説明

清掃ロボットシステム及びその制御方法

【課題】
アレンジロボットが、清掃ロボット及びパネル部材の位置等の環境情報を確実に取得し、自律運転することができる清掃ロボットシステム及びその制御方法を提供する。
【解決手段】
ハンド部10に少なくとも清掃ロボット3とパネル部材5の位置及び形状を計測するセンサ12、13を設置した清掃ロボットシステム1の制御方法であって、アレンジロボット2が移動する際に、マニピュレータ4を作動させ、複数の位置でセンサ12、13が計測を行うステップと、センサ12、13が取得した情報を元に、アレンジロボット2の移動を自動制御するステップと、アレンジロボット2が清掃ロボット3を把持する際に、マニピュレータ4を作動させ、複数の位置でセンサ12、13が計測を行うステップと、センサ12、13が取得した情報を元に、マニピュレータ4が清掃ロボット3を把持する作業を自動制御するステップを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サービスロボットあるいはフィールドロボットのうち、ガラス面等のパネル部材を清掃するロボットシステムに関するものである。特に、太陽光発電のソーラパネルと呼ばれる発電素子や、太陽熱発電に使用される反射鏡(ヘリオスタット)などを清掃する清掃ロボットシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
太陽電池を利用した太陽光発電プラント、あるいは複数の反射鏡(ヘリオスタット)を利用して太陽光を集光する太陽熱発電プラントの普及が進みつつある。出願人は、これらの発電プラントのソーラパネル又はヘリオスタット等のパネル部材の受光面を清掃して、発電プラントの発電効率を向上する清掃ロボットシステムに関する提案を行っている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
図5に、上記の清掃ロボットシステムの概略図を示す。清掃ロボットシステム1Xは、アレンジロボット2Xと、複数の清掃ロボット3を有している。この複数の清掃ロボット3は、それぞれ異なるヘリオスタット等のパネル部材5で清掃作業を行う。清掃ロボット3は、洗浄用の水や洗浄液等を噴射する装置と、回転ブラシと、移動機構を有しており、パネル部材5上を移動しながら、塵や砂等を取り除く。アレンジロボット2Xは、マニピュレータ4Xと、車体9Xを有している。このアレンジロボット2Xは、清掃作業が完了した清掃ロボット3を、マニピュレータ4Xで把持し、順次、未清掃のパネル部材5に移動させ、載置する機能を有している。このアレンジロボット2Xと清掃ロボット3の協働により、パネル部材5を効率的に清掃することができる。
【0004】
これらの清掃作業は、プラントが発電を行なわない夜間等に、自動制御で行うように構成している。この自動化を実現するために、アレンジロボット2Xは、車体9Xに車載センサ8(例えば3Dレーザスキャナ)や、全方位カメラ31を搭載している。アレンジロボット2Xは、この車載センサ8及び全方位カメラ31で、パネル部材5の位置を計測して走行し、また、パネル部材5の傾きや清掃ロボット3の位置を計測して、清掃ロボット3の回収、移動及び載置する作業を行うことができる。
【0005】
しかしながら、清掃ロボットシステム1Xは、いくつかの問題点を有している。第1に、アレンジロボット2Xの車載センサ8及び全方位カメラ31による周囲の状況等の情報、即ちアレンジロボットの自動制御に必要な情報(以下、環境情報という)の取得を、動作中のマニピュレータ4Xが妨げる状況が発生し得るという問題を有している。図6を参照しながら、この問題を説明する。図6に、アレンジロボット2Xの側面図を示す。例えば全方位カメラ31の画像取得方向Sに、マニピュレータ4Xが位置し、画像の取得を妨げる場合がある。このマニピュレータ4Xは、清掃ロボット3を把持するために、広範囲を移動するため、車載センサ8又は全方位カメラ31の前を横切り、環境情報取得を妨害する可能性がある。また、パネル部材5又は清掃ロボット3の裏側や影になる部分が、車載センサ8及び全方位カメラ31の死角となり、環境情報を取得することができない場合がある。なお、6は走行輪6、30は地表面30を示している。
