説明

液晶装置の製造装置

【課題】ラビングロールの周辺部材に粉塵が付着しにくい液晶装置の製造装置を提供する

【解決手段】素子基板と対向基板とに挟持された液晶層と、それぞれの基板において液晶
層に面する側に設けられ配向処理が施される配向膜とを有する液晶装置の製造装置(ラビ
ング装置71)であって、ラビング布が捲回されたラビングロール75と、ラビングロー
ル75の周辺に設けられた周辺部材(ラビングロールガイド86、ステージ73)と、を
有し、周辺部材は、フッ素樹脂のコーティング処理が施されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配向膜にラビング処理を施す液晶装置の製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上記した液晶装置は、一方の基板に設けられた配向膜と他方の基板に設けられた配向膜
との間に液晶が挟持された構造を有している。このような液晶装置の製造方法としては、
電圧が印加されていないときの液晶の配向状態を規定するため、例えば、配向膜の表面に
ラビング処理を施す配向処理工程を有する。
【0003】
ラビング処理は、ラビングロールに巻きつけられたラビング部材により配向膜を擦って
、その表面に溝を形成する。液晶分子は、溝に沿って配列する性質を有しており、これに
より配向処理が実現される。一方、ラビング処理を行った際、配向膜の削り屑やラビング
部材の切れ毛等を含む粉塵が発生する。そこで、例えば、特許文献1に記載のように、発
生した粉塵を基板の縁に沿って形成された溝の中に落とすことで、基板が載置されている
テーブルの表面から粉塵を除去することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−66456号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記した特許文献1の方法では、ラビング処理によって発生した粉塵を
除去できるものの、除去しきれない粉塵がラビングロールの周辺部材(例えば、ステンレ
ス材)に付着し、それが基板に付着してラビング処理時に配向膜を傷つけるおそれがある
という課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形
態又は適用例として実現することが可能である。
【0007】
[適用例1]本適用例に係る液晶装置の製造装置は、一対の基板に挟持された液晶層と
、前記一対の基板の少なくとも一方の基板に設けられた配向膜とを有し、前記配向膜がラ
ビング布によりラビング処理される液晶装置の製造装置であって、前記ラビング布が捲回
されたラビングロールを備え、前記ラビングロールの周辺に設けられた周辺部材の少なく
とも前記ラビングロールに面する側の部位は、フッ素樹脂のコーティング処理が施されて
いることを特徴とする。
【0008】
この構成によれば、周辺部材にフッ素樹脂のコーティング処理が施されているので、例
えば、ステンレスのような表面エネルギーが高い周辺部材が露出していることと比較して
表面エネルギーを小さくすることが可能となり、ラビング処理で発生する切れ毛(粉塵)
が周辺部材に付着することを抑えることができる。よって、例えば、周辺部材に粉塵が付
着して、その粉塵がラビングロールや基板に付着することを抑えることが可能となる。よ
って、配向膜が傷つくことを抑えることができる。
【0009】
[適用例2]上記適用例に係る液晶装置の製造装置において、前記周辺部材は、前記ラ
ビングロールを移動させる駆動機構、及び、前記駆動機構の支持部であることが好ましい

【0010】
この構成によれば、駆動機構やその支持部(それらのカバーも含む)に上記した表面処
理が施されているので、ラビング処理で発生する粉塵が、駆動機構やその支持部に付着す
ることを抑えることができる。よって、例えば、粉塵がラビングロールに再付着したり、
基板に付着したりするようなことを防ぐことができる。
【0011】
[適用例3]上記適用例に係る液晶装置の製造装置において、前記周辺部材は、前記一
方の基板が載置される載置面を有するステージであって、前記ステージの前記載置面以外
の少なくとも周辺領域に相当する部位に表面処理が施されていることが好ましい。
【0012】
この構成によれば、ステージのうち少なくとも周辺領域に上記した表面処理が施されて
いるので、ラビング処理で発生する粉塵が、ステージに付着することを抑えることができ
る。よって、例えば、堆積した粉塵がラビングロールに再付着するようなことを防ぐこと
ができる。
【0013】
[適用例4]上記適用例に係る液晶装置の製造装置において、前記ラビング処理によっ
て発生した粉塵を除去する除去機構を備えていることが好ましい。
【0014】
この構成によれば、除去機構を備えているので、例えば、粉塵を吸引することによって
、周辺部材やその周辺に付着した粉塵を除去することができる。これにより、粉塵が堆積
することを抑えることが可能となり、堆積した粉塵が再びラビングロールに付着したり、
基板に付着したりすることを抑えることができる。
【0015】
[適用例5]上記適用例に係る液晶装置の製造装置において、回転する前記ラビングロ
ールに対しラビング方向の下流側に前記除去機構としての吸引部が配置されていることが
好ましい。
【0016】
この構成によれば、ラビング方向の下流側に吸引部が配置されているので、回転するラ
ビングロールと基板とが接触して所定の方向(下流側)に飛ばされた粉塵を吸引して除去
することができる。
【0017】
[適用例6]上記適用例に係る液晶装置の製造装置において、前記ラビング方向の上流
側から前記下流側に風を送る送風機構が設けられていることが好ましい。
【0018】
この構成によれば、送風機構が設けられているので、ラビング方向の上流側から下流側
に気流をつくることが可能となり、所定の方向に粉塵を集めることができる。これにより
、吸引部だけでは吸引できない粉塵を除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】第1実施形態の液晶装置の構造を示す模式平面図。
