説明

測位システム及び測位方法

【課題】GPS衛星などが送信した電波を受信することにより受信装置の位置を測位する測位システムにおいて、ミリメートル級の高精度な測位を実現する。
【解決手段】GPS衛星などが送信した電波を、校正点受信装置110及び測定点受信装置210が受信する。受信した電波に基づいて、校正点擬似距離算出装置120及び測定点擬似距離算出装置220が擬似距離を算出する。電子基準点においてGPS衛星などが送信した電波を受信することにより算出した誤差に基づいて、校正点擬似距離誤差補正装置160及び測定点擬似距離誤差補正装置260が擬似距離を補正する。補正した擬似距離に基づいて、校正点位置算出装置170及び測定点位置算出装置270が校正点算出位置及び測定点算出位置を算出する。算出した校正点算出位置及び測定点算出位置に基づいて、測定点相対位置算出装置340が測定点相対位置を算出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、GPS(Global Positioning System)衛星などが送信した電波を受信して受信装置の位置を測位する測位システムに関する。
【背景技術】
【0002】
GPS衛星などが送信した電波を受信して受信装置の位置を測位する測位システムでは、GPS衛星などが電波を送信した時刻と受信装置が電波を受信した時刻との差から、電波の伝播時間を算出し、算出した伝播時間から、GPS衛星などと受信装置との間の距離を求めることにより、受信装置の位置を測位する。
伝播時間から求めた距離は、様々な誤差要因により、実際の距離と異なり、測位結果の精度に影響を与える。
そのため、伝播時間から求めた距離と実際の距離との誤差を補正し、測位結果の精度を高める技術がある。
例えば、D(Differential)GPSやRTK(Real Time Kinematic)−GPSのように、測定点と異なる地点に設置した電子基準点でGPS衛星などが送信した電波を受信し、受信した電波の伝播時間を求めて、GPS衛星などと電子基準点との距離を算出し、算出した距離を、あらかじめ測定しておいた電子基準点の位置から求めたGPS衛星などと電子基準点との距離と比較することにより、伝播時間から求めた距離と実際の距離との誤差を求める。
また、誤差要因のなかには受信装置の位置に依存する誤差要因もあるので、ネットワーク型RTK−GPSのように、複数の電子基準点を設け、複数の電子基準点それぞれにおいて求めた誤差から、測定点における誤差を推定する技術もある。
【特許文献1】特開2006−275882号公報
【特許文献2】特開2006−226772号公報
【特許文献3】特開2002−311123号公報
【特許文献4】特開平6−167563号公報
【特許文献5】特開平7−280913号公報
【特許文献6】特開平7−280916号公報
【特許文献7】特開2001−116820号公報
【特許文献8】特開2004−198291号公報
【特許文献9】特開2004−286600号公報
【特許文献10】特開2005−77291号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
受信装置の位置に依存する誤差は、複数の電子基準点において求めた誤差から測定点における誤差を推定しても、正確に推定することはできない。このため、測位結果には、例えば、数センチメートル程度の誤差が残る。
電子基準点と測定点との間の距離が近ければ、誤差の推定残差は小さくなるが、電子基準点の設置には、多大なコストがかかる。
この発明は、例えば、上記のような課題を解決するためになされたものであり、誤差数ミリメートル以内の高精度な測位を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この発明にかかる測位システムは、校正点受信装置と、校正点位置算出装置と、測定点受信装置と、測定点位置算出装置と、測定点相対位置算出装置とを有し、
上記校正点受信装置は、複数の送信装置がそれぞれ送信した電波を受信し、
上記校正点位置算出装置は、上記校正点受信装置が受信した電波と、上記複数の送信装置がそれぞれ送信した電波を所定の位置において受信することにより算出された誤差とに基づいて、上記校正点受信装置の位置を算出して、校正点算出位置とし、
上記測定点受信装置は、上記複数の送信装置がそれぞれ送信した電波を受信し、
上記測定点位置算出装置は、上記測定点受信装置が受信した電波と、上記複数の送信装置がそれぞれ送信した電波を所定の位置において受信することにより算出された誤差とに基づいて、上記測定点受信装置の位置を算出して、測定点算出位置とし、
上記測定点相対位置算出装置は、上記校正点位置算出装置が算出した校正点算出位置と、上記測定点位置算出装置が算出した測定点算出位置とに基づいて、上記校正点受信装置に対する上記測定点受信装置の相対位置を算出して、測定点相対位置とすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
この発明にかかる測位システムによれば、校正点受信装置及び測定点受信装置がそれぞれ受信した電波と、所定の位置において同じ電波を受信することにより算出した誤差とに基づいて、校正点算出位置及び測定点算出位置を算出するので、精度の高い校正点算出位置及び測定点算出位置を得ることができ、更に、算出した校正点算出位置及び測定点算出位置とに基づいて、測定点相対位置を算出するので、校正点算出位置及び測定点算出位置に残っている誤差が打ち消し合い、更に、精度の高い測定点相対位置を得ることができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
実施の形態1.
実施の形態1を、図1〜図4を用いて説明する。
【0007】
図1は、この実施の形態における測位システム800の全体構成の一例を示すシステム構成図である。
【0008】
測位システム800は、GPS衛星501〜504や準天頂衛星511など、位置が特定できる複数の送信装置(以下「衛星送信装置」と呼ぶ。)が送信した電波を受信し、受信した電波の遅延時間に基づいて、複数の衛星送信装置それぞれとの距離を算出し、算出した距離に基づいて、電波を受信した位置を求めるシステムである。
【0009】
測位システム800は、電子基準点装置601〜604、電子基準点集計装置701、校正基準点装置101、校正基準点集計装置111、測定点装置201、測位装置301を備える。
【0010】
電子基準点装置601〜604は、位置がわかっている場所に設置されている。電子基準点装置601〜604は、例えば、数十キロメートル間隔で設置されている。電子基準点装置601〜604は、複数の衛星送信装置がそれぞれ送信した電波を受信する。
【0011】
電子基準点装置601〜604の設置位置がわかっているので、電子基準点装置601〜604と衛星送信装置との間の幾何学的な距離(以下「幾何距離」と呼ぶ。)を求めることができる。
また、電子基準点装置601〜604が受信した電波の伝播時間に基づいて、電子基準点装置601〜604と衛星送信装置との間の距離(以下「擬似距離」と呼ぶ。)を求めることができる。
衛星送信装置が送信した電波は、電離層や対流圏の状態により遅延するので、電波の遅延時間に基づいて算出した擬似距離には、誤差が含まれる。
擬似距離の誤差は、幾何距離と擬似距離の差を取ることにより求めることができる。
【0012】
電子基準点集計装置701は、電子基準点装置601〜604が受信した電波に基づいて算出した擬似距離の誤差を集計し、面補正パラメータを生成する。
面補正パラメータとは、三次元の位置座標を引数とし、その位置座標が表わす位置における擬似距離の誤差を求める関数のパラメータである。
衛星送信装置と、衛星送信装置が送信した電波を受信する受信装置との位置関係により、衛星送信装置が送信した電波の伝播経路が異なるので、電離層や対流圏の状態も異なり、電波の遅延時間が変わってくる。
このため、擬似距離の誤差は、受信装置の位置の関数となる。
電子基準点集計装置701は、異なる場所における擬似距離の誤差を集計して、受信装置の位置と擬似距離の誤差との関係を推定し、推定した関係に基づいて、面補正パラメータを算出する。
【0013】
測定点装置201は、測位したい位置に設置する。校正基準点装置101は、測定点装置201の近く(例えば、数百メートル〜数キロメートル以内)に設置する。校正基準点装置101及び測定点装置201は、GPS衛星501〜504や準天頂衛星511などの送信装置が送信した電波を受信する。
【0014】
校正基準点集計装置111は、校正基準点装置101が受信した電波に基づいて算出した擬似距離などを用いて、校正基準点装置101の位置など校正基準点装置101に関する情報(以下「校正点情報」と呼ぶ。)を生成する。
測位装置301は、校正基準点装置101に対する測定点装置201の相対位置を算出する。
校正基準点装置101及び測定点装置201が受信した電波に基づいて算出した擬似距離を、電子基準点集計装置701が算出した面補正パラメータに基づいて補正することにより、より正確な擬似距離を求めることができる。補正した擬似距離に基づいて、校正基準点装置101及び測定点装置201の位置を算出し、算出した位置に基づいて、校正基準点装置101に対する測定点装置201の相対位置を算出することができる。
【0015】
図2は、この実施の形態における電子基準点装置601〜604及び電子基準点集計装置701の機能ブロックの構成の一例を示すブロック構成図である。
【0016】
電子基準点装置601〜604は、それぞれ、電子基準点受信装置610、電子基準点擬似距離算出装置620を有する。
電子基準点集計装置701は、衛星位置算出装置630、電子基準点位置記憶装置640、電子基準点幾何距離算出装置650、電子基準点擬似距離誤差算出装置660、面補正パラメータ算出装置710、面補正パラメータ送信装置720を有する。
なお、電子基準点擬似距離算出装置620は、必ずしも電子基準点装置601〜604が有している必要はなく、電子基準点集計装置701が有していてもよい。また、衛星位置算出装置630、電子基準点位置記憶装置640、電子基準点幾何距離算出装置650、電子基準点擬似距離誤差算出装置660は、必ずしも電子基準点集計装置701が有している必要はなく、電子基準点装置601〜604が有していてもよい。
【0017】
電子基準点受信装置610は、複数の衛星送信装置がそれぞれ送信した電波を受信する。
なお、GPS測位システムでは、電離層などにおける遅延時間を予測するための情報や、GPS衛星501〜504の軌道に関する情報(航法データ)が、GPS衛星501〜504が送信する電波に載せて送信される。電子基準点受信装置610は、受信した電波を復調して、これらの情報を取得する。
【0018】
電子基準点擬似距離算出装置620は、電子基準点受信装置610が受信した複数の電波それぞれに基づいて、電子基準点受信装置610が受信した電波を複数の衛星送信装置それぞれが送信した時刻と、複数の衛星送信装置それぞれが送信した電波を電子基準点受信装置610が受信した時刻との差(伝播時間)を算出する。
