説明

液滴吐出装置

【課題】液状体の液面が波立つことで、中継タンク内の液状体と、吐出ヘッドの吐出口に位置する液状体との水頭差が適切に維持できなくなることを抑制することができる液滴吐出装置を提供する。
【解決手段】液滴吐出装置は、液状体を吐出する吐出ヘッドと、吐出ヘッドに液状体を供給する供給路に配設されており、吐出ヘッドに連通している中継タンクと、液状体を配置して描画する対象物である被描画媒体に対して吐出ヘッドを移動させるとともに、吐出ヘッドから液状体を選択的に吐出させる吐出走査における吐出走査方向に、吐出ヘッドと中継タンクとを移動させるヘッド走査手段と、中継タンク内の液状体の液面に波が発生することを抑制する波立抑制手段と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被描画媒体に向けて液状体を吐出することで、被描画媒体上に液状体を配置し、当該液状体を固化させることによって、被描画媒体上に画像などを形成する液滴吐出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、吐出ヘッドから液状体を液滴として吐出し、任意の位置に精度よく着弾させることによって、任意の位置に任意の量の液状体を配置するインクジェット装置が知られている。このようなインクジェット装置は、配置した液状体を固化させることによって、精密な形状を有する機能膜や、精細な画像などを形成することができる製膜装置として用いられる。
精密な形状を実現するためには、液滴の大きさが適切に維持されることが必要である。多くのインクジェット装置において、液状体の供給路に吐出ヘッドに連通する中継タンクを設け、中継タンク内の液状体と、吐出ヘッドの吐出口に位置する液状体との水頭差を適切に維持することで、液滴の重量を一定に維持している。しかし、中継タンクが吐出ヘッドと一緒に移動する装置においては、中継タンクが加速させられたり減速させられたりする際に、中継タンク内の液状体に慣性力による見かけ上の力が加わり、液状体が中継タンクの中で中継タンクが加速される方向と反対側に寄せられる。中継タンクが等速移動状態になると加速度がなくなり、加速度によって寄せられた液状体が元に戻ろうとするため、液状体の液面に波が発生する。液状体の液面が波立つことで、中継タンク内の液状体の圧力が変動する。中継タンク内の液状体の圧力が変動することで、中継タンク内の液状体と、吐出ヘッドの吐出口に位置する液状体との水頭差が適切に維持できなくなる可能性があった。
【0003】
特許文献1には、ヘッドと共にサブタンクを塗布方向に移動させる第一駆動機構と、ヘッド及びサブタンクを塗布方向に直交する直交方向に移動させる第二駆動機構と、これら駆動機構の動作を制御する制御装置を備え、制御装置の記憶部は、サブタンクが直交方向に移動する際に生ずるサブタンク本体部内の塗布液の圧力変化を抑えるように、サブタンクを挙動させて直交方向に移動させる動作プログラムを記憶しており、制御装置の動作制御部は、動作プログラムに従ってサブタンクを直交方向に移動させることによって、ヘッドの吐出口においてインクのメニスカスの形状を安定させることができる塗布装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−179226号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示された装置は、塗布方向と直交する方向に移動する際のメニスカスの形状を安定させて、液漏れを防止するものであって、塗布走査(描画走査)を実施する際のメニスカスの形状安定に寄与するものではない。特許文献1に開示された装置の構成を描画走査の際の制御に適用したとしても、走査における動作を制御するために走査速度を変動させることが必要である。メニスカスの形状安定のために走査速度を変動させることで、描画走査の走査速度を適切な走査速度に設定することができなくなるという課題があった。走査速度が適切な走査速度でなくなることで、描画品質が損なわれたり、描画時間が長くなったりする可能性があるという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
【0007】
[適用例1]本適用例にかかる液滴吐出装置は、液状体を吐出する吐出ヘッドと、前記吐出ヘッドに前記液状体を供給する供給路に配設されており、前記吐出ヘッドに連通している中継タンクと、前記液状体を配置して描画する対象物である被描画媒体に対して前記吐出ヘッドを移動させるとともに、前記吐出ヘッドから前記液状体を選択的に吐出させる吐出走査における吐出走査方向に、前記吐出ヘッドと前記中継タンクとを移動させるヘッド走査手段と、前記中継タンク内の前記液状体の液面に波が発生することを抑制する波立抑制手段と、を備えることを特徴とする。
【0008】
本適用例にかかる液滴吐出装置によれば、中継タンク内の液状体の液面に波が発生することを抑制する波立抑制手段を備える。波立抑制手段によって、中継タンク内の液状体の液面に波が発生することを抑制することができる。
中継タンクは吐出ヘッドに液状体を供給する供給路に配設されており、吐出ヘッドに連通しているため、中継タンクにおける液状体の液面位置と、吐出ヘッドの吐出口の位置との水頭差が、吐出口から吐出される液滴の大きさに影響を与える。このため、中継タンク内の液状体の液面に波が発生すると、液面の高さが変動することになり、吐出ヘッドの吐出口から吐出される液滴の大きさをばらつかせる要因となる。波立抑制手段によって、中継タンク内の液状体の液面に波が発生することを抑制することで、液面に波が発生することに起因して吐出ヘッドから吐出される液滴の大きさがばらつくことを抑制することができる。
【0009】
[適用例2]上記適用例にかかる液滴吐出装置は、前記波立抑制手段が、前記中継タンク内の前記液状体の液面に波を発生させる波発生手段と、前記波発生手段を制御する波発生制御手段と、を備えることが好ましい。
【0010】
この液滴吐出装置によれば、波立抑制手段は、波を発生させる波発生手段と、波発生手段を制御する波発生制御手段と、を備え、波発生手段によって、中継タンク内の液状体の液面に波を発生させることができる。
一般的に、液面に2個の波が存在する場合、液面には2個の波が合成された合成波が形成される。当該合成波の振幅が小さい場合、液面はほとんど波がない状態となる。
波発生制御手段によって、波発生手段に、中継タンク内の液状体の液面に発生する波との合成波の振幅が小さくなるような波を発生させることで、中継タンク内の液状体の液面に、実際に液面が波動するような波が発生することを抑制することができる。
【0011】
[適用例3]上記適用例にかかる液滴吐出装置は、前記波発生制御手段が、前記中継タンク内に発生する波の情報を予め取得して、前記波発生手段に、取得した前記波に対して位相が反転した逆位相波を、発生させることが好ましい。
【0012】
この液滴吐出装置によれば、波発生制御手段は、中継タンク内に発生する波の情報を予め取得する。中継タンク内に発生する波の多くは、吐出走査において、中継タンクが吐出ヘッドとともに移動させられる際に中継タンクに加えられる加速度に起因して発生する。吐出走査における中継タンクの移動パターンによって、中継タンク内に発生する波の状態を推定することができる。あるいは、中継タンクを吐出走査における中継タンクの移動パターンで移動させて、液状体の液面に発生する波を実測して、波の状態を求めることもできる。
波発生手段に、取得した波に対して位相が反転した逆位相波を発生させることによって、中継タンクに加えられる加速度に起因して発生する波と、発生させた逆位相波が合成された合成波を発生させることで、中継タンク内の液状体の液面に、実際に液面が波動するような波が発生することを抑制することができる。
【0013】
[適用例4]上記適用例にかかる液滴吐出装置は、前記中継タンク内の前記液状体の液面位置を検出する液面検出手段をさらに備え、前記波発生制御手段は、前記波発生手段に、前記液面検出手段によって検出された液面の変動を相殺する波を、発生させることが好ましい。
【0014】
この液滴吐出装置によれば、液面検出手段を備え、中継タンク内の液状体の液面位置を検出することができる。液面位置の変動状態によって、液面に発生した波の状態を検出することができる。
波発生手段に、検出した波を相殺するような波を発生させることによって、液面を変動させている波と発生させた波とが合成された合成波を発生させることで、液面が大きく波動して液面位置が変動したような影響をあたえるような波が、中継タンク内の液状体の液面に発生することを抑制することができる。
【0015】
[適用例5]上記適用例にかかる液滴吐出装置は、前記中継タンクに加えられる加速度を検出するタンク加速度検出手段をさらに備え、前記波発生制御手段は、前記波発生手段に、前記タンク加速度検出手段によって検出された加速度によって発生する前記波に対して位相が反転した逆位相波を、発生させることが好ましい。
【0016】
この液滴吐出装置によれば、タンク加速度検出手段によって、中継タンクに加えられる加速度を検出することができる。波発生制御手段が、タンク加速度検出手段によって検出された加速度に対応する波に対して、位相が反転した逆位相波を発生させることによって、中継タンクに加えられる加速度に起因して発生する波と、発生させた逆位相波が合成された合成波を発生させることで、中継タンク内の液状体の液面に、実際に液面が波動するような波が発生することを抑制することができる。
【0017】
[適用例6]上記適用例にかかる液滴吐出装置は、前記波立抑制手段が、前記中継タンクを、姿勢を補正可能に支持するタンク支持手段と、前記タンク支持手段を制御して、前記中継タンクの姿勢を補正する、タンク姿勢制御手段と、を備えることが好ましい。
【0018】
この液滴吐出装置によれば、波立抑制手段は、中継タンクを、姿勢を補正可能に支持するタンク支持手段と、タンク支持手段を制御して、中継タンクの姿勢を補正する、タンク姿勢制御手段と、を備える。
一般的に、中継タンクが加速させられたり減速させられたりする際に、中継タンク内の液状体に慣性力による見かけ上の力が加わり、液状体が中継タンクの中で中継タンクが加速される方向と反対側に寄せられる。中継タンクが等速移動状態になると加速度がなくなり、加速度によって寄せられた液状体が元に戻ろうとするため、液状体の液面に波が発生する。
