説明

波長可変光源を利用した光干渉断層撮影法の方法及び装置

【課題】連続的にリアルタイム画像表示を行いつつ、安定的に、低ノイズで、かつ効率よく、高速で掃引光源COT(SS−OCT)システムを操作できる装置及び方法を提供する。
【解決手段】低偏光依存性利得(PDG)を得るためにレーザリング内の半導体光増幅器(SOA)が選択され、高偏光依存性利得を得るために光リング外のブースタ半導体光増幅器が選択される。低偏光依存性利得の半導体光増幅器を利用することで、レーザの出力光の偏光状態のばらつきは殆どなくなるが、掃引中のレーザ出力の偏光状態のばらつきをなくすことはできず、これがSS−OCTシステムの性能を低下させる可能性がある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光学的撮影の分野に関し、より詳しくは、光源として波長可変レーザを採用する光干渉断層撮影法(OCT)の設計及び実施に関する。
【背景技術】
【0002】
光干渉断層撮影法(OCT)は干渉法による撮影法であり、眼科、心臓病科、消化器科及びその他の医療分野において広く利用されている(非特許文献1)。OCTでは、小径の光ファイバプローブを介し、表面付近の構造を高解像度(2−15μm)で見ることができるため、特に、組織や器官の低侵襲的な撮影に有用である。市販の時間領域OCTシステムでは、動きの速い器官や表面積の大きい器官をスムーズにリアルタイムで可視化するのに十分な走査速度が得られない。例えば、鼓動する心臓では、OCTによる冠状動脈の撮影は困難である。これは、プローブの視野から血液が除去されている間に、動脈の長い領域(3cmを越える)を明瞭に視覚化できるように、素早く撮影を行わなければならないためである。現状の市販のOCTシステムによる冠状動脈撮影の画像収集率は、毎秒約15画像に限られる。この収集速度では、3cmの動脈領域を撮影するのに、少なくとも30秒間、バルーンで血流を遮断する必要がある。画質をそれほど落とすことなく、OCTシステムの画像収集率が少なくとも一桁向上すると、バルーンによる長時間の血液遮断を避けることができる。すると、生理食塩水を2〜3秒間ボーラス投与するだけで、動脈領域を撮影することができ、心筋虚血のおそれを低減しつつ、撮影手順を簡略化することができる。
【0003】
時間領域OCTシステムは、路長走査を行うために、干渉計への入力として、機械的に作動するリファレンスアームを備える広帯域光源を採用する。リファレンスアームの路長を変化させ、各深度に存在する構造からの反射で生成された干渉信号を、ポイント毎に測定する。この測定方式では、装置の動力学的な拘束と、光源のスペクトルパワー密度との双方により、最大走査速度が制限される。40〜60nmのスペクトルバンド幅の全域に亘って25mWの出力パワーを有し、発光能力が非常に優れた光源を利用するシステムでは、組織撮影のための適切なSN(信号対雑音)比(90dBを超える)を維持しつつ、深部で走査を行うのに得られる最大速度は、毎秒約25mである。したがって、5mmの深度に存在する対象物の線画像は、毎秒10mくらいの速度では、512得られる。
【0004】
周波数領域(フーリエドメインとも称される)(FD)OCTは、フーリエ変換(機械的に作動する長い装置が不要)に基づく光周波数弁別法を利用することで、このような速度の制約を解決している(特許文献1、非特許文献2)。FD−OCTは、ポイント毎にサンプルからデータ取得して有用な動力を浪費してしまう代わりに、複数の深度から同時に情報を収集し、各深度で生成される信号の光周波に従ってそれぞれの反射を弁別する。FD−OCT撮影は、広帯域光源でサンプルに光を当て、分光計で反射光をアレイ検出器に分散させる。あるいは、高速波長可変レーザでサンプルに光を当て、波長掃引の間反射する光を一の光検出器で取得することもできる。いずれの場合も、記録された干渉信号をフーリエ変換し、各深度からの反射プロファイルを得る。これらの場合、1300nmスペクトル領域において、低コストで高性能を達成する可能性がある。このため、波長可変レーザ光源を利用するFD−OCTシステムは、散乱性が強い組織内での物体撮影が必要な医療分野への利用について最も注目されている。
【0005】
波長可変OCT(SS−OCT)の実現可能性が、いくつかの学術研究調査報告書で実証されている(非特許文献3、非特許文献4、非特許文献5、非特許文献6)。報告された殆どの高速SS−OCTシステムでは、電子的駆動のファブリ・ペローフィルター又はモーター駆動の格子フィルタによって高速操作される短共振器レーザが採用されている。これまでに公開された実施では、SS−OCTの商用化を妨げる欠点が見られる。特に、現状の実施では、フーリエ変換する前に、データ取得後のリサンプリングか、記録データの補間が必要なデータ取得方式を採用しているため、リアルタイムのデータ取得及び表示が困難である。また、短空洞レーザは、干渉長が比較的短く、モードホッピングの傾向があるため、2〜3mmを越える深度で光走査を行うと、SN比及び解像度が低くなってしまう。冠状動脈の撮影をはじめ、医療分野で利用される多くの場合では、5mmを越える深度で光走査を行うことが必要である。
【0006】
昨今のフーリエドメイン・モードロッキング(FDML)の開発により、SN比及び解像度が深部で低くなる問題が解決されている(特許文献2、非特許文献7)。しかしながら、FDMLを利用したSS−OCTシステムの現実の実施においては、いくつかの技術的な課題が見られる。本発明は、これら課題に対処し、かつ解決するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第6,160,826号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2006/0187537号明細書
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】フアン・ディー(Huang D)、スワソン・イーエー(Swanson EA)、リン・シーピー(Lin CP)、シューマン・ジェーエス(Schuman JS)、スティンソン・ダブリュージー(Stinson WG)、チャン・ダブリュー(Chang W)、ヒー・エムアール(Hee MR)、フロッテ・ティー(Flotte T)、グレゴリー・ケー(Gregory K)、プリアフィト・シーエー(Puliafito CA)及びフジモト・ジェージー(Fujimoto JG)著、「光干渉断層法("Optical coherence tomography)」、サイエンス(Science)、1991年、第254巻(VoI 254)、p.1178-p.1181
【非特許文献2】チョーマ・エムエー(Choma MA)、サルニク・エムヴィ(Sarunic MV)、ヤン・シー(Yang C)、及びイザット・ジェー(Izatt J)著、「掃引光源及びフーリエドメイン光干渉断層法の感度利点(Sensitivity advantage of swept source and Fourier domain optical coherence tomography)」、オプト・エクスプレス(Opt. Express)、2003年、第11巻(Vol. 11)、p.2183-p.2189
【非特許文献3】チン・エスアール(Chinn SR)、スワソン・イーエー(Swanson EA)、及びフジモト・ジェージー(Fujimoto JG)著、「周波数操作型光源を利用した光干渉断層法(Optical coherence tomography using a frequency-tunable optical source)」、1997年、オプト・レット(Opt. Lett.)、第22巻(Vol. 22)、p.340-p.342
