説明

液滴噴射塗布ヘッドモジュール、液滴噴射塗布装置及び塗布体の製造方法

【課題】液滴噴射塗布ヘッドモジュールへの液体の充填を手間をかけずに容易に行うことである。
【解決手段】液滴噴射塗布ヘッドモジュール3は、液体を収容する液室とこの液室に連通される複数のノズルとを有し、ノズルから液滴を噴射する液滴噴射塗布ヘッド13と、液室に供給する液体を収容して液室に連通されるタンク14と、を備え、液滴噴射塗布ヘッド13とタンク14とが連結部材17により連結され、連結部材17と液滴噴射塗布ヘッド13との間に回転式継手18が介装されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液滴噴射塗布ヘッドモジュール、液滴噴射塗布装置及び塗布体の製造方法に関し、特に、液晶ディスプレイパネルや有機EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイパネル等の塗布体を製造するために使用する液滴噴射塗布ヘッドモジュール、この液滴噴射塗布ヘッドモジュールを備える液滴噴射塗布装置及びこの液滴噴射塗布装置を用いる塗布体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1に記載されているように、有機ELディスプレイパネルを製造する際に使用する液滴噴射塗布装置が知られている。
【0003】
この液滴噴射塗布装置は、高分子発光材料などの着色剤を溶媒に溶解した液体を液滴噴射塗布ヘッドのノズルから液滴として噴射し、噴射した液滴を基板の表面に塗布し、基板表面に塗布した液滴中の溶媒を蒸発させることにより着色剤の膜を基板上に残留させ、有機ELディスプレイパネルを製造している。
【0004】
このような液滴噴射塗布装置においては、図6に示すような液滴噴射塗布ヘッドモジュール100を使用する場合がある。
【0005】
この液滴噴射塗布ヘッドモジュール100は、液滴噴射塗布ヘッド101と、バッファタンク102と、装置固定部103とを備えている。液滴噴射塗布ヘッド101と装置固定部103とがネジ止めされ、液滴噴射塗布ヘッド101とバッファタンク102とがフレキシブルな供給パイプ104により接続されている。
【0006】
液滴噴射塗布ヘッド101は、筐体105と、筐体105の一面に固定されたノズルプレート106とを有している。筐体105内には、複数の液室(図示せず)が形成され、各液室に対応して複数の圧電素子(図示せず)が設けられている。ノズルプレート106には、各液室に連通する複数のノズル(図示せず)が形成されている。
【0007】
バッファタンク102内には着色剤を溶媒に溶解した液体(例えば、インク)が収容され、この液体が供給パイプ104内を通って筐体105内の液室に供給される。バッファタンク102にはメインタンク(図示せず)が接続され、バッファタンク102内の液体はメインタンクから補給される。
【0008】
液滴噴射塗布ヘッドモジュール100を液滴噴射塗布装置に取付ける場合、この取付けの前に液滴噴射塗布ヘッドモジュール100に対して液体を充填する。液滴噴射塗布ヘッドモジュール100に液体を充填する場合、液室やノズル内に気泡が入り込み易く、入り込んだ気泡を除去する必要がある。
【0009】
そこで、この気泡を除去するため、液滴噴射塗布ヘッドモジュール100に対して液体を充填する作業を、液滴噴射塗布ヘッドモジュール100を充填治具に装着して行う。充填治具に装着された液滴噴射塗布ヘッドモジュール100は、バッファタンク102が位置固定に支持され、液滴噴射塗布ヘッド101が垂直面内で回転可能に支持されている。
【0010】
充填治具に装着した液滴噴射塗布ヘッドモジュール100に液体を充填した後、液滴噴射塗布ヘッド101を垂直面内で回転させる。この回転により液室内やノズル内に存在する気泡を液室に連通して設けられている排出ポート107側へ移動させ、排出ポート107を開くことにより気泡を液滴噴射塗布ヘッド101外へ排出させる。
【0011】
