液晶表示装置およびその製造方法
【課題】映像信号線のパターニング時における映像信号線の断線を防止する。
【解決手段】映像信号線107、ドレイン電極107、ソース電極107は同層で同時に形成される。映像信号線107等はベース層1071、AlSi層1072、キャップ層1073の3層によって形成される。従来は、AlSi層1072において、キャップ層1073との境界にエッチングレートの早い合金が形成されて映像信号線107等のパターニング時、断線を生じていた。本発明では、映像信号線107等の形成時、AlSi層1072をスパッタリングによって形成した後、TFTを大気にさらし、AlSi層の表面にAl酸化層を形成した後、キャップ層1073をスパッタリングによって形成する。これによってAlSi層に、エッチングレートが部分的に早くなる合金が発生することを防止し、映像信号線等の断線の発生を防止する。
【解決手段】映像信号線107、ドレイン電極107、ソース電極107は同層で同時に形成される。映像信号線107等はベース層1071、AlSi層1072、キャップ層1073の3層によって形成される。従来は、AlSi層1072において、キャップ層1073との境界にエッチングレートの早い合金が形成されて映像信号線107等のパターニング時、断線を生じていた。本発明では、映像信号線107等の形成時、AlSi層1072をスパッタリングによって形成した後、TFTを大気にさらし、AlSi層の表面にAl酸化層を形成した後、キャップ層1073をスパッタリングによって形成する。これによってAlSi層に、エッチングレートが部分的に早くなる合金が発生することを防止し、映像信号線等の断線の発生を防止する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置に係り、特に映像信号線の断線を防止できる構成を与える液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置では画素電極および薄膜トランジスタ(TFT)等がマトリクス状に形成されたTFT基板と、TFT基板に対向して、TFT基板の画素電極と対応する場所にカラーフィルタ等が形成された対向基板が設置され、TFT基板と対向基板の間に液晶が挟持されている。そして液晶分子による光の透過率を画素毎に制御することによって画像を形成している。
【0003】
液晶表示装置はフラットで軽量であることから、TV等の大型表示装置から、携帯電話やDSC(Digital Still Camera)等、色々な分野で用途が広がっている。また、液晶表示装置は、画面を視る角度によって画像が異なるという視野角が問題となるが、この視野角については、IPS(In Plane Switching)方式の液晶表示装置が優れた特性を有している。
【0004】
液晶表示装置では、映像信号線が第1の方向に延在して第2の方向に配列し、走査線が第2の方向に延在して第1の方向に配列している。映像信号線は、線幅をおさえ、かつ、電気抵抗を小さくするために、Al合金が使用される。Al合金は、フォトリソグラフィ工程におけるエッチングあるいは現像工程において、欠陥を生じやすい。
【0005】
IPS方式の液晶表示装置にも色々あるが、映像信号線あるいはドレイン電極とITO(Indium Tin Oxide)で形成された画素電極とを同じ層(例えば、ゲート絶縁膜)の上に形成し、その上に層間絶縁膜を形成し、その上に櫛歯状の対向電極を形成する方式がある。この場合、ITOの現像液によって映像信号線あるいはドレイン電極が溶解して欠陥あるいは断線を生ずるという問題がある。
【0006】
「特許文献1」には、このような問題を防止するために、ITOによる画素電極を先に形成し、その後、TFTのドレイン電極あるいは映像信号線を形成する構成が記載されている。また、「特許文献2」には、同じ目的のために、画素電極を構成するITOを2層構造とすることによって、ITOの現像液によってドレイン電極あるいは映像信号線が侵されないようにする構成が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特願2010−217062号
【特許文献2】特開2011−145530号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
液晶表示装置では、各画素に対応してTFTが形成されている。図13は、映像信号線107が縦方向に延在して横方向に配列し、走査線105が横方向に延在して縦方向に配列しており、映像信号線107と走査線105とで囲まれた領域に画素が形成されている構成を示す平面図である。図13において、画素電極は省略されている。各画素への映像信号は、映像信号線107から、第1スルーホール115を介し、3個のTFTを通し、第2スルーホール116を介して図示しない画素電極に供給される。
【0009】
図13において、走査線105がTFTのゲート電極105を兼ねている。半導体層103は、映像信号線107と接続した第1スルーホール115から屈曲して、3回走査線105(ゲート電極)の下を通ることによって3個のトップゲートのTFTが形成されている。
【0010】
映像信号線107はTFTに対してドレイン電極107になり、映像信号線107と同層で形成された金属層がソース電極107となっている。映像信号線、ドレイン電極、ソース電極は同じ材料で、同時に形成されるので、同じ番号107を付す。映像信号線107は電気抵抗を小さくするために、AlあるいはAl合金によって形成されている。ここでは、AlSiが使用されているが、Siの量は1%程度である。Alは半導体層103に拡散しやすく、かつヒロックを生じ易い。
【0011】
Alが半導体層103に拡散することを防止するために、AlSi層の下層にMoW等によるベース層1071を形成し、AlSi層1072の上層にMoW等によるキャップ層1073を形成する。このような構成の映像信号線107では、フォトリソグラフィにおけるエッチング工程において、図13に例示するような、映像信号線の断線を生ずる確率があることがわかった。
【0012】
図14は、図13の映像信号線107の断線部分における断面図である。図14において、TFT基板100の上に、第1下地膜101、第2下地膜102、ゲート絶縁膜104、層間絶縁膜106が形成され、その上に映像信号線107が形成されているが、映像信号線107に断線70が生じている。映像信号線107の上には、無機パッシベーション膜108が形成され、その上に有機パッシベーション膜109が形成され、その上に上部絶縁膜111、その上に配向膜113が形成されている。図14において、映像信号線107が断線した部分には、無機パッシベーション膜108が不規則な形で堆積している。
【0013】
このような映像信号線107の断線は修復できなければ、その液晶表示装置は不良になる。本発明の課題は図13あるいは、図14に示すような、3層構造の映像信号線107における断線を防止することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は上記問題を克服するものであり、具体的な手段の主なものは次のとおりである。すなわち、走査線が第1の方向に延在して第2の方向に配列し、映像信号線が第2の方向に延在して第1の方向に配列し、前記走査線と前記映像信号線とで囲まれた領域に画素が形成されている液晶表示装置であって、前記画素はTFTを含み、前記TFTは、半導体層、ゲート絶縁膜、ゲート電極、ドレイン電極、ソース電極を含み、前記映像信号線は、ベース層、AlSi層およびキャップ層を含み、前記AlSi層において、前記キャップ層との境界部分における酸素の量は、前記AlSi層の中央部における酸素の量の50倍以上であることを特徴とする液晶表示装置である。
【0015】
