説明

水素吸蔵組成物及びその製造方法

本明細書中には、コンビナトリアルライブラリの作製方法であって、ケイ素、グラファイト、ホウ素、炭化ホウ素、窒化ホウ素、アルミニウム、ゲルマニウム、窒化ケイ素、炭化ケイ素又はホウ化ケイ素からなる基材上に、リチウム、マグネシウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、アルミニウム、又は上述の反応体の1種以上を含む組合せである1種以上の反応体を配置し、基材を熱処理して、2以上の相を有する拡散多重体を形成し、拡散多重体を水素に接触させ、水素の吸収の有無を検出し、及び/又は水素の脱離の有無を検出することを含んでなる方法が開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水素吸蔵組成物及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
水素は、燃料電池又は燃焼機関のような水素消費装置内で酸素と反応してエネルギー及び水を生じ得るので、「クリーンな燃料」である。排気中には、他の反応生成物を実質的に生じない。その結果、燃料として水素を使用することは、石油系燃料の使用に関連する多くの環境問題を効果的に解決する。しかし、水素を使用し得る多くの用途にとっては、水素ガスの安全で効率的な貯蔵が不可欠である。特に、水素貯蔵システムの体積及び重量を最小にすることは、移動型用途で重要な因子である。
【0003】
現在、いくつかの水素貯蔵方法が使用されているが、これらは広く普及した移動型消費者用途のためには不適当又は非実用的である。例えば、水素は非常に低い温度では液体状態で貯蔵できる。しかし、水素ガスの液化に消費されるエネルギーは得られる水素から利用できるエネルギーの約40%である。さらに、液体水素で満たされた標準的なタンクは、蒸発によって約1週間でからになり、したがって休止状態も問題である。これらの要因のため、液体水素は大抵のコンシューマー用途にとって実用的でない。
【0004】
別法は、水素をボンベ内に高圧下で貯蔵することである。しかし、100ポンドの鋼製ボンベは約2200psiで約1ポンドの水素しか貯蔵できず、これは1重量%の水素貯蔵量に相当する。特殊な圧縮機を備えた一層高価な複合ボンベは、約4500psiの高圧下で水素を貯蔵することで約4重量%の一層好ましい貯蔵比を達成できる。一段と高い圧力も可能であるが、安全要因及びかかる高圧を得る際に消費される大量のエネルギーの点から、安全であると共に効率的な別の水素貯蔵技術が探究されてきた。
【0005】
上記の事実にかんがみて、一層安全で効率的な水素の貯蔵及び回収方法に対するニーズが存在している。さらに、システム全体の体積及び重量を最小にすることも要望されている。
【特許文献1】米国特許第3414605号明細書
【特許文献2】米国特許第4397834号明細書
【特許文献3】米国特許第4435374号明細書
【特許文献4】米国特許第4613362号明細書
【特許文献5】米国特許第4716736号明細書
【特許文献6】米国特許第4737164号明細書
【特許文献7】米国特許第5209902号明細書
【特許文献8】米国特許第5282886号明細書
【特許文献9】米国特許第5505825号明細書
【特許文献10】米国特許第5882623号明細書
【特許文献11】米国特許第5895519号明細書
【特許文献12】米国特許第6022399号明細書
【特許文献13】米国特許第6080381号明細書
【特許文献14】米国特許第6290753号明細書
【特許文献15】米国特許第6306198号明細書
【特許文献16】米国特許第6500238号明細書
【特許文献17】米国特許第6562113号明細書
【特許文献18】米国特許出願公開第2002/0045076号明細書
【特許文献19】米国特許出願公開第2002/0169068号明細書
【特許文献20】米国特許出願公開第2003/0026757号明細書
【特許文献21】米国特許出願公開第2003/0113252号明細書
【特許文献22】米国特許出願公開第2003/0209147号明細書
【特許文献23】米国特許出願公開第2003/0209148号明細書
【特許文献24】米国特許出願公開第2003/0209149号明細書
【特許文献25】ドイツ特許第3535378号明細書
【特許文献26】欧州特許出願公開第0355207号明細書
【特許文献27】欧州特許出願公開第0360203号明細書
【特許文献28】特開平06−013077号公報
【特許文献29】特開平10−008180号公報
【特許文献30】国際公開第01/68515号パンフレット
【特許文献31】国際公開第03/050447号パンフレット
【特許文献32】国際公開第03/05848号パンフレット
【特許文献33】国際公開第03/061818号パンフレット
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態では、コンビナトリアルライブラリの作製方法が、ケイ素、グラファイト、ホウ素、炭化ホウ素、窒化ホウ素、アルミニウム、ゲルマニウム、窒化ケイ素、炭化ケイ素又はホウ化ケイ素からなる基材上に軽金属からなる反応体を配置し、基材を熱処理して、2以上の相を有する拡散多重体を形成し、拡散多重体を水素に接触させ、水素の吸収の有無を検出し、及び/又は水素の脱離の有無を検出することを含んでなる。
【0007】
別の実施形態では、水素の回収方法が、AlSi、CaSi、CaSi、CaSi、KSi、KSi23、Li22Si、Li13Si、LiSi、Li12Si、MgSi、NaSi、NaSi、NaSi23、AlB、AlB12、BCa、BK、B12Li、BLi、BLi、BLi、BLi、BLi、BLi、BLi、MgB、MgB、MgB、NaB、NaB15、NaB16、AlLi、AlLi、AlLi、AlMg、Al12Mg17、AlB12、GeK、GeK、GeK、GeLi、GeLi22、MgGe、GeNa、GeNa、GeNa、アルミニウムドープトGeK、アルミニウムドープトGeK、アルミニウムドープトGeK、アルミニウムドープトGeLi、アルミニウムドープトGeLi22、アルミニウムドープトMgGe、アルミニウムドープトGeNa、アルミニウムドープトGeNa、アルミニウムドープトGeNa、Al、Na、Li、K、LiC、LiC、Mg、MgC、AlTiC、AlTiC、AlZrC、AlZrC、AlZr、AlZr、KC、NaC、及び上述の化合物の1種以上を含む組合せからなる群から選択される1種以上の化合物を水素に接触させて水素化化合物を生成させ、水素化化合物を加熱して水素を回収することを含んでなる。
【0008】
さらに別の実施形態では、水素の再生方法が、下記の式(I)〜(V)の1以上を有する化合物を水素に接触させて水素化化合物を生成させ、水素化化合物を加熱して水素を回収することを含んでなる。
(Li,Na,K,Al,Mg,Ca) (B,C,N,Si) (I)
(Li,Na,Mg,K,Ca,Ge) (Al) (II)
(Li,Na,Mg,K,Ca,Al) (Ge) (III)
(Li,Na,K,Al,Mg,Ca) (B,C,N) (IV)
(Li,Na,K,Al,Mg,Ca) (B,N,C) (V)
式中、Liはリチウムであり、Naはナトリウムであり、Mgはマグネシウムであり、Kはカリウムであり、Caはカルシウムであり、Alはアルミニウムであり、Geはゲルマニウムであり、Bはホウ素であり、Cは炭素であり、Nは窒素であり、Siはケイ素であり、a、b、c、d、e及びfは同一であっても異なっていてもよく、0〜1の値を有し、x及びyは約1〜約22の値を有する。
【0009】
第四の実施形態では、拡散多重体の化合物が下記の式(I)〜(V)の1以上を有する。
(Li,Na,K,Al,Mg,Ca) (B,C,N,Si) (I)
(Li,Na,Mg,K,Ca,Ge) (Al) (II)
(Li,Na,Mg,K,Ca,Al) (Ge) (III)
(Li,Na,K,Al,Mg,Ca) (B,C,N) (IV)
(Li,Na,K,Al,Mg,Ca) (B,N,C) (V)
式中、Liはリチウムであり、Naはナトリウムであり、Mgはマグネシウムであり、Kはカリウムであり、Caはカルシウムであり、Alはアルミニウムであり、Bはホウ素であり、Cは炭素であり、Nは窒素であり、Siはケイ素であり、a、b、c、d、e及びfは同一であっても異なっていてもよく、0〜1の値を有し、x及びyは約1〜約22の値を有する。
【0010】
第五の実施形態では、組成物が化合物の水素化物を含んでなり、該化合物がAlSi、CaSi、CaSi、CaSi、KSi、KSi23、Li22Si、Li13Si、LiSi、Li12Si、MgSi、NaSi、NaSi、NaSi23、AlB、AlB12、BCa、BK、B12Li、BLi、BLi、BLi、BLi、BLi、BLi、BLi、MgB、MgB、MgB、NaB、NaB1、NaB16、AlLi、AlLi、AlLi、AlMg、Al12Mg17、AlB12、GeK、GeK、GeK、GeLi、GeLi22、MgGe、GeNa、GeNa、GeNa、アルミニウムドープトGeK、アルミニウムドープトGeK、アルミニウムドープトGeK、アルミニウムドープトGeLi、アルミニウムドープトGeLi22、アルミニウムドープトMgGe、アルミニウムドープトGeNa、アルミニウムドープトGeNa、アルミニウムドープトGeNa、Al、Na、Li、K、LiC、LiC、Mg、MgC、AlTiC、AlTiC、AlZrC、AlZrC、AlZr、AlZr、KC、NaC、又は上述の化合物の1種以上を含む組合せである。
【0011】
第六の実施形態では、水素吸蔵組成物が吸蔵組成物上に触媒組成物を配設してなり、触媒組成物がカルシウム、バリウム、チタン、クロム、マンガン、鉄、コバルト、銅、ケイ素、ゲルマニウム、ロジウム、ロジウム、ルテニウム、モリブデン、ニオブ、ジルコニウム、イットリウム、バリウム、ランタン、ハフニウム、タングステン、レニウム、オスミウム又はイリジウムから実質的になる。
【0012】
第七の実施形態では、水素吸蔵組成物が吸蔵組成物上に触媒組成物を配設してなり、触媒組成物がカルシウム、バリウム、白金、パラジウム、ニッケル、チタン、クロム、マンガン、鉄、コバルト、銅、ケイ素、ゲルマニウム、ロジウム、ロジウム、ルテニウム、モリブデン、ニオブ、ジルコニウム、イットリウム、バリウム、ランタン、ハフニウム、タングステン、レニウム、オスミウム、イリジウム、又は上述の金属の1種以上を含む組合せの合金を含む。
【0013】
第八の実施形態では、水素の貯蔵方法が、吸蔵組成物上に触媒組成物を配設してなる水素吸蔵組成物であって、触媒組成物がカルシウム、白金、パラジウム、ニッケル、バリウム、チタン、クロム、マンガン、鉄、コバルト、銅、ケイ素、ゲルマニウム、ロジウム、ロジウム、ルテニウム、モリブデン、ニオブ、ジルコニウム、イットリウム、バリウム、ランタン、ハフニウム、タングステン、レニウム、オスミウム又はイリジウムの合金を含む水素吸蔵組成物を、水素を含む気体混合物中に浸し、水素を原子状水素に解離させ、原子状水素を吸蔵組成物中に貯蔵することを含んでなる。
【0014】