また、一般的に、静止又は等速運動している物体には、重力加速度の方向に重力が作用している。物体の姿勢が定まれば、物体に対する重力の作用方向は定まる。当該物体に加速度が作用している際の当該加速度と重力加速度との合力の作用する方向は、静止又は等速運動している物体に対する重力の作用方向とは異なっている。加速度に対応して物体を傾けることによって、物体に対する加速度と重力加速度との合力の作用する方向を、静止又は等速運動している物体に対する重力の作用方向と、略一致させることができる。
すなわち、中継タンクの姿勢を補正することで、中継タンク内の液状体に加わる力の方向を、中継タンクに固定された座標系において、中継タンクが静止している場合と略同じにすることができる。したがって、中継タンクに加速度が作用しても、中継タンク内の液状体に加わる力の方向を略一定に維持して、液状体の液面に波が発生することを抑制することができる。
【0019】
[適用例7]上記適用例にかかる液滴吐出装置は、前記タンク姿勢制御手段が、前記中継タンクに加えられる加速度の情報を予め取得し、前記中継タンクの姿勢を、取得した加速度の情報に対応する姿勢に補正することが好ましい。
【0020】
この液滴吐出装置によれば、タンク姿勢制御手段は、中継タンクに加えられる加速度の情報を予め取得する。吐出走査における中継タンクの移動パターンによって、中継タンクに加えられる加速度を推定することができる。あるいは、中継タンクを吐出走査における中継タンクの移動パターンで移動させて、中継タンクに加えられる加速度を実測して求めることもできる。
中継タンクの姿勢を、取得した加速度の情報に対応する姿勢に補正することで、中継タンク内の液状体の液面に波が発生することを抑制することができる。より詳細には、タンク支持手段に、中継タンクに対する取得した加速度による力と重力との合力の方向が、加速度が作用していない状態における中継タンクに対する重力の方向と、略一致するように、中継タンクを傾けることで、中継タンク内の液状体の液面に波が発生することを抑制することができる。
【0021】
[適用例8]上記適用例にかかる液滴吐出装置は、前記中継タンクに加えられる加速度を検出するタンク加速度検出手段をさらに備え、前記タンク姿勢制御手段は、前記中継タンクの姿勢を、前記タンク加速度検出手段によって検出された加速度に対応する姿勢に補正することが好ましい。
【0022】
この液滴吐出装置によれば、タンク加速度検出手段によって、中継タンクに加えられる加速度を検出することができる。タンク姿勢制御手段が、中継タンクの姿勢を、タンク加速度検出手段によって検出された加速度に対応する姿勢に補正することで、中継タンク内の液状体の液面に波が発生することを抑制することができる。より詳細には、タンク支持手段に、中継タンクに対する検出した加速度による力と重力との合力の方向が、加速度が作用していない状態における中継タンクに対する重力の方向と、略一致するように、中継タンクを傾けることで、中継タンク内の液状体の液面に波が発生することを抑制することができる。
【0023】
[適用例9]上記適用例にかかる液滴吐出装置は、前記中継タンク内の前記液状体の液面位置を検出する液面検出手段をさらに備え、前記タンク姿勢制御手段は、前記中継タンクの姿勢を、前記液面検出手段によって検出された前記液面位置の変動に対応して補正することが好ましい。
【0024】
この液滴吐出装置によれば、液面検出手段を備え、中継タンク内の液状体の液面位置を検出することができる。液面位置の変動状態によって、中継タンクに加えられている加速度の状態を検出することができる。
タンク姿勢制御手段が、中継タンクの姿勢を、液面検出手段によって検出された液面位置の変動に対応して補正することで、中継タンク内の液状体の液面に波が発生することを抑制することができる。より詳細には、タンク支持手段に、液面位置の変動状態を検出することによって、検出できる中継タンクに加えられている加速度による力と重力との合力の方向が、加速度が作用していない状態における中継タンクに対する重力の方向と、略一致するように、中継タンクを傾けることで、中継タンク内の液状体の液面に波が発生することを抑制することができる。
【0025】
[適用例10]上記適用例にかかる液滴吐出装置は、前記タンク姿勢制御手段が、前記中継タンクに加えられる加速度の方向側が下がる方向に、前記中継タンクを傾けることが好ましい。
【0026】
この液滴吐出装置によれば、タンク姿勢制御手段は、中継タンクに加えられる加速度の方向側が下がる方向に、中継タンクを傾ける。
一般的に、中継タンクが加速させられたり減速させられたりする際に、中継タンク内の液状体に慣性力による見かけ上の力が加わり、液状体が中継タンクの中で中継タンクが加速される方向と反対側に寄せられる。中継タンクが等速移動状態になると加速度がなくなり、加速度によって寄せられた液状体が元に戻ろうとするため、液状体の液面に波が発生する。
中継タンクに加えられる加速度の方向側が下がる方向に、中継タンクが傾けられるため、液状体が中継タンクの中で寄せられる方向側が高くなる。これにより、中継タンクに加えられる加速度に起因して液状体が中継タンクの中で寄せられることを、抑制することができる。
【0027】
[適用例11]上記適用例にかかる液滴吐出装置は、前記タンク姿勢制御手段が、前記中継タンクの姿勢を、前記中継タンク内の前記液状体の液面と前記中継タンクとの相対位置が、前記中継タンクに加速度が加えられていない場合の前記液状体の液面と前記中継タンクとの相対位置を維持する方向に補正することが好ましい。
【0028】
この液滴吐出装置によれば、中継タンクの姿勢が、中継タンク内の液状体の液面と中継タンクとの相対位置が、中継タンクに加速度が加えられていない場合の液状体の液面と中継タンクとの相対位置を維持する姿勢に補正される。したがって、中継タンク内の液状体には、中継タンクに加速度が加えられていない場合の液状体の液面と中継タンクとの相対位置に戻ろうとする力が作用することは実質的にない。これにより、加速度によって寄せられた液状体が元に戻ろうとすることに起因して、液状体の液面に波が発生することを、抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】第1の実施形態における、液滴吐出装置の全体構成の概略を示す説明図。
【図2】(a)は、液滴吐出ヘッドの概略構成を示す外観斜視図。(b)は、液滴吐出ヘッドの構造を示す斜視断面図。(c)は、液滴吐出ヘッドの吐出ノズルの部分の構造を示す断面図。
【図3】ヘッドユニットの概略構成を示す平面図。
【図4】ヘッドキャリッジの構成を示す説明図。
【図5】(a)は、タンクユニットの構成を示す説明図。(b)は、タンクユニットが備える造波ユニットの構成を示す斜視図。
【図6】キャリッジタンク内の機能液の液面に波が発生する過程を示す説明図。
【図7】第2の実施形態における、液滴吐出装置の全体構成の概略を示す説明図。
【図8】ヘッドユニット及び紫外線照射部の概略構成を示す平面図。
【図9】(a)は、X軸方向に平行な方向から見たヘッドキャリッジ及びタンクユニットの側面図。(b)は、Y軸方向に平行な方向から見たヘッドキャリッジ及びタンクユニットの側面図。
【図10】(a)乃至(g)は、キャリッジタンク内の機能液の液面に波が発生する過程を示す説明図。(h)乃至(l)は、キャリッジタンクの姿勢を示す説明図。
【図11】(a)は、加速度が加えられていない状態を示す説明図。(b)は、加えられた加速度に対応する角度だけキャリッジタンクを傾けた状態を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、液滴吐出装置の一実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下の説明において参照する図面では、図示の便宜上、部材又は部分の縦横の縮尺を実際のものとは異なるように表す場合がある。
【0031】
(第1の実施形態)
本実施形態では、インクジェット方式の液滴吐出ヘッドを備える液滴吐出装置を例にして、説明する。液滴吐出装置は、液滴吐出ヘッドと被描画媒体とを相対移動させると共に、液滴吐出ヘッドの吐出ノズルから機能液の液滴を吐出して、被描画媒体上の所定の位置に着弾させることによって、所定の画像を形成する装置である。機能液が、液状体に相当する。
【0032】
<液滴吐出装置>
最初に、液滴吐出装置1の全体構成について、図1を参照して説明する。図1は、液滴吐出装置の全体構成の概略を示す説明図である。
【0033】
図1に示すように、液滴吐出装置1は、ヘッド機構部2と、媒体機構部3と、機能液供給部4と、吐出装置制御部6と、保守装置部(図示省略)と、定盤9と、を備えている。ヘッド機構部2と媒体機構部3とは、定盤9上に配設されている。ヘッド機構部2は、機能液40(図5参照)を液滴として吐出する液滴吐出ヘッド20を有している。定盤9は、略直方体形状を有しており、ヘッド機構部2及び媒体機構部3が配設されている面は、略長方形の平面形状を有している。当該略長方形の一辺の延在方向をX軸方向、当該一辺に略直交する他の一辺に略平行であってX軸方向に直交する方向をY軸方向、X軸方向及びY軸方向に直交する方向をZ軸方向と表記する。液滴吐出ヘッド20が、吐出ヘッドに相当する。
【0034】
ヘッド機構部2は、ヘッドキャリッジ22と、ヘッドキャリッジ22をY軸方向に移動させるヘッド走査機構62とを、備えている。
ヘッドキャリッジ22は、キャリッジ枠68と、液滴吐出ヘッド20を有するヘッドユニット21と、を備えている。ヘッドユニット21は、キャリッジ枠68に固定されて保持されている。キャリッジ枠68には、機能液供給部4を構成するタンクユニット43も保持されている。以降、タンクユニット43も含めて、ヘッドキャリッジ22と表記する場合もある。
【0035】
ヘッド走査機構62は、支持柱63と、支持梁64と、移動枠66と、を備えている。
2本の支持柱63が、定盤9上に立設されている。支持梁64は、2つの支持柱63に掛け渡されるように設けられ、Y軸方向に延在している。移動枠66は、支持梁64に懸吊されて、Y軸方向に摺動自在に支持されている。支持梁64には、図示省略したリニアモーターが配設されており、当該リニアモーターによって、移動枠66をY軸方向に自在に移動させることができる。また、移動した任意の位置に保持することができる。
