説明

流体軸受、ステージ装置、露光装置、及びデバイス製造方法

【課題】安定性の低下を抑制し、不測の挙動を抑制できる流体軸受を提供する。
【解決手段】流体軸受は、第1部材の第1面に形成された第1凹部と、第1凹部の内側に形成された第2凹部と、第2凹部の内側に配置された流体吹出口とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体軸受、ステージ装置、露光装置、及びデバイス製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
フォトリソグラフィ工程で使用される露光装置は、マスクを露光光で照明し、そのマスクからの露光光で基板を露光する。露光装置は、マスクを保持して移動するマスクステージ、及び基板を保持して移動する基板ステージ等、ベース部材に対して移動可能な移動部材を有するステージ装置を備える。移動部材は、例えば下記特許文献1、2に開示されているような流体軸受(気体軸受、静圧軸受)により、ベース部材の案内面に非接触で支持される。
【特許文献1】特開2005−257030号公報
【特許文献2】特開2007−247704号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ベース部材の案内面にポアと呼ばれる微小な孔が存在する場合、その孔上を移動部材が通過した際に、移動部材が上下方向へ微少に振動する現象(所謂、パッド飛び現象)が発生する可能性がある。流体軸受の構造によっては、案内面の孔に起因する振動の発生を抑制できるが、一方で、例えば安定性が低下して、流体軸受が不測の挙動を示す可能性がある。流体軸受が不測の挙動を示した場合、例えばベース部材に対して移動部材が安定して移動できなくなる等、ステージ装置の性能が低下する可能性がある。その結果、露光不良が発生し、不良デバイスが発生する可能性がある。
【0004】
本発明の態様は、安定性の低下を抑制し、不測の挙動を抑制できる流体軸受を提供することを目的とする。また本発明の態様は、性能の低下を抑制できるステージ装置を提供することを目的とする。また本発明の態様は、露光不良の発生を抑制できる露光装置を提供することを目的とする。また本発明の態様は、不良デバイスの発生を抑制できるデバイス製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の態様に従えば、第1部材の第1面に形成された第1凹部と、第1凹部の内側に形成された第2凹部と、第2凹部の内側に配置された流体吹出口と、を備える流体軸受が提供される。
【0006】
本発明の第2の態様に従えば、案内面を有するベース部材と、案内面と対向する対向面を有し、ベース部材に対して相対移動可能な移動部材とを備えるステージ装置であって、案内面及び対向面の少なくとも一方は、第1の態様の流体軸受を含むステージ装置が提供される。
【0007】
本発明の第3の態様に従えば、露光光で基板を露光する露光装置であって、露光光の光路に対して物体を移動可能な第2の態様のステージ装置を備える露光装置が提供される。
【0008】
本発明の第4の態様に従えば、第3の態様の露光装置を用いて基板を露光することと、露光された基板を現像することと、を含むデバイス製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、流体軸受の安定性の低下を抑制し、不測の挙動を抑制できる。また本発明によれば、ステージ装置の移動性能の低下を抑制できる。また本発明によれば、露光不良の発生を抑制でき、不良デバイスの発生を抑制できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明するが、本発明はこれに限定されない。以下の説明においては、XYZ直交座標系を設定し、このXYZ直交座標系を参照しつつ各部材の位置関係について説明する。水平面内の所定方向をX軸方向、水平面内においてX軸方向と直交する方向をY軸方向、X軸方向及びY軸方向のそれぞれと直交する方向(すなわち鉛直方向)をZ軸方向とする。また、X軸、Y軸、及びZ軸まわりの回転(傾斜)方向をそれぞれ、θX、θY、及びθZ方向とする。
【0011】
<第1実施形態>
第1実施形態について説明する。図1は、第1実施形態に係る流体軸受(気体軸受)1の一例を示す平面図、図2は、側断面図、図3は、流体軸受1の部分断面を示す斜視図、図4は、第1物体13の表面14に配置された流体軸受1が第2物体15を非接触で支持している状態の一例を示す斜視図である。本実施形態においては、流体軸受1が、気体を用いる気体軸受(静圧軸受)である場合を例にして説明する。本実施形態においては、気体としてエアを用いる。以下の説明において、気体軸受1を適宜、エアパッド1、と称する。
【0012】
図1、図2、図3、及び図4において、エアパッド1は、パッド形成部材2の表面(ランド面)3に形成された第1凹部4と、第1凹部4の内側に形成された第2凹部5と、第2凹部5の内側に配置され、エアを吹き出す気体吹出口6とを備えている。
【0013】
本実施形態において、パッド形成部材2は、パッド本体2Aと、パッド本体2Aと別のブッシュ2Bとを含む。ブッシュ2Bは、円筒形状の部材である。ブッシュ2Bは、パッド本体2Aに形成された孔2Hに配置されている。孔2Hの内側の形状とブッシュ2Bの外形とはほぼ同じである。ブッシュ2Bは、孔部2Hに嵌合する。パッド本体2Aとブッシュ2Bとは、例えば接着剤によって固定される。
【0014】
ブッシュ2Bは、内部流路(オリフィス)7を有する。内部流路7は、ブッシュ2Bの軸方向に延びるように形成されている。気体吹出口6は、内部流路7の一端に配置されている。本実施形態において、気体吹出口6は、1つである。
【0015】
