液晶表示装置及びその製造方法
【課題】 画素電極の反射率を向上できるのみならず、液晶駆動電圧の上昇を防止して、チャージアップによる焼き付きの発生を防止することが可能な液晶表示装置を提供する。
【解決手段】 反射型の画素電極12と該画素電極を駆動する駆動回路とがマトリクス状に配列された駆動基板14と、対向電極16が形成された透明基板34とを、前記画素電極と対向電極とが対向するように間に液晶LCを挟んで接合してなる液晶表示装置において、前記画素電極上に、第1の屈折率を有する誘電体膜50と、透明であり前記第1の屈折率よりも大なる第2の屈折率を有する導電膜52とをこの順序で順次積層すると共に、前記画素電極と前記導電膜とを前記駆動回路に電気的に接続するように構成する。
【解決手段】 反射型の画素電極12と該画素電極を駆動する駆動回路とがマトリクス状に配列された駆動基板14と、対向電極16が形成された透明基板34とを、前記画素電極と対向電極とが対向するように間に液晶LCを挟んで接合してなる液晶表示装置において、前記画素電極上に、第1の屈折率を有する誘電体膜50と、透明であり前記第1の屈折率よりも大なる第2の屈折率を有する導電膜52とをこの順序で順次積層すると共に、前記画素電極と前記導電膜とを前記駆動回路に電気的に接続するように構成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビデオプロジェクタ等の大画面ディスプレイに用いる反射型の液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、屋外公衆用や管制業務用のディスプレイ、またハイビジョン等の高精細映像の表示用ディスプレイ、或いは投射プロジェクタ等のように、映像を大画面に表示するための投射型表示装置の要望が高まっている。その投射型表示装置には大別すると透過方式と反射方式のものがあるが、双方の方式とも、LCD(Liquid Crystal Display)、すなわち、液晶表示装置が用いられ、この液晶表示装置に読み出し光を入射させ、その入射光を映像信号に対応させて画素単位で変調することにより投射光を得るようになっている(例えば特許文献1、2)。
【0003】
ここで反射型の液晶表示装置を用いた一般的な投射プロジェクタの一例を説明する。図6は液晶表示装置を用いたプロジェクタを示す原理図、図7は1つの画素の等価回路図、図8は液晶表示装置の一部を示す部分拡大断面図である。図6において、このプロジェクタは、読み出し光Lを発生する光源2と、内部に液晶が封入されて画像信号に応じて読み出し光Lを変調させて反射する液晶表示装置4と、上記光源2からの読み出し光Lを偏光させて上記液晶表示装置4に向けて反射させると共に、上記液晶表示装置4からの変調された反射光を透過する偏光ビームスプリッタ6と、この偏光ビームスプリッタ6を透過した光を投射する投射レンズ8とよりなり、この投射レンズ8からの光をスクリーン10上に投射することにより、このスクリーン10に画像を表示するようになっている。
【0004】
上記液晶表示装置4は、表面にマトリックス状に反射型の複数の画素電極(反射電極)12が設けられた駆動基板14と、共通になされた透明な対向電極16との間に液晶LCを封入して構成されており、結果的に複数の画素がマトリックス状に縦横方向に配列されていることになる。従って、上記各画素電極12は、所定の画素間幅だけ離間させて縦横方向へマトリックス状に配列される。
図7は1つの画素の等価回路図を示しており、1つの画素は例えばCMOSトランジスタよりなるスイッチングトランジスタTrと、このスイッチングトランジスタTrのドレインDに接続される保持容量Cとを有し、上記ドレインDは画素電極12にも接続されている。
【0005】
そして、上記スイッチングトランジスタTrのソースSは、画像信号が伝送される信号線18に接続され、ゲートGはゲート線20に接続される。これにより、信号線18に画像信号を印加した状態で、ゲート線20によりゲートGをオンしてこの画素を周期的に選択することにより、上記画像信号は保持容量Cに蓄積され、ゲートGをオフしても所定の時間はこの保持容量Cに蓄積された電荷が画素電極12に供給されて、この画素の液晶LCを駆動表示することになる。
【0006】
ここで図8を参照して液晶表示装置4の断面構造について説明する。前述したように、この液晶表示装置4は、駆動基板14と、対向電極16と、これらの間に封入された液晶LCとを有している。具体的には、上記駆動基板14は、例えばP型シリコン基板よりなる半導体基板22を有しており、この表面にソースS、ドレインD、ゲートGよりなるスイッチングトランジスタTrが形成され、このトランジスタTrに隣接して保持容量Cを形成し、これにより上記画素電極12を駆動する駆動回路を構成している。
【0007】
また、上記駆動基板14の表面(上面)には、複数の画素電極12がマトリックス状に配置されており、隣り合う画素電極2同士間には僅かな隙間24が設けられており、互いに絶縁状態になされている。この隙間24の幅が画素間幅となる。そして、この画素電極2の下方には、例えばSiO2 よりなる絶縁層28Aを介して配線も兼ねる遮光層26が設けられており、上記隙間24を介して半導体基板22側へ入ってくる侵入光をできるだけ遮断するようになっている。この遮光層26は、例えばアルミニウムやアルミニウム合金により形成される。そして、この遮光層26の一部と上記画素電極12とは、絶縁層28Aを貫通するスルホールを埋め込んでなるコンタクト電極27により電気的に接続されている。
【0008】
また上記遮光層26の下方には、例えばSiO2 よりなる絶縁層28Bを介して配線層30が形成されている。当然のこととして、上記配線層30は複数に分割されており、一部は信号線18(図7参照)としてソースSに接続され、他の一部はドレインDと保持容量Cとを接続すると共に、上記遮光層26及びコンタクト電極27を介して画素電極12へも接続している。そして、上記画素電極12の上面には配向膜32が形成されている。
【0009】
一方、上記対向電極16は、例えば透明なガラス板よりなる透明基板34の表面に形成されており、この対向電極16の表面(図中下側)にも配向膜36が形成されている。そして、上述のように形成された画素電極12はこの駆動基板14と対向電極16付きの透明基板34との間にスペーサ(図示せず)を介して液晶LCを封入して液晶表示装置を形成している。そして、上記反射方式の液晶表示装置は、スイッチングトランジスタTrや保持容量C等の駆動回路を画素電極12の下に形成できるため透過方式の液晶表示装置と比較して開口率(表示領域全面に対する光変調に係わる画素領域の占める割合)を大きくとることができ、この効果は画素の大きさが小さくなる程、顕著になる。しかし、この反射型の液晶表示装置でも画素電極同士は互いに隙間24を隔てて形成しなればならず、原理的にも開口率を100%にすることはできない。例えば、実際の液晶表示装置では画素電極12同士間の隙間24の間隔(画素間幅)L1は0.5〜1μm程度であり、画素ピッチが10μm程度になると、単純に開口率を計算しても81〜90%程度となる。
【0010】
また、このような液晶表示装置では、画像品質の向上を目的として、次のような平坦化処理が行われる場合が多い。すなわち、図9は、従来の液晶表示装置の画素電極の一部を模式的に拡大したものを示し、図8中のA部とそれに隣接するコンタクト電極を含む遮光層の部分の拡大図を模式的に示している。図9及びこれに関連する図においては、遮光層26より下方のコンタクト電極の記載は省略している。ここで、図9(A)に示すように、画素電極12はパターンニングにより形成されたものであり、画素間に高さが200〜300nm程度の段差がある。そして配向膜32を形成して、このまま基板として用いて液晶表示装置を組み立てても良いが、段差が大きいとそこで配向乱れが生じ、画像品質を悪化させる場合がある。