移動枠66には、キャリッジ枠68が懸吊されて支持されることで、ヘッドキャリッジ22が支持されている。リニアモーターによって、移動枠66をY軸方向に移動させたり任意の位置に保持したりすることで、ヘッドキャリッジ22をY軸方向に自在に移動させることができる。また、移動した任意の位置に保持することができる。
ヘッド走査機構62が、ヘッド走査手段に相当する。
【0036】
媒体機構部3は、媒体載置台31と、スライド台31aと、媒体移動機構33と、を備えている。
媒体移動機構33は、X軸ガイド35とX軸リニアモーター(図示省略)と、を備えている。X軸ガイド35は、2つの支持柱63の間で、支持梁64の下方に配設されており、X軸方向に略平行に延在している。スライド台31aは、X軸方向に摺動自在に、X軸ガイド35に支持されている。X軸リニアモーターは、X軸ガイド35と略平行に配設されており、スライド台31aは、X軸リニアモーターによって、X軸方向に移動させられる。また、移動した任意の位置に保持させられる。
媒体載置台31は、図示省略した媒体回動機構によって、X軸方向及びY軸方向と直交するZ軸方向に平行な軸まわりの方向に回動可能に、スライド台31aの上に固定されて、支持されている。
【0037】
媒体移動機構33によって、スライド台31aをX軸方向に移動させることで、スライド台31aに固定されて支持された媒体載置台31を、X軸方向に自在に移動させることができる。また、移動した任意の位置に保持することができる。すなわち、媒体載置台31に保持された被描画媒体Wを、X軸方向に自在に移動させることができる。また、移動した任意の位置に保持することができる。
【0038】
ヘッド機構部2のヘッドキャリッジ22が備えるヘッドユニット21が有する液滴吐出ヘッド20は、ノズル基板25(図2参照)を下側に向けて、保持されている。媒体載置台31に保持された被描画媒体Wを、X軸方向の液滴吐出ヘッド20が対向可能な位置まで移動して停止し、上方にある液滴吐出ヘッド20(ヘッドユニット21)のY軸方向の移動に同調して、機能液40を液滴として吐出する。X軸方向に移動する被描画媒体Wと、Y軸方向に移動する液滴吐出ヘッド20とを相対的に制御することにより、被描画媒体W上の任意の位置に液滴を着弾させることで、所望する平面形状の描画を実施することが可能である。
【0039】
機能液供給部4は、機能液タンク41と、給液ポンプ(図示省略)と、タンクユニット43(図5参照)と、給液チューブ42とを有している。給液チューブ42が、機能液タンク41からタンクユニット43のキャリッジタンク44に接続されている。図示省略した給液チューブがキャリッジタンク44から液滴吐出ヘッド20に接続されている。給液チューブ42、キャリッジタンク44、及び図示省略した給液チューブを介して機能液40が液滴吐出ヘッド20に供給される。キャリッジタンク44が、中継タンクに相当する。
【0040】
保守装置部は、各種保守装置を備えている。保守装置は、液滴吐出ヘッド20の各種の保守を実施する装置である。液滴吐出ヘッド20の保守を実施する際には、ヘッドユニット21(液滴吐出ヘッド20)が、例えばヘッド走査機構62を用いて保守装置部に臨む位置に移動させられ、保守作業が実施される。
吐出装置制御部6は、これら各機構部などと電気的に接続されており、これら各機構部などを総括的に制御する。
【0041】
<液滴吐出ヘッド>
次に、液滴吐出ヘッド20について、図2を参照して説明する。図2は、液滴吐出ヘッドの概略構成を示す図である。図2(a)は、液滴吐出ヘッドの概略構成を示す外観斜視図であり、図2(b)は、液滴吐出ヘッドの構造を示す斜視断面図であり、図2(c)は、液滴吐出ヘッドの吐出ノズルの部分の構造を示す断面図である。図2に示したX軸方向、及びZ軸方向は、液滴吐出ヘッド20が液滴吐出装置1に装着された状態において、図1に示したX軸方向、又はZ軸方向と一致している。
【0042】
図2(a)に示したように、液滴吐出ヘッド20は、ノズル基板25を備えている。ノズル基板25には、多数の吐出ノズル24が略一直線状に並んだノズル列24Aが2列形成されている。吐出ノズル24から機能液40を液滴として吐出し、対向する位置にある描画対象物などに着弾させることで、当該位置に機能液40を配置する。ノズル列24Aは、液滴吐出ヘッド20が液滴吐出装置1に装着された状態で、図1に示したX軸方向に延在している。ノズル列24Aにおいて吐出ノズル24は等間隔のノズルピッチで並んでおり、2列のノズル列24A間で、吐出ノズル24の位置がX軸方向に半ノズルピッチずれている。したがって、液滴吐出ヘッド20としては、X軸方向に半ノズルピッチ間隔で機能液40の液滴を配置することができる。ノズルピッチは、例えば140μmであり、半ノズルピッチは、70μmである。
【0043】
図2(b)及び(c)に示すように、液滴吐出ヘッド20は、ノズル基板25に圧力室プレート51が積層されており、圧力室プレート51に振動板52が積層されている。
圧力室プレート51には、液滴吐出ヘッド20に供給される機能液40が常に充填される液たまり55が形成されている。液たまり55は、振動板52と、ノズル基板25と、圧力室プレート51の壁とに囲まれた空間である。機能液40は、機能液供給部4から液滴吐出ヘッド20に供給され、振動板52の液供給孔53を経由して液たまり55に供給される。また、圧力室プレート51には、複数のヘッド隔壁57によって区切られた圧力室58が形成されている。振動板52と、ノズル基板25と、2個のヘッド隔壁57とによって囲まれた空間が圧力室58である。
【0044】
圧力室58は吐出ノズル24のそれぞれに対応して設けられており、圧力室58の数と吐出ノズル24の数とは同じである。圧力室58には、2個のヘッド隔壁57の間に位置する供給口56を経由して、液たまり55から機能液40が供給される。ヘッド隔壁57と圧力室58と吐出ノズル24と供給口56との組は、液たまり55に沿って1列に並んでおり、1列に並んだ吐出ノズル24がノズル列24Aを形成している。図2(b)では図示省略したが、図示した吐出ノズル24を含むノズル列24Aに対して液たまり55に関して略対称位置に、1列に並んで配設された吐出ノズル24がもう1列のノズル列24Aを形成している。当該ノズル列24Aに対応するヘッド隔壁57と圧力室58と供給口56との組が、1列に並んでいる。
【0045】
振動板52の圧力室58を構成する部分には、それぞれ圧電素子59の一端が固定されている。圧電素子59の他端は、固定板(図示省略)を介して液滴吐出ヘッド20全体を支持する基台(図示省略)に固定されている。
圧電素子59は、電極層と圧電材料とを積層した活性部を有している。圧電素子59は、電極層に駆動電圧を印加することで、活性部が長手方向(図2(b)又は(c)における振動板52の厚さ方向)に縮む。電極層に印加されていた駆動電圧が解除されることで、活性部が元の長さに戻る。
【0046】
電極層に駆動電圧が印加されて、圧電素子59の活性部が縮むことで、圧電素子59の一端が固定された振動板52が圧力室58と反対側に引張られる力を受ける。振動板52が圧力室58と反対側に引張られることで、振動板52が圧力室58の反対側に撓む。これにより、圧力室58の容積が増加することから、機能液40が液たまり55から供給口56を経て圧力室58に供給される。次に、電極層に印加されていた駆動電圧が解除されると、活性部が元の長さに戻ることで、圧電素子59が振動板52を押圧する。振動板52が押圧されることで、圧力室58側に戻る。これにより、圧力室58の容積が急激に元に戻る。すなわち増加していた容積が減少することから、圧力室58内に充填されていた機能液40に圧力が加わり、当該圧力室58に連通して形成された吐出ノズル24から機能液40が液滴となって吐出される。
【0047】
<ヘッドユニット>
次に、ヘッド機構部2のヘッドキャリッジ22が備えるヘッドユニット21概略構成について、図3を参照して説明する。図3は、ヘッドユニットの概略構成を示す平面図である。図3に示したX軸方向及びY軸方向は、ヘッドユニット21が液滴吐出装置1に取り付けられた状態において、図1に示したX軸方向又はY軸方向と一致している。
【0048】
図3に示したように、ヘッドユニット21は、ユニットプレート23と、ユニットプレート23に搭載された9個の液滴吐出ヘッド20と、を有している。
液滴吐出ヘッド20は、図示省略したヘッド保持部材を介してユニットプレート23に固定されている。固定された液滴吐出ヘッド20は、ヘッド本体がユニットプレート23に形成された孔(図示省略)に遊嵌して、ノズル基板25が、ユニットプレート23の面より突出した位置に位置している。図3は、ノズル基板25の側から見た図である。9個の液滴吐出ヘッド20は、X軸方向に分かれて、それぞれ3個ずつの液滴吐出ヘッド20を有するヘッド組20Aを3群、形成している。それぞれの液滴吐出ヘッド20のノズル列24Aは、ヘッドユニット21が液滴吐出装置1に取り付けられた状態において、X軸方向に延在している。
【0049】
液滴吐出ヘッド20は、X軸方向において、互いに隣り合う液滴吐出ヘッド20の、一方の液滴吐出ヘッド20の端の吐出ノズル24に対して、もう一方の液滴吐出ヘッド20の端の吐出ノズル24が半ノズルピッチずれて位置する位置に、配設されている。一つのヘッドユニット21が備える9個の液滴吐出ヘッド20のY軸方向の位置を同じにすると、吐出ノズル24は、X軸方向に半ノズルピッチの等間隔で並ぶ。すなわち、Y軸方向の同じ位置において、それぞれの液滴吐出ヘッド20が有するそれぞれのノズル列24Aを構成する吐出ノズル24から吐出された液滴は、設計上では、X軸方向に半ノズルピッチの等間隔に並んで一直線上に着弾する。
ノズル列24Aは、例えば180個の吐出ノズル24を有しており、液滴吐出ヘッド20は、360個の吐出ノズル24を有している。9個の液滴吐出ヘッド20を有するヘッドユニット21は、3240個の吐出ノズル24を有している。一つのヘッドユニット21が備える9個の液滴吐出ヘッド20が有する18列のノズル列24Aは、1本のノズル列として扱うこともできる。当該ノズル列を「ユニットノズル列240A」と表記する。ユニットノズル列240Aは、3240個の吐出ノズル24を有している。ユニットノズル列240Aのそれぞれの吐出ノズル24から一滴ずつ吐出させて、Y軸方向が同じ位置になるように着弾させると、3240個の点が半ノズルピッチのピッチ間隔で連なる直線が形成される。
【0050】
