説明

水素利用内燃機関

【課題】排気浄化触媒の暖機を促進可能な水素利用内燃機関を提供する。
【解決手段】排気浄化触媒の温度が所定温度T2よりも低い場合に、脱水素触媒への水素化燃料の噴射量の補正係数K(<1.0)を脱水素触媒温度と排気浄化触媒温度との関係で定められたマップを参照して算出する(ステップ104)。その後、エンジン運転条件に基づき脱水素触媒への水素化燃料の噴射量Aを算出する(ステップ108)。ステップ104で算出された補正係数Kとステップ108で算出された噴射量Aを乗算することで、脱水素触媒への水素化燃料の最終的な噴射量を算出する(ステップ110)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料の脱水素反応若しくは改質反応により得られた水素を利用する水素利用内燃機関に関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関の排気通路に脱水素触媒と排気浄化触媒とを備えた装置が知られている(例えば、特許文献1及び2参照。)。これらの装置によれば、脱水素触媒において排気熱を利用して水素化燃料を脱水素反応させた後、該脱水素反応により得られた水素と脱水素生成物の少なくとも一方を燃焼させて運転することが可能である。
【0003】
【特許文献1】特開2005−147124号公報
【特許文献2】特開2004−189585号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記脱水素触媒における脱水素反応は吸熱反応である。このため、脱水素触媒への水素化燃料の供給量が多い場合には、脱水素触媒における排気熱の吸熱量が大きくなる。よって、脱水素触媒から流出する排気ガスの温度、すなわち、排気浄化触媒に流入する排気ガスの温度が著しく低下する。従って、排気浄化触媒の暖機中に脱水素触媒への水素化燃料が多いと、排気浄化触媒の暖機が遅くなってしまい、エミッション性能が悪化してしまう可能性がある。
【0005】
本発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、排気浄化触媒の暖機を促進可能な水素利用内燃機関を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の発明は、上記の目的を達成するため、燃料の脱水素反応若しくは改質反応により得られた水素を利用する水素利用内燃機関であって、
内燃機関の排気通路に設けられ、排気熱により燃料を脱水素反応若しくは改質反応させることで水素を生成する水素生成触媒と、
前記水素生成触媒に燃料を供給する燃料供給手段と、
前記排気通路における前記水素生成触媒よりも下流に設けられた排気浄化触媒と、
前記排気浄化触媒の暖機時に前記燃料供給手段から前記水素生成触媒への燃料供給量を、前記排気浄化触媒の暖機後の燃料供給量よりも少なくする燃料供給量制御手段とを備えたことを特徴とする。
【0007】
また、第2の発明は、第1の発明において、前記排気浄化触媒の温度を検出する排気浄化触媒温度検出部を更に備え、
前記燃料供給量制御手段は、前記排気浄化触媒温度検出部により検出された前記排気浄化触媒の温度が所定温度よりも高い場合には、該所定温度以下である場合に比して燃料供給量を増加させるものであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
第1の発明によれば、排気浄化触媒の暖機時の水素生成触媒への燃料供給量を、排気浄化触媒の暖機後の燃料供給量に比して少なくすることで、水素生成触媒における吸熱量が低減される。これにより、排気浄化触媒に流入する排気ガスの温度を高められるため、排気浄化触媒の暖機が促進される。
【0009】
第2の発明によれば、排気浄化触媒の温度が所定温度よりも高い場合には水素生成触媒への燃料供給量を増加させることで、水素生成触媒における吸熱量が増加せしめられる。これにより、排気浄化触媒に流入する排気ガスの温度を低くすることができるため、排気浄化触媒の温度が異常高温になる事態を防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。尚、各図において共通する要素には、同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0011】
実施の形態1.
