液処理装置、液処理方法および記憶媒体
【課題】簡素な手法で、行われる液処理に適した処理雰囲気を形成することが可能な液処理装置等を提供する。
【解決手段】筐体内の処理空間21で被処理基板Wの表面に処理液を供給して液処理を行う液処理装置2において、回転保持部33、341は被処理基板Wを保持して鉛直軸周りに回転させ、処理液供給ノズル35は回転する被処理基板Wの表面に処理液を供給する。第1の気体供給部23は、前記液処理に適した処理雰囲気を形成するために、被処理基板Wの表面全体を流れ、カップ31に流入する第1の気体の下降流を形成し、第2の気体供給部22はこの第1の気体の下降流の外方領域に、前記第1の気体とは異なる第2の気体の下降流を形成する。そして第1の気体供給部23及び第2の気体供給部22は、前記処理空間21を成す筐体の天井部に設けられている。
【解決手段】筐体内の処理空間21で被処理基板Wの表面に処理液を供給して液処理を行う液処理装置2において、回転保持部33、341は被処理基板Wを保持して鉛直軸周りに回転させ、処理液供給ノズル35は回転する被処理基板Wの表面に処理液を供給する。第1の気体供給部23は、前記液処理に適した処理雰囲気を形成するために、被処理基板Wの表面全体を流れ、カップ31に流入する第1の気体の下降流を形成し、第2の気体供給部22はこの第1の気体の下降流の外方領域に、前記第1の気体とは異なる第2の気体の下降流を形成する。そして第1の気体供給部23及び第2の気体供給部22は、前記処理空間21を成す筐体の天井部に設けられている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被処理基板の液処理が行われる周囲の雰囲気を調節する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造工程の中には、半導体ウエハ(以下、ウエハという)などの被処理基板に対して液処理を行う工程がある。液処理としては、洗浄液によるウエハの洗浄などが挙げられる。この種の処理に使用される液処理ユニットは、例えば処理液を受け止めるカップと、カップ内に設けられたスピンチャックなどの回転保持部と、基板に処理液を供給する処理液供給ノズルと、を備えている。そしてウエハの洗浄を行う場合には、複数種類の処理液が用意されており、予め設定された順番に各種の処理液が回転するウエハの表面に供給されることにより液処理が実行される。
【0003】
こうした液処理を実行するスピンチャックやカップなどは、共通の筐体内に収められて外部の雰囲気から隔離されている。そしてこの筐体の上部にあるFFU(Fan Filter Unit)から供給された清浄空気により筐体内に清浄空気の下降流(ダウンフロー)が形成されていて、ウエハの搬入出動作や液処理の実行に伴うパーティクルやミストの巻き上げを抑制し、ウエハ及び筐体内を清浄な状態に保っている。
【0004】
一方、洗浄処理においては、アルカリ性や酸性の処理液をウエハに供給し、DIW(DeIonized Water)などのリンス液でリンス洗浄した後、IPA(IsoPropyl Alcohol)を供給することにより、ウエハ表面に残っている液体をIPAと共に除去するIPA乾燥が行われる。このとき、ウエハ周囲の雰囲気の湿度を低く抑える必要がある。
【0005】
また、銅などの金属配線が形成されたウエハの表面に対して行われる液処理では、金属配線の酸化を防ぐためにウエハ表面の酸素濃度を低減することが要求される場合もある。
【0006】
この点に関し、例えば特許文献1には、基板の被処理面の全面を覆うように装置内全体に不活性ガスのダウンフローを形成することにより、リンス液や自然酸化膜にパーティクルが取り込まれることに起因するウォーターマークの発生を抑制する技術が記載されている。しかしながら液処理を行う装置内の全体に不活性ガスを供給することは液処理コストを上昇させる要因となる。
【0007】
一方、特許文献2には、被処理体の下面および側面に処理液を供給して当該部のエッチング処理を行う液処理装置において、被処理体の上面側を覆うようにトッププレートを設け、このトッププレートの中央部から被処理体の上面に向けて不活性ガスを供給することにより、被処理体の上面側への処理液の回り込みを防ぐ技術が記載されている。しかしながら当該液処理装置は被処理体の下面や側面に対して液処理を行う装置であり、被処理体の上面全体の液処理を行う場合には、処理液の供給ノズルとトッププレートとの干渉を避けるために特別な処理液の供給機構が必要となる。また、搬入出時などの際に、被処理体とトッププレートとが干渉しないように、トッププレートと被処理体を保持する基体とを相対的に接離させる移動機構も必要となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2003−174006号公報:請求項1、図1
【特許文献2】特開2010− 28059号公報:請求項4、段落0021、図1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明はこのような背景の下になされたものであり、簡素な手法で被処理基板の表面に、低湿度雰囲気や低酸素雰囲気など、行われる液処理に適した処理雰囲気を形成することが可能な液処理装置、液処理方法およびこの方法を記憶した記憶媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る液処理装置は、被処理基板の表面に処理液を供給して液処理を行う液処理装置において、
液処理が行われる筐体と、
この筐体内で被処理基板を保持して鉛直軸周りに回転させるための回転保持部と、
この回転保持部に保持されて回転する被処理基板の表面に処理液を供給するための処理液供給ノズルと、
前記回転保持部の周囲に設けられたカップと、
前記液処理に適した処理雰囲気を形成するために、前記回転保持部に保持された被処理基板に対向する位置に配置され、前記被処理基板の表面全体を流れ、カップに流入する第1の気体の下降流を形成するための第1の気体供給部と、
この第1の気体の下降流の外方領域に、前記第1の気体とは異なる第2の気体の下降流を形成するための第2の気体供給部と、を備え、
前記第1の気体供給部及び第2の気体供給部は、前記筐体の天井部に設けられていることを特徴とする。
【0011】
前記液処理装置は以下の特徴を備えていてもよい。
(a)前記第1の気体供給部からは、被処理基板を回転させることによって当該被処理基板の回転中心から周縁部へ向けて流れる気流の流量以上の第1の気体が供給されること。
(b)前記第1の気体供給部から供給される第1の気体の流出速度と、第2の気体供給部から供給される第2の気体の流出速度とが一致していること。
(c)前記第1の気体供給部は、第1の気体の下降流と第2の気体の下降流とを切り替えて形成するように構成されていること。
(d)前記第1の気体供給部は、前記第1の気体の下降流を形成する位置と、退避位置との間で移動可能に構成され、前記第2の気体供給部は、第1の気体供給部が退避位置にあるときは、第1の気体の下降流に代わって、被処理基板の表面全体に向かう第2の気体の下降流を形成するように構成されていること。
(e)前記被処理基板は円形基板であり、前記第1の気体供給部は、直径100mm以上、被処理基板の直径以下の直径を持つ円形の吐出口を有すること。また、この吐出口には、吐出口の全体から均一な流速で第1の気体を供給するために、多数の孔部が形成された整流板が設けられていること。
(f)前記第1の気体は、ドライエアまたは不活性ガスであること。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、液処理が行われる被処理基板の表面全体に向かって、液処理に適した処理雰囲気を形成するための第1の気体の下降流を形成し、この第1の気体の下降流の外方領域に、第1の気体とは異なる第2の気体の下降流を形成する。このため、行われる液処理に適した処理雰囲気を被処理基板の表面全体に局所的に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の形態に係わる液処理システムの外観斜視図である。
【図2】前記液処理システムの横断平面図である。
【図3】前記液処理システムに設けられている液処理ユニットの縦断側面図である。
【図4】前記液処理ユニットの内部構成を示す一部破断斜視図である。
【図5】前記液処理ユニットに設けられている第1の気体供給部の分解斜視図である。
【図6】前記第1の気体供給部の縦断側面図である。
【図7】鉛直軸周りに回転するウエハの上方に形成される気流の流れを示す説明図である。
【図8】液処理期間中における前記処理ユニット内の気体の流れを示す説明図である。
【図9】ウエハに供給される処理液の種類と第1の気体供給部から供給される気体の種類との対応関係を示すタイムチャートである。
【図10】前記第1の気体供給部の他の例を示す縦断側面図である。
【図11】昇降式の第1の気体供給部を備えた液処理ユニットの第1の説明図である。
【図12】昇降式の第1の気体供給部を備えた液処理ユニットの第2の説明図である。
【図13】第1の気体供給部の配置高さを変えた液処理ユニットである。
【図14】流量調節弁を備えた第1の気体供給部の構成例を示す説明図である。
【図15】FFUを備えた第1の気体供給部の構成例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、被処理基板であるウエハWの表裏両面の洗浄を行う液処理ユニットに対し、本発明の液処理装置を適用した実施の形態について説明する。図1の外観斜視図、図2の横断平面図に示すように、前記液処理ユニット2を搭載した液処理システム1は、複数のウエハWを収容したFOUP100を載置する載置ブロック11と、載置ブロック11に載置されたFOUP100からのウエハWの搬入・搬出を行う搬入出ブロック12と、搬入出ブロック12と後段の液処理ブロック14との間でウエハWの受け渡しを行う受け渡しブロック13と、ウエハWに液処理を施すための液処理ブロック14とを備えている。載置ブロック11を手前としたとき、載置ブロック11、搬入出ブロック12、受け渡しブロック13、液処理ブロック14は、手前側からこの順に、隣接して設けられている。
【0015】
載置ブロック11は、複数のウエハWを水平状態で収容するFOUP100を載置台111上に載置する。搬入出ブロック12は、ウエハWの搬送を行う。受け渡しブロック13は、ウエハWの受け渡しを行う。搬入出ブロック12および受け渡しブロック13は、筐体内に収められている。
【0016】
搬入出ブロック12は、第1のウエハ搬送機構121を有している。第1のウエハ搬送機構121は、ウエハWを保持する搬送アーム122、および搬送アーム122を前後に移動させる機構を有している。また第1のウエハ搬送機構121は、FOUP100の配列方向に延びる水平ガイド123(図2参照)に沿って移動する機構、垂直方向に設けられた不図示の垂直ガイドに沿って移動する機構、水平面内で搬送アーム122を回転させる機構を有している。この第1のウエハ搬送機構121により、FOUP100と受け渡しブロック13との間でウエハWが搬送される。