また、本発明による製造方法にかかる主な手段は、TFT基板上に、走査線が第1の方向に延在して第2の方向に配列し、映像信号線が第2の方向に延在して第1の方向に配列し、前記走査線と前記映像信号線とで囲まれた領域に画素が形成されており、前記映像信号線は、ベース層、AlSi層およびキャップ層を含む構成である液晶表示装置の製造方法であって、前記ベース層および前記AlSi層をスパッタリングによって形成したあと、前記TFT基板を真空チャンバーから取り出して大気にさらし、その後真空チャンバー中でキャップ層をスパッタリングすることを特徴とする液晶表示装置の製造方法である。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、映像信号線、ドレイン電極、ソース電極等において、パターニングプロセスにかかる断線の発生を防止することが出来るので、液晶表示装置の製造歩留まりを上げることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明が適用される液晶表示装置の断面図である。
【図2】従来例における断線発生のメカニズムを示す断面模式図である。
【図3】従来例におけるキャップ層を形成後の放置時間と映像信号線の断線発生の関係を示すグラフである。
【図4】従来例と本発明の映像信号線の製造プロセスフローである。
【図5】本発明の映像信号線の製造プロセスの断面図である。
【図6】キャップ層形成後の放置時間と映像信号線の断線の数を従来例と本発明とで比較したグラフである。
【図7】キャップ層の接着強度試験の模式図である。
【図8】キャップ層の接着強度試験の結果である。
【図9】本発明と従来例におけるレジスト現像幅の分布である。
【図10】本発明と従来例における映像信号線のパターン幅の分布である。
【図11】従来例における映像信号線のSIMSによる元素分析の結果である。
【図12】本発明における映像信号線のSIMSによる元素分析の結果である。
【図13】本発明が適用される画素部とTFTの平面図であって、映像信号線の断線を示す平面図である。
【図14】映像信号線の断線の状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、実施例により本発明の内容を詳細に説明する。
【実施例1】
【0019】
図1は本発明が適用される液晶表示装置におけるTFTと画素部の断面図である。図1のTFTは、ゲート電極105がチャンネル部の上に存在するトップゲートのTFTである。図1において、ガラス基板100の上にSiNからなる第1下地膜101およびSiO2からなる第2下地膜102がCVDによって形成される。第1下地膜101および第2下地膜102の役割はガラス基板100からの不純物が半導体層103を汚染することを防止することである。
【0020】
第2下地膜102の上には半導体層103が形成される。この半導体層103は第2下地膜102に上にCVDによってa−Si膜を形成し、これをレーザアニールすることによってpoly−Si膜に変換したものである。このpoly−Si膜をフォトリソグラフィによってパターニングする。
【0021】
半導体膜103の上にはゲート絶縁膜104が形成される。このゲート絶縁膜104はTEOS(テトラエトキシシラン)によるSiO2膜である。この膜もCVDによって形成される。その上にゲート電極105が形成される。ゲート電極105は走査線105と同層で、同時に形成される。ゲート電極105はMoW膜によって形成される。走査線105の抵抗を小さくする必要あるときはAl合金が使用される。
【0022】
ゲート電極105はフォトリソグラフィによってパターニングされるが、このパターニングの際に、イオンインプランテーションによって、リンあるいはボロン等の不純物をpoly−Si層にドープしてpoly−Si層にソースSあるいはドレインDを形成する。また、ゲート電極105のパターニングの際のフォトレジストを利用して、poly−Si層のチャネル層とソースSあるいはドレインDの間にLDD(Lightly Doped Drain)層を形成する。
【0023】
その後、ゲート電極105あるいは走査線105を覆って層間絶縁膜106をSiO2によって形成する。層間絶縁膜106は走査線105と映像信号線107等とを絶縁するためである。層間絶縁膜106の上にソース電極107とドレイン電極107が形成される。ソース電極107、ドレイン電極107、映像信号線107は同層で同時に形成される。映像信号線107等は抵抗を小さくするためにAlSi合金が使用される。AlSi中のSiの量は1%程度である。AlSi合金はヒロックを発生したり、Alが他の層に拡散したりするので、MoWによるバリア層1071、およびSDキャップ層1073によってサンドイッチされている。ここで、バリア層1071の厚さは例えば40nm、AlSi層1072の厚さは例えば250nm、キャップ層1073の厚さは例えば75nmである。
【0024】
TFTのドレインとドレイン電極107を接続するために、ゲート絶縁膜104に第1スルーホール115が形成されている。ドレイン電極107は映像信号線107と一体でつながっている。また、TFTのソースSとソース電極107を接続するためにゲート絶縁膜104に第1スルーホール115が形成されている。
【0025】
ソース電極107、ドレイン電極107、映像信号線107等を覆ってTFT全体を保護するために、無機パッシベーション膜108を被覆する。無機パッシベーション膜108は第1下地膜101と同様にCVDによって形成される。無機パッシベーション膜108を覆って有機パッシベーション膜109が形成される。有機パッシベーション膜109は感光性のアクリル樹脂等で形成される。有機パッシベーション膜109は平坦化膜としての役割を持っているので、厚く形成される。有機パッシベーション膜109の膜厚は1〜4μmであるが、多くの場合は2〜3μmである。
【0026】
有機パッシベーション膜109の上には透明電極であるITO(Indium Tin Oxide)によって対向電極110が形成される。対向電極110は平面ベタで形成される。対向電極110の上には、SiNによる上部絶縁膜111が形成され、その上に櫛歯状の画素電極112が形成されている。画素電極112にTFTを通して映像信号を与えるために上部絶縁膜111、有機パッシベーション膜109、無機パッシベーション膜108に第2スルーホール116が形成され、ソース電極107と画素電極112が接続される。画素電極112に映像信号が印加されると、櫛歯状の画素電極112と平面べたで形成された対向電極110との間に発生する電気力線によって液晶分子が回転し、液晶層の透過率が変化して画像が形成される。
【0027】
このように、有機パッシベーション膜109の上に平面ベタで対向電極110が形成され、上部絶縁膜111を挟んで櫛歯状の画素電極112が形成される構成をIPS−PROと呼んでいる。また、図1とは逆に有機パッシベーション膜109の上に平面ベタで画素電極112を形成し、上部絶縁膜111を挟んで櫛歯状の対向電極110を形成する構成もIPS−PROと呼ばれている。
【0028】
図1におけるドレイン電極107は、図13に示すように映像信号線107と一体で形成される。したがって、映像信号線107もベース層1071、AlSi層1072、キャップ層1073によって形成されている。映像信号線107は細くて長いので、図13および図14に示すような断線を生ずる機会が多い。ベース層1071、AlSi層1072、キャップ層1073は順にスパッタリングによって形成され、その後、フォトリソグラフィによって、各層とも同時にパターニングされる。
【0029】
映像信号線107の断線の原因を調査すると、スパッタリングによるキャップ層1073の成膜からフォトリソグラフィによるパターニングまでの時間が長いほど、断線の数が増加することがわかった。これは、AlSi層1072とキャップ層1073との間に合金が形成されて、この合金が、エッチング液によってエッチングされるスピードが速いためと考えられる。
【0030】
図2は、このメカニズムを示す断面模式図である。図2Aは層間絶縁膜106の上にベース層1071、AlSi層1072、キャップ層1073からなる映像信号線107が成膜されている状態を示す。図2Bは、AlSi層1072とキャップ層1073との間に合金層1075が生成していることを示す。この合金層1075は部分的に厚くなっている。図2Cは、パターニングのために、レジスト120を形成し、エッチング液にさらした状態を示している。図2Cにおいて、エッチング速度の速い合金層1075が厚く形成された部分をめがけて、すなわち、白矢印の方向にエッチングが進んでいく様子を示している。図2Dは、その結果、合金層1075が厚く形成された部分において、エッチング液によって映像信号線107に断線70が生じた状態を示している。
