説明

浸漬型膜モジュールの薬品洗浄方法

【課題】複数の膜浸漬槽を有する浸漬型膜モジュールの薬品洗浄方法において、浸漬型膜モジュールを槽外に取り出す必要がなく、薬品の使用量も低減できる浸漬型膜モジュールの薬品洗浄方法を提供する。
【解決手段】マンガンイオンを含有する原水に塩素系酸化剤を添加して、浸漬型膜モジュールの下方および/または側方から散気しながら、複数の浸漬型膜モジュールでろ過する水処理方法において、膜浸漬槽内3a、3bの二酸化マンガンを沈殿させた後、第2の膜浸漬槽内の水を浸漬型膜モジュール4bでろ過して、第2の膜浸漬槽内の水位を低下させ、さらに第2の膜浸漬槽内の水位が第1の膜浸漬槽内の水位よりも低くなるように維持しながら第1の膜浸漬槽内下部の二酸化マンガンを膜浸漬槽下部の連通部分7を通じて第2の膜浸漬槽内に移送し、その後第1の膜浸漬槽内の浸漬型膜モジュール4aを薬品に接触させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は複数の膜浸漬槽を有する浸漬型膜モジュールの薬品洗浄方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、上下水道や廃水処理等の水処理用途において、原水中の不純物を分離除去して清澄な水に変換する膜ろ過法の普及が進んでいる。膜の除去対象物質は、膜の種類によって異なるが、精密ろ過膜や限外ろ過膜の場合は、一般的に懸濁物質、細菌、原虫、コロイド物質等が挙げられる。ところが、地下水等に多く含まれているマンガンイオンについては強い酸化力で二酸化マンガンとして析出させない限り、精密ろ過膜や限外ろ過膜で除去できないという問題があった。マンガンは、通常の塩素系酸化剤を添加するだけでは析出しないことから、過マンガン酸カリウムやオゾンのような強力な酸化剤を添加する方法もある。この方法によれば、容易に酸化析出し、マンガンを膜ろ過で除去できるものの、過マンガン酸カリウムを必要量以上添加した場合、マンガンイオンと未反応の過マンガン酸イオンが膜を通過することで膜ろ過水のマンガン濃度が高くなる問題を有していた。またオゾンを必要量以上添加した場合、酸化された二酸化マンガンが更に酸化されて過マンガン酸イオンとなり、膜を通過することで膜ろ過水のマンガン濃度が高くなる問題を有していた。
【0003】
そこで、浸漬型膜分離装置の前段に接触槽を設け、浸漬型膜モジュールで固液分離された二酸化マンガン粒子を接触槽に返送する、あるいは浸漬槽内を散気することで、浮遊した二酸化マンガンの自触媒作用によって原水中のマンガンイオンを酸化する技術が知られていた(特許文献1)。
【0004】
まず、式(1)に示す反応により、マンガンイオンは二酸化マンガンに交換吸着される。マンガンイオンと接触した二酸化マンガンはMnO・MnOとなって、接触酸化力を失うが、式(2)の塩素系酸化剤による酸化反応で、再活性化する。よってマンガンイオンを酸化するためには、交換吸着するための二酸化マンガンおよび二酸化マンガンを再活性化するための塩素系酸化剤の両方が必要となる。
【0005】
Mn2++MnO・HO→MnO・MnO+2H (1)
MnO・MnO+HOCl+2HO→2(MnO・HO)+H+Cl (2)
一方、精密ろ過膜や限外ろ過膜のろ過運転を行う場合、膜ろ過水量に伴って、膜表面や膜細孔内にフミン質や微生物由来のタンパク質、酸化鉄、酸化マンガン等の付着量が増大していき、ろ過水量の低下あるいは膜差圧の上昇が問題となってくる。
【0006】
そこで、膜の原水側に気泡を導入し、膜を揺動させ、膜同士を触れ合わせることにより膜表面のファウリング物質を掻き落とす空気洗浄や、膜のろ過方法とは逆方向に膜ろ過水あるいは清澄水を圧力で押し込み、膜表面や膜細孔内に付着していたファウリング物質を排除する逆圧洗浄等の物理洗浄が実用化されている。
【0007】
さらに、物理洗浄を実施してもろ過能力が低下する場合には、物理洗浄で排除しきれなかったファウリング物質を化学的に分解し、溶解除去する薬品洗浄が実用化されている(特許文献2、3)。
【0008】
従来の浸漬型膜分離装置の薬品洗浄方法としては、重機を使用するなどして浸漬型膜モジュールを膜浸漬槽外に取り出し、別の小型の槽内で薬品洗浄するものである。しかしながらこの方法では洗浄操作が煩雑で作業性が非常に悪い。
【0009】
また、膜浸漬槽を複数に分割し、分割した槽内に各々浸漬型膜モジュールを浸漬配置し、薬品洗浄を行う膜浸漬槽を順次切り換えることにより、浸漬型膜モジュールを膜浸漬槽内に設置した状態のまま薬品洗浄する方法も提案されている(特許文献4)。この方法は浸漬型膜モジュールを槽外に取り出す必要がないため洗浄操作性に優れるが、膜浸漬槽自体を洗浄用の槽として代用するため、洗浄薬剤の使用量が膨大となる。また上述した通り、マンガンイオンの酸化には二酸化マンガンが必要であるが、膜浸漬槽内の液を排出するので、二酸化マンガン粒子を廃棄することとなり、運転再開後、時間をかけて二酸化マンガン粒子を生成させなければならない問題があった。
【0010】
膜浸漬槽内を活性汚泥で満たすことで一般都市下水、合併浄化槽、各種有機性廃水等の有機物を生物化学的に分解するとともに、浸漬型膜モジュールで懸濁成分のない清澄水を得ることのできる膜分離活性汚泥法(MBR法)においても、この薬品洗浄方法を実施した場合、活性汚泥を廃棄することとなるため、再度時間をかけて活性汚泥を馴養しなければならない問題があった。
【0011】
そこで、膜浸漬槽内の液の一部または全量を他の膜浸漬槽に移送する方法も提案されている(特許文献5)。この方法は二酸化マンガン粒子あるいは活性汚泥を廃棄することなく、薬品洗浄することが可能であるが、それぞれの膜浸漬槽に移送するためのポンプを設置しなければならず、さらに移送先の膜浸漬槽の容積を過大設計しなければならなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特許第3467713号公報
【特許文献2】特開2005−193119号公報
【特許文献3】特開2006−305444号公報
【特許文献4】特開平8−131785号公報
【特許文献5】特許第3384281号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、複数の膜浸漬槽を有する浸漬型膜モジュールの薬品洗浄方法において、浸漬型膜モジュールを槽外に取り出す必要がなく、原水中のマンガンイオンの酸化に必要な膜浸漬槽内の二酸化マンガンあるいは原水中の有機物の分解に必要な膜浸漬槽内の活性汚泥を既存の設備を用いて容易に他方の膜浸漬槽内に移送して一時保管することができ、薬品使用量も低減できる浸漬型膜モジュールの薬品洗浄方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するため、本発明の浸漬型膜モジュールの薬品洗浄方法は、次の特徴を有するものである。
