説明

炊飯器

【課題】鍋底部を誘導加熱する加熱コイルに直列接続したスイッチング手段を備えた炊飯器において、電源電圧が変動しても起動時のスイッチング手段の損失を低減する。
【解決手段】鍋を加熱する加熱コイル2と、加熱コイルと共振回路を構成する共振コンデンサ3と、加熱コイルに直列接続したスイッチング手段4と、加熱コイルに電力供給する整流手段10と、交流電源の電圧を検知する電源電圧検知手段31と、スイッチング手段のオン時間の最小値を設定する最小オン時間設定手段33と、スイッチング手段を制御する制御手段17とを有し、最小オン時間設定手段は電源電圧検知手段の検知した電源電圧に応じて最小オン時間を設定し、スイッチング手段の起動時には最小オン時間を設定することにより、電源電圧が100Vの場合や、200Vの場合でも、起動時にスイッチング手段のターンオン電圧を十分に小さくするための最小オン時間を設定することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般家庭で使用する炊飯器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の炊飯器は、鍋を加熱する加熱コイルにスイッチング手段より高周波電流を供給し、スイッチング手段のオン時間を制御しており、オン時間の最小値および最大値を設定している(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図7は、特許文献1に記載された従来の炊飯器を示すものである。
【0004】
図7に示すように、交流電源9を整流する整流手段10より加熱コイル2に電力を供給し、加熱コイル2と電磁気的に結合した鍋1に高周波電力を供給し、加熱コイル2と共振コンデンサ3とで共振回路を構成し、整流手段10から加熱コイル2に供給される電流をスイッチング手段4によりオンオフするとともに、スイッチング手段4のオンオフを制御手段17により制御し、駆動手段23を介してオンオフさせる。スイッチング手段4のオン時間の最小値を最小オン時間設定手段16で設定し、スイッチング手段4のオンオフを制御するように構成したものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4100333号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記従来の構成では、交流電源9の電圧が変動しても最小オン時間の設定は一定であるため、交流電源9の電圧が変動した時、スイッチング手段4のオン時間が短くなる場合があり、スイッチング手段のターンオン電圧が大きくなり、発熱するという課題を有していた。
【0007】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、交流電源の電圧が変動した場合でも、スイッチング手段のターンオン電圧を小さくし発熱を抑えた炊飯器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記従来の課題を解決するために、本発明の炊飯器は、鍋を誘導加熱する加熱コイルと、前記加熱コイルと共振回路を構成する共振コンデンサと、前記加熱コイルに直列接続したスイッチング手段と、交流電源を整流し前記加熱コイルに電力供給する整流手段と、前記交流電源の電圧を検知する電源電圧検知手段と、スイッチング手段のオン時間の最小値を設定する最小オン時間設定手段と、前記スイッチング手段をオンオフ制御する制御手段を有し、前記最小オン時間設定手段は前記電源電圧検知手段の検知した電源電圧に応じて最小オン時間を設定し、前記スイッチング手段の起動時には前記最小オン時間を設定するものである。
【0009】
これによって、スイッチング手段の最小オン時間を電源電圧検知手段で検知した電源電圧に応じて設定できることとなり、電源電圧が100Vの場合や、200Vの場合でも、起動時にスイッチング手段のターンオン電圧を十分に小さくするための最小オン時間を設定することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の炊飯器は、交流電源の電圧が変動しても、加熱コイルにそれぞれ直列接続したスイッチング手段の最小オン時間を交流電源の電圧に応じて設定することで、起動時にスイッチング手段のターンオン電圧を小さくし、スイッチング手段の発熱を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施の形態1、6における炊飯器の主要部ブロック図