【図2】図1に示す液晶装置のA−A'線に沿う模式断面図。
【図3】液晶装置の電気的な構成を示す等価回路図。
【図4】液晶装置を構成する画素の構造を示す模式断面図。
【図5】マザー基板の構成を示す模式平面図。
【図6】ラビング装置の構造を示す模式図であり、(a)はラビング装置の構造を示す斜視図、(b)はラビング装置を構成するパレットを上方から見た模式平面図、(c)は(b)に示すパレットのB−B'断面に沿う模式断面図。
【図7】(a)〜(d)は、ラビング装置を構成するステージが各ポジションに移動したときの状況を示す模式平面図。
【図8】ラビング装置の構造を示す模式断面図であり、(a)、(b)はステージが各ポジションに移動したときの状況を示す模式断面図。
【図9】ラビング装置の機械的および電気的な構成を示すブロック図。
【図10】ラビング装置の周辺部材にコーティングする材料の表面エネルギーを示す図表。
【図11】液晶装置の製造方法を工程順に示す工程図。
【図12】液晶装置の製造方法のうち第2配向膜の製造方法を詳しく示す工程図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(第1実施形態)
<液晶装置の構成>
図1は、液晶装置の構造を示す模式平面図である。図2は、図1に示す液晶装置のA−
A'線に沿う模式断面図である。以下、液晶装置の構造を、図1及び図2を参照しながら
説明する。
【0021】
図1及び図2に示すように、液晶装置11は、例えば、薄膜トランジスター(以下、「
TFT(Thin Film Transistor)素子」と称する。)を画素のスイッチング素子として用
いたTFTアクティブマトリクス方式の液晶装置である。液晶装置11は、一対の基板を
構成する素子基板12と対向基板13とが、平面視略矩形枠状のシール材14を介して貼
り合わされている。
【0022】
素子基板12及び対向基板13は、例えば、ガラスや石英などの透光性材料から構成さ
れている。液晶装置11は、シール材14に囲まれた領域内に液晶層15が封入された構
成になっている。なお、シール材14には液晶を注入するための液晶注入口16が設けら
れ、液晶注入口16は封止材17により封止されている。
【0023】
液晶層15としては、例えば、正の誘電率異方性を有する液晶材料が用いられる。液晶
装置11は、シール材14の内周近傍に沿って遮光性材料からなる平面視矩形枠状の額縁
遮光膜18が対向基板13に形成されており、この額縁遮光膜18の内側の領域が表示領
域19となっている。
【0024】
額縁遮光膜18は、例えば、遮光性材料であるアルミ(Al)で形成されており、対向
基板13側の表示領域19の外周を区画するように設けられている。
【0025】
表示領域19内には、画素領域21がマトリクス状に設けられている。画素領域21は
、表示領域19の最小表示単位となる1画素を構成している。シール材14の外側の領域
には、信号線駆動回路22及び外部接続端子23が素子基板12の一辺(図1における下
側)に沿って形成されている。
【0026】
また、シール材14の内側の領域には、この一辺に隣接する二辺に沿って走査線駆動回
路24がそれぞれ形成されている。素子基板12の残る一辺(図1における上側)には、
検査回路25が形成されている。対向基板13側に形成された額縁遮光膜18は、例えば
、素子基板12上に形成された走査線駆動回路24及び検査回路25に対向する位置(言
い換えれば、平面的に重なる位置)に形成されている。
【0027】
一方、対向基板13の各角部(例えば、シール材14のコーナー部の4箇所)には、素
子基板12と対向基板13との間の電気的導通をとるための上下導通端子26が配設され
ている。
【0028】
また、図2に示すように、素子基板12の液晶層15側には、複数の画素電極27が形
成されており、これら画素電極27を覆うように第1配向膜28が形成されている。画素
電極27は、ITO(Indium Tin Oxide)等の透明導電材料からなる導電膜である。
【0029】
一方、対向基板13の液晶層15側には、格子状の遮光膜(BM:ブラックマトリクス
)(図示せず)が形成され、その上に平面ベタ状の共通電極31が形成されている。そし
て、共通電極31上には、第2配向膜32が形成されている。共通電極31は、ITO等
の透明導電材料からなる導電膜である。なお、上述した第1配向膜28及び第2配向膜3
2は、後述するラビング装置を用いて形成される。
【0030】
液晶装置11は透過型であって、素子基板12及び対向基板13における光の入射側と
出射側とにそれぞれ偏光板(図示せず)等が配置されて用いられる。なお、液晶装置11
の構成は、これに限定されず、反射型や半透過型の構成であってもよい。
【0031】
図3は、液晶装置の電気的な構成を示す等価回路図である。以下、液晶装置の電気的な
構成を、図3を参照しながら説明する。
【0032】
図3に示すように、液晶装置11は、表示領域19を構成する複数の画素領域21を有
している。各画素領域21には、それぞれ画素電極27が配置されている。また、画素領
域21には、TFT素子33が形成されている。
【0033】
TFT素子33は、画素電極27へ通電制御を行うスイッチング素子である。TFT素
子33のソース側には、信号線34が電気的に接続されている。各信号線34には、例え
ば、信号線駆動回路22(図1参照)から画像信号S1,S2,…,Snが供給されるよ
うになっている。
【0034】
また、TFT素子33のゲート側には、走査線35が電気的に接続されている。走査線
35には、例えば、走査線駆動回路24(図1参照)から所定のタイミングでパルス的に
走査信号G1,G2,…,Gmが供給されるようになっている。また、TFT素子33の
ドレイン側には、画素電極27が電気的に接続されている。
【0035】
走査線35から供給された走査信号G1,G2,…,Gmにより、スイッチング素子で
あるTFT素子33が一定期間だけオン状態となることで、信号線34から供給された画