【非特許文献4】ユン・エスエッチ(Yun SH)、ティアニー・ジージェー(Tearney GJ)、ボウマ・ビーイー(Bouma BE)、パーク・ビーエッチ(Park BH),、及びデボアー・ジェーエフ(de Boer JF)著、「1.3 [mu]m波長における高速スペクトル領域光干渉断層法(High-speed spectral domain optical coherence tomography at 1.3 [mu]m wavelength)」、オプティクス・エクスプレス(Optics Express)、2003年、第11巻(Vol. 11)、p. 3598-p.3604
【非特許文献5】チョーマ・エムエー(Choma MA)、フス・ケー(Hsu K)、及びイザット・ジェー(Izatt J)著、「全ファイバ化1300 nmリングレーザ光源を利用した掃引光源光干渉断層法(Swept source optical coherence tomography using an all-fiber 1300 nm ring laser source," J. Biomed. Optics, Vol. 10, p. 044009 (2005)
【非特許文献6】フーバー・アール(Huber R)、ボトコブスキ・エム(Wojtkowski M)、タイラ・ケー(Taira K)、フジモト・ジェージー(Fujimoto JG)、及びフス・ケー(Hsu K)著、「周波数領域リフレクメトリ及びOCT撮影のための増幅周波数掃引レーザ:設計及びスケーリング法(Amplified, frequency-swept lasers for frequency domain reflectometry and OCT imaging: design and scaling principles)」、オプト・エクスプレス(Opt. Express)、2005年、第13巻(Vol. 13)、p.3513-p.3528
【非特許文献7】フーバー・アール(Huber R)、ボトコブスキ・エム(Wojtkowski M)、 及びフジモト・ジェージー(Fujimoto JG)著、「フーリエドメインモードロック(FDML):光干渉断層法のための新しいレーザ操作方式及び適用法(Fourier Domain Mode Locking (FDML): A new laser operating regime and applications for optical coherence tomography)」、オプティクス・エクスプレス(Optics Express)、2006年、第14巻(Vol. 14)、p.3225-p.3237
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、連続的にリアルタイムで画像表示を行いつつ、安定的に、低ノイズで、かつ効率よく、高速で波長可変OCT(SS−OCT)システムを操作できる装置及び方法に関する。ここに詳述される方法は、従来より実施されているSS−OCTシステムの不利点(低いノイズ特性、狭い走査範囲、レーザ空洞の複屈折性及び分散性の影響、位相ジッタ、及びサンプリング速度の制限を含む)を克服する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
一の態様において、本発明は、光断層撮影データ収集器に関する。この収集器は、それぞれ異なる偏光依存性利得を有する第一利得要素及び第二利得要素と、空洞が形成されたフーリエドメインモードロックレーザとを有することができる。当該レーザは、レーザ空洞中に設けられた第一利得要素と光学的に接続される周波数同調要素を備え、第二利得要素はレーザ空洞外に設けることができ、第一利得要素の偏光依存性利得は第二利得要素の偏光依存性利得よりも小さい。
【0011】
前記収集器は、AD変換器にクロック信号を出力する基準クロック発生器を有することができ、AD変換器は、メイン干渉計が出力する干渉信号をサンプリングすることが可能である。また前記収集器は、基準クロック発生器から得られる制御信号の少なくとも一つを用いて、フーリエドメインモードロックレーザに備えられた周波数同調要素の駆動周波数を安定化するデジタルコントロールシステムを有することができる。前記フーリエドメインモードロックレーザは、偏光モード分散効果を低減するように相対的な配置が調整された一対のファイバコイルを有する光遅延要素を備えることができる。
【0012】
前記基準クロック発生器は、基準クロック干渉計、受光器、自動利得制御増幅器、周波数逓倍器、ゼロ交差検出器及び/又はクロックスイッチを備えることができる。また、一対の2×2ファイバ結合器を備えるマッハ・ツェンダー干渉計、サンプルアームとリファレンスアームの長さが不一致のマイケルソン干渉計、2つの部分的反射面を有する要素を備える共通光路マイケルソン干渉計及び/又はファブリ・ペロー干渉計を備えることもできる。前記基準クロック発生器は、アナログ乗算器を備えることができる。当該アナログ乗算器は、入力された干渉信号を乗算する機能を実行する。前記基準クロック発生器は、位相シフトRFパワースプリッタを介して伝送される干渉信号から取得される2つの信号を乗算するアナログ乗算器を備えることもできる。また、位相がシフトされた2つのパルス列を伝送するための排他的理論和演算回路を有することができ、パルス列は、干渉信号に適用されるゼロ交差検出器とゼロ交差検出器が出力する遅延レプリカから取得される。さらに、位相がシフトされた2つのパルス列を伝送するための排他的理論和演算回路を有することができ、パルス列は、位相シフトパワースプリッタから取得される正弦波に適用されるゼロ交差検出器から取得される。
【0013】
前記基準クロック干渉計は、2×2結合器と3×3結合器との組合せから、位相がシフトされた干渉信号を周波数変調のために生成することができる。3×3結合器のパワースプリット率は、位相が概ね90度異なる2つの干渉信号を得るよう選択される。前記収集器は、4×4結合器をさらに備えることができ、当該4×4結合器は、直交位相関係を有する2つの平衡信号を生成し、前記基準クロック発生器は、1つのADCクロック信号を生成する。また、前記基準クロック発生器は、AD変換器に出力する位相が90度異なる2つのクロック信号を用いてOCTデータを記録することにより、フーリエ変換用の複素信号を生成することができる。
【0014】
他の一の態様において、本発明は、光断層撮影方法に関する。この方法は、空洞が形成され、当該空洞中に設けられた第一利得要素を備えるフーリエドメインモードロックレーザから光を照射する段階を含むことができる。また、第一利得要素及び第二利得要素がそれぞれ異なる偏光依存性利得を有し、前記空洞外に設けられた第二利得要素を介して照射された光を伝送する段階を含むことができる。この場合、第一利得要素の偏光依存性利得は第二利得要素の偏光依存性利得よりも小さい。さらに、メイン干渉器の出力における干渉信号を、AD変換器を用いてサンプリングする段階を含むこともでき、当該AD変換器は、基準クロック発生器からクロック信号が入力される。また、少なくとも一の制御信号が基準クロック発生器から取得されるデジタル制御システムを用いて、レーザの周波数同調要素の駆動周波数を最適化する段階を含むこともできる。
【0015】
