説明

渋滞状況演算システム

【課題】プローブカーシステムによって提供される渋滞情報の信頼度を向上させた渋滞状況演算システムを提供する。
【解決手段】プローブカーである車両3から収集したプローブデータに基づいてリンクの渋滞度を演算する際に、渋滞度演算テーブル52にある渋滞度を区分する為の閾値V11〜V32を所定車速毎に変化させて渋滞度を検出し(S2)、二次メッシュ単位でVICS情報に基づく渋滞度との一致率を比較することによって最も一致率の高い閾値を選択し(S5、S6)、選択された閾値に基づいて当該二次メッシュの渋滞度を演算する(S7)ように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リンクの渋滞状況を演算する渋滞状況演算システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、車載用のナビゲーション装置、PDA(Personal Digital Assistant)や携帯電話機などの携帯情報機器、パーソナルコンピュータ等では、地図情報として一般道路及び高速道路等の道路や施設名称等を各種記憶デバイスに記憶するか、又はサーバ等からダウンロードすることにより、利用者に対して所望のエリアの地図を表示することが可能となっている。
【0003】
更に、従来のナビゲーション装置等では地図を表示するのみでなく、利用者の利便性をより向上させる為に表示された道路の渋滞情報等の交通情報を提供することについても行われていた。その際、利用者に提供する為の交通情報を取得するシステムの一つとして、例えば道路交通情報通信システム(VICS:登録商標)があった。
【0004】
VICSは、道路上に設置している感知器より路上を走行する車両を検出し、その検出結果を情報収集センタ(以下、VICSセンタという)が収集して交通情報(以下、VICS情報という)を作成し、カーナビゲーション装置等の端末へ提供するシステムである。
しかし、上記VICSでは感知器が設置された主要な道路のみのVICS情報しか作成することができず、情報提供される対象道路の範囲が狭いという課題がある。
【0005】
そこで、交通情報を取得する新たなシステムとして、走行中の車両がセンサ(プローブ)となり、この車両で計測された走行軌跡、速度等の情報(以下、プローブ情報という)を情報収集センタに集め、交通情報を作成するプローブカーシステムの研究が現在進められている。
ここで、プローブカーシステムは、上記VICSのように情報収集範囲が限定されず、極めて広い範囲からリアルタイムでデータを集めることができるという利点がある。
【0006】
一方で、利用者に提供される交通情報の内、特に渋滞に関する渋滞情報では渋滞の程度を識別する為の情報として、従来より渋滞度が用いられてきた(特開2005−209153号公報参照)。この渋滞度としては、渋滞の程度の高い方から、例えば『渋滞』、『混雑』、『渋滞無し』の3段階がある。
そして、リンクを走行する車両の平均車速と予め決められた閾値(例えば、一般道路では『渋滞』と『混雑』の閾値は12km/h、『混雑』と『渋滞なし』の閾値は32km/h)に基づいてリンクをいずれかに分類している。そして、リンクに対して分類された渋滞度を交通情報として利用者に提供していた。
【特許文献1】特開2005−209153号公報(第5−6頁、表2、図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、プローブデータから生成される交通情報は、プローブカーの搭載率などのプローブデータの情報量に大きく影響されるため、特にプローブカーの搭載率が低い場合には、提供される交通情報の信頼性が劣る場合がある。
従って、例えばプローブデータの統計結果に基づいて渋滞度を演算する場合には、上記特許文献1のように道路属性毎に閾値を固定することとすると、実際には渋滞していないリンクが『渋滞』と判定されたり、実際に渋滞しているリンクが『渋滞無し』と判定される虞がある。更には、同一リンク区間において、VICS情報とプローブカーシステムから提供される交通情報とで渋滞度が異なってしまうという問題もあった。
【0008】
本発明は前記従来における問題点を解消するためになされたものであり、プローブ情報に基づいて作成される交通情報の内、特に渋滞の程度を示す渋滞度について、渋滞度を演算する為の閾値を別途取得した渋滞情報に従って変化させることによって、プローブカーシステムによって提供される渋滞情報の信頼度を向上させることを可能とした渋滞状況演算システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するため本願の請求項1に係る渋滞状況演算システム(1)は、プローブ情報を取得するプローブ情報取得手段(20)を有し、前記プローブ情報取得手段により取得されたプローブ情報に基づいてリンクの渋滞度を演算する渋滞状況演算システムにおいて、前記プローブ情報はリンクを走行するプローブカー(3)の平均速度であり、前記平均速度を値の異なる複数の閾値と比較することにより各閾値に対応してリンクの第1渋滞度を検出する渋滞度検出手段(20)と、前記リンクの渋滞情報を取得する渋滞情報取得手段(20)と、所定エリア内に含まれるリンクにおいて前記渋滞情報取得手段によって取得された渋滞情報に基づく第2渋滞度と前記渋滞度検出手段で検出された第1渋滞度とを前記複数の閾値毎にそれぞれ比較する渋滞度比較手段(20)と、前記複数の閾値の内、前記渋滞度比較手段の比較により第1渋滞度と第2渋滞度が最も一致すると判定された閾値を選択する閾値選択手段(20)と、を有し、前記閾値選択手段で選択された閾値に基づいて検出された第1渋滞度を前記所定エリア内におけるリンクの渋滞度として演算することを特徴とする。