<ヘッドキャリッジ>
次に、ヘッドキャリッジ22について、図4を参照して説明する。図4は、ヘッドキャリッジの構成を示す説明図である。図4に示したY軸方向、及びZ軸方向は、ヘッドキャリッジ22が液滴吐出装置1に取り付けられた状態において、図1に示したY軸方向、又はZ軸方向と一致している。
【0051】
上述したように、ヘッドキャリッジ22は、キャリッジ枠68と、液滴吐出ヘッド20を有するヘッドユニット21と、を備えている。
キャリッジ枠68は、キャリッジ側柱68aと、キャリッジ棚板68cと、キャリッジ天板68bとを、有している。キャリッジ枠68と、キャリッジ枠68に固定されたヘッドユニット21のユニットプレート23とで、略直方体形状を形成している。
キャリッジ天板68bは、ヘッドキャリッジ22が液滴吐出装置1に取り付けられた状態で、略直方体形状の頂部を構成しており、平面視略長方形形状の板状の本体部を有している。本体部の上面に、図示省略した接続部材が固定されている。キャリッジ側柱68aは、略角柱形状を有し、4本のキャリッジ側柱68aで、略直方体形状の側面を構成している。4本のキャリッジ側柱68aのそれぞれが、一端をキャリッジ天板68bの各角に固定されて、略直方体形状の側面の稜線部を構成することで、略直方体形状の側面を構成している。キャリッジ側柱68aのキャリッジ天板68bに固定された一端の反対側の端には、ユニットプレート23が、図示省略した固定部材を介して固定されている。ユニットプレート23がキャリッジ側柱68aに固定されることで、ヘッドユニット21がキャリッジ枠68に固定されている。ユニットプレート23とキャリッジ天板68bとは、略平行である。キャリッジ棚板68cは、平面視略長方形形状の平板形状を有している。キャリッジ棚板68cは、ユニットプレート23とキャリッジ天板68bとの中間で、キャリッジ側柱68aに4角が固定されている。
【0052】
タンクユニット43がキャリッジ棚板68c上に載置されて固定されることで、ヘッドキャリッジ22と一体に固定されている。
キャリッジ天板68bの接続部材が移動枠66に固定されて、ヘッドキャリッジ22は、移動枠66に懸吊されて支持されている。これにより、ヘッドキャリッジ22を、ヘッド走査機構62によって、Y軸方向に自在に移動させることができる。また、移動した任意の位置に保持することができる。ヘッドキャリッジ22に固定されたタンクユニット43も、Y軸方向に自在に移動させることができる。
【0053】
<タンクユニット>
次に、タンクユニット43について、図5を参照して説明する。図5は、タンクユニット構成を示す説明図である。図5(a)は、タンクユニットの構成を示す説明図であり、図5(b)は、タンクユニットが備える造波ユニットの構成を示す斜視図である。図5に示したX軸方向、Y軸方向、及びZ軸方向は、タンクユニット43が固定されたヘッドキャリッジ22が液滴吐出装置1に取り付けられた状態において、図1に示したX軸方向、Y軸方向、又はZ軸方向と一致している。
【0054】
図5に示したように、タンクユニット43は、キャリッジタンク44と、液面センサー45と、造波ユニット46と、を備えている。
キャリッジタンク44は、機能液供給部4における機能液40の流路を構成しており、流路を流動する機能液40が、キャリッジタンク44に、一時貯留される。キャリッジタンク44は、図示省略した流入口と流出口とを有している。流入口が給液チューブ42を介して機能液タンク41に接続されることで、上述したように、キャリッジタンク44は機能液タンク41に接続されている。流出口が図示省略した給液チューブを介して液滴吐出ヘッド20に接続されることで、キャリッジタンク44は液滴吐出ヘッド20に接続されている。キャリッジタンク44は、図示省略した固定部材を介して、キャリッジ枠68のキャリッジ棚板68cに固定されることによって、キャリッジ枠68に固定されている。
【0055】
機能液タンク41からキャリッジタンク44に供給された機能液40は、キャリッジタンク44に供給された機能液40の液位と、液滴吐出ヘッド20に供給された機能液40の液位との水頭差によって、キャリッジタンク44から液滴吐出ヘッド20に供給される。キャリッジタンク44に供給された機能液40の液位と、液滴吐出ヘッド20に供給された機能液40の液位との水頭差を適切な値に保つことで、吐出ノズル24から吐出される液滴の体積などが、規定された体積に維持される。
【0056】
液面センサー45は、キャリッジタンク44の内部に立設されており、吐出装置制御部6と、電気的に接続されている。液面センサー45によって、キャリッジタンク44の内部に供給された機能液40の液面の位置を計測することができる。計測された液面位置は、吐出装置制御部6に送信される。吐出装置制御部6が、受信した液面位置情報によって、機能液タンク41からキャリッジタンク44に供給される機能液40の量を制御することで、キャリッジタンク44における機能液40の液面の位置を、規定された位置に維持することができる。すなわち、キャリッジタンク44における機能液40の液位と、液滴吐出ヘッド20(吐出ノズル24)における機能液40の液位(吐出ノズル24の位置)との水頭差を適切な値に保って、吐出ノズル24から吐出される液滴の体積などを、規定された体積に維持することができる。液面センサー45が、液面検出手段に相当する。
【0057】
図5(b)に示すように、造波ユニット46は、フロートユニット47と、造波ユニット枠48と、駆動モーター49と、を備えている。
フロートユニット47は、フロート47aと、フロート軸47bと、フロート枠47cと、を有している。フロート47aは、側面視が略直角三角形の、三角柱形状を有している。フロート軸47bは丸棒形状を有している。直角三角形の直角を形成する2辺の短い方の辺を含む面の略中央に、丸棒形状のフロート軸47bが、略垂直に立設されている。フロート47aの、直角三角形の斜辺を含む斜面471は、フロート軸47bの軸方向に対して傾いた面である。フロート軸47bは、フロート枠47cに固定されている。フロート枠47cは、造波ユニット枠48に摺動自在に支持されている。フロート枠47cは、図示省略した駆動機構を介して、駆動モーター49によって摺動させられる。摺動方向は、フロート軸47bの軸方向であって、タンクユニット43を含むヘッドキャリッジ22が液滴吐出装置1に取り付けられた状態において、略Z軸方向である。駆動モーター49は、吐出装置制御部6と、電気的に接続されており、駆動モーター49は、吐出装置制御部6によって、駆動が制御される。
【0058】
造波ユニット46は、造波ユニット枠48が図示省略した固定部材を介して、キャリッジ枠68のキャリッジ棚板68cに固定されることによって、キャリッジ枠68に固定されている。図5(a)に示すように、造波ユニット46は、フロート軸47bが、キャリッジタンク44の上側の壁に遊嵌し、フロート47aが、キャリッジタンク44の内部に在る状態で、固定されている。フロート47aは、キャリッジタンク44のY軸方向の端に位置しており、斜面471が、キャリッジタンク44の中央側に向いている。
【0059】
駆動モーター49によって、造波ユニット枠48に対して、フロート枠47cを摺動させることによって、フロートユニット47を、図5(a)に矢印aで示した方向に移動させる。フロート47aの斜面471は、Z軸方向(矢印aで示した方向)の下側が上側より、キャリッジタンク44の端に近くなるように傾いている。フロート47aがZ軸方向の下側に移動することで、斜面471によって、機能液40に、キャリッジタンク44の中央側に押す力が加えられる。フロート47aがZ軸方向の上側に移動することで、斜面471が上側に引き上げられて、機能液40に、斜面471側に移動させる力が加えられる。これにより、キャリッジタンク44内の機能液40の液面に波が形成される。フロート47aの移動速度、移動周期、移動量などを調整することによって、形成される波の周期、振幅などを調整することができる。造波ユニット46が、波発生手段に相当する。造波ユニット46を制御する吐出装置制御部6が、波発生制御手段に相当する。造波ユニット46と吐出装置制御部6とが、波立抑制手段に相当する。
【0060】
<造波ユニットの動作>
次に、キャリッジタンク44内の機能液40の液面に波が発生する過程と、造波ユニット46の動作について、説明する。
最初に、キャリッジタンク44内の機能液40の液面に波が発生する過程について、図6を参照して説明する。図6は、キャリッジタンク内の機能液の液面に波が発生する過程を示す説明図である。図6に示したY軸方向、及びZ軸方向は、タンクユニット43が固定されたヘッドキャリッジ22が液滴吐出装置1に取り付けられた状態において、図1に示したY軸方向、又はZ軸方向と一致している。
【0061】
吐出走査において、ヘッドキャリッジ22は、静止状態から加速され、定速移動状態となり、減速されて停止する。定速移動状態において、液滴吐出ヘッド20からの機能液40の吐出が実施される。ヘッドキャリッジ22に搭載されているキャリッジタンク44は、ヘッドキャリッジ22と同様に、加速され、減速される。
図6(a)は、キャリッジタンク44が静止した状態を示している。キャリッジタンク44内の機能液40の液面40aは、水平である。
【0062】
図6(b)は、キャリッジタンク44が矢印F1の方向に加速されている状態を示している。キャリッジタンク44に矢印F1の方向に加速する加速度が作用している場合、キャリッジタンク44内で流動可能である機能液40には、慣性力によって、矢印F1とは方向が反対の矢印f1の方向の見かけ上の力が作用する。この力によって、液面40bは、キャリッジタンク44が加速される方向の後ろ側が高くなるように傾いた面となる。液面40bの傾き角度は、加速度の大きさによって異なる角度である。
【0063】
図6(c)は、キャリッジタンク44が定速移動している場合の状態を示している。キャリッジタンク44には加速度が作用していないため、キャリッジタンク44内の機能液40は、液面40bのような状態から、液面40aの状態に戻ろうとする。しかし、慣性力によって、液面40cの状態のように行過ぎる。同様に、機能液40は、液面40cの状態から、液面40aの状態に戻ろうとするが、液面40bのような状態の近くまで行過ぎる。この状態が機能液40の粘性などによって収束されるまで継続されるため、図6(d)に示したように、波面40Vのような波が発生する。