図4に示すように、第1物体13の表面14に配置されたエアパッド1は、そのランド面3と対向する位置に配置された第2物体15を非接触で支持する。エアパッド1は、ランド面3と対向する位置に配置された第2物体15の表面16との間に気体吹出口6より気体を供給して、第2物体15を非接触で支持する。本実施形態において、第1物体13の表面14は、平面である。また、ランド面3と対向する第2物体15の表面16も、平面である。気体吹出口6から供給された気体によって、エアパッド1のランド面3と第2物体15の表面16との間に所定のギャップが形成される。
【0016】
ランド面3に形成された第1凹部4及び第2凹部5は、エアパッド1の表面絞りを形成する。第1凹部4は、ランド面3に形成された第1絞り溝である。第2凹部5は、第1絞り溝の内側に形成された第2絞り溝である。本実施形態において、ランド面3と平行なXY平面内における第1凹部4の形状は、ほぼ正方形である。また、XY面内における第2凹部5の形状は、ほぼ十字状である。
【0017】
本実施形態においては、XY平面内において、第1凹部4は、ランド面3のほぼ中央に配置され、第2凹部5は、第1凹部4のほぼ中央に配置されている。
【0018】
以下の説明において、第1凹部4の周囲に配置された、第2物体15の表面16と対向可能なランド面3を適宜、第1対向面3、と称する。本実施形態において、第1対向面3は、XY平面とほぼ平行な平面である。
【0019】
第1凹部4は、第1対向面3と対向する位置に配置される第2物体15の表面16と対向し、その表面16に対して第1対向面3より離れた第2対向面8と、第2対向面8の周囲に配置された第1内側面9とを含む。第2凹部5は、第2物体15の表面16と対向し、その表面16に対して第2対向面8より離れた第3対向面10と、第3対向面10の周囲に配置された第2内側面11とを含む。
【0020】
XY平面内において、第2対向面8は、第3対向面10の周囲に配置されている。また、XY平面内において、第1対向面3は、第2対向面8の周囲に配置されている。また、本実施形態においては、XY平面内において、第2対向面8の中心と、第3対向面10の中心とがほぼ一致する。また、XY平面内において、第1対向面3の中心と、第2対向面8の中心とがほぼ一致する。
【0021】
本実施形態において、気体吹出口6は、第2凹部5の第3対向面10に配置されている。本実施形態において、気体吹出口6は、第3対向面10のほぼ中央に配置されている。したがって、本実施形態においては、気体吹出口6と、第3対向面10と、第2対向面8と、第1対向面3とは、ほぼ同心状に配置されている。
【0022】
本実施形態において、第2対向面8は、平面である。また、本実施形態において、第3対向面10は、平面である。本実施形態において、第1対向面3と、第2対向面8と、第3対向面10とは、ほぼ平行である。
【0023】
第1内側面9は、第1対向面3と第2対向面8とを結ぶ面である。第1内側面9は、第1対向面3及び第2対向面8と異なる方向を向く。第2内側面11は、第2対向面8と第3対向面10とを結ぶ面である。第2内側面11は、第2対向面8及び第3対向面10と異なる方向を向く。
【0024】
本実施形態において、第1内側面9及び第2内側面11はそれぞれ、XY平面とほぼ垂直である。すなわち、第1対向面3と第1内側面9とがなす角度は、ほぼ90度であり、第2対向面8と第1内側面9とがなす角度は、ほぼ90度である。また、第2対向面8と第3内側面11とがなす角度は、ほぼ90度であり、第3対向面10と第3内側面11とがなす角度は、ほぼ90度である。本実施形態において、第1対向面3と第2対向面8との間に段差が形成され、第2対向面8と第3対向面10との間に段差が形成される。
【0025】
本実施形態において、第1対向面3及び第2対向面8は、パッド本体2Aに配置されている。また、第3対向面10の一部は、パッド本体2Aに配置され、一部は、ブッシュ2Bに配置される。すなわち、本実施形態において、第3対向面10は、パッド本体2Aとブッシュ2Bとに亘って配置される。また、気体吹出口6は、ブッシュ2Bに配置される。
【0026】
図2に示すように、本実施形態においては、Z軸方向に関する第1対向面3と第2対向面8との距離H1は、1μm〜500μm程度であり、第2対向面8と第3対向面10との距離H2は、1μm〜500μm程度である。また、気体吹出口6の大きさ(直径)Dは、0.01mm〜1.0mm程度である。本実施形態においては、一例として、距離H1は、約10μmであり、距離H2は、約10μmである。また、大きさDは、約0.2mmである。また、図1に示すように、XY平面内における第1対向面3の大きさW1は、約40mmであり、第2対向面8の大きさW2は、約10mmであり、第3対向面10の大きさW3は、約6mmである。なお、これらの数値は、一例であり、エアパッド1に要求される静特性(例えば負荷容量、剛性)等に応じて適宜変更される。
【0027】
図2及び図3に示すように、内部流路7の一端には、気体吹出口6が配置され、内部流路7の他端には、気体供給装置(不図示)からの気体が流入する入口12が配置されている。気体は、入口12から内部流路7に流入し、その内部流路7を流れた後、気体吹出口6より吹き出される。本実施形態において、気体吹出口6は、入口12より小さい。内部流路7は、入口12から気体吹出口6に向かって除々に狭くなる。
【0028】
本実施形態においては、パッド本体2A及びブッシュ2Bを形成する材料として、アルミナ、ジルコニア、及びプラスチックを用いることができる。また、パッド本体2A及びブッシュ2Bは、例えば射出成形法によって成形可能である。また、ブッシュ2B(パッド本体2A)が金属製である場合、マイクロ放電加工法を用いて成形可能である。また、マイクロ放電加工法を用いて、内部流路7を形成することができる。なお、ドリルを用いる切削(穴あけ)加工によって、内部流路7を形成することができる。