前記方法は、前記メイン干渉計からのOCT信号をデュアルチャンネルで取得するために、4×4結合器を用いて直交位相関係を有する2つの平衡信号を生成する段階をさらに含むことができ、前記基準クロック発生器からAD変換器へ出力されるクロック信号は1つだけ必要とされる。前記駆動周波数を最適化する段階は、光遅延要素のゼロ分散波長付近の狭通過帯域を有するファイバブラッグフィルタを介するパルス伝送時間τで、基準クロック干渉計の受光器から出力された干渉信号の瞬時RMS振幅φ(t)を測定する段階と、φ(t)値が最大となるようにダイレクトデジタルシンセイサイザ(DDS)発生器を調整する段階とを含むことができる。
【0016】
前記駆動周波数を最適化する段階は、駆動波形のゼロ交差時点と初期レーザ掃引のゼロ交差時点との間の所望の遅延Dを測定する段階と、固定遅延τ−Dを維持するようにDA変換器によってdcバイアスを調整する段階とをさらに含むことができ、τは、光遅延要素のゼロ分散波長付近の狭通過帯域を有するファイバブラッグフィルタを介するパルス伝送により測定される時間である。
【0017】
他の態様において、本発明は、光断層撮影データ収集器に関し、この収集器は、入力と出力とを行う干渉計と、当該出力からの干渉信号をサンプリングするAD変換器と、それぞれ異なる偏光依存性利得を有する第一利得要素及び第二利得要素と、空洞が形成され、前記干渉計と光学的に接続されたフーリエドメインモードロックレーザとを備えることができる。前記レーザは、レーザ空洞中に設けられた第一利得要素と光学的に連通する周波数同調要素と、レーザ空洞外に設けられた第二利得要素とを備えることができる。前記収集器は、AD変換器にクロック信号を出力する基準クロック発生器と、当該基準クロック発生器から得られる制御信号を用いて周波数同調要素の駆動周波数を安定化するデジタルコントロールシステムとを備えることもできる。前記第一利得要素の偏光依存性利得は第二利得要素の偏光依存性利得よりも小さい。前記レーザは、偏光モード分散効果を低減するよう相対配向が調整された一対のファイバコイルを有する光遅延要素を備えることができる。
【0018】
前記基準クロック発生器は、基準クロック干渉計、受光器、自動利得制御増幅器、周波数逓倍器、ゼロ交差検出器及び/又はクロックスイッチを備えることができる。また、アナログ乗算器を備えることもでき、当該アナログ乗算器は、入力された干渉信号を乗算する機能を実行することができる。
【0019】
他の態様において、本発明は、FDMLレーザ空洞内に設けられた同調要素の有用なデューティサイクルを向上させる方法に関する。この方法は、周波数同調要素のデューティサイクルの一部を直線化する段階と、フィルタを駆動する段階とを含む。フィルタは、周波数が高調波関係にあり、それぞれの振幅及び位相が調整可能な複数の位相固定正弦波を組合わせる。一の実施形態では、位相固定デジタルダイレクト合成集積回路により、振動数がfと2fの周波数を有する正弦波を2つ生成し、これら正弦波の重み付き総和により、ピエゾ電子又はマイクロ電気機械システム(MEMs)のファブリ・ペロー同調フィルタで平滑なランプ波形に近似した変位を生じさせる。他の実施形態では、位相固定デジタルダイレクト合成集積回路により、振動数がfと3fの周波数を有する正弦波を2つ生成し、これら正弦波の重み付き総和により、ピエゾ電子又はマイクロ電気機械システム(MEMs)のファブリ・ペロー同調フィルタで三角波形の変位を生じさせる。
【0020】
本発明の一の実施形態では、低偏光依存性利得(PDG)を得るためにレーザリング内の半導体光増幅器(SOA)が選択され、高偏光依存性利得を得るために光リング外のブースタ半導体光増幅器が選択される。低偏光依存性利得の半導体光増幅器を利用することで、レーザの出力光の偏光状態のばらつきは殆どなくなるが、掃引中のレーザ出力の偏光状態のばらつきをなくすことはできず、これがSS−OCTシステムの性能を低下させる可能性がある。ここに開示されるいくつかの実施形態では、振幅及び偏光の双方のばらつきを克服する。レーザリング内の低偏光依存性利得の半導体光増幅器の出力で偏光ばらつきがあっても、ブースタ半導体光増幅器が一の偏光軸において十分な増幅を行い、全波長において利得飽和に達するためである。
【0021】
本発明の一の目的は、FDMLレーザの長いリング空洞を周回する光の偏光状態を安定化する方法を提供することである。これら方法は、FDML原理を利用するSS−OCTシステムの性能と製造可能性を向上させる。
【0022】
本発明の他の目的は、種々のタイプのSS−OCTシステムから、干渉計システムで直接取得される安定した基準クロックを生成する光電子装置及び方法を開示することである。これら方法は、位相雑音を減少させ、ダイナミックレンジを拡張し、得られた干渉信号の取得スピードを向上させる。
【0023】
本発明のさらに他の目的は、FDMLを利用するSS−OCTシステムのフィードバックを安定化させる光電子装置及び方法を開示することである。開示された実施形態には、周波数アジャイルのデジタルダイレクト合成器(DDS)波形生成器と、電子フィードバック変数を最適化するデジタルマイクロコントローラとが含まれている。併せて、FDMLレーザの波長掃引が開始する波長を安定化させる方法も開示されている。
【0024】
本発明のさらに他の目的は、波長可変レーザの光周波数掃引のデューティサイクルを線形化し、かつ向上させる方法を開示することである。これら方法は、高い走査繰り返し率で作用し、ピエゾ電子又はマイクロ電気機械システム(MEMs)のアクチュエータ(共振性が高いアクチュエータを含むが、それらに限られない)に適用される。
【0025】
本発明のさらに他の目的は、折り返しアーティファクトを低減することである。一の実施形態では、検査対象部分がその反対側に投影されると、折り返しアーティファクトが発生し、最終的に得られる画像が不鮮明になってしまう。折り返しアーティファクトとは、ここで用いられるように、位相ラッピング、ラップアラウンド、及びOCTデータキャプチャが関係するエイリアシングが原因の不鮮明さ、のいずれをも指す。
【0026】
上記方法及びシステムは、以下の説明、図面及び請求の範囲によって説明される。
【0027】
本発明の上記目的及び特徴は、下記の詳細な説明を、添付の図面と併せて参照することにより、より完全に理解される。図面は、概して発明の本質を説明することに重点が置かれ、必ずしも縮尺どおりではない。図面中、異なる図面を通して使用されている同一符号は、同一部位を示す。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の一実施形態におけるSS−OCTシステムのブロック図を示す。
【図2】本発明の一実施形態における、偏光安定性が高い出力を行うFDMLの好適例を示す。
【図3】本発明の一実施形態による、偏光モード分散を減少させるためにα〜90度角で配置された一対の光ファイバコイルを有する図2の光遅延要素の他の構成を示す。
【図4】本発明の一実施形態による基準クロック発生器の概要を示す。
【図5】本発明の一実施形態による、図4の周波数逓倍器の他の2つの実施形態5(a)及び5(b)を示す。
【図6】本発明の他の実施形態による2つの周波数逓倍器6(a)及び6(b)を示す。
【図7】本発明の他の実施形態による、従来のマッハ・ツェンダー基準クロック干渉計を3×3位相スプリット干渉計に置き換えた基準クロック発生器を示す。
【図8】本発明の一実施形態による、2つの直交出力を最初にゼロ交差検出器を通過させ、次いでXOR演算し、周波数が2倍のADCクロックを生成する図7の基準クロックの変形例を示す。
【図9】本発明の他の実施形態による基準クロック例を示す。
【図10】、本発明の一実施形態による、メイン干渉計からのOCT信号を直交検出するための独立のクロックとして直角位相の基準クロックが採用される構成を示す。