【0011】
そこで、一般には画質劣化を防止するため、図9(B)に示すように段差をSiO2 等の絶縁材料40で埋め込んで平坦化処理してから使用される場合が多い。この平坦化処理はLSIプロセスでは通常用いられている手法である。具体的には、この平坦化処理は、画素電極の形成後、例えば450℃の温度で有機金属ガス(TEOS)と酸素ガスを原料としたCVD法で厚くSiO2 膜を成膜し、その後、機械化学研磨とエッチバックにより電極面と画素間を平坦にするものである。
【0012】
ところで、プロジェクタなどでは、その表示性能として明るさが非常に重要である。明るさを向上する方法としては、光源や光学系の効率が高いことが必要であると同時に、用いられる反射型の液晶表示装置では画素電極の反射率が高いことが基本的に重要である。一般に画素電極12としてはAlまたはAlCu、AlSiCuなどのアルミニウム合金膜で作られているが、液晶中でのこの画素電極12の反射率は85〜89%程度であってかならずしも十分とはいえない。
【0013】
そこで、画素電極の反射率を向上させるために以下のような方法が提案されている。まず、反射率を向上する第1の方法としては、画素電極12の材料として、銀や銀合金のような高反射率材料を用いる方法が考えられている。純銀は一般に用いられる金属材料の中では最も反射率が高い。しかし、銀は製法によりその反射率がばらついたり、他の元素と反応して酸化物やハロゲン化物を作り易いため、安定した高い反射率を得るのが困難であり、また高い反射率を維持できないのが現状である。これらの問題を解決する方法としては銀に微量の貴金属などを添加して化学的に安定化させる方法(特許文献3、4)や画素電極の表面にSiO2 膜のような保護膜を付与することで耐湿性を改善する方法(特許文献5)も開示されているが十分なものではない。
【0014】
また画素電極の反射率を向上する第2の方法としては、低屈折率と高屈折率の誘電体を積層した増反射膜を付与することが考えられる。図10は画素電極の反射率を向上する第2の方法を採用した時の画素電極の近傍の拡大図を示しており、図10に示すように画素電極12及び絶縁材料40の上面全体に亘って、例えばSiO2 膜等よりなる低屈折率誘電体膜42と、例えばTiO2 膜等よりなる高屈折率誘電体膜44とを積層して多重干渉作用を利用した増反射層を形成するようになっている。
【0015】
【特許文献1】特開平11−135479号公報
【特許文献2】特開2000−193994号公報
【特許文献3】特開2003−279715号公報
【特許文献4】特開2003−293055号公報
【特許文献5】特許第3498763号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
しかしながら、上述のように、銀や銀合金よりなる画素電極12の表面に保護膜として例えばSiO2 膜を成膜した場合、上述した平坦化処理(図9参照)を行う時に、エッチバックによりこの保護膜が除去されてしまうので、保護膜として機能しないばかりか、銀や銀合金の酸化やハロゲン化を防止することができない、といった問題があった。
【0017】
また、図10に示すように、画素電極12の上面側に、低屈折率誘電体膜42と高屈折率誘電体膜44とを積層して増反射層を形成した場合には、以下のような問題点がある。すなわち図11に示す分光反射率特性に示すように、Ag合金の画素電極上にSiO2 膜とTiO2 膜よりなる増反射層を設けた場合には、Al合金のみの画素電極やAg合金(60nm)のみの画素電極よりも、約4%程度の反射率増加となって良好な結果となる。しかしながら、この場合には、上記2層の誘電体膜42、42の合計厚さが約100nm程度になり、その結果、液晶駆動電圧を高くせざるを得ないのみならず、これに起因してチャージアップによる画像焼き付きが発生する、といった問題があった。
【0018】
本発明は、以上のような問題点に着目し、これを有効に解決すべく創案されたものである。本発明の目的は、画素電極の反射率を向上できるのみならず、液晶駆動電圧の上昇を防止して、チャージアップによる焼き付きの発生を防止することが可能な液晶表示装置及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
請求項1に係る発明は、反射型の画素電極と該画素電極を駆動する駆動回路とがマトリクス状に配列された駆動基板と、対向電極が形成された透明基板とを、前記画素電極と対向電極とが対向するように間に液晶を挟んで接合してなる液晶表示装置において、前記画素電極上に、第1の屈折率を有する誘電体膜と、透明であり前記第1の屈折率よりも大なる第2の屈折率を有する導電膜とをこの順序で順次積層すると共に、前記画素電極と前記導電膜とを前記駆動回路に電気的に接続するように構成したことを特徴とする液晶表示装置である。
【0020】
請求項2に係る発明は、反射型の画素電極と該画素電極を駆動する駆動回路とがマトリクス状に配列された駆動基板と、対向電極が形成された透明基板とを、前記画素電極と対向電極とが対向するように間に液晶を挟んで接合してなる液晶表示装置の製造方法において、前記駆動基板の表面に前記画素電極となる反射型金属層を形成する工程と、前記反射型金属層の表面に、第1の屈折率を有する誘電体膜を形成する工程と、前記誘電体膜と前記反射型金属層とを貫通して前記駆動回路に電気的に接続されるコンタクト電極を形成する工程と、前記コンタクト電極の上面を含めて前記誘電体膜上に透明な前記第1の屈折率よりも大なる第2の屈折率を有する導電膜を形成する工程と、前記導電膜と前記誘電体膜と前記反射型金属層とを電極パターンにエッチングすることにより前記画素電極を形成する工程と、前記画素電極間の隙間に絶縁材料を埋め込んで表面全体を平坦化する工程と、前記駆動基板と前記透明基板とを、間に液晶を封入して接合する工程と、を有することを特徴とする液晶表示装置の製造方法である。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係る液晶表示装置及びその製造方法によれば、次のように優れた作用効果を発揮することができる。
画素電極上に、第1の屈折率を有する誘電体膜と、透明であり前記第1の屈折率よりも大なる第2の屈折率を有する導電膜とをこの順序で順次積層すると共に、前記画素電極と前記導電膜とを前記駆動回路に電気的に接続するようにしたので、画素電極の反射率を向上できるのみならず、液晶駆動電圧の上昇を防止して、チャージアップによる焼き付きの発生を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下に、本発明に係る液晶表示装置及びその製造方法の一実施例を添付図面に基づいて詳述する。
図1は本発明に係る液晶表示装置の画素電極の一部を拡大した拡大図、図2及び図3は本発明に係る液晶表示装置の主要部を製造するための工程を説明する工程図である。尚、図6〜図11に示す構成部分と同一構成部分については、同一参照符号を付してその説明を省略する。
【0023】
本発明に係る液晶表示装置は、画素電極12上に第1の屈折率を有する誘電体膜(以下、単に「低屈折率誘電体膜」とも称す)と透明な前記第1の屈折率よりも大なる第2の屈折率を有する導電膜(以下、単に「高屈折率導電膜」とも称す)とを積層してこの高屈折率導電膜を画素電極側に電気的に接続した点を除き、図6〜図11を参照して説明した従来の液晶表示装置と略同様に構成されているので、その説明を省略し、ここでは画素電極12上の積層膜の形成について詳しく説明する。