【0029】
図5は、上述したエアパッド1を備えるステージ装置20の一例を示す斜視図である。図5において、ステージ装置20は、上面(案内面)21を有するベース部材(定盤)22と、上面21と対向する下面を有し、ベース部材22に対して移動可能な移動部材24とを備えている。
【0030】
移動部材24は、第1移動部材24Xと、第2移動部材24Yとを含む。第1移動部材24Xは、上面21上で、ベース部材22に対してX軸方向に移動可能である。第2移動部材24Yは、上面21上で、ベース部材22に対してY軸方向に移動可能である。
【0031】
第1移動部材24Xは、一対のスライド部材25、26と、ガイドバー27とを含む。スライド部材25及びスライド部材26のそれぞれは、X軸方向に長い。スライド部材25とスライド部材26とは平行である。ガイドバー27は、Y軸方向に長い。ガイドバー27の両端は、スライド部材25の中央及びスライド部材26の中央にそれぞれ固定されている。
【0032】
また、ステージ装置20は、上面21に配置され、第1移動部材24Xの移動をガイドするガイドバー23を備える。ガイドバー23は、X軸方向に長い。本実施形態において、ガイドバー23は、スライド部材25をガイドして、第1移動部材24XをX軸方向へガイドする。
【0033】
第2移動部材24Yは、一対のプレート部材28、29と、スライド部材30とを含む。プレート部材28及びプレート部材29のそれぞれは、Y軸方向に長い。プレート部材28及びプレート部材29のそれぞれは、スライド部材30の上面に固定されている。これにより、プレート部材28とプレート部材29とスライド部材30の間に、ガイド溝31が形成される。
【0034】
ガイド溝31には、ガイドバー27が配置される。ガイドバー27は、第2移動部材24Yの移動をガイドする。ガイドバー27は、第2移動部材24YをY軸方向へガイドする。
【0035】
本実施形態において、上面21と対向する第1移動部材24Xの下面に、上述のエアパッド1が配置されている。本実施形態においては、上面21と対向するスライド部材25、26の下面にエアパッド1が配置されている。第1移動部材24Xの下面に配置されているエアパッド1は、気体吹出口6より、上面21に対して気体を吹き出す。これにより、第1移動部材24Xの下面とベース部材22の上面21との間に、例えば5μm〜10μm程度のギャップが形成され、第1移動部材24Xは、ベース部材22の上面21に対して非接触で支持される。
【0036】
また、本実施形態において、上面21と対向する第2移動部材24Yの下面に、上述のエアパッド1が配置されている。本実施形態においては、上面21と対向するスライド部材30の下面にエアパッド1が配置されている。第2移動部材24Yの下面に配置されているエアパッド1は、気体吹出口6より、上面21に対して気体を吹き出す。これにより、第2移動部材24Yの下面とベース部材22の上面21との間に、例えば5μm〜10μm程度のギャップが形成され、第2移動部材24Yは、ベース部材22の上面21に対して非接触で支持される。
【0037】
次に、本実施形態に係るエアパッド1の作用について説明する。以下の説明においては、図6(A)及び図6(C)に示すような比較例に係るエアパッドJ1、J2の作用、及び図6(B)に示すような本実施形態に係るエアパッド1の作用のそれぞれについて説明する。
【0038】
図6(A)に示すエアパッドJ1は、比較例に係るエアパットであって、ベース部材22の上面21と対向するランド面3Jに形成された絞り溝4Jと、絞り溝4Jの内側に配置された気体吹出口6と、気体吹出口6とは別の気体吹出口6A、6Bとを備える。すなわち、エアパッドJ1は、複数の気体吹出口6、6A、6Bとを備えた複数給気型のエアパッドである。
【0039】
図6(C)に示すエアパッドJ2は、比較例に係るエアパッドであって、ベース部材22の上面21と対向するランド面3Jに形成された絞り溝4Jと、絞り溝4Jの内側に配置された気体吹出口6とを備える。すなわち、エアパッドJ2は、1つの気体吹出口6を備えた単数給気型のエアパッドである。
【0040】
図6(B)に示すエアパッド1は、本実施形態に係るエアパッドであって、ベース部材22の上面21と対向するランド面(第1対向面)3に形成された第1凹部(第1絞り溝)4と、第1凹部4の内側に形成された第2凹部(第2絞り溝)5と、第2凹部5の内側に配置された気体吹出口6とを備える。
【0041】
以下、図7の模式図に示すように、ベース部材22の上面21において、エアパッド1、J1、J2が移動する際の気体吹出口6の移動経路上に孔(ポア)POが存在する場合について説明する。また、以下の説明においては、図7(A)〜(C)に示すように、エアパッド1、J1、J2が+Y側から−Y側に移動する場合において、気体吹出口6が孔POに到達する直前の状態を、第1状態S1、気体吹出口6が孔PO上に位置する状態を、第2状態S2、気体吹出口6が孔PO上を通過した直後の状態を、第3状態S3、とそれぞれ称する。
【0042】
なお、孔POの長さ(幅)は約0.4mm、深さは約0.1mmとする。また、気体吹出口6の大きさDは、0.2mmであり、約0.5MPaの圧力でエアが供給され、供給されたエアは不図示の吸引装置により約0.1MPaの圧力で排出されるものとする。また、エアパッド1、J1、J2が、ベース部材22に対して約500mm/sの速度で移動するものとする。
【0043】
