説明

添加剤及び界面活性剤−油混合物を用いた、シリコーン油を含むマイクロエマルションにおける界面活性剤の効果向上、層状メソ相の抑制、単相領域の温度安定化並びに界面張力の低下方法

本発明は、シリコーン油を含むマイクロエマルション中において、添加剤及び界面活性剤−油混合物を用いて、界面活性剤の効果を向上する方法、層状メソ相を抑制する方法、単相領域の温度安定化を図る方法、並びに界面張力を低下させる方法に関する。本発明においては、水溶性ブロックAとブロックBとを有するブロックコポリマーであって、前記のブロックBが、モノマー構成要素中に少なくとも4個の炭素原子を含むポリアルキレンオキシドであるか、あるいはポリジエンまたは部分的にもしくは完全に水素化されたポリジエンであるか、あるいはポリアルカンである前記ブロックコポリマーを添加剤としてマイクロエマルションに添加することによって上記の効果が達成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、添加剤及び界面活性剤−油混合物を用いることによる、シリコーン油を含むマイクロエマルション中での界面活性剤の効果向上、層状メソ相の抑制、単相領域の温度安定化並びに界面張力の低下方法に関する。
【0002】
以下の記載において、マイクロエマルションとは、熱力学的に安定した、水、油及び界面活性剤からなる混合物を意味する。また、油は、水と不混和性の液体を意味する。
【背景技術】
【0003】
マイクロエマルションにおいては、通常、炭化水素油が油として使用される。しかし、エステル油などの他の油を含むマイクロエマルションも知られている。シリコーン油を含むマイクロエマルションは特殊な例である。このようなマイクロエマルションは従来技術から公知である。このシリコーン油−マイクロエマルションには、疎水性成分としてケイ素含有有機基を有する界面活性剤、例えばオリゴ−ジメチルシロキサンが特に好適である。これらのマイクロエマルションは液状かまたは固体のゲルであることができる。例えば、米国特許第5,705,562号明細書、米国特許第5,707,613号明細書、欧州特許出願公開(A1)第0 789 610号明細書及び米国特許第6,616,934号明細書などを挙げることができる。
【0004】
上記のシリコーン油マイクロエマルションの欠点は、必要なシリコーン油界面活性剤が高額なことである。
【0005】
代替物として、シリコーン界面活性剤と、ケイ素不含の慣用の界面活性剤とを含む混合物を界面活性剤として使用することもできる(米国特許出願公開(A1)第 2003/0040571号明細書)。
【0006】
また、ケイ素含有界面活性剤を使用しないシリコーン油−マイクロエマルションも知られている。このためには、通常の非イオン性界面活性剤またはイオン性界面活性剤あるいはこれらの混合物が使用される(米国特許第6,013,683号明細書、米国特許第6,071,975号明細書)。これらの系の欠点は、マイクロエマルションを得るためには非常に多量の界面活性剤が必要なことである。
【0007】
油としては、例えばビニル基、Si−H、アミノ基、Si−OHを含む感応性シリコーンも使用することができる。マイクロエマルションは、反応媒体としても使用することができる(欧州特許出願公開(A)第1 221 455号明細書; 米国特許第5,518,716号明細書; 米国特許第5,661,215号明細書; 米国特許第5,684,085号明細書; 米国特許第6,207,781 B1号明細書; 米国特許第6,201,091 B1号明細書; 米国特許第5,017,297号明細書; 米国特許第5,891,954号明細書)。
【0008】
界面活性剤の効果は、所定量の油を水中にまたはこれとは逆に所定量の水を油中にマイクロエマルションの形で混合するために必要な界面活性剤の量として表される。それゆえ、効果の向上は、マイクロエマルションが安定していることができる温度域(Temperaturfenster)の拡張を意味する。
【0009】
しかし、マイクロエマルションの工業的な調合物では、望ましくない層状のメソ相がしばしば生ずる。層状のメソ相は、光学的異方性及び高められた粘度を招く。
【0010】
マイクロエマルションの工業的な調合物の更に別の問題の一つはそれの温度挙動である。特に、添加剤を加えることは、一般的に、商業的な使用に重要な単相領域を、他の温度範囲にシフトさせてしまう。この単相領域のシフトの程度は10℃以上になり得る。しかし、その結果として、例えば、処方を、個々の場合に新たに生じる単相領域の温度挙動に適合するように変えなければならない。
【0011】
更に、界面活性剤を節約しながらも、少なくとも同等に上質の調合物を得ることに対する要望がある。界面活性剤の節約は、費用面での理由の他に、生態学的な理由または健康上の理由からも有利である。シリコーン油マイクロエマルションでは、これらの要求は特に大きい。なぜならば、この際使用されるシリコーン系界面活性剤は非常に高価であるか、または慣用の界面活性剤を非常に高濃度で使用しなければならないからである。
【0012】
ドイツ特許出願第198 39 054.8-41号は、水溶性ブロックAと水不溶性ブロックBとを有するABブロックコポリマーを加えることによって、層状のメソ相を同時に抑制しながら界面活性剤の効果を高める方法、油、水及び界面活性剤の混合物の単相領域の温度位置を安定化させる方法、マイクロエマルション中の乳化された液体粒子の組織の大きさを増大させる方法、並びに油と水の混合物の界面張力を低下させる方法を開示している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
それゆえ、本発明の課題は、シリコーン油を含むマイクロエマルション中の界面活性剤の効果をも高め、かつ界面張力を低下させることである。また、シリコーン油含有マイクロエマルションを、より少ない量の界面活性剤で安定化すること、すなわち調合物中の界面活性剤を節約すること、並びに熱力学的安定性の温度域を拡張することもねらいである。更に、シリコーン油含有マイクロエマルション中での層状の相の発生を抑制すること、及び界面張力を低下させることも課題である。シリコーン油含有マイクロエマルションの温度挙動は、添加剤によって影響を受けるべきではない。すなわち、相図における単相領域の位置は、添加剤を加えることで、その温度に関して本質的な影響を受けるべきではない。