すなわち、本発明の液晶表示装置においては、図1に示すように、駆動基板14の絶縁層28B上に形成された遮光層26上には絶縁層28Aを介して方形状の反射型の画素電極12が相互に所定の隙間を隔てて形成されている。
【0024】
上記画素電極12は、ここでは下層のアルミニウム合金膜12Aと上層の銀合金膜12Bとの2層構造となるように形成されている。ここで上記アルミニウム合金に代えてアルミニウムを用いてもよいし、また銀合金に代えて純銀を用いてもよい。更には、この画素電極12を上記のような2層構造に形成するのではなく、図9等で示したように、純銀や銀合金やアルミニウムやアルミニウム合金等よりなる単層構造としてもよい。上記のように、アルミニウム、またはアルミニウム合金を用いる場合には、その分、銀または銀合金の使用量を削減できるので、コスト削減に寄与することができる。
【0025】
上記画素電極12に対応させて、この上に第1の屈折率を有する低屈折率誘電体膜50と、この低屈折率誘電体膜50よりも大きな第2の屈折率を有する透明な高屈折率導電膜52とを、この順序で順次積層している。
ここで第1の屈折率は1.3〜1.5程度の大きさであり、第2の屈折率は1.9〜2.2程度の大きさである。この場合、この低屈折率誘電体膜50と高屈折率導電膜52の寸法は、下層の画素電極12と同一寸法になるように設定されており、画素電極12における反射率を向上し得るようになっている。このような低屈折率誘電体膜50の厚さは、例えば50〜55nm程度であって非常に薄く、その材料としては、例えばSiO2 、MgF2 等を用いることができる。また高屈折率導電膜52としては、ITO(Indium Tin Oxide)、IZO(Indium Zinc Oxide)等を用いることができる。この高屈折率導電膜52の厚さは、例えば50〜55nm程度である。
【0026】
また、ここでは上記画素電極12のみならず、上記高屈折率導電膜52も、駆動回路、すなわちスイッチングトランジスタTr(図8参照)のドレインD側へコンタクト電極54を介して電気的に接続されている。図1に示す場合には、上記画素電極12及び高屈折率導電膜52は、コンタクト電極54を介して配線層の機能を有する遮光層26へ接続されている。
そして、上記方形状になされた画素電極12(低屈折率誘電体膜50及び高屈折率導電膜52を含む)同士の隙間(図8参照)は絶縁材料40で埋め込まれて、その表面全体が平坦化されている。尚、この平坦化面上に配向膜32(図8参照)が形成されることになる。
【0027】
上記構成によれば、画素電極12上に、低屈折率誘電体膜50と透明な高屈折率導電膜52を積層したので反射率を向上でき、液晶駆動電圧の給電は高屈折率導電膜52から行うことで、液晶駆動電圧の上昇や焼付きを防止できる。
また平坦化処理におけるエッチバックでは、最表面を透明な高屈折率導電膜52とすることで極微小なエッチング量に抑えられ、従って増反射効果への影響も軽微である。
【0028】
次に図2及び図3を参照して上記した主要部分の製造方法について説明する。
まず、スイッチングトランジスタTrのドレインD(図8参照)に電気的に接続された遮光層26を絶縁層28Aにより埋め込んだ駆動基板14(図2(A))上に、アルミニウム合金12Aと銀合金12Bとを、例えばスパッタ法により順次積層して画素電極となる反射型金属層74を形成する(図2(B))。この場合、アルミニウム合金12Aの膜厚は例えば100nmに設定し、銀合金(フルヤ金属(株)製:APC−TR)12Bの膜厚は例えば30nmに設定する。尚、前述したように、この反射型金属層74として銀合金を例えば200nmの厚さで単層構造に形成してもよい。
【0029】
次に、図2(C)に示すように、上記銀合金12B上に低屈折率誘電体膜50をスパッタ法により形成する。この低屈折率誘電体膜50としては例えばSiO2 膜を用い、この厚さを例えば53nmに設定する。ここでスパッタ法によりSiO2 膜を形成することにより、この厚さを精度良く制御することができる。
次に、図2(D)に示すように、上記低屈折率誘電体膜50上に感光性レジストを塗布し、これをフォトリソグラフ法によりパターン化してコンタクト用レジストパターン76を形成する。
次に、図2(E)に示すように、上記コンタクト用レジストパターン76をマスクとしてドライエッチング処理を行うことにより、上記遮光層26まで貫通するコンタクトホール78を形成する。
【0030】
次に、図2(F)に示すように、コンタクト用レジストパターン76を除去した後に、プラズマCVDを施すことにより上記コンタクトホール78を例えばタングステンシリサイド(WSi)で埋め込み、コンタクト電極54を形成する。これにより、画素電極となる上記反射型金属層74と遮光層26とが電気的に接続されることになる。
次に、図3(A)に示すように、上記低屈折率誘電体膜50上に透明な高屈折率導電膜52をスパッタ法により形成する。この高屈折率導電膜52としては、例えばITOを用い、この厚さを例えば51nmに設定する。これにより、上記高屈折率導電膜52と上記コンタクト電極54とが電気的に接続されることになる。
【0031】
次に、図3(B)に示すように、上記高屈折率導電膜52上に感光性レジストを塗布し、これをフォトリソグラフ法によりパターン化して電極用レジストパターン80を形成する。
次に、図3(C)に示すように、上記電極用レジストパターン80をマスクとしてドライエッチング処理を行うことにより、上記絶縁層28Aの上面まで届くようにエッチングして隙間24を形成し、上層の反射型金属層74、低屈折率誘電体膜50及び高屈折率導電膜52を、それぞれ一体的に電極パターンとなるように分離して画素電極12を形成する。
次に、図3(D)に示すように、プラズマCVD法により、SiO2 よりなる絶縁材料40で上記隙間24を埋め込むと共に、表面全面に上記絶縁材料40を形成する。
【0032】
次に、CMP法(機械化学研磨法)および、フッ素系ガスによる反応性イオンエッチングで表面上の絶縁材料40を除去して平坦化して駆動基板を得る(図3(E))。この時、銀合金の保護膜としてのSiO2 はCVDによるSiO2 膜と同一材料であるためエッチング除去され銀合金の反射率低下を招くが、本発明のプロセスではITO透明導電膜であることからフッ素系ガスによる反応性イオンエッチングでのエッチング速度の選択比が約9と大きく(図4)、従ってITO透明導電膜の膜厚変化は微小であり増反射効果への影響は軽微である。
【0033】
この場合、従来装置のように、画素電極を銀合金で形成してその上に保護膜としてSiO2 膜を形成した場合には、上記した平坦化処理時にCVDにより形成したSiO2 絶縁材料40と保護膜であるSiO2 膜とが同じ材料なので共にこれらの膜がエッチング除去されて画素電極である銀合金の反射率低下を招いてしまうが、本発明の構造では、図4に示すように、保護膜として機能するITOよりなる高屈折率導電膜52は、フッ素ガス(例えばCHF3 )による反応性イオンエッチングでのエッチングレートがSiO2 (絶縁材料40)よりも遥かに小さく、例えば選択比が約9となっている。従って、エッチング時におけるITOよりなる高屈折率導電膜52に対する膜厚の変化は微小であり、この反射率をほとんど劣化させることはなく、反射率を高く維持することができる。
【0034】
このようにして作製した駆動基板14とITOの対向電極16の付いた透明基板34のそれぞれの電極面に斜方蒸着法によりSiO2 の配向膜を形成し、スペーサを介して両基板を張り合わせ、基板間に液晶LCを注入して液晶表示装置を作製する。このように製作した液晶表示装置を図5に示す光学系を用いて評価した。