【0006】
第2に、車載センサ8と、例えばパネル部材5や障害物等の計測対象物との位置関係により、車載センサ8が十分な環境情報を取得できない状況が発生し得るという問題を有している。これは、車載センサ8が照射したレーザ光LX等が、パネル部材5等(計測対象物)の表面で全反射してしまい、車載センサ8がパネル部材5の存在を認識できない場合が発生するためである。特に、パネル部材5が、ヘリオスタット等の鏡面を有するもので
ある場合、例えばレーザ距離計測装置等のレーザ光LXは、反射光を得ることができない。また、パネル部材5は、太陽追尾の傾動機構を有している場合が多く、傾斜角度が一定でないため、環境情報を確実に取得することは困難となる。なお、計測対象物としては、清掃ロボット3及びパネル部材5の他に、アレンジロボット2Xの走行路の障害物等を含む。
【0007】
以上より、アレンジロボット2Xに設置した車載センサ8及び全方位カメラ31等では、マニピュレータ4Xのさえぎりにより死角が発生する場合、パネル部材5等による一般的な死角が存在する場合、及び計測対象物との位置関係等が望ましくない場合等に、十分な環境情報を得られない場合があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2010−155308号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記の問題を鑑みてなされたものであり、その目的は、パネル部材の表面を清掃する清掃ロボットと、清掃ロボットをパネル部材から他のパネル部材に順次移動させるアレンジロボットを有する清掃ロボットシステム及びその制御方法において、アレンジロボットが、清掃ロボット及びパネル部材の位置等の環境情報を確実に取得し、自律運転することができる清掃ロボットシステム及びその制御方法を提供することである。更に、アレンジロボットで清掃ロボットを把持する作業を、短時間で且つ正確に行える清掃ロボットシステム及びその制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するための本発明に係る清掃ロボットシステムの制御方法は、パネル部材の表面を清掃する清掃ロボットと、前記清掃ロボットを前記パネル部材から他のパネル部材に移動させるアレンジロボットを有し、前記アレンジロボットが、ハンド部とアーム部を備えたマニピュレータを有しており、前記ハンド部に少なくとも前記清掃ロボットと前記パネル部材の位置及び形状を計測するセンサを設置した清掃ロボットシステムの制御方法であって、前記アレンジロボットが移動する際に、前記マニピュレータを作動させ、複数の位置で前記センサが計測を行うステップと、前記センサが取得した情報を元に、前記アレンジロボットの移動を自動制御するステップと、前記アレンジロボットが前記清掃ロボットを把持する際に、前記マニピュレータを作動させ、複数の位置で前記センサが計測を行うステップと、前記センサが取得した情報を元に、前記マニピュレータが前記清掃ロボットを把持する作業を自動制御するステップを有することを特徴とする。
【0011】
この構成により、アレンジロボットが、清掃ロボット及びパネル部材等の位置及び形状(環境情報)をセンサで取得する際に、この環境情報取得をマニピュレータが妨げる事態の発生を防止することができる。そのため、アレンジロボットの走行制御及び清掃ロボットを把持する制御の精度を向上することができる。また、マニピュレータが移動しながら複数の位置で環境情報を取得するため、アレンジロボットと計測対象物の位置関係が如何なる状態であっても、十分な環境情報を取得することができる。
【0012】
上記の清掃ロボットシステムの制御方法において、前記ハンド部が加速度センサを有しており、前記加速度センサが計測した情報を元に、前記センサが取得した情報の補正を行うステップを有することを特徴とする。
【0013】