【図11】本発明の一実施形態による、メイン干渉計からの平衡直交位相OCT信号をデュアルチャンネルで取得するための4×4結合器の利用を示す。
【図12】本発明の一実施形態による、FDMLを利用したSS−OCTシステムの駆動周波数を最適化及び安定化させるためのデジタルフィードバックループの具体例を示す。
【図13】本発明の一実施形態による、FDMLレーザ中の周波数同調要素の駆動波形の周波数を最適に及び不適切に(低すぎる又は高すぎる)に調整したときのクロックフリンジ制御信号の振幅と形態(RMSフリンジ振幅)の測定結果を示す。
【図14】本発明の一実施形態による、FDMLレーザ中の周波数同調要素に加えられるbcバイアス電圧を最適化及び安定化させるためのデジタルフィードバックループの具体例を示す。
【図15】本発明の一実施形態による、ピエゾ駆動のファブリ・ペローフィルタの典型的な高い共振周波数応答を示す。
【図16】本発明の一実施形態による、例示の駆動波形の線形化法の基礎とされるフーリエ合成法の原則を示す。
【図17】本発明の一実施形態による、ピエゾ駆動のファブリ・ペロー同調フィルタの合成高調波を線形化する構成例を示す。
【図18】本発明の一実施形態による、同調フィルタ線形回路の具体例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下の説明においては、本発明のいくつかの実施形態を示す添付図面を参照する。他の実施形態も可能であり、また本発明の範囲を逸脱しない範囲で実施形態に変更を加えることも可能である。したがって、下記の詳細な説明は、本発明を限定するものではない。むしろ、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲に基づいて定められる。
【0030】
本発明は、概して、例えば死体又は生体内の組織等、種々の組織を撮影するのに適した改良版波長可変OCT(SS−OCT)に利用される装置及び方法に関する。典型的には、これらシステムは、フーリエドメインモードロッキング(FDML)アプローチに基づくものである。ここで述べるシステム及び方法において、フーリエドメイン・モードロッキング(FDML)を利用することにより、光走査の深度が大きくなるとSN比及び解像度が低くなるという問題が解決される。しかしながら、FDMLを利用したSS−OCTシステムの現実の実施においては、いくつかの技術的な課題が見られる。
【0031】
第一に、FDMLを利用したSS−OCTシステムの作動時において、安定性及び低ノイズ状態を確実にするために、レーザ空洞の複屈折性及び分散特性の影響を最小限に抑える必要がある。第二に、周波数モードロック状態を維持するために、同調フィルタを駆動させる波形周期は、位相ジッタが極めて低くなければならず、かつ、レーザ空洞内で生じる往復遅延と正確に合致する必要がある。駆動波形と往復遅延との周期が、極僅か(例えば10ppm)異なるだけでも、レーザの干渉性及びノイズ特性は著しく低減する。
【0032】
さらに、外部の影響を相殺するために、空洞の長さに応じて駆動波形の周期を変化させる必要がある。第三に、取得された干渉信号の位相及び振幅の特性を一定にするために、都度の掃引において、掃引開始の波長が一定でなければならない。第四に、高解像度で出力を行うFDMLレーザを確実にリアルタイムで操作するために、干渉信号を高速かつ正確な光周波数間隔でサンプリングしなければならない。
【0033】
本発明の態様は、FDMLを利用した種々のSS−OCTシステムに特定部品を組み込み、全体の構造に適応させることで上記課題に対処する装置及び方法を説明するものである。したがって、ここで述べる本装置及び方法は、安定的に、低ノイズで、かつ効率よく、高速でSS−OCTを操作することを可能とし、連続的にリアルタイムで画像表示させる。ここに述べる方法は、SS−OCTシステムの従来の実施における課題(コストが高いこと、構造が複雑なこと、ノイズ特性が低いこと、走査範囲が限られていることを含む)を解決するものである。
【0034】
特に、ここに開示するシステムのいくつかにおいては、光回路での伝送時間を電子回路での切替時間に一致させるために一又は複数の長い光ファイバーループが使用されるため、温度変化及び機械的ストレス等の外部の影響により、光ファイバ内で望ましくない偏光効果が生じる。ここに開示する実施形態は、レーザリング内の偏光依存性利得が低い半導体光増幅器の出力で偏光ばらつきがあっても、ブースタ半導体光増幅器が一の偏光軸において十分な増幅を行い、全波長において利得飽和を達成し、振幅及び偏光のばらつきを解決するものである。このように、光回路での伝送時間を電子回路での切替時間に一致させるために長い光ファイバを使用することで生じる課題に対し、この半導体光増幅器をもって対処する。
【0035】
本発明の全体態様、並びに上記課題に対処するシステム及び方法を示す種々の実施形態は、添付の図面でさらに詳細に説明される。図1は、OCTプローブの利用に適した、FDML利用のシステムSの概要を示す。一方、図2は、望ましくない偏光効果を是正するための、例えば半導体光増幅器(これに限らない)のような利得要素の利用に関する詳細を示す。さらに、図3のシステムは、本発明の実施形態による図2の光遅延要素の他の構成を示し、この光遅延要素は、偏光モード分散を減少させるためにα(〜90)度角で配置された一対の光ファイバコイルを有する。
【0036】
図1に戻り、種々の特定部品を備えるSS−OCTシステムSを説明する。図1に、本発明の実施形態で基本となるシステムの主要な部品を示す。詳しくは、図1は、光遅延要素1、光周波数同調要素2a、及び第一利得要素を有する波長可変(波長掃引)レーザLを示す。周波数同調要素2aは、周波数アジャイルのDDS(ダイレクトデジタルシンセサイズド)波形生成器3及びDA変換器4から、制御入力を受ける。このシステムSは、FDMLを実行し、上記利点を奏するよう構成されている。レーザLからの光は、OCTプローブと光学的に連通するメイン干渉計へ入射される。OCTプローブからの光は、メイン干渉計に返され、受光器で受光された後、最後にスキャンデータに変換される。
【0037】
図1に示すように、FBG(ファイバブラッググレーティング)フィルタ6からの波長同期信号(λsyn)を入力し、レーザを安定させるためのマイクロコントローラ5も、システムSの一部品である。基準クロック発生器7は、基準クロックをメインAD変換器(ADC)に直接送る。本システムでは、基準クロック発生器7からマイクロコントローラ5へとクロックフリンジ制御信号も入力される。概して、図1に示される経路は、本実施形態に適するように図示される要素同士を経路に沿って電気的又は光学的に接続している。
【0038】
図示されるように、FDMLレーザLからの光は、メイン干渉計によって、リファレンス経路とサンプルとに分割される。電子干渉信号は平衡受光器によって検出される。そして、受光器の出力信号は、メインADCで高速処理される。レーザLからごく僅かな光が基準クロック発生器7に入ることにより、1)メインADCに入力するための低ジッタの基準クロックと、2)周波数同調要素2aの交流駆動波形を安定させるために制御変数として用いられるクロックフリンジ信号とが生成される。
【0039】