ここで、「渋滞度」とは渋滞の程度を識別する為の情報である。
また、「プローブ情報取得手段」及び「渋滞情報取得手段」はプローブカーや外部の施設等と通信を行うことによりプローブ情報や渋滞情報を取得することとしても良いし、装置内部に記憶されたプローブ情報や渋滞情報を読み出すことにより取得することとしても良い。
【0010】
また、請求項2に係る渋滞状況演算システム(1)は、請求項1に記載の渋滞状況演算システムであって、前記閾値選択手段(20)はリンクの道路属性毎に異なる閾値を選択することを特徴とする。
ここで、「道路属性」とは、例えば高速道路や一般道路等の道路の種別を示す。
【0011】
また、請求項3に係る渋滞状況演算システム(1)は、請求項1又は請求項2に記載の渋滞状況演算システムであって、前記渋滞情報取得手段(20)によって取得される前記渋滞情報は、路上に設置された感知器を用いて路上を走行する車両を検出した検出結果に基づく情報であることを特徴とする。
【0012】
また、請求項4に係る渋滞状況演算システム(1)は、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の渋滞状況演算システムであって、前記所定エリアはメッシュ単位又は都道府県単位に区分されたエリアであることを特徴とする。
【0013】
更に、請求項5に係る渋滞状況演算システム(1)は、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の渋滞状況演算システムであって、前記渋滞情報取得手段(20)により取得される前記リンクの渋滞情報が存在しない所定エリアである非存在エリアに対して、前記非存在エリアを含む広域エリア内の他のエリアで選択されている閾値又は閾値の平均値を非存在エリアの閾値として適用する閾値適用手段(20)と、前記非存在エリア内のリンクの平均速度を前記閾値適用手段により適用された閾値と比較することによりリンクの渋滞度を検出する非存在エリア渋滞度検出手段(20)と、を有し、前記非存在エリア渋滞度検出手段で検出された渋滞度を前記非存在エリア内におけるリンクの渋滞度として演算することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
前記構成を有する請求項1に記載の渋滞状況演算システムによれば、プローブ情報に基づいて作成される交通情報の内、特に渋滞の程度を示す渋滞度について、渋滞度を演算する為の閾値を別途取得した渋滞情報に従って変化させることによって、プローブカーシステムによって提供される渋滞情報の信頼度を向上させることが可能となる。
また、プローブ情報に基づいて検出されたリンクの渋滞度と、別途渋滞情報取得手段により取得した渋滞情報に含まれるリンクの渋滞度とが大きく異なる結果となることを防止できるので、提供した交通情報によって利用者を困惑させる虞が無い。
【0015】
また、請求項2に記載の渋滞状況演算システムによれば、リンクの道路属性を考慮して、リンク毎により適した閾値を選択することが可能となり、プローブカーシステムによって提供される渋滞情報の信頼度を向上させる。
【0016】
また、請求項3に記載の渋滞状況演算システムによれば、別途渋滞情報取得手段により取得される渋滞情報は道路を走行する多数の車両の検出結果に基づいた信頼度の高い情報であるので、その渋滞情報に一致させることによりプローブカーシステムによって提供される渋滞情報の信頼度についても向上させることが可能となる。
【0017】
また、請求項4に記載の渋滞状況演算システムによれば、二次メッシュ単位又は都道府県単位で閾値を選択することができるので、地域差を考慮して各地域ごとに最適な閾値を選択することが可能となる。
【0018】
更に、請求項5に記載の渋滞状況演算システムによれば、比較対象とする渋滞情報が無い場合であっても、周囲エリアの閾値を考慮して当該エリアに対して適当な閾値を選択することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明に係る渋滞状況演算システムについて具体化した一実施形態に基づき図面を参照しつつ詳細に説明する。
先ず、本実施形態に係る渋滞状況演算システム1の概略構成について図1を用いて説明する。図1は本実施形態に係る渋滞状況演算システム1を示した概略構成図である。
【0020】
図1に示すように、本実施形態に係る渋滞状況演算システム1は、プローブデータを収集し、収集したプローブ情報に基づく交通情報の作成・配信を行うプローブセンタ2と、プローブカーである車両3と、VICS(登録商標)情報の作成・配信を行うVICSセンタ4とから基本的に構成されている。
【0021】