電子基準点擬似距離算出装置620は、算出した伝播時間に基づいて、電子基準点受信装置610が受信した電波を送信した複数の衛星送信装置それぞれと、電子基準点受信装置610との間の擬似距離(以下、「電子基準点擬似距離」と呼ぶ。)を算出する。
なお、GPS測位システムでは、電離層などにおける遅延時間を予測するための情報を載せた電波をGPS衛星501〜504が送信するので、電子基準点擬似距離算出装置620は、電子基準点受信装置610が取得した情報に基づいて予測した遅延時間による補正を加えた上で、電子基準点擬似距離を算出する。
【0019】
衛星位置算出装置630は、電子基準点受信装置610が受信した電波を送信した複数の衛星送信装置それぞれについて、衛星送信装置の位置を算出する。
なお、GPS測位システムでは、GPS衛星501〜504の軌道を表わす情報を載せた電波をGPS衛星501〜504が送信するので、衛星位置算出装置630は、電子基準点受信装置610が取得した情報に基づいて送信装置の位置を算出する。
また、衛星位置算出装置630に代えて衛星位置取得装置を設け、他の装置が算出した複数の衛星送信装置それぞれの位置を、衛星位置取得装置が取得する構成としてもよい。
【0020】
電子基準点位置記憶装置640は、電子基準点受信装置610の位置を記憶している。
電子基準点位置記憶装置640が記憶している電子基準点受信装置610の位置は、あらかじめ測量など他の方法で求められたものであり、電子基準点受信装置610の正確な位置(例えば、誤差1mm以内)を表わす。
【0021】
電子基準点幾何距離算出装置650は、衛星位置算出装置630が算出した複数の衛星送信装置それぞれの位置と、電子基準点位置記憶装置640が記憶した電子基準点受信装置610の位置とに基づいて、複数の衛星送信装置それぞれと、電子基準点受信装置610との間の幾何距離(以下「電子基準点幾何距離」と呼ぶ。)を算出する。
【0022】
電子基準点擬似距離誤差算出装置660は、電子基準点擬似距離算出装置620が算出した電子基準点擬似距離と、電子基準点幾何距離算出装置650が算出した電子基準点幾何距離とに基づいて、電子基準点受信装置610が設置された場所における擬似距離の誤差(以下「電子基準点擬似距離誤差」と呼ぶ。)を算出する。電子基準点擬似距離算出装置620及び電子基準点幾何距離算出装置650は、電子基準点受信装置610が受信した複数の電波をそれぞれ送信した複数の衛星送信装置に対応して、それぞれ複数の電子基準点擬似距離及び電子基準点幾何距離を算出している。電子基準点擬似距離誤差算出装置660も同様に、電子基準点受信装置610が受信した電波を送信した複数の衛星送信装置それぞれに対応する複数の電子基準点擬似距離誤差を算出する。
【0023】
面補正パラメータ算出装置710は、電子基準点擬似距離誤差算出装置660が算出した電子基準点擬似距離誤差に基づいて、面補正パラメータ(FKP:Flaechen Korrektur Parameter)を算出する。
面補正パラメータは、衛星送信装置ごとに異なる。面補正パラメータ算出装置710は、電子基準点装置601〜604から電子基準点擬似距離誤差を取得し、衛星送信装置ごとに分類する。面補正パラメータ算出装置710は、分類した電子基準点擬似距離誤差から、複数の衛星送信装置それぞれに対応する面補正パラメータを算出する。
【0024】
面補正パラメータ送信装置720は、面補正パラメータ算出装置710が算出した面補正パラメータを、校正基準点集計装置111や測位装置301などに対して送信する。
なお、この例では、電子基準点集計装置701が校正基準点集計装置111や測位装置301などに対して面補正パラメータを送信し、送信した面補正パラメータを受信した校正基準点集計装置111や測位装置301などが、受信した面補正パラメータに基づいて、位置情報から擬似距離の誤差を求める。しかし、校正基準点集計装置111や測位装置301などが電子基準点集計装置701に対して自己の位置情報を送信し、送信した位置情報を受信した電子基準点集計装置701が、面補正パラメータに基づいて、受信した位置情報から擬似距離の誤差を求め、求めた擬似距離の誤差を校正基準点集計装置111や測位装置301などに対して返信する構成としてもよい。
【0025】
次に、面補正パラメータ算出装置710が面補正パラメータを算出する原理の一例について説明する。
【0026】
電子基準点擬似距離算出装置620が算出する電子基準点擬似距離と、電子基準点幾何距離との間には、以下の観測方程式で示される関係が成立する。
【0027】
【数1】

【0028】
ここで、添え字rは電子基準点装置601〜604、添え字iは衛星送信装置、添え字sは搬送波の種類(例えば、L1、L2など)を区別するためのものである。PRは擬似距離、λは搬送波の波長、φは電子基準点装置601〜604が観測した位相量、ベクトルRは電子基準点装置601〜604と衛星送信装置との間の相対位置ベクトル(ベクトルRの絶対値は電子基準点装置601〜604と衛星送信装置との間の幾何学的距離(電子基準点幾何距離)を表わす)、Nはアンビギィティ、cは光速、δtは電子基準点装置601〜604のクロックバイアス、δtは衛星送信装置のクロックバイアス、ベクトルδoは衛星送信装置の軌道誤差ベクトル、δIは電離層遅延量、fは搬送波の周波数、δTは対流圏遅延量、εは観測ノイズである。
【0029】
擬似距離の補正量PRCは、定義より、
【0030】
【数2】

【0031】
であるから、数1に代入すると、以下の関係が成立する。
【0032】
【数3】

【0033】
この補正値は、受信位置に依存する。
次に、電子基準点装置601〜604以外の場所において校正基準点装置101や測定点装置201が受信した電波から算出した擬似距離を、数3の補正値で補正すると、
【0034】
【数4】

【0035】
ここで、添え字uは校正基準点装置101や測定点装置201を区別するためのものである。CPRは補正後の擬似距離である。
【0036】
数1、数3および数4より、
【0037】
【数5】

【0038】
数5において、位置に依存する項をDとすると、
【0039】
【数6】

【0040】
ここで、
【0041】
【数7】

【0042】
面補正パラメータ算出装置710は、電子基準点装置601〜604が算出した電子基準点距離誤差から、位置に依存する誤差要因と位置に依存しない誤差要因とを推定する。更に、面補正パラメータ算出装置710は、位置に依存する誤差要因について、受信位置の関数を推定する。
面補正パラメータ算出装置710は、受信位置から、推定した誤差要因を求める関数のパラメータを算出し、面補正パラメータとする。
【0043】
面補正パラメータ算出装置710が推定した位置に依存する誤差要因をDハット、推定誤差をPバーとすると、
【0044】
【数8】

【0045】
であるから、補正後の擬似距離CPRは、以下のようになる。
【0046】
【数9】

【0047】
このうち、アンビギィティNは、校正基準点装置101や測定点装置201ごとに求めることができるので、残りの部分が補正後の擬似距離の誤差となる。補正後の擬似距離の誤差は、例えば、数センチメートル程度である。
【0048】
図3は、この実施の形態における校正基準点装置101、測定点装置201、測位装置301の機能ブロックの構成の一例を示すブロック構成図である。
【0049】
校正基準点装置101は、校正点受信装置110、校正点擬似距離算出装置120を有する。
校正基準点集計装置111は、衛星位置算出装置130、校正点仮位置算出装置140、校正点擬似距離誤差推定装置150、校正点擬似距離誤差補正装置160、校正点位置算出装置170、校正点情報送信装置175を有する。
測定点装置201は、測定点受信装置210、測定点擬似距離算出装置220を有する。
測位装置301は、衛星位置算出装置230、測定点仮位置算出装置240、面補正パラメータ受信装置322、測定点擬似距離誤差推定装置250、測定点擬似距離誤差補正装置260、測定点位置算出装置270、校正点情報受信装置275、測定点相対位置算出装置340、測定点相対位置表示装置390を有する。
なお、校正点擬似距離算出装置120は、必ずしも校正基準点装置101が有している必要はなく、校正基準点集計装置111が有していてもよい。同様に、測定点擬似距離算出装置220は、必ずしも測定点装置201が有している必要はなく、測位装置301が有していてもよい。また、衛星位置算出装置130、校正点仮位置算出装置140、面補正パラメータ受信装置321、校正点擬似距離誤差推定装置150、校正点擬似距離誤差補正装置160、校正点位置算出装置170は、必ずしも校正基準点集計装置111が有している必要はなく、校正基準点装置101が有していてもよい。同様に、衛星位置算出装置230、測定点仮位置算出装置240、面補正パラメータ受信装置322、測定点擬似距離誤差推定装置250、測定点擬似距離誤差補正装置260、測定点位置算出装置270は、必ずしも測位装置301が有している必要はなく、測定点装置201が有していてもよい。
また、校正基準点装置101と校正基準点集計装置111とが一つの装置であってもよいし、測定点装置201と測位装置301が一つの装置であってもよい。あるいは、校正基準点集計装置111と測位装置301とが一つの装置であってもよい。
【0050】
校正点受信装置110及び測定点受信装置210は、複数の衛星送信装置がそれぞれ送信した電波を受信する。
【0051】
校正点擬似距離算出装置120は、校正点受信装置110が受信した複数の電波それぞれに基づいて、校正点受信装置110が受信した電波の伝播時間を算出する。校正点擬似距離算出装置120は、算出した伝播時間に基づいて、校正点受信装置110が受信した電波を送信した複数の衛星送信装置それぞれと、校正点受信装置110との間の擬似距離(以下「校正点擬似距離」と呼ぶ。)を算出する。
測定点擬似距離算出装置220も同様に、測定点受信装置210が受信した複数の電波それぞれに基づいて、測定点受信装置210が受信した電波を送信した複数の衛星送信装置それぞれと、測定点受信装置210との間の擬似距離(以下「測定点擬似距離」と呼ぶ。)を算出する。
【0052】
衛星位置算出装置130は、校正点受信装置110が受信した電波を送信した複数の衛星送信装置それぞれについて、衛星送信装置の位置を算出する。
衛星位置算出装置230も同様に、測定点受信装置210が受信した電波を送信した複数の衛星送信装置それぞれについて、衛星送信装置の位置を算出する。
なお、衛星位置算出装置130,230に代えて衛星位置取得装置を設け、電子基準点集計装置701など他の装置が算出した複数の衛星送信装置それぞれの位置を、衛星位置取得装置が電子基準点集計装置701など他の装置から取得する構成としてもよい。
【0053】
