水素ガスセンサ
【課題】酸や酸化性ガスに曝されても検知感度の変動が抑制され、正確な濃度検知が可能な水素ガスセンサを提供する。
【解決手段】水素に感応して電気抵抗値の変化を生じる酸化物半導体を含有する感応素子1を備える。この感応素子1には、酸とチオ尿素の少なくとも一方が添加されている。この場合、感応素子1が酸や酸化性ガスに曝されても、検知感度の変動が抑制される。
【解決手段】水素に感応して電気抵抗値の変化を生じる酸化物半導体を含有する感応素子1を備える。この感応素子1には、酸とチオ尿素の少なくとも一方が添加されている。この場合、感応素子1が酸や酸化性ガスに曝されても、検知感度の変動が抑制される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酸化物半導体からなる感応素子の電気抵抗値の変化により水素ガスを検出する水素ガスセンサに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、地球規模の環境問題の解決が要望されるなか、クリーンエネルギー技術の開発が活発となっており、このような技術として燃料電池が注目されている。燃料電池は水素と酸素との燃焼反応等を利用して起電力を発生させるものであり、エネルギー変換率が高く、クリーンで環境にやさしい発電装置として期待されている。またこのような燃料電池を電源として用いた燃料電池自動車の開発も活発に進められている。
【0003】
燃料電池は、一般的には燃料である天然ガス等から硫黄化合物を除去する脱硫器、脱硫された燃料を水素とCO及びCO2に変成する改質器、及びCOをCO2に変化させる変成器から構成される改質装置を備えており、この改質装置によって、天然ガス等の燃料から水素ガスに富んだ燃料ガス(改質ガス)が生成される。そして燃料電池本体において、この燃料ガス中の水素ガスと空気中の酸素とを電気化学的に反応させて直流電力を得るものである。
【0004】
上記の燃料ガス中には数10〜100%という高濃度の水素ガスが含まれるが、この燃料ガスのガス漏れが起こると燃料電池が正常に動作しなくなり、また水素ガスは可燃性が高く、ガス漏れが起こると非常に危険である。このため、ガス漏れの有無を検知するための水素ガスセンサを設ける必要がある。
【0005】
ここで、燃料電池用の水素ガス濃度を検知するための水素ガスセンサとして、例えば特許文献1に開示されているものが提案されている。この水素ガスセンサは、酸素濃度検知セルと酸素ポンプセルとを固体電解質の両側に多孔質の電極を配置して構成し、この各セルの一方の電極を間隔をあけて対向させると共にこの各電極間の空間を外部から閉塞して空隙を形成し、空隙内側に配置されている各セルの電極を接地し、更にこの空隙と外部との間に水素ガスが通過可能なガス拡散制限部を設けて構成されたものである。
【0006】
このように構成される水素ガスセンサは、酸素ポンプセルの外面側の電極が燃料電池に供給される水素を含む燃料ガスの気流中に露出するように配される。ここで燃料ガスには水蒸気が添加されるものである。この状態で酸素ポンプセルの電極間に電圧を印加すると、外面側の電極において水が分解されると共に、酸素イオンが固体電解質中を通過して空隙内に導入される。一方、空隙内にはガス拡散制限部を介して水素も導入され、空隙内で酸素イオンと水素とが反応して水が生成される。また酸素濃度検知セルの電極間には一定の微少電流が通電され、電極間に空隙内の酸素濃度に応じた電圧が発生するようにしている。そして、酸素濃度検知セルに発生する電圧が一定となるように酸素ポンプセルの電極間に印加する電圧を制御し、このときの酸素ポンプセルの電極間に印加する電圧の値から水素濃度を導出するものである。
【0007】
また、特許文献2には、燃料電池用の水素ガス濃度を検知するための水素ガスセンサとして、SnO2、ZnO等の酸化物半導体から構成される半導体センサを用いることが開示されている。
【特許文献1】特開2000−9685号公報
【特許文献2】特開平6−196188号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、上記の特許文献1に開示されている水素ガスセンサは、装置構成が複雑であり、しかも複雑な制御機構が必要とされるものであって、小型化が困難であり、また製造工程が煩雑となって製造に手間がかかると共に、製造コストも嵩むものであった。
【0009】
一方、特許文献2に記載のように水素ガスセンサを半導体センサにて構成すると簡便な構成で安価に製造することができるが、従来から知られているSnO2等を主成分とする感応素子1にて構成される金属酸化物水素ガスセンサは、酸性雨に曝されるなどして硫酸被毒を受けたり、排気ガス中の窒素酸化物(NOx)や硫黄酸化物(SOx)等の酸化性ガスによる被毒を受けると、検知感度が変動し、正確な濃度検知ができなくなってしまうという問題がある。
【0010】
本発明は上記の点に鑑みて為されたものであり、酸や酸化性ガスに曝されても検知感度の変動が抑制され、正確な濃度検知が可能な水素ガスセンサを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る水素ガスセンサは、水素に感応して電気抵抗値の変化を生じる酸化物半導体を含有する感応素子1を備え、前記感応素子1には、酸とチオ尿素の少なくとも一方が添加されていることを特徴とするものである。
【0012】
この場合、感応素子1が酸や酸化性ガスに曝されても、検知感度の変動が抑制される。特に感応素子1にチオ尿素を添加した場合には、感応素子1が酸や酸化性ガスに曝された場合の検知感度の変動が非常に小さく、しかも、特に水素ガスが高濃度の場合に高い検知感度を有する。
【0013】
このような水素ガスセンサでは、上記感応素子1にアルミナゾルが添加されていることが好ましい。この場合、水素ガス検知時に感応素子1の電気抵抗値が速やかに安定化し、高い応答性を有する。
【0014】
また、上記感応素子1が、チオ尿素が添加された後、酸が添加されているものであることも好ましい。この場合、感応素子1が酸や酸化性ガスに曝された場合の検知感度の変動が特に小さくなり、且つ感応素子1への通電初期に、検知出力が安定化するまでに要する期間が非常に短くなるものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、酸や酸化性ガスに対する耐性の高い水素ガスセンサを得ることができ、特に自動車等の燃料電池における燃料ガスのガス漏れを検知するために、好適なものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
【0017】
まず、水素ガスセンサの感応素子1の構成について説明する。
【0018】
感応素子1は、水素ガスを吸着することにより電気抵抗値が変化する酸化物半導体を含む。酸化物半導体としては前記特性を有する適宜のものが用いられるが、例えば酸化スズ(SnO2)を用いることができる。感応素子1中の酸化物半導体の含有量は50〜100重量%の範囲が好ましい。
【0019】