図8は、上述した第1〜第3状態S1〜S3におけるエアパッド1、J1、J2の負荷容量を示す図である。図8(A)は、複数給気型のエアパッドJ1の気体吹出口6の負荷容量を示し、図8(B)は、本実施形態に係る気体吹出口6の負荷容量を示し、図8(C)は、単数給気型のエアパッドJ2の気体吹出口6の負荷容量を示す。図8(A)、図8(B)、及び図8(C)それぞれの縦軸のスケールは合わせてある。
【0044】
図8(A)に示すように、第1状態S1〜第3状態S3における、複数給気型のエアパッドJ1の気体吹出口6にかかる負荷容量の最大値は、最小値の約1.01倍である。
【0045】
図8(B)に示すように、第1状態S1〜第3状態S3における、本実施形態に係るエアパッド1の気体吹出口6にかかる負荷容量の最大値は、最小値の約1.11倍である。
【0046】
図8(C)に示すように、第1状態S1〜第3状態S3における、単数給気型のエアパッドJ2の気体吹出口6にかかる負荷容量の最大値は、最小値の約1.22倍である。
【0047】
このように、孔POに起因する負荷容量の変化量は、複数給気型のエアパッドJ1が最も小さく、本実施形態に係るエアパッド1が2番目に小さく、単数給気型のエアパッドJ2が最も大きい。
【0048】
孔PO上を通過した際の負荷容量の変化量が大きいと、エアパッド(エアパッドが配置された移動部材)の上下方向(Z軸方向)への変位量は大きくなり、負荷容量の変化量が小さいと、エアパッド(移動部材)のZ軸方向への変位量は小さくなる。したがって、孔PO上を通過した際に、負荷容量の変化量が小さいエアパッドのほうが、Z軸方向へ振動(変位)する現象、所謂、パッド飛び現象の発生を抑制できる。
【0049】
したがって、エアパッド1、エアパッドJ1、エアパッドJ2のうち、複数給気型のエアパッドJ1が、パッド飛びの発生を最も抑制することができる。
【0050】
一方、複数給気型のエアパッドJ1は、剛性が低下し、ニューマティックハンマ現象と呼ばれる自励振動が発生し易くなる等、安定性が低下する可能性がある。例えば剛性が低下すると、案内面に対してエアパッド(移動部材)が移動した際のモーメントの発生により、エアパッド(ランド面)と案内面とのギャップが良好に維持されず、例えば案内面に対してエアパッドが接触する現象(所謂、かじり現象)が発生する可能性が高くなる。このように、複数給気型のエアパッドJ1は、十分な安定性が得られない可能性があり、剛性の低下に伴うかじり現象、あるいは自励振動の発生等、不測の挙動を示す可能性が高くなる。複数給気型のエアパッドJ1の安定性の低下の原因の一つとして、エアパッドJ1と案内面21との間へ多量のエアが供給されることが挙げられる。そのため、複数給気型のエアパッドJ1の気体吹出口6の大きさDを小さくすることが、エアパッドJ1の安定性の低下を抑制する対策の一例と考えられる。ところが、気体吹出口6の大きさDを小さくすると、その気体吹出口6に異物が付着する現象、所謂、目詰まり現象が発生し易くなるといった、別の問題が発生する。
【0051】
本実施形態に係るエアパッド1によれば、複数給気型のエアパッドJ1よりも負荷容量の変化量は大きいものの、剛性の低下、自励振動の発生等を抑制することができる。本実施形態に係るエアパッド1は、複数給気型のエアパッドJ1に比べて、剛性を数倍高めることができる。また、本実施形態に係るエアパッド1は、単数給気型のエアパッドJ2に比べて、負荷容量の変化量をほぼ半分に低減することができる。
【0052】
以上説明したように、本実施形態のエアパッド1は、剛性の低下に伴うかじり現象の発生、自励振動の発生、及びパッド飛び現象の発生等、不測の挙動が発生することを抑制することができる。したがって、エアパッド1が配置された移動部材24は、案内面21上を良好に移動することができる。したがって、ステージ装置20は、良好な移動性能を得ることができる。
【0053】
また、本実施形態のエアパッド1によれば、案内面21に僅かに孔POが存在する場合でも、パッド飛び現象を抑制できるので、案内面21を含むベース部材22の検査工程、加工工程等を簡略、もしくは省略することができる。例えば、パッド飛び現象を十分に抑制できないエアパッドを用いる場合、案内面21を含むベース部材22に対する目視検査、顕微鏡検査等を実施し、検出された孔POを埋める加工を十分に行う必要が生じる可能性がある。その場合、検査工程、加工工程等に要する作業時間が長くなり、ベース部材22を含むステージ装置20の生産性が低下したり、製造コストが高くなったりする問題が生じる。本実施形態によれば、そのような検査工程、加工工程等を簡略、もしくは省略しても、パッド飛び現象を抑制できる。したがって、ベース部材22を含むステージ装置20の生産性の低下を抑制できる。
【0054】
<第2実施形態>
次に、第2実施形態について説明する。以下の説明において、上述した実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略もしくは省略する。以下、図9〜図20を参照して、エアパッド1の一例をそれぞれ説明する。
【0055】
図9に示すように、気体吹出口6が、第3対向面10の中央と異なる位置に配置されてもよい。
【0056】
図10に示すように、気体吹出口6が、第3対向面10に複数配置されてもよい。図10に示す例では、気体吹出口6が2つであるが、3つ以上の任意の複数でもよい。
【0057】
図11に示すように、XY平面内における第2対向面8の形状が、円形でもよい。また、XY平面内における第3対向面10の形状が、円形でもよい。
【0058】
図12に示すように、第2対向面8の中心と、第3対向面10の中心とが、一致していなくてもよい。また、図示は省略するが、第1対向面3の中心と、第2対向面8の中心とが、一致していなくてもよい。
【0059】
図13に示すように、第1凹部4の内側に、第2凹部5が複数形成されてもよい。図13に示す例では、第2凹部5が2つであるが、3つ以上の任意の複数でもよい。