【0031】
図2B等に示す合金層1075は、スパッタリングによる映像信号線107の成膜後、時間が経過するほど増大する。したがって、スパッタリングによる成膜からフォトリソグラフィ工程までの放置時間が長いほど、断線の割合が大きくなる。図3は、図2のような合金層1075が形成されている従来例において、キャップ層1073をスパッタリングした後、フォトリソグラフィまでの放置時間と映像信号線107の断線発生数(図3におけるD断)をプロットしたものである。
【0032】
図3において、縦軸の映像信号線107の断線(D断)の数は、マザー基板1枚当たりの映像信号線107の断線の発生数である。すなわち、液晶表示装置の製造では、大判のマザー基板に多数の液晶表示パネルを形成し、これをダイシング等によって個々に分離する。図3におけるマザー基板は730mm×920mmであり、この中に200個の液晶表示パネルが形成される。すなわち、例えば、映像信号線107の断線不良が500個も発生すると、マザー基板に形成される液晶表示パネルのほとんどが不良になってしまう。
【0033】
図3において、映像信号線107の断線は50時間までは、ほとんど発生していない。したがって、従来仕様においては、キャップ層1073のスパッタリング後、フォトリソグラフィまでの時間を48時間以内とすることによって映像信号線107の断線を防止している。これは、プロセスに対する制約が大きいことを意味している。
【0034】
本発明は、キャップ層1073のスパッタリング後の放置時間が増大しても、このような映像信号線107の断線が発生しないような構成を与えるものである。本発明の構成を可能とする液晶表示パネルの製造プロセスを図4に示す。図4は、本発明によるプロセスと従来例によるプロセスを対比して記載したものである。
【0035】
まず、図4における従来例から説明する。TFT基板100において、層間絶縁膜106を形成後、バリア層1071を形成する前に洗浄を行う。これがバリアMoWスパッタ前洗浄である。その後、バリア層1071となるMoWをスパッタリングする。その後、このバリア層1071に対してRapid Thermal Anneal(RTA)を行う。RTAはランプによって瞬間的にバリア層1071をアニールする工程である。RTAによって、バリア層1071のAlに対するブロック効果を向上させることができる。
【0036】
その後別のスパッタリングチャンバーにおいて、AlSi層1072をスパッタリングによって形成し、続けてキャップ層1073であるMoWをスパッタリングによって形成する。その後、Alフォトリソグラフィを行い、ウェットエッチングによってキャップ層1073、AlSi層1072、ベース層1071を同時にエッチングを行い、その後、レジスト120を剥離する。
【0037】
従来例では、AlSi層1072とキャップ層1073を連続して形成しているので、この2層の間で合金層1075が生成する。この合金層1075のエッチングレートが他の金属に比べて早いので、断線の原因となっていた。本発明では、AlSi層1072とキャップ層1073との間にAlの酸化物層1074を形成することによって、合金層1075の生成を防止するものである。なお、Alの酸化物層1074の大部分はAL2O3であると考えられる。AlSi層1072におけるSiの量は1%程度だからである。
【0038】
図4の右側のプロセスが本発明によるプロセスフローである。本発明が従来例と異なるところは、AlSi層1072をスパッタリングによって形成した後、基板を真空チャンバーから取り出し、AlSi層1072を大気にさらし、AlSi層1072の表面にAl酸化層1074を形成させる点である。これによって、AlSi層1072とキャップ層1073との間にエッチングレートの早い合金層1075が形成されることを防止することができる。また、Al酸化層1074のエッチングレートは遅いので、エッチングによって断線が生ずる確率は非常に小さい。
【0039】
AlSi層1072をスパッタリング後、大気にさらす時間は極めて短時間でよい。酸化物層1074は極めて短時間で形成されるからである。意図的に大気にさらす時間を決めるとすると、30秒以上とすれば十分である。また、Alの酸化層1074は一定以上は進行しないので、AlSi層1072自体が大気中の水分等によって劣化するような長時間を除いては、特に、上限は必要ない。
【0040】
図6は本発明による映像信号線107、ドレイン電極107、ソース電極107等(以後映像信号線)の製造フローである。図5において、映像信号線107が載っている層間絶縁膜は省略されている。図5Aは従来どおり、MoWによるベース層1071、AlSi層1072を形成した状態を示す。図5BはAlSi層1072を形成したあと、真空チャンバーから基板を取り出し、大気に晒すことによって、AlSi層1072の表面にAl酸化層1074が形成された状態を示す断面図である。図5Cは、Al酸化層1074の上にMoWによるキャップ層1073が形成された状態を示す。
【0041】
図5Dはキャップ層1073の上にパターニングのためにレジスト120を形成した状態を示す。図5Eはこの状態でエッチングを行い、レジスト120が形成された部分以外のキャップ層1073、AlSi層1072、バリア層1071を除去した状態を示す。図5Fは、レジスト120を除去した状態を示す。図5に示すように、本発明によれば、AlSi層1072とキャップ層1073との間にエッチングレートの早い合金は形成されず、その代わりに、Al酸化層1074が形成されているので、従来のように、映像信号線107をエッチングするときに生ずる断線70を防止することができる。
【0042】
図6は本発明を実際の製品に適用した場合の、映像信号線107の断線の数を従来例と比較したものである。従来例は、菱形のプロットで示すように、映像信号線107の断線の数は、50時間を越えると指数関数的に増大する。一方、四角のプロットで示す本発明では、映像信号線107の断線は、試験をした196時間まではゼロであった。なお、映像信号線107の断線70の数は、図3と同じ、サイズが730mm×920mmのマザー基板あたりの数である。このように、本発明による映像信号線107の断線に対する効果は非常に大きい。
【0043】
一方、AlSi層1072とキャップ層1073との間にAl酸化層1074を形成したことによる、AlSi層1072とキャップ層1073との接着力、あるいは、エッチング幅のばらつきを評価する必要がある。図7は、AlSi層1072とキャップ層1073との接着力を評価した模式図である。
【0044】
図7Aは従来例である。図7Aにおいて、層間絶縁膜106の上にベース層1071、AlSi層1072、キャップ層1073が形成されている。キャップ層1073、AlSi層1072、ベース層1071にカッターで傷20をつけ、キャップ層1073にテープ10を貼り付けて剥がし試験を行った。図7Bは本発明の構成である。図7Bにおいて、キャップ層1073、Al酸化層1074、AlSi層1072、ベース層1071にカッターで傷20をつけ、キャップ層1073の表面にテープ10を貼り付けて剥がし試験をおこなった。キャップ層1073がAlSi層1073あるいはAl酸化層1074から剥れれば、接着力が不十分であるといえる。
【0045】
図8Aは、マザー基板30において、剥がし試験を行った場所を示す。場所は、マザー基板30の中央と4コーナーである。図8Bは、剥がし試験の結果である。図8Bの左コラムにおける連続成膜とは、AlSi層1072とキャップ層1073を連続して形成したもので、従来例である。Refはリファレンスの意味である。非連続とは、本発明によるものであり、AlSi層1072をスパッタリングした後、真空を破ってAlSi層1072の表面にAl酸化層1074を形成し、その後キャップ層1073を形成したものである。非連続の下に記載している時間は、AlSi層1072をスパッタリングした後、キャップ層1073をスパッタリングするまでの大気中における放置時間である。なお、ゼロ時間とは、AlSi層1072を大気に晒して再び、ただちに真空チャンバーに戻した場合である。
【0046】
