説明

止水構造

【課題】固定ガラスとウェザストリップの外側壁との間から底部への浸水を事前に抑制することが可能な止水構造を提供することにある。
【解決手段】本発明に係る止水構造10は、車両100の開口部に位置する固定ガラス11とともに、上記車両100の開口部の開口縁部に挿入して配置され、上記固定ガラス11の周縁を被覆するウェザストリップ20と、上記車両100の開口部の開口縁部に固定して配置され、上記固定ガラス11及びウェザストリップ20と上記開口縁部との間に生じる隙間を封止可能なショルダーモール30と、を少なくとも備え、上記ウェザストリップ20又は上記ショルダーモール30の何れか一方は、上記ウェザストリップ20における上記固定ガラス11の周縁を被覆する部位への押圧を可能とする第2押圧部34を備えて構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、止水構造に関し、特に、車両の開口部に固定される固定ガラスの周縁から車両の内部への水の浸入を抑止することが可能な止水構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両の開口部に固定される固定ガラスの周縁から車両の内部への水の浸入を抑止することが可能な止水構造として、固定ガラスの周縁にウェザストリップを嵌め込み、このウェザストリップが嵌め込まれた固定ガラスを車両の開口部に嵌め込むものが一般的に知られている。
【0003】
このウェザストリップは、固定ガラスの周縁を囲む囲繞形状、すなわち、車両の開口部と略同形状をなして形成され、固定ガラスの周縁が挿入される挿入部を内周側に有して構成されている。すなわち、ウェザストリップは、底部及びこの底部の両端から固定ガラスの側面に沿って延びる内側壁及び外側壁により構成されている。
【0004】
近年、このウェザストリップを用いた止水構造は、上述したように、ウェザストリップにより固定ガラスの周縁をシールすることで、固定ガラスの周縁から車両の内部への水の浸入を抑止しているものの、毛細管現象等によって、固定ガラスとウェザストリップの外側壁との隙間からウェザストリップの底部に水が入り込んでしまう可能性が想定される。
【0005】
このように、固定ガラスとウェザストリップの外側壁との隙間から水が浸入してしまうと、この外側壁から底部、内側壁を経て、車両の内部に水が浸入してしまう可能性が考えられる。
【0006】
そこで、固定ガラスとウェザストリップの外側壁との間からウェザストリップの底部及び内側壁への水の浸入に対し、例えば、特許文献1には、ウェザストリップの底壁に排水溝を設け、固定ガラスとウェザストリップの外側壁との間から浸入した水を排出することが可能なウェザストリップ構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−290611号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記特許文献1では、ウェザストリップの底壁に浸入した水を排水溝により排出しているが、固定ガラスとウェザストリップの外側壁とのシール性については考慮されていない。このため、上記特許文献1では、固定ガラスとウェザストリップの外側壁との間からウェザストリップの底壁への浸入を事前に抑制することについては改善の余地がある。
【0009】
また、上記特許文献1では、ウェザストリップに排水溝を設けているため、ウェザストリップ自体の構造が複雑になっている。このため、上記特許文献1では、ウェザストリップを成型する際の成型性が煩雑であり、このウェザストリップの成型性についても改善の余地がある。
【0010】
本発明の目的は、上記従来の実状に鑑みて、固定ガラスとウェザストリップの外側壁との間から底部への浸水を事前に抑制することが可能な止水構造を提供することにある。
また、本発明の他の目的として、ウェザストリップを成型する際における成型性を向上させることが可能な止水構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
このような課題を解決するために、本発明に係る止水構造は、車両の開口部に位置する透過性部材とともに、上記車両の開口部の開口縁部に挿入して配置され、上記透過性部材の周縁を被覆する被覆部材と、上記車両の開口部の開口縁部に固定して配置され、上記透過性部材及び上記被覆部材と上記開口縁部との間に生じる隙間を封止可能な封止部材と、を少なくとも備え、上記被覆部材又は上記封止部材の何れか一方は、上記被覆部材における上記透過性部材の周縁を被覆する部位への押圧を可能とする突起部を備えて構成されている。
【0012】
また、本発明に係る止水構造の上記被覆部材は、上記透過性部材の外周端面に対面して配置される底部と、上記底部の両端から上記透過性部材の主面上に沿って延出して配置される第1及び第2壁部と、上記底部、上記第1及び第2壁部により上記透過性部材の周縁を挿入可能な挿入部と、から構成され、上記被覆部材又は上記封止部材の何れか一方は、上記第1又は第2の壁部から上記透過性部材への押圧を可能とする突起部を備えて構成されている。
