説明

炎症性疼痛の治療のための方法および組成物

本発明は、疼痛管理の分野、詳細には、明らかな鎮静作用を誘発しない炎症性疼痛管理に関する。本発明は、ある量のニューロキニン(NK)拮抗剤を神経細胞興奮抑制剤と組み合わせて投与することを含む、炎症性疼痛のための組成物および治療を特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全般には疼痛管理の分野、詳細には、明らかな鎮静作用を誘発しない炎症性疼痛管理に関する。より詳細には、本発明は、炎症性疼痛の症状を治療、緩和、防止、軽減または別の形で改善する方法、プロトコール、組成物および器具を提供する。
【背景技術】
【0002】
本件明細書に挙げた参考文献の書誌詳細は、本明細書の最後に掲載してある。
【0003】
本明細書中でいかなる従来技術に言及しても、それは、この従来技術がいずれかの国において一般常識の一部を形成していると認識し、または何らかの形で示唆するものではなく、また、そのように解釈されるべきではない。
【0004】
炎症性疼痛は、組織の完全性が細胞レベルで傷害されることによって急に生じる。炎症性疼痛は、貫通外傷、熱傷、極度な寒さ、骨折、関節炎、自己免疫状態、過度の伸展、感染症および血管狭窄に伴うこともある。さまざまな化学的因子が、侵害受容器に直接作用するか、または侵害受容器を接触もしくは動きに対して敏感にするかのいずれかにより、炎症過程を媒介する。
【0005】
非ステロイド系抗炎症剤(NSAIDS)は、最も有効であり、最も一般的に使用されている炎症性疼痛治療である。この薬剤は全て、シクロオキシゲナーゼ阻害を通してプロスタグランジン産生を阻害することを目的としている。この薬剤がもたらす利益は疼痛改善であるが、そのリスクはよく知られており、それには、皮膚、腎臓、肝臓および造血器官に対する有害作用に加えて、望ましくない消化管作用が含まれる。NSAIDSに伴う副作用としては、胃疾患、高血圧症、腎損傷、心臓発作および脳卒中のリスク増加、胸焼け、潰瘍および消化管出血、アレルギー反応ならびに他の副作用が挙げられる。
【0006】
NSAIDSの第一世代が有する問題は、大部分が、COX2ではなくCOX1を阻害することにより生じる副作用に関連している。COX1は、組織の自律神経活動および回復活動に関与しており、これに対しCOX2は炎症性疼痛に関与している。このため、焦点は、COX2選択的抗炎症剤に置かれてきた。最近のシクロオキシゲナーゼ特異的阻害剤は、より良好な安全性プロファイルを有するが、その理由は、こうした薬剤はCOX1に対する阻害作用が弱いからである。COX2特異的な抗炎症剤の発売により、いくらかリスクは低下した。しかしながら、BextraおよびVioxxなどいくつかのCOX2特異的な抗炎症剤は、それらの持つ有害作用が原因で、今では販売されていない。例えば、Bextraは、稀ではあるが重大な皮膚状態のリスク増加および心血管系リスク増加に関連が見られる。Vioxxは心血管系副作用のリスク増加に関連が見られる。さらに、Celebrexは、心臓発作および脳卒中のリスク増加に関連が見られ、TGAにより「黒枠対象」に位置付けられている。NSAIDSの重大な副作用リスクおよび死亡リスクは相当高い可能性があるため、炎症性疼痛を患っており長期間の治療が必要な人々の多くは、安全にNSAIDSを使用できない。
【0007】
ステロイド、とりわけコルチコステロイドも、炎症性疼痛の治療において利用されている。コルチコステロイドを使用すると、炎症部位に送達される場合には特に、高い効果を得ることができる。とはいえ、そのような薬物を頻繁に使用していると、骨粗鬆症、下垂体-視床下部軸の崩壊、高血圧、眼圧上昇、体液貯留および体重増加などの重大な副作用を引き起こしかねない。長期間使用は、白内障、高血糖値、感染症リスク増加、筋力低下、骨粗鬆症および創傷治癒速度低下に関連が見られる。
【0008】
最後に、コンドロイチンサルフェート、ジアセレインおよびグルコサミンサルフェートといった他の化合物は、関節組織の変性に伴う炎症性疼痛の改善にいくつか有益な効果を有することが示されているが、このような化合物は作用が遅く、炎症性疼痛治療においてはNSAIDSより有効性が低い。
【特許文献1】米国特許第6251903号
【特許文献2】米国特許第6191165号
【特許文献3】米国特許第5914403号
【特許文献4】米国特許第5863916号
【特許文献5】米国特許第5783700号
【特許文献6】米国特許第5708168号
【特許文献7】米国特許第6251948号
【特許文献8】米国特許第5985586号
【特許文献9】米国特許第6025369号
【特許文献10】米国特許第5834465号
【非特許文献1】Sawynokら、Pain 82、149頁、1999
【非特許文献2】Sawynokら、Pain 80、45頁、1999
【非特許文献3】Leeson、P.D.Drug Design for Neuroscience 13、338〜381頁、1993
【非特許文献4】Grimwoodら、Molecular Pharmacology 4、923頁、1992
【非特許文献5】Yonedaら、J Neurochem 62、102頁、1994
【非特許文献6】Mayerら、J Neurophysiol、645頁、1988
【非特許文献7】Olney&Farber、Neuropsychopharmacology 13、335頁、1995
【非特許文献8】Jacobsonら、J Pharmacol Exp Ther 110、243頁、1987
【非特許文献9】Thurkaufら、J Med Chem 31、2257頁、1988
【非特許文献10】Bundgaard、Design of Prodrugs、Elsevier、1985
【非特許文献11】Remmingtons、Pharmaceutical Sciences第18版、1990、Mack Publishing Co.、Easton、Pennsylvania、USA
【非特許文献12】Zimmerman、Pain、16、109〜110頁、1983
【非特許文献13】Greizerstein、Subst Alcohol Actions Misuse 4(6)、393〜9頁、1983
【非特許文献14】Honmuraら、Lasers Surg Med 13(4)、463〜9頁、1993
【非特許文献15】Mellerら、Neuroscience 60(2)、367〜74頁、1994
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
炎症性疼痛の、安全で有効な短期間および長期間治療を開発する必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本明細書および添付の特許請求の範囲を通じ、文脈上、他の意味に解すべき場合を除き、「含む(comprise)」という単語ならびに「含む(comprises)」および「含む(comprising)」などの変化形は、明示された整数もしくはステップ、または整数もしくはステップの群を包含することを意味するものであって、他の任意の整数もしくはステップ、または整数もしくはステップの群を除外することを意味するものでないことは理解されよう。
【0011】
対象における炎症性疼痛に伴う症状を治療、緩和、防止、軽減または別の形で改善する方法および組成物が提供される。「炎症性疼痛」が指す内容としては、組織損傷およびその結果としての炎症過程に伴う疼痛が挙げられる。とりわけ、哺乳動物において鎮痛作用を誘発せずに炎症性疼痛に対する鎮痛反応を誘発する方法であって、ある量のニューロキニン(NK)拮抗剤を神経細胞興奮抑制剤と組み合わせて哺乳動物に投与するステップを含み、その組合せが、炎症過程に伴う疼痛のレベルを低下させるか、または疼痛の感覚を別の形で改善するうえで有効である方法が企図される。好都合なことに、NK拮抗剤および神経細胞興奮抑制剤の組合せを用いて得られる鎮痛のレベルまたは鎮静作用のなさのレベルは、いずれか片方が単独で使用される場合に達成されるレベルより大きい。
【0012】
「鎮静作用」という用語は、明らかな鎮静作用を包含する。
【0013】
本明細書で使用する場合、NK拮抗剤は、ニューロキニン1(NK1)、ニューロキニン2(NK2)またはサブスタンスPの活性を阻害、減少もしくは遮断し、または他の形で弱める任意の化合物と定義される。このような化合物は、NK1、NK2もしくはサブスタンスPと直接的に相互作用することにより作用するか、またはNK1、NK2もしくはNK3など、これらの化合物に対する標的受容体のいずれかに選択的であるか、どちらでもよい。
【0014】
本明細書および特定の一実施形態で提供されるNK拮抗剤の例は、NK1拮抗剤である。他の特定の実施形態では、NK拮抗剤はNK2またはNK3拮抗剤である。
【0015】
