説明

液状エポキシ樹脂組成物

【課題】ズリ速度依存性の少ない(チクソトロピー性の小さい)流動特性を有し、しかも低温硬化可能で、さらに、一度、アンダーフィルした後の電気的接続に不具合のある電子部品装置であっても、残渣除去が可能でありリペアー容易性に優れ、しかも長時間の可使時間性にも優れた低粘度一液無溶剤組成であり、そして接続された実装構造である電子部品装置が高信頼性である液状エポキシ樹脂組成物を提供する。
【解決手段】半導体素子に設けられた接続用電極部と回路基板に設けられた接続用電極部を対向させた状態で上記回路基板上に半導体素子が搭載されている電子部品装置の上記回路基板と半導体素子との空隙を樹脂封止するための液状エポキシ樹脂組成物である。そして、上記液状エポキシ樹脂組成物が、下記の(A)および(B)成分とともに下記の(D)〜(E)成分を含有するものである。
(A)液状エポキシ樹脂。
(B)液状フェノール樹脂。
(C)固体分散型アミンアダクト系硬化促進剤粉末粒子。
(D)アミン系シランカップリング剤。
(E)無機質充填剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、BGA(ボール・グリッド・アレイ)やCSP(チップ・スケール・パッケージまたはチップ・サイズ・パッケージ)等の半導体パッケージの接続用バンプ電極部を介して半導体パッケージと回路基板の対向する電極間を電気的に接続する表面実装工法において、半導体パッケージと回路基板の空隙に充填し樹脂封止する際に用いられる液状エポキシ樹脂組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、BGAやCSP等の半導体パッケージがプリント配線基板に高密度実装されている。従来、このようなアレイ型バンプ電極を有する半導体パッケージの基板実装においては、バンプ間接続ピッチが広く、しかも接続用金属バンプが大きいためアンダーフィル等による応力分散や機械的補強のための樹脂封止は行われなくとも充分な信頼性が保たれていた。しかし、近年、このバンプ電極が狭ピッチでしかも小さくなってきたことから、アンダーフィル等の樹脂による補強がなされるようになってきた。
【0003】
しかしながら、上記アンダーフィルに用いる液状樹脂組成物としては、一般的にエポキシ樹脂等を主成分とした一液型熱硬化性樹脂組成物を用いるため、加熱して硬化させた後は、溶融しない、接着力が高い、分解しない、溶剤に不溶である等の点から容易にリペアーできないという問題があった。したがって、一度アンダーフィルを行えば、例えば、電気的接続に不具合のある半導体パッケージが搭載された実装基板はスクラップにされてしまい、廃棄せざるをえないという問題が生じる。このことは、近年、地球環境保全に向けてリサイクル性が要求されるなか、廃棄物を出すことは極力避ける必要があり、アンダーフィル後であってもリペアーを可能とすることのできることが要求されている。
【0004】
このようなリペアー可能な液状エポキシ樹脂組成物として、主剤にエポキシ樹脂を用い、硬化剤に熱可塑性樹脂でコーティングされたカプセル型硬化剤、そしてリペアー性付与剤にアクリル樹脂を用いた電子部品接合用接着剤が開示されている(特許文献1参照)。
【0005】
一方、本出願人は、先に、特定の含フッ素芳香族ジアミン類は、トリフルオロメチル置換基またはフッ素置換基により硬化体の溶解性パラメーター〔Solubility Parameter(SP値)〕を低下させるため、特定の溶剤により溶媒和、そして引き続き膨潤を生起しやすいことが奏功してリペアー性を発現し、優れたリペアブル・アンダーフィル樹脂組成物を提案している(特許文献2,3参照)。
【0006】
【特許文献1】特開平7−102225号公報
【特許文献2】特開2002−60594公報
【特許文献3】特開2002−60464公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1に記載された電子部品接合用接着剤は、チクソトロピー性を有するためアンダーフィルとしての流動性に適しているとは言い難く、アンダーフィルとしては、ズリ速度依存性がみられないような流動特性を有することが望ましい。また、上記特許文献2,3に記載されたアンダーフィル樹脂組成物は、その硬化温度が約150℃程度と高く、BGAやCSPとともに水晶振動子等の電子部品やプラスチック部品等の耐熱性に劣る部品が混載実装される場合に必要な120℃以下、特に好ましくは100℃以下の低温硬化性を満足するものではなかった。そして、一般に、低温硬化性を発現させようとすると、硬化剤または硬化促進剤を多量に配合するというのが通例であるが、このことはアンダーフィル注入時の可使時間を損なうことになり決して好ましいことではなかった。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、ズリ速度依存性の少ない(チクソトロピー性の小さい)流動特性を有し、しかも低温硬化可能で、さらに、一度、アンダーフィルした後の電気的接続に不具合のある電子部品装置であっても、残渣除去が可能でありリペアー容易性に優れ、しかも長時間の可使時間性にも優れた低粘度一液無溶剤組成であり、そして接続された実装構造である電子部品装置が高信頼性である液状エポキシ樹脂組成物の提供をその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、本発明の液状エポキシ樹脂組成物は、半導体装置に設けられた接続用電極部と回路基板に設けられた接続用電極部を対向させた状態で上記回路基板上に半導体装置が搭載されている、電子部品装置の上記回路基板と半導体装置との空隙を樹脂封止するためのエポキシ樹脂組成物であって、下記の(A)および(B)成分とともに下記の(C)〜(E)成分を含有するという構成をとる。