像信号S1,S2,…,Snが、画素電極27を介して画素領域21に所定のタイミング
で書き込まれるようになっている。
【0036】
画素領域21に書き込まれた所定レベルの画像信号S1,S2,…,Snは、画素電極
27と共通電極31(図2参照)との間で形成される液晶容量で一定期間保持される。な
お、保持された画像信号S1,S2,…,Snがリークするのを防止するために、画素電
極27に電気的に接続された画素電位側容量電極と容量線の一例であるシールド層57で
電気的に接続された容量電極36との間に蓄積容量37(図4参照)が形成されている。
【0037】
このように、液晶層15に電圧信号が印加されると、印加された電圧レベルにより、液
晶分子の配向状態が変化する。これにより、液晶層15に入射した光が変調されて、画像
光が生成されるようになっている。
【0038】
図4は、液晶装置の構造を示す模式断面図である。以下、液晶装置の構造を、図4を参
照しながら説明する。なお、図4は、各構成要素の断面的な位置関係を示すものであり、
明示可能な尺度で表されている。
【0039】
図4に示すように、液晶装置11は、素子基板12と、これに対向配置される対向基板
13とを備えている。素子基板12及び対向基板13は、上記したように、例えば、石英
基板やガラス基板等によって構成されている。
【0040】
素子基板12上には、Ti(チタン)やCr(クロム)等からなる下側遮光膜51が形
成されている。下側遮光膜51は、平面的に格子状にパターニングされており、各画素の
開口領域を規定している。素子基板12及び下側遮光膜51上には、シリコン酸化膜等か
らなる下地絶縁膜52が形成されている。
【0041】
下地絶縁膜52上には、TFT素子33及び走査線35等が形成されている。TFT素
子33は、例えば、LDD(Lightly Doped Drain)構造を有しており、ポリシリコン等
からなる半導体層41と、半導体層41上に形成されたゲート絶縁膜53と、ゲート絶縁
膜53上に形成されたポリシリコン膜等からなる走査線35とを有する。上記したように
、走査線35は、ゲート電極として機能する。
【0042】
半導体層41は、チャネル領域41aと、低濃度ソース領域41bと、低濃度ドレイン
領域41cと、高濃度ソース領域41dと、高濃度ドレイン領域41eとを備えている。
チャネル領域41aは、走査線35からの電界によりチャネルが形成される。下地絶縁膜
52上には、シリコン酸化膜等からなる第1層間絶縁膜54が形成されている。
【0043】
第1層間絶縁膜54上には、蓄積容量37及び信号線34等が設けられている。蓄積容
量37は、TFT素子33の高濃度ドレイン領域41e及び画素電極27に接続された画
素電位側容量電極としての中継層55と、固定電位側容量電極としての容量電極36とが
、誘電体膜56を介して対向配置されている。
【0044】
容量電極36及び信号線34は、下層に導電性ポリシリコン膜A1、上層にアルミニウ
ム膜A2の二層構造を有する膜として形成されている。
【0045】
容量電極36及び信号線34は、光反射性能に比較的優れたアルミニウムを含み、かつ
、光吸収性能に比較的優れたポリシリコンを含むことから、遮光層として機能し得る。よ
って、TFT素子33の半導体層41に対する入射光の進行を、その上側で遮ることが可
能である。
【0046】
このような容量電極36は、蓄積容量37の固定電位側容量電極として機能する。容量
電極36を固定電位とするためには、上述のように、画素領域21外の定電位源に接続さ
れることで固定電位とされたシールド層57と、コンタクトホール58を介して電気的に
接続されることによってなされている。
【0047】
第1層間絶縁膜54には、TFT素子33の高濃度ソース領域41dと信号線34とを
電気的に接続するコンタクトホール61が開孔されている。言い換えれば、信号線34は
、誘電体膜56及び第1層間絶縁膜54を貫通するコンタクトホール61を介して、TF
T素子33の半導体層41と電気的に接続されている。具体的には、信号線34が上述の
ような二層構造をとっており、中継層55が導電性のポリシリコン膜からなることにより
、信号線34及び半導体層41間の電気的接続は、導電性のポリシリコン膜によって実現
されている。すなわち、下から順に、半導体層41、中継層55のポリシリコン膜、信号
線34の下層のポリシリコン膜A1、その上層のアルミニウム膜A2となる。
【0048】
また、第1層間絶縁膜54には、TFT素子33の高濃度ドレイン領域41eと蓄積容
量37を構成する中継層55とを電気的に接続するコンタクトホール62が開孔されてい
る。第1層間絶縁膜54上には、シリコン酸化膜等からなる第2層間絶縁膜63が形成さ
れている。
【0049】
第2層間絶縁膜63上には、例えば、アルミニウム等からなるシールド層57が形成さ
れている。また、第2層間絶縁膜63には、上記したように、シールド層57と容量電極
36とを電気的に接続するためのコンタクトホール58が形成されている。第2層間絶縁
膜63上には、シリコン酸化膜等からなる第3層間絶縁膜64が形成されている。
【0050】
第2層間絶縁膜63及び第3層間絶縁膜64には、画素電極27と中継層55とを電気
的に接続するためのコンタクトホール65,66が開孔されている。具体的には、第2層
間絶縁膜63上に形成された第2中継層67を介してコンタクトホール65とコンタクト
ホール66とが電気的に接続されている。第2中継層67は、シールド層57と同一の膜
構成となっており、下層にアルミニウム膜、上層に窒化チタン膜という二層構造を備えて
いる。
【0051】
つまり、高濃度ドレイン領域41eと画素電極27とは、コンタクトホール62、中継
層55、コンタクトホール65、第2中継層67、コンタクトホール66を介して、電気
的に接続されている。第3層間絶縁膜64上には、上記した画素電極27及び第1配向膜
28が形成されている。
【0052】
画素電極27は、平面的にマトリクス状に形成されており、例えば、ITO膜等の透明
導電性膜からなる。また、画素電極27上には、ラビングにより所定の方向に配向処理が
