説明

測定装置及び方法

【課題】 被検体の広範囲な複屈折の測定を高精度に行うことができる測定装置及び方法を提供する。
【解決手段】 被検体を通過した被検光と参照光とを干渉させて前記被検体の透過波面を測定する干渉計を備え、前記被検体の複屈折を測定する測定装置であって、フリンジスキャンを利用して前記被検体の瞳面内の偏光特性行列を測定する偏光特性測定手段を有することを特徴とする測定装置を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般には、測定装置及び方法に係り、特に、IC、LSIなどの半導体チップ、液晶パネルなどの表示素子、磁気ヘッドなどの検出素子、CCDなどの撮像素子といった各種デバイス、マイクロメカニクスで用いる微細パターンの製造に用いられる露光装置が使用する光学系(特に、投影光学系)の複屈折を測定する測定装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
フォトリソグラフィー(焼き付け)技術を用いて半導体メモリや論理回路などの微細な半導体デバイスを製造する際に、レチクル(マスク)に描画された回路パターンを投影光学系によってウェハ等に投影して回路パターンを転写する縮小投影露光装置が従来から使用されている。
【0003】
縮小投影露光装置では、レチクル上のパターンを所定の倍率(縮小率)で正確にウェハ上に転写することが要求されており、かかる要求に応えるためには、結像性能などの光学性能に優れた投影光学系(投影レンズ)を用いることが重要である。特に近年、半導体デバイスの急速な微細化により、通常の結像性能を超えるパターンを転写する場合が多くなってきており、転写パターンは、光学系の偏光特性である複屈折に対しても敏感になってきている。
【0004】
複屈折を測定するための装置及び方法としては、従来から幾つか提案されている。例えば、半導体ウェハの応力測定器のように被検体の透過光より複屈折を測定する装置があるが、かかる装置は、結像系がないために被検体の表面のある一点の複屈折しか測定することができず(即ち、点測定しかできない)、複屈折の測定を広範囲に必要とする場合には、非検物(或いは光源)を走査させなければならない。そのため装置が複雑化してしまい、光学系(投影レンズなど)のように広範囲な測定が必要な被検体には適していない。そこで、結像系を有するシュアリング干渉計を用いて、被検体の広範囲な複屈折の測定を可能とする装置も提案されている(例えば、特許文献1参照。)
【特許文献1】特開2004−61515号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に提案されているシュアリング干渉計を用いた装置では、回折格子を外して複屈折を測定する一方、波面測定の際には回折格子が挿入されるため、回折格子に含まれる複屈折の影響をそのまま受けてしまい、高精度に複屈折を測定することができなかった。
【0006】
更に、回折光が入射光に対して傾いた方向に射出されるため偏光の向きが変化する可能性がある。従って、波面測定の際には被検体(投影レンズなど)以外の途中の光学系(即ち、シュアリング干渉計が有する結像系)の影響を完全に除去することが困難であり、波面測定と複屈折測定の整合性を完全に取ることが不可能である。換言すれば、途中光学系による偏光特性の影響を高精度に測定することができず、被検体の複屈折を正確に測定することができない。
【0007】
そこで、本発明は、被検体の広範囲な複屈折の測定を高精度に行うことができる測定装置及び方法を提供することを例示的目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の一側面としての測定装置は、被検体を通過した被検光と参照光とを干渉させて前記被検体の透過波面を測定する干渉計を備え、前記被検体の複屈折を測定する測定装置であって、フリンジスキャンを利用して前記被検体の瞳面内の偏光特性行列を測定する偏光特性測定手段を有することを特徴とする。
【0009】
本発明の別の側面としての測定装置は、被検体を通過した被検光と参照光とを干渉させて前記被検体の透過波面を測定する干渉計を備え、前記被検体の複屈折を測定する測定装置であって、前記参照光の光路を遮断して前記被検体の瞳面内の偏光特性行列を測定する偏光特性測定手段を有することを特徴とする。
【0010】
本発明の更に別の側面としての測定装置は、被検体を通過した被検光と参照光と干渉させて前記被検体の透過波面を測定する干渉計を備え、前記被検体の複屈折を測定する測定装置であって、空間フィルターを移動させて前記参照光を遮光し、前記被検体の瞳面内の偏光特性行列を測定する偏光特性測定手段を有することを特徴とする。
【0011】
本発明の更に別の側面としての測定方法は、被検体を通過した被検光と参照光とを干渉させて前記被検体の透過波面を測定する干渉計を用いて前記被検体の複屈折を測定する測定方法であって、フリンジスキャンを利用して前記被検体の瞳面内の偏光特性行列を測定するステップと、前記測定ステップで測定した前記偏光特性行列から前記被検体の複屈折を算出するステップとを有することを特徴とする。
【0012】
本発明の更に別の側面としての測定方法は、被検体を通過した被検光と参照光とを干渉させて前記被検体の透過波面を測定する干渉計を用いて前記被検体の複屈折を測定する測定方法であって、前記参照光の光路を遮断するステップと、前記被検体の瞳面内の偏光特性行列を測定するステップとを有することを特徴とする。
【0013】
本発明の更に別の側面としての測定方法は、被検体を通過した被検光と参照光とを干渉させて前記被検体の透過波面を測定する干渉計を用いて前記被検体の複屈折を測定する測定方法であって、空間フィルターを移動させて前記参照光を遮光するステップと、前記被検体の瞳面内の偏光特性行列を測定するステップとを有することを特徴とする。
【0014】
本発明の更に別の側面としての測定方法は、上述の測定装置を用いて、被検体の瞳面内の透過波面を測定するステップと、前記測定ステップで測定した前記透過波面に基づいて、前記被検体の瞳面内の偏光特性行列分布の位相項を規格化するステップと、前記規格化ステップで規格化された前記偏光特性行列分布の位相項から、任意の偏光状態に対する前記被検体の瞳面内の透過波面を算出するステップとを有することを特徴とする。