(A)液状エポキシ樹脂。
(B)液状フェノール樹脂。
(C)固体分散型アミンアダクト系硬化促進剤粉末粒子。
(D)アミン系シランカップリング剤。
(E)無機質充填剤。
【0010】
この発明者は、上記目的を達成するために、回路基板と半導体装置(半導体パッケージ)との空隙を樹脂封止するためのアンダーフィル材料である液状エポキシ樹脂組成物について研究を重ねた。そして、特定のエポキシ樹脂組成物硬化体が特定の溶剤により溶媒和、そして引き続き膨潤が生起し、結果、封止樹脂である硬化体の皮膜強度の低下や接着力の低下が起こり硬化体の機械的剥離が可能となり、半導体パッケージのリペアーが可能となることを見出したものである。すなわち、上記液状フェノール樹脂は液状エポキシ樹脂の硬化剤として作用し、その硬化体の溶解性パラメーター(SP値)を低下させるため、特定の溶剤により溶媒和、そして引き続き膨潤を生起しやすいことが奏功してリペアー性を発現している。
【0011】
そして、上記固体分散型アミンアダクト系硬化促進剤粉末粒子〔(C)成分〕と無機質充填剤〔(E)成分〕とが共存する際に、上記アミン系シランカップリング剤〔(D)成分〕を併用することにより、ズリ速度依存性の少ない(チクソトロピー性の小さい)流動特性を有し、しかも上記固体分散型アミンアダクト系硬化促進剤粉末粒子〔(C)成分〕は通常の溶解型硬化促進剤と異なり硬化潜在性に優れ、長時間の可使時間性にも優れることを見出し本発明に到達した。
【発明の効果】
【0012】
以上のように、本発明は、回路基板と半導体装置との空隙を樹脂封止するために用いられる、前記(A)および(B)成分とともに、固体分散型アミンアダクト系硬化促進剤粉末粒子〔(C)成分〕とアミン系シランカップリング剤〔(D)成分〕と無機質充填剤〔(E)成分〕を含有する液状エポキシ樹脂組成物である。このため、上記液状エポキシ樹脂組成物は、ズリ速度依存性の少ない(低チクソトロピー性)の効果が大きく、低粘度液状エポキシ樹脂組成物であることから半導体装置と回路基板の空隙充填性に優れ、しかも硬化した後においても特定の有機溶剤によって室温で容易に溶媒和して膨潤する。その結果、硬化体の強度が著しく減少し、被着体(電極等)から容易に剥離することが可能となる。したがって、本発明の液状エポキシ樹脂組成物を用い樹脂封止して得られた電子部品装置は優れた接続信頼性を備えるとともに、電極間の位置ずれ等により接続不良が発生した場合でも、電子部品装置そのものを廃棄することなく優れたリペアー性を備えた電子部品装置を得ることができる。
【0013】
そして、上記(E)成分である無機質充填剤として、アミン系シランカップリング剤で表面被覆されたもの、特にアミン系シランカップリング剤で表面被覆された平均粒子径10μm以下の球状シリカ粒子を用いると、液状エポキシ樹脂組成物硬化体の線膨張係数の低下による熱応力低減効果と機械的強度の向上に一層優れるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の液状エポキシ樹脂組成物は、液状エポキシ樹脂(A成分)と、液状フェノール樹脂(B成分)とともに、固体分散型アミンアダクト系硬化促進剤粉末粒子(C成分)と、アミン系シランカップリング剤(D成分)と、無機質充填剤(E成分)を配合して得られるものである。なお、本発明の液状エポキシ樹脂組成物において、液状とは25℃で流動性を示す液状のことをいう。すなわち、25℃で粘度が0.01mPa・s〜10000Pa・sの範囲のものをいう。上記粘度の測定は、例えば、EMD型回転粘度計を用いて行うことができる。
【0015】
上記液状エポキシ樹脂(A成分)としては、1分子中に2個以上のエポキシ基を含有する液状エポキシ樹脂であれば特に限定されるものではなく、例えば、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、水添ビスフェノールA型、ビスフェノールAF型、フェノールノボラック型等の各種液状エポキシ樹脂およびその誘導体、多価アルコールとエピクロルヒドリンから誘導される液状エポキシ樹脂およびその誘導体、グリシジルアミン型、ヒダントイン型、アミノフェノール型、アニリン型、トルイジン型等の各種グリシジル型液状エポキシ樹脂およびその誘導体(実用プラスチック辞典編集委員会編、「実用プラスチック辞典材料編」、初版第3刷、1996年4月20日発行、第211ページ〜第225ページにかけて記載)およびこれら上記液状エポキシ樹脂と各種グリシジル型固形エポキシ樹脂の液状混合物等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。
【0016】
上記液状フェノール樹脂(B成分)は、上記液状エポキシ樹脂(A成分)の硬化剤としての作用を奏するものであり、1分子中に水酸基を2個以上有する液状フェノールノボラックであれば特に限定するものはなく、例えば、下記の一般式(1)で表される液状フェノール樹脂が好適に用いられる。
【0017】
【化1】