【0013】
また、本発明に係る止水構造の上記被覆部材又は上記封止部材の何れか一方は、上記被覆部材又は封止部材の何れか他方の突起部に当接する部位に、上記車両の開口部の開口縁部に上記透過性部材及び上記被覆部材が挿入される挿入方向を基準として外方に向かって下方に傾斜する傾斜面部を備えて構成されている。
【0014】
また、本発明に係る止水構造の上記被覆部材は、上記封止部材の突起部に当接する部位よりも下方に脆弱部を備えて構成されている。
【0015】
また、本発明に係る止水構造の上記被覆部材は、上記封止部材の突起部に当接する部位に脆弱部を備えて構成されている。
【0016】
また、本発明に係る止水構造の上記被覆部材は、この被覆部の突起部よりも下方に脆弱部を備えて構成されている。
【0017】
また、本発明に係る止水構造の上記傾斜面部は、上記車両の開口部の開口縁部に上記透過性部材及び上記被覆部材を挿入する挿入方向を基準として、外方に向かって10°から20°の間で傾斜して形成されている。
【0018】
また、本発明に係る止水構造の上記封止部材の突起部は、上記車両の開口部の開口縁部に上記封止部材を固定する固定部に対し、上記車両の上下方向で同位置に配設されている。
【発明の効果】
【0019】
本発明の止水構造によれば、固定ガラスとウェザストリップの外側壁との間から底部への浸水を事前に抑制することができる。また、本発明の止水構造によれば、従来構造に対し、ウェザストリップを成型する際における成型性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施の形態である止水構造を適用した車両の構成について、側方から模式的に示す側方斜視図である。
【図2】図1におけるA部を拡大して模式的に示す拡大斜視図である。
【図3】本発明の一実施の形態である止水構造の構成について、分解した状態を模式的に示す分解斜視図である。
【図4】本発明の一実施の形態である止水構造の構成について、車両の前後方向における前方側から後方側を断面視した状態を模式的に示す断面図である。
【図5】図4におけるB部を拡大して示す拡大断面図である。
【図6A】本発明の一実施の形態である止水構造の組み立て工程について、第1の行程における車両の前方から後方を断面視した状態を模式的に示す断面図である。
【図6B】本発明の一実施の形態である止水構造の組み立て工程について、第2の行程における車両の前方から後方を断面視した状態を模式的に示す断面図である。
【図7】本発明の一実施の形態である止水構造である変形例1の構成について、車両の前方側から後方側を断面視した状態を模式的に示す断面図である。
【図8】図7におけるC部を拡大して示す拡大断面図である。
【図9】本発明の他の実施の形態である止水構造の構成について、車両の前方側から後方側を断面視した状態を模式的に示す断面図である。
【図10A】本発明の他の実施の形態である止水構造の組み立て工程について、第1の行程における車両の前方から後方を断面視した状態を模式的に示す断面図である。
【図10B】本発明の他の実施の形態である止水構造の組み立て工程について、第2の行程における車両の前方から後方を断面視した状態を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態について、図を用いて説明する。
(実施の形態1)
まず、本発明の一実施の形態である止水構造10を適用した車両100の構成について、図1を用いて説明する。図1は、本発明の一実施の形態である止水構造10を適用した車両100の構成について、側方側から模式的に示す側方斜視図である。
【0022】
図1に例示されるように、本実施の形態の車両100は、この車両100の側方から側方視すると、車両100の後方側に車両100の車窓として機能する窓部101を有して構成されている。この窓部101は、本実施の形態の止水構造10により車両100の開口部に固定ガラス11(透過性部材)を固定して構成されている。
【0023】
次に、本実施の形態の止水構造10の構成について、図2乃至図5を用いて説明する。図2は、図1におけるA部を拡大して示す拡大斜視図であり、図3は、本発明の一実施の形態である止水構造10の構成について、分解した状態を模式的に示す分解斜視図であり、図4は、本発明の一実施の形態である止水構造10の構成について、車両100の前後方向における前側から後側を断面視した状態を模式的に示す断面図であり、図5は、図4におけるB部を模式的に示す拡大断面図である。なお、図4には、底部21、内側壁22及び外側壁23の境目を区画する区画線を目安として示す。
【0024】
図2及び図3に例示されるように、本実施の形態の止水構造10は、固定ガラス11の周縁に配置され、固定ガラス11の周縁を被覆するウェザストリップ(被覆部材)20を備えて構成されている。