【0015】
本発明の更に別の側面としての測定方法は、上述の測定装置を用いて、前記被検体及び前記干渉計の光学系を透過する光量分布と、前記被検体を含まない前記干渉計の光学系を透過する光量分布と、前記被検体の偏光特性行列と、前記被検体を含まない前記干渉計の光学系の偏光特性行列とを求め、前記求められた情報に基づき任意の偏光状態に対する前記被検体の瞳面内の透過率分布を算出するステップを有することを特徴とする。
【0016】
本発明の更なる目的又はその他の特徴は、以下、添付図面を参照して説明される好ましい実施例によって明らかにされるであろう。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、被検体の広範囲な複屈折の測定を高精度に行うことができる測定装置及び方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
【実施例1】
【0019】
図1は、本発明の一側面としての測定装置1の基本的な構成を示す概略断面図である。実施例1の測定装置1は、透過波面を測定するトワイマングリーン型の干渉計を備え、被検体OSの複屈折を測定する測定装置である。なお、本実施形態では、被検体OSとして投影レンズを想定している。
【0020】
図1を参照するに、光源10を射出した光束は、所定の(即ち、既知の)偏光状態にするために偏光子11を透過させる。光源10から射出する光束の偏光状態は円偏光であり、偏光子11を回転させるだけで任意の直線偏光において充分な光量を得ることができる。偏光子11は、図示しないθステージ上に駆動可能に配置され、図示しない制御部に制御される。なお、紫外線以下の波長に用いられる投影レンズ(被検体OS)と同一波長で使用可能な偏光子11としては、フッ化マグネシウム(MgF)を硝材とするローションプリズムがある。
【0021】
偏光子11を透過した光束の偏光状態は、偏光子11の角度に依存した直線偏光となる。偏光子11を透過した光束は、ビーム径を拡大するためのビームエキスパンダ12及び13を透過し、平行光束状態でハーフミラー14へ入射する。以下、ハーフミラー14で反射される光束を被検光束、ハーフミラー14を透過する光束を参照光束と称する。
【0022】
被検光束は物体側XYステージ15へ入射し、Xステージ折り返しミラー16によって図示しないYステージ上のミラーへ反射され、次いで、ミラー17によって物体側Zステージ18へ反射される。なお、ミラーによる折り返しは、ステージ移動時もステージに対して光軸が一定となるようにすることを目的としているため、本実施形態と異なる順番で入射してもよい。物体側Zステージ18には、コリメータレンズ19が配置されており、コリメータレンズ19の焦点位置が被検体OSの物体面となるように、物体側Zステージ18を駆動する。また、物体側XYステージ15は、複屈折を測定する物体位置に駆動する。
【0023】
コリメータレンズ19を介して被検体OSに入射した被検光束は、被検体OSを透過した後、被検体OSの倍率で定まる像点に結像する。像側Zステージ20には、球面ミラー21が配置され、被検体OSの結像位置(像点)に球面ミラー21の曲率中心が一致するように、像側Zステージ20及び像側XYステージ22で位置調整する。球面ミラー21としては、複屈折の影響を避けるために、素硝子又はシリコン(Si)結晶等を材料とするミラーを使用する。球面ミラー21で反射された被検光束は、被検体OSを透過し、同一光路にてハーフミラー14に至る。
【0024】
一方、ハーフミラー14を透過した参照光束は、被検光束の光路長と同一となるように引き回され、参照ミラー23によって反射される。参照ミラー23で反射した参照光束は、同一光路を経てハーフミラー14に戻り、被検光束と干渉するように調整されているが、複屈折を測定する際には、遮光板24によって遮光される。
【0025】
ハーフミラー14を透過した被検光束は、被検体OSの瞳とカメラ29とを共役関係にするための瞳結像レンズ25及び26を透過し、再び平行光束となる。平行光束となった被検光束は、図示しないθステージ上に配置されたλ/4板27によって偏光に変調が加えられ、検光子28の角度によって定まる直線偏光成分のみが検光子28を透過し、カメラ29で撮像される。図示しないθステージは、図示しない制御部によって制御され、θステージの原点におけるλ/4板27の進相軸角度と検光子28の透過軸角度は、検光子28の透過軸と同様に、紙面(図1)に対して平行に調整されているものとする。
【0026】
本実施形態では、被検光束に所定の位相遅延量を与える波長板としてλ/4板27を用いているが、位相遅延量が明確、且つ、λ/2以外であれば、λ/4板以外の波長板を用いてもよい。また、検光子28は、偏光子11と同様に、ローションプリズムを使用する。
【0027】
次に、測定装置1による被検体OSの偏光特性行列の測定方法について説明する。偏光特性行列は、本実施形態では、偏光素子の偏光変換特性を2×2(2行2列)の行列で表すジョーンズ行列であり、かかるジョーンズ行列から複屈折を求めることができる(例えば、辻内 順平他著 「最新・光学技術ハンドブック」 朝倉書店出版 参照。)。
【0028】
まず、偏光子11の角度がθpol1となるように、θステージを駆動する。この結果、偏光子11を射出する光束の偏光は、角度θpol1の直線偏光となる。かかる偏光状態を、Xin1と表す。ここで、Xは、ジョーンズ行列をその1列成分で規格化した際の2列成分で得られる複素数であり、以下、偏光パラメータと称する。
【0029】
次に、λ/4板27を回転させながら、カメラ29にて光量変化を撮影する。λ/4板27の回転と、カメラ29による透過光量の撮像とは同期が取れている必要がある。但し、λ/4板27を回転させながら同時に撮像しても、λ/4板27の微小角度ステップとカメラ29による撮像を繰り返す、所謂、ステップ・アンド・リピートであってもよい。
【0030】
λ/4板27の回転によるカメラ29の画素ごとの透過光量変化から、λ/4板27への入射時の偏光パラメータXout1の計算を行う。透過光量変化のDC成分、2倍波及び4倍波成分をフーリエ解析等の手法で摘出することによって、以下の数式1を得ることができる。
【0031】
【数1】