周波数同調要素として、例えばピエゾ駆動のファブリ・ペローフィルタや検流計駆動の格子フィルタが含まれる。レーザLからのごく僅かな光は、狭帯域のファイバブラッグ格子フィルタを通過し、波長同期パルスを生成する第3受光器にも送られる。この同期パルスは、周波数同調要素の直流バイアス電圧を制御する参照時間マーカとして用いられる。マイクロコントローラは、交流駆動波形の周波数と直流バイアス電圧とをフィードバック制御するためのデータ取得とデジタル処理を行う。交流駆動の周波数は、マイクロコントローラが生成するデジタル制御ワード(通常は4バイトかそれ以上)に応じて、DDS波形生成器(例えば、アナログデバイセズ社のAD9952)によって制御される。
【0040】
通常、DDS波形生成器3は、20〜100KHz範囲で正弦波を生成するよう構成されており、その周波数は0.05Hzより高い分解能で高速変化する。波形のジッタを極力低くするために、水晶振動子のように高周波数(通常は100MHzを越える)で安定性の高い(10ppm未満)振動子を、DDS波形生成器3の基準クロックとして利用することができる。また、上記内蔵マイクロコントローラは、周波数同調要素の直流バイアス電圧を制御するためのデジタル制御ワードをDA変換器4に送信する。
【0041】
図1のシステムの概要と異なり、図2は、偏光安定性が高い出力を行うFDMLレーザの好適例を示す。図2の実施形態は図1のシステムで利用することができる。図2のFDMLレーザは、上述した機械的及び熱的ストレスで発生する、問題となる偏光効果に対処する。おおかまなレイアウトは特許文献2で開示されているものと似ているが、特定の要求を満たすために、第一及び第二利得要素が選択されている。特に、光ファイバリング(空洞)中の半導体光増幅器(SOA)、すなわち第一利得要素は、低偏光依存性利得(PDG)を得るために選択される。また、ブースタ半導体光増幅器、すなわち例示の第二利得要素は、高偏光依存性利得を得るために選択される。偏光依存性利得(PDG)に関して「高」「低」という用語を利用するときは、高PDG要素の偏光依存性は低PDG要素の偏光依存性より大きいといったように、偏光利得の依存性の相対的なベルを示す。
【0042】
一の実施形態では、PDGが約3dBより低い増幅器等の利得要素は、低PDG利得要素と考えられ得る。一方、PDGが約3dB以上の増幅器等の利得要素は、高PDG利得要素と考えられ得る。また、この意味では、3dBPDGというのは、二直交偏光状態が互いに3dB以内に増幅されることを意味する。
【0043】
リングで使用されるSOA(高PDG型でも低PDG型でも)が一つだったり、同じようなPDGのSOAがリングとブースタとの両方で使用される従来の構成では、レーザが広域波長で掃引すると、出力光の偏光状態のばらつきが大きくなる。これら影響の原因として考えられるのは、リング内の光遅延要素や他の光要素内の偏光モード分散(PMD)の波長依存特性である。レーザ出力における掃引中の偏光状態のばらつきは、SS−OCTシステムのパフォーマンスを低下させる可能性があるが、低PDGのSOAはそのばらつきを解消するものではないことに留意すべきである。
【0044】
図2で示される構成は、振幅及び偏光のいずれのばらつきも解消する。低PDGリングSOA(第一利得要素)の出力で偏光にばらつきがあるとしても、ブースタSOA(第二利得要素)が一の偏光軸において十分な増幅を行い、全波長において利得飽和を達成するからである。
【0045】
さて、図3に移行すると、図2の光遅延要素の他の構成が示されている。具体的に、図3に示される光遅延要素は、一対の光ファイバコイルを有し、これらは偏光モード分散(PDM)を低減するために互いに角度φ(〜90)度角で配置されている。図3に示される光ファイバ遅延要素の分割コイル構造は、FDMLシステムで光回路の伝送時間を電子回路の切替時間に一致させるため用いられる光ファイバリング内で、PDMの影響をさらに減少させるよう考案されたものである。コイルを実質的に90度と同等の角度φで配置することで、第一コイル内での直交偏光モード間の群遅延の差異は、第二コイル内での相対差異により相殺される。この相殺効果は、2つのコイルの複屈折軸の直交配置により生じる。このように、図3に示される実施形態は、より大きな光リングを用いた場合に顕著となる望ましくない偏光効果をさらに減少させる。
【0046】
概して、本発明は、FDMLを利用するOCTシステムに使用される部品の選択及び組合せに関する。基準クロック発生器の選択も、本発明に属する。図1に示すように、基準クロック発生器7は、他の複数の制御装置及びFDMLレーザに接続されている。基準クロックの機能は、二つの面がある。一つはメインADC用の基準クロックを発生させるため利用されること、もう一つはマイクロコントローラ5で使用されるクロックフリンジ制御信号を発生させるため利用されることである。
【0047】
図1に示されるように、マイクロコントローラ5は、FDMLレーザに接続又は一体化された周波数同調要素を制御する最適な駆動周波数を決定するために、クロックフリンジ制御信号を利用する。基準クロック発生器は、基準クロック干渉計で生成される正弦波干渉信号からの低ジッタクロックパルスを発生する。クロックパルスの間隔がレーザの掃引につれて変化しても、光周波数領域のクロックエッジは等間隔に維持される。これら特徴により、複雑なリサンプリング装置を必要とせずとも、特定の高速ADC、例えば周波数可変クロックも許容するフラッシュADCやパイプラインADC(例えば、AD9340)等に直接クロックを出力することが可能となる。このように、光パルス列の同期の重要性を考慮すると、それに関するクロック発生器の選択や種々の機能強化が、OCTプローブから得られるスキャンデータの全体的な質を向上させる。基準クロック発生器の実施形態に関する他の細部が、図4〜図10でさらに詳細に示されている。
【0048】
図4は、マッハ・ツェンダー干渉計10の平衡出力から、ADCで用いられる安定したクロックを発生する、基準クロック発生器8の実施形態の概略を示す。周波数逓倍器14(M=2,3,…)により、ADCに出力するクロックの周波数を、マッハ・ツェンダーの干渉信号の基本周波数より高い周波数にすることが可能となる。水晶振動子12やRFクロックスイッチ13といった、連続的にクロッキングを行うADCの利用を可能とするオプショナル部品を有する基準クロック発生器の実施形態もある。
【0049】
図4は、基準クロック発生器8の基本構成を示す。受光器は、本実施形態で、光路長の差がΔLであるマッハ・ツェンダー干渉計10として示される基準クロック干渉計からの光干渉信号を、周波数が変化する正弦波形に変換する。この波形は、FDMLレーザの掃引で生じる周波数帯域を通過するように、周波数fL及びfH間の周波数帯域成分を選択的に透過させる通過帯域フィルタによってフィルタリングされる。フィルタリングされた波形は、掃引中に生成される干渉信号の振幅を均一化し、ゼロ交差検出後の位相エラーを低減するために、自動利得制御(AGC)増幅器を通過する。
【0050】
オプショナルの周波数逓倍器14は、前記周波数帯域を通過した波形の周波数を、通常2〜4逓倍増幅する。周波数逓倍器14(M=2,3,…)により、ADCに出力するクロックの周波数を、マッハ・ツェンダーの干渉信号の基本周波数よりも高い周波数にすることが可能となる。これにより、波長可変レーザは、上記の光路長差がレーザのコヒーレンス長と同等に設定される際のナイキスト周波数よりも高い同期ADCクロッック周波数を生成できる。このため、逓倍処理によって、長い走査範囲を有する高解像度SS−OCT用に設計されたクロック発生器の能力が高められる。逓倍処理の後、逓倍処理前の基本周波数を有する信号に含まれていた不要な高調波や残差信号成分を除去するため、波形が再度フィルタリングされる。
【0051】