【0064】
図6(e)は、キャリッジタンク44が矢印F2の方向の加速度をうけて減速されている状態を示している。キャリッジタンク44に矢印F2の方向に加速する加速度が作用している場合、キャリッジタンク44内で流動可能である機能液40には、慣性力によって、矢印F2とは方向が反対の矢印f2の方向の見かけ上の力が作用する。この力によって、液面40dは、キャリッジタンク44が加速される方向の後ろ側が高くなるように傾いた面となる。液面40dの傾き角度は、加速度の大きさによって異なる角度である。
【0065】
図6(f)は、キャリッジタンク44が減速されて停止した場合の状態を示している。キャリッジタンク44には加速度が作用していないため、キャリッジタンク44内の機能液40は、液面40dのような状態から、液面40aの状態に戻ろうとする。しかし、慣性力によって、液面40eの状態のように行過ぎる。同様に、機能液40は、液面40eの状態から、液面40aの状態に戻ろうとするが、液面40dのような状態の近くまで行過ぎる。この状態が機能液40の粘性などによって収束されるまで継続されるため、図6(g)に示したように、波面40Wのような波が発生する。
【0066】
キャリッジタンク44が加速されたり減速されたりする際の加速度は一定ではないなど、機能液40に作用する力は他にも存在する。このため、液面40bや、液面40dは、図示したような平面ではなく、複雑な形状になる可能性がある。
【0067】
造波ユニット46によって、波面40Vのような波を打ち消すような波を発生させることによって、キャリッジタンク44内の機能液40を、図6(a)に示した液面40aのような状態に維持する。波面40Vのような波を打ち消すような波は、振幅及び周期が波面40Vの波と同一であり、波面40Vの波とは位相が反転した波である。
【0068】
造波ユニット46によって、波面40Vのような波を打ち消すような波を発生させるためには、例えば、液面の位置から波面40Vの発生を検知して、検知した波を打ち消すような波を発生させる。
より詳細には、液面の位置から波面40Vの発生を検知するために、液面位置の変動パターンと、波の状態との関係を予め求める。次に、液面センサー45によって機能液40の液面を検出することによって、波面40Vのような波の発生を検知する。吐出走査に際しては、液面センサー45によって機能液40の液面位置を検出して、変動状態を求め、予め求めた変動パターンと波の状態との関係から、対応する波を特定する。吐出装置制御部6が、造波ユニット46を制御して、特定された波を打ち消すような波を発生させる。実際に波が発生したことを検知するため、波の発生を確実に検知することができる。
【0069】
造波ユニット46によって、波面40Vのような波を打ち消すような波を発生させる方法としては、例えば、波面40Vの情報を予め入力しておく方法、キャリッジタンク44に作用する加速度から波面40Vの発生を検知する方法なども挙げられる。
【0070】
波面40Vの情報を予め入力しておく方法では、吐出走査におけるヘッドキャリッジ22の動作から、波面40Vの振幅、周波数、発生時点などを求める。正確な描画を実施するためには、液滴吐出ヘッド20の位置及び速度と、液滴吐出ヘッド20からの吐出タイミングとが、正確に、規定された位置及び速度と吐出タイミングとであることが必要であり、ヘッドキャリッジ22の加減速が正確に再現されることで、正確な描画が実現される。したがって、描画が正確に実現されている状態では、キャリッジタンク44内の機能液40に発生する波は、予め入力された波面40Vと略同等である可能性がきわめて高い。
波面40Vの情報は、例えば、ヘッドキャリッジ22の動作から、シミュレーションによって求めることができる。あるいは、実際に吐出走査を実施して、発生する波面40Vを実測してもよい。求めた波面40Vの情報を、吐出装置制御部6に入力しておき、吐出走査に際しては、吐出装置制御部6が、造波ユニット46を制御して、波面40Vのような波を打ち消すような波を発生させる。
【0071】
キャリッジタンク44に作用する加速度から波面40Vの発生を検知する方法は、ヘッドキャリッジ22を走査させる際にキャリッジタンク44に加えられる加速度を検知することによって、波面40Vのような波の発生を検知する方法である。上述したように、機能液40の波立ちは、キャリッジタンク44に加えられる加速度に起因して発生する。したがって、加えられる加速度と発生する波の特性とを関係付けることができる。吐出走査に際しては、加速度センサーを設け、キャリッジタンク44に加えられる加速度を検出する。検出した加速度から、当該加速度と関係付けられた発生する波の特性を特定する。吐出装置制御部6が、造波ユニット46を制御して、特定された波を打ち消すような波を発生させる。実際に波が発生する直前に加速度を検知するため、波の発生を確実に検知することができるとともに、波が発生する時点にあわせて、当該波を打ち消すような波を発生させることができる。
【0072】
以下、第1の実施形態による効果を記載する。本第1の実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(1)タンクユニット43は、キャリッジタンク44と、造波ユニット46と、を備えている。造波ユニット46を用いてキャリッジタンク44内に発生する波面40Vのような波を打ち消すような波を発生させることによって、キャリッジタンク44内の機能液40を、略水平な状態に維持することができる。
【0073】
(2)タンクユニット43は、キャリッジタンク44と、液面センサー45と、を備えている。液面センサー45によって、キャリッジタンク44内の機能液40の液面位置を検出することができる。連続して機能液40の液面位置を検出することで、液面位置の変動状態を求め、波面40Vのような波の発生及び当該波の周波数や振幅や液面センサー45の位置での位相などの特性を、求めることができる。
【0074】
(3)タンクユニット43では、造波ユニット46を用いてキャリッジタンク44内に発生する波面40Vのような波を打ち消すような波を発生させることによって、キャリッジタンク44内の機能液40を、略水平な状態に維持することができる。これにより、キャリッジタンク44内の機能液40の液面に波が発生することを抑制して、キャリッジタンク44内の機能液40の液位が変動することを抑制することができる。キャリッジタンク44内の機能液40の液位が変動することを抑制することによって、キャリッジタンク44内の機能液40の液位と、液滴吐出ヘッド20に供給された機能液40の液位との水頭差を適切な値に保つことができ、吐出ノズル24から吐出される液滴の体積などを、規定された体積に維持することができる。
【0075】
(4)タンクユニット43は、キャリッジタンク44と、液面センサー45と、を備えている。液面センサー45によって、キャリッジタンク44内の機能液40の液面位置を検出することができる。検出した液面位置によって、キャリッジタンク44に供給する機能液40の量を調整することで、キャリッジタンク44に供給された機能液40の液位を略一定に保つことができる。キャリッジタンク44内の液位を略一定に保つことによって、キャリッジタンク44内の機能液40の液位と、液滴吐出ヘッド20に供給された機能液40の液位との水頭差を適切な値に保つことができ、吐出ノズル24から吐出される液滴の体積などを、規定された体積に維持することができる。
【0076】
(第2の実施形態)
次に、液滴吐出装置の第2の実施形態について説明する。本実施形態は、液滴吐出ヘッドを備え、当該液滴吐出ヘッドを用いて、被描画媒体上に紫外線硬化型の機能液を配置し、配置した機能液に紫外線を照射して硬化させることによって画像を描画する液滴吐出装置を例に説明する。本実施形態で使用する液滴吐出装置は、第1の実施形態における液滴吐出装置と、基本的に同一である。第1の実施形態とは異なるヘッドキャリッジの構成及びタンクユニットの構成について説明する。
【0077】
<液滴吐出装置>
最初に、液滴吐出装置101の全体構成について、図7を参照して、液滴吐出装置1との差異を説明する。図7は、液滴吐出装置の全体構成の概略を示す説明図である。液滴吐出装置101は、ヘッド機構部102と、媒体機構部3と、機能液供給部104と、吐出装置制御部6と、保守装置部(図示省略)と、定盤9と、を備えている。
液滴吐出装置101における各構成要素の配置は、液滴吐出装置1における各構成要素の配置と同様である。
【0078】
ヘッド機構部102は、ヘッドキャリッジ122と、ヘッドキャリッジ122をY軸方向に移動させるヘッド走査機構162とを、備えている。ヘッド機構部102は、ヘッドキャリッジ22と一部が異なるヘッドキャリッジ122と、ヘッド走査機構62と一部が異なるヘッド走査機構162と、を備えることが、ヘッド機構部2と異なっている。
ヘッド走査機構162は、移動枠66と一部が異なる移動枠166を備えることが、ヘッド走査機構62と異なっている。
ヘッドキャリッジ122は、キャリッジ枠168と、液滴吐出ヘッド20を有するヘッドユニット21と、紫外線照射部95と、を備えている。ヘッドユニット21と、紫外線照射部95とは、キャリッジ枠168に固定されて保持されている。
キャリッジ枠168には、機能液供給部104を構成するタンクユニット143も保持されている。以降、タンクユニット143も含めて、ヘッドキャリッジ122と表記する場合もある。
ヘッド走査機構162が、ヘッド走査手段に相当する。
【0079】
機能液供給部104は、機能液タンク41と、給液ポンプ(図示省略)と、タンクユニット143(図9参照)と、給液チューブ42とを有している。給液チューブ42が、機能液タンク41からタンクユニット143のキャリッジタンク144(図9参照)に接続されている。図示省略した給液チューブがキャリッジタンク144から液滴吐出ヘッド20に接続されている。給液チューブ42、キャリッジタンク144、及び図示省略した給液チューブを介して機能液40が液滴吐出ヘッド20に供給される。機能液供給部104は、タンクユニット43とは一部が異なるタンクユニット143を備えることが、機能液供給部4と異なっている。キャリッジタンク144が、中継タンクに相当する。
【0080】
<ヘッドユニット及び紫外線照射部>