このため、液滴噴射塗布ヘッド101とバッファタンク102とを接続しているフレキシブルな供給パイプ104は、バッファタンク102を位置固定に支持し、液滴噴射塗布ヘッド101を垂直面内で回転させても支障が生じない程度の長さを有している。
【0012】
充填治具に取付けた液滴噴射塗布ヘッド101を回転させ、排出ポート107から気泡を排出させた後、ノズルから液体を流出させるパージ処理を行う。このパージ処理では、ノズルが上向きとなる位置に液滴噴射塗布ヘッド101を回転させ、バッファタンク102内に圧力をかけ、ノズルから液体を流出させる。このパージ処理により、液室内やノズル内に気泡が残留している場合には、その気泡が液体と共にノズルから排出される。
【0013】
液滴噴射塗布ヘッド101を回転させることによる排出ポート107からの気泡の排出処理と、ノズルから液体を流出させるパージ処理とが終了した後、液滴噴射塗布ヘッドモジュール100を充填治具から取外し、液滴噴射塗布装置に取付ける。
【0014】
気泡の排出処理とパージ処理とが終了した後は、液滴噴射塗布ヘッドモジュール100内に充填されている液体中には気泡が存在せず、液滴噴射塗布装置に取付けられた液滴噴射塗布ヘッドモジュール100の一部である液滴噴射塗布ヘッド101のノズルからの液滴の噴射を、不噴射や噴射不良を生じさせることなく行うことができる。
【特許文献1】特開2004−31070号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかしながら、上述した液滴噴射塗布ヘッドモジュール100及びこの液滴噴射塗布ヘッドモジュールを用いた液滴噴射塗布装置では、以下の点について配慮がなされていない。
【0016】
充填治具への液滴噴射塗布ヘッドモジュール100の着脱、及び、液滴噴射塗布装置への液滴噴射塗布ヘッドモジュール100の取付けに際し、液滴噴射塗布ヘッド101とバッファタンク102とを別個に行っているため、手間がかかっている。
【0017】
また、液滴噴射塗布ヘッド101とバッファタンク102とを接続している供給パイプ104が長いため、液滴噴射塗布ヘッドモジュール100を充填治具から取外し、液滴噴射塗布装置に取付けるまでの作業中に、供給パイプ104が他部材に衝突することが生じやすい。この作業中に供給パイプ104が他部材に衝突すると、その衝突に伴って液滴噴射塗布ヘッドモジュール100内の液体に圧力変動が生じ、この圧力変動によりノズルの先端から気体を吸込む場合がある。このようにして吸込まれた気体は、ノズルからの液滴の不噴射や噴射不良の原因となる。
【0018】
本発明はこのような課題を解決するためになされたもので、その目的は、気体を含まない液体の充填を手間をかけずに容易に行うことができる液滴噴射塗布ヘッドモジュール、この液滴噴射塗布ヘッドモジュールを用いた液滴噴射塗布装置、及び、この液滴噴射塗布装置を用いた塗布体の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明の実施の形態に係る第1の特徴は、液滴噴射塗布ヘッドモジュールにおいて、液体を収容する液室とこの液室に連通される複数のノズルとを有し、前記ノズルから液滴を噴射する液滴噴射塗布ヘッドと、前記液室に供給する液体を収容して前記液室に連通されるタンクと、を備え、前記液滴噴射塗布ヘッドと前記タンクとが連結部材により連結され、前記連結部材と前記液滴噴射塗布ヘッドとの間に回転式継手が介装されていることを前記液滴噴射塗布ヘッドと前記タンクとが連結部材により連結され、前記連結部材に対して前記液滴噴射塗布ヘッドが回転式継手を介して連結されていることである。
【0020】
本発明の実施の形態に係る第2の特徴は、本発明の実施の形態に係る第1の特徴の液滴噴射塗布ヘッドモジュールを支持する支持部と、前記ノズルから噴射される前記液滴が塗布される被塗布体を保持する保持部と、を備えることである。
【0021】