別の態様は、炎症性疼痛を患っている哺乳動物において、1種または複数種のNK拮抗剤を、神経細胞興奮を抑制または減少する化合物の以下の一覧から選択された1種または複数種の鎮痛性化合物と同時に、別々に、または逐次的に哺乳動物に投与することにより、鎮静作用を誘発せずに鎮痛反応を誘発する方法を提供する。神経細胞興奮を減少または抑制する化合物は、脳に伝達されている疼痛シグナルを低減、減少または遮断することにより機能する。本明細書では、このような化合物を「神経細胞興奮遮断剤」、「興奮遮断剤」、「神経細胞興奮抑制剤」および「神経細胞興奮拮抗剤」と呼ぶものとする。このような化合物としては、フルピルチンまたは薬学的に許容できるその塩、誘導体、相同体もしくは類似体、レチガビン、神経細胞のカリウムチャネルの開口をもたらす化合物、ナトリウムチャネル遮断剤、CB2受容体モジュレーター、TRPV1受容体モジュレーター、局所麻酔剤、オピオイド、ニューロステロイド、α2アドレナリン受容体拮抗剤、NSAIDS、NMDA拮抗剤およびカルシウムチャネル拮抗剤が挙げられるが、これらに限定されない。NK拮抗剤および神経細胞興奮抑制剤は、炎症性疼痛の症状を軽減するのに有効な量で投与される。そのような有効量は、相乗的有効量とみなされる。加えて、対象は、疼痛の種類を基準にして特定的に選択されてもよく、また、本発明の態様を形成する、特定の患者または対象のための選択ステップを受けてもよい。
【0016】
一態様では、神経細胞興奮抑制剤はオピオイドであり、例えばフェンタニル、オキシコドン、コデイン、ジヒドロコデイン、ジヒドロコデイノンエノールアセテート、モルヒネ、デソモルヒネ、アポモルヒネ、ジアモルヒネ、ペチジン、メタドン、デキストロプロポキシフェン、ペンタゾシン、デキストロモラミド、オキシモルフォン、ヒドロモルフォン、ジヒドロモルヒネ、ノスカピン、パプベリン(papverine)、パプベレタム(papveretum)、アルフェンタニル、ブプレノルフィンおよびトラマドール、ならびに薬学的に許容できるその塩、誘導体、相同体もしくは類似体ならびにオピオイド作動剤が挙げられるが、これらに限定されない。
【0017】
さらに別の態様は、1種または複数種のNK拮抗剤を、フルピルチンまたは薬学的に許容できるその塩、誘導体、相同体もしくは類似体と組み合わせて、炎症性疼痛の治療において明らかな鎮静作用を誘発せずに鎮痛反応を誘発するための医薬の製造に使用することに関する。
【0018】
さらなる一態様は、1種または複数種のNK拮抗剤およびフルピルチンまたは薬学的に許容できるその塩、誘導体、相同体もしくは類似体などの神経細胞興奮抑制剤を、炎症性疼痛に応じて鎮痛を誘発するための1種または複数種の個別薬または複合薬の製造において使用することに関する。好ましくは、この鎮痛は、明らかな鎮静作用を伴わずに誘発される。一実施形態では、NK拮抗剤はNK1受容体に特異的であり、フルピルチンまたはレチガビンなどの神経細胞興奮抑制剤と組み合わされる。
【0019】
さらにまた別の態様は、1種または複数種のNK拮抗剤および1種または複数種のナトリウムチャネル遮断剤を、好ましくは明らかな鎮静作用を伴わずに、炎症性疼痛に応じて鎮痛を誘発するための医薬の製造において使用することを指向したものである。ナトリウムチャネル遮断剤としては、ラモトロジン(lamotrogine)およびメキシレンチンまたは薬学的に許容できるその塩、誘導体、相同体もしくは類似体が挙げられるが、これらに限定されない。
【0020】
加えて、このNK拮抗剤は、リグノカイン、ブピバカイン、ロピバカインおよびプロカイン、テトラカインまたは薬学的に許容できるその塩、誘導体、相同体もしくは類似体などではあるがこれらに限定されない1種または複数種の局所麻酔剤と組み合わせて使用してもよい。このような組合せは、好ましくは明らかな鎮静作用を伴わずに炎症性疼痛に応じて鎮痛を誘発するために提案される。
【0021】
さらに、このNK拮抗剤は、カプサイシン、カプサゼピン、Nb-VNA、Nv-VNA、SB-705498およびアナダミドまたは薬学的に許容できるその塩、誘導体、相同体もしくは類似体などではあるがこれらに限定されない、1種または複数種のTRPV1受容体モジュレーターと組み合わせて使用してもよい。このような組合せは、好ましくは明らかな鎮静作用を伴わずに炎症性疼痛に応じて鎮痛を誘発するために提案される。
【0022】
さらにまた、このNK拮抗剤は、SR144528、AM630およびアナダミドまたは薬学的に許容できるその塩、誘導体、相同体もしくは類似体などではあるがこれらに限定されない1種または複数種のCB2受容体モジュレーターと組み合わせて使用してもよい。このような組合せは、明らかな鎮静作用を誘発せずに炎症性疼痛に応じて鎮痛を誘発するために提案される。
【0023】
「神経細胞興奮抑制剤」が指す内容としては、ナトリウムチャネル遮断剤、局所麻酔剤、TRPV1受容体モジュレーターおよび/またはCB2受容体モジュレーターも挙げうる。同じく、ナトリウムチャネル遮断剤、局所麻酔剤、TRPV1受容体モジュレーターおよび/またはCB2受容体モジュレーターを、神経細胞興奮抑制剤としてもよい。
【0024】
NK拮抗剤と、神経細胞興奮を減少もしくは抑制する化合物または薬学的に許容できるその塩、誘導体、相同体もしくは類似体とを含む、哺乳動物において明らかな鎮静作用を誘発せずに炎症性疼痛に応じて鎮痛を誘発するための送達系も提供される。一態様では、最適なNK拮抗剤は、アプレピタント、ランペピタント(Lanpepitant)、CP-99994、SDZ NKT343、エズロピタント、CP-96345、CP-99994、CP-122721、MK-869、GR205171、RP67580、ダピタント、ラネピタント、ノロイタニウム(Noloitanium)、サレフタント(Sarefutant)、カソピタントおよび/またはベスチピタント(Vestipitant)の1種または複数種から選択される。この送達系は、例えば、クリームまたは注射剤、徐放性もしくは制御放出性の注射剤、持続放出性もしくは徐放性の製剤、または不正使用防止製剤、または、ステント、カテーテルもしくは医療処置での使用のために設計された他の機械的器具上にコーティングされた医薬製剤の形態としうる。
【0025】
本発明による化合物は、とりわけ、経口的に、経粘膜的に、坐薬によるなど経直腸的に、皮下に、静脈内に、筋肉内に、腹腔内に、胃内に、鼻腔内に、クモ膜下腔内に、経皮的に、または経腸的に投与してもよく、または関節中に注射してもよい。本発明の特に好ましい形態では、この化合物は経口的または経皮的に投与される。
【0026】
炎症性疼痛の例としては、関節リウマチ、変形性関節炎、乾癬性関節症、他の炎症状態および自己免疫状態に伴う関節炎、腰椎捻挫および機械的な背痛もしくは椎間板疾患などの変性状態、術後痛、軟部組織打撲もしくは靭帯損傷もしくは骨折などの外傷由来の疼痛、膿瘍または蜂巣炎、結合組織炎または筋炎が挙げられるが、これらに限定されない。
【0027】
炎症性疼痛は、炎症性疾患に伴うことが多い。本明細書で使用する場合、「炎症性疾患および障害」とは、特定の領域における赤み、腫脹、疼痛および熱感など1種または複数種の炎症反応の症状を生じるような疾患および障害を網羅する。炎症性疼痛は、以下の疾患に伴うことが多い:ざ瘡、アンギナ、関節炎、誤嚥性肺炎、疾患、蓄膿、胃腸炎、炎症、腸インフルエンザ、壊死性腸炎(NEC)、骨盤内炎症性疾患(PID)、咽頭炎、胸膜炎、咽喉痛、赤み、発赤、咽喉炎、胃インフルエンザおよび尿路感染症、慢性炎症性脱髄性多発神経炎、慢性炎症性脱髄性多発根神経炎および術後痛。したがって、本発明の組成物および方法は、炎症過程に伴う疼痛を、明らかな鎮静作用を誘発せずに改善または減少または防止または治療する。
【0028】
本発明では、明らかな鎮静作用を誘発せずに炎症性疼痛を治療する際に使用するための方法および組成物が提供される。本明細書で使用する場合、「明らかな鎮静作用を引き起こさずに」という語句は、神経系機能(注意または覚醒など)の顕著な認知的または一般的減退を引き起こさずに鎮痛効果を誘発することを意味する。認知に及ぶそのような作用は測定値の変動をまねき、それにより、鎮痛をもたらす薬剤の組合せについて誤った結論が導かれる。
【0029】
一態様では、NK拮抗剤は、フルピルチンまたは薬学的に許容できるその塩、誘導体、相同体もしくは類似体と組み合わせる。フルピルチンは、約0.5mg/kgから約20mg/kgの間の用量で、約1時間から約50時間の間の間隔で投与され、NK拮抗剤の前、または同時に、またはその後に投与されてもよい。
【0030】
特定の一実施形態では、哺乳動物はヒトである。対象または対象群は、生じている疼痛の種類を基準にして選択されてよい。また、疼痛の「種類」は、対象が表現した症状に基づいて主観的に決定してもよい。このことから、疼痛の症状を基準にして対象を選択するステップと、NK拮抗剤および神経細胞興奮抑制剤を対象に投与するステップとを含む、明らかな鎮静作用を引き起こさない治療プロトコールが企図される。
【0031】
さらなる態様は、NK拮抗剤および神経細胞興奮抑制剤から選択される活性化合物の制御放出のための系であって、
(a)有効量の第一の活性化合物を含み、規定の幾何学的形状を有する堆積コア、および
(b)該堆積コアに施用された支持プラットフォームであって、第二の活性化合物と、
(i)比率が1:9から9:1の範囲である、水または水性液体に接触すると膨潤するポリマー材料およびゲル化性ポリマー材料、および
(ii)膨潤性およびゲル化性の両方を有する単一のポリマー材料