【0015】
(1)0.05mg/L以上のマンガンイオンを含有する原水に塩素系酸化剤を添加して、浸漬型の精密ろ過膜/限外ろ過膜モジュールの下方および/または側方から散気しながら、複数の浸漬型膜モジュールでろ過する水処理方法において、複数の膜浸漬槽内の浸漬型膜モジュールを順次薬品に接触させる浸漬型膜モジュールの薬品洗浄方法であって、原水と塩素系酸化剤の膜浸漬槽内への導入と散気を停止して、膜浸漬槽内の二酸化マンガンを沈殿させた後、第2の膜浸漬槽内の水を浸漬型膜モジュールでろ過して、第2の膜浸漬槽内の水位を低下させ、さらに第2の膜浸漬槽内の水位が第1の膜浸漬槽内の水位よりも低くなるように維持しながら第1の膜浸漬槽内下部の二酸化マンガンを膜浸漬槽下部の連通部分を通じて第2の膜浸漬槽内に移送し、その後第1の膜浸漬槽内の浸漬型膜モジュールを薬品に接触させる浸漬型膜モジュールの薬品洗浄方法。
【0016】
(2)浸漬型膜モジュールと活性汚泥を浸漬させた膜浸漬槽内に原水を供給し、該浸漬型膜モジュールの下方および/または側方から散気しながら、複数の浸漬型膜モジュールでろ過する水処理方法において、複数の膜浸漬槽内の浸漬型膜モジュールを順次薬品に接触させる浸漬型膜モジュールの薬品洗浄方法であって、原水の膜浸漬槽内への導入と散気を停止して、膜浸漬槽内の活性汚泥を沈殿させた後、第2の膜浸漬槽内の水を浸漬型膜モジュールでろ過して、第2の膜浸漬槽内の水位を低下させ、さらに第2の膜浸漬槽内の水位が第1の膜浸漬槽内の水位よりも低くなるように維持しながら第1の膜浸漬槽内下部の活性汚泥を膜浸漬槽下部の連通部分を通じて第2の膜浸漬槽内に移送し、その後第1の膜浸漬槽内の浸漬型膜モジュールを薬品に接触させる浸漬型膜モジュールの薬品洗浄方法。
【0017】
(3)第1の膜浸漬槽内の浸漬型膜モジュールを薬品に接触させた後、さらに、第1の膜浸漬槽内の水位を低下させ、さらに第1の膜浸漬槽内の水位が第2の膜浸漬槽内の水位よりも低くなるように維持しながら第2の膜浸漬槽内下部の二酸化マンガンあるいは活性汚泥を膜浸漬槽下部の連通部分を通じて第1の膜浸漬槽内に移送し、その後第2の膜浸漬槽内の浸漬型膜モジュールを薬品に接触させる、(1)または(2)に記載の浸漬型膜モジュールの薬品洗浄方法。
【0018】
(4)薬品がクエン酸、シュウ酸、亜硫酸イオン、亜硫酸水素イオン、チオ硫酸イオンからなる群から選ばれる少なくとも1種類を含む、(1)〜(3)のいずれかに記載の浸漬型膜モジュールの薬品洗浄方法。
【0019】
(5)凝集剤および/またはpH調整剤を添加して、膜浸漬槽内の二酸化マンガンあるいは活性汚泥を沈殿させる、(1)〜(4)のいずれかに記載の浸漬型膜モジュールの薬品洗浄方法。
【0020】
(6)薬品で逆圧洗浄することにより浸漬型膜モジュールを薬品に接触させる、(1)〜(5)のいずれかに記載の浸漬型膜モジュールの薬品洗浄方法。
【0021】
(7)薬品で逆圧洗浄後に一定時間放置し、さらに清澄水で逆圧洗浄する、(6)に記載の浸漬型膜モジュールの薬品洗浄方法。
【発明の効果】
【0022】
本発明の薬品洗浄方法によれば、浸漬型膜モジュールを膜浸漬槽外へ取り出す必要がなく、新たなポンプを具備せずにマンガンイオンの酸化に必要な膜浸漬槽内の二酸化マンガンあるいは有機物の生物化学的分解に必要な膜浸漬槽内の活性汚泥を既存の設備を用いて容易に他方の膜浸漬槽内に移送して一時保管することができ、移送先の膜浸漬槽の容積を過大にすることもないので薬品使用量を低減することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の浸漬型膜モジュール4a、4bの薬品洗浄前における、通常のろ過工程の状態を示す概略図である。
【図2】本発明の浸漬型膜モジュール4a、4bの薬品洗浄前における、通常の逆圧洗浄工程の状態を示す概略図である。
【図3】本発明の浸漬型膜モジュール4a、4bの薬品洗浄前における、通常の排水工程の状態を示す概略図である。
【図4】本発明の浸漬型膜モジュール4a、4bの薬品洗浄方法において、沈殿工程(STEP1)を実施する状態を示す概略図である。
【図5】本発明の浸漬型膜モジュール4a、4bの薬品洗浄方法において、第2の膜浸漬槽3bの水位低下工程(STEP2)を実施する状態を示す概略図である。
【図6】本発明の浸漬型膜モジュール4a、4bの薬品洗浄方法において、第1の膜浸漬槽3aから第2の膜浸漬槽3bへの二酸化マンガン/活性汚泥移送工程(STEP3)を実施する状態を示す概略図である。
【図7】本発明の浸漬型膜モジュール4a、4bの薬品洗浄方法において、第1の膜浸漬槽3a内の浸漬型膜モジュール4aの薬品洗浄工程(STEP4)を実施する状態を示す概略図である。
【図8】本発明の浸漬型膜モジュール4a、4bの薬品洗浄方法において、第1の膜浸漬槽3a内の浸漬型膜モジュール4aのリンス工程(STEP5)を実施する状態を示す概略図である。
【図9】本発明の浸漬型膜モジュール4a、4bの薬品洗浄方法において、第2の膜浸漬槽3bから第1の膜浸漬槽3aへの二酸化マンガン/活性汚泥移送工程(STEP6)を実施する状態を示す概略図である。
【図10】本発明の浸漬型膜モジュール4a、4bの薬品洗浄方法において、第2の膜浸漬槽3b内の浸漬型膜モジュール4bの薬品洗浄工程(STEP7)を実施する状態を示す概略図である。
【図11】本発明の浸漬型膜モジュール4a、4bの薬品洗浄方法において、第2の膜浸漬槽3b内の浸漬型膜モジュール4bのリンス工程(STEP8)を実施する状態を示す概略図である。
【図12】本発明の浸漬型膜モジュール4a、4bの薬品洗浄方法において、第1の膜浸漬槽3aから第2の膜浸漬槽3bへの二酸化マンガン/活性汚泥移送工程(STEP9)を実施する状態を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面に示す実施態様に基づいて本発明をさらに詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施態様に限定されるものではない。図1〜図12は、本発明による薬品洗浄を行うことが可能な水処理装置・工程の一実施態様を示す概略フロー図である。