この感応素子1中には、骨材を含有させても良い。骨材は、感応素子1の電気抵抗値の調整や強度向上等の目的で、使用することができる。骨材としては、例えばアルミナ等をあげることができる。感応素子1中の骨材の含有量は適宜調整されるが、例えば感応素子1の全量に対して0〜50重量%とすることができる。
【0020】
また、感応素子1は、白金(Pt)、パラジウム(Pd)のうち少なくとも一方を含有しても良い。この場合、水素ガスの検知時の検知感度の向上に寄与すると共に、感応素子1の電気抵抗値が速やかに安定し、水素ガスの検知時の応答性が向上する。感応素子1中の白金、パラジウムの含有量は特に制限されないが、感応素子1に白金を含有させる場合は、感応素子1中の酸化物半導体全量に対し、白金を0.3〜1.5重量%の範囲で含有させることができる。また、感応素子1にパラジウムを含有させる場合には、感応素子1中の酸化物半導体全量に対し、パラジウムを0.3〜1.5重量%の範囲で含有させることができる。
【0021】
また、この感応素子1にはアルミナゾルを添加することも好ましい。アルミナゾルの添加にあたっては、感応素子1の周囲にアルミナゾルを塗布含浸させた後、焼成することができる。このときアルミナゾルに起因する微細粒径のアルミナ(γ−アルミナ)が感応素子1の内部にほぼ均一に分散した状態で存在することとなる。この場合、感応素子1の強度を向上することができ、且つ、水素ガスセンサによる水素ガス検知時に感応素子1の電気抵抗値が速やかに安定し、水素ガス検知時の応答性が向上する。このアルミナゾルの添加量は特に制限されないが、好ましくは感応素子1の全量に対してアルミナゾル中の固形分が0.6〜10重量%の範囲とする。
【0022】
また、この感応素子1には、酸とチオ尿素のうち、少なくとも一方を添加する。酸の添加にあたっては、感応素子1の周囲に酸の水溶液を塗布含浸させた後、焼成することができる。また、チオ尿素の添加にあたっては、感応素子1の周囲にチオ尿素を塗布含浸させた後、焼成することができる。酸を添加する場合には例えば硫酸を使用することができる。硫酸を使用する場合、感応素子1中の硫酸の添加量は適宜設定される。またチオ尿素を添加する場合、感応素子1中のチオ尿素の添加量は適宜設定されるが、感応素子の全量に対して0.05〜0.5重量%の範囲で添加することが好ましい。このように感応素子1にチオ尿素を添加した場合には感応素子1の内部にはチオ尿素に起因する硫黄がほぼ均一に分散した状態で存在することとなり、また酸として硫酸を添加した場合も感応素子1の内部には硫酸に起因する硫黄がほぼ均一に分散した状態で存在することとなる。
【0023】
このように感応素子1に酸又はチオ尿素を添加することにより、感応素子1が硫黄酸化物(SOx)、窒素酸化物(NOx)等の酸化性ガスに曝された場合、並びに、硫酸等の酸に曝された場合の、水素ガスの検知感度の変化を抑制することができる。
【0024】
特に、感応素子1にチオ尿素を添加した場合には、感応素子1が酸や酸化性ガスに曝された場合の、感応素子1の検知感度の安定性が非常に高く、特に一旦感応素子1が酸や酸化性ガスに曝された後は検知感度の変化が非常に小さくなる。このため、感応素子1を予め酸や酸化性ガスに曝しておけば、検知感度の安定性を非常に高くすることもできる。更にこの場合、水素ガスの濃度変化に対する感応素子1の電気抵抗値の変化の勾配が大きくなり、特に高濃度の水素ガスを検知する場合に、ガス濃度の検知を高精度で行うことができる。
【0025】
更に、感応素子1にチオ尿素を添加した後、更に硫酸等の酸を添加すると、感応素子1が酸や酸化性ガスに曝された場合の、感応素子1の検知感度の安定性が特に高くなり、感応素子1が酸や酸化性ガスに曝される前後においても感応素子1の検知感度の変化が非常に小さくなるものである。また、感応素子1にチオ尿素を添加した場合には、感応素子1に通電を開始した初期にはこの感応素子1の電気抵抗値が安定せず、検知出力の安定化に長期間を要するものであるが、感応素子1にチオ尿素を添加した後、更に硫酸等の酸を添加すれば、感応素子1に通電を開始した場合、感応素子1の電気抵抗値が速やかに安定し、非常に短時間で検知出力が安定化するものである。
【0026】
水素ガスセンサは、上記のような感応素子1を具備し、この感応素子1を検知対象のガスに曝露した際の電気抵抗値の変化を検出することができるものであれば、従来公知の適宜の構成を採用することができる。
【0027】
この水素ガスセンサでは、白金(Pt)、白金合金(Pt合金)等から形成されるヒータ及び電極をセンサ基体とし、このセンサ基体を覆うように感応素子1を設けることが好ましい。
【0028】
上記電極は、感応素子1の電気抵抗値測定用に設けられる。感応素子1を測定対象のガスを含む雰囲気中に配置した状態で、この電極間の電気抵抗値を測定し、この電気抵抗値に基づいてガス濃度を検出することができる。
【0029】
また、上記ヒータは、感応素子1を一定の温度に保つために設けられる。ここで、感応素子1には、組成に応じて水素ガスを検知するための好適な温度(素子温度)がある。また素子温度が変動すると水素ガス感度が変動して正確な濃度を検知することが困難になる。このため、水素ガスの検出時には、ヒータにて素子温度を好適温度に保つことで、水素ガス濃度を正確に検知する。
【0030】
以下、水素ガスセンサの具体的構造を例示する。
【0031】
図1,2に示す水素ガスセンサでは、コイル状のヒータ兼用電極25及び芯線状の電極20をセンサ基体とする。このヒータ兼用電極25及び電極20を覆うように略球状(球体状、楕円球体状等)に感応素子1が形成されている。図示の例ではヒータ兼用電極25は、コイル部分が、ビーズ状の感応素子1中に埋設されている。また、電極20はヒータ兼用電極25のコイル部分の中心を貫通するように感応素子1中に埋設されている。このため、ヒータ兼用電極25及び電極20がまとまり良く配設され、感応素子1の小型化が容易である。
【0032】
前記ヒータ兼用電極25は白金(Pt)、白金合金(Pt合金)等から形成される。このヒータ兼用電極25は、白金(Pt)、白金合金(Pt合金)等からなるリード線201,203の間に設けられている。これにより、ヒータ兼用電極25、リード線201,203が、一体に形成されている。また電極20は、白金(Pt)、白金合金(Pt合金)等からなるリード線202で形成されている。
【0033】
そして、樹脂等から形成されるベース30に3本の端子101,102,103を貫通させ、この各端子101,102,103にリード線201,202,203を接続している。これにより、ベース30に対して、感応素子1が固定して支持される。このベース30に有底筒状のセンサ筐体40を被嵌する。感応素子1は、センサ筐体40の内側に収容される。センサ筐体40の天上面にはガス導入用の開口41が設けられている。この開口41には必要に応じてガス導入用のステンレス製等の金網41が張設される。
【0034】
図3,4に示す水素ガスセンサでは、アルミナ基板等の絶縁体基板6をセンサ基体(平板型基体)として用いている。
【0035】