【0014】
また同様に、上記の利点を実現し、かつ処方を大きく変える必要なく、例えばマイクロエマルションに加えることができる添加剤を提供することも課題である。更に、クリーナー中に及び/またはシリコーン油含有マイクロエマルション中に使用することができ、かつ界面活性剤の有効必要量の減少を実現できる、添加剤を提供することも課題である。これには、毛髪及び身体用のケア用品及び化粧料、例えばデオドラント、スキンケア用品、サンクリーム、ローション、シャンプー、シャワージェル、浴用添加剤、潤滑剤(Schmierstoffe)、滑剤(Gleitmittel)、離型剤、植物保護剤、医薬品、繊維材料のケア用品及び助剤、皮革及び毛皮用のケア用品、乗り物用のケア用品、クリーナー並びに艶出し剤、家庭用、産業用及び工業用の製品(Einsatzstoffe)などが挙げられる。本発明の添加剤を用いることにより、乳化された液体粒子の大きさがエマルションのそれと同じであるマイクロエマルションの製を可能にすることもねらいである。シリコーン油が加えられたマイクロエマルションの安定性の温度域は、同量の界面活性剤において拡張されるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
驚くべきことに、請求項1に記載の前提部の記載から出発して、上記の全ての課題が、水溶性ブロックAと、ブロックBとを有するブロックコポリマーであって、前記ブロックBが、モノマー構成要素中に少なくとも4個の炭素原子を有するポリアルキレンオキシドであるか、あるいはできるだけ少ない量で1,4−ミクロ構造含むかまたは短鎖分岐を多量に含むポリジエンまたは部分的にもしくは完全に水素化されたポリジエンのいずれかである、前記ブロックコポリマーを添加剤として使用することによって本発明により解決される。
【0016】
この際、ブロックAは、好ましくはシリコーン油中に不溶性であり、そしてブロックBは、好ましくは水中に不溶性である。
【0017】
ブロックAは、好ましくは、PEOからなるが、ブロックAがそれの水溶性を失うことなく、エチレンオキシドと、より高級のアルキレンオキシド(例えばプロピレンオキシド及び/またはブチレンオキシド)とのコポリマーも可能である。
【0018】
しかし、水溶性であり、それによってブロックBとの組み合わせで両親媒性物質を形成するものであれば、任意のブロックAを使用することができる。更に、ブロックAとしては、例えば、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリスチレンスルホン酸、並びにこれらのアルカリ金属塩(この場合は、アルカリ金属カチオンによる酸官能基の少なくとも部分的な置換が行われる)、ポリビニルピリジン及びポリビニルアルコール、ポリメチルビニルエーテル、ポリビニルピロリジン、ポリサッカライド、及びこれらの混合物を挙げることができる。
【0019】
ブロックA内では、それのモノマー成分は、任意の配列で存在することができる。好ましくは、各成分は、少なくとも部分的には、交互に配列されている。更に別の好ましい態様の一つでは、ブロックAのモノマー構成要素はランダムな配列を有する。
【0020】
更に、ブロックAは、好ましくは、シリコーン油中に不溶性であるのがよい。
【0021】
これに対して、ブロックBは、好ましくは、モノマー構成要素中に少なくとも4個の炭素原子を有するポリアルキレンオキシド、好ましくはポリブチレンオキシド、ポリペンチレンオキシド及びポリヘキシレンオキシド、並びにモノマー構成要素中に少なくとも4個の炭素原子を有する他のポリアルキレンオキシドである。モノマー構成要素として特に好ましいものは、1,2ブチレンオキシドである。
【0022】
ブロックBは、ポリブチレンオキシド、ポリペンチレンオキシド及びポリヘキシレンオキシド、並びにモノマー構成要素中に少なくとも4個の炭素原子を有する他のポリアルキレンオキシドの群から選択される少なくとも二種の成分からなることができる。
【0023】
ブロックBは、シリコーン油への可溶性が得られる限り、エチレンオキシド及びプロピレンオキシドも含むことができる。
【0024】
更に、ブロックBは、好ましくは、水中に不溶性であるのがよい。
【0025】
更に、構造式ABAまたはBABの三元ブロック、並びに構造式(AB)nまたは(BA)n[式中、nは星状ポリマー中の腕の数を表す]の星状ポリマーを使用することができる。ポリアルキレンオキシドブロックコポリマーの場合は、星状構造の中心は、例えばn−価のアルコール(nはOH基の数)またはm−価のアミン(mはアミノ基の数、nは窒素原子に結合したH原子の数)であることができる。(AB)nの場合は、成分Aが星の中心と結合し、(BA)nの場合は、成分Bが星の中心と結合する。
【0026】
ブロックBの更に別の態様の一つは、できるだけ少ない割合で1,4ミクロ構造を有するポリジエン、及び/またはそれの部分に水素化されているかもしくは完全に水素化されているポリアルカン変体である。ブロックBに可能なモノマーは、1,3ブタジエン、イソプレン、1,3ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ヘキサジエン、ミルセン(Myrcen)である。ブロックBでは、対応するジエンモノマーからなる混合物も可能である。1,3ジエンモノマー中の炭素原子数は4〜20、好ましくは4〜10、特に好ましくは4または5である。特に好ましいものはブタジエン及びイソプレンである。好ましくは、ジエンはアニオン重合可能なものである。ポリアルカン中の分岐は、ポリジエン中の分岐に由来する。しかし、短鎖分枝ポリアルカンブロックは、ジエンとしての他のモノマーから製造したポリジエンを水素化しなくとも、例えば1−ブテンからポリ(1,2ブテン)のように、直接製造することもできる。
【0027】
【化1】

