説明

液体塗布装置及び液体塗布方法

【課題】被塗布基材の一定長さ(例えば製品1枚分の長さ)あたりの液体の間欠塗布回数を増加させた場合に発生し易い液体塗布不良を確実に検知することができる液体塗布装置を提供すること。
【解決手段】搬送中の被塗布基材2の一定の送り長さ間隔で周期信号を発生する信号発生手段3と、圧縮流体の流路を開閉する電磁弁4と、電磁弁4からの圧縮流体により弁体を移動させて被塗布基材2に塗布される液体を放出又は不放出状態に切り換える液体塗布部5と、圧縮流体が電磁弁4から液体塗布部5へ向かう途中の流路の内圧を測定し、予め定めた閾値以上の圧力が検知された場合にオン信号を出力する圧力センサ6と、該信号を受信し分析するシーケンサ7とを備える液体間欠塗布装置1であり、周期信号間の圧力センサからのオン信号の送信時間の和に基づいて電磁弁4の動作チェックが行われる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体を被塗布基材に間欠塗布するための液体塗布装置及び液体塗布方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ホットメルト型の接着剤(以下、ホットメルトという)を塗布する液体塗布装置として、塗布ガンからホットメルトを被塗布基材に塗布する装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。また、生理用ナプキン等の吸収性物品の製造ラインにおいて、粘着剤を、一方向に流れる被塗布基材に対して流れ方向に間欠的に塗工することも知られている(例えば、特許文献2参照)。
なお、液体の塗布技術ではないが、特許文献3には、操作信号で作動する電磁弁により駆動される空気圧式作動弁に、前記操作信号を検出する操作信号検出器と、弁駆動部である空気圧シリンダの空気圧力を検出する空気圧検出器と、弁負荷部である弁棒の変位を検出する変位検出器を設けると共に、前記各検出器からの信号を入力して予め設定した制限値等から前記空気圧式作動弁の異常部位の特定と監視を行う診断監視装置からなる空気圧式作動弁の診断装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−167460号公報
【特許文献2】特開2004−202146号公報
【特許文献3】特開平7−119862号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ホットメルト塗布装置においては、ホットメルトの塗布・不塗布の切換えを、電磁弁を介して行うことが行われている。例えば、電磁弁を介して塗布ガンに圧縮エアを送り込むことで塗布ガンの弁体を昇降させ、ホットメルトの塗布・不塗布の切換えを行う液体塗布装置が知られている。より具体的には、その液体塗布装置は、制御回路で発生させたオン/オフ信号を電磁弁に伝達させて、電磁弁をオープン状態にし、この電磁弁を介して圧縮エアを塗布ガンに送り込み、弁体を昇降させる。
しかし、従来の液体塗布装置では、電磁弁の弁棒が所定の位置に移動しないような動作不良が発生する場合がある。このような不具合が発生しても、従来の液体塗布装置では、ホットメルトの被塗布基材への塗布状態を現場作業者が確認しなければ液体塗布装置の動作不良を確認することができなかった。しかし、現場作業者による確認では、液体塗布装置の動作不良が発生した時に直ちに生産ラインの稼働を止めることはできず、製品の生産性が低下する。なお、特許文献3の技術では、操作信号を基準として電磁弁の動作を判定しているため、人手による設定のミスや故障、操作信号の異常などが生じたときに、異常を正確に検出できない。
【0005】
ところで、伸縮性や通気性を有する被塗布基材や柔軟な被塗布基材等にホットメルトを塗布する場合等においては、伸縮性、通気性、柔軟性等の低下の抑制のために、ホットメルトを、被塗布基材の流れ方向に対して間欠的に塗布したい場合がある。また、ホットメルトの使用量を削減したい場合等には、被塗布基材の物性や性状によらずに、ホットメルトを、被塗布基材の流れ方向に対して間欠的に塗布したい場合がある。