この構成により、アレンジロボットの走行又はマニピュレータの移動により、センサに
振動が伝達された場合であっても、精度の高い環境情報を取得することができる。特に、不整地を走行するアレンジロボットの振動の影響を、取得した環境情報を補正して取り除くことができる。
【0014】
上記の清掃ロボットシステムの制御方法において、前記清掃ロボットが誘導レーザ光を発信するレーザ発信部を有し、前記ハンド部が前記誘導レーザ光を受光する受光部を有しており、前記受光部が前記誘導レーザ光を受光し、受光部位を形成するステップと、前記受光部位の位置に基づき、前記マニピュレータのハンド部を制御して前記清掃ロボットを把持するステップを有することを特徴とする。
【0015】
上記の目的を達成するための本発明に係る清掃ロボットシステムは、パネル部材の表面を清掃する清掃ロボットと、前記清掃ロボットを前記パネル部材から他のパネル部材に移動させるアレンジロボットを有する清掃ロボットシステムにおいて、前記アレンジロボットが、ハンド部とアーム部を備えたマニピュレータを有しており、前記ハンド部に少なくとも前記清掃ロボットと前記パネル部材の位置及び形状を計測するセンサを設置したことを特徴とする。この構成により、前述と同様の作用効果を得ることができる。
【0016】
上記の清掃ロボットシステムにおいて、前記ハンド部が、前記ハンド部の振動を計測する加速度センサを有することを特徴とする。この構成により、前述と同様の作用効果を得ることができる。
【0017】
上記の清掃ロボットシステムにおいて、前記清掃ロボットが、誘導レーザ光を発信するレーザ発信部を有し、前記ハンド部が、前記誘導レーザ光を受光する受光部を有していることを特徴とする。この構成により、前述と同様の作用効果を得ることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る清掃ロボットシステム及びその制御方法によれば、アレンジロボットが、清掃ロボット及びパネル部材の位置等の環境情報を確実に取得し、自律運転することができる清掃ロボットシステム及びその制御方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係る実施の形態の清掃ロボットシステムの概略を示した図である。
【図2】本発明に係る異なる実施の形態の清掃ロボットとハンド部の概略を示した図である。
【図3】本発明に係る異なる実施の形態のハンド部の制御の概略を示した図である。
【図4】本発明に係る実施の形態のマニピュレータの複眼視制御の概略を示した図である。
【図5】従来の清掃ロボットシステムの概略を示した図である。
【図6】従来の清掃ロボットシステムの概略を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係る実施の形態の清掃ロボットシステムについて、図面を参照しながら説明する。図1に、本発明に係る実施の形態の清掃ロボットシステム1(図示しない)のアレンジロボット2の側面図を示す。アレンジロボット2は、ハンド部10とアーム部11を含むマニピュレータ4と、車体9を有している。このハンド部10は、レーザ距離計測装置(以下、レーザセンサという)12及びカメラ13(以下、総称してセンサ12、13という)を有している。なお、アレンジロボット2に搭載された清掃ロボット3は、充電や洗浄液等の補給を受けている。また、14はハンド部10に設置した爪部14を示している。
【0021】
次に、清掃ロボットシステム1(図示しない)の動作について説明する。まず、パネル部材5の清掃が完了した清掃ロボット3(図示しない)が、無線等で作業完了信号を発信する。アレンジロボット2は、この作業完了信号を受信し、対象となる清掃ロボット3の回収のために移動する(移動制御フェーズ)。アレンジロボット2は、パネル部材5間を移動する際、車載センサ8及びハンド部10に設置したセンサ12、13で、パネル部材5の位置及び障害物の有無等(環境情報)を計測する。このとき、アレンジロボット2は、マニピュレータ4を移動させながら、センサ12、13で多角的に環境情報を取得し、この環境情報を元に、走行を制御する。具体的には、レーザセンサ12から照射したレーザ光L1の反射光を取得し、計測対象物(清掃ロボット3又はパネル部材5等)までの距離を計測する。また、カメラ13で、計測対象物の有無等を計測する。