ポリマーブロックBのミクロ構造は、1,4−構造の割合が出来る限り少ないものがよい。理想的には、これは10%を超えないのがよい。しかし、それ以外で、良好な結果を与える好ましい範囲は、1,4−構造の割合が25%まで、またはそれほど好ましくないが50%までの範囲である。ブロックBは、部分的にまたは完全に水素化することができる。
【0028】
こうして得られるポリマーは、中でも、ポリ(1−ブテン)(1,2ポリブタジエンから)、またはポリ(1−ヘキセン)(1,2ポリ(1,3−ヘキサジエン)から)である。
【0029】
上記の水素化変体の立体構造は出来る限りアタクチックであるのがよい。
【0030】
この際、ポリアルキレンオキシドブロックコポリマーの場合と同じ構造も可能である。
【0031】
驚くべきことに、本発明によるABブロックコポリマーは、それのブロックBがシリコーン油中に可溶性であるように得られることが判明した。
【0032】
本発明の有利な改良は、下位の請求項に記載したものである。
【0033】
この際、ブロックA及びBは、500〜100000g/モル、好ましくは1000g/モル〜50000g/モル、特に好ましくは3000g/モル〜20000g/モルの分子量を有することができる。
【0034】
ブロックAとしては、好ましくは、ポリエチレンオキシドブロックが使用される。更に、ブロックAとして、水中に可溶性である、エチレンオキシド及びプロピレンオキシドからなるコポリマーも使用される。
【0035】
ブロックBとしては、好ましくは、モノマー構成要素中に少なくとも4個の炭素原子を有するポリアルキレンオキシドブロックが使用される。これらのブロックBは、ブロックBとしてポリジエンまたは部分的に乃至完全に水素化されたポリジエンよりも、製造のし易さ及び界面活性剤との混和性がより良好であるという利点がある。
【0036】
本発明に従い使用されるブロックBとしてポリアルキレンオキシドを有するABブロックコポリマーは、好ましくは、各ブロックを順に重合させてアルコキシル化することによって得ることができる。
【0037】
有利には、ブロックBは、鉱油またはシリコーン油に可溶性である。
【0038】
本発明に従い使用されるABブロックコポリマーの用途品における特に有利な性質は、ブロックA及びBの分子量が各ブロックA及びBについておおよそ3000〜20000g/モルの場合に観察される。例えば、このような比較的小さい分子量を有するポリマーは、迅速にかつ良好に溶解する。すなわち、これらのポリマーは、界面活性剤中に簡単に配合することができる。
【0039】
好ましい態様の一つでは、ブロックAは、ブロックBの1/2〜2倍の分子量を有する。
【0040】
本発明に従い使用されるABブロックコポリマーでは、両ブロックA及びBは、できるだけ大きく異なる極性を有するのがよい。この際、ブロックAができるだけ極性が高いもの、ブロックBができるだけ非極性のものとされる。これよって、両親媒性の挙動が高められる。
【0041】
ブロックAは水溶性であり、そしてブロックBは好ましくは非極性の媒体中に可溶性である。
【0042】
有利には、ブロックBは、鉱油、高沸点エステルもしくは脂肪族炭化水素またはシリコーン油中に可溶性である。室温においてもこのような可溶性を持つものが好ましい。
【0043】
更に、ABA及びBABの形を有するAB三元ブロックコポリマー並びにこのモノマー順列の星状ポリマーも同じ本発明による作用を有するので、これらのポリマーもまた本発明に包含される。
【0044】
更に、(AB)nまたは(BA)n(nは星状ポリマー中の腕の数を表す)の構造を有する星状ポリマーも本発明によって包含される。ポリアルキレンオキシド−ブロックコポリマーの場合には、星状構造の中心は、例えば、n−価のアルコール(n=OH基の数)またはm−価のアミン(m=窒素原子に結合したH原子の数)であることができる。これらの星状ポリマーもまた同様に本発明による作用を有するものである。
【0045】
限定はされないが、例えば、以下に挙げる界面活性剤(C)及びこれらの混合物を本発明の添加剤と共に使用することができる。
・アルキルアルコキシレートの部類の非イオン性界面活性剤、特に分子量分布が狭いか及び/または残留アルコール含有量が少ないアルキルアルコキシレート;
・共界面活性剤(Cx−OH,x≧6)と組み合わせたアルキルポリグルコシド(APG,“糖界面活性剤”,Cij,i≧8)の部類の非イオン性界面活性剤;
・シリコーンポリエーテル界面活性剤、
・陰イオン性界面活性剤、例えば脂肪アルコールスルフェート、アルキルベンゼンスルホネート、アルキルエーテルスルフェート、AOT(ビス(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸ナトリウム);
・陽イオン性界面活性剤;
・界面活性剤の混合物、特に非イオン性/陰イオン性界面活性剤混合物、または非イオン性/陽イオン性界面活性剤混合物、またはシリコーン系界面活性剤とケイ素不含の界面活性剤との混合物。
【0046】
本発明に従い、シリコーン油を含むマイクロエマルション中において界面活性剤の効果を高めることができる。限定はされないが、本発明は、例えば、以下に挙げる線状、環状または分枝状シロキサン型の構造のシリコーン油を含むマイクロエマルションに使用することができる。
【0047】
【化2】

この際、Rは、有機残基、好ましくは脂肪族または芳香族炭化水素残基、特に好ましくはCH3である。Rとしては、他の有機残基、例えば官能性基、例えばOH基、アミノ基、エポキシ基などを有する他の有機残基も可能である。それぞれ異なる複数種のR残基が存在することもできる。R残基の一部は−Hまたは−OHであることもできる。
【0048】
aは、好ましくは0〜1000であることができる。
【0049】
bは、特に好ましくは3〜10の値であることができる。但しこの際、a及びbは、分布に基づく平均値である。特に好ましくは、aは0〜10であり、そしてbは3〜6である。
【0050】
シリコーン油の例としては、以下の化合物を挙げることができる。
R=CH3、a=0,ヘキサメチルジシロキサン(M2);
R=CH3、a=1,オクタメチルトリシロキサン(MDM);