【0032】
ここで、DCはDC成分、SHsは2倍波sin成分、FHsは4倍波sin成分、FHcは4倍波cos成分である。
【0033】
λ/4板27に製造誤差等により位相遅延量誤差がある場合には、予め位相遅延量を測定しておき、移相子法による偏光算出の際に補正を行えばよい。移相子法による偏光算出は、撮像される被検体OSの瞳内の全画角について行う。
【0034】
このような測定を、独立な3つの入射直線偏光Xin1、Xin2及びXin3に対して行うことにより、偏光パラメータXout1、Xout2及びXout3の算出を行う。
【0035】
次に、偏光子11からλ/4板27に至るまでに透過、或いは、反射する光学素子(光学系)全体の偏光特性行列としてジョーンズ行列Jを算出する。2行2列の要素で規格化された光学素子のジョーンズ行列Jは、入射直線偏光Xin1、Xin2及びXin3、偏光パラメータXout1、Xout2及びXout3を用いて、以下の数式2として算出する。
【0036】
【数2】

【0037】
光学素子のジョーンズ行列Jも、射出偏光パラメータと同様に、被検体OSの瞳内の全ての画角について行う。以下、図1に示した構成から得られるジョーンズ行をJtestと称する。
【0038】
次に、被検体OSとそれ以外の光学素子(光学系)に起因する偏光特性行列の分離について説明する。図2及び図3は、被検体OS以外の測定光学系の偏光光学特性を測定するための測定装置1の構成を示す概略断面図である。
【0039】
図2は、偏光子11からビームエキスパンダ12及び13を介し、ハーフミラー14で反射された後、参照平面ミラー30で折り返されるまでの光路における偏光光学特性と、参照平面ミラー30で折り返された後、ハーフミラー14、瞳結像レンズ25及び26を透過するまでの光路における偏光光学特性を測定するための測定装置1の構成を示している。以下、偏光子11からビームエキスパンダ12及び13を介し、ハーフミラー14で反射された後、参照平面ミラー30で折り返されるまでの光路の構成をシステムエラー1とし、システムエラー1のジョーンズ行列をJsys1とする。
【0040】
ビームエキスパンダ12及び13を透過した後の平行光束の光路中に、システム測定用の参照平面ミラー30を配置する。参照平面ミラー30は、ミラー自身の複屈折の影響を与えないようにするために、素硝子や保護コートが施されていないアルミミラー等を使用する。なお、本実施形態では、ハーフミラー14の直後に参照平面ミラー30を配置しているが、コリメータレンズ19までの光路中ならばどこに配置しても構わない。この状態におけるジョーンズ行列の測定も同様に、偏光子11を回転させて得られる3つの入射偏光に対する3つの射出偏光から算出する。
【0041】
次に、参照平面ミラー30の前段に偏光子31を配置する。偏光子31を配置することにより、参照平面ミラー30による反射後、偏光子31より前の偏光状態はリセットされるため、ハーフミラー14、瞳結像レンズ25及び26を透過するまでの光路における偏光光学特性の測定を行うことができる。以下、参照平面ミラー30で折り返された後、ハーフミラー14、瞳結像レンズ25及び26を透過するまでの光路の構成をシステムエラー2とし、システムエラー2のジョーンズ行列をJsys2とする。
【0042】
偏光子31は、通常測定用の偏光子11と同様に、図示しないθステージに設置されており、図示しない制御部によって制御される。ジョーンズ行列Jsys2は、入射偏光の回転を偏光子31で行うことによって測定する。なお、偏光子11は、偏光子31を透過した後の光量が充分となるように回転調整する必要がある。また、偏光子11を取り外して光量を確保してもよい。
【0043】