【0017】
受け渡しブロック13は、ウエハWを載置可能な受け渡し棚131を有している。受け渡しブロック13では、この受け渡し棚131を介して搬入出ブロック12、液処理ブロック14の搬送機構間(既述の第1のウエハ搬送機構121および後述する第2のウエハ搬送機機構143)でウエハWの受け渡しが行われるようになっている。
【0018】
液処理ブロック14は、複数の液処理ユニット2が配置された液処理部141と、ウエハWの搬送が行われる搬送部142とを筐体内に収めた構成となっている。搬送部142は、受け渡しブロック13との接続部を基端として、前後方向に伸びる空間内に第2のウエハ搬送機機構143を配置してなる。第2のウエハ搬送機機構143は、ウエハWを保持する搬送アーム144、および搬送アーム144を前後に移動させる機構を有している。
【0019】
また、第2のウエハ搬送機機構143は、前後方向に伸びる水平ガイド145(図2参照)に沿って移動する機構、垂直方向に設けられた垂直ガイド146に沿って移動する機構、水平面内で搬送アーム144を回転させる機構を有している。この第2のウエハ搬送機機構143により、既述の受け渡し棚131と各液処理ユニット2との間でウエハWの搬送が行われる。図1に示した147は、液処理ブロック14の空間内に清浄空気を供給するFFUである。図2に示すように液処理部141には、搬送部142を形成する空間が伸びる方向に沿って、複数台、例えば各々5台、合計10台の液処理ユニット2が横方向に並べて配置されている。
【0020】
各液処理部141内に設けられている液処理ユニット2の構成について図3を参照しながら説明する。液処理ユニット2はスピン処理により、1枚ずつウエハWの液処理を行う枚葉式のユニットとして構成されている。液処理ユニット2は、筐体内に形成された処理空間21と、この処理空間21の上部(筐体の天井部)に設けられた気体供給部20とで構成されている。処理空間21は、ウエハWを保持する回転プレート33と、この回転プレート33を裏面(下面)側から支持し、不図示の回転モータにより回転プレート33を回転させる回転軸341と、この回転軸341内に貫挿され、ウエハWの裏面(下面)に処理液を供給するための液供給管342と、ウエハWの表面(上面)側に処理液を供給するための処理液供給ノズル35と、回転するウエハWから振り飛ばされた処理液を受け止めて外部へ排出するための内カップ32と、回転プレート33や内カップ32を収容し、ウエハWの表面を周縁部側へ向けて流れる気流を排気する外カップ31と、を備えている。
【0021】
回転プレート33は、中央に開口部が設けられた円板状の部材であり、その表面にはウエハWを固定して保持する複数の保持部材331が設けられている。ウエハWは、回転プレート33の表面より上方の位置に隙間を介して保持され、液供給管342から、中央の開口部を介して供給された処理液は、この隙間内を通ってウエハWの裏面全体に広がる。
回転軸341は、液処理部141内のベースプレート上に設けられた軸受け部343によって、鉛直軸周りに回転自在な状態で保持されている。以上に説明した回転プレート33や回転軸341およびその回転機構は、本実施の形態の回転保持部に相当する。
【0022】
液供給管342の上端面には、ウエハWを裏面側から支持するための支持ピン(不図示)が設けられている一方、その下端側には液供給管342を昇降させるための不図示の昇降機構が設けられている。そして液供給管342全体を上昇、下降させることにより、回転プレート33の開口部から液供給管342を突没させることができる。これにより、支持ピン上にウエハWを支持し、搬送アーム144との間でウエハWの受け渡しを行う位置と、回転プレート33上の処理位置との間でウエハWを昇降させることができる。
【0023】
液供給管342は、ウエハWの裏面にSC1液(アンモニアと過酸化水素水の混合液)などのアルカリ性の処理液や希フッ酸水溶液(以下、DHF(Diluted HydroFluoric acid))などの酸性の処理液、DIWなどリンス洗浄用のリンス液を各々供給できる。
【0024】
一方、ウエハWの表面に処理液を供給する処理液供給ノズル35は、ノズルアーム351に支持されており、回転プレート33に保持されたウエハWの上方の処理位置と、この処理位置から退避した退避位置との間で移動することができる。処理液供給ノズル35は、アルカリ性や酸性の処理液、リンス液に加え、有機溶剤である乾燥処理用のIPAを各々供給できる。
【0025】
図3に示す内カップ32は、回転プレート33に保持されたウエハWを囲むように設けられた円環状の部材であり、底面に接続された排液管321を介し処理液を排出することができる。また、外カップ31は、ウエハWの表面を周縁部側へ向けて流れる気流を排気する役割を果たし、その底面には排気用の排気管311が設けられている。外カップ31および内カップ32の表面には、ウエハWよりも大口径の開口部が形成されており、液供給管342に支持されたウエハWは、この開口部を介して上下方向に移動できる。
【0026】
処理空間21の、搬送部142に面する側面には開閉扉211が設けられており(図4参照)、この開閉扉211を開くことにより、搬送アーム144を処理空間21内に進入させることができる。図3に示した212は、処理空間21内に形成される清浄空気の下降流を排気する排気管である。
【0027】
以上に説明した構成を備えた液処理ユニット2では、回転するウエハWの表面に各種の処理液を供給した後、ウエハW表面に残っている液体を除去するためにIPAを利用したIPA乾燥が行われる。背景技術にて説明したように、IPA乾燥時は、ウエハWの周囲の雰囲気の湿度を低く抑える必要があるが、窒素ガスなどの不活性ガスやドライエアは、通常の清浄空気よりも高価である。そこで本実施の形態に係わる液処理ユニット2は、IPA乾燥が実施される領域に水分含有量の少ない気体を局所的に供給して処理雰囲気の湿度を低く抑える一方、IPA乾燥に影響を与えない領域には水分含有量の調整を行っていない通常の清浄空気を供給して装置のランニングコストを抑えることが可能な構成を備えている。以下、当該構成の詳細な内容について説明する。
【0028】
図3に示すように、処理空間21の上部には、気体供給部20が設けられている。気体供給部20は、回転プレート33に保持されたウエハWの表面全体に向かって、含有水分量を低減した清浄空気(第1の気体に相当する。以下「ドライエア」という)の下降流を形成するための第1の気体供給部23と、この第1の気体の下降流が形成される領域以外の領域に、水分含有量を低減する処理を行っていない通常の清浄空気(第2の気体に相当する。以下、「通常エア」という)の下降流を形成するための第2の気体供給部22とで構成されている。
【0029】
まず、第2の気体供給部22から説明すると、第2の気体供給部22は液処理が実施される処理空間21の天井面全体を覆うように形成された筐体状のチャンバーであり、図4に示すように、前述の搬送部142に面する側壁に開口部221が設けられている。開口部221は、搬送部142の上部に設けられたFFU147から供給された通常エアを第2の気体供給部22内に取り込む役割を果たす。なお、図示の便宜上、図4の斜視図においては外カップ31や内カップ32の記載は省略してある。
【0030】
第2の気体供給部22の底板222は、処理空間21の天井面を構成しており、当該底板にはパンチングなどにより多数の通気孔223が形成されている。第2の気体供給部22に取り込まれた通常エアは、これらの通気孔223を介して処理空間21内に導入され、しかる後、処理空間21の底部に設けられた排気管212より排気される。この結果、処理空間21内には、天井面側から底部側へ向けて流れる通常エアの下降流が形成される。
【0031】
第2の気体供給部22を構成するチャンバーの内部には第1の気体供給部23が配置されている。第1の気体供給部23は、回転プレート33に保持されたウエハWと対向するように当該ウエハWの上方位置に配置されている。第1の気体供給部23は、当該ウエハWの表面全体に向かってドライエアの下降流を形成する役割を果たす。また、ウエハWの表面を流れた気体は、外カップ31に設けられている排気管311から排気される。
【0032】
ここで図7に示すようにウエハWを回転させると、ウエハWと周囲の気体との間に働く粘性およびウエハWから気体が受ける遠心力の作用により、ウエハWの回転中心の上方側から取り込まれた気体が第1の気体供給部23からウエハWの周縁部側へ向けて掃き出されるラッパ状の気流が形成される。そこで、第1の気体供給部23からのドライエアを、ラッパ状の気流を乱さないように供給すれば、このラッパ状の気流の周囲に存在する通常エアがドライエアの気流に混入することが抑えられ、ウエハW表面への水分の持ち込みを低減し、液処理が行われるウエハW表面、及びその周囲の雰囲気(処理雰囲気)を局所的に低湿度にすることができる。また、ラッパ状の気流の周囲に存在する通常エアが下降流を形成しているので、処理空間21内を清浄な状態に保つことができる。
【0033】
上述の作用を得るため、図5に示すように本実施の形態に係わる第1の気体供給部23は、例えば下面側が開口した扁平なトレイ状のカバー部材233の内部に、パンチングなどによって多数の通流孔237を形成した例えば三枚の整流板(第1の整流板234、第2の整流板235、第3の整流板236)が互いに間隔を開けて上下に並んで配置された構成となっている。この結果、図6に示すように、第1の気体供給部23内にはカバー部材233の天板と第1の整流板234との間、第1の整流板234と第2の整流板235との間、および第2の整流板235と第3の整流板236との間にドライエアを通流させる空間が形成される。そしてカバー部材233の天井面に接続された給気管231から供給されたドライエアは、通流孔237を介して各空間を通流し、最後に第3の整流板236の通流孔237を通って処理空間21内に導入され、下降流となってウエハWの表面へ向けて流れていく。
【0034】
また通流孔237は、上下に隣りあって配置された整流板234〜236間で上下に並ばないように、通流孔237の配置位置をずらしている。この結果、ドライエアは、図6に破線で示すようにカスケード状に分岐しながら第1の気体供給部23内を流れ、均一な流速で処理空間21内に供給されることになる。また、図6に示した整流板234〜236は、下流側のもの程、通流孔237の数を多くして、開口率を大きくし、各整流板234〜236からのドライエアの流出速度が次第に小さくなるようにしている。整流板234〜236の開口率を変える手法はこの例に限られるものではなく、例えば各整流板234〜236の通流孔237の孔数をほぼ同じにして、下流側の整流板程、通流孔237の孔径を大きくするようにしてもよい。