施された第1配向膜28が形成されている。第1配向膜28は、例えば、ポリイミド膜等
の透明な有機膜からなる。
【0053】
第1配向膜28上には、シール材14(図1参照)により囲まれた空間に液晶等の電気
光学物質が封入された液晶層15が設けられている。対向基板13の液晶層15に面する
側には、透明な共通電極31を覆ってラビングにより所定の方向に配向処理が施された第
2配向膜32が形成されている。第2配向膜32は、例えば、ポリイミド膜等の透明な有
機膜からなる。
【0054】
液晶層15は、画素電極27からの電界が印加されていない状態で第1配向膜28及び
第2配向膜32によって所定の配向状態をとる。シール材14は、素子基板12及び対向
基板13をそれらの周辺で貼り合わせるための、例えば光硬化性樹脂や熱硬化性樹脂から
なる接着剤であり、両基板間の距離を所定値とするためのグラスファイバー或いはガラス
ビーズ等のスペーサーが混入されている。以下、上記した液晶装置11となる前のマザー
基板について説明する。
【0055】
図5は、マザー基板の構成を示す模式平面図である。以下、マザー基板の構成を、図5
を参照しながら説明する。
【0056】
図5に示すように、マザー基板102は、複数個分の素子基板12が面付けされたもの
である。マザー基板102に対して対向基板13を個々に貼り合わせ、その隙間に液晶を
注入・封止してから、これを所定の位置で切断することにより、個々の液晶装置11が取
り出される。
【0057】
マザー基板102は、例えば、大きさが8インチのウェハ状であって、厚みが1.2m
mの石英基板である。四角形(長方形)の素子基板12はマザー基板102の表面にマト
リクス状に面付けされている。1つの素子基板12の大きさは対角線の長さにしておよそ
1インチ程度である。この場合の面付け数は40個である。
【0058】
なお、ウェハ状とは、図5に示しように平面的に円形であることに限定されず、例えば
円周の一部が切り欠かれたオリフラを有するものを含む概念である。
【0059】
上記液晶装置11において、対向基板13側の第2配向膜32は、本実施形態の液晶装
置の製造装置を適用した配向処理が施されている。以下、本実施形態の液晶装置の製造装
置としてのラビング装置について説明する。
【0060】
<液晶装置の製造装置の構成>
図6は、液晶装置の製造装置としてのラビング装置の構造を示す模式図である。同図(
a)は、ラビング装置の構造を示す斜視図である(ラビング処理が行われた直後の状態を
示す図である)。同図(b)は、ラビング装置を構成するパレットを上方から見た模式平
面図である。同図(c)は、同図(b)に示すパレットのB−B'断面に沿う模式断面図
である。図7(a)〜(d)は、ラビング装置を構成するステージが各ポジションに移動
したときの状況を示す模式平面図である。図8(a)、(b)は、ラビング装置の構造を
示す模式断面図である。以下、ラビング装置の構造について、図6〜図8を参照しながら
説明する。
【0061】
なお、ラビング処理が施される基板を被処理基板101として説明する。具体的には、
被処理基板101は、一対の基板のうち一方の基板である第2配向膜32が形成された対
向基板13である。
【0062】
図6〜図8に示すように、ラビング装置71は、例えば、複数の被処理基板101を並
べて収納するパレット72と、パレット72を載置するステージ73(周辺部材)と、パ
レット72を移動させるための基板搬送機74と、ラビング布75aが捲回され所定の方
向に回転するラビングロール75と、ラビングロール75をガイド及び支持するラビング
ロールガイド86(周辺部材)と、ラビング処理を行った際に発生する粉塵200を吸引
して除去する第1吸引部76(除去機構)及び第2吸引部77(除去機構)と、を備えて
いる。
【0063】
ステージ73は、被処理基板101にラビング処理を施すためにパレット72を載置し
て固定するために用いられる。ステージ73には、被処理基板101を吸着して固定する
吸着部(図示せず)が備えられている。また、ステージ73には、ラビングロール75に
対してステージ73を所定の方向(矢印方向:図6(a)、図7(c)参照)に相対的に
移動させる移動機構91と、これらを制御する制御部92が備えられている。ステージ7
3は、第1ポジション81から第4ポジション84までを移動することが可能に設けられ
ている。
【0064】
また、ステージ73は、例えば、ステンレスなどの板状部材を加工したものであり、ス
テージ73を動作させる駆動機構を有している。更に、ステージ73は、ステンレスなど
の板状部材に、粉塵200が付着しにくい表面処理としてのフッ素樹脂コーティング(テ
フロン(登録商標)コート99)が施されている。テフロン(登録商標)コート99(以
下、テフロン(登録商標)コート99を略して「TFコート99」と称する。)の詳細に
ついては後述する。
【0065】
図6(b)に示すように、パレット72は、例えばアルミニウムなどの板状部材を切削
加工したものであり、その表面には被処理基板101の形状とその大きさに合わせて設け
られた複数の凹部72aと、凹部72aごとにその底面中央付近に設けられた吸引口72
bとを有している。平面視で四角形の凹部72aは、パレット72の短辺と長辺とに沿っ
て複数配列しており、この場合、短辺に沿った縦方向に5個、長辺に沿った横方向に8個
、合計40個が設けられている。
【0066】
図6(c)に示すように、凹部72aは、その底面に被処理基板101が載置されたと
きに、パレット72の表面から被処理基板101の表面がわずかに突出する深さで設けら
れている。被処理基板101は、パレット72の凹部72aに収まるように配置され、吸
引手段によって吸着固定される。
【0067】
第1ポジション81(図7(a)参照)は、例えば、ステージ73のホームポジション
である。また、第1ポジション81では、ステージ73上に堆積した粉塵200の吸引が
行われる。第2ポジション82(図7(b)参照)では、ラビング処理前の被処理基板1
01が並べられたパレット72の搬入が行われる。第3ポジション83(図7(c)参照