【0025】
本発明において使用する水処理装置には、例えば図1に示すように、原水供給時に開とする原水供給弁1a、1bと、薬品洗浄する浸漬型膜モジュールのみ開となる膜モジュール選択弁2a、2bと、原水を貯留する膜浸漬槽3a、3bと、膜浸漬槽3a、3b内に浸漬している浸漬型膜モジュール4a、4bと、浸漬型膜モジュール4a、4bの下方および/または側方に具備される散気管5a、5bと、膜浸漬槽3a、3b内の水を排出するときに開となる排水弁6a、6bと、膜浸漬槽3a、3b底部に沈殿した二酸化マンガン/活性汚泥を移送するときに開となる連通弁7と、散気用の空気を送り込むためのブロワー8と、塩素系酸化剤を膜浸漬槽3a、3b内に注入するための酸化剤ポンプ9と、塩素系酸化剤を貯留する酸化剤貯留槽10と、ろ過工程時に開とするろ過弁11と、ろ過工程時に稼働するろ過ポンプ12と、浸漬型膜モジュール4a、4bの膜ろ過水を貯留するろ過水貯留槽13と、薬品で逆圧洗浄する場合に閉とする逆洗選択弁14と、逆洗工程時に開とする逆洗弁15と、逆洗工程時に稼働する逆洗ポンプ16と、薬品洗浄で使用する薬品を貯留する薬品貯留槽17と、薬品で逆圧洗浄する場合に開とする薬品選択弁18が設けられている。
【0026】
第1の発明において、処理対象とされる原水としては、0.05mg/L以上のマンガンイオンを含有するものであれば特に制限されず、地下水、河川水、湖沼水などが使用できる。
【0027】
ここで、マンガンイオンの濃度を測定する方法としては、サンプルを孔径0.45μm以下の精密ろ過膜あるいは限外ろ過膜でろ過し、そのろ過水をフレームレス−原子吸光法やICP発光分光分析法(測定波長257.610nm)やICP質量分析法で測定する方法が挙げられる。
【0028】
また、第2の発明において、膜分離活性汚泥法(MBR法)の処理対象とされる原水としては、マンガンイオンの有無に関わらず、生物化学的に分解される有機物を含有するものであれば特に制限されず、下水や各種有機性廃水等などが挙げられる。
【0029】
ここで本発明における浸漬型膜モジュール4a、4bを構成する分離膜としては、多孔質であればその孔径は特に限定しないが、所望の処理水の水質や水量によって、精密ろ過膜を用いたり、限外ろ過膜を用いたり、あるいは両者を併用したりする。例えば、濁質成分、大腸菌、クリプトスポリジウム等を除去したい場合は精密ろ過膜でも限外ろ過膜のどちらを用いても構わないが、ウィルスや高分子有機物等も除去したい場合は、限外ろ過膜を用いるのが好ましい。
【0030】
分離膜の形状としては、中空糸膜、平膜、管状膜等があるが、いずれでも構わない。
【0031】
分離膜の材質としても、特に限定しないが、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアクリロニトリル、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリビニルフルオライド、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体およびクロロトリフルオロエチレン−エチレン共重合体、ポリフッ化ビニリデン、ポリスルホン、酢酸セルロース、ポリビニルアルコールおよびポリエーテルスルホンからなる群から選ばれる少なくとも1種類を含んでいると好ましく、さらに膜強度や耐薬品性の点からはポリフッ化ビニリデン(PVDF)がより好ましく、親水性が高く耐汚れ性が強いという点からはポリアクリロニトリルがより好ましい。
【0032】
本発明における膜浸漬槽下部の連通部分としては、連通弁7で容易に水流を制御できる連通管が好ましいが、膜浸漬槽3aと膜浸漬槽3bの仕切壁の下部に開閉ゲートを設けてもよい。
【0033】
上述の水処理装置において、本発明の薬品洗浄は次のように実施される。
【0034】
図1は、本発明の浸漬型膜モジュール4a、4bの薬品洗浄前における、通常のろ過工程の状態を示している。
【0035】
まず、原水供給弁1a、1bを開にすると、原水が膜浸漬槽3a、3b内に供給される。また酸化剤貯留槽10内に貯留されている塩素系酸化剤が酸化剤ポンプ9の動力で膜浸漬槽3a、3b内に供給される。さらに、ブロワー8を稼働して空気を送り込むことで浸漬型膜モジュール4a、4bの下方および/または側方に具備される散気管5a、5bから気泡が発生し、散気が行われ、膜モジュール選択弁2a、2b、ろ過弁11が開の状態でろ過ポンプ12を稼働することで浸漬型膜モジュール4a、4bの吸引ろ過が行われる。
【0036】
第1の発明における塩素系酸化剤としては、次亜塩素酸、二酸化塩素等、接触酸化力を失った二酸化マンガンを再活性化できれば、いずれでも構わなく、原水中の第一鉄イオンやマンガンイオンの濃度に応じて適宜注入量を制御するのが好ましい。しかし、膜分離活性汚泥法(MBR法)では活性汚泥中の微生物が死滅し、有機物の分解能力が低下してしまう恐れがあるので、第2の発明においては塩素系酸化剤を注入しないほうが好ましい。
【0037】
第1の発明において、散気管5a、5bから散気される散気の時間やエア流量は原水中のマンガンイオン濃度や膜浸漬槽3a、3b内の二酸化マンガン濃度、ろ過時間などに応じて適宜設定すればよい。気泡はろ過工程中常時発生させても良いし、マンガンイオンの酸化に十分な二酸化マンガン粒子を浮遊できれば、間欠の発生でもよい。ろ過工程中常時気泡を発生させる場合には、極力膜の擦過を抑制するため、浸漬型膜モジュール4a、4bに直接気泡が接触する下方からの散気はせずに、側方のみから散気させてもよい。
【0038】
第2の発明において、膜分離活性汚泥法(MBR法)における散気管5a、5bから散気される散気の時間やエア流量は、浸漬型膜モジュール4a、4bの膜面を洗浄することが可能で、膜浸漬槽3a、3b内の活性汚泥処理に必要な酸素を供給できればよく、原水中の有機物濃度や膜浸漬槽3a、3b内の活性汚泥濃度、膜ろ過流束などに応じて適宜設定すればよい。
【0039】
浸漬型膜モジュール4a、4bのろ過時間は原水水質や膜透過流束に応じて適宜設定するのが好ましいが、所定の膜ろ過差圧に到達するまでろ過時間を継続させてもよい。第1の発明においては、膜浸漬槽3a、3b内での気泡の発生により、浸漬型膜モジュール4a、4bで固液分離された二酸化マンガン粒子は膜浸漬槽3a、3bの底部に沈降することなく、浮遊した状態で原水中のマンガンイオンを酸化することができ、第2の発明においては、膜分離活性汚泥法(MBR法)では活性汚泥が膜浸漬槽3a、3bの底部に沈降することなく、浮遊した状態で原水中の有機物を分解することができる。