【0035】
また、第1の気体供給部23の最下面に配置された第3の整流板236は処理空間21側からみるとドライエアの吐出口に相当しており、この第3の整流板236の面積が小さすぎると、第1の気体供給部23から供給されるドライエアが噴流となってラッパ状の気流が乱れて周囲の通常エアを巻き込み、ウエハW表面に水分を持ち込んでしまう。つまり、ウエハWの回転中心に、ドライエアのラッパ状の下降流を形成するためには、ウエハWの周縁部へ向けて掃き出される気流と同量程度以上のドライエアを供給し、さらにこのドライエアが噴流とならない程度の面積を持つ吐出口から供給する必要がある。そこで発明者らは、前記吐出口の適切なサイズを検討した。その結果、300mmのウエハWを回転させながら液処理をする際には、第3の整流板236の直径は100mm以上であることが好ましいことが分かった。
【0036】
一方で、第1の気体供給部23の吐出口の直径をさらに大きくして、ウエハWの直径や外カップ31の開口部の直径よりも大きくすると、ウエハWの表面に供給されずに外カップ31の外側を流れて排出されてしまうドライエアのロス量が多くなる。したがって、第1の気体供給部23の直径は、例えばウエハWの直径以下であることが好ましい。
【0037】
このような事前検討から一つの好適例を挙げると、300mmのウエハを回転させながら液処理を行う際には、直径が100mm以上、ウエハWの直径以下の吐出口を有する第1の気体供給部23から、ドライエアが周囲の通常エアを巻き込まない程度の速度、例えばラッパ状の気流が層流を維持する程度の速度で供給することにより、ウエハW表面への水分の持ち込みを効果的に低減することができ、ウエハW及びその周囲の雰囲気(処理雰囲気)を局所的に低湿度に維持することができる。
【0038】
またここで、第2の気体供給部22から供給される通常エアの平均の流出速度を、第1の気体供給部23から供給される清浄空気の平均の流出速度と一致させることが好ましい。これら通常エアと清浄空気との流出速度を「一致させる」とは、両流出速度が厳密に一致する場合に限定されるものではない。通常エアと清浄空気との流出速度の差の存在によって、ウエハWの回転に伴って形成されるラッパ状の気流が乱されず、一方側の気流が他方側の気流を巻き込むような気流の乱れが生じない程度の範囲であれば、これらの気流は流出速度が一致しているとみなしてよい。
【0039】
図4、図5に示した232は、給気管231から分岐する分岐管であり、カバー部材233の天井面と第1の整流板234との間に形成される空間に、均一にドライエアを供給する役割を果たす。これら分岐管232の吐出口と、第1の整流板234の通流孔237とについても上下方向にずらした位置に配置することが好ましい。
【0040】
図3に示すように給気管231の基端部側に接続された配管は、切り替え弁V1を介してドライエアライン401とバイパスライン402とに分岐している。上流側の送気ファン41、パーティクルフィルター42を通って供給された通常エアは、ドライエアライン401に介設された水分除去部44にて含有水分量が低減される。水分除去部44は、例えばシリカゲルを充填した充填層や、清浄空気が通流する空間の周囲に冷媒が通流する冷却管を巻き付けて含有する水分を凝縮させるチャンバーなどにより構成する場合が考えられるが、水分を低減する手法は特定の方法に限定されるものではない。IPA乾燥時にウエハWの処理雰囲気を低湿度にするという観点では、水分除去部44から供給されるドライエアの相対湿度は、例えば10%以下とすることが好ましい。ここで、第1の気体供給部23に供給されるドライエアは、工場に共通の用力配管など、外部から受け入れてもよい。
【0041】
また、本例における第1の気体供給部23には水分除去部44をバイパスしたバイパスライン402を通った通常エアを供給することも可能であり、これらの流路401、402は流路切り替え弁43によって切り替えられる。
【0042】
以上に説明した構成を備えた液処理装置1は、図2、図3に示すように制御部5と接続されている。制御部5は例えば図示しないCPUと記憶部とを備えたコンピュータからなり、記憶部には液処理システム1や各液処理ユニット2の作用、即ち載置ブロック11に載置されたFOUP100からウエハWを取り出して、各液処理ユニット2に搬入し、液処理を行ってから、FOUP100に戻すまでの制御についてのステップ(命令)群が組まれたプログラムが記録されている。このプログラムは、例えばハードディスク、コンパクトディスク、マグネットオプティカルディスク、メモリーカード等の記憶媒体に格納され、そこからコンピュータにインストールされる。
【0043】
特に制御部5は、図3に示すように各種の切り替え弁V1、43などに制御信号を出力し、処理液の供給タイミングや供給量、処理液などの排出先や第1の気体供給部23から供給される清浄空気の種類を切り替えることができる。
【0044】
以上に説明した構成を備えた液処理装置1の作用について説明すると、まず載置ブロック11に載置されたFOUP100から第1のウエハ搬送機構121により1枚のウエハWを取り出して受け渡し棚131に載置し、この動作を連続的に行う。受け渡し棚131に載置されたウエハWは、搬送部142内の第2のウエハ搬送機機構143により順次搬送されて、いずれかの液処理ユニット2に搬入され、回転プレート33上に保持される。
【0045】
ウエハWの搬入を終えたら処理液供給ノズル35をウエハW中央側の上方位置まで移動させ、ウエハWを例えば10〜1000rpm程度で回転させながらウエハWの表面側および裏面側にSC1液などのアルカリ性処理液を供給する。これによりウエハWの上下面に薬液の液膜が形成されてアルカリ性処理液により、パーティクルや有機性の汚染物質の除去が行われる。次いで、ウエハWの表裏両面に供給される処理液をリンス液に切り替えてリンス洗浄を行った後、リンス液の供給を停止し、ウエハWの回転数を例えば2000rpmに上げ、振切乾燥を実行する。
【0046】
これら、アルカリ洗浄、リンス洗浄、振切乾燥の期間中は、ウエハWの表面に供給される清浄空気中の水分が直接ウォーターマークを形成する原因にはなりにくい。そこで当該期間中は、図3に示した流路切り替え弁43をバイパスライン402側に切り替えて、第1の気体供給部23より通常エアを供給している(図9)。また、第2の気体供給部22からは継続的に通常エアが供給されている。このように、水分の影響が少ない液処理を行っている期間中は、水分除去部44をバイパスして通常エアを供給することにより、水分除去部44の稼働率を下げランニングコストの低減を図っている。なお、水分の影響が少ない液処理を行っている期間中に第1の気体供給部23から供給される気体は、例えばドライエアと通常エアの混合気体であってもよい。第1の気体供給部23から供給されるドライエアの一部を通常エアに振り替えて混合気体を形成すれば、水分除去部44の負荷を下げられるからである。
【0047】
振切乾燥を終えたら、例えば10rpm〜1000rpm程度で回転させながら、ウエハWの表裏両面に酸性の処理液であるDHF液を供給する。これによりこれらの面にDHF液の液膜が形成され、ウエハW表面に形成された自然酸化膜を除去する液処理が行われる。そして所定時間の経過後、処理液をリンス液に切り替えてリンス洗浄を実行する。
【0048】
これらの動作において、例えば酸性の処理液による液処理が行われている期間中は、第1の気体供給部23はバイパスライン402側に接続し、通常エアを供給する。そして、例えばリンス洗浄を行うタイミングとなったら、後段のIPA乾燥の準備として、第1の気体供給部23の接続先をドライエアライン401側に切り替えて処理空間21内へのドライエアの供給を開始し、ドライエアのラッパ状の下降流を形成する(図9)。
【0049】
こうしてリンス洗浄を終え、ウエハW表面に向かって形成される下降流をドライエアに切り替えたら、ウエハWの回転数を例えば1000rpmに調整すると共に、その表面に供給する処理液をIPAに切り替える。この結果、IPAを利用したIPA乾燥が実行され、ウエハW表面に残存するリンス液などの液体が完全に除去される。また、ウエハWの裏面側に残存しているリンス液等は、上記動作に伴うウエハWの回転により振り切られる。
【0050】
このとき、処理空間21内に形成される清浄空気の下降流の流動状態を図8に模式的に示す。当該図において、ドライエアの流れは短い間隔の破線で示し、通常エアの流れは長い間隔の破線で示してある。第1の気体供給部23から流出したドライエアは、ウエハWの回転に伴って形成される気流(図7参照)に乗ってウエハWの表面全体に向かう下降流となる。一方、第2の気体供給部22から供給された通常エアは、第1の気体供給部23から供給されたドライエアの下降流を囲むように流れる下降流を形成する。そして、ウエハW表面側の領域には、ドライエアの下降流が形成されているため、周囲の通常エアの進入が阻まれる。また、ドライエアの下降流の周囲には、通常エアの下降流が形成されているため、処理空間21内の雰囲気が舞い上がることが防止される。
【0051】
この結果、IPA乾燥が行われているウエハWの処理雰囲気へ、ウエハWの上方の雰囲気から水分が持ち込まれることが抑えられ、IPAへの水分の取り込み量を抑制してウォーターマークの発生を低減することが可能となる。また、処理空間21内の雰囲気が舞い上がることが防止され、処理空間21内を清浄に保つことができる。
こうして所定時間IPAを供給したら、ウエハWの回転を継続したままIPAの供給を停止してIPAを除去し、ウエハWを乾燥させた状態として液処理を終える。
【0052】
ここで図9は、第1の気体供給部23からドライエアと通常エアとを切り替えて供給するシーケンスの一例を示したものであり、ドライエア及び通常エアの気体の供給方法はこの例に限定されない。例えば、ドライエアの供給時には、第1の気体供給部23からのドライエアの供給量を200L/分、第2の気体供給部22からの通常エアの供給量を800L/分とする一方、通常エアの供給時には、第1の気体供給部23からのドライエアの供給を停止し、第2の気体供給部22からの通常エアの供給量を1000L/分まで増やしてもよい。ドライエアの供給を停止しても、第2の気体供給部22から供給された通常エアがウエハWの上方に流れ込むので、通常エアは図7に示したラッパ状の気流を形成してウエハWの表面を流れ、排気管311から排気される。このときドライエアの供給・停止期間を通じて処理空間21へのトータルの気体供給量を一定に保つことにより、処理空間21内の圧力変動を抑えることができる。
また、通常エアとドライエアとの切り替えタイミングも図9に示した例に限定されるものではなく、ウエハWの処理雰囲気を低湿度にしたいタイミングで第1の気体供給部23からドライエアを供給すればよい。
【0053】