第九の実施形態では、水素の発生方法が、吸蔵組成物上に触媒組成物を配設してなる水素吸蔵組成物を加熱することを含んでなり、触媒組成物がカルシウム、バリウム、チタン、クロム、マンガン、鉄、コバルト、銅、ケイ素、ゲルマニウム、ロジウム、ロジウム、ルテニウム、モリブデン、ニオブ、ジルコニウム、イットリウム、バリウム、ランタン、ハフニウム、タングステン、レニウム、オスミウム又はイリジウムから実質的になるか、或いは触媒組成物がカルシウム、白金、パラジウム、ニッケル、バリウム、チタン、クロム、マンガン、鉄、コバルト、銅、ケイ素、ゲルマニウム、ロジウム、ロジウム、ルテニウム、モリブデン、ニオブ、ジルコニウム、イットリウム、バリウム、ランタン、ハフニウム、タングステン、レニウム、オスミウム又はイリジウムの合金を含む。
【0015】
第十の実施形態では、水素の貯蔵及び回収方法が、第一の水素濃度を有する第一の気体混合物に水素吸蔵組成物を接触させ、水素を原子状水素に解離させ、原子状水素を吸蔵組成物中に貯蔵し、第二の水素濃度を有する第二の気体混合物に水素吸蔵組成物を接触させ、水素吸蔵組成物を、水素吸蔵組成物からの水素の脱離を促進するのに有効な温度に加熱することを含んでなる。
【0016】
第十一の実施形態では、水素の貯蔵及び回収システムが水素化物再循環反応器と流通関係にある水素発生反応器を含んでなり、水素発生反応器が軽金属のケイ化物、ホウケイ化物、炭ケイ化物、窒ケイ化物、アルミニウム化物、ゲルマニウム化物、ホウ化物、ホウ炭化物、ホウ窒化物又は炭化物の水素化物を用いて水素を回収する。
【0017】
本明細書中にはまた、水素の貯蔵方法であって、水素を含む気体混合物に水素吸蔵組成物を接触させ、水素吸蔵組成物中への水素の吸収、吸着及び/又は化学吸着を促進するのに有効な量で高周波又はマイクロ波を水素吸蔵組成物に照射することを含んでなる方法も開示される。
【0018】
本明細書中にはまた、水素の貯蔵及び回収方法であって、第一の水素濃度を有する第一の気体混合物に水素吸蔵組成物を接触させ、水素吸蔵組成物中への水素の吸収、吸着及び/又は化学吸着を促進するのに有効な量で、第一の周波数を有する高周波又はマイクロ波を水素吸蔵組成物に照射し、第二の水素濃度を有する第二の気体混合物に水素吸蔵組成物を接触させ、水素吸蔵組成物からの水素の脱離を促進するのに有効な量で、第二の周波数を有する高周波又はマイクロ波を水素吸蔵組成物に照射することを含んでなる方法も開示される。
【0019】
本明細書中にはまた、水素発生反応器を含んでなる水素の貯蔵及び回収システムであって、水素発生反応器が高周波及び/又はマイクロ波を用いて水素を回収するシステムも開示されている。
【0020】
図面の簡単な説明
図1は、ケイ素基材中での拡散多重体アセンブリの配列状態を示す略図である。
【0021】
図2は、アルミニウム基材中での拡散多重体の配列状態を示す略図である。
【0022】
図3は、(a)マグネシウム及びアルミニウムの二元二重体の形成、並びに(b)マグネシウム、リチウム及びアルミニウムの三元拡散三重体の形成を示す略図である。
【0023】
図4は、ホウ素基材を含む拡散多重体アセンブリの配列状態を示す略図である。
【0024】
図5は、グラファイト基材中での拡散多重体アセンブリの配列状態を示す略図である。
【0025】
図6は、分析目的のために拡散多重体アセンブリをスライスする方法を示す略図であり、図中にはケイ素基材を示す。
【0026】
図7は、高い固着確立で水素を化学吸着する金属(+)及び化学吸着しない金属(−)を示す元素周期表である。
【0027】
図8は、水素吸蔵組成物に対する水素の吸収及び脱離(回収)のためのシステムを示す略図である。
【0028】
図9は、水素吸蔵組成物に対する水素の吸収及び脱離(回収)のためのシステムを示す別の略図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
本明細書中には、水素貯蔵のため有利に使用できるケイ化物、ホウケイ化物、炭ケイ化物、窒ケイ化物、アルミニウム化物、ゲルマニウム化物(ゲルマニウム含有化合物)、ホウ化物、ホウ炭化物、ホウ窒化物又は炭化物を決定するためのコンビナトリアルライブラリの作製方法が開示される。本明細書中にはまた、以後に水素化することで水素を効率的に貯蔵できるケイ化物、ホウケイ化物、炭ケイ化物、窒ケイ化物、アルミニウム化物、ゲルマニウム化物、ホウ化物、ホウ炭化物、ホウ窒化物又は炭化物の製造方法も開示される。本明細書中にはまた、自動車用、家庭用や共同住宅用、製造工業用などの燃料電池用途でのエネルギー発生に使用するために水素を貯蔵できる、ケイ化物、ホウケイ化物、炭ケイ化物、窒ケイ化物、アルミニウム化物、ゲルマニウム化物、ホウ化物、ホウ炭化物、ホウ窒化物又は炭化物を含む水素吸蔵組成物も開示される。一実施形態では、これらの水素吸蔵組成物は、所望に応じて水素を解離させることができる触媒組成物を含み得る。
【0030】
水素吸蔵組成物が触媒組成物を含む場合には、触媒組成物は一般に吸蔵組成物上に配設される。触媒は分子状水素を原子状又はイオン状水素に解離させることができ、吸蔵組成物は原子状水素を貯蔵する。本明細書中にはまた、水素の貯蔵方法であって、水素吸蔵組成物を水素ガス中に浸し、水素を原子状水素に解離させ、次いで原子状水素を吸蔵組成物中に貯蔵することを含んでなる方法も開示される。
【0031】
本明細書中にはまた、水素の貯蔵方法であって、無線周波(高周波)領域及びマイクロ波領域の電磁放射を用いることを含んでなる方法も開示される。この方法は、炭素、アルミニウム化物、炭化物、ケイ化物、窒化物、ホウ化物、酸化物、オキシ窒化物、水酸化物、ケイ酸塩、アルミノケイ酸塩など、又は上述のものの1種以上を含む組合せのような水素吸蔵組成物中への水素の貯蔵を促進するため有利に使用できる。電磁エネルギーの使用は、水素吸蔵組成物中に貯蔵される水素の量を有利に高めることもできる。水素吸蔵組成物は、燃料電池、ガスタービンなどのエネルギー発生装置で水素を回収するために使用できる。
【0032】
次いで、貯蔵された水素は、燃料電池、ガスタービンなどのエネルギー発生装置で水素を回収するために使用できる。このような水素の貯蔵及び回収方法は、自動車、列車などの陸上車両、はしけ、船、潜水艦などの船舶、或いは飛行機、ロケット、宇宙ステーションなどの航空輸送機関又は宇宙船でも有利に使用できる。
【0033】
水素貯蔵のため使用できるケイ化物、ホウケイ化物、炭ケイ化物、窒ケイ化物、アルミニウム化物、ゲルマニウム化物、ホウ化物、ホウ炭化物、ホウ窒化物又は炭化物を決定するためのコンビナトリアルライブラリを作製する上述の方法は、多種多様の材料の同時大規模試験を可能にするので有利である。この高能率方法は、ケイ化物、ホウケイ化物、炭ケイ化物、窒ケイ化物、アルミニウム化物、ゲルマニウム化物、ホウ化物、ホウ炭化物、ホウ窒化物又は炭化物のバルク特性の迅速で系統的な調査のため、バルク試料中に多数の管理された組成変化の生成を容易にする。これらのコンビナトリアルライブラリは、電子プローブ微量分析、電子後方散乱回折分析などの微量分析技術と共に使用した場合には、さらに多成分合金及び多成分系の促進設計のために相平衡、係数、析出速度論、特性及び組成−相−特性関係を能率的に調査するためにも使用できる。
【0034】
水素を得ることができる複合水素化物は、一般にH−M複合体(式中、Mは金属であり、Hは水素である。)からなる。かかる水素化物は、イオン結合、共有結合、金属結合、又は上述の結合タイプの1以上の組合せからなる結合を有し得る。これらの水素化物は、約1以上の水素/金属比を有する。水素化物を生成する金属と水素との反応は、一般に可逆反応であり、下記の式に従って起こる。
【0035】
M+(x/2)H ←→ MH
複合水素化物は最大約18重量%(wt%)までの水素を貯蔵でき、高い体積貯蔵密度を有する。水素化物の体積貯蔵密度は液体水素又は固体水素より高いので、水素化物はエネルギー貯蔵用途にとって非常に有用である。水素の吸着、吸収又は化学吸着過程は水素の貯蔵をもたらすが、以後は簡単にするために吸収という。他方、脱離過程は水素の放出をもたらす。
【0036】
例示的な一実施形態では、軽金属のケイ化物、ホウケイ化物、炭ケイ化物、窒ケイ化物、アルミニウム化物、ゲルマニウム化物、ホウ化物、ホウ炭化物、ホウ窒化物又は炭化物を含む組成物は水素化物を生成でき、これらの水素化物は約300℃以下の比較的低い温度で可逆的に分解して水素を放出できる。軽金属はアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属である。好適な軽金属の例は、リチウム、ナトリウム、マグネシウム、カリウム、アルミニウム、カルシウム及びゲルマニウムである。ケイ化物、ホウケイ化物、炭ケイ化物及び窒ケイ化物は、下記の式(I)を有する。
【0037】
(Li,Na,K,Al,Mg,Ca) (B,C,N,Si) (I)
式中、Liはリチウムであり、Naはナトリウムであり、Mgはマグネシウムであり、Kはカリウムであり、Caはカルシウムであり、Alはアルミニウムであり、Bはホウ素であり、Cは炭素であり、Nは窒素であり、Siはケイ素であり、a、b、c、d、e及びfは同一であっても異なっていてもよく、0〜1の値を有し、x及びyは約1〜約22の値を有する。a+b+c+d+e+fの和は1に等しくあり得る。
【0038】
軽金属のアルミニウム化物は下記の式(II)を有する一方、軽金属のゲルマニウム化物は下記の式(III)を有する。
【0039】
(Li,Na,Mg,K,Ca,Ge) (Al) (II)
(Li,Na,Mg,K,Ca,Al) (Ge) (III)
式中、Liはリチウムであり、Naはナトリウムであり、Mgはマグネシウムであり、Kはカリウムであり、Caはカルシウムであり、Geはゲルマニウムであり、Alはアルミニウムであり、a、b、c、d、e及びfは同一であっても異なっていてもよく、0〜1の値を有し、x及びyは1〜22の値を有する。a+b+c+d+e+fの和は1に等しくあり得る。
【0040】
ホウ化物、ホウ炭化物及びホウ窒化物は、下記の式(IV)を有する。
【0041】
(Li,Na,K,Al,Mg,Ca) (B,C,N) (IV)
式中、Liはリチウムであり、Naはナトリウムであり、Mgはマグネシウムであり、Kはカリウムであり、Caはカルシウムであり、Alはアルミニウムであり、Bはホウ素であり、Cは炭素であり、Nは窒素であり、a、b、c、d、e及びfは同一であっても異なっていてもよく、0〜1の値を有し、x及びyは約1〜約22の値を有する。a+b+c+d+e+fの和は1に等しくあり得る。
【0042】
炭化物は、下記の式(V)を有する。
【0043】
(Li,Na,K,Al,Mg,Ca) (B,N,C) (V)
式中、Liはリチウムであり、Naはナトリウムであり、Mgはマグネシウムであり、Kはカリウムであり、Caはカルシウムであり、Alはアルミニウムであり、Bはホウ素であり、Cは炭素であり、Siはケイ素であり、a、b、c、d、e及びfは同一であっても異なっていてもよく、0〜1の値を有し、x及びyは約1〜約22の値を有する。a+b+c+d+e+fの和は1に等しくあり得る。
【0044】
一実施形態では、ケイ化物、ホウケイ化物、炭ケイ化物、窒ケイ化物、アルミニウム化物、ゲルマニウム化物、ホウ化物、ホウ炭化物、ホウ窒化物又は炭化物の水素吸蔵能力を判定するためのコンビナトリアルライブラリを作製する方法は、拡散多重体の使用による。拡散多重体は、両反応体を互いに近接して配置し、相互拡散を起こさせるのに有効な温度に加熱した場合、第一の反応体と第二の反応体との間に生じる相互拡散反応の生成物としての化合物である。相互拡散を起こさせるのに有効な温度は、拡散の活性化エネルギーに打ち勝って制御しやすい時間内に少なくともある程度の反応体の相互拡散を達成し得る温度である。かかる温度は、一般に、反応体に応じて約200〜約2000℃である。