【0060】
図14に示すように、第1凹部4の内側に、複数の第2凹部5が形成されている場合において、気体吹出口6が配置されない第2凹部5が存在してもよい。
【0061】
図15に示すように、第2凹部5が、X軸方向に長い溝とY軸方向に長い溝とを複数組み合わせたものでもよい。
【0062】
図16に示すように、第1、第2対向面3、8と、第3対向面10とが、平行でなくてもよい。図16に示す第3対向面10は、第1、第2対向面3、8に対して傾斜している。第3対向面10は、気体吹出口6に対する放射方向に関して、第2対向面8に除々に近付くように傾斜している。また、第2内側面(11)が省略されてもよい。図16に示す例では、第2対向面8と第3対向面10との間に段差が存在しない。
【0063】
図17に示すように、第1、第3対向面3、10と、第2対向面8とが、平行でなくてもよい。図17に示す第2対向面8は、第1、第3対向面3、10に対して傾斜している。第2対向面8は、気体吹出口6に対する放射方向に関して、第1対向面3に除々に近付くように傾斜している。また、第1内側面(9)が省略されてもよい。図17に示す例では、第1対向面3と第2対向面8との間に段差が存在しない。
【0064】
図18に示すように、第1対向面3と、第2対向面8と、第3対向面10とが、平行でなくてもよい。図18に示す第2対向面8は、第1対向面3に対して傾斜し、第3対向面10も、第1対向面3に対して傾斜している。第2対向面8は、気体吹出口6に対する放射方向に関して、第1対向面3に除々に近付くように傾斜し、第3対向面10は、気体吹出口6に対する放射方向に関して、第1対向面3に除々に近付くように傾斜している。また、図18に示す例では、第1対向面3と第2対向面8とがなす角度と、第1対向面3と第3対向面10(第3対向面10と同一平面で第3対向面10より大きい仮想面)とがなす角度とは、異なる。換言すれば、第2対向面8と第3対向面10とは、第1対向面3に対して異なる方向を向く。図18に示す例では、第1対向面3と第2対向面8とがなす角度は、第1対向面3と第3対向面10とがなす角度より大きい。なお、第1対向面3と第2対向面8とがなす角度が、第1対向面3と第3対向面10とがなす角度より小さくてもよい。また、第1、第2内側面(9、11)が省略されもよい。図18に示す例では、第1対向面3と第2対向面8との間に段差が存在せず、第2対向面8と第3対向面10との間にも段差が存在しない。
【0065】
図19に示すように、第3対向面10の少なくとも一部が曲面でもよい。図19に示す例では、第2対向面8と第3対向面10との間に段差が存在しない。
【0066】
図20に示すように、第2対向面8の少なくとも一部が曲面でもよい。また、図20に示す例では、第3対向面10も曲面である。また、図20に示す例では、第1対向面3と第2対向面8との間に段差が存在せず、第2対向面8と第8対向面10との間にも段差が存在しない。
【0067】
<第3実施形態>
次に、第3実施形態について説明する。以下の説明において、上述した実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略もしくは省略する。以下、上述の各実施形態で説明したエアパッド1を有する露光装置EXについて説明する。
【0068】
図21は、本実施形態に係る露光装置EXの一例を示す概略構成図である。図21において、露光装置EXは、マスクMを保持して移動可能なマスクステージ41と、基板Pを保持して移動可能な基板ステージ42と、マスクステージ41に保持されているマスクMを露光光ELで照明する照明系ILと、露光光ELで照明されたマスクMのパターンの像を基板ステージ42に保持されている基板Pに投影する投影光学系PLとを備えている。
【0069】
基板Pは、デバイスを製造するための基板である。基板Pは、例えばシリコンウエハのような半導体ウエハ等の基材に感光膜が形成されたものを含む。感光膜は、感光材(フォトレジスト)の膜である。
【0070】
マスクMは、基板Pに投影されるデバイスパターンが形成されたレチクルを含む。本実施形態において、マスクMは、例えばガラス板等の透明板にクロム等の遮光膜を用いて所定のパターンが形成された透過型マスクである。なお、マスクMが、反射型マスクでもよい。
【0071】
本実施形態の露光装置EXは、マスクMと基板Pとを所定の走査方向に同期移動しつつ、マスクMからの露光光ELで基板Pを露光する走査型露光装置(所謂スキャニングステッパ)である。本実施形態においては、基板Pの走査方向(同期移動方向)をY軸方向とし、マスクMの走査方向(同期移動方向)もY軸方向とする。露光装置EXは、基板Pを投影光学系PLの投影領域に対してY軸方向に移動するとともに、その基板PのY軸方向への移動と同期して、照明系ILの照明領域に対してマスクMをY軸方向に移動しつつ、マスクMを露光光ELで照明し、そのマスクMからの露光光ELを、投影光学系PLを介して基板Pに照射する。これにより、マスクM及び投影光学系PLを介して基板Pが露光され、基板PにマスクMのパターンの像が投影される。
【0072】
露光装置EXは、例えばクリーンルーム内の床面FL上に設けられた第1コラム43、及び第1コラム43上に設けられた第2コラム44を含むボディ45を備えている。第1コラム43は、複数の第1支柱44と、それら第1支柱44に防振装置45を介して支持された第1ベース部材46とを有する。第2コラム44は、第1ベース部材46上に設けられた複数の第2支柱47と、それら第2支柱47に支持された第2ベース部材48とを有する。
【0073】