図8Bの行方向の数字は図8Aにおける場所に対応する。図8Aおよび図8Bに示すように、すべて場所において、キャップ層1073の剥れは発生しなかった。つまり、キャップ層1073の剥れについては、従来例と本発明とでは、有意差はなかった。
【0047】
図9および図10は、本発明の構成において、映像信号線107の幅のばらつきを評価した例である。スパッタリングによってキャップ層1073を形成した後、フォト工程によって、レジスト120を形成する。レジスト幅(レジストの現像寸法)を従来例と本発明とで評価した。図9において、横軸は映像信号線107のレジスト120の現像寸法であり、縦軸は、度数分布である。Refは従来例であり、AlSi層1072に連続してキャップ層1073をスパッタリングによって形成した例である。図9において、12h放置、24h放置、96h放置は、本発明において、AlSi層1072を形成後、キャップ層1073を形成するまでの間、基板を大気中にさらした時間である。
【0048】
図9からレジスト120の現像寸法は、従来例、本発明における放置時間12h、24h、96hとも有意差は無いといえる。図9において、3σはRefで0.427とやや大きく、本発明においては、12h放置で0.391、24h放置で0.390、96h放置で0.396であり、本発明におけるほうがやや小さいが、この程度の差は、生産ロットのばらつきの範囲内であるといえる。
【0049】
図10は、エッチングした後の映像信号線107の幅の分布を示すものである。図10において、横軸はAl完成寸法すなわち、映像信号線107の寸法、縦軸は度数分布である。図10における評価対象は図9で説明したのと同様である。図10において、映像信号線107の寸法は、従来例よりも本発明において大きくなっている。すなわち、本発明においては、AlSi層1072とキャップ層1073との間にAl酸化層1074が形成されており、このAl酸化層1074はエッチング速度が小さいためと考えられる。
【0050】
一方、本発明において、AlSi層1072形成後、キャップ層1073を形成するまでに大気にさらした時間は、12h、24h、96hで有意差は無いといえる。3σは従来例(Ref)で0.43、12h放置で0.517、24h放置で0.465、96h放置で0.478であるが、この程度の差は生産ロットのばらつきの範囲内である。
【0051】
このように、映像信号線107の幅は、本発明の構成において、従来例の構成よりも大きくなっているが、ばらつきは変化が無いといえる。したがって、エッチングレートの差を考慮してレジスト120の現像寸法を決めれば、所定の映像信号線幅を従来と同様のばらつきによって得ることが出来る。
【0052】
図11は従来仕様における映像信号線107およびその上下の層の成分を特定するためのSIMS(Secondary Mass Spectrometry)のデータである。SIMSは層の上側の成分から測定される。図11において、まず、無機パッシベーション膜108であるSiNが観測され、その後、キャップ層1073であるMoWが検出され、その後、AlSi層1072が検出され、その後、バリア層1071であるMoWが検出され、その後、層間絶縁膜106であるSiO2が検出される。図11において、実線が酸素であり、点線がAlであり、一点鎖線がSiである。
【0053】
図12は本発明における映像信号線107およびその上下の層の成分を特定するためのSIMSのデータである。図11において、まず、無機パッシベーション膜108であるSiNが観測され、その後、キャップ層1073であるMoWが検出される。その後、AlSi層1072が検出されるが、従来例である図11と大きく異なるところは、AlSi層1072におけるキャップ層1073との境界において、酸素の量が非常に大きいことである。酸素の量は、AlSi層1072の中央付近に行くにつれて小さくなり、従来例と同等になる。その後、バリア層1071であるMoWが検出され、層間絶縁膜106であるSiO2が検出されることは図11に示す従来例と同様である。
【0054】
本発明の特徴は、図12におけるAlSi層1072での、キャップ層1073との境界における酸素の量と、AlSi層1072の中央における酸素の量の差が、50倍以上、より好ましくは100倍以上であることである。一方、従来例を示す図11では、AlSi層1072での、キャップ層1073との境界における酸素の量と、AlSi層1072の中央における酸素の量の差は10倍程度である。
【0055】
このように、本発明では、AlSi層1072におけるキャップ層1073との境界にAl酸化層1074を形成することによって、映像信号線等のパターニングにおいて、部分的にエッチングレートが異常に早くなることによる断線を防止することが出来、液晶表示パネルの製造歩留まりを向上させることが出来る。
【0056】
以上では、本発明をトップゲートのTFTを用いたIPS−PROの構成について説明した。本発明は、ゲート電極が半導体層よりも下側に存在するいわゆるボトムゲートのTFTを用いたIPS−PROに対しても同様に適用することが出来る。また、本発明は、「特許文献1」あるいは「特許文献2」に記載されているような、無機パッシベーション膜の上に平面ベタで画素電極を形成し、層間絶縁膜の上に櫛歯状の対向電極を形成した構成のいわゆるIPS−LITEと呼ばれている液晶表示装置にも適用することが出来る。さらに、本発明は、いわゆるTN(Twisted Nematic)あるいはVA(Vertical Alignmnet)方式の液晶表示装置にも適用することが出来る。つまり、映像信号線、ドレイン電極、あるいはソース電極をベース層、AlSi層、キャップ層の3層で形成している液晶表示装置に使用することが出来る。
【符号の説明】
【0057】
10…テープ、20…カッターによる傷、30…マザー基板、50…画素、 70…映像信号線断線、50…画素、100…TFT基板、 101…第1下地膜、 102…第2下地膜、 103…半導体層、 104…ゲート絶縁膜、 105…ゲート電極、 106…層間絶縁膜、 107…映像信号線、ドレイン電極、ソース電極、 108…無機パッシベーション膜、 109…有機パッシベーション膜、 110…対向電極、 111…上部絶縁膜、 112…画素電極、 113…配向膜、 115…第1スルーホール、 115…第2スルーホール、 120…レジスト、 1071…バリア層、 1072…AlSi層、 1073…キャップ層、 1074…Al酸化層、 1075…合金層
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置に係り、特に映像信号線の断線を防止できる構成を与える液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置では画素電極および薄膜トランジスタ(TFT)等がマトリクス状に形成されたTFT基板と、TFT基板に対向して、TFT基板の画素電極と対応する場所にカラーフィルタ等が形成された対向基板が設置され、TFT基板と対向基板の間に液晶が挟持されている。そして液晶分子による光の透過率を画素毎に制御することによって画像を形成している。
【0003】
液晶表示装置はフラットで軽量であることから、TV等の大型表示装置から、携帯電話やDSC(Digital Still Camera)等、色々な分野で用途が広がっている。また、液晶表示装置は、画面を視る角度によって画像が異なるという視野角が問題となるが、この視野角については、IPS(In Plane Switching)方式の液晶表示装置が優れた特性を有している。
【0004】
液晶表示装置では、映像信号線が第1の方向に延在して第2の方向に配列し、走査線が第2の方向に延在して第1の方向に配列している。映像信号線は、線幅をおさえ、かつ、電気抵抗を小さくするために、Al合金が使用される。Al合金は、フォトリソグラフィ工程におけるエッチングあるいは現像工程において、欠陥を生じやすい。
【0005】
IPS方式の液晶表示装置にも色々あるが、映像信号線あるいはドレイン電極とITO(Indium Tin Oxide)で形成された画素電極とを同じ層(例えば、ゲート絶縁膜)の上に形成し、その上に層間絶縁膜を形成し、その上に櫛歯状の対向電極を形成する方式がある。この場合、ITOの現像液によって映像信号線あるいはドレイン電極が溶解して欠陥あるいは断線を生ずるという問題がある。