【0025】
また、止水構造10は、車両100の開口部の開口縁部を構成するサイドパネル40の外側パネル41の折り込み部41aに固定して配置され、固定ガラス11及びウェザストリップ20と折り込み部41aとの間に生じる隙間を封止可能なショルダーモール30(封止部材)を備えて構成されている。
【0026】
これらウェザストリップ20及びショルダーモール30は、車両100のサイドパネル40により支持されている。具体的には、サイドパネル40は、車両100の幅方向における最も外側に位置する外側パネル41と、この外側パネル41の先端に形成された折り込み部41aに挿嵌して配置され、外側パネル41の先端を補強する補強パネル42と、を備えて構成されている。
【0027】
また、サイドパネル40は、車両100の幅方向における補強パネル42の内側面に当接して配置され、固定ガラス11及びウェザストリップ20を挿入可能な挿入部45を構成する第1支持パネル43と、この第1支持パネル43とともに固定ガラス11及びウェザストリップ20を挿入可能な挿入部45を構成する第2支持パネル44と、をさらに備えて構成されている。
【0028】
そして、サイドパネル40の挿入部45には、上述したように、固定ガラス11及びウェザストリップ20が挿入されている。また、サイドパネル40の外側パネル41の折り込み部41aには、ショルダーモール30が嵌め込まれている。
【0029】
このように、ウェザストリップ20は、サイドパネル40の挿入部45に挿入して配設されることで、サイドパネル40に支持されている。また、ショルダーモール30は、サイドパネル40の外側パネル41の折り込み部41aに嵌め込まれることで、サイドパネル40に支持されている。
【0030】
本実施の形態のウェザストリップ20は、上述したように、固定ガラス11の周縁に沿って設けられ、固定ガラス11の周縁を被覆している。すなわち、ウェザストリップ20は、固定ガラス11が固定される車両100の窓部101に対応した枠状をなして形成されている。
【0031】
図4及び図5に例示されるように、このウェザストリップ20は、固定ガラス11の外周端面に対向又は当接する底部21と、車両100の幅方向における底部21の両端部に配置され、底部21に対し略直交方向に延出する内側壁22及び外側壁23と、を有して構成されている。
【0032】
すなわち、ウェザストリップ20は、これら底部21、内側壁22及び外側壁23により固定ガラス11の周縁を挿入可能な空間部を有し、断面視略コ字形状をなして形成されている。
【0033】
この空間部は、固定ガラス11を嵌め込む前の状態では、車両100の幅方向における底部21の幅長よりも内側壁22と外側壁23との対向間隔の方が幅狭をなして構成されている。
【0034】
また、車両100の幅方向における底部21の幅長と固定ガラス11の外周端面の厚みとは、略同一の寸法をなして形成されている。そして、本実施の形態のウェザストリップ20は、復元力を有するゴム等の弾性部材を用いて構成されている。なお、本実施の形態のウェザストリップ20は、復元力を有する弾性部材であれば、ゴムに限定されず、例えば、樹脂などを用いて構成しても良い。
【0035】
このように、本実施の形態のウェザストリップ20は、車両100の幅方向における底部21の幅長よりも内側壁22と外側壁23との対向間隔の方が幅狭をなして構成され、かつ、復元力を有する弾性部材により構成されている。
【0036】
このため、ウェザストリップ20の空間部に嵌め込まれた固定ガラス11の周縁は、ウェザストリップ20自体の復元力を利用することで、内側壁22と外側壁23とにより挟持、すなわち、シールされている。
【0037】
また、ウェザストリップ20は、ウェザストリップ20の底部21の下方に、底部21、内側壁22及び外側壁23を支持する支持部24を有して構成されている。この支持部24は、車両100の幅方向における底部21、内側壁22及び外側壁23を合わせた幅よりも幅狭をなして形成されている。
【0038】
このため、支持部24は、上述したように、底部21、内側壁22及び外側壁23を支持する役目を果たすとともに、サイドパネル40にウェザストリップ20を挿嵌する際の位置決めを容易にしている。
【0039】
また、ウェザストリップ20は、第1突起部25、第2突起部26、第3突起部27及び第4突起部28からなる複数の突起部を有して構成されている。これら、複数の突起部のうち、第1突起部25は、サイドパネル40を構成する挿入部45の底面に当接して配置されている。
【0040】
このように、第1突起部25が挿入部45の底面に当接して配置されることで、サイドパネル40からウェザストリップ20への衝撃を吸収する役目を果たしている。
【0041】