次に、ヘッド機構部102のヘッドキャリッジ122が備えるヘッドユニット21及び紫外線照射部95の概略構成について、図8を参照して説明する。図8は、ヘッドユニット及び紫外線照射部の概略構成を示す平面図である。図8に示したX軸方向及びY軸方向は、ヘッドユニット21及び紫外線照射部95が液滴吐出装置101に取り付けられた状態において、図7に示したX軸方向又はY軸方向と一致している。
【0081】
図8に示したヘッドユニット21は、図3を参照して説明したヘッドユニット21と基本的に同一のものである。液滴吐出装置101におけるヘッドユニット21の取付方向も、液滴吐出装置1におけるヘッドユニット21の取付方向と略同一である。
【0082】
図8に示したように、紫外線照射部95は、支持枠(図示省略)と、UVLED(Ultraviolet Light Emitting Diode)96と、LED筐体97と、を備えている。UVLED96は、紫外線を射出するLEDである。
LED筐体97は、ユニットプレート23のY軸方向の側面に支持枠を介して固定されている。LED筐体97は、略直方体形状の外形を有し、内部に略直方体形状で一面が開口した筐体室が形成されている。筐体室は、媒体載置台31に臨む側が開口している。筐体室には、UVLED96が、開口側に紫外線を射出する状態で固定されている。複数のUVLED96が、X軸方向に並んで配設されている。複数のUVLED96は、X軸方向において、ヘッドユニット21の液滴吐出ヘッド20が機能液を配置可能な幅を包含する範囲に、紫外線を照射することができる。
【0083】
紫外線照射部95は、Y軸方向(吐出走査方向)において、ヘッドユニット21の9個の液滴吐出ヘッド20を挟んで両側に、9個の液滴吐出ヘッド20に関して略対称な状態で、配設されている。
ヘッドユニット21がY軸方向に走査されて機能液を吐出する際には、液滴吐出ヘッド20に並んで配設されたUVLED96から、略並行して、紫外線を照射させる。
走査方向において、ヘッドユニット21の後側に位置するUVLED96から紫外線を照射することで、吐出されて着弾させられた機能液に、着弾した直後に紫外線を照射することができる。機能液に紫外線を照射することで、機能液を硬化させることができる。機能液の硬化率に影響を及ぼす要因は、走査速度、UVLED96の照射領域のY軸方向における幅、UVLED96の照射強度、などである。これらの要因について、適切な値に設定することで、着弾させられた機能液を適切な硬化率に硬化させることができる。
【0084】
<ヘッドキャリッジ及びタンクユニット>
次に、ヘッドキャリッジ122及びタンクユニット143について、図9を参照して説明する。図9は、ヘッドキャリッジ及びタンクユニットの構成を示す説明図である。図9(a)は、X軸方向に平行な方向から見たヘッドキャリッジ及びタンクユニットの側面図であり、図9(b)は、Y軸方向に平行な方向から見たヘッドキャリッジ及びタンクユニットの側面図である。図9(b)では、タンクユニット143を明示するために、タンクユニット143の手前の紫外線照射部95及びキャリッジ側柱168aを省略した図を示してある。図9に示したX軸方向、Y軸方向、及びZ軸方向は、ヘッドキャリッジ122が液滴吐出装置101に取り付けられた状態において、図7に示したX軸方向、Y軸方向、又はZ軸方向と一致している。
【0085】
上述したように、ヘッドキャリッジ122は、キャリッジ枠168と、液滴吐出ヘッド20を有するヘッドユニット21と、紫外線照射部95と、を備えている。
キャリッジ枠168は、キャリッジ側柱168aと、キャリッジ天板168bとを、有している。キャリッジ枠168と、キャリッジ枠168に固定されたヘッドユニット21のユニットプレート23と及び紫外線照射部95のLED筐体97とで、略直方体形状を形成している。
キャリッジ天板168bは、ヘッドキャリッジ122が液滴吐出装置101に取り付けられた状態で、略直方体形状の頂部を構成しており、平面視略長方形形状の板状の本体部を有している。本体部の上面に、図示省略した接続部材が固定されている。キャリッジ側柱168aは、略角柱形状を有し、4本のキャリッジ側柱168aで、略直方体形状の側面を構成している。4本のキャリッジ側柱168aのそれぞれが、一端をキャリッジ天板168bの各角に固定されて、略直方体形状の側面の稜線部を構成することで、略直方体形状の側面を構成している。キャリッジ側柱168aのキャリッジ天板168bに固定された一端の反対側の端には、支持枠を介して互いに固定されているヘッドユニット21及び紫外線照射部95が、図示省略した固定部材を介して固定されている。ヘッドユニット21及び紫外線照射部95は、図8を参照して説明したように、Y軸方向において、2個の紫外線照射部95がヘッドユニット21を挟む状態で固定されている。
【0086】
タンクユニット143は、タンク支持枠169がキャリッジ天板168bに固定されることで、ヘッドキャリッジ122と一体に固定されている。
キャリッジ天板168bの接続部材が移動枠166に固定されて、ヘッドキャリッジ122は、移動枠166に懸吊されて支持されている。これにより、ヘッドキャリッジ122を、ヘッド走査機構162によって、Y軸方向に自在に移動させることができる。また、移動した任意の位置に保持することができる。ヘッドキャリッジ122に固定されたタンクユニット143も、Y軸方向に自在に移動させることができる。
【0087】
タンクユニット143は、キャリッジタンク144と、加速度センサー145と、駆動モーター146と、タンク揺動機構147と、タンク支持枠169と、を備えている。
キャリッジタンク144は、機能液供給部104における機能液40の流路を構成しており、流路を流動する機能液40が、キャリッジタンク144に、一時貯留される。キャリッジタンク144は、図示省略した流入口と流出口とを有している。流入口が給液チューブ42を介して機能液タンク41に接続されることで、キャリッジタンク144は機能液タンク41に接続されている。流出口が図示省略した給液チューブを介して液滴吐出ヘッド20に接続されることで、キャリッジタンク144は液滴吐出ヘッド20に接続されている。キャリッジタンク144は、タンク支持枠169を介して、キャリッジ枠168のキャリッジ天板168bに支持されることによって、キャリッジ枠168に支持されている。
駆動モーター146と、タンク揺動機構147と、タンク支持枠169とが、タンク支持手段に相当する。駆動モーター146を制御する吐出装置制御部6が、タンク姿勢制御手段に相当する。駆動モーター146と、タンク揺動機構147と、タンク支持枠169と、吐出装置制御部6とが、波立抑制手段に相当する。加速度センサー145が、タンク加速度検出手段に相当する。
【0088】
機能液タンク41からキャリッジタンク144に供給された機能液40は、キャリッジタンク144に供給された機能液40の液位と、液滴吐出ヘッド20に供給された機能液40の液位との水頭差によって、キャリッジタンク144から液滴吐出ヘッド20に供給される。キャリッジタンク144に供給された機能液40の液位と、液滴吐出ヘッド20に供給された機能液40の液位との水頭差を適切な値に保つことで、吐出ノズル24から吐出される液滴の体積などが、規定された体積に維持される。
【0089】
タンク支持枠169は、支持枠体169aと、支持枠体169bとを備えている。支持枠体169a及び支持枠体169bは、平面視で略長方形形状の板状の部材である。支持枠体169a及び支持枠体169bは、板面がY軸方向及びZ軸方向に略平行であって、支持枠体169aの板面と支持枠体169bの板面とが互いに向合う状態で、それぞれの一端がキャリッジ天板168bに固定されている。
【0090】
キャリッジタンク144には、タンク軸148が突設されている。タンク軸148は、同軸のタンク軸148aとタンク軸148bとを有している。タンク軸148aとタンク軸148bとは、軸方向がX軸方向に略平行である。タンク軸148aとタンク軸148bとは、キャリッジタンク144のX軸方向に略垂直な2面の1面に一方が、もう1面に他方が、それぞれ突設されている。
キャリッジタンク144は、支持枠体169aと支持枠体169bとの間に位置しており、タンク軸148aが支持枠体169aに形成された軸受(図示省略)に係合し、タンク軸148bが支持枠体169bに形成された軸受(図示省略)に係合して、支持されている。キャリッジタンク144は、タンク軸148の軸回りに回動自在に、タンク支持枠169に支持されている。
【0091】
タンク軸148aは、支持枠体169aを貫通しており、タンク軸148aの支持枠体169aから突出した部分には、タンク揺動機構147を構成するタンク歯車147bが固定されている。
駆動モーター146は、出力軸が支持枠体169aを貫通する状態で、支持枠体169aに固定されている。駆動モーター146の出力軸の、支持枠体169aから突出した部分には、タンク揺動機構147を構成するモーター歯車147aが固定されている。タンク歯車147bとモーター歯車147aとは、互いに噛合っており、駆動モーター146は、モーター歯車147a及びタンク歯車147bを介して、キャリッジタンク144を回動させることができる。また、任意の角度だけ回動させた状態で、保持することができる。
【0092】
加速度センサー145は、支持枠体169bに固定されている。加速度センサー145は、Y軸方向の加速度を検出することができる。キャリッジタンク144は、タンク支持枠169の支持枠体169bに支持されているため、加速度センサー145によって、キャリッジタンク144に作用する加速度を検出することができる。
【0093】
<タンクユニットの動作>
次に、キャリッジタンク144内の機能液40の液面に波が発生する過程と、タンクユニット143の動作について、図10及び図11を参照して説明する。図10は、キャリッジタンク内の機能液の液面に波が発生する過程、及びキャリッジタンクの姿勢を示す説明図である。図11は、加えられている力と、当該力に対応するキャリッジタンクの姿勢と、を示す説明図である。図10(a)乃至(g)は、キャリッジタンク内の機能液の液面に波が発生する過程を示す説明図であり、図10(h)乃至(l)は、キャリッジタンクの姿勢を示す説明図である。図11(a)は、加速度が加えられていない状態を示す説明図であり、図11(b)は、加えられた加速度に対応する角度だけキャリッジタンクを傾けた状態を示す説明図である。