【0006】
「特許文献1」には、このような問題を防止するために、ITOによる画素電極を先に形成し、その後、TFTのドレイン電極あるいは映像信号線を形成する構成が記載されている。また、「特許文献2」には、同じ目的のために、画素電極を構成するITOを2層構造とすることによって、ITOの現像液によってドレイン電極あるいは映像信号線が侵されないようにする構成が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特願2010−217062号
【特許文献2】特開2011−145530号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
液晶表示装置では、各画素に対応してTFTが形成されている。図13は、映像信号線107が縦方向に延在して横方向に配列し、走査線105が横方向に延在して縦方向に配列しており、映像信号線107と走査線105とで囲まれた領域に画素が形成されている構成を示す平面図である。図13において、画素電極は省略されている。各画素への映像信号は、映像信号線107から、第1スルーホール115を介し、3個のTFTを通し、第2スルーホール116を介して図示しない画素電極に供給される。
【0009】
図13において、走査線105がTFTのゲート電極105を兼ねている。半導体層103は、映像信号線107と接続した第1スルーホール115から屈曲して、3回走査線105(ゲート電極)の下を通ることによって3個のトップゲートのTFTが形成されている。
【0010】
映像信号線107はTFTに対してドレイン電極107になり、映像信号線107と同層で形成された金属層がソース電極107となっている。映像信号線、ドレイン電極、ソース電極は同じ材料で、同時に形成されるので、同じ番号107を付す。映像信号線107は電気抵抗を小さくするために、AlあるいはAl合金によって形成されている。ここでは、AlSiが使用されているが、Siの量は1%程度である。Alは半導体層103に拡散しやすく、かつヒロックを生じ易い。
【0011】
Alが半導体層103に拡散することを防止するために、AlSi層の下層にMoW等によるベース層1071を形成し、AlSi層1072の上層にMoW等によるキャップ層1073を形成する。このような構成の映像信号線107では、フォトリソグラフィにおけるエッチング工程において、図13に例示するような、映像信号線の断線を生ずる確率があることがわかった。
【0012】
図14は、図13の映像信号線107の断線部分における断面図である。図14において、TFT基板100の上に、第1下地膜101、第2下地膜102、ゲート絶縁膜104、層間絶縁膜106が形成され、その上に映像信号線107が形成されているが、映像信号線107に断線70が生じている。映像信号線107の上には、無機パッシベーション膜108が形成され、その上に有機パッシベーション膜109が形成され、その上に上部絶縁膜111、その上に配向膜113が形成されている。図14において、映像信号線107が断線した部分には、無機パッシベーション膜108が不規則な形で堆積している。
【0013】
このような映像信号線107の断線は修復できなければ、その液晶表示装置は不良になる。本発明の課題は図13あるいは、図14に示すような、3層構造の映像信号線107における断線を防止することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は上記問題を克服するものであり、具体的な手段の主なものは次のとおりである。すなわち、走査線が第1の方向に延在して第2の方向に配列し、映像信号線が第2の方向に延在して第1の方向に配列し、前記走査線と前記映像信号線とで囲まれた領域に画素が形成されている液晶表示装置であって、前記画素はTFTを含み、前記TFTは、半導体層、ゲート絶縁膜、ゲート電極、ドレイン電極、ソース電極を含み、前記映像信号線は、ベース層、AlSi層およびキャップ層を含み、前記AlSi層において、前記キャップ層との境界部分における酸素の量は、前記AlSi層の中央部における酸素の量の50倍以上であることを特徴とする液晶表示装置である。
【0015】
また、本発明による製造方法にかかる主な手段は、TFT基板上に、走査線が第1の方向に延在して第2の方向に配列し、映像信号線が第2の方向に延在して第1の方向に配列し、前記走査線と前記映像信号線とで囲まれた領域に画素が形成されており、前記映像信号線は、ベース層、AlSi層およびキャップ層を含む構成である液晶表示装置の製造方法であって、前記ベース層および前記AlSi層をスパッタリングによって形成したあと、前記TFT基板を真空チャンバーから取り出して大気にさらし、その後真空チャンバー中でキャップ層をスパッタリングすることを特徴とする液晶表示装置の製造方法である。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、映像信号線、ドレイン電極、ソース電極等において、パターニングプロセスにかかる断線の発生を防止することが出来るので、液晶表示装置の製造歩留まりを上げることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明が適用される液晶表示装置の断面図である。
【図2】従来例における断線発生のメカニズムを示す断面模式図である。
【図3】従来例におけるキャップ層を形成後の放置時間と映像信号線の断線発生の関係を示すグラフである。
【図4】従来例と本発明の映像信号線の製造プロセスフローである。
【図5】本発明の映像信号線の製造プロセスの断面図である。
【図6】キャップ層形成後の放置時間と映像信号線の断線の数を従来例と本発明とで比較したグラフである。
【図7】キャップ層の接着強度試験の模式図である。
【図8】キャップ層の接着強度試験の結果である。
【図9】本発明と従来例におけるレジスト現像幅の分布である。
【図10】本発明と従来例における映像信号線のパターン幅の分布である。
【図11】従来例における映像信号線のSIMSによる元素分析の結果である。
【図12】本発明における映像信号線のSIMSによる元素分析の結果である。
【図13】本発明が適用される画素部とTFTの平面図であって、映像信号線の断線を示す平面図である。
【図14】映像信号線の断線の状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、実施例により本発明の内容を詳細に説明する。
【実施例1】
【0019】
図1は本発明が適用される液晶表示装置におけるTFTと画素部の断面図である。図1のTFTは、ゲート電極105がチャンネル部の上に存在するトップゲートのTFTである。図1において、ガラス基板100の上にSiNからなる第1下地膜101およびSiO2からなる第2下地膜102がCVDによって形成される。第1下地膜101および第2下地膜102の役割はガラス基板100からの不純物が半導体層103を汚染することを防止することである。
【0020】
第2下地膜102の上には半導体層103が形成される。この半導体層103は第2下地膜102に上にCVDによってa−Si膜を形成し、これをレーザアニールすることによってpoly−Si膜に変換したものである。このpoly−Si膜をフォトリソグラフィによってパターニングする。
【0021】
半導体膜103の上にはゲート絶縁膜104が形成される。このゲート絶縁膜104はTEOS(テトラエトキシシラン)によるSiO2膜である。この膜もCVDによって形成される。その上にゲート電極105が形成される。ゲート電極105は走査線105と同層で、同時に形成される。ゲート電極105はMoW膜によって形成される。走査線105の抵抗を小さくする必要あるときはAl合金が使用される。
【0022】
ゲート電極105はフォトリソグラフィによってパターニングされるが、このパターニングの際に、イオンインプランテーションによって、リンあるいはボロン等の不純物をpoly−Si層にドープしてpoly−Si層にソースSあるいはドレインDを形成する。また、ゲート電極105のパターニングの際のフォトレジストを利用して、poly−Si層のチャネル層とソースSあるいはドレインDの間にLDD(Lightly Doped Drain)層を形成する。