R=CH3、a=2,デカメチルテトラシロキサン(MD2M);
R=CH3、b=3,ヘキシルメチルシクロトリシロキサン(D3);
R=CH3、b=4,オクタメチルシクロテトラシロキサン(D4);
R=CH3,b=5,デカメチルシクロペンタシロキサン(D5)。
【0051】
これらのシリコーン油は、通常は、組成が単分散ではない工業的な製品である。
【0052】
また、aとbに関して異なる値を有する混合物や、線状及び/または環状及び/または分枝状シリコーン油の混合物も可能である。
【0053】
マイクロエマルションの水性相は、塩などの添加物や、グリコールなどの水溶性有機化合物を含むことができる。
【0054】
油相も助剤を含むことができる。しかし、添加剤及び助剤は、マイクロエマルションを破壊しないことが求められる。
【0055】
例えば、水性成分の屈折率を油成分に合わせるために、グリセリンを水に加えることができる。それによって、効果が向上されたマイクロエマルションは、濁って見えるものでも、再び透明になる。この方法は、化粧料、毛髪及び身体用のケア用品の分野に使用されるマイクロエマルションに特に重要である。
【0056】
本発明によるマイクロエマルションは、原則的には液状である必要はない。熱力学的な意味でマイクロエマルションであれば、ゲル様の固形の混合物でもよい。それゆえ、個体の形は、例えば水性及び/または油様の成分に添加剤を加えるか、またはマイクロエマルション中に存在するメソ層によって得ることができる。
【0057】
油相に対する水性相の質量比は、例えば0.01〜100、好ましくは0.1〜10、特に好ましくは0.3〜3である。
【0058】
界面活性剤―ブロックコポリマー混合物中でのブロックコポリマーの質量割合は例えば、好ましくは0.01〜0.25、特に好ましくは0.05〜0.15である。
【0059】
該マイクロエマルション中の界面活性剤/ブロックコポリマー混合物の質量割合は、温度域に依存するが、好ましくは0.03〜0.3、好ましくは0.05〜0.2である。
【0060】
本発明においては、本発明によるABブロックコポリマーを水―油―界面活性剤−混合物に加えることによって、相図における単相領域の位置が同じ温度領域に留まり、界面活性剤混合物の効果が明らかに向上され、層状メソ層がマイクロエマルション中で制御され、そして界面張力が減少される。更に、マイクロエマルションは、その構造を大きくしながら、それの特性を維持する。例えば、乳化された構造は、約2000オングストロームまでの大きさとなる。乳化された液体粒子の大きさは、本質的に界面活性剤濃度に依存する。
【0061】
以下に幾つかの用語を定義する。
C=任意の界面活性剤または乳化剤、例えば陰イオン性、陽イオン性、非イオン性または糖界面活性剤、並びに少なくとも二種の界面活性剤を含むこれらの混合物。
D=本発明に従い界面活性剤Cに加えられる添加剤。
γ=C及びDからなる総界面活性剤濃度(質量分率)。
【0062】
【数1】

mは、質量(g)であり、
γは、無次元の質量分率であり、
gesは、mwater+moil+m(C)+m(D)からなる総質量であり、
【0063】
【数2】

δは、界面活性剤Cと添加剤Dとの混合物中における添加剤Dの質量分率であり、以下の式に相当する。
【0064】
【数3】

mは、質量(g)であり、そして
δは質量分率(無次元)である。
1,2PB6は、ポリブタジエンであり、
PIH13は、水素化したポリイソプレンであり、
PEP5は、水素化したポリイソプレンであり、
PB05及びPB010は、ポリ(1,2−ブチレンオキシド)であり、
PEOは、ポリエチレンオキシドである。
【0065】
非極性ブロックである1,2PB6、PIH13、PEP5に付随するミクロ構造を表1に示す。この際、水素化変体であるPIH13及びPEP5についての値は、非水素化ポリエン変体の値を表している。
【0066】
界面活性剤の効果は、所定の割合の油を水中に可溶化するかまたは逆に所定の割合の水を油中に可溶化するために必要な界面活性剤の量で表わされる。同じ効果を達成するための界面活性剤の必要量が少ないほどに、効果が高い。マイクロエマルションが、同じ界面活性剤の濃度においてより広い温度領域で安定している時にも効果の向上が確認される。
【0067】
該マイクロエマルションの製造は、大きなエネルギーを導入せずに行われる。各成分は、原則的に、それぞれ任意の順番で互いに混合することができる。ブロックコポリマーと界面活性剤は、一つの導入単位として考える必要はないが、これらを一緒に調合物に導入することは有意義であり得る。
【実施例】
【0068】
以下の実施例では、次の界面活性剤を使用した。
ペンタエチレングリコールモノドデシルエーテル (C12E5)、
トリエチレングリコールモノドデシルエーテル(C12E3)、
ジドデシルアンモニウムブロマイド (DDAB)、
ヒドロキシ(ポリエチレンオキシ)プロピルで停止されたポリジメチルシロキサン(分子量550〜650g/モル):50%(CH2-CH2-O)(Gelest Inc. Morrisville, PA, USA)(C4D3E8)。
疎水性単位としてヘプタメチルトリシロキサン基を含むシリコーン―ポリエーテル界面活性剤(中央のケイ素原子にヒドロキシ(ポリエチレンオキシ)プロピル基が結合したもの)。M(DE10.3)Mについては、NMR分光分析によって、10.3の平均エトキシル化度、M(DE9.7)Mについては9.7の平均エトキシル化度が確認された。
【0069】
本発明のマイクロエマルションの挙動を図1〜9に示す。
【0070】
これらの図では、各々のδ値に特有の単相領域の境界の特徴を示す曲線を各々のδ値について記す。各々の曲線の先端は、異なる多相領域が接する点である。この点は、フィッシュテールポイントとも呼ばれる。曲線の先端が低界面活性剤濃度、すなわち低γ値側にあるほど、ブロックコポリマーDの添加による界面活性剤Cの効果がより大きい。
【0071】