このような観点から、ホットメルトの間欠的な塗布が行われているが、より高品質の製品の製造等を目的として、製品1枚に付き2箇所にホットメルトを塗布する、いわゆる2度打ちを行うこともあり、更に3度打ち以上の間欠塗布も行う場合もある。
しかし、電磁弁を介して塗布ガンに圧縮エアを送り込むことで塗布ガンの弁体を昇降させることにより、ホットメルトの塗布・不塗布の切換えを行う間欠塗布装置においては、製品1枚あたりの間欠塗布回数が増えると、電磁弁へのオン/オフ信号の間隔が近づくので、圧縮エアの到達遅れが発生し、圧力センサに加わるエア圧が、圧力センサにより認識できるエア圧の閾値より小さくなる場合がある。
【0006】
この現象を図7及び図8を用いて具体的に説明する。図7(a)は、被塗布基材の搬送速度が低速の場合のタイミングチャートである。このタイミングチャートから分かるように、ホットメルトの塗布は、製品1枚に付き3回行われている。パルスAは通常のパルス幅となっており、パルスB,Cはパルス幅がパルスAより狭くなっている。この狭くなっている分、製品1枚あたりの塗布時間が短縮する。
そして、図7(b)のように被塗布基材の搬送速度が中速になると、パルスA,B,Cのパルス幅が図7(a)と比べて狭まり、塗布時間は更に短縮する。そして、図7(c)のように被塗布基材の搬送速度が高速になると、パルスA,B,Cのパルス幅が図7(b)と比べて狭まり、塗布時間は更に短縮する。しかし、図7(c)におけるパルスCのときに圧力センサで感知されるエア圧は、現場作業者等が予め定めてライン設備に入力設定した閾値より小さくなり、圧力センサからパルス信号が送信されない。これは、上述したように、製品1枚あたりの間欠塗布回数が増えると電磁弁のオン/オフ信号の間隔が狭くなるので、圧縮エアの到達遅れが発生し、圧力センサに加わるエア圧が、圧力センサにより認識できるエア圧の閾値より小さくなるからである。
【0007】
図8(a)は、被塗布基材の搬送速度が低速の場合のタイミングチャートである。この図8(a)のタイミングチャートは、図7(a)のタイミングチャートと比べてパルスBとパルスCとの間隔が狭くなっている。そして、図8(b)のように被塗布基材の搬送速度が中速になると、パルスBとパルスCとの間隔は更に狭まる。更に、図8(c)のように被塗布基材の搬送速度が高速になると、パルスBとパルスCとの間隔が更に狭まり、連続したようなパルスになる。このようになると、圧力センサ付近のエア圧の波形は、図8(c)に示すように1山になる。こうなると、図8(a)及び図8(b)の場合と比べて、圧力センサから出力されるオン信号の数が1つ減少する。
【0008】
このように、上述した従来の液体塗布装置では、図7(c)及び図8(c)に示すような状態になった場合に、圧力センサから出力されるオン信号により、液体塗布不良を検知しようとしても、正確な検知ができない場合がある。
【0009】
本発明は、被塗布基材の一定長さ(例えば製品1枚分の長さ)あたりの液体の間欠塗布回数を増加させた場合に発生し易い液体塗布不良を確実に検知することができる液体塗布装置を提供することに関する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、搬送中の被塗布基材の一定の送り長さ間隔で周期信号を発生する信号発生手段と、圧縮流体の流路を開閉する電磁弁と、前記電磁弁からの圧縮流体により弁体を移動させて前記被塗布基材に塗布される液体を放出状態又は不放出状態に切り換える液体塗布部と、前記圧縮流体が前記電磁弁から前記液体塗布部へ向かう途中の流路の内圧を測定し、予め定めた閾値以上の圧力が検知された場合にオン信号を出力する圧力センサと、前記圧力センサからのオン信号を受信し該オン信号を分析するシーケンサと、を備える、液体を間欠塗布するための液体塗布装置であって、前記周期信号間の圧力センサからのオン信号の送信時間の和に基づいて前記電磁弁の動作チェックが行われる液体塗布装置を提供するものである。
【0011】
