説明

温風暖房機

【課題】バーナの不完全燃焼を精度良く検出することができる温風暖房装置を提供することを目的とする。
【解決手段】バーナ11と、吸気口15から空気を吸入すると共に、吸気口15から吸入した空気とバーナ11の燃焼排ガスとの混合気cを温風吹出口12から送出するファン13と、混合気cの送出経路Xに設けられ、混合気中cの一酸化炭素との酸化・還元反応により、混合気c中の一酸化炭素の濃度に比例した電流を出力する電気化学式COセンサと18と、隔壁30の電気化学式COセンサ18の設置箇所付近に吸気口15から吸入された空気を導入する導入路Yと、電気化学式COセンサ18の出力電流に基いて、バーナ11の燃焼状態を検知する燃焼状態検知手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バーナの燃焼異常を検知する機能を有する温風暖房機に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば室内開放型のガス温風暖房機において、バーナの近傍に設けた熱電対の熱起電力により室内の酸素濃度の低下を監視し、バーナの不完全燃焼による酸素の濃度の低下に応じて換気装置を作動させるようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。しかし、熱電対による場合には、熱電対の設置箇所における局所的なバーナの燃焼状態を検出ことになるため、部分的なバーナの不完全燃焼を検出できない場合があり、バーナの不完全燃焼を精度良く検出することが困難であった。
【0003】
また、バーナの不完全燃焼の検出を、バーナの燃焼排ガス中のCO(一酸化炭素)の濃度をCOセンサにより検出することによって行うことも考えられるが、COセンサとして一般に使用されている接触燃焼式COセンサは振動に弱く、持ち運んで使用されることが多い室内開放型のガス温風暖房機に使用した場合には、精度の保証が困難であった。
【0004】
また、振動に強いCOセンサとして半導体式COセンサがあるが、経時変化に対応して検出精度を維持するために定期的なCOセンサの点検や交換が必要であり、メンテナンスの負担から採用が難しかった。
【特許文献1】特開平10−205750号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記背景を鑑みてなされたものであり、バーナの不完全燃焼を精度良く検出することができる温風暖房装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明は、バーナと、吸気口から空気を吸入すると共に、該吸気口から吸入した空気と該バーナの燃焼排ガスとの混合気を温風吹出口から送出する送風ファンと、前記混合気の送出経路に設けられ、前記混合気中の一酸化炭素との酸化・還元反応により、前記混合気中の一酸化炭素の濃度に比例した電流を出力する電気化学式COセンサと、該電気化学式COセンサの出力電流に基いて、前記バーナの燃焼状態を検知する燃焼状態検知手段とを備えたことを特徴とする。
【0007】
ここで、電気化学式COセンサは、上述した接触燃焼式COセンサや半導体式COセンサに比べてCOの検出精度が高いが、使用環境温度に制限がある(例えば80度以下)。そのため、高温となるバーナの燃焼排ガス中のCO濃度を電気化学式COセンサで検出することは難しい。
【0008】
そこで、本発明においては、前記電気化学式COセンサを、前記送風ファンにより送出される前記吸気口から吸入した空気と燃焼排ガスとの混合気の送出経路に設け、前記電気化学式COセンサにより該混合気中のCO濃度を検出する。この場合、混合気の温度は空気との混合により燃焼排ガスの温度よりも低くなるので、電気化学式COセンサの使用が可能となる。そして、前記バーナの不完全燃焼が生じて燃焼排ガス中のCOの濃度が高まると、それに応じて前記混合気中のCO濃度も高くなるので、前記混合気中のCO濃度を前記電気化学式COセンサを用いて検出することで、前記バーナの燃焼状態を精度良く検知することができる。
【0009】
また、前記混合気の送出経路に設けられて、前記混合気の流通を局所的に妨げる流通制限手段を備え、前記電気化学式COセンサは、該流通制限手段の下流側の近傍に設けられていることを特徴とする。
【0010】
かかる本発明によれば、前記流通制限手段により前記電気化学式COセンサに向かう混合気の流量が低減され、これにより前記電気化学式COセンサの温度上昇を抑えることができる。
【0011】
また、前記流通制限手段として貫通孔を有する緩衝板を有し、前記電気化学式COセンサの周囲に、該貫通孔以外から前記電気化学式COセンサへの前記混合気の流入を妨げるための遮蔽板を備えたことを特徴とする。
【0012】
かかる本発明によれば、前記緩衝板により前記電気化学式COセンサに向かう前記混合気の流量を減少させると共に、前記遮蔽板により前記緩衝板に設けられた貫通孔以外からの前記混合気の流入を排除することによって、前記混合気による前記電気化学式COセンサの温度上昇をさらに抑制することができる。
【0013】
また、前記電気化学式COセンサは、前記混合気の送出路を形成する隔壁に取り付けられ、前記吸気口から吸入された空気を、前記隔壁を介して前記電気化学式COセンサと対向する箇所に導入する導入路を備えたことを特徴とする。