)では、被処理基板101にラビング処理が行われる。第4ポジション84(図7(d)
参照)では、ラビング処理後の被処理基板101が並べられたパレット72の搬出が行わ
れる。
【0068】
基板搬送機74は、第2ポジション82において、ステージ73上に処理前のパレット
72を載置するために用いられる。また、基板搬送機74は、第4ポジション84におい
て、ステージ73上に載置された処理済みのパレット72をステージ73上から外部に搬
出するために用いられる。基板搬送機74は、パレット72を挟んだり放したりするため
に、スライド移動が可能な2本のアーム74aが備えられている。
【0069】
ラビングロール75は、第3ポジション83において、ステージ73の上方に配置され
ている。ラビングロール75は、円柱形状に形成されており、円の中心を軸にして回転可
能に設けられている。ラビングロール75の周面には、例えば、レーヨンで形成されたラ
ビング布75aが取り付けられている。
【0070】
また、ラビングロール75は、ラビングロールガイド86に回転可能に支持されている
。具体的には、ラビングロールガイド86は、ラビングロール75の上方に配置される上
部86aと、上部86aの両端に接続されラビングロール75を支持する側部86bとを
有する。なお、ラビングロール75は、ラビングロールガイド86に追従して上下動する
。つまり、ラビングロールガイド86を上下動させることにより、ラビングロール75を
上下方向に移動させることができる。
【0071】
また、ラビングロールガイド86は、例えば、ステンレスなどの板状部材を加工したも
のであり、ラビングロールガイド86(ラビングロール75)を移動させる駆動機構、及
び、駆動機構を支持する支持部を内部に有している。更に、ラビングロールガイド86は
、ステンレスなどの板状部材に、粉塵200が付着しにくいTFコート99が施されてい
る。TFコート99の詳細については後述する。
【0072】
なお、ラビングロールガイド86におけるTFコート99が施されている部分としては
、少なくともラビングロール75と面している部位86cである。この部分にTFコート
99が施されていることにより、ラビング処理において発生した粉塵200が部位86c
に付着することを抑えることが可能となる。言い換えれば、テフロン(登録商標)コーテ
ィングは粉塵200が付着することを防ぐものである。したがって、粉塵200が同一箇
所に付着して堆積することが防止される。ゆえに、当該堆積物がラビングロール75に落
下し難くなる。
【0073】
ステージ73とラビングロール75とは、相対的に移動させることが可能に設けられて
いる。ここでは、例えば、ステージ73がラビングロール75に対して矢印方向(図6(
a)参照)に移動する。また、ステージ73及びラビングロール75の少なくとも一方は
、ステージ73とラビングロール75との間の距離を調整可能な方向に移動可能となって
いる。ここでは、ステージ73に対してラビングロール75が上下方向に移動可能となっ
ている。また、ラビングロール75とステージ73とは、ラビング布75aによる被処理
基板101へのラビング圧が所定値になるように、上下方向の位置決めが行われる。
【0074】
第1吸引部76(図7参照)は、ラビング方向の下流側となる第1ポジション81に配
置されている。具体的には、第1吸引部76は、ラビング処理を行った際にステージ73
上に堆積した粉塵200の除去を行う。例えば、第1吸引部76は、ステージ73が各ポ
ジションに移動するときには、ステージ73の上方に待機している。また、第1吸引部7
6は、第3ポジション83においてラビング処理が終了した後、ステージ73が第1ポジ
ション81に戻ってきた際に、粉塵200を吸引するために待機位置から下降する。
【0075】
また、第1吸引部76は、例えば、ステージ73上に載置されたパレット72の辺部7
2c,72d(一辺部),72eに沿った領域からステージ73の一端73a付近までの
領域を覆うように吸引口76aを有する。つまり、第1吸引部76(吸引口76a)は、
パレット72の周辺領域における、ラビングロール75によって掻き上げられた粉塵20
0が堆積しやすい領域(以下、「周辺領域78」と称する。)を覆って構成されている。
【0076】
なお、第1吸引部76は、第2配向膜32の配向方向によってラビングロール75を傾
けて配置することがあるため、パレット72の側方(辺部72c,72e)まで覆ってい
ることが望ましい。これにより、パレット72の側方付近に堆積した粉塵200を吸引す
ることが可能となる。
【0077】
また、図8(a)に示すように、粉塵200を吸引する際の、吸引口76aとステージ
73との隙間は、例えば、2mm〜3mm程度である。また、パレット72と吸引口76
aとの隙間は、例えば、5mm程度である。第1吸引部76は、吸引した粉塵200を排
気口85を介して排気する。また、第1吸引部76には、ステージ73に対して吸引口7
6aを所定の方向に相対的に移動させる移動機構93が備えられている。これにより、制
御部92(図6(a)参照)は、移動機構93を駆動制御して吸引口76aとステージ7
3との隙間を調整可能である。
【0078】
図8(b)に示すように、第2吸引部77は、第3ポジション83においてラビングロ
ール75の上方に配置されている。具体的には、第2吸引部77は、ラビング処理を行っ
た際に、ラビングロール75の周面近傍の粉塵200の除去を行う。ラビングロール75
と第2吸引部77との距離は、約1mm程度である。
【0079】
図9は、ラビング装置の機械的および電気的な構成を示すブロック図である。以下、ラ
ビング装置の機械的および電気的な構成を、図9を参照しながら説明する。
【0080】
図9に示すように、制御部92は、ラビングロール75に取り付けられた、例えば、サ
ーボモーターなどの回転機構94を駆動制御して、ラビングロール75を所定の方向に所
定の回転速度(単位時間当たりの回転数)で回転させる。
【0081】
また、ステージ73に設けられた移動機構91を駆動制御して、ステージ73をラビン