液処理を終えたウエハWは、搬送アーム144により液処理ユニット2から搬出され、受け渡し棚131に載置された後、第1のウエハ搬送機構121により受け渡し棚131からFOUP100に戻される。こうして液処理システム1に設けられた複数の液処理ユニット2により、複数枚のウエハWに対する液処理が順次行われる。
【0054】
本実施の形態に係わる液処理ユニット2によれば以下の効果がある。液処理が行われるウエハWの表面全体に向かってドライエアの下降流を形成し、このドライエアの下降流を囲む領域に通常エアの下降流を形成するので、ウエハW上にはドライエアが局所的に供給され、IPA乾燥処理時にウエハWの処理雰囲気が低湿度に維持され、ウォーターマークの形成が抑えられる。また、IPA乾燥の結果に影響を及ぼさない領域には、含有する水分を低減していない通常エアの下降流を形成することにより、処理空間21内全体にドライエアを供給する場合に比べてドライエアの消費量が少量で済み、ドライエアの供給コストを低減することができる。
【0055】
また、第1の気体供給部23から供給されるドライエア、第2の気体供給部22から供給される通常エアのいずれも処理空間21内に下降流を形成しているので、処理空間21内の雰囲気が舞い上がることを防止して清浄な状態に保つことができる。
この他、ドライエアを供給する第1の気体供給23を処理空間23の上部に設けることで、例えば背景技術にて説明したトッププレートなどのように、ウエハWの処理雰囲気を低湿度にするための機構やトッププレートとの干渉を避けるための特別な処理液の供給機構を処理空間21内に設ける必要がなく、装置構成を簡略にできる。さらに、トッププレートの昇降動作もないので、処理空間21内に形成される下降流を乱すことなくドライエアの供給が行える。
【0056】
以上、図3を用いて説明した実施の形態では、ウエハWの表面全体に向けて下降する第1の気体としてドライエアを用い、第1の気体の下降流を囲む領域に形成される第2の気体の下降流として通常エアを用いているが、第1の気体と第2の気体の種類はこれに限定されない。例えば、第1の気体として水分を含まない窒素ガスなどの不活性ガスを使用してもよい。
【0057】
また、酸素を多く含む雰囲気で処理することを防ぐ必要がある処理を行う際、例えば銅などの金属配線が形成されたウエハWの液処理を行う際に、ウエハWの表面に酸素が持ち込まれると、銅配線の酸化などの悪影響が及ぶ場合がある。このとき例えば窒素ガスやアルゴンなど酸素を含まない不活性ガスを第1の気体とし、通常エアを第2の気体として処理空間21内に各気体の下降流を形成するようにしてもよい。これによりウエハWの処理雰囲気を低酸素にすることができる。
【0058】
処理液の種類によらずウエハW表面への酸素の持ち込み量を低減したい場合には、薬液処理、リンス処理、乾燥処理の全てにわたって第1の気体供給部23から常時第1の気体が供給されるようにするのが好ましい。
【0059】
次に、図10に示した第1の気体供給部23aはカバー部材233の下面に、セラミクスやセラミクス粒子の焼結体などからなる多孔質体238を設けて第1の気体の均一な供給を行う例である。この他、整流板226や多孔質体238に変えてメッシュを配置してもよい。そして、第2の気体供給部22側についても、パンチングによりカバー部材233を形成した天板222に限らず、多孔質体やメッシュにより構成された天板222を介して処理空間21内に第2の気体を供給してもよいことは勿論である。
【0060】
これらに加え、図11、図12には、第1の気体供給部23bを移動させることによりウエハWの表面全体に向かって第1の気体の下降流と第2の気体の下降流とを切り替えて形成することが可能な液処理ユニット2aの例を示している。本例では、第1の気体供給部23bは昇降機構239により、第2の気体供給部22の内部で昇降可能となっている。そして、第1の気体の下降流を形成しない期間中は、図11に示すように第1の気体供給部23bを上方側の退避位置まで退避させ、当該第1の気体供給部23bの下方側に配置された天板222の通気孔223より第2の気体をウエハWの表面へ供給する。そして、ウエハWの処理雰囲気を第1の気体で形成することが必要な液処理を行うときには、図12に示すように第1の気体供給部23bを降下させ、天板222の一部を第1の気体供給部23bで覆うことにより、当該天板222の通気孔223を介して第1の気体が供給されることになる。
【0061】
また、第1の気体供給部23からの第1の気体が供給される高さ位置は、第2の気体供給部22からの第2の気体が供給される高さ位置と面一になっていなくてもよい。例えば図13の液処理ユニット2bに示すように、第1の気体供給部23の吐出口を第2の気体供給部22の吐出口(本例では処理空間21の天井面)よりも低い位置に突出させて、第2の気体よりも低い高さ位置から第1の気体を供給することにより、第2の気体の巻き込みを抑制してもよい。
【0062】
さらにこれらの他、第2の気体供給部22の構成は、図3、図4に示した構成例に限られるものではない。例えば図14の液処理ユニット2cに示す第2の気体供給部22のように、開口部221に流量調節弁224を設けることにより、通気孔223からの通常エアの流出速度を増減させ、第1の気体供給部23から供給されるドライエアの流出速度と一致させてもよい。また、図15に示すように第2の気体供給部22の上面にFFU225を設け、液処理ユニット2d毎に個別に給気ダクト226から通常エアを供給する構成を採用してもよい。
【0063】
以上、ウエハWにアルカリ性、酸性、有機溶剤の処理液を供給して洗浄処理を行う液処理ユニット2に本発明の液処理装置を適用した例について説明したが、当該液処理装置にて実施可能な液処理の種類はこれに限られない。例えば、ウエハや角形基板である被処理基板を回転させながら低湿度、低酸素などの、行われる液処理に適した処理雰囲気を形成する必要がある液処理装置であれば本発明は適用することができる。
【符号の説明】
【0064】
W ウエハ
1 液処理システム
2、2a〜2d
液処理ユニット
21 処理空間
22 第2の気体供給部
23、23a、23b
第1の気体供給部
234 第1の整流板
235 第2の整流板
236 第3の整流板
33 回転プレート
35 処理液供給ノズル
44 水分除去部
5 制御部
【技術分野】
【0001】
本発明は、被処理基板の液処理が行われる周囲の雰囲気を調節する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造工程の中には、半導体ウエハ(以下、ウエハという)などの被処理基板に対して液処理を行う工程がある。液処理としては、洗浄液によるウエハの洗浄などが挙げられる。この種の処理に使用される液処理ユニットは、例えば処理液を受け止めるカップと、カップ内に設けられたスピンチャックなどの回転保持部と、基板に処理液を供給する処理液供給ノズルと、を備えている。そしてウエハの洗浄を行う場合には、複数種類の処理液が用意されており、予め設定された順番に各種の処理液が回転するウエハの表面に供給されることにより液処理が実行される。
【0003】
こうした液処理を実行するスピンチャックやカップなどは、共通の筐体内に収められて外部の雰囲気から隔離されている。そしてこの筐体の上部にあるFFU(Fan Filter Unit)から供給された清浄空気により筐体内に清浄空気の下降流(ダウンフロー)が形成されていて、ウエハの搬入出動作や液処理の実行に伴うパーティクルやミストの巻き上げを抑制し、ウエハ及び筐体内を清浄な状態に保っている。
【0004】
一方、洗浄処理においては、アルカリ性や酸性の処理液をウエハに供給し、DIW(DeIonized Water)などのリンス液でリンス洗浄した後、IPA(IsoPropyl Alcohol)を供給することにより、ウエハ表面に残っている液体をIPAと共に除去するIPA乾燥が行われる。このとき、ウエハ周囲の雰囲気の湿度を低く抑える必要がある。
【0005】
また、銅などの金属配線が形成されたウエハの表面に対して行われる液処理では、金属配線の酸化を防ぐためにウエハ表面の酸素濃度を低減することが要求される場合もある。
【0006】
この点に関し、例えば特許文献1には、基板の被処理面の全面を覆うように装置内全体に不活性ガスのダウンフローを形成することにより、リンス液や自然酸化膜にパーティクルが取り込まれることに起因するウォーターマークの発生を抑制する技術が記載されている。しかしながら液処理を行う装置内の全体に不活性ガスを供給することは液処理コストを上昇させる要因となる。
【0007】
一方、特許文献2には、被処理体の下面および側面に処理液を供給して当該部のエッチング処理を行う液処理装置において、被処理体の上面側を覆うようにトッププレートを設け、このトッププレートの中央部から被処理体の上面に向けて不活性ガスを供給することにより、被処理体の上面側への処理液の回り込みを防ぐ技術が記載されている。しかしながら当該液処理装置は被処理体の下面や側面に対して液処理を行う装置であり、被処理体の上面全体の液処理を行う場合には、処理液の供給ノズルとトッププレートとの干渉を避けるために特別な処理液の供給機構が必要となる。また、搬入出時などの際に、被処理体とトッププレートとが干渉しないように、トッププレートと被処理体を保持する基体とを相対的に接離させる移動機構も必要となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2003−174006号公報:請求項1、図1
【特許文献2】特開2010− 28059号公報:請求項4、段落0021、図1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明はこのような背景の下になされたものであり、簡素な手法で被処理基板の表面に、低湿度雰囲気や低酸素雰囲気など、行われる液処理に適した処理雰囲気を形成することが可能な液処理装置、液処理方法およびこの方法を記憶した記憶媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る液処理装置は、被処理基板の表面に処理液を供給して液処理を行う液処理装置において、
液処理が行われる筐体と、
この筐体内で被処理基板を保持して鉛直軸周りに回転させるための回転保持部と、
この回転保持部に保持されて回転する被処理基板の表面に処理液を供給するための処理液供給ノズルと、
前記回転保持部の周囲に設けられたカップと、
前記液処理に適した処理雰囲気を形成するために、前記回転保持部に保持された被処理基板に対向する位置に配置され、前記被処理基板の表面全体を流れ、カップに流入する第1の気体の下降流を形成するための第1の気体供給部と、
この第1の気体の下降流の外方領域に、前記第1の気体とは異なる第2の気体の下降流を形成するための第2の気体供給部と、を備え、
前記第1の気体供給部及び第2の気体供給部は、前記筐体の天井部に設けられていることを特徴とする。
【0011】