この際、参照番号1は、単相のマイクロエマルションの領域を示し、番号2(下線)は、油相と共存する水中油型マイクロエマルションを示し、そして番号2(上線)は、水相と共存する油中水型のマイクロエマルションに相当する。層状相は、図ではLαで示される。これが無い場合は、検査した範囲では層状相が生じなかったことを意味する。
図1: φ=0.5の一定の水/油比率において、1,2-PB6-PEO6の添加(δ)を関数とした、水−M2−C125−1,2-PB6-PEO6の混合物の温度/界面活性剤濃度図である。
図2: φ=0.5の一定の水/油比において、1,2-PB6-PEO6 δ22=m(PB05-PEO5)/(m(C12E3)+m(DDAB)+m(PBO5-PEO5))]の添加を関数とした、水−D4−DDAB−C123―1,2-PB6-PEO6の混合物の温度/界面活性剤濃度図である。この際、イオン性界面活性剤と非イオン性界面活性剤との間の比率であるδ11=m(DDAB)/((m(C12E3)+m(DDAB)+m(PBO5-PEO5))]は一定に維持した。
図3: 0.05のδ、及びφ=0.5の一定した水/油比における、次の各種ポリマー、すなわちPEP5-PEO5、1,2-PB6-PEO6、PIH13-PEO17についての水−M2−M(DE10.3)M−両親媒性ポリマーの混合物の温度/界面活性剤濃度図。比較として、上の図は、添加剤なしの系(δ=0)の相図を示す。
図4: 0.05のδ、及びφ=0.5の一定の水/油比における、各種ポリマー、すなわちPEP5-PEO5、1,2-PB6-PEO6についての水−MDM−C438−両親媒性ポリマーの混合物の温度/界面活性剤濃度図。
図5: φ=0.5の一定の水/油比における、1,2-PB6-PEO6(δ)の添加を関数とした、水−環状シリコーン油−M(DE9.7)M−1,2-PB6-PEO6の混合物の温度/界面活性剤濃度図。
図6: 0.05のδ、及びφ=0.5の一定の水/油比において、各種ポリマー、すなわち1,2−PB6−PEO6及びPBO10−PEO10について水−M2−C125−両親媒性ポリマーの混合物の温度/界面活性剤濃度図。比較として、添加剤なし(δ=0)の相図も示す。
図7: 0.05のδ、及びφ=0.5の一定の水/油比において、水−M2−M(DE10.3)M−PBO5-PEO5の混合物の温度/界面活性剤濃度図。この図には、比較として、添加剤なしでδ=0の系の相図も示す。
図8: φ=0.5の一定の水/油比において、両親媒性ブロックコポリマー(δ)の添加を関数とした、水−D4−M(DE9.7)M−PIH13-PEO17の混合物の温度/界面活性剤濃度図。
図9: δ=0及びδ=0.05での、単相領域内での
【0072】
【数4】

付近における各種ポリマー、すなわちPEO5、1,2−PB6−PEO6についての水−MDM−C438−両親媒性ポリマーの混合物の小角中性子スペクトル。
【0073】
表1は、これらの例のブロックコポリマーの特徴を示す。
【0074】
表2は、小角中性子散乱を用いたマイクロエマルションの特性決定からの測定値を示す。表2は、フィッシャーテールポイント付近でのポリマー含有率δ及び界面活性剤含有率γの計った量を示す。最大散乱強度qmaxの位置は、本質的にドメインサイズdTS〜2π/qmaxの特徴を示すが、散乱強度の改良された評価は、トイプナー−シュトレイ式に基づき、そしてより正確な値が、dTSについて及び、追加的に、dTSの約半分の値である相関長ξについて得られる。
【0075】
図1〜8に示したT/γ図は、1:1の一定の水/油体積比を有する系を示すものである。これらについて以下に説明する。
【0076】
図1は、界面活性剤全体の効果が、ブロックコポリマーとしての1,2−PB6−PEO6を加えることによりどのように向上されるかを示す。それぞれ同じ量の水及びM2(ヘキサメチルジシロキサン)及びC125からマイクロエマルションを調合すると、23%の界面活性剤濃度(γ=0.23)では、0℃〜100℃の温度では、二相領域及び三相領域しか存在しない。同じ混合物において、界面活性剤としてのC125の5%を両親媒性ブロックポリマーの1,2−PB6−PEO6に置き換えると(δ=0.05)、45℃〜62℃の温度において単相領域が得られる。更に、フィッシュテールポイントにおいて、相境界は温度軸上で非常に僅かにしかシフトしない。このことは、ブロックコポリマーDが、界面活性剤Cの使用温度に関してそれの有効位置を本質的に変化させないということと同義である。図に示した両方の系は層状相を含み、両親媒性ブロックコポリマーを使用すると、フィッシュテールポイントに対するそれの広がりは更に後退する。
【0077】
陽イオン性界面活性剤であるDDAB及び非イオン性界面活性剤であるC123を含む系について図2に示した例においても、界面活性剤全体の効果は向上されている。この場合、ブロックコポリマーは、界面活性剤混合物の相乗効果を更に高めることができる。加えて、この系では、メソ相が生じない。
【0078】
図3は、水−M2−M(DE10.3)M−両親媒性ポリマーからなる様々な系の効果及び温度位置についての概要を示す。この際、ポリマーとしてのPEP5−PEO5、1,2−PB6−PEO6、及びPIH13−PEO17は、δ=0.05及び一定の水/油比φ=0.5で使用した。使用した全てのポリマーにおいて、δ=0の初期系と比較して、効果の向上及びほぼ変わらない温度位置が観察される。PEP5−PEO5及び1,2PB6−PEO6のポリマーについては、より高い効果の故に、層状相がフィッシュテールポイントのより近くにずれることが予期されるにも拘わらず、層状相がフィッシュテールポイントに対して幾らか後退する。PIH13−PEO17の場合は、測定範囲においては層状相は観察されない。
【0079】
図4は、水−MDM−C438−両親媒性ポリマーからなる混合物中にブロックコポリマーとしてのPEP5−PEO5及び1,2−PB6−PEO6をδ=0.05で加えた際に、界面活性剤全体の効果がどのように増強されるかを示す。この例においても、φ=0.5の一定の水/油比を使用した。δ=0のポリマー不含系と比較して、両方のポリマーが顕著な効果向上を示す。しかし、全体としては、シリコーン油に対する溶解性がより高いポリマーである1,2−PB6−PEO6の場合に、効果がより大きく向上する。温度挙動に関しては、同じ特性が得られる。