校正点仮位置算出装置140は、校正点擬似距離算出装置120が算出した複数の校正点擬似距離と、衛星位置算出装置130が算出した複数の送信装置それぞれの位置とに基づいて、校正点受信装置110の位置(以下「校正点仮位置」と呼ぶ。)を算出する。
校正点擬似距離算出装置120が算出した校正点擬似距離が誤差を含むので、校正点仮位置算出装置140が算出する校正点仮位置の精度は、数十センチメートル〜数メートル程度である。
測定点仮位置算出装置240も同様に、測定点擬似距離算出装置220が算出した複数の測定点擬似距離と、衛星位置算出装置230が算出した複数の送信装置それぞれの位置とに基づいて、測定点受信装置210の位置(以下「測定点仮位置」と呼ぶ。)を算出する。
【0054】
面補正パラメータ受信装置321,322は、面補正パラメータ送信装置720が送信した面補正パラメータを受信する。
【0055】
校正点擬似距離誤差推定装置150は、校正点仮位置算出装置140が算出した校正点仮位置に基づいて、校正点擬似距離算出装置120が算出した複数の校正点擬似距離それぞれの誤差(以下「校正点擬似距離誤差推定値」と呼ぶ。)を推定する。
例えば、校正点擬似距離誤差推定装置150は、面補正パラメータ受信装置321が受信した面補正パラメータに基づいて、複数の衛星送信装置それぞれに対応して、受信位置から擬似距離の誤差を求める関数を求める。校正点擬似距離誤差推定装置150は、校正点仮位置算出装置140が算出した校正点仮位置に基づいて、求めた関数を使って、複数の衛星送信装置それぞれに対応する校正点仮位置における擬似距離の誤差を算出して、校正点擬似距離誤差推定値とする。
測定点擬似距離誤差推定装置250も同様に、測定点仮位置算出装置240が算出した測定点仮位置に基づいて、測定点擬似距離算出装置220が算出した複数の測定点擬似距離それぞれの誤差(以下「測定点擬似距離誤差推定値」と呼ぶ。)を推定する。
【0056】
校正点擬似距離誤差補正装置160は、校正点擬似距離誤差推定装置150が推定した複数の校正点擬似距離誤差推定値に基づいて、校正点擬似距離算出装置120が算出した複数の校正点擬似距離をそれぞれ補正して、校正点補正済擬似距離とする。
例えば、校正点擬似距離誤差補正装置160は、複数の衛星送信装置それぞれに対応して、校正点擬似距離算出装置120が算出した校正点擬似距離から、校正点擬似距離誤差推定装置150が算出した校正点擬似距離誤差推定値を差し引いて、校正点補正済擬似距離とする。
測定点擬似距離誤差補正装置260も同様に、測定点擬似距離誤差推定装置250が推定した複数の測定点擬似距離誤差推定値に基づいて、測定点擬似距離算出装置220が算出した複数の測定点擬似距離をそれぞれ補正して、測定点補正済擬似距離とする。
【0057】
校正点位置算出装置170は、校正点擬似距離誤差補正装置160が補正した複数の校正点補正済擬似距離と、衛星位置算出装置130が算出した複数の衛星送信装置それぞれの位置とに基づいて、校正点の位置(以下「校正点算出位置」と呼ぶ。)を算出する。
校正点位置算出装置170が算出する校正点算出位置は、校正点擬似距離誤差補正装置160が誤差を補正した校正点補正済擬似距離に基づいて算出したものなので、数センチメートル以内の精度を有する。
測定点位置算出装置270も同様に、測定点擬似距離誤差補正装置260が補正した複数の測定点補正済擬似距離と、衛星位置算出装置230が算出した複数の衛星送信装置それぞれの位置とに基づいて、測定点の位置(以下「測定点算出位置」と呼ぶ。)を算出する。
【0058】
校正点情報送信装置175は、校正点位置算出装置170が算出した校正点算出位置を、校正点情報として測位装置301に対して送信する。
校正点情報受信装置275は、校正基準点集計装置111が送信した校正点情報を受信する。
【0059】
測定点相対位置算出装置340は、校正点情報受信装置275が受信した校正点情報から、校正点位置算出装置170が算出した校正点算出位置を取得する。測定点相対位置算出装置340は、取得した校正点算出位置と、測定点位置算出装置270が算出した測定点算出位置とに基づいて、校正点受信装置110に対する測定点受信装置210の相対位置(以下「測定点相対位置」と呼ぶ。)を算出する。
例えば、測定点相対位置算出装置340は、測定点位置算出装置270が算出した測定点算出位置を表わす位置ベクトルから、校正点位置算出装置170が算出した校正点算出位置を表わす位置ベクトルを差し引いて、測定点相対位置を表わす位置ベクトルを求める。
【0060】
測定点相対位置表示装置390は、測定点相対位置算出装置340が算出した測定点相対位置に基づいて、液晶画面などの表示装置に、測定点装置201の位置を表示する。測定点相対位置表示装置390は、測定点装置201の位置を、校正基準点装置101の位置に対する相対座標を表わす数値で表示してもよいし、地図上にプロットするなどして視覚的に表示してもよい。
なお、測定点相対位置算出装置340が算出した測定点相対位置は、測定点相対位置表示装置390が表示するだけなく(あるいは、測定点相対位置表示装置390が表示する代わりに)、他の用途に利用してもよい。
例えば、測定点装置201をパワーショベルの先端に設置し、測定点相対位置算出装置340が算出した測定点相対位置に基づいて、パワーショベルのアームを自動制御して、精度の高い作業を行うシステムに利用してもよい。このとき、校正基準点装置101は、地上などに動かないように固定して設置してもよいし、パワーショベル本体など移動可能な場所に固定して設置してもよい。
【0061】
図4は、受信位置と擬似距離の誤差との関係の一例を模式的に示すグラフ図である。
この図において、横軸は受信位置、縦軸は誤差を示す。受信位置は本来三次元であるが、ここでは模式的に一次元で表現している。下のグラフは、上のグラフの円Aのなかを拡大したものである。
【0062】
擬似距離誤差曲線400は、受信位置と擬似距離の誤差との実際の関係を示す曲線である。なお、実際には、受信位置が三次元なので、擬似距離誤差曲線400は曲面となる。
電子基準点擬似距離誤差401は、電子基準点装置601が位置B1で受信した電波に基づいて算出した擬似距離の誤差である。
電子基準点擬似距離誤差402は、電子基準点装置602が位置B2で受信した電波に基づいて算出した擬似距離の誤差である。
電子基準点装置601,602の位置は正確にわかっているので、電子基準点擬似距離誤差401及び電子基準点擬似距離誤差402は、正しく擬似距離誤差曲線400上にある。
【0063】
擬似距離誤差推定関数曲線410は、面補正パラメータ算出装置710が電子基準点擬似距離誤差401,402に基づいて算出した面補正パラメータが表わす関数を示す曲線である。なお、実際には、受信位置が三次元なので、擬似距離誤差推定関数曲線410は曲面(平面も含む)となる。
【0064】
位置B1と位置B2との間は、例えば、数十キロメートル程度離れているので、図に示したように、擬似距離誤差曲線400と擬似距離誤差推定関数曲線410とがずれる場合がある。このため、面補正パラメータに基づいて算出した擬似距離の誤差により補正した補正済擬似距離で位置を算出しても、数センチメートル程度の誤差が残る。
【0065】
校正点擬似距離誤差推定値413は、面補正パラメータに基づいて推定した位置C(校正基準点装置101が電波を受信した位置)における擬似距離の誤差である。擬似距離誤差403は、位置Cにおける実際の擬似距離の誤差である。したがって、校正基準点装置101が位置Cで受信した電波に基づいて算出した校正点擬似距離を、校正点擬似距離誤差推定値413で補正すると、残余誤差423が残る。
測定点擬似距離誤差推定値414は、擬似距離誤差推定関数曲線410が表わす関数に基づいて推定した位置P(測定点装置201が電波を受信した位置)における擬似距離の誤差である。擬似距離誤差404は、位置Pにおける実際の擬似距離の誤差である。測定点装置201が位置Pで受信した電波に基づいて算出した測定点擬似距離を、測定点擬似距離誤差推定値414で補正すると、残余誤差424が残る。
【0066】
この実施の形態では、面補正パラメータを用いて校正点擬似距離誤差推定値413、測定点擬似距離誤差推定値414を算出しているので、残余誤差423,424は数センチメートル程度である。
位置B1と位置B2との間の距離が数十キロメートルであるのに対し、位置Cと位置Pとの間の距離は、数百メートル〜数キロメートル以内なので、擬似距離誤差曲線400は、擬似距離誤差推定関数曲線410とほぼ平行な直線とみなすことができる。したがって、残余誤差423と残余誤差424とはほぼ等しい。
【0067】
残余誤差423と残余誤差424とがほぼ等しいので、校正点補正済擬似距離に基づいて算出した校正点算出位置の誤差と、測定点補正済擬似距離に基づいて算出した測定点算出位置の誤差とは、ほぼ等しくなる。したがって、測定点算出位置と校正点算出位置との差分を取ると、両者の誤差が打ち消しあい、誤差を非常に小さくすることができる。これにより、測定点算出位置と校正点算出位置とに基づいて算出した測定点相対位置の誤差は、数ミリメートル程度となる。
【0068】
これにより、例えば、測定点装置201の移動量などを、誤差数ミリメートル以内の精度で正確に測定することができるので、高い精度が必要な建設工事などに、測位結果を利用することができる。
【0069】
なお、面補正パラメータを用いず、例えば、単独RTK−GPS方式により擬似距離の誤差を推定する場合、電子基準点装置と校正基準点装置101や測定点装置201との間の距離(基線長)が数キロメートル以上離れると、残余誤差が急速に大きくなる。このため、必ずしも、擬似距離誤差曲線400と擬似距離誤差推定関数曲線410とが平行であるとみなすことができず、残余誤差423と残余誤差424とがほぼ等しいとは言えない。
【0070】
この実施の形態における測位システム800は、校正点受信装置110と、校正点位置算出装置170と、測定点受信装置210と、測定点位置算出装置270と、測定点相対位置算出装置340とを有することを特徴とする。
上記校正点受信装置110は、複数の送信装置(衛星送信装置)がそれぞれ送信した電波を受信することを特徴とする。
上記校正点位置算出装置170は、上記校正点受信装置110が受信した電波と、上記複数の送信装置(衛星送信装置)がそれぞれ送信した電波を所定の位置(電子基準点位置)において受信することにより算出された誤差とに基づいて、上記校正点受信装置110の位置を算出して、校正点算出位置とすることを特徴とする。
上記測定点受信装置210は、上記複数の送信装置(衛星送信装置)がそれぞれ送信した電波を受信することを特徴とする。
上記測定点位置算出装置270は、上記測定点受信装置210が受信した電波と、上記複数の送信装置(衛星送信装置)がそれぞれ送信した電波を所定の位置において受信することにより算出された誤差とに基づいて、上記測定点受信装置210の位置を算出して、測定点算出位置とすることを特徴とする。