【0018】
なかでも、本発明においては、25℃で液状を呈する式(1)で表されるアリルフェノール・ホルムアルデヒド樹脂とフェノール・ホルムアルデヒド樹脂との共重合低分子量化合物が好適に用いられる。そして、25℃での粘度が500dPa・s以下、特に100dPa・s以下の液状フェノール樹脂を用いることが一液無溶剤エポキシ樹脂組成物の粘度を低減できる観点から好ましく用いられる。具体的には、下記の構造式(α)および(β)で表される液状フェノール樹脂の混合物が好ましく用いられる。
【0019】
【化2】

【0020】
本発明において、液状エポキシ樹脂(A成分)と液状フェノール樹脂(B成分)との配合割合は、上記液状エポキシ樹脂(A成分)のエポキシ基1個に対して、上記液状フェノール樹脂(B成分)の活性水素の個数を0.4〜1.6個の範囲に設定することが好ましい。より好ましくは0.6〜1.4個の範囲である。すなわち、エポキシ基1個に対して活性水素の個数が0.4未満でも、また1.6を超えても液状エポキシ樹脂組成物硬化体のガラス転移温度が低下する傾向がみられ好ましくないからである。
【0021】
上記A成分およびB成分とともに用いられる固体分散型アミンアダクト系硬化促進剤粉末粒子(C成分)としては、例えば、特開平7−196776号公報等に記載された公知の方法に従って製造されるものがあげられる。そして、上記固体分散型アミンアダクト系硬化促進剤粉末粒子(C成分)は、室温においては上記液状エポキシ樹脂(A成分)に不溶性の硬化促進剤であり、加熱することにより可溶化し硬化促進剤として機能するものである。例えば、アミン化合物とエポキシ化合物の反応生成物(アミン−エポキシアダクト)や、アミン化合物とイソシアネート化合物または尿素化合物との反応生成物(尿素アダクト)等、さらにはこれらの固体分散型アミンアダクト系硬化促進剤粉末粒子の表面をイソシアネート化合物や酸性化合物を用いて処理したものがあげられる。なお、本発明において、室温とは、通常、10〜40℃程度の範囲をいう。
【0022】
上記アミン化合物とエポキシ化合物の反応生成物(アミン−エポキシアダクト)を得る際に用いられるエポキシ化合物としては、1分子中に2個以上のエポキシ基を含有する液状エポキシ樹脂であれば特に限定するものではなく、先の液状エポキシ樹脂(A成分)で述べたと同様、例えば、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、水添ビスフェノールA型、ビスフェノールAF型、フェノールノボラック型等の各種液状エポキシ樹脂およびその誘導体、多価アルコールとエピクロルヒドリンから誘導される液状エポキシ樹脂およびその誘導体、グリシジルアミン型、ヒダントイン型、アミノフェノール型、アニリン型、トルイジン型等の各種グリシジル型液状エポキシ樹脂およびその誘導体(実用プラスチック辞典編集委員会編、「実用プラスチック辞典材料編」、初版第3刷、1996年4月20日発行、第211ページ〜第225ページにかけて記載)およびこれら上記液状エポキシ樹脂と各種グリシジル型固形エポキシ樹脂の液状混合物等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。
【0023】
上記固体分散型アミンアダクト系硬化促進剤粉末粒子(C成分)の製造に用いられるアミン化合物としては、エポキシ基またはイソシアネート基と付加反応しうる活性水素を1分子中に1個以上有し、かつ、1級アミノ基、2級アミノ基、3級アミノ基のなかから選ばれた置換基を少なくとも1分子中に1個以上有するものであれば特に限定するものではない。例えば、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、n−プロピルアミン、2−ヒドロキシエチルアミノプロピルアミン、シクロヘキシルアミン、ジメチルアミノプロピルアミン、ジブチルアミノプロピルアミン、ジメチルアミノエチルアミン、ジエチルアミノエチルアミン、N−メチルアニリン、N,N−ジメチルベンジルアミン、N−メチルピペラジン等のアミン化合物、イミダゾール化合物等のような分子内に3級アミノ基を有する1級または2級アミン類、2−ジメチルアミノエタノール、2−(ジメチルアミノメチル)フェノール、2−ジメチルアミノエタンチオール、ニコチン酸、ピコリン酸、ヒドラジド類等の分子内に3級アミノ基を有するアルコール類、フェノール類、チオール類、カルボン酸類、ヒドラジド類等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。
【0024】