図10及び図11に示したY軸方向、及びZ軸方向は、タンクユニット143が支持されたヘッドキャリッジ122が液滴吐出装置101に取り付けられた状態において、図7に示したY軸方向、又はZ軸方向と一致している。
【0094】
最初に、キャリッジタンク144内の機能液40の液面に波が発生する過程について、説明する。図10(a)乃至(g)に示したキャリッジタンク144内の機能液40の液面に波が発生する過程は、図6(a)乃至(g)を参照して説明したキャリッジタンク44内の機能液40の液面に波が発生する過程と同様である。液面140a、液面140b、液面140c、液面140d、及び液面140eは、図6(a)乃至(g)を参照して説明した液面40a、液面40b、液面40c、液面40d、又は液面40eと同様の液面である。図10(d)に示したように、ヘッドキャリッジ122(キャリッジタンク144)を一定速度で走査させながら、液滴吐出ヘッド20から機能液40を吐出している際に、波面140Vのような、波面40Vと同様の波が発生する。また、図10(g)に示したように、ヘッドキャリッジ122(キャリッジタンク144)が減速されて停止した場合に、波面140Wのような、波面40Wと同様の波が発生する。
【0095】
次に、ヘッドキャリッジ122(キャリッジタンク144)の移動に対応したタンクユニット143の動作について説明する。
キャリッジタンク144が、図10(a)に示したように、静止した状態の場合には、図10(h)に示したように、キャリッジタンク144を略水平に保持する。
【0096】
キャリッジタンク144が、図10(b)に示したように、矢印F1の方向に加速されている場合には、図10(i)に示したように、キャリッジタンク144を、矢印F1の方向側が低くなるように傾ける。
【0097】
キャリッジタンク144を傾ける角度θと、キャリッジタンク144に加えられている加速度F1との関係について説明する。
図11に示したように、キャリッジタンク144に加速度F1が加えられている場合、キャリッジタンク144内の機能液40には、慣性力による見かけ上の力である力f1が作用する。機能液40には、常に重力fgが作用しており、キャリッジタンク144に加速度F1が加えられている場合、キャリッジタンク144内の機能液40には、力f1と重力fgとの合力fが作用する。重力fgの方向は、鉛直方向であり、力f1の方向は略水平方向である。
【0098】
キャリッジタンク144に加速度F1が加えられていない場合は、図11(a)に示したように、合力fは、重力fgである。
図11(b)に示したように、キャリッジタンク144を傾ける角度θは、合力fの方向の鉛直方向に対する傾き角度である。重力fg、力f1、合力fの大きさを、それぞれfg0、f10、f0と表記する。fg0、f10、f0と角度θとは、以下の関係式で表される。
tanθ=f10/fg0 (1)
sinθ=f10/f0 (2)
cosθ=fg0/f0 (3)
【0099】
キャリッジタンク144が、矢印F1の方向に加速されている場合に、キャリッジタンク144を角度θだけ傾けると、キャリッジタンク144に対する合力fの方向は、キャリッジタンク144が水平である場合の、キャリッジタンク144に対する鉛直方向と略一致する。このため、キャリッジタンク144に対する機能液40の位置関係は、加速度が作用していない場合と略同じである。
【0100】
キャリッジタンク144が、図10(c)に示したように定速移動している状態になった場合には、図10(j)に示したように、キャリッジタンク144を水平に戻す。キャリッジタンク144が、矢印F1の方向に加速されている場合に、図10(i)に示したように、キャリッジタンク144を角度θだけ傾けることで、キャリッジタンク144に対する機能液40の位置関係を、加速度が作用していない場合と略同じに保っていた。このため、図10(j)に示したように、図10(c)に示したような液面の変動は、ほとんどない。したがって、図10(d)に示した波面140Vのような波はほとんど発生しない。
【0101】
キャリッジタンク144が加速される場合と同様に、図10(e)に示したように減速される場合には、図10(k)に示したように、キャリッジタンク144を傾ける。これにより、図10(l)に示したように、図10(f)に示したような液面の変動を、ほとんどなくすることができる。したがって、図10(g)に示した波面140Wのような波をほとんど発生させないことができる。
【0102】
以下、第2の実施形態による効果を記載する。本第2の実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(1)タンクユニット143は、キャリッジタンク144と、駆動モーター146と、タンク揺動機構147と、を備えている。駆動モーター146及びタンク揺動機構147によって、キャリッジタンク144を、タンク軸148まわりに回動させることができる。また、キャリッジタンク144を、回動した状態を維持して保持することができる。これにより、キャリッジタンク144を、キャリッジタンク144に加えられる加速度の方向である矢印F1の方向側が低くなるように傾けることができる。また、キャリッジタンク144を、傾けた状態を維持して保持することができる。
【0103】
(2)タンクユニット143は、キャリッジタンク144と、駆動モーター146と、タンク揺動機構147と、を備えている。駆動モーター146及びタンク揺動機構147によって、キャリッジタンク144を、キャリッジタンク144に加えられる加速度の方向である矢印F1の方向側が低くなるように傾けることができる。また、キャリッジタンク144を、傾けた状態を維持して保持することができる。これにより、キャリッジタンク144に加えられる加速度によって、キャリッジタンク144内の機能液40の液面が、キャリッジタンク144に対して揺動することを抑制することができる。すなわち、キャリッジタンク144内の機能液40の液面が、キャリッジタンク144に対して揺動することに起因して、キャリッジタンク144内の機能液40の液面に波が発生することを抑制することができる。
キャリッジタンク144内の機能液40の液面に波が発生することを抑制して、キャリッジタンク144内の機能液40の液位が変動することを抑制することができる。キャリッジタンク144内の機能液40の液位が変動することを抑制することによって、キャリッジタンク144内の機能液40の液位と、液滴吐出ヘッド20に供給された機能液40の液位との水頭差を適切な値に保つことができ、吐出ノズル24から吐出される液滴の体積などを、規定された体積に維持することができる。
【0104】
(3)タンクユニット143は、キャリッジタンク144と、加速度センサー145と、を備えている。加速度センサー145によって、キャリッジタンク144に加えられる加速度を検出することができる。検出した加速度に対応してキャリッジタンク144を、傾けることにより、キャリッジタンク144に加えられる加速度によって、キャリッジタンク144内の機能液40の液面が、キャリッジタンク144に対して揺動することを抑制することができる。
【0105】
以上、添付図面を参照しながら好適な実施形態について説明したが、好適な実施形態は、前記実施形態に限らない。実施形態は、要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論であり、以下のように実施することもできる。
【0106】
(変形例1)前記第1の実施形態においては、タンクユニット43は、キャリッジタンク44と、液面センサー45と、造波ユニット46と、を備えていたが、タンクユニットは、キャリッジタンク44に加えられる加速度を検出するタンク加速度検出手段をさらに備える構成であってもよい。タンク加速度検出手段によって、キャリッジタンク44のような中継タンクに加えられる加速度を検出することができる。検出した加速度に対応して、造波ユニット46のような波発生手段を用いて、検出した加速度に起因して中継タンク内に発生する波面40Vのような波を打ち消すような波を発生させることによって、中継タンク内の液状体を、液面が略水平な状態に維持することができる。
【0107】
(変形例2)前記第2の実施形態においては、タンクユニット143は、加速度センサー145と、駆動モーター146と、タンク揺動機構147と、を備え、吐出装置制御部6は、加速度センサー145によってキャリッジタンク144に加えられる加速度を検出することで、キャリッジタンク144内の機能液40に発生する波を検出していた。しかし、駆動モーター146やタンク揺動機構147のようなタンク支持手段とタンク姿勢制御手段を備えるタンクユニットが、加速度センサー145のようなタンク加速度検出手段を備え、タンク姿勢制御手段が、タンク加速度検出手段によって加速度を検出し、検出した加速度に対応してキャリッジタンク144のような中継タンクを傾けることは必須ではない。
中継タンク内の液状体の液面位置を検出する液面検出手段を備え、タンク姿勢制御手段は、液状体の液面位置を検出することによって、液面位置の変動状態を求めることで、中継タンク内の液状体に発生する波を検出してもよい。タンク姿勢制御手段は、中継タンクの姿勢を、検出した波に対応する姿勢に補正することで、中継タンク内の液状体に波が大きくなることを抑制することができる。
上述したように、キャリッジタンク144に供給された機能液40の液位と、液滴吐出ヘッド20に供給された機能液40の液位との水頭差を適切な値に保つことで、吐出ノズル24から吐出される液滴の体積などが、規定された体積に維持される。図9では図示省略したが、キャリッジタンク144に供給された機能液40の液位を適切に維持するためには、中継タンク内の液状体の液面位置を検出する液面検出手段が必要である。当該液面検出手段による検出結果を利用することで、新たに液面検出手段を設けることは不要である。
【0108】
(変形例3)前記第2の実施形態においては、タンクユニット143は、加速度センサー145と、駆動モーター146と、タンク揺動機構147と、を備え、吐出装置制御部6は、加速度センサー145によってキャリッジタンク144に加えられる加速度を検出することで、キャリッジタンク144内の機能液40に発生する波を検出していた。しかし、駆動モーター146やタンク揺動機構147のようなタンク支持手段とタンク姿勢制御手段を備えるタンクユニットが、加速度センサー145のようなタンク加速度検出手段を備え、タンク姿勢制御手段が、タンク加速度検出手段によって加速度を検出し、検出した加速度に対応してキャリッジタンク144のような中継タンクを傾けることは必須ではない。