上記測定点相対位置算出装置340は、上記校正点位置算出装置170が算出した校正点算出位置と、上記測定点位置算出装置270が算出した測定点算出位置とに基づいて、上記校正点受信装置110に対する上記測定点受信装置210の相対位置を算出して、測定点相対位置とすることを特徴とする。
【0071】
この実施の形態における測位システム800によれば、校正点受信装置110及び測定点受信装置210がそれぞれ受信した電波と、他の位置(電子基準点位置)において同じ電波を受信することにより算出した誤差とに基づいて、校正点算出位置及び測定点算出位置を算出するので、精度の高い校正点算出位置及び測定点算出位置を得ることができ、更に、算出した校正点算出位置及び測定点算出位置とに基づいて、測定点相対位置を算出するので、校正点算出位置及び測定点算出位置に残っている誤差が打ち消し合い、更に、精度の高い測定点相対位置を得ることができるという効果を奏する。
【0072】
この実施の形態における測位システム800は、更に、校正点擬似距離算出装置120と、校正点仮位置算出装置140と、校正点擬似距離誤差推定装置150と、校正点擬似距離誤差補正装置160と、測定点擬似距離算出装置220と、測定点仮位置算出装置240と、測定点擬似距離誤差推定装置250と、測定点擬似距離誤差補正装置260とを有することを特徴とする。
上記校正点擬似距離算出装置120は、上記校正点受信装置110が受信した電波に基づいて、上記複数の送信装置(衛星送信装置)それぞれと上記校正点受信装置110との距離を算出して、校正点擬似距離とすることを特徴とする。
上記校正点仮位置算出装置140は、上記校正点擬似距離算出装置120が算出した校正点擬似距離に基づいて、上記校正点受信装置110の位置を算出して、校正点仮位置とすることを特徴とする。
上記校正点擬似距離誤差推定装置150は、上記複数の送信装置(衛星送信装置)がそれぞれ送信した電波を所定の位置(電子基準点位置)において受信することにより算出された擬似距離の誤差と、上記校正点仮位置算出装置140が算出した校正点仮位置とに基づいて、上記校正点擬似距離算出装置120が算出した校正点擬似距離の誤差を推定して、校正点擬似距離誤差推定値とすることを特徴とする。
上記校正点擬似距離誤差補正装置160は、上記校正点擬似距離誤差推定装置150が推定した校正点擬似距離誤差推定値に基づいて、上記校正点擬似距離算出装置120が算出した校正点擬似距離を補正して、校正点補正済擬似距離とすることを特徴とする。
上記校正点位置算出装置170は、上記校正点擬似距離誤差補正装置160が補正した校正点補正済擬似距離に基づいて、上記校正点受信装置110の位置を算出して、校正点算出位置とすることを特徴とする。
上記測定点擬似距離算出装置220は、上記測定点受信装置210が受信した電波に基づいて、上記複数の送信装置(衛星送信装置)それぞれと上記測定点受信装置210との距離を算出して、測定点擬似距離とすることを特徴とする。
上記測定点仮位置算出装置240は、上記測定点擬似距離算出装置220が算出した測定点擬似距離に基づいて、上記測定点受信装置210の位置を算出して、測定点仮位置とすることを特徴とする。
上記測定点擬似距離誤差推定装置250は、上記複数の送信装置(衛星送信装置)がそれぞれ送信した電波を所定の位置(電子基準点位置)において受信することにより算出された擬似距離の誤差と、上記測定点仮位置算出装置240が算出した測定点仮位置とに基づいて、上記測定点擬似距離算出装置220が算出した測定点擬似距離の誤差を推定して、測定点擬似距離誤差推定値とすることを特徴とする。
上記測定点擬似距離誤差補正装置260は、上記測定点擬似距離誤差推定装置250が推定した測定点擬似距離誤差推定値に基づいて、上記測定点擬似距離算出装置220が算出した測定点擬似距離の誤差を補正して、測定点補正済擬似距離とすることを特徴とする。
上記測定点位置算出装置270は、上記測定点擬似距離誤差補正装置260が補正した測定点補正済擬似距離に基づいて、上記測定点受信装置210の位置を算出して、測定点算出位置とすることを特徴とする。
【0073】
この実施の形態における測位システム800によれば、校正点擬似距離算出装置120及び測定点擬似距離算出装置220がそれぞれ算出した校正点擬似距離及び測定点擬似距離に基づいて、校正点受信装置110及び測定点受信装置210のおおよその位置(校正点仮位置及び測定点仮位置)を算出し、算出した位置に基づいて、校正点擬似距離誤差推定装置150及び測定点擬似距離誤差推定装置250がそれぞれ擬似距離の誤差(校正点擬似距離誤差推定値及び測定点擬似距離誤差推定値)を推定するので、精度の高い校正点算出位置及び測定点算出位置を得ることができるという効果を奏する。
【0074】
この実施の形態における測位システム800は、更に、電子基準点受信装置610と、電子基準点擬似距離算出装置620と、電子基準点幾何距離算出装置650と、電子基準点擬似距離誤差算出装置660とを有することを特徴とする。
上記電子基準点受信装置610は、所定の電子基準点位置に位置し、上記複数の送信装置(衛星送信装置)がそれぞれ送信した電波を受信することを特徴とする。
上記電子基準点擬似距離算出装置620は、上記電子基準点受信装置610が受信した電波に基づいて、上記複数の送信装置(衛星送信装置)それぞれと上記電子基準点受信装置610との距離を算出して、電子基準点擬似距離とすることを特徴とする。
上記電子基準点幾何距離算出装置650は、上記電子基準点位置に基づいて、上記複数の送信装置(衛星送信装置)それぞれと上記電子基準点受信装置610との距離を算出して、電子基準点幾何距離とすることを特徴とする。
上記電子基準点擬似距離誤差算出装置660は、上記電子基準点擬似距離算出装置620が算出した電子基準点擬似距離と、上記電子基準点幾何距離算出装置650が算出した電子基準点幾何距離とに基づいて、上記電子基準点擬似距離の誤差を算出して、電子基準点擬似距離誤差とすることを特徴とする。
上記校正点擬似距離誤差推定装置150は、上記電子基準点擬似距離誤差算出装置660が算出した電子基準点擬似距離誤差と、上記校正点仮位置算出装置140が算出した校正点仮位置とに基づいて、上記校正点擬似距離算出装置120が算出した校正点擬似距離の誤差を推定して、校正点擬似距離誤差推定値とすることを特徴とする。
上記測定点擬似距離誤差推定装置250は、上記電子基準点擬似距離誤差算出装置660が算出した電子基準点距離誤差と、上記測定点仮位置算出装置240が算出した測定点仮位置とに基づいて、上記測定点擬似距離算出装置220が算出した測定点擬似距離の誤差を推定して、測定点擬似距離誤差推定値とすることを特徴とする。
【0075】
この実施の形態における測位システム800によれば、電子基準点受信装置610が電子基準点位置で受信した電波に基づいて算出した擬似距離(電子基準点擬似距離)の誤差(電子基準点擬似距離誤差)を電子基準点擬似距離誤差算出装置660が算出し、算出した電子基準点擬似距離誤差に基づいて、校正点受信装置110及び測定点受信装置210の位置における擬似距離の誤差(校正点擬似距離誤差推定値及び測定点擬似距離誤差推定値)を算出するので、精度の高い校正点算出位置及び測定点算出位置を得ることができるという効果を奏する。
【0076】
この実施の形態における測位システム800が測定点の位置を測位する測位方法は、以下の工程を有することを特徴とする。
複数の送信装置(衛星送信装置)がそれぞれ送信した電波を校正基準点において受信する。
校正基準点において受信した電波と、上記複数の送信装置(衛星送信装置)がそれぞれ送信した電波を所定の位置(電子基準点)において受信することにより算出された誤差とに基づいて、上記校正基準点の位置を算出して、校正点算出位置とする。
上記複数の送信装置(衛星送信装置)がそれぞれ送信した電波を測定点において受信する。
測定点において受信した電波と、上記複数の送信装置がそれぞれ送信した電波を所定の位置において受信することにより算出された誤差とに基づいて、上記測定点の位置を算出して、測定点算出位置とする。
算出した校正点算出位置と、算出した測定点算出位置とに基づいて、上記校正基準点に対する上記測定点の相対位置を算出して、測定点相対位置とする。
【0077】
この実施の形態のおける測位方法によれば、校正基準点及び測定点においてそれぞれ受信した電波と、他の位置(電子基準点位置)において同じ電波を受信することにより算出した誤差とに基づいて、校正点算出位置及び測定点算出位置を算出するので、精度の高い校正点算出位置及び測定点算出位置を得ることができ、更に、算出した校正点算出位置及び測定点算出位置とに基づいて、測定点相対位置を算出するので、校正点算出位置及び測定点算出位置に残っている誤差が打ち消し合い、更に、精度の高い測定点相対位置を得ることができるという効果を奏する。
【0078】
なお、校正基準点装置101の絶対位置をあらかじめ測定しておけば、測定点相対位置から測定点装置201の絶対位置を求めることもできる。また、移動しない校正基準点装置101が長時間継続して衛星送信装置が送信した電波を受信して算出した校正点算出位置の平均を取ることにより、校正基準点装置101の絶対位置を測定してもよい。
【0079】
その場合、校正点算出位置と測定点算出位置とに基づいて算出した測定点相対位置を、校正基準点装置101の絶対位置に加えることにより、測定点装置201の絶対位置を求める。なお、校正基準点装置101の絶対位置から、校正点算出位置を差し引いて、校正点算出位置の位置誤差を求め、求めた位置誤差を、測定点算出位置に加えることにより、測定点装置201の絶対位置を求めてもよい。
【0080】
なお、多くの場合、校正基準点装置101の絶対位置を測定するには、時間やコストがかかる。したがって、あえて測定点装置201の絶対位置を求めようとしなくてもよい。
例えば、滑走路を造成する場合、滑走路の表面をいかに平らにするかが課題となる。したがって、滑走路上の2つの地点の間の相対位置を正確に測定することが重要である。これに対し、滑走路の絶対位置が全体として数センチメートルずれていても問題ないので、ある地点の絶対位置を正確に測定することは、あまり重要ではない。
【0081】
また、ここでは、複数の電子基準点装置601〜604がある場合について説明したが、電子基準点装置は1つでもよい。その場合、電子基準点装置と、校正基準点装置101及び測定点装置201との間の距離(基線長)が、数キロメートル以内であれば、電子基準点装置が複数ある場合と同様の精度を得ることができる。
【0082】
これに対し、この実施の形態で説明したように、電子基準点装置を複数設け、複数の電子基準点装置で受信した電波に基づいて面補正パラメータを算出し、算出した面補正パラメータに基づいて校正点擬似距離誤差推定値や測定点擬似距離誤差推定値を算出すれば、測定したい場所が電子基準点装置から数キロメートル〜数十キロメートル離れている場合であっても、精度の高い測位が可能となる。
【0083】
実施の形態2.