照明系ILは、マスクM上の所定の照明領域を均一な照度分布の露光光ELで照明する。照明系ILから射出される露光光ELとしては、例えば水銀ランプから射出される輝線(g線、h線、i線)及びKrFエキシマレーザ光(波長248nm)等の遠紫外光(DUV光)、ArFエキシマレーザ光(波長193nm)及びFレーザ光(波長157nm)等の真空紫外光(VUV光)等が用いられる。本実施形態においては、露光光ELとして、紫外光(真空紫外光)であるArFエキシマレーザ光が用いられる。
【0074】
マスクステージ41は、リニアモータ等のアクチュエータを含むマスクステージ駆動装置の作動により、マスクMを保持した状態で、第2ベース部材48上で、X軸、Y軸及びθZ方向の3つの方向に移動可能である。マスクステージ41は、エアパッド1により、第2ベース部材48の上面(案内面)に非接触で支持されている。エアパッド1は、第2ベース部材48の上面と対向するマスクステージ41の下面に配置されている。例えば基板Pの露光時に、マスクステージ1は、露光光ELの光路に対してマスクMを移動可能である。
【0075】
マスクステージ41は、露光光ELが通過する第1開口41Kを有する。第2ベース部材48は、露光光ELが通過する第2開口48Kを有する。照明系ILから射出され、マスクMを照明した露光光ELは、第1開口41K及び第2開口48Kを通過した後、投影光学系PLに入射する。
【0076】
また、第2ベース部材16上には、マスクステージ41のY軸方向の一方の方向(例えば+Y方向)への移動に応じてそのマスクステージ41とは反対の方向(例えば−Y方向)へ移動するカウンタマス49が設けられている。カウンタマス49は、エアパッド1を含む自重キャンセル機構により、第2ベース部材16の上面(案内面)に非接触で支持されている。本実施形態において、カウンタマス49は、マスクステージ41の周囲に設けられている。
【0077】
なお、エアパッドにより、第2ベース部材の上面に対して非接触で支持されるマスクステージ及びカウンタマスを備える露光装置に関する技術の一例が、例えば国際公開第2004/073053号パンフレット、米国特許公開第2005/0248744号明細書等に開示されている。
【0078】
投影光学系PLは、マスクMのパターンの像を所定の投影倍率で基板Pに投影する。投影光学系PLの複数の光学素子は、鏡筒50に保持されている。鏡筒50は、フランジ51を有する。フランジ51は、第1ベース部材46に支持される。本実施形態の投影光学系PLは、その投影倍率が例えば1/4、1/5、又は1/8等の縮小系である。なお、投影光学系PLは、等倍系及び拡大系のいずれでもよい。本実施形態においては、投影光学系PLの光軸AXは、Z軸と平行である。また、投影光学系PLは、反射光学素子を含まない屈折系、屈折光学素子を含まない反射系、反射光学素子と屈折光学素子とを含む反射屈折系のいずれであってもよい。また、投影光学系PLは、倒立像と正立像とのいずれを形成してもよい。
【0079】
基板ステージ42は、リニアモータ等のアクチュエータ57、58を含む基板ステージ駆動装置の作動により、基板Pを保持した状態で、第3ベース部材52上で、X軸、Y軸、Z軸、θX、θY及びθZ方向の6つの方向に移動可能である。基板ステージ42は、エアパッド1により、第3ベース部材52の上面(案内面)に非接触で支持されている。エアパッド1は、第3ベース部材52の上面と対向する基板ステージ42の下面に配置されている。第3ベース部材52は、床面FLに防振装置53を介して支持されている。例えば基板Pの露光時に、基板ステージ42は、露光光ELの光路に対して基板Pを移動可能である。
【0080】
基板ステージ52は、ガイドバー54によりY軸方向へガイドされる。ガイドバー54は、支持部材55の上端のガイド部55BによりX軸方向へガイドされる。ガイドバー54の両端には、ガイド部55Bに対応するガイド溝56が設けられている。ガイド部55Bとガイド溝56との間にはエアパッド1が配置されており、ガイド溝56は、ガイド部55Bに非接触で支持されている。
【0081】
本実施形態においては、マスクステージ41及び基板ステージ42にエアパッド1を配置したので、かじり現象の発生、ニューマティックハンマ現象(自励振動)の発生、及びパッド飛び現象の発生等、不測の挙動が発生することを抑制することができる。これにより、移動精度、位置決め精度等が良好なマスクステージ41及び基板ステージ42を用いて、基板Pを良好に露光することができる。
【0082】
なお、本実施形態の基板Pとしては、半導体デバイス製造用の半導体ウエハのみならず、ディスプレイデバイス用のガラス基板、薄膜磁気ヘッド用のセラミックウエハ、あるいは露光装置で用いられるマスクまたはレチクルの原版(合成石英、シリコンウエハ)等が適用される。
【0083】
露光装置EXとしては、マスクMと基板Pとを同期移動してマスクMのパターンを走査露光するステップ・アンド・スキャン方式の走査型露光装置(スキャニングステッパ)の他に、マスクMと基板Pとを静止した状態でマスクMのパターンを一括露光し、基板Pを順次ステップ移動させるステップ・アンド・リピート方式の投影露光装置(ステッパ)にも適用することができる。
【0084】
さらに、ステップ・アンド・リピート方式の露光において、第1パターンと基板Pとをほぼ静止した状態で、投影光学系を用いて第1パターンの縮小像を基板P上に転写した後、第2パターンと基板Pとをほぼ静止した状態で、投影光学系を用いて第2パターンの縮小像を第1パターンと部分的に重ねて基板P上に一括露光してもよい(スティッチ方式の一括露光装置)。また、スティッチ方式の露光装置としては、基板P上で少なくとも2つのパターンを部分的に重ねて転写し、基板Pを順次移動させるステップ・アンド・スティッチ方式の露光装置にも適用できる。
【0085】