【図2】本発明の実施の形態1における炊飯器において、スイッチング手段のオン時間を短くしたときのスイッチング手段の電圧電流波形図
【図3】本発明の実施の形態1における炊飯器において、スイッチング手段のオン時間を長くしたときのスイッチング手段の電圧電流波形図
【図4】本発明の実施の形態2における炊飯器の主要部ブロック図
【図5】本発明の実施の形態2における炊飯器を構成するスイッチング手段のオン時間と炊飯器の入力電流の関係を示すグラフ
【図6】本発明の実施の形態1、2における炊飯器の主要部動作波形図
【図7】従来の炊飯器の主要部ブロック図
【発明を実施するための形態】
【0012】
第1の発明は、鍋を誘導加熱する加熱コイルと、前記加熱コイルと共振回路を構成する共振コンデンサと、前記加熱コイルに直列接続したスイッチング手段と、交流電源を整流し前記加熱コイルに電力供給する整流手段と、前記交流電源の電圧を検知する電源電圧検知手段と、前記スイッチング手段のオン時間の最小値を設定する最小オン時間設定手段と、前記スイッチング手段をオンオフ制御する制御手段とを有し、前記最小オン時間設定手段は前記電源電圧検知手段の検知した電源電圧に応じて最小オン時間を設定し、前記スイッチング手段の起動時には前記最小オン時間を設定するものである。
【0013】
これによって、スイッチング手段の最小オン時間を電源電圧検知手段で検知した電源電圧に応じて設定できることとなり、電源電圧が100Vの場合や、200Vの場合でも、起動時にスイッチング手段のターンオン電圧を十分に小さくするための最小オン時間を設定することができ、スイッチング手段の発熱を抑えることができる。
【0014】
第2の発明は、特に、第1の発明の炊飯器に、スイッチング手段のオン時間の最大値を設定する最大オン時間設定手段を設け、前記最大オン時間設定手段は前記スイッチング手段をオンオフ制御する場合に使用し、スイッチング手段が過熱状態になるのを防止できる。
【0015】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0016】
(実施の形態1)
図1は、本発明の第1の実施の形態における炊飯器の主要部ブロック図である。
【0017】
図1において、鍋の等価回路1で示すことができる鍋1は特に図示していないが磁束を通す金属を複数用いた積層体で構成されておりいる。
【0018】
加熱コイル2は鍋1と磁気結合している。加熱コイル2は複数の銅線を束ねたリッツ線を更に20数本で撚った線で構成されており、高周波電流が流れた時の電流分布を均一にしている。共振コンデンサ3を加熱コイル2に並列接続しており、加熱コイル2と並列共
振回路を構成している。本実施の形態では高周波電流が流れても損失の少ないポリプロピレンコンデンサを使用している。
【0019】
スイッチング手段4は、MOSFETやIGBTなどの半導体素子と、この半導体素子に逆接続した逆接続ダイオードで構成されている。MOSFETやIGBTは耐圧が高く、高周波のスイッチングが可能で、大電流を流すことができるという利点がある。炊飯器に電力を供給する交流電源9の電源周波数は、東日本地域では50Hz、西日本地域では60Hzとなっており、電源電圧は、100Vと200Vがある。
【0020】
整流手段10、ダイオードブリッジ11、チョークコイル12、平滑用コンデンサ13で構成されている。ここで、平滑用コンデンサ13の容量は数μFと小さく、加熱コイルに電流を流すとリプルが生じる。本実施の形態では、このリプル電圧波形は交流電源9の電圧波形と同じとなる。
【0021】
電流検知手段14は、交流電源9から供給される入力電流を検知している。カレントトランスの出力をダイオードブリッジと電解コンデンサを介して直流電圧にしている。
【0022】
電源電圧検知手段31は、交流電源9から供給される入力電圧を検知している。本実施の形態では、交流電源9から供給される入力電圧が100Vか、200Vかを検知している。電流設定手段32で検知した複数の電流設定値がマイクロコンピュータ内部のROMに記憶されている。
【0023】
本実施の形態では、交流電源9の電圧が100Vであった場合の鍋1を加熱するときに使用する第一の電流設定値Is100と、交流電源9の電圧が200Vであった場合の鍋1を加熱する第二の電流設定値Is200があり,Is100とIs200がマイクロコンピュータ内部のROMに8ビットのデータとして記憶されている。
【0024】
本実施の形態では、交流電源9の電圧が100Vであった場合の電流設定値Is100を入力電流12Aに相当する値とし、交流電源9の電圧が200Vであった場合の電流設定値Is200を入力電流6Aに相当する値にしている。