【0023】
その後、ゲート電極105あるいは走査線105を覆って層間絶縁膜106をSiO2によって形成する。層間絶縁膜106は走査線105と映像信号線107等とを絶縁するためである。層間絶縁膜106の上にソース電極107とドレイン電極107が形成される。ソース電極107、ドレイン電極107、映像信号線107は同層で同時に形成される。映像信号線107等は抵抗を小さくするためにAlSi合金が使用される。AlSi中のSiの量は1%程度である。AlSi合金はヒロックを発生したり、Alが他の層に拡散したりするので、MoWによるバリア層1071、およびSDキャップ層1073によってサンドイッチされている。ここで、バリア層1071の厚さは例えば40nm、AlSi層1072の厚さは例えば250nm、キャップ層1073の厚さは例えば75nmである。
【0024】
TFTのドレインとドレイン電極107を接続するために、ゲート絶縁膜104に第1スルーホール115が形成されている。ドレイン電極107は映像信号線107と一体でつながっている。また、TFTのソースSとソース電極107を接続するためにゲート絶縁膜104に第1スルーホール115が形成されている。
【0025】
ソース電極107、ドレイン電極107、映像信号線107等を覆ってTFT全体を保護するために、無機パッシベーション膜108を被覆する。無機パッシベーション膜108は第1下地膜101と同様にCVDによって形成される。無機パッシベーション膜108を覆って有機パッシベーション膜109が形成される。有機パッシベーション膜109は感光性のアクリル樹脂等で形成される。有機パッシベーション膜109は平坦化膜としての役割を持っているので、厚く形成される。有機パッシベーション膜109の膜厚は1〜4μmであるが、多くの場合は2〜3μmである。
【0026】
有機パッシベーション膜109の上には透明電極であるITO(Indium Tin Oxide)によって対向電極110が形成される。対向電極110は平面ベタで形成される。対向電極110の上には、SiNによる上部絶縁膜111が形成され、その上に櫛歯状の画素電極112が形成されている。画素電極112にTFTを通して映像信号を与えるために上部絶縁膜111、有機パッシベーション膜109、無機パッシベーション膜108に第2スルーホール116が形成され、ソース電極107と画素電極112が接続される。画素電極112に映像信号が印加されると、櫛歯状の画素電極112と平面べたで形成された対向電極110との間に発生する電気力線によって液晶分子が回転し、液晶層の透過率が変化して画像が形成される。
【0027】
このように、有機パッシベーション膜109の上に平面ベタで対向電極110が形成され、上部絶縁膜111を挟んで櫛歯状の画素電極112が形成される構成をIPS−PROと呼んでいる。また、図1とは逆に有機パッシベーション膜109の上に平面ベタで画素電極112を形成し、上部絶縁膜111を挟んで櫛歯状の対向電極110を形成する構成もIPS−PROと呼ばれている。
【0028】
図1におけるドレイン電極107は、図13に示すように映像信号線107と一体で形成される。したがって、映像信号線107もベース層1071、AlSi層1072、キャップ層1073によって形成されている。映像信号線107は細くて長いので、図13および図14に示すような断線を生ずる機会が多い。ベース層1071、AlSi層1072、キャップ層1073は順にスパッタリングによって形成され、その後、フォトリソグラフィによって、各層とも同時にパターニングされる。
【0029】
映像信号線107の断線の原因を調査すると、スパッタリングによるキャップ層1073の成膜からフォトリソグラフィによるパターニングまでの時間が長いほど、断線の数が増加することがわかった。これは、AlSi層1072とキャップ層1073との間に合金が形成されて、この合金が、エッチング液によってエッチングされるスピードが速いためと考えられる。
【0030】
図2は、このメカニズムを示す断面模式図である。図2Aは層間絶縁膜106の上にベース層1071、AlSi層1072、キャップ層1073からなる映像信号線107が成膜されている状態を示す。図2Bは、AlSi層1072とキャップ層1073との間に合金層1075が生成していることを示す。この合金層1075は部分的に厚くなっている。図2Cは、パターニングのために、レジスト120を形成し、エッチング液にさらした状態を示している。図2Cにおいて、エッチング速度の速い合金層1075が厚く形成された部分をめがけて、すなわち、白矢印の方向にエッチングが進んでいく様子を示している。図2Dは、その結果、合金層1075が厚く形成された部分において、エッチング液によって映像信号線107に断線70が生じた状態を示している。
【0031】
図2B等に示す合金層1075は、スパッタリングによる映像信号線107の成膜後、時間が経過するほど増大する。したがって、スパッタリングによる成膜からフォトリソグラフィ工程までの放置時間が長いほど、断線の割合が大きくなる。図3は、図2のような合金層1075が形成されている従来例において、キャップ層1073をスパッタリングした後、フォトリソグラフィまでの放置時間と映像信号線107の断線発生数(図3におけるD断)をプロットしたものである。
【0032】
図3において、縦軸の映像信号線107の断線(D断)の数は、マザー基板1枚当たりの映像信号線107の断線の発生数である。すなわち、液晶表示装置の製造では、大判のマザー基板に多数の液晶表示パネルを形成し、これをダイシング等によって個々に分離する。図3におけるマザー基板は730mm×920mmであり、この中に200個の液晶表示パネルが形成される。すなわち、例えば、映像信号線107の断線不良が500個も発生すると、マザー基板に形成される液晶表示パネルのほとんどが不良になってしまう。
【0033】
図3において、映像信号線107の断線は50時間までは、ほとんど発生していない。したがって、従来仕様においては、キャップ層1073のスパッタリング後、フォトリソグラフィまでの時間を48時間以内とすることによって映像信号線107の断線を防止している。これは、プロセスに対する制約が大きいことを意味している。
【0034】
本発明は、キャップ層1073のスパッタリング後の放置時間が増大しても、このような映像信号線107の断線が発生しないような構成を与えるものである。本発明の構成を可能とする液晶表示パネルの製造プロセスを図4に示す。図4は、本発明によるプロセスと従来例によるプロセスを対比して記載したものである。
【0035】
まず、図4における従来例から説明する。TFT基板100において、層間絶縁膜106を形成後、バリア層1071を形成する前に洗浄を行う。これがバリアMoWスパッタ前洗浄である。その後、バリア層1071となるMoWをスパッタリングする。その後、このバリア層1071に対してRapid Thermal Anneal(RTA)を行う。RTAはランプによって瞬間的にバリア層1071をアニールする工程である。RTAによって、バリア層1071のAlに対するブロック効果を向上させることができる。
【0036】
その後別のスパッタリングチャンバーにおいて、AlSi層1072をスパッタリングによって形成し、続けてキャップ層1073であるMoWをスパッタリングによって形成する。その後、Alフォトリソグラフィを行い、ウェットエッチングによってキャップ層1073、AlSi層1072、ベース層1071を同時にエッチングを行い、その後、レジスト120を剥離する。
【0037】
従来例では、AlSi層1072とキャップ層1073を連続して形成しているので、この2層の間で合金層1075が生成する。この合金層1075のエッチングレートが他の金属に比べて早いので、断線の原因となっていた。本発明では、AlSi層1072とキャップ層1073との間にAlの酸化物層1074を形成することによって、合金層1075の生成を防止するものである。なお、Alの酸化物層1074の大部分はAL2O3であると考えられる。AlSi層1072におけるSiの量は1%程度だからである。
【0038】