グロール75に対して所定の速度で相対的に移動させる。また、第1吸引部76に設けら
れた移動機構93を駆動制御して、第1吸引部76をステージ73に対して相対的に移動
させる。これにより、吸引口76aとステージ73との隙間を設定することができる。更
に、制御部92は、第1吸引部76による粉塵200の吸引時間や吸引圧を制御する。次
に、液晶装置11の製造方法について説明する。
【0082】
図10は、ラビング装置の周辺部材にコーティングする材料の表面エネルギーを示す図
表である。以下、材料別の表面エネルギーについて、図10を参照しながら説明する。
【0083】
表面エネルギーとは、その表面に施された化学的組成である。この表面エネルギーの数
値が小さいほど周辺部材に粉塵200が付着しにくく、逆に数値が大きいほど周辺部材に
粉塵200が付着しやすくなる。
【0084】
図10に示すように、従来、周辺部材として使用されていたステンレスは、表面エネル
ギーの数値が700〜1100(10-3N/m)であり、発生した粉塵200が付着しや
すい。しかしながら、本実施形態では、ステンレスの表面にTFコート99を施している
ので、表面エネルギーの数値が18(10-3N/m)となり、ステンレスと比較して表面
エネルギーを非常に小さくすることができる。
【0085】
テフロン(登録商標)としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフ
ルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフル
オロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン
・エチレン共重合体(ETFE)、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)、ポリクロ
ロトリフルオロエチレン(PCTFE)、クロロトリフルオロエチレン・エチレン重合体
などが挙げられる。
【0086】
本実施形態のテフロン(登録商標)の素材としては、耐放射線性の高い、例えば、ET
FE(テトラフルオロエチレンとエチレン共重合体(4フッ化エチレン・エチレン共重合
樹脂))であることが好ましい。理由として、ラビング処理中に発生する静電気を防止す
るために軟X線イオナイザーが使用されるが、一般的なテフロン(登録商標)の素材では
原子結合が崩壊し劣化が進行する。ETFEを用いることにより、このような劣化を防ぐ
ことができる。被膜の厚みとしては数十μm〜数百μmが適当である。
【0087】
このように、フッ素系高分子材料が表面エネルギーを低下させることから、粉塵200
がステージ73周辺やラビングロール75周辺に付着することを抑えることができる。ま
た、図表に示すように、テフロン(登録商標)の代わりにポリプロピレンやポリエチレン
等の材料で、ステージ73周辺、ラビングロール75周辺をコーティングするようにして
もよい。コーティングする材料としては、粉塵200の付着状態に応じて、適用する材料
を図表の中から適宜選定することが好ましい。
【0088】
<液晶装置の製造方法>
図11は、液晶装置の製造方法を工程順に示す工程図である。図12は、液晶装置の製
造方法のうち第2配向膜の製造方法を詳しく示す工程図である。以下、液晶装置の製造方
法を、図11及び図12を参照しながら説明する。
【0089】
最初に、素子基板12側の製造方法を説明する。ステップS11では、素子基板12上
にTFT素子33(図3参照)等を形成する。具体的には、周知の成膜技術、フォトリソ
グラフィ技術及びエッチング技術を用いて、素子基板12上にTFT素子33を形成する
。その後、同様の方法を用いて第3層間絶縁膜64までを形成する。
【0090】
ステップS12では、画素電極27を形成する。具体的には、周知の成膜技術、フォト
リソグラフィ技術及びエッチング技術を用いて、第3層間絶縁膜64上に画素電極27を
形成する。
【0091】
ステップS13では、画素電極27上に第1配向膜28を形成する。第1配向膜28の
形成方法は、例えば、配向膜材料としてのポリイミドやポリアミック酸を含む有機溶液を
塗布して、溶媒成分を除去する乾燥・焼成を行う。塗布方法としては、スピンコート、ス
リットコート等の方法や、オフセット等の印刷法が挙げられる。その後、成膜化した第1
配向膜28に、ラビング処理を施す。なお、素子基板12側の第1配向膜28にラビング
処理を施す方法としては、後述する変形例で説明する。以上により、素子基板12側が完
成する。
【0092】
次に、対向基板13側の製造方法を説明する。まず、ステップS21では、ガラスや石
英等の透光性材料からなる対向基板13上に、周知の成膜技術、フォトリソグラフィ技術
及びエッチング技術を用いて、共通電極31を形成する。
【0093】
ステップS22では、共通電極31上に第2配向膜32を形成する。なお、第2配向膜
32の形成方法は、図12に示す工程図を参照しながら説明する。また、第2配向膜32
が形成される前までの基板を被処理基板101と称して説明する。
【0094】
まず、被処理基板101に第2配向膜32を形成する方法としては、上記したように、
例えば、配向膜材料としてのポリイミドやポリアミック酸を含む有機溶液を塗布して、溶
媒成分を除去する乾燥・焼成を行う。
【0095】
ステップS221(載置工程)では、ラビング装置71において、被処理基板101を
受け取る。詳しくは、上記したように、複数の被処理基板101が並べられたパレット7
2をラビング装置71のステージ73上に載置する。まず、ステージ73を、第1ポジシ
ョン81からパレット72の受け渡し位置である第2ポジション82に移動する。次に、
基板搬送機74を用いてパレット72をステージ73上に載置する。その後、ステージ7
3に設けられた吸着部によってステージ73表面にパレット72を吸着させる。
【0096】
ステップS222(ラビング処理工程)では、ラビング処理を行う。具体的には、まず
、回転するラビングロール75を下降させて、ラビングロール75の周面のラビング布7
