説明

溶断装置および包装装置

【課題】溶着性と切断性とに優れた溶断装置およびその溶断装置を備えた包装装置を提供する。
【解決手段】溶断ナイフ553の先端部分553aの曲率半径rを、0.05mm以上かつ0.20mm未満とする。これにより、優れた溶着性をもってフィルムを溶着することができ、かつ、優れた切断性をもってフィルムを切断することができる。また、溶断ナイフ553の材料には、金属複ホウ化物を含む焼結合金を使用する。これにより、溶断ナイフ553の耐摩耗性を向上させ、優れた切断性と優れた溶着生とを長期に維持することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルムに熱および圧力を与えることによりフィルムを溶断する溶断装置およびその溶断装置を備えた包装装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、物品をフィルムにより包装する包装装置が知られている。包装装置は、帯状のフィルムを筒状に成形し、当該フィルム内へ物品を投入してフィルム端部をシールすることにより、物品を包装する。このような包装装置では、1枚のフィルムにより連続して生成される複数の包装袋の境目を切断することにより、複数の包装袋を分離して生成する。
【0003】
特に、近年の包装装置においては、フィルムを溶着しつつ切断する、いわゆる溶断によって複数の包装袋を分離する場合がある。このような溶断を利用すれば、最端部が閉じられた状態で包装袋を生成することができるため、包装袋にリークが発生する恐れが低減する。従来の溶断の技術については、たとえば特許文献1に開示されている。
【0004】
【特許文献1】実公昭59−38328号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
フィルムを溶断する従来の溶断装置においては、フィルムに熱および圧力を与えることによって、フィルムを溶着しつつ切断する。しかしながら、従来の溶断装置では、フィルムが溶着される前に切断されてしまう場合があった。このような場合には、最端部が開いた状態(フレア)で包装袋が生成され、包装袋のリークの原因となっていた。また、従来の溶断装置では、繰り返し使用すると次第に切断性が悪化し、フィルムを切断できなくなる傾向があった。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みなされたものであり、溶着性と切断性とに優れた溶断装置およびその溶断装置を備えた包装装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、請求項1に係る発明は、フィルムを溶断する溶断装置であって、フィルムに熱および圧力を与える溶断ナイフを備え、前記溶断ナイフの先端の曲率半径が0.05mm以上かつ0.20mm未満であることを特徴とする。
【0008】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の溶断装置であって、前記溶断ナイフの少なくとも先端部分は、金属複ホウ化物を含む焼結合金により構成されていることを特徴とする。
【0009】
請求項3に係る発明は、請求項2に記載の溶断装置であって、前記焼結合金は、クロム、モリブデン、ニッケル、およびタングステンのうちの少なくとも1つの成分を含むことを特徴とする。
【0010】
請求項4に係る発明は、請求項1から3までのいずれかに記載の溶断装置であって、前記溶断ナイフの両側部に、フィルムを熱シールする一対のシールジョーをさらに備え、前記一対のシールジョーの少なくともシール面は、金属複ホウ化物を含む焼結合金により構成されていることを特徴とする。
【0011】
請求項5に係る発明は、請求項4に記載の溶断装置であって、前記焼結合金は、クロム、モリブデン、ニッケル、およびタングステンのうちの少なくとも1つの成分を含むことを特徴とする。
【0012】
請求項6に係る発明は、物品をフィルムにより包装する包装装置であって、フィルムを筒状に成形するフォーマと、前記フォーマにより筒状に成形されたフィルム内へ物品を投入する投入部と、前記フォーマにより筒状に成形されたフィルムの合わせ目を熱シールするシール部と、請求項1から5までのいずれかに記載の溶断装置と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1から請求項6に記載の発明によれば、溶断ナイフの先端の曲率半径は0.05mm以上かつ0.20mm未満となる。このため、優れた溶着性をもってフィルムを溶着することができ、かつ、優れた切断性をもってフィルムを切断することができる。
【0014】
特に、請求項2に記載の発明によれば、溶断ナイフの少なくとも先端部分は、金属複ホウ化物を含む焼結合金により構成される。このため、溶断ナイフの先端部分の耐摩耗性が向上し、優れた溶着性と優れた切断性とを長期に維持することができる。また、溶断ナイフの先端部分においてフィルムの離型性が向上し、溶断不良を防止することができる。