また、例えば米国特許第第6611316号明細書に開示されているように、2つのマスクのパターンを、投影光学系を介して基板上で合成し、1回の走査露光によって基板上の1つのショット領域をほぼ同時に二重露光する露光装置などにも本発明を適用することができる。また、プロキシミティ方式の露光装置、ミラープロジェクション・アライナーなどにも本発明を適用することができる。
【0086】
また、露光装置EXとして、米国特許第6341007号明細書、米国特許第6400441号明細書、米国特許第6549269号明細書、米国特許第6590634号明細書、米国特許第6208407号明細書、及び米国特許第6262796号明細書等に開示されているような、複数の基板ステージを備えたツインステージ型の露光装置にも適用できる。
【0087】
更に、米国特許第6897963号明細書、欧州特許出願公開第1713113号明細書等に開示されているような、基板を保持する基板ステージと、基準マークが形成された基準部材及び/又は各種の光電センサを搭載した計測ステージとを備えた露光装置にも本発明を適用することができる。また、複数の基板ステージと計測ステージとを備えた露光装置を採用することができる。
【0088】
また、例えば国際公開第99/49504号パンフレット等に開示されているような、液体を介して露光光で基板を露光する液浸露光装置に適用することもできる。
【0089】
露光装置EXの種類としては、基板Pに半導体素子パターンを露光する半導体素子製造用の露光装置に限られず、液晶表示素子製造用又はディスプレイ製造用の露光装置や、薄膜磁気ヘッド、撮像素子(CCD)、マイクロマシン、MEMS、DNAチップ、あるいはレチクル又はマスクなどを製造するための露光装置などにも広く適用できる。
【0090】
なお、上述の実施形態においては、光透過性の基板上に所定の遮光パターン(又は位相パターン・減光パターン)を形成した光透過型マスクを用いたが、このマスクに代えて、例えば米国特許第6778257号明細書に開示されているように、露光すべきパターンの電子データに基づいて透過パターン又は反射パターン、あるいは発光パターンを形成する可変成形マスク(電子マスク、アクティブマスク、あるいはイメージジェネレータとも呼ばれる)を用いてもよい。また、非発光型画像表示素子を備える可変成形マスクに代えて、自発光型画像表示素子を含むパターン形成装置を備えるようにしても良い。
【0091】
上述の実施形態においては、投影光学系PLを備えた露光装置を例に挙げて説明してきたが、投影光学系PLを用いない露光装置及び露光方法に本発明を適用することができる。
【0092】
上述の実施形態の露光装置は、本願請求の範囲に挙げられた各構成要素を含む各種サブシステムを、所定の機械的精度、電気的精度、光学的精度を保つように、組み立てることで製造される。これら各種精度を確保するために、この組み立ての前後には、各種光学系については光学的精度を達成するための調整、各種機械系については機械的精度を達成するための調整、各種電気系については電気的精度を達成するための調整が行われる。各種サブシステムから露光装置への組み立て工程は、各種サブシステム相互の、機械的接続、電気回路の配線接続、気圧回路の配管接続等が含まれる。この各種サブシステムから露光装置への組み立て工程の前に、各サブシステム個々の組み立て工程があることはいうまでもない。各種サブシステムの露光装置への組み立て工程が終了したら、総合調整が行われ、露光装置全体としての各種精度が確保される。なお、露光装置の製造は温度およびクリーン度等が管理されたクリーンルームで行うことが望ましい。
【0093】
半導体デバイス等のマイクロデバイスは、図22に示すように、マイクロデバイスの機能・性能設計を行うステップ201、この設計ステップに基づいたマスク(レチクル)を製作するステップ202、デバイスの基材である基板を製造するステップ203、上述の実施形態に従って、マスクからの露光光で基板を露光すること、及び露光された基板を現像することを含む基板処理(露光処理)を含む基板処理ステップ204、デバイス組み立てステップ(ダイシング工程、ボンディング工程、パッケージ工程などの加工プロセスを含む)205、検査ステップ206等を経て製造される。
【0094】
なお、本実施形態においては、エアパッド1を用いるステージ装置が露光装置に適用される場合を例にして説明したが、例えば移動ステージを有する工作機械にも適用可能である。
【0095】
なお、上述の第1〜第3実施形態においては、パッド形成部材2は、パッド本体2Aとブッシュ2Bとを含み、内部流路7は、ブッシュ2Bに形成されているが、ブッシュ2Bを省略し、パッド形成部材2が、パッド本体2Aのみで構成されてもよい。その場合、パッド本体2Bに内部流路7及び気体吹出口6が形成される。
【0096】
なお、上述の各実施形態において、流体軸受(気体軸受)1が、エアを用いるエアパッドである場合を例にして説明したが、他の気体、例えば窒素、ヘリウム等、光化学的に不活性な気体を用いてもよい。
【0097】
なお、上述の各実施形態の要件は、適宜組み合わせることができる。また、上述の各実施形態及び変形例で引用した露光装置などに関する全ての公開公報及び米国特許の開示を援用して本文の記載の一部とする。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】第1実施形態に係る流体軸受の一例を示す平面図である。
【図2】第1実施形態に係る流体軸受の一例を示す側断面図である。
【図3】第1実施形態に係る流体軸受の部分断面を示す斜視図である。
【図4】第1物体の表面に配置された流体軸受が第2物体を非接触で支持している状態の一例を示す斜視図である。
【図5】本実施形態に係るステージ装置の一例を示す斜視図である。
【図6】流体軸受の作用を説明するための模式図であって、図6(A)は比較例に係る流体軸受を示す図、図6(B)は本実施形態に係る流体軸受を示す図、図6(C)は比較例に係る流体軸受を示す図である。