【0014】
かかる本発明によれば、前記吸気口から吸入されて前記導入路に供給される空気によって、前記電気化学式COセンサが取り付けられた隔壁の裏面が冷却される。そして、これにより、前記電気化学式COセンサの温度上昇を抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の実施の形態について、図1〜図4を参照して説明する。図1はガス温風暖房機の正面図、図2は図1に示したガス温風暖房機の断面図、図3は図2に示したCOセンサの収容ケースの斜視図、図4は図1に示したガス温風暖房機の制御ブロック図である。
【0016】
図1はガス温風暖房機1(本発明の温風暖房機に相当する)の本体ケース2の前板を取り外した状態の正面図であり、ガス温風暖房機1の背面に吸気口15が設けられ、正面に温風吹出口12が設けられている。
【0017】
また、ガス温風暖房機1は、ガス温風暖房機1の作動を制御する電子ユニットであるコントローラ5と、燃焼室10内に配置されたバーナ11と、吸気口15から吸入した空気を燃焼用空気としてバーナ11に供給すると共に、バーナ11の燃焼排ガスと吸気口15から吸入した空気とを混合して、温風吹出口12から送出するファン13とを備えている。
【0018】
さらに、ガス温風暖房機1は、バーナ11の燃焼状態を検知する熱電対16と、バーナ11の不完全燃焼を検知するための電気化学式COセンサ18と、バーナ11に燃料ガスを供給するガス供給管(図示しない)を開閉する電磁弁(図示しない)と、該ガス供給管の開度を調節する比例弁(図示しない)と、バーナ11に点火するためのイグナイタ(図示しない)と、室温を検出する室温センサ(図示しない)とを備えている。
【0019】
次に、図2を参照して、吸気口15には、その全面を覆うエアフィルタ20が着脱自在に装着されている。また、本体ケース2の上面の前方には、各種の操作スイッチが備えられた操作パネル21が設けられ、本体ケース2の前面の上部には、暖房運転が停止したことを報知する報知ランプ22が備えられている。
【0020】
暖房運転の実行時には、コントローラ5は、ファン13を作動させてバーナ11を燃焼させる。これにより、吸気口15から吸入されて燃焼用二次空気吸込口25から燃焼室10に供給された燃焼用二次空気と、図示しない燃焼用一次空気吸込口から吸入された燃焼用一次空気によって、燃料ガスが燃焼する。また、燃焼により生じた燃焼排ガスbは、バーナ11の上方から燃焼室10の上部を通って排出される。
【0021】
ここで、燃焼室10の上部から排出された燃焼排ガスbと、吸気口15から吸入された空気a2が、仕切り板26と燃焼室10との間で混合される。さらに、ファン13の回転によって、吸気口15から吸入された空気の一部a3が、本体ケース2と仕切り板26の間を下方に流れて本体ケース2を冷却しながら、スリット27,28からファン13の付近に供給され、上方から流入する混合空気とさらに混合される。そして、これにより、適温となった混合空気cが温風吹出口12から室内に送出される。
【0022】
また、混合気cの流通路Xを形成する隔壁30に取り付けられたケース31内に、電気化学式COセンサ18が設けられ、吸気口15から吸入される室内の空気の温度を検出する室温センサ17が設けられている。
【0023】
電気化学式COセンサ18が設けられた箇所と隔壁30を介して対抗する部分には、吸気口15から吸入されてスリット94を抜けてファン13に向かう空気a4が流通する。そして、この空気a4によって電気化化学式COセンサ18が設けられた箇所の付近の隔壁30及びケース31が冷却されるため、混合気cの流通による電気化学式COセンサ18の温度上昇が抑制される。
【0024】
次に、図3を参照して、ケース31は、隔壁30に接して取り付けられる天板101と、貫通孔35(35a,35b,35c,35d)を有して混合気cの流通を減少させる緩衝板100と、側板102,103と、底板104と、混合気cを抜くための貫通孔36(36a,36b)を有する側板105とからなっている。なお、緩衝板100は本発明の流通制限手段に相当し、天板101、側板102,103,105、及び底板104は本発明の遮蔽板に相当する。
【0025】
ケース31内には、貫通孔35から混合気cが流入し、貫通孔35以外からケース31内への混合気cの流入は、天板101、側板102,103,105、及び底板104により妨げられる。これにより、ケース31内への混合気cの流量が制限され、混合気cの流通による電気化学式COセンサ18の温度上昇を抑制することができる。
【0026】
次に、図4を参照して、コントローラ5は、CPU、メモリ等により構成された電子ユニットであり、予めメモリに記憶されたプログラムを実行することにより、バーナ11の不完全燃焼を検知したときにバーナ11の燃焼を停止する強制燃焼停止手段40、暖房運転を実行する暖房制御手段41、及び報知ランプ22の作動を制御する表示制御手段42として機能する。
【0027】
コントローラ5は、操作パネル21、熱電対16、電気化学式COセンサ18、イグナイタ60、電磁弁61、比例弁62、ファン13、室温センサ17、及び報知ランプ22と接続されている。そして、操作パネル21からコントローラ5に入力される暖房運転スイッチ50及び温度設定スイッチ51の操作信号に応じて、コントローラ5は、暖房運転を実行する。
