流水検知装置
【課題】精度の高い安定した不作動流水制御と調圧制御を可能し、且つ流水検知信号を確実に出力可能とする。
【解決手段】流水検知装置10は、配管途中に設けられ、2次側圧力の低下により本弁24を開放して加圧水を給水し、圧力スイッチ40により本弁24の開放により流水検知信号を出力する。本弁駆動部は、シリンダ室30に対し1次側圧力水を供給制し、ピストン28をストロークして本弁24を開放し、シリンダ室30から1次側圧力水を排出して本弁24を閉鎖する。本弁24の1次側と2次側とバイパスするバイパス配管36には制御弁50が配置され、2次側圧力が締切設定圧力より低下すると制御弁50の不作動流水機構52が開いて2次側圧力を回復させ、更に2次側圧力が下がると制御弁50の調圧パイロット機構54が動作して本弁24を開放する。圧力スイッチ40はシリンダ室30に1次加圧水を供給する配管に設けられ、流水検知信号を出力する。
【解決手段】流水検知装置10は、配管途中に設けられ、2次側圧力の低下により本弁24を開放して加圧水を給水し、圧力スイッチ40により本弁24の開放により流水検知信号を出力する。本弁駆動部は、シリンダ室30に対し1次側圧力水を供給制し、ピストン28をストロークして本弁24を開放し、シリンダ室30から1次側圧力水を排出して本弁24を閉鎖する。本弁24の1次側と2次側とバイパスするバイパス配管36には制御弁50が配置され、2次側圧力が締切設定圧力より低下すると制御弁50の不作動流水機構52が開いて2次側圧力を回復させ、更に2次側圧力が下がると制御弁50の調圧パイロット機構54が動作して本弁24を開放する。圧力スイッチ40はシリンダ室30に1次加圧水を供給する配管に設けられ、流水検知信号を出力する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スプリンクラー設備等の消火設備における流水検知装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スプリンクラー設備、泡消火設備、水噴霧設備においては、加圧送水装置からの加圧水をヘッドに供給する配管の途中に流水検知装置を設けている。
【0003】
高層ビルに設置されるスプリンクラー設備等においては、加圧送水装置に近い低層階などでは、スプリンクラーヘッドの放水圧力が規定の上限を超える場合がある。このような部分には、流水検知装置の前段に減圧弁設備を設置して減圧を行っている。
【0004】
図13は減圧弁設備を設けた従来の流水検知装置を示す。図13において、給水本管から低層階に分岐された分岐管には仕切弁202を介して流水検知装置200が配置され、流水検知装置200の前段には減圧弁設備204が設置される。減圧弁設備204は減圧弁205を設置すると共に、その1次側に仕切弁206とストレーナ208を設置し、2次側にも仕切弁210を設置している。また減圧弁205が故障しても加圧消火水を供給可能とするためバイパス管212を配置し、バイパス管212に仕切弁214を設けている。
【0005】
通常は仕切弁206と210を開放状態にあり、仕切弁214は閉鎖状態にあることから、減圧弁205で減圧させた加圧消火水を流水検知装置200に供給する。減圧弁205が故障した場合には仕切弁214を開放してバイパス管212より加圧消火水を流水検知装置200に供給する。
【0006】
しかしながら、減圧弁の設置にあたっては、多数の仕切弁や配管を必要とし、その結果設備スペースの増大だけではなく、弁類や配管材といった工業資材と施工工数も増加するという問題がある。
【0007】
このような問題を解決するため、流水検知装置に減圧弁設備の機能を付加した図14に示す2次側調圧機能付きの流水検知装置が提案されている(特許文献1)。
【0008】
図14において、2次側調圧機能付きの流水検知装置は、ピストン311とシリンダ室315を有したリフト型の弁体310について、弁体310の1次側と2次側を接続するバイパス経路322に設けた調圧パイロット弁325により流水検知装置の2次側圧力の監視を行い、2次側圧力が設定圧力値になるようにシリンダ室315の加圧水を流出制御を行い、弁体310のリフト量(開度)を制御している。
【0009】
このような従来の2次側調圧機能付きの流水検知装置にあっては、シリンダ室315を弁体310の1次側に接続して1次側加圧水を導入しており、シリンダ室315の加圧水を調圧パイロット弁325を介して2次側に排出させることで圧力を下げてピストン311により弁体310をリフトして開くようにしている。弁体310の開放はロッド313の移動により外部に設けたリミットスイッチ312をオンし、流水検知信号を出力する。
【0010】
また、通常監視状態で2次側の漏水等により圧力が低下した場合には、圧力低下により調圧パイロット弁325が開き、バイパス経路322を通して加圧水を2次側に供給して設定圧力値に回復させる弁体310を開放しない不作動流水量の供給動作を行う。
【0011】
また、火災時にスプリンクラーが作動して一定量を超える流水があると、2次側圧力が急激に低下し、調圧パイロット弁325の開放に伴い、シリンダ室315の加圧水が2次側に流出して圧力が急激に低下し、これによってピストン311をリフトして弁体310を大きく開き、1次側の加圧水を2次側に供給して設定圧力値に回復させて継続的に供給する。このときシリンダ室315には1次側から加圧水が流れ込むが、バイパス経路322の1次側にオリフィス321を設けて1次側加圧水の供給を抑制し、シリンダ室315の圧力水を2次側に流出させている。
【0012】
このようにスプリンクラーの作動時には調圧パイロット弁325の開放によるシリンダ室315の急激な減圧で弁体310を急速に開放させるため、スプリンクラーからの放水で低下した2次側圧力は急速に回復し、設定圧力値をオーバーシュートした後に、設定圧力値に安定する。
【0013】
しかし、2次側圧力が設定圧力値を大きく越えると、2次側配管に例えば樹脂管などを使用していた場合に安全面で問題があることから、調圧パイロット弁325とは別に安全弁333を設け、2次側に高圧が加わらないようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開平11−128388号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかしながら、このような従来の2次側調圧機能付きの流水検知装置にあっては、2次側の少量の漏水などの圧力低下に対し、弁体310を作動させずに加圧消火水を一次側から二次側へ供給する不作動流水量制御と、火災時のヘッドの放水による本弁の作動による加圧水の供給を同じ調圧パイロット弁325およびバイパス経路で行っているため、高層ビルの低層階のように1次側圧力が高い場合、弁体310の開放時に2次側圧力が設定圧力値を大きく越えてオーバーシュートし、安定するまでの時間遅れが大きく、その間、2次側に設定圧力値を超える高圧がかかる問題がある。
【0016】
このような弁体開放時に大きくオーバーシュートを生ずる原因は、バイパス経路322の1次側にオリフィス321を設けていることによる。即ち、2次側圧力の低下による調圧パイロット弁325の開放により弁体310を急速に開放して2次側圧力が増加すると、設定圧力値を超えた時に調圧パイロット弁325は閉鎖し、パイパス経路322からシリンダ室315に1次側加圧水を導入し、ピストン311の押下げにより弁体310を閉鎖方向に駆動する。
【0017】
しかし、バイパス経路322の1次側にはオリフィス321が設けられているため、シリンダ室315に流れ込む1次側加圧水が制限され、ピストン310の動きが遅く、弁体310の閉鎖方向の応答性が低下し、その結果、2次側に大きなオーバーシュートを生じ、設定圧力値に安定するまでに時間がかかる。
【0018】
特に、高層ビルの低層階のように1次側圧力が高圧の場合には、流水検知装置による減圧は充分にできず、弁開放から設定圧力値に安定するまでのあいだ、1次側圧力に近い高圧が2次側にかかるおそれがある。
【0019】
このように2次側にかかる高圧を回避するため別途安全弁333を設けており、調圧パイロット弁325による弁体310の制御で設定圧力値を維持する制御が充分とはいえず、また、安全弁333を別途設ける必要があることから、装置構成がその分、複雑になる問題がある。
【0020】
また、シリンダ室315にバイパス経路322により1次側を接続した状態で調圧パイロット弁325の開放によりシリンダ室315の圧力水を2次側に流出させて制御圧力を低下させているため、オリフィス321により1次側圧力水が制限されていたとしても、シリンダ室315から2次側への排出と1次側からのシリンダ室315への流入が同時に発生し、シリンダ室315からの圧力水の流出が妨げられることで応答性が低下する問題もある。
【0021】
また図14にあっては、弁体310の開放によるロッド313の動きをリミットスイッチ312で検出して流水検知信号を出力するようにしているが、これ以外に、弁体310の弁シート面にアラームポートを開口し、弁体310が開いたときにアラームポートから外部に設けた圧力スイッチに圧力水を導入してタイマを起動し、所定時間後に流水検知信号を出力する構造もとられている。しかし、弁シート面にアラームポートを設けて本弁の開放時に圧力センサに加圧水を導入して流水検知信号を出力する構造にあっては、弁シート面に開口したアラームポートにゴミ等の異物が付着して詰まる可能性があり、アラームポートに異物が付着して詰まると圧力スイッチが動作せず、本弁が開いても流水検知信号が得られなくなる問題がある。
【0022】
本発明は、本弁を作動しない不作動流水量制御と本弁を作動する作動流水量制御を精度の高い安定した制御を可能し、且つ流水検知信号を確実に出力可能とする流水検知装置を提供することを特徴とする。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明は、配管の途中に設けられ、2次側圧力の低下により本弁を開放して加圧水を給水し、流水検知部により流水検知信号を出力する流水検知装置に於いて、
本弁に連動するピストンをシリンダ室に収納自在に設け、シリンダ室に対する1次側圧力水の供給制御により本弁を開放し、シリンダ室からの1次側圧力水の排出制御により本弁を閉鎖する本弁駆動部と、
本弁の1次側と2次側とバイパスするバイパス配管に設けられ、不作動流水機構と調圧パイロット機構を備える制御弁と、
シリンダ室に1次側圧力水を供給する配管に接続され、前記シリンダ室に対する圧力を導入して所定圧力を超えた時にタイマを起動して所定時間後に流水検知信号を外部に出力する圧力スイッチと、
を設け、
制御弁の不作動流水機構は、2次側圧力が所定の締切設定圧力を超えている場合に1次側と2次側を切離し、2次側圧力が前記締切設定圧力以下に低下した場合に2次側に1次側圧力水を供給して2次側圧力を回復させる弁機構を備え、
制御弁の調圧パイロット機構は、2次側圧力が締切設定圧力に対し所定値だけ低い所定の調圧設定圧力に低下するまでシリンダ室の1次圧力水を外部に排出して本弁を閉鎖方向へ付勢し、2次側圧力が調圧設定圧力以下に低下した場合はシリンダ室に1次側圧力水を導入して本弁を開放させる弁機構を備えたことを特徴とする。
【0024】
ここで、本弁は軸方向に、大弁と小弁を配置し、本弁駆動部のシリンダ室に摺動自在に設けたピストンの初期移動で小弁を開放し、更なるピストンの移動で小弁を開放したまま大弁を開放する複数弁構造を備える。
【0025】
不作動流水機構は、
スプリング荷重を軸方向に設定するスプリングと、
ダイヤフラムの一方の面に前記スプリングのスプリング荷重を受けると共にダイヤフラムの他方の面に形成したダイヤフラム室に2次側圧力を導入し、スプリング荷重と2次側圧力との大小関係に応じて前記ダイヤフラムを変位させるダイヤフラム機構と、
1次側と2次側を連通する第1連通路と、
第1連通路を貫通して軸方向に移動自在に配置され、一端にスプリングを当接すると共に他端に前記ダイヤフラムを当接したプランジャと、
プランジャと一体に形成された弁体と、
を備え、
2次側圧力によるダイヤフラムの押圧力が前記スプリング荷重より大きい場合のダイヤフラムの一方向への変位により、プランジャの弁体により1次側から2次側への流路を閉鎖し、2次側圧力による前記ダイヤフラムの押圧力がスプリング荷重より小さい場合のダイヤフラムの逆方向への変位により、プランジャの弁体を開放し1次側から2次側への流路を開放し、
制御弁の調圧パイロット機構は、
1次側、2次側、シリンダ室及び外部の各々と連通する第2連通路を形成し、
不作動流水機構のプランジャと同一方向に移動自在に収納され、第2連通路を貫通して連通状態を切り換える弁体を有するプランジャと、
を備え、
2次側圧力の低下に伴い不作動流水機構をダイヤフラムの一方向への変位に連動して調圧パイロット機構のプランジャを移動させ、シリンダ室を1次側に連通して1次側圧力水をシリンダ室に導入して本弁を開放させ、一方、2次側圧力の増加に伴う前記ダイヤフラムの逆方向への変位に連動して調圧パイロット機構のプランジャを移動させ、シリンダ室を1次側から切り離し、同時に1次側圧力水を前記シリンダ室から外部に排出して本弁を閉鎖させる。
【0026】
調圧パイロット機構のプランジャはダイヤフラムを間に介して同軸上に配置される。
【0027】
流水検知装置に於いて、
不作動流水機構は、
スプリング荷重を軸方向に設定するスプリングと、
ダイヤフラムの一方の面に前記スプリングのスプリング荷重を受けると共にダイヤフラムの他方の面に形成したダイヤフラム室に2次側圧力を導入し、スプリング荷重と2次側圧力との大小関係に応じて前記ダイヤフラムを変位させるダイヤフラム機構と、
1次側と2次側弁室と、
第1弁室と第2弁室を連通する軸方向の弁穴と、
第1弁室、弁穴及び第2弁室を貫通して軸方向に移動自在に配置され、一端にスプリングを当接すると共に他端にダイヤフラムを当接したプランジャと、
プランジャと一体に形成され第1弁室に収納された弁体と、
を備え、
2次側圧力による前記ダイヤフラムの押圧力が前記スプリング荷重より大きい場合、ダイヤフラムの一方向への変位により、プランジャの弁体を弁シートに当接して1次側から2次側への流路を閉鎖し、2次側圧力による前記ダイヤフラムの押圧力がスプリング荷重より小さい場合のダイヤフラムの逆方向への変位により、プランジャの弁体を弁シートから離して1次側から2次側への流路を開放し、
制御弁の調圧パイロット機構は、
排出ポートの形成により外部に連通された第3弁室と、
第3弁室に隣接して軸方向に配置され、1次側圧力水を導入した第4弁室と、
第4弁室に隣接して軸方向に配置され、前記本弁の制御圧力を導入した第5弁室と、