本発明の実施の形態に係る第3の特徴は、塗布体の製造方法において、請求項3記載の液滴噴射塗布装置を用いて、液滴を噴射して被塗布体に塗布する塗布工程を有することである。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、液滴噴射塗布ヘッドモジュールへの気泡を含まない液体の充填を手間をかけず容易に行うことができ、この液滴噴射塗布ヘッドモジュールを用いた液滴の噴射及び塗布を良好に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の一実施の形態を図面を用いて説明する。
【0024】
本発明の一実施の形態に係る液滴噴射塗布装置1は、液体であるインクを収容し、このインクを液滴として噴射し、噴射した液滴を被塗布体である基板に塗布することにより塗布体である有機ELディスプレイパネルを製造する場合に使用される装置である。さらに、この液滴噴射塗布装置1は、有機ELディスプレイパネルにおける3色(R(赤)、G(緑)、B(青))のカラー膜を形成する領域の周囲に、黒額縁を形成するための装置である。このため、この液滴噴射塗布装置1から液滴として噴射されるインクは、黒色のインク1色である。液滴噴射塗布装置1は、図1に示すように、ベース2と、液滴噴射塗布ヘッドモジュール3と、支持部4と、移動機構5と、保持部である基板保持テーブル6とを有している。
【0025】
ベース2の上面には、支持部4と移動機構5とメインタンク7とが設置されている。支持部4は門型に形成され、移動機構5を跨ぐ位置に固定されている。支持部4には、モータ(図示せず)の駆動により昇降される昇降部材8がZ軸方向(上下方向)に移動可能に取付けられている。昇降部材8には、液滴噴射塗布ヘッドモジュール3が取付けられている。メインタンク7には、液体である黒色のインクが収容されている。このインクは、黒色の着色剤を溶媒に溶解して作製されている。
【0026】
移動機構5は、Y軸方向ガイド板9と、Y軸方向移動テーブル10と、X軸方向移動テーブル11と、基板保持テーブル6とを有している。
【0027】
Y軸方向ガイド板9は、ベース2の上面に固定されている。Y軸方向ガイド板9の上面には、Y軸方向に延出するガイド溝9aが形成されている。
【0028】
Y軸方向移動テーブル10は、Y軸方向ガイド板9の上に配置されている。Y軸方向移動テーブル10の下面には、ガイド溝9aに移動可能に係合する凸部(図示せず)が形成されている。Y軸方向移動テーブル10は、送りネジと駆動モータとを用いた送り機構(図示せず)により、ガイド溝9aに沿ってY軸方向へ移動可能に設けられている。Y軸方向移動テーブル10の上面には、X軸方向に延出するガイド溝10aが形成されている。
【0029】
X軸方向移動テーブル11は、Y軸方向移動テーブル10の上に配置されている。X軸方向移動テーブル11の下面には、ガイド溝10aに移動可能に係合する凸部(図示せず)が形成されている。X軸方向移動テーブル11は、送りネジと駆動モータとを用いた送り機構(図示せず)により、ガイド溝10aに沿ってX軸方向へ移動可能に設けられている。
【0030】
基板保持テーブル6は、X軸方向移動テーブル11の上面に固定されている。基板保持テーブル6の上面には、被塗布体である基板12が載せ降ろし可能に載置されている。基板保持テーブル6の上面に載置された基板12は、基板保持テーブル6に設けられた吸着機構(図示せず)により吸着され、位置固定に保持されている。
【0031】
基板保持テーブル6は、X軸方向移動テーブル11及びY軸方向移動テーブル10と共にY軸方向ガイド板9上をY軸方向に移動可能である。基板保持テーブル6は、基板保持テーブル6上に載置された基板12が液滴噴射塗布ヘッドモジュール3の下方に位置して液滴の噴射塗布が行われる位置(図1に示す位置)と、Y軸方向に移動して液滴噴射塗布ヘッドモジュール3の下方位置から外れ、基板12の載せ降ろしが行われる位置との間で移動可能である。
【0032】