【0015】
特に、請求項3に記載の発明によれば、溶断ナイフの先端部分を構成する焼結合金は、クロム、モリブデン、ニッケル、およびタングステンのうちの少なくとも1つの成分を含む。このため、溶断ナイフの先端部分の耐摩耗性がさらに向上し、優れた溶着性と優れた切断性とをさらに長期に維持することができる。
【0016】
特に、請求項4に記載の発明によれば、一対のシールジョーの少なくともシール面は、金属複ホウ化物を含む焼結合金により構成されている。このため、シールジョーの剛性が向上し、優れたシール性を長期に維持することができる。また、シール面においてフィルム材料の離型性が向上し、シール不良を防止することができる。
【0017】
特に、請求項5に記載の発明によれば、一対のシールジョーのシール面を構成する焼結合金は、クロム、モリブデン、ニッケル、およびタングステンのうちの少なくとも1つの成分を含む。このため、シールジョーの剛性がさらに向上し、優れたシール性をさらに長期に維持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。
【0019】
<1.包装装置の全体構成について>
図1は、本発明に係る包装装置1の正面図である。また、図2は、本発明に係る包装装置1の側面図である。図1,図2および以下の各図には、各部位の位置関係を明確にするために、XYZ直交座標系が定義されている。
【0020】
この包装装置1は、スナック菓子やキャンディ等の物品を連続的に袋詰めする縦ピロー型の製袋包装装置である。図1および図2においては、包装装置1の上部に、コンピュータスケール9が配置されている。コンピュータスケール9は、計量部91において物品を計量し、排出シュート92を介して物品を一定重量ずつ包装装置1に供給する装置である。このコンピュータスケール9と包装装置1とにより、物品を一定重量ずつ包装する計量・包装システムが構成されている。
【0021】
包装装置1は、主として、装置本体部2と、装置本体部2に帯状のフィルムfを供給するフィルム供給部3とを備えている。フィルム供給部3は、ロール31から繰り出されたフィルムfを、複数のローラ32を介して装置本体部2へ供給する。
【0022】
装置本体部2のハウジング4の内部には、コンピュータスケール9から供給される物品を、フィルム供給部3から供給されるフィルムfにより包装する包装部5が設けられている。また、ハウジング4の内部には、包装装置1全体の動作を統括的に制御するマイクロコンピュータを備えた制御部(図示省略)が設けられ、ハウジング4の正面側には、作業者からの操作入力を受け付ける操作スイッチ41と、作業者に各種情報を表示する液晶ディスプレイ42とが設けられている。
【0023】
図3は、装置本体部2のハウジング4の内部に設けられた包装部5の構成を示した斜視図である。包装部5は、コンピュータスケール9から供給される物品Arを受け止めて下方へ送る集合シュート51と、物品Arを下方へ送るとともにその周囲においてフィルムfを筒状に成形するフォーマ52と、フィルムfを下方へ送るプルダウンベルト53と、筒状に成形されたフィルムfの合わせ目をシールする縦シール機構54と、筒状に成形されたフィルムfの包装袋の上下端となる部分をシールする横シール機構55と、を備えている。
【0024】
フォーマ52は、集合シュート51から落下する物品Arを内部に導通するチューブ521と、フィルムfを筒状に成形するためのセーラ522とを有している。フィルム供給部3から供給されたフィルムfは、セーラ522の上面に略水平に受けられ、チューブ521とその周囲を取り囲むセーラ522との間隙を通過することによって、側縁部fvが重なるように筒状に成形される。
【0025】
プルダウンベルト53は、チューブ521の側部に一対に設けられている。プルダウンベルト53は、チューブ521の周りに筒状に成形されたフィルムfの表面に接触しつつ回動し、フィルムfを鉛直下方へ引き下げる。
【0026】
縦シール機構54は、チューブ521の側部においてフィルムfの側縁部fvが通過する位置に設けられている。縦シール機構54は、図示しないヒータベルト等を有しており、フィルムfの側縁部fvを一定の圧力で押圧しつつ加熱することにより、フィルムfの合わせ目を縦方向(Z軸方向)に熱シールする。縦シール機構54によりシールされたフィルムfは、プルダウンベルト53によりさらに下方へ搬送される。
【0027】
横シール機構55は、チューブ521の下方に設けられている。横シール機構55は、一対のシールジョー551,552により、筒状のフィルムfを横方向(Y軸方向)に熱シールする。また、横シール機構55は後述する溶断ナイフ553(図4〜図7参照)を備えており、シールジョー551,552によるシール部分の中間高さ位置を、溶断ナイフ553により溶断する。すなわち、横シール機構55は、本発明の溶断装置として機能する。