この絶縁体基板6の一面には金等からなる膜状の二つの電極4A、4Bが形成されている。この絶縁体基板6の他面には、金等からなる膜状の四つの電極2A,2B,4A′,4B′が形成されている。この絶縁体基板6には、前記電極4Aと電極4A′とを接続するスルーホール、及び前記電極4B及び電極4B′とを接続するスルーホールが形成されている。また、この絶縁体基板6の他面側の各電極2A,2B,4A′,4B′にはリードワイヤ5を夫々接続している。また、絶縁体基板6の他面には、白金印刷膜等からなるヒータ25′が形成されている。このヒータ25′は、二つの電極2A,2Bに接続されている。
【0036】
感応素子1は、上記絶縁体基板6の一面に、二つの電極4A、4Bの間に亘って膜状に設けられている。
【0037】
そして、樹脂等から形成されるベース30に4本の端子10,10,10,10を貫通させ、このベース30に上記絶縁体基板6を搭載する。また、各端子10,10,10,10に、リードワイヤ5,5,5,5を、それぞれ接続する。このベース30に有底筒状のセンサ筐体40を被嵌する。感応素子1を備える絶縁体基板6は、センサ筐体40の内側に収容される。センサ筐体40の天上面にはガス導入用の開口41が設けられている。この開口41には必要に応じてガス導入用のステンレス製等の金網41が張設される。
【0038】
これらの水素ガスセンサの構成は例示であり、その他適宜の構造の水素ガスセンサを形成することができる。
【0039】
以下に、感応素子1の製造方法を例示する。
【0040】
感応素子1に含まれる酸化物半導体がSnO2である場合、適宜の手法で調整したSnO2の粉末を用いることができる。例えば、まずSnCl4の水溶液をNH4で加水分解してスズ酸ゾルを得る。このスズ酸ゾルを風乾した後に、空気中で例えば550〜700℃で0.5〜3時間焼成する。この焼成により得られたSnO2を粉砕して、SnO2の粉末を得ることができる。
【0041】
また、感応素子1に骨材を含有させる場合、骨材として例えばアルミナ(α−アルミナ)の粉末を用いることができる。
【0042】
酸化物半導体の粉末に、必要に応じて所望の量の骨材の粉末を混合し、更にポリエチレングリコール、グリセリン等の有機溶剤を加えて、ペースト状の混合物を調製する。
【0043】
ここで、感応素子1中にPdを含有させる場合には、適宜の手法で上記混合物中にPdを含有させる。例えば上記混合物を調製する前に、予め酸化物半導体(SnO2)の粉末にPdを担持させる。この場合、例えばPdを王水に溶解させると共に蒸留水で希釈したPd濃度0.3〜1.5%の溶液を、酸化物半導体の粉末に混合し、空気雰囲気下で例えば500℃で1時間焼成する。これにより、Pdが担持された酸化物半導体の粉末が得られる。
【0044】
また、感応素子1中にPtを含有させる場合には、適宜の手法で上記混合物中にPt又はその化合物を含有させる。例えば上記混合物を調製する前に、予め酸化物半導体(SnO2)の粉末にPt又は塩化白金酸を担持させる。この場合、例えば塩化白金酸水溶液を、酸化物半導体の粉末に混合し、空気雰囲気下で例えば500℃で1時間焼成する。これにより、塩化白金酸が担持された酸化物半導体の粉末が得られる。また、このような手法の代わりに、上記ペースト状の混合物中に塩化白金酸水溶液を混合しても良い。
【0045】
このように調製された混合物をセンサ基体に塗布する。この混合物を、適宜の条件、例えば空気雰囲気下で500〜700℃で1〜60分間焼成することにより焼結させる。
【0046】
この混合物の焼結体には、必要に応じてアルミナゾルを添加する。例えば焼結体の表面にアルミナゾルを塗布し、例えば空気中で650℃で3分間焼成する。
【0047】
次に、この焼結体に酸又はチオ尿素の少なくとも一方を添加する。
【0048】
酸を添加する場合には、例えば5〜30%濃度の硫酸水溶液を、焼結体の表面に塗布し、例えば450℃で3分間焼成することができる。このとき、必要に応じて硫酸水溶液の塗布と焼成とを複数回(例えば30回)繰り返して行うことができる。
【0049】
また、チオ尿素を添加する場合には、例えばチオ尿素を水に溶解させた0.1〜1%の濃度の溶液を、焼結体の表面に塗布し、例えば450℃で3分間の条件で焼成することができる。
【0050】
また、チオ尿素と酸とを共に添加する場合には、上記手法によって、まず焼結体にチオ尿素を添加した後に、この焼結体に酸を少なくとも一回添加する。
【0051】
以上のようにして感応素子1が形成される。
【実施例】
【0052】
以下、本発明を実施例により更に詳述する。
【0053】
(実施例1)
図1,2に示す構成の水素ガスセンサを作製した。このとき、感応素子1は次のようにして作製した。
【0054】
SnCl4の水溶液をNH4で加水分解してスズ酸ゾルを得た。このスズ酸ゾルを風乾した後に、空気中で600℃で1時間焼成した。この焼成により得られたSnO2を粉砕して、SnO2の粉末を得た。
【0055】
このSnO2の粉末と、α−アルミナの粉末とを、前者対後者が1:1の重量比となるように混合し、更にグリセリンを加えて、ペースト状の混合物を調製した。
【0056】
このペースト状の混合物をセンサ基体に塗布し、530℃で3分間焼成して、焼結体を形成した。
【0057】
この焼結体の表面にアルミナゾルを塗布し、650℃で3分間焼成した。
【0058】
次に、焼結体の表面にチオ尿素の0.9%水溶液を塗布し、450℃で3分間焼成して、感応素子1を形成した。この感応素子1は長径0.5mm、短径0.3mmの楕円球状に形成した。このとき感応素子1全量に対して0.1重量%のチオ尿素が添加され、また、この感応素子1中のアルミナゾルの固形分の含有量は0.6重量%となるようにした。
【0059】
(実施例2)
実施例1において、上記チオ尿素の添加処理に代えて、焼結体に5%硫酸溶液を塗布した後に450℃で3分間焼成する操作を30回繰り返し行い、硫酸を添加した。それ以外は実施例1と同様にして水素ガスセンサを作製した。
【0060】
(実施例3)
実施例1において、上記チオ尿素の添加処理の後、焼結体に30%硫酸溶液を塗布した後に450℃で3分間焼成する操作を1回行い、硫酸を添加した。それ以外は実施例1と同様にして水素ガスセンサを作製した。
【0061】
(比較例1)
実施例1において、チオ尿素の添加処理を行わなかった。それ以外は実施例1と同様にして水素ガスセンサを作製した。
【0062】
(水素ガス検知感度評価試験)
実施例1〜3及び比較例1で得られた水素ガスセンサについて、感応素子1を450℃に加熱した状態で感応素子1を空気雰囲気中に曝露し、この状態で感応素子1の電気抵抗値(Rair)を測定した。
【0063】
次に、感応素子1を水素ガスを含む雰囲気中に曝露し、雰囲気中の水素ガスの濃度変化に対する感応素子1の電気抵抗値(R)の変化を調査した。
【0064】
図5のグラフに、各実施例1〜3及び比較例1についての、Rair及びR/Rairの測定結果を示す。グラフの左側の縦軸はRairの値、右側の縦軸はR/Rairの値を示す。
【0065】
図5から明らかなように、各実施例及び比較例では、良好な水素ガス濃度依存性がみられた。このうち、特にチオ尿素添加を施した実施例1及び3では、水素ガス濃度の変化に対するR/Rairの変化が大きく、高濃度の水素ガス濃度を高い検知精度で検知することができた。
【0066】
また、図6のグラフに、実施例1〜3及び比較例1について、Rairの値、及び高濃度水素中でのRの値を示す。
