査装置の全体構成の概略を示すブロック図である。
【図2】パルス分割光路の構成を示すブロック図である。
【図3】パルス分割光路に入射したパルス光の電気光学素子に入射する前の偏光の状態(左側)と電気光学素子を出射した直後の偏光の状態(右側)を示す図である。
【図4】パルス分割光路を1周したパルス光が再び電気光学素子に入射する前の偏光の状態(左側)と電気光学素子を出射した直後の偏光の状態(右側)を示す図である。
【図5】パルス分割光路をn周したパルス光が再び電気光学素子に入射する前の偏光の状態(左側)と電気光学素子を出射した直後の偏光の状態(右側)を示す図である。
【図6】1パルス分の光を従来のパルス分割方法で分割したときの光強度変化の概念を説明するグラフである。
【図7】1パルス分の光を本発明の実施例による均一強度パルス分割方法で分割したときの光強度変化の概念を説明するグラフである。
【図8】1パルス分の光を本発明の実施例による均一強度パルス分割方法で分割したときのパルス分割光路からの出力の状態を説明するグラフである。
【図9】照明光の光路を3つに分岐して、ウェハ上の3箇所を同時に照明している状態を示しウェハの平面図である。
【図10】照明光の光路をミラーを使って3つに分岐してウェハ上の3箇所を同時に照明し、それぞれの照明領域からの前方散乱光と側方散乱光とを4方向に配置した検出光学系で検出する概略の構成を示すウェハと検出光学系の平面図である。
【図11】照明光の光路をレンズの組み合わせで3つに分岐する光学系の概略を示す平面図である。
【図12】照明光の光路をミラーとレンズの組み合わせで3つに分岐してウェハ上の3箇所を同時に照明し、それぞれの照明領域からの前方散乱光と側方散乱光及び後方散乱光を4方向に配置した検出光学系で検出する概略の構成を示すウェハと検出光学系の平面図である。
【図13】照明光の照明強度制御を行った場合のウェハの半径方向の照明光の照射位置とウェハ温度との関係を示すグラフである。
【図14A】ウェハの半径方向の照明位置とウェハの回転速度との関係を示すグラフである。
【図14B】ウェハの半径方向の照明位置とアッテネータの透過率との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0014】
本発明による半導体ウェハ欠陥検査装置の構成を図1に示す。
【0015】
半導体ウェハ欠陥検査装置は、検査対象となる半導体ウェハ1を載置するステージ部1100、検査対象となる半導体ウェハ1に照明光を照射する照明光学系部1200、照明光が照射された半導体ウェハ1からの散乱光を検出する散乱光検出光学系部1300、散乱光を検出した散乱光検出光学系部1300からの出力信号を処理する信号処理部1400及び全体を制御する制御部1500を備えて構成される。
【0016】
ステージ部1100は、検査対象となる半導体ウェハ1を保持するチャック2、チャックを搭載する回転ステージ3、高さ方向に移動可能なZステージ5、平面内でX軸方向に移動可能なXステージ6、平面内でX軸方向に対して直角なY軸方向に移動可能なYステージ7を備えている。
【0017】
照明光学系部1200は、パルスレーザを発振するレーザ光源10、アッテネータ15、パルスレーザのパルスを分割するパルス分割光路20、偏光素子25、ミラー30,32,33を備えている。
【0018】
散乱光検出光学系部1300は、仰角、方位角の異なる複数の位置に配置された対物レンズ40,45,50,55、各対物レンズで形成された光学像を検出するセンサ41、46,51,56を備えている。
【0019】
信号処理部1400は、センサ41、46,51,56の出力をそれぞれA/D変換するA/D変換器60,65,70,75、各A/D変換器で変換された信号を処理する信号処理部80を備えている。
【0020】
制御部1500は、ステージ部1100の各ステージや照明光学系部1200のアッテネータ15、パルス分割光路20、偏光素子25、ミラー30等の可動機構部の動きを制御するメカニカルコントローラ95と操作部90を備えている。
【0021】
上記した構成の各部の動作を説明する。検査対象となる半導体ウェハ1をチャック2に吸着し、このチャック2が回転ステージ3、Zステージ5、Xステージ7に搭載されている。回転ステージ3はスピンドル等を使用した形態等が考えられ、最高回転速度は1,000〜100,000rpm程度である。この回転運動とXステージ7による水平方向の直線運動により、ウェハ1を全面検査する。なお、XYZの直交3軸ステージを用いた走査手段によっても全面検査可能である。
【0022】
検査用の照明光源としては、レーザやランプがある。レーザ10の候補としては、固体レーザの波長532nm、355nm、266nmやガスレーザの248nm(KrF)、193nm(ArF)、157nm(F2)がある。