さらに、上記固体分散型アミンアダクト系硬化促進剤粉末粒子(C成分)の製造に用いられるイソシアネート化合物としては、例えば、n−ブチルイソシアネート、イソプロピルイソシアネート、フェニルイソシアネート、ベンジルイソシアネート等の単官能イソシアネート化合物、ヘキサメチレンジイソシアネート、トルイレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等の多官能イソシアネート化合物等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。
【0025】
そして、本発明の固体分散型アミンアダクト系硬化促進剤粉末粒子(C成分)は、例えば、上記エポキシ化合物またはイソシアネート化合物と、上記アミン化合物の各成分を混合し、室温〜200℃で反応させた後、冷却固化したものを粉砕することにより作製することができる。または、上記各成分を、メチルエチルケトン,ジオキサン、テトラヒドロフラン等の溶媒中で反応させ、溶媒除去した後、同様に固形物を粉砕することにより作製することができる。なお、粉砕後の粒子の粒径等は特に限定するものではないが、例えば、平均粒子径10〜20μmであることが好ましい。
【0026】
上記固体分散型アミンアダクト系硬化促進剤粉末粒子(C成分)の含有量は、特に限定するものではないが、液状フェノール樹脂(B成分)に対して所望の硬化速度が得られる割合となるように適宜設定することが好ましい。例えば、硬化速度の指標として、熱盤でゲル化時間を計測しながら容易に使用量を決定することができる。その一例として、液状フェノール樹脂(B成分)100重量部(以下「部」と略す)に対して10〜50部の範囲に設定することが好ましく、より好ましくは15〜30部、特に好ましくは20〜25部に設定することが、80〜100℃程度における速硬化反応性を得られる点で好適である。
【0027】
上記A〜C成分とともに用いられるアミン系シランカップリング剤(D成分)としては、1級アミノ基または2級アミノ基を有するシランカップリング剤であれば特に限定するものではなく、例えば、N−2(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−2(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(ビニルベンジル)−2−アミノエチル−3−アミノプロピルトリメトキシシランの塩酸塩、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。
【0028】
なかでも、N−2(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−2(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシランを用いることが、低ズリ速度依存性(低チクソトロピー性)の効果が大きく好ましい。
【0029】
上記アミン系シランカップリング剤(D成分)の含有量は、無機質充填剤(E成分)100部に対して、0.05〜3.0部の範囲に設定することが好ましく、より好ましくは0.1〜1.0部に設定することが、ポットライフを長く保つという点から好適である。
【0030】
上記A〜D成分とともに用いられる無機質充填剤(E成分)としては、合成シリカや溶融シリカ等のシリカ粉末、アルミナ、窒化珪素、窒化アルミニウム、窒化硼素、マグネシア、珪酸カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、酸化チタン等の各種粉末があげられる。上記無機質充填剤のなかでも、特に球状シリカ粉末を用いることが液状エポキシ樹脂組成物の粘度低減の効果が大きく好ましい。そして、上記無機質充填剤としては、最大粒子径が24μm以下のものを用いることが好ましい。さらに、上記最大粒子径とともに、平均粒子径が10μm以下のものが好ましく用いられ、特に平均粒子径が1〜5μmのものが好適に用いられる。なお、上記最大粒子径および平均粒子径は、例えば、レーザー回折散乱式粒度分布測定装置を用いて測定することができる。
【0031】
さらに、上記無機質充填剤(E成分)としては、好適には、下記の一般式(2)で表されるアミン系シランカップリング剤によって表面が被覆されたものを用いることが好ましく、より好ましくは平均粒子径10μm以下の球状シリカ粒子表面を被覆されたもの、特に好ましくは上記表面が被覆された平均粒子径1〜5μmの球状シリカ粒子があげられる。このように、上記アミン系シランカップリング剤を用いて球状シリカ粒子の表面を被覆することにより、液状エポキシ樹脂(A成分)等との濡れ性等の相互作用により分散性の向上や粘度の低減が図られる。
【0032】
【化3】