また、図4の実施形態では、波形は、ゼロ交差検出器により、時間領域では可変間隔のパルス列に変換されるが、光周波数領域では等間隔のパルス列に変換される。オプショナルのクロックスイッチは、水晶振動子やRFクロックスイッチで構成されており、周期的な掃引中に生成される可変周波パルス列に、固定周波パルス列を割り込ませる。クロックスイッチは、連続的なクロック入力を必要とするADCの利用を可能とする。
【0052】
図4の周波数逓倍器の他の2つの実施形態が、図5(a)及び図5(b)に示されている。具体的に、2つの周波数逓倍器の実施形態は、正弦波干渉信号を2倍(M=2)にし、本発明の実施形態による取得時間中の範囲f〜fで掃引する周波数にする。図5(a)では、アナログ乗算器は二乗回路として構成され、2つの入力は共に図4の平衡受光器4の出力から得られる。
【0053】
図5(a)において、周波数逓倍器は、周波数倍増器として構成されるアナログRF乗算器(例えば、アナログ乗算器AD834やAD835)である。この構成により、正弦波入力を二乗して、周波数が2倍の正弦波を得る。帯域通過フィルタは、乗算の過程で生じるオフセットを除去する。図5(a)の他の実施形態が図5(b)に示されている。図5(b)において、周波数倍増器は、入力される正弦波形を、相対位相差が90度の2つの正弦波形に分割する。
【0054】
図5(b)では、位相差90度の一対の正弦波信号を周波数に殆ど影響されることなく生成するために、位相シフトパワースプリッタが使用される。2つの入力がアナログ乗算器に送られ、周波数が2倍の正弦波が生成される。位相がシフトされた2つの正弦波が乗算され、周波数が2倍の1つの正弦波が生成される。図5(a)の実施形態とは異なり、図5(b)の実施形態では、乗算の過程でオフセットが生じないため、帯域通過フィルタを必要としない。
【0055】
図6は、本発明の実施形態によるクロック周波数の倍増に利用される2つの他の周波数逓倍器の実施形態を示す。図6(a)の実施形態では、最初にゼロ交差検出器が基準クロック干渉計によって出力された正弦波を方形波に変換する。次いでこの方形波とそのデジタル遅延波との排他的論理和(XOR)を演算によって、ADCで利用されるクロック信号を入力正弦波の2倍の周波数のクロックとして生成する。上記デジタル遅延波(遅延パルス例)は、デジタル遅延列により生成される。ここでの遅延τは、最短パルス間隔の4分の1に設定される。
【0056】
図6(b)の実施形態では、位相シフトパワースプリッタで位相差90度の一対の正弦波信号が生成される。具体的には、パワースプリッタが入力正弦波を相対位相差90度の2つの波形に分割する。次いでこれらの信号は方形波に変換され、XOR演算されて、周波数が2倍のADCクロックが生成される。本実施形態では、基準クロックが、広周波数帯域の全域に亘り常時50%のデューティサイクルを維持する利点がある。パイプライン型ADCの殆どは、能力を向上させるために、略50%のデューティサイクルで作動される。
【0057】
図7〜図9の基準クロック発生器の実施形態で示すように、電気領域と同様に光領域でも、干渉信号の周波数の逓倍処理に必要な遅延が実現される。これらの実施形態は、N×Nファイバ結合器を備えた干渉計内で結合する光信号間の位相関係を利用する。
【0058】
例えば、図7の位相スプリット干渉計は、従来のマッハ・ツェンダー干渉計(光路長差ΔL)の出力2×2結合器を、3×3結合器に置き換えることで構成されている。3×3結合器が特定の分割値(〜約29.3%:〜約41.4%:〜約29.3%)を有するとき、2つの出力の干渉信号は相対位相差が90度となる。図7の実施形態では、2つの等振幅出力を直角位相にするために、約29.3%:約41.4%:約29.3%のパワースプリット率が選択される。これら2つの出力を乗算し、ゼロ交差検出器を通過させる。このように、電気信号を別々に処理し、アナログ乗算器で結合して、周波数が2倍の正弦波を生成する。あるいは、図8に示すように、位相がシフトされた信号を、上述のデジタルXOR演算を利用して処理し、周波数が2倍のADC基準クロックを生成してもよい。
【0059】
レーザの強度雑音で生じるクロック信号の減衰を抑えるために平衡光検出が必要なシステムでは、図9に示す実施形態が好適だと思われる。図9に示すように、従来のマッハ・ツェンダー干渉計の出力2×2結合器を、4つの出力を同等の光パワーに分割する4×4結合器に置き換えて、位相が反対極性にシフトされた光信号のペアを二対生成する。本実施形態は、直角位相関係にある平衡出力を生成する4×4位相スプリット干渉計を利用する。図8の実施形態のように、合成光信号を、デジタルXOR演算を利用して処理し、周波数が2倍のADC基準クロックを生成する。
【0060】
図10は、基準クロック発生器のさらに他の実施形態を示す。図4〜図9の実施形態とは異なり、本実施形態では、直角位相関係にある2つの独立したADC基準クロックを生成する。基準クロック干渉計の光路長差(ΔL)により設定された基本基準周波数の一対のADCチャンネル上のメイン干渉計から、OCT干渉信号を得るために、これら正弦・余弦クロックが利用される。
【0061】
OCT信号の複素フーリエ変換により、サンプルの深さ方向分析が再現されると共に、複素共役の曖昧さから生じる画像アーティファクトが抑えられる。SS−OCTシステムで実測値の干渉信号の実数成分をフーリエ変換して深さ方向分析を再現すると、基準反射器の両側で同距離オフセットした反射体が重ね合わさって生じるアーティファクトが問題となる。図11に示すように、メイン干渉計から直角位相の信号(複素数信号)を取り出すために、同じADCクロックで同期する一対のADCを利用して、相似の光位相スプリット法が用いられる。
【0062】
FDMLレーザを利用するSS−OCTでは、高SN比かつ広ダイナミックレンジを達成するために、レーザの繰り返し速度を規定するac駆動波形と、掃引の中心波長を規定する周波数同調要素のdcバイアスとの双方を、精度よく制御する必要がある。一の実施形態では、最適なac駆動波形は、空洞内の往復時間と波形の周期が一致し、レーザの瞬間線幅が最小になったときの周波数とされる。この周波数で、光遅延要素のゼロ分散波長(通常は1310−1315nm)でレーザが走査する時間t=τのとき測定すると、基準クロック干渉計の受光器が出力する干渉信号の瞬時RMS振幅Φ(t)が最大に達している。したがって、振幅Φ(τ)を最大に調整すると、最適な駆動周波数となる。
【0063】
図12は、デジタルフィードバックループの好適な一実施形態を示しており、狭帯域(通常、1nm未満)のファイバブラッグフィルタを介して1310nmでパルスを伝送した時にADCでφ(t)を記録するマイクロコントローラが使用される。マイクロコントローラは、記録値φ(t)が最大値に達するまで、低ジッタで周波数アジャイルのDDS波形生成器の周波数を調整する。図12の実施形態では、基準クロック発生器の受光器から出力され狭帯域フィルタリングされた干渉信号の瞬時RMS振幅を検出することで、クロックフリンジ制御信号が得られる。RMS振幅は、FDMLレーザに備えられた光遅延要素のゼロ分散波長(1310nm)で周波数同調要素が走査する時に、コントロールADCでサンプリングされる。
【0064】
ここで図13に移行すると、基準クロック干渉信号の瞬時RMS振幅が、最適調整周波数と、該最適値の上下の周波数とにおいて、どのように変化するかが示されている。波形の周波数は、連続的に更新することもできるし、レーザの最大ドリフト値で規定される間隔で断続的に更新することもできる。ac駆動波形に加え、周波数同調要素のbcバイアスも、FDMLを利用したSS−OCTシステムが最高な性能を発揮するために、調整することができる。
【0065】