[システム構成の説明]
図1は、本発明の実施の形態1によるシステムの構成を説明するための図である。図1に示すように、本実施の形態1のシステムは、水素化燃料を貯留する水素化燃料貯留部2を備えている。水素化燃料は、有機ハイドライド並びにガソリンに水素が添加されたものから選ばれる少なくとも1つを含むものであり、例えば、トルエンに水素が添加されてなるメチルシクロヘキサン(C14)である。水素化燃料貯留部2は、ポンプ4を介して水素化燃料供給用のインジェクタ6に連通している。インジェクタ6は、反応器10内の脱水素触媒12に水素化燃料を供給できるように設けられている。
【0012】
反応器10は、排気通路50を取り巻くように設けられている。脱水素触媒12は、排気通路50を流れる排気ガスの熱(排気熱)により加熱されるように設けられている。脱水素触媒12は、例えば、ドーナツ型ハニカム担体の各セルの内壁にセリア−アルミナからなるコート層を設け、該コート層にPt微粒子を担持させたものである。脱水素触媒12には、該触媒12の温度を検出する脱水素触媒温度センサ14が設けられている。反応器10は、配管16を介して分離装置20と接続されている。配管16は、脱水素反応により得られた水素と脱水素生成物(すなわち、ガソリン)とを分離装置20に排出するためのものである。
【0013】
分離装置20は、内部にタンクを有している。分離装置20は、水素及び脱水素生成物を冷却させることにより、脱水素生成物を液化させるように構成されている。
分離装置20の上部には、配管21の一端が接続されている。配管21の他端は、ポンプ22とバッファタンク23とレギュレータ24を介して水素供給用のインジェクタ25に連通している。インジェクタ25は、吸気通路40内に水素を添加できるように設けられている。ポンプ22とバッファタンク23の間には、リリーフバルブ26を介して迂路27が設けられている。
分離装置20の下部は、配管29を介して脱水素生成物貯留部30に連通している。脱水素生成物貯留部30には、配管31の一端が接続されている。配管31の他端は、ポンプ32を介して脱水素生成物供給用のインジェクタ33に連通している。インジェクタ33は、吸気通路40内に脱水素生成物を供給できるように設けられている。
【0014】
吸気通路40におけるインジェクタ25の上流には、スロットルバルブ41が設けられている。スロットルバルブ41は、アクセル開度センサ54により検出されるアクセル開度AAに基づいて駆動される電子制御式のバルブである。吸気通路40は、吸気バルブ42を介してシリンダ43に連通している。シリンダ43には、冷却水の温度TWを検出する冷却水温センサ44が設けられている。シリンダ43内には、ピストン45が設けられている。ピストン45は、クランク機構を介してクランク軸46に接続されている。クランク軸46の近傍には、クランク角CAを検出するクランク角センサ47が設けられている。また、シリンダヘッドには、点火プラグ48が設けられている。シリンダ43は、排気バルブ49を介して排気通路50に連通している。排気通路50における反応器10の下流には、排気空燃比を検出する空燃比センサ51が設けられている。さらに、空燃比センサ51の下流には排気浄化触媒(以下「浄化触媒」という。)52が設けられている。浄化触媒52は、排気ガスを浄化可能に構成されており、例えば、3元触媒である。浄化触媒52には、該浄化触媒52の温度を検出する浄化触媒温度センサ53が設けられている。
【0015】
本実施の形態1のシステムは、ECU(Electronic Control Unit)60を備えている。ECU60の入力側には、脱水素触媒温度センサ14、冷却水温センサ44、クランク角センサ47、空燃比センサ51、浄化触媒温度センサ53、アクセル開度センサ54等が接続されている。ECU60の出力側には、ポンプ4,22,32、インジェクタ6,25,33、スロットルバルブ41、点火プラグ48等が接続されている。
ECU60は、クランク角センサ47により検出されたクランク角CAに基づいて機関回転数NEを算出する。また、ECU60は、アクセル開度センサ54により検出されたアクセル開度AAに基づいて負荷KLを算出する。
【0016】
[実施の形態1の特徴]
次に、本実施の形態1における上記システムの動作について説明する。
内燃機関の始動後、シリンダ43から排出された排気ガスの熱によって排気通路50が加熱される。これと共に、反応器10内の脱水素触媒12が加熱される。ポンプ4が駆動されると、水素化燃料貯留部2からインジェクタ6に水素化燃料が供給される。所定温度以上に加熱された脱水素触媒12にインジェクタ6から水素化燃料が供給されると、脱水素触媒12において水素化燃料の脱水素反応が行われる。該脱水素反応により生じた水素と脱水素生成物とは、配管16を介して分離装置20に送られる。分離装置20において、水素及び脱水素生成物は冷却される。その結果、脱水素生成物が液化してタンク下部に溜まり、水素と分離される。このようにして、車上で水素が生成される。