液滴噴射塗布ヘッドモジュール3は、図2に示すように、液滴噴射塗布ヘッド13と、タンクであるバッファタンク14と、装置固定部15とを備えている。液滴噴射塗布ヘッド13と装置固定部15とには支持プレート16がネジ止めされ、液滴噴射塗布ヘッド13と装置固定部15とが一体化されている。液滴噴射塗布ヘッド13とバッファタンク14とは、連結部材17により連結されている。バッファタンク14と連結部材17との連結は、バッファタンク14の上端側に設けられた上端側枠部14aと連結部材17の一端側とをネジ止めすることにより行われている。液滴噴射塗布ヘッド13と連結部材17との連結は、液滴噴射塗布ヘッド13にネジ止めされた支持プレート16と連結部材17の他端側との間に回転式継手18を介装して行われている。この回転式継手18が設けられることにより、連結部材17に対して液滴噴射塗布ヘッド13と装置固定部15とが、回転式継手18の中心線回りに回転可能とされている。
【0033】
図1に示すように、液滴噴射塗布ヘッドモジュール3が昇降部材8に取付けられて液滴噴射塗布装置1が構成されている場合、バッファタンク14とメインタンク7とが補給パイプ19により接続され、メインタンク7内のインクが補給パイプ19内を通ってバッファタンク14に補給される。バッファタンク14内に補給されたインクは、後述する供給パイプ26内を通って液滴噴射塗布ヘッド13内の後述する液室20に供給される。
【0034】
液滴噴射塗布ヘッド13は、図3に示すように、バッファタンク14から供給されたインクを収容する複数の液室20と、各液室20の壁の一部を形成するダイヤフラム21と、各液室20に対応してダイヤフラム21に当接する位置に設けられた複数の圧電素子22と、各液室20の壁の一部を形成するノズルプレート23とを備えている。ノズルプレート23には、各液室20に連通する複数のノズル24が形成されている。さらに、液滴噴射塗布ヘッド13には、液室20に連通する排出ポート25が設けられている。
【0035】
液滴噴射塗布ヘッド13においては、圧電素子22に電圧が印加されることにより圧電素子22が縮む方向に変形し、この変形によりダイヤフラム21が液室20の容積を大きくする方向に撓み、容積が大きくなった液室20内に収容されるインク量が増える。その後、電圧の印加を遮断することにより縮んでいた圧電素子22を復元させ、液室20の容積を復元させる(小さくする)とともに液室20内のインクの一部をノズル24から液滴Eとして噴射させる。ノズル24から噴射された液滴Eは、基板12上の目的とする額縁位置に塗布される。
【0036】
バッファタンク14と液滴噴射塗布ヘッド13とは、供給路である供給パイプ26により接続されている。この供給パイプ26を通してバッファタンク14内のインクが液滴噴射塗布ヘッド13の液室20に供給される。バッファタンク14と液滴噴射塗布ヘッド13との間に配管されている供給パイプ26は、その配管の途中で回転式継手18の回転中心を含む位置に形成された中空部(図示せず)に挿通されている。これにより、回転式継手18を境として液滴噴射塗布ヘッド13側が回転する場合、供給パイプ26は何ら影響を受けることがない。供給パイプ26の途中には、インク中の異物を除去するためのフィルタ(図示せず)を収容するフィルタ収容部27が設けられている。
【0037】
このような構成において、図1は、液滴噴射塗布ヘッドモジュール3が昇降部材8に取付けられ、基板保持テーブル6上に載置された基板12が液滴噴射塗布ヘッドモジュール3の下方に位置している状態を示している。この状態から、圧電素子22に電圧を印加してノズル24から液滴を噴射させるとともに、移動機構5を駆動させて基板12をX軸方向とY軸方向とに移動させることにより、基板12上の目的とする位置に黒額縁を形成することができる。
【0038】