【0080】
ブロックコポリマーPEP5−PEO5中の水不溶性ブロックは、僅かな短鎖分岐を有し、それの基礎となるポリジエン中の1,4ミクロ構造を多く有する。PEP5−PEO5は、確かに、最も小さいジメチルシロキサンM2における効果の向上に適しているが、次に大きいジメチルシロキサンMDMにおけるPEP5−PEO5による効果向上は、疎水性ブロック中に9%の1,4ミクロ構造しか含まない1,2PB6−PEO6のそれよりは明らかに小さい。より分子量の大きいシロキサンにおいては、PEP5−PEO5ではもはや効果向上を達成できない。
【0081】
図5は、水−環状シリコーン油−M(DE9.7)M−1,2-PB6-PEO6からなる様々な系の効果及び温度位置についての概要を示す。この際、シリコーン油D4及びD5は、φ=0.5の一定の水/油比で存在する。この界面活性剤混合物において、ポリマー不含系(δ=0)及び5%のポリマーを含む系をそれぞれ試験した。両方の場合において、ポリマーとしての1,2−PB6−PEO6によって効果が顕著に向上されるが、全体としては、効果が比較的小さいD5含有系においてより強く効果が向上される。
【0082】
図6は、水−M2−C125−両親媒性ポリマーからなる混合物において、ブロックコポリマーとして1,2−PB6−PEO6及びPBO10−PEO10をδ=0.05で加えた際に、界面活性剤全体の効果がどのように増強されるかを示す。この例においても、φ=0.5の一定の水/油比を使用した。δ=0のポリマー不含系と比較して、両方のポリマーが顕著な効果の向上を示す。
【0083】
ポリマーを含むマイクロエマルション及びポリマー不含のマイクロエマルションの双方において層状相が確認される。この場合も、効果の高い系においては、実測値よりも、層状相がフィッシュテールポイントにより接近することが予期された。
【0084】
図7は、水−M2−M(DE10.3)Mからなる混合物においてブロックコポリマーとしてPBO5−PEO5をδ=0.05で加えた際に、界面活性剤全体の効果がどのように向上されるかを示す。この例においても、φ=0.5の一定の水/油比を使用した。この場合、転相温度の位置は、ごく僅かにより高温度側にシフトする。ポリマーを含むマイクロエマルション及びポリマー不含のマイクロエマルションの双方において層状相が確認される。この場合も、効果の高い系においては、実測値よりも、層状相がフィッシュテールポイントにより接近することが予期された。
【0085】
図8は、水−D4−M(DE9.7)Mからなる混合物中にブロックコポリマーとしてのPIH13−PEO17をδ=0.05で加えた際に、マイクロエマルションの形成に必要な界面活性剤の総量がいかほど顕著に減少されるかを示す。この例では、転相温度は、φ=0.5の一定の水/油比においてほとんど変化しない。
【0086】
図9は、ポリマー不含マイクロエマルション及びポリマー含有マイクロエマルションについて、散乱ベクトルQを関数とした巨視的散乱横断面積I(散乱強度に比例)を示す。各々の場合において、フィッシュテールポイントにおいて可能な限り最低の界面活性剤濃度を選択した。実線は、トイプナー−シュトレイ式に従う適応曲線であり、これは、強度の最大値を明確に表すことができる。最大値の位置は、ドメインサイズdTSに対して反比例し、それゆえ、ポリマーの影響下でのドメインの増大が直接確認される。散乱強度の最大は、しばしばトイプナー−シュトレイ式によって記載される(M. Teubner, R. Strey, J. Chem. Phys. 87 (1987) 3195)。この記載から、ドメインサイズdTSについての正確な値、及びdTSのおおよそ半分の値である相関長ξについての正確な値が得られる。
【0087】
表2及び図9は、ブロックコポリマーを含む系において、ドメインの大きさが顕著に増大されることを示す。これは、ポリマーを含む系ではより少ない量の界面活性剤を用いて、より多量の水及び油を混合し得ることを意味する。更に、その散乱曲線は、ポリマー含有の系及びポリマー不含の系の両方において熱力学的に安定したミクロ構造を証明している。
【0088】
本発明による界面張力の低下を、水−M2−C125からなる系中でのポリマーPBO10−PEO10の例によって示す。ポリマー不含の系において、スピニング−ドロップ−張力計を用いて56℃の温度において、水とシリコーン油との間に3.58×10-2mNmの界面張力σabが得られる。ここで、界面活性剤の5%を、PBO10−PEO10で置き換えると、界面張力が2.2×10-2mNmに低下する。この界面張力の低下は、記載した全ての例において当てはまる。
【0089】
これらの例では、δ=0.05に相当する、界面活性剤中5%の割合のポリマーを使用したが、他のポリマー含有率を使用することもできる。高いポリマー含有率においては特に、効果の向上は、より強くはっきりと現れる。δは好ましくは0.01〜0.25である。
【0090】
本発明に従い使用されるABブロックコポリマーを用いることによって、界面活性剤、例えば陰イオン性、陽イオン性及び非イオン性界面活性剤、糖界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、特に工業的な界面活性剤混合物の界面張力が低下する。層状メソ相の発生は抑制される。マイクロエマルションの温度挙動は変化しない。すなわち、相図における温度に関しての単相領域の位置は、本発明により使用される添加剤の添加によっては影響を受けない。そのため、単相図での温度に関して変化せずに同じままの単相領域の位置を達成するために、処方を変える必要はない。
【0091】
本発明によるABブロックコポリマー、並びにABA及びBAB、並びに星状コブロックポリマーは、好ましくは、マイクロエマルションを含む化粧料の安定化に使用することができる。更に、これらは、潤滑剤として、好ましくは繊維材料の分野における潤滑剤としてや、医薬品にまたは離型剤に使用することができる。
【0092】