前記液処理装置は以下の特徴を備えていてもよい。
(a)前記第1の気体供給部からは、被処理基板を回転させることによって当該被処理基板の回転中心から周縁部へ向けて流れる気流の流量以上の第1の気体が供給されること。
(b)前記第1の気体供給部から供給される第1の気体の流出速度と、第2の気体供給部から供給される第2の気体の流出速度とが一致していること。
(c)前記第1の気体供給部は、第1の気体の下降流と第2の気体の下降流とを切り替えて形成するように構成されていること。
(d)前記第1の気体供給部は、前記第1の気体の下降流を形成する位置と、退避位置との間で移動可能に構成され、前記第2の気体供給部は、第1の気体供給部が退避位置にあるときは、第1の気体の下降流に代わって、被処理基板の表面全体に向かう第2の気体の下降流を形成するように構成されていること。
(e)前記被処理基板は円形基板であり、前記第1の気体供給部は、直径100mm以上、被処理基板の直径以下の直径を持つ円形の吐出口を有すること。また、この吐出口には、吐出口の全体から均一な流速で第1の気体を供給するために、多数の孔部が形成された整流板が設けられていること。
(f)前記第1の気体は、ドライエアまたは不活性ガスであること。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、液処理が行われる被処理基板の表面全体に向かって、液処理に適した処理雰囲気を形成するための第1の気体の下降流を形成し、この第1の気体の下降流の外方領域に、第1の気体とは異なる第2の気体の下降流を形成する。このため、行われる液処理に適した処理雰囲気を被処理基板の表面全体に局所的に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の形態に係わる液処理システムの外観斜視図である。
【図2】前記液処理システムの横断平面図である。
【図3】前記液処理システムに設けられている液処理ユニットの縦断側面図である。
【図4】前記液処理ユニットの内部構成を示す一部破断斜視図である。
【図5】前記液処理ユニットに設けられている第1の気体供給部の分解斜視図である。
【図6】前記第1の気体供給部の縦断側面図である。
【図7】鉛直軸周りに回転するウエハの上方に形成される気流の流れを示す説明図である。
【図8】液処理期間中における前記処理ユニット内の気体の流れを示す説明図である。
【図9】ウエハに供給される処理液の種類と第1の気体供給部から供給される気体の種類との対応関係を示すタイムチャートである。
【図10】前記第1の気体供給部の他の例を示す縦断側面図である。
【図11】昇降式の第1の気体供給部を備えた液処理ユニットの第1の説明図である。
【図12】昇降式の第1の気体供給部を備えた液処理ユニットの第2の説明図である。
【図13】第1の気体供給部の配置高さを変えた液処理ユニットである。
【図14】流量調節弁を備えた第1の気体供給部の構成例を示す説明図である。
【図15】FFUを備えた第1の気体供給部の構成例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、被処理基板であるウエハWの表裏両面の洗浄を行う液処理ユニットに対し、本発明の液処理装置を適用した実施の形態について説明する。図1の外観斜視図、図2の横断平面図に示すように、前記液処理ユニット2を搭載した液処理システム1は、複数のウエハWを収容したFOUP100を載置する載置ブロック11と、載置ブロック11に載置されたFOUP100からのウエハWの搬入・搬出を行う搬入出ブロック12と、搬入出ブロック12と後段の液処理ブロック14との間でウエハWの受け渡しを行う受け渡しブロック13と、ウエハWに液処理を施すための液処理ブロック14とを備えている。載置ブロック11を手前としたとき、載置ブロック11、搬入出ブロック12、受け渡しブロック13、液処理ブロック14は、手前側からこの順に、隣接して設けられている。
【0015】
載置ブロック11は、複数のウエハWを水平状態で収容するFOUP100を載置台111上に載置する。搬入出ブロック12は、ウエハWの搬送を行う。受け渡しブロック13は、ウエハWの受け渡しを行う。搬入出ブロック12および受け渡しブロック13は、筐体内に収められている。
【0016】
搬入出ブロック12は、第1のウエハ搬送機構121を有している。第1のウエハ搬送機構121は、ウエハWを保持する搬送アーム122、および搬送アーム122を前後に移動させる機構を有している。また第1のウエハ搬送機構121は、FOUP100の配列方向に延びる水平ガイド123(図2参照)に沿って移動する機構、垂直方向に設けられた不図示の垂直ガイドに沿って移動する機構、水平面内で搬送アーム122を回転させる機構を有している。この第1のウエハ搬送機構121により、FOUP100と受け渡しブロック13との間でウエハWが搬送される。
【0017】
受け渡しブロック13は、ウエハWを載置可能な受け渡し棚131を有している。受け渡しブロック13では、この受け渡し棚131を介して搬入出ブロック12、液処理ブロック14の搬送機構間(既述の第1のウエハ搬送機構121および後述する第2のウエハ搬送機機構143)でウエハWの受け渡しが行われるようになっている。
【0018】
液処理ブロック14は、複数の液処理ユニット2が配置された液処理部141と、ウエハWの搬送が行われる搬送部142とを筐体内に収めた構成となっている。搬送部142は、受け渡しブロック13との接続部を基端として、前後方向に伸びる空間内に第2のウエハ搬送機機構143を配置してなる。第2のウエハ搬送機機構143は、ウエハWを保持する搬送アーム144、および搬送アーム144を前後に移動させる機構を有している。
【0019】
また、第2のウエハ搬送機機構143は、前後方向に伸びる水平ガイド145(図2参照)に沿って移動する機構、垂直方向に設けられた垂直ガイド146に沿って移動する機構、水平面内で搬送アーム144を回転させる機構を有している。この第2のウエハ搬送機機構143により、既述の受け渡し棚131と各液処理ユニット2との間でウエハWの搬送が行われる。図1に示した147は、液処理ブロック14の空間内に清浄空気を供給するFFUである。図2に示すように液処理部141には、搬送部142を形成する空間が伸びる方向に沿って、複数台、例えば各々5台、合計10台の液処理ユニット2が横方向に並べて配置されている。
【0020】
各液処理部141内に設けられている液処理ユニット2の構成について図3を参照しながら説明する。液処理ユニット2はスピン処理により、1枚ずつウエハWの液処理を行う枚葉式のユニットとして構成されている。液処理ユニット2は、筐体内に形成された処理空間21と、この処理空間21の上部(筐体の天井部)に設けられた気体供給部20とで構成されている。処理空間21は、ウエハWを保持する回転プレート33と、この回転プレート33を裏面(下面)側から支持し、不図示の回転モータにより回転プレート33を回転させる回転軸341と、この回転軸341内に貫挿され、ウエハWの裏面(下面)に処理液を供給するための液供給管342と、ウエハWの表面(上面)側に処理液を供給するための処理液供給ノズル35と、回転するウエハWから振り飛ばされた処理液を受け止めて外部へ排出するための内カップ32と、回転プレート33や内カップ32を収容し、ウエハWの表面を周縁部側へ向けて流れる気流を排気する外カップ31と、を備えている。
【0021】
回転プレート33は、中央に開口部が設けられた円板状の部材であり、その表面にはウエハWを固定して保持する複数の保持部材331が設けられている。ウエハWは、回転プレート33の表面より上方の位置に隙間を介して保持され、液供給管342から、中央の開口部を介して供給された処理液は、この隙間内を通ってウエハWの裏面全体に広がる。
回転軸341は、液処理部141内のベースプレート上に設けられた軸受け部343によって、鉛直軸周りに回転自在な状態で保持されている。以上に説明した回転プレート33や回転軸341およびその回転機構は、本実施の形態の回転保持部に相当する。
【0022】
液供給管342の上端面には、ウエハWを裏面側から支持するための支持ピン(不図示)が設けられている一方、その下端側には液供給管342を昇降させるための不図示の昇降機構が設けられている。そして液供給管342全体を上昇、下降させることにより、回転プレート33の開口部から液供給管342を突没させることができる。これにより、支持ピン上にウエハWを支持し、搬送アーム144との間でウエハWの受け渡しを行う位置と、回転プレート33上の処理位置との間でウエハWを昇降させることができる。
【0023】
液供給管342は、ウエハWの裏面にSC1液(アンモニアと過酸化水素水の混合液)などのアルカリ性の処理液や希フッ酸水溶液(以下、DHF(Diluted HydroFluoric acid))などの酸性の処理液、DIWなどリンス洗浄用のリンス液を各々供給できる。
【0024】
一方、ウエハWの表面に処理液を供給する処理液供給ノズル35は、ノズルアーム351に支持されており、回転プレート33に保持されたウエハWの上方の処理位置と、この処理位置から退避した退避位置との間で移動することができる。処理液供給ノズル35は、アルカリ性や酸性の処理液、リンス液に加え、有機溶剤である乾燥処理用のIPAを各々供給できる。
【0025】
図3に示す内カップ32は、回転プレート33に保持されたウエハWを囲むように設けられた円環状の部材であり、底面に接続された排液管321を介し処理液を排出することができる。また、外カップ31は、ウエハWの表面を周縁部側へ向けて流れる気流を排気する役割を果たし、その底面には排気用の排気管311が設けられている。外カップ31および内カップ32の表面には、ウエハWよりも大口径の開口部が形成されており、液供給管342に支持されたウエハWは、この開口部を介して上下方向に移動できる。
【0026】
処理空間21の、搬送部142に面する側面には開閉扉211が設けられており(図4参照)、この開閉扉211を開くことにより、搬送アーム144を処理空間21内に進入させることができる。図3に示した212は、処理空間21内に形成される清浄空気の下降流を排気する排気管である。
【0027】
以上に説明した構成を備えた液処理ユニット2では、回転するウエハWの表面に各種の処理液を供給した後、ウエハW表面に残っている液体を除去するためにIPAを利用したIPA乾燥が行われる。背景技術にて説明したように、IPA乾燥時は、ウエハWの周囲の雰囲気の湿度を低く抑える必要があるが、窒素ガスなどの不活性ガスやドライエアは、通常の清浄空気よりも高価である。そこで本実施の形態に係わる液処理ユニット2は、IPA乾燥が実施される領域に水分含有量の少ない気体を局所的に供給して処理雰囲気の湿度を低く抑える一方、IPA乾燥に影響を与えない領域には水分含有量の調整を行っていない通常の清浄空気を供給して装置のランニングコストを抑えることが可能な構成を備えている。以下、当該構成の詳細な内容について説明する。