【0040】
浸漬型膜モジュール4a、4bのろ過制御方法としては、定流束ろ過であっても定圧ろ過であってもよいが、一定の膜ろ過水量が得られ、また、全体の制御が容易であるという点から定流束ろ過である方が好ましい。
【0041】
また、浸漬型膜モジュール4a、4bのろ過動力としては、図1のようにろ過ポンプ12で吸引ろ過する以外にも、膜浸漬槽3a、3bとろ過水貯留槽13の水位差を利用したサイフォンの原理で吸引ろ過しても構わない。
【0042】
上記のろ過工程を継続すると、浸漬型膜モジュール4a、4bの膜表面や膜細孔内に鉄やマンガンの酸化物やフミン酸などの有機物などが付着していき、ろ過水量の低下あるいは膜間差圧の上昇を引き起こすため、ろ過工程終了後に逆圧洗浄工程を開始する。図2は、本発明の浸漬型膜モジュール4a、4bの薬品洗浄前における、通常の逆圧洗浄工程の状態を示している。まず、ブロワー8、酸化剤ポンプ9、ろ過ポンプ12を停止して、原水供給弁1a、1b、ろ過弁11を閉にした後、逆洗選択弁14が開、薬品選択弁18が閉であることを確認後、逆洗弁15を開にして、逆洗ポンプ16を稼動させることでろ過水貯留槽13の膜ろ過水を用いた逆圧洗浄が行われる。こうすることで、鉄やマンガンの酸化物や有機物は膜表面や膜細孔内から剥離するので、ろ過水量の回復あるいは膜間差圧の抑制が可能となる。
【0043】
通常の逆圧洗浄の時間は、特に制限するものではないが、5秒以上120秒以下の範囲内とするのが好ましい。1回の逆圧洗浄時間が5秒未満では、十分な洗浄効果が得られず、120秒を超えると浸漬型膜モジュール4a、4bの稼働効率が低くなったり、水回収率が低下したりする。
【0044】
通常の逆圧洗浄の流束は、特に制限するものではないが、ろ過流束の0.5倍以上2倍以下であることが好ましい。逆圧洗浄の流束がろ過流束の0.5倍未満では、膜面に付着、堆積したファウリング物質を十分に除去することが難しい。逆圧洗浄の流束は高いほうが膜の洗浄効果が高くなるので好ましいが、高すぎると水回収率が低下すること、浸漬型膜モジュール容器の破壊や膜の亀裂等の損傷が起こる問題が発生することから、そうならない範囲内に適宜設定する。
【0045】
通常の逆圧洗浄の頻度は、ろ過流束やろ過時間、原水水質に応じて適宜設定すればよく、特に制限するものではないが、数十分〜数時間に1回程度であることが好ましい。
【0046】
なお、通常の逆圧洗浄に用いる水は清澄水であれば何でもよく、膜ろ過水に限定されない。また、第1の発明においては、通常の逆圧洗浄に用いる水に、逆圧洗浄配管途中に次亜塩素酸ナトリウム、二酸化塩素、過酸化水素、オゾン等の酸化剤を添加したほうが、膜面に付着した有機物を分解でき、洗浄効果が高くなるので好ましい。例えば薬品貯留槽17に酸化剤を投入し、薬品選択弁18を開にする。ただし、膜浸漬槽3a、3b内の酸化剤が高濃度で残留せず、膜が劣化することのないよう、適宜濃度を制御することが好ましい。酸化剤の濃度が高い場合には、ろ過再開時に二次配管内に残留していた酸化剤がろ過水貯留槽13に流入するので、逆圧洗浄終了前に酸化剤の添加を止めることも好ましい。一方、第2の発明において、膜分離活性汚泥法(MBR法)では活性汚泥中の微生物が酸化剤によって死滅し、有機物の分解能力が低下してしまう恐れがあるので、逆圧洗浄に用いる水には酸化剤を注入しないほうが好ましい。
【0047】
さらに、ブロワー8を稼働して空気を送り込むことで浸漬型膜モジュール4a、4bの下方および/または側方に具備される散気管5a、5bから気泡を発生させ、浸漬型膜モジュール4a、4bの膜面を振動させる空気洗浄を、上述した通常の逆圧洗浄の実施中や実施前後の少なくとも一部に実施することも好ましい。逆圧洗浄と空気洗浄の併用により膜面や膜細孔内に蓄積していたファウリング物質が剥離される。散気管5a、5bからの気泡の供給時間やエア流量は浸漬型膜モジュール4a、4bの形状や膜の性能や汚染状況に応じて適宜設定すればよいが、膜の擦過を低減させるため、供給時間はできるだけ短いほうが好ましく、60秒以内に設定することが好ましい。
【0048】
通常の逆圧洗浄工程が終了した後に排水工程を開始する。図3は、本発明の浸漬型膜モジュール4a、4bの薬品洗浄前における、通常の排水工程の状態を示している。逆洗ポンプ16を停止して、逆洗弁15を閉にした後、排水弁6a、6bを開くことで、膜面や膜細孔内から剥離して、膜浸漬槽3a、3b内で浮遊しているファウリング物質が系外に排出される。上述した通り、第1の発明においてはマンガンイオンの酸化のために、膜浸漬槽3a、3b内に二酸化マンガンを浮遊させる必要がある。排水工程で膜浸漬槽3a、3b内の水を全量排水した場合、再度時間をかけて二酸化マンガン粒子を生成させなければならないことから、マンガンイオンの酸化に支障をきたさない程度に一部を排水したほうが好ましい。また、第2の発明である膜分離活性汚泥法(MBR法)の場合においても、排水工程で膜浸漬槽3a、3b内の水を全量排水した場合、再度時間をかけて活性汚泥を馴養しなければならないことから、有機物の分解に支障をきたさない程度に一部を排水したほうが好ましい。なお排水工程は逆圧洗浄前や逆圧洗浄中に実施しても構わない。排水して膜1次側を空気にさらした後に逆圧洗浄を実施した場合、膜1次側に水圧がかからないため、ファウリング物質が膜表面から剥離しやすい利点がある。
【0049】
排水弁6a、6bを閉とすることで排水工程を終了した後、原水供給弁1a、1bが開となり、酸化剤ポンプ9が稼動して給水工程が行われ、浸漬型膜モジュール4a、4bを水中に浸漬した後、ろ過弁11を開にし、ろ過ポンプ12とブロワー8を稼働することで、ろ過工程に戻り、上記工程を繰り返すが、上述した通常の逆圧洗浄を実施してもファウリング物質は完全には除去できないことから、やがて膜ろ過吸引圧がろ過ポンプ12の吸引全揚程に到達したり、キャビテーションを引き起こしたりする限界まで到達してしまう。この場合には、本発明の浸漬型膜モジュール4a、4bの薬品洗浄(STEP1〜STEP9)を実施する。
【0050】