【0067】
図6によれば、チオ尿素添加を施した実施例1及び3の方が、比較例1や、チオ尿素添加を施さない実施例2よりも、水素濃度変化に対する感応素子1の電気抵抗値の変化量が大きかった。このためチオ尿素添加を施した実施例1及び3が、特に高濃度の水素の検知に適していることが確認できた。
【0068】
(耐酸被毒性評価試験)
実施例1,2及び比較例1について、検知感度が経時的に安定した状態の感応素子1に、感応素子1に硫酸5%水溶液を1回塗布し、450℃で3分間焼成した。次いで、処理後の感応素子1を用い、上記の場合と同様にして水素ガスを含む雰囲気中に曝露し、素子温度450℃での、雰囲気中の水素ガスの濃度変化に対する感応素子1の電気抵抗値(R)の変化を調査した。
【0069】
図7は実施例1、図8は実施例2、図9は実施例3、図10は比較例1についての、上記酸被毒処理前での測定結果、処理後1日目での測定結果、並びに処理後4日目、6日目或いは7日目での測定結果を、併せて示す。
【0070】
この結果、比較例1では、被毒処理後にRairの値が大きく変化し、また水素ガス中でのRの値の変化も大きいものであった。また被毒処理後、時間が経過することによりRairの値及びRの値が更に変動した。
【0071】
これに対して、実施例1〜3では、被毒処理前後でのRair及びRの値の変動が小さかった。特に実施例1では感応素子1を一旦酸で被毒させた後は、電気抵抗値Rは殆ど変化せず、更に実施例3では被毒処理前後でも電気抵抗値Rに殆ど変化はみられなかった。
【0072】
(応答性評価試験)
実施例1について、約3分ごとに感応素子1の周囲への水素ガスの注入と感応素子1の周囲からの水素を含むガスの排気とを交互に行うことにより、感応素子1の周囲の雰囲気を空気雰囲気と、水素ガスを5000ppm含む雰囲気とに、交互に置換した。この場合の、感応素子1の電気抵抗値Rの経時変化を調査した。
【0073】
また、アルミナゾルを添加しなかった以外は実施例1と同様に形成した感応素子1を用いて水素ガスセンサを作製し(以下、実施例4という)、実施例1と同様に感応素子1の電気抵抗値Rの経時変化を調査した。
【0074】
実施例1の結果を図11に、実施例3の結果を図12に示す。尚、図中に現れている水素ガス注入時に生じる電気抵抗値Rのがたつきは、水素ガスの注入を3回に分けて行ったために生じたものである。
【0075】
この結果、アルミナゾルを添加していない実施例4と較べて、アルミナゾルを添加した実施例1では、感応素子1の周囲の雰囲気を置換した場合に、感応素子1の電気抵抗値がより速やかに安定し、特に水素ガスを5000ppm含む雰囲気から空気雰囲気に戻る場合に高い応答性を有することが確認できた。
【0076】
(初期安定化時間評価試験)
実施例1及び実施例3について、感応素子1を通電して450℃に加熱した状態で放置した場合の、空気雰囲気下での電気抵抗値Rairと水素ガス雰囲気下(濃度1000ppm)での電気抵抗値Rの測定結果の変化を調査した。
【0077】
実施例1についての結果を図13に、実施例3についての結果を図14に、それぞれ示す。
【0078】
図示の通り、実施例1では、空気中での電気抵抗値Rairと、水素ガス含有雰囲気中での電気抵抗値Rとは、通電開始後、経時的に徐々に上昇し、値が安定するまで長期間を要した。これに対して実施例3では、通電開始後、電気抵抗値Rair,Rは速やかに安定した。
【0079】
また、実施例1について上記と同様の試験を行った後、50日目で感応素子1に実施例3と同様に硫酸を添加し、続いて同様に試験を行った。この結果を図15に示す。
【0080】
図示の通り、通電開始後、電気抵抗値Rair,Rは徐々に上昇していったが、硫酸を添加した後は電気抵抗値Rair,Rが速やかに安定化した。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】本発明の実施の形態の一例を示す、ガスセンサの要部概略構成図である。
【図2】同上の一部破断した正面図である。
【図3】本発明の実施の形態の他例の要部を示し、(a)は一面側から視た斜視図、(b)は他面側から視た斜視図である。
【図4】同上の一部破断した斜視図である。
【図5】実施例1,2及び比較例1の水素ガスセンサに関し、水素ガス検知感度評価試験により得られた、R/Rairの値の水素ガス濃度依存性を示すグラフである。
【図6】実施例1,2及び比較例1の水素ガスセンサに関し、水素ガス検知感度評価試験により得られた、感応素子の電気抵抗値Rの値の、水素ガス濃度依存性を示すグラフである。
【図7】実施例1の水素ガスセンサに関し、耐酸被毒性評価試験により得られた、感応素子の酸被毒後の電気抵抗値Rの値の、水素ガス濃度依存性を示すグラフである。
【図8】実施例2の水素ガスセンサに関し、耐酸被毒性評価試験により得られた、感応素子の酸被毒後の電気抵抗値Rの値の、水素ガス濃度依存性を示すグラフである。
【図9】実施例3の水素ガスセンサに関し、耐酸被毒性評価試験により得られた、感応素子の酸被毒後の電気抵抗値Rの値の、水素ガス濃度依存性を示すグラフである。
【図10】比較例1の水素ガスセンサに関し、耐酸被毒性評価試験により得られた、感応素子の酸被毒後の電気抵抗値Rの値の、水素ガス濃度依存性を示すグラフである。
【図11】実施例1の水素ガスセンサに関し、応答性評価試験により得られた、感応素子の周囲の雰囲気を空気雰囲気と水素ガスを含む雰囲気とに交互に置換した場合での、感応素子の電気抵抗値Rの経時変化を示すグラフである。
【図12】実施例4の水素ガスセンサに関し、応答性評価試験により得られた、感応素子の周囲の雰囲気を空気雰囲気と水素ガスを含む雰囲気とに交互に置換した場合での、感応素子の電気抵抗値Rの経時変化を示すグラフである。
【図13】実施例1の水素ガスセンサに関し、初期安定化時間評価試験により得られた、空気中での電気抵抗値Rairと、水素ガス含有雰囲気中での電気抵抗値Rとの経時変化を示すグラフである。
【図14】実施例3の水素ガスセンサに関し、初期安定化時間評価試験により得られた、空気中での電気抵抗値Rairと、水素ガス含有雰囲気中での電気抵抗値Rとの経時変化を示すグラフである。
【図15】実施例1の水素ガスセンサに関し、初期安定化時間評価試験を行った後、50日目で感応素子に硫酸を添加し、続けて初期安定化時間評価試験を行ったことにより得られた、空気中での電気抵抗値Rairと、水素ガス含有雰囲気中での電気抵抗値Rとの経時変化を示すグラフである。
【符号の説明】
【0082】
1 感応素子
【技術分野】
【0001】
本発明は、酸化物半導体からなる感応素子の電気抵抗値の変化により水素ガスを検出する水素ガスセンサに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、地球規模の環境問題の解決が要望されるなか、クリーンエネルギー技術の開発が活発となっており、このような技術として燃料電池が注目されている。燃料電池は水素と酸素との燃焼反応等を利用して起電力を発生させるものであり、エネルギー変換率が高く、クリーンで環境にやさしい発電装置として期待されている。またこのような燃料電池を電源として用いた燃料電池自動車の開発も活発に進められている。