また、本発明は、圧縮流体の流路を開閉する電磁弁、及び該電磁弁からの前記圧縮流体により弁体を移動させて被塗布基材に塗布される液体を放出状態又は不放出状態に切り換える液体塗布部を有する液体塗布装置を用いて、搬送中の被塗布基材に液体を間欠塗布する液体塗布方法であって、前記の被塗布基材の一定の送り長さ間隔で周期信号を発生させる共に、前記圧縮流体が前記電磁弁から前記液体塗布部へ向かう途中の流路の内圧が予め定めた閾値以上となったときにオン信号を出力させ、前記周期信号間の圧力センサからのオン信号の送信時間の和に基づいて前記電磁弁の動作チェックを行いつつ、前記液体の塗布を行う液体塗布方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明の液体塗布装置によれば、被塗布基材の一定長さ(例えば製品1枚分の長さ)あたりの液体の間欠塗布回数を増加させた場合に発生し易い液体塗布不良を確実に検知することができる。
本発明の液体塗布方法によれば、搬送中の被塗布基材に液体を間欠塗布しつつ、液体の塗布不良を容易に検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、本発明の液体塗布装置の第1実施形態を示す説明図である。
【図2】図2は、液体塗布部の作動機構を示す説明図である。
【図3】図3は、液体塗布装置を構成する各種装置からの出力波形を示すタイミングチャートである。
【図4】図4は、本発明の液体塗布装置の第2実施形態を示す説明図である。
【図5】図5は、液体塗布装置を構成する各種装置からの出力波形を示すタイミングチャートである。
【図6】図6は、被塗布基材の幅方向に沿って2箇所にホットメルトが塗布された例を示す説明図である。
【図7】図7は、電磁弁のオンの時間を通常より短くした場合の、電磁弁への印加電圧、圧力センサの周囲のエア圧、及び圧力センサの出力電圧のタイミングチャートを示す説明図である。図7(a)は被塗布基材が低速で搬送される場合、図7(b)は被塗布基材が中速で搬送される場合、図7(c)は被塗布基材が高速で搬送される場合を示している。
【図8】図8は、電磁弁への電圧印加の間隔(パルスBとCの間隔)を図7のときより短くした場合の、電磁弁への印加電圧、圧力センサの周囲のエア圧、及び圧力センサの出力電圧のタイミングチャートを示す説明図である。図8(a)は被塗布基材が低速で搬送される場合、図8(b)は被塗布基材が中速で搬送される場合、図8(c)は被塗布基材が高速で搬送される場合を示している。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を、その好ましい実施形態に基づいて、図面を参照しながら説明する。
〔第1実施形態〕
図1は、本発明の液体塗布装置の第1実施形態を示している。図に示すように、この液体塗布装置1は、搬送中の被塗布基材2と接触しながら回転するローラ3と、圧縮流体である圧縮エアの流路を開閉する電磁弁4とを備えている。ここで、圧縮流体とは、圧縮エアの他、圧縮性を有する単なる液体を含む。要するに、弁体を移動させることができる流体であれば圧縮流体に含まれるものとする。また、液体塗布装置1は、電磁弁4からの圧縮エアによって弁体を移動させて被塗布基材2に塗布されるホットメルトを放出状態又は不放出状態に切り換える液体塗布部5を備えている。更に、液体塗布装置1は、圧縮エアが電磁弁4から液体塗布部5へ向かう途中の流路の内圧を測定し、予め定めた閾値以上の圧力が検知された場合にオン信号を出力する圧力センサ6を備えている。また、液体塗布装置1は、圧力センサ6からのオン信号を受信し該オン信号を分析するシーケンサ7を備えている。
圧力センサ6は、最大圧力の50%を目安に閾値を設定し、該閾値を超えているときにオン信号を出力するように設定することが好ましい。
【0015】
ローラ3の回転軸には、例えば反射フィルムFが貼り付けられ、受発光する回転検出器8を用いてシーケンサ7によりローラ3の回転数がカウントされる。より具体的には、ローラ3は、被塗布基材2が吸収性物品1個分の長さ流れる毎に一回転し、該ローラ3が一回転する毎に、回転検出器8及びシーケンサ7により周期信号が一回発生する。
また、ローラ3の回転軸にはロータリエンコーダ9が取り付けられる。このロータリエンコーダ9から発信されるパルス数は、シーケンサ7の内部カウンタ7aによってカウントされる。
ローラ3、反射フィルムF、回転検出器8及びシーケンサ7は、搬送中の被塗布基材2の一定の送り長さ間隔で周期信号を発生する信号発生手段として機能する。