可能な用途には、毛髪及び身体ケア用の製品、及び化粧料、例えばデオドラント、スキンケア用品、サンクリーム、ローション、シャンプー、シャワージェル、浴用添加剤、潤滑剤(Schmiermittel)、滑剤(Gleitmittel)、離型剤、植物保護剤、医薬品、繊維材料のケア用品及び助剤、皮革及び毛皮のケア用品、乗り物のケア用品、クリーナー及び艶出し剤、家庭用、産業用及び工業用の製品などが挙げられる。これらを用いて、乳化された液体粒子の大きさがエマルションのそれに相当するマイクロエマルションを製造することができる。マイクロエマルションの安定性の温度域は、シリコーン油を添加した場合に、同じ界面活性剤含有率において拡張される。
【0093】
マイクロエマルションは、反応媒体としても使用することができ、これらは、例えば洗剤または洗浄剤として使用した際に、疎水性の汚れを吸収することができるか、または疎水性の汚れを吸収することによって生じ得る。本発明によるマイクロエマルションは、疎水性の構成分を放出することができるか及び/または固体もしくは液体表面を濡らすことができる。この目的のためには、シリコーン油が、それの拡がり作用(Spreit-Wirkung)の故に特に好適である。
【0094】
本発明に従いABブロックコポリマーを添加することによって製造されたシリコーン油含有マイクロエマルションでは、乳化された液体の体積が、エマルションのそれに相当する。
【0095】
効果の向上には、同時に、マイクロエマルションが熱力学的に安定している温度間隔の拡張が伴う。これは、広い温度範囲にわたり安定性が保証されなれけばならないような産業的な用途に特に有利である。
【0096】
【表1】

【0097】
【表2】

【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】図1は、界面活性剤全体の効果が、ブロックコポリマーとしての1,2−PB6−PEO6を加えることによりどのように向上されるかを示す。
【図2】図2は、陽イオン性界面活性剤であるDDAB及び非イオン性界面活性剤であるC123を含む系についての例である。
【図3】図3は、水−M2−M(DE10.3)M−両親媒性ポリマーからなる様々な系の効果及び温度位置についての概要を示す。
【図4】図4は、水−MDM−C438−両親媒性ポリマーからなる混合物中にブロックコポリマーとしてのPEP5−PEO5及び1,2−PB6−PEO6をδ=0.05で加えた際に、界面活性剤全体の効果がどのように増強されるかを示す。
【図5】図5は、水−環状シリコーン油−M(DE9.7)M−1,2-PB6-PEO6からなる様々な系の効果及び温度位置についての概要を示す。
【図6】図6は、水−M2−C125−両親媒性ポリマーからなる混合物において、ブロックコポリマーとして1,2−PB6−PEO6及びPBO10−PEO10をδ=0.05で加えた際に、界面活性剤全体の効果がどのように増強されるかを示す。
【図7】図7は、水−M2−M(DE10.3)Mからなる混合物においてブロックコポリマーとしてPBO5−PEO5をδ=0.05で加えた際に、界面活性剤全体の効果がどのように向上されるかを示す。
【図8】図8は、水−D4−M(DE9.7)Mからなる混合物中にブロックコポリマーとしてのPIH13−PEO17をδ=0.05で加えた際に、マイクロエマルションの形成に必要な界面活性剤の総量がいかほど顕著に減少されるかを示す。
【図9】図9は、ポリマー不含マイクロエマルション及びポリマー含有マイクロエマルションについて、散乱ベクトルQを関数とした巨視的散乱横断面積I(散乱強度に比例)を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一種のシリコーン油を含むマイクロエマルション中において界面活性剤の効果を向上する方法であって、
水溶性ブロックAと、ブロックBとを含むブロックコポリマーであって、前記ブロックBが、モノマー構成要素中に少なくとも4個の炭素原子を含むポリアルキレンオキシドであるか、あるいはポリジエンまたは部分的にもしくは完全に水素化されたポリジエンであるか、あるいはポリアルカンである前記ブロックコポリマーを、前記マイクロエマルションに添加剤として加えることを特徴とする、前記方法。
【請求項2】
少なくとも一種のシリコーン油を含む、水、油及び界面活性剤の混合物中において層状相を抑制する方法であって、
水溶性ブロックAと、ブロックBとを含むブロックコポリマーであって、前記ブロックBが、モノマー構成要素中に少なくとも4個の炭素原子を有するポリアルキレンオキシドであるか、あるいはポリジエンまたは部分的にもしくは完全に水素化されたポリジエンであるか、あるいはポリアルカンである前記ブロックコポリマーを、前記混合物に添加剤として加えることを特徴とする、前記方法。
【請求項3】
少なくとも一種のシリコーン油を含む、油、水及び界面活性剤の混合物について単相領域の温度位置を安定化する方法であって、
水溶性ブロックAと、ブロックBとを含むブロックコポリマーであって、前記ブロックBが、モノマー構成要素中に少なくとも4個の炭素原子を有するポリアルキレンオキシドであるか、あるいはポリジエンまたは部分的にもしくは完全に水素化されたポリジエンであるか、あるいはポリアルカンである前記ブロックコポリマーを、前記の油、水及び界面活性剤の混合物に添加剤として加えることを特徴とする、前記方法。
【請求項4】
界面活性剤及び少なくとも一種のシリコーン油を含む、油及び水の混合物の界面張力を低下させる方法であって、
水溶性ブロックAと、ブロックBとを含むブロックコポリマーであって、前記ブロックBが、モノマー構成要素中に少なくとも4個の炭素原子を有するポリアルキレンオキシドであるか、あるいはポリジエンまたは部分的にもしくは完全に水素化されたポリジエンであるか、あるいはポリアルカンである前記ブロックコポリマーを添加剤として加えることを特徴とする、前記方法。
【請求項5】
ブロックAが、少なくとも一種の成分としてシリコーン油を含む油中に不溶性であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一つの方法。
【請求項6】