から成る群から選択される少なくとも1種の化合物とを含有し、該支持プラットフォームが該堆積コアの表面を部分的に覆った後、該堆積コアの水和による変化に続いて水性液体中で徐々に可溶化および/または徐々にゲル化するように、該堆積コアに施用された弾性支持体である支持プラットフォーム
を含む系を提供する。
【0032】
本明細書で使用する場合、第一の活性化合物は、(i)1種もしくは複数種のNK拮抗剤または(ii)1種もしくは複数種の神経細胞興奮抑制剤のうち1つである。第二の活性化合物は、上述の(i)または(ii)であってよい。
【0033】
別の態様では、NK拮抗剤および神経細胞興奮抑制剤の制御放出のための系であって、
(a)有効量のNK拮抗剤および神経細胞興奮抑制剤を含む堆積コア、および
(b)該堆積コアに施用された支持プラットフォームであって、
(i)比率が1:9から9:1の範囲である、水または水性液体に接触すると膨潤するポリマー材料およびゲル化性ポリマー材料、および
(ii)膨潤性およびゲル化性の両方を有する単一のポリマー材料
から成る群から選択される少なくとも1種の化合物を含み、該支持プラットフォームが該堆積コアの表面を部分的に覆った後、該堆積コアの水和による変化に続いて水性液体中で徐々に可溶化および/または徐々にゲル化するように、該堆積コアに施用された弾性支持体である支持プラットフォーム
を含む系が記載される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
特に指示がない限り、本件発明は、変化しうるものとして、特定の成分処方、製造方法、投薬計画、治療方法、使用などに限定されないことを理解されるべきである。また、本明細書において使用する専門用語は、特定の実施形態のみを説明することを目的とするものであり、限定を意図としたものではないことも理解されるべきである。
【0035】
単数形の「a」、「an」および「the」は、文脈上、そうでないことが明確に示されている場合を除き、複数の態様を包含する。したがって、例えば「オピオイド(an opioid)」が指す内容は単一のオピオイドならびに2種以上のオピオイドを包含し、「NK拮抗剤(an NK antagonist)」が指す内容は単一の拮抗剤ならびに2種以上の拮抗剤を包含し、「本発明(the invention)」が指す内容はその(the)発明またはある(an)発明の一態様または複数の態様を包含する。
【0036】
本開示では、以下の専門用語は、以下に記載の定義に従って使用される。
【0037】
「化合物」、「作用剤」、「活性作用剤」、「化学作用剤」、「薬理学的に活性のある作用剤」、「医薬」、「活性剤」および「薬剤」という用語は、本明細書では互換的に使用され、所望の薬理学的および/または生理学的効果を誘発する化学化合物を指す。また、こうした用語は、本明細書で具体的に触れたそのような活性作用剤の、薬学的に許容できる原料および薬理学的に活性のある原料も網羅し、塩、エステル、アミド、プロドラッグ、活性代謝物、類似体などを包含するが、これらに限定されない。「化合物」、「作用剤」、「活性作用剤」、「化学作用剤」、「薬理学的に活性のある作用剤」、「医薬」、「活性剤」および「薬剤」の用語が使用されるとき、その場合は、これが、その活性作用剤それ自体と同時に、薬学的に許容できる、薬理学的に活性のある塩、エステル、アミド、プロドラッグ、代謝物、類似体などを包含することを理解されるべきである。
【0038】
「化合物」、「作用剤」、「活性作用剤」、「化学作用剤」、「薬理学的に活性のある作用剤」、「医薬」、「活性剤」および「薬剤」が指す内容は、2種以上のオピオイドなど、2種以上の活性剤の組合せを包含する。また、「組合せ」は、複数の作用剤が別々に用意されて与えられるか、または別々に調剤されるか、または調剤前に共に混合される、2要素の組成物など複数要素の組成物も包含する。
【0039】
例えば、複数要素の医薬パックは、別々に維持された2種以上の活性作用剤を有しうる。また、この医薬パックは、使用のための説明書を有してもよい。この説明書は、治療プロトコールの形態であってよい。
【0040】
本明細書で使用する場合の作用剤の「有効量」および「治療上の有効量」という用語は、炎症性疼痛に関する鎮痛などの疼痛軽減の達成を包含する所望の治療的または生理学的な効果または結果を提供するための作用剤(例えば、NK拮抗剤および/またはフルピルチン)の十分な量を意味する。副作用(例えば、明らかな鎮静作用)などの好ましくない作用は、所望の治療効果と一緒に現れることがある。そのため、医師は、何が適切な「有効量」であるかを判断する際に、潜在リスクと潜在利益とのバランスを考慮する。正確な必要量は、対象の種、年齢および全身状態、投与様式などに応じて対象ごとに変わってくるだろう。したがって、正確な「有効量」を細かく規定することは不可能と考えられる。しかしながら、任意の個体の場合の適切な「有効量」は、当業者であれば日常的な実験作業のみを使用して決定できよう。とりわけ、治療プロトコールを包含する本明細書に記載の方法および組成物は、明らかな鎮静作用を伴わずに炎症性疼痛の鎮痛を達成する。
【0041】
「薬学的に許容できる」担体、賦形剤または希釈剤とは、生物学的に、またはそれ以外の点で好ましくないものでない材料から成る医薬用ビヒクルを意味し、すなわち、その材料は、有害反応を一切またはあまり引き起こさずに、選択された活性作用剤と一緒に対象に投与しうる。担体は、賦形剤と、希釈剤、界面活性剤、着色剤、湿潤剤または乳化剤、pH緩衝剤、保存剤などといった他の添加剤とを包含してもよい。
【0042】
同様に、本発明で提供されるような化合物の「薬理学的に許容できる」塩、エステル、アミド、プロドラッグまたは誘導体は、生物学的に、または他の点で好ましくないものでない塩、エステル、アミド、プロドラッグまたは誘導体である。
【0043】
本明細書で使用する場合の「治療すること」および「治療」という用語は、治療中の状態に伴う疼痛の激しさおよび/または頻度の低減、疼痛の症状および/または根本原因の排除、状態および/またはその根本原因に伴う疼痛の発生防止および、ある状態後の疼痛の良化または治療または改善を指す。したがって、本発明で提案される治療は疼痛を軽減するが、このことは、治療中の状態とは無関係である場合がある。
【0044】
対象を「治療すること」は、その状態を治療すること、および炎症性疼痛を軽減することの両方を含んでよい。
【0045】
本明細書で使用する場合の「対象」は、本発明の医薬製剤および方法から利益を得ることができる、ヒトを含めた哺乳動物を包含する動物を指す。ここに記載した医薬製剤および方法から利益を得ることができるであろう動物の種類に制限はない。ヒトであるかヒト以外の動物であるかにかかわらず、対象を個体、患者、動物、受容者またはレシピエントと呼ぶことがある。本明細書に記載の化合物および方法は、人間医学、獣医学、ならびに、一般には、飼育動物または野生動物の管理学において適用される。
【0046】
上に示したとおり、この方法および組成物は、ヒト、またはオランウータン、ゴリラおよびマーモセットといった他の霊長動物の他、家畜動物、実験動物、伴侶動物または捕獲された野生動物ならびに鳥類に適している。
【0047】
実験動物の例としては、マウス、ラット、ウサギ、サル類の動物、モルモットおよびハムスターが挙げられる。ウサギ、齧歯類およびサル類の動物は、好都合な試験系または動物モデルとなる。家畜動物としては、ヒツジ、ウシ、ブタ、ヤギ、ウマおよびロバが挙げられる。
【0048】
一態様では、哺乳動物において明らかな鎮静作用を誘発せずに炎症性疼痛に対する鎮痛反応を誘発する方法が提供される。これに関する場合、「哺乳動物」という用語は、ヒトと、実験動物など他の哺乳動物との両方を網羅することを意図している。また、この態様は、一実施形態では、炎症性疼痛を有する対象を選択して治療のレシピエントにするステップも包含する。この選択過程は、炎症性疼痛の症状、または炎症性疼痛を生じやすい状態の症状の評価を包含する。
【0049】
「炎症性疼痛」という用語は、感染症、関節炎および腫瘍形成または腫瘍に関連した肥大の場合に起きることがあるような、炎症過程に起因する急性および慢性疼痛の一群を表現することを意図している。したがって、腫瘍または癌に伴う疼痛は、炎症性疼痛の範疇に入るとみなされる。炎症性疼痛を伴う状態の例としては、関節リウマチ、変形性関節炎、乾癬性関節症、他の炎症状態および自己免疫状態を伴う関節炎、腰椎捻挫および機械的な背痛または椎間板疾患などの変性状態、術後痛、軟部組織打撲または靭帯損傷または骨折などの外傷由来の疼痛、膿瘍または蜂巣炎、結合組織炎または筋炎が挙げられる。
【0050】