ここで、プローブセンタ2は、全国各地を走行する各車両3から送信された走行軌跡や走行速度等を含むプローブ情報を収集して蓄積するとともに、蓄積されたプローブ情報から渋滞情報等の交通情報を生成し、生成された交通情報(以下、プローブ交通情報という)を車両3に対して配信する交通情報配信センタである。
【0022】
また、車両3は全国の各道路を走行する車両であり、プローブカーとしてプローブセンタ2とともにプローブカーシステムを構成する。ここで、プローブカーシステムとは、車両をセンサとして情報を収集するシステムである。具体的には、車両が速度データをはじめ、ステアリング操作やシフト位置等の各システムの作動状況をGPSの位置情報とともに予め車両に搭載された携帯電話機等の車両用の通信モジュール5(以下、単に通信モジュール5という)を介してプローブセンタ2に送信し、センタ側でその収集データを様々な情報として再利用するシステムをいう。
ここで、本実施形態に係る渋滞状況演算システム1おいて車両3が取得し、プローブセンタ2に対して送信するプローブ情報としては、特に、車両3が走行するリンクのリンク番号とそのリンクを走行する車両の車速に関する情報が含まれる。そして、プローブセンタ2は車両3から送信されたリンク番号及び車速に基づいて、リンク毎の車両の平均車速を算出し、後述の閾値V11〜V32(図7参照)に基づいてリンクの渋滞度を検出する。
【0023】
更に、車両3にはナビゲーション装置6が設置されている。ナビゲーション装置6は格納する地図データに基づいて自車位置周辺の地図を表示したり、設定された目的地までの経路の探索及び案内を行う車載機である。また、ナビゲーション装置6はプローブセンタ2から受信したプローブ交通情報やVICSセンタ4から受信したVICS情報を利用者に対して案内することも行う。
【0024】
一方、VICSセンタ4は、路上に設置された感知器を用いて、路上を走行する車両を検出した検出結果や特定の機関(例えば警察庁)等から提供された情報を収集するとともに、その検出結果や提供情報に基づいて交通情報であるVICS情報を生成し、生成したVICS情報をFM多重放送、光ビーコン、電波ビーコン等により車両3に提供する情報提供センタである。尚、提供されるVICS情報としては、渋滞情報(渋滞度及び渋滞長)の他に、規制情報、駐車場情報、サービスエリア情報、パーキングエリア情報等がある。
【0025】
続いて、渋滞状況演算システム1を構成するプローブセンタ2及びVICSセンタ4の構成について図2を用いてより詳細に説明する。図2は本実施形態に係る渋滞状況演算システム1の構成を示したブロック図である。
【0026】
先ず、以下にプローブセンタ2について説明する。プローブセンタ2は、図2に示すようにサーバ(プローブ情報取得手段、渋滞度検出手段、渋滞情報取得手段、渋滞度比較手段、閾値選択手段、閾値適用手段、非存在エリア渋滞度検出手段)20と、サーバ20に接続された情報記録手段としてのプローブ情報DB24と、交通情報DB25と、センタ通信装置26とを備える。
【0027】
サーバ20は、サーバ20の全体の制御を行う演算装置及び制御装置としてのCPU21、並びにCPU21が各種の演算処理を行うに当たってワーキングメモリとして使用されるRAM22、車両3から収集したプローブ情報を統計処理することによって各リンクに対する渋滞度を検出する渋滞度演算処理(図8)、リンクの渋滞度を含む各種交通情報を作成し、車両3に対して配信する交通情報配信処理等を行うための各種の制御プログラムが記録されたROM23等の内部記憶装置を備えている。
【0028】
また、プローブ情報DB24は、全国を走行する各車両3から収集したプローブ情報を累積的に記憶する記憶手段である。尚、本実施形態においては、車両3から収集されるプローブ情報として、特に車両3が走行したリンクを特定するリンク番号とそのリンクを走行する車両3の車速に関する情報が含まれる。
【0029】
以下に、図3を用いてプローブ情報DB24に記憶されるプローブ情報についてより詳細に説明する。図3はプローブ情報DB24に記憶されるプローブ情報の一例を示した図である。
図3に示すようにプローブ情報は、車両3が走行したリンクのリンク番号と、車両がそのリンクの走行を開始した開始時刻と、リンクを走行するのに要した所要時間と、リンクを走行した平均車速とから構成される。例えば、図3に示すプローブ情報は、車両3がリンク番号『1000』のリンクを、2007年3月6日の14時3分25秒に走行開始し、平均車速15km/hで25秒かけて走行したことが記録されている。そして、プローブ情報DB24には上記のプローブ情報が、各車両3から収集した数だけ累積的に記憶されている。
【0030】
また、交通情報DB25は、プローブ情報DB24に記憶されたプローブ情報に対する統計処理に基づいてサーバ20により生成されるプローブ交通情報を記憶する記憶手段である。ここで、プローブ交通情報に含まれる情報としては、リンクの渋滞度、リンク旅行時間、平均車速等がある。尚、渋滞度とは、渋滞の程度を示した渋滞情報の一種であり、この渋滞度には、渋滞の程度の高い方から、『渋滞』、『混雑』、『渋滞無し』のデータと『不明』の4段階のデータがある。そして、この渋滞度は、後述するようにサーバ20によってリンクの平均車速と、後述の閾値V11〜V32(図7参照)とに基づいて決定される。また、閾値V11〜V32はVICSセンタ4から取得したVICSデータとプローブ情報の統計結果とを比較することによって、二次メッシュ単位又は都道府県単位に設定される。