【0033】
上記一般式(2)で表されるアミン系シランカップリング剤として、具体的には、N−2(アミノエチル)−3−アミノプロピル−メチルジメトキシシラン、N−2(アミノエチル)−3−アミノプロピル−トリエトキシシラン、N−2(アミノエチル)−3−アミノプロピル−トリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。
【0034】
上記無機質充填剤(E成分)の含有量は、液状エポキシ樹脂組成物全体の10〜70重量%の範囲に設定することが好ましく、特に好ましくは30〜60重量%である。すなわち、配合量が10重量%未満では、液状エポキシ樹脂組成物硬化体の線膨張係数の低減への効果が少なく、また70重量%を超えると、液状エポキシ樹脂組成物の粘度が増加する傾向がみられ好ましくないからである。
【0035】
さらに、上記各成分以外に、粘度低下等を目的として、反応性希釈剤を適宜配合することもできるが、この反応性希釈剤は揮発性の低沸点化合物を含むことがあるので、使用に際しては、アンダーフィル樹脂である液状エポキシ樹脂組成物の所定の硬化温度で封止樹脂層にボイド発生を引き起こす揮発性の蒸発性低沸点化合物を予め除去して使用すべきである。また、反応性希釈剤自体が揮発性である場合には、アンダーフィル樹脂である液状エポキシ樹脂組成物の所定の硬化温度で封止樹脂層にボイドが発生し易いので、このような反応性希釈剤は使用が制限される。
【0036】
上記反応性希釈剤としては、例えば、n−ブチルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、スチレンオキサイド、フェニルグリシジルエーテル、クレジルグリシジルエーテル、ラウリルグリシジルエーテル、p−sec−ブチルフェニルグリシジルエーテル、ノニルフェニルグリシジルエーテル、カルビノールのグリシジルエーテル、グリシジルメタクリレート、ビニルシクロヘキセンモノエポキサイド、α−ピネンオキサイド、3級カルボン酸のグリシジルエーテル、ジグリシジルエーテル、(ポリ)エチレングリコールのグリシジルエーテル、(ポリ)プロピレングリコールのグリシジルエーテル、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物、ビスフェノールA型エポキシ樹脂と重合脂肪酸との部分付加物、重合脂肪酸のポリグリシジルエーテル、ブタンジオールのジグリシジルエーテル、ビニルシクロヘキセンジオキサイド、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、ジグリシジルアニリン、トリメチロールプロパンジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。
【0037】
そして、本発明の液状エポキシ樹脂組成物には、上記各成分以外に、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、臭素化エポキシ樹脂等の難燃剤や難燃助剤、シリコーン等の低応力化剤、着色剤等を、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で適宜配合することができる。
【0038】
本発明の液状エポキシ樹脂組成物は、例えば、つぎのようにして製造することができる。すなわち、前記液状エポキシ樹脂(A成分)、液状フェノール樹脂(B成分)、固体分散型アミンアダクト系硬化促進剤粉末粒子(C成分)、アミン系シランカップリング剤(D成分)および無機質充填剤(E成分)ならびに必要に応じて他の添加剤等の各成分を所定量配合し、これを3本ロールやホモミキサー等の高剪断力下で混合,分散し、場合により減圧下で脱泡することにより目的とする一液無溶剤の液状エポキシ樹脂組成物を製造することができる。
【0039】
このようにして得られた本発明の液状エポキシ樹脂組成物を用いた半導体装置と配線回路基板との空隙の樹脂封止は、例えば、つぎのようにして行われる。すなわち、予め接続用電極部(半田バンプ)を有する半導体装置(半導体パッケージ)と、上記半田バンプに対向する接続用電極部(半田パッド)を備えた配線回路基板を、半田金属接続する。ついで、上記半導体パッケージと配線回路基板との空隙に毛細管現象を利用して、一液無溶剤の液状エポキシ樹脂組成物を充填し熱硬化して封止樹脂層を形成することにより樹脂封止する。このようにして、図1に示すように、半導体パッケージ1に設けられた接続用電極部(半田バンプ)3と配線回路基板2に設けられた接続用電極部(半田パッド)5を対向させた状態で、配線回路基板2上に半導体パッケージ1が搭載され、かつ上記配線回路基板2と半導体パッケージ1との空隙が上記液状エポキシ樹脂組成物からなる封止樹脂層4によって樹脂封止された電子部品装置が製造される。
【0040】
上記半導体パッケージ1と配線回路基板2との空隙に液状エポキシ樹脂組成物を充填する場合には、まず、液状エポキシ樹脂組成物をシリンジにつめた後、上記半導体パッケージ1の一端にニードルから液状エポキシ樹脂組成物を押し出して塗布し、毛細管現象を利用して充填する。この毛細管現象を利用して充填する際には、40〜80℃程度に加熱した熱盤上で充填し封止すると液粘度が低下するため、一層容易に充填・封止することが可能となる。さらに、上記配線回路基板2に傾斜をつければ、より一層充填・封止が容易となる。
【0041】
このようにして得られる電子部品装置の、半導体パッケージ1と配線回路基板2との空隙間距離は、一般に、200〜300μm程度である。
【0042】
なお、上記半導体パッケージ1としては、接続用電極部(半田バンプ)3が設けられ配線回路基板2に搭載可能なものであれば特にその形状等限定するものではないが、例えば、BGA(ボール・グリッド・アレイ)やCSP(チップ・スケール・パッケージまたはチップ・サイズ・パッケージ)等が有用なものとしてあげられる。
【0043】
このようにして得られた電子部品装置の樹脂封止部分のエポキシ樹脂組成物硬化体は、硬化した後においても、特定の有機溶剤によって膨潤して接着力が低下し、電子部品装置をリペアーすることができる。
【0044】
上記特定の有機溶剤としては、ケトン系溶剤、グリコールジエーテル系溶剤、含窒素系溶剤等が好ましい。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。
【0045】
上記ケトン系溶剤としては、アセトフェノン、イソホロン、エチル−n−ブチルケトン、ジイソブチルケトン、ジエチルケトン、シクロヘキシルケトン、ジ−n−プロピルケトン、メチルオキシド、メチル−n−アミルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、メチルシクロヘキサノン、メチル−n−ヘプチルケトン、ホロン等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。
【0046】
上記グリコールジエーテル系溶剤としては、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。
【0047】
上記含窒素系溶剤としては、N,N′−ジメチルホルムアミド、N,N′−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N,N′−ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホルトリアミド等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。
【0048】
上記電子部品装置のリペアー方法としては、熱盤等を用いて例えば半導体パッケージまたは配線回路基板のリペアー該当部分を加熱して半導体パッケージを除去する。このときの加熱温度としては、本発明の液状エポキシ樹脂組成物の硬化体のガラス転移温度からさらに+約50℃以上の温度で加熱することで、かつ半田等の接合金属の溶融点以上の温度で加熱することで硬化体が凝集破壊または一方(半導体パッケージまたは配線回路基板)に接着した状態で、両者が容易に剥離できるようになる。その後、上記有機溶剤を直接塗布するかあるいは脱脂綿に上記有機溶剤をしみ込ませたものを配線回路基板の液状エポキシ樹脂組成物の硬化体の残渣部分に室温で接触、より好適にはガラス転移温度以上で接触させた後、硬化体の膨潤を確認して残渣物を除去すれば配線回路基板ならびに実装部分を再利用することができる。一方、液状エポキシ樹脂組成物の硬化体の残渣が接着した半導体パッケージは、所定の容器にとった上記有機溶剤中に室温で浸漬し硬化体を膨潤させて除去することにより半導体パッケージを再利用することができる。
【0049】
または、長時間にわたる処理を必要とするものの、上記配線回路基板のリペアー該当部分全体に、上記有機溶剤を直接塗布するかまたは脱脂綿に有機溶剤をしみ込ませたものを被覆して、半導体パッケージの端部から徐々に有機溶剤を浸透させることにより硬化体を膨潤させて硬化体の強度と接着力を低下させた後、半導体パッケージを配線回路基板から取り外すこともできる。
【0050】
つぎに、実施例について比較例と併せて説明する。
【0051】
まず、下記に示す各成分を準備した。
【0052】
〔液状エポキシ樹脂a〕
下記の構造式(a)で表されるエポキシ樹脂。
【化4】