【0023】
レーザ10を発振したパルスレーザ光11は、アッテネータ15、パルス分割光路20、偏光素子25を透過して、斜方照明と垂直照明を切り換えるミラー30に入射する。このミラー30を反射した光は、ミラー32で反射してウェハ1に対して斜方より照明する。一方、メカニカルコントローラ95で駆動されてミラー30が光路から退避している場合は、ミラー33で反射してウェハ1に対して垂直に照明する光路に導かれ、ウェハ1を垂直照明する。斜方照明または垂直照明によりウェハ1上の欠陥で散乱した光は、仰角、方位角の異なる複数の位置に配置された対物レンズ40,45,50,55で捕捉され、それぞれの像面に配置したセンサ41、46,51,56にて検出される。センサとしては、マルチアノードホトマルや裏面照射型イメージセンサ(CCDやCMOSセンサを含む)などが候補である。ウェハ1上の欠陥からの散乱光を検出したそれぞれのセンサ41、46,51,56から出力されたアナログ信号は、AD変換器60,65,70,75にてデジタル信号に変換され、信号処理部80にて欠陥候補を判定する。ステージや光学系の電動機構は、メカニカルコントローラ95にて制御する。この制御部への動作指示やユーザによる検査条件の設定や検査結果の表示などは操作部90にて行う。
【0024】
パルス分割光路20の構成を図2に示す。レーザ光源10から発振したパルス光11はパルス分割光路20のPBS(Polarizing Beam Splitter)105に対して、P偏光で入射して電気光学素子110に入射する。この電気光学素子110は例えばニオブ酸リチウム(LiNbO)で形成されて、ニオブ酸リチウム素子の両面に印加された電圧に応じてニオブ酸リチウム素子を透過する光に複屈折を与える特性を有しており、電気光学素子110に入射したパルス光の偏光面は90度近く回転させられて、PBS115に対してほぼS偏光となり、一部が透過して、ほとんどの光はPBS115を反射する。反射した光は全反射ミラー125、130を反射して、PBS105に対してS偏光で入射し、反射する。2週目で電気光学素子110に入射した光は、1周目とは異なる複屈折を与えて偏光面を回転させる。このとき、PBS115にて一部が透過して、大半が反射するように電気光学素子110の印加電圧が制御されている。この電気光学素子110の制御について、図3、4、5を用いて説明する。
【0025】
図3は、レーザからのパルス光が初めて電気光学素子110に入射するパルス分割光路20の一周目の状態である。矢印の左側が電気光学素子110に入射するレーザの偏光の状態、矢印の右側が電気光学素子110から出射してPBS115に入射するレーザの偏光の状態を示す。P偏光で入射した光は、90度近く偏光面が回転するように電気光学素子110の印加電圧を制御する。これにより、PBSを透過する光の振幅をAとする。図4に二周目の状態を示す。S偏光で入射した光は、P偏光の振幅が一周目の透過振幅Aと同じになるように電圧を制御する。さらに、n週目の状態を図5に示す。周回を繰り返すと、PBS115から光が抜ける分、電気光学素子110に入射する振幅が小さくなる。このため、PBS115を透過する振幅Aを一定にするためには、周回を繰り返す度に電気光学素子110の変調量を制御する必要がある。この電気光学素子110の変調量を制御は、メカニカルコントローラ95で行われる。
【0026】
図6に電気光学素子110の変調量を固定した場合の光強度の状態を示す。この場合、時間と共に光強度が低下する。これに対して、電気光学素子110によるパルス毎の変調制御を行うことにより、図7に示すとおり、強度の均一なパルス分割が可能となる。パルス分割光路20の光路長(例えば、電気光学素子110の入射面からパルス分割光路20を1周して再び電気光学素子110の入射面に達するまでの長さ)を60cmとすると、電気光学素子110によるパルス毎の変調制御は、駆動周波数500MHzで制御すればよい。
【0027】
照明光の強度を高めることにより、欠陥からの散乱光は比例して高くなる。欠陥検出上のノイズ成分がウェハ表面のラフネスである場合は、欠陥検出S/Nは強度の0.5乗に比例する。照明の高強度化はウェハや光学系のダメージとトレードオフの関係であるため、ダメージを回避しつつ高強度化を図る必要がある。
【0028】
図13にウェハ1の走査速度に対応して照明の強度を制御する方式を示す。ウェハ1のダメージはレーザ光による平均的な温度上昇限界Aとパルス照明の尖頭値による瞬時温度上昇限界Bがある。瞬時温度上昇Bは平均温度上昇Aよりも高い。光学系の視野がウェハ内周部(ウェハの中心に近い部分)にある場合は、視野位置(レーザ照射箇所)におけるウェハ1の走査は遅く、ウェハ1の温度が上昇しやすい。このため、線速度が低い位置ではアッテネータ15にて照明強度を低くしてダメージを回避する。線速度が高くなるにつれて照明強度も高くし、線速度一定に制御する半径以上では照明強度は一定となる。