液滴噴射塗布ヘッドモジュール3を昇降部材8に取付ける場合、この取付けの前に液滴噴射塗布ヘッドモジュール3に対してインクを充填する。液滴噴射塗布ヘッドモジュール3にインクを充填する場合、液室20やノズル24に気泡が入り込み易く、入り込んだ気泡を除去する必要がある。そこで、液滴噴射塗布ヘッドモジュール3に対してインクを充填する作業を、液滴噴射塗布ヘッドモジュール3を充填治具(図示せず)に装着して行う。充填治具に装着された液滴噴射塗布ヘッドモジュール3は、液滴噴射塗布ヘッドモジュール3の装置固定部15に設けられている装着片28を充填治具の回動部にネジ止めされ、バッファタンク14が充填治具の保持部により保持される。図2は、充填治具に装着された液滴噴射塗布ヘッドモジュール3の姿勢を示している。なお、充填治具にはインクを充填するための機構(図示せず)が設けられており、この機構がバッファタンク14の補給口29に接続されている。
【0039】
図4は、図2の状態から充填治具の回動部を90°回転させた状態を示している。充填治具に装着されている液滴噴射塗布ヘッドモジュール3は、回転式継手18を境にして液滴噴射塗布ヘッド13側のみが90°回転し、バッファタンク14及び連結部材17は位置不動に維持される。
【0040】
図5は、図4の状態から充填治具の回動部をさらに90°(図2の状態から180°)回転させた状態を示している。この場合も、充填治具に装着されている液滴噴射塗布ヘッドモジュール3は、回転式継手18を境にして液滴噴射塗布ヘッド13側のみがさらに90°回転し、バッファタンク14及び連結部材17は位置不動に維持される。
【0041】
充填治具に装着された液滴噴射塗布ヘッドモジュール3の液滴噴射塗布ヘッド13を、図2に示す位置から図4に示す位置へ90°回転させ、さらに、図4に示す位置から図5に示す位置へ90°回転させ、図5に示す位置から図2に示す位置へ180°回転させることにより、液室20内やノズル24内に存在する気泡を排出ポート25側へ移動させることができる。そして、排出ポート25が図2に示すように上向きの位置となった時点で排出ポート25を開き、排出ポート25の位置へ移動している気泡を液滴噴射塗布ヘッド13外に排出することができる。
【0042】
さらに、排出ポート25から気泡を排出した後、排出ポート25を閉じて再び液滴噴射塗布ヘッド13側を回転させ、図5に示すようにノズル24が上方向きとなった位置でバッファタンク14内のインクを加圧し、液室20内及びノズル24内のインクをノズル24から流出させるパージ処理を行う。このパージ処理により液室20内やノズル24内に気泡が存在している場合、その気泡が排出される。
【0043】
液滴噴射塗布ヘッド13側を回転させることによる気泡の排出処理と、ノズル24からのパージ処理とを行うことにより、液滴噴射塗布ヘッドモジュール3に気泡を含まないインクを充填することができる。
【0044】
このようにしてインクを充填した液滴噴射塗布ヘッドモジュール3を充填治具から取外し、充填治具から取外したインク充填済みの液滴噴射塗布ヘッドモジュール3を昇降部材8に取付ける。
【0045】
この液滴噴射塗布ヘッドモジュール3は、液滴噴射塗布ヘッド13とバッファタンク14とが連結部材17により連結されているため、充填治具への液滴噴射塗布ヘッドモジュール3の装着、充填治具からの液滴噴射塗布ヘッドモジュール3の取外し、及び、昇降部材8への液滴噴射塗布ヘッドモジュール3の取付けを、それぞれ1回の操作により手間をかけず容易に行うことができる。
【0046】
さらに、連結部材17と液滴噴射塗布ヘッド13との間に回転式継手18が介装されているため、この回転式継手18を境にして液滴噴射塗布ヘッド13のみを回転させることができ、気泡を排出するための液滴噴射塗布ヘッド13の回転操作を容易に行うことができる。
【0047】
また、バッファタンク14と液滴噴射塗布ヘッド13との間に配管されている供給パイプ26が回転式継手18の回転中心を含む位置に形成された中空部(図示せず)に挿通されているため、供給パイプ26を液滴噴射塗布ヘッド13の回転に影響されることなく配管することができ、しかも、配管長さを短くすることができる。そして、供給パイプ26の長さが短くなることにより、液滴噴射塗布ヘッドモジュール3の着脱作業中に供給パイプ26が他部材に衝突することが生じにくく、供給パイプ26が他部材に衝突することにより発生する液滴噴射塗布ヘッドモジュール3内の液体の圧力変動を防止することができ、この圧力変動によりノズル24の先端から気体を吸込むという現象の発生を防止することができる。