【0017】
分離された脱水素生成物は、配管29を介して脱水素生成物貯留部30に送られる。ポンプ32が駆動されると、脱水素生成物貯留部30から配管31を介してインジェクタ33に脱水素生成物が供給され、所定のタイミングでインジェクタ33から吸気通路40に脱水素生成物が供給される。一方、分離された水素は、ポンプ22が駆動されると、配管21を介してバッファタンク23に供給される。さらに、水素は、レギュレータ24を介してインジェクタ25に供給される。そして、上記脱水素生成物の供給タイミングに合わせて、インジェクタ25から吸気通路40に水素が供給される。これにより、脱水素生成物及び水素を含む混合気が得られる。脱水素生成物に対して水素を添加することにより、混合気の燃焼性を大幅に改善することができる。
【0018】
この混合気は、シリンダ43内に供給される。そして、シリンダ43内で点火プラグ48による点火が行われると、混合気が燃焼する。その後、シリンダ43から排出された排気ガスは、排気通路50を通って浄化触媒52に供給され、該浄化触媒52において浄化される。
【0019】
ところで、反応器10の脱水素触媒12上で起こる脱水素反応は吸熱反応である。よって、脱水素触媒12への水素化燃料の供給量が多い場合には、脱水素触媒12における脱水素反応が頻繁に行われるため、脱水素触媒12における吸熱量が増大する。そうすると、脱水素触媒12から流出する排気ガスの温度、すなわち、浄化触媒52に流入する排気ガスの温度が低くなってしまう。従って、浄化触媒52の暖機時に脱水素触媒12への水素化燃料の供給量が多い場合には、浄化触媒52の暖機が遅くなってしまい、エミッション性能が悪化してしまう可能性がある。
【0020】
そこで、本実施の形態1では、浄化触媒52の暖機時における脱水素触媒12への水素化燃料の供給量を、浄化触媒52の暖機後の供給量に比べて少なくする。これにより、浄化触媒52暖機時の脱水素触媒12における吸熱量が低減されるため、浄化触媒52に流入する排気ガスの温度を高く保つことができる。よって、浄化触媒52の暖機を促進することができ、良好なエミッション性能を得ることができる。
【0021】
[実施の形態1における具体的処理]
図2は、本実施の形態1において、ECU60が実行するルーチンを示すフローチャートである。
図2に示すルーチンによれば、先ず、脱水素触媒12の温度が所定温度T1以上であるか否かを判別する(ステップ100)。ここで、所定温度T1は、脱水素触媒12の活性化が開始する温度であり、例えば、200℃である。脱水素触媒12の温度が所定温度T1に達していない場合には、脱水素触媒12において脱水素反応が起こらないか、たとえ脱水素反応が起こったとしても所望量の水素を得ることができない。よって、このステップ100では、脱水素触媒12が水素を生成可能な状態であるか否かが判別される。ステップ100で脱水素触媒12の温度が所定温度T1よりも低いと判別された場合には、本ルーチンを終了する。
【0022】
上記ステップ100で脱水素触媒12の温度が所定温度T1以上であると判別された場合、つまり、脱水素触媒12が水素を生成可能な状態である場合には、浄化触媒52の温度が所定温度T2よりも低いか否かを判別する(ステップ102)。ここで、所定温度T2は、浄化触媒52の活性化が開始する温度であり、例えば、200℃である。このステップ102では、浄化触媒52を暖機する必要があるか、すなわち、浄化触媒52を暖機中であるか否かが判別される。
【0023】
上記ステップ102で浄化触媒52の温度が所定温度T2よりも低いと判別された場合、すなわち、浄化触媒52を暖機する必要があると判別された場合には、脱水素触媒12への水素化燃料の噴射量の補正係数Kを算出する(ステップ104)。このステップ104において、ECU60は、ECU60内に予め記憶されたマップを参照して、脱水素触媒12の温度と浄化触媒52の温度とに応じた補正係数Kを読み出す。この補正係数Kは1よりも小さい数値である。
【0024】
一方、上記ステップ102で浄化触媒52の温度が所定温度T2以上であると判別された場合、すなわち、浄化触媒52を暖機する必要がないと判別された場合には、補正係数Kは1とする(ステップ106)。
【0025】
次に、エンジンの運転条件に基づいて、脱水素触媒12への水素化燃料の噴射量Aを算出する(ステップ108)。このステップ108において、ECU60は、ECU60内に予め記憶されたマップを参照して、機関回転数NEと負荷KLと冷却水温TWとに応じた噴射量Aを読み出す。すなわち、このステップ108では、浄化触媒暖機後の最適噴射量Aが算出される。