【0022】
回収の対象となる清掃ロボット3に接近したアレンジロボット2は、ハンド部10に設置したセンサ12、13で清掃ロボット3の位置及び方向等を計測し、清掃ロボット3を把持する(把持制御フェーズ)。その後、未清掃のパネル部材に移動し、清掃ロボット3を載置する。清掃ロボットシステム1は、アレンジロボット2による環境情報の取得と、この環境情報によるアレンジロボット2のフィードバック制御を繰り返しながら、上記の作業を繰り返し、発電プラント等の多数のパネル部材5の清掃を行う。
【0023】
ここで、フィードバック制御とは、アレンジロボット2が走行経路や障害物など走行及び清掃ロボット3の把持制作業に必要な情報を、マニピュレータ4を操作しながら計測及び認識し、アレンジロボット2の駆動系にフィードバックして、アレンジロボット2の走行経路の設定と走行駆動制御を行うことである。
【0024】
上記の構成により、以下の作用効果を得ることができる。第1に、アレンジロボット2が、清掃ロボット3及びパネル部材5等に係る環境情報をセンサ12、13で取得する際に、この環境情報取得を、マニピュレータ4が妨げる事態の発生を防止することができる。これは、アレンジロボット2が、マニピュレータ4の端部(ハンド部10)に、センサ12、13を有しているためである。
【0025】
第2に、アレンジロボット2が、計測対象物との位置関係により、十分な環境情報を取得できないという事態の発生を防止することができる。これは、マニピュレータ4の端部に設置したセンサ12、13で、マニピュレータ4を移動させながら、多角的に環境情報を取得することができるためである。具体的には、図1に示す様に、ハンド部10は、パネル部材5に対して、異なる地点からレーザ光L1を照射し、環境情報を取得する。
【0026】
なお、ハンド部10に、レーザセンサ12又はカメラ13のいずれか一方を設置するように構成してもよい。カメラ13のみを設置する場合は、ハンド部10に照明装置を設置することが望ましい。なお、カメラ13を暗視カメラ等とする場合には、この照明装置は不要となる。
【0027】
図2に、本発明の異なる実施の形態の清掃ロボット3aと、ハンド部10aの概略を示す。清掃ロボット3aは、誘導レーザ発信部21と、把持部22を有している。ハンド部10aは、摺動して清掃ロボット3aを把持する2つの爪部14と、2つのレーザセンサ12と、カメラ13を有している。なお、このレーザセンサ12及びカメラ13は、アレンジロボット2の作業環境等により、適宜設置する個数及び位置を変更することができる。また、ハンド部10aは、例えば下面側に、清掃ロボット3aから発信される誘導レーザ光L2を受光する受光部20を有している。
【0028】
次に、受光部20と誘導レーザ発信部21を利用した把持制御フェーズにおける誘導制御について説明する。清掃ロボット3aは、作業完了信号を発信した直後又は予め定めた
時間を経過した後に、誘導レーザ発信部21から誘導レーザ光L2を発信する。アレンジロボット2のハンド部10aは、ハンド部10aに設置したセンサ12、13で清掃ロボット3aの位置を認識し、清掃ロボット3aに接近する。ハンド部10aは、清掃ロボット3aから発信された誘導レーザ光L2を、受光部20で受光し、清掃ロボット3aの更に正確な位置を認識しながら、清掃ロボット3aを把持する。
【0029】
上記の構成により、アレンジロボット2のハンド部10aは、ハンド部10aに設置したセンサ12、13に加え、誘導レーザ光L2による誘導で清掃ロボット3aに接近するため、清掃ロボット3aの位置を認識する精度を向上することができる。これは、誘導レーザ光L2により、アレンジロボット2は、ハンド部10aが清掃ロボット3aに対していずれの方向から接近しているかを認識することができるためである。このため、アレンジロボット2が清掃ロボット3aを把持し、回収する作業時間を飛躍的に短縮することができる。特に、太陽光発電又は太陽熱発電プラントでは、それぞれのパネル部材(太陽電池又はヘリオスタット)5の斜度が一定ではないため、この誘導レーザ光L2により得られる作用効果は大きい。