【0035】
<評価光学系の説明>
図5に評価に用いた光学系を示す。プロジェクタは赤色緑色青色の三原色光を発する光源(図示せず)と、表示デバイスを含む色分解合成系(光学系60)と、プロジェクションレンズ、駆動回路等を有する。上記光学系60は、何れも赤色光、緑色光及び青色光の内、緑色光の偏光面を90度回転させる第1の偏光板61と、緑色光を透過し、赤色光及び青色光を反射する第1の偏光ビームスプリッタ62と、第1の偏光ビームスプリッタ62で反射された赤色光及び青色光の内、赤色光の偏光面を90度回転させる第2の偏光板63と、を有している。
【0036】
また、光学系60は、赤色光を変調する赤色光用反射型液晶表示素子64と、青色光を変調する青色光用反射型液晶表示素子65と、第2の偏光板63からの赤色光及び青色光の内、赤色光を透過して青色光を反射し、赤色用反射型液晶表示素子64で変調された赤色光を反射し、青色用反射型液晶表示素子65で変調された青色光を透過する第2の偏光ビームスプリッタ66と、を有している。
【0037】
さらに、光学系60は、緑色光を変調する緑色光用反射型液晶表示素子68と、第1の偏光ビームスプリッタ62を透過した緑色光を透過し、緑色光用反射型液晶表示素子68で変調された緑色光を反射する第3の偏光ビームスプリッタ67と、を有している。
さらにまた、光学系60は、第2の偏光ビームスプリッタ66からの赤色光及び青色光の内、赤色光の偏光面を90度回転させる第3の偏光板69と、第3の偏光板69からの赤色光及び青色光を透過し、第3の偏光ビームスプリッタ67で反射された緑色光を反射する第4の偏光ビームスプリッタ70と、第4の偏光ビームスプリッタ70からの赤色光、緑色光及び青色光の内、緑色光の偏光面を90度回転させる第4の偏光板71と、を有している。
【0038】
光学系60に入射したS波の赤色光は、第1の変調板61を透過し、第1の偏光ビームスプリッタ62で反射され、第2の偏光板63でP波に変換され、第2の偏光ビームスプリッタ66を透過し、赤色光用変調素子64で変調されS波となり、第2の偏光ビームスプリッタ66で反射され、第3の偏光板69でP波に変換され、第4の偏光ビームスプリッタ70及び第4の偏光板71を透過する。
光学系60に入射したS波の緑色光は、第1の変調板61でP波に変換され、第1の偏光ビームスプリッタ62及び第3の偏光ビームスプリッタ67を透過し、赤色用液晶表示素子68で変調されS波となり、第3の偏光ビームスプリッタ67で反射され、第4の偏光ビームスプリッタ70で反射され、第4の偏光板71でP波に変換される。
【0039】
光学系60に入射したS波の青色光は、第1の偏光板61を透過し、第1の偏光ビームスプリッタ62で反射され、第2の偏光板63を透過し、第2の偏光ビームスプリッタ66で反射され、青色光用液晶表示素子65で変調されてP波となり、第2の偏光ビームスプリッタ66、第3の偏光板69、第4の偏光ビームスプリッタ70及び第4の偏光板71を透過する。
第4の偏光板71を透過した3原色の光はプロジェクションレンズを通してスクリーンに投影される。また、光源のランプはたとえば発光効率の高い超高圧水銀ランプが使用される。
【0040】
上記した評価用の光学系を用いて白色を表示して明るさを比較したところ、銀合金の画素電極は従来のアルミニウム合金の画素電極の場合に比べて可視域平均で9%の輝度アップが確認できた。また、本発明のSiO2 よりなる低屈折率誘電体膜50と高屈折率導電膜52とを用いた増反射層の構成では従来のアルミニウム合金の場合に比べて可視域平均で12%の輝度アップが確認できた。
反射率の加速劣化試験として、10W/cm2 の光強度で200Hrの照射後の明るさにも変化がなく安定した輝度であった。
【0041】
このように、本発明によれば、液晶表示装置の反射率を向上させることができる。また、増反射層構成でも最表面が高屈折率導電膜であることから液晶駆動電圧の上昇や、チャージアップによる焼き付きの発生を防ぐ効果がある。
また画素電極12の反射率を高くできることから、液晶表示装置の吸収熱量が少なく温度上昇も小さくでき、従ってより高出力の光源が使用できる。そして耐光性も高いことから長期にわたって、明るい画像が表示できる効果がある。
また本発明の製造方法によれば、例えば銀合金よりなる画素電極を低屈折率誘電体膜50で保護した状態を継続できるので、高反射率特性を損なうことがない。
また従来の課題であった、液晶を挟んで対峙する画素電極と対向電極の材料の仕事関数の違いによる液晶動作の非対称性も、本発明では同一材料であることから解決できる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明に係る液晶表示装置の画素電極の一部を拡大した拡大図である。
【図2】本発明に係る液晶表示装置の主要部を製造するための工程を説明する工程図である。
【図3】本発明に係る液晶表示装置の主要部を製造するための工程を説明する工程図である。
【図4】保護膜として機能するITO膜とSiO2 (絶縁材料)なる高屈折率導電膜のフッ素ガスによる反応性イオンエッチングでのエッチングレートを示すグラフである。
【図5】液晶表示装置を評価する時に用いる光学系を示す図である。
【図6】液晶表示装置を用いたプロジェクタを示す原理図である。
【図7】1つの画素を示す等価回路図である。
【図8】液晶表示装置の一部を示す部分拡大断面図である。
【図9】従来の液晶表示装置の画素電極の一部を模式的に示す拡大図である。
【図10】画素電極の反射率を向上する第2の製造方法を採用した時の画素電極の近傍を示す拡大図である。
【図11】各種の画素電極の分光反射率特性を示すグラフである。
【符号の説明】
【0043】
2…光源、4…液晶表示装置、6…偏光ビームスプリッタ、8…投射レンズ、10…スクリーン、12…画素電極、14…駆動基板、16…対向電極、34…透明基板、50…第1の屈折率を有する誘電体膜(低屈折率誘電体膜)、52…第2の屈折率を有する導電膜(高屈折率導電膜)、LC…液晶。
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビデオプロジェクタ等の大画面ディスプレイに用いる反射型の液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、屋外公衆用や管制業務用のディスプレイ、またハイビジョン等の高精細映像の表示用ディスプレイ、或いは投射プロジェクタ等のように、映像を大画面に表示するための投射型表示装置の要望が高まっている。その投射型表示装置には大別すると透過方式と反射方式のものがあるが、双方の方式とも、LCD(Liquid Crystal Display)、すなわち、液晶表示装置が用いられ、この液晶表示装置に読み出し光を入射させ、その入射光を映像信号に対応させて画素単位で変調することにより投射光を得るようになっている(例えば特許文献1、2)。
【0003】
ここで反射型の液晶表示装置を用いた一般的な投射プロジェクタの一例を説明する。図6は液晶表示装置を用いたプロジェクタを示す原理図、図7は1つの画素の等価回路図、図8は液晶表示装置の一部を示す部分拡大断面図である。図6において、このプロジェクタは、読み出し光Lを発生する光源2と、内部に液晶が封入されて画像信号に応じて読み出し光Lを変調させて反射する液晶表示装置4と、上記光源2からの読み出し光Lを偏光させて上記液晶表示装置4に向けて反射させると共に、上記液晶表示装置4からの変調された反射光を透過する偏光ビームスプリッタ6と、この偏光ビームスプリッタ6を透過した光を投射する投射レンズ8とよりなり、この投射レンズ8からの光をスクリーン10上に投射することにより、このスクリーン10に画像を表示するようになっている。