【0053】
〔液状エポキシ樹脂b〕
下記の構造式(b)で表される脂肪族多官能エポキシ化合物。
【化5】

【0054】
〔硬化剤〕
下記の構造式(c)および構造式(d)で表される液状フェノール樹脂の混合物。
【化6】

【0055】
〔固体分散型アミンアダクト系硬化促進剤粉末粒子a〕
味の素ファインテクノ社製、アミキュアPN−40(軟化温度110℃、平均粒子径10〜12μmの淡黄色粉体)
【0056】
〔固体分散型アミンアダクト系硬化促進剤粉末粒子b〕
味の素ファインテクノ社製、アミキュアPN−23(軟化温度105℃、平均粒子径10〜12μmの淡黄色粉体)
【0057】
〔硬化促進剤〕
トリフェニルホスフィン(TPP)(融点79〜81℃、分子量262.29)
【0058】
〔アミン系シランカップリング剤a〜c〕
a:N−2(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン
b:N−2(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン
c:3−アミノプロピルトリメトキシシラン
【0059】
〔エポキシ系シランカップリング剤a,b〕
a:2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン
b:3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン
【0060】
〔メタクリロキシ系シランカップリング剤〕
3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン
【0061】
〔アクリロキシ系シランカップリング剤〕
3−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン
【0062】
〔メルカプト系シランカップリング剤〕
3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン
【0063】
〔無機質充填剤〕
球状シリカ粒子の表面を、3−アミノプロピルトリエトキシシランを用いて蒸気噴霧法により表面処理したもの(最大粒子径6μm、平均粒子径2μm、比表面積2.1m2 /g)
【実施例】
【0064】
〔実施例1〜8、比較例1〜8〕
上記準備した各成分を下記の表1〜表2に示す割合で配合し、3本ロールを用いて室温(25℃)で均質混合分散することにより一液無溶剤の液状エポキシ樹脂組成物を作製した。
【0065】
【表1】