また、第2突起部26は、内側壁22から車両100の幅方向内側に突出して形成されている。また、第3突起部27も、第2突起部26と同様に、内側壁22から車両100の幅方向内側に突出して形成されている。
【0042】
このように、第2突起部26及び第3突起部27が、内側壁22から車両100の幅方向内側に突出して形成されているため、挿入部45にウェザストリップ20を挿入する際における内側壁22と図示しないドアトリムとのクリアランスを確保することが可能になる。
【0043】
また、第4突起部28は、外側壁23から車両100の幅方向外側に突出して形成されている。このように、第4突起部28が、外側壁23から車両100の幅方向外側に突出して形成されているため、第2突起部26及び第3突起部27と同様に、挿入部45にウェザストリップ20を挿入する際における外側壁23とショルダーモール30とのクリアランスを確保することが可能になる。
【0044】
このように、本実施の形態のウェザストリップ20は、複数の突起部を有して構成されているため、ドアトリム及びショルダーモール30とのクリアランスを確保することが可能になり、ドアトリム及びショルダーモール30を挿入部45に挿入し易くなる。
【0045】
本実施の形態において、ウェザストリップ20の外側壁23には、後述するショルダーモール30の第2押圧部34が当接している。そして、この外側壁23は、ショルダーモール30の第2押圧部34が当接する部位に、ショルダーモール30側に向かって下方に傾斜して形成された傾斜面部29を有して構成されている。
【0046】
ここで、サイドパネル40の外側パネル41の折り込み部41aにショルダーモール30を嵌め込む際、ショルダーモール30は、ウェザストリップ20の外側壁23の面上でショルダーモール30の第2押圧部34を滑らせながら嵌め込まれる。
【0047】
このため、ウェザストリップ20の外側壁23とショルダーモール30の第2押圧部34とが当接する部位には、摩擦が生じる。この摩擦に対し、外側壁23は、上述したように、ショルダーモール30の第2押圧部34が当接する部位を、ショルダーモール30側に向かって下方に傾斜させて形成しているため、外側壁23と第2押圧部34とが当接する部位の摩擦力を軽減させることが可能になる。
【0048】
また、本実施の形態の傾斜面部29は、サイドパネル40の挿入部45に固定ガラス11及びショルダーモール30が挿入される挿入方向を基準にして、ショルダーモール30側に向かって10°から20°の間で傾斜して形成されている(図5におけるθ。)。
【0049】
ここで、傾斜面部29を10°より小さい角度で形成すると、ショルダーモール30の第2押圧部34による外側壁23への押圧力が、車両100の上下方向、或いは、車両100の外側から内側に向けて下方に傾斜する傾斜方向に作用し難くなる。このため、ショルダーモール30の第2押圧部34による外側壁23への押圧力を低減させてしまう可能性がある。
【0050】
一方、傾斜面部29を20°より大きい角度で形成すると、外側パネル41の折り込み部41aにショルダーモール30を嵌め込む際、ウェザストリップ20の外側壁23とショルダーモール30の第2押圧部34とが当接する部位の摩擦力を増大させてしまう可能性がある。
【0051】
したがって、本実施の形態の外側壁23の傾斜面部29は、サイドパネル40の挿入部45に固定ガラス11及びショルダーモール30が挿入される挿入方向を基準として、ショルダーモール30側に向かって10°から20°の間で傾斜して形成されることで、第2押圧部34による外側壁23への押圧力を低下させずに、外側壁23と第2押圧部34とが当接する部位の摩擦力を増大させないようにすることが可能になる。
【0052】
このように、第2押圧部34による外側壁23への押圧力を低下させずに、外側壁23と第2押圧部34とが当接する部位の摩擦力を増大させないようにすることで、外側壁23による固定ガラス11へのシール性を向上させ、かつ、外側壁23と第2押圧部34とが当接する部位での引っ掛かりを抑制して作業性を向上させることができる。
【0053】
また、外側壁23は、上述したように、外側壁23と第2押圧部34とが当接する部位の摩擦力を軽減させることが可能になることで、外側壁23と第2押圧部34とが当接する部位でのスティックスリップによる異音の発生を抑止することができる。
【0054】
本実施の形態のショルダーモール30は、上述したように、サイドパネル40の外側パネル41に形成された折り込み部41aに嵌め込んで配設されている。そして、ショルダーモール30は、車両100の幅方向における外側パネル41の内側に位置する内側壁31及び外側に位置する外側壁32を備えて構成されている。
【0055】
これら内側壁31及び外側壁32の互いに対向する対向面、すなわち、外側パネル41の折り込み部41aに当接する面側には、複数の突起部が形成されている。そして、内側壁31に配設された突起部と、外側壁32に配設された突起部との対向間隔は、車両100の幅方向における外側パネル41の折り込み部41aの幅長より幅狭をなして構成されている。