5aが被処理基板101に接触可能な位置になったところでラビング処理を開始する。
【0097】
詳しくは、回転するラビングロール75に対して、ラビング布75aと被処理基板10
1(第2配向膜32)とを接触させた状態でステージ73を所定の方向に相対的に移動さ
せることにより、ラビング布75aによって第2配向膜32が擦られ、ラビング処理が行
われる。ラビング処理時にラビング布75aとパレット72や被処理基板101とが接触
することにより、主にラビング布75aのラビング毛が切れたり抜けたりした粉塵200
が発生する。発生した粉塵200の一部は、ラビングロール75の上方に配置された第2
吸引部77によって吸引される。残りの一部の粉塵200は、ステージ73上におけるパ
レット72の周辺領域78に飛散して付着する。
【0098】
また、ラビングロールガイド86やステージ73の表面にTFコート99が施されてい
るので、これらの表面エネルギーを小さくすることが可能となり、粉塵200が付着しに
くくなる。具体的には、ラビングロールガイド86における少なくともラビングロール7
5に面している部位86cにTFコート99が施されている。また、ステージ73におけ
る少なくとも周辺領域78(部位)にTFコート99が施されている。これにより、第2
吸引部77によって粉塵200を吸引したり、ステージ73上(周辺領域)に落ちた粉塵
200を第1吸引部76によって吸引しやすくすることができる。
【0099】
ステップS223では、パレット72を剥離する。具体的には、吸着部によるパレット
72の吸着動作を解除して、ステージ73表面に吸着されたパレット72をフリーの状態
にする。次に、基板搬送機74を用いて、パレット72をステージ73上から外部に搬送
する。
【0100】
ステップS224では、ステージ73を第4ポジション84からホームポジションであ
る第1ポジション81に移動する。つまり、ステージ73上の周辺領域78に堆積した粉
塵200を吸引可能な位置に移動する。更に、ステップS225では、第1吸引部76を
ステージ73上方の待機位置から下降させる。
【0101】
ステップS226(吸引工程)では、ステージ73上に堆積した粉塵200を吸引する
。具体的には、第1吸引部76を下降させることにより、ステージ73に載置されたパレ
ット72の領域(載置面)を除いた領域(周辺領域78)が第1吸引部76の吸引口76
aで覆われるように、第1吸引部76の位置を合わせる。更に、吸引口76aとステージ
73との隙間が、約2mm〜3mm程度になるように上下方向を調整する。その後、第1
吸引部76によってステージ73上に堆積した粉塵200を所定時間吸引する。
【0102】
なお、第1吸引部76による粉塵200の吸引動作は、粉塵200の発生する量に応じ
て決めればよく、例えば、1パレットの交換毎に行っても良いし、1回のラビング処理毎
(1回のステージ73の移動毎)に行ってもよい。
【0103】
このように、ラビングロールガイド86やステージ73等、ラビングロール75の周辺
部材にTFコート99を施しているので、ラビング処理によって発生した粉塵200が周
辺部材に付着しにくい。更に、第1吸引部76及び第2吸引部77によって粉塵200を
吸引した際、周辺部材から粉塵200が離れやすくなり、吸引して除去することができる

【0104】
ステップS227では、第1吸引部76を上昇させる。具体的には、ステージ73上に
堆積した粉塵200を吸引した後は、再度、ステップS221に戻って新たな被処理基板
101(パレット72)にラビング処理を開始するので、ステージ73の移動に邪魔にな
らない位置まで第1吸引部76を上昇させる。以上により、対向基板13が完成する。以
下、図11に示す工程図に沿って、素子基板12と対向基板13とを貼り合わせる方法を
説明する。
【0105】
ステップS31では、対向基板13上にシール材14を塗布する。詳しくは、対向基板
13とディスペンサー(吐出装置でも可能)との相対的な位置関係を変化させて、対向基
板13における表示領域19の周縁部に(表示領域19を囲むように)シール材14を塗
布する。
【0106】
ステップS32では、素子基板12と対向基板13とを貼り合わせる。具体的には、対
向基板13に塗布されたシール材14を介して素子基板12と対向基板13とを貼り合わ
せる。より具体的には、互いの基板12,13の平面的な縦方向や横方向の位置精度を確
保しながら行う。
【0107】
ステップS33では、液晶注入口16(図1参照)から構造体の内部に液晶を注入し、
その後、液晶注入口16を封止する。封止には、例えば、樹脂等の封止材17が用いられ
る。以上により、液晶装置11が完成する。
【0108】
以上詳述したように、本実施形態によれば、以下に示す効果が得られる。
【0109】
(1)本実施形態によれば、ラビングロールガイド86やステージ73等、ラビングロ
ール75の周辺部材にTFコート99を施しているので、例えば、ステンレスのような表
面エネルギーが高い部材が露出していることと比較して、周辺部材の表面エネルギーを小
さくすることができる。これにより、ラビング処理によって発生した粉塵200が周辺部
材に付着することを抑えることが可能となり、例えば、周辺部材に粉塵200が付着して
、その堆積物がラビングロール75に付着したり被処理基板101上に落下したりするこ
とを抑えることができる。その結果、第2配向膜32が傷つくことを抑えることができる

【0110】
(2)本実施形態によれば、周辺部材にTFコート99が施されていることに加えて、
第1吸引部76及び第2吸引部77が設けられているので、周辺部材から粉塵200が離
れやすくなり、例えば、ステージ73上の周辺領域78に落下した粉塵200を吸引して
除去することができる。
【0111】
なお、実施形態は上記に限定されず、以下のような形態で実施することもできる。
【0112】
(変形例1)
上記したように、TFコート99を施す対象をラビングロールガイド86やステージ7
3としているが、これに限定されず、例えば、ラビング装置71内における粉塵200と