【0003】
燃料電池は、一般的には燃料である天然ガス等から硫黄化合物を除去する脱硫器、脱硫された燃料を水素とCO及びCO2に変成する改質器、及びCOをCO2に変化させる変成器から構成される改質装置を備えており、この改質装置によって、天然ガス等の燃料から水素ガスに富んだ燃料ガス(改質ガス)が生成される。そして燃料電池本体において、この燃料ガス中の水素ガスと空気中の酸素とを電気化学的に反応させて直流電力を得るものである。
【0004】
上記の燃料ガス中には数10〜100%という高濃度の水素ガスが含まれるが、この燃料ガスのガス漏れが起こると燃料電池が正常に動作しなくなり、また水素ガスは可燃性が高く、ガス漏れが起こると非常に危険である。このため、ガス漏れの有無を検知するための水素ガスセンサを設ける必要がある。
【0005】
ここで、燃料電池用の水素ガス濃度を検知するための水素ガスセンサとして、例えば特許文献1に開示されているものが提案されている。この水素ガスセンサは、酸素濃度検知セルと酸素ポンプセルとを固体電解質の両側に多孔質の電極を配置して構成し、この各セルの一方の電極を間隔をあけて対向させると共にこの各電極間の空間を外部から閉塞して空隙を形成し、空隙内側に配置されている各セルの電極を接地し、更にこの空隙と外部との間に水素ガスが通過可能なガス拡散制限部を設けて構成されたものである。
【0006】
このように構成される水素ガスセンサは、酸素ポンプセルの外面側の電極が燃料電池に供給される水素を含む燃料ガスの気流中に露出するように配される。ここで燃料ガスには水蒸気が添加されるものである。この状態で酸素ポンプセルの電極間に電圧を印加すると、外面側の電極において水が分解されると共に、酸素イオンが固体電解質中を通過して空隙内に導入される。一方、空隙内にはガス拡散制限部を介して水素も導入され、空隙内で酸素イオンと水素とが反応して水が生成される。また酸素濃度検知セルの電極間には一定の微少電流が通電され、電極間に空隙内の酸素濃度に応じた電圧が発生するようにしている。そして、酸素濃度検知セルに発生する電圧が一定となるように酸素ポンプセルの電極間に印加する電圧を制御し、このときの酸素ポンプセルの電極間に印加する電圧の値から水素濃度を導出するものである。
【0007】
また、特許文献2には、燃料電池用の水素ガス濃度を検知するための水素ガスセンサとして、SnO2、ZnO等の酸化物半導体から構成される半導体センサを用いることが開示されている。
【特許文献1】特開2000−9685号公報
【特許文献2】特開平6−196188号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、上記の特許文献1に開示されている水素ガスセンサは、装置構成が複雑であり、しかも複雑な制御機構が必要とされるものであって、小型化が困難であり、また製造工程が煩雑となって製造に手間がかかると共に、製造コストも嵩むものであった。
【0009】
一方、特許文献2に記載のように水素ガスセンサを半導体センサにて構成すると簡便な構成で安価に製造することができるが、従来から知られているSnO2等を主成分とする感応素子1にて構成される金属酸化物水素ガスセンサは、酸性雨に曝されるなどして硫酸被毒を受けたり、排気ガス中の窒素酸化物(NOx)や硫黄酸化物(SOx)等の酸化性ガスによる被毒を受けると、検知感度が変動し、正確な濃度検知ができなくなってしまうという問題がある。
【0010】
本発明は上記の点に鑑みて為されたものであり、酸や酸化性ガスに曝されても検知感度の変動が抑制され、正確な濃度検知が可能な水素ガスセンサを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る水素ガスセンサは、水素に感応して電気抵抗値の変化を生じる酸化物半導体を含有する感応素子1を備え、前記感応素子1には、酸とチオ尿素の少なくとも一方が添加されていることを特徴とするものである。
【0012】
この場合、感応素子1が酸や酸化性ガスに曝されても、検知感度の変動が抑制される。特に感応素子1にチオ尿素を添加した場合には、感応素子1が酸や酸化性ガスに曝された場合の検知感度の変動が非常に小さく、しかも、特に水素ガスが高濃度の場合に高い検知感度を有する。
【0013】
このような水素ガスセンサでは、上記感応素子1にアルミナゾルが添加されていることが好ましい。この場合、水素ガス検知時に感応素子1の電気抵抗値が速やかに安定化し、高い応答性を有する。
【0014】
また、上記感応素子1が、チオ尿素が添加された後、酸が添加されているものであることも好ましい。この場合、感応素子1が酸や酸化性ガスに曝された場合の検知感度の変動が特に小さくなり、且つ感応素子1への通電初期に、検知出力が安定化するまでに要する期間が非常に短くなるものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、酸や酸化性ガスに対する耐性の高い水素ガスセンサを得ることができ、特に自動車等の燃料電池における燃料ガスのガス漏れを検知するために、好適なものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
【0017】
まず、水素ガスセンサの感応素子1の構成について説明する。
【0018】
感応素子1は、水素ガスを吸着することにより電気抵抗値が変化する酸化物半導体を含む。酸化物半導体としては前記特性を有する適宜のものが用いられるが、例えば酸化スズ(SnO2)を用いることができる。感応素子1中の酸化物半導体の含有量は50〜100重量%の範囲が好ましい。
【0019】
この感応素子1中には、骨材を含有させても良い。骨材は、感応素子1の電気抵抗値の調整や強度向上等の目的で、使用することができる。骨材としては、例えばアルミナ等をあげることができる。感応素子1中の骨材の含有量は適宜調整されるが、例えば感応素子1の全量に対して0〜50重量%とすることができる。
【0020】
また、感応素子1は、白金(Pt)、パラジウム(Pd)のうち少なくとも一方を含有しても良い。この場合、水素ガスの検知時の検知感度の向上に寄与すると共に、感応素子1の電気抵抗値が速やかに安定し、水素ガスの検知時の応答性が向上する。感応素子1中の白金、パラジウムの含有量は特に制限されないが、感応素子1に白金を含有させる場合は、感応素子1中の酸化物半導体全量に対し、白金を0.3〜1.5重量%の範囲で含有させることができる。また、感応素子1にパラジウムを含有させる場合には、感応素子1中の酸化物半導体全量に対し、パラジウムを0.3〜1.5重量%の範囲で含有させることができる。
【0021】
また、この感応素子1にはアルミナゾルを添加することも好ましい。アルミナゾルの添加にあたっては、感応素子1の周囲にアルミナゾルを塗布含浸させた後、焼成することができる。このときアルミナゾルに起因する微細粒径のアルミナ(γ−アルミナ)が感応素子1の内部にほぼ均一に分散した状態で存在することとなる。この場合、感応素子1の強度を向上することができ、且つ、水素ガスセンサによる水素ガス検知時に感応素子1の電気抵抗値が速やかに安定し、水素ガス検知時の応答性が向上する。このアルミナゾルの添加量は特に制限されないが、好ましくは感応素子1の全量に対してアルミナゾル中の固形分が0.6〜10重量%の範囲とする。