記第3弁室と第4弁室を連通する軸方向の第1連通穴と、
第1連通穴に軸方向に移動自在に収納され、軸方向に弁穴を形成した第1プランジャと、
前記第1連通穴と同時に前記第3弁室を貫通して前記ダイヤフラム室に連通した第2連通穴と、
第2連通穴の第4弁室の開口部に形成され、第1プランジャの当接を受ける弁シートと、
第1プランジャを弁シートに当接する閉鎖方向に付勢するバルブスプリングと、
第2連通穴に軸方向に移動自在に設けられ、一端を前記ダイヤフラムに支持されると共に、他端を第1プランジャに相対させた第2プランジャと、
を備え、
2次側圧力の低下に伴い不作動流水機構を開放させるダイヤフラムの一方向への変位により、第2プランジャの先端を第1プランジャに当接させて移動させることにより、第3弁室と第4弁室の間の流路を閉鎖して排出ポートを切り離し、同時に第5弁室と第4弁室の流路を開いてシリンダ室に1次側圧力水を導入して本弁を開放させ、一方、2次側圧力の増加に伴うダイヤフラムの逆方向への変位により、第2プランジャの先端を第1プランジャから離す方向に移動させることにより、第5弁室と第4弁室の流路を閉鎖してシリンダ室を1次側から切り離し、同時に第3弁室と第4弁室の流路を開いてシリンダ室から1次側圧力水を排出して本弁を閉鎖させる。
【0028】
また流水検知装置は、ダイヤフラムの2次側加圧面側に調圧パイロット機構を配置し、ダイヤフラムが破損した場合、スプリング荷重のみを受けることで不作動流水機構を連通状態に保持すると共に、調圧パイロット機構について2次側を前記シリンダ室に連通すると共に1次側を2次側及びシリンダ室から切離して本弁を開放状態に保持させる。
【0029】
本弁駆動部のシリンダ室に1次側圧力水を導入して本弁を開放させる手動開放弁を設ける。
【0030】
制御弁からシリンダ室に1次側圧力水を導入する配管に、制御弁に設けた調圧パイロット機構によるシリンダ室に対し1次側を切り離した状態で、シリンダ室を含む配管内の水を排水するオートドリップを設ける。
【0031】
制御弁に設けた不作動流水機構の2次側バイパス配管に、所定の不作動流水量を流す定流量弁を配置する。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、不作動流水機構と調圧パイロット機構を備える制御弁によって調圧制御と不作動流水量制御を行うことができ、装置の小型化を達成することができる。
【0033】
また、不作動流水機構と調圧パイロット機構を独立して設けたことで、不作動流水制御に影響されることなく、調圧パイロット制御により本弁を作動して2次側圧力を設定圧力値(締切設定圧力値)に高い応答性を持って精度良く制御することができ、1次側圧力が高圧であっても、本弁作動時に2次側圧力を大きくオーバーシュートして高圧にすることがなく、このため2次側高圧を防ぐために安全弁を設ける必要がなく、装置構成も簡単にできる。
【0034】
またシリンダ室に1次側圧力水を供給する配管に接続され、シリンダ室に対する圧力を導入して所定圧力を超えた時にタイマを起動して所定時間後に流水検知信号を外部に出力する圧力スイッチを、シリンダ室に1次側圧力水を供給する配管に接続するようにしたため、本弁の弁シート面にアラームポートを開口して本弁開放により圧力スイッチに加圧水を導入して流水検知信号を出力させる構造に比べ、弁シート面に開口したアラームポートに対するゴミなどの異物の付着による不作動の問題が解消させ、本弁の開放により確実に流水検知信号が出力され、信頼性を向上できる。
【0035】
また、不作動流水機構の2次側に定流量弁を配置することによって、1次側圧力の設定範囲が広い設備であっても、安定した不作動流水を2次側に供給して2次側圧力を設定圧力値に回復させることができる。
【0036】
また、流水検知装置の主弁が何らかの原因で開弁しない場合は、手動開放弁を操作してシリンダ室の圧力水を強制的に排水して全開とすることができる。
【0037】
また不作動流水機構と調圧パイロット機構の制御にダイヤフラム機構を使用し、ダイヤフラムが破損して機能を送出しても、不作動流水量弁機構と調圧パイロット機構は開放側に動作し、調圧機能は失われても本弁は開放側に動作して2次側に確実に圧力水を供給するフェイルセーフが果たされる。
【0038】
また、2次側圧力が所定の締切設定圧力に調圧された状態にあっては、シリンダ室が1次側から切り離され、シリンダ室を含む配管の水はオートドリップにより排出され、シリンダ室に常時圧力水がないため、凍結による本弁の破損や破壊を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】通常監視状態における本発明による流水検知装置の実施形態を示した説明図
【図2】本実施形態における1次側及び2次側圧力と調圧パイロット弁機構、本弁および不作動流水量弁機構の動作の関係を示した説明図
【図3】通常監視状態における図1の制御弁を取り出し示した断面図
【図4】図1の実施形態における本弁開放作動状態を示した説明図
【図5】本弁開放作動状態における図4の制御弁を取り出し示した断面図
【図6】図1の実施形態における本弁閉鎖作動状態を示した説明図
【図7】本弁閉鎖作動状態における図6の制御弁を取り出して示した断面図
【図8】図1の実施形態における不作動流水状態を取り出し示した説明図
【図9】本弁に複数弁構造を用いた本発明による流水検知装置の他の実施形態を示した説明図
【図10】図9の実施形態における本弁開放作動状態を示した説明図
【図11】図9の実施形態における本弁閉鎖作動状態を示した説明図
【図12】図9の実施形態における不作動流水状態を示した説明図
【図13】減圧弁設備を設けた従来の流水検知装置を示した説明図
【図14】2次側調圧機能を備えた従来の流水検知装置を示した説明図
【発明を実施するための形態】
【0040】
図1は通常監視状態における本発明による流水検知装置の実施形態を示した説明図である。図1において、流水検知装置10は、例えば高層ビル等の加圧給水装置が接続された給水本管から分岐された各階の分岐管の途中に設けられている。
【0041】
流水検知装置10は弁ボディ12の下側に1次側の流入口14を形成し、ここに仕切弁16を介して1次側配管18を接続している。弁ボディ12の上側には2次側となる流出口20が形成され、ここに2次側配管22を接続し、2次側配管22の先にはスプリンクラーヘッドが接続されている。
【0042】
弁ボディ12の内部には、本弁24が後方に一体に形成したピストン28により摺動自在に組み込まれており、弁ボディ12側に一体に形成した弁シート26に当接して、通常監視状態では閉鎖状態となっている。本弁24の背後に形成されたピストン28はシリンダ室30に摺動自在に組み込まれている。
【0043】
ピストン28には同軸にガイドロッド32が連結され、ガイドロッド32の先端は左側に取り出されている。ピストン28の背後(左側)にはスプリング29が設けられ、ピストン28を介して本弁24を閉鎖方向に付勢している。本弁24とピストン28には連通穴31を備えピストン28の背後のシリンダ室と本弁24の2次側を連通して、本弁2次側の加圧水をピストン背後側のシリンダ室へ流入/流出することにより、本弁24の開閉が行われる。
【0044】
本弁24と一体に形成したピストン28とシリンダ室30は、流水検知装置10に設けた本弁24の本弁駆動機構を構成し、本弁駆動機構は本弁24の1次側と2次側を接続するバイパス配管36に設けた制御弁50により制御される。
【0045】
バイパス配管36に設けた制御弁50は、不作動流水量弁部52と調圧パイロット弁部54を同一軸上に一体に配置した弁構造を備えている。即ち制御弁50は、不作動流水量弁機構と調圧パイロット弁機構という2つの弁機構を一体に備えている。
【0046】
バイバス配管36は弁ボディ12の1次側から取り出され、制御弁50に設けた不作動流水量弁部52のポートaと調圧パイロット弁部54のポートcにそれぞれ分岐されて接続される。また制御弁50に設けた不作動流水量弁部52のポートbから取り出されて弁ボディ12の2次側に接続される。また制御弁50に設けた調圧パイロット弁部54のポートdは弁ボディ12の2次側圧力を導入するポートであり、ここにもバイパス配管36の2次側が接続されている。
【0047】
制御弁50に設けた調圧パイロット弁部54は調圧制御用のポートeを持ち、ポートeを配管45から配管48を介してシリンダ室30のポートに接続している。シリンダ室30に対する配管48に対しては圧力スイッチ40が接続され、シリンダ室30に供給する圧力水を導入するようしにている。圧力スイッチ40は流水検知部として機能し、制御弁50に設けた調圧パイロット弁部54のポートeから本弁24を開放するためにシリンダ室30に供給する1次圧力水を導入し、所定圧力を超えた場合にタイマを起動し、所定時間後に流水検知信号を外部に出力する。
【0048】
また、制御弁50の1次側に設けたバイパス配管36からシリンダ室30に対する配管48に対し配管38が接続され、配管38には手動開放弁55が接続されている。
【0049】
手動開放弁55は、流水検知装置10の本弁24の開制御が何らかの原因でできなくなった異常時に、手動開放弁55を開くことで、シリンダ室30に1次側圧力水を強制的に導入し、1次側圧力によるピストン28の押上げで本弁24を全開位置に作動できるようにしている。この場合にも手動弁55を介してシリンダ室30に供給する1次側圧力水が圧力センサ40に導入され、所定圧力を超えた場合にタイマを起動し、所定時間後に流水検知信号を外部に出力する。
【0050】
また、手動開放弁55は施工時における配管内のゴミを取り除くための配管フラッシング作業や、弁座にゴミなどがかみ込んだ際に手動で全開状態に開放させ、水流で取り除く作業にも利用できる。
【0051】
シリンダ室30に対する配管48の反対側は排水管44が接続され、排水管44にオートドリップ46を設けている。制御弁50の調圧動作または手動開放弁55の開操作で配管48を介してシリンダ室30に1次側圧力水を導入して本弁24を開放した後に1次側との連通が切り離されると、シリンダ室30及び配管48に充水されている水はオートドリップ46を通って排水され、シリンダ室30及び配管48を空にし、これによって寒冷地に設置した場合の冬場の凍結による本弁作動機構の破損や破壊が未然に防止できる。
【0052】
制御弁50に設けた不作動流水量弁部52から引き出された2次側に対するバイパス配管36の途中には定流量弁58が設けられ、不作動流水量弁部52の制御で流す不作動流水量を一定流量とするようにしている。定流量弁58としては、簡単な場合はオリフィスであっても良いし、これ以外に、入力圧力の如何に関わらず流量を一定に保つ公知の定流量弁を使用することもできる。なお、流水検知装置10の1次側には1次側圧力計が接続され、2次側には2次側圧力計が接続されるが、図示を省略している。
【0053】
図2は本実施形態における1次側圧力及び2次側圧力と、調圧パイロット弁部54、本弁24及び不作動流水量弁部52の動作の関係を示した説明図である。図2において、縦軸は圧力Pであり、1次側圧力P1に対し2次側の設定圧力値となる締切設定圧力P2が設定され、更に、これより低い位置に調圧パイロット設定圧力P3が設定されている。
【0054】
なお1次側圧力P1は1次側圧力設定範囲Aの中の一点であり、高層ビルの場合には、1次側圧力P1は1次側圧力範囲Aの中で、低層階においては高く、高層階になるほど低い値をとるようになる。
【0055】
図1に示した通常監視状態にあっては、本弁24は閉鎖状態にあり、このとき2次側配管22の圧力は予め定めた締切設定圧力P2となっている。
【0056】
通常監視状態で2次側配管22側の漏水などにより2次側圧力が締切設定圧力P2より低下すると、それまで閉鎖状態にあった不作動流水量弁部52が開作動し、バイパス配管36から開放した不作動流水量弁部52を通って、更に定流量弁58で決まる一定の不作動流水量の流水を2次側に供給し、低下した2次側圧力を締切設定圧力P2に回復させる。このとき本弁24は閉鎖状態にあることから、このときの流水を不作動流水と呼んでいる。
【0057】
火災などによりスプリンクラーヘッドが作動して2次側配管に一定量を超える流水が発生すると、2次側圧力は締切設定圧力P2から急速に低下し、まず不作動流水量弁部52が開いてバイパス配管48により1次側圧力水を2次側に供給するが、これでは2次側圧力は回復せず、締切設定圧力P2に対し所定値だけ低い位置に設定した調圧パイロット設定圧力P3を下回ると、本弁24の開放による調圧制御が開始される。
【0058】
ここで調圧パイロット弁部54は、2次側圧力が調圧パイロット設定圧力P3に低下するまではシリンダ室30をポートeから弁内部の排出ポートを介して外部に連通すると同時に、1次側のバイパス配管36との連通を切り離した状態としており、シリンダ室30の圧力水はオートドリップ46を通って抜け、本弁24は1次側圧力水の押圧とピストン28のスプリング29による付勢により弁シート26に押付けられた閉鎖状態を維持している。
【0059】
この状態で2次側圧力が低下して調圧パイロット設定圧力P3以下になると、調圧パイロット弁部54はポートeを介してシリンダ室30に1次側圧力水を供給する切替え状態となる。このためシリンダ室30に1次側圧力水が供給されてピストン28を左方向にストロークさせ、本弁24の開放が行われる。
【0060】
本弁24が開放すると、1次側加圧水が2次側に供給されることで2次側圧力が回復し、2次側圧力が調圧パイロット設定圧力P3を超えると調圧パイロット弁部54はシリンダ室30をポートeから弁内部の排出ポートを介して外部に連通することで再び本弁24が閉鎖方向に移動され、以下、本弁24を移動させて流量調整を繰り返しながら、調圧パイロット設定圧力P3を維持するように1次側圧力水を2次側に継続的に供給することになる。
【0061】
図3は通常監視状態における図1の制御弁を取り出して示した断面図である。図3において、制御弁50は上部にスプリング62を組み込み、その下に不作動流水量弁部52を配置し、続いてダイヤフラム74とダイヤフラム室76を備えたダイヤフラム機構を介して、同一軸線上となる下側に調圧パイロット弁部54を配置している。
【0062】
不作動流水量弁部52には、1次側のバイパス配管36が接続されたポートaを連通した第1弁室64と、2次側のバイパス配管36を接続したポートbを連通した第2弁室66を軸方向に配置し、第1弁室64と第2弁室66を結ぶ連通穴に対し、スプリング62のスプリング荷重を受けたプランジャ68を摺動自在に配置している。プランジャ68の第1弁室64の部分には弁体70が設けられ、弁体70の上側の弁穴の開口部には弁シート72が形成されている。