【0031】
以下に、図4を用いて交通情報DB25に記憶されるプローブ交通情報についてより詳細に説明する。図4は交通情報DB25に記憶されるプローブ交通情報の一例を示した図である。
図4に示すようにプローブ交通情報は、リンクを識別するリンク番号と、渋滞度と、そのリンクを走行する車両の平均所要時間を示すリンク旅行時間と、リンクを走行する車両の平均車速とから構成される。例えば、図4に示すプローブ交通情報は、リンク番号『1000』のリンクについて、渋滞度が『混雑』で、リンク旅行時間が28secで、平均車速が17km/hであることを示している。そして、交通情報DB25には上記のプローブ交通情報が、ナビゲーション装置6が有する地図データを構成するリンク数分記憶されている。
【0032】
尚、プローブデータ及びプローブ交通情報で用いられるリンク番号は、プローブセンタ2及び車両3のナビゲーション装置6との間でのみ用いられる識別番号であり、VICSセンタ4やVICSデータで用いられるリンク番号(VICSリンク番号)とは異なる。また、リンクの区分もプローブデータ及びプローブ交通情報とVICSデータとでは異なっている。
【0033】
一方、センタ通信装置26は車両3やVICSセンタ4とネットワーク8を介して通信を行う為の通信装置である。
【0034】
次に、VICSセンタ4について図2を用いて説明する。VICSセンタ4は、図2に示すようにVICS情報を記憶するVICS情報DB41と、VICS通信装置42とを備える。
【0035】
VICS情報DB41は、路面上に設置された感知器による車両の検出結果や特定の機関(例えば警察庁)等から提供された情報に基づいて生成された交通情報であるVICS情報が記憶される記憶手段である。
そして、VICSセンタ4は所定時間毎(例えば5分毎)にVICS情報DB41に格納されたVICS情報から必要な情報を抽出し、VICS通信装置42を介してナビゲーション装置6に対して配信する。また、VICS情報はプローブセンタ2に対しても配信される。尚、配信されるVICS情報としては、渋滞情報の他に、規制情報、駐車場情報、サービスエリア情報、パーキングエリア情報等がある。
【0036】
以下に、図5を用いてVICS情報DB41に記憶されるVICS情報についてより詳細に説明する。図5はVICS情報DB41に記憶されるVICS情報の一例を示した図である。
図5に示すようにVICS情報は、リンクを識別するVICSリンク番号と、そのリンクについての渋滞度、渋滞の区間を示す渋滞長、事故情報、工事情報等を示した詳細情報とから構成される。例えば、図5に示すVICS情報は、2007年3月6日の13時56分から14時1分までの5分間に生成され14時1分に配信される情報であり、VICSリンク番号『533945−4−4』のリンクについて、全区間において渋滞度が『渋滞』であることを示している。また、VICSリンク番号『533946−10−2』のリンクについて、13:00〜18:00の間、工事により車両規制が行われることを示している。更に、VICSリンク番号『533947−6−1』のリンクについて、全区間において渋滞度が『混雑』であることを示している。尚、リンクの一部のみが渋滞である場合には、渋滞の開始点の座標に関する情報と開始点からの渋滞区間の距離に関する情報についてもVICS情報に含まれる。
【0037】
一方、VICS通信装置42はVICS情報を車両3やプローブセンタ2に対して配信する為の通信装置である。
【0038】
次に、プローブセンタ2及びVICSセンタ4において交通情報を生成する際に、特にリンクの渋滞度を検出するために用いる渋滞度演算テーブル51、52について図6、図7を用いて説明する。図6はVICSセンタ4において用いられる渋滞度演算テーブル51について示した図、図7はプローブセンタ2において用いられる渋滞度演算テーブル52について示した図である。
【0039】
先ず、VICSセンタ4において用いられる渋滞度演算テーブル51について図6を用いて説明する。渋滞度演算テーブル51は車両の走行速度に基づいて渋滞の程度を示す渋滞度を演算する為のテーブルである。そして、VICSセンタ4は、路面上に設置された感知器による車両の検出結果に基づいてリンク内の所定区間における平均車速を検出し、渋滞度演算テーブル51に基づいて前記所定区間の渋滞度を検出する。
【0040】
また、図6に示すように、本実施形態に係る渋滞度演算テーブル51は、『渋滞』、『混雑』、『渋滞無し』の3種類(『不明』は除かれる)の渋滞度と、各渋滞度に対応する車両の走行速度の閾値から構成されている。更に、車両の走行速度の閾値は道路属性(「都市間高速道路」、「都市内高速道路」、「一般道路」の3種類)によって異なる値が設定されている。具体的に、「都市間高速道路」では『渋滞』と『混雑』との閾値が40km/hであり、『混雑』と『渋滞無し』との閾値が60km/hである。また、「都市内高速道路」では『渋滞』と『混雑』との閾値が20km/hであり、『混雑』と『渋滞無し』との閾値が40km/hである。更に、「一般道路」では『渋滞』と『混雑』との閾値が10km/hであり、『混雑』と『渋滞無し』との閾値が20km/hである。
