説明

活性水の製造方法

【課題】ミネラルや酵素を豊富に含み、人体や家畜などの動物、土壌や植物に対して様々な面で有益な活性水の製造方法を提供する。
【解決手段】少なくとも腐植土、動物の排泄物、野草由来の有用微生物活性剤及び発酵助剤を混合して一定期間発酵させて発酵物を得る発酵工程と、岩石としての花崗岩砕石1、多孔質材としての軽石砕石2及び発酵物3を、水が張られた容器4に入れて静置して原水を得る原水生成工程と、容器に空気を送り込んで一定期間曝気する曝気工程とを含むことにより、ミネラルや酵素を豊富に含み、人体や家畜などの動物、土壌や植物に対して様々な面で有益な活性水を製造することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人体に有益なミネラルならびに酵素を豊富に含んだ活性水の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、花崗岩などの岩石を通過した水には、カルシウムやマグネシウム、カリウムなどのミネラル分が豊富に含まれ、これを飲用水として用いることが好適であることが知られている。例えば、特許文献1には、花崗岩に含まれるミネラルを豊富に含む飲用水を得るためのミネラル溶出物質ならびにその製造方法が記載されている。
【0003】
また、微生物が分泌する分泌物が岩石を溶解することも知られている。特許文献2には、家畜または人の糞尿から固形分を除いた原液を、軽石を収納する曝気装置つきの槽内で有用微生物を培養させて好気処理し、次に、軽石と花崗岩砕石を収納する曝気装置付きの槽内で有用微生物により発酵仕上げさせて熟成させることにより、ミネラルを豊富に含んだ活性水が得られることが記載されている。
【0004】
【特許文献1】特開平9−175814号公報
【特許文献2】特開2004−283752号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献に記載されているように、ミネラルや酵素を豊富に含む活性水は、人体や家畜などの動物にとって有益だけでなく、土壌や植物に対しても様々な面で有益であることが知られている。
本発明もまた、ミネラルや酵素を豊富に含み、人体や家畜などの動物、土壌や植物に対して様々な面で有益な活性水の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、種々の鋭意研究を進めた結果、野草由来の有用微生物活性剤を用いると、岩石を溶解する分泌物を分泌する微生物の代謝活動を活性化させるとともに、活性水中に動物や植物、土壌に対して有益な酵素を含有させることができるという知見を得て、本発明を想到するに至った。
すなわち、本発明の活性水の製造方法は、少なくとも腐植土、動物の排泄物、野草由来の有用微生物活性剤及び発酵助剤を混合して一定期間発酵させて発酵物を得る発酵工程と、岩石、多孔質材及び発酵物を、水が張られた容器に入れて静置して原水を得る原水生成工程と、容器に空気を送り込んで一定期間曝気する曝気工程とを含むことを特徴とする。
【0007】
野草から抽出した成分により有用微生物が活発に代謝を行い、有用微生物から分泌物が多量に分泌される。そして、この分泌物によって岩石が分解され、岩石に含まれるミネラル成分が液中に多量に放出される。また、有用微生物から分泌された分泌物、ならびに、野草から抽出した成分には、複数種類の酵素が含まれているため、この酵素成分が液中にも多量に含まれることとなる。これらがそれぞれ単独または相互に作用することにより、人体や家畜などの動物、土壌や植物に対して様々な面で有益な活性水とすることができる。
【0008】
ここで、岩石とは、地殻上部や下部、マントル上部などの層に存在する鉱石のことをいい、花崗岩や玄武岩、かんらん岩などのミネラルとなる鉱物を多く含む鉱石を用いることが望ましい。また、多孔質材としては、火山から噴出した溶岩が急冷する際に、含有ガスが逸出して多孔質海綿状となった岩石である軽石を用いるとよい。この多孔質材は、有用微生物の住みかとして機能するものであり、このような住みかを提供することにより、有用微生物の代謝活動が活発に行われる。
【0009】
腐植土としては、糸状菌や細菌などの有用微生物が多く生息している広葉樹林の地表に積層された土を用いるとよい。また、動物の排泄物としては、牛や鳥のものを用いることが望ましい。牛の排泄物には有用微生物が多く含まれており、また、鳥の排泄物には未消化で排泄されたものが多く含まれ、有用微生物の栄養源となることから、これらを適宜混合して用いることができる。また、これら動物の排泄物は、排泄されたすぐの状態ではなく、所定期間静置して排泄物中に含まれる有用微生物により発酵させた完熟状態のものを用いる方が望ましい。
【0010】