ローラ3は、例えば、被塗布基材2を吸収性物品1個分の長さに切断するローラーカッターのローラ、被塗布基材2を搬送する搬送手段のロール(ニップローラ、ベルトコンベアの駆動又は従動ローラ等)、被塗布基材2に接触して回転するフリーローラ等であり得る。ローラ3の回転速度は、被塗布基材2の搬送速度との関係で決まる。ローラ3の回転速度(周速)は、被塗布基材2の搬送速度と同一速度、あるいは該搬送速度に比例する速度であることが好ましい。また、ローラ3は、一定速度で回転することが好ましい。
【0016】
被塗布基材2としては、液体を塗布可能な任意の素材からなる材が用いられる。被塗布基材2は、シート状物であることが好ましく、該シート状物としては、不織布、樹脂フィルム、紙、織物、これらの一以上の積層体、これらの一以上の積層体の層間に非シート状物を連続又は間欠的に介在させた積層体等が挙げられる。生理用ナプキン等の吸収性物品の製造に、本実施形態の液体塗布装置1を用いる場合の被塗布基材2の例としては、吸収性物品の表面材、裏面材、剥離紙、個装シート等の帯状原反が挙げられる。
繊維シートの一例としては、パルプ繊維、コットン等のセルロース系繊維などの天然繊維及び/又はポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステルなどの熱可塑性樹脂を原料とした合成繊維を主成分とする(該シートの乾燥重量の50重量%以上が繊維である)シート状物が挙げられる。親水性の繊維のみならず、疎水性、撥水性の繊維から構成されるシートも使用できる。繊維状シートには、粉砕パルプや無機又は有機の顔料成分等を含ませることができる。
【0017】
この被塗布基材2は、不図示の送出しローラから送り出され、フィードローラ等により次工程に搬送される。被塗布基材2の搬送経路中には液体塗布部5が設けられ、この液体塗布部5からホットメルトが放出され、長方形状のプリントPが被塗布基材2に形成される。このプリントPは所定間隔で形成される。
ホットメルトとしては、例えば、SIS(スチレン−イソプレン−スチレンブロックポリマー)、SIBS(スチレン−イソプレン−ブタジエン−スチレンブロックコポリマー)、SEBS(スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロックポリマー)、SEPS(スチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロックポリマー)等のスチレン系エラストマー;エチレン・酢酸ビニル系コポリマー;ポリエステル系、アクリル系、ポリオレフィン系等のエラストマー類;ポリイソブチレン、ブチルゴム、ポリイソプレン、天然ゴム等のゴム類等が好ましく用いられる。これらの中でも、特に、スチレン系エラストマーは、均一に塗布できるため、本実施形態で好ましく用いられる。また、ホットメルトの塗布方式は特に限定されず、コーター方式、スパイラル方式(オメガ方式、デュラウエーブ方式等)、スプレー方式、カーテンスプレー方式など公知のものを利用することができるが、間欠塗布を管理する観点から好ましい方法は、コーター方式、カーテンスプレー方式、スプレー方式である。
被塗布基材2を素材とする製品としては、例えば、生理用用品、子供用及び大人用おむつが挙げられる。本発明の液体塗布装置は、電磁弁を介した圧縮流体で液体塗布部を動作させて液体の塗布を行うことができる任意の製品の製造に好ましく用いることができる。
【0018】
図2は、液体塗布部5を作動させるための構造を示している。図2に示すように、液体塗布部5は、弁体10を備えている。弁体10はニードル部10aと、ニードル部10aの後端側に形成されたフランジ部10bとからなり、ニードル部10aの先端には円錐台状の栓部10a1が形成されている。そして、弁体10が昇降することにより、栓部10a1がホットメルトの流路を開閉し、これにより液体塗布部5はホットメルトを放出する状態と放出しない状態とに切り換えられる。