【0048】
供給パイプ26の途中にはフィルタが配置されているので、インク中に異物が存在する場合にはその異物をフィルタで除去することができ、異物を含まないインクを液滴噴射塗布ヘッド13に供給することができる。
【0049】
なお、上述した実施の形態では、有機ELディスプレイパネルを製造する場合において、基板12に黒額縁を形成するための黒インクを噴射して塗布する液滴噴射塗布ヘッドモジュール3及びこの液滴噴射塗布ヘッドモジュール3を用いた液滴噴射塗布装置1を例に挙げて説明したが、基板12に3色(R(赤)、G(緑)、B(青))のカラー膜を形成する場合に使用する液滴噴射塗布ヘッドモジュール及び液滴噴射塗布装置においても本発明を適用することができる。
【0050】
また、上述した実施の形態では、塗布体として有機ELディスプレイパネルを製造する場合を例に挙げて説明したが、この液滴噴射塗布ヘッドモジュール及び液滴噴射塗布装置は、塗布体として液晶ディスプレイパネルを製造する場合にも適用できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の一実施の形態に係る液滴噴射塗布装置の概略構成を示す斜視図である。
【図2】図1に示す液滴噴射塗布装置が備える液滴噴射塗布ヘッドモジュールを示す斜視図である。
【図3】図2に示す液滴噴射塗布ヘッドモジュールの一部である液滴噴射塗布ヘッドの構造を示す断面図である。
【図4】充填治具に装着した液滴噴射塗布ヘッドモジュールにおいて、液滴噴射塗布ヘッドを図2に示す状態から90°回転させた状態を示す斜視図である。
【図5】充填治具に装着した液滴噴射塗布ヘッドモジュールにおいて、液滴噴射塗布ヘッドを図4に示す状態から90°回転させた状態を示す斜視図である。
【図6】従来例の液滴噴射塗布ヘッドモジュールを示す斜視図である。
【符号の説明】
【0052】
1…液滴噴射塗布装置、3…液滴噴射塗布ヘッドモジュール、4…支持部、6…保持部、12…被塗布体、13…液滴噴射塗布ヘッド、14…タンク、17…連結部材、18…回転式継手、20…液室、24…ノズル、26…供給路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を収容する液室とこの液室に連通される複数のノズルとを有し、前記ノズルから液滴を噴射する液滴噴射塗布ヘッドと、
前記液室に供給する液体を収容して前記液室に連通されるタンクと、
を備え、
前記液滴噴射塗布ヘッドと前記タンクとが連結部材により連結され、
前記連結部材と前記液滴噴射塗布ヘッドとの間に回転式継手が介装されていることを特徴とする液滴噴射塗布ヘッドモジュール。
【請求項2】
前記タンク内の液体が前記液室に供給される供給路中にフィルタが配置されていることを特徴とする請求項1記載の液滴噴射塗布ヘッドモジュール。
【請求項3】
請求項1又は2記載の液滴噴射塗布ヘッドモジュールを支持する支持部と、
前記ノズルから噴射される前記液滴が塗布される被塗布体を保持する保持部と、
を備えることを特徴とする液滴噴射塗布装置。
【請求項4】
請求項3記載の液滴噴射塗布装置を用いて、液滴を噴射して被塗布体に塗布する塗布工程を有することを特徴とする塗布体の製造方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−252967(P2007−252967A)
【公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−76652(P2006−76652)
【出願日】平成18年3月20日(2006.3.20)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】