なお、本発明は、STEP1〜STEP5を行うことを必須の要件とするものであり、必ずしもSTEP6以降を実施することを要しない。ただし、薬品洗浄の効率化の観点からは、STEP1〜STEP9を一連の工程として行うことが好ましく、薬品洗浄を1つの浸漬型膜モジュールについて実施するか、2つ以上の浸漬型膜モジュールについて実施するかは、各浸漬型膜モジュールのファウリングの程度や、原水中のマンガンイオン濃度や有機物濃度、膜浸漬槽3a、3b内の二酸化マンガン濃度や活性汚泥濃度、ろ過時間などに応じて適宜設定することができる。また、STEP9は本発明を構成するものではないが、本発明の浸漬型膜モジュールの薬品洗浄方法を実施後に続けて膜ろ過運転を実施する場合に好ましく行うことができるものである。すなわち、本発明においては、STEP1〜STEP5を行った後にSTEP9を実施して膜ろ過運転を継続しても良いし、STEP1〜STEP9を一連の工程として行って膜ろ過運転を継続しても良い。
【0051】
まず、沈殿工程(STEP1)を実施する。図4は本発明の浸漬型膜モジュール4a、4bの薬品洗浄方法において、沈殿工程(STEP1)を実施する状態を示す概略図である。ろ過工程の状態からブロワー8、酸化剤ポンプ9、ろ過ポンプ12を停止して、原水供給弁1a、1b、ろ過弁11を閉にすると、膜浸漬槽3a、3b内で浮遊していた二酸化マンガン粒子/活性汚泥は槽底部に沈殿する。二酸化マンガンの粒子径が小さく、沈降速度が遅い場合には、膜浸漬槽3a、3b内に凝集剤および/またはpH調整剤を添加して、沈降速度を上げたほうが好ましい。膜分離活性汚泥法(MBR法)においても、活性汚泥の沈降速度が遅い場合には、凝集剤および/またはpH調整剤を添加することが好ましい。使用する凝集剤としては、鉄系やアルミ系の無機凝集剤、ジメチルアミン系やポリアクリルアミド系のカチオン高分子凝集剤などいずれでも構わない。使用するpH調整剤としては、硫酸、塩酸、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム等の無機調整剤が好ましい。適用pHとしては凝集フロックが形成しやすい6.5〜8.5が好ましい。凝集剤またはpH調整剤を添加する場合には、ブロワー8を稼働して、一定時間散気したほうが、攪拌による凝集フロック形成効果があるため、好ましい。なお、沈殿工程(STEP1)を実施せずに下述の第2の膜浸漬槽3bの水位低下工程(STEP2)を実施した場合、浸漬型膜モジュール4bの膜表面に二酸化マンガン粒子/活性汚泥が多く付着してしまい、薬品洗浄効果が下がってしまうことから重要な工程である。
【0052】
沈殿工程(STEP1)で二酸化マンガン粒子/活性汚泥を槽底部に沈殿させた後、第2の膜浸漬槽3bの水位低下工程(STEP2)を実施する。図5は本発明の浸漬型膜モジュール4a、4bの薬品洗浄方法において、右側の膜浸漬槽3bの水位低下工程(STEP2)を実施する状態を示す概略図である。膜モジュール選択弁2aを閉にし、ろ過弁11を開にして、ろ過ポンプ12を稼働すると、浸漬型膜モジュール4bのみが吸引ろ過することとなり、膜浸漬槽3bの水位のみが低下する。
【0053】
第2の膜浸漬槽3bの水位が低下した後、第1の膜浸漬槽3aから第2の膜浸漬槽3bへの二酸化マンガン/活性汚泥移送工程(STEP3)を実施する。図6は本発明の浸漬型膜モジュール4a、4bの薬品洗浄方法において、第1の膜浸漬槽3aから第2の膜浸漬槽3bへの二酸化マンガン/活性汚泥移送工程(STEP3)を実施する状態を示す概略図である。膜モジュール選択弁2bとろ過弁11と逆洗選択弁14を閉にして、ろ過ポンプ12を停止し、連通弁7を開にすると、水位差を利用して、第1の膜浸漬槽3aの底部に沈殿していた二酸化マンガン粒子/活性汚泥は第2の膜浸漬槽3bへと移送される。この間、第2の膜浸漬槽3bの水位が第1の膜浸漬槽3aの水位よりも低くなるように維持しながら二酸化マンガン粒子/活性汚泥の移送が行われる。次第に水位差がなくなっていくと、連通弁7を通過する水流が低下し、二酸化マンガン粒子/活性汚泥の移送効果が低下することから、原水供給弁1aを開いて、原水を第1の膜浸漬槽3a内に供給するほうが水位差を確保できるので好ましい。
【0054】
第1の膜浸漬槽3aの底部に沈殿していた二酸化マンガン粒子/活性汚泥を第2の膜浸漬槽3bへと移送した後、第1の膜浸漬槽3a内の浸漬型膜モジュール4aの薬品洗浄工程(STEP4)を実施する。図7は本発明の浸漬型膜モジュール4a、4bの薬品洗浄方法において、第1の膜浸漬槽3a内の浸漬型膜モジュール4aの薬品洗浄工程(STEP4)を実施する状態を示す概略図である。原水供給弁1aと連通弁7を閉じて、膜モジュール選択弁2a、逆洗弁15、薬品選択弁18を開いて、逆洗ポンプ16を稼働すると、薬品貯留槽17内の薬品で浸漬型膜モジュール4aの逆圧洗浄を実施する。
【0055】
薬品洗浄を行うための薬品としては、膜が劣化しない程度の濃度および保持時間を適宜設定した上で選択することができるが、クエン酸、シュウ酸、亜硫酸イオン、亜硫酸水素イオン、チオ硫酸イオンからなる群から選ばれる少なくとも1種類を含有したほうが、鉄やマンガンの酸化物に対して洗浄効果が高くなるので好ましい。上記薬品で膜の透水性能が回復しない場合には、有機物由来のファウリング物質が膜面や膜細孔内に付着している可能性があるので、次亜塩素酸ナトリウム、二酸化塩素、過酸化水素、オゾン等からなる群から選ばれる少なくとも1種類を含有した薬品で洗浄したほうが、有機物に対して洗浄効果が高くなるので好ましい。
【0056】
また、薬品で逆圧洗浄し続けた場合、薬品の使用量が多くなることから、必要最低限の薬品で効率的にファウリング物質を溶解・分解できるよう、逆洗ポンプ16を停止して、所定時間浸漬型膜モジュール4aの2次側を薬品で保持するほうが好ましい。浸漬型膜モジュール4aの2次側を薬品で保持する時間は、膜面や膜細孔内に付着したファウリング物質を十分に溶解することが可能である5分間以上であることが好ましい。
【0057】
第1の膜浸漬槽3a内の浸漬型膜モジュール4aの薬品洗浄を実施した後、続けて第1の膜浸漬槽3a内の浸漬型膜モジュール4aのリンス工程を実施する。図8は本発明の浸漬型膜モジュール4a、4bの薬品洗浄方法において、第1の膜浸漬槽3a内の浸漬型膜モジュール4aのリンス工程(STEP5)を実施する状態を示す概略図である。薬品選択弁18を閉じて、逆洗選択弁14と排水弁6aを開いて、逆洗ポンプ16を稼働すると、ろ過水貯留槽13内の膜ろ過水を用いた浸漬型膜モジュール4aの逆圧洗浄を実施する。これにより浸漬型膜モジュール4aの二次側および膜面や膜細孔内に残留していた薬品が洗い落とされ、系外に排出される。
【0058】