接触する可能性のある部分にTFコート99を施すようにしてもよい。また、平坦な表面
を表面処理するだけでなく、ネジ孔などの凹凸面を表面処理することが好ましい。これに
よれば、粉塵200が溜まりやすく清掃がしにくい部分であっても、粉塵200の付着を
抑えることができる。
【0113】
(変形例2)
上記したように、表面エネルギーを小さくするために、周辺部材にTFコート99のよ
うな表面処理を施すことに限定されず、例えば、表面エネルギーを小さくするためのフィ
ルムで周辺部材を覆うようにしてもよい。
【0114】
(変形例3)
上記したように、ラビングロールガイド86やステージ73の材質は、ステンレスに限
定されず、他の材料を用いて形成するようにしてもよい。そして、その材料にTFコート
99を施して、表面エネルギーを小さくするようにしてもよい。
【0115】
(変形例4)
上記したように、除去機構として第1吸引部76及び第2吸引部77を用いて吸引して
いたが、これに限定されず、粉塵200を払拭するようにして除去してもよいし、風を吹
きつけるようにして除去してもよい。また、粉塵200を吸着するようにして除去しても
よいし、転写するようにして除去してもよい。
【0116】
(変形例5)
上記したように、ラビングロール75を所定の方向に回転させて所定の方向に粉塵を掻
き上げて、ステージ73上の周辺領域78に粉塵200を堆積させていることに代えて、
例えば、ラビングロール75の近傍に気流をつくるための送風機構を設け、ラビング方向
の上流側から下流側に送風し、周辺領域78の方向に粉塵200が集まるようにしてもよ
い。これによれば、第1吸引部76だけでは除去できない粉塵200をより除去しやすく
することができる。
【0117】
(変形例6)
上記したように、ラビングロールガイド86やステージ73のカバーがステンレスであ
ることに代えて、表面エネルギーの小さい材料で構成するようにしてもよい。これによれ
ば、ステンレスの表面エネルギーを小さくするための表面処理工程を省くことができる。
【0118】
(変形例7)
上記したように、ラビング処理される基板は対向基板13側に限定されず、例えば、素
子基板12側をラビング処理する装置にも適用できる。
【符号の説明】
【0119】
11…液晶装置、12…素子基板、13…対向基板、14…シール材、15…液晶層、
16…液晶注入口、17…封止材、18…額縁遮光膜、19…表示領域、21…画素領域
、22…信号線駆動回路、23…外部接続端子、24…走査線駆動回路、25…検査回路
、26…上下導通端子、27…画素電極、28…第1配向膜、31…共通電極、32…第
2配向膜、33…TFT素子、34…信号線、35…走査線、36…容量電極、37…蓄
積容量、41…半導体層、41a…チャネル領域、41b…低濃度ソース領域、41c…
低濃度ドレイン領域、41d…高濃度ソース領域、41e…高濃度ドレイン領域、51…
下側遮光膜、52…下地絶縁膜、53…ゲート絶縁膜、54…第1層間絶縁膜、55…中
継層、56…誘電体膜、57…シールド層、58,61,62,65,66…コンタクト
ホール、63…第2層間絶縁膜、64…第3層間絶縁膜、67…第2中継層、71…ラビ
ング装置、72…パレット、72a…凹部、72b…吸引口、72c,72d,72e…
辺部、73…ステージ、73a…一端、74…基板搬送機、74a…アーム、75…ラビ
ングロール、75a…ラビング布、76…除去機構としての第1吸引部、76a…吸引口
、77…除去機構としての第2吸引部、78…周辺領域、81…第1ポジション、82…
第2ポジション、83…第3ポジション、84…第4ポジション、85…排気口、86…
ラビングロールガイド、86c…部位、91…移動機構、92…制御部、93…移動機構
、94…回転機構、101…被処理基板、102…マザー基板、200…粉塵。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の基板に挟持された液晶層と、前記一対の基板の少なくとも一方の基板に設けられ
た配向膜とを有し、前記配向膜がラビング布によりラビング処理される液晶装置の製造装
置であって、
前記ラビング布が捲回されたラビングロールを備え、
前記ラビングロールの周辺に設けられた周辺部材の少なくとも前記ラビングロールに面
する側の部位は、フッ素樹脂のコーティング処理が施されていることを特徴とする液晶装
置の製造装置。
【請求項2】
請求項1に記載の液晶装置の製造装置であって、
前記周辺部材は、前記ラビングロールを移動させる駆動機構、及び、前記駆動機構の支
持部であることを特徴とする液晶装置の製造装置。
【請求項3】
請求項1に記載の液晶装置の製造装置であって、
前記周辺部材は、前記一方の基板が載置される載置面を有するステージであって、
前記ステージの前記載置面以外の少なくとも周辺領域に相当する部位に表面処理が施さ
れていることを特徴とする液晶装置の製造装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の液晶装置の製造装置であって、
前記ラビング処理によって発生した粉塵を除去する除去機構を備えていることを特徴と
する液晶装置の製造装置。
【請求項5】
請求項4に記載の液晶装置の製造装置であって、
回転する前記ラビングロールに対しラビング方向の下流側に前記除去機構としての吸引
部が配置されていることを特徴とする液晶装置の製造装置。
【請求項6】
請求項5に記載の液晶装置の製造装置であって、
前記ラビング方向の上流側から前記下流側に風を送る送風機構が設けられていることを
特徴とする液晶装置の製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−8149(P2011−8149A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−153410(P2009−153410)
【出願日】平成21年6月29日(2009.6.29)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】