図4の右側のプロセスが本発明によるプロセスフローである。本発明が従来例と異なるところは、AlSi層1072をスパッタリングによって形成した後、基板を真空チャンバーから取り出し、AlSi層1072を大気にさらし、AlSi層1072の表面にAl酸化層1074を形成させる点である。これによって、AlSi層1072とキャップ層1073との間にエッチングレートの早い合金層1075が形成されることを防止することができる。また、Al酸化層1074のエッチングレートは遅いので、エッチングによって断線が生ずる確率は非常に小さい。
【0039】
AlSi層1072をスパッタリング後、大気にさらす時間は極めて短時間でよい。酸化物層1074は極めて短時間で形成されるからである。意図的に大気にさらす時間を決めるとすると、30秒以上とすれば十分である。また、Alの酸化層1074は一定以上は進行しないので、AlSi層1072自体が大気中の水分等によって劣化するような長時間を除いては、特に、上限は必要ない。
【0040】
図6は本発明による映像信号線107、ドレイン電極107、ソース電極107等(以後映像信号線)の製造フローである。図5において、映像信号線107が載っている層間絶縁膜は省略されている。図5Aは従来どおり、MoWによるベース層1071、AlSi層1072を形成した状態を示す。図5BはAlSi層1072を形成したあと、真空チャンバーから基板を取り出し、大気に晒すことによって、AlSi層1072の表面にAl酸化層1074が形成された状態を示す断面図である。図5Cは、Al酸化層1074の上にMoWによるキャップ層1073が形成された状態を示す。
【0041】
図5Dはキャップ層1073の上にパターニングのためにレジスト120を形成した状態を示す。図5Eはこの状態でエッチングを行い、レジスト120が形成された部分以外のキャップ層1073、AlSi層1072、バリア層1071を除去した状態を示す。図5Fは、レジスト120を除去した状態を示す。図5に示すように、本発明によれば、AlSi層1072とキャップ層1073との間にエッチングレートの早い合金は形成されず、その代わりに、Al酸化層1074が形成されているので、従来のように、映像信号線107をエッチングするときに生ずる断線70を防止することができる。
【0042】
図6は本発明を実際の製品に適用した場合の、映像信号線107の断線の数を従来例と比較したものである。従来例は、菱形のプロットで示すように、映像信号線107の断線の数は、50時間を越えると指数関数的に増大する。一方、四角のプロットで示す本発明では、映像信号線107の断線は、試験をした196時間まではゼロであった。なお、映像信号線107の断線70の数は、図3と同じ、サイズが730mm×920mmのマザー基板あたりの数である。このように、本発明による映像信号線107の断線に対する効果は非常に大きい。
【0043】
一方、AlSi層1072とキャップ層1073との間にAl酸化層1074を形成したことによる、AlSi層1072とキャップ層1073との接着力、あるいは、エッチング幅のばらつきを評価する必要がある。図7は、AlSi層1072とキャップ層1073との接着力を評価した模式図である。
【0044】
図7Aは従来例である。図7Aにおいて、層間絶縁膜106の上にベース層1071、AlSi層1072、キャップ層1073が形成されている。キャップ層1073、AlSi層1072、ベース層1071にカッターで傷20をつけ、キャップ層1073にテープ10を貼り付けて剥がし試験を行った。図7Bは本発明の構成である。図7Bにおいて、キャップ層1073、Al酸化層1074、AlSi層1072、ベース層1071にカッターで傷20をつけ、キャップ層1073の表面にテープ10を貼り付けて剥がし試験をおこなった。キャップ層1073がAlSi層1073あるいはAl酸化層1074から剥れれば、接着力が不十分であるといえる。
【0045】
図8Aは、マザー基板30において、剥がし試験を行った場所を示す。場所は、マザー基板30の中央と4コーナーである。図8Bは、剥がし試験の結果である。図8Bの左コラムにおける連続成膜とは、AlSi層1072とキャップ層1073を連続して形成したもので、従来例である。Refはリファレンスの意味である。非連続とは、本発明によるものであり、AlSi層1072をスパッタリングした後、真空を破ってAlSi層1072の表面にAl酸化層1074を形成し、その後キャップ層1073を形成したものである。非連続の下に記載している時間は、AlSi層1072をスパッタリングした後、キャップ層1073をスパッタリングするまでの大気中における放置時間である。なお、ゼロ時間とは、AlSi層1072を大気に晒して再び、ただちに真空チャンバーに戻した場合である。
【0046】
図8Bの行方向の数字は図8Aにおける場所に対応する。図8Aおよび図8Bに示すように、すべて場所において、キャップ層1073の剥れは発生しなかった。つまり、キャップ層1073の剥れについては、従来例と本発明とでは、有意差はなかった。
【0047】
図9および図10は、本発明の構成において、映像信号線107の幅のばらつきを評価した例である。スパッタリングによってキャップ層1073を形成した後、フォト工程によって、レジスト120を形成する。レジスト幅(レジストの現像寸法)を従来例と本発明とで評価した。図9において、横軸は映像信号線107のレジスト120の現像寸法であり、縦軸は、度数分布である。Refは従来例であり、AlSi層1072に連続してキャップ層1073をスパッタリングによって形成した例である。図9において、12h放置、24h放置、96h放置は、本発明において、AlSi層1072を形成後、キャップ層1073を形成するまでの間、基板を大気中にさらした時間である。
【0048】
図9からレジスト120の現像寸法は、従来例、本発明における放置時間12h、24h、96hとも有意差は無いといえる。図9において、3σはRefで0.427とやや大きく、本発明においては、12h放置で0.391、24h放置で0.390、96h放置で0.396であり、本発明におけるほうがやや小さいが、この程度の差は、生産ロットのばらつきの範囲内であるといえる。
【0049】
図10は、エッチングした後の映像信号線107の幅の分布を示すものである。図10において、横軸はAl完成寸法すなわち、映像信号線107の寸法、縦軸は度数分布である。図10における評価対象は図9で説明したのと同様である。図10において、映像信号線107の寸法は、従来例よりも本発明において大きくなっている。すなわち、本発明においては、AlSi層1072とキャップ層1073との間にAl酸化層1074が形成されており、このAl酸化層1074はエッチング速度が小さいためと考えられる。
【0050】
一方、本発明において、AlSi層1072形成後、キャップ層1073を形成するまでに大気にさらした時間は、12h、24h、96hで有意差は無いといえる。3σは従来例(Ref)で0.43、12h放置で0.517、24h放置で0.465、96h放置で0.478であるが、この程度の差は生産ロットのばらつきの範囲内である。
【0051】
このように、映像信号線107の幅は、本発明の構成において、従来例の構成よりも大きくなっているが、ばらつきは変化が無いといえる。したがって、エッチングレートの差を考慮してレジスト120の現像寸法を決めれば、所定の映像信号線幅を従来と同様のばらつきによって得ることが出来る。
【0052】
図11は従来仕様における映像信号線107およびその上下の層の成分を特定するためのSIMS(Secondary Mass Spectrometry)のデータである。SIMSは層の上側の成分から測定される。図11において、まず、無機パッシベーション膜108であるSiNが観測され、その後、キャップ層1073であるMoWが検出され、その後、AlSi層1072が検出され、その後、バリア層1071であるMoWが検出され、その後、層間絶縁膜106であるSiO2が検出される。図11において、実線が酸素であり、点線がAlであり、一点鎖線がSiである。
【0053】