タンク姿勢制御手段は、中継タンクに加えられる加速度の情報を予め取得してもよい。タンク姿勢制御手段は、中継タンクの姿勢を、取得した加速度の情報から推定できる波に対応する姿勢に補正することで、中継タンク内の液状体に波が発生することを抑制することができる。
【0109】
(変形例4)前記実施形態においては、液滴吐出装置1及び液滴吐出装置101は、ヘッドキャリッジ22又はヘッドキャリッジ122を1個備えていた。しかし、液滴吐出装置が備える吐出ヘッドと中継タンクとの組が1組であることは必須ではない。描画装置が備える吐出ヘッドと中継タンクとの組は、何組であってもよい。
【0110】
(変形例5)前記実施形態においては、ヘッドユニット21は、液滴吐出ヘッド20を9個備えていたが、ヘッドユニットが備える吐出ヘッドが9個であることは必須ではない。ヘッドユニットが備える吐出ヘッドは、いくつであってもよい。
【0111】
(変形例6)前記実施形態においては、液滴吐出ヘッド20は、多数の吐出ノズル24が略一直線状に並んだノズル列24Aを2列備えていたが、吐出ヘッドが備えるノズル列は何列であってもよい。また、液滴吐出ヘッド20が備える吐出ノズル24は、ノズル列24Aの延在方向において互いの位置がずれていたが、吐出ヘッドは、ノズル列の延在方向において、略同一位置に位置する吐出ノズルを複数備える構成であってもよい。
【0112】
(変形例7)前記実施形態においては、液滴吐出装置1及び液滴吐出装置101は、ヘッドユニット21を備えており、ヘッドユニット21が備える液滴吐出ヘッド20が吐出する機能液は単一の機能液であった。しかし、ヘッドユニットが備える吐出ヘッドが吐出する液状体が同一であることは必須ではない。描画装置においては、色が異なるなど、複数種類の異なる液状体を吐出してもよい。色が異なる複数種類の液状体を吐出することでカラー描画も可能である。液状体の種類は、液滴吐出装置が複数のヘッドユニットを備えて、ヘッドユニットごとに異ならせてもよいし、ヘッド組ごとに異ならせてもよいし、液滴吐出ヘッドごとに異ならせてもよいし、ノズル列ごとに異ならせてもよい。吐出ノズルごとに液状体を個別に供給できる液滴吐出ヘッドを用いて、吐出ノズルごとに異なる液状体を吐出してもよい。なお、カラー描画を実施する際には、同じ着弾位置に、複数の、例えば色が異なる液状体を着弾させることができる構成のヘッドユニット又は液滴吐出ヘッドを用いたり、走査方法を用いたりすることで、より微細な描画が可能となる。
【0113】
(変形例8)前記実施形態においては、液滴吐出ヘッド20から吐出する機能液は、紫外線硬化型の機能液であった。しかし、吐出ヘッドから吐出する液状体が紫外線硬化型の液状体であることは必須ではない。熱硬化型の液状体などのように、紫外線以外の硬化光を用いて硬化を促進させる液状体であってもよいし、他の硬化促進手段によって硬化させる液状体であってもよい。
【0114】
(変形例9)前記第1の実施形態においては、造波ユニット46は、キャリッジタンク44内の機能液40に波が発生することを抑制するために用いられていたが、波を発生させるために用いてもよい。機能液には、静止状態で貯留すると、顔料が沈殿し易い機能液もある。機能液には、また、静止状態で貯留すると、硬化し易い機能液もある。このような機能液は、ヘッドユニット21が待機状態である場合などに、キャリッジタンク44のようなタンク内で含有物が沈殿したり、機能液自体が硬化しかけたりして、吐出ヘッドからの吐出に好適ではない状態となる可能性がある。造波ユニット46のような波発生手段によってタンク内の液状体に波を発生させることで、タンク内で含有物が沈殿したり、機能液自体が硬化しかけたりすることを抑制することができる。
【0115】
(変形例10)前記代2の実施形態においては、タンクユニット143の駆動モーター146及びタンク揺動機構147は、キャリッジタンク144内の機能液40に波が発生することを抑制するために用いられていたが、キャリッジタンク144を揺らすために用いてもよい。機能液には、静止状態で貯留すると、顔料が沈殿し易い機能液もある。機能液には、また、静止状態で貯留すると、硬化し易い機能液もある。このような機能液は、ヘッドユニット21が待機状態である場合などに、キャリッジタンク144のようなタンク内で含有物が沈殿したり、機能液自体が硬化しかけたりして、吐出ヘッドからの吐出に好適ではない状態となる可能性がある。駆動モーター146及びタンク揺動機構147のような、タンクの姿勢を補正するための手段によって、タンクを揺動させることによって、タンク内で含有物が沈殿したり、機能液自体が硬化しかけたりすることを抑制することができる。
【符号の説明】
【0116】
1…液滴吐出装置、2…ヘッド機構部、3…媒体機構部、4…機能液供給部、6…吐出装置制御部、20…液滴吐出ヘッド、21…ヘッドユニット、22…ヘッドキャリッジ、23…ユニットプレート、24…吐出ノズル、31…媒体載置台、31a…スライド台、33…媒体移動機構、40…機能液、40V…波面、40W…波面、40a,40b,40c,40d,40e…液面、41…機能液タンク、42…給液チューブ、43…タンクユニット、44…キャリッジタンク、45…液面センサー、46…造波ユニット、47…フロートユニット、47a…フロート、47b…フロート軸、47c…フロート枠、49…駆動モーター、62…ヘッド走査機構、64…支持梁、66…移動枠、68…キャリッジ枠、68a…キャリッジ側柱、68b…キャリッジ天板、68c…キャリッジ棚板、95…紫外線照射部、101…液滴吐出装置、102…ヘッド機構部、104…機能液供給部、122…ヘッドキャリッジ、140V…波面、140W…波面、140a,140b,140c,140d,140e…液面、143…タンクユニット、144…キャリッジタンク、145…加速度センサー、146…駆動モーター、147…タンク揺動機構、147a…モーター歯車、147b…タンク歯車、148…タンク軸、148a,148b…タンク軸、162…ヘッド走査機構、166…移動枠、168…キャリッジ枠、168a…キャリッジ側柱、168b…キャリッジ天板、169…タンク支持枠、169a,169b…支持枠体、240A…ユニットノズル列、471…斜面。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液状体を吐出する吐出ヘッドと、
前記吐出ヘッドに前記液状体を供給する供給路に配設されており、前記吐出ヘッドに連通している中継タンクと、
前記液状体を配置して描画する対象物である被描画媒体に対して前記吐出ヘッドを移動させるとともに、前記吐出ヘッドから前記液状体を選択的に吐出させる吐出走査における吐出走査方向に、前記吐出ヘッドと前記中継タンクとを移動させるヘッド走査手段と、
前記中継タンク内の前記液状体の液面に波が発生することを抑制する波立抑制手段と、を備えることを特徴とする液滴吐出装置。
【請求項2】
前記波立抑制手段は、
前記中継タンク内の前記液状体の液面に波を発生させる波発生手段と、
前記波発生手段を制御する波発生制御手段と、を備えることを特徴とする、請求項1に記載の液滴吐出装置。
【請求項3】
前記波発生制御手段は、前記中継タンク内に発生する波の情報を予め取得して、前記波発生手段に、取得した前記波に対して位相が反転した逆位相波を、発生させることを特徴とする、請求項2に記載の液滴吐出装置。
【請求項4】
前記中継タンク内の前記液状体の液面位置を検出する液面検出手段をさらに備え、
前記波発生制御手段は、前記波発生手段に、前記液面検出手段によって検出された液面の変動を相殺する波を、発生させることを特徴とする、請求項2に記載の液滴吐出装置。
【請求項5】
前記中継タンクに加えられる加速度を検出するタンク加速度検出手段をさらに備え、
前記波発生制御手段は、前記波発生手段に、前記タンク加速度検出手段によって検出された加速度によって発生する前記波に対して位相が反転した逆位相波を、発生させることを特徴とする、請求項2に記載の液滴吐出装置。
【請求項6】
前記波立抑制手段は、
前記中継タンクを、姿勢を補正可能に支持するタンク支持手段と、
前記タンク支持手段を制御して、前記中継タンクの姿勢を補正する、タンク姿勢制御手段と、を備えることを特徴とする、請求項1に記載の液滴吐出装置。
【請求項7】
前記タンク姿勢制御手段は、前記中継タンクに加えられる加速度の情報を予め取得し、前記中継タンクの姿勢を、取得した加速度の情報に対応する姿勢に補正することを特徴とする、請求項6に記載の液滴吐出装置。
【請求項8】
前記中継タンクに加えられる加速度を検出するタンク加速度検出手段をさらに備え、
前記タンク姿勢制御手段は、前記中継タンクの姿勢を、前記タンク加速度検出手段によって検出された加速度に対応する姿勢に補正することを特徴とする、請求項6に記載の液滴吐出装置。
【請求項9】
前記中継タンク内の前記液状体の液面位置を検出する液面検出手段をさらに備え、
前記タンク姿勢制御手段は、前記中継タンクの姿勢を、前記液面検出手段によって検出された前記液面位置の変動に対応して補正することを特徴とする、請求項6に記載の液滴吐出装置。
【請求項10】
前記タンク姿勢制御手段は、前記中継タンクに加えられる加速度の方向側が下がる方向に、前記中継タンクを傾けることを特徴とする、請求項6乃至9のいずれか一項に記載の液滴吐出装置。
【請求項11】
前記タンク姿勢制御手段は、前記中継タンクの姿勢を、前記中継タンク内の前記液状体の液面と前記中継タンクとの相対位置が、前記中継タンクに加速度が加えられていない場合の前記液状体の液面と前記中継タンクとの相対位置を維持する方向に補正することを特徴とする、請求項6乃至9のいずれか一項に記載の液滴吐出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−170865(P2012−170865A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−34263(P2011−34263)
【出願日】平成23年2月21日(2011.2.21)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】