【0045】
拡散多重体は、一般に、基材中に反応体を配置して拡散多重体アセンブリを形成し、任意には拡散多重体アセンブリに熱間静水圧圧縮成形を施し、拡散多重体アセンブリを熱処理して反応体同士の相互拡散及び/又は反応体と基材との間の相互拡散を促進し、任意には拡散多重体を切断、研磨及び研削し、拡散多重体中に存在する各種相の元素組成を確認し、水素に富む気体混合物に接触させることで拡散多重体に水素を充填して水素を吸蔵する相を決定することで製造又は形成される。
【0046】
図1は、軽金属ケイ化物を含む拡散多重体アセンブリの例示的な実施形態を示している。図1では、軽元素はケイ素基材に設けられた穴の中に配置される。使用できる他の基材は、ホウ化ケイ素(SiB)、炭化ケイ素(SiC)又は窒化ケイ素(Si)基材である。一般に、穴はブロックの厚さの半分の位置で終わっている。若干の穴は互いに離隔している結果、熱処理中にただ1種の反応体が基材と反応して二元二重体及び二元固溶体を形成する。基材がホウ化ケイ素、炭化ケイ素又は窒化ケイ素からなる場合には、三元三重体を形成し得る。
【0047】
三元三重体を形成する別の方法では、図1に示すように、穴が2つ1組で互いに近接して配置される。このような構成(即ち、穴が2つ1組で近接して配置された構成)を使用すれば、拡散多重体アセンブリに熱処理を施した後に三元拡散三重体(三元化合物及び/又は三元固溶体ともいう)を形成することができる。一般に、反応体は穴の中にゆるい状態で配置される。即ち、これらは緊密に嵌合している必要はない。
【0048】
図1に示す拡散多重体アセンブリからは下記のケイ化物が得られ、水素ポテンシャルの測定のために使用できる。かかるケイ化物は、AlSi、CaSi、CaSi、CaSi、KSi、KSi23、Li22Si、Li13Si、LiSi、Li12Si、MgSi、NaSi、NaSi、NaSi23など、又は上述のケイ化物の1種以上を含む組合せである。三元ケイ化物全般、及び特に上述のケイ化物を含む三元ケイ化物は、水素化及び水素発生のために有用であり得る。加えて、リチウム、マグネシウム、カルシウム、ナトリウム、カリウム及びアルミニウムのホウケイ化物、炭ケイ化物及び窒ケイ化物も水素化及び水素発生のために使用できる。
【0049】
ケイ化物、ホウケイ化物、炭ケイ化物及び窒ケイ化物は、一般にカリウム、リチウム、マグネシウム又はナトリウムの1種以上を有する。カリウム、リチウム、マグネシウム及びナトリウムの存在は、水素に対する親和性を高める。他方、ケイ素は水素に対して低い親和性を有するが、この特徴はカリウム、リチウム、マグネシウム及び/又はナトリウムが示す水素親和性で補われる。理論で限定されることはないが、水素に対して高い親和性を有する拡散多重体の構成元素は一般に水素の吸収を促進する一方、水素に対して低い親和性を有する(ケイ素のような)元素は一般に脱離を促進すると考えられる。
【0050】
図2は、軽金属アルミニウム化物を含む拡散多重体アセンブリの例示的な実施形態を示している。図2では、アルミニウム基材に穴を設けることで拡散多重体が形成される。図2に示す拡散多重体アセンブリからは下記のアルミニウム化物及びゲルマニウム化物が得られ、水素ポテンシャルの測定のために使用できる。かかるアルミニウム化物及びゲルマニウム化物は、AlLi、AlLi、AlLi、AlMg、Al12Mg17、GeK、GeK、GeK、GeLi、GeLi22、MgGe、GeNa、GeNa、GeNa、又は上述のアルミニウム化物及びゲルマニウム化物の1種以上を含む組合せである。上述のゲルマニウム化物は、所望ならばアルミニウムをドープすることもできる。
【0051】
基材としてアルミニウムを使用する場合には、三元三重体を形成できる。三元三重体は、アルミニウムと共にリチウム及びマグネシウムを含み、アルミニウムと共にリチウム及びゲルマニウムを含み、アルミニウムと共にナトリウム及びゲルマニウムを含み、アルミニウムと共にマグネシウム及びゲルマニウムを含み、アルミニウムと共にゲルマニウム及びカリウムを含む。アルミニウム化物及びゲルマニウム化物は、一般にカリウム、リチウム、マグネシウム又はナトリウムの1種以上を有する。カリウム、リチウム、マグネシウム及びナトリウムの存在は、水素に対する親和性を高める。他方、アルミニウム及びゲルマニウムは水素に対して低い親和性を有するが、この特徴はカリウム、リチウム、マグネシウム及び/又はナトリウムが示す水素親和性で補われる。理論で限定されることはないが、水素に対して高い親和性を有する拡散多重体の構成元素は一般に水素の吸収を促進する一方、水素に対して低い親和性を有する(アルミニウム及びゲルマニウムのような)元素は一般に脱離を促進すると考えられる。
【0052】
図3では、ホウ素基材に穴を設けることで拡散多重体が形成される。図3に示す拡散多重体アセンブリからは下記のホウ化物が得られ、水素ポテンシャルの測定のために使用できる。かかるホウ化物は、AlB、AlB12、BCa、BK、B12Li、BLi、BLi、BLi、BLi、BLi、BLi、BLi、MgB、MgB、MgB、NaB、NaB15、NaB16など、又は上述のホウ化物の1種以上を含む組合せである。三元ホウ化物全般、及び特に上述のホウ化物を含む三元ホウ化物は、水素化及び水素発生のために有用であり得る。加えて、リチウム、マグネシウム、カルシウム、ナトリウム、カリウム及びアルミニウムのホウ炭化物及びホウ窒化物も、水素化及び水素発生のために使用できる。図3に見られるように、互いに近接して穴を設けることで反応体の三元拡散三重体も形成できる。三元三重体は、ホウ素と共にマグネシウム及びアルミニウムを含み、ホウ素と共にナトリウム及びアルミニウムを含み、ホウ素と共にマグネシウム及びカリウムを含み、ホウ素と共にリチウム及びアルミニウムを含み、ホウ素と共にナトリウム及びマグネシウムを含み、ホウ素と共にナトリウム及びカリウムを含み、ホウ素と共にリチウム及びナトリウムを含み、ホウ素と共にリチウム及びマグネシウムを含み、ホウ素と共にリチウム及びカリウムを含み、ホウ素と共にナトリウム及びアルミニウムを含む。
【0053】
ホウ化物、ホウ炭化物及びホウ窒化物は、一般にカリウム、リチウム、マグネシウム、カルシウム又はナトリウムの1種以上を含む。カリウム、リチウム、マグネシウム、カルシウム及びナトリウムの存在は、水素に対する親和性を高める。他方、ホウ素は水素に対して低い親和性を有するが、この特徴はカルシウム、カリウム、リチウム、マグネシウム及び/又はナトリウムが示す水素親和性で補われる。
【0054】
図4では、グラファイト基材に穴を設けることで拡散多重体が形成される。図4に示す拡散多重体アセンブリからは下記の炭化物が得られ、水素ポテンシャルの測定のために使用できる。かかる炭化物は、Al、Na、Li、K、LiC、LiC、Mg、MgC、AlTiC、AlTiC、AlZrC、AlZrC、AlZr、AlZr、KC、NaCなど、又は上述の炭化物の1種以上を含む組合せである。三元炭化物全般、及び特に上述の炭化物を含む三元炭化物は、水素化及び水素発生のために有用であり得る。加えて、リチウム、マグネシウム、カルシウム、ナトリウム、カリウム及びアルミニウムのホウ炭化物及び窒炭化物も、水素化及び水素発生のために使用できる。
【0055】
カリウム、リチウム、マグネシウム及びナトリウムの存在は、水素に対する親和性を高める。他方、炭素は水素に対して低い親和性を有するが、この特徴はカリウム、リチウム、マグネシウム及び/又はナトリウムが示す水素親和性で補われる。理論で限定されることはないが、水素に対して高い親和性を有する拡散多重体の構成元素は一般に水素の吸着を促進する一方、水素に対して低い親和性を有する(炭素のような)元素は一般に脱離を促進すると考えられる。
【0056】
基材が単一の元素から製造される場合、基材に設ける穴の数は一般に所望される拡散多重体の最小数に等しい。例えば、ケイ素、アルミニウム、ホウ素などの単一の元素から製造された基材中に二元拡散二重体が所望されるならば、基材にはただ1つの穴が設けられる一方、三元拡散三重体が所望されるならば、基材には2つの穴が互いに近接して設けられる。上述の通り、三元三重体を形成する別の方法では、合金からなる基材にただ1つの穴が設けられる。穴の直径は約1〜約10ミリメートルである。例示的な直径は約5ミリメートルである。基材の厚さは、一般に約5〜約25ミリメートルである。例示的な基材厚さは約25ミリメートルである。
【0057】
基材の穴同士の距離「d」は、2つ1組で設けられる穴については、できるだけ近くに維持される。距離dは一般に約0.1〜約2000マイクロメートルである。この範囲内では、約400マイクロメートル以下の距離を使用することが一般に望ましい。一実施形態では、約200マイクロメートル以下の距離を使用することが望ましく、別の実施形態では、約100マイクロメートル以下の距離を使用することが望ましい。
【0058】
例示的な一実施形態では、一つの手順に従えば、拡散多重体アセンブリは図1に示すようなケイ素基材を含む。ケイ素基材は、アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属からコンビナトリアルライブラリを作製するために使用される。換言すれば、アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属を基材の穴の中に配置することで拡散多重体が形成される。基材は2.0インチの直径を有しており、反応体を含む穴は0.5インチの深さに設けられる。基材の穴の中に配置するために選択される反応体は、カリウム、リチウム、ナトリウム、マグネシウム、アルミニウム及びカルシウムである。図1からわかる通り、ナトリウム、カリウム、リチウム及びアルミニウム反応体は基材の個別の穴の中に配置される。これらは、反応体とケイ素との二元拡散二重体を形成するために使用できる。
【0059】
図1に見られるように穴を互いに近接して設けることで、反応体の三元拡散三重体も形成できる。三元三重体は、ケイ素と共にリチウム及びナトリウムを含み、ケイ素と共にリチウム及びカリウムを含み、ケイ素と共にナトリウム及びカリウムを含み、ケイ素と共にリチウム及びアルミニウムを含み、ケイ素と共にナトリウム及びアルミニウムを含む。
【0060】
基材の穴の中に軽金属を配置する作業は、軽元素の酸化を防止するため、十分に管理された環境(例えば、純アルゴンを満たしたグローブボックス)中で実施される。各穴の中の軽元素の量は、相互拡散/熱処理段階後に純粋な軽元素が残留しないようにするため、通常は穴の容積の1/4未満である。次いで、穴の中に軽元素を含むケイ素基材を炉又は反応器に移す。炉又は反応器は、真空中又はアルゴンのような保護環境中にある。次いで、基材を高温に加熱することで、穴の中の元素とケイ素基材との間に顕著な相互拡散を起こさせる。
【0061】
穴の中に軽金属を配置したケイ素基材は、反応体又はその共融化合物の融解を可能にするため、約580〜約900℃の温度で熱処理される。熱処理は、一般に対流炉内で実施される。拡散二重体を形成するための熱処理は、所望ならば放射加熱及び/又は伝導加熱の使用も含み得る。融解した反応体が拡散してケイ素基材と反応することで、ケイ化物、ドープト相及び固溶体組成物を生成する。