【0004】
上記液晶表示装置4は、表面にマトリックス状に反射型の複数の画素電極(反射電極)12が設けられた駆動基板14と、共通になされた透明な対向電極16との間に液晶LCを封入して構成されており、結果的に複数の画素がマトリックス状に縦横方向に配列されていることになる。従って、上記各画素電極12は、所定の画素間幅だけ離間させて縦横方向へマトリックス状に配列される。
図7は1つの画素の等価回路図を示しており、1つの画素は例えばCMOSトランジスタよりなるスイッチングトランジスタTrと、このスイッチングトランジスタTrのドレインDに接続される保持容量Cとを有し、上記ドレインDは画素電極12にも接続されている。
【0005】
そして、上記スイッチングトランジスタTrのソースSは、画像信号が伝送される信号線18に接続され、ゲートGはゲート線20に接続される。これにより、信号線18に画像信号を印加した状態で、ゲート線20によりゲートGをオンしてこの画素を周期的に選択することにより、上記画像信号は保持容量Cに蓄積され、ゲートGをオフしても所定の時間はこの保持容量Cに蓄積された電荷が画素電極12に供給されて、この画素の液晶LCを駆動表示することになる。
【0006】
ここで図8を参照して液晶表示装置4の断面構造について説明する。前述したように、この液晶表示装置4は、駆動基板14と、対向電極16と、これらの間に封入された液晶LCとを有している。具体的には、上記駆動基板14は、例えばP型シリコン基板よりなる半導体基板22を有しており、この表面にソースS、ドレインD、ゲートGよりなるスイッチングトランジスタTrが形成され、このトランジスタTrに隣接して保持容量Cを形成し、これにより上記画素電極12を駆動する駆動回路を構成している。
【0007】
また、上記駆動基板14の表面(上面)には、複数の画素電極12がマトリックス状に配置されており、隣り合う画素電極2同士間には僅かな隙間24が設けられており、互いに絶縁状態になされている。この隙間24の幅が画素間幅となる。そして、この画素電極2の下方には、例えばSiO2 よりなる絶縁層28Aを介して配線も兼ねる遮光層26が設けられており、上記隙間24を介して半導体基板22側へ入ってくる侵入光をできるだけ遮断するようになっている。この遮光層26は、例えばアルミニウムやアルミニウム合金により形成される。そして、この遮光層26の一部と上記画素電極12とは、絶縁層28Aを貫通するスルホールを埋め込んでなるコンタクト電極27により電気的に接続されている。
【0008】
また上記遮光層26の下方には、例えばSiO2 よりなる絶縁層28Bを介して配線層30が形成されている。当然のこととして、上記配線層30は複数に分割されており、一部は信号線18(図7参照)としてソースSに接続され、他の一部はドレインDと保持容量Cとを接続すると共に、上記遮光層26及びコンタクト電極27を介して画素電極12へも接続している。そして、上記画素電極12の上面には配向膜32が形成されている。
【0009】
一方、上記対向電極16は、例えば透明なガラス板よりなる透明基板34の表面に形成されており、この対向電極16の表面(図中下側)にも配向膜36が形成されている。そして、上述のように形成された画素電極12はこの駆動基板14と対向電極16付きの透明基板34との間にスペーサ(図示せず)を介して液晶LCを封入して液晶表示装置を形成している。そして、上記反射方式の液晶表示装置は、スイッチングトランジスタTrや保持容量C等の駆動回路を画素電極12の下に形成できるため透過方式の液晶表示装置と比較して開口率(表示領域全面に対する光変調に係わる画素領域の占める割合)を大きくとることができ、この効果は画素の大きさが小さくなる程、顕著になる。しかし、この反射型の液晶表示装置でも画素電極同士は互いに隙間24を隔てて形成しなればならず、原理的にも開口率を100%にすることはできない。例えば、実際の液晶表示装置では画素電極12同士間の隙間24の間隔(画素間幅)L1は0.5〜1μm程度であり、画素ピッチが10μm程度になると、単純に開口率を計算しても81〜90%程度となる。
【0010】
また、このような液晶表示装置では、画像品質の向上を目的として、次のような平坦化処理が行われる場合が多い。すなわち、図9は、従来の液晶表示装置の画素電極の一部を模式的に拡大したものを示し、図8中のA部とそれに隣接するコンタクト電極を含む遮光層の部分の拡大図を模式的に示している。図9及びこれに関連する図においては、遮光層26より下方のコンタクト電極の記載は省略している。ここで、図9(A)に示すように、画素電極12はパターンニングにより形成されたものであり、画素間に高さが200〜300nm程度の段差がある。そして配向膜32を形成して、このまま基板として用いて液晶表示装置を組み立てても良いが、段差が大きいとそこで配向乱れが生じ、画像品質を悪化させる場合がある。
【0011】
そこで、一般には画質劣化を防止するため、図9(B)に示すように段差をSiO2 等の絶縁材料40で埋め込んで平坦化処理してから使用される場合が多い。この平坦化処理はLSIプロセスでは通常用いられている手法である。具体的には、この平坦化処理は、画素電極の形成後、例えば450℃の温度で有機金属ガス(TEOS)と酸素ガスを原料としたCVD法で厚くSiO2 膜を成膜し、その後、機械化学研磨とエッチバックにより電極面と画素間を平坦にするものである。
【0012】
ところで、プロジェクタなどでは、その表示性能として明るさが非常に重要である。明るさを向上する方法としては、光源や光学系の効率が高いことが必要であると同時に、用いられる反射型の液晶表示装置では画素電極の反射率が高いことが基本的に重要である。一般に画素電極12としてはAlまたはAlCu、AlSiCuなどのアルミニウム合金膜で作られているが、液晶中でのこの画素電極12の反射率は85〜89%程度であってかならずしも十分とはいえない。
【0013】
そこで、画素電極の反射率を向上させるために以下のような方法が提案されている。まず、反射率を向上する第1の方法としては、画素電極12の材料として、銀や銀合金のような高反射率材料を用いる方法が考えられている。純銀は一般に用いられる金属材料の中では最も反射率が高い。しかし、銀は製法によりその反射率がばらついたり、他の元素と反応して酸化物やハロゲン化物を作り易いため、安定した高い反射率を得るのが困難であり、また高い反射率を維持できないのが現状である。これらの問題を解決する方法としては銀に微量の貴金属などを添加して化学的に安定化させる方法(特許文献3、4)や画素電極の表面にSiO2 膜のような保護膜を付与することで耐湿性を改善する方法(特許文献5)も開示されているが十分なものではない。
【0014】
また画素電極の反射率を向上する第2の方法としては、低屈折率と高屈折率の誘電体を積層した増反射膜を付与することが考えられる。図10は画素電極の反射率を向上する第2の方法を採用した時の画素電極の近傍の拡大図を示しており、図10に示すように画素電極12及び絶縁材料40の上面全体に亘って、例えばSiO2 膜等よりなる低屈折率誘電体膜42と、例えばTiO2 膜等よりなる高屈折率誘電体膜44とを積層して多重干渉作用を利用した増反射層を形成するようになっている。
【0015】
【特許文献1】特開平11−135479号公報
【特許文献2】特開2000−193994号公報
【特許文献3】特開2003−279715号公報