【0056】
また、内側壁31及び外側壁32の内部には、弾性部材36が配設されている。このため、ショルダーモール30は、外側パネル41の折り込み部41aに嵌め込まれる際、より強固に固着させることが可能になる。
【0057】
また、ショルダーモール30は、内側壁31の先端近傍に配置され、固定ガラス11を押圧可能な第1押圧部33を備えて構成されている。この第1押圧部33は、固定ガラス11側に向かって延出して形成されている。
【0058】
そして、第1押圧部33は、復元力を有する弾性部材により構成されている。このため、ショルダーモール30は、外側パネル41の折り込み部41aにショルダーモール30を嵌め込む際、第1押圧部33の元に戻ろうとする力を利用して固定ガラス11をシールしている。
【0059】
また、ショルダーモール30は、内側壁31の先端近傍に配置され、第1押圧部33と同様に、ウェザストリップ20側に向かって延出して形成されている。このフード35は、外部からの塵、埃等の進入を抑止する役目を果たしている。
【0060】
本実施の形態において、ショルダーモール30は、車両100の幅方向における内側壁31の内側面に配置され、ウェザストリップ20の外側壁23を押圧可能な第2押圧部34を備えて構成されている。
【0061】
具体的には、第2押圧部34は、内側壁31からウェザストリップ20側に向かって延出して形成されている。そして、第2押圧部34は、ウェザストリップ20の外側壁23を付き押すように配設されている。すなわち、第2押圧部34は、外側パネル41の折り込み部41aにショルダーモール30を嵌め込んだ際、外側壁23を押圧している。
【0062】
このように、本実施の形態の止水構造10は、第2押圧部34によりウェザストリップ20の外側壁23を押圧しているため、外側壁23の固定ガラス11へのシール性を向上させている。
【0063】
ここで、本実施の形態の第2押圧部34は、外側パネル41の折り込み部41aにショルダーモール30を嵌め込んだ際、車両100の上下方向における折り込み部41aに対応する位置に配置されている。そして、この折り込み部41aには、上述したように、補強パネル42が挿嵌されている。
【0064】
このため、第2押圧部34は、補強パネル42が挿嵌された折り込み部41aのような強固な部位に配設されているため、外側壁23への押圧力を高めることができる。これにより、本実施の形態の止水構造10は、外側壁23による固定ガラス11へのシール性をより向上させることができる。
【0065】
また、第2押圧部34には、植毛部37が形成されている。この植毛部37は、外側壁23と第2押圧部34とが当接する部位の摩擦力を低減する役目を果たしている。このように、第2押圧部34に植毛部37が形成されているため、外側パネル41の折り込み部41aにショルダーモール30を嵌め込む際における外側壁23と第2押圧部34とが当接する部位での引っ掛かりを抑制し、作業性を向上させることができる。
【0066】
また、外側壁23と第2押圧部34とが当接する部位での摩擦力を軽減することが可能になるため、外側壁23と第2押圧部34とが当接する部位でのスティックスリップによる異音の発生を抑止することができる。
【0067】
なお、本実施の形態において、第2押圧部34は、リップ形状をなして形成されているが、上述したように、ウェザストリップ20の外側壁23を押圧可能なものであれば、特に限定されず、例えば、半丸形状、半丸中空形状等により形成しても良い。
【0068】
次に、本実施の形態の止水構造10の作用について、この止水構造10の組み立て工程に基づいて図6A及び図6Bを用いて説明する。図6Aは、本発明の一実施の形態である止水構造10の組み立て工程について、第1の行程における車両100の前方から後方を断面視した状態を模式的に示す断面図であり、図6Bは、本発明の一実施の形態である止水構造10の組み立て工程について、第2の行程における車両100の前方から後方を断面視した状態を模式的に示す断面図である。
【0069】
まず、図6Aに例示されるように、ウェザストリップ20の空間部に固定ガラス11を嵌め込む。ここで、ウェザストリップ20は、車両100の幅方向における底部21の幅長よりも内側壁22と外側壁23との対向間隔を幅狭となるように構成されている。そして、ウェザストリップ20は、復元力を有する弾性部材により構成されている。
【0070】
このように、ウェザストリップ20が、車両100の幅方向における底部21の幅長よりも内側壁22と外側壁23との対向間隔を幅狭となるように構成され、かつ、復元力を有する弾性部材により構成されることで、ウェザストリップ20による固定ガラス11へのシール性を向上させている。
【0071】