【0062】
炭化ケイ素を基材として使用する場合には、拡散多重体の形成を適度の時間内で促進するため、熱処理は一般に約580〜約1250℃の温度で実施される。熱処理のための例示的な温度は600℃である。
【0063】
窒化ケイ素を基材として使用する場合には、拡散多重体の形成を適度の時間内で促進するため、熱処理は一般に約600〜約1250℃の温度で実施される。熱処理のための例示的な温度は600℃である。
【0064】
ホウ化ケイ素を基材として使用する場合には、拡散多重体の形成を適度の時間内で促進するため、熱処理は一般に約580〜約1250℃の温度で実施される。熱処理のための例示的な温度は600℃である。
【0065】
アルミニウム又はゲルマニウムを基材として使用する場合には、反応体又はその共融組成物の融解を可能にするため、基材は約400〜約600℃の温度で実施される。融解した反応体が拡散してアルミニウム基材と反応することで、アルミニウム化物、ゲルマニウム化物、ドープト相及び固溶体組成物を生成する。熱処理のための例示的な温度は450℃である。
【0066】
ホウ素基材は、反応体又はその共融化合物の融解を可能にするため、約660〜約1000℃の温度で熱処理される。炭化ホウ素を基材として使用する場合には、拡散多重体の形成を適度の時間内で促進するため、熱処理は一般に約660〜約1250℃の温度で実施される。熱処理のための例示的な温度は700℃である。
【0067】
窒化ホウ素を基材として使用する場合には、拡散多重体の形成を適度の時間内で促進するため、熱処理は一般に約660〜約1250℃の温度で実施される。熱処理のための例示的な温度は700℃である。
【0068】
一実施形態では、ホウ炭化物を含む拡散多重体を製造するための一方法によれば、所望の反応体を含むホウ素基材に炭素質雰囲気中で熱処理が施される。拡散多重体は、一般にホウ炭化物を含む三元三重体である。ホウ炭化物を生成するための熱処理温度は約660〜約2000℃である。
【0069】
グラファイト基材を含む拡散多重体アセンブリは、反応体又はその共融化合物の融解を可能にするため、約500〜約1000℃の温度で熱処理される。熱処理のための例示的な温度は670℃である。
【0070】
炭化ホウ素を基材として使用する場合には、拡散多重体の形成を適度の時間内で促進するため、熱処理は一般に約500〜約1000℃の温度で実施される。熱処理のための例示的な温度は670℃である。一実施形態では、拡散多重体アセンブリを窒素雰囲気中で熱処理することで、炭窒化物を含む拡散多重体(二元二重体及び三元三重体)が形成される。窒素中での熱処理は、一般に約550〜約1000℃で行われる。熱処理のための例示的な温度は約670℃である。
【0071】
拡散多重体アセンブリの熱処理のための適度の時間は、約5〜約100時間である。一実施形態では、拡散多重体を約10〜約75時間熱処理することが望ましい。別の実施形態では、拡散多重体を約15〜約50時間熱処理することが望ましい。さらに別の実施形態では、拡散多重体を約17〜約40時間熱処理することが望ましい。例示的な熱処理時間は約24時間である。
【0072】
拡散二重体又は三重体の形成を例示する実施形態を図5に示す。図5(a)は、アルミニウム基材中での拡散二重体の形成を示している。図5(a)では、マグネシウムを反応体として使用することで二元拡散二重体が形成される。ブロックを450℃に24時間加熱して、アルミニウム基材とマグネシウム反応体との間に相互拡散を起こさせる。マグネシウムの融点は約650℃であるが、マグネシウムとアルミニウムとの相互作用は437℃の融点をもった共融組成物を生成する。融解した元素が拡散して互いに反応することで、図5に例示されるように各種組成のアルミニウム化物を生成する。図からわかる通り、アルミニウム基材中に生成されるアルミニウム化物は、当初の穴の境界から遠ざかるほど、マグネシウムの比率に比べて高い比率のアルミニウムを含む。同様に、図5(b)は、アルミニウム基材中でマグネシウム及びリチウムを反応体として使用することに伴う拡散三重体の形成を示している。ブロックは約450℃に24時間加熱される。リチウム又はマグネシウムとアルミニウムとの界面には、複数の二元アルミニウム化物が生成される。リチウムとアルミニウムとの界面に生成されるこれらのアルミニウム化物の例はAlLi、AlLi及びAlLiである一方、マグネシウムとアルミニウムとの界面に生成されるアルミニウム化物の例はAlMg及びAl12Mg17である。アルミニウム、マグネシウム及びリチウムの界面には、アルミニウム、リチウム及びマグネシウムを含む複数の三元組成物が生成される。
【0073】
拡散多重体を形成するための熱処理の後、拡散多重体アセンブリについてスライシング作業を実施できる。スライシング段階は、図6に示す通り、拡散多重体アセンブリの様々な位置に生成した様々な化合物/固溶体を露出させるように計画される。スライシング作業は、一般にのこぎりを用いる機械的切断又はワイヤー放電加工(EDM)によって実施される。スライシングの後、所望ならば、それぞれのスライスが任意に研削及び研磨される。任意の研削及び研磨作業の後、軽金属のケイ化物、ホウケイ化物、炭ケイ化物、窒ケイ化物、アルミニウム化物、ゲルマニウム化物、ホウ化物、ホウ炭化物、ホウ窒化物又は炭化物の水素化能力を試験するのに先立ち、試料を電子マイクロプローブ分析及び電子後方散乱回折(EBSD)分析にかけて相及び化合物が確認される。本明細書中で定義される相又は化合物の確認とは、相又は化合物の位置決定及び/又は分析を含む。
【0074】
軽金属のケイ化物、ホウケイ化物、炭ケイ化物、窒ケイ化物、アルミニウム化物、ゲルマニウム化物、ホウ化物、ホウ炭化物、ホウ窒化物又は炭化物の電子マイクロプローブ分析及びEBSD分析の後、得られた拡散多重体は水素への暴露又は水素化で水素化物に転化できる。
【0075】
軽金属のケイ化物、ホウケイ化物、炭ケイ化物、窒ケイ化物、アルミニウム化物、ゲルマニウム化物、ホウ化物、ホウ炭化物、ホウ窒化物又は炭化物を含む拡散多重体は、一般に、水素を吸収及び脱離する能力について試験できる。拡散多重体の形成中に生じた組成勾配は、いずれの特定組成物が水素を吸収及び脱離し得るかを判定するためのコンビナトリアルライブラリとして役立ち得る。
【0076】
軽金属拡散多重体が可逆的に水素を吸収及び脱離する能力は、各種の分析技術で検出できる。一般に、ケイ化物、ホウケイ化物、炭ケイ化物、窒ケイ化物、アルミニウム化物、ゲルマニウム化物、ホウ化物、ホウ炭化物、ホウ窒化物又は炭化物中への水素の吸収過程は、結晶構造の変化及び/又は体積膨張のために外観の変化をもたらす。さらに、ケイ化物、ホウケイ化物、炭ケイ化物、窒ケイ化物、アルミニウム化物、ゲルマニウム化物、ホウ化物、ホウ炭化物、ホウ窒化物又は炭化物中への水素の吸収には一般に発熱が伴う一方、水素の脱離は一般に加熱で達成される。拡散多重体中の変化を測定するために使用できる分析技術は、飛行時間型二次イオン質量分析法(ToF−SIMS)、酸化タングステン(WO)被膜及びサーモグラフィーである。さらに、水素化を受ける相(即ち、水素化物)は一般に微粉砕されるので、水素化後に拡散多重体を観察することで、ケイ化物、ホウケイ化物、炭ケイ化物、窒ケイ化物、アルミニウム化物、ゲルマニウム化物、ホウ化物、ホウ炭化物、ホウ窒化物又は炭化物のスクリーニングを行うことができる。
【0077】
ToF−SIMSは、水素を含むすべての元素の吸収及び脱離を検出する能力を有するので、水素貯蔵のため容易に使用できる軽金属拡散多重体中の組成物を決定するために有用である。この技術は、約−100〜約600℃の温度で使用でき、水素に対して高い感度を有し、したがって拡散多重体によって生成されるコンビナトリアルライブラリを調査するために有用なツールである。したがってToF−SIMSは、水素化プロセス中に吸収温度及び反応条件のマップを作成するため有効に使用できる。
【0078】
酸化タングステン(WO)は、一般に、水素と反応した場合にその色が変化する。拡散多重体の各種組成物中への水素吸収の検出器として酸化タングステンを使用するためには、水素化反応後に拡散多重体をWOで被覆する。拡散多重体を加熱して水素を放出させた場合、拡散多重体から水素が脱離するのに伴ってWOの色が変化する。
【0079】
サーモグラフィー又は熱映像法(赤外線映像法)も、水素の吸収及び脱離を測定するために使用できる。拡散多重体中の相が水素を吸収した場合には局部温度が上昇する一方、該相が水素を脱離した場合には局部温度が低下する。したがって、水素を吸収又は脱離する化合物を映像化するためにサーモグラフィーを使用できる。
【0080】
一実施形態では、軽金属のケイ化物、ホウケイ化物、炭ケイ化物、窒ケイ化物、アルミニウム化物、ゲルマニウム化物、ホウ化物、ホウ炭化物、ホウ窒化物又は炭化物のような、上記に開示した拡散多重体を触媒組成物で被覆し、水素吸蔵系として使用できる。かかる拡散多重体は、表面上に触媒組成物を配設した吸蔵組成物として作用する。触媒組成物は、一般に高い固着確率で水素を化学吸着し得る金属を含む。図7は、水素に対して相当の固着確率を示す元素を表す周期表を示している。表中では、高い固着確率を有するすべての物質がプラス(+)の符号で示されている。これらの金属の好適な例は、カルシウム、バリウム、チタン、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、ケイ素、ゲルマニウム、ロジウム、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、モリブデン、ニオブ、ジルコニウム、イットリウム、バリウム、ランタン、ハフニウム、タングステン、レニウム、オスミウム、イリジウム、白金、又は上述の金属の1種以上を含む組合せである。一実施形態では、触媒組成物は、カルシウム、バリウム、チタン、クロム、マンガン、鉄、コバルト、銅、ケイ素、ゲルマニウム、ロジウム、ロジウム、ルテニウム、モリブデン、ニオブ、ジルコニウム、イットリウム、バリウム、ランタン、ハフニウム、タングステン、レニウム、オスミウム又はイリジウムから実質的になる。別の実施形態では、触媒組成物は、カルシウム、白金、パラジウム、ニッケル、バリウム、チタン、クロム、マンガン、鉄、コバルト、銅、ケイ素、ゲルマニウム、ロジウム、ロジウム、ルテニウム、モリブデン、ニオブ、ジルコニウム、イットリウム、バリウム、ランタン、ハフニウム、タングステン、レニウム、オスミウム又はイリジウムの合金を含む。
【0081】
上述の通り、これらの金属の合金も使用できる。一実施形態では、合金は白金を含み得る。別の実施形態では、合金はパラジウムを含み得る。さらに別の実施形態では、合金はニッケルを含み得る。分子状水素を原子状水素に解離させるために白金及び/又はパラジウム及び/又はニッケルと合金化し得る金属の好適な例は、カルシウム、バリウム、チタン、クロム、マンガン、鉄、コバルト、銅、ケイ素、ゲルマニウム、ロジウム、ロジウム、ルテニウム、モリブデン、ニオブ、ジルコニウム、イットリウム、バリウム、ランタン、ハフニウム、タングステン、レニウム、オスミウム、イリジウム、又は上述の金属の1種以上を含む組合せである。
【0082】