また、液体塗布部5には不図示のコンプレッサから電磁弁4を介して圧縮エアが送り込まれる。この圧縮エアの作用により弁体10は昇降する。電磁弁4から液体塗布部5に向かう流路には圧力センサ6が設けられている。この圧力センサ6はシーケンサ7の演算部に接続されている。この演算部にはローラ3に近接配置された回転検出器8が接続されている。そして、圧力センサ6からの出力と回転検出器8からの出力とに基づいてシーケンサ7の演算部で電磁弁不良の有無が判定され、電磁弁4に不具合が発生したと演算部が判定すると、シーケンサ7は生産ラインの製品排出機構に製品を排出する指令を行う。
【0019】
次に、電磁弁4の不良のチェック方法について説明する。図3は、圧力センサ6、回転検出器8及びロータリエンコーダ9の出力波形、及び内部カウンタ7aのカウント数を示すタイミングチャートである。本発明の液体塗布方法の第1実施形態においては、上記の液体塗布装置1を用いて、以下に説明する電磁弁の不良チェックを行いながら、搬送中の被塗布基材にホットメルト(液体)を間欠塗布する。
【0020】
本実施形態では、回転検出器8からの出力信号がハイ(high)になる度に内部カウンタ7aのカウント値がゼロに戻るようにされている。この内部カウンタ7aは、ロータリエンコーダ9から小刻みに発信されるパルスの数をカウントする。より具体的には、圧力センサ6から出力される出力信号がハイ(high)の状態のとき(オン信号のとき)、ロータリエンコーダ9から発信されるパルスの数をカウントする。すなわち、ローラ3が1回転する間の圧力センサ6からのオン信号の送信時間(パルスの数)の和に基づいて電磁弁4の動作チェックが行われる。より具体的には、圧力センサ6から1つのオン信号が送信されている間のロータリエンコーダ9からのパルス数を、ローラ3が1回転する間について積算し、この積算パルス数が予め定めた設定値より大きいか否かにより、電磁弁の動作チェックが行われる。ここで、計測されたパルス数が設定値より大きい場合、正常な状態で電磁弁が動作していると演算部により判定される。一方、計測されたパルス数が設定値より小さい場合、圧力センサ6からのパルス数が3つに満たないので、正常な状態で電磁弁が動作していないと演算部により判定される。ここで、正常な状態とは、電磁弁へ送信されるパルス信号のパルス幅やパルス間隔が狭すぎることがない状態、及び電磁弁自体が故障していない状態をいう。
【0021】
図3に示す例においては、ローラ3が1回転して、回転検出器8からの出力値がハイ(high)となった時点から該出力値がロー(low)となり、再びハイ(high)となるまでの間に、圧力センサ6から3回、オン信号が出力されている。オン信号が出力(送信)されている時間は、1回目のオン信号については、エンコーダ9から入力されるパルス数で2パルス分、2回目及び3回目のオン信号についても、それぞれ同パルス数で2パルス分である。そして、3回のオン信号の合計送信時間に対応する合計パルス数は、3回×2パルスで6パルス分である。図3は、電磁弁が正常に動作している場合を示しており、例えば、パルス数5以上を正常な状態を示す設定値として、シーケンサ7に入力ないし記録等しておけば、その設定値を下回ったときに、シーケンサ7が異常を検知する。
【0022】
演算部により正常な状態で電磁弁が動作していない(例えばホットメルトが塗布されていない、または塗布量が少ない等)と判定された場合、この動作時に液体塗布部から塗布された被塗布基材で作製される製品は不良品であると判定され、生産ラインから排出される。不良品を生産ラインから排出する場合、おむつ等の製品が生産される前の状態の裁断されたシートを排出することができるし、製品完成後に排出することもできる。このような不良品が連続して発生した場合は、生産ラインの稼働を停止するとよい。そして、生産ラインの稼働が順調に稼働している間に生産ラインが停止した場合は、電磁弁が動作していないと判断し、電磁弁自体の不良であると演算部により判定される。
従って、上記計測方法を行うことができるように液体塗布装置を構成すれば、製品1枚あたりのホットメルトの間欠塗布回数を増加させた場合に発生し易いホットメルトの塗布不良を確実に検知することができる。勿論、製品の全数についてホットメルトの塗布の良否を判定することができる。
【0023】