図3を参照するに、コリメータレンズ19の焦点位置に曲率中心を有する参照球面ミラー32を配置した構成である。この構成においては、偏光子11からビームエキスパンダ12及び13を介し、ハーフミラー14で反射された後、ステージ上の折り返しミラー16、ミラー17及びコリメータレンズ19を往復し、ハーフミラー14、瞳結像レンズ25及び26を透過するまでの光路における偏光光学特性を測定する。以下、偏光子11からビームエキスパンダ12及び13を介し、ハーフミラー14で反射された後、ステージ上の折り返しミラー16、ミラー17及びコリメータレンズ19を往復し、ハーフミラー14、瞳結像レンズ25及び26を透過するまでの光路の構成をシステムエラー3とし、システムエラー3のジョーンズ行列をJsys3とする。ジョーンズ行列Jsys3の測定は、ジョーンズ行列Jsys1と同様に、偏光子11で入射偏光を回転させて行う。
【0044】
以上から得られる4つのジョーンズ行列Jtest、Jsys1、Jsys2及びJsys3を用いて、被検体OSのジョーンズ行列を算出する。それぞれのジョーンズ行列を、含まれる光学素子(光学系)ジョーンズ行列を用いて表すと、以下の数式3で示される。
【0045】
【数3】

【0046】
なお、数3では、偏光への影響を無視することができる参照平面ミラー30及び参照球面ミラー32に関しては表記していない。また、Jpol−HM(R)は偏光子11を射出してからハーフミラー14で反射するまでのジョーンズ行列、JHM(R)−ColLensはハーフミラー14を反射してからコリメータレンズ19を透過するまでのジョーンズ行列、JLensは被検体OSのジョーンズ行列、JColLens−HM(T)はコリメータレンズ19を透過してλ/4板27に入射する前までのジョーンズ行列である。
【0047】
ここで、ハーフミラー14を反射してからコリメータレンズ19を透過するまでのジョーンズ行列JHM(R)−ColLensとコリメータレンズ19を透過してλ/4板27に入射する前までのジョーンズ行列JColLens−HM(T)は等しいため、以下の数式4が成立する。
【0048】
【数4】

【0049】
従って、被検体OSのジョーンズ行列JLensは、以下の数式5のように表され、被検体OSのジョーンズ行列JLensのみの算出が可能となる。
【0050】
【数5】

【0051】
このように、測定装置1は、被検体OSの偏光特性行列であるジョーンズ行列の測定することができる。ジョーンズ行列から複屈折特性である位相遅延量及び光学特性方位を求めるには、被検体OSのジョーンズ行列JLensの固有値及び固有行列を求め、2組の固有値の位相差から位相遅延量、固有ベクトルの角度から特性軸角度を求めればよい。
【0052】
次に、所定の(即ち、既知の)透過波面を用いてジョーンズ行列を規格化し、被検体OSの瞳面内偏光分布における波面を算出することについて説明する。まず、所定の入射偏光で被検体OSの瞳面内の透過波面Win(r、θ)を測定する。ここで、(r、θ)は被検体OSの瞳面上の座標を表す。本実施形態では、x方向直線偏光Ein=(1、0)を入射した場合を例として考える。
【0053】
次に、被検体OSの偏光特性である瞳面内のジョーンズ行列JLens(r、θ)から、干渉計測で得られる瞳面内の透過波面Pin(r、θ)を算出する。偏光状態Einを入射したとき、被検光束Eout(r、θ)は、瞳面内のジョーンズ行列を用いて、以下の数式6で表される。
【0054】
【数6】

【0055】
一方、参照光束は、入射状態Einが垂直反射して返ってくるので、入射偏光Einのとき干渉計測で得られる瞳面上の透過波面Pin(r、θ)は、以下の数式7となる。
【0056】
【数7】