本明細書に記載の特定の方法では、明らかな鎮静作用を誘発せずに、ヒト対象を含めた哺乳動物対象が罹患している炎症性疼痛に対する鎮痛反応が誘発される。これに関する場合、対象を「患者」、「ターゲット」または「レシピエント」とも呼ぶ。これに関する場合、「鎮痛」および「鎮痛反応」という用語は、疼痛に対する感受性が低下した状態を表現することを意図しており、この状態は、明らかな鎮静作用を伴わずに、また、一実施形態では、触覚に影響を及ぼすことなく、もたらされるものである。別の態様では、疼痛に対する感受性は、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも50%、少なくとも70%または少なくとも85%低下し、ここには少なくとも10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84または85%が含まれる。別の態様では、炎症性疼痛に対する感受性は、完全に、または実質的に完全になくなる。本発明による方法により誘発された鎮痛に伴う、疼痛に対する感受性低下のレベルを評価するには、略式のマクギル疼痛質問票および/または疼痛強度についての視覚的類似体尺度および/または疼痛強度についての口頭式評価尺度および/またはフォンフレイ毛または同様の器具を用いた接触性アロディニアの測定などの試験を実施することが可能である。このような試験は、当技術分野内では標準的な試験であり、当業者には周知であろうと思われる。
【0051】
したがって、疼痛のレベルを低下させるか、または疼痛の感覚を別の形で改善するのに有効な量のNK拮抗剤および神経細胞興奮抑制剤または薬学的に許容できるその塩、誘導体、相同体もしくは類似体を対象に投与することを含む、哺乳動物において明らかな鎮静作用を伴わずに炎症性疼痛に対する鎮痛反応を誘発する方法が企図される。特定の神経細胞興奮抑制剤の例としては、フルピルチンおよびレチガビンまたは薬学的に許容できるその塩、誘導体、相同体もしくは類似体が挙げられる。
【0052】
別の態様は、炎症性疼痛を患っている哺乳動物において、NK拮抗剤を、明らかな鎮静作用を誘発せずに、炎症に伴う疼痛のレベルを低下させるか、または疼痛の感覚を別の形で改善するのに有効な量で、フルピルチンまたはレチガビン、または薬学的に許容できるその塩、誘導体、相同体もしくは類似体などの神経細胞興奮抑制剤と同時に、別々にまたは逐次的に、この哺乳動物に投与することにより、明らかな鎮静作用を伴わずに鎮痛を誘発する方法を提供する。
【0053】
さらに別の態様は、疾患、状態または病態の治療が、NK拮抗剤と、フルピルチンまたはレチガビンまたは薬学的に許容できるその塩、誘導体、相同体もしくは類似体などの神経細胞興奮抑制剤とを場合により鎮痛剤に追加して用いた疼痛管理と併せて実施される、明らかな鎮静作用を誘発しない炎症治療の併用療法を企図したものである。
【0054】
さらにまた別の態様は、明らかな鎮静作用を誘発せずに、疼痛のレベルを低下させるか、または疼痛の感覚を別の形で改善するために、ある量のNK拮抗剤と、ラモトロジンおよびメキシレンチンまたは薬学的に許容できるその塩、誘導体、相同体もしくは類似体などではあるがこれらに限定されないナトリウムチャネル遮断剤とを対象に投与することを含む、哺乳動物において明らかな鎮静作用を誘発せずに炎症性疼痛に対する鎮痛反応を誘発する方法を提供する。
【0055】
さらに別の態様は、明らかな鎮静作用を誘発せずに、疼痛のレベルを低下させるか、または疼痛の感覚を別の形で改善するために、ある量のNK拮抗剤と、リグノカイン、ブピバカイン、ロピバカイン、およびプロカイン、テトラカインまたは薬学的に許容できるその塩、誘導体、相同体もしくは類似体などの局所麻酔剤とを対象に投与することを含む、哺乳動物において明らかな鎮静作用を誘発せずに炎症性疼痛に対する鎮痛反応を誘発する方法を指向したものである。
【0056】
さらに、このNK拮抗剤は、カプサイシン、カプサゼピン、Nb-VNA、Nv-VNA、SB-705498およびアナダミドまたは薬学的に許容できるその塩、誘導体、相同体もしくは類似体などではあるがこれらに限定されない1種または複数種のTRPV1受容体モジュレーターと組み合わせて使用してもよい。
【0057】
さらにまた、このNK拮抗剤は、SR144528、AM630およびアナダミドまたは薬学的に許容できるその塩、誘導体、相同体もしくは類似体などではあるがこれらに限定されない1種または複数種のCB2受容体モジュレーターと組み合わせて使用してもよい。
【0058】
この鎮痛効果は、明らかな鎮静作用を伴わない。
【0059】
「明らかな鎮静作用」という用語では、本明細書に記載の方法(および組成物)が、治療中の患者の顕著な、目に見える、または明白な気だるさもしくは意識喪失を示す、治療中の患者または対象の鎮静レベルを生じないことを伝えることを意図している。したがって、本明細書中の治療方法および組成物は、ヒト対象の場合であれば自動車の運転や機械の操作、または動物対象の場合であれば摂食および毛づくろいなどの日常生活に伴う活動を妨げまたは阻害する、患者の眠気または気だるさを生じない。また、明らかな鎮静作用を伴わないということは、神経系機能(注意または覚醒など)の顕著な認知的または一般的減退を引き起こさずに鎮痛効果を誘発することをも意味する。認知に及ぶそのような作用は測定値の変動をまねき、それにより、疼痛のレベルもしくは種類、または症状の改善効果について誤った結論が導かれる恐れがある。
【0060】
「NK拮抗剤」という用語は、NK1、NK2もしくはサブスタンスPに直接作用してその活性を阻害する化合物、またはNK1、NK2およびNK3受容体などのNK受容体群に作用する化合物を含め、哺乳動物の疼痛治療にとって有効な公知の化合物および現時点で未知の化合物(薬学的に許容できるその塩、誘導体、相同体もしくは類似体を包含する)を網羅することを意図している。そのような作用剤の例としては、アキラルなピリジン系のニューロキニン1受容体拮抗剤、ネチュピタント(netupitant)21、ベトクチュピタント(betctupitant)29、エズロピタント、ラネピタント、オサネタント、タルネタント、GR205171、MEN11467、ネパデュタント、(MEN11420)、M274773、[Sar(9)、Met(02)(11)]-サブスタンスP、Tyr(6), D-Phe(7),D-His(9)-サブスタンスP(6〜11)(センジド)、(β;Ala(8))-ニューロキニンA(4〜10)、(Tyr(5),D-Trp(6,8,9),Lys-NH(2)(10))-ニューロキニンA、[D-Proz,D-Trip7,9]-SPD PDT-SP、[D-Proz,D-Phe7,D-Trp9]-SP、SR48968および4-アルキルピペリジン誘導体、SB223412、MDL103392、リン酸化モルフォリンアセタールヒトニューロキニン1受容体作動剤、SDZ NKT343、LY303870、Ym-35375およびスピロ置換ピペリジン、YM-44778、YM-38336、セプチド、L73213、ダクチノミアン(Dactinomyan)類似体、MEN10207、L659874、L668169、FR113680および誘導体、GR83074、トリペプチドポッセルシ(possersi)、グルタミニル-D-トリプトファン-フェニルアラニン配列、L659877、R396、ニューロキニン拮抗剤としてのイミダゾ[4,5-b]キノキサリンシオニン(cyonine)、MEN10208、DPDTP-オクタ、GR73632、GR64349、センクチド、GR71251、[D-Argl,D-Pro2,D-Trp7,9,Leul1]-SP(1〜11)、Ac heu-Asp-Gin-Trp-Phe-Gly NH2、Thr-Asp-Tyr-D-Tvp-Val-D-Trp-D-Trp-Arg NH2、環状[Eln-Trp-Phe-Gly-Leu-Met]、D-Pro2D-Trp7,9、D-ArglD-Trp7,9leul1、[G1y6]-NKB[3〜10]、[Arg3,D-A1a6]-NKB[3〜10]、CP-9634、3アミノキヌジジン(aminoquinudidine)、CP-99994、S18525、S19752、4-キノリンカルボキシミドフレミンシク(fremincik)系列、CP-122721、MK-869、GR205171、スパンチドII、CP-96345、L703606、SR140333、2フェニル-4-キノリンカルボキシミド系列、FK224、FK888、ZM253270-ピロロピリミジン系の非ペプチドニューロキニン拮抗剤、GR71251、GR82334、RP67580、L-161664などヒトニューロキニンのジアシルピペラジン拮抗剤、RP67580、MEN10376、GR98400、N2-[N2-(IH-インドール-3-イルカルボニル)-L-リシル]-N-メチル-N-(フェニルメチル)-L-フェニルアラニンアミド(2b)、SP-(1〜11)、SP-(6〜11)、SP-(4〜11)WIN51703、スパンチドII、スパンチドIII、スパンチドI、アプレピタント、MEN13510、1-[2-(R)-{1-1R)-[3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エトキシ]-3-(R)-(3,4-ジフルオロフェニル)-4-(R)-テトラヒドロ-2H-ピラン-4イルメチル]-3-(r)-メチルピペリジン-3-カルボン酸(1)、LY306740、SLV-323、2-置換-4-アリール-6,7,8,9-テトラヒドロ-5H-ピリミド[4,5-b][1,5]オキサゾシン-5-オン、9-置換-7-アリール-3,4,5,6-テトラヒドロ-2H-ピリド[4,3-b]および[2,3-b]-1,5-