そして、サイドパネル40の挿入部45に固定ガラス11及びウェザストリップ20を嵌め込む。このとき、ウェザストリップ20の支持部24が底部21の下方に突出して形成され、かつ、車両100の幅方向における底部21、内側壁22及び外側壁23の幅長よりも幅狭をなして形成されているため、固定ガラス11及びウェザストリップ20を嵌め込む際の位置決めが容易になる。
【0072】
次に、図6Bに例示されるように、サイドパネル40の外側パネル41に形成された折り込み部41aにショルダーモール30を嵌め込む。ここで、ショルダーモール30は、このショルダーモール30を構成する内側壁31と外側壁32との対向面側に複数の突起部を備えて構成されている。
【0073】
そして、内側壁31側に配設された突起部と、外側壁32側に配設された突起部との対向間隔は、車両100の幅方向における折り込み部41aの幅長より幅狭をなして構成されている。
【0074】
また、これら内側壁31と外側壁32との内部には、弾性部材36が配設されている。このため、サイドパネル40の外側パネル41にショルダーモール30を嵌め込む際、より強固に外側パネル41にショルダーモール30を嵌め込むことが可能になる。
【0075】
本実施の形態において、ショルダーモール30は、ウェザストリップ20の外側壁23を押圧可能な第2押圧部34を備えて構成されている。このため、外側パネル41の折り込み部41aにショルダーモール30を嵌め込む際、ショルダーモール30の第2押圧部34は、ウェザストリップ20の外側壁23を押圧している。これにより、外側壁23は、第2押圧部34の押圧力をうけ、固定ガラス11をシールしており、外側壁23から固定ガラス11へのシール性を向上させることができる。
【0076】
そして、本実施の形態のウェザストリップ20は、このウェザストリップ20の外側壁23におけるショルダーモール30の第2押圧部34が当接する部位に、ショルダーモール30側に向かって下方に傾斜する傾斜面部29を有して構成されている。
【0077】
また、本実施の形態のショルダーモール30は、ウェザストリップ20の外側壁23に当接する部位に、植毛部37を有して構成されている。
【0078】
このように、ウェザストリップ20の外側壁23とショルダーモール30の第2押圧部34とが当接する部位に、外側壁23には傾斜面部29が設けられ、第2押圧部34には植毛部37が設けられているため、外側パネル41の折り込み部41aにショルダーモール30を嵌め込む際における外側壁23と第2押圧部34とが当接する部位の摩擦力を低減することが可能になる。
【0079】
これにより、外側パネル41の折り込み部41aにショルダーモール30を嵌め込む際における外側壁23と第2押圧部34とが当接する部位での引っ掛かりを抑制することが可能になる。
【0080】
このため、外側パネル41の折り込み部41aにショルダーモール30を挿嵌する際の作業性を向上させることができる。また、外側壁23と第2押圧部34とが当接する部位の摩擦力を低減することが可能になるため、外側パネル41の折り込み部41aにショルダーモール30を嵌め込む際のスティックスリップによる異音の発生を抑止することができる。
【0081】
また、本実施の形態のショルダーモール30の第2押圧部34は、外側パネル41の折り込み部41aにショルダーモール30を嵌め込んだ際、車両100の上下方向における折り込み部41aに対応する位置に配置されている。そして、折り込み部41aには、補強パネル42が挿嵌されている。
【0082】
このように、折り込み部41aのような強固な部位に第2押圧部34が配設されることで、外側壁23への押圧力を高めることが可能になる。これより、外側壁23による固定ガラス11へのシール性を高めることができる。
【0083】
以上のように、本実施の形態の止水構造10によれば、固定ガラス11とウェザストリップ20の外側壁23との間からウェザストリップ20の底部21、内側壁22への浸水を事前に抑制することができる。
【0084】
また、本実施の形態の止水構造10によれば、従来のような底部21に浸入した水を排水するための排水溝を設けた構造ではないため、排水溝を設けた従来の構造に対し、ウェザストリップ20自体の成型性を容易にすることができる。
【0085】
(変形例1)
次に、本発明の一実施の形態である止水構造10の変形例1である止水構造50について、図7及び図8を用いて説明する。図7は、本発明の一実施の形態の変形例1である止水構造50の構成について、車両の前方側から後方側を断面視した状態を模式的に示す断面図であり、図8は、図7におけるC部を拡大して示す拡大断面図である。
【0086】
なお、本変形例1は、上述の実施の形態1に対し、ウェザストリップ60の外側壁63に脆弱部70を設けた点が異なり、他の構成は同様である。したがって、上述の実施の形態1と同一又は相当する部位には、同様の符号を付してその説明を省略する。
【0087】