【0028】
図3に示すように、処理空間21の上部には、気体供給部20が設けられている。気体供給部20は、回転プレート33に保持されたウエハWの表面全体に向かって、含有水分量を低減した清浄空気(第1の気体に相当する。以下「ドライエア」という)の下降流を形成するための第1の気体供給部23と、この第1の気体の下降流が形成される領域以外の領域に、水分含有量を低減する処理を行っていない通常の清浄空気(第2の気体に相当する。以下、「通常エア」という)の下降流を形成するための第2の気体供給部22とで構成されている。
【0029】
まず、第2の気体供給部22から説明すると、第2の気体供給部22は液処理が実施される処理空間21の天井面全体を覆うように形成された筐体状のチャンバーであり、図4に示すように、前述の搬送部142に面する側壁に開口部221が設けられている。開口部221は、搬送部142の上部に設けられたFFU147から供給された通常エアを第2の気体供給部22内に取り込む役割を果たす。なお、図示の便宜上、図4の斜視図においては外カップ31や内カップ32の記載は省略してある。
【0030】
第2の気体供給部22の底板222は、処理空間21の天井面を構成しており、当該底板にはパンチングなどにより多数の通気孔223が形成されている。第2の気体供給部22に取り込まれた通常エアは、これらの通気孔223を介して処理空間21内に導入され、しかる後、処理空間21の底部に設けられた排気管212より排気される。この結果、処理空間21内には、天井面側から底部側へ向けて流れる通常エアの下降流が形成される。
【0031】
第2の気体供給部22を構成するチャンバーの内部には第1の気体供給部23が配置されている。第1の気体供給部23は、回転プレート33に保持されたウエハWと対向するように当該ウエハWの上方位置に配置されている。第1の気体供給部23は、当該ウエハWの表面全体に向かってドライエアの下降流を形成する役割を果たす。また、ウエハWの表面を流れた気体は、外カップ31に設けられている排気管311から排気される。
【0032】
ここで図7に示すようにウエハWを回転させると、ウエハWと周囲の気体との間に働く粘性およびウエハWから気体が受ける遠心力の作用により、ウエハWの回転中心の上方側から取り込まれた気体が第1の気体供給部23からウエハWの周縁部側へ向けて掃き出されるラッパ状の気流が形成される。そこで、第1の気体供給部23からのドライエアを、ラッパ状の気流を乱さないように供給すれば、このラッパ状の気流の周囲に存在する通常エアがドライエアの気流に混入することが抑えられ、ウエハW表面への水分の持ち込みを低減し、液処理が行われるウエハW表面、及びその周囲の雰囲気(処理雰囲気)を局所的に低湿度にすることができる。また、ラッパ状の気流の周囲に存在する通常エアが下降流を形成しているので、処理空間21内を清浄な状態に保つことができる。
【0033】
上述の作用を得るため、図5に示すように本実施の形態に係わる第1の気体供給部23は、例えば下面側が開口した扁平なトレイ状のカバー部材233の内部に、パンチングなどによって多数の通流孔237を形成した例えば三枚の整流板(第1の整流板234、第2の整流板235、第3の整流板236)が互いに間隔を開けて上下に並んで配置された構成となっている。この結果、図6に示すように、第1の気体供給部23内にはカバー部材233の天板と第1の整流板234との間、第1の整流板234と第2の整流板235との間、および第2の整流板235と第3の整流板236との間にドライエアを通流させる空間が形成される。そしてカバー部材233の天井面に接続された給気管231から供給されたドライエアは、通流孔237を介して各空間を通流し、最後に第3の整流板236の通流孔237を通って処理空間21内に導入され、下降流となってウエハWの表面へ向けて流れていく。
【0034】
また通流孔237は、上下に隣りあって配置された整流板234〜236間で上下に並ばないように、通流孔237の配置位置をずらしている。この結果、ドライエアは、図6に破線で示すようにカスケード状に分岐しながら第1の気体供給部23内を流れ、均一な流速で処理空間21内に供給されることになる。また、図6に示した整流板234〜236は、下流側のもの程、通流孔237の数を多くして、開口率を大きくし、各整流板234〜236からのドライエアの流出速度が次第に小さくなるようにしている。整流板234〜236の開口率を変える手法はこの例に限られるものではなく、例えば各整流板234〜236の通流孔237の孔数をほぼ同じにして、下流側の整流板程、通流孔237の孔径を大きくするようにしてもよい。
【0035】
また、第1の気体供給部23の最下面に配置された第3の整流板236は処理空間21側からみるとドライエアの吐出口に相当しており、この第3の整流板236の面積が小さすぎると、第1の気体供給部23から供給されるドライエアが噴流となってラッパ状の気流が乱れて周囲の通常エアを巻き込み、ウエハW表面に水分を持ち込んでしまう。つまり、ウエハWの回転中心に、ドライエアのラッパ状の下降流を形成するためには、ウエハWの周縁部へ向けて掃き出される気流と同量程度以上のドライエアを供給し、さらにこのドライエアが噴流とならない程度の面積を持つ吐出口から供給する必要がある。そこで発明者らは、前記吐出口の適切なサイズを検討した。その結果、300mmのウエハWを回転させながら液処理をする際には、第3の整流板236の直径は100mm以上であることが好ましいことが分かった。
【0036】
一方で、第1の気体供給部23の吐出口の直径をさらに大きくして、ウエハWの直径や外カップ31の開口部の直径よりも大きくすると、ウエハWの表面に供給されずに外カップ31の外側を流れて排出されてしまうドライエアのロス量が多くなる。したがって、第1の気体供給部23の直径は、例えばウエハWの直径以下であることが好ましい。
【0037】
このような事前検討から一つの好適例を挙げると、300mmのウエハを回転させながら液処理を行う際には、直径が100mm以上、ウエハWの直径以下の吐出口を有する第1の気体供給部23から、ドライエアが周囲の通常エアを巻き込まない程度の速度、例えばラッパ状の気流が層流を維持する程度の速度で供給することにより、ウエハW表面への水分の持ち込みを効果的に低減することができ、ウエハW及びその周囲の雰囲気(処理雰囲気)を局所的に低湿度に維持することができる。
【0038】
またここで、第2の気体供給部22から供給される通常エアの平均の流出速度を、第1の気体供給部23から供給される清浄空気の平均の流出速度と一致させることが好ましい。これら通常エアと清浄空気との流出速度を「一致させる」とは、両流出速度が厳密に一致する場合に限定されるものではない。通常エアと清浄空気との流出速度の差の存在によって、ウエハWの回転に伴って形成されるラッパ状の気流が乱されず、一方側の気流が他方側の気流を巻き込むような気流の乱れが生じない程度の範囲であれば、これらの気流は流出速度が一致しているとみなしてよい。
【0039】
図4、図5に示した232は、給気管231から分岐する分岐管であり、カバー部材233の天井面と第1の整流板234との間に形成される空間に、均一にドライエアを供給する役割を果たす。これら分岐管232の吐出口と、第1の整流板234の通流孔237とについても上下方向にずらした位置に配置することが好ましい。
【0040】
図3に示すように給気管231の基端部側に接続された配管は、切り替え弁V1を介してドライエアライン401とバイパスライン402とに分岐している。上流側の送気ファン41、パーティクルフィルター42を通って供給された通常エアは、ドライエアライン401に介設された水分除去部44にて含有水分量が低減される。水分除去部44は、例えばシリカゲルを充填した充填層や、清浄空気が通流する空間の周囲に冷媒が通流する冷却管を巻き付けて含有する水分を凝縮させるチャンバーなどにより構成する場合が考えられるが、水分を低減する手法は特定の方法に限定されるものではない。IPA乾燥時にウエハWの処理雰囲気を低湿度にするという観点では、水分除去部44から供給されるドライエアの相対湿度は、例えば10%以下とすることが好ましい。ここで、第1の気体供給部23に供給されるドライエアは、工場に共通の用力配管など、外部から受け入れてもよい。
【0041】
また、本例における第1の気体供給部23には水分除去部44をバイパスしたバイパスライン402を通った通常エアを供給することも可能であり、これらの流路401、402は流路切り替え弁43によって切り替えられる。
【0042】
以上に説明した構成を備えた液処理装置1は、図2、図3に示すように制御部5と接続されている。制御部5は例えば図示しないCPUと記憶部とを備えたコンピュータからなり、記憶部には液処理システム1や各液処理ユニット2の作用、即ち載置ブロック11に載置されたFOUP100からウエハWを取り出して、各液処理ユニット2に搬入し、液処理を行ってから、FOUP100に戻すまでの制御についてのステップ(命令)群が組まれたプログラムが記録されている。このプログラムは、例えばハードディスク、コンパクトディスク、マグネットオプティカルディスク、メモリーカード等の記憶媒体に格納され、そこからコンピュータにインストールされる。
【0043】
特に制御部5は、図3に示すように各種の切り替え弁V1、43などに制御信号を出力し、処理液の供給タイミングや供給量、処理液などの排出先や第1の気体供給部23から供給される清浄空気の種類を切り替えることができる。
【0044】
以上に説明した構成を備えた液処理装置1の作用について説明すると、まず載置ブロック11に載置されたFOUP100から第1のウエハ搬送機構121により1枚のウエハWを取り出して受け渡し棚131に載置し、この動作を連続的に行う。受け渡し棚131に載置されたウエハWは、搬送部142内の第2のウエハ搬送機機構143により順次搬送されて、いずれかの液処理ユニット2に搬入され、回転プレート33上に保持される。
【0045】
ウエハWの搬入を終えたら処理液供給ノズル35をウエハW中央側の上方位置まで移動させ、ウエハWを例えば10〜1000rpm程度で回転させながらウエハWの表面側および裏面側にSC1液などのアルカリ性処理液を供給する。これによりウエハWの上下面に薬液の液膜が形成されてアルカリ性処理液により、パーティクルや有機性の汚染物質の除去が行われる。次いで、ウエハWの表裏両面に供給される処理液をリンス液に切り替えてリンス洗浄を行った後、リンス液の供給を停止し、ウエハWの回転数を例えば2000rpmに上げ、振切乾燥を実行する。
【0046】