【0028】
筒状のフィルムfは、包装袋の底部となる位置が横シール機構55により熱シールされると、下部が閉鎖され上部が開口した中間体袋Piとなる。中間体袋Piが形成されると、所定重量の物品Arが、コンピュータスケール9から集合シュート51およびチューブ521の内部を通って中間体袋Pi内へ投入される。物品Arを収容した中間体袋Piは、プルダウンベルト53によりさらに下方へ搬送される。そして、中間体袋Piの上部が横シール機構55により横方向に熱シールされるとともに溶断され、物品Arを包装した1つの包装袋Paが生成される。
【0029】
包装部5においては、上記の各部位がそれぞれの動作を繰り返すことにより、複数の包装袋Paが連続して生成される。生成された包装袋Paは、包装部5の下方に設けられた排出シュート(図示せず)を通ってベルトコンベア上に送られ、後続の装置へ搬送される。
【0030】
<2.横シール機構55の細部構成について>
図4〜図7は、上記の横シール機構55をXZ平面に沿って切断した断面図である。横シール機構55の一対のシールジョー551,552は、フィルムfの搬送経路を挟んで対向配置されている。シールジョー551,552には、それぞれフィルムfの搬送経路に向かって開いた切り欠き部551a,552aが形成されており、これらの切り欠き部551a,552aを挟んで上下にシール面S1,S2,S3,S4が形成されている。シールジョー551,552は、下側のシール面S2,S4により先の包装袋の上端を熱シールし、それと同時に、上側のシール面S1,S3により後続の包装袋の下端を熱シールする。
【0031】
シールジョー552は、図5〜図7において概念的に示した駆動機構554により、X軸方向に進退する。駆動機構554は、たとえば、モータの駆動力をカムにより伝達する機構により実現することができる。また、一対のシールジョー551,552の内部には、それぞれヒータHが設けられている。ヒータHを動作させると、シールジョー551,552の全体が加熱され、シール面S1,S2,S3,S4も加熱状態となる。
【0032】
横シール機構55には、フィルムfを溶着しつつ切断するための溶断ナイフ553および受け刃555が設けられている。溶断ナイフ553は、一方のシールジョー551の切り欠き部551a内に設けられ、受け刃555は、他方のシールジョー552の切り欠き部552a内に設けられている。溶断ナイフ553は、その先端部分(刃先)がフィルムfの搬送経路を挟んで受け刃555と対向するように配置されている。また、上記のヒータHを動作させたときには、シールジョー551,552を介して溶断ナイフ553および受け刃555に熱が伝導し、溶断ナイフ553および受け刃555は、シールジョー551,552とほぼ同一の温度まで加熱される。
【0033】
このような横シール機構55において、フィルムfの熱シールおよび溶断を行うときには、駆動機構554を動作させてシールジョー552をシールジョー551の方向へ移動させる。シールジョー551とシールジョー552とが接近すると、まず、溶断ナイフ553の先端と受け刃555の先端とが、フィルムfを介して当接する(図5の状態)。この状態において、溶断ナイフ553および受け刃555は、フィルムfの当接部分を両側から押圧する。また、このとき、溶断ナイフ553および受け刃555は、ヒータHからの熱により昇温した状態となっている。このため、溶断ナイフ553および受け刃555は、フィルムfの当接部分を加熱する。このように、溶断ナイフ553および受け刃555は、フィルムfの当接部分に熱と圧力とを与え、フィルムfを溶着しつつ切断(すなわち、溶断)する。
【0034】
その後、駆動機構554をさらに動作させて、シールジョー552をさらにシールジョー551の方向へ移動させ、シールジョー551とシールジョー552とを密着させる(図6の状態)。シールジョー551のシール面S1とシールジョー552のシール面S3とは、上記溶断部分の上方においてフィルムfを介して密着し、シールジョー551のシール面S2とシールジョー552のシール面S4とは、上記溶断部分の下方においてフィルムfを介して密着する。このとき、シール面S1,S2,S3,S4は、ヒータHからの熱により昇温した状態となっている。このため、シール面S1,S2,S3,S4は、フィルムfの密着部分を加熱し、当該部分を熱シールする。なお、受け刃555の後端部分にはばね等の弾性体が連結されており、図6の状態において、受け刃555は溶断ナイフ553と当接しつつ切り欠き部552aの奥へ後退する。
【0035】
所定時間の熱シールが終了すると、駆動機構554を逆向きに動作させ、シールジョー552をシールジョー551から離間させる(図7の状態)。生成された包装袋Paの上下の最端部は、溶断により閉じた状態となっている。すなわち、包装袋Paの端部は、シール部分と溶断部分とで二重に閉じられた状態となっている。このため、たとえばシール部分が薄い場合であっても、包装袋Paにリークが発生する恐れは低減する。