【特許文献4】特開2003−293055号公報
【特許文献5】特許第3498763号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
しかしながら、上述のように、銀や銀合金よりなる画素電極12の表面に保護膜として例えばSiO2 膜を成膜した場合、上述した平坦化処理(図9参照)を行う時に、エッチバックによりこの保護膜が除去されてしまうので、保護膜として機能しないばかりか、銀や銀合金の酸化やハロゲン化を防止することができない、といった問題があった。
【0017】
また、図10に示すように、画素電極12の上面側に、低屈折率誘電体膜42と高屈折率誘電体膜44とを積層して増反射層を形成した場合には、以下のような問題点がある。すなわち図11に示す分光反射率特性に示すように、Ag合金の画素電極上にSiO2 膜とTiO2 膜よりなる増反射層を設けた場合には、Al合金のみの画素電極やAg合金(60nm)のみの画素電極よりも、約4%程度の反射率増加となって良好な結果となる。しかしながら、この場合には、上記2層の誘電体膜42、42の合計厚さが約100nm程度になり、その結果、液晶駆動電圧を高くせざるを得ないのみならず、これに起因してチャージアップによる画像焼き付きが発生する、といった問題があった。
【0018】
本発明は、以上のような問題点に着目し、これを有効に解決すべく創案されたものである。本発明の目的は、画素電極の反射率を向上できるのみならず、液晶駆動電圧の上昇を防止して、チャージアップによる焼き付きの発生を防止することが可能な液晶表示装置及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
請求項1に係る発明は、反射型の画素電極と該画素電極を駆動する駆動回路とがマトリクス状に配列された駆動基板と、対向電極が形成された透明基板とを、前記画素電極と対向電極とが対向するように間に液晶を挟んで接合してなる液晶表示装置において、前記画素電極上に、第1の屈折率を有する誘電体膜と、透明であり前記第1の屈折率よりも大なる第2の屈折率を有する導電膜とをこの順序で順次積層すると共に、前記画素電極と前記導電膜とを前記駆動回路に電気的に接続するように構成したことを特徴とする液晶表示装置である。
【0020】
請求項2に係る発明は、反射型の画素電極と該画素電極を駆動する駆動回路とがマトリクス状に配列された駆動基板と、対向電極が形成された透明基板とを、前記画素電極と対向電極とが対向するように間に液晶を挟んで接合してなる液晶表示装置の製造方法において、前記駆動基板の表面に前記画素電極となる反射型金属層を形成する工程と、前記反射型金属層の表面に、第1の屈折率を有する誘電体膜を形成する工程と、前記誘電体膜と前記反射型金属層とを貫通して前記駆動回路に電気的に接続されるコンタクト電極を形成する工程と、前記コンタクト電極の上面を含めて前記誘電体膜上に透明な前記第1の屈折率よりも大なる第2の屈折率を有する導電膜を形成する工程と、前記導電膜と前記誘電体膜と前記反射型金属層とを電極パターンにエッチングすることにより前記画素電極を形成する工程と、前記画素電極間の隙間に絶縁材料を埋め込んで表面全体を平坦化する工程と、前記駆動基板と前記透明基板とを、間に液晶を封入して接合する工程と、を有することを特徴とする液晶表示装置の製造方法である。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係る液晶表示装置及びその製造方法によれば、次のように優れた作用効果を発揮することができる。
画素電極上に、第1の屈折率を有する誘電体膜と、透明であり前記第1の屈折率よりも大なる第2の屈折率を有する導電膜とをこの順序で順次積層すると共に、前記画素電極と前記導電膜とを前記駆動回路に電気的に接続するようにしたので、画素電極の反射率を向上できるのみならず、液晶駆動電圧の上昇を防止して、チャージアップによる焼き付きの発生を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下に、本発明に係る液晶表示装置及びその製造方法の一実施例を添付図面に基づいて詳述する。
図1は本発明に係る液晶表示装置の画素電極の一部を拡大した拡大図、図2及び図3は本発明に係る液晶表示装置の主要部を製造するための工程を説明する工程図である。尚、図6〜図11に示す構成部分と同一構成部分については、同一参照符号を付してその説明を省略する。
【0023】
本発明に係る液晶表示装置は、画素電極12上に第1の屈折率を有する誘電体膜(以下、単に「低屈折率誘電体膜」とも称す)と透明な前記第1の屈折率よりも大なる第2の屈折率を有する導電膜(以下、単に「高屈折率導電膜」とも称す)とを積層してこの高屈折率導電膜を画素電極側に電気的に接続した点を除き、図6〜図11を参照して説明した従来の液晶表示装置と略同様に構成されているので、その説明を省略し、ここでは画素電極12上の積層膜の形成について詳しく説明する。
すなわち、本発明の液晶表示装置においては、図1に示すように、駆動基板14の絶縁層28B上に形成された遮光層26上には絶縁層28Aを介して方形状の反射型の画素電極12が相互に所定の隙間を隔てて形成されている。
【0024】
上記画素電極12は、ここでは下層のアルミニウム合金膜12Aと上層の銀合金膜12Bとの2層構造となるように形成されている。ここで上記アルミニウム合金に代えてアルミニウムを用いてもよいし、また銀合金に代えて純銀を用いてもよい。更には、この画素電極12を上記のような2層構造に形成するのではなく、図9等で示したように、純銀や銀合金やアルミニウムやアルミニウム合金等よりなる単層構造としてもよい。上記のように、アルミニウム、またはアルミニウム合金を用いる場合には、その分、銀または銀合金の使用量を削減できるので、コスト削減に寄与することができる。
【0025】
上記画素電極12に対応させて、この上に第1の屈折率を有する低屈折率誘電体膜50と、この低屈折率誘電体膜50よりも大きな第2の屈折率を有する透明な高屈折率導電膜52とを、この順序で順次積層している。
ここで第1の屈折率は1.3〜1.5程度の大きさであり、第2の屈折率は1.9〜2.2程度の大きさである。この場合、この低屈折率誘電体膜50と高屈折率導電膜52の寸法は、下層の画素電極12と同一寸法になるように設定されており、画素電極12における反射率を向上し得るようになっている。このような低屈折率誘電体膜50の厚さは、例えば50〜55nm程度であって非常に薄く、その材料としては、例えばSiO2 、MgF2 等を用いることができる。また高屈折率導電膜52としては、ITO(Indium Tin Oxide)、IZO(Indium Zinc Oxide)等を用いることができる。この高屈折率導電膜52の厚さは、例えば50〜55nm程度である。
【0026】
また、ここでは上記画素電極12のみならず、上記高屈折率導電膜52も、駆動回路、すなわちスイッチングトランジスタTr(図8参照)のドレインD側へコンタクト電極54を介して電気的に接続されている。図1に示す場合には、上記画素電極12及び高屈折率導電膜52は、コンタクト電極54を介して配線層の機能を有する遮光層26へ接続されている。
そして、上記方形状になされた画素電極12(低屈折率誘電体膜50及び高屈折率導電膜52を含む)同士の隙間(図8参照)は絶縁材料40で埋め込まれて、その表面全体が平坦化されている。尚、この平坦化面上に配向膜32(図8参照)が形成されることになる。
【0027】
上記構成によれば、画素電極12上に、低屈折率誘電体膜50と透明な高屈折率導電膜52を積層したので反射率を向上でき、液晶駆動電圧の給電は高屈折率導電膜52から行うことで、液晶駆動電圧の上昇や焼付きを防止できる。