【0028】
暖房制御手段41は、イグナイタ60、電磁弁61、比例弁62、ファン13の作動を制御して暖房運転を実行する。暖房運転において、暖房制御手段41は、温度設定スイッチ51により設定された目標温度と、室温センサ17の検出温度が一致するように、該目標温度と該検出温度との差に応じてバーナ11の燃焼量を変更する。
【0029】
また、強制燃焼停止手段40は、暖房運転の実行時に熱電対16の熱起電力TCと電気化学式COセンサ18の出力電流Iecとを監視する。そして、熱電対16の熱起電力TCが基準値から所定の判定レベル以上低下したときに、バーナ11の燃焼を停止する。
【0030】
ここで、熱電対16の熱起電力TCは、室内の酸素の濃度の低下に応じて減少するため、熱電対16の熱起電力TCが基準値から所定の判定レベル以上低下したときに、バーナ11の燃焼を停止することにより、酸素不足によりバーナ11の不完全燃焼が生じることを防止することができる。
【0031】
また、強制燃焼停止手段40は、電気化学式COセンサ18の出力電流Iecが基準値を超えたときに、バーナ11の燃焼を停止する。ここで、電気化学式COセンサ18の出力電流Iecは、COの濃度の増加に応じて増加するため、電気化学式COセンサ18の出力電流Iecが基準値を超えたときにバーナ11の燃焼を停止することにより、バーナ11の不完全燃焼により燃焼排ガス中のCO濃度が増大した状況が継続されることを防止することができる。
【0032】
なお、本実施の形態においては、本発明の流通制限手段として緩衝板100を有し、本発明の遮蔽板として天板101、側板102,103,105、底板104を有するケース31を備えて、ケース31内に電気化学式COセンサ18を設けたが、緩衝板100のみを設けて緩衝板100の下流側の近傍に電気化学式COセンサ18を設ける場合や、天板101、側板102,103,105、底板104のうちの一部のみを設ける場合にも本発明の効果を得ることができる。
【0033】
また、本発明の流通制限手段の構成は緩衝板100に限られず、混合気の流通を妨げるものであればよい。
【0034】
また、本実施の形態においては、吸気口15から吸入した空気を電気化学式センサ18が設けられた箇所の付近まで導入する導入路Yを備えたが、該導入路Yを備えない場合であっても本発明の効果を得ることができる。
【0035】
また、本実施の形態では、ガスバーナを備えた温風暖房機を示したが、灯油バーナ等他の燃料を用いるバーナを備えた温風暖房機に対しても本発明の適用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】ガス温風暖房機の正面図。
【図2】図1に示したガス温風暖房機の断面図。
【図3】図2に示したCOセンサの収容ケースの斜視図。
【図4】図1に示したガス温風暖房機の制御ブロック図。
【符号の説明】
【0037】
1…ガス温風暖房機、5…コントローラ、11…バーナ、13…ファン、15…吸気口、16…熱電対、17…室温センサ、18…電気化学式COセンサ、21…操作パネル、22…報知ランプ、40…強制燃焼停止手段、41…暖房制御手段、45…表示制御手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バーナと、
吸気口から空気を吸入すると共に、該吸気口から吸入した空気と該バーナの燃焼排ガスとの混合気を温風吹出口から送出する送風ファンと、
前記混合気の送出経路に設けられ、前記混合気中の一酸化炭素との酸化・還元反応により、前記混合気中の一酸化炭素の濃度に比例した電流を出力する電気化学式COセンサと、
該電気化学式COセンサの出力電流に基いて、前記バーナの燃焼状態を検知する燃焼状態検知手段とを備えたことを特徴とする温風暖房機。
【請求項2】
前記混合気の送出経路に設けられて、前記混合気の流通を妨げる流通制限手段を備え、
前記電気化学式COセンサは、該流通制限手段の下流側の近傍に設けられていることを特徴とする請求項1記載の温風暖房機。
【請求項3】
前記流通制限手段として貫通孔を有する緩衝板を有し、
前記電気化学式COセンサの周囲に、該貫通孔以外から前記電気化学式COセンサへの前記混合気の流入を妨げるための遮蔽板を備えたことを特徴とする請求項2記載の温風暖房機。
【請求項4】
前記電気化学式COセンサは、前記混合気の送出路を形成する隔壁に取り付けられ、
前記吸気口から吸入された空気を、前記隔壁を介して前記電気化学式COセンサと対向する箇所に導入する導入路を備えたことを特徴とする請求項1から請求項3のうちいずれか1項記載の温風暖房機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−14551(P2008−14551A)
【公開日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−185121(P2006−185121)
【出願日】平成18年7月5日(2006.7.5)
【出願人】(000115854)リンナイ株式会社 (1,534)
【Fターム(参考)】