【0025】
最小オン時間設定手段33は、複数の最小オン時間がマイクロコンピュータ内部のROMに記憶されている。ここでは、交流電源9の電圧が100Vであると電源電圧検知手段31が検知した場合の最小オン時間Tmin100と、交流電源9の電圧が200Vであると電源電圧検知手段31が検知した場合の最小オン時間Tmin200とがマイクロコンピュータ内部のROMに記憶されている。
【0026】
制御手段17は、電流検知手段14より出力されるアナログ電圧を10bitデジタル値に変換するAD変換器19と、AD変換器19の出力と電流設定手段32の出力と電源電圧検知手段31の出力を比較してスイッチング手段4のオン時間を設定するオン時間演算器20と、オン時間演算器20が設定したオン時間のハイパルスを出力するパルス発生器21とを備えている。
【0027】
AD変換器19、オン時間演算器20、パルス発生器21はマイクロコンピュータのAD変換器、CPU、PWM発生器を利用することで実現できる。ただし、これは一例であり、例えば、オン時間演算器20、パルス発生器21を備えた専用ICを作成し、この専用ICを利用するなどしてもよく、構成を限定するものではない。
【0028】
図2は、図1に示した炊飯器において、交流電源9の電圧を電源電圧検知手段31が100Vと検知した場合に、スイッチング手段4を交流電源9の電圧を電源電圧検知手段3
1が200Vと検知した場合の最小オン時間Tmin200でオンした時に、スイッチング手段4に流れる電流と両端電圧の動作波形を示している。
【0029】
図2に示すように、ターンオン時t1において、スイッチング手段4の両端電圧Vonが発生しているので、スイッチング手段4にターンオン電流Ionが流れている。この時のVonとIonによりスイッチング手段4が発熱する。
【0030】
図3は図1に示した炊飯器において、交流電源9の電圧を電源電圧検知手段31が100Vと検知した場合に、スイッチング手段4を交流電源9の電圧を電源電圧検知手段31が100Vと検知した場合の最小オン時間Tmin100でオンした時に、スイッチング手段4に流れる電流と両端電圧の動作波形を示している。
【0031】
図3に示すように、ターンオン時t1において、スイッチング手段4の両端電圧は0Vとなるのでターンオン電流は流れない。従って、スイッチング手段4の発熱を抑えることができる。
【0032】
以上のように構成された炊飯器について、以下その動作、作用を説明する。
【0033】
まず、加熱コイル2の上に鍋1を載置し、炊飯を開始する。炊飯のシーケンスは制御手段17などを構成しているマイクロコンピュータのROMに記憶されたデータに基づいて動作する。
【0034】
本実施の形態では、交流電源9の電圧が100Vの時と200Vの時の動作について図1、図6を用いて説明する。
【0035】
まず、交流電源9の電圧を電源電圧検知手段31が100Vと検知した場合は、電流設定手段32が第一の電流設定値Is100をオン時間演算器20に設定するとともに、最小オン時間設定手段33がオン時間Tonの初期値としてTmin100を設定する。
【0036】
オン時間演算器20は初期値としてTmin100をパルス発生器21に出力し、パルス発生器21はパルス幅Tmin100のハイパルスを駆動手段23に出力し、駆動手段23はスイッチング手段4をオンするので、加熱コイル2に電流が流れ、鍋1が誘導加熱される。
【0037】
時間t0〜t1の期間では、オン時間演算器20はAD変換器19の出力値がIs100になるようにオン時間Tonを増やしていく。
【0038】
時間t1〜t2の期間では、オン時間演算器20はAD変換器19の出力値がIs100になるようにオン時間Tonを制御している。
【0039】
時間t2に達すると、オン時間Ton=0にして鍋1の加熱を停止し、時間t3までの期間、鍋1の加熱を停止する。
【0040】
時間t3から、所定の炊飯シーケンスに基づき加熱する。
【0041】
次に、交流電源9の電圧を電源電圧検知手段31が200Vと検知した場合は、電流設定手段32が第二の電流設定値Is200をオン時間演算器20に設定するとともに、最小オン時間設定手段33がオン時間Tonの初期値としてTmin200を設定する。
【0042】
オン時間演算器20は初期値としてTmin200をパルス発生器21に出力し、パル
ス発生器21はパルス幅Tmin200のハイパルスを駆動手段23に出力し、駆動手段23はスイッチング手段4をオンするので、加熱コイル2に電流が流れ、鍋1が誘導加熱される。
【0043】