従って、例えばVICSセンタ4では車両が一般道路を平均速度15km/hで走行していることが検出された区間に対しては渋滞度が「混雑」に検出される。
【0041】
そして、VICSセンタ4は図6に示す渋滞度演算テーブル51を用いて、感知器の設置された各リンクに対して渋滞度及び渋滞長を検出し、VICSデータを作成する。
【0042】
次に、プローブセンタ2において用いられる渋滞度演算テーブル52について図7を用いて説明する。渋滞度演算テーブル52は車両の走行速度に基づいて渋滞の程度を示す渋滞度を検出する為のテーブルである。そして、プローブセンタ2は、車両3から収集したプローブデータを統計処理することにより、各リンクの平均車速を曜日毎及び時間帯毎に検出し、渋滞度演算テーブル52に基づいて各リンクの渋滞度を検出する。
【0043】
また、図7に示すように、本実施形態に係る渋滞度演算テーブル52は、渋滞度演算テーブル51と同じく『渋滞』、『混雑』、『渋滞無し』の3種類の渋滞度と、各渋滞度に対応する車両の走行速度の閾値から構成されている。また、車両の走行速度の閾値V11〜V32は、後述のようにVICSデータとプローブ情報の統計結果との比較を行うことによって、道路属性(「都市間高速道路」、「都市内高速道路」、「一般道路」の3種類)毎に異なる値が設定される。具体的に、「都市間高速道路」では『渋滞』と『混雑』との閾値がV11km/hであり、『混雑』と『渋滞無し』との閾値がV12km/hである。また、「都市内高速道路」では『渋滞』と『混雑』との閾値がV21km/hであり、『混雑』と『渋滞無し』との閾値がV22km/hである。更に、「一般道路」では『渋滞』と『混雑』との閾値がV31km/hであり、『混雑』と『渋滞無し』との閾値がV32km/hである。
また、この閾値(V11〜V32)は、二次メッシュ単位又は都道府県単位で同一の値が設定される。
【0044】
そして、プローブセンタ2は図7に示す渋滞度演算テーブル52を用いて、ナビゲーション装置6の有する地図データを構成する各リンクに対して渋滞度を検出し、検出されたリンクの渋滞度を含むプローブ交通情報を作成する。
【0045】
続いて、前記構成を有する渋滞状況演算システム1を構成するプローブセンタ2においてサーバ20が実行する渋滞度演算処理プログラムについて図8に基づき説明する。図8は本実施形態に係る渋滞度演算処理プログラムのフローチャートである。ここで、渋滞度演算処理プログラムは前回プログラムを実行した時から所定期間(例えば1年)経過後に実行され、その所定期間にプローブカーから収集したプローブ情報に基づいてリンクの渋滞度を演算するプログラムである。尚、以下の図8にフローチャートで示されるプログラムは、サーバ20が備えているRAM22、ROM23等に記憶されており、CPU21により実行される。
【0046】
先ず、渋滞度演算処理プログラムではステップ(以下、Sと略記する)1において、CPU21はプローブ情報DB24からプローブ情報(図3参照)を取得する。尚、このとき取得されるプローブ情報は、前回渋滞度演算処理プログラムを実行した時点(例えば1年前)から現在までの期間において、プローブカーである各車両3から収集した所定期間分の新たなプローブ情報である。
尚、渋滞度演算処理プログラムは新たに車両3からプローブ情報を取得する毎に実行しても良く、その場合にはリアルタイムで取得したプローブ情報に基づく新たな渋滞度が演算されることととなる。また、前記S1では過去の一定期間のプローブ情報のみを取得することとしても良い。尚、上記S1がプローブ情報取得手段の処理に相当する。
【0047】
次に、S2においてCPU21は、先ず前記S1で取得したプローブ情報の統計処理を行い、特にリンクを走行した車両の車速の平均値をリンク毎に算出する。そして、算出された平均車速と、所定車速毎(例えば3km/h毎)に値を変更した閾値(例えば閾値V31では3、6、9、12、15、18、21km/hの7種類の閾値に対して比較する)とを比較して各リンクの渋滞度(第1渋滞度)を検出する。
尚、前記S2の処理は道路属性ごとの全ての閾値(V11〜V32の6種類)に対してそれぞれ行い、渋滞度を検出する。また、上記S2が渋滞度検出手段の処理に相当する。
【0048】
その後、S3においてCPU21は、VICSセンタ4から前記S1で取得したプローブ情報を構成するリンクであって、特にプローブ情報の生成された時期に関連するVICS情報(図5参照)を取得する。尚、上記S3が渋滞情報取得手段の処理に相当する。
【0049】
そして、以下ではS4〜S11の処理を都道府県単位でループし、全国の全都道府県に対する処理が終了するまで繰り返し行う。また、S4〜S7、S9〜S11の処理を二次メッシュ単位でループし、処理対象にある都道府県内の全二次メッシュに対する処理が終了するまで繰り返し行う。
【0050】
先ず、S4でCPU21は、現在処理対象にある二次メッシュ内にVICSによる情報提供の対象となっているVICSリンク(即ち、路上に感知器が設置されたリンク)があるか否か判定する。
【0051】