オキサゾシン-6-オン、SR142801、SB222200、CP96345、SR48968、エズロピタント、MEN11558、[18F]SPA-RQ、ニューロピタント(neuropitant)21、ベチュピタント(betupitant)29、SR144190、SR48692、SR141716、L733060、ボフォピタント(vofopitant)、R-673、ネパデュタント、サレデュタント、UK290795、2-(4-ビフェニリル)キノリン-4-カルボキシレートおよびカルボキサミド類似体(ニューロキニン3受容体拮抗剤)、4-アミノ-2-(アリール)-ブチルベンザミドおよび類似体、MK869、L742694、CP122721、1-アルキル-5-(3,4-ジクロロフェニル)-5-[2-[(3-置換)-1-アゼチジニル]エチル]-2-ピペリジン、L760735、L758298、Cbz-Gly-Leu-Trp-0Bz1(CF(3))(2)、L733061、SR144190、SB235375、N-[(R,R)-(E)-1-アリールメチル-3-(2-オキソアゼパン-3-イル)カルバモイル]アリル-N-メチル-3,5-ビス(トリフルロメチル)ベンザミド、3-[N'-3,5-ビス(トリフルロメチル)ベンゾイル-N-アリールメチル-N'-メチルヒドラジノ]-N-[(R)-2-オキソアゼパン-3-イル]プロピオンアミド、SR142806、SR48968、CP141938、LY306740、SB40023、SB414240、SR140333、ペルヒドロイソインドールRP67580、デピタント(Depitant)、RPR100893、ラネピタント、LY-303870、LY303870、ノルピタニウム(nolpitanium)、SR140333、SR48968およびサベジュタント(Savedutant)が挙げられる。
【0061】
本明細書で使用する場合、神経細胞興奮を抑制する化合物としては、フルピルチンまたはレチガビン、神経細胞のカリウムチャネルの開口をもたらす化合物、オピオイド、ニューロステロイド、NSAIDS、NMDA受容体拮抗剤およびカルシウムチャネル拮抗剤が挙げられるが、これらに限定されない。
【0062】
本発明での使用のために企図されたカリウムチャネル開口剤としては、フルピルチン、レチガビン、WAY-133537、ZD6169、セリカリム(Celikalim)、NN414、アリシクロプロピル(arycyclopropyl)カルボン酸アミド、3-(ピリジニルピペラジン-1-イル)フェニルエチルアミド、クロマカリム、ピナシジル、P1060、SDZ PC0400、ミノキシジル、ニクランジル(nicrandil)、BMS-204352、クロモカリム(cromokalim)、レベロマカリム(leveromakalim)、レマカリム、ジアゾキシド、カリブドトキシン、グリブリドおよび4-アミノピリジンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0063】
ナトリウムチャネル遮断剤としては、ラモトロジンおよびメキシレンチンが挙げられる。
【0064】
局所麻酔剤としては、リグノカイン、ブピバカイン、ロピバカイン、プロカインおよびテトラカインが挙げられる。
【0065】
「神経細胞興奮抑制剤」が指す内容としては、ナトリウムチャネル遮断剤、局所麻酔剤、TRPV1受容体モジュレーターおよび/またはCB2受容体モジュレーターも挙げうる。同じく、ナトリウムチャネル遮断剤、局所麻酔剤、TRPV1受容体モジュレーターおよび/またはCB2受容体モジュレーターを、神経細胞興奮抑制剤としてもよい。
【0066】
TRPV1受容体モジュレーターとしては、カプサイシン、カプサゼピン、Nb-VNA、Nv-VNA、SB-745498およびアナダミドまたは薬学的に許容できるその塩、誘導体、相同体もしくは類似体が挙げられるが、これらに限定されない。
【0067】
このモジュレーターは、TRPV1受容体の作動剤または拮抗剤であってよい。SB-705498は拮抗剤の例であり、カプサイシン、カプサゼピン、Nb-VNA、Nv-VNAおよびアナダミドは作動剤の例である。
【0068】
CB2受容体モジュレーターとしては、SR144528、AM630およびアナンダミドまたは薬学的に許容できるその塩、誘導体、相同体もしくは類似体が挙げられるが、これらに限定されない。このモジュレーターは、CB2受容体の作動剤または拮抗剤であってよい。
【0069】
本明細書で使用する場合、オピオイド化合物(オピオイド類)は、哺乳動物の系で生理学的に許容でき、オピオイド受容体の完全作動剤または少なくとも部分作動剤である任意の化合物を包含する。オピオイド化合物は周知であり、コデイン、モルヒネおよびパパバリン(papavarine)などアヘン由来の天然発生型の化合物、ならびに全般に構造的類似性を有するそのような化合物の誘導体、ならびに哺乳動物の系に存在するオピオイド受容体を作動させる、構造的に無関係な他の化合物を包含する。本発明により企図されたオピオイド化合物の具体例としては、フェンタニル、オキシコドン、コデイン、ジヒドロコデイン、ジヒドロコデイノンエノールアセテート、モルヒネ、デソモルヒネ、アポモルヒネ、ジアモルヒネ、ペチジン、メタドン、デキストロプロポキシフェン、ペンタゾシン、デキストロモラミド、オキシモルフォン、ヒドロモルフォン、ジヒドロモルヒネ、ノスカピン、ナルブフィン、パパベリン、パパベレタム、アルフェンタニル、ブプレノルフィンおよびトラマドールならびに薬学的に許容できるその塩、誘導体、相同体または類似体が挙げられる。
【0070】
本発明での使用のために企図されたニューロステロイドとしては、アルファドロンおよび他のプレグナンジオンならびにその塩および誘導体(例えば、アルファドロンモノグルクロニドおよびジグルクロニド)、および脊髄GABAa受容体との相互作用により明らかな鎮静作用を伴わずに抗侵害受容効果をもたらす他のニューロステロイドが挙げられる。
【0071】
本明細書で使用する場合、NMDA受容体拮抗剤は、NMDA受容体の活性および/または機能を遮断または阻害する作用剤である。したがって、本発明は、機能的NMDA拮抗剤ならびに構造的NMDA拮抗剤にも及ぶ。NMDA受容体は細胞表面のタンパク質複合体でああり、哺乳動物の中枢神経系中に広く分布し、向イオン性グルタミン酸受容体の系列に属する。この受容体は、興奮性シナプス伝達と、神経細胞成長の制御とに関与している。この構造体は、リガンド開口型/電位感受性イオンチャネルを含む。NMDA受容体は非常に複雑であり、少なくとも5つの異なる結合(活性化)部位、すなわち、グリシン結合部位、グルタミン酸結合部位(NMDA結合部位)、PCP結合部位、ポリアミン結合部位、および亜鉛結合部位を含有すると考えられている。一般に、受容体拮抗剤は、作動剤の受容体活性化能を遮断しまたは低下させる分子である。本明細書で使用する場合、「NMDA受容体拮抗剤」は、in vivoまたはin vitroでNMDA受容体と接触するとNMDA受容体イオンチャネルを通るイオンの流れを阻害する、公知または未発見の任意の化合物または組成物を意味する。「機能的」NMDA拮抗剤としては、NMDA受容体活性化の閾値を高める作用剤が挙げられる。NMDA受容体を活性化すると、細胞興奮性が上昇する。CNS中での神経細胞興奮を抑制または減少する任意の薬剤は、潜在的にNMDA受容体の「機能的」拮抗剤になることができるが、その理由は、こうした薬剤はNMDA受容体作動剤により生じた興奮を減少するからである。そのような全ての作用剤は、所望の鎮痛効果を達成するためにNK拮抗剤と組み合わせて使用してよい。
【0072】
NMDA受容体拮抗剤は、1つまたは複数のキラル中心および/または二重結合を含有でき、そのため、二重結合異性体(すなわち幾何異性体)、鏡像異性体またはジアステレオマーなどの立体異性体として存在できる。本明細書で使用する場合、「NMDA受容体拮抗剤」という用語は、そのような全ての鏡像異性体および立体異性体、つまり、ステレオマーとして純粋な(例えば、幾何異性体として純粋な、鏡像異性体として純粋な、またはジアステレオマーとして純粋な)形態と、鏡像異性混合物および立体異性混合物(例えばラセミ化合物)との両方を網羅する。
【0073】
「NMDA受容体拮抗剤」という用語は、NMDA受容体拮抗剤の、薬学的に許容できる全ての塩、全ての複合体(例えば、水和物、溶媒和物、および包接化合物)、および全てのプロドラッグをさらに網羅する。
【0074】
本発明での使用に適したNMDA受容体拮抗剤は、標準的な疼痛モデルにより抗侵害受容性についてNMDA受容体拮抗剤を試験することにより同定できる。Sawynokら、Pain 82、149頁、1999、Sawynokら、Pain 80、45頁、1999などを参照のこと。
【0075】
一態様では、NMDA受容体拮抗剤は、非競合性のNMDA受容体拮抗剤、より好ましくはケタミン、さらにより好ましくはケタミン塩酸塩である。
【0076】