ブロックAが、モノマーとしてのエチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、より高級のアルキレンオキシド、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリスチレンスルホン酸並びにそれのアルカリ金属塩(この際、アルカリ金属カチオンによる酸官能基の置換が少なくとも部分的に行われる)、ポリビニルピリジン及びポリビニルアルコール、ポリメチルビニルエーテル、ポリビニルピロリジン、ポリサッカライドの群からの少なくとも一種の成分からなることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一つの方法。
【請求項7】
ブロックAとしてポリエチレンオキシド(PEO)が使用されることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一つの方法。
【請求項8】
各モノマー単位が任意の配列で存在するブロックAを使用することを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一つの方法。
【請求項9】
各モノマー単位がランダムな配列を有するブロックAを使用することを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一つの方法。
【請求項10】
ブロックBが油中に可溶性であり、この際、油が少なくとも一種の成分としてシリコーン油を含むことを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一つの方法。
【請求項11】
ブロックBのモノマー構成要素が少なくとも四つの炭素原子を含むことを特徴とする、請求項1〜10のいずれか一つの方法。
【請求項12】
ブロックBのモノマー単位が、ブチレンオキシド、ペンチレンオキシド及びヘキシレンオキシド、並びに少なくとも4個の炭素原子を有する更に別のアルキレンオキシドからなる群から選択される少なくとも一種の成分からなることを特徴とする、請求項11の方法。
【請求項13】
モノマー単位としてエチレンオキシドまたはプロピレンオキシドを含み、この際、更に、請求項10に従う油溶性が付与されているブロックBを使用することを特徴とする、請求項1〜10のいずれか一つの方法。
【請求項14】
ポリジエン中または基礎となるポリジエン中の1,4ミクロ構造を多くとも50%の割合で含むポリジエンまたは部分的にもしくは完全に水素化されたポリジエンであるブロックBを使用することを特徴とする、請求項1〜10のいずれか一つの方法。
【請求項15】
ポリジエン中または基礎となるポリジエン中の1,4ミクロ構造を多くとも25%の割合で含むポリジエンまたは部分的にもしくは完全に水素化されたポリジエンであるブロックBを使用することを特徴とする、請求項14の方法。
【請求項16】
ポリジエン中または基礎となるポリジエン中の1,4ミクロ構造を多くとも10%の割合で含むポリジエンまたは部分的にもしくは完全に水素化されたポリジエンであるブロックBを使用することを特徴とする、請求項14または15の方法。
【請求項17】
ポリブタジエン及び/またはポリイソプレン及び/または部分的にもしくは完全に水素化されたポリブタジエンもしくはポリイソプレンであるブロックBを使用することを特徴とする、請求項1〜16のいずれか一つの方法。
【請求項18】
ポリジエンの水素化によって製造されたものではないポリアルカンをブロックBとして使用することを特徴とする、請求項1〜16のいずれか一つの方法。
【請求項19】
AB、ABA、BAB、(AB)n星状または(BA)n星状の形の構造を有する化合物の群から選択される少なくとも一種の成分をブロックコポリマーとして使用することを特徴とする、請求項1〜18のいずれか一つの方法。
【請求項20】
ブロックBが純粋なシリコーン油中に可溶性であることを特徴とする、請求項1〜19のいずれか一つの方法。
【請求項21】
ブロックAが、500g/モル〜100000g/モルの分子量を有することを特徴とする、請求項1〜20のいずれか一つの方法。
【請求項22】
ブロックBが、500g/モル〜100000g/モルの分子量を有することを特徴とする、請求項1〜21のいずれか一つの方法。
【請求項23】
シリコーン油としてポリジメチルシロキサンを使用することを特徴とする、請求項1〜22のいずれか一つの方法。
【請求項24】
シリコーン油が、平均で最大10個のジメチルシロキサン単位を有することを特徴とする、請求項23の方法。
【請求項25】
請求項1〜24のいずれか一つのブロックコポリマーを添加剤として含むことを特徴とする、少なくとも一種の成分としてシリコーン油を含む界面活性剤−油混合物。
【請求項26】
マイクロエマルションの構成分であることを特徴とする、請求項25の材料系。
【請求項27】
毛髪及び身体用のケア用品及び化粧料、例えばデオドラント、スキンケア用品、サンクリーム、ローション、シャンプー、シャワージェル、浴用添加剤、潤滑剤、滑剤、離型剤、植物保護剤、医薬品、繊維材料のケア用品及び助剤、皮革及び毛皮のケア用品、乗り物のケア用品、クリーナー及び艶出し剤、洗剤及び洗浄剤の構成分としての、請求項25または26の材料の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2008−545520(P2008−545520A)
【公表日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−511547(P2008−511547)
【出願日】平成18年5月17日(2006.5.17)
【国際出願番号】PCT/DE2006/000842
【国際公開番号】WO2006/122530
【国際公開日】平成18年11月23日(2006.11.23)
【出願人】(390035448)フォルシュングスツェントルム・ユーリッヒ・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング (100)
【Fターム(参考)】