【0029】
即ち、図14Aに示すように、メカニカルコントローラ95で回転ステージ3を制御して、ウェハ1の中心から半径方向rの位置までを検査しているときにはウェハ1の回転速度を最大にし、半径方向rよりも外側の位置を検査しているときにはウェハ1の半径方向の位置に応じてウェハ1の回転速度を低下させるようにする。一方、このとき、図14Bに示すように、メカニカルコントローラ95でアッテネータ15を制御して、ウェハ1の中心から半径方向rの位置までを検査しているときにはアッテネータ15の光透過率をウェハ1の半径方向の位置に応じてウェハ1の中心に近づくほど透過率が小さくなるように変化させ、半径方向rよりも外側の位置を検査しているときにはウェハ1の半径方向の位置によらず一定の透過率を維持するようにする。
【0030】
以上のように、ウェハ半径位置によらず、平均温度上昇Aの限界1330まで照明強度を上げる制御を行う。平均温度上昇1330を限界Aになるように照明強度を上げることにより、パルス分割を行わない場合、またはパルス分割を行ったとしても従来のように分割したパルスの尖頭値が時間と共に変化するような場合には、瞬時温度上昇1340が限界Bを超える可能性がある。これに対して本実施例では、図2に示したように分割したパルスの尖頭値がほぼ一定となるようにパルス分割を行うことにより、パルス尖頭値を低減きるので瞬時温度上昇を1350まで低減することが可能である。
【実施例2】
【0031】
実施例1においては、パルスビームをパルス分割してウェハ1を照明する構成について説明したが、実施例2においては、このパルス分割したレーザビームを複数の光路に分岐してウェハ1を照明する方式について説明する。
【0032】
図8に分割後のパルスの状態を示す。分割したパルスの発生時間T1に対して、レーザを発振したパルスの周期T2はT1の3倍であると仮定する。このような場合においても、等速運動にて検査する例を図9に示す。照明光はウェハ1上の3つの領域140、145、150を照明する。この3つの領域の間隔155は、分割したパルスの発生時間T1に対応する。このため、T1の間に3つの視野を同時照明して散乱光を検出する。そして、次のパルスが照射されるときは、散乱光検出されていない領域の散乱光を検出する仕組みである。
【0033】
これらの複数視野同時検出の光学系の構成を図10に示す。図1に示した構成でミラー32で反射した照明光35は、ミラー160に入射する。ここでミラー160は、入射した光のうち2/3を透過し、1/3を反射する特性を持っている。ミラー160で反射された照明光は、半導体ウェハ1の側に向かう。上記したような特性を有するミラー160を透過した光は、入射光の半分を透過させて残りを反射するハーフミラー165に入射する。ハーフミラー165で反射された照明光は、半導体ウェハ1の側に向かう。ハーフミラー165を透過した光は全反射ミラー170で反射して半導体ウェハ1の側に向かう。このような特性を持つミラー群160,165,170で反射(分岐)した照明光は、それぞれ半導体ウェハ1上の領域140,145および150を同じ照明強度で照明する。
【0034】
ミラー160で反射された照明光36で照明された領域140にて散乱した光のうちレンズ40、45、50、55に入射した光は集光されてセンサ44、49、52、57により検出される。ミラー165で反射された照明光37で照明された領域145にて散乱した光のうちレンズ40、45、50、55に入射した光は集光されてセンサ43、48、53、58により検出される。さらに、ミラー170で反射された照明光38で照明された領域150にて散乱した光のうちレンズ40、45、50、55に入射した光は集光されてセンサ42、47、54、59により検出される。たとえば、レンズ40に着目すると、検出視野140,145,150が異なる空間であるため、レンズ40による像も互いに異なる位置に形成される。このため、センサ42,43,44を各視野の像面に配置可能となる、レンズ45、50、55による像面にも同様に各視野の散乱光を個別に検出するセンサ47,48,49,52,53,54,57,58,59が配置される。
[実施例2の変形例]
図10に示した構成では、3つのミラー160,165,170を用いて照明光の光路を3つに分岐する構成を説明したが、この構成ではミラーの間隔を近接させるには限界がある。したがって、ウェハ1上の照明領域140,145,150は、3つのミラー160,165,170を近接させることができる限界よりも近接させることができない。
【0035】