【0036】
図8は、溶断ナイフ553の先端部分553aのXZ平面に沿った拡大断面図である。溶断ナイフ553は、XY平面に沿って水平に設けられており、受け刃555に対向する先端部分553aが、フィルムfと線状に当接する。溶断ナイフ553は、先端部分553aに近付くにつれて徐々に厚みが減少し、先端部分553aは所定の曲率半径rを有する断面円弧状に形成されている。
【0037】
図9は、溶断ナイフ553の先端部分553aの曲率半径rと、溶断ナイフ553の性能との関係を調べた結果を示した図である。この調査は、一般的な溶断の条件下において溶断ナイフ553の先端部分553aの曲率を変え、フィルムfの溶着性と切断性とを評価したものである。なお、フィルムfには、二軸延伸ポリプロピレン等からなる一般的な熱シール用のプラスチックフィルム(厚さ:35〜60μm)を使用した。
【0038】
この結果によると、溶断ナイフ553の先端部分553aの曲率半径rが0.05mm未満のときには、フィルムfが溶着される前に切断されてしまう場合があった。この場合には、フィルムfの切断部分が十分に溶着されないため、包装袋Paにリークが発生する恐れが大きくなる。一方、溶断ナイフ553の先端部分553aの曲率半径rが0.20mm以上のときには、フィルムfを切断できない場合があった。この場合には、フィルムfは溶着されるものの、包装袋Paを分離して生成することができないこととなる。
【0039】
この結果を踏まえ、本実施形態の溶断ナイフ553の先端部分553aの曲率半径rは、0.05mm以上かつ0.20mm未満に設計されている。また、上記の調査では、溶断ナイフ553の先端部分553aの曲率半径rは、0.10mmのときに溶着および切断の状態が最も安定し、0.10mmに近づくほど安定化する傾向が認められた。したがって、溶断ナイフ553の先端部分553aの曲率半径rは、たとえば、0.07mm以上かつ0.12mm未満に設計されていれば、より望ましい。
【0040】
また、本実施形態のシールジョー551,552,溶断ナイフ553,および受け刃555の材料には、金属複ホウ化物を含む焼結合金が使用されている。金属複ホウ化物を含む焼結合金は、セラミックである金属複ホウ化物と、Fe(鉄),Cr(クロム),Mo(モリブデン),Ni(ニッケル),W(タングステン)等の金属とを合わせて焼き固めた、いわゆるサーメット(cermet)合金である。金属複ホウ化物としては、たとえば、Mo2NiB2型の金属複ホウ化物を使用することができる。
【0041】
このような金属複ホウ化物を含む焼結合金は、耐摩耗性に優れている。このため、このような焼結合金で構成された溶断ナイフ553の先端部分553aは、使用に伴うなまりが少なく、所定の曲率を長期に維持することができる。すなわち、本実施形態の溶断ナイフ553は、優れた溶着性と優れた切断性とを、長期に維持することができる。
【0042】
たとえば、高速度工具鋼により構成された従来の溶断ナイフの場合、先端部分の曲率半径を0.1mmに設計しても、100〜120回/分の頻度で連続して2週間程度使用すれば切断性は低下し、メンテナンスを必要としていた。しかしながら、金属複ホウ化物を含む焼結合金により構成された本実施形態の溶断ナイフ553の場合、同じ頻度で6ヶ月以上使用しても、切断性が低下することはなかった。
【0043】
また、このような金属複ホウ化物を含む焼結合金は、主としてプラスチック材料からなるフィルムfとの離型性に優れている。このため、溶融したフィルムfの一部が溶断ナイフ553または受け刃555に付着し、溶断不良を起こすことを防止することができる。これにより、溶断ナイフ553および受け刃555の清掃を日常的に実施する必要はなく、メンテナンスの負担が軽減する。
【0044】
また、本実施形態においては、シールジョー551,552も、金属複ホウ化物を含む焼結合金により構成されている。金属複ホウ化物を含む焼結合金は優れた剛性を有する。このため、本実施形態のシールジョー551,552は、繰り返し熱シールを実行しても変形することが少なく、良好な熱シールの状態を長期に維持することができる。また、金属複ホウ化物を含む焼結合金は、フィルムfとの離型性に優れている。このため、溶融したフィルムfの一部がシール面S1,S2,S3,S4に付着し、シール不良を起こすことを防止することができる。これにより、シールジョー551,552の清掃を日常的に実施する必要はなく、メンテナンスの負担が軽減する。
【0045】