【0057】
実際に測定した被検体OSの瞳面内の透過波面は、Win(r、θ)であるので、透過波面Pin(r、θ)のオフセットを規格化したジョーンズ行列JLens0は、以下の数式8で表される。
【0058】
【数8】

【0059】
従って、ジョーンズ行列JLens0から、任意の偏光分布における波面の算出が可能となる。かかる算出を、被検体OSの瞳内の全ての画素について行うことで、被検体OSの複屈折特性である位相遅延量及び特性軸角度と、任意の偏光分布における波面を算出することができる。
【実施例2】
【0060】
図4は、本発明の一側面としての測定装置1Aの構成を示す概略断面図である。実施例2の測定装置1は、透過波面を測定するフィゾー型の干渉計を備え、被検体OSの複屈折を測定する測定装置である。なお、偏光特性行列の測定に関わる被検体OSのジョーンズ行列の測定は、実施例1と同様であるため、被検光束と参照光束との分岐についてのみ説明する。
【0061】
図4を参照するに、光源10から射出した光束は、λ/2板41及び偏光子11によって任意の角度の直線偏光となる。偏光子11を射出した光束は、ビームエキスパンダ12によって一度集光された後、ハーフミラー14で拡散しながら反射される。ハーフミラー14で反射された光束は、ビームエキスパンダ13によってビーム径が拡大された平行光束となる。ビームエキスパンダ13を透過した光束は、ミラー42で反射されて物体側XYステージ17に入射し、Xステージ折り返しミラー16によって図示しないYステージ上のミラーへ反射され、次いで、ミラー17によって物体側Zステージ18へ反射される。
【0062】
物体側Zステージ18には、PZTアクチュエータ43を介し、最終面の曲率半径と最終面から焦点までの距離が等しい、所謂、TSレンズ44が配置されており、TSレンズ44を透過する光束の焦点位置が被検体OSの物体面となるように、物体側Zステージ18を駆動する。また、物体側Zステージ18は、複屈折を測定する物体位置に駆動する。
【0063】
TSレンズ44は、光源10の波長に対する反射防止膜が最終面以外に施されており、最終面のみコートなしの素硝子としている。このため、TSレンズ44の最終面では、入射光量の5%程度が反射され、同一光路を経てハーフミラー14に戻る。以下、TSレンズ44の最終面で反射される光束を参照光束と称する。
【0064】
TSレンズ44を介して被検体OSに入射した光束は、被検体OSを透過した後、被検体OSの倍率で定まる像点に結像する。像側Zステージ20には、球面ミラー21が配置され、被検体OSの結像位置(像点)と球面ミラー21の曲率中心とが光軸垂直方向にΔだけずれるように、像側Zステージ20及び像側XYステージ22で位置調整する。球面ミラー21は、TSレンズ44の最終面と同様に素硝子とし、以下、球面ミラー21で反射される光束を被検光束と称する。
【0065】
TSレンズ44の最終面で反射された参照光束は、同一光路を経てハーフミラー14を透過する。一方、球面ミラー21で反射された被検光束は、球面ミラー21の曲率中心位置が結像位置からΔずれているため、復路が往路に対して傾いてハーフミラー14に入射する。TSレンズ44の焦点と共役な位置に配置した空間フィルター45上での被検光束と参照光束とのずれ量Δspfは、被検体OSの横倍率をβLens、TSレンズ44の焦点距離をFts、ビームエキスパンダ13の焦点距離をFexpとして、以下の数式9で表される。
【0066】
【数9】