本明細書で使用する場合、「NMDA受容体拮抗剤」という語句の意味は、グリシン部位での結合によりNMDA受容体を拮抗する任意の化合物または組成物を網羅する。グリシン部位NMDA受容体拮抗剤に関する総説としては、Leeson、P.D.Drug Design for Neuroscience 13、338〜381頁、1993を参照のこと。グリシン部位NMDA受容体拮抗剤は、in vitroおよびin vivoでの標準的なアッセイにより同定できる。例えば、米国特許第6251903号(2001年6月26日発行)、米国特許第6191165号(2001年2月20日発行)、Grimwoodら、Molecular Pharmacology 4、923頁、1992、Yonedaら、J Neurochem 62、102頁、1994、およびMayerら、J Neurophysiol、645頁、1988に記載されたアッセイを参照のこと。これらの引用は全て、参照により、明示されたものとして本明細書に組み込まれる。
【0077】
グリシン部位NMDA受容体拮抗剤としては、グリシンアミド、トレオニン、Dセリン、フェルバメート、5,7-ジクロロキヌレン酸、および3-アミノ-l-ヒドロキシ-2-ピロリドン(HA-966)、ジエチレントリアミン、1,10-ジアミノデカン、1,12-ジアミノドデカン、およびイフェンプロジル、ならびに、米国特許第6251903号、同第5914403号(1999年6月22日発行)、米国特許第5863916号(1999年1月26日発行)、米国特許第5783700号(1998年7月21日発行)および米国特許第5708168号(1998年1月13日発行)に記載のものが挙げられるがこれらに限定されず、これらの特許は全て、参照により、明示されたものとして本明細書に組み込まれる。
【0078】
本明細書で使用する場合、「NMDA受容体拮抗剤」という語句の意味は、本明細書で「競合的なNMDA受容体拮抗剤」とも呼ぶ、グルタミン酸部位での結合によりNMDA受容体を拮抗する任意の化合物または組成物を網羅する。Olney&Farber、Neuropsychopharmacology 13、335頁、1995などを参照のこと。
【0079】
競合的なNMDA拮抗剤としては、3-((-)-2-カルボキシピペラジン-4-イルプロピル-1-ホスフェート(CPP)、3-(2-カルボキシピペラジン-4-イル)-プロペニル-1-ホスホネート(CPP-エン)、1-(シス-2-カルボキシピペリジン-4-イル)メチル-1-ホスホン酸(CGS19755)、D-2-アミノ-5-ホスホノペンタン酸(AP5)、2-アミノホスホノヘプタノエート(AP7)、D,L-(E)-2-アミノ-4-メチル-5-ホスホノ-3-ペンテン酸カルボキシエチルエステル(CGP39551)、2-アミノ-4-メチル-5ホスホノペント-3-エン酸(CGP40116)、(4-ホスホノブト-2-エニルアミノ)-酢酸(PD132477)、2-アミノ-4-オキソ-5ホスホノペンテン酸(MDL100453)、3-((ホスホニルメチル)-スルフィニル)-D,L-アラニン、アミノ-(4-ホスホノメチルフェニル)-酢酸(PD129635)、2-アミノ-3-(5-クロロ-1-ホスホノメチル-1H-ベンゾイミダゾール-2-イル)プロピオン酸、2-アミノ-3-(3-ホスホノメチルキノキサリン-2-イル)-プロピオン酸、2-アミノ-3-(5-ホスホノメチルビフェニル-3-イル)-プロピオン酸(SDZ EAB515)、2-アミノ-3-[2-(2-ホスホノエチル)-シクロヘキシル]プロピオン酸(NPC17742)、4-(3-ホスホノプロピル)-ピペラジン-2-カルボン酸(D-CPP)、4-(3-ホスホノアリル)-ピペラジン-2-カルボン酸(D-CPP-エン)、4-ホスホノメチルピペリジン-2-カルボン酸(CGS19755)、3-(2-ホスホノアセチル)-ピペリジン-2-カルボン酸(MDL100925)、5-ホスホノ-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-3-カルボン酸(SC48981)、5-(2-ホスホノエチル)-1,2,3,4テトラヒドロイソキノリン-3-カルボン酸(PD145950)、6-ホスホノメチルデカヒドロイソキノリン-3-カルボン酸(LY274614)、4-(1H-テトラゾール-5-イルメチル)-ピペリジン-2-カルボン酸(LY233053および235723)、および6-(1H-テトラゾール-5-イルメチル)-デカヒドロイソキノリン-3-カルボン酸(LY233536)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0080】
本明細書で使用する場合、「NMDA受容体拮抗剤」という語句の意味は、本明細書では「非競合的なNMDA受容体拮抗剤」と呼ぶ、PCP(フェンシクリジン)部位での結合によりNMDA受容体を拮抗する任意の化合物または組成物を網羅する。
【0081】
非競合的なNMDA受容体拮抗剤は、日常的なアッセイ、例えば、米国特許第6251948号(2001年6月26日発行)、米国特許第5985586号(1999年11月16日発行)、および米国特許第6025369号(2000年2月15日発行)、Jacobsonら、J Pharmacol Exp Ther 110、243頁、1987、およびThurkaufら、J Med Chem 31、2257頁、1988に記載されたものなどを用いて同定でき、これらの引用は全て、参照により、明示されたものとして本明細書に組み込まれる。
【0082】
PCP部位で結合する非競合的なNMDA受容体拮抗剤の例としては、ケタミン、フェンシクリジン、デキストロメトルファン、デキストロルファン、デキソキサドロール、ジゾシルピン(MK-801)、レマセミド、チエニルシクロヘキシルピペリジン(TCP)、N-アリルノメタゾシン(allylnometazocine)(SKF10047)、シクラゾシン、エトキサドロール、(1,2,3,4,9,9a-ヘキサヒドロフルオレン-4a-イル)-メチルアミン(PD137889)、(1,3,4,9,10,10a-ヘキサヒドロ-2H-フェナントレン-4a-イル)-メチルアミン(PD138289)、PD138558、チレタミン、キヌレン酸、7-クロロキヌレン酸、およびメマンチン、および6-シアノ-7-ニトロキノキサリン-2,3-ジオン(CNQX)および6,7-ジニトロキノキサリン-2,3-ジオン(DNQX)などのキノキサリンジオン類が挙げられるが、これらに限定されない。
【0083】
本明細書で使用する場合、「NMDA受容体拮抗剤」の意味は、ポリアミン結合部位、亜鉛結合部位でNMDA受容体を遮断する化合物、および、本明細書での特定の結合部位による分類には入らないか、または別の機序によりNMDA受容体を遮断するかいずれかの、他のNMDA受容体拮抗剤を網羅する。ポリアミン部位で結合するNMDA受容体拮抗剤の例としては、スペルミン、スペルミジン、プトレシン、およびアルカイン(arcaine)が挙げられるが、これらに限定されない。亜鉛またはポリアミン結合部位で作用するNMDA受容体拮抗剤を同定するのに有用なアッセイの例は、米国特許第5834465号(1998年11月10日発行)に開示されており、参照により、明示されたものとして本明細書に組み込まれる。
【0084】
他のNMDA受容体拮抗剤としては、アマンタジン、エリプロジル、ラモトリジン、リルゾール、アプチガネル、フルピルチン、セルフォテル、レベモパミル、1-(4-ヒドロキシフェニル)-2-(4フェニルスルファニルピペリジン-1-イル)-プロパン-1-オン、2-[4-(4-フルオロベンゾイル)-ピペリジン-1-イル]-1-ナフタレン-2-イルエタノン(E2001)、3-(1,1-ジメチルヘプチル)-9-ヒドロキシメチル-6,6-ジメチル-6a,7,8,1Oa-テトラヒドロ-6H-ベンゾ[c]クロメン-1-オール(HU-211)、1-{4-[1-(4-クロロフェニル)-1-メチルエチル]-2-メトキシフェニル}-1H-[1,2,4]トリアゾール-3-カルボン酸アミド(CGP31358)、酢酸10-ヒドロキシ-7,9,7',9'-テトラメトキシ-3,3'-ジメチル-3,4,3',4'-テトラヒドロ-1H,1'H-[5,5']ビ[ベンゾ[g]イソクロメニル]-4-イルエステル(ES242-1)、14-ヒドロキシ-11-イソプロピル-l0-メチル-5-オクチル-10,13-ジアザトリシクロ[6.6,1.04,15]ペンタデカ-1,4,6,8(15)-テトラエン-12-オン、および4,5-ジオキソ-4,5-ジヒドロ-1H-ベンゾ[g]インドール-2,7,9-トリカルボン酸(PQQ)および薬学的に許容できるその塩が挙げられるが、これらに限定されない。
【0085】
カルシウムチャネル拮抗剤としては、ジルチアゼム、ジコノチド(MVIIA)、CVID(AM336)、NMED-160、シルニジピン、ガバペンチンおよびプレガバリンが挙げられる。
【0086】