【0022】
また、この感応素子1には、酸とチオ尿素のうち、少なくとも一方を添加する。酸の添加にあたっては、感応素子1の周囲に酸の水溶液を塗布含浸させた後、焼成することができる。また、チオ尿素の添加にあたっては、感応素子1の周囲にチオ尿素を塗布含浸させた後、焼成することができる。酸を添加する場合には例えば硫酸を使用することができる。硫酸を使用する場合、感応素子1中の硫酸の添加量は適宜設定される。またチオ尿素を添加する場合、感応素子1中のチオ尿素の添加量は適宜設定されるが、感応素子の全量に対して0.05〜0.5重量%の範囲で添加することが好ましい。このように感応素子1にチオ尿素を添加した場合には感応素子1の内部にはチオ尿素に起因する硫黄がほぼ均一に分散した状態で存在することとなり、また酸として硫酸を添加した場合も感応素子1の内部には硫酸に起因する硫黄がほぼ均一に分散した状態で存在することとなる。
【0023】
このように感応素子1に酸又はチオ尿素を添加することにより、感応素子1が硫黄酸化物(SOx)、窒素酸化物(NOx)等の酸化性ガスに曝された場合、並びに、硫酸等の酸に曝された場合の、水素ガスの検知感度の変化を抑制することができる。
【0024】
特に、感応素子1にチオ尿素を添加した場合には、感応素子1が酸や酸化性ガスに曝された場合の、感応素子1の検知感度の安定性が非常に高く、特に一旦感応素子1が酸や酸化性ガスに曝された後は検知感度の変化が非常に小さくなる。このため、感応素子1を予め酸や酸化性ガスに曝しておけば、検知感度の安定性を非常に高くすることもできる。更にこの場合、水素ガスの濃度変化に対する感応素子1の電気抵抗値の変化の勾配が大きくなり、特に高濃度の水素ガスを検知する場合に、ガス濃度の検知を高精度で行うことができる。
【0025】
更に、感応素子1にチオ尿素を添加した後、更に硫酸等の酸を添加すると、感応素子1が酸や酸化性ガスに曝された場合の、感応素子1の検知感度の安定性が特に高くなり、感応素子1が酸や酸化性ガスに曝される前後においても感応素子1の検知感度の変化が非常に小さくなるものである。また、感応素子1にチオ尿素を添加した場合には、感応素子1に通電を開始した初期にはこの感応素子1の電気抵抗値が安定せず、検知出力の安定化に長期間を要するものであるが、感応素子1にチオ尿素を添加した後、更に硫酸等の酸を添加すれば、感応素子1に通電を開始した場合、感応素子1の電気抵抗値が速やかに安定し、非常に短時間で検知出力が安定化するものである。
【0026】
水素ガスセンサは、上記のような感応素子1を具備し、この感応素子1を検知対象のガスに曝露した際の電気抵抗値の変化を検出することができるものであれば、従来公知の適宜の構成を採用することができる。
【0027】
この水素ガスセンサでは、白金(Pt)、白金合金(Pt合金)等から形成されるヒータ及び電極をセンサ基体とし、このセンサ基体を覆うように感応素子1を設けることが好ましい。
【0028】
上記電極は、感応素子1の電気抵抗値測定用に設けられる。感応素子1を測定対象のガスを含む雰囲気中に配置した状態で、この電極間の電気抵抗値を測定し、この電気抵抗値に基づいてガス濃度を検出することができる。
【0029】
また、上記ヒータは、感応素子1を一定の温度に保つために設けられる。ここで、感応素子1には、組成に応じて水素ガスを検知するための好適な温度(素子温度)がある。また素子温度が変動すると水素ガス感度が変動して正確な濃度を検知することが困難になる。このため、水素ガスの検出時には、ヒータにて素子温度を好適温度に保つことで、水素ガス濃度を正確に検知する。
【0030】
以下、水素ガスセンサの具体的構造を例示する。
【0031】
図1,2に示す水素ガスセンサでは、コイル状のヒータ兼用電極25及び芯線状の電極20をセンサ基体とする。このヒータ兼用電極25及び電極20を覆うように略球状(球体状、楕円球体状等)に感応素子1が形成されている。図示の例ではヒータ兼用電極25は、コイル部分が、ビーズ状の感応素子1中に埋設されている。また、電極20はヒータ兼用電極25のコイル部分の中心を貫通するように感応素子1中に埋設されている。このため、ヒータ兼用電極25及び電極20がまとまり良く配設され、感応素子1の小型化が容易である。
【0032】
前記ヒータ兼用電極25は白金(Pt)、白金合金(Pt合金)等から形成される。このヒータ兼用電極25は、白金(Pt)、白金合金(Pt合金)等からなるリード線201,203の間に設けられている。これにより、ヒータ兼用電極25、リード線201,203が、一体に形成されている。また電極20は、白金(Pt)、白金合金(Pt合金)等からなるリード線202で形成されている。
【0033】
そして、樹脂等から形成されるベース30に3本の端子101,102,103を貫通させ、この各端子101,102,103にリード線201,202,203を接続している。これにより、ベース30に対して、感応素子1が固定して支持される。このベース30に有底筒状のセンサ筐体40を被嵌する。感応素子1は、センサ筐体40の内側に収容される。センサ筐体40の天上面にはガス導入用の開口41が設けられている。この開口41には必要に応じてガス導入用のステンレス製等の金網41が張設される。
【0034】
図3,4に示す水素ガスセンサでは、アルミナ基板等の絶縁体基板6をセンサ基体(平板型基体)として用いている。
【0035】
この絶縁体基板6の一面には金等からなる膜状の二つの電極4A、4Bが形成されている。この絶縁体基板6の他面には、金等からなる膜状の四つの電極2A,2B,4A′,4B′が形成されている。この絶縁体基板6には、前記電極4Aと電極4A′とを接続するスルーホール、及び前記電極4B及び電極4B′とを接続するスルーホールが形成されている。また、この絶縁体基板6の他面側の各電極2A,2B,4A′,4B′にはリードワイヤ5を夫々接続している。また、絶縁体基板6の他面には、白金印刷膜等からなるヒータ25′が形成されている。このヒータ25′は、二つの電極2A,2Bに接続されている。
【0036】
感応素子1は、上記絶縁体基板6の一面に、二つの電極4A、4Bの間に亘って膜状に設けられている。
【0037】
そして、樹脂等から形成されるベース30に4本の端子10,10,10,10を貫通させ、このベース30に上記絶縁体基板6を搭載する。また、各端子10,10,10,10に、リードワイヤ5,5,5,5を、それぞれ接続する。このベース30に有底筒状のセンサ筐体40を被嵌する。感応素子1を備える絶縁体基板6は、センサ筐体40の内側に収容される。センサ筐体40の天上面にはガス導入用の開口41が設けられている。この開口41には必要に応じてガス導入用のステンレス製等の金網41が張設される。
【0038】
これらの水素ガスセンサの構成は例示であり、その他適宜の構造の水素ガスセンサを形成することができる。
【0039】
以下に、感応素子1の製造方法を例示する。
【0040】