【0063】
不作動流水量弁部52の下側にはダイヤフラム74が配置され、ダイヤフラム74の下側にダイヤフラム室76が形成され、ダイヤフラム室76には2次側のバイパス配管36が接続されたポートdに連通し、2次側圧力水をダイヤフラム室76に導入している。不作動流水量弁部52に設けたプランジャ68は、上側についてはスプリング62によるスプリング荷重を受け、下側についてはダイヤフラム74のダイヤフラム室76に導入した2次側圧力による押圧力を受けている。
【0064】
ダイヤフラム74の下側に配置した調圧パイロット弁部54は、1次側のバイパス配管36を接続したポートcに連通した第4弁室80を形成し、第4弁室80とダイヤフラム74側を連通する軸穴の途中に、シリンダ室30へ配管40により接続するポートeを連通している。
【0065】
第4弁室80の下には第3弁室78が形成され、第3弁室78と第4弁室80の間には軸方向の軸穴が形成され、この軸穴に第1プランジャ84を摺動自在に組み込んでいる。第1プランジャ84は、軸方向に連通穴84aを形成すると共に、上端に弁部84bを形成し、更にバルブスプリング85を設けている。第3室78の下側はプラグ90により閉鎖され、プラグ90には外部に連通する排出ポート92が形成されている。
【0066】
シリンダ室30に連通するポートeが形成された軸穴となる第5弁室82には、ダイヤフラム74に連結された第2プランジャ86が摺動自在に組み込まれており、第2プランジャ86は、図示の通常監視状態にあっては、先端を第1プランジャ84から離れた位置に配置しており、このため第1プランジャ84はバルブスプリング85により弁部84bを弁シートに当接した閉鎖位置に保持され、シリンダ室30に対するポートeと1次側のポートcとの連通を切り離している。
【0067】
このような通常監視状態における制御弁50にあっては、ダイヤフラム74にはスプリング62によるスプリング荷重がプランジャ68を介して加わり、同時にダイヤフラム室76に導入した2次側圧力による上向きの力が加わり、スプリング荷重と2次側圧力による力とのバランスにより決まる図示の位置にダイヤフラム74が位置し、この通常監視状態におけるダイヤフラム74の位置、即ち2次側圧力が図2に示した締切設定圧力P2にあるときには、プランジャ68の弁体70が弁シート72に当接されて1次側と2次側の流路を閉鎖しており、不作動流水量弁部52は閉鎖状態に置かれている。
【0068】
一方、下側の調圧パイロット弁部54にあっては、ダイヤフラム74の通常監視状態における位置で第2プランジャ86の先端は弁穴の内部に入った状態にあり、弁穴の開口の弁シートに対し、バルブスプリング85により第1プランジャ84が当接して閉鎖状態としている。
【0069】
このため1次側のポートcはシリンダ室30に対するポートeの連通から切り離され、
ポートeは第1プランジャ84の連通穴8aから第3弁室78及び排出ポート92を介してシリンダ室30を外部に連通して図1に示した流水検知装置10の本弁24は2次側に締切設定圧力P2を保持した閉鎖状態に置かれている。
【0070】
図4は図1の実施形態について本弁開放作動状態を示した説明図である。図4にあっては、2次側配管22側に設けたスプリンクラーヘッドが火災により作動して放水した場合であり、スプリンクラーヘッドからの放水により2次側圧力が急速に低下する。
【0071】
2次側圧力が低下すると、図2に示したように、締切設定圧力P2を下回ったときに制御弁50の不作動流水量弁部52が開放し、バイパス配管36を介して2次側に不作動流水を流すが、これだけでは2次側の圧力は回復せず、更に2次側圧力は低下する。
【0072】
2次側圧力が図2に示した調圧パイロット設定圧力P3を下回ると、調圧パイロット弁部54が動作してポートcからポートeへの連通に切り替わり、1次側圧力水をポートeから配管45,48を介してシリンダ室30に供給し、ピストン28を左側にストロークすることで本弁24を開放する。
【0073】
また、本弁24を開放するためにシリンダ室30に供給する1次側圧力水が圧力センサ40に導入され、所定圧力を超えた場合にタイマを起動し、所定時間後に外部の防災盤などに流水検知信号を出力して火災警報表示を行わせる。
【0074】
図5は本弁開放作動状態における図4の制御弁50を取り出して示した断面図である。図5にあっては、2次側圧力が図2に示した調圧パイロット設定圧力P3以下に低下した状態であり、この状態にあっては、ダイヤフラム室76に加わる2次側圧力の低下による力に対し、スプリング62によるスプリング荷重が打ち勝って、ダイヤフラム74は下方に移動し、不作動流水量弁部52の開状態を継続したまま、ダイヤフラム74は第2プランジャ86を下側に移動し、第2プランジャ86の先端で第1プランジャ84を押し下げる。
【0075】
これによって第1プランジャ84の連通穴84aが閉鎖されて排出ポート92との連通が切り離され、同時に、弁部84bが開口部の弁シートから離れる。したがって、シリンダ室30に連通するポートeが1次側のポートcに連通し、このため図4に示したシリンダ室30に1次圧力水がポートeから流入し、ピストン28を左側にストロークして本弁24の開放動作が行われる。
【0076】
図6は図1の実施形態について図5の本弁開放作動状態から本弁閉鎖作動状態に移行した場合を示した説明図である。図6にあっては、本弁24が開放されると、2次側に対する1次側加圧水の供給により2次側圧力が回復し、2次側圧力が図2に示す調圧パイロット設定圧力P3に回復すると、調圧パイロット弁部54が動作してポートcからポートeを切り離すと共にポートeを排水ポートに連通し、シリンダ室30から加圧水を排出することでピストン28をフリー状態とし、1次側圧力水に押されて本弁24を閉鎖する。
【0077】
シリンダ室30の加圧水の排水により圧力センサ40に導入している圧力が所定値を下回ると、圧力スイッチ40が復旧し、外部に対する流水検知信号の出力が断たれる。
【0078】
図7は本弁閉鎖作動状態における図6の制御弁を取り出して示した断面図である。図7において、本弁24の開放により2次側圧力が調圧パイロット設定圧力P3に回復すると、ダイヤフラム室76に加わる2次側圧力による力がスプリング62によるスプリング荷重が打ち勝ち、ダイヤフラム74は第2プランジャ86を上側に移動し、第1プランジャ84の弁部84bが弁座に当接し、更に第2プランジャ86は図3に示したように上側に戻る。
【0079】
これによって第1プランジャ84の弁部84bを第2プランジャ86の開口部に押し当てて1次側のポートcをポートeの連通から切り離し、同時に、第1プランジャ84の連通路84aを介してポートeをプラグ90の排出ポート92に連通し、シリンダ室30の加圧水を排出ポート92から外部に排出し、図6に示した本弁24を閉鎖させる。
【0080】
このとき不作動流水量弁部52に設けた弁体70は、弁シート72に当接する位置までは戻っておらず、不作動流水量弁部52は開放状態を維持している。以後、2次側のスプリンクラーヘッドからの放水が継続している間は、調圧パイロット弁部54は図2の調圧パイロット設定圧力P3を維持するように本弁24の開閉制御を繰り返している。
【0081】
図8は図1の実施形態における不作動状態を示した説明図である。図8にあっては、通常監視状態における漏水などにより2次側圧力が図2に示した所定の締切設定圧力P2を下回ると、制御弁50の不作動流水量弁部52が動作して1次側のポートaを2次側のポートbに連通し、バイパス配管36及び定流量弁58を通して1次側圧力水を2次側に供給し、低下した2次側圧力を締切設定圧力P2に回復させる。
【0082】
このとき2次側圧力は調圧パイロット設定圧力P3まで低下していないため、調圧パイロット弁部54はシリンダ室30をポートeから排出ポートに連通し、ポートeとポートcは閉鎖状態を保っている。なお、図8の不作動流水状態における制御弁50の動作は図7に示したと同じになる。
【0083】
次に図3に示した制御弁50の通常監視状態でダイヤフラム74が破れた場合の動作を説明する。経年変化などの理由でダイヤフラム74が破れると、ダイヤフラム室76に対する2次側圧力水が漏洩し、ダイヤフラム74を2次側圧力水により上側に押す力が失われる。このためダイヤフラム74は、スプリング62によるスプリング荷重のみを受けて下側に押されることになる。
【0084】
スプリング62によりダイヤフラム74が下側の当接位置まで押されると、不作動流水量弁部52についてはプランジャ68の弁体70が弁シート72から離れることで、1次側を2次側に連通した開放状態となり、バイパス流路36を不作動流水量弁部52を介して2次側に連通した状態となる。
【0085】
また調圧パイロット弁部54にあっては、ダイヤフラム74の当接位置までの下降により第2プランジャ86が第1プランジャ84を押し下げ、1次側のポートcをポートeに連通してシリンダ室30に1次側圧力水をシリンダ室30に供給し続けた状態となり、本弁24を全開としている。
【0086】
このように、制御弁50に設けたダイヤフラム74が破損しても、不作動流水量弁部52及び調圧パイロット弁部54は共に、バイパス配管36を介して2次側に1次側加圧水を供給し、且つ本弁24の開放により2次側に1次側加圧水を供給するフェイルセーフ側に動作し、ダイヤフラム74の破損によって、漏水時あるいは火災時のスプリンクラー作動時に流水検知装置10が確実に動作して2次側に加圧水を供給するフェイルセーフ動作を実現することができる。
【0087】
図9は本弁に複数弁構造を用いた本発明による流水検知装置の他の実施形態を示した説明図であり、通常監視状態を示している。図9において、流水検知装置10は弁ボディ112の下側に1次側の流入口114を形成し、ここに図1と同様に仕切弁を介して1次側配管を接続しているが、図示は省略している。弁ボディ112の上側には2次側となる流出口120が形成され、ここに図1と同様に2次側配管を接続し、2次側配管の先にはスプリンクラーヘッドが接続されているが、図示を省略している。
【0088】
弁ボディ112の内部には、複数弁機構を備えた本体弁部124が設けられている。本体弁部124は弁シート126に対し開閉自在な大弁138と、大弁138に設けた弁シート142に対し開閉自在な小弁140で構成される。
【0089】
大弁138の右側にはシリンダ室130が形成され、ピストン128を軸方向に摺動自在に組み込んでいる。シリンダ室130にはポート131が設けられ、ポート131に制御弁50に設けた調圧パイロット弁部54のポートeからの配管45を接続し、本弁部124の開放時に1次側圧力水を供給するようにしている。
【0090】
ピストン128にはピストンロッド132が固定され、ピストンロッド132は左側にプッシュロッド部136を延在し、図示の本弁部124の閉鎖状態でプッシュロッド部136の先端に小弁140の右側を当てている。小弁140は左側の蓋部材148に固定支持したガイドロッド144の右側に先端のガイド穴145を摺動自在に嵌め込んでおり、蓋部材148との間にリターンスプリング146を配置して閉鎖方向に付勢している。
【0091】
ピストンロッド132の左側に延在したプッシュロッド136の途中には押圧部材134が装着されており、ピストン132を左側となる開方向にストロークさせた場合、大弁138を押圧部材134により左側に押圧移動して弁シート126から離して開放させるようにしている。
【0092】
ピストン128とシリンダ室130は、流水検知装置10に設けた大弁138と小弁140の複数弁構造を備えた本弁部124の本弁駆動機構を構成し、本弁駆動機構は本弁部124の1次側ポート152と2次側ポート154を接続するバイパス配管36に設けた制御弁50により制御される。
【0093】
バイパス配管36に設けた制御弁50は、図1の実施形態と同様、不作動流水量弁部52と調圧パイロット弁部54を同一軸上に一体に配置した弁構造を備えている。バイパス配管36は弁ボディ112の1次側ポート152から取り出され、制御弁50に設けた不作動流水量弁部52のポートaと調圧パイロット弁部54のポートcにそれぞれ分岐されて接続される。また制御弁50に設けた不作動流水量弁部52のポートbから取り出されて弁ボディ112の2次側ポート154に接続される。また制御弁50に設けた調圧パイロット弁部54のポートdは弁ボディ112の2次側圧力を導入するポートであり、ここにもバイパス配管36の2次側が接続されている。
【0094】
制御弁50に設けた調圧パイロット弁部54は調圧制御用のポートeを持ち、ポートeを配管45を介してシリンダ室130のポート131に接続している。シリンダ室130に対する配管45に対しては圧力スイッチ40が接続され、シリンダ室130に供給する圧力水を導入するようにしている。圧力スイッチ40は流水検知部として機能し、制御弁50に設けた調圧パイロット弁部54のポートeから本弁24を開放するためにシリンダ室30に供給する1次側圧力水を導入し、所定圧力を超えた場合にタイマを起動し、所定時間後に流水検知信号を外部に出力する。
【0095】
また、制御弁50の1次側に設けたバイパス配管36からシリンダ室30に対する配管45に対し配管38が接続され、配管38には手動開放弁55が接続されている。
【0096】
手動開放弁55は、流水検知装置10の本弁部124の開制御が何らかの原因でできなくなった異常時に、手動開放弁55を開くことで、シリンダ室130に1次側圧力水を強制的に導入し、1次側圧力によるピストン128のストロークで本弁部124を全開位置に作動できるようにしている。この場合にも手動弁55を介してシリンダ室130に供給する1次側圧力水が圧力センサ40に導入され、所定圧力を超えた場合にタイマを起動し、所定時間後に流水検知信号を外部に出力する。
【0097】
また、手動開放弁55は施工時における配管内のゴミを取り除くための配管フラッシング作業や、弁座にゴミなどがかみ込んだ際に手動で全開状態に開放させ、水流で取り除く作業にも利用できる。
【0098】
シリンダ室130に対する配管45に対しては排水管44が接続され、排水管44にオートドリップ46を設けている。制御弁50の調圧動作または手動開放弁55の開操作で配管45を介してシリンダ室130に1次圧力水を導入して本弁部124を開放した後に1次側との連通が切り離されると、シリンダ室130及び配管45に充水されている水はオートドリップ42を通って排水され、シリンダ室130及び配管45を空にし、これによって寒冷地に設置した場合の冬場の凍結による本弁作動機構の破損や破壊が未然に防止できる。
【0099】