白金及び/又はパラジウム及び/又はニッケルは、一般に触媒組成物の全重量を基準にして約0.1〜約75重量%の量で存在し得る。一実施形態では、白金及び/又はパラジウム及び/又はニッケルは触媒組成物の全重量を基準にして約0.5〜約70重量%の量で存在することが望ましい。別の実施形態では、白金及び/又はパラジウム及び/又はニッケルは触媒組成物の全重量を基準にして約3〜約65重量%の量で存在することが望ましい。さらに別の実施形態では、白金及び/又はパラジウム及び/又はニッケルは触媒組成物の全重量を基準にして約5〜約50重量%の量で存在することが望ましい。
【0083】
触媒組成物は吸蔵組成物上に配設される。吸蔵組成物は、原子状水素の吸蔵を有利に促進する。吸蔵組成物中に使用できる金属の好適な例は、炭素、炭化物、ケイ化物、硫化物、窒化物、酸化物、オキシ窒化物、水酸化物、ケイ酸塩、アラナート、アルミノケイ酸塩、ホウケイ化物、炭ケイ化物、窒ケイ化物、アルミニウム化物、ゲルマニウム化物、ホウ化物、ホウ炭化物、ホウ窒化物など、又は上述のものの1種以上を含む組合せである。
【0084】
吸蔵組成物中に使用できる炭素の例示的な形態は、カーボンブラック及び/又はカーボンナノチューブのような大きい表面積を有するものである。好適なカーボンナノチューブは、気相法炭素繊維、単層カーボンナノチューブ及び/又は多層カーボンナノチューブである。
【0085】
吸蔵組成物中に使用できる好適な酸化物は、二酸化ケイ素(例えば、フュームドシリカ)、アルミナ、セリア、二酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化タングステン、五酸化バナジウムなど、又は上述の酸化物の1種以上を含む組合せである。酸化物はエーロゲル技術を用いて製造できる。金属酸化物が望ましい。金属酸化物は、一般に、酸化タングステン(WO)、酸化ニッケル(NiO)、酸化コバルト(CoO)、酸化マンガン(Mn及びMnO)、酸化バナジウム(VO及びV)、酸化モリブデン(MoO)など、又は上述の酸化物の1種以上を含む組合せを含む。
【0086】
吸蔵組成物は、約10m/gm以上の表面積を有することが一般に望ましい。一実施形態では、吸蔵組成物は約50m/gm以上の表面積を有することが望ましい。別の実施形態では、吸蔵組成物は約100m/gm以上の表面積を有することが望ましい。
【0087】
一実施形態では、吸蔵組成物はノ粒子を含み得る。ナノ粒子は約1〜約200ナノメートルの粒度を有し得ると共に、その上に触媒組成物を配設できる。一実施形態では、粒度は約3〜約150ナノメートルである。別の実施形態では、粒度は約5〜約100ナノメートルである。さらに別の実施形態では、粒度は約10〜約80ナノメートルである。
【0088】
触媒組成物は、一般に、スパッタリング、化学蒸着法、溶液法などによって吸蔵組成物上に配設される。一実施形態では、触媒組成物は吸蔵組成物の全表面積の約1〜約100%の表面積を完全に覆うことができる。一実施形態では、触媒組成物は吸蔵組成物の全表面積の約5〜約90%の表面積を覆い得る。別の実施形態では、触媒組成物は吸蔵組成物の全表面積の約10〜約75%の表面積を覆い得る。さらに別の実施形態では、触媒組成物は吸蔵組成物の全表面積の約15〜約50%の表面積を覆い得る。
【0089】
触媒組成物が吸蔵組成物の表面積の100%を覆わない場合には、触媒組成物を離散粒子として吸蔵組成物の表面上に配設するのが望ましいことがある。粒子の形状は特に限定されず、例えば、球状、不規則形状、板状又はホイスカー状であり得る。二モード又はそれ以上の粒度分布も使用できる。触媒組成物の粒子は、約1〜約200ナノメートル(nm)の回転半径を有し得る。一実施形態では、触媒組成物の粒子は約3〜約150ナノメートル(nm)の回転半径を有し得る。別の実施形態では、触媒組成物の粒子は約5〜約100ナノメートル(nm)の回転半径を有し得る。さらに別の実施形態では、触媒組成物の粒子は約10〜約75ナノメートル(nm)の回転半径を有し得る。
【0090】
別の実施形態では、表面上に触媒組成物を配設した吸蔵組成物のナノ粒子及びマイクロ粒子を加圧下で融合させて水素吸蔵組成物を形成することができる。吸蔵組成物は、水素吸蔵組成物の全重量を基準にして約30〜約99wt%の量で存在することが一般に望ましい。一実施形態では、吸蔵組成物は水素吸蔵組成物の全重量を基準にして約35〜約95wt%の量で存在することが望ましい。別の実施形態では、吸蔵組成物は水素吸蔵組成物の全重量を基準にして約40〜約90wt%の量で存在することが望ましい。さらに別の実施形態では、吸蔵組成物は水素吸蔵組成物の全重量を基準にして約45〜約85wt%の量で存在することが望ましい。
【0091】
水素の貯蔵に関する一実施形態では、水素吸蔵組成物が水素を含む環境中に浸される。構造的に分子である水素は、触媒組成物によって原子状水素に解離され、吸蔵組成物中に貯蔵される。次いで、水素は加熱によって水素吸蔵組成物から脱離される。水素の貯蔵は、アプリケーターと呼ばれる装置内で行うことができる。アプリケーターは、水素吸蔵組成物を保持する容器である。別の実施形態では、水素吸蔵組成物中への水素の貯蔵に際し、加圧下で水素をアプリケーター内に導入することもできるし、或いは水素導入後にアプリケーターを加圧することもできる。水素吸蔵組成物中への水素の均一な貯蔵を達成するため、貯蔵プロセス中に水素吸蔵組成物を攪拌することもできる。水素の貯蔵は一般に発熱反応であるので、水素の貯蔵中には、所望ならばアプリケーターを水、液体窒素、液体二酸化炭素又は空気で冷却できる。
【0092】
上述の通り、水素吸蔵組成物中への水素の貯蔵及び回収を促進するために高周波及びマイクロ波を使用できる。水素吸蔵組成物中に存在する双極子にかかる放射を結合することで、水素の貯蔵及び回収が促進される。一実施形態では、かかる放射と水素吸蔵組成物の双極子との効率的な結合を達成するためにマイクロ波及び高周波の周波数を変化させることができる。このような結合は、水素の貯蔵及び/又は回収を効果的に促進し得る。別の実施形態では、水素の貯蔵及び/又は回収を効果的に促進するため、マイクロ波及び高周波の周波数を水素吸蔵組成物の温度と共に変化させることができる。
【0093】
一実施形態では、水素吸蔵組成物が電磁場中に配置される場合、組成物によって吸収される電力は下記の式(VI)で示される。
【0094】
P=ωεε" (VI)
式中、Pは単位体積当たりに吸収される電力、ω=2πf(式中、fは印加される周波数である。)、εは自由空間の誘電率、ε"は物質の誘電損率、Eは局所印加電場である。式(VI)から、吸収される電力は誘電損率に直接依存することがわかる。誘電損率は、とりわけ、水素吸蔵組成物中に存在する各種成分の双極子モーメント、温度及び放射の周波数のような複数の因子に依存する。
【0095】
式(VI)の使用に関する一実施形態では、水素吸蔵組成物中への水素の貯蔵及び/又は放出を促進するため、水素吸蔵組成物中での誘電損率を所望に応じて調整又は最適化できる。別の実施形態では、水素吸蔵組成物中への水素の貯蔵を促進するために第一の環境中で(マイクロ波又は高周波領域内の)第一の周波数を使用できる一方、水素吸蔵組成物からの水素の回収を促進するために第二(又は第一)の環境中で第二の周波数を使用できる。本明細書中で定義される環境とは、水素吸蔵組成物ばかりでなく、水素吸蔵組成物を高周波及び/又はマイクロ波と結合した場合に水素の貯蔵及び/又は回収を促進するため組成物中に含まれる任意の作用剤をいう。かかる作用剤の例は、双極子を有していて、高周波及び/又はマイクロ波に暴露された場合に加熱され得る物質である。かかる物質の好適な例は、水、アルコール、ジメチルホルムアミド、アセトン、炭素、炭化ケイ素など、又は上述の作用剤の1種以上を含む組合せである。
【0096】
一般に、水素吸蔵組成物による水素の貯蔵及び/又は脱離を達成するために高周波を使用した場合、吸収及び/又は脱離について優れた均一性及び顕著な速度が可能である。しかし、マイクロ波を使用した場合には、機械的攪拌を使用することで水素吸蔵組成物による水素の均一な吸収及び脱離を促進することができる。マイクロ波による不均一な加熱は熱暴走を引き起こすことがあり、これは水素吸蔵組成物の望ましくない焼結をもたらすことがある。電磁スペクトル中の様々な周波数を同時又は逐次に使用することで、水素吸蔵組成物中への水素の貯蔵及び回収を促進することができる。一実施形態では、水素を貯蔵するため、水素を含む気体混合物に水素吸蔵組成物を接触させるのが望ましいことがある。水素の貯蔵に関する別の実施形態では、水素の貯蔵は、生成したばかりの水素に水素吸蔵組成物を暴露することで起こり得る。例えば、水素貯蔵又は回収プロセス中に、水素吸蔵組成物をまず高周波で所定時間照射し、次いでマイクロ波周波数で照射することができる。別法として、水素の貯蔵及び/又は回収中に水素吸蔵組成物を高周波及びマイクロ波の両方に同時に暴露するのが望ましいことがある。また、水素吸蔵組成物中への水素の貯蔵及び回収を促進するため、無線周波数範囲又はマイクロ波周波数範囲或いは両方の範囲内の複数の周波数を逐次又は同時に使用し得ることも想定される。
【0097】
一実施形態では、水素の貯蔵及び回収方法が、水素を含む第一の気体混合物に水素吸蔵組成物を接触させ、水素吸蔵組成物中への水素の吸収、吸着又は化学吸着を促進するのに有効な量で、第一の周波数を有する高周波又はマイクロ波を水素吸蔵組成物に照射し、第二の水素濃度を有する第二の気体混合物に水素吸蔵組成物を接触させ、水素吸蔵組成物からの水素の脱離を促進するのに有効な量で、第二の周波数を有する高周波又はマイクロ波を水素吸蔵組成物に照射することを含んでなる。
【0098】
一実施形態では、第一の周波数が第二の周波数に等しくなく、第二の周波数より高いか又は低い。一実施形態では、水素吸蔵組成物中への水素の貯蔵を促進するために無線周波数を使用できる一方、水素吸蔵組成物からの水素の回収を促進するためにマイクロ波周波数を使用できる。別の実施形態では、水素吸蔵組成物中への水素の貯蔵を促進するためにマイクロ波周波数を使用できる一方、水素吸蔵組成物からの水素の回収を促進するために無線周波数を使用できる。別の実施形態では、第一の周波数が第二の周波数に等しい。
【0099】
さらに別の実施形態では、水素吸蔵組成物を浸す第一の水素濃度は、水素吸蔵組成物を浸す第二の水素濃度より高い。例示的な一実施形態では、第二の水素濃度を有する環境に水素吸蔵組成物を接触させる操作は、水素の貯蔵を行う第一の位置から水素の回収を行う第二の位置へ水素吸蔵組成物を物理的に移動することを含み得る。別の実施形態では、第一の位置は第二の位置と同じであり得る。例示的な一実施形態では、第一の位置は図9に示すような水素吸蔵組成物反応器であり得る一方、第二の位置は水素発生反応器であり得る。上述の通り、水素吸蔵組成物中に貯蔵すべき水素は水素を含む気体混合物中に存在していてもよいし、或いは水素を生成した後、他のガスと混合することなく水素吸蔵組成物中に直接貯蔵してもよい。
【0100】
電磁放射を放出するためのエネルギー発生器は、連続波発生器又はパルス波発生器のいずれであってもよく、水素貯蔵及び水素発生プロセスではこれらのタイプの発生器のいずれもが使用できる。
【0101】
一実施形態では、水素の吸収及び脱離を促進するために電磁放射の複合照射源が使用できる。これらの照射源はマイクロ波及び/又は高周波の範囲内からのものであってもよいし、或いは所望に応じて上述の範囲外からのものであってもよい。例示的な一実施形態では、マイクロ波及び高周波に加え、所望ならば他の形態の電磁エネルギー(例えば、赤外線、紫外線、X線)も使用できる。
【0102】