【0066】
【表2】

【0067】
このようにして得られた実施例および比較例の液状エポキシ樹脂組成物を用い、EMD型回転粘度計を用いて25℃での粘度を測定した後、針内径0.56mmのニードルがついたポリプロピレン製シリンジに充填した。
【0068】
また、得られた実施例および比較例の液状エポキシ樹脂組成物を用い、これ(200〜500mg)を規定温度(80℃,100℃)の熱平板上に載せ、撹拌しながら熱平板上に薄く引き伸ばし、試料が熱平板上に溶融した時点から硬化するまでの時間を読み取りゲル化時間とした。
【0069】
一方、EMD型回転粘度計の回転数を0.5rpm(ズリ速度1sec-1)と1.0rpm(ズリ速度2sec-1)でそれぞれ25℃粘度を測定して、0.5rpm時の粘度と1.0rpm時の粘度の比を求め、これをチクソトロピー指数(ズリ速度依存性)〔=0.5rpm時の粘度(dPa・s)/1.0rpm時の粘度(dPa・s)〕とした。
【0070】
その後、上記シリンジ詰めの状態で25℃で放置して粘度が2倍になるまでの時間を測定してそれをポットライフ(可使時間)とした。
【0071】
一方、直径200μmのSn−3Ag−0.5Cu半田バンプ電極を64個有するCSPパッケージ(パッケージ高さ1mm、大きさ10mm×10mm)を準備し、直径が300μmの銅配線パッドが64個開口(基板側電極)した厚み1mmのFR−4ガラスエポキシ製配線回路基板のSn−3Ag−0.5Cu半田ペーストが塗布されている銅配線パッド(基板側電極)と、上記CSPパッケージの半田バンプ電極とが対向するように位置合わせして基板にCSPパッケージを搭載した後、これを260℃で5秒間の条件で加熱リフロー炉を通して半田接合した。上記CSPパッケージと回路基板の空隙(隙間)は250μmであった。
【0072】
ついで、上記液状エポキシ樹脂組成物が充填されたシリンジに空気圧力をかけて、上記CSPパッケージと回路基板の空隙の一辺にニードルから液状エポキシ樹脂組成物を吐出して塗布し、60℃ホットプレート上で毛細管現象により液状エポキシ樹脂組成物を加温充填し、充填時間を計測するとともに、充填終了後100℃で1時間硬化させて樹脂封止することにより電子部品装置を作製した。
【0073】
このようにして得られた各電子部品装置を用いて、耐落下衝撃試験、導通不良率およびリペアー性を下記に示す方法に従って測定・評価した。その結果を上記液状エポキシ樹脂組成物の特性測定とともに後記の表3〜表6に示す。
【0074】
〔耐落下衝撃試験〕
上記電子部品装置の樹脂封止後の基板両端に100g錘を取り付け、1.2mの高さから木製床に落下させ、上記電子部品装置が取り付けられた基板について導通不良が発生する回数を求めた。
【0075】
〔導通不良率〕
上記電子部品装置の樹脂封止直後の導通不良率を測定した。その後、冷熱試験装置を用いて、上記電子部品装置を−30℃/10分⇔125℃/10分の温度サイクル試験を実施し、1000サイクル後の電気的導通を調べ、上記ガラスエポキシ製配線回路基板の銅配線パッド(基板側電極)の64個全部に対する導通不良率(%)を算出した。
【0076】
〔リペアー性〕
上記導通不良率を測定した後、200℃に加熱した熱盤上にて、上記電子部品装置からCSPパッケージを剥離し、室温に戻したものの接続部に残存するエポキシ樹脂組成物の硬化体の残渣部分に、N,N′−ジメチルホルムアミドとジエチレングリコールジメチルエーテルの等量混合溶剤を含ませた脱脂綿を静置し、室温(22℃)で1時間放置した。その後、この脱脂綿を取り除きメタノールでよく拭き、エポキシ樹脂組成物硬化体の剥離を行い、剥離可能な電子部品装置は再度、配線回路基板のパッド部に半田ペーストの供給、そして、半田溶融後、上記と同様にしてCSPパッケージを配線回路基板上に搭載して電気的導通性を調べた。その後、上記と同様にして樹脂封止してリペアー(リワーク)性の評価を行った。
【0077】
そして、エポキシ樹脂組成物硬化体が完全に剥離可能で、しかも電気的接続が完全な場合を◎、硬化体がわずかに残存して剥離できるが、電気的接続が完全な場合を○、硬化体がわずかに残存して剥離できるが、電気的接続が不完全な場合を△、エポキシ樹脂組成物硬化体がほとんど剥離できず、しかも電気的接続が不完全な場合を×とした。
【0078】
【表3】