制御弁50に設けた不作動流水量弁部52から引き出された2次側に対するバイパス配管36の途中には定流量弁58が設けられ、不作動流水量弁部52の制御で流す不作動流水量を一定流量とするようにしている。定流量弁58としては、簡単な場合はオリフィスであっても良いし、これ以外に、入力圧力の如何に関わらず流量を一定に保つ公知の定流量弁を使用することもできる。なお、流水検知装置10の1次側には1次側圧力計が接続され、2次側には2次側圧力計が接続されるが、図示を省略している。
【0100】
図9の実施形態における調圧パイロット弁部54、本弁部124及び不作動流水量弁部52の動作の関係を決める1次側圧力P1、1次側圧力設定範囲A、締切設定圧力P2及び調圧パイロット設定圧力P3は図2に示したと同じになる。また図9の実施形態に設けた制御弁50の内部構造は図3に示したと同じになる。
【0101】
図10は図9の実施形態について本弁開放作動状態を示した説明図である。図10にあっては、2次側配管側に設けたスプリンクラーヘッドが火災により作動して放水した場合であり、スプリンクラーヘッドからの放水により2次側圧力が急速に低下する。
【0102】
2次側圧力が低下すると、図2に示したように、締切設定圧力P2を下回ったときに制御弁50の不作動流水量弁部52が開放し、バイパス配管36を介して2次側に不作動流水を流すが、これだけでは2次側の圧力は回復せず、更に2次側圧力は低下する。
【0103】
2次側圧力が図2に示した調圧パイロット設定圧力P3を下回ると、調圧パイロット弁部54が動作してポートcからポートeへの連通に切り替わり、1次側圧力水をポートeから配管45を介してシリンダ室130に供給し、ピストン128を左側にストロークすることで本弁部124を開放する。
【0104】
本弁部124の開放動作は、ピストン128が左側にストロークすると、まず小弁140をプッシュロッド部136の先端でリターンスプリング146に抗して左側に押圧移動し、このため小弁140が大弁138側に固定している弁シート142から離れ、小弁140が最初に開放して1次側圧力水を2次側に流す。
【0105】
ピストン128が更に左側にストロークすると、プッシュロッド部136の途中に設けている押圧部材134が大弁138の右側に当り、弁ボディ112側に固定している弁シート126から大弁138が離れ、大弁138が開放して1次側圧力水を2次側に流す。このようにピストン128の開放方向へのストロークに応じて小弁140、大弁138の順番に開放動作が行われ、2次側に対する1次加圧水の供給量が段階的に増加し、二次側配管へ急激な充水を抑制する。
【0106】
また、本弁部124を開放するためにシリンダ室130に供給する1次側圧力水が圧力センサ40に導入され、所定圧力を超えた場合にタイマを起動し、所定時間後に外部の防災盤などに流水検知信号を出力して火災警報表示を行わせる。なお、図10の本弁開放作動状態における制御弁50の動作は図5に示したと同じになる。
【0107】
図11は図9の実施形態について図10の本弁開放作動状態から本弁閉鎖作動状態に移行した場合を示した説明図である。図11にあっては、本弁部124が開放されると、即ち小弁140と大弁138が順次開放されると、2次側に対する1次側加圧水の供給により2次側圧力が回復し、2次側圧力が図2に示す調圧パイロット設定圧力P3に回復すると、調圧パイロット弁部54が動作してポートcからポートeを切り離すと共にポートeを排水ポートに連通し、シリンダ室130から加圧水を排出することでピストン128をフリー状態とし、本弁部124を閉鎖する。
【0108】
即ち、シリンダ室130の加圧水排出でピストン128がフリー状態になると、ピストン128はリターンスプリング146によりプッシュロッド部136及びピストンロッド132を介して右側にストロークし、最初に大弁138が弁シート126に当接して閉鎖し、大弁138による1次加圧水の2次側への供給を停止する。このとき小弁140は依然として開放状態にある。更にピストン128が押し戻されると、小弁140が弁シート142に当接して閉鎖し、小弁140による1次加圧水の2次側への供給を停止し、完全な閉鎖状態とする。
【0109】
本弁部124を閉鎖する際のシリンダ室30の制御弁50による加圧水の排水により圧力センサ40に導入している圧力が所定値を下回ると、圧力スイッチ40が復旧し、外部に対する流水検知信号の出力が断たれる。なお、図11の本弁閉鎖作動状態における制御弁50の動作は図7に示したと同じになる。
【0110】
また大弁138を全閉とした後に小弁140を閉鎖している途中段階で2次側圧力が低下して図2に示した調圧パイロット設定圧力P3を下回った場合には、制御弁50に設けた調圧パイロット弁部54がポートcとポートeを連通して1次側圧力水をシリンダ室130に供給してピストン128を開方向にストロークし、閉鎖途中にあった小弁140が再び開方向に動作して2次側に対する1次加圧水の供給量を増加し、このような開閉を繰り返しながら調圧パイロット設定圧力P3を維持しながら作動したスプリンクラーヘッドからの散水を行わせることになる。
【0111】
勿論、小弁140のみの開閉による調圧パイロット設定圧力P3を維持する動作となるか、小弁140及び大弁138の両方の開閉による調圧パイロット設定圧力P3を維持する動作となるかは、そのときの2次側に対する供給流量に依存した2次側圧力の変動に応じて適宜選択的に行われる。
【0112】
図12は図9の実施形態における不作動状態を示した説明図である。図12にあっては、通常監視状態における漏水などにより2次側圧力が図2に示した所定の締切設定圧力P2を下回ると、制御弁50の不作動流水量弁部52が動作して1次側のポートaを2次側のポートbに連通し、バイパス配管36及び定流量弁58を通して1次側圧力水を2次側に供給し、低下した2次側圧力を締切設定圧力P2に回復させる。
【0113】
このとき2次側圧力は調圧パイロット設定圧力P3まで低下していないため、調圧パイロット弁部54はシリンダ室130をポートeから排出ポートに連通した閉鎖状態を保っている。また、図12の不作動流水状態における制御弁50の動作は図7に示したと同じになる。
【0114】
なお上記の実施形態にあっては、制御弁50に設けた不作動流水量弁部52の2次側のバイパス配管に定流量弁58を設けているが、1次側圧力範囲が広くない固定的に決まるような設備にあっては、定流量弁58を設けなくともよい。
【0115】
また本発明は、その目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に上記の実施形態に示した数値による限定は受けない。
【符号の説明】
【0116】
10:流水検知装置
12,112:弁ボディ
18:1次側配管
22:2次側配管
24:本弁
26,126,142:弁シート
28,128:ピストン
30,130:シリンダ室
32,144:ガイドロッド
36:バイパス配管
40:圧力スイッチ
50:制御弁
52:不作動流水量弁部
54:調圧パイロット弁部
58:定流量弁
62:スプリング
68:プランジャ
84:第1プランジャ
84a:連通穴
84b:弁部
86:第2プランジャ
124:本弁部
138:大弁
140:小弁
a〜e:ポート
【技術分野】
【0001】
本発明は、スプリンクラー設備等の消火設備における流水検知装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スプリンクラー設備、泡消火設備、水噴霧設備においては、加圧送水装置からの加圧水をヘッドに供給する配管の途中に流水検知装置を設けている。
【0003】
高層ビルに設置されるスプリンクラー設備等においては、加圧送水装置に近い低層階などでは、スプリンクラーヘッドの放水圧力が規定の上限を超える場合がある。このような部分には、流水検知装置の前段に減圧弁設備を設置して減圧を行っている。
【0004】
図13は減圧弁設備を設けた従来の流水検知装置を示す。図13において、給水本管から低層階に分岐された分岐管には仕切弁202を介して流水検知装置200が配置され、流水検知装置200の前段には減圧弁設備204が設置される。減圧弁設備204は減圧弁205を設置すると共に、その1次側に仕切弁206とストレーナ208を設置し、2次側にも仕切弁210を設置している。また減圧弁205が故障しても加圧消火水を供給可能とするためバイパス管212を配置し、バイパス管212に仕切弁214を設けている。
【0005】
通常は仕切弁206と210を開放状態にあり、仕切弁214は閉鎖状態にあることから、減圧弁205で減圧させた加圧消火水を流水検知装置200に供給する。減圧弁205が故障した場合には仕切弁214を開放してバイパス管212より加圧消火水を流水検知装置200に供給する。
【0006】
しかしながら、減圧弁の設置にあたっては、多数の仕切弁や配管を必要とし、その結果設備スペースの増大だけではなく、弁類や配管材といった工業資材と施工工数も増加するという問題がある。
【0007】
このような問題を解決するため、流水検知装置に減圧弁設備の機能を付加した図14に示す2次側調圧機能付きの流水検知装置が提案されている(特許文献1)。
【0008】
図14において、2次側調圧機能付きの流水検知装置は、ピストン311とシリンダ室315を有したリフト型の弁体310について、弁体310の1次側と2次側を接続するバイパス経路322に設けた調圧パイロット弁325により流水検知装置の2次側圧力の監視を行い、2次側圧力が設定圧力値になるようにシリンダ室315の加圧水を流出制御を行い、弁体310のリフト量(開度)を制御している。
【0009】
このような従来の2次側調圧機能付きの流水検知装置にあっては、シリンダ室315を弁体310の1次側に接続して1次側加圧水を導入しており、シリンダ室315の加圧水を調圧パイロット弁325を介して2次側に排出させることで圧力を下げてピストン311により弁体310をリフトして開くようにしている。弁体310の開放はロッド313の移動により外部に設けたリミットスイッチ312をオンし、流水検知信号を出力する。
【0010】
また、通常監視状態で2次側の漏水等により圧力が低下した場合には、圧力低下により調圧パイロット弁325が開き、バイパス経路322を通して加圧水を2次側に供給して設定圧力値に回復させる弁体310を開放しない不作動流水量の供給動作を行う。
【0011】
また、火災時にスプリンクラーが作動して一定量を超える流水があると、2次側圧力が急激に低下し、調圧パイロット弁325の開放に伴い、シリンダ室315の加圧水が2次側に流出して圧力が急激に低下し、これによってピストン311をリフトして弁体310を大きく開き、1次側の加圧水を2次側に供給して設定圧力値に回復させて継続的に供給する。このときシリンダ室315には1次側から加圧水が流れ込むが、バイパス経路322の1次側にオリフィス321を設けて1次側加圧水の供給を抑制し、シリンダ室315の圧力水を2次側に流出させている。
【0012】
このようにスプリンクラーの作動時には調圧パイロット弁325の開放によるシリンダ室315の急激な減圧で弁体310を急速に開放させるため、スプリンクラーからの放水で低下した2次側圧力は急速に回復し、設定圧力値をオーバーシュートした後に、設定圧力値に安定する。
【0013】
しかし、2次側圧力が設定圧力値を大きく越えると、2次側配管に例えば樹脂管などを使用していた場合に安全面で問題があることから、調圧パイロット弁325とは別に安全弁333を設け、2次側に高圧が加わらないようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開平11−128388号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかしながら、このような従来の2次側調圧機能付きの流水検知装置にあっては、2次側の少量の漏水などの圧力低下に対し、弁体310を作動させずに加圧消火水を一次側から二次側へ供給する不作動流水量制御と、火災時のヘッドの放水による本弁の作動による加圧水の供給を同じ調圧パイロット弁325およびバイパス経路で行っているため、高層ビルの低層階のように1次側圧力が高い場合、弁体310の開放時に2次側圧力が設定圧力値を大きく越えてオーバーシュートし、安定するまでの時間遅れが大きく、その間、2次側に設定圧力値を超える高圧がかかる問題がある。
【0016】
このような弁体開放時に大きくオーバーシュートを生ずる原因は、バイパス経路322の1次側にオリフィス321を設けていることによる。即ち、2次側圧力の低下による調圧パイロット弁325の開放により弁体310を急速に開放して2次側圧力が増加すると、設定圧力値を超えた時に調圧パイロット弁325は閉鎖し、パイパス経路322からシリンダ室315に1次側加圧水を導入し、ピストン311の押下げにより弁体310を閉鎖方向に駆動する。
【0017】
しかし、バイパス経路322の1次側にはオリフィス321が設けられているため、シリンダ室315に流れ込む1次側加圧水が制限され、ピストン310の動きが遅く、弁体310の閉鎖方向の応答性が低下し、その結果、2次側に大きなオーバーシュートを生じ、設定圧力値に安定するまでに時間がかかる。
【0018】
特に、高層ビルの低層階のように1次側圧力が高圧の場合には、流水検知装置による減圧は充分にできず、弁開放から設定圧力値に安定するまでのあいだ、1次側圧力に近い高圧が2次側にかかるおそれがある。
【0019】
このように2次側にかかる高圧を回避するため別途安全弁333を設けており、調圧パイロット弁325による弁体310の制御で設定圧力値を維持する制御が充分とはいえず、また、安全弁333を別途設ける必要があることから、装置構成がその分、複雑になる問題がある。
【0020】
また、シリンダ室315にバイパス経路322により1次側を接続した状態で調圧パイロット弁325の開放によりシリンダ室315の圧力水を2次側に流出させて制御圧力を低下させているため、オリフィス321により1次側圧力水が制限されていたとしても、シリンダ室315から2次側への排出と1次側からのシリンダ室315への流入が同時に発生し、シリンダ室315からの圧力水の流出が妨げられることで応答性が低下する問題もある。
【0021】
また図14にあっては、弁体310の開放によるロッド313の動きをリミットスイッチ312で検出して流水検知信号を出力するようにしているが、これ以外に、弁体310の弁シート面にアラームポートを開口し、弁体310が開いたときにアラームポートから外部に設けた圧力スイッチに圧力水を導入してタイマを起動し、所定時間後に流水検知信号を出力する構造もとられている。しかし、弁シート面にアラームポートを設けて本弁の開放時に圧力センサに加圧水を導入して流水検知信号を出力する構造にあっては、弁シート面に開口したアラームポートにゴミ等の異物が付着して詰まる可能性があり、アラームポートに異物が付着して詰まると圧力スイッチが動作せず、本弁が開いても流水検知信号が得られなくなる問題がある。