リンス工程(STEP5)の逆圧洗浄に用いる水は清澄水であれば何でもよく、膜ろ過水に限定されない。リンス工程(STEP5)の逆圧洗浄の時間は、特に制限するものではないが、排水弁6aから系外に排出される排水のpHが中性になるまで実施するのが好ましい。リンス工程(STEP5)の逆圧洗浄の流束は、特に制限するものではないが、ろ過流束の0.5倍以上2倍以下であることが好ましい。逆圧洗浄の流束がろ過流束の0.5倍未満では、膜面や膜細孔内に残留していた薬液を十分に洗い落とすことが難しい。逆圧洗浄の流束は高いほうが膜の洗浄効果が高くなるので好ましいが、高すぎると無駄に膜ろ過水を使用してしまうこと、浸漬型膜モジュール容器の破壊や膜の亀裂等の損傷が起こる問題が発生することから、そうならない範囲内に適宜設定する。
【0059】
第1の膜浸漬槽3a内の浸漬型膜モジュール4aのリンス工程を実施した後、続けて浸漬型膜モジュール4bの薬品洗浄を行う場合は、第2の膜浸漬槽3bから第1の膜浸漬槽3aへの二酸化マンガン/活性汚泥移送工程(STEP6)を実施する。図9は本発明の浸漬型膜モジュール4a、4bの薬品洗浄方法において、第2の膜浸漬槽3bから第1の膜浸漬槽3aへの二酸化マンガン/活性汚泥移送工程(STEP6)を実施する状態を示す概略図である。ろ過選択弁2a、排水弁6a、逆洗選択弁14、逆洗弁15を閉じ、逆洗ポンプ16を停止して、連通弁7を開にすると、水位差を利用して、第2の膜浸漬槽3bの底部に沈殿していた二酸化マンガン粒子/活性汚泥は第1の膜浸漬槽3aへと移送される。この間、第1の膜浸漬槽3aの水位が第2の膜浸漬槽3bの水位よりも低くなるように維持しながら二酸化マンガン粒子/活性汚泥の移送が行われる。次第に水位差がなくなっていくと、連通弁7を通過する水流が落ち、二酸化マンガン粒子/活性汚泥の移送効果も落ちることから、原水供給弁1bを開いて、原水を第2の膜浸漬槽3b内に供給するほうが水位差を確保できるので好ましい。
【0060】
第2の膜浸漬槽3bの底部に沈殿していた二酸化マンガン粒子/活性汚泥を第1の膜浸漬槽3aへと移送した後、第2の膜浸漬槽3b内の浸漬型膜モジュール4bの薬品洗浄工程(STEP7)を実施する。図10は本発明の浸漬型膜モジュール4a、4bの薬品洗浄方法において、第2の膜浸漬槽3b内の浸漬型膜モジュール4bの薬品洗浄工程(STEP7)を実施する状態を示す概略図である。原水供給弁1bと連通弁7を閉じて、膜モジュール選択弁2b、逆洗弁15、薬品選択弁18を開いて、逆洗ポンプ16を稼働すると、薬品貯留槽17内の薬品で浸漬型膜モジュール4bの逆圧洗浄を実施する。第2の膜浸漬槽3b内の浸漬型膜モジュール4bの薬品洗浄工程(STEP7)の条件は第1の膜浸漬槽3a内の浸漬型膜モジュール4aの薬品洗浄工程(STEP4)と同等で構わない。
【0061】
第2の膜浸漬槽3b内の浸漬型膜モジュール4bの薬品洗浄を実施した後、続けて第2の膜浸漬槽3b内の浸漬型膜モジュール4bのリンス工程を実施する。図11は本発明の浸漬型膜モジュール4a、4bの薬品洗浄方法において、第2の膜浸漬槽3b内の浸漬型膜モジュール4bのリンス工程(STEP8)を実施する状態を示す概略図である。薬品選択弁18を閉じて、逆洗選択弁14と排水弁6bを開いて、逆洗ポンプ16を稼働すると、ろ過水貯留槽13内の膜ろ過水を用いた浸漬型膜モジュール4bの逆圧洗浄を実施する。これにより浸漬型膜モジュール4bの二次側および膜面や膜細孔内に残留していた薬品が洗い落とされ、系外に排出される。第2の膜浸漬槽3b内の浸漬型膜モジュール4bのリンス工程(STEP8)の条件は第1の膜浸漬槽3a内の浸漬型膜モジュール4aの薬品洗浄工程(STEP5)と同等で構わない。
【0062】
第2の膜浸漬槽3b内の浸漬型膜モジュール4bのリンス工程を実施した後、第1の膜浸漬槽3aから第2の膜浸漬槽3bへの二酸化マンガン/活性汚泥移送工程(STEP9)を実施する。図12は本発明の浸漬型膜モジュール4a、4bの薬品洗浄方法において、第1の膜浸漬槽3aから第2の膜浸漬槽3bへの二酸化マンガン/活性汚泥移送工程(STEP9)を実施する状態を示す概略図である。排水弁6bと逆洗弁15を閉じて、逆洗ポンプ16を停止した後、連通弁7を開にすると、水位差を利用して、第1の膜浸漬槽3aの底部に沈殿していた二酸化マンガン粒子/活性汚泥は第2の膜浸漬槽3bへと移送される。水位差がなくなった時点で連通弁7を閉じて終了する。
【0063】
その後、原水が開状態の原水供給弁1a、1bを経て、膜浸漬槽3a、3b内に供給される。また酸化剤貯留槽10内に貯留されている塩素系酸化剤が酸化剤ポンプ9の動力で膜浸漬槽3a、3b内に供給される。さらに、ブロワー8を稼働して空気を送り込むことで浸漬型膜モジュール4a、4bの下方および/または側方に具備している散気管5a、5bから気泡が発生し、膜モジュール選択弁2a、2b、ろ過弁11が開の状態でろ過ポンプ12を稼働することで浸漬型膜モジュール4a、4bの吸引ろ過が再開される。
【実施例】
【0064】
(実施例1)
図1に示すように、浸漬型膜モジュール4a、4bには東レ(株)製の分画分子量15万Daのポリフッ化ビニリデン製中空糸UF膜で膜面積が25mの浸漬型膜モジュール1本を用い、原水供給弁1a、1bと膜モジュール選択弁2a、2bとろ過弁11を開にして、ブロワー8と酸化剤ポンプ9とろ過ポンプ12を稼動して、浸漬型膜モジュール4a、4bの下方からエア流量20L/minの散気をしながら濁度0.3度、TOC1mg/l、マンガンイオン濃度0.13mg/lの地下水を膜ろ過流束1.5m/m/dで定流量ろ過した。酸化剤は次亜塩素酸ナトリウムを使用し、膜浸漬槽3a、3b内の塩素濃度が0.5mg/lになるように注入した。
【0065】
浸漬型膜モジュール4a、4bは30minろ過した後、酸化剤ポンプ9、ろ過ポンプ12を停止して、原水供給弁1a、1b、ろ過弁11を閉にした後、逆洗選択弁14が開、薬品選択弁18が閉であることを確認後、逆洗弁15を開にして、逆洗ポンプ16を稼動させることで、流束1.5m/m/dの逆圧洗浄と浸漬型膜モジュール4a、4bの下方からエア流量60L/minの空気洗浄を同時に1min実施した。ブロワー8と逆洗ポンプ16を停止して、逆洗弁15を閉にした後、排水弁6a、6bを開き、排水工程を実施した。排水量は逆洗水量の2倍の52Lとした。
【0066】
排水弁6a、6bを閉とすることで排水工程を終了した後、原水供給弁1a、1bが開となり、酸化剤ポンプ9が稼動して給水工程が行われ、浸漬型膜モジュール4a、4bを水中に浸漬した後、ろ過弁11を開にし、ろ過ポンプ12とブロワー8を稼働することで、ろ過工程に戻り、上記工程を繰り返した。運転開始時の膜ろ過差圧は20kPaであったが3ヶ月後には65kPaに到達したため、STEP1〜9の薬品洗浄を実施した。