【0067】
数式9に示されるずれ量Δspfを用いて、被検光束と参照光束との分岐を行う。図5は、空間フィルター45の近傍を示す拡大断面図である。図5において、1点鎖線は測定光学系の光軸を示しており、通常の干渉計測時には、図5(a)に示すように、空間フィルター45の開口45aの中心は、測定光学系の光軸上にある。一方、複屈折の測定時には、図5(b)に示すように、空間フィルター45をΔspfシフトさせることにより、被検光束の位置に空間フィルター45の開口45aの中心を移動させ、参照光束を遮光し、被検光束のみを透過させる。
【0068】
空間フィルター45を透過した被検光束は、瞳結像レンズ26を透過し、平行光束となる。平行光束となった被検光束は、λ/4板27によって偏光に変調が加えられ後、偏光子28で偏光子28の透過軸方向の偏光成分のみが取り出されて、カメラ29で撮像される。ビームエキスパンダ13及び瞳結像レンズ26は、TSレンズ44の絞りとカメラ29とを共役関係にすると共に、TSレンズ44の絞りと被検体OSの瞳とを共役関係にする。これにより、カメラ29は、被検体OSの瞳と共役となる。
【0069】
このような、測定装置1Aを用いて、実施例1と同様に、偏光子11による複数の入射偏光に対する射出偏光の測定を行い、被検光束の偏光特性行列であるジョーンズ行列を求め、被検体OS以外の測定光学系に起因するジョーンズ行列を除去することで、被検体OSの瞳面内における偏光特性行列を測定することができる。
【実施例3】
【0070】
実施例3として、干渉縞を平均する方式を用いて被検光束と参照光束とを分離し、被検体OSの偏光特性行列を測定する方法について説明する。実施例1では遮光板24を用いて参照光束を遮光し、被検光束のみを検出しているが、本実施形態では、干渉縞強度を積算して被検光束の情報を検出する。
【0071】
実施例3では、図4に示す測定装置1Aの構成において、球面ミラー21の曲率中心の位置が被検体OSの結像点に一致するように、像側Zステージ20及び像側XYステージ22を調整する。また、空間フィルター45の開口45aの中心は、測定光学系の光軸上に配置する。かかる配置により、カメラ29では、被検光束と参照光束との光路長差及び被検体OSの透過波面収差に応じて、被検光束と参照光束が干渉した干渉縞が撮像される。
【0072】
λ/4板27に入射する光束の偏光測定の際には、λ/4板27を微小角度ステップさせるごとに、物体側Zステージ17に配置したPZTアクチュエータ43を半波長の整数倍だけ直線駆動して、その間の積算光量を用いて被検光束の情報を算出する。
【0073】
図6は、PZTアクチュエータ43の駆動と、カメラ29のある画素における干渉縞の変化を示すグラフである。図6(b)に示すように、PZTアクチュエータ43の駆動量が波長の半整数倍になるごとに、図6(a)に示す干渉縞強度が周期的に変動する。被検光束の光量をIref、参照光束の光量をItest、被検光束と参照光束との干渉縞のコントラストをV、被検光束と参照光束との光路長差をLとすると、干渉縞強度Ifrgは、以下の数式10で表される。
【0074】
【数10】

【0075】
従って、光路長差を波長の整数倍のみスキャンさせた際に得られる積算光量は、干渉成分が打ち消され、被検光束の光量と参照光束の光量との和となる。
【0076】
本実施形態では、PZTアクチュエータ43を駆動させることにより干渉縞の平均化を行っているが、光源10の波長を変化させることができる場合には、波長を変化させることによって干渉縞を平均化してもよい。かかる場合には、以下の数式11で表される波長変化で干渉縞一周期の変化を与えることができる。
【0077】
【数11】

【0078】
以上の測定によって、λ/4板27の回転に対するDC成分、2倍波成分及び4倍波成分が、参照光束と被検光束との和として算出される。ここで、DC成分をDCref+test、2倍波成分をSHref+test、4倍波成分をFHref+testとし、以下の数式12を用いることで、被検光束のみのλ/4板27による変調成分を算出することができる。
【0079】
【数12】

【0080】
次いで、これらの変調成分から射出偏光状態を算出し、偏光子11による複数の入射偏光に対する被検光束の射出偏光の測定を行い、被検光束の偏光特性行列であるジョーンズ行列を求め、被検体OS以外の測定光学系に起因するジョーンズ行列を除去することで、被検体OSの瞳面内における偏光特性行列を測定することができる。
【実施例4】
【0081】
実施例4として、被検体OSの瞳面内の透過率分布の測定について説明する。図1及び図3に示す測定装置1の測定状態において、以下の数式13で表されるジョーンズ行列は、システムエラー1及び2から測定されているものとする。
【0082】
【数13】

【0083】
実施例1で説明したように、通常の偏光特性行列の測定から算出されるジョーンズ行列は、2行2列成分で規格化されているため、これらを無偏光の入射光束に対する透過率で規格化する。無偏光の入射光束に対する透過率Tupは、ジョーンズ行列Jの各要素を用いて、以下の数式14で表される。
【0084】
【数14】

【0085】
従って、実施例1で得られたジョーンズ行列から透過率を算出し、各要素を√2Tupで除算すればよい。無偏光の入射光束に対して規格化されたジョーンズ行列をjとし、各ジョーンズ行列で表される光学素子の実際の無偏光透過率をTとすると、以下の数式15が成り立つ。
【0086】
【数15】

【0087】
一方、実際に、ジョーンズ行列Jtest及びJsys3の測定時に、入射偏光Xtest及びXsys3においてカメラ29で検出される光量をItest及びIsys3とすると、以下の数式16で表される。
【0088】
【数16】