【0022】
本発明は、本弁を作動しない不作動流水量制御と本弁を作動する作動流水量制御を精度の高い安定した制御を可能し、且つ流水検知信号を確実に出力可能とする流水検知装置を提供することを特徴とする。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明は、配管の途中に設けられ、2次側圧力の低下により本弁を開放して加圧水を給水し、流水検知部により流水検知信号を出力する流水検知装置に於いて、
本弁に連動するピストンをシリンダ室に収納自在に設け、シリンダ室に対する1次側圧力水の供給制御により本弁を開放し、シリンダ室からの1次側圧力水の排出制御により本弁を閉鎖する本弁駆動部と、
本弁の1次側と2次側とバイパスするバイパス配管に設けられ、不作動流水機構と調圧パイロット機構を備える制御弁と、
シリンダ室に1次側圧力水を供給する配管に接続され、前記シリンダ室に対する圧力を導入して所定圧力を超えた時にタイマを起動して所定時間後に流水検知信号を外部に出力する圧力スイッチと、
を設け、
制御弁の不作動流水機構は、2次側圧力が所定の締切設定圧力を超えている場合に1次側と2次側を切離し、2次側圧力が前記締切設定圧力以下に低下した場合に2次側に1次側圧力水を供給して2次側圧力を回復させる弁機構を備え、
制御弁の調圧パイロット機構は、2次側圧力が締切設定圧力に対し所定値だけ低い所定の調圧設定圧力に低下するまでシリンダ室の1次圧力水を外部に排出して本弁を閉鎖方向へ付勢し、2次側圧力が調圧設定圧力以下に低下した場合はシリンダ室に1次側圧力水を導入して本弁を開放させる弁機構を備えたことを特徴とする。
【0024】
ここで、本弁は軸方向に、大弁と小弁を配置し、本弁駆動部のシリンダ室に摺動自在に設けたピストンの初期移動で小弁を開放し、更なるピストンの移動で小弁を開放したまま大弁を開放する複数弁構造を備える。
【0025】
不作動流水機構は、
スプリング荷重を軸方向に設定するスプリングと、
ダイヤフラムの一方の面に前記スプリングのスプリング荷重を受けると共にダイヤフラムの他方の面に形成したダイヤフラム室に2次側圧力を導入し、スプリング荷重と2次側圧力との大小関係に応じて前記ダイヤフラムを変位させるダイヤフラム機構と、
1次側と2次側を連通する第1連通路と、
第1連通路を貫通して軸方向に移動自在に配置され、一端にスプリングを当接すると共に他端に前記ダイヤフラムを当接したプランジャと、
プランジャと一体に形成された弁体と、
を備え、
2次側圧力によるダイヤフラムの押圧力が前記スプリング荷重より大きい場合のダイヤフラムの一方向への変位により、プランジャの弁体により1次側から2次側への流路を閉鎖し、2次側圧力による前記ダイヤフラムの押圧力がスプリング荷重より小さい場合のダイヤフラムの逆方向への変位により、プランジャの弁体を開放し1次側から2次側への流路を開放し、
制御弁の調圧パイロット機構は、
1次側、2次側、シリンダ室及び外部の各々と連通する第2連通路を形成し、
不作動流水機構のプランジャと同一方向に移動自在に収納され、第2連通路を貫通して連通状態を切り換える弁体を有するプランジャと、
を備え、
2次側圧力の低下に伴い不作動流水機構をダイヤフラムの一方向への変位に連動して調圧パイロット機構のプランジャを移動させ、シリンダ室を1次側に連通して1次側圧力水をシリンダ室に導入して本弁を開放させ、一方、2次側圧力の増加に伴う前記ダイヤフラムの逆方向への変位に連動して調圧パイロット機構のプランジャを移動させ、シリンダ室を1次側から切り離し、同時に1次側圧力水を前記シリンダ室から外部に排出して本弁を閉鎖させる。
【0026】
調圧パイロット機構のプランジャはダイヤフラムを間に介して同軸上に配置される。
【0027】
流水検知装置に於いて、
不作動流水機構は、
スプリング荷重を軸方向に設定するスプリングと、
ダイヤフラムの一方の面に前記スプリングのスプリング荷重を受けると共にダイヤフラムの他方の面に形成したダイヤフラム室に2次側圧力を導入し、スプリング荷重と2次側圧力との大小関係に応じて前記ダイヤフラムを変位させるダイヤフラム機構と、
1次側と2次側弁室と、
第1弁室と第2弁室を連通する軸方向の弁穴と、
第1弁室、弁穴及び第2弁室を貫通して軸方向に移動自在に配置され、一端にスプリングを当接すると共に他端にダイヤフラムを当接したプランジャと、
プランジャと一体に形成され第1弁室に収納された弁体と、
を備え、
2次側圧力による前記ダイヤフラムの押圧力が前記スプリング荷重より大きい場合、ダイヤフラムの一方向への変位により、プランジャの弁体を弁シートに当接して1次側から2次側への流路を閉鎖し、2次側圧力による前記ダイヤフラムの押圧力がスプリング荷重より小さい場合のダイヤフラムの逆方向への変位により、プランジャの弁体を弁シートから離して1次側から2次側への流路を開放し、
制御弁の調圧パイロット機構は、
排出ポートの形成により外部に連通された第3弁室と、
第3弁室に隣接して軸方向に配置され、1次側圧力水を導入した第4弁室と、
第4弁室に隣接して軸方向に配置され、前記本弁の制御圧力を導入した第5弁室と、
記第3弁室と第4弁室を連通する軸方向の第1連通穴と、
第1連通穴に軸方向に移動自在に収納され、軸方向に弁穴を形成した第1プランジャと、
前記第1連通穴と同時に前記第3弁室を貫通して前記ダイヤフラム室に連通した第2連通穴と、
第2連通穴の第4弁室の開口部に形成され、第1プランジャの当接を受ける弁シートと、
第1プランジャを弁シートに当接する閉鎖方向に付勢するバルブスプリングと、
第2連通穴に軸方向に移動自在に設けられ、一端を前記ダイヤフラムに支持されると共に、他端を第1プランジャに相対させた第2プランジャと、
を備え、
2次側圧力の低下に伴い不作動流水機構を開放させるダイヤフラムの一方向への変位により、第2プランジャの先端を第1プランジャに当接させて移動させることにより、第3弁室と第4弁室の間の流路を閉鎖して排出ポートを切り離し、同時に第5弁室と第4弁室の流路を開いてシリンダ室に1次側圧力水を導入して本弁を開放させ、一方、2次側圧力の増加に伴うダイヤフラムの逆方向への変位により、第2プランジャの先端を第1プランジャから離す方向に移動させることにより、第5弁室と第4弁室の流路を閉鎖してシリンダ室を1次側から切り離し、同時に第3弁室と第4弁室の流路を開いてシリンダ室から1次側圧力水を排出して本弁を閉鎖させる。
【0028】
また流水検知装置は、ダイヤフラムの2次側加圧面側に調圧パイロット機構を配置し、ダイヤフラムが破損した場合、スプリング荷重のみを受けることで不作動流水機構を連通状態に保持すると共に、調圧パイロット機構について2次側を前記シリンダ室に連通すると共に1次側を2次側及びシリンダ室から切離して本弁を開放状態に保持させる。
【0029】
本弁駆動部のシリンダ室に1次側圧力水を導入して本弁を開放させる手動開放弁を設ける。
【0030】
制御弁からシリンダ室に1次側圧力水を導入する配管に、制御弁に設けた調圧パイロット機構によるシリンダ室に対し1次側を切り離した状態で、シリンダ室を含む配管内の水を排水するオートドリップを設ける。
【0031】
制御弁に設けた不作動流水機構の2次側バイパス配管に、所定の不作動流水量を流す定流量弁を配置する。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、不作動流水機構と調圧パイロット機構を備える制御弁によって調圧制御と不作動流水量制御を行うことができ、装置の小型化を達成することができる。
【0033】
また、不作動流水機構と調圧パイロット機構を独立して設けたことで、不作動流水制御に影響されることなく、調圧パイロット制御により本弁を作動して2次側圧力を設定圧力値(締切設定圧力値)に高い応答性を持って精度良く制御することができ、1次側圧力が高圧であっても、本弁作動時に2次側圧力を大きくオーバーシュートして高圧にすることがなく、このため2次側高圧を防ぐために安全弁を設ける必要がなく、装置構成も簡単にできる。
【0034】
またシリンダ室に1次側圧力水を供給する配管に接続され、シリンダ室に対する圧力を導入して所定圧力を超えた時にタイマを起動して所定時間後に流水検知信号を外部に出力する圧力スイッチを、シリンダ室に1次側圧力水を供給する配管に接続するようにしたため、本弁の弁シート面にアラームポートを開口して本弁開放により圧力スイッチに加圧水を導入して流水検知信号を出力させる構造に比べ、弁シート面に開口したアラームポートに対するゴミなどの異物の付着による不作動の問題が解消させ、本弁の開放により確実に流水検知信号が出力され、信頼性を向上できる。
【0035】
また、不作動流水機構の2次側に定流量弁を配置することによって、1次側圧力の設定範囲が広い設備であっても、安定した不作動流水を2次側に供給して2次側圧力を設定圧力値に回復させることができる。
【0036】
また、流水検知装置の主弁が何らかの原因で開弁しない場合は、手動開放弁を操作してシリンダ室の圧力水を強制的に排水して全開とすることができる。
【0037】
また不作動流水機構と調圧パイロット機構の制御にダイヤフラム機構を使用し、ダイヤフラムが破損して機能を送出しても、不作動流水量弁機構と調圧パイロット機構は開放側に動作し、調圧機能は失われても本弁は開放側に動作して2次側に確実に圧力水を供給するフェイルセーフが果たされる。
【0038】
また、2次側圧力が所定の締切設定圧力に調圧された状態にあっては、シリンダ室が1次側から切り離され、シリンダ室を含む配管の水はオートドリップにより排出され、シリンダ室に常時圧力水がないため、凍結による本弁の破損や破壊を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】通常監視状態における本発明による流水検知装置の実施形態を示した説明図
【図2】本実施形態における1次側及び2次側圧力と調圧パイロット弁機構、本弁および不作動流水量弁機構の動作の関係を示した説明図
【図3】通常監視状態における図1の制御弁を取り出し示した断面図
【図4】図1の実施形態における本弁開放作動状態を示した説明図
【図5】本弁開放作動状態における図4の制御弁を取り出し示した断面図
【図6】図1の実施形態における本弁閉鎖作動状態を示した説明図
【図7】本弁閉鎖作動状態における図6の制御弁を取り出して示した断面図
【図8】図1の実施形態における不作動流水状態を取り出し示した説明図
【図9】本弁に複数弁構造を用いた本発明による流水検知装置の他の実施形態を示した説明図
【図10】図9の実施形態における本弁開放作動状態を示した説明図
【図11】図9の実施形態における本弁閉鎖作動状態を示した説明図
【図12】図9の実施形態における不作動流水状態を示した説明図
【図13】減圧弁設備を設けた従来の流水検知装置を示した説明図
【図14】2次側調圧機能を備えた従来の流水検知装置を示した説明図
【発明を実施するための形態】
【0040】
図1は通常監視状態における本発明による流水検知装置の実施形態を示した説明図である。図1において、流水検知装置10は、例えば高層ビル等の加圧給水装置が接続された給水本管から分岐された各階の分岐管の途中に設けられている。
【0041】
流水検知装置10は弁ボディ12の下側に1次側の流入口14を形成し、ここに仕切弁16を介して1次側配管18を接続している。弁ボディ12の上側には2次側となる流出口20が形成され、ここに2次側配管22を接続し、2次側配管22の先にはスプリンクラーヘッドが接続されている。
【0042】
弁ボディ12の内部には、本弁24が後方に一体に形成したピストン28により摺動自在に組み込まれており、弁ボディ12側に一体に形成した弁シート26に当接して、通常監視状態では閉鎖状態となっている。本弁24の背後に形成されたピストン28はシリンダ室30に摺動自在に組み込まれている。
【0043】
ピストン28には同軸にガイドロッド32が連結され、ガイドロッド32の先端は左側に取り出されている。ピストン28の背後(左側)にはスプリング29が設けられ、ピストン28を介して本弁24を閉鎖方向に付勢している。本弁24とピストン28には連通穴31を備えピストン28の背後のシリンダ室と本弁24の2次側を連通して、本弁2次側の加圧水をピストン背後側のシリンダ室へ流入/流出することにより、本弁24の開閉が行われる。
【0044】
本弁24と一体に形成したピストン28とシリンダ室30は、流水検知装置10に設けた本弁24の本弁駆動機構を構成し、本弁駆動機構は本弁24の1次側と2次側を接続するバイパス配管36に設けた制御弁50により制御される。
【0045】
バイパス配管36に設けた制御弁50は、不作動流水量弁部52と調圧パイロット弁部54を同一軸上に一体に配置した弁構造を備えている。即ち制御弁50は、不作動流水量弁機構と調圧パイロット弁機構という2つの弁機構を一体に備えている。
【0046】
バイバス配管36は弁ボディ12の1次側から取り出され、制御弁50に設けた不作動流水量弁部52のポートaと調圧パイロット弁部54のポートcにそれぞれ分岐されて接続される。また制御弁50に設けた不作動流水量弁部52のポートbから取り出されて弁ボディ12の2次側に接続される。また制御弁50に設けた調圧パイロット弁部54のポートdは弁ボディ12の2次側圧力を導入するポートであり、ここにもバイパス配管36の2次側が接続されている。
【0047】
制御弁50に設けた調圧パイロット弁部54は調圧制御用のポートeを持ち、ポートeを配管45から配管48を介してシリンダ室30のポートに接続している。シリンダ室30に対する配管48に対しては圧力スイッチ40が接続され、シリンダ室30に供給する圧力水を導入するようしにている。圧力スイッチ40は流水検知部として機能し、制御弁50に設けた調圧パイロット弁部54のポートeから本弁24を開放するためにシリンダ室30に供給する1次圧力水を導入し、所定圧力を超えた場合にタイマを起動し、所定時間後に流水検知信号を外部に出力する。
【0048】
また、制御弁50の1次側に設けたバイパス配管36からシリンダ室30に対する配管48に対し配管38が接続され、配管38には手動開放弁55が接続されている。
【0049】
手動開放弁55は、流水検知装置10の本弁24の開制御が何らかの原因でできなくなった異常時に、手動開放弁55を開くことで、シリンダ室30に1次側圧力水を強制的に導入し、1次側圧力によるピストン28の押上げで本弁24を全開位置に作動できるようにしている。この場合にも手動弁55を介してシリンダ室30に供給する1次側圧力水が圧力センサ40に導入され、所定圧力を超えた場合にタイマを起動し、所定時間後に流水検知信号を外部に出力する。