【0067】
STEP1では、ろ過工程から酸化剤ポンプ9、ろ過ポンプ12を停止して、原水供給弁1a、1b、ろ過弁11を閉にした。その後、膜浸漬槽3a、3b内には凝集剤の塩化第二鉄を1mg−Fe/l注入し、膜浸漬槽3a、3b内のpHが8になるよう水酸化ナトリウムを注入し、ブロワー8を稼働して、浸漬型膜モジュール4a、4bの下方からエア量60Lの曝気攪拌を2min実施した。その後、ブロワー8を停止し、5min放置した。
【0068】
STEP2では、膜モジュール選択弁2aを閉にし、ろ過弁11を開にして、ろ過ポンプ12を稼働して、膜浸漬槽3aと3bの水位差が1mになるまで浸漬型膜モジュール4bで吸引ろ過した。
【0069】
STEP3では、膜モジュール選択弁2bとろ過弁11と逆洗選択弁14を閉にして、ろ過ポンプ12を停止し、連通弁7を開にした。また、原水供給弁1aを開いて、膜浸漬槽3aの水位を維持させ、水位差が0.3mになった時点で連通弁7を閉じた。
【0070】
STEP4では、原水供給弁1aを閉じて、膜モジュール選択弁2a、逆洗弁15、薬品選択弁18を開いて、逆洗ポンプ16を稼働し、薬品貯留槽17内の薬品で浸漬型膜モジュール4aの逆圧洗浄を流束1.5m/m/dで2min実施した。薬品貯留槽17内の薬品としてはクエン酸1%を使用した。その後、逆洗ポンプ16を停止して、10min放置した。
【0071】
STEP5では、薬品選択弁18を閉じて、逆洗選択弁14と排水弁6aを開いて、逆洗ポンプ16を稼働し、ろ過水貯留槽13内の膜ろ過水を用いた浸漬型膜モジュール4aの逆圧洗浄を流束1.5m/m/dで10min実施した。
【0072】
STEP6では、ろ過選択弁2a、排水弁6a、逆洗選択弁14、逆洗弁15を閉じ、逆洗ポンプ16を停止して、連通弁7を開にした。また、原水供給弁1bを開いて、膜浸漬槽3aの水位を維持させ、水位差が0.3mになった時点で連通弁7を閉じた。
【0073】
STEP7では、原水供給弁1bを閉じて、膜モジュール選択弁2b、逆洗弁15、薬品選択弁18を開いて、逆洗ポンプ16を稼働し、薬品貯留槽17内の薬品で浸漬型膜モジュール4aの逆圧洗浄を流束1.5m/m/dで2min実施した。薬品貯留槽17内の薬品としてはクエン酸1%を使用した。その後、逆洗ポンプ16を停止して、10min放置した。
【0074】
STEP8では、薬品選択弁18を閉じて、逆洗選択弁14と排水弁6bを開いて、逆洗ポンプ16を稼働し、ろ過水貯留槽13内の膜ろ過水を用いた浸漬型膜モジュール4bの逆圧洗浄を流束1.5m/m/dで10min実施した。
【0075】
STEP9では、排水弁6bと逆洗弁15を閉じて、逆洗ポンプ16を停止した後、連通弁7を開にした。その後、水位差がなくなった時点で連通弁7を閉じて終了した。
【0076】
その後、原水が開状態の原水供給弁1a、1bを経て、膜浸漬槽3a、3b内に供給し、また酸化剤貯留槽10内に貯留されている塩素系酸化剤が酸化剤ポンプ9の動力で膜浸漬槽3a、3b内に供給し、さらに、ブロワー8を稼働して、浸漬型膜モジュール4a、4bの下方からエア流量20L/minの散気をし、膜モジュール選択弁2a、2b、ろ過弁11が開の状態でろ過ポンプ12を稼働することで、膜ろ過流束1.5m/m/dの定流量ろ過を再開した。
【0077】
その結果、浸漬型膜モジュール4a、4bの膜ろ過差圧は薬品洗浄前の65kPaから22kPaに回復した。また、その後のろ過工程における膜ろ過水のマンガン濃度は0.02mg/lとなり、水道水質基準を満たしていた。
【0078】
(実施例2)
図1に示すように、浸漬型膜モジュール4a、4bには東レ(株)製の公称孔径0.08μmのポリフッ化ビニリデン製MF膜で膜面積が1.4mの浸漬型平膜モジュール200枚を用い、原水供給弁1a、1bと膜モジュール選択弁2a、2bとろ過弁11を開にして、ブロワー8を稼動して、浸漬型膜モジュール4a、4bの下方からエア流量3m/minの散気をしながらBOD230mg/lの下水を膜ろ過流束0.6m/m/dで定流量ろ過した。ろ過動力としては実施例1のようなろ過ポンプ12を用いず、膜浸漬槽3a、3bとろ過水貯留槽13の水位差を利用したサイフォンの原理で吸引ろ過した。酸化剤ポンプ9による酸化剤の注入はしなかった。
【0079】
実施例1のように定期的にろ過工程を停止して逆圧洗浄を実施せず、ろ過を継続した。また、膜浸漬槽3a、3b内のMLSS濃度が常時8,000〜12,000mg/lを維持するよう、定期的にろ過工程中に排水弁6a、6bを開き、一部の活性汚泥を系外に排出した。
【0080】
運転開始時の膜ろ過差圧は5kPaであったが、1年後には浸漬型膜モジュール4aのみ差圧上限の20kPaに到達したため、STEP1〜5の薬品洗浄を実施した。
【0081】
STEP1では、ろ過工程から原水供給弁1a、1b、ろ過弁11を閉にした。その後、膜浸漬槽3a、3b内には凝集剤のMBR用汚泥改質剤MPE―50(ナルコ社製カチオン系凝集剤)をMLSS単位あたり2.0重量%の濃度になるように注入し、ブロワー8を稼働して、浸漬型膜モジュール4a、4bの下方からエア量60Lの曝気攪拌を2min実施した。その後、ブロワー8を停止し、10min放置した。
【0082】
STEP2では、膜モジュール選択弁2aを閉にし、ろ過弁11を開にして、膜浸漬槽3aと3bの水位差が0.6mになるまで浸漬型膜モジュール4bで吸引ろ過した。
【0083】
STEP3では、膜モジュール選択弁2bとろ過弁11と逆洗選択弁14を閉にして、連通弁7を開にした。また、原水供給弁1aを開いて、膜浸漬槽3aの水位を維持させ、水位差が0.3mになった時点で連通弁7を閉じた。
【0084】
STEP4では、原水供給弁1aを閉じて、膜モジュール選択弁2a、逆洗弁15、薬品選択弁18を開いて、逆洗ポンプ16を稼働し、薬品貯留槽17内の薬品で浸漬型膜モジュール4aの逆圧洗浄を流束0.3m/m/dで10min実施した。薬品貯留槽17内の薬品として次亜塩素酸ナトリウム5,000mg/lを使用した。その後、逆洗ポンプ16を停止して、30min放置した。
【0085】
STEP5では、薬品選択弁18を閉じて、逆洗選択弁14と排水弁6aを開いて、逆洗ポンプ16を稼働し、ろ過水貯留槽13内の膜ろ過水を用いた浸漬型膜モジュール4aの逆圧洗浄を流束0.3m/m/dで10min実施した。
【0086】
その後、排水弁6aと逆洗弁15を閉じて、逆洗ポンプ16を停止した後、ブロワー8を稼働して散気し、膜浸漬槽3b内の活性汚泥が均一濃度になるよう攪拌し、連通弁7を開にした。水位差がなくなった時点で連通弁7を閉じた。