図14に、dcバイアスを最適化するためのデジタルコントロールループの一実施形態を示す。すなわち、このループでは、ac駆動波形がゼロ交差した後の固定遅延と一致するゼロ分散波長(1310nm)で、周波数同調要素が走査する時まで、dcバイアスの大きさが調整される。このループでは、同調要素の電圧感度を変化させる外部環境に左右されずに、固定波長でレーザの波長走査が開始されるよう、dcバイアスが調整される。周波数最適化コントロールループ(図13)で採用されたのと同様のファイバブラッグフィルタが、波長基準として採用される。DA変換器(DAC)を介してdcバイアスを調整することで、マイクロコントローラは、DDS発生器からのac駆動波形のゼロ交差と、ファイバブラッグフィルタに接続された受光増幅器の出力先の比較器で生成されるパルスエッジとの間の時間間隔を、一定レベルに維持する。
【0066】
ここに開示するシステムを実施する際に、波形の生成と、フィルタの様式と、レーザの動作との関連性と、これらに関する商業的実現可能性とを考慮することは重要である。(1)正弦波形は安価なDDS集積回路で容易に生成でき、(2)共振応答性の良い高速同調フィルタの殆どが正弦波駆動で最も良く作動するが、正弦波を適用する際のこの利点を全てのレーザが享受できるわけではない。例えば、正弦波波長掃引ではなく、線形波長掃引を行うレーザは、SS−OCTシステムにとってより高性能の光源となる。正弦波波長掃引では、瞬時基準クロック周波数が、正弦波の1周期での傾きに比例して、広周波数帯域に亘り変化する。通常、高精度の高速ADCは、既定帯域(例えば、約40〜約210MHz)のクロック周波数を許容する。その結果、干渉計で測定できる実際のデューティサイクルは、通常、約33%に限られる。また、ナイキストサンプリング周波数は、基準クロック周波数に比例して、連続的かつ急激に変化する。種々の実施形態で示されたトラッキングフィルタと直線化アプローチは、この実際のデューティサイクルの制限を克服する。
【0067】
したがって、一の実施形態では、OCT画像の好ましくない折り返しアーティファクトとなるエイリアシングを防ぐため、AD変換前の干渉信号に適用されるアンチエイリアスフィルタのカットオフ周波数が、瞬時サンプリング周波数の2分の1(またはそれ以下)をトラックするように設定している。適切なトラッキングフィルタは、例えばバラクタ同調型LC回路を使用して構成することができる。しかしながら、トラッキングコントローラを適切に同期するためには、複雑なデジタル又はアナログの制御回路が必要となるし、また、所望の鮮明さを得るために、通常フィルタは、部品用の狭い空間の中で多段に構成される。これに対し、いくつかの実施形態では、同調フィルタの波長掃引の大部分を直線化することが、代替策として提案され得る。
【0068】
ここに示されるマッハ・ツェンダークロッキング法を使用することで、高デューティサイクルの線形波長掃引により、正弦波波長掃引よりも周波数分布が小さい基準クロックパルスが多量に生成される。このようにして、データ取得速度の最大値がより小さく、折り返しアーティファクトがより少ない高速撮影が可能となる。残念ながら、従来の三角波形又はランプ波形を使用して、市販のファブリ・ペローフィルターの高速線形動作を得ることは難しい。このような広帯域の波形は、アクチュエータが強い共振挙動を示す周波数を含んでいるからである。三角波又はランプ波の駆動波形でフィルタを励起すると、所望の線形走査よりも、共振周波数の正弦波に近い振幅が生成されてしまう。
【0069】
図15の周波数感度特性の測定結果で示されるように、ピエゾアクチュエータを利用するフィルタは、通常、40〜75KHzの範囲の周波数で、高いクオリティ・ファクタ(Q=4〜8)の共振を示す。これらフィルタを三角波又はランプ波で励起するために、極めて不規則な振幅及び位相応答の補正を行う長期間に亘り、駆動波形を調整して線形の共振を起こさせる。
【0070】
さらに、図16では、フーリエ合成法の原則により基本正弦波及びその高調波正弦波を総和し、その総和に基づいて駆動波形を合成する新規の方法を示す。基本正弦波と2又は3の高調波の重み付き総和を行うだけで、駆動波形の線形近似振幅の減衰の周期を著しく延ばすことができる。f=45KHzの波形の例が示されている。この方法の第一の利点は、フィルタの強い共振応答を避けるために、基本波及びその高周波を選択できることである。また、図17に示すように、この方法の第二の利点は、平滑化された三角波又はランプ波を合成するために、少数の高調波だけで足りることである。さらに、第三の利点は、同調フィルタの極めて不均一な振幅及び位相応答を補正するために、正弦波成分の振幅及び位相を調整できることである。
【0071】
図17についてみると、2位相固定デジタルダイレクト合成器(DDS)正弦波発生器の出力が加算・増幅されて、ピエゾアクチュエータの駆動波形が生成される。DDS発生器の位相と振幅は、干渉計信号のサンプリング中、最大のデューティサイクルと駆動波形部分の線形部分を得るように調整される。
【0072】
図18に、2位相固定デジタルダイレクト合成器(DDS)正弦波発生器を利用する同調フィルタ線形回路を示す。この回路は、図15に示す周波数感度特性を有するピエゾ駆動のファブリ・ペローフィルタで、平滑なランプ波への変換を行うために設計されたものである。このフィルタの基本励起周波数(45KHz)は、レーザの繰り返し周波数を規定するもので、通常は、この周波数と第二高調波(90KHz)との双方が、フィルタ応答の主共振ピークより外側に位置するように選択される。実際は、約45KHzと約90KHzの正弦波の相対振幅は、駆動波形の下がる部分でクロック周波数範囲が最も狭くなるように調整される。
【0073】
この同調プロセスは、クロック信号のフーリエ変換を表示するために設けられたオシロスコープでリアルタイムで実行される。テスト結果では、2正弦高調波駆動波形は、従来の正弦波駆動波形に比較し、約100nmの同一掃引範囲を維持しつつ、最大クロック周波数が30%、周波数スパンが3ファクタ低減されている。これらの改良により、システムの信号NS比が向上し、一定のアーティファクトが減少する。
【0074】
当然ながら、ここに開示された技術の組合せが発明の種々の態様の対象となる。また、ここで採用された用語や表現は説明のためのもので何ら限定を加えたり、これら用語や表現の使用においては記載された特徴及びその部分と均等のものを除外したりする意図はなく、発明の範囲内で種々の変形は可能と認められる。以上より、特許証により保証が要求されるのは、以下の請求の範囲により明確に区別される発明であり、均等のものを全て含む。
【0075】
本出願は、2007年1月10日に出願された米国特許出願第60/879,880号明細書に基づく優先権を主張し、その出願の全ての内容はこの明細書中に参照により援用されている。
【符号の説明】
【0076】
1…光遅延要素、2…光周波数同調要素、3…波形生成器、4…DA変換器、5…マイクロコントローラ、6…ファイバブラッグ格子フィルタ、7…基準クロック発生器、8…基準クロック発生器、10…マッハ・ツェンダー干渉計、12…水晶振動子、13…RFクロックスイッチ、14…周波数逓倍器、S…SS−OCTシステム、L…FDMLレーザ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光断層撮影データ収集器であり、
それぞれ異なる偏光依存性利得を有する第一利得要素及び第二利得要素と、
空洞が形成されたフーリエドメインモードロックレーザとを有し、
当該レーザは、レーザ空洞中に設けられた第一利得要素と光学的に接続される周波数同調要素を備え、