感応素子1に含まれる酸化物半導体がSnO2である場合、適宜の手法で調整したSnO2の粉末を用いることができる。例えば、まずSnCl4の水溶液をNH4で加水分解してスズ酸ゾルを得る。このスズ酸ゾルを風乾した後に、空気中で例えば550〜700℃で0.5〜3時間焼成する。この焼成により得られたSnO2を粉砕して、SnO2の粉末を得ることができる。
【0041】
また、感応素子1に骨材を含有させる場合、骨材として例えばアルミナ(α−アルミナ)の粉末を用いることができる。
【0042】
酸化物半導体の粉末に、必要に応じて所望の量の骨材の粉末を混合し、更にポリエチレングリコール、グリセリン等の有機溶剤を加えて、ペースト状の混合物を調製する。
【0043】
ここで、感応素子1中にPdを含有させる場合には、適宜の手法で上記混合物中にPdを含有させる。例えば上記混合物を調製する前に、予め酸化物半導体(SnO2)の粉末にPdを担持させる。この場合、例えばPdを王水に溶解させると共に蒸留水で希釈したPd濃度0.3〜1.5%の溶液を、酸化物半導体の粉末に混合し、空気雰囲気下で例えば500℃で1時間焼成する。これにより、Pdが担持された酸化物半導体の粉末が得られる。
【0044】
また、感応素子1中にPtを含有させる場合には、適宜の手法で上記混合物中にPt又はその化合物を含有させる。例えば上記混合物を調製する前に、予め酸化物半導体(SnO2)の粉末にPt又は塩化白金酸を担持させる。この場合、例えば塩化白金酸水溶液を、酸化物半導体の粉末に混合し、空気雰囲気下で例えば500℃で1時間焼成する。これにより、塩化白金酸が担持された酸化物半導体の粉末が得られる。また、このような手法の代わりに、上記ペースト状の混合物中に塩化白金酸水溶液を混合しても良い。
【0045】
このように調製された混合物をセンサ基体に塗布する。この混合物を、適宜の条件、例えば空気雰囲気下で500〜700℃で1〜60分間焼成することにより焼結させる。
【0046】
この混合物の焼結体には、必要に応じてアルミナゾルを添加する。例えば焼結体の表面にアルミナゾルを塗布し、例えば空気中で650℃で3分間焼成する。
【0047】
次に、この焼結体に酸又はチオ尿素の少なくとも一方を添加する。
【0048】
酸を添加する場合には、例えば5〜30%濃度の硫酸水溶液を、焼結体の表面に塗布し、例えば450℃で3分間焼成することができる。このとき、必要に応じて硫酸水溶液の塗布と焼成とを複数回(例えば30回)繰り返して行うことができる。
【0049】
また、チオ尿素を添加する場合には、例えばチオ尿素を水に溶解させた0.1〜1%の濃度の溶液を、焼結体の表面に塗布し、例えば450℃で3分間の条件で焼成することができる。
【0050】
また、チオ尿素と酸とを共に添加する場合には、上記手法によって、まず焼結体にチオ尿素を添加した後に、この焼結体に酸を少なくとも一回添加する。
【0051】
以上のようにして感応素子1が形成される。
【実施例】
【0052】
以下、本発明を実施例により更に詳述する。
【0053】
(実施例1)
図1,2に示す構成の水素ガスセンサを作製した。このとき、感応素子1は次のようにして作製した。
【0054】
SnCl4の水溶液をNH4で加水分解してスズ酸ゾルを得た。このスズ酸ゾルを風乾した後に、空気中で600℃で1時間焼成した。この焼成により得られたSnO2を粉砕して、SnO2の粉末を得た。
【0055】
このSnO2の粉末と、α−アルミナの粉末とを、前者対後者が1:1の重量比となるように混合し、更にグリセリンを加えて、ペースト状の混合物を調製した。
【0056】
このペースト状の混合物をセンサ基体に塗布し、530℃で3分間焼成して、焼結体を形成した。
【0057】
この焼結体の表面にアルミナゾルを塗布し、650℃で3分間焼成した。
【0058】
次に、焼結体の表面にチオ尿素の0.9%水溶液を塗布し、450℃で3分間焼成して、感応素子1を形成した。この感応素子1は長径0.5mm、短径0.3mmの楕円球状に形成した。このとき感応素子1全量に対して0.1重量%のチオ尿素が添加され、また、この感応素子1中のアルミナゾルの固形分の含有量は0.6重量%となるようにした。
【0059】
(実施例2)
実施例1において、上記チオ尿素の添加処理に代えて、焼結体に5%硫酸溶液を塗布した後に450℃で3分間焼成する操作を30回繰り返し行い、硫酸を添加した。それ以外は実施例1と同様にして水素ガスセンサを作製した。
【0060】
(実施例3)
実施例1において、上記チオ尿素の添加処理の後、焼結体に30%硫酸溶液を塗布した後に450℃で3分間焼成する操作を1回行い、硫酸を添加した。それ以外は実施例1と同様にして水素ガスセンサを作製した。
【0061】
(比較例1)
実施例1において、チオ尿素の添加処理を行わなかった。それ以外は実施例1と同様にして水素ガスセンサを作製した。
【0062】
(水素ガス検知感度評価試験)
実施例1〜3及び比較例1で得られた水素ガスセンサについて、感応素子1を450℃に加熱した状態で感応素子1を空気雰囲気中に曝露し、この状態で感応素子1の電気抵抗値(Rair)を測定した。
【0063】
次に、感応素子1を水素ガスを含む雰囲気中に曝露し、雰囲気中の水素ガスの濃度変化に対する感応素子1の電気抵抗値(R)の変化を調査した。
【0064】
図5のグラフに、各実施例1〜3及び比較例1についての、Rair及びR/Rairの測定結果を示す。グラフの左側の縦軸はRairの値、右側の縦軸はR/Rairの値を示す。
【0065】
図5から明らかなように、各実施例及び比較例では、良好な水素ガス濃度依存性がみられた。このうち、特にチオ尿素添加を施した実施例1及び3では、水素ガス濃度の変化に対するR/Rairの変化が大きく、高濃度の水素ガス濃度を高い検知精度で検知することができた。
【0066】
また、図6のグラフに、実施例1〜3及び比較例1について、Rairの値、及び高濃度水素中でのRの値を示す。
【0067】
図6によれば、チオ尿素添加を施した実施例1及び3の方が、比較例1や、チオ尿素添加を施さない実施例2よりも、水素濃度変化に対する感応素子1の電気抵抗値の変化量が大きかった。このためチオ尿素添加を施した実施例1及び3が、特に高濃度の水素の検知に適していることが確認できた。
【0068】
(耐酸被毒性評価試験)
実施例1,2及び比較例1について、検知感度が経時的に安定した状態の感応素子1に、感応素子1に硫酸5%水溶液を1回塗布し、450℃で3分間焼成した。次いで、処理後の感応素子1を用い、上記の場合と同様にして水素ガスを含む雰囲気中に曝露し、素子温度450℃での、雰囲気中の水素ガスの濃度変化に対する感応素子1の電気抵抗値(R)の変化を調査した。
【0069】
図7は実施例1、図8は実施例2、図9は実施例3、図10は比較例1についての、上記酸被毒処理前での測定結果、処理後1日目での測定結果、並びに処理後4日目、6日目或いは7日目での測定結果を、併せて示す。
【0070】
この結果、比較例1では、被毒処理後にRairの値が大きく変化し、また水素ガス中でのRの値の変化も大きいものであった。また被毒処理後、時間が経過することによりRairの値及びRの値が更に変動した。
【0071】
これに対して、実施例1〜3では、被毒処理前後でのRair及びRの値の変動が小さかった。特に実施例1では感応素子1を一旦酸で被毒させた後は、電気抵抗値Rは殆ど変化せず、更に実施例3では被毒処理前後でも電気抵抗値Rに殆ど変化はみられなかった。