これら、アルカリ洗浄、リンス洗浄、振切乾燥の期間中は、ウエハWの表面に供給される清浄空気中の水分が直接ウォーターマークを形成する原因にはなりにくい。そこで当該期間中は、図3に示した流路切り替え弁43をバイパスライン402側に切り替えて、第1の気体供給部23より通常エアを供給している(図9)。また、第2の気体供給部22からは継続的に通常エアが供給されている。このように、水分の影響が少ない液処理を行っている期間中は、水分除去部44をバイパスして通常エアを供給することにより、水分除去部44の稼働率を下げランニングコストの低減を図っている。なお、水分の影響が少ない液処理を行っている期間中に第1の気体供給部23から供給される気体は、例えばドライエアと通常エアの混合気体であってもよい。第1の気体供給部23から供給されるドライエアの一部を通常エアに振り替えて混合気体を形成すれば、水分除去部44の負荷を下げられるからである。
【0047】
振切乾燥を終えたら、例えば10rpm〜1000rpm程度で回転させながら、ウエハWの表裏両面に酸性の処理液であるDHF液を供給する。これによりこれらの面にDHF液の液膜が形成され、ウエハW表面に形成された自然酸化膜を除去する液処理が行われる。そして所定時間の経過後、処理液をリンス液に切り替えてリンス洗浄を実行する。
【0048】
これらの動作において、例えば酸性の処理液による液処理が行われている期間中は、第1の気体供給部23はバイパスライン402側に接続し、通常エアを供給する。そして、例えばリンス洗浄を行うタイミングとなったら、後段のIPA乾燥の準備として、第1の気体供給部23の接続先をドライエアライン401側に切り替えて処理空間21内へのドライエアの供給を開始し、ドライエアのラッパ状の下降流を形成する(図9)。
【0049】
こうしてリンス洗浄を終え、ウエハW表面に向かって形成される下降流をドライエアに切り替えたら、ウエハWの回転数を例えば1000rpmに調整すると共に、その表面に供給する処理液をIPAに切り替える。この結果、IPAを利用したIPA乾燥が実行され、ウエハW表面に残存するリンス液などの液体が完全に除去される。また、ウエハWの裏面側に残存しているリンス液等は、上記動作に伴うウエハWの回転により振り切られる。
【0050】
このとき、処理空間21内に形成される清浄空気の下降流の流動状態を図8に模式的に示す。当該図において、ドライエアの流れは短い間隔の破線で示し、通常エアの流れは長い間隔の破線で示してある。第1の気体供給部23から流出したドライエアは、ウエハWの回転に伴って形成される気流(図7参照)に乗ってウエハWの表面全体に向かう下降流となる。一方、第2の気体供給部22から供給された通常エアは、第1の気体供給部23から供給されたドライエアの下降流を囲むように流れる下降流を形成する。そして、ウエハW表面側の領域には、ドライエアの下降流が形成されているため、周囲の通常エアの進入が阻まれる。また、ドライエアの下降流の周囲には、通常エアの下降流が形成されているため、処理空間21内の雰囲気が舞い上がることが防止される。
【0051】
この結果、IPA乾燥が行われているウエハWの処理雰囲気へ、ウエハWの上方の雰囲気から水分が持ち込まれることが抑えられ、IPAへの水分の取り込み量を抑制してウォーターマークの発生を低減することが可能となる。また、処理空間21内の雰囲気が舞い上がることが防止され、処理空間21内を清浄に保つことができる。
こうして所定時間IPAを供給したら、ウエハWの回転を継続したままIPAの供給を停止してIPAを除去し、ウエハWを乾燥させた状態として液処理を終える。
【0052】
ここで図9は、第1の気体供給部23からドライエアと通常エアとを切り替えて供給するシーケンスの一例を示したものであり、ドライエア及び通常エアの気体の供給方法はこの例に限定されない。例えば、ドライエアの供給時には、第1の気体供給部23からのドライエアの供給量を200L/分、第2の気体供給部22からの通常エアの供給量を800L/分とする一方、通常エアの供給時には、第1の気体供給部23からのドライエアの供給を停止し、第2の気体供給部22からの通常エアの供給量を1000L/分まで増やしてもよい。ドライエアの供給を停止しても、第2の気体供給部22から供給された通常エアがウエハWの上方に流れ込むので、通常エアは図7に示したラッパ状の気流を形成してウエハWの表面を流れ、排気管311から排気される。このときドライエアの供給・停止期間を通じて処理空間21へのトータルの気体供給量を一定に保つことにより、処理空間21内の圧力変動を抑えることができる。
また、通常エアとドライエアとの切り替えタイミングも図9に示した例に限定されるものではなく、ウエハWの処理雰囲気を低湿度にしたいタイミングで第1の気体供給部23からドライエアを供給すればよい。
【0053】
液処理を終えたウエハWは、搬送アーム144により液処理ユニット2から搬出され、受け渡し棚131に載置された後、第1のウエハ搬送機構121により受け渡し棚131からFOUP100に戻される。こうして液処理システム1に設けられた複数の液処理ユニット2により、複数枚のウエハWに対する液処理が順次行われる。
【0054】
本実施の形態に係わる液処理ユニット2によれば以下の効果がある。液処理が行われるウエハWの表面全体に向かってドライエアの下降流を形成し、このドライエアの下降流を囲む領域に通常エアの下降流を形成するので、ウエハW上にはドライエアが局所的に供給され、IPA乾燥処理時にウエハWの処理雰囲気が低湿度に維持され、ウォーターマークの形成が抑えられる。また、IPA乾燥の結果に影響を及ぼさない領域には、含有する水分を低減していない通常エアの下降流を形成することにより、処理空間21内全体にドライエアを供給する場合に比べてドライエアの消費量が少量で済み、ドライエアの供給コストを低減することができる。
【0055】
また、第1の気体供給部23から供給されるドライエア、第2の気体供給部22から供給される通常エアのいずれも処理空間21内に下降流を形成しているので、処理空間21内の雰囲気が舞い上がることを防止して清浄な状態に保つことができる。
この他、ドライエアを供給する第1の気体供給23を処理空間23の上部に設けることで、例えば背景技術にて説明したトッププレートなどのように、ウエハWの処理雰囲気を低湿度にするための機構やトッププレートとの干渉を避けるための特別な処理液の供給機構を処理空間21内に設ける必要がなく、装置構成を簡略にできる。さらに、トッププレートの昇降動作もないので、処理空間21内に形成される下降流を乱すことなくドライエアの供給が行える。
【0056】
以上、図3を用いて説明した実施の形態では、ウエハWの表面全体に向けて下降する第1の気体としてドライエアを用い、第1の気体の下降流を囲む領域に形成される第2の気体の下降流として通常エアを用いているが、第1の気体と第2の気体の種類はこれに限定されない。例えば、第1の気体として水分を含まない窒素ガスなどの不活性ガスを使用してもよい。
【0057】
また、酸素を多く含む雰囲気で処理することを防ぐ必要がある処理を行う際、例えば銅などの金属配線が形成されたウエハWの液処理を行う際に、ウエハWの表面に酸素が持ち込まれると、銅配線の酸化などの悪影響が及ぶ場合がある。このとき例えば窒素ガスやアルゴンなど酸素を含まない不活性ガスを第1の気体とし、通常エアを第2の気体として処理空間21内に各気体の下降流を形成するようにしてもよい。これによりウエハWの処理雰囲気を低酸素にすることができる。
【0058】
処理液の種類によらずウエハW表面への酸素の持ち込み量を低減したい場合には、薬液処理、リンス処理、乾燥処理の全てにわたって第1の気体供給部23から常時第1の気体が供給されるようにするのが好ましい。
【0059】
次に、図10に示した第1の気体供給部23aはカバー部材233の下面に、セラミクスやセラミクス粒子の焼結体などからなる多孔質体238を設けて第1の気体の均一な供給を行う例である。この他、整流板226や多孔質体238に変えてメッシュを配置してもよい。そして、第2の気体供給部22側についても、パンチングによりカバー部材233を形成した天板222に限らず、多孔質体やメッシュにより構成された天板222を介して処理空間21内に第2の気体を供給してもよいことは勿論である。
【0060】
これらに加え、図11、図12には、第1の気体供給部23bを移動させることによりウエハWの表面全体に向かって第1の気体の下降流と第2の気体の下降流とを切り替えて形成することが可能な液処理ユニット2aの例を示している。本例では、第1の気体供給部23bは昇降機構239により、第2の気体供給部22の内部で昇降可能となっている。そして、第1の気体の下降流を形成しない期間中は、図11に示すように第1の気体供給部23bを上方側の退避位置まで退避させ、当該第1の気体供給部23bの下方側に配置された天板222の通気孔223より第2の気体をウエハWの表面へ供給する。そして、ウエハWの処理雰囲気を第1の気体で形成することが必要な液処理を行うときには、図12に示すように第1の気体供給部23bを降下させ、天板222の一部を第1の気体供給部23bで覆うことにより、当該天板222の通気孔223を介して第1の気体が供給されることになる。
【0061】
また、第1の気体供給部23からの第1の気体が供給される高さ位置は、第2の気体供給部22からの第2の気体が供給される高さ位置と面一になっていなくてもよい。例えば図13の液処理ユニット2bに示すように、第1の気体供給部23の吐出口を第2の気体供給部22の吐出口(本例では処理空間21の天井面)よりも低い位置に突出させて、第2の気体よりも低い高さ位置から第1の気体を供給することにより、第2の気体の巻き込みを抑制してもよい。
【0062】
さらにこれらの他、第2の気体供給部22の構成は、図3、図4に示した構成例に限られるものではない。例えば図14の液処理ユニット2cに示す第2の気体供給部22のように、開口部221に流量調節弁224を設けることにより、通気孔223からの通常エアの流出速度を増減させ、第1の気体供給部23から供給されるドライエアの流出速度と一致させてもよい。また、図15に示すように第2の気体供給部22の上面にFFU225を設け、液処理ユニット2d毎に個別に給気ダクト226から通常エアを供給する構成を採用してもよい。
【0063】
以上、ウエハWにアルカリ性、酸性、有機溶剤の処理液を供給して洗浄処理を行う液処理ユニット2に本発明の液処理装置を適用した例について説明したが、当該液処理装置にて実施可能な液処理の種類はこれに限られない。例えば、ウエハや角形基板である被処理基板を回転させながら低湿度、低酸素などの、行われる液処理に適した処理雰囲気を形成する必要がある液処理装置であれば本発明は適用することができる。
【符号の説明】
【0064】
W ウエハ
1 液処理システム
2、2a〜2d
液処理ユニット
21 処理空間
22 第2の気体供給部
23、23a、23b
第1の気体供給部
234 第1の整流板
235 第2の整流板
236 第3の整流板
33 回転プレート
35 処理液供給ノズル
44 水分除去部