第二利得要素はレーザ空洞外に設けられ、
第一利得要素の偏光依存性利得は第二利得要素の偏光依存性利得よりも小さい光断層撮影データ収集器。
【請求項2】
メイン干渉計が出力する干渉信号をサンプリングするAD変換器に、クロック信号を出力する基準クロック発生器と、
当該基準クロック発生器から得られる制御信号の少なくとも一つを用いて、フーリエドメインモードロックレーザに備えられた周波数同調要素の駆動周波数を安定化するデジタルコントロールシステムと
をさらに有する請求項1に記載の光断層撮影データ収集器。
【請求項3】
前記フーリエドメインモードロックレーザは、偏光モード分散効果を低減するように相対的な配置が調整された一対のファイバコイルを有する光遅延要素をさらに備える請求項1に記載の光断層撮影データ収集器。
【請求項4】
前記基準クロック発生器は、基準クロック干渉計、受光器、自動利得制御増幅器、周波数逓倍器、ゼロ交差検出器及びクロックスイッチから成る群より選択される一の要素をさらに備える請求項2に記載の光断層撮影データ収集器。
【請求項5】
前記基準クロック発生器は、一対の2×2ファイバ結合器を備えるマッハ・ツェンダー干渉計、サンプルアームとリファレンスアームの長さが不一致のマイケルソン干渉計、2つの部分的反射面を有する要素を備える共通光路マイケルソン干渉計及びファブリ・ペロー干渉計から成る群より選択される一の要素をさらに備える請求項2に記載の光断層撮影データ収集器。
【請求項6】
前記基準クロック発生器はアナログ乗算器をさらに備え、当該アナログ乗算器は、入力された干渉信号を乗算する機能を実行する請求項2に記載の光断層撮影データ収集器。
【請求項7】
前記基準クロック発生器はアナログ乗算器をさらに備え、当該アナログ乗算器は、位相シフトパワースプリッタを介して伝送される干渉信号から取得される2つの信号を乗算する請求項2に記載の光断層撮影データ収集器。
【請求項8】
前記基準クロック発生器は、位相がシフトされた2つのパルス列を伝送するための排他的理論和演算回路を有し、当該パルス列は、干渉信号に適用されるゼロ交差検出器とゼロ交差検出器が出力する遅延レプリカとから取得される請求項2に記載の光断層撮影データ収集器。
【請求項9】
前記基準クロック発生器は、位相がシフトされた2つのパルス列を伝送するための排他的理論和演算回路を有し、当該パルス列は、位相シフトパワースプリッタから取得される正弦波に適用される一対のゼロ交差検出器から取得される請求項2に記載の光断層撮影データ収集器。
【請求項10】
前記基準クロック干渉計は、2×2結合器と3×3結合器との組合せから、位相がシフトされた干渉信号を周波数変調のために生成し、3×3結合器のパワースプリット率は、位相が概ね90度異なる2つの干渉信号を得るよう選択される請求項2に記載の光断層撮影データ収集器。
【請求項11】
4×4結合器をさらに備え、当該4×4結合器は、直交位相関係を有する2つの平衡信号を生成し、
前記基準クロック発生器は、AD変換器に出力するクロック信号を1つ生成する請求項2に記載の光断層撮影データ収集器。
【請求項12】
前記基準クロック発生器は、AD変換器に出力する位相が90度異なる2つのクロック信号を用いてOCTデータを記録することにより、フーリエ変換用の複素信号を生成する請求項2に記載の光断層撮影データ収集器。
【請求項13】
光断層撮影方法であり、
空洞が形成され、当該空洞中に設けられた第一利得要素を備えるフーリエドメインモードロックレーザから光を照射する段階と、
第一利得要素及び第二利得要素がそれぞれ異なる偏光依存性利得を有し、第一利得要素の偏光依存性利得は第二利得要素の偏光依存性利得よりも小さい場合において、前記空洞外に設けられた第二利得要素を介して照射された光を伝送する段階と、
メイン干渉器の出力における干渉信号を、基準クロック発生器からクロック信号が入力されるAD変換器を用いてサンプリングする段階と、
少なくとも一の制御信号が基準クロック発生器から取得されるデジタル制御システムを用いて、レーザの周波数同調要素の駆動周波数を最適化する段階と、
を含む光断層撮影方法。
【請求項14】
前記メイン干渉計からのOCT信号をデュアルチャンネルで取得するために、4×4結合器を用いて直交位相関係を有する2つの平衡信号を生成する段階をさらに含み、前記基準クロック発生器からAD変換器へ出力されるクロック信号は1つだけ必要とされる請求項13に記載の光断層撮影方法。
【請求項15】
前記駆動周波数を最適化する段階は、
光遅延要素のゼロ分散波長付近の狭通過帯域を有するファイバブラッグフィルタを介するパルス伝送時間τで、基準クロック干渉計の受光器から出力された干渉信号の瞬時RMS振幅φ(t)を測定する段階と、
φ(t)値が最大となるようにダイレクトデジタルシンセイサイザ発生器を調整する段階と、
をさらに含む請求項13に記載の光断層撮影方法。
【請求項16】
前記駆動周波数を最適化する段階は、
駆動波形のゼロ交差時点と初期レーザ掃引のゼロ交差時点との間の所望の遅延Dを測定する段階と、
固定遅延τ−Dを維持するようにDA変換器によってdcバイアスを調整する段階とをさらに含み、
τは、光遅延要素のゼロ分散波長付近の狭通過帯域を有するファイバブラッグフィルタを介するパルス伝送により測定される時間である請求項13に記載の光断層撮影方法。
【請求項17】
光断層撮影データ収集器であり、
入力と出力とを行う干渉計と、
当該出力からの干渉信号をサンプリングするAD変換器と、
それぞれ異なる偏光依存性利得を有する第一利得要素及び第二利得要素と、
空洞を有し、前記干渉計と光学的に接続されたフーリエドメインモードロックレーザと、
AD変換器にクロックを出力する基準クロック発生器と、
当該基準クロック発生器から得られる制御信号を用いて周波数同調要素の駆動周波数を安定化するデジタルコントロールシステムとを備え、
前記レーザは、レーザ空洞中に設けられた第一利得要素と光学的に接続された周波数同調要素を備え、
第二利得要素はレーザ空洞外に設けられ、
第一利得要素の偏光依存性利得は第二利得要素の偏光依存性利得よりも小さい光断層撮影データ収集器。
【請求項18】
前記レーザは、偏光モード分散効果を低減するように相対的な配置が調整された一対のファイバコイルを有する光遅延要素をさらに備える請求項17に記載の光断層撮影データ収集器。
【請求項19】
前記基準クロック発生器は、基準クロック干渉計、受光器、自動利得制御増幅器、周波数逓倍器、ゼロ交差検出器及びクロックスイッチから成る群より選択される一の要素をさらに備える請求項17に記載の光断層撮影データ収集器。
【請求項20】
基準クロック発生器はアナログ乗算器をさらに備え、当該アナログ乗算器は、入力された干渉信号を乗算する機能を実行する請求項17に記載の光断層撮影データ収集器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公表番号】特表2010−515919(P2010−515919A)
【公表日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−545595(P2009−545595)
【出願日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際出願番号】PCT/US2008/000341
【国際公開番号】WO2008/086017
【国際公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【出願人】(507094577)ライトラボ・イメージング・インコーポレーテッド (3)
【Fターム(参考)】