第1実施形態で検知できる電磁弁の動作不良の原因としては、以下のような原因が挙げられる。例えば、ロールが一回転している間に、圧力センサから出力されるオン信号の合計送信時間が、正常な状態を示す設定値として定めた所定の設定値を下回る異常の原因としては、電磁弁へ送信されるパルス信号のパルス幅やパルス間隔が狭すぎる、電磁弁が故障している、回転検出器が故障していること等が挙げられる。圧力センサから出力されるオン信号の合計送信時間が、前記所定の設定値を上回った場合も、異常として検知することができ、所定の設定値を上回る異常の原因としては、電磁弁が故障している、回転検出器が故障している、塗布ガンが故障していること等が挙げられる。
【0024】
〔第2実施形態〕
図4は、本発明の液体塗布装置の第2実施形態を示している。この第2実施形態の液体塗布装置1は、第1実施形態の液体塗布装置と比べて、ロータリエンコーダ9が設けられていない点で異なる。この第2実施形態では、シーケンサ7の内部タイマー7bが作動する。この第2実施形態では、以下の処理により電磁弁4の動作不良の有無をチェックするシーケンス制御が行われる。本発明の液体塗布方法の第2実施形態においては、第2実施形態の液体塗布装置1を用いて、以下に説明する電磁弁の不良チェックを行いながら、搬送中の被塗布基材にホットメルト(液体)を間欠塗布する。
【0025】
以下、電磁弁4の動作チェックの方法について説明する。図5は、圧力センサ6及び回転検出器8の出力波形を示すタイミングチャートである。本実施形態では、回転検出器8が1回転する時間を1周期(図中、T0)とし、この1周期内の圧力センサ6からの出力信号がハイ(high)の状態のときの時間帯をT1、T2、T3と表している。そして、1周期内におけるハイの状態の割合(図中、X%)を算出し、この割合が所定範囲に入るか否かチェックする。圧力センサ6からのパルス信号がハイ(high)の状態のときの期間T1,T2,T3は、内部タイマー7bで計測する。また、回転検出器8が1回転する時間T0も、内部タイマー7bで計測する。
【0026】
そして、ローラ3が1回転する間の圧力センサ6からのオン信号の送信時間の和(T1+T2+T3)に基づいて電磁弁4の動作チェックが行われる。より具体的には、ローラ3が1回転する時間T0に対する、圧力センサ6からオン信号が送信されている時間(T1+T2+T3)の割合が適正範囲に入るか否かにより、電磁弁の動作チェックが行われる。ここで、計測された割合(X%)が所定範囲に入る場合、正常に電磁弁が動作していると演算部により判定される。一方、X%が上限を超えた場合、電磁弁の動作不良であると判定し得る。
例えば、X%が下限を下回った場合、1周期内の圧力センサ6のパルス数が2つ以下であると判定し得る。他方、X%が上限を上回った場合、電磁弁が常時オンとなる故障が生じたと判定し得る。
そして、割合(X%)が適正範囲から逸脱した場合は、液体塗布装置の動作不良であると演算部により判定される。この動作不良の原因としては、例えば、電磁弁へ送信されるパルス信号のパルス幅やパルス間隔が狭すぎる、電磁弁が故障している、回転検出器が故障していることが挙げられる。
そして、割合(X%)が適正範囲に入らない場合は、製品が生産ラインから排出される。
従って、上記計測方法を行うことができるように液体塗布装置を構成すれば、製品1枚あたりのホットメルトの間欠塗布回数を増加させた場合に発生し易いホットメルトの塗布不良を確実に検知することができる。
【0027】
第2実施形態の液体塗布装置1は、第1実施形態の液体塗布装置と比べて、ロータリエンコーダ9が設けられていないため、第1実施形態の液体塗布装置より廉価であり、配線が少なくて済むので装置の故障の可能性が小さくなる。
【0028】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はそれらの実施形態に制限されず、適宜変更可能である。
【0029】
例えば、上述した実施形態では、電磁弁4をオンにすることで液体塗布部5からホットメルトを塗布する装置について説明したが、電磁弁4をオフにすることで液体塗布部5からホットメルトを塗布するようにしてもよい。