そして、VICSリンクがあると判定された場合(S4:YES)には、S5へと移行する。一方、VICSリンクが無いと判定された場合(S4:NO)には、現在処理対象にある二次メッシュに対する処理は行わずに、次の二次メッシュを対象とした処理へと移行する。
【0052】
S5でCPU21は所定車速毎に値を変更した各閾値に対して、前記S2で検出したプローブ情報に基づく渋滞度(第1渋滞度)と、前記S3で取得したVICS情報に基づく渋滞度(第2渋滞度)とを比較して、その一致率を算出する。
【0053】
ここで、図9はプローブ情報に基づく渋滞度とVICS情報に基づく渋滞度とを比較した際の比較例を示した図である。前記したようにプローブデータ及びプローブ交通情報で用いられるリンク区分と、VICSセンタ4やVICSデータで用いられるリンク区分とは異なっている。従って、図9に示すようにプローブ情報では4本のリンクA〜Dで構成されている区間が、VICS情報では3本のリンクa〜cで構成されることもある。
そして、図9に示す例では、リンクAの全区間ではプローブ情報に基づく渋滞度が『渋滞無し』でVICS情報に基づく渋滞度が『混雑』であり、渋滞度が一致しない。また、リンクBの全区間ではプローブ情報に基づく渋滞度が『混雑』でVICS情報に基づく渋滞度が『混雑』であり、渋滞度が一致する。また、リンクCの全区間ではプローブ情報に基づく渋滞度が『渋滞』でVICS情報に基づく渋滞度が『渋滞』であり、渋滞度が一致する。更に、リンクDの全区間ではプローブ情報に基づく渋滞度が『渋滞無し』でVICS情報に基づく渋滞度が『混雑』であり、渋滞度が一致しない。
従って、図9に示す区間では一致率は50%となる。尚、一致率は一致しているリンクの数の割合で算出しても良いし、リンクに関係なく一致している区間の距離の割合で算出しても良い。
また、S5の処理は、値の異なる複数の閾値毎に行い、各閾値に対して一致率を算出する。
【0054】
そして、S6ではCPU21は、値の異なる複数の閾値の中から、前記S5で算出された一致率が最も高い閾値を選択する。
【0055】
ここで、図10はプローブ情報に基づく渋滞度とVICS情報に基づく渋滞度との一致率を各閾値で比較した際の比較例を示した図である。尚、図10は特に「一般道路」の『混雑』と『渋滞』とを区分する閾値V31についての比較例である。また、比較対象となる閾値は3、6、9、12、15、18、21km/hの7種類である。
図10に示すように、平日においては、「福岡」、「大阪東北部」、「名古屋北部」の二次メッシュでは閾値V31=6km/hとしたときが最も一致率が高くなっており、閾値V31として6km/hが選択される。また、「東京首都」、「札幌」の二次メッシュでは閾値V31=9km/hとしたときが最も一致率が高くなっており、閾値V31として9km/hが選択される。また、「仙台西北部」の二次メッシュでは閾値V31=12km/hとしたときが最も一致率が高くなっており、閾値V31として126km/hが選択される。
一方、休日においては、「東京首都」の二次メッシュでは閾値V31=3km/hとしたときが最も一致率が高くなっており、閾値V31として3km/hが選択される。また、「仙台西北部」の二次メッシュでは閾値V31=6km/hとしたときが最も一致率が高くなっており、閾値V31として6km/hが選択される。また、「大阪東北部」、「名古屋北部」の二次メッシュでは閾値V31=9km/hとしたときが最も一致率が高くなっており、閾値V31として9km/hが選択される。また、「福岡」、「札幌」の二次メッシュでは閾値V31=18km/hとしたときが最も一致率が高くなっており、閾値V31として6km/hが選択される。
尚、前記S5及びS6の処理は道路属性ごとの全ての閾値(V11〜V32の6種類)に対してそれぞれ行う。また、上記S5が渋滞度比較手段の処理に相当し、S6が閾値選択手段の処理に相当する。
【0056】
そして、S7でCPU21は前記S6で選択された閾値からなる渋滞度演算テーブル52(図7)を用いて、現在処理対象にある二次メッシュ内の各リンクの渋滞度を検出する。尚、S7の処理は前記S2の検出結果の内、前記S6で選択された閾値に基づく渋滞度の検出結果をそのまま用いても良い。
【0057】
その後、処理対象にある都道府県内の全二次メッシュに対するS4〜S7の処理が終了すると、S8でCPU21は現在処理対象にある都道府県を構成する複数の二次メッシュにおいて、前記S6で選択された最も一致率の高い閾値について読み出し、その平均値を算出する。
【0058】
続いて、S9でCPU21は、現在処理対象にある二次メッシュ内にVICSによる情報提供の対象となっているVICSリンク(即ち、路上に感知器が設置されたリンク)があるか否か判定する。
【0059】
そして、VICSリンクが無いと判定された場合(S9:NO)には、S10へと移行する。一方、VICSリンクがあると判定された場合(S9:YES)には、現在処理対象にある二次メッシュに対する処理は行わずに、次の二次メッシュを対象とした処理へと移行する。
【0060】
S10でCPU21は、前記S8で算出された現在処理対象にある都道府県を構成する二次メッシュの閾値の平均値を、VICSリンクが無いと判定された現在処理対象にある二次メッシュに対して閾値に選択する。