【0026】
次に、上記ステップ104又は106で算出された補正係数Kと、上記ステップ108で算出された噴射量Aとを乗算することで、脱水素触媒12への最終的な噴射量(最終噴射量)を算出する(ステップ110)。このステップ110で、上記ステップ104で算出された補正係数Kを用いた場合、浄化触媒暖機時の最終噴射量は、暖機後の最終噴射量よりも少なくされる。
そして、上記ステップ110で算出された最終噴射量で水素化燃料をインジェクタ6から脱水素触媒12に噴射する(ステップ112)。
【0027】
以上説明したように、図2に示すルーチンによれば、浄化触媒温度が所定温度T2よりも低い場合には、1よりも小さい補正係数Kが算出される。そして、この補正係数Kを、運転条件に応じて求められた噴射量Aに乗じることで、脱水素触媒12への最終的な水素化燃料噴射量が算出される。従って、浄化触媒52の暖機時には、暖機後に比して水素化燃料の最終噴射量が少なくされる。このため、浄化触媒52の暖機時の脱水素触媒12における吸熱量が低減されるため、浄化触媒52に流入する排気ガスの温度を高めることができる。よって、浄化触媒52の暖機を促進することができる。
【0028】
ところで、本実施の形態1では、分離装置20で分離された水素ガスと脱水素生成物を別のインジェクタ25,33から噴射するシステムについて説明したが、このようなシステムに限られない。例えば、図3に示す変形例によるシステムに対しても、本発明を適用することができる。本変形例によるシステムは、排気通路50と吸気通路40とを結ぶEGR通路55と、EGR通路55を開閉するEGR弁56と、EGRガスを冷却するためのEGRクーラ57とを備えている。このEGR通路55は、脱水素触媒12を貫通するように設けられている。脱水素触媒12で生成された水素ガス及び脱水素生成物ガス(例えば、トルエンガス)は、EGRガスと共にEGR通路55を通って吸気通路40に供給される。また、このシステムによれば、インジェクタ33により水素化燃料をそのまま吸気通路40に噴射することもできる。この場合も、上記実施の形態1と同様の効果が得られる。
【0029】
また、本実施の形態1では、脱水素触媒12における脱水素反応により水素を生成するシステムについて説明したが、浄化触媒の上流に配置された改質触媒における燃料の改質反応により水素を生成するシステムを用いることができる(後述する実施の形態2についても同様)。このシステムによれば、浄化触媒温度が所定温度T2よりも低い場合における改質触媒への最終的な燃料噴射量が、浄化触媒暖機後の燃料噴射量に比して少なくされる。この場合も、上記本実施の形態1と同様の効果が得られる。
【0030】
尚、本実施の形態1においては、ECU60が、ステップ104,108,110の処理を実行することにより第1の発明における「燃料供給量制御手段」が、ステップ112の処理を実行することにより第1の発明における「燃料供給手段」が、それぞれ実現されている。
【0031】
実施の形態2.
次に、図4を参照して、本発明の実施の形態2について説明する。本実施の形態2のシステムは、図1に示すハードウェア構成を用いて、ECU60に、後述する図4に示すルーチンを実行させることにより実現することができる。
【0032】
[実施の形態2の特徴]
上記実施の形態1では、浄化触媒52の暖機時に、脱水素触媒12への水素化燃料の供給量を暖機後に比して減らすことで、脱水素触媒12における吸熱量を減らし、浄化触媒52の暖機を促進した。
【0033】
ところで、エンジンの運転条件(例えば、高回転高負荷)によっては、浄化触媒52の温度が異常高温になってしまう可能性がある。浄化触媒52の温度を低下させる方法として、空燃比を極端にリッチ側にする方法がある。しかし、この方法では、燃費やエミッション性能を悪化させてしまう。
【0034】
そこで、本実施の形態2では、浄化触媒52の温度が高温になった場合に、脱水素触媒12への水素化燃料の供給量を、浄化触媒52の温度が適正範囲内である場合に比べて増加させる。これにより、脱水素触媒12における吸熱量が増大されるため、浄化触媒52に流入する排気ガスの温度を下げることができる。これにより、浄化触媒52の異常加熱を防止することができる。
【0035】
[実施の形態2における具体的処理]
図4は、本実施の形態2において、ECU60が実行するルーチンを示すフローチャートである。図4に示すルーチンは、図2に示すルーチンにステップ114及び116が加えられたものである。
図4に示すルーチンによれば、上記実施の形態1と同様に、ステップ102の処理まで実行する。このステップ102で浄化触媒温度が所定温度T2よりも低いと判別された場合には、1よりも小さい補正係数Kが算出される(ステップ104)。
【0036】