NSAIDSとしては、アセトアミノフェン(Tylenol、Datril他)、アスピリン、イブプロフェン(Motrin、Advil、Rufen他)、サリチル酸コリンマグネシウム(Triasate)、サリチル酸コリン(Anthropan)、ジクロフェナク(voltaren、cataflam)、ジフルニサル(dolobid)、エトドラク(lodine)、フェノプロフェンカルシウム(nalfon)、フルロビプロフェン(ansaid)、インドメタシン(indocin、indometh他)、ケトプロフェン(orudis、oruvail)、ケトロラクトロメタミン(toradol)、サリチル酸マグネシウム(Doan's、magan、mobidin他)、メクロフェナム酸ナトリウム(meclomen)、メフェナム酸(relafan)、オキサプロジン(daypro)、ピロキシカム(feldene)、サリチル酸ナトリウム、スリンダク(clinoril)、トルメチン(tolectin)、メロキシカム、ナブメトン、ナプロキセン、ロルノキシカム、ニメスリド、インドプロフェン、レミフェンゾン(remifenzone)、サルサレート、チアプロフェン酸、フロスリドなどのNSAIDSが挙げられるが、これらに限定されない。
【0087】
「薬学的に許容できる塩、誘導体、相同体または類似体」という語句は、対象に投与する際に当該化合物または生理学的に(例えば鎮痛などの)活性のあるその化合物、代謝物または残基を(直接的または間接的に)供給する能力がある、薬学的に許容できる互変異性体、塩、プロドラッグ、水和物、溶媒和物、代謝物または他の化合物一切を伝えることを意図している。適当な誘導体の例は、OH基またはSH基が、適当なカルボン酸、例えばC1〜3アルキル-CO2H、およびHO2C-(CH2)n-CO2H(このとき、nは1、2、3、4、5、6、7、8、9、10など1〜10であるが、好ましくは1〜4である)、およびCO2H-CH2フェニルなどと反応することで形成されるエステルである。
【0088】
したがって、この活性化合物は、遊離化合物または溶媒和物(例えば、水和物)のいずれかとしての結晶形であってよい。溶媒和の方法は、当技術分野では一般に公知である。
【0089】
本発明の活性化合物の塩は、好ましくは薬学的に許容できるものであるが、薬学的に許容できるものでない塩は、薬学的に許容できる塩の調製における中間物質として有用であるため、このような塩も本発明の範囲内に入ることは理解されよう。薬学的に許容できる塩の例としては、ナトリウム、カリウム、リチウム、カルシウム、マグネシウム、アンモニウムおよびアルキルアンモニウムなどの薬学的に許容できる陽イオンの塩、塩酸、オルトリン酸、硫酸、リン酸、硝酸、炭酸、ホウ酸、スルファミン酸および臭化水素酸などの薬学的に許容できる無機酸の酸付加塩、または、酢酸、プロピオン酸、酪酸、酒石酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、フマル酸、クエン酸、乳酸、粘液酸、グルコン酸、安息香酸、コハク酸、シュウ酸、フェニル酢酸、メタンスルホン酸、トリハロメタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、サリチル酸、スルファニル酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、エデト酸、ステアリン酸、パルミチン酸、オレイン酸、ラウリン酸、パントテン酸、タンニン酸、アスコルビン酸および吉草酸などの薬学的に許容できる有機酸の塩が挙げられる。
【0090】
「プロドラッグ」という用語は、興味のある化合物にin vivoで変換(例えば、酵素開裂または加水分解開裂により)されることが可能な化合物を包含するために、本明細書ではその最も広い意味で使用されている。その例としては、ヒドロキシ基またはチオ基のアセテートなどのエステル、ならびにホスフェートおよびスルフォネートが挙げられる。ヒドロキシ基またはチオ基をアシル化するためのプロセスは、当技術分野では公知であり、例えばアルコール(ヒドロキシ基)またはチオ基をカルボン酸と反応させることによる。適当なプロドラッグの他の例は、Bundgaard、Design of Prodrugs、Elsevier、1985に記載されており、この開示は参照によりその全体が本明細書に包含される。
【0091】
「代謝物」という用語は、一旦対象に投与された活性作用剤がin vivoで転換されることによって得ることができる化合物一切を包含する。そのような代謝物の例は、グルクロニド、サルフェートおよびヒドロキシレートである。
【0092】
本明細書に記載のような活性作用剤が互変異性体で存在しうることは理解されよう。「互変異性体」という用語は、2つの異性体間に平衡状態で存在することが可能な化合物を包含するために、本明細書ではその最も広い意味で使用されている。このような化合物は、2つの原子または基をつなぐ結合、および化合物中のこれらの原子または基の位置が異なっていてよい。具体例は、ケトエノール互変異性体である。
【0093】
本発明の化合物は、電気的に中性であってもよいし、または、ポリ陽イオンの形態をとっているが結合陰イオンを有して電気的に中性になっていてもよい。適当な結合陰イオンとしては、硫酸イオン、酒石酸イオン、クエン酸イオン、塩素イオン、硝酸イオン、亜硝酸イオン、リン酸イオン、過塩素酸イオン、ハロスルホン酸イオンまたはトリハロメチルスルホン酸イオンが挙げられる。
【0094】
この活性作用剤は、適当な任意の経路での療法のために投与しうる。この活性作用剤は、対象の、明らかな鎮静作用を生じない経路を通して投与されることが好ましいことは理解されよう。適当な投与経路としては、経口、経直腸、経鼻、エアロゾルまたは微粒子の吸入、局所(口腔および舌下を包含する)、経皮、経膣、膀胱内および非経口(皮下、筋肉内、静脈内、胸骨内、関節内、関節中への注射、クモ膜下腔内、硬膜外および皮内を包含する)が挙げられよう。一実施形態では、活性作用剤の投与は、対象の胃に化合物が最初に提示されることになる経路によるものである。この実施形態では、活性作用剤は一般に経口経路を通して投与される。別の実施形態では、活性作用剤は経皮経路により投与される。しかしながら、好ましい経路は、対象の状態および年齢、治療中の炎症性疼痛の性質、対象の体内でのその位置および医師または獣医師の判断によって変わるであろうということは理解されよう。また、個々の活性作用剤は同じ経路または異なる別々の経路により投与しうることも理解されよう。個々の活性作用剤は、別々に、または一緒に、炎症性疼痛の過程に関与している関節内に直接投与してもよい。
【0095】
本明細書で使用する場合、「有効量」は、適当な投薬計画に従って投与した際に所望の鎮痛活性をもたらす活性作用剤の量を指す。活性作用剤の量は一般に、明らかな鎮静作用を引き起こさずに所望の鎮痛活性をもたらす量である。投薬は数分、数時間、数日、数週間または数ヶ月の間隔で行ってよい。適当な投薬量および投薬計画は、担当の医師または獣医師が決定できる。例えば、フルピルチンまたは薬学的に許容できるその塩、誘導体、相同体もしくは類似体は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50など約1時間から最大約50時間ごとに0.5、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、10、10.5、11、11.5、12、12.5、13、13.5、14、14.5、15、15.5、16、16.5、17、17.5、18、18.5、19、19.5または20mg/kgなど体重1kg当り約0.5から約20mgの間の量という比率で対象に投与しうる。とりわけ有用な時間は、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24時間など約6時間から約24時間である。中でもとりわけ有用な時間は、約12時間から約24時間の間である。12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23または24時間など。オピオイドなどの鎮痛剤の投薬は、実際には、投薬比率に従って担当の医師が決定できる。例えば、フェンタニルは、約100μgの量で投与できるのに対し、モルヒネは、10mgの量で、また、1時間ごとに投与してもよい。投与が、持続注入、または数分ごと(例えば1、2、3または4分)の定期的投薬、または5、10、20、30または40分ごと(例えば、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、45、36、37、38、39または40分)もしくは1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23または24時間ごとまたは最大50時間、例えば、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49または50時間などでの投与などにより、程度の差こそあれ頻回に実施されれば、この投与量は変わりうる。多くの場合は、単純に、患者が疼痛緩和を必要とするときを基準にして、投与が実施されることになる。
【0096】
特定の一実施形態では、神経細胞興奮抑制剤(複数も)と組み合わせた1種または複数種のNK拮抗剤を、炎症性の疾患または状態に伴う炎症性疼痛を治療するために使用する。
【0097】