金属複ホウ化物を含む焼結合金は、Cr(クロム),Mo(モリブデン),Ni(ニッケル),W(タングステン)のうちの少なくとも1つを合金成分として含んでいる場合には、上記の耐摩耗性、剛性、およびフィルムfとの離型性が特に向上する。したがって、そのような焼結合金により溶断ナイフ553および受け刃555を構成すれば、優れた溶着性と優れた切断性とをさらに長期に維持することができるとともに、フィルムfの付着による溶断不良もさらに確実に防止することができる。また、そのような焼結合金によりシールジョー551,552を構成すれば、良好なシール状態をさらに長期に維持することができるとともに、フィルムfの付着によるシール不良もさらに確実に防止することができる。
【0046】
<3.変形例>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記の例に限定されるものではない。たとえば、上記の例ではシールジョー551,552,溶断ナイフ553,および受け刃555の全体を金属複ホウ化物を含む焼結合金により構成したが、必ずしもこれらの部材の全体を金属複ホウ化物を含む焼結合金により構成する必要はない。たとえば、これらの部材の表面のみに金属複ホウ化物を含む焼結合金を使用してもよい。シールジョー551,552については、少なくともシール面S1,S2,S3,S4が金属複ホウ化物を含む焼結合金により構成されていればよい。溶断ナイフ553については、少なくとも先端部分553aが金属複ホウ化物を含む焼結合金により構成されていればよい。また、受け刃555については、少なくとも溶断ナイフ553との当接部分が金属複ホウ化物を含む焼結合金により構成されていればよい。
【0047】
また、上記の例では、フィルムfを縦方向に搬送しつつ物品Arを包装するいわゆる縦ピロー型の包装装置1について説明した。しかしながら、本発明の包装装置は上記の構成に限定されるものではない。たとえば、フィルムfを横方向に搬送しつつ物品Arを包装するいわゆる横ピロー型の包装装置であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】包装装置の正面図である。
【図2】包装装置の側面図である。
【図3】包装部の構成を示した斜視図である。
【図4】横シール機構の断面図である。
【図5】横シール機構の断面図である。
【図6】横シール機構の断面図である。
【図7】横シール機構の断面図である。
【図8】溶断ナイフの先端部分の拡大断面図である。
【図9】溶断ナイフの先端部分の曲率半径と溶断ナイフの性能との関係を調べた結果を示した図である。
【符号の説明】
【0049】
1 包装装置
2 装置本体部
3 フィルム供給部
5 包装部
51 集合シュート
52 フォーマ
53 プルダウンベルト
54 縦シール機構
55 横シール機構
551,552 シールジョー
553 溶断ナイフ
553a 先端部分
555 受け刃
Ar 物品
H ヒータ
S1,S2,S3,S4 シール面
f フィルム
r 曲率半径

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルムを溶断する溶断装置であって、
フィルムに熱および圧力を与える溶断ナイフを備え、
前記溶断ナイフの先端の曲率半径が0.05mm以上かつ0.20mm未満であることを特徴とする溶断装置。
【請求項2】
請求項1に記載の溶断装置であって、
前記溶断ナイフの少なくとも先端部分は、金属複ホウ化物を含む焼結合金により構成されていることを特徴とする溶断装置。
【請求項3】
請求項2に記載の溶断装置であって、
前記焼結合金は、クロム、モリブデン、ニッケル、およびタングステンのうちの少なくとも1つの成分を含むことを特徴とする溶断装置。
【請求項4】
請求項1から3までのいずれかに記載の溶断装置であって、
前記溶断ナイフの両側部に、フィルムを熱シールする一対のシールジョーをさらに備え、
前記一対のシールジョーの少なくともシール面は、金属複ホウ化物を含む焼結合金により構成されていることを特徴とする溶断装置。
【請求項5】
請求項4に記載の溶断装置であって、
前記焼結合金は、クロム、モリブデン、ニッケル、およびタングステンのうちの少なくとも1つの成分を含むことを特徴とする溶断装置。
【請求項6】
物品をフィルムにより包装する包装装置であって、
フィルムを筒状に成形するフォーマと、
前記フォーマにより筒状に成形されたフィルム内へ物品を投入する投入部と、
前記フォーマにより筒状に成形されたフィルムの合わせ目を熱シールするシール部と、
請求項1から5までのいずれかに記載の溶断装置と、
を備えたことを特徴とする包装装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−306445(P2006−306445A)
【公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−131168(P2005−131168)
【出願日】平成17年4月28日(2005.4.28)
【出願人】(000147833)株式会社イシダ (859)
【Fターム(参考)】