時間t4〜t5の期間では、オン時間演算器20はAD変換器19の出力値がIs200になるようにオン時間Tonを増やしていく。
【0044】
時間t5〜t6の期間では、オン時間演算器20はAD変換器19の出力値がIs200になるようにオン時間Tonを制御している。
【0045】
時間t6に達すると、オン時間Ton=0にして鍋1の加熱を停止し、時間t7までの期間、鍋1の加熱を停止する。
【0046】
時間t7から、所定の炊飯シーケンスに基づき加熱する。
【0047】
以上のように、本実施の形態においては、交流電源9の電圧を電源電圧検知手段31で検知した電圧の違いにより第一の最小オン時間Tmin100、第二の最小オン時間Tmin200を備え、スイッチング手段4の起動時のオン時間の初期値の設定を変更することで、交流電源9の電圧が変化しても、スイッチング手段4のターンオン電圧をなくし、スイッチング手段4のターンオン損失をなくし、発熱を低減することができる。
【0048】
(実施の形態2)
図4は、本発明の第2の実施の形態の炊飯器の主要部ブロック図である。
【0049】
図4において41は最大オン時間設定手段でマイクロコンピュータ内部のROMに第一の最大オン時間Tmax100、第二の最大オン時間Tmax200を記憶している。ここで第一の最大オン時間Tmax100は交流電源9の電圧を電源電圧検知手段31が100Vと検知した場合とし、第二の最大オン時間Tmax200は交流電源9の電圧を電源電圧検知手段31が200Vと検知した場合とする。
【0050】
オン時間演算器42は、図1と同様にマイクロコンピュータで構成され、AD変換器19の出力と電流設定手段32が設定する入力電流目標値を比較し、オン時間Tonを設定するとともに、オン時間Tonが最大オン時間設定手段41が設定する最大オン時間を超える場合は、オン時間Tonを最大オン時間に固定する。
【0051】
その他の構成については図1の炊飯器と同様であり、ここの説明は省略する。
【0052】
図5は交流電源100Vと200Vにおけるスイッチング手段のオン時間とターンオン電圧、入力電流の関係を示している。図5に示すように、同じオン時間の場合、交流電源が100Vの時よりも、交流電源が200Vの時の方が、入力電流が流れやすくなる。
【0053】
この理由は、交流電源100V時と200V時では同じ入力電力の場合、入力電流は増えるためである。本実施の形態では、同じオン時間でも交流電源200V時の入力電流が6Aと比較し、交流電源100V時の入力電流12Aと入力電流が多く流れるので、第二の最大オン時間Tmax200を第一の最小オン時間Tmin100より小さい値としている。
【0054】
以上のように構成された炊飯器について、以下その動作、作用を説明する。
【0055】
まず、加熱コイル2の上に鍋1を載置した状態で炊飯を開始する。炊飯のシーケンスは
制御手段17などを構成しているマイクロコンピュータのROMに記憶されたデータに基づいて動作する。
【0056】
本実施の形態では、交流電源9の電圧が100Vの時と200Vの時の動作について図4、図6を用いて説明する。
【0057】
まず、交流電源9の電圧が100Vの時について説明する。図6のt0において、交流電源9の電圧を電源電圧検知手段31が100Vと検知した場合は、電流設定手段32が第一の電流設定値Is100をオン時間演算器42に出力し、最小オン時間設定手段33がオン時間Tonの初期値としてTmin100をオン時間演算器42に出力し、最大オン時間設定手段41がオン時間の最大値としてTmax100をオン時間演算器42に出力する。
【0058】
オン時間演算器42は初期値としてTmin100をパルス発生器21に出力し、パルス発生器21はパルス幅Tmin100のハイパルスを駆動手段23に出力し、駆動手段23はスイッチング手段4をオンするので、加熱コイル2に電流が流れ、鍋1が誘導加熱される。
【0059】
時間t0〜t1の期間では、オン時間演算器42はAD変換器19の出力値がIs100になるようにオン時間Tonを増やしていく。この時、オン時間Tonは、AD変換器19の出力値をIinとすると(数式1)に基づいて設定される。
【0060】
(数式1)
Ton=Ton+α×(Is100−Iin)
ここでαは係数であり、マイクロコンピュータ内部のROMに予め記憶されているものである。このαも交流電源9の電圧が100Vであった場合と交流電源9の電圧が200Vであった場合で値を変えてもよい。
【0061】
もしも、仮にTon>Tmax100となった場合は、Ton=Tmax100としてパルス発生器21に出力する。