【0061】
ここで、図11はVICSリンクが無いと判定された二次メッシュに対する閾値の選択処理の具体例について説明した説明図である。尚、図11では便宜的に都道府県エリア80は4つの二次メッシュ81〜84で構成されているとする。
そして、二次メッシュ81にはVICSリンクが存在しない。一方、他の二次メッシュ82〜84はVICSリンクがあり、前記S6の処理でそれぞれ閾値V31が12km/h、9km/h、12km/hと選択されていることとする(尚、V11〜V22、V32については説明を省略する)。その際、二次メッシュ81の閾値は同じ都道府県内の他の二次メッシュ82〜84の閾値の平均値であり、V31=(12+9+12)/3=11km/hとなる。
尚、前記S10の処理は道路属性ごとの全ての閾値(V11〜V32の6種類)に対してそれぞれ行う。
【0062】
そして、S11でCPU21は前記S10で選択された閾値からなる渋滞度演算テーブル52(図7)を用いて、現在処理対象にある二次メッシュ内の各リンクの渋滞度を検出する。尚、上記S10が閾値適用手段の処理に相当し、S11が非存在エリア渋滞度検出手段の処理に相当する。
【0063】
その後、処理対象にある都道府県内の全二次メッシュに対するS9〜S11の処理が終了すると、次の都道府県を対象とした処理へと移行する。そして、全国の全ての都道府県に対する処理が終了した後に、当該渋滞度演算処理プログラムを終了する。
【0064】
尚、上記渋滞度演算処理プログラムで演算された各リンクの渋滞度は、プローブ交通情報として車両3のナビゲーション装置6に対して配信される。そして、ナビゲーション装置6では配信された各リンクの渋滞度を用いて渋滞状況の案内を行ったり、最適な誘導経路の探索を行う。また、同一リンク区間においてプローブ情報の統計処理に基づいて検出された渋滞度と、VICS情報の渋滞度が異なる場合には、VICS情報の渋滞度を優先して表示するようにする。
【0065】
以上詳細に説明した通り、本実施形態に係る渋滞状況演算システム1では、プローブカーである車両3から収集したプローブデータに基づいてリンクの渋滞度を演算する際に、渋滞度演算テーブル52にある渋滞度を区分する為の閾値V11〜V32を所定車速毎に変化させて渋滞度を検出し(S2)、二次メッシュ単位でVICS情報に基づく渋滞度との一致率を比較することによって最も一致率の高い閾値を選択し(S5、S6)、選択された閾値に基づいて当該二次メッシュの渋滞度を検出する(S7)ので、VICS情報を考慮することにより、プローブカーシステムによって提供される渋滞情報の信頼度を向上させることが可能となる。
また、プローブ情報に基づいて検出されたリンクの渋滞度と、VICS情報のリンクの渋滞度とが大きく異なる結果となることを防止できるので、提供した交通情報によって利用者を困惑させる虞が無い。
また、道路属性毎に異なる閾値を選択するので、リンクの道路属性を考慮して、リンク毎により適した閾値を選択することが可能となり、プローブカーシステムによって提供される渋滞情報の信頼度を向上させる。
また、VICSによって提供される信頼度の高いVICS情報と一致させるように閾値を設定するので、プローブカーシステムによって提供される渋滞情報の信頼度についても向上させることが可能となる。
また、二次メッシュ単位又は都道府県単位で閾値を選択するので、地域差を考慮して各地域ごとに最適な閾値を選択することが可能となる。
更に、VICSリンクが無い二次メッシュに対しては、そのエリアを含む都道府県エリアの閾値の平均値を、その二次メッシュエリアの閾値に選択する(S10)ので、比較対象とするVICS情報が無い二次メッシュであっても、周囲エリアの閾値を考慮して当該二次メッシュに対して適当な閾値を選択することが可能となる。
【0066】
尚、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることは勿論である。
例えば、本実施形態ではプローブセンタ2が渋滞度の比較結果に基づく閾値の選択処理並びに選択された閾値に基づく渋滞度の検出処理(S4〜S11)を行うこととしているが、これらの処理はVICSセンタ4やナビゲーション装置6が行うようにしても良い。また、プローブセンタ2、VICSセンタ4及びナビゲーション装置6で分担して行うようにしても良い。例えば、渋滞度の比較結果に基づく閾値の選択処理をプローブセンタ2が行い、選択された閾値に基づく渋滞度の検出処理をナビゲーション装置6が行うようにしても良い。
【0067】
また、本実施形態ではプローブ情報の統計結果に基づく渋滞度(第1渋滞度)と、VICS情報に基づく渋滞度(第2渋滞度)との比較は二次メッシュ単位で行うこととしているが、都道府県単位で行うこととしても良い。その場合には、都道府県単位で閾値V11〜V32が選択されることとなる。
【0068】
また、本実施形態ではVICSリンクが無い二次メッシュに対しては、そのエリアを含む都道府県エリア内の閾値の平均値を、その二次メッシュエリアの閾値に選択することとしているが、例えば、平均値でなく中央値となる閾値をその二次メッシュエリアの閾値に選択しても良い。また、隣接する二次メッシュの閾値と同じ値の閾値を適用しても良い。