【図7】流体軸受が案内面上を移動する状態を説明するための模式図である。
【図8】流体軸受の負荷容量を説明するための模式図であって、図8(A)は比較例に係る流体軸受の負荷容量を示す図、図8(B)は本実施形態に係る流体軸受の負荷容量を示す図、図8(C)は比較例に係る流体軸受の負荷容量を示す図である。
【図9】第2実施形態に係る流体軸受の一例を示す平面図である。
【図10】第2実施形態に係る流体軸受の一例を示す平面図である。
【図11】第2実施形態に係る流体軸受の一例を示す平面図である。
【図12】第2実施形態に係る流体軸受の一例を示す平面図である。
【図13】第2実施形態に係る流体軸受の一例を示す平面図である。
【図14】第2実施形態に係る流体軸受の一例を示す平面図である。
【図15】第2実施形態に係る流体軸受の一例を示す平面図である。
【図16】第2実施形態に係る流体軸受の一例を示す側断面図である。
【図17】第2実施形態に係る流体軸受の一例を示す側断面図である。
【図18】第2実施形態に係る流体軸受の一例を示す側断面図である。
【図19】第2実施形態に係る流体軸受の一例を示す側断面図である。
【図20】第2実施形態に係る流体軸受の一例を示す側断面図である。
【図21】第3実施形態に係る露光装置の一例を示す概略構成図である。
【図22】半導体デバイスの製造工程の一例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0099】
1…エアパッド、2…パッド形成部材、2A…パッド本体、2B…ブッシュ、3…第1対向面、4…第1凹部、5…第2凹部、6…気体吹出口、7…内部流路、8…第2対向面、9…第1内側面、10…第3対向面、11…第2内側面、12…入口、13…第1物体、14…表面、15…第2物体、16…表面、20…ステージ装置、21…案内面、22…ベース部材、41…マスクステージ、42…基板ステージ、48…第2ベース部材、52…第3ベース部材、EL…露光光、EX…露光装置、M…マスク、P…基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1部材の第1面に形成された第1凹部と、
前記第1凹部の内側に形成された第2凹部と、
前記第2凹部の内側に配置された流体吹出口と、を備える流体軸受。
【請求項2】
前記流体吹出口は、1つである請求項1記載の流体軸受。
【請求項3】
前記第1凹部は、前記第1面と対向する位置に配置される所定面と対向し、前記所定面に対して前記第1面より離れた前記第2面を含み、
前記第2凹部は、前記所定面と対向し、前記所定面に対して前記第2面より離れた第3面を含み、
前記流体吹出口は、前記第3面に配置されている請求項1又は2記載の流体軸受。
【請求項4】
前記流体吹出口は、前記第3面のほぼ中央に配置されている請求項3記載の流体軸受。
【請求項5】
前記流体吹出口は、複数配置される請求項1〜4のいずれか一項記載の流体軸受。
【請求項6】
前記第2面は、前記第3面の周囲に配置されている請求項3〜5のいずれか一項記載の流体軸受。
【請求項7】
前記第2面の中心と、前記第3面の中心とがほぼ一致する請求項6記載の流体軸受。
【請求項8】
前記第1面は、前記第2面の周囲に配置されている請求項3〜7のいずれか一項記載の流体軸受。
【請求項9】
前記第1面の中心と、前記第2面の中心とがほぼ一致する請求項8記載の流体軸受。
【請求項10】
前記第1面は、平面である請求項3〜9のいずれか一項記載の流体軸受。
【請求項11】
前記第2面は、平面である請求項3〜10のいずれか一項記載の流体軸受。
【請求項12】
前記第3面は、平面である請求項3〜11のいずれか一項記載の流体軸受。
【請求項13】
前記第1面と前記第2面と前記第3面とはほぼ平行である請求項10記載の流体軸受。
【請求項14】
前記第2面及び前記第3面の少なくとも一方は、前記第1面に対して傾斜している請求項10記載の流体軸受。
【請求項15】
前記第1面及び前記第2面と異なる方向を向き、前記第1面と前記第2面とを結ぶ第1接続面を有する請求項3〜14のいずれか一項記載の流体軸受。
【請求項16】
前記第2面及び前記第3面と異なる方向を向き、前記第2面と前記第3面とを結ぶ第2接続面を有する請求項3〜15のいずれか一項記載の流体軸受。
【請求項17】
前記第3面の少なくとも一部及び前記流体吹出口は、前記第1部材と別の第2部材に配置されている請求項3〜16のいずれか一項記載の流体軸受。
【請求項18】
案内面を有するベース部材と、前記案内面と対向する対向面を有し、前記ベース部材に対して相対移動可能な移動部材とを備えるステージ装置であって、
前記案内面及び前記対向面の少なくとも一方は、請求項1〜17のいずれか一項記載の流体軸受を含むステージ装置。
【請求項19】
露光光で基板を露光する露光装置であって、
前記露光光の光路に対して物体を移動可能な請求項18記載のステージ装置を備える露光装置。
【請求項20】
前記物体は、前記基板を含む請求項19記載の露光装置。
【請求項21】
請求項19又は20記載の露光装置を用いて基板を露光することと、
露光された基板を現像することと、を含むデバイス製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2009−209962(P2009−209962A)
【公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−50781(P2008−50781)
【出願日】平成20年2月29日(2008.2.29)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】