【0030】
なお、誘導レーザ光L2を受光する受光部20は、上記の構成に限られない。受光部20は、誘導レーザ光L2を検出できる構成を有していればよく、例えばカメラ等により構成することもできる。
【0031】
次に、清掃ロボット3aの誘導レーザ発信部21と、アレンジロボット2の受光部20による、ハンド部10aの誘導制御について説明する。図3に、誘導レーザ発信部21と受光部20の概略図を示す。受光部20は、複数の受光素子20aを組み合わせて構成している。
【0032】
誘導レーザ発信部21から発信された誘導レーザ光L2は、いずれかの受光素子20aに到達し、受光部位P1を形成する。受光部20を有するヘッド部10aが、清掃ロボット3aに接近すると、この受光部位P1が移動する。この移動パターンから、ハンド部10aが清掃ロボット3aのいずれの方向から接近しているかを検知することができる。
【0033】
つまり、ハンド部10aが清掃ロボット3aの垂直方向から誘導レーザ光L2に平行となるように接近している場合は、受光部位P1の位置は変化しない。このときは、受光部位P1が、例えば受光部20の中心に設定した誘導目標領域P0に位置するように、ハンド部10aを移動しながら清掃ロボット3aを把持する。ここで、誘導レーザ光L2が誘導目標領域P0に受光部位P1を形成する場合、清掃ロボット3aの把持部22と、ハンド部10aの爪部14の位置が把持作業に適切となるように設計している。
【0034】
また、ハンド部10aの移動に伴い、受光部位P1の位置が変化する場合は、ハンド部10aが、清掃ロボット3aの垂直方向(誘導レーザ光L2と平行な方向)対して、角度を持って接近していることがわかる。このときは、ハンド部10aが清掃ロボット3aの垂直方向から直線状に接近するように、マニピュレータ4を制御するように構成することが望ましい。
【0035】
以上、清掃ロボット3aから垂直方向に誘導レーザ光L2を発信した場合を説明したが、本発明はこれに限定されない。たとえば、清掃ロボット3aの垂直方向から水平方向に45度傾斜した方向に誘導レーザ光L2を発信するように構成してもよい。この場合は、清掃ロボット3aに複数の誘導レーザ発信部21を設置し、清掃ロボット3aの外側全周方向に複数の誘導レーザ光L2が発信されるように構成することができる。これは、受光部20に、誘導レーザ光L2が照射されない事態を避けるためである。なお、誘導レーザ光L2を照射する角度は、上記の45度以外にも、0度から90度の範囲内で、適宜決定
することができる。
【0036】
図4に、本発明に係る実施の形態のマニピュレータの複眼視制御の概略を示す。アレンジロボット2は、マニピュレータ4の端部等に設置したセンサ12、13を移動させながら、環境情報を取得する。このとき、あるカメラ間距離Dを有する少なくとも2点において、環境情報を取得する制御を行う。ここで、カメラ間距離Dは、ステレオビジョンにおける基線長に相当する。前述の構成により、アレンジロボット2は、仮想的に、複眼センサ(ステレオカメラ等)と同様の情報を取得することができる。複眼視は、このカメラ間距離Dが大きいほど、精度を向上することができる。そのため、このアレンジロボットは、2台のレーザセンサ又は2台のカメラを設置して構造的に複眼視を構成する場合に比べ、アレンジロボット2の大きさを小さく構成することができる。特に、ハンド部10の重量の増加は、マニピュレータ4の環境情報取得の精度及び把持作業等における作業精度の低下を招くため、避けることが望ましい。この複眼視制御は、レーザセンサ12であっても、カメラ13であっても、同様に、取得する環境情報の精度を向上することができる。なお、カメラ間距離Dは、マニピュレータ4の各モータの駆動量から、計測した2点の3次元座標を算出し、この2点の3次元座標からカメラ間距離Dを算出するように構成している。