水素吸蔵組成物中への水素の貯蔵及び回収を促進するために電磁放射(即ち、高周波及びマイクロ波)の複合照射源を使用することに加え、電磁放射から得られるエネルギーを他の形態の熱エネルギー(例えば、ガス燃焼式又は電気加熱式のオーブン又は炉)による加熱で補充するのが望ましいこともある。一実施形態では、高周波又はマイクロ波から得られるエネルギーと共に対流加熱及び/又は伝導加熱を用いて水素吸蔵組成物を加熱できる。かかる例では、水素吸蔵組成物を任意所望の設定温度に加熱するために他の形態の加熱を使用できる一方、マイクロ波及び高周波との結合で追加の昇温を得ることができる。対流のような手段による通常の加熱のみを使用する場合、通常は加熱材料中に温度勾配が存在し、外面又はスキン温度が内部又はコア温度より高くなる。このような効果は一般に「スキン−コア効果」と呼ばれ、水素吸蔵組成物中に化学的又は物理的勾配を引き起こす。したがって、対流又は伝導による加熱とマイクロ波及び/又は高周波加熱との組合せは、温度の均一性を高め、それによって水素吸蔵組成物中の化学的濃度勾配又は物理的特性勾配を低減させるため有利に使用できる。
【0103】
一般に、水素の貯蔵及び回収を促進するためには、約10キロヘルツ(kHz)ないし約300メガヘルツ(MHz)の無線周波数が使用できる。一実施形態では、約1〜約250MHzの周波数が使用できる。別の実施形態では、水素の貯蔵及び回収を促進するために50〜約225MHzの周波数が使用できる。
【0104】
水素の貯蔵及び回収を促進するためには、約300MHzないし約300ギガヘルツ(GHz)のマイクロ波周波数も有効に使用できる。一実施形態では、約400MHzないし約280GHzの周波数が使用できる。別の実施形態では、水素の貯蔵及び回収を促進するために600ないし約260GHzの周波数が使用できる。さらに別の実施形態では、水素の貯蔵及び回収を促進するために750ないし約250GHzの周波数が使用できる。マイクロ波及び高周波の周波数はいずれも、水素の吸収、吸着、化学吸着又は脱離を促進するように調整できる。一般に、水素吸蔵組成物に伝達される電磁エネルギーは、焼結なしに貯蔵をもたらすのに十分なものである。このエネルギーは、水素吸蔵組成物1グラム当たり約0.001〜約1000ワットであり得る。周波数は、水素の吸収、吸着、化学吸着又は脱離を促進するように調整できる。
【0105】
一実施形態では、水素吸蔵組成物中への水素の貯蔵に際しては、水素吸蔵組成物をアプリケーター内の所望位置に配置した後に高周波又はマイクロ波エネルギーをアプリケーター又は導波管内に導入できる。次いで、アプリケーター内に水素ガスを導入できる。任意には加圧下で水素をアプリケーター内に導入してもよいし、任意には水素導入後にアプリケーターを加圧してもよい。水素導入後におけるアプリケーター内の圧力は、一般に約1〜約100キログラム/平方センチメートル(kg/cm)に維持される。アプリケーター内の例示的な圧力値は約30kg/cmである。
【0106】
貯蔵プロセスを促進するため、水素を他の非反応性ガスと共にアプリケーター内に導入することができる。このような水素と他のガスとの組合せを気体混合物という。例示的な非反応性ガスは不活性ガスである。水素と共に他のガスを導入する場合、水素含有量は一般に気体混合物の全重量を基準にして約50〜約99重量%(wt%)である。
【0107】
高周波又はマイクロ波は、連続波又はパルス波の形態でアプリケーターに供給できる。組成物中への水素の均一な貯蔵を達成するため、貯蔵プロセス中に水素吸蔵組成物を攪拌することもできる。水素の貯蔵は一般に発熱反応であるので、水素の貯蔵中には、所望ならばアプリケーターを水、液体窒素、液体二酸化炭素又は空気で冷却できる。
【0108】
水素の回収に際しては、水素吸蔵組成物に熱を供給して水素を発生させればよい。したがって、水素吸蔵組成物を加熱するために高周波及びマイクロ波を照射できる。組成物の加熱は、対流加熱と高周波及び/又はマイクロ波との組合せで達成できる。水素の回収に際しては、アプリケーター内の圧力は任意に低下させることができる。水素回収時におけるアプリケーター内の圧力は水銀柱約1〜約300ミリメートル(mmHg)である。
【0109】
水素吸蔵組成物と共に高周波(無線周波)及び/又はマイクロ波を用いることで水素を生成及び貯蔵する例示的な一方法では、図9に示すシステムが、水素発生反応器(第二の位置にある第二のアプリケーター)の上流側でそれと流通関係にある任意の水素吸蔵組成物反応器(第一の位置にある第一のアプリケーター)を含んでなる。上述の通り、所望ならば、第一のアプリケーターは第二のアプリケーターと異なっていてよく、第一の位置は第二の位置と異なっていてよい。別の実施形態では、第一のアプリケーターは第二のアプリケーターと同じであってよく、第一の位置は第二の位置と同じであってよい。水素吸蔵組成物反応器は高周波及び/又はマイクロ波を用いて水素吸蔵組成物を再生し、この水素吸蔵組成物は水素発生反応器で水素を生成するために使用される。水素吸蔵組成物は、所望ならばスラリーの形態を有し得る。
【0110】
水素発生反応器内の水素吸蔵組成物の少なくとも一部は、水素吸蔵組成物から水素を回収するために使用される。水素吸蔵組成物がその水素を放出した場合、それは使用済み水素吸蔵組成物といわれる。水素発生反応器は、高周波及び/又はマイクロ波を用いて水素を発生させる。水素発生反応器は、水素発生目的で水素吸蔵組成物を加熱するため、マイクロ波及び高周波に加えて対流加熱、伝導加熱、PEM燃料電池排気なども使用できる。水素発生反応器はまた、任意の乾燥及び分離反応器の上流側でそれと流通関係にあり、使用済み水素吸蔵組成物は乾燥及び分離反応器に任意に移送できる。水素発生反応器内で生じた使用済み水素吸蔵組成物の少なくとも一部は、乾燥及び分離反応器に任意に再循環される。水素発生反応器には、水が任意に供給される。任意の乾燥及び分離反応器は、使用済み水素吸蔵組成物からの水のような再使用可能な流体を分離し、その流体を任意の水素吸蔵組成物反応器に再循環させる。次いで、再循環されたキャリヤー液体との混合及び再生のため、水素吸蔵組成物が水素吸蔵組成物反応器に再循環される。水素吸蔵組成物のほか、水素発生反応器内で水素を発生させるために他の物質(例えば、炭素、アラナートなど)も使用できる。
【0111】
一実施形態では、水素を含む気体混合物に暴露することで水素吸蔵組成物を水素化できる。上述の通り、水素吸蔵組成物は一般に水素吸収に際して熱を放出する。水素の脱離は、しばしば熱サイクルを必要とする。かかる熱サイクルは、電磁場の照射又は対象物質中に電流を流すことで得られる。これが可能であるのは、大抵の水素化水素吸蔵組成物が導電性を有するからである。これらの物質の抵抗は、水素吸蔵の程度に伴って変化する。
【0112】
一実施形態では、吸蔵水素の脱離は電磁場の使用で促進できる。マイクロ波エネルギーを水素化水素吸蔵組成物に直接照射することもでき、或いは系全体を加熱せずに制御条件下で水素の局部放出を可能にするため、水素化水素吸蔵組成物と混合した適当な媒質(例えば、水、アルコールなど)に照射することもできる。この方法は高い脱離効率をもたらし、かかる脱離は一般に伝導及び/又は対流が引き起こす加熱によって得られる温度より低い温度で起こる。このような現象は、マイクロ波が水素吸蔵組成物中の結合を局部的に励起するために起こる。脱離は2種の方法で実施できる。第一の方法は、水素含有量全部を放出させるためにマイクロ波を使用するものである。第二の方法は、脱離プロセスを開始させるためにのみマイクロ波処理を使用し、次いで伝導加熱及び/又は対流加熱で脱離プロセスを継続させるものである。このようにすれば、プロセスの最初から伝導熱及び/又は対流熱のみで加熱する場合より低い温度ではるかに容易に脱離プロセスを実施できる。
【0113】
さらに別の実施形態では、水素吸蔵組成物中に埋め込まれた抵抗体が発生する熱で水素の脱離を誘起することができる。抵抗体中を流れる電流のエネルギーは、ジュール効果で熱に変換される。電流の流れによって局部的に生じる熱の量は、圧縮ケイ化物粉末材料の場合に特に多く、抵抗率が特に高い粉末粒子間の電流路上にホットスポットが生じる。極端な場合には、ホットスポットで粉末の融着が起こり得る。したがって、電流パラメーターは焼結又は粉末の融着を回避するよう適切に調整すべきである。プロセスの条件に応じ、水素吸蔵組成物を直接に加熱するか、又は上記に詳述したように複数の抵抗体の使用で加熱すればよい。
【0114】
さらに別の実施形態では、水素の吸収及び脱離は、水素吸蔵組成物の微粒子を、高い熱伝導率を有することで水素放出のため水素化化合物に速く熱を伝導する別の化学組成物の適当量と混合することで達成される。さらに別の実施形態では、水素の脱離は、プロトン交換膜(PEM)燃料電池から放出される排熱を用いて水素化水素吸蔵組成物を加熱することで達成される。
【0115】
さらに別の実施形態では、チタン、バナジウム、ジルコニウム、イットリウム、ランタン、ニッケル、マンガン、コバルト、ケイ素、ガリウム、ゲルマニウム、及びランタニド系列からの元素からなるドーパントを添加して水素の脱離を触媒することができる。ドーパントは、水素の吸蔵前に水素吸蔵組成物全体の約20重量%以下の量で添加できる。ドーパントを水素吸蔵組成物の全重量の約15重量%以下の量で添加することが一般に望ましい。一実施形態では、ドーパントは水素吸蔵組成物の全重量の約10重量%以下の量で添加でき、別の実施形態では、ドーパントは水素吸蔵組成物の全重量の約5重量%以下の量で添加できる。
【0116】
ケイ化物、ホウケイ化物、炭ケイ化物、窒ケイ化物、アルミニウム化物、ゲルマニウム化物、ホウ化物、ホウ炭化物、ホウ窒化物及び炭化物を含む水素貯蔵系から脱離する水素は、水素吸蔵組成物の全重量を基準にして約1〜約8wt%であり得る。一実施形態では、脱離する水素は水素吸蔵組成物の全重量を基準にして約4wt%以上である。別の実施形態では、脱離する水素は水素吸蔵組成物の全重量を基準にして約5wt%以上である。さらに別の実施形態では、脱離する水素は水素吸蔵組成物の全重量を基準にして約6wt%以上である。
【0117】
上述の通り、軽金属のケイ化物、ホウケイ化物、炭ケイ化物、窒ケイ化物、アルミニウム化物、ゲルマニウム化物、ホウ化物、ホウ炭化物、ホウ窒化物又は炭化物が水素を吸収及び脱離する能力を判定するための組合せ方法は、迅速で能率的である。水素を吸収及び脱離すると判定された軽金属のケイ化物、ホウケイ化物、炭ケイ化物、窒ケイ化物、アルミニウム化物、ゲルマニウム化物、ホウ化物、ホウ炭化物、ホウ窒化物又は炭化物は、エネルギー貯蔵のため、燃料電池、ガスタービンなどで使用できる。
【0118】