【0072】
(応答性評価試験)
実施例1について、約3分ごとに感応素子1の周囲への水素ガスの注入と感応素子1の周囲からの水素を含むガスの排気とを交互に行うことにより、感応素子1の周囲の雰囲気を空気雰囲気と、水素ガスを5000ppm含む雰囲気とに、交互に置換した。この場合の、感応素子1の電気抵抗値Rの経時変化を調査した。
【0073】
また、アルミナゾルを添加しなかった以外は実施例1と同様に形成した感応素子1を用いて水素ガスセンサを作製し(以下、実施例4という)、実施例1と同様に感応素子1の電気抵抗値Rの経時変化を調査した。
【0074】
実施例1の結果を図11に、実施例3の結果を図12に示す。尚、図中に現れている水素ガス注入時に生じる電気抵抗値Rのがたつきは、水素ガスの注入を3回に分けて行ったために生じたものである。
【0075】
この結果、アルミナゾルを添加していない実施例4と較べて、アルミナゾルを添加した実施例1では、感応素子1の周囲の雰囲気を置換した場合に、感応素子1の電気抵抗値がより速やかに安定し、特に水素ガスを5000ppm含む雰囲気から空気雰囲気に戻る場合に高い応答性を有することが確認できた。
【0076】
(初期安定化時間評価試験)
実施例1及び実施例3について、感応素子1を通電して450℃に加熱した状態で放置した場合の、空気雰囲気下での電気抵抗値Rairと水素ガス雰囲気下(濃度1000ppm)での電気抵抗値Rの測定結果の変化を調査した。
【0077】
実施例1についての結果を図13に、実施例3についての結果を図14に、それぞれ示す。
【0078】
図示の通り、実施例1では、空気中での電気抵抗値Rairと、水素ガス含有雰囲気中での電気抵抗値Rとは、通電開始後、経時的に徐々に上昇し、値が安定するまで長期間を要した。これに対して実施例3では、通電開始後、電気抵抗値Rair,Rは速やかに安定した。
【0079】
また、実施例1について上記と同様の試験を行った後、50日目で感応素子1に実施例3と同様に硫酸を添加し、続いて同様に試験を行った。この結果を図15に示す。
【0080】
図示の通り、通電開始後、電気抵抗値Rair,Rは徐々に上昇していったが、硫酸を添加した後は電気抵抗値Rair,Rが速やかに安定化した。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】本発明の実施の形態の一例を示す、ガスセンサの要部概略構成図である。
【図2】同上の一部破断した正面図である。
【図3】本発明の実施の形態の他例の要部を示し、(a)は一面側から視た斜視図、(b)は他面側から視た斜視図である。
【図4】同上の一部破断した斜視図である。
【図5】実施例1,2及び比較例1の水素ガスセンサに関し、水素ガス検知感度評価試験により得られた、R/Rairの値の水素ガス濃度依存性を示すグラフである。
【図6】実施例1,2及び比較例1の水素ガスセンサに関し、水素ガス検知感度評価試験により得られた、感応素子の電気抵抗値Rの値の、水素ガス濃度依存性を示すグラフである。
【図7】実施例1の水素ガスセンサに関し、耐酸被毒性評価試験により得られた、感応素子の酸被毒後の電気抵抗値Rの値の、水素ガス濃度依存性を示すグラフである。
【図8】実施例2の水素ガスセンサに関し、耐酸被毒性評価試験により得られた、感応素子の酸被毒後の電気抵抗値Rの値の、水素ガス濃度依存性を示すグラフである。
【図9】実施例3の水素ガスセンサに関し、耐酸被毒性評価試験により得られた、感応素子の酸被毒後の電気抵抗値Rの値の、水素ガス濃度依存性を示すグラフである。
【図10】比較例1の水素ガスセンサに関し、耐酸被毒性評価試験により得られた、感応素子の酸被毒後の電気抵抗値Rの値の、水素ガス濃度依存性を示すグラフである。
【図11】実施例1の水素ガスセンサに関し、応答性評価試験により得られた、感応素子の周囲の雰囲気を空気雰囲気と水素ガスを含む雰囲気とに交互に置換した場合での、感応素子の電気抵抗値Rの経時変化を示すグラフである。
【図12】実施例4の水素ガスセンサに関し、応答性評価試験により得られた、感応素子の周囲の雰囲気を空気雰囲気と水素ガスを含む雰囲気とに交互に置換した場合での、感応素子の電気抵抗値Rの経時変化を示すグラフである。
【図13】実施例1の水素ガスセンサに関し、初期安定化時間評価試験により得られた、空気中での電気抵抗値Rairと、水素ガス含有雰囲気中での電気抵抗値Rとの経時変化を示すグラフである。
【図14】実施例3の水素ガスセンサに関し、初期安定化時間評価試験により得られた、空気中での電気抵抗値Rairと、水素ガス含有雰囲気中での電気抵抗値Rとの経時変化を示すグラフである。
【図15】実施例1の水素ガスセンサに関し、初期安定化時間評価試験を行った後、50日目で感応素子に硫酸を添加し、続けて初期安定化時間評価試験を行ったことにより得られた、空気中での電気抵抗値Rairと、水素ガス含有雰囲気中での電気抵抗値Rとの経時変化を示すグラフである。
【符号の説明】
【0082】
1 感応素子
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水素に感応して電気抵抗値の変化を生じる酸化物半導体を含有する感応素子を備え、前記感応素子には、酸とチオ尿素の少なくとも一方が添加されていることを特徴とする水素ガスセンサ。
【請求項2】
上記感応素子にアルミナゾルが添加されていることを特徴とする請求項1に記載の水素ガスセンサ。
【請求項3】
上記感応素子が、チオ尿素が添加された後、酸が添加されているものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の水素ガスセンサ。
【請求項1】
水素に感応して電気抵抗値の変化を生じる酸化物半導体を含有する感応素子を備え、前記感応素子には、酸とチオ尿素の少なくとも一方が添加されていることを特徴とする水素ガスセンサ。
【請求項2】
上記感応素子にアルミナゾルが添加されていることを特徴とする請求項1に記載の水素ガスセンサ。
【請求項3】
上記感応素子が、チオ尿素が添加された後、酸が添加されているものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の水素ガスセンサ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2008−46091(P2008−46091A)
【公開日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−224493(P2006−224493)
【出願日】平成18年8月21日(2006.8.21)
【出願人】(593210961)エフアイエス株式会社 (39)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年8月21日(2006.8.21)
【出願人】(593210961)エフアイエス株式会社 (39)
【Fターム(参考)】
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