実施の形態2について、図5〜図6を用いて説明する。
【0084】
この実施の形態における測位システム800の全体構成は、実施の形態1で説明したものと同様なので、ここでは説明を省略する。
校正基準点装置101は、例えば、作業用車両に取り付けられているなど、移動可能である。
測位装置301は、校正基準点装置101に対する測定点装置201の相対位置を算出する代わりに、移動しない校正基準点を仮想的に設定し、仮想的に設定した校正基準点(以下「仮想基準点」と呼ぶ。)に対する相対位置を算出する。
【0085】
図5は、この実施の形態における校正基準点装置101、校正基準点集計装置111、測定点装置201、測位装置301の機能ブロックの構成の一例を示すブロック構成図である。
なお、実施の形態1で説明したブロックと共通する部分については、同一の符号を付し、ここでは説明を省略する。
【0086】
測位装置301は、更に、校正点移動量抽出装置180、仮想点位置算出装置185を有する。
【0087】
校正点移動量抽出装置180は、校正点位置算出装置170が算出した校正点算出位置の変化から、校正点受信装置110の移動量(以下「校正点移動量推定値」と呼ぶ。)を抽出する。
例えば、校正点移動量抽出装置180は、ローパスフィルタにより、校正点算出位置の変化のうち、所定の周波数よりも低い周波数の成分だけを抽出し、校正点移動量推定値とする。あるいは、校正点移動量抽出装置180は、スムージング(平滑化)・移動平均・時間平均などにより、校正点算出位置の変化から、校正点移動量推定値を算出してもよい。
【0088】
仮想点位置算出装置185は、校正点位置算出装置170が算出した校正点算出位置と、校正点移動量抽出装置180が抽出した校正点移動量推定値とに基づいて、仮想基準点の位置(以下「仮想点算出位置」と呼ぶ。)を算出する。
例えば、仮想点位置算出装置185は、校正点移動量推定値を積算して、仮想基準点に対する校正点受信装置110の相対位置を算出する。仮想点位置算出装置185は、校正点算出位置から、算出した相対位置を差し引いて、仮想点算出位置とする。
【0089】
測定点相対位置算出装置340は、仮想点位置算出装置185が算出した仮想点算出位置と、測定点位置算出装置270が算出した測定点算出位置とに基づいて、測定点相対位置を算出する。
例えば、測定点相対位置算出装置340は、測定点算出位置から仮想点算出位置を差し引いて、測定点相対位置とする。
【0090】
図6は、この実施の形態における測定点相対位置算出装置340などが算出する測定点相対位置などの関係を模式的に示すグラフ図である。
この図において、横軸は時刻、縦軸は算出位置を示す。算出位置は本来三次元であるが、ここでは模式的に一次元で表現している。
【0091】
校正点算出位置433は、校正点位置算出装置170が算出した校正点受信装置110の位置である。校正点位置443は、校正点受信装置110の真の位置である。残余位置誤差453は、校正点算出位置433と校正点位置443との差である。
測定点算出位置434は、測定点位置算出装置270が算出した測定点受信装置210の位置である。測定点位置444は、測定点受信装置210の真の位置である。残余位置誤差454は、測定点算出位置434と測定点位置444との差である。
実施の形態1で説明したように、残余位置誤差453と残余位置誤差454とはほぼ等しい。
【0092】
残余位置誤差453は、電離層や対流圏の局所的な影響によるものである。GPS衛星501〜504や準天頂衛星511は、衛星軌道上を高速で移動しているので、残余位置誤差453は、短い周期で変化する。
これに対し、校正点位置443は、校正点受信装置110の最大移動速度よりも遅く変化する。
したがって、校正点算出位置433をフィルタリング処理して、高周波成分と低周波成分とに分解することにより、校正点位置443と残余位置誤差453とを分離することができる。このとき、境界となる周波数は、校正点受信装置110の最大移動速度に基づいて決定すればよい。測位装置301は、あらかじめ決定しておいた境界周波数を記憶しておいてもよいし、測位装置301が、校正点受信装置110の最大移動速度に基づいて、境界周波数を計算して求めてもよい。
【0093】
このようにして、校正点移動量抽出装置180は、校正点算出位置433から残余位置誤差453を分離することにより、校正点位置443を推定し、推定した校正点位置443の変化(校正点移動量推定値)を算出する。
【0094】
仮想点位置算出装置185は、校正点移動量抽出装置180が算出した校正点移動量推定値を積算し、仮想基準点に対する校正点受信装置110の相対位置463を算出する。
仮想点位置算出装置185は、校正点算出位置433から相対位置463を差し引いて、仮想点算出位置435を算出する。
【0095】
仮想基準点は移動しないので、仮想基準点の真の位置である仮想点位置445は、変化しない。これに対して、仮想点位置算出装置185が算出した仮想点算出位置435は、変化する。仮想点算出位置435と仮想点位置445との差(残余位置誤差455)は、校正点算出位置433における残余位置誤差453を反映したものである。したがって、残余位置誤差455は、残余位置誤差453とほぼ等しく、残余位置誤差454ともほぼ等しい。
【0096】
測定点相対位置算出装置340は、測定点算出位置434から仮想点算出位置435を差し引いて、測定点相対位置464を算出する。残余位置誤差454と残余位置誤差455とがほぼ等しいので、測定点相対位置464は、仮想点位置445に対する測定点位置444の相対位置とほぼ等しい。したがって、測定点相対位置464は、実施の形態1と同様、誤差数ミリメートル以内の精度となる。
【0097】
このように、校正点位置算出装置170が算出した校正点算出位置433に基づいて、校正点移動量抽出装置180が、校正点移動量推定値を算出し、算出した校正点移動量推定値に基づいて、仮想点位置算出装置185が、移動しない仮想基準点の位置を算出し、測定点相対位置算出装置340は、仮想基準点に対する測定点受信装置210の相対位置(測定点相対位置464)を算出するので、校正点受信装置110が移動する場合であっても、移動しない仮想基準点に対する測定点受信装置210の相対位置を高い精度で求めることができる。
このようにして求めた測定点相対位置464は、移動しない仮想基準点に対する相対位置なので、例えば、地図上にプロットすることができるなど、利用価値が高い。
また、校正基準点装置101を地上などに移動しないよう固定する必要がないので、校正基準点装置101を設置する手間を省くことができ、また、校正基準点装置101を設置できるスペースがない場合などであっても、利用価値の高い測位結果を得ることができる。
【0098】
この実施の形態における測位システム800は、更に、校正点移動量抽出装置180を有することを特徴とする。
上記校正点受信装置110は、所定の速度より遅い速度で移動可能であることを特徴とする。
上記校正点移動量抽出装置180は、上記校正点位置算出装置170が算出した校正点算出位置に基づいて、上記所定の速度に対応する所定の周波数よりも低い周波数成分を抽出して、校正点移動量推定値とすることを特徴とする。
上記測定点相対位置算出装置340は、上記校正点位置算出装置170が算出した校正点算出位置と、上記校正点移動量抽出装置180が抽出した校正点移動量推定値と、上記測定点位置算出装置270が算出した測定点算出位置とに基づいて、移動しない仮想基準点に対する上記測定点受信装置210の相対位置を算出して、測定点相対位置とすることを特徴とする。
【0099】
この実施の形態における測位システム800によれば、校正基準点装置101が移動可能である場合であっても、移動しない仮想基準点に対する測定点装置201の相対位置を算出することができるので、校正基準点装置101を地上に固定するなどの手間を省くことができるとともに、校正基準点装置101を設置するスペースがない場合などであっても、利用価値の高い測位結果を得ることができる。
【0100】
実施の形態3.