5 制御部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理基板の表面に処理液を供給して液処理を行う液処理装置において、
液処理が行われる筐体と、
この筐体内で被処理基板を保持して鉛直軸周りに回転させるための回転保持部と、
この回転保持部に保持されて回転する被処理基板の表面に処理液を供給するための処理液供給ノズルと、
前記回転保持部の周囲に設けられたカップと、
前記液処理に適した処理雰囲気を形成するために、前記回転保持部に保持された被処理基板に対向する位置に配置され、前記被処理基板の表面全体を流れ、カップに流入する第1の気体の下降流を形成するための第1の気体供給部と、
この第1の気体の下降流の外方領域に、前記第1の気体とは異なる第2の気体の下降流を形成するための第2の気体供給部と、を備え、
前記第1の気体供給部及び第2の気体供給部は、前記筐体の天井部に設けられていることを特徴とする液処理装置。
【請求項2】
前記第1の気体供給部からは、被処理基板を回転させることによって当該被処理基板の回転中心から周縁部へ向けて流れる気流の流量以上の第1の気体が供給されることを特徴とする請求項1に記載の液処理装置。
【請求項3】
前記第1の気体供給部から供給される第1の気体の流出速度と、第2の気体供給部から供給される第2の気体の流出速度とが一致していることを特徴とする請求項1または2に記載の液処理装置。
【請求項4】
前記第1の気体供給部は、第1の気体の下降流と第2の気体の下降流とを切り替えて形成するように構成されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一つに記載の液処理装置。
【請求項5】
前記第1の気体供給部は、前記第1の気体の下降流を形成する位置と、退避位置との間で移動可能に構成され、
前記第2の気体供給部は、第1の気体供給部が退避位置にあるときは、第1の気体の下降流に代わって、被処理基板の表面全体に向かう第2の気体の下降流を形成するように構成されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一つに記載の液処理装置。
【請求項6】
前記被処理基板は円形基板であり、前記第1の気体供給部は、直径100mm以上、被処理基板の直径以下の直径を持つ円形の吐出口を有することを特徴とする請求項1ないし5のいずれか一つに記載の液処理装置。
【請求項7】
前記吐出口には、吐出口の全体から均一な流速で第1の気体を供給するために、多数の孔部が形成された整流板が設けられていることを特徴とする請求項6に記載の液処理装置。
【請求項8】
前記第1の気体は、ドライエアまたは不活性ガスであることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか一つに記載の液処理装置。
【請求項9】
被処理基板の表面に処理液を供給して液処理を行う液処理方法において、
被処理基板を保持して鉛直軸周りに回転させる工程と、
この回転する被処理基板の表面に処理液を供給する工程と、
前記液処理に適した処理雰囲気を形成するために、被処理基板の上方から第1の気体を供給し、前記回転する被処理基板の表面を回転中心から周縁部に向かって流れる第1の気体の下降流を形成する工程と、
この第1の気体の下降流の外方領域に、前記第1の気体とは異なる第2の気体の下降流を形成する工程と、を含むことを特徴とする液処理方法。
【請求項10】
前記第1の気体の下降流には、被処理基板を回転させることによって当該被処理基板の回転中心から周縁部へ向けて流れる気流の流量以上の第1の気体が含まれていることを特徴とする請求項9に記載の液処理方法。
【請求項11】
前記第1の気体は、被処理基板の回転に伴う基板周縁部へ気流の流れを乱さないように供給されることを特徴とする請求項9または10に記載の液処理方法。
【請求項12】
前記第1の気体と第2の気体は、第1の気体の下降流に、第2の気体が混じらないように供給されることを特徴とする請求項9ないし11のいずれか一つに記載の液処理方法。
【請求項13】
前記第1の気体の下降流の流速と、第2の気体の下降流の流速とが一致していることを特徴とする請求項9ないし12のいずれか一つに記載の液処理方法。
【請求項14】
前記第1の気体の下降流と切り替えて、回転する被処理基板の表面を回転中心から周縁部に向かって流れる第2の気体の下降流を形成する工程を含むことを特徴とする請求項9ないし13のいずれか一つに記載の液処理方法。
【請求項15】
前記第1の気体は、ドライエアまたは不活性ガスであることを特徴とする請求項9ないし14のいずれか一つに記載の液処理方法。
【請求項16】
被処理基板の表面に処理液を供給して液処理を行う液処理装置に用いられるコンピュータプログラムを格納した記憶媒体であって、
前記プログラムは請求項9ないし15のいずれか一つに記載された液処理方法を実行するためにステップが組まれていることを特徴とする記憶媒体。
【請求項1】
被処理基板の表面に処理液を供給して液処理を行う液処理装置において、
液処理が行われる筐体と、
この筐体内で被処理基板を保持して鉛直軸周りに回転させるための回転保持部と、
この回転保持部に保持されて回転する被処理基板の表面に処理液を供給するための処理液供給ノズルと、
前記回転保持部の周囲に設けられたカップと、
前記液処理に適した処理雰囲気を形成するために、前記回転保持部に保持された被処理基板に対向する位置に配置され、前記被処理基板の表面全体を流れ、カップに流入する第1の気体の下降流を形成するための第1の気体供給部と、
この第1の気体の下降流の外方領域に、前記第1の気体とは異なる第2の気体の下降流を形成するための第2の気体供給部と、を備え、
前記第1の気体供給部及び第2の気体供給部は、前記筐体の天井部に設けられていることを特徴とする液処理装置。
【請求項2】
前記第1の気体供給部からは、被処理基板を回転させることによって当該被処理基板の回転中心から周縁部へ向けて流れる気流の流量以上の第1の気体が供給されることを特徴とする請求項1に記載の液処理装置。
【請求項3】
前記第1の気体供給部から供給される第1の気体の流出速度と、第2の気体供給部から供給される第2の気体の流出速度とが一致していることを特徴とする請求項1または2に記載の液処理装置。
【請求項4】
前記第1の気体供給部は、第1の気体の下降流と第2の気体の下降流とを切り替えて形成するように構成されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一つに記載の液処理装置。
【請求項5】
前記第1の気体供給部は、前記第1の気体の下降流を形成する位置と、退避位置との間で移動可能に構成され、
前記第2の気体供給部は、第1の気体供給部が退避位置にあるときは、第1の気体の下降流に代わって、被処理基板の表面全体に向かう第2の気体の下降流を形成するように構成されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一つに記載の液処理装置。
【請求項6】
前記被処理基板は円形基板であり、前記第1の気体供給部は、直径100mm以上、被処理基板の直径以下の直径を持つ円形の吐出口を有することを特徴とする請求項1ないし5のいずれか一つに記載の液処理装置。
【請求項7】
前記吐出口には、吐出口の全体から均一な流速で第1の気体を供給するために、多数の孔部が形成された整流板が設けられていることを特徴とする請求項6に記載の液処理装置。
【請求項8】
前記第1の気体は、ドライエアまたは不活性ガスであることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか一つに記載の液処理装置。
【請求項9】
被処理基板の表面に処理液を供給して液処理を行う液処理方法において、
被処理基板を保持して鉛直軸周りに回転させる工程と、
この回転する被処理基板の表面に処理液を供給する工程と、
前記液処理に適した処理雰囲気を形成するために、被処理基板の上方から第1の気体を供給し、前記回転する被処理基板の表面を回転中心から周縁部に向かって流れる第1の気体の下降流を形成する工程と、
この第1の気体の下降流の外方領域に、前記第1の気体とは異なる第2の気体の下降流を形成する工程と、を含むことを特徴とする液処理方法。
【請求項10】
前記第1の気体の下降流には、被処理基板を回転させることによって当該被処理基板の回転中心から周縁部へ向けて流れる気流の流量以上の第1の気体が含まれていることを特徴とする請求項9に記載の液処理方法。
【請求項11】
前記第1の気体は、被処理基板の回転に伴う基板周縁部へ気流の流れを乱さないように供給されることを特徴とする請求項9または10に記載の液処理方法。
【請求項12】
前記第1の気体と第2の気体は、第1の気体の下降流に、第2の気体が混じらないように供給されることを特徴とする請求項9ないし11のいずれか一つに記載の液処理方法。
【請求項13】
前記第1の気体の下降流の流速と、第2の気体の下降流の流速とが一致していることを特徴とする請求項9ないし12のいずれか一つに記載の液処理方法。
【請求項14】
前記第1の気体の下降流と切り替えて、回転する被処理基板の表面を回転中心から周縁部に向かって流れる第2の気体の下降流を形成する工程を含むことを特徴とする請求項9ないし13のいずれか一つに記載の液処理方法。
【請求項15】
前記第1の気体は、ドライエアまたは不活性ガスであることを特徴とする請求項9ないし14のいずれか一つに記載の液処理方法。
【請求項16】
被処理基板の表面に処理液を供給して液処理を行う液処理装置に用いられるコンピュータプログラムを格納した記憶媒体であって、
前記プログラムは請求項9ないし15のいずれか一つに記載された液処理方法を実行するためにステップが組まれていることを特徴とする記憶媒体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
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【図4】
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【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2012−195444(P2012−195444A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−58240(P2011−58240)
【出願日】平成23年3月16日(2011.3.16)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月16日(2011.3.16)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】
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