軽金属のケイ化物、ホウケイ化物、炭ケイ化物、窒ケイ化物、アルミニウム化物、ゲルマニウム化物、ホウ化物、ホウ炭化物、ホウ窒化物又は炭化物の水素化物から水素を生成及び貯蔵するための例示的な一方法では、図8に示すシステムが、水素発生反応器の上流側でそれと流通関係にある任意のスラリー製造反応器を含んでなる。スラリー製造反応器は、水素発生反応器内で水素を生成するために使用した金属水素化物スラリーを再生する。軽金属の水素化物からの水素回収に際しては、水素発生反応器内の金属水素化物の少なくとも一部が酸化されて金属水酸化物になる。水素発生反応器は、電磁放射、対流加熱、PEM燃料電池の排気などを用いて水素化物を加熱して水素を発生させる。水素発生反応器はまた、任意の乾燥及び分離反応器の上流側でそれと流通関係にあり、金属水酸化物は乾燥及び分離反応器に移送される。水素発生反応器内で生じた金属水酸化物の少なくとも一部は、乾燥及び分離反応器に再循環される。水素発生反応器には、水が任意に供給される。任意の乾燥及び分離反応器は、金属水酸化物からの水のような再使用可能な流体を分離し、その流体を任意のスラリー製造反応器に再循環させる。このシステムはまた、乾燥及び分離反応器と流通関係にあると共にその下流側にある水素化物再循環反応器も含んでいる。乾燥及び分離反応器からの乾燥金属水酸化物は、水素化物再循環反応器内で、水素を含む気体混合物と接触させることで再生されて金属水素化物になる。水素化物再循環反応器には、金属水素化物を再生するのに有効な量で炭素及び酸素が供給される。次いで、再生された金属水素化物は、再循環されたキャリヤー液体との混合のため、スラリー製造反応器に再循環される。
【0119】
触媒組成物を含む水素吸蔵系に対する水素の貯蔵及び回収に関する別の実施形態では、まず、図9の水素吸蔵組成物反応器のような第一の位置で第一の水素濃度を有する第一の気体混合物に水素吸蔵組成物を接触させる。第一の位置では、水素は原子状水素に解離され、吸蔵組成物中に貯蔵される。今では水素を含む水素吸蔵組成物を、次いで、図9の水素発生室のような第二の位置で第二の水素濃度を有する第二の気体混合物に接触させる。ここで水素吸蔵系は、水素吸蔵組成物からの水素の脱離を促進するのに有効な温度に加熱される。一実施形態では、第一の水素濃度は第二の濃度より高い。別の実施形態では、第一の位置は第二の位置と同じであり得る。さらに別の実施形態では、第一の位置は第二の位置と異なっている。
【0120】
このような水素の貯蔵及び回収方法は、約2500キログラム以下の重量を有する(自動車のような)小型乗物上に配置された燃料電池での水素の車上回収のため有利に使用できる。このような水素の貯蔵及び回収方法はまた、自動車、列車などの陸上車両、はしけ、船、潜水艦などの船舶、或いは飛行機、ロケット、宇宙ステーションなどの航空輸送機関又は宇宙船でも有利に使用できる。それはまた、発電のために使用され、及び住宅用途、工場、オフィスビルなどのために使用される燃料電池での水素回収のためにも使用できる。
【0121】
以上、例示的な実施形態に関して本発明を説明してきたが、当業者であれば、本発明の技術的範囲から逸脱せずに様々な変更及び同等物による構成要素の置換を行い得ることが理解されよう。さらに、本発明の本質的な範囲から逸脱することなく、特定の状況又は材料を本発明の教示に適合させるために多くの修正を行うことができる。したがって、本発明はこの発明を実施するために想定される最良の形態として開示された特定の実施形態に限定されることはなく、特許請求の範囲に含まれるすべての実施形態を包含するものである。
【図面の簡単な説明】
【0122】
【図1】ケイ素基材中での拡散多重体アセンブリの配列状態を示す略図である。
【図2】アルミニウム基材中での拡散多重体の配列状態を示す略図である。
【図3】(a)マグネシウム及びアルミニウムの二元二重体の形成、並びに(b)マグネシウム、リチウム及びアルミニウムの三元拡散三重体の形成を示す略図である。
【図4】ホウ素基材を含む拡散多重体アセンブリの配列状態を示す略図である。
【図5】グラファイト基材中での拡散多重体アセンブリの配列状態を示す略図である。
【図6】分析目的のために拡散多重体アセンブリをスライスする方法を示す略図であり、図中にはケイ素基材を示す。
【図7】高い固着確立で水素を化学吸着する金属(+)及び化学吸着しない金属(−)を示す元素周期表である。
【図8】水素吸蔵組成物に対する水素の吸収及び脱離(回収)のためのシステムを示す略図である。
【図9】水素吸蔵組成物に対する水素の吸収及び脱離(回収)のためのシステムを示す別の略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンビナトリアルライブラリの作製方法であって、
ケイ素、グラファイト、ホウ素、炭化ホウ素、窒化ホウ素、アルミニウム、ゲルマニウム、窒化ケイ素、炭化ケイ素又はホウ化ケイ素からなる基材上に軽金属からなる反応体を配置し、
基材を熱処理して、2以上の相を有する拡散多重体を形成し、
拡散多重体を水素に接触させ、
水素の吸収の有無を検出し、及び/又は
水素の脱離の有無を検出する
ことを含んでなる方法。
【請求項2】
軽金属がアルカリ金属又はアルカリ土類金属であり、軽金属が基材の穴の中に配置される、請求項1記載の方法。
【請求項3】
軽金属がリチウム、マグネシウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム又はアルミニウムであり、軽金属が基材の穴の中に配置される、請求項1記載の方法。
【請求項4】
熱処理が約200〜約2000℃の温度で実施される、請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
熱処理が、基材がケイ素である場合には約580〜約900℃の温度で実施され、基材がホウ化ケイ素である場合には約580〜約1250℃の温度で実施され、基材が炭化ケイ素である場合には約580〜約1250℃の温度で実施され、基材が窒化ケイ素である場合には約600〜約1250℃の温度で実施され、基材がアルミニウム又はゲルマニウムである場合には約400〜約600℃の温度で実施され、基材がホウ素である場合には約660〜約1000℃の温度で実施され、基材が窒化ホウ素である場合には約660〜約1250℃の温度で実施され、基材がグラファイトである場合には約500〜約1000℃の温度で実施される、請求項1乃至請求項4のいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
1種以上の反応体が基材中に配置され、熱処理後に二元二重体を形成する、請求項1乃至請求項5のいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
1種以上の反応体が基材中に配置され、熱処理後に三元三重体を形成する、請求項1乃至請求項5のいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
2種以上の反応体が基材中に配置され、熱処理後に三元三重体を形成する、請求項1乃至請求項5のいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
さらに、電子マイクロプローブ分析を用いて拡散二重体の1以上の相を識別し分析することを含む、請求項1乃至請求項8のいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
さらに、拡散多重体をスライスして研削することを含む、請求項1乃至請求項9のいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
さらに、電子マイクロプローブ分析又は電子後方散乱回折法を用いて拡散多重体を分析することを含む、請求項1乃至請求項10のいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
水素の回収方法であって、
AlSi、CaSi、CaSi、CaSi、KSi、KSi23、Li22Si、Li13Si、LiSi、Li12Si、MgSi、NaSi、NaSi、NaSi23、AlB、AlB12、BCa、BK、B12Li、BLi、BLi、BLi、BLi、BLi、BLi、BLi、MgB、MgB、MgB、NaB、NaB15、NaB16、AlLi、AlLi、AlLi、AlMg、Al12Mg17、AlB12、GeK、GeK、GeK、GeLi、GeLi22、MgGe、GeNa、GeNa、GeNa、アルミニウムドープトGeK、アルミニウムドープトGeK、アルミニウムドープトGeK、アルミニウムドープトGeLi、アルミニウムドープトGeLi22、アルミニウムドープトMgGe、アルミニウムドープトGeNa、アルミニウムドープトGeNa、アルミニウムドープトGeNa、Al、Na、Li、K、LiC、LiC、Mg、MgC、AlTiC、AlTiC、AlZrC、AlZrC、AlZr、AlZr、KC、NaC、及び上述の化合物の1種以上を含む組合せからなる群から選択される1種以上の化合物を水素に接触させて水素化化合物を生成させ、
水素化化合物を加熱して水素を回収する
ことを含んでなる方法。
【請求項13】
水素の再生方法であって、
下記の式(I)〜(V)の1以上を有する化合物を水素に接触させて水素化化合物を生成させ、
水素化化合物を加熱して水素を回収する
ことを含んでなる方法。
(Li,Na,K,Al,Mg,Ca) (B,C,N,Si) (I)
(Li,Na,Mg,K,Ca,Ge) (Al) (II)
(Li,Na,Mg,K,Ca,Al) (Ge) (III)
(Li,Na,K,Al,Mg,Ca) (B,C,N) (IV)
(Li,Na,K,Al,Mg,Ca) (B,N,C) (V)
(式中、Liはリチウムであり、Naはナトリウムであり、Mgはマグネシウムであり、Kはカリウムであり、Caはカルシウムであり、Alはアルミニウムであり、Geはゲルマニウムであり、Bはホウ素であり、Cは炭素であり、Nは窒素であり、Siはケイ素であり、a、b、c、d、e及びfは同一であっても異なっていてもよく、0〜1の値を有し、x及びyは約1〜約22の値を有する。)
【請求項14】
加熱が、マイクロ波、対流加熱、抵抗加熱、又は上述の加熱方法の1以上を含む組合せを用いて実施される、請求項12又は請求項13記載の方法。
【請求項15】
さらに、チタン、バナジウム、ジルコニウム、イットリウム、ランタン、ニッケル、マンガン、コバルト、ケイ素、ガリウム、ゲルマニウム、又はランタニド系列からの元素からなるドーパントを拡散多重体の約20重量%以下の量で化合物に添加する段階を含む、請求項12乃至請求項14のいずれか1項記載の方法。
【請求項16】
加熱が燃料電池の排熱で実施される、請求項12乃至請求項16のいずれか1項記載の方法。
【請求項17】
請求項12乃至請求項16のいずれか1項記載の方法を用いてエネルギーを発生させるエネルギー発生装置。
【請求項18】
下記の式(I)〜(V)の1以上を有する拡散多重体の化合物。
(Li,Na,K,Al,Mg,Ca) (B,C,N,Si) (I)
(Li,Na,Mg,K,Ca,Ge) (Al) (II)
(Li,Na,Mg,K,Ca,Al) (Ge) (III)
(Li,Na,K,Al,Mg,Ca) (B,C,N) (IV)
(Li,Na,K,Al,Mg,Ca) (B,N,C) (V)
(式中、Liはリチウムであり、Naはナトリウムであり、Mgはマグネシウムであり、Kはカリウムであり、Caはカルシウムであり、Alはアルミニウムであり、Bはホウ素であり、Cは炭素であり、Nは窒素であり、Siはケイ素であり、a、b、c、d、e及びfは同一であっても異なっていてもよく、0〜1の値を有し、x及びyは約1〜約22の値を有する。)
【請求項19】
a、b、c、d、e及びfの和が1に等しい、請求項18記載の化合物。
【請求項20】