また、上述した実施形態では、長尺状のホットメルトのプリントPを搬送方向に沿って一定間隔毎に形成した例について説明したが、液体塗布部5のノズルを複数にし、各ノズルに対応する圧縮エア用の電磁弁を設け、小さいプリントPを被塗布基材2の幅方向に複数形成してもよい。例えば、図6に示すように、被塗布基材2の幅方向に沿って2つのプリントPを形成してもよい。
【0030】
また、圧力センサからのオン信号の送信時間を積算する時間は、ロール3が1回転する時間に限られず、ロールが1回転未満の任意の角度、例えば、ロール3が半回転、1/4回転する間の時間であっても良いし、ロールが1回転(360度)超回転する間の時間、例えば、1.5回転、あるいは2回転する間の時間等とすることもできる。
更に、上述した実施形態では、液体塗布部5からホットメルトを塗布する例について説明したが、本発明は、ホットメルト以外の液体、例えば、ホットメルト型接着剤以外の接着剤、表面処理剤、スキンケア剤にも適用することができる。
【符号の説明】
【0031】
1 液体塗布装置
2 被塗布基材
3 ローラ
4 電磁弁
5 液体塗布部
6 圧力センサ
7 シーケンサ
7a 内部カウンタ
7b 内部タイマー
8 回転検出器
9 ロータリエンコーダ
10 弁体
10a ニードル部
10a1 栓部
10b フランジ部
F 反射フィルム
P プリント

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送中の被塗布基材の一定の送り長さ間隔で周期信号を発生する信号発生手段と、
圧縮流体の流路を開閉する電磁弁と、
前記電磁弁からの前記圧縮流体により弁体を移動させて前記被塗布基材に塗布される液体を放出状態又は不放出状態に切り換える液体塗布部と、
前記圧縮流体が前記電磁弁から前記液体塗布部へ向かう途中の流路の内圧を測定し、予め定めた閾値以上の圧力が検知された場合にオン信号を出力する圧力センサと、
前記圧力センサからのオン信号を受信し該オン信号を分析するシーケンサと、
を備える、液体を間欠塗布するための液体塗布装置であって、
前記周期信号間の圧力センサからのオン信号の送信時間の和に基づいて前記電磁弁の動作チェックが行われる液体塗布装置。
【請求項2】
前記信号発生手段は、前記被塗布基材の搬送速度との関係で回転速度が決まるローラを備え、該ローラが所定の角度回転する度に周期信号を発生させる、請求項1記載の液体塗布装置。
【請求項3】
前記ローラにはロータリエンコーダが設けられており、
前記圧力センサから1つの信号が送信されている間の前記ロータリエンコーダからのパルス数を、前記周期信号間について積算し、この積算パルス数が予め定めた設定値より大きいか否かにより、前記電磁弁の動作チェックが行われる請求項2に記載の液体塗布装置。
【請求項4】
前記ローラが1回転する時間に対する、圧力センサからオン信号が送信されている時間の割合が適正範囲に入るか否かにより、前記電磁弁の動作チェックが行われる請求項2又は3に記載の液体塗布装置。
【請求項5】
前記液体はホットメルト接着剤であることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の液体塗布装置。
【請求項6】
圧縮流体の流路を開閉する電磁弁、及び該電磁弁からの前記圧縮流体により弁体を移動させて被塗布基材に塗布される液体を放出状態又は不放出状態に切り換える液体塗布部を有する液体塗布装置を用いて、搬送中の被塗布基材に液体を間欠塗布する液体塗布方法であって、
前記の被塗布基材の一定の送り長さ間隔で周期信号を発生させる共に、前記圧縮流体が前記電磁弁から前記液体塗布部へ向かう途中の流路の内圧が予め定めた閾値以上となったときにオン信号を出力させ、
前記周期信号間の圧力センサからのオン信号の送信時間の和に基づいて前記電磁弁の動作チェックを行いつつ、前記液体の塗布を行う液体塗布方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−188289(P2010−188289A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−35900(P2009−35900)
【出願日】平成21年2月18日(2009.2.18)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】