また、発酵助剤としては、米糠、廃糖蜜の少なくとも一方を用いることが望ましい。米糠や廃糖蜜は有用微生物の栄養源となり、活発な代謝活動を促すことから、これらを用いるとよい。なお、米糠は、脱脂する際に高温、高圧にさらされると栄養素が減少してしまうので、脱脂していないものを用いる方がよい。
【0011】
ここで、有用微生物活性剤は、乾燥させたヨモギの葉を水に漬け込んで得られたヨモギエキス、または、乾燥させた寒根葛を水に漬け込んで得られた葛エキスを用いるとよい。
【0012】
ヨモギや寒根葛には、多数の酵素が含まれており、これらを乾燥させ、水に漬け込むことによって、酵素成分が多量に水に放出される。このようにして抽出したヨモギエキスや葛エキスを混合することにより、発酵工程ならびに原水生成工程における有用微生物の代謝活動が活発となり、有用微生物に多量に分泌物を分泌させることができる。
【0013】
また、岩石、多孔質材及び発酵物を、通気性を有する袋に入れ、吊り下げた状態で容器に投入することが望ましい。このようにすることにより、容器に岩石や多孔質材を敷き詰める場合と比べて、岩石および多孔質材が水と接触する面積が増えるので、より多くのミネラル成分を効率よく抽出することが可能となる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、少なくとも腐植土、動物の排泄物、野草由来の有用微生物活性剤及び発酵助剤を混合して一定期間発酵させて発酵物を得る発酵工程と、岩石、多孔質材及び発酵物を、水が張られた容器に入れて静置して原水を得る原水生成工程と、容器に空気を送り込んで一定期間曝気する曝気工程とを含むことにより、ミネラルや酵素を豊富に含む活性水を製造することができる。また、この活性水に含まれるミネラルや酵素がそれぞれ単独または相互に働くことによって、消臭作用、脱毛防止作用、育毛作用、美肌作用、にきびやアトピー、水虫などによる皮膚の炎症の抑制作用、排泄物の悪臭抑制作用、植物に対する防虫作用、生長促進作用、地力向上作用、また、油分分解による洗浄作用、水質維持作用などを示すので、本発明によって製造された活性水は、日常生活の様々な場面で使用できる有益な活性水とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態における活性水の製造方法について詳細に説明する。図1は、本実施の形態における原水生成工程を示す概略図であり、図2は、本実施の形態における曝気工程を示す概略図である。
(ヨモギエキスの生成)
廃糖蜜を水で100倍に希釈した液に、乾燥させたヨモギの葉を7日〜12日漬け込む。ヨモギは自生しているものを使用することができる。なお、廃糖蜜を希釈する水は、pH値6.9〜7.5程度のものであれば、水道水や蒸留水、雨水、井戸水などを用いてもよい。なお、水に漬け込む日数は、天候や環境などの条件によって適宜変更することができる。
【0016】
(発酵工程)
腐植土、動物の排泄物を完熟させた動物性有機物、ヨモギエキス、脱脂していない米糠、100倍に希釈した廃糖蜜、を混合し、2〜4日間発酵させる。このとき、発酵が進むにつれて発酵物の温度が上昇するが、腐植土や動物性有機物に含まれる有用微生物から分泌される酵素、ならびにヨモギエキスに含まれる酵素が変性しないように、発酵物の温度が65℃以上にならないよう適宜切り替えを行う。なお、発酵させる日数は、天候や環境などの条件によって適宜変更することができる。
【0017】
(原水生成工程)
図1に示すように、岩石として、花崗岩を細かく砕いた花崗岩砕石1、多孔質材として、軽石を細かく砕いた軽石砕石2、発酵工程で得られた発酵物3を網状の袋10に詰める。これを、容器4の上方から任意の方法で吊り下げて、容器4に貯留された水の中に投入する。しばらく静置すると、発酵物のうち固形分が容器4内に沈殿するので、沈殿物を取り除く。このとき、発酵物に含まれる有用微生物は、軽石砕石2を住みかとして水中で活発に代謝活動を行い、分泌物を多量に分泌していく。
【0018】
(曝気工程)
図2に示すように、上記方法で原水を生成した3つの容器4〜6を塩ビパイプなどのパイプ7〜9で連結し、ポンプ11〜13で各容器4〜6内の原水を循環させつつ、空気と混合させて曝気する。この曝気工程は、動物性有機物に含まれる大腸菌などの有害な菌が死滅するよう、70日〜90日程度行うのが望ましいが、大腸菌などの有害な菌の混入がない場合は、30日程度でも十分に花崗岩砕石1からミネラル成分を抽出することができる。原水生成工程により生成された直後の原水はpH6.5程度を示しているが、曝気を続けるにつれ、最終的にはpH8〜8.5程度の弱アルカリの溶液となる。これは、花崗岩砕石1に含まれるミネラル成分が多量に溶け出すことによるものである。なお、本実施の形態では、3つの容器4〜6を用いて曝気を行ったが、個数については特にこれに制限するものではない。
【実施例】
【0019】
上記実施の形態で説明した方法で製造した活性水について、分析を行った結果を示す。
【0020】
【表1】