実施の形態3について、図7〜図9を用いて説明する。
【0101】
図7は、この実施の形態における測位システム800の全体構成の一例を示すシステム構成図である。
なお、実施の形態1で説明した測位システム800と共通する部分については、同一の符号を付し、ここでは説明を省略する。
【0102】
測位システム800は、複数の校正基準点装置101〜104を有する。
校正基準点装置101〜104は、互いの距離が、例えば、数キロメートル程度であり、測定点装置201を取り囲むように配置する。校正基準点装置101〜104は、地上などに移動しないよう固定する。
なお、校正基準点装置の数は、2以上であればよい。校正基準点装置の数が2の場合、2つの校正基準点装置を結ぶ線分から近い範囲(例えば数百メートル以内の範囲)に測定点装置201を配置する。したがって、測定したい点がほぼ一直線上に分布している場合には、校正基準点装置が2つあればよい。これに対し、測定したい点が面的な広がりを持つ範囲に分布している場合には、校正基準点装置が3以上あることが好ましい。
【0103】
図8は、この実施の形態における校正基準点装置101〜104、測定点装置201、測位装置301の機能ブロックの構成の一例を示すブロック構成図である。
なお、実施の形態1で説明したブロックと共通する部分については、同一の符号を付し、ここでは説明を省略する。
【0104】
校正基準点集計装置111は、更に、校正点相対位置算出装置350、校正点位置誤差算出装置360を有する。
測位装置301は、更に、測定点位置誤差推定装置370、測定点位置誤差補正装置380を有する。
【0105】
校正点位置算出装置170は、複数の校正基準点装置101〜104それぞれについて、校正点算出位置を算出する。
【0106】
複数の校正基準点装置101〜104のうちの一つを、基準校正点としてあらかじめ定めておく。あるいは、複数の校正基準点装置101〜104との位置関係により規定される仮想的な校正基準点を、基準校正点としてもよい。
【0107】
校正点相対位置算出装置350は、校正点位置算出装置170が算出した校正点算出位置から、基準校正点の位置(以下「基準校正点算出位置」と呼ぶ。)を算出する。例えば、校正基準点装置101を基準校正点とした場合であれば、測定点相対位置算出装置340は、校正点位置算出装置170が校正基準点装置101について算出した校正点算出位置を、基準校正点算出位置とする。
【0108】
校正点相対位置算出装置350は、算出した基準校正点算出位置と、校正点位置算出装置170が算出した校正点算出位置とに基づいて、基準校正点に対する校正基準点装置101〜104の相対位置を算出し、校正点相対位置とする。
【0109】
校正点位置誤差算出装置360は、複数の校正基準点装置101〜104それぞれについて、校正点相対位置算出装置350が算出した校正点相対位置に基づいて、校正点相対位置算出装置350が算出した校正点相対位置の誤差(以下「校正点位置誤差」と呼ぶ。)を算出する。
校正基準点装置101〜104は、動かないよう固定されているので、校正基準点装置101〜104の間の相対位置は変化しないはずである。したがって、校正点相対位置算出装置350が算出した校正点相対位置が変化した場合、それは誤差に起因するものといえる。
例えば、校正点位置誤差算出装置360は、ある程度の時間にわたり、校正点相対位置算出装置350が算出した校正点相対位置を平均して、校正点平均相対位置を求める。求めた校正点平均相対位置を正しい相対位置とみなして、校正点位置誤差算出装置360は、校正点相対位置算出装置350が算出した校正点相対位置から、校正点平均相対位置を差し引いて、校正点位置誤差とする。
【0110】
校正点情報送信装置175は、校正点位置算出装置170が算出した校正点算出位置、校正点相対位置算出装置350が算出した基準校正点算出位置、校正点位置誤差算出装置360が算出した校正点位置誤差を、校正点情報として、測位装置301に対して送信する。
校正点情報受信装置275は、校正基準点集計装置111が送信した校正点情報を受信する。
【0111】
測定点相対位置算出装置340は、校正点情報受信装置275が受信した校正点情報から、校正点相対位置算出装置350が算出した基準校正点算出位置を取得する。測定点相対位置算出装置340は、取得した基準校正点算出位置と、測定点位置算出装置270が算出した測定点算出位置とに基づいて、基準校正点に対する測定点装置201の相対位置を算出し、測定点相対位置とする。
【0112】
測定点位置誤差推定装置370は、校正点情報受信装置275が受信した校正点情報から、校正点位置算出装置170が算出した校正点算出位置と、校正点位置誤差算出装置360が算出した校正点位置誤差とを取得する。測定点位置誤差推定装置370は、取得した校正点算出位置と、取得した校正点位置誤差と、測定点相対位置算出装置340が算出した測定点相対位置とに基づいて、測定点相対位置における相対位置の誤差(以下「測定点位置誤差推定値」と呼ぶ。)を推定する。
【0113】
測定点位置誤差補正装置380は、測定点位置誤差推定装置370が算出した測定点位置誤差推定値に基づいて、測定点相対位置算出装置340が算出した測定点相対位置を補正する。例えば、測定点位置誤差補正装置380は、測定点相対位置算出装置340が算出した測定点相対位置から、測定点位置誤差推定装置370が算出した測定点位置誤差推定値を差し引いて、補正した測定点相対位置を算出する。
【0114】
測定点相対位置表示装置390は、測定点位置誤差補正装置380が補正した測定点相対位置に基づいて、液晶画面などの表示装置に、測定点装置の位置を表示する。
【0115】
図9は、この実施の形態における測定点位置誤差推定装置370が測定点位置誤差を推定する方式の一例を示す模式図である。
【0116】
校正点相対位置471〜473は、校正点相対位置算出装置350が校正基準点装置101〜103それぞれについて算出した校正点相対位置である。この例において、測定点位置誤差推定装置370は、校正基準点装置101〜104のうちから3つの校正基準点装置101〜103を選択して、選択した校正基準点装置101〜103の校正点相対位置471〜473から測定点位置誤差を推定する。測定点位置誤差推定装置370は、測定点装置201に近く、測定点装置201から見た方向が互いに離れていて、測定点装置201の周りを取り囲むように配置されている3以上の校正基準点装置を選択する。すなわち、測定点位置誤差推定装置370は、測定点装置201が選択した校正基準点装置を頂点とする多角形の内部になるよう、校正基準点装置を選択する。なお、選択する校正基準点装置の数は2以上であればよく、すべての校正基準点装置を選択してもよい。
測定点相対位置475は、測定点相対位置算出装置340が算出した測定点相対位置である。校正点位置誤差ベクトルe〜eは、校正点位置誤差算出装置360が校正基準点装置101〜103それぞれについて算出した校正点位置誤差である。測定点位置誤差ベクトルeは、測定点位置誤差推定装置370が算出する測定点位置誤差推定値である。
【0117】
測定点位置誤差推定装置370は、校正点相対位置471〜473と、測定点相対位置475とに基づいて、校正基準点装置101〜103それぞれと測定点装置201との間の距離l〜l(スカラー値)を算出する。測定点位置誤差推定装置370は、算出した距離l〜lに基づいて、距離l〜lの逆数の総和Σ(1/l)を算出する。測定点位置誤差推定装置370は、校正点位置誤差ベクトルe〜eと、距離l〜lとに基づいて、校正点位置誤差ベクトルe〜eを距離l〜lで割った商の総和ベクトルΣ(e/l)を算出する。測定点位置誤差推定装置370は、算出した総和ベクトルΣ(e/l)を総和Σ(1/l)で割った商ベクトルeを算出し、測定点位置誤差推定値とする。
【0118】
実施の形態1で説明したように、校正基準点装置101〜104や測定点装置201の間の距離が近ければ(例えば、数百メートル程度)、校正点位置算出装置170が算出した校正点算出位置や測定点位置算出装置270が算出した測定点算出位置に含まれる残余位置誤差はほぼ等しく、相対位置を求めることにより、相殺することができる。
しかし、校正基準点装置101〜104や測定点装置201の間の距離が少し遠くなると(例えば、数キロメートル程度)、校正点算出位置や測定点算出位置に含まれる残余位置誤差に差が出てくる可能性があるので、相対位置を求めても、相殺しきれずに残る誤差がある。
【0119】
そこで、この実施の形態では、位置を固定した複数の校正基準点装置101〜104を設け、校正点位置算出装置170が算出した校正点算出位置に基づいて、校正点相対位置算出装置350が校正基準点装置101〜104の間の相対位置(校正点相対位置)を算出する。算出した校正点相対位置に基づいて、校正点位置誤差算出装置360が校正点位置誤差を算出することにより、相殺しきれずに残った位置誤差を求める。
このようにして求めた誤差は、校正点位置において残った位置誤差であるから、測定点位置誤差推定装置370は、これに基づいて、測定点位置における位置誤差を推定する。
例えば、上記説明したように、測定点位置誤差推定装置370は、測定点装置201と校正基準点装置101〜104との間の距離に反比例する重み付けをして、校正点位置誤差算出装置360が算出した校正点位置誤差の加重平均を取ることにより、測定点位置誤差を算出する。これにより、測定点位置に最も近い校正点位置における位置誤差を最も重視しつつ、他の校正点位置における位置誤差も加味して、測定点位置誤差を推定することとなるので、測定点位置誤差を高精度に推定することができる。
【0120】
測定点相対位置算出装置340が求めた測定点相対位置を、以上のようにして求めた測定点位置誤差に基づいて、測定点位置誤差補正装置380が補正するので、測定点相対位置に残っていた位置誤差はほとんどなくなり、誤差数ミリメートル程度の精度で、測定点相対位置を求めることができる。
【0121】
この実施の形態における測位システム800は、上記校正点受信装置110を複数有し、更に、校正点相対位置算出装置350と、校正点位置誤差算出装置360と、測定点位置誤差推定装置370と、測定点位置誤差補正装置380とを有することを特徴とする。