【0087】
さらに、原水が開状態の原水供給弁1a、1bを経て、膜浸漬槽3a、3b内に供給し、ブロワー8を稼働した状態で、浸漬型膜モジュール4a、4bの下方からエア流量3m/minの散気をし、膜モジュール選択弁2a、2b、ろ過弁11を開とすることで、膜ろ過流束0.6m/m/dの定流量ろ過を再開した。
【0088】
その結果、浸漬型膜モジュール4aの膜ろ過差圧は薬品洗浄前の20kPaから5kPaに回復した。また、その後のろ過工程における膜ろ過水のBODは5mg/lとなり、下水道水質基準を満たしていた。
【0089】
(比較例1)
薬品洗浄においてSTEP1を実施しなかった以外は、実施例1と全く同じにした。
【0090】
その結果、浸漬型膜モジュール4aの膜ろ過差圧は薬品洗浄前の65kPaから22kPaに回復したものの、浸漬型膜モジュール4bの膜ろ過差圧は薬品洗浄前の65kPaから48kPa程度にしか回復しなかった。その後のろ過工程における膜ろ過水のマンガン濃度は0.04mg/lとなり、水道水質基準を満たしていた。
【0091】
(比較例2)
薬品洗浄において連通弁を常時閉じ、STEP1、STEP2、STEP3、STEP6、STEP9を実施しなかった以外は、実施例1と全く同じにした。
【0092】
その結果、浸漬型膜モジュール4a、4bの膜ろ過差圧は薬品洗浄前の65kPaから35kPaに回復したものの、その後のろ過工程における膜ろ過水のマンガン濃度は0.09mg/lとなり、水道水質基準を満たすことはできなかった。
【0093】
(比較例3)
薬品洗浄においてSTEP1を実施しなかった以外は、実施例2と全く同じにした。
【0094】
その結果、浸漬型膜モジュール4aの膜ろ過差圧は薬品洗浄前の20kPaから6kPaに回復したものの、浸漬型膜モジュール4bの膜ろ過差圧は薬品洗浄前の15kPaから22kPaに上昇しており、すぐに薬品洗浄せざるをえなかった。その後のろ過工程における膜ろ過水のBODは5mg/lとなり、下水道水質基準を満たしていた。
【0095】
(比較例4)
薬品洗浄において連通弁を常時閉じ、STEP1、STEP2、STEP3を実施しなかった以外は、実施例2と全く同じにした。
【0096】
その結果、浸漬型膜モジュール4aの膜ろ過差圧は薬品洗浄前の20kPaから6kPaに回復したものの、その後のろ過工程における膜ろ過水のBODは120mg/lとなり、下水道水質基準を満たすことはできなかった。
【符号の説明】
【0097】
1a、1b:原水供給弁
2a、2b:膜モジュール選択弁
3a、3b:膜浸漬槽
4a、4b:浸漬型膜モジュール
5a、5b:散気管
6a、6b:排水弁
7 :連通弁
8 :ブロワー
9 :酸化剤ポンプ
10 :酸化剤貯留槽
11 :ろ過弁
12 :ろ過ポンプ
13 :ろ過水貯留槽
14 :逆洗選択弁
15 :逆洗弁
16 :逆洗ポンプ
17 :薬品貯留槽
18 :薬品選択弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
0.05mg/L以上のマンガンイオンを含有する原水に塩素系酸化剤を添加して、浸漬型膜モジュールの下方および/または側方から散気しながら、複数の浸漬型膜モジュールでろ過する水処理方法において、複数の膜浸漬槽内の浸漬型膜モジュールを順次薬品に接触させる浸漬型膜モジュールの薬品洗浄方法であって、原水と塩素系酸化剤の膜浸漬槽内への導入と散気を停止して、膜浸漬槽内の二酸化マンガンを沈殿させた後、第2の膜浸漬槽内の水を浸漬型膜モジュールでろ過して、第2の膜浸漬槽内の水位を低下させ、さらに第2の膜浸漬槽内の水位が第1の膜浸漬槽内の水位よりも低くなるように維持しながら第1の膜浸漬槽内下部の二酸化マンガンを膜浸漬槽下部の連通部分を通じて第2の膜浸漬槽内に移送し、その後第1の膜浸漬槽内の浸漬型膜モジュールを薬品に接触させる浸漬型膜モジュールの薬品洗浄方法。
【請求項2】
浸漬型膜モジュールと活性汚泥を浸漬させた膜浸漬槽内に原水を供給し、該浸漬型膜モジュールの下方および/または側方から散気しながら、複数の浸漬型膜モジュールでろ過する水処理方法において、複数の膜浸漬槽内の浸漬型膜モジュールを順次薬品に接触させる浸漬型膜モジュールの薬品洗浄方法であって、原水の膜浸漬槽内への導入と散気を停止して、膜浸漬槽内の活性汚泥を沈殿させた後、第2の膜浸漬槽内の水を浸漬型膜モジュールでろ過して、第2の膜浸漬槽内の水位を低下させ、さらに第2の膜浸漬槽内の水位が第1の膜浸漬槽内の水位よりも低くなるように維持しながら第1の膜浸漬槽内下部の活性汚泥を膜浸漬槽下部の連通部分を通じて第2の膜浸漬槽内に移送し、その後第1の膜浸漬槽内の浸漬型膜モジュールを薬品に接触させる浸漬型膜モジュールの薬品洗浄方法。
【請求項3】
第1の膜浸漬槽内の浸漬型膜モジュールを薬品に接触させた後、さらに、第1の膜浸漬槽内の水位を低下させ、さらに第1の膜浸漬槽内の水位が第2の膜浸漬槽内の水位よりも低くなるように維持しながら第2の膜浸漬槽内下部の二酸化マンガンあるいは活性汚泥を膜浸漬槽下部の連通部分を通じて第1の膜浸漬槽内に移送し、その後第2の膜浸漬槽内の浸漬型膜モジュールを薬品に接触させる、請求項1または2に記載の浸漬型膜モジュールの薬品洗浄方法。
【請求項4】
薬品がクエン酸、シュウ酸、亜硫酸イオン、亜硫酸水素イオン、チオ硫酸イオンからなる群から選ばれる少なくとも1種類を含む、請求項1〜3のいずれかに記載の浸漬型膜モジュールの薬品洗浄方法。
【請求項5】
凝集剤および/またはpH調整剤を添加して、膜浸漬槽内の二酸化マンガンあるいは活性汚泥を沈殿させる、請求項1〜4のいずれかに記載の浸漬型膜モジュールの薬品洗浄方法。
【請求項6】
薬品で逆圧洗浄することにより浸漬型膜モジュールを薬品に接触させる、請求項1〜5のいずれかに記載の浸漬型膜モジュールの薬品洗浄方法。
【請求項7】
薬品で逆圧洗浄後に一定時間放置し、さらに清澄水で逆圧洗浄する、請求項6に記載の浸漬型膜モジュールの薬品洗浄方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−86120(P2012−86120A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−233241(P2010−233241)
【出願日】平成22年10月18日(2010.10.18)
【出願人】(000003159)東レ株式会社 (7,677)
【Fターム(参考)】