図7及び図8に例示されるように、本変形例1の止水構造50は、上述したように、ウェザストリップ60の外側壁63に脆弱部70を設けて構成されている。具体的には、脆弱部70は、外側壁63に形成された傾斜面部69のうち、この傾斜面部69とショルダーモール30の第2押圧部34とが当接する部位の下方に形成されている。
【0088】
本実施の形態において、この脆弱部70は、外側壁63における他の部位よりも脆弱となるように傾斜面部69をくり抜いて形成されている。すなわち、脆弱部70は、傾斜面部69をくり抜いて溝状をなして形成されている。
【0089】
ここで、外側壁63の傾斜面部69は、上述の実施の形態1と同様に、ショルダーモール30の第2押圧部34により押圧されている。このため、脆弱部70よりも上方に位置する外側壁63は、この脆弱部70を基点として、固定ガラス11側に付勢される。
【0090】
これにより、本変形例1のウェザストリップ60は、上述の実施の形態1のウェザストリップ20よりも、ショルダーモール30の第2押圧部34によるウェザストリップ60の外側壁63への押圧力を固定ガラス11により効果的に作用させることが可能になる。
【0091】
このように、第2押圧部34による外側壁63への押圧力を固定ガラス11により効果的に作用させることで、外側壁63による固定ガラス11へのシール性を向上させることができる。
【0092】
また、第2押圧部34による外側壁63への押圧力を固定ガラス11により効果的に作用させることで、固定ガラス11への接着面積を増やすことが可能になり、固定ガラス11へのシール性をより向上させることができる。
【0093】
なお、本変形例1の脆弱部70は、傾斜面部69とショルダーモール30の第2押圧部34とが当接する部位の下方に形成されているが、これに限定されず、傾斜面部69と第2押圧部34とが当接する部位に形成しても良い。
【0094】
これにより、第2押圧部34によりウェザストリップ60の外側壁63への押圧力を脆弱部70に集中させることが可能になる。このため、この脆弱部70を基点として、固定ガラス11側により強い押圧力で付勢される。
【0095】
以上のように、本変形例1の止水構造50によれば、固定ガラス11とウェザストリップ60の外側壁63との間からウェザストリップ60の底部61への浸水を事前に抑制することができる。
【0096】
(実施の形態2)
次に、本発明の他の実施の形態について、図9を用いて説明する。図9は、本発明の他の実施の形態である止水構造79の構成について、車両の前方側から後方側を断面視した状態を模式的に示す断面図である。
【0097】
なお、本実施の形態2は、上述の実施の形態1に対し、ウェザストリップ90側に押圧部98を設け、ショルダーモール80側に傾斜面部87を設けた点が異なり、他の点は同様である。したがって、実施の形態1と同一又は相当する部位には、同様の符号を付してその説明を省略する。
【0098】
図9に例示されるように、本実施の形態の止水構造79は、上述したように、ウェザストリップ20側に、このウェザストリップ90の外側壁93を押圧可能な押圧部98を設けて構成されている。
【0099】
また、本実施の形態の止水構造79は、上述したように、ショルダーモール80側に傾斜面部87を設けて構成されている。
【0100】
次に、本実施の形態の作用について、組み立て工程に基づいて、図10A及び図10Bを用いて説明する。図10Aは、本発明の他の実施の形態である止水構造79の組み立て工程について、第1の行程における車両の前方から後方を断面視した状態を模式的に示す断面図であり、本発明の他の実施の形態である止水構造79の組み立て工程について、第2の行程における車両の前方から後方を断面視した状態を模式的に示す断面図である。
【0101】
まず、図10Aに例示されるように、ウェザストリップ90の空間部に固定ガラス11を嵌め込む。このとき、ウェザストリップ90は、上述の実施の形態1のウェザストリップ20と同様に、車両100の幅方向における底部91の幅長よりも内側壁92と外側壁93との対向間隔を幅狭となるように構成され、かつ、復元力を有する弾性部材により構成されている。このため、ウェザストリップ90による固定ガラス11へのシール性を向上させている。
【0102】
そして、サイドパネル40の挿入部45に固定ガラス11及びウェザストリップ90を嵌め込む。このとき、上述の実施の形態1のウェザストリップ20と同様に、ウェザストリップ90の支持部94が底部91の下方に突出して形成され、かつ、車両100の幅方向における底部91、内側壁92及び外側壁93の幅長よりも幅狭をなして形成されているため、固定ガラス11及びウェザストリップ90を嵌め込む際の位置決めが容易になる。
【0103】
次に、図10Bに例示されるように、サイドパネル40の外側パネル41の折り込み部41aにショルダーモール80を嵌め込む。このとき、ショルダーモール80は、上述の実施の形態1のショルダーモール30と同様に、このショルダーモール80を構成する内側壁81と外側壁82との対向面側に複数の突起部を備えて構成されている。このため、外側パネル41の折り込み部41aにショルダーモール80を嵌め込む際、より強固に嵌め込むことが可能になる。