ステップ102で浄化触媒温度が所定温度T2以上であると判別された場合には、ステップ114の判別処理を実行する。ステップ114では、浄化触媒温度が所定温度T3よりも高いか否かが判別される。ここで、所定温度T3は、浄化触媒52の適正温度よりも高く、かつ、異常高温に近い温度であり、例えば、800℃である。このステップ114では、浄化触媒52が異常高温になる可能性が高いか否かが判別される。
【0037】
上記ステップ114で浄化触媒温度が所定温度T3よりも高いと判別された場合、つまり、浄化触媒52が異常高温になる可能性が高いと判別された場合には、水素化燃料噴射量の補正係数Kは数値Bとされる。この数値Bは1よりも大きい数値である。これにより、水素化燃料の最終噴射量は、浄化触媒温度が所定温度T3以下である場合に比して増大せしめられる。なお、数値Bは固定値でもよく、浄化触媒温度との関係で定められたマップを参照して読み込まれる数値であってもよい。
【0038】
以上説明したように、図4に示すルーチンによれば、浄化触媒温度が所定温度T3よりも高い場合には、補正係数Kが1よりも大きい数値Bとされる。そして、この補正係数Kを、運転条件に応じて求められた噴射量Aに乗じることで、脱水素触媒12への最終的な水素化燃料噴射量が算出される。従って、浄化触媒52が高温時には、水素化燃料の最終噴射量が増加せしめられるため、脱水素触媒12における吸熱量が増加せしめられる。これにより、浄化触媒52に流入する排気ガスの温度を低くすることができるため、浄化触媒52の温度が異常高温になる事態を未然に防ぐことができる。
【0039】
尚、本実施の形態2においては、ECU60が、ステップ116及び108の処理を実行することにより第2の発明における「燃料供給量制御手段」が実現されている。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の実施の形態1によるシステムの構成を説明するための図である。
【図2】本発明の実施の形態1において、ECU60が実行するルーチンを示すフローチャートである。
【図3】本発明の実施の形態1の変形例によるシステムの構成を説明するための図である。
【図4】本発明の実施の形態2において、ECU60が実行するルーチンを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0041】
2 水素化燃料貯留部
4,22,32 ポンプ
6,25,33 インジェクタ
10 反応器
12 脱水素触媒
14 脱水素触媒温度センサ
16,21,29,31 配管
20 分離装置
23 バッファタンク
24 レギュレータ
26 リリーフバルブ
27 迂路
30 脱水素生成物貯留部
40 吸気通路
41 スロットルバルブ
42 吸気バルブ
43 シリンダ
44 冷却水温センサ
45 ピストン
46 クランク軸
47 クランク角センサ
48 点火プラグ
49 排気バルブ
50 排気通路
51 空燃比センサ
52 排気浄化触媒
53 浄化触媒温度センサ
54 アクセル開度センサ
55 EGR通路
56 EGR弁
57 EGRクーラ
60 ECU

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料の脱水素反応若しくは改質反応により得られた水素を利用する水素利用内燃機関であって、
内燃機関の排気通路に設けられ、排気熱により燃料を脱水素反応若しくは改質反応させることで水素を生成する水素生成触媒と、
前記水素生成触媒に燃料を供給する燃料供給手段と、
前記排気通路における前記水素生成触媒よりも下流に設けられた排気浄化触媒と、
前記排気浄化触媒の暖機時に前記燃料供給手段から前記水素生成触媒への燃料供給量を、前記排気浄化触媒の暖機後の燃料供給量よりも少なくする燃料供給量制御手段とを備えたことを特徴とする水素利用内燃機関。
【請求項2】
請求項1に記載の水素利用内燃機関において、
前記排気浄化触媒の温度を検出する排気浄化触媒温度検出部を更に備え、
前記燃料供給量制御手段は、前記排気浄化触媒温度検出部により検出された前記排気浄化触媒の温度が所定温度よりも高い場合には、該所定温度以下である場合に比して燃料供給量を増加させるものであることを特徴とする水素利用内燃機関。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−138800(P2007−138800A)
【公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−332707(P2005−332707)
【出願日】平成17年11月17日(2005.11.17)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】