【0062】
時間t1〜t2の期間では、オン時間演算器42はAD変換器19の出力値がIs100になるようにオン時間Tonを制御している。この時のTonは(数式1)に基づいて設定されている。
【0063】
時間t2に達すると、オン時間Ton=0にして鍋1の加熱を停止し、時間t3までの期間、鍋1の加熱を停止する。
【0064】
時間t3から、所定の炊飯シーケンスに基づき加熱する。
【0065】
次に、交流電源9の電圧が200Vの時について説明する。電流設定手段32が第二の電流設定値Is200をオン時間演算器42に出力し、最小オン時間設定手段33がオン時間Tonの初期値としてTmin200をオン時間演算器42に出力し、最大オン時間設定手段41がオン時間の最大値としてTmax200をオン時間演算器42に出力する。
【0066】
オン時間演算器42は初期値としてTmin200をパルス発生器21に出力し、パルス発生器21はパルス幅Tmin200のハイパルスを、駆動手段23に出力し、スイッチング手段4をオンするので、加熱コイル2に電流が流れ、鍋1が誘導加熱される。
【0067】
時間t4〜t5の期間では、オン時間演算器42はAD変換器19の出力値がIs200になるようにオン時間Tonを増やしていく。この時、オン時間TonはAD変換器19の出力値をIinとすると(数式2)に基づいて設定される。
【0068】
(数式2)
Ton=Ton+α×(Is200−Iin)
ここでTon>Tmax200となった時は、Ton=Tmax200としてパルス発生器21に出力する。
【0069】
時間t5〜t6の期間では、オン時間演算器42はAD変換器19の出力値がIs200になるようにオン時間Tonを制御している。
【0070】
時間t6に達すると、オン時間Ton=0にして鍋1の加熱を停止し、時間t7までの期間、鍋1の加熱を停止する。
【0071】
以上のように、本実施の形態においては、第一の最大オン時間Tmax100と第二の最大オン時間Tmax200を備え、交流電源9の電圧の違いによりスイッチング手段4のオン時間の最大値を変更することで、加熱コイル2に大電流が流れるのを防止することができる。
【産業上の利用可能性】
【0072】
以上のように、本発明にかかる炊飯器は、電源電圧の変動許容範囲を拡大し、電源電圧の不安定な地域においてもスイッチング損失を低減させることが可能となるので、電源事情の安定しない海外向け炊飯器等の用途にも適用できる。
【0073】
以上のように、本発明にかかる炊飯器は、交流電源の電圧が変動してもスイッチング手段の最小オン時間を独立して設定できることとなり,起動時にスイッチング手段のターンオン電圧を十分に小さくすることができるので、電源環境が違う用途でも使用可能となる炊飯器にも応用できる。
【符号の説明】
【0074】
1 鍋
2 加熱コイル
3 共振コンデンサ
4 スイッチング手段
9 交流電源
10 整流手段
17 制御手段
31 電源電圧検知手段
32 電流設定手段
33 最小オン時間設定手段
41 最大オン時間設定手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鍋を誘導加熱する加熱コイルと、前記加熱コイルと共振回路を構成する共振コンデンサと、前記加熱コイルに直列接続したスイッチング手段と、交流電源を整流し前記加熱コイルに電力供給する整流手段と、前記交流電源の電圧を検知する電源電圧検知手段と、スイッチング手段のオン時間の最小値を設定する最小オン時間設定手段と、前記スイッチング手段をオンオフ制御する制御手段とを有し、前記最小オン時間設定手段は前記電源電圧検知手段の検知した電源電圧に応じて最小オン時間を設定し、前記スイッチング手段の起動時には前記最小オン時間を設定する炊飯器。
【請求項2】
スイッチング手段のオン時間の最大値を設定する最大オン時間設定手段を有し、前記最大オン時間設定手段は電源電圧検知手段の検知した電源電圧に応じて最大オン時間を設定し、前記スイッチング手段をオンオフ制御する際に使用する請求項1に記載の炊飯器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−245301(P2012−245301A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−121358(P2011−121358)
【出願日】平成23年5月31日(2011.5.31)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】