【0089】
従って、被検体OSの無偏光の入射光束に対する透過率Tlensは、以下の数式17から算出すればよい。
【0090】
【数17】

【0091】
また、任意の偏光に対する透過率を算出する場合には、入射偏光パラメータをXinとして、以下の数式18から算出すればよい。
【0092】
【数18】

【実施例5】
【0093】
実施例1乃至4では、干渉計に偏光特性行列を測定する機能を追加した構成としているが、干渉計の機能は無くてもよい。かかる場合も上述したように、被検体OS以外の光学系の複屈折の影響を除去することができ、実施例1乃至4に示した干渉計と同じ状態で偏光特性行列を測定することが可能である。
【0094】
図7は、本発明の一側面としての測定装置1Bの構成を示す概略断面図である。測定装置1Bは、偏光特性行列を測定する機能のみを有する測定装置である。
【0095】
図7を参照するに、光源10を射出した光束は、所定の(即ち、既知の)偏光状態にするために偏光子11を透過させる。光源10から射出する光束の偏光状態は円偏光であり、偏光子11を回転させるだけで任意の直線偏光において充分な光量を得ることができる。偏光子11は、図示しないθステージ上に駆動可能に配置され、図示しない制御部に制御される。
【0096】
偏光子11を透過した光束の偏光状態は、偏光子11の角度に依存した直線偏光となる。偏光子11を透過した光束は、ビーム径を拡大するためのビームエキスパンダ12及び13を透過し、平行光束状態でハーフミラー14に入射する。本実施形態では、干渉計の機能は搭載していないので、測定装置1Bは、参照ミラーを有していない。そのため、ハーフミラー14を透過した光束は、遮光板24で遮光する。以下、ハーフミラー14で反射される光束を被検光束と称する。
【0097】
被検光束は物体側XYステージ15へ入射し、Xステージ折り返しミラー16によって図示しないYステージ上のミラーへ反射され、次いで、ミラー17によって物体側Zステージ18へ反射される。なお、ミラーによる折り返しは、ステージ移動時もステージに対して光軸が一定となるようにすることを目的としているため、本実施形態と異なる順番で入射してもよい。物体側Zステージ18には、コリメータレンズ19が配置されており、コリメータレンズ19の焦点位置が被検体OSの物体面となるように、物体側Zステージ18を駆動する。また、物体側XYステージ15は、複屈折を測定する物体位置に駆動する。
【0098】
コリメータレンズ19を介して被検体OSに入射した被検光束は、被検体OSを透過した後、被検体OSの倍率で定まる像点に結像する。像側Zステージ20には、球面ミラー21が配置され、被検体OSの結像位置(像点)に球面ミラー21の曲率中心が一致するように、像側Zステージ20及び像側XYステージ22で位置調整する。
【0099】
球面ミラー21で反射された被検光束は、被検体OSを透過し、同一光路にてハーフミラー14に至る。ハーフミラー14を透過した被検光束は、被検体OSの瞳とカメラ29とを共役関係にするための瞳結像レンズ25及び26を透過し、再び平行光束となる。平行光束となった被検光束は、図示しないθステージ上に配置されたλ/4板27によって偏光に変調が加えられ、検光子28の角度によって定まる直線偏光成分のみが検光子28を透過し、カメラ29で撮像される。図示しないθステージは、図示しない制御部によって制御され、θステージの原点におけるλ/4板27の進相軸角度と検光子28の透過軸角度は、検光子28の透過軸と同様に、紙面(図7)に対して平行に調整されているものとする。
【0100】
また、測定装置1と同様に、参照平面ミラー30、偏光子31及び参照球面ミラー32も、被検光束の光路上に挿脱可能に配置されている。
【0101】
このような、測定装置1Bを用いて、実施例1と同様に、偏光子11による複数の入射偏光に対する射出偏光の測定を行い、被検光束の偏光特性行列であるジョーンズ行列を求め、被検体OS以外の測定光学系に起因するジョーンズ行列を除去することで、被検体OSの瞳面内における偏光特性行列を測定することができる。
【0102】
以上、説明したように、本発明の測定装置によれば、干渉計を用いながらも、被検体の状態(例えば、被検体の進相軸方向など)を仮定することなく、システム起因の誤差を正確に補正し、被検体の瞳面内の偏光特性である偏光特性行列を高精度に測定することができる。また、測定した偏光特性行列から、被検体の瞳面内の複屈折分布及び透過率分布も高精度に測定することができる。更に、干渉計測時と同じ状態で偏光特性行列を測定することが可能であるため、任意の偏光分布状態における被検体の瞳面の波面を高精度に測定することができる。
【0103】
以上、本発明の好ましい実施例について説明したが、本発明はこれらの実施例に限定されないことはいうまでもなく、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0104】
【図1】本発明の一側面としての測定装置の基本的な構成を示す概略断面図である。
【図2】被検体以外の測定光学系の偏光光学特性を測定するための測定装置の構成を示す概略断面図である。
【図3】被検体以外の測定光学系の偏光光学特性を測定するための測定装置の構成を示す概略断面図である。
【図4】本発明の一側面としての測定装置の構成を示す概略断面図である。
【図5】図4に示す空間フィルターの近傍を示す拡大断面図である。
【図6】図4に示すPZTアクチュエータの駆動と、カメラのある画素における干渉縞の変化を示すグラフである。
【図7】本発明の一側面としての測定装置の構成を示す概略断面図である。
【符号の説明】
【0105】