【0050】
また、手動開放弁55は施工時における配管内のゴミを取り除くための配管フラッシング作業や、弁座にゴミなどがかみ込んだ際に手動で全開状態に開放させ、水流で取り除く作業にも利用できる。
【0051】
シリンダ室30に対する配管48の反対側は排水管44が接続され、排水管44にオートドリップ46を設けている。制御弁50の調圧動作または手動開放弁55の開操作で配管48を介してシリンダ室30に1次側圧力水を導入して本弁24を開放した後に1次側との連通が切り離されると、シリンダ室30及び配管48に充水されている水はオートドリップ46を通って排水され、シリンダ室30及び配管48を空にし、これによって寒冷地に設置した場合の冬場の凍結による本弁作動機構の破損や破壊が未然に防止できる。
【0052】
制御弁50に設けた不作動流水量弁部52から引き出された2次側に対するバイパス配管36の途中には定流量弁58が設けられ、不作動流水量弁部52の制御で流す不作動流水量を一定流量とするようにしている。定流量弁58としては、簡単な場合はオリフィスであっても良いし、これ以外に、入力圧力の如何に関わらず流量を一定に保つ公知の定流量弁を使用することもできる。なお、流水検知装置10の1次側には1次側圧力計が接続され、2次側には2次側圧力計が接続されるが、図示を省略している。
【0053】
図2は本実施形態における1次側圧力及び2次側圧力と、調圧パイロット弁部54、本弁24及び不作動流水量弁部52の動作の関係を示した説明図である。図2において、縦軸は圧力Pであり、1次側圧力P1に対し2次側の設定圧力値となる締切設定圧力P2が設定され、更に、これより低い位置に調圧パイロット設定圧力P3が設定されている。
【0054】
なお1次側圧力P1は1次側圧力設定範囲Aの中の一点であり、高層ビルの場合には、1次側圧力P1は1次側圧力範囲Aの中で、低層階においては高く、高層階になるほど低い値をとるようになる。
【0055】
図1に示した通常監視状態にあっては、本弁24は閉鎖状態にあり、このとき2次側配管22の圧力は予め定めた締切設定圧力P2となっている。
【0056】
通常監視状態で2次側配管22側の漏水などにより2次側圧力が締切設定圧力P2より低下すると、それまで閉鎖状態にあった不作動流水量弁部52が開作動し、バイパス配管36から開放した不作動流水量弁部52を通って、更に定流量弁58で決まる一定の不作動流水量の流水を2次側に供給し、低下した2次側圧力を締切設定圧力P2に回復させる。このとき本弁24は閉鎖状態にあることから、このときの流水を不作動流水と呼んでいる。
【0057】
火災などによりスプリンクラーヘッドが作動して2次側配管に一定量を超える流水が発生すると、2次側圧力は締切設定圧力P2から急速に低下し、まず不作動流水量弁部52が開いてバイパス配管48により1次側圧力水を2次側に供給するが、これでは2次側圧力は回復せず、締切設定圧力P2に対し所定値だけ低い位置に設定した調圧パイロット設定圧力P3を下回ると、本弁24の開放による調圧制御が開始される。
【0058】
ここで調圧パイロット弁部54は、2次側圧力が調圧パイロット設定圧力P3に低下するまではシリンダ室30をポートeから弁内部の排出ポートを介して外部に連通すると同時に、1次側のバイパス配管36との連通を切り離した状態としており、シリンダ室30の圧力水はオートドリップ46を通って抜け、本弁24は1次側圧力水の押圧とピストン28のスプリング29による付勢により弁シート26に押付けられた閉鎖状態を維持している。
【0059】
この状態で2次側圧力が低下して調圧パイロット設定圧力P3以下になると、調圧パイロット弁部54はポートeを介してシリンダ室30に1次側圧力水を供給する切替え状態となる。このためシリンダ室30に1次側圧力水が供給されてピストン28を左方向にストロークさせ、本弁24の開放が行われる。
【0060】
本弁24が開放すると、1次側加圧水が2次側に供給されることで2次側圧力が回復し、2次側圧力が調圧パイロット設定圧力P3を超えると調圧パイロット弁部54はシリンダ室30をポートeから弁内部の排出ポートを介して外部に連通することで再び本弁24が閉鎖方向に移動され、以下、本弁24を移動させて流量調整を繰り返しながら、調圧パイロット設定圧力P3を維持するように1次側圧力水を2次側に継続的に供給することになる。
【0061】
図3は通常監視状態における図1の制御弁を取り出して示した断面図である。図3において、制御弁50は上部にスプリング62を組み込み、その下に不作動流水量弁部52を配置し、続いてダイヤフラム74とダイヤフラム室76を備えたダイヤフラム機構を介して、同一軸線上となる下側に調圧パイロット弁部54を配置している。
【0062】
不作動流水量弁部52には、1次側のバイパス配管36が接続されたポートaを連通した第1弁室64と、2次側のバイパス配管36を接続したポートbを連通した第2弁室66を軸方向に配置し、第1弁室64と第2弁室66を結ぶ連通穴に対し、スプリング62のスプリング荷重を受けたプランジャ68を摺動自在に配置している。プランジャ68の第1弁室64の部分には弁体70が設けられ、弁体70の上側の弁穴の開口部には弁シート72が形成されている。
【0063】
不作動流水量弁部52の下側にはダイヤフラム74が配置され、ダイヤフラム74の下側にダイヤフラム室76が形成され、ダイヤフラム室76には2次側のバイパス配管36が接続されたポートdに連通し、2次側圧力水をダイヤフラム室76に導入している。不作動流水量弁部52に設けたプランジャ68は、上側についてはスプリング62によるスプリング荷重を受け、下側についてはダイヤフラム74のダイヤフラム室76に導入した2次側圧力による押圧力を受けている。
【0064】
ダイヤフラム74の下側に配置した調圧パイロット弁部54は、1次側のバイパス配管36を接続したポートcに連通した第4弁室80を形成し、第4弁室80とダイヤフラム74側を連通する軸穴の途中に、シリンダ室30へ配管40により接続するポートeを連通している。
【0065】
第4弁室80の下には第3弁室78が形成され、第3弁室78と第4弁室80の間には軸方向の軸穴が形成され、この軸穴に第1プランジャ84を摺動自在に組み込んでいる。第1プランジャ84は、軸方向に連通穴84aを形成すると共に、上端に弁部84bを形成し、更にバルブスプリング85を設けている。第3室78の下側はプラグ90により閉鎖され、プラグ90には外部に連通する排出ポート92が形成されている。
【0066】
シリンダ室30に連通するポートeが形成された軸穴となる第5弁室82には、ダイヤフラム74に連結された第2プランジャ86が摺動自在に組み込まれており、第2プランジャ86は、図示の通常監視状態にあっては、先端を第1プランジャ84から離れた位置に配置しており、このため第1プランジャ84はバルブスプリング85により弁部84bを弁シートに当接した閉鎖位置に保持され、シリンダ室30に対するポートeと1次側のポートcとの連通を切り離している。
【0067】
このような通常監視状態における制御弁50にあっては、ダイヤフラム74にはスプリング62によるスプリング荷重がプランジャ68を介して加わり、同時にダイヤフラム室76に導入した2次側圧力による上向きの力が加わり、スプリング荷重と2次側圧力による力とのバランスにより決まる図示の位置にダイヤフラム74が位置し、この通常監視状態におけるダイヤフラム74の位置、即ち2次側圧力が図2に示した締切設定圧力P2にあるときには、プランジャ68の弁体70が弁シート72に当接されて1次側と2次側の流路を閉鎖しており、不作動流水量弁部52は閉鎖状態に置かれている。
【0068】
一方、下側の調圧パイロット弁部54にあっては、ダイヤフラム74の通常監視状態における位置で第2プランジャ86の先端は弁穴の内部に入った状態にあり、弁穴の開口の弁シートに対し、バルブスプリング85により第1プランジャ84が当接して閉鎖状態としている。
【0069】
このため1次側のポートcはシリンダ室30に対するポートeの連通から切り離され、
ポートeは第1プランジャ84の連通穴8aから第3弁室78及び排出ポート92を介してシリンダ室30を外部に連通して図1に示した流水検知装置10の本弁24は2次側に締切設定圧力P2を保持した閉鎖状態に置かれている。
【0070】
図4は図1の実施形態について本弁開放作動状態を示した説明図である。図4にあっては、2次側配管22側に設けたスプリンクラーヘッドが火災により作動して放水した場合であり、スプリンクラーヘッドからの放水により2次側圧力が急速に低下する。
【0071】
2次側圧力が低下すると、図2に示したように、締切設定圧力P2を下回ったときに制御弁50の不作動流水量弁部52が開放し、バイパス配管36を介して2次側に不作動流水を流すが、これだけでは2次側の圧力は回復せず、更に2次側圧力は低下する。
【0072】
2次側圧力が図2に示した調圧パイロット設定圧力P3を下回ると、調圧パイロット弁部54が動作してポートcからポートeへの連通に切り替わり、1次側圧力水をポートeから配管45,48を介してシリンダ室30に供給し、ピストン28を左側にストロークすることで本弁24を開放する。
【0073】
また、本弁24を開放するためにシリンダ室30に供給する1次側圧力水が圧力センサ40に導入され、所定圧力を超えた場合にタイマを起動し、所定時間後に外部の防災盤などに流水検知信号を出力して火災警報表示を行わせる。
【0074】
図5は本弁開放作動状態における図4の制御弁50を取り出して示した断面図である。図5にあっては、2次側圧力が図2に示した調圧パイロット設定圧力P3以下に低下した状態であり、この状態にあっては、ダイヤフラム室76に加わる2次側圧力の低下による力に対し、スプリング62によるスプリング荷重が打ち勝って、ダイヤフラム74は下方に移動し、不作動流水量弁部52の開状態を継続したまま、ダイヤフラム74は第2プランジャ86を下側に移動し、第2プランジャ86の先端で第1プランジャ84を押し下げる。
【0075】
これによって第1プランジャ84の連通穴84aが閉鎖されて排出ポート92との連通が切り離され、同時に、弁部84bが開口部の弁シートから離れる。したがって、シリンダ室30に連通するポートeが1次側のポートcに連通し、このため図4に示したシリンダ室30に1次圧力水がポートeから流入し、ピストン28を左側にストロークして本弁24の開放動作が行われる。
【0076】
図6は図1の実施形態について図5の本弁開放作動状態から本弁閉鎖作動状態に移行した場合を示した説明図である。図6にあっては、本弁24が開放されると、2次側に対する1次側加圧水の供給により2次側圧力が回復し、2次側圧力が図2に示す調圧パイロット設定圧力P3に回復すると、調圧パイロット弁部54が動作してポートcからポートeを切り離すと共にポートeを排水ポートに連通し、シリンダ室30から加圧水を排出することでピストン28をフリー状態とし、1次側圧力水に押されて本弁24を閉鎖する。
【0077】
シリンダ室30の加圧水の排水により圧力センサ40に導入している圧力が所定値を下回ると、圧力スイッチ40が復旧し、外部に対する流水検知信号の出力が断たれる。
【0078】
図7は本弁閉鎖作動状態における図6の制御弁を取り出して示した断面図である。図7において、本弁24の開放により2次側圧力が調圧パイロット設定圧力P3に回復すると、ダイヤフラム室76に加わる2次側圧力による力がスプリング62によるスプリング荷重が打ち勝ち、ダイヤフラム74は第2プランジャ86を上側に移動し、第1プランジャ84の弁部84bが弁座に当接し、更に第2プランジャ86は図3に示したように上側に戻る。
【0079】
これによって第1プランジャ84の弁部84bを第2プランジャ86の開口部に押し当てて1次側のポートcをポートeの連通から切り離し、同時に、第1プランジャ84の連通路84aを介してポートeをプラグ90の排出ポート92に連通し、シリンダ室30の加圧水を排出ポート92から外部に排出し、図6に示した本弁24を閉鎖させる。
【0080】
このとき不作動流水量弁部52に設けた弁体70は、弁シート72に当接する位置までは戻っておらず、不作動流水量弁部52は開放状態を維持している。以後、2次側のスプリンクラーヘッドからの放水が継続している間は、調圧パイロット弁部54は図2の調圧パイロット設定圧力P3を維持するように本弁24の開閉制御を繰り返している。
【0081】
図8は図1の実施形態における不作動状態を示した説明図である。図8にあっては、通常監視状態における漏水などにより2次側圧力が図2に示した所定の締切設定圧力P2を下回ると、制御弁50の不作動流水量弁部52が動作して1次側のポートaを2次側のポートbに連通し、バイパス配管36及び定流量弁58を通して1次側圧力水を2次側に供給し、低下した2次側圧力を締切設定圧力P2に回復させる。
【0082】
このとき2次側圧力は調圧パイロット設定圧力P3まで低下していないため、調圧パイロット弁部54はシリンダ室30をポートeから排出ポートに連通し、ポートeとポートcは閉鎖状態を保っている。なお、図8の不作動流水状態における制御弁50の動作は図7に示したと同じになる。
【0083】
次に図3に示した制御弁50の通常監視状態でダイヤフラム74が破れた場合の動作を説明する。経年変化などの理由でダイヤフラム74が破れると、ダイヤフラム室76に対する2次側圧力水が漏洩し、ダイヤフラム74を2次側圧力水により上側に押す力が失われる。このためダイヤフラム74は、スプリング62によるスプリング荷重のみを受けて下側に押されることになる。
【0084】
スプリング62によりダイヤフラム74が下側の当接位置まで押されると、不作動流水量弁部52についてはプランジャ68の弁体70が弁シート72から離れることで、1次側を2次側に連通した開放状態となり、バイパス流路36を不作動流水量弁部52を介して2次側に連通した状態となる。
【0085】
また調圧パイロット弁部54にあっては、ダイヤフラム74の当接位置までの下降により第2プランジャ86が第1プランジャ84を押し下げ、1次側のポートcをポートeに連通してシリンダ室30に1次側圧力水をシリンダ室30に供給し続けた状態となり、本弁24を全開としている。
【0086】
このように、制御弁50に設けたダイヤフラム74が破損しても、不作動流水量弁部52及び調圧パイロット弁部54は共に、バイパス配管36を介して2次側に1次側加圧水を供給し、且つ本弁24の開放により2次側に1次側加圧水を供給するフェイルセーフ側に動作し、ダイヤフラム74の破損によって、漏水時あるいは火災時のスプリンクラー作動時に流水検知装置10が確実に動作して2次側に加圧水を供給するフェイルセーフ動作を実現することができる。