上記校正点相対位置算出装置350は、上記校正点位置算出装置170が算出した校正点算出位置に基づいて、上記校正点受信装置110の間の相対位置を算出して、校正点相対位置とすることを特徴とする。
上記校正点位置誤差算出装置360は、上記校正点相対位置算出装置350が算出した校正点相対位置の変化に基づいて、上記校正点相対位置算出装置350が算出した校正点相対位置の誤差を算出して、校正点位置誤差とすることを特徴とする。
上記測定点位置誤差推定装置370は、上記校正点位置誤差算出装置360が算出した校正点位置誤差と、上記測定点相対位置算出装置340が算出した測定点相対位置とに基づいて、上記測定点相対位置算出装置340が算出した測定点相対位置の誤差を推定して、測定点相対位置誤差推定値とすることを特徴とする。
上記測定点位置誤差補正装置380は、上記測定点位置誤差推定装置370が推定した測定点相対位置誤差推定値に基づいて、上記測定点相対位置算出装置340が算出した測定点相対位置を補正することを特徴とする。
【0122】
この実施の形態における測位システム800によれば、複数の校正基準点装置101〜104について算出した校正点算出位置に基づいて、校正点相対位置を算出し、算出した校正点相対位置の誤差に基づいて、測定点相対位置誤差推定値を算出し、算出した測定点相対位置誤差推定値に基づいて、測定点相対位置を補正するので、校正基準点装置101〜104や測定点装置201の間隔が離れている場合であっても、相殺できずに残った位置誤差を補正して、精度の高い測定点相対位置を得ることができるという効果を奏する。
【0123】
以上説明した測位システム800は、
あらかじめ正確な位置が判明している位置(電子基準点位置)に設置され、観測情報(電子基準点擬似距離)あるいは補正情報(電子基準点距離誤差)を校正用電子基準点(校正基準点装置101)と測定点(測定点装置201)とに転送する電子基準点(電子基準点装置601〜604)と、
電子基準点(電子基準点装置601〜604)より測定点(測定点装置201)に近傍に配置され、正確な位置が判明している校正用電子基準点(校正基準点装置101)とで構成され、
まず、校正用電子基準点(校正基準点装置101)において、電子基準点(電子基準点装置601〜604)の観測情報(電子基準点擬似距離)あるいは補正情報(電子基準点距離誤差)と、校正用電子基準点(校正基準点装置101)の観測量(校正点擬似距離)とに基づき測位を実施し、
その測位結果(校正点算出位置)と校正用電子基準点の位置(校正点位置)との差分を校正用補正情報とし、
GPS測位装置(測位装置301)は、電子基準点(電子基準点装置601〜604)の観測情報あるいは補正情報と、校正用電子基準点(校正基準点装置101)の校正用補正情報により、測位計算を行う。
【0124】
これにより、補正データにより補正しきれず誤差となっていたネットワーク誤差(残余誤差424)を、校正用補正データで校正し、測位することにより、高精度測位が可能となる。
すなわち、あらかじめ高精度に位置を測定した校正用電子基準点(校正基準点装置101)で測位を行い、得られた測位座標値P(xPa,yPa,zPa)(校正点算出位置)と、校正用電子基準点の既知座標値K(xKa,yKa,zKa)との差分e(xea,yea,zea)=K−P=(xKa−xPa,yKa−yPa,zKa−zPa)を求める。差分eは、ネットワークGPSによる推定誤差を反映したものである。測定点(測定点装置201)で測位を行い、得られた測位座標値P(xPu,yPu,zPu)(測定点算出位置)を差分e(xea,yea,zea)で校正して、測定点(測定点装置201)の絶対位置A=P+e=(xPu+xea,yPu+yea,zPu+zea)を得る。
このように、校正用電子基準点(校正基準点装置101)の絶対位置があらかじめわかっている場合には、測定点(測定点装置201)の絶対位置を誤差数ミリメートルの精度で求めることができる。
【0125】
また、校正用電子基準点(校正基準点装置101)の絶対位置が不明であっても、校正用電子基準点(校正基準点装置101)に対する測定点(測定点装置201)の相対位置を誤差数ミリメートルの精度で求めることができる。なぜなら、測定点相対位置Rは、R=A−K=(P+e)−K=P+(K−P)−K=P−Pであるから、校正用電子基準点(校正基準点装置101)の絶対位置Kが不明であっても、算出することができる。
【0126】
以上説明した測位システム800は、
あらかじめ正確な位置が判明している複数の電子基準点(電子基準点装置601〜604)で構成されるネットワーク型GPSにより補正データ(面補正パラメータ)を求める。
【0127】
以上説明した測位システム800は、
あらかじめ正確な位置が判明している位置(電子基準点位置)に設置され、観測情報あるいは補正情報を校正用電子基準点(校正基準点装置101)と測定点(測定点装置201)とに転送する電子基準点(電子基準点装置601〜604)と、
電子基準点(電子基準点装置601〜604)より測定点(測定点装置201)に近傍に配置される校正用電子基準点(校正基準点装置101)とで構成され、
校正用電子基準点(校正基準点装置101)の位置(校正点算出位置)は、電子基準点(電子基準点装置601〜604)による補正データ(電子基準点距離誤差)と校正用電子基準点(校正基準点装置101)の観測情報(校正点擬似距離)により測位計算を実施し、時間軸の高周波帯の変動を除去するフィルタ処理を操作して求める。
【0128】
以上説明した測位システム800は、
あらかじめ正確な位置が判明している複数の電子基準点(電子基準点装置601〜604)で構成されるネットワーク型GPSと、
電子基準点(電子基準点装置601〜604)より測定点(測定点装置201)に近傍に配置される校正用電子基準点(校正基準点装置101)とで構成され、
校正用電子基準点(校正基準点装置101)の位置(校正点算出位置)は、ネットワーク型GPSによる補正データ(面補正パラメータ)と校正用電子基準点(校正基準点装置101)の観測情報(校正点擬似距離)により測位計算を実施し、時間軸の高周波帯の変動を除去するフィルタ処理を操作し求めるGPS測位装置。
【0129】
以上説明した測位システム800は、
あらかじめ正確な位置が判明している位置(電子基準点位置)に設置され、観測情報(電子基準点擬似距離)あるいは補正情報(電子基準点距離誤差)を校正用電子基準点(校正基準点装置101〜104)と測定点(測定点装置201)とに転送する電子基準点(電子基準点装置601〜604)と、
電子基準点(電子基準点装置601〜604)より測定点(測定点装置201)に近傍に配置される複数の校正用電子基準点(校正基準点装置101〜104)とで構成され、
この校正用補正データ(測定点位置誤差推定値)は、複数の校正用電子基準点(校正基準点装置101〜104)を設置して、それぞれで校正用補正データ(校正点位置誤差)を求め、各校正用補正データ(校正点位置誤差)から測位点(測定点算出位置)における校正用補正データ(測定点位置誤差推定値)を内挿して求める。
【0130】
以上説明した測位システム800は、
あらかじめ正確な位置が判明している複数の電子基準点(電子基準点装置601〜604)で構成されるネットワーク型GPSと、
電子基準点(電子基準点装置601〜604)より測定点(測定点装置201)に近傍に配置される複数の校正用電子基準点(校正基準点装置101〜104)とで構成され、
この校正用補正データ(測定点位置誤差推定値)は、複数の校正用電子基準点(校正基準点装置101〜104)を設置して、それぞれで校正用補正データ(校正点位置誤差)を求め、各校正用補正データ(校正点位置誤差)から測位点(測定点算出位置)における校正用補正データ(測定点位置誤差推定値)を内挿して求める。
【0131】
なお、内挿の具体的な方式は、上記説明した方式に限らず、例えば、平面補間や二次曲面補間など他の方式でもよい。
【0132】
また、校正基準点(校正基準点装置101〜104)における位置誤差に基づいて測定点(測定点装置201)における位置誤差を推定して、測定点算出位置を補正する代わりに、校正基準点(校正基準点装置101〜104)における観測値(擬似距離)の誤差を求め、求めた観測値(擬似距離)の誤差に基づいて測定点(測定点装置201)における観測値(擬似距離)の誤差を推定して、観測値(擬似距離)の補正を行い、補正した観測値(擬似距離)に基づいて測位計算を実施してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0133】
【図1】実施の形態1における測位システム800の全体構成の一例を示すシステム構成図。
【図2】実施の形態1における電子基準点装置601〜604及び電子基準点集計装置701の機能ブロックの構成の一例を示すブロック構成図。
【図3】実施の形態1における校正基準点装置101、測定点装置201、測位装置301の機能ブロックの構成の一例を示すブロック構成図。
【図4】受信位置と擬似距離の誤差との関係の一例を模式的に示すグラフ図。
【図5】実施の形態2における校正基準点装置101、測定点装置201、測位装置301の機能ブロックの構成の一例を示すブロック構成図。
【図6】実施の形態2における測定点相対位置算出装置340などが算出する測定点相対位置などの関係を模式的に示すグラフ図。
【図7】実施の形態3における測位システム800の全体構成の一例を示すシステム構成図。
【図8】実施の形態3における校正基準点装置101〜104、測定点装置201、測位装置301の機能ブロックの構成の一例を示すブロック構成図。
【図9】実施の形態3における測定点位置誤差推定装置370が測定点位置誤差を推定する方式の一例を示す模式図。
【符号の説明】
【0134】