1 測定装置
11 偏光子
14 ハーフミラー
19 コリメータレンズ
21 球面ミラー
23 参照ミラー
27 λ/4板
28 検光子
29 カメラ
30 参照平面ミラー
31 偏光子
32 参照球面ミラー
1A 測定装置
41 λ/2板
44 TSレンズ
45 空間フィルター
1B 測定装置
OS 被検体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体を通過した被検光と参照光とを干渉させて前記被検体の透過波面を測定する干渉計を備え、前記被検体の複屈折を測定する測定装置であって、
フリンジスキャンを利用して前記被検体の瞳面内の偏光特性行列を測定する偏光特性測定手段を有することを特徴とする測定装置。
【請求項2】
被検体を通過した被検光と参照光とを干渉させて前記被検体の透過波面を測定する干渉計を備え、前記被検体の複屈折を測定する測定装置であって、
前記参照光の光路を遮断して前記被検体の瞳面内の偏光特性行列を測定する偏光特性測定手段を有することを特徴とする測定装置。
【請求項3】
被検体を通過した被検光と参照光と干渉させて前記被検体の透過波面を測定する干渉計を備え、前記被検体の複屈折を測定する測定装置であって、
空間フィルターを移動させて前記参照光を遮光し、前記被検体の瞳面内の偏光特性行列を測定する偏光特性測定手段を有することを特徴とする測定装置。
【請求項4】
前記偏光特性測定手段は、
前記被検光に所定の位相遅延量を与える波長板と、
前記波長板を通過した被検光から任意の方向の直線偏光成分のみを取り出す偏光子と、
前記被検光と前記参照光とを分離する分離手段とを有することを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか一項記載の測定装置。
【請求項5】
前記波長板は、λ/4板であることを特徴とする請求項4記載の測定装置。
【請求項6】
前記偏光子は、ローションプリズムであることを特徴とする請求項4記載の測定装置。
【請求項7】
前記偏光特性測定手段は、前記被検光の光路中に挿脱可能な直入射反射ミラーを有することを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか一項記載の測定装置。
【請求項8】
前記偏光特性行列は、ジョーンズ行列であることを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか一項記載の測定装置。
【請求項9】
被検体を通過した被検光と参照光とを干渉させて前記被検体の透過波面を測定する干渉計を用いて前記被検体の複屈折を測定する測定方法であって、
フリンジスキャンを利用して前記被検体の瞳面内の偏光特性行列を測定するステップと、
前記測定ステップで測定した前記偏光特性行列から前記被検体の複屈折を算出するステップとを有することを特徴とする測定方法。
【請求項10】
被検体を通過した被検光と参照光とを干渉させて前記被検体の透過波面を測定する干渉計を用いて前記被検体の複屈折を測定する測定方法であって、
前記参照光の光路を遮断するステップと、
前記被検体の瞳面内の偏光特性行列を測定するステップとを有することを特徴とする測定方法。
【請求項11】
被検体を通過した被検光と参照光とを干渉させて前記被検体の透過波面を測定する干渉計を用いて前記被検体の複屈折を測定する測定方法であって、
空間フィルターを移動させて前記参照光を遮光するステップと、
前記被検体の瞳面内の偏光特性行列を測定するステップとを有することを特徴とする測定方法。
【請求項12】
前記測定ステップは、
前記被検体及び前記干渉計の光学系を含むの偏光特性行列を測定する第1の測定ステップと、
前記被検体を含まないように前記光学系を複数の領域に分離するステップと、
前記分離ステップで分離された前記光学系の複数の領域の各々の偏光特性行列を測定する第2の測定ステップと、
前記第1の測定ステップで測定された前記偏光特性行列から前記第2の測定ステップで測定された前記光学系の複数の領域の各々の偏光特性行列を除去するステップとを有することを特徴とする請求項9乃至11のうちいずれか一項記載の測定方法。
【請求項13】
請求項1乃至8のうちいずれか一項記載の測定装置を用いて、被検体の瞳面内の透過波面を測定するステップと、
前記測定ステップで測定した前記透過波面に基づいて、前記被検体の瞳面内の偏光特性行列分布の位相項を規格化するステップと、
前記規格化ステップで規格化された前記偏光特性行列分布の位相項から、任意の偏光状態に対する前記被検体の瞳面内の透過波面を算出するステップとを有することを特徴とする測定方法。
【請求項14】
請求項1乃至8のうちいずれか一項記載の測定装置を用いて、
前記被検体及び前記干渉計の光学系を透過する光量分布と、
前記被検体を含まない前記干渉計の光学系を透過する光量分布と、
前記被検体の偏光特性行列と、
前記被検体を含まない前記干渉計の光学系の偏光特性行列とを求め、
前記求められた情報に基づき任意の偏光状態に対する前記被検体の瞳面内の透過率分布を算出するステップを有することを特徴とする測定方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2006−214856(P2006−214856A)
【公開日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−27498(P2005−27498)
【出願日】平成17年2月3日(2005.2.3)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】