また平坦化処理におけるエッチバックでは、最表面を透明な高屈折率導電膜52とすることで極微小なエッチング量に抑えられ、従って増反射効果への影響も軽微である。
【0028】
次に図2及び図3を参照して上記した主要部分の製造方法について説明する。
まず、スイッチングトランジスタTrのドレインD(図8参照)に電気的に接続された遮光層26を絶縁層28Aにより埋め込んだ駆動基板14(図2(A))上に、アルミニウム合金12Aと銀合金12Bとを、例えばスパッタ法により順次積層して画素電極となる反射型金属層74を形成する(図2(B))。この場合、アルミニウム合金12Aの膜厚は例えば100nmに設定し、銀合金(フルヤ金属(株)製:APC−TR)12Bの膜厚は例えば30nmに設定する。尚、前述したように、この反射型金属層74として銀合金を例えば200nmの厚さで単層構造に形成してもよい。
【0029】
次に、図2(C)に示すように、上記銀合金12B上に低屈折率誘電体膜50をスパッタ法により形成する。この低屈折率誘電体膜50としては例えばSiO2 膜を用い、この厚さを例えば53nmに設定する。ここでスパッタ法によりSiO2 膜を形成することにより、この厚さを精度良く制御することができる。
次に、図2(D)に示すように、上記低屈折率誘電体膜50上に感光性レジストを塗布し、これをフォトリソグラフ法によりパターン化してコンタクト用レジストパターン76を形成する。
次に、図2(E)に示すように、上記コンタクト用レジストパターン76をマスクとしてドライエッチング処理を行うことにより、上記遮光層26まで貫通するコンタクトホール78を形成する。
【0030】
次に、図2(F)に示すように、コンタクト用レジストパターン76を除去した後に、プラズマCVDを施すことにより上記コンタクトホール78を例えばタングステンシリサイド(WSi)で埋め込み、コンタクト電極54を形成する。これにより、画素電極となる上記反射型金属層74と遮光層26とが電気的に接続されることになる。
次に、図3(A)に示すように、上記低屈折率誘電体膜50上に透明な高屈折率導電膜52をスパッタ法により形成する。この高屈折率導電膜52としては、例えばITOを用い、この厚さを例えば51nmに設定する。これにより、上記高屈折率導電膜52と上記コンタクト電極54とが電気的に接続されることになる。
【0031】
次に、図3(B)に示すように、上記高屈折率導電膜52上に感光性レジストを塗布し、これをフォトリソグラフ法によりパターン化して電極用レジストパターン80を形成する。
次に、図3(C)に示すように、上記電極用レジストパターン80をマスクとしてドライエッチング処理を行うことにより、上記絶縁層28Aの上面まで届くようにエッチングして隙間24を形成し、上層の反射型金属層74、低屈折率誘電体膜50及び高屈折率導電膜52を、それぞれ一体的に電極パターンとなるように分離して画素電極12を形成する。
次に、図3(D)に示すように、プラズマCVD法により、SiO2 よりなる絶縁材料40で上記隙間24を埋め込むと共に、表面全面に上記絶縁材料40を形成する。
【0032】
次に、CMP法(機械化学研磨法)および、フッ素系ガスによる反応性イオンエッチングで表面上の絶縁材料40を除去して平坦化して駆動基板を得る(図3(E))。この時、銀合金の保護膜としてのSiO2 はCVDによるSiO2 膜と同一材料であるためエッチング除去され銀合金の反射率低下を招くが、本発明のプロセスではITO透明導電膜であることからフッ素系ガスによる反応性イオンエッチングでのエッチング速度の選択比が約9と大きく(図4)、従ってITO透明導電膜の膜厚変化は微小であり増反射効果への影響は軽微である。
【0033】
この場合、従来装置のように、画素電極を銀合金で形成してその上に保護膜としてSiO2 膜を形成した場合には、上記した平坦化処理時にCVDにより形成したSiO2 絶縁材料40と保護膜であるSiO2 膜とが同じ材料なので共にこれらの膜がエッチング除去されて画素電極である銀合金の反射率低下を招いてしまうが、本発明の構造では、図4に示すように、保護膜として機能するITOよりなる高屈折率導電膜52は、フッ素ガス(例えばCHF3 )による反応性イオンエッチングでのエッチングレートがSiO2 (絶縁材料40)よりも遥かに小さく、例えば選択比が約9となっている。従って、エッチング時におけるITOよりなる高屈折率導電膜52に対する膜厚の変化は微小であり、この反射率をほとんど劣化させることはなく、反射率を高く維持することができる。
【0034】
このようにして作製した駆動基板14とITOの対向電極16の付いた透明基板34のそれぞれの電極面に斜方蒸着法によりSiO2 の配向膜を形成し、スペーサを介して両基板を張り合わせ、基板間に液晶LCを注入して液晶表示装置を作製する。このように製作した液晶表示装置を図5に示す光学系を用いて評価した。
【0035】
<評価光学系の説明>
図5に評価に用いた光学系を示す。プロジェクタは赤色緑色青色の三原色光を発する光源(図示せず)と、表示デバイスを含む色分解合成系(光学系60)と、プロジェクションレンズ、駆動回路等を有する。上記光学系60は、何れも赤色光、緑色光及び青色光の内、緑色光の偏光面を90度回転させる第1の偏光板61と、緑色光を透過し、赤色光及び青色光を反射する第1の偏光ビームスプリッタ62と、第1の偏光ビームスプリッタ62で反射された赤色光及び青色光の内、赤色光の偏光面を90度回転させる第2の偏光板63と、を有している。
【0036】
また、光学系60は、赤色光を変調する赤色光用反射型液晶表示素子64と、青色光を変調する青色光用反射型液晶表示素子65と、第2の偏光板63からの赤色光及び青色光の内、赤色光を透過して青色光を反射し、赤色用反射型液晶表示素子64で変調された赤色光を反射し、青色用反射型液晶表示素子65で変調された青色光を透過する第2の偏光ビームスプリッタ66と、を有している。
【0037】
さらに、光学系60は、緑色光を変調する緑色光用反射型液晶表示素子68と、第1の偏光ビームスプリッタ62を透過した緑色光を透過し、緑色光用反射型液晶表示素子68で変調された緑色光を反射する第3の偏光ビームスプリッタ67と、を有している。
さらにまた、光学系60は、第2の偏光ビームスプリッタ66からの赤色光及び青色光の内、赤色光の偏光面を90度回転させる第3の偏光板69と、第3の偏光板69からの赤色光及び青色光を透過し、第3の偏光ビームスプリッタ67で反射された緑色光を反射する第4の偏光ビームスプリッタ70と、第4の偏光ビームスプリッタ70からの赤色光、緑色光及び青色光の内、緑色光の偏光面を90度回転させる第4の偏光板71と、を有している。
【0038】
光学系60に入射したS波の赤色光は、第1の変調板61を透過し、第1の偏光ビームスプリッタ62で反射され、第2の偏光板63でP波に変換され、第2の偏光ビームスプリッタ66を透過し、赤色光用変調素子64で変調されS波となり、第2の偏光ビームスプリッタ66で反射され、第3の偏光板69でP波に変換され、第4の偏光ビームスプリッタ70及び第4の偏光板71を透過する。
光学系60に入射したS波の緑色光は、第1の変調板61でP波に変換され、第1の偏光ビームスプリッタ62及び第3の偏光ビームスプリッタ67を透過し、赤色用液晶表示素子68で変調されS波となり、第3の偏光ビームスプリッタ67で反射され、第4の偏光ビームスプリッタ70で反射され、第4の偏光板71でP波に変換される。
【0039】