この課題を解決する一つの手段として、ミラー32で反射した照明光35の光路中に設けた分割照明光学系1700を用いて、光のビーム幅を拡大することなくウェハ1上に3つの照明領域2140,2145,2150を近接形成する分割照明光学系1600の構成を図11に示す。ミラー32で反射して入射したレーザ光35はビーム内の強度を均一分布にする強度均一化素子174に入射する。均一化素子174の例としては、非球面レンズによる手段や回折光学素子を利用すればよい。均一化素子174によりビーム内の光強度分布を均一化された光は、レンズアレイ175に入射する。このレンズアレイは比較的小さいレンズ176が複数配置され、1つのビーム35からそれぞれの焦点位置に集光する。このレンズアレイ175の各レンズ176−1〜176−3で集光された光はレンズ180にてコリメートされ、レンズ185にてウェハ1上の空間的に異なる位置2140.2145、2150に集光する。これにより、近接された3つの視野にビームを集光照明することが可能となる。
【実施例3】
【0036】
実施例2で説明した図10の構成では前方と側方散乱光しか検出できない構成であるが、欠陥種によっては、後方に強く散乱する欠陥もある。このため、幅広く欠陥を検出するためには、前方、側方、後方に散乱した光を分離して検出する構成が望ましい。図10に示した構成に対して、照明光の方位を換えることにより前方、側方、後方に散乱した光を検出する構成として、複数照明、複数視野検出の構成を図12に示す。
【0037】
図1に示した構成でミラー32で反射した照明光35はミラー300に入射する。ここで、ミラー300は入射した光のうち2/3を透過し、1/3を反射する特性を持っている。ミラー300で反射された照明光は、レンズ315にて集光されてウェハ1上の領域3140を照明する。ミラー300透過した照明光はハーフミラー305にて入射した光量の半分が透過して残りが反射される。ハーフミラー305で反射した光は、レンズ320にて集光されてウェハ1上の領域3145を照明する。ハーフミラー305を透過した光は全反射ミラー310を反射し、レンズ325にて集光されてウェハ1上の領域3150を照明する。
【0038】
このように、ウェハ1上の各領域3140、3145、3150を照明する光の方位が異なる。領域3140に着目すると、レンズ340は後方散乱、レンズ345は側方散乱、レンズ350と355は前方散乱光を集光してそれぞれ検出器342〜344、347〜349、352〜354、357〜359で検出する。また、領域3145に着目すると、レンズ340と355は側方散乱、レンズ345と350は前方散乱光を検出する。さらに、領域3150に着目すると、レンズ340と345は前方散乱、レンズ350は側方散乱、レンズ355は後方散乱光を検出する。以上の構成により、全方位の散乱光を検出することが可能となり、欠陥の捕捉率向上に有効である。
【0039】
以上の実施例で示した構成や機能及び画像処理内容については、様々な組合せが考えられるが、それらの組合せについても本発明の範囲内であることは明らかである。
【符号の説明】
【0040】
1・・・ウェハ 3・・・θステージ 5・・・Zステージ 7・・・Xステージ 10・・・光源 15・・・アッテネータ 20・・・パルス遅延光学系
25・・・偏光変換部 40,45,50,55・・・対物レンズ 41、46,
51,56・・・センサ 80・・・信号処理部 90・・・システム制御部 95・・・機構系制御 105,115・・・PBS 110・・・電気光学素子 1125,130・・・ミラー 174・・・ビーム内強度均一化素子
175・・・レンズアレイ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パルス光源から発射されたパルス光の1パルス分の光を複数のパルスに分割し、
該分割されたパルス光を試料に照射し、
該照射により前記試料から発生した散乱光を集光して検出し、
前記試料からの散乱光を集光して検出して得た情報を用いて前記試料上の欠陥を検出する欠陥検出方法であって、
前記1パルス分の光を複数のパルス光に分割することを、該分割した各パルス光のピーク値がほぼ一定になるように制御して分割することを特徴とする欠陥検査方法。
【請求項2】
前記分割されたパルス光を前記試料に対して高仰角方向と低仰角方向とに光路を切替えて前記試料に照射することを特徴とする請求項1記載の欠陥検査方法。
【請求項3】
前記分割されたパルス光を複数の光路に分岐し、該複数の光路に分岐した前記パルス分割したパルス光を前記試料に複数の方向から同時に照射することを特徴とする請求項1又は2に記載の欠陥検査方法。
【請求項4】
前記分割されたパルス光が照射された前記試料から発生する散乱光のうち、前記分割したパルス光の前記試料への入射方向に対して前方に散乱した光と側方に散乱した光とを分離して検出することを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の欠陥検査方法。