【0087】
図9は本弁に複数弁構造を用いた本発明による流水検知装置の他の実施形態を示した説明図であり、通常監視状態を示している。図9において、流水検知装置10は弁ボディ112の下側に1次側の流入口114を形成し、ここに図1と同様に仕切弁を介して1次側配管を接続しているが、図示は省略している。弁ボディ112の上側には2次側となる流出口120が形成され、ここに図1と同様に2次側配管を接続し、2次側配管の先にはスプリンクラーヘッドが接続されているが、図示を省略している。
【0088】
弁ボディ112の内部には、複数弁機構を備えた本体弁部124が設けられている。本体弁部124は弁シート126に対し開閉自在な大弁138と、大弁138に設けた弁シート142に対し開閉自在な小弁140で構成される。
【0089】
大弁138の右側にはシリンダ室130が形成され、ピストン128を軸方向に摺動自在に組み込んでいる。シリンダ室130にはポート131が設けられ、ポート131に制御弁50に設けた調圧パイロット弁部54のポートeからの配管45を接続し、本弁部124の開放時に1次側圧力水を供給するようにしている。
【0090】
ピストン128にはピストンロッド132が固定され、ピストンロッド132は左側にプッシュロッド部136を延在し、図示の本弁部124の閉鎖状態でプッシュロッド部136の先端に小弁140の右側を当てている。小弁140は左側の蓋部材148に固定支持したガイドロッド144の右側に先端のガイド穴145を摺動自在に嵌め込んでおり、蓋部材148との間にリターンスプリング146を配置して閉鎖方向に付勢している。
【0091】
ピストンロッド132の左側に延在したプッシュロッド136の途中には押圧部材134が装着されており、ピストン132を左側となる開方向にストロークさせた場合、大弁138を押圧部材134により左側に押圧移動して弁シート126から離して開放させるようにしている。
【0092】
ピストン128とシリンダ室130は、流水検知装置10に設けた大弁138と小弁140の複数弁構造を備えた本弁部124の本弁駆動機構を構成し、本弁駆動機構は本弁部124の1次側ポート152と2次側ポート154を接続するバイパス配管36に設けた制御弁50により制御される。
【0093】
バイパス配管36に設けた制御弁50は、図1の実施形態と同様、不作動流水量弁部52と調圧パイロット弁部54を同一軸上に一体に配置した弁構造を備えている。バイパス配管36は弁ボディ112の1次側ポート152から取り出され、制御弁50に設けた不作動流水量弁部52のポートaと調圧パイロット弁部54のポートcにそれぞれ分岐されて接続される。また制御弁50に設けた不作動流水量弁部52のポートbから取り出されて弁ボディ112の2次側ポート154に接続される。また制御弁50に設けた調圧パイロット弁部54のポートdは弁ボディ112の2次側圧力を導入するポートであり、ここにもバイパス配管36の2次側が接続されている。
【0094】
制御弁50に設けた調圧パイロット弁部54は調圧制御用のポートeを持ち、ポートeを配管45を介してシリンダ室130のポート131に接続している。シリンダ室130に対する配管45に対しては圧力スイッチ40が接続され、シリンダ室130に供給する圧力水を導入するようにしている。圧力スイッチ40は流水検知部として機能し、制御弁50に設けた調圧パイロット弁部54のポートeから本弁24を開放するためにシリンダ室30に供給する1次側圧力水を導入し、所定圧力を超えた場合にタイマを起動し、所定時間後に流水検知信号を外部に出力する。
【0095】
また、制御弁50の1次側に設けたバイパス配管36からシリンダ室30に対する配管45に対し配管38が接続され、配管38には手動開放弁55が接続されている。
【0096】
手動開放弁55は、流水検知装置10の本弁部124の開制御が何らかの原因でできなくなった異常時に、手動開放弁55を開くことで、シリンダ室130に1次側圧力水を強制的に導入し、1次側圧力によるピストン128のストロークで本弁部124を全開位置に作動できるようにしている。この場合にも手動弁55を介してシリンダ室130に供給する1次側圧力水が圧力センサ40に導入され、所定圧力を超えた場合にタイマを起動し、所定時間後に流水検知信号を外部に出力する。
【0097】
また、手動開放弁55は施工時における配管内のゴミを取り除くための配管フラッシング作業や、弁座にゴミなどがかみ込んだ際に手動で全開状態に開放させ、水流で取り除く作業にも利用できる。
【0098】
シリンダ室130に対する配管45に対しては排水管44が接続され、排水管44にオートドリップ46を設けている。制御弁50の調圧動作または手動開放弁55の開操作で配管45を介してシリンダ室130に1次圧力水を導入して本弁部124を開放した後に1次側との連通が切り離されると、シリンダ室130及び配管45に充水されている水はオートドリップ42を通って排水され、シリンダ室130及び配管45を空にし、これによって寒冷地に設置した場合の冬場の凍結による本弁作動機構の破損や破壊が未然に防止できる。
【0099】
制御弁50に設けた不作動流水量弁部52から引き出された2次側に対するバイパス配管36の途中には定流量弁58が設けられ、不作動流水量弁部52の制御で流す不作動流水量を一定流量とするようにしている。定流量弁58としては、簡単な場合はオリフィスであっても良いし、これ以外に、入力圧力の如何に関わらず流量を一定に保つ公知の定流量弁を使用することもできる。なお、流水検知装置10の1次側には1次側圧力計が接続され、2次側には2次側圧力計が接続されるが、図示を省略している。
【0100】
図9の実施形態における調圧パイロット弁部54、本弁部124及び不作動流水量弁部52の動作の関係を決める1次側圧力P1、1次側圧力設定範囲A、締切設定圧力P2及び調圧パイロット設定圧力P3は図2に示したと同じになる。また図9の実施形態に設けた制御弁50の内部構造は図3に示したと同じになる。
【0101】
図10は図9の実施形態について本弁開放作動状態を示した説明図である。図10にあっては、2次側配管側に設けたスプリンクラーヘッドが火災により作動して放水した場合であり、スプリンクラーヘッドからの放水により2次側圧力が急速に低下する。
【0102】
2次側圧力が低下すると、図2に示したように、締切設定圧力P2を下回ったときに制御弁50の不作動流水量弁部52が開放し、バイパス配管36を介して2次側に不作動流水を流すが、これだけでは2次側の圧力は回復せず、更に2次側圧力は低下する。
【0103】
2次側圧力が図2に示した調圧パイロット設定圧力P3を下回ると、調圧パイロット弁部54が動作してポートcからポートeへの連通に切り替わり、1次側圧力水をポートeから配管45を介してシリンダ室130に供給し、ピストン128を左側にストロークすることで本弁部124を開放する。
【0104】
本弁部124の開放動作は、ピストン128が左側にストロークすると、まず小弁140をプッシュロッド部136の先端でリターンスプリング146に抗して左側に押圧移動し、このため小弁140が大弁138側に固定している弁シート142から離れ、小弁140が最初に開放して1次側圧力水を2次側に流す。
【0105】
ピストン128が更に左側にストロークすると、プッシュロッド部136の途中に設けている押圧部材134が大弁138の右側に当り、弁ボディ112側に固定している弁シート126から大弁138が離れ、大弁138が開放して1次側圧力水を2次側に流す。このようにピストン128の開放方向へのストロークに応じて小弁140、大弁138の順番に開放動作が行われ、2次側に対する1次加圧水の供給量が段階的に増加し、二次側配管へ急激な充水を抑制する。
【0106】
また、本弁部124を開放するためにシリンダ室130に供給する1次側圧力水が圧力センサ40に導入され、所定圧力を超えた場合にタイマを起動し、所定時間後に外部の防災盤などに流水検知信号を出力して火災警報表示を行わせる。なお、図10の本弁開放作動状態における制御弁50の動作は図5に示したと同じになる。
【0107】
図11は図9の実施形態について図10の本弁開放作動状態から本弁閉鎖作動状態に移行した場合を示した説明図である。図11にあっては、本弁部124が開放されると、即ち小弁140と大弁138が順次開放されると、2次側に対する1次側加圧水の供給により2次側圧力が回復し、2次側圧力が図2に示す調圧パイロット設定圧力P3に回復すると、調圧パイロット弁部54が動作してポートcからポートeを切り離すと共にポートeを排水ポートに連通し、シリンダ室130から加圧水を排出することでピストン128をフリー状態とし、本弁部124を閉鎖する。
【0108】
即ち、シリンダ室130の加圧水排出でピストン128がフリー状態になると、ピストン128はリターンスプリング146によりプッシュロッド部136及びピストンロッド132を介して右側にストロークし、最初に大弁138が弁シート126に当接して閉鎖し、大弁138による1次加圧水の2次側への供給を停止する。このとき小弁140は依然として開放状態にある。更にピストン128が押し戻されると、小弁140が弁シート142に当接して閉鎖し、小弁140による1次加圧水の2次側への供給を停止し、完全な閉鎖状態とする。
【0109】
本弁部124を閉鎖する際のシリンダ室30の制御弁50による加圧水の排水により圧力センサ40に導入している圧力が所定値を下回ると、圧力スイッチ40が復旧し、外部に対する流水検知信号の出力が断たれる。なお、図11の本弁閉鎖作動状態における制御弁50の動作は図7に示したと同じになる。
【0110】
また大弁138を全閉とした後に小弁140を閉鎖している途中段階で2次側圧力が低下して図2に示した調圧パイロット設定圧力P3を下回った場合には、制御弁50に設けた調圧パイロット弁部54がポートcとポートeを連通して1次側圧力水をシリンダ室130に供給してピストン128を開方向にストロークし、閉鎖途中にあった小弁140が再び開方向に動作して2次側に対する1次加圧水の供給量を増加し、このような開閉を繰り返しながら調圧パイロット設定圧力P3を維持しながら作動したスプリンクラーヘッドからの散水を行わせることになる。
【0111】
勿論、小弁140のみの開閉による調圧パイロット設定圧力P3を維持する動作となるか、小弁140及び大弁138の両方の開閉による調圧パイロット設定圧力P3を維持する動作となるかは、そのときの2次側に対する供給流量に依存した2次側圧力の変動に応じて適宜選択的に行われる。
【0112】
図12は図9の実施形態における不作動状態を示した説明図である。図12にあっては、通常監視状態における漏水などにより2次側圧力が図2に示した所定の締切設定圧力P2を下回ると、制御弁50の不作動流水量弁部52が動作して1次側のポートaを2次側のポートbに連通し、バイパス配管36及び定流量弁58を通して1次側圧力水を2次側に供給し、低下した2次側圧力を締切設定圧力P2に回復させる。
【0113】
このとき2次側圧力は調圧パイロット設定圧力P3まで低下していないため、調圧パイロット弁部54はシリンダ室130をポートeから排出ポートに連通した閉鎖状態を保っている。また、図12の不作動流水状態における制御弁50の動作は図7に示したと同じになる。
【0114】
なお上記の実施形態にあっては、制御弁50に設けた不作動流水量弁部52の2次側のバイパス配管に定流量弁58を設けているが、1次側圧力範囲が広くない固定的に決まるような設備にあっては、定流量弁58を設けなくともよい。
【0115】
また本発明は、その目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に上記の実施形態に示した数値による限定は受けない。
【符号の説明】
【0116】
10:流水検知装置
12,112:弁ボディ
18:1次側配管
22:2次側配管
24:本弁
26,126,142:弁シート
28,128:ピストン
30,130:シリンダ室
32,144:ガイドロッド
36:バイパス配管
40:圧力スイッチ
50:制御弁
52:不作動流水量弁部
54:調圧パイロット弁部
58:定流量弁
62:スプリング
68:プランジャ
84:第1プランジャ
84a:連通穴
84b:弁部
86:第2プランジャ
124:本弁部
138:大弁
140:小弁
a〜e:ポート
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配管の途中に設けられ、2次側圧力の低下により本弁を開放して加圧水を給水し、流水検知部により流水検知信号を出力する流水検知装置に於いて、
前記本弁に連動するピストンをシリンダ室に収納自在に設け、前記シリンダ室に対する1次側圧力水の供給制御により前記本弁を開放し、前記シリンダ室からの1次側圧力水の排出制御により前記本弁を閉鎖する本弁駆動部と、
前記本弁の1次側と2次側とバイパスするバイパス配管に設けられ、不作動流水機構と調圧パイロット機構を備える制御弁と、
前記シリンダ室に1次側圧力水を供給する配管に接続され、前記シリンダ室に対する圧力を導入して所定圧力を超えた時にタイマを起動して所定時間後に流水検知信号を外部に出力する圧力スイッチと、
を設け、
前記制御弁の不作動流水機構は、2次側圧力が所定の締切設定圧力を超えている場合に1次側と2次側を切離し、2次側圧力が前記締切設定圧力以下に低下した場合に2次側に1次側圧力水を供給して2次側圧力を回復させる弁機構を備え、
前記制御弁の調圧パイロット機構は、2次側圧力が前記締切設定圧力に対し所定値だけ低い所定の調圧設定圧力に低下するまで前記シリンダ室の1次圧力水を外部に排出して前記本弁を閉鎖方向へ付勢し、2次側圧力が前記調圧設定圧力以下に低下した場合は前記シリンダ室の1次側圧力水を導入して前記本弁を開放させる弁機構を備えたことを特徴とする流水検知装置。
【請求項2】
請求項1記載の流水検知装置に於いて、前記本弁は軸方向に、大弁と小弁を配置し、前記本弁駆動部のシリンダ室に摺動自在に設けたピストンの初期移動で前記小弁を開放し、更なる前記ピストンの移動で前記小弁を開放したまま前記大弁を開放する複数弁構造を備えたことを特徴とする流水検知装置。
【請求項3】
請求項1記載の流水検知装置に於いて、
前記不作動流水機構は、
スプリング荷重を軸方向に設定するスプリングと、
ダイヤフラムの一方の面に前記スプリングのスプリング荷重を受けると共に前記ダイヤフラムの他方の面に形成したダイヤフラム室に2次側圧力を導入し、前記スプリング荷重と2次側圧力との大小関係に応じて前記ダイヤフラムを変位させるダイヤフラム機構と、