図12は本発明における映像信号線107およびその上下の層の成分を特定するためのSIMSのデータである。図11において、まず、無機パッシベーション膜108であるSiNが観測され、その後、キャップ層1073であるMoWが検出される。その後、AlSi層1072が検出されるが、従来例である図11と大きく異なるところは、AlSi層1072におけるキャップ層1073との境界において、酸素の量が非常に大きいことである。酸素の量は、AlSi層1072の中央付近に行くにつれて小さくなり、従来例と同等になる。その後、バリア層1071であるMoWが検出され、層間絶縁膜106であるSiO2が検出されることは図11に示す従来例と同様である。
【0054】
本発明の特徴は、図12におけるAlSi層1072での、キャップ層1073との境界における酸素の量と、AlSi層1072の中央における酸素の量の差が、50倍以上、より好ましくは100倍以上であることである。一方、従来例を示す図11では、AlSi層1072での、キャップ層1073との境界における酸素の量と、AlSi層1072の中央における酸素の量の差は10倍程度である。
【0055】
このように、本発明では、AlSi層1072におけるキャップ層1073との境界にAl酸化層1074を形成することによって、映像信号線等のパターニングにおいて、部分的にエッチングレートが異常に早くなることによる断線を防止することが出来、液晶表示パネルの製造歩留まりを向上させることが出来る。
【0056】
以上では、本発明をトップゲートのTFTを用いたIPS−PROの構成について説明した。本発明は、ゲート電極が半導体層よりも下側に存在するいわゆるボトムゲートのTFTを用いたIPS−PROに対しても同様に適用することが出来る。また、本発明は、「特許文献1」あるいは「特許文献2」に記載されているような、無機パッシベーション膜の上に平面ベタで画素電極を形成し、層間絶縁膜の上に櫛歯状の対向電極を形成した構成のいわゆるIPS−LITEと呼ばれている液晶表示装置にも適用することが出来る。さらに、本発明は、いわゆるTN(Twisted Nematic)あるいはVA(Vertical Alignmnet)方式の液晶表示装置にも適用することが出来る。つまり、映像信号線、ドレイン電極、あるいはソース電極をベース層、AlSi層、キャップ層の3層で形成している液晶表示装置に使用することが出来る。
【符号の説明】
【0057】
10…テープ、20…カッターによる傷、30…マザー基板、50…画素、 70…映像信号線断線、50…画素、100…TFT基板、 101…第1下地膜、 102…第2下地膜、 103…半導体層、 104…ゲート絶縁膜、 105…ゲート電極、 106…層間絶縁膜、 107…映像信号線、ドレイン電極、ソース電極、 108…無機パッシベーション膜、 109…有機パッシベーション膜、 110…対向電極、 111…上部絶縁膜、 112…画素電極、 113…配向膜、 115…第1スルーホール、 115…第2スルーホール、 120…レジスト、 1071…バリア層、 1072…AlSi層、 1073…キャップ層、 1074…Al酸化層、 1075…合金層
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走査線が第1の方向に延在して第2の方向に配列し、映像信号線が第2の方向に延在して第1の方向に配列し、前記走査線と前記映像信号線とで囲まれた領域に画素が形成されている液晶表示装置であって、
前記画素はTFTを含み、前記TFTは、半導体層、ゲート絶縁膜、ゲート電極、ドレイン電極、ソース電極を含み、
前記映像信号線は、ベース層、AlSi層およびキャップ層を含み、前記AlSi層において、前記キャップ層との境界部分における酸素の量は、前記AlSi層の中央部における酸素の量の50倍以上であることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
前記AlSi層において、前記キャップ層との境界部分における酸素の量は、前記AlSi層の中央部における酸素の量の100倍以上であることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
前記TFTはトップゲートのTFTであることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項4】
TFT基板上に、走査線が第1の方向に延在して第2の方向に配列し、映像信号線が第2の方向に延在して第1の方向に配列し、前記走査線と前記映像信号線とで囲まれた領域に画素が形成されており、
前記映像信号線は、ベース層、AlSi層およびキャップ層を含む構成である液晶表示装置の製造方法であって、
前記ベース層および前記AlSi層をスパッタリングによって形成したあと、前記TFT基板を真空チャンバーから取り出して大気にさらし、その後真空チャンバー中でキャップ層をスパッタリングすることを特徴とする液晶表示装置の製造方法。
【請求項5】
前記ベース層および前記AlSi層をスパッタリングによって形成したあと、前記TFT基板を真空チャンバーから取り出して大気にさらす時間は30秒以上であることを特徴とする請求項4に記載の液晶表示装置。
【請求項6】
前記ベース層をスパッタリングによって形成した後、前記TFT基板を真空チャンバーから取り出し、大気にさらした後、真空チャンバー中でAlSi層をスパッタリングによって形成することを特徴とする請求項4に記載の液晶表示装置。
【請求項1】
走査線が第1の方向に延在して第2の方向に配列し、映像信号線が第2の方向に延在して第1の方向に配列し、前記走査線と前記映像信号線とで囲まれた領域に画素が形成されている液晶表示装置であって、
前記画素はTFTを含み、前記TFTは、半導体層、ゲート絶縁膜、ゲート電極、ドレイン電極、ソース電極を含み、
前記映像信号線は、ベース層、AlSi層およびキャップ層を含み、前記AlSi層において、前記キャップ層との境界部分における酸素の量は、前記AlSi層の中央部における酸素の量の50倍以上であることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
前記AlSi層において、前記キャップ層との境界部分における酸素の量は、前記AlSi層の中央部における酸素の量の100倍以上であることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
前記TFTはトップゲートのTFTであることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項4】
TFT基板上に、走査線が第1の方向に延在して第2の方向に配列し、映像信号線が第2の方向に延在して第1の方向に配列し、前記走査線と前記映像信号線とで囲まれた領域に画素が形成されており、
前記映像信号線は、ベース層、AlSi層およびキャップ層を含む構成である液晶表示装置の製造方法であって、
前記ベース層および前記AlSi層をスパッタリングによって形成したあと、前記TFT基板を真空チャンバーから取り出して大気にさらし、その後真空チャンバー中でキャップ層をスパッタリングすることを特徴とする液晶表示装置の製造方法。
【請求項5】
前記ベース層および前記AlSi層をスパッタリングによって形成したあと、前記TFT基板を真空チャンバーから取り出して大気にさらす時間は30秒以上であることを特徴とする請求項4に記載の液晶表示装置。
【請求項6】
前記ベース層をスパッタリングによって形成した後、前記TFT基板を真空チャンバーから取り出し、大気にさらした後、真空チャンバー中でAlSi層をスパッタリングによって形成することを特徴とする請求項4に記載の液晶表示装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2013−80159(P2013−80159A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−220999(P2011−220999)
【出願日】平成23年10月5日(2011.10.5)
【出願人】(502356528)株式会社ジャパンディスプレイイースト (2,552)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月5日(2011.10.5)
【出願人】(502356528)株式会社ジャパンディスプレイイースト (2,552)
【Fターム(参考)】
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