光学系60に入射したS波の青色光は、第1の偏光板61を透過し、第1の偏光ビームスプリッタ62で反射され、第2の偏光板63を透過し、第2の偏光ビームスプリッタ66で反射され、青色光用液晶表示素子65で変調されてP波となり、第2の偏光ビームスプリッタ66、第3の偏光板69、第4の偏光ビームスプリッタ70及び第4の偏光板71を透過する。
第4の偏光板71を透過した3原色の光はプロジェクションレンズを通してスクリーンに投影される。また、光源のランプはたとえば発光効率の高い超高圧水銀ランプが使用される。
【0040】
上記した評価用の光学系を用いて白色を表示して明るさを比較したところ、銀合金の画素電極は従来のアルミニウム合金の画素電極の場合に比べて可視域平均で9%の輝度アップが確認できた。また、本発明のSiO2 よりなる低屈折率誘電体膜50と高屈折率導電膜52とを用いた増反射層の構成では従来のアルミニウム合金の場合に比べて可視域平均で12%の輝度アップが確認できた。
反射率の加速劣化試験として、10W/cm2 の光強度で200Hrの照射後の明るさにも変化がなく安定した輝度であった。
【0041】
このように、本発明によれば、液晶表示装置の反射率を向上させることができる。また、増反射層構成でも最表面が高屈折率導電膜であることから液晶駆動電圧の上昇や、チャージアップによる焼き付きの発生を防ぐ効果がある。
また画素電極12の反射率を高くできることから、液晶表示装置の吸収熱量が少なく温度上昇も小さくでき、従ってより高出力の光源が使用できる。そして耐光性も高いことから長期にわたって、明るい画像が表示できる効果がある。
また本発明の製造方法によれば、例えば銀合金よりなる画素電極を低屈折率誘電体膜50で保護した状態を継続できるので、高反射率特性を損なうことがない。
また従来の課題であった、液晶を挟んで対峙する画素電極と対向電極の材料の仕事関数の違いによる液晶動作の非対称性も、本発明では同一材料であることから解決できる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明に係る液晶表示装置の画素電極の一部を拡大した拡大図である。
【図2】本発明に係る液晶表示装置の主要部を製造するための工程を説明する工程図である。
【図3】本発明に係る液晶表示装置の主要部を製造するための工程を説明する工程図である。
【図4】保護膜として機能するITO膜とSiO2 (絶縁材料)なる高屈折率導電膜のフッ素ガスによる反応性イオンエッチングでのエッチングレートを示すグラフである。
【図5】液晶表示装置を評価する時に用いる光学系を示す図である。
【図6】液晶表示装置を用いたプロジェクタを示す原理図である。
【図7】1つの画素を示す等価回路図である。
【図8】液晶表示装置の一部を示す部分拡大断面図である。
【図9】従来の液晶表示装置の画素電極の一部を模式的に示す拡大図である。
【図10】画素電極の反射率を向上する第2の製造方法を採用した時の画素電極の近傍を示す拡大図である。
【図11】各種の画素電極の分光反射率特性を示すグラフである。
【符号の説明】
【0043】
2…光源、4…液晶表示装置、6…偏光ビームスプリッタ、8…投射レンズ、10…スクリーン、12…画素電極、14…駆動基板、16…対向電極、34…透明基板、50…第1の屈折率を有する誘電体膜(低屈折率誘電体膜)、52…第2の屈折率を有する導電膜(高屈折率導電膜)、LC…液晶。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
反射型の画素電極と該画素電極を駆動する駆動回路とがマトリクス状に配列された駆動基板と、対向電極が形成された透明基板とを、前記画素電極と対向電極とが対向するように間に液晶を挟んで接合してなる液晶表示装置において、
前記画素電極上に、第1の屈折率を有する誘電体膜と、透明であり前記第1の屈折率よりも大なる第2の屈折率を有する導電膜とをこの順序で順次積層すると共に、前記画素電極と前記導電膜とを前記駆動回路に電気的に接続するように構成したことを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
反射型の画素電極と該画素電極を駆動する駆動回路とがマトリクス状に配列された駆動基板と、対向電極が形成された透明基板とを、前記画素電極と対向電極とが対向するように間に液晶を挟んで接合してなる液晶表示装置の製造方法において、
前記駆動基板の表面に前記画素電極となる反射型金属層を形成する工程と、
前記反射型金属層の表面に、第1の屈折率を有する誘電体膜を形成する工程と、
前記誘電体膜と前記反射型金属層とを貫通して前記駆動回路に電気的に接続されるコンタクト電極を形成する工程と、
前記コンタクト電極の上面を含めて前記誘電体膜上に透明な前記第1の屈折率よりも大なる第2の屈折率を有する導電膜を形成する工程と、
前記導電膜と前記誘電体膜と前記反射型金属層とを電極パターンにエッチングすることにより前記画素電極を形成する工程と、
前記画素電極間の隙間に絶縁材料を埋め込んで表面全体を平坦化する工程と、
前記駆動基板と前記透明基板とを、間に液晶を封入して接合する工程と、
を有することを特徴とする液晶表示装置の製造方法。
【請求項1】
反射型の画素電極と該画素電極を駆動する駆動回路とがマトリクス状に配列された駆動基板と、対向電極が形成された透明基板とを、前記画素電極と対向電極とが対向するように間に液晶を挟んで接合してなる液晶表示装置において、
前記画素電極上に、第1の屈折率を有する誘電体膜と、透明であり前記第1の屈折率よりも大なる第2の屈折率を有する導電膜とをこの順序で順次積層すると共に、前記画素電極と前記導電膜とを前記駆動回路に電気的に接続するように構成したことを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
反射型の画素電極と該画素電極を駆動する駆動回路とがマトリクス状に配列された駆動基板と、対向電極が形成された透明基板とを、前記画素電極と対向電極とが対向するように間に液晶を挟んで接合してなる液晶表示装置の製造方法において、
前記駆動基板の表面に前記画素電極となる反射型金属層を形成する工程と、
前記反射型金属層の表面に、第1の屈折率を有する誘電体膜を形成する工程と、
前記誘電体膜と前記反射型金属層とを貫通して前記駆動回路に電気的に接続されるコンタクト電極を形成する工程と、
前記コンタクト電極の上面を含めて前記誘電体膜上に透明な前記第1の屈折率よりも大なる第2の屈折率を有する導電膜を形成する工程と、
前記導電膜と前記誘電体膜と前記反射型金属層とを電極パターンにエッチングすることにより前記画素電極を形成する工程と、
前記画素電極間の隙間に絶縁材料を埋め込んで表面全体を平坦化する工程と、
前記駆動基板と前記透明基板とを、間に液晶を封入して接合する工程と、
を有することを特徴とする液晶表示装置の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2006−350148(P2006−350148A)
【公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−178733(P2005−178733)
【出願日】平成17年6月20日(2005.6.20)
【出願人】(000004329)日本ビクター株式会社 (3,896)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年6月20日(2005.6.20)
【出願人】(000004329)日本ビクター株式会社 (3,896)
【Fターム(参考)】
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