前記1次側と2次側を連通する第1連通路と、
前記第1連通路を貫通して軸方向に移動自在に配置され、一端に前記スプリングを当接すると共に他端に前記ダイヤフラムを当接したプランジャと、
前記プランジャと一体に形成された弁体と、
を備え、
2次側圧力による前記ダイヤフラムの押圧力が前記スプリング荷重より大きい場合の前記ダイヤフラムの一方向への変位により、前記プランジャの弁体により1次側から2次側への流路を閉鎖し、2次側圧力による前記ダイヤフラムの押圧力が前記スプリング荷重より小さい場合の前記ダイヤフラムの逆方向への変位により、前記プランジャの弁体を開放し1次側から2次側への流路を開放し、
前記制御弁の調圧パイロット機構は、
前記1次側、2次側、シリンダ室及び外部の各々と連通する第2連通路を形成し、
前記不作動流水機構のプランジャと同一方向に移動自在に収納され、前記第2連通路を貫通して連通状態を切り換える弁体を有するプランジャと、
を備え、
2次側圧力の低下に伴い前記不作動流水機構を前記ダイヤフラムの一方向への変位に連動して前記調圧パイロット機構のプランジャを移動させ、前記シリンダ室を1次側に連通して1次側圧力水を前記シリンダ室に導入して本弁を開放させ、一方、2次側圧力の増加に伴う前記ダイヤフラムの逆方向への変位に連動して前記調圧パイロット機構のプランジャを移動させ、前記シリンダ室を1次側から切り離し、同時に1次側圧力水を前記シリンダ室から外部に排出して本弁を閉鎖させることを特徴とする流水検知装置。
【請求項4】
請求項3記載の流水検知装置に於いて、
前記不作動流水機構のプランジャと前記調圧パイロット機構のプランジャは前記ダイヤフラムを間に介して同軸上に配置されたことを特徴とする流水検知装置。
【請求項5】
請求項1記載の流水検知装置に於いて、
前記不作動流水機構は、
スプリング荷重を軸方向に設定するスプリングと、
ダイヤフラムの一方の面に前記スプリングのスプリング荷重を受けると共に前記ダイヤフラムの他方の面に形成したダイヤフラム室に2次側圧力を導入し、前記スプリング荷重と2次側圧力との大小関係に応じて前記ダイヤフラムを変位させるダイヤフラム機構と、
1次側と2次側弁室と、
前記第1弁室と第2弁室を連通する軸方向の弁穴と、
前記第1弁室、弁穴及び第2弁室を貫通して軸方向に移動自在に配置され、一端に前記スプリングを当接すると共に他端に前記ダイヤフラムを当接したプランジャと、
前記プランジャと一体に形成され前記第1弁室に収納された弁体と、
を備え、
2次側圧力による前記ダイヤフラムの押圧力が前記スプリング荷重より大きい場合の前記ダイヤフラムの一方向への変位により、前記プランジャの弁体を弁シートに当接して1次側から2次側への流路を閉鎖し、2次側圧力による前記ダイヤフラムの押圧力が前記スプリング荷重より小さい場合の前記ダイヤフラムの逆方向への変位により、前記プランジャの弁体を弁シートから離して1次側から2次側への流路を開放し、
前記制御弁の調圧パイロット機構は、
排出ポートの形成により外部に連通された第3弁室と、
前記第3弁室に隣接して軸方向に配置され、1次側圧力水を導入した第4弁室と、
前記第4弁室に隣接して軸方向に配置され、前記本弁の制御圧力を導入した第5弁室と、
前記第3弁室と第4弁室を連通する軸方向の第1連通穴と、
前記第1連通穴に軸方向に移動自在に収納され、軸方向に弁穴を形成した第1プランジャと、
前記第1連通穴と同時に前記第3弁室を貫通して前記ダイヤフラム室に連通した第2連通穴と、
前記第2連通穴の第4弁室の開口部に形成され、前記第1プランジャの当接を受ける弁シートと、
前記第1プランジャを弁シートに当接する閉鎖方向に付勢するバルブスプリングと、
前記第2連通穴に軸方向に移動自在に設けられ、一端を前記ダイヤフラムに支持されると共に、他端を前記第1プランジャに相対させた第2プランジャと、
を備え、
2次側圧力の低下に伴い前記不作動流水機構を開放させる前記ダイヤフラムの一方向への変位により、前記第2プランジャの先端を前記第1プランジャに当接させて移動させることにより、前記第3弁室と第4弁室の間の流路を閉鎖して排出ポートを切り離し、同時に前記第5弁室と第4弁室の流路を開いてシリンダ室に1次側圧力水を導入して本弁を開放させ、一方、2次側圧力の増加に伴う前記ダイヤフラムの逆方向への変位により、前記第2プランジャの先端を前記第1プランジャから離す方向に移動させることにより、前記第5弁室と第4弁室の流路を閉鎖して前記シリンダ室を1次側から切り離し、同時に前記第3弁室と第4弁室の流路を開いてシリンダ室から1次側圧力水を排出して本弁を閉鎖させることを特徴とする流水検知装置。
【請求項6】
請求項3、5記載の流水検知装置に於いて、前記ダイヤフラムの2次側加圧面側に前記調圧パイロット機構を配置し、前記ダイヤフラムが破損した場合、前記スプリング荷重のみを受けることで前記不作動流水機構を連通状態に保持すると共に、前記調圧パイロット機構について2次側を前記シリンダ室に連通すると共に1次側を2次側及び前記シリンダ室から切離して前記本弁を開放状態に保持させることを特徴とする流水検知装置。
【請求項7】
請求項1記載の流水検知装置に於いて、前記本弁駆動部のシリンダ室に1次側圧力水を導入して前記本弁を開放させる手動開放弁を設けたことを特徴とする流水検知装置。
【請求項8】
請求項1記載の流水検知装置に於いて、前記制御弁から前記シリンダ室に1次側圧力水を導入する配管に、前記制御弁に設けた調圧パイロット機構による前記シリンダ室に対し1次側を切り離した状態で、前記シリンダ室を含む前記配管内の水を排水するオートドリップを設けたことを特徴とする流水検知装置。
【請求項9】
請求項1記載の流水検知装置に於いて、前記制御弁に設けた不作動流水機構の2次側バイパス配管に、所定の不作動流水量を流す定流量弁を配置したことを特徴とする流水検知装置。
【請求項1】
配管の途中に設けられ、2次側圧力の低下により本弁を開放して加圧水を給水し、流水検知部により流水検知信号を出力する流水検知装置に於いて、
前記本弁に連動するピストンをシリンダ室に収納自在に設け、前記シリンダ室に対する1次側圧力水の供給制御により前記本弁を開放し、前記シリンダ室からの1次側圧力水の排出制御により前記本弁を閉鎖する本弁駆動部と、
前記本弁の1次側と2次側とバイパスするバイパス配管に設けられ、不作動流水機構と調圧パイロット機構を備える制御弁と、
前記シリンダ室に1次側圧力水を供給する配管に接続され、前記シリンダ室に対する圧力を導入して所定圧力を超えた時にタイマを起動して所定時間後に流水検知信号を外部に出力する圧力スイッチと、
を設け、
前記制御弁の不作動流水機構は、2次側圧力が所定の締切設定圧力を超えている場合に1次側と2次側を切離し、2次側圧力が前記締切設定圧力以下に低下した場合に2次側に1次側圧力水を供給して2次側圧力を回復させる弁機構を備え、
前記制御弁の調圧パイロット機構は、2次側圧力が前記締切設定圧力に対し所定値だけ低い所定の調圧設定圧力に低下するまで前記シリンダ室の1次圧力水を外部に排出して前記本弁を閉鎖方向へ付勢し、2次側圧力が前記調圧設定圧力以下に低下した場合は前記シリンダ室の1次側圧力水を導入して前記本弁を開放させる弁機構を備えたことを特徴とする流水検知装置。
【請求項2】
請求項1記載の流水検知装置に於いて、前記本弁は軸方向に、大弁と小弁を配置し、前記本弁駆動部のシリンダ室に摺動自在に設けたピストンの初期移動で前記小弁を開放し、更なる前記ピストンの移動で前記小弁を開放したまま前記大弁を開放する複数弁構造を備えたことを特徴とする流水検知装置。
【請求項3】
請求項1記載の流水検知装置に於いて、
前記不作動流水機構は、
スプリング荷重を軸方向に設定するスプリングと、
ダイヤフラムの一方の面に前記スプリングのスプリング荷重を受けると共に前記ダイヤフラムの他方の面に形成したダイヤフラム室に2次側圧力を導入し、前記スプリング荷重と2次側圧力との大小関係に応じて前記ダイヤフラムを変位させるダイヤフラム機構と、
前記1次側と2次側を連通する第1連通路と、
前記第1連通路を貫通して軸方向に移動自在に配置され、一端に前記スプリングを当接すると共に他端に前記ダイヤフラムを当接したプランジャと、
前記プランジャと一体に形成された弁体と、
を備え、
2次側圧力による前記ダイヤフラムの押圧力が前記スプリング荷重より大きい場合の前記ダイヤフラムの一方向への変位により、前記プランジャの弁体により1次側から2次側への流路を閉鎖し、2次側圧力による前記ダイヤフラムの押圧力が前記スプリング荷重より小さい場合の前記ダイヤフラムの逆方向への変位により、前記プランジャの弁体を開放し1次側から2次側への流路を開放し、
前記制御弁の調圧パイロット機構は、
前記1次側、2次側、シリンダ室及び外部の各々と連通する第2連通路を形成し、
前記不作動流水機構のプランジャと同一方向に移動自在に収納され、前記第2連通路を貫通して連通状態を切り換える弁体を有するプランジャと、
を備え、
2次側圧力の低下に伴い前記不作動流水機構を前記ダイヤフラムの一方向への変位に連動して前記調圧パイロット機構のプランジャを移動させ、前記シリンダ室を1次側に連通して1次側圧力水を前記シリンダ室に導入して本弁を開放させ、一方、2次側圧力の増加に伴う前記ダイヤフラムの逆方向への変位に連動して前記調圧パイロット機構のプランジャを移動させ、前記シリンダ室を1次側から切り離し、同時に1次側圧力水を前記シリンダ室から外部に排出して本弁を閉鎖させることを特徴とする流水検知装置。
【請求項4】
請求項3記載の流水検知装置に於いて、
前記不作動流水機構のプランジャと前記調圧パイロット機構のプランジャは前記ダイヤフラムを間に介して同軸上に配置されたことを特徴とする流水検知装置。
【請求項5】
請求項1記載の流水検知装置に於いて、
前記不作動流水機構は、
スプリング荷重を軸方向に設定するスプリングと、
ダイヤフラムの一方の面に前記スプリングのスプリング荷重を受けると共に前記ダイヤフラムの他方の面に形成したダイヤフラム室に2次側圧力を導入し、前記スプリング荷重と2次側圧力との大小関係に応じて前記ダイヤフラムを変位させるダイヤフラム機構と、
1次側と2次側弁室と、
前記第1弁室と第2弁室を連通する軸方向の弁穴と、
前記第1弁室、弁穴及び第2弁室を貫通して軸方向に移動自在に配置され、一端に前記スプリングを当接すると共に他端に前記ダイヤフラムを当接したプランジャと、
前記プランジャと一体に形成され前記第1弁室に収納された弁体と、
を備え、
2次側圧力による前記ダイヤフラムの押圧力が前記スプリング荷重より大きい場合の前記ダイヤフラムの一方向への変位により、前記プランジャの弁体を弁シートに当接して1次側から2次側への流路を閉鎖し、2次側圧力による前記ダイヤフラムの押圧力が前記スプリング荷重より小さい場合の前記ダイヤフラムの逆方向への変位により、前記プランジャの弁体を弁シートから離して1次側から2次側への流路を開放し、
前記制御弁の調圧パイロット機構は、
排出ポートの形成により外部に連通された第3弁室と、
前記第3弁室に隣接して軸方向に配置され、1次側圧力水を導入した第4弁室と、
前記第4弁室に隣接して軸方向に配置され、前記本弁の制御圧力を導入した第5弁室と、
前記第3弁室と第4弁室を連通する軸方向の第1連通穴と、
前記第1連通穴に軸方向に移動自在に収納され、軸方向に弁穴を形成した第1プランジャと、
前記第1連通穴と同時に前記第3弁室を貫通して前記ダイヤフラム室に連通した第2連通穴と、
前記第2連通穴の第4弁室の開口部に形成され、前記第1プランジャの当接を受ける弁シートと、
前記第1プランジャを弁シートに当接する閉鎖方向に付勢するバルブスプリングと、
前記第2連通穴に軸方向に移動自在に設けられ、一端を前記ダイヤフラムに支持されると共に、他端を前記第1プランジャに相対させた第2プランジャと、
を備え、
2次側圧力の低下に伴い前記不作動流水機構を開放させる前記ダイヤフラムの一方向への変位により、前記第2プランジャの先端を前記第1プランジャに当接させて移動させることにより、前記第3弁室と第4弁室の間の流路を閉鎖して排出ポートを切り離し、同時に前記第5弁室と第4弁室の流路を開いてシリンダ室に1次側圧力水を導入して本弁を開放させ、一方、2次側圧力の増加に伴う前記ダイヤフラムの逆方向への変位により、前記第2プランジャの先端を前記第1プランジャから離す方向に移動させることにより、前記第5弁室と第4弁室の流路を閉鎖して前記シリンダ室を1次側から切り離し、同時に前記第3弁室と第4弁室の流路を開いてシリンダ室から1次側圧力水を排出して本弁を閉鎖させることを特徴とする流水検知装置。
【請求項6】
請求項3、5記載の流水検知装置に於いて、前記ダイヤフラムの2次側加圧面側に前記調圧パイロット機構を配置し、前記ダイヤフラムが破損した場合、前記スプリング荷重のみを受けることで前記不作動流水機構を連通状態に保持すると共に、前記調圧パイロット機構について2次側を前記シリンダ室に連通すると共に1次側を2次側及び前記シリンダ室から切離して前記本弁を開放状態に保持させることを特徴とする流水検知装置。
【請求項7】
請求項1記載の流水検知装置に於いて、前記本弁駆動部のシリンダ室に1次側圧力水を導入して前記本弁を開放させる手動開放弁を設けたことを特徴とする流水検知装置。
【請求項8】
請求項1記載の流水検知装置に於いて、前記制御弁から前記シリンダ室に1次側圧力水を導入する配管に、前記制御弁に設けた調圧パイロット機構による前記シリンダ室に対し1次側を切り離した状態で、前記シリンダ室を含む前記配管内の水を排水するオートドリップを設けたことを特徴とする流水検知装置。
【請求項9】
請求項1記載の流水検知装置に於いて、前記制御弁に設けた不作動流水機構の2次側バイパス配管に、所定の不作動流水量を流す定流量弁を配置したことを特徴とする流水検知装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2012−58807(P2012−58807A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−198573(P2010−198573)
【出願日】平成22年9月6日(2010.9.6)
【出願人】(000003403)ホーチキ株式会社 (792)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月6日(2010.9.6)
【出願人】(000003403)ホーチキ株式会社 (792)
【Fターム(参考)】
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