化合物の水素化物を含んでなる組成物であって、該化合物がAlSi、CaSi、CaSi、CaSi、KSi、KSi23、Li22Si、Li13Si、LiSi、Li12Si、MgSi、NaSi、NaSi、NaSi23、AlB、AlB12、BCa、BK、B12Li、BLi、BLi、BLi、BLi、BLi、BLi、BLi、MgB、MgB、MgB、NaB、NaB1、NaB16、AlLi、AlLi、AlLi、AlMg、Al12Mg17、AlB12、GeK、GeK、GeK、GeLi、GeLi22、MgGe、GeNa、GeNa、GeNa、アルミニウムドープトGeK、アルミニウムドープトGeK、アルミニウムドープトGeK、アルミニウムドープトGeLi、アルミニウムドープトGeLi22、アルミニウムドープトMgGe、アルミニウムドープトGeNa、アルミニウムドープトGeNa、アルミニウムドープトGeNa、Al、Na、Li、K、LiC、LiC、Mg、MgC、AlTiC、AlTiC、AlZrC、AlZrC、AlZr、AlZr、KC、NaC、又は上述の化合物の1種以上を含む組合せである、組成物。
【請求項21】
吸蔵組成物上に触媒組成物を配設してなる水素吸蔵組成物であって、触媒組成物がカルシウム、バリウム、チタン、クロム、マンガン、鉄、コバルト、銅、ケイ素、ゲルマニウム、ロジウム、ロジウム、ルテニウム、モリブデン、ニオブ、ジルコニウム、イットリウム、バリウム、ランタン、ハフニウム、タングステン、レニウム、オスミウム又はイリジウムから実質的になる、水素吸蔵組成物。
【請求項22】
吸蔵組成物上に触媒組成物を配設してなる水素吸蔵組成物であって、触媒組成物がカルシウム、バリウム、白金、パラジウム、ニッケル、チタン、クロム、マンガン、鉄、コバルト、銅、ケイ素、ゲルマニウム、ロジウム、ロジウム、ルテニウム、モリブデン、ニオブ、ジルコニウム、イットリウム、バリウム、ランタン、ハフニウム、タングステン、レニウム、オスミウム、イリジウム、又は上述の金属の1種以上を含む組合せの合金を含む、水素吸蔵組成物。
【請求項23】
吸蔵組成物が、炭素、炭化物、ケイ化物、硫化物、窒化物、酸化物、オキシ窒化物、水酸化物、ケイ酸塩、アラナート、アルミノケイ酸塩、ホウケイ化物、炭ケイ化物、窒ケイ化物、アルミニウム化物、ゲルマニウム化物、ホウ化物、ホウ炭化物、ホウ窒化物、又は上述のものの1種以上を含む組合せを含む、請求項21乃至請求項22のいずれか1項記載の組成物。
【請求項24】
炭素がカーボンブラック及び/又はカーボンナノチューブを含み、酸化物が金属酸化物である、請求項23記載の組成物。
【請求項25】
金属酸化物が、アルミナ、セリア、二酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化タングステン(WO)、酸化ニッケル(NiO)、酸化コバルト(CoO)、酸化マンガン(Mn及びMnO)、酸化バナジウム(VO及びV)、酸化モリブデン(MoO)、又は上述の酸化物の1種以上を含む組合せである、請求項24記載の組成物。
【請求項26】
合金が白金、パラジウム及び/又はニッケルを含む、請求項22乃至請求項25のいずれか1項記載の組成物。
【請求項27】
触媒組成物が吸蔵組成物の全表面積の約1〜約100%の表面積を覆う、請求項21乃至請求項26のいずれか1項記載の組成物。
【請求項28】
触媒組成物が離散粒子として吸蔵組成物の表面上に配設される、請求項21乃至請求項27のいずれか1項記載の組成物。
【請求項29】
離散粒子が約1〜約200ナノメートルの回転半径を有する、請求項28記載の組成物。
【請求項30】
水素の貯蔵方法であって、
吸蔵組成物上に触媒組成物を配設してなる水素吸蔵組成物であって、触媒組成物がカルシウム、白金、パラジウム、ニッケル、バリウム、チタン、クロム、マンガン、鉄、コバルト、銅、ケイ素、ゲルマニウム、ロジウム、ロジウム、ルテニウム、モリブデン、ニオブ、ジルコニウム、イットリウム、バリウム、ランタン、ハフニウム、タングステン、レニウム、オスミウム又はイリジウムの合金を含む水素吸蔵組成物を、水素を含む気体混合物中に浸し、
水素を原子状水素に解離させ、
原子状水素を吸蔵組成物中に貯蔵する
ことを含んでなる方法。
【請求項31】
水素の発生方法であって、
吸蔵組成物上に触媒組成物を配設してなる水素吸蔵組成物であって、触媒組成物がカルシウム、バリウム、チタン、クロム、マンガン、鉄、コバルト、銅、ケイ素、ゲルマニウム、ロジウム、ロジウム、ルテニウム、モリブデン、ニオブ、ジルコニウム、イットリウム、バリウム、ランタン、ハフニウム、タングステン、レニウム、オスミウム又はイリジウムから実質的になるか、或いは触媒組成物がカルシウム、白金、パラジウム、ニッケル、バリウム、チタン、クロム、マンガン、鉄、コバルト、銅、ケイ素、ゲルマニウム、ロジウム、ロジウム、ルテニウム、モリブデン、ニオブ、ジルコニウム、イットリウム、バリウム、ランタン、ハフニウム、タングステン、レニウム、オスミウム又はイリジウムの合金を含む水素吸蔵組成物を加熱する
ことを含んでなる方法。
【請求項32】
水素の貯蔵及び回収方法であって、
第一の水素濃度を有する第一の気体混合物に水素吸蔵組成物を接触させ、
水素を原子状水素に解離させ、
原子状水素を吸蔵組成物中に貯蔵し、
第二の水素濃度を有する第二の気体混合物に水素吸蔵組成物を接触させ、
水素吸蔵組成物を、水素吸蔵組成物からの水素の脱離を促進するのに有効な温度に加熱する
ことを含んでなる方法。
【請求項33】
第一の水素濃度が第二の濃度より高い、請求項34記載の方法。
【請求項34】
第一の水素濃度を有する気体混合物に水素吸蔵組成物を接触させることが第一の位置で実施され、第二の水素濃度を有する環境に水素吸蔵組成物を接触させることが第二の位置で実施される、請求項32乃至請求項33のいずれか1項記載の方法。
【請求項35】
第一の位置が第二の位置と同じでない、請求項34記載の方法。
【請求項36】
第一の位置が第二の位置と同じである、請求項34記載の方法。
【請求項37】
水素化物再循環反応器と流通関係にある水素発生反応器を含んでなる水素の貯蔵及び回収システムであって、水素発生反応器が軽金属のケイ化物、ホウケイ化物、炭ケイ化物、窒ケイ化物、アルミニウム化物、ゲルマニウム化物、ホウ化物、ホウ炭化物、ホウ窒化物又は炭化物の水素化物を用いて水素を回収する、水素の貯蔵及び回収システム。
【請求項38】
水素発生反応器がスラリー製造反応器と流通関係にあると共にその下流側にある、請求項37記載のシステム。
【請求項39】
水素発生反応器が乾燥及び分離反応器と流通関係にあると共にその上流側にある、請求項37乃至請求項28のいずれか1項記載のシステム。
【請求項40】
スラリー製造反応器が乾燥及び分離反応器と流通関係にあると共にその下流側にある、請求項38乃至請求項39のいずれか1項記載のシステム。
【請求項41】
水素化物再循環反応器がスラリー製造反応器と流通関係にある、請求項38乃至請求項40のいずれか1項記載のシステム。
【請求項42】
金属水素化物スラリーがスラリー製造反応器から水素発生反応器に移送される、請求項37乃至請求項41のいずれか1項記載のシステム。
【請求項43】
再生された金属水素化物が水素化物再循環反応器からスラリー製造反応器に移送される、請求項37記載のシステム。
【請求項44】
水素発生反応器内に水が導入される、請求項39記載のシステム。
【請求項45】
マイクロ波からの熱、対流熱、又は燃料電池からの排熱の使用によって水素発生反応器内で水素が発生される、請求項39記載のシステム。
【請求項46】
水素の貯蔵方法であって、
水素を含む気体混合物に水素吸蔵組成物を接触させ、
水素吸蔵組成物中への水素の吸収、吸着又は化学吸着を促進するのに有効な量で高周波又はマイクロ波を水素吸蔵組成物に照射する
ことを含んでなる方法。
【請求項47】
接触させることが約1〜約100キログラム/平方センチメートルの圧力下で実施される、請求項48記載の方法。
【請求項48】
照射することが約10キロヘルツないし約300ギガヘルツで実施され、照射することが水素吸蔵組成物に約0.001〜約1000ワット/グラムのエネルギーを付与する、請求項48記載の方法。
【請求項49】
水素の貯蔵及び回収方法であって、
第一の水素濃度を有する第一の気体混合物に水素吸蔵組成物を接触させ、
水素吸蔵組成物中への水素の吸収、吸着及び/又は化学吸着を促進するのに有効な量で、第一の周波数を有する高周波又はマイクロ波を水素吸蔵組成物に照射し、
第二の水素濃度を有する第二の気体混合物に水素吸蔵組成物を接触させ、
水素吸蔵組成物からの水素の脱離を促進するのに有効な量で、第二の周波数を有する高周波又はマイクロ波を水素吸蔵組成物に照射する
ことを含んでなる方法。
【請求項50】
第一の水素濃度が第二の濃度より高い、請求項51記載の方法。
【請求項51】
第一の周波数が第二の周波数に等しくない、請求項51記載の方法。
【請求項52】
第一の周波数が第二の周波数に等しい、請求項51記載の方法。
【請求項53】
第一の水素濃度を有する気体混合物に水素吸蔵組成物を接触させることが第一の位置で実施され、第二の水素濃度を有する環境に水素吸蔵組成物を接触させることが第二の位置で実施される、請求項49乃至請求項52のいずれか1項記載の方法。
【請求項54】
第一の位置が第二の位置と同じでない、請求項53記載の方法。
【請求項55】
第一の位置が第二の位置と同じである、請求項53記載の方法。
【請求項56】
照射することが約10メガヘルツないし約300ギガヘルツで実施され、照射することが水素吸蔵組成物に約0.001〜約1000ワット/グラムのエネルギーを付与する、請求項51記載の方法。
【請求項57】
水素吸蔵組成物が、炭素、アルミニウム化物、アラナート、炭化物、ホウ化物、窒化物、ホウ炭化物、ホウ窒化物、ケイ化物、ホウケイ化物、炭ケイ化物又は窒ケイ化物を含む、請求項49乃至請求項56のいずれか1項記載の方法。
【請求項58】
水素発生反応器を含んでなる水素の貯蔵及び回収システムであって、水素発生反応器が高周波及び/又はマイクロ波を用いて水素を回収する、水素の貯蔵及び回収システム。
【請求項59】
水素発生反応器が水素吸蔵組成物反応器と流通関係にあると共にその下流側にある、請求項58記載のシステム。
【請求項60】
水素発生反応器が水素吸蔵組成物反応器と流通関係にあると共にその上流側にあり、さらに水素吸蔵組成物反応器が高周波及び/又はマイクロ波を用いて水素を貯蔵する、請求項58記載のシステム。
【請求項61】
水素発生反応器が乾燥及び分離反応器と流通関係にあると共にその上流側にあり、さらに水素吸蔵組成物反応器が高周波及び/又はマイクロ波を用いて水素を貯蔵する、請求項58記載のシステム。
【請求項62】
水素吸蔵組成物反応器が乾燥及び分離反応器と流通関係にあると共にその下流側にある、請求項61記載のシステム。
【請求項63】
水素吸蔵組成物スラリーが水素吸蔵組成物反応器から水素発生反応器に移送される、請求項61記載のシステム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公表番号】特表2007−512213(P2007−512213A)
【公表日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−534329(P2006−534329)
【出願日】平成16年9月30日(2004.9.30)
【国際出願番号】PCT/US2004/033056
【国際公開番号】WO2005/032709
【国際公開日】平成17年4月14日(2005.4.14)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【Fターム(参考)】