【0104】
このとき、ウェザストリップ90の押圧部98がショルダーモール80の傾斜面部87に当接する。ここで、ショルダーモール80は、上述したように、折り込み部41aに固定されている。このため、ウェザストリップ90の押圧部98から上方の外側壁93が固定ガラス11側に付勢される。
【0105】
このように、外側壁93が押圧部98を介して傾斜面部87により押圧されることで、外側壁93の固定ガラス11への付勢力を利用して、固定ガラス11と外側壁93とのシール性を向上させることができる。
【0106】
以上のように、本実施の形態の止水構造79によれば、固定ガラス11とウェザストリップ90の外側壁93との間から底部91への浸水を事前に抑制することができる。
【0107】
また、本実施の形態の止水構造79によれば、従来のような、固定ガラス11と外側壁93との間から底部91、内側壁92に浸水した水を排出するための排出溝を有していないため、排水溝を設けた従来の構造に対し、ウェザストリップ90自体の成型性を向上させることができる。
【符号の説明】
【0108】
10 止水構造
11 固定ガラス
20 ウェザストリップ(被覆部材)
29 傾斜面部
30 ショルダーモール(封止部材)
34 第2押圧部(突起部)
40 サイドパネル
41 外側パネル
41a 折り込み部
60 ウェザストリップ(被覆部材)
69 傾斜面部
70 脆弱部
100 車両

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の開口部に位置する透過性部材とともに、前記車両の開口部の開口縁部に挿入して配置され、前記透過性部材の周縁を被覆する被覆部材と、
前記車両の開口部の開口縁部に固定して配置され、前記透過性部材及び前記被覆部材と前記開口縁部との間に生じる隙間を封止可能な封止部材と、を少なくとも備えた止水構造であって、
前記被覆部材又は前記封止部材の何れか一方は、前記被覆部材における前記透過性部材の周縁を被覆する部位への押圧を可能とする突起部を備えたこと、
を特徴とする止水構造。
【請求項2】
前記被覆部材は、前記透過性部材の外周端面に対面して配置される底部と、
前記底部の両端から前記透過性部材の主面上に沿って延出して配置される第1及び第2壁部と、
前記底部、前記第1及び第2壁部により前記透過性部材の周縁を挿入可能な挿入部と、から構成され、
前記被覆部材又は前記封止部材の何れか一方は、前記第1又は第2の壁部から前記透過性部材への押圧を可能とする突起部を備えたこと、
を特徴とする請求項1記載の止水構造。
【請求項3】
前記被覆部材又は前記封止部材の何れか一方は、前記被覆部材又は封止部材の何れか他方の突起部に当接する部位に、前記車両の開口部の開口縁部に前記透過性部材及び前記被覆部材が挿入される挿入方向を基準として、外方に向かって下方に傾斜する傾斜面部を備えたこと、
を特徴とする請求項1又は2記載の止水構造。
【請求項4】
前記被覆部材は、前記封止部材の突起部に当接する部位よりも下方に脆弱部を備えたこと、
を特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の止水構造。
【請求項5】
前記被覆部材は、前記封止部材の突起部に当接する部位に脆弱部を備えたこと、
を特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の止水構造。
【請求項6】
前記傾斜面部は、前記車両の開口部の開口縁部に前記透過性部材及び前記被覆部材を挿入する挿入方向を基準として、外方に向かって10°から20°の間で傾斜して形成されること、
を特徴とする請求項3から5の何れか1項に記載の止水構造。
【請求項7】
前記封止部材の突起部は、前記車両の開口部の開口縁部に前記封止部材を固定する固定部に対し、前記車両の上下方向で同位置に配設されたこと、
を特徴とする請求項1から6の何れか1項に記載の止水構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10A】
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【図10B】
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【公開番号】特開2012−131400(P2012−131400A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−285901(P2010−285901)
【出願日】平成22年12月22日(2010.12.22)
【出願人】(000005348)富士重工業株式会社 (3,010)
【Fターム(参考)】