【0079】
【表4】

【0080】
【表5】

【0081】
【表6】

【0082】
上記の結果、全ての実施例の液状エポキシ樹脂組成物は、低ズリ速度依存性(低チクソトロピー性)の効果が大きく好ましいものであり、しかもポットライフが長く、低粘度と相まって一液無溶剤型の液状エポキシ樹脂組成物として優れていることがわかる。しかも、形成された封止樹脂層に導通不良も無く、リペアー性にも優れていることは明らかである。これに対して、比較例の液状エポキシ樹脂組成物は、導通不良も無く、リペアー性に関しても問題のないものであったが、比較例1〜6品の液状エポキシ樹脂組成物は、ズリ速度依存性(チクソトロピー性)が大きいため、CSPパッケージと回路基板の空隙への充填時間が非常に長く支障をきたした。また、比較例7品では、ポットライフが短過ぎるものであり、充填に支障をきたすものであった。さらに、比較例8品では、硬化促進剤を用いず、かつ無機質充填剤を含有しないため粘度が低過ぎ、しかも耐落下衝撃試験の結果が著しく悪く信頼性に乏しいものであった。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】電子部品装置の構成を模式的に示す断面図である。
【符号の説明】
【0084】
1 半導体装置(半導体パッケージ)
2 配線回路基板
3 半導体パッケージの接続用電極部(半田バンプ)
4 封止樹脂層
5 配線回路基板の接続用電極部(半田パッド)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体装置に設けられた接続用電極部と回路基板に設けられた接続用電極部を対向させた状態で上記回路基板上に半導体装置が搭載されている、電子部品装置の上記回路基板と半導体装置との空隙を樹脂封止するためのエポキシ樹脂組成物であって、下記の(A)および(B)成分とともに下記の(C)〜(E)成分を含有することを特徴とする液状エポキシ樹脂組成物。
(A)液状エポキシ樹脂。
(B)液状フェノール樹脂。
(C)固体分散型アミンアダクト系硬化促進剤粉末粒子。
(D)アミン系シランカップリング剤。
(E)無機質充填剤。
【請求項2】
上記(C)成分である固体分散型アミンアダクト系硬化促進剤粉末粒子が、アミン化合物とエポキシ化合物との反応生成物であるアミン−エポキシアダクト粉末粒子である請求項1記載の液状エポキシ樹脂組成物。
【請求項3】
上記(C)成分である固体分散型アミンアダクト系硬化促進剤粉末粒子が、アミン化合物とイソシアネート化合物との反応生成物であるアミン−イソシアネートアダクト粉末粒子である請求項1記載の液状エポキシ樹脂組成物。
【請求項4】
上記(D)成分であるアミン系シランカップリング剤が、1級アミノ基を有するものである請求項1〜3のいずれか一項記載の液状エポキシ樹脂組成物。
【請求項5】
上記(D)成分であるアミン系シランカップリング剤が、2級アミノ基を有するものである請求項1〜3のいずれか一項記載の液状エポキシ樹脂組成物。
【請求項6】
上記(E)成分である無機質充填剤が、アミン系シランカップリング剤で表面被覆されたものである請求項1〜5のいずれか一項記載の液状エポキシ樹脂組成物。
【請求項7】
上記(E)成分である無機質充填剤が、アミン系シランカップリング剤で表面被覆された平均粒子径10μm以下の球状シリカ粒子である請求項1〜6のいずれか一項記載の液状エポキシ樹脂組成物。
【請求項8】
上記(A)成分である液状エポキシ樹脂が、1分子中にエポキシ基を2個以上有する液状エポキシ樹脂である請求項1〜7のいずれか一項に記載の液状エポキシ樹脂組成物。
【請求項9】
上記(B)成分である液状フェノール樹脂が、1分子中に水酸基を2個以上有する液状フェノールノボラック樹脂である請求項1〜8のいずれか一項に記載の液状エポキシ樹脂組成物。

【図1】
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【公開番号】特開2006−57020(P2006−57020A)
【公開日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−241397(P2004−241397)
【出願日】平成16年8月20日(2004.8.20)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】