【0037】
なお、ヘッド部10には、例えば3次元加速度センサ等の加速度センサを設置することが望ましい。この加速度センサの設置により、ヘッド部10に振動が発生した場合であっても、取得した環境情報の補正を行うことができる。特に、太陽光発電又は太陽熱発電プラントは、屋内の工場とは違い、アレンジロボット2の平坦な走行路を確保することは困難であるため、加速度センサを利用した環境情報の補正は効果的である。
【符号の説明】
【0038】
1 清掃ロボットシステム
2 アレンジロボット
3 清掃ロボット
4 マニピュレータ
5 計測対象物(パネル部材)
10、10a ハンド部
11 アーム部
12 レーザ距離計測センサ、レーザセンサ、センサ
13 カメラ、センサ
20 受光部
20a 受光素子
21 レーザ発信部
22 把持部
L1 レーザ光
L2 誘導レーザ光
P0 誘導目標領域
P1 受光部位
D カメラ間距離

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パネル部材の表面を清掃する清掃ロボットと、前記清掃ロボットを前記パネル部材から他のパネル部材に移動させるアレンジロボットを有し、
前記アレンジロボットが、ハンド部とアーム部を備えたマニピュレータを有しており、前記ハンド部に少なくとも前記清掃ロボットと前記パネル部材の位置及び形状を計測するセンサを設置した清掃ロボットシステムの制御方法であって、
前記アレンジロボットが移動する際に、前記マニピュレータを作動させ、複数の位置で前記センサが計測を行うステップと、
前記センサが取得した情報を元に、前記アレンジロボットの移動を自動制御するステップと、
前記アレンジロボットが前記清掃ロボットを把持する際に、前記マニピュレータを作動させ、複数の位置で前記センサが計測を行うステップと、
前記センサが取得した情報を元に、前記マニピュレータが前記清掃ロボットを把持する作業を自動制御するステップを有することを特徴とする清掃ロボットシステムの制御方法。
【請求項2】
前記ハンド部が加速度センサを有しており、
前記加速度センサが計測した情報を元に、前記センサが取得した情報の補正を行うステップを有することを特徴とする請求項1に記載のロボットシステムの制御方法。
【請求項3】
前記清掃ロボットが誘導レーザ光を発信するレーザ発信部を有し、前記ハンド部が前記誘導レーザ光を受光する受光部を有しており、
前記受光部が前記誘導レーザ光を受光し、受光部位を形成するステップと、
前記受光部位の位置に基づき、前記マニピュレータのハンド部を制御して前記清掃ロボットを把持するステップを有することを特徴とする請求項1又は2に記載の清掃ロボットシステムの制御方法。
【請求項4】
パネル部材の表面を清掃する清掃ロボットと、前記清掃ロボットを前記パネル部材から他のパネル部材に移動させるアレンジロボットを有する清掃ロボットシステムにおいて、
前記アレンジロボットが、ハンド部とアーム部を備えたマニピュレータを有しており、前記ハンド部に少なくとも前記清掃ロボットと前記パネル部材の位置及び形状を計測するセンサを設置したことを特徴とする清掃ロボットシステム。
【請求項5】
前記ハンド部が、前記ハンド部の振動を計測する加速度センサを有することを特徴とする請求項4に記載の清掃ロボットシステム。
【請求項6】
前記清掃ロボットが、誘導レーザ光を発信するレーザ発信部を有し、
前記ハンド部が、前記誘導レーザ光を受光する受光部を有していることを特徴とする請求項4又は5に記載の清掃ロボットシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−139792(P2012−139792A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−306(P2011−306)
【出願日】平成23年1月5日(2011.1.5)
【出願人】(000005902)三井造船株式会社 (1,723)
【Fターム(参考)】