また、隣接する二次メッシュの閾値の平均値を閾値として適用しても良い。
【0069】
また、図6ではVICS情報においてリンクの全区間において同一の渋滞度である場合を例に挙げて説明したが、リンクの一部区間のみが『渋滞』又は『混雑』である場合や、同一リンク内に異なる渋滞度が混在する場合においても本願発明を適用することが可能である。その場合には、リンク単位でなく距離単位でプローブ情報の渋滞度とVICS情報の渋滞度を比較して一致率を算出することが望ましい。また、リンクに設定された渋滞度(『渋滞』、『混雑』、『渋滞無し』のいずれか)の内で最も距離割合の高い渋滞度を、そのリンクの渋滞度と仮定し、リンク単位で比較することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本実施形態に係る渋滞状況演算システムを示した概略構成図である。
【図2】本実施形態に係る渋滞状況演算システムの構成を示したブロック図である。
【図3】プローブ情報DBに記憶されるプローブ情報の一例を示した図である。
【図4】交通情報DBに記憶されるプローブ交通情報の一例を示した図である。
【図5】VICS情報DBに記憶されるVICS情報の一例を示した図である。
【図6】VICSセンタにおいて用いられる渋滞度演算テーブルについて示した図である。
【図7】プローブセンタにおいて用いられる渋滞度演算テーブルについて示した図である。
【図8】本実施形態に係る渋滞度演算処理プログラムのフローチャートである。
【図9】プローブ情報に基づく渋滞度とVICS情報に基づく渋滞度とを比較した際の比較例を示した図である。
【図10】プローブ情報に基づく渋滞度とVICS情報に基づく渋滞度との一致率を各閾値で比較した際の比較例を示した図である。
【図11】VICSリンクが無いと判定された二次メッシュに対する閾値の選択処理の具体例について説明した説明図である。
【符号の説明】
【0071】
1 渋滞状況演算システム
2 プローブセンタ
3 車両
4 VICSセンタ
20 サーバ
21 CPU
22 RAM
23 ROM
24 プローブ情報DB
25 交通情報DB
41 VICS情報DB
51、52 渋滞度演算テーブル


【特許請求の範囲】
【請求項1】
プローブ情報を取得するプローブ情報取得手段を有し、
前記プローブ情報取得手段により取得されたプローブ情報に基づいてリンクの渋滞度を演算する渋滞状況演算システムにおいて、
前記プローブ情報はリンクを走行するプローブカーの平均速度であり、
前記平均速度を値の異なる複数の閾値と比較することにより各閾値に対応してリンクの第1渋滞度を検出する渋滞度検出手段と、
前記リンクの渋滞情報を取得する渋滞情報取得手段と、
所定エリア内に含まれるリンクにおいて前記渋滞情報取得手段によって取得された渋滞情報に基づく第2渋滞度と前記渋滞度検出手段で検出された第1渋滞度とを前記複数の閾値毎にそれぞれ比較する渋滞度比較手段と、
前記複数の閾値の内、前記渋滞度比較手段の比較により第1渋滞度と第2渋滞度が最も一致すると判定された閾値を選択する閾値選択手段と、を有し、
前記閾値選択手段で選択された閾値に基づいて検出された第1渋滞度を前記所定エリア内におけるリンクの渋滞度として演算することを特徴とする渋滞状況演算システム。
【請求項2】
前記閾値選択手段はリンクの道路属性毎に異なる閾値を選択することを特徴とする請求項1に記載の渋滞状況演算システム。
【請求項3】
前記渋滞情報取得手段によって取得される前記渋滞情報は、路上に設置された感知器を用いて路上を走行する車両を検出した検出結果に基づく情報であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の渋滞状況演算システム。
【請求項4】
前記所定エリアはメッシュ単位又は都道府県単位に区分されたエリアであることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の渋滞状況演算システム。
【請求項5】
前記渋滞情報取得手段により取得される前記リンクの渋滞情報が存在しない所定エリアである非存在エリアに対して、前記非存在エリアを含む広域エリア内の他のエリアで選択されている閾値又は閾値の平均値を非存在エリアの閾値として適用する閾値適用手段と、
前記非存在エリア内のリンクの平均速度を前記閾値適用手段により適用された閾値と比較することによりリンクの渋滞度を検出する非存在エリア渋滞度検出手段と、を有し、
前記非存在エリア渋滞度検出手段で検出された渋滞度を前記非存在エリア内におけるリンクの渋滞度として演算することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかの渋滞状況演算システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2008−234162(P2008−234162A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−70873(P2007−70873)
【出願日】平成19年3月19日(2007.3.19)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】