【0021】
表1に示すように、本実施の形態における方法で製造された活性水は、上記ミネラルが豊富な活性水であることがわかった。また、この活性水に含まれる酵素成分については、未だ詳細が明らかではないが、他種類の酵素成分が単独、または相互に作用することによって、以下に示すような多岐に渡る効果が得られるものと推測される。
【0022】
以下、本実施の形態における方法で製造された活性水の代表的な作用について説明する。
【0023】
(消臭作用)
上記方法で製造された活性水を、下駄箱、ゴミ箱など生活臭の発生する場所に噴霧したところ、悪臭が発生しなくなった。また、靴の中に噴霧したところ、長期に亘って連続的に使用しても、悪臭が発生しなくなった。これは、活性水に含まれる有用成分によって臭い成分が分解されることによるものと考えられる。
【0024】
(脱毛防止・育毛作用)
上記方法で製造された活性水を希釈し、これを頭皮に付けたところ、抜け毛が低減した。また、薄毛の部分に付けたところ、育毛効果が得られた。これは、活性水中に含まれるタンパク質分解ならびに油分分解酵素が皮膚の毛穴に存在する余分な油分を分解して皮膚を清浄化するとともに、活性水中に含まれる有用成分が毛根への栄養成分となることによるものと考えられる。
【0025】
(皮膚の炎症の抑制作用)
上記方法で製造された活性水を、顔や体など、直接肌に付けたり、入浴剤として湯に混合して入浴したところ、ニキビに伴う炎症や、アトピーに伴うかゆみや赤み、水虫や虫さされに伴うかゆみなどが止まった。また、保湿作用に優れ、美肌効果が得られることもわかった。
【0026】
(排泄物の悪臭抑制作用)
上記方法で製造された活性水を、犬や猫などのペットや家畜のえさや飼料に混合したところ、ペットや家畜の排泄物から排出される悪臭が大幅に低減した。これは、活性水に含まれる有用成分によって、排泄物中に含まれる臭い成分が分解されることによるものと考えられる。
【0027】
(防虫・生長促進・地力向上作用)
上記方法で製造された活性水を、農作物の栽培用地に散布したり、栽培されている作物に対して噴霧したところ、作物の生長が促進され、害虫がつきにくくなることがわかった。これは、活性水に含まれるミネラルが用地に浸透することで、地力が向上し、作物が用地に含まれるミネラル成分を吸い上げることによって、生長が促進されていくものと考えられる。また、活性水に含まれる酵素が害虫の忌避剤として働くものと考えられる。
【0028】
なお、上記以外にも、本実施の形態における方法で製造された活性水は、活性水中に含まれる有用成分によって、油汚れなどの汚れに対して高い洗浄作用を発揮したり、水槽の水質を長期に亘って良好な状態に維持できる作用を有することもわかった。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明は、ミネラルや酵素を豊富に含み、人体や家畜などの動物、土壌や植物に対して様々な面で有益な活性水を製造する方法として好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本実施の形態における原水生成工程を示す概略図である。
【図2】本実施の形態における曝気工程を示す概略図である。
【符号の説明】
【0031】
1 花崗岩砕石
2 軽石砕石
3 発酵物
4〜6 容器
7〜9 パイプ
10 袋

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも腐植土、動物の排泄物、野草由来の有用微生物活性剤及び発酵助剤を混合して一定期間発酵させて発酵物を得る発酵工程と、
岩石、多孔質材及び前記発酵物を、水が張られた容器に入れて静置して原水を得る原水生成工程と、
前記容器に空気を送り込んで一定期間曝気する曝気工程と
を含む活性水の製造方法。
【請求項2】
前記有用微生物活性剤は、乾燥させたヨモギの葉を水に漬け込んで得られたヨモギエキスである請求項1記載の活性水の製造方法。
【請求項3】
前記有用微生物活性剤は、乾燥させた寒根葛を水に漬け込んで得られた葛エキスである請求項1記載の活性水の製造方法。
【請求項4】
前記岩石、前記多孔質材及び前記発酵物を、通気性を有する袋に入れ、吊り下げた状態で前記容器に投入する請求項1から3のいずれかの項に記載の活性水の製造方法。
【請求項5】
前記発酵助剤は、米糠、廃糖蜜の少なくとも一方である請求項1から4のいずれかの項に記載の活性水の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−93526(P2008−93526A)
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−275748(P2006−275748)
【出願日】平成18年10月6日(2006.10.6)
【出願人】(506340057)
【Fターム(参考)】