101〜104 校正基準点装置、110 校正点受信装置、111 校正基準点集計装置、120 校正点擬似距離算出装置、130,230 衛星位置算出装置、140 校正点仮位置算出装置、150 校正点擬似距離誤差推定装置、160 校正点擬似距離誤差補正装置、170 校正点位置算出装置、175 校正点情報送信装置、180 校正点移動量抽出装置、185 仮想点位置算出装置、201 測定点装置、210 測定点受信装置、220 測定点擬似距離算出装置、240 測定点仮位置算出装置、250 測定点擬似距離誤差推定装置、260 測定点擬似距離誤差補正装置、270 測定点位置算出装置、275 校正点情報受信装置、301 測位装置、321,322 面補正パラメータ受信装置、340 測定点相対位置算出装置、350 校正点相対位置算出装置、360 校正点位置誤差算出装置、370 測定点位置誤差推定装置、380 測定点位置誤差補正装置、390 測定点相対位置表示装置、400 擬似距離誤差曲線、401,402 電子基準点擬似距離誤差、403,404 擬似距離誤差、410 擬似距離誤差推定関数曲線、413 校正点擬似距離誤差推定値、414 測定点擬似距離誤差推定値、423,424 残余誤差、433 校正点算出位置、434 測定点算出位置、435 仮想点算出位置、443 校正点位置、444 測定点位置、445 仮想点位置、453〜455 残余位置誤差、463 相対位置、464 測定点相対位置、471〜473 校正点相対位置、475 測定点相対位置、501〜504 GPS衛星、511 準天頂衛星、601〜604 電子基準点装置、610 電子基準点受信装置、620 電子基準点擬似距離算出装置、630 衛星位置算出装置、640 電子基準点位置記憶装置、650 電子基準点幾何距離算出装置、660 電子基準点擬似距離誤差算出装置、701 電子基準点集計装置、710 面補正パラメータ算出装置、720 面補正パラメータ送信装置、800 測位システム。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
校正点受信装置と、校正点位置算出装置と、測定点受信装置と、測定点位置算出装置と、測定点相対位置算出装置とを有し、
上記校正点受信装置は、複数の送信装置がそれぞれ送信した電波を受信し、
上記校正点位置算出装置は、上記校正点受信装置が受信した電波と、上記複数の送信装置がそれぞれ送信した電波を所定の位置において受信することにより算出された誤差とに基づいて、上記校正点受信装置の位置を算出して、校正点算出位置とし、
上記測定点受信装置は、上記複数の送信装置がそれぞれ送信した電波を受信し、
上記測定点位置算出装置は、上記測定点受信装置が受信した電波と、上記複数の送信装置がそれぞれ送信した電波を所定の位置において受信することにより算出された誤差とに基づいて、上記測定点受信装置の位置を算出して、測定点算出位置とし、
上記測定点相対位置算出装置は、上記校正点位置算出装置が算出した校正点算出位置と、上記測定点位置算出装置が算出した測定点算出位置とに基づいて、上記校正点受信装置に対する上記測定点受信装置の相対位置を算出して、測定点相対位置とする
ことを特徴とする測位システム。
【請求項2】
上記測位システムは、更に、校正点擬似距離算出装置と、校正点仮位置算出装置と、校正点擬似距離誤差推定装置と、校正点擬似距離誤差補正装置と、測定点擬似距離算出装置と、測定点仮位置算出装置と、測定点擬似距離誤差推定装置と、測定点擬似距離誤差補正装置とを有し、
上記校正点擬似距離算出装置は、上記校正点受信装置が受信した電波に基づいて、上記複数の送信装置それぞれと上記校正点受信装置との距離を算出して、校正点擬似距離とし、
上記校正点仮位置算出装置は、上記校正点擬似距離算出装置が算出した校正点擬似距離に基づいて、上記校正点受信装置の位置を算出して、校正点仮位置とし、
上記校正点擬似距離誤差推定装置は、上記複数の送信装置がそれぞれ送信した電波を所定の位置において受信することにより算出された擬似距離の誤差と、上記校正点仮位置算出装置が算出した校正点仮位置とに基づいて、上記校正点擬似距離算出装置が算出した校正点擬似距離の誤差を推定して、校正点擬似距離誤差推定値とし、
上記校正点擬似距離誤差補正装置は、上記校正点擬似距離誤差推定装置が推定した校正点擬似距離誤差推定値に基づいて、上記校正点擬似距離算出装置が算出した校正点擬似距離を補正して、校正点補正済擬似距離とし、
上記校正点位置算出装置は、上記校正点擬似距離誤差補正装置が補正した校正点補正済擬似距離に基づいて、上記校正点受信装置の位置を算出して、校正点算出位置とし、
上記測定点擬似距離算出装置は、上記測定点受信装置が受信した電波に基づいて、上記複数の送信装置それぞれと上記測定点受信装置との距離を算出して、測定点擬似距離とし、
上記測定点仮位置算出装置は、上記測定点擬似距離算出装置が算出した測定点擬似距離に基づいて、上記測定点受信装置の位置を算出して、測定点仮位置とし、
上記測定点擬似距離誤差推定装置は、上記複数の送信装置がそれぞれ送信した電波を所定の位置において受信することにより算出された擬似距離の誤差と、上記測定点仮位置算出装置が算出した測定点仮位置とに基づいて、上記測定点擬似距離算出装置が算出した測定点擬似距離の誤差を推定して、測定点擬似距離誤差推定値とし、
上記測定点擬似距離誤差補正装置は、上記測定点擬似距離誤差推定装置が推定した測定点擬似距離誤差推定値に基づいて、上記測定点擬似距離算出装置が算出した測定点擬似距離の誤差を補正して、測定点補正済擬似距離とし、
上記測定点位置算出装置は、上記測定点擬似距離誤差補正装置が補正した測定点補正済擬似距離に基づいて、上記測定点受信装置の位置を算出して、測定点算出位置とする
ことを特徴とする請求項1に記載の測位システム。
【請求項3】
上記測位システムは、更に、電子基準点受信装置と、電子基準点擬似距離算出装置と、電子基準点幾何距離算出装置と、電子基準点擬似距離誤差算出装置とを有し、
上記電子基準点受信装置は、所定の電子基準点位置に位置し、上記複数の送信装置がそれぞれ送信した電波を受信し、
上記電子基準点擬似距離算出装置は、上記電子基準点受信装置が受信した電波に基づいて、上記複数の送信装置それぞれと上記電子基準点受信装置との距離を算出して、電子基準点擬似距離とし、
上記電子基準点幾何距離算出装置は、上記電子基準点位置に基づいて、上記複数の送信装置それぞれと上記電子基準点受信装置との距離を算出して、電子基準点幾何距離とし、
上記電子基準点擬似距離誤差算出装置は、上記電子基準点擬似距離算出装置が算出した電子基準点擬似距離と、上記電子基準点幾何距離算出装置が算出した電子基準点幾何距離とに基づいて、上記電子基準点擬似距離の誤差を算出して、電子基準点擬似距離誤差とし、
上記校正点擬似距離誤差推定装置は、上記電子基準点擬似距離誤差算出装置が算出した電子基準点擬似距離誤差と、上記校正点仮位置算出装置が算出した校正点仮位置とに基づいて、上記校正点擬似距離算出装置が算出した校正点擬似距離の誤差を推定して、校正点擬似距離誤差推定値とし、
上記測定点擬似距離誤差推定装置は、上記電子基準点擬似距離誤差算出装置が算出した電子基準点擬似距離誤差と、上記測定点仮位置算出装置が算出した測定点仮位置とに基づいて、上記測定点擬似距離算出装置が算出した測定点擬似距離の誤差を推定して、測定点擬似距離誤差推定値とする
ことを特徴とする請求項2に記載の測位システム。
【請求項4】
上記測位システムは、更に、校正点移動量抽出装置と、仮想点位置算出装置とを有し、
上記校正点受信装置は、所定の速度より遅い速度で移動可能であり、
上記校正点移動量抽出装置は、上記校正点位置算出装置が算出した校正点算出位置に基づいて、上記校正点受信装置の移動量を推定して、校正点移動量推定値とし、
上記仮想点位置算出装置は、上記校正点位置算出装置が算出した校正点算出位置と、上記校正点移動量抽出装置が推定した校正点移動量推定値とに基づいて、移動しない仮想基準点の位置を算出して、仮想点算出位置とし、
上記測定点相対位置算出装置は、上記仮想点位置算出装置が算出した仮想点算出位置と、上記測定点位置算出装置が算出した測定点算出位置とに基づいて、上記仮想基準点に対する上記測定点受信装置の相対位置を算出して、測定点相対位置とする
ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の測位システム。
【請求項5】
上記測位システムは、上記校正点受信装置を複数有し、更に、校正点相対位置算出装置と、校正点位置誤差算出装置と、測定点位置誤差推定装置と、測定点位置誤差補正装置とを有し、
上記校正点相対位置算出装置は、上記校正点位置算出装置が算出した校正点算出位置に基づいて、上記校正点受信装置の間の相対位置を算出して、校正点相対位置とし、
上記校正点位置誤差算出装置は、上記校正点相対位置算出装置が算出した校正点相対位置の変化に基づいて、上記校正点相対位置算出装置が算出した校正点相対位置の誤差を算出して、校正点位置誤差とし、
上記測定点位置誤差推定装置は、上記校正点位置誤差算出装置が算出した校正点位置誤差と、上記測定点相対位置算出装置が算出した測定点相対位置とに基づいて、上記測定点相対位置算出装置が算出した測定点相対位置の誤差を推定して、測定点相対位置誤差推定値とし、
上記測定点位置誤差補正装置は、上記測定点位置誤差推定装置が推定した測定点相対位置誤差推定値に基づいて、上記測定点相対位置算出装置が算出した測定点相対位置を補正する
ことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の測位システム。
【請求項6】
複数の送信装置がそれぞれ送信した電波を校正基準点において受信し、
校正基準点において受信した電波と、上記複数の送信装置がそれぞれ送信した電波を所定の位置において受信することにより算出された誤差とに基づいて、上記校正基準点の位置を算出して、校正点算出位置とし、
上記複数の送信装置がそれぞれ送信した電波を測定点において受信し、
測定点において受信した電波と、上記複数の送信装置がそれぞれ送信した電波を所定の位置において受信することにより算出された誤差とに基づいて、上記測定点の位置を算出して、測定点算出位置とし、
算出した校正点算出位置と、算出した測定点算出位置とに基づいて、上記校正基準点に対する上記測定点の相対位置を算出して、測定点相対位置とする
ことを特徴とする測位方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−63531(P2009−63531A)
【公開日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−233647(P2007−233647)
【出願日】平成19年9月10日(2007.9.10)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】