【請求項5】
前記分割されたパルス光が照射された前記試料から発生する散乱光のうち、後方に散乱された光も検出することを特徴とする請求項4記載の欠陥検査方法。
【請求項6】
前記試料を回転させた状態で前記試料上の前記分割されたパルス光の照射領域を前記回転の半径方向に移動させながら前記試料からの散乱光を検出することを、前記照射領域の前記回転の半径方向の位置に応じて前記分割されたパルス光の強度を制御して前記試料上に照射することを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の欠陥検査方法。
【請求項7】
パルスレーザを発射するパルスレーザ光源と、
該パルスレーザ光源から発射されたパルス光の1パルス分の光を複数のパルスに分割するパルス分割手段と、
該パルス分割手段で分割されたパルス光を試料に照射する照射手段と、
該照射手段により前記分割されたパルス光が照射された前記試料から発生した散乱光を集光して検出する散乱光検出手段と、
該散乱光検出手段で前記試料からの散乱光を集光して検出して得た情報を用いて前記試料上の欠陥を検出する信号処理手段と
を備えた欠陥検出装置であって、
前記パルス分割手段は、前記1パルス分の光を複数のパルス光に分割するためのパルス分割光路部と、該パルス分割光路部から出射するパルス分割されたレーザの各分割されたパルスごとのピーク値がほぼ一定になるように制御するパルスピーク値制御部を備えることを特徴とする欠陥検査装置。
【請求項8】
パルスピーク値制御部を電気光学素子で構成し、該電気光学素子に印加する電圧を該電気光学素子を通過するパルス光ごとに変化させることにより前記パルス部分割光路部から出射するパルス分割されたレーザの各分割されたパルスごとのピーク値がほぼ一定になるように制御することを特徴とする請求項7記載の欠陥検査装置。
【請求項9】
前記パルス分割光路部から出射したパルス光を前記試料に対して高仰角方向から照射する高仰角照射部と、前記試料に対して低仰角方向から照射する低仰角照射部と、前記パルス分割光路部から出射したパルス光の光路を前記高仰角照射部と前記低仰角照射部との間で切替える光路切替部とを更に備えたことを特徴とする請求項7又は8に記載の欠陥検査装置。
【請求項10】
前記パルス分割光路部で分割されたパルス光を複数の光路に分岐する光路分岐手段を更に備え、前記照射手段は前記光路分岐手段で複数の光路に分岐した前記パルス分割したパルス光を前記試料に照射する照射部を複数備え、該複数の照射部により前記パルス分割したパルス光を前記複数の方向から同時に照射することを特徴とする請求項7乃至9の何れかに記載の欠陥検査装置。
【請求項11】
前記散乱光検出手段は、前記照射手段により前記分割されたパルス光が照射された前記試料から発生する散乱光のうち、前記分割したパルス光の前記試料への入射方向に対して前方に散乱した光を検出する前方散乱光検出部と、前記分割したパルス光の前記試料への入射方向に対して側方に散乱した側方散乱光検出部とを備えることを特徴とする請求項7乃至10の何れかに記載の欠陥検査装置。
【請求項12】
前記散乱光検出手段は、前記照射手段により前記分割されたパルス光が照射された前記試料から発生する散乱光のうち、前記分割したパルス光の前記試料への入射方向に対して後方に散乱された後方散乱光を検出する後方散乱光検出部を更に備えることを特徴とする請求項11記載の欠陥検査装置。
【請求項13】
前記試料を載置して回転させる回転テーブル手段と、前記照射手段により前記パルス分割されたパルス光の前記試料上の照射領域を前記回転テーブル手段による回転の半径方向に移動させる移動手段と、前記試料を前記回転テーブルで回転させた状態で前記移動手段により試料上の前記分割されたパルス光の照射領域を前記回転の半径方向に移動させるときに前記分割されたパルス光の照射領域の前記回転の半径方向の位置に応じて前記分割されたパルス光の強度を制御するパルス光強度制御手段とを更に備えることを特徴とする請求項7乃至12の何れかに記載の欠陥検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14A】
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【図14B】
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【公開番号】特開2012−37269(P2012−37269A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−175315(P2010−175315)
【出願日】平成22年8月4日(2010.8.4)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】