「炎症性の疾患および障害」は、外傷または疾患による影響を受けた組織を保護するためのものである特定の領域での赤み、腫脹、疼痛、および熱感の反応を生じるような疾患および障害を網羅する。以下の炎症性疾患に伴う疼痛は、本発明の方法を用いて治療できる:ざ瘡、アンギナ、関節炎、誤嚥性肺炎、疾患、蓄膿、胃腸炎、炎症、腸インフルエンザ、壊死性腸炎(NEC)、骨盤内炎症性疾患(PID)、咽頭炎、胸膜炎、咽喉痛、赤み、発赤、咽喉炎、胃インフルエンザおよび尿路感染症、慢性炎症性脱髄性多発神経炎、術後痛、慢性炎症性脱髄性多発根神経炎。
【0098】
したがって、対象において明らかな鎮静作用を誘発せずに炎症性疼痛を治療するための治療プロトコールであって、対象に、有効量の抗炎症剤を1種または複数種のNK拮抗剤および神経細胞興奮抑制剤と併用投与するステップを含むプロトコールが企図される。炎症性疾患としては、上に掲載の疾患のいずれかを挙げうる。抗炎症剤の投与は、神経細胞興奮抑制剤およびNK拮抗剤に対し逐次的または同時であるか、または独立していてもよい。
【0099】
また、別の態様は、1種または複数種のNK拮抗剤または薬学的に許容できるその塩、誘導体、相同体もしくは類似体を、神経細胞興奮抑制剤および1種または複数種の薬学的に許容できる添加剤および場合により他の医薬と一緒に含む組成物も提供する。薬学的に許容できる添加剤は、担体、希釈剤、補助剤および/または賦形剤の形態であってよく、それには従来の溶媒、分散剤、充填剤、固形担体、コーティング剤、抗真菌剤または抗細菌剤、皮膚浸透剤、界面活性剤、等張剤および吸収剤および徐放性または制御放出性のマトリックスが全て包含される。この活性作用剤は、活性作用剤を同時に、別々に、または逐次的に投与できるように適応させた成分のキットの形態で提供されてもよい。各担体、希釈剤、補助剤および/または賦形剤は、組成物の他の原料と相容性があり、生理学的に対象が耐えうるという意味で「薬学的に許容できる」ものでなくてはならない。この組成物は、便利なように単位剤形の形態で提供されてよく、薬学の技術分野で周知の方法により調製してよい。こうした方法は、活性成分と1種または複数種の副成分を構成する担体とを結合させるステップを包含する。通常、この組成物は、活性成分を液体担体、希釈剤、補助剤および/もしくは賦形剤と、または細かくした固形担体と、またはその両方と、均一かつ密接に結合させ、その後、必要に応じて製品を成形することにより調製される。
【0100】
経口投与に適した本発明の組成物は、所定量の活性成分をそれぞれ含有するカプセル、サシェもしくは錠剤などの個別単位として、粉末もしくは顆粒として、水相中もしくは非水性液体中の溶液もしくは懸濁液として、または水中油型の液体乳剤もしくは油中水型の乳剤として、提供されてよい。また、この活性成分は、巨丸剤、舐剤またはペーストとして提供されてもよい。
【0101】
錠剤は、圧縮または成形により、場合によっては1種または複数種の副成分を加えて作製しうる。圧縮した錠剤は、粉末または顆粒などの自由流動型の活性成分を適当な機械の中で圧縮し、場合により結合剤(例えば、不活性な希釈剤、保存剤、崩壊剤、デンプングリコール酸ナトリウム、架橋ポビドン、架橋ナトリウムカルボキシメチルセルロース)、表面活性剤または分散剤と混合させることにより調製しうる。成形錠剤は、粉末化し、不活性な液体希釈剤で湿らせた化合物の混合物を適当な機械の中で成形することにより作製しうる。この錠剤は、場合によりコーティングし、または刻み目を付けてもよく、また、例えば、所望の放出プロファイルを得られるようなさまざまな比率のヒドロキシプロピルメチルセルロースを用いて錠剤中の活性成分の徐放または制御放出を得られるように処方してもよい。場合により錠剤は、胃ではなく腸の一部での放出がなされるように、腸溶コーティングを施して提供してもよい。
【0102】
非経口投与に適した組成物としては、抗酸化剤、緩衝液、静菌剤および意図された対象の血液で組成物を等張性にする溶質を含有しうる滅菌済の水性および非水性注射用等張溶液、ならびに、懸濁させた作用剤および糊料を包含しうる滅菌済の水性および非水性懸濁液が挙げられる。この組成物は、例えばアンプルおよびバイアルなどの単位用量または複数回用量の密封容器に入れて提供してもよく、また、滅菌済の液体担体、例えば注射用の水を使用前に素早く加えることだけが必要なフリーズドライした(凍結乾燥した)状態で保管してもよい。即時使用可能な注射用の溶液および懸濁液は、これまで記載したような滅菌済の粉末、顆粒および錠剤から調製しうる。このような液は、戻して、水、等張食塩水または平衡塩類溶液中に溶解した水溶液の形態とすることができる。さらに、この製品は、戻したときに化合物(複数も)がリポソームまたは大豆などの脂質乳剤と組み合わさって液体媒体中に分散した懸濁液となるようにすることもできよう。
【0103】
皮膚への局所投与、すなわち経皮投与に適した組成物は、適当な任意の担体または基剤中に溶解または懸濁させた活性作用剤を含んでよく、ローション、ゲル、クリーム、ペースト、軟膏などの形態としてよい。適当な担体としては、鉱油、プロピレングリコール、蝋、ポリオキシエチレンおよび長鎖アルコールを挙げうる。パッチなどの経皮用の用具を使用してもよく、そのような用具はセルロースニトレート/アセテート、プロピレンおよびポリカーボネートなどの適当な材料で作製された微孔膜を含んでもよい。また、このパッチは、適当な皮膚接着剤および裏打材料を含有してもよい。
【0104】
本明細書に記載の活性化合物は、インプラントとして提供してもよく、このインプラントは、生体適合性で無毒なポリマー製の、薬剤保持型の器具を含んでよい。適当なポリマーとしては、ヒドロゲル、シリコーン、ポリエチレンおよび生分解性ポリマーを挙げうる。
【0105】
主題発明の化合物は、持続性(すなわち制御性)または徐放性の剤形で投与されてもよい。持続放出性の調製剤は、一旦投与されると、活性成分が対象の体内で徐々に放出され、最低限の期間にわたって所望の薬剤濃度を維持するものである。持続放出製剤の調製は、当業者には周知である。投薬剤形としては、経口剤形、インプラントおよび経皮剤形、関節注射、持続性または徐放性の注射剤を挙げうる。徐放投与のためには、活性成分は、例えば徐放性粒子として分散させるか、またはリポソーム内に入れてもよい。
【0106】
本発明の組成物は、販売用に他の活性作用剤と共に包装してもよく、またはその代わりに、他の活性作用剤をフルピルチンまたはその医薬用の塩、誘導体、相同体もしくは類似体、および場合によりオピオイドなどの鎮痛剤と共に処方してもよい。この組成物は、治療プロトコールの形態の説明書一式と共に販売または提供してもよい。一実施形態では、このプロトコールは、患者の種類または状態の種類または疼痛の種類についての選択過程を包含してもよい。
【0107】
したがって、さらなる態様は、神経細胞興奮抑制剤と組み合わせたNK拮抗剤または薬学的に許容できるその塩、誘導体、相同体もしくは類似体から選択される活性化合物を、単独で、または別の鎮痛剤もしくは活性作用剤と一緒に制御放出するための系であって、
(a)有効量の第一の活性化合物を含み、規定の幾何学的形状を有する堆積コア、および
(b)該堆積コアに施用された支持プラットフォームであって、第二の活性化合物と、
(i)比率が1:9から9:1の範囲である、水または水性液体に接触すると膨潤するポリマー材料およびゲル化性ポリマー材料、および
(ii)膨潤性およびゲル化性の両方を有する単一のポリマー材料
から成る群から選択される少なくとも1種の化合物とを含有し、該支持プラットフォームが該堆積コアの表面を部分的に覆った後、該堆積コアの水和による変化に続いて水性液体中で徐々に可溶化および/または徐々にゲル化するように、該堆積コアに施用された弾性支持体である支持プラットフォーム
を含む系を提供する。
【0108】
本発明で使用する場合、第一の活性物質は、(i)NK拮抗剤または(ii)神経細胞興奮抑制剤のうち1つである。第二の活性物質は、上述の(i)または(ii)であってよい。
【0109】
別の態様では、NK拮抗剤および神経細胞興奮抑制剤の制御放出のための系であって、
(a)有効量の(1)1種または複数種のNK拮抗剤および(2)神経細胞興奮抑制剤を含み、規定の幾何学的形状を有する堆積コア、および
(b)該堆積コアに施用された支持プラットフォームであって、
(i)比率が1:9から9:1の範囲である、水または水性液体に接触すると膨潤するポリマー材料およびゲル化性ポリマー材料、および
(ii)膨潤性およびゲル化性の両方を有する単一のポリマー材料
から成る群から選択される少なくとも1種の化合物を含み、該支持プラットフォームが該堆積コアの表面を部分的に覆った後、該堆積コアの水和による変化に続いて水性液体中で徐々に可溶化および/または徐々にゲル化するように、該堆積コアに施用された弾性支持体である支持プラットフォーム
を含む系が提供される。
【0110】
さらなる態様は、NK拮抗剤およびナトリウムチャネル遮断剤の制御放出のための系であって、
(a)有効量の(1)1種または複数種のNK拮抗剤および(2)ナトリウムチャネル遮断剤を含み、規定の幾何学的形状を有する堆積コア、および
(b)該堆積コアに施用された支持プラットフォームであって、
(i)比率が1:9から9:1の範囲である、水または水性液体に接触すると膨潤するポリマー材料およびゲル化性ポリマー材料、および
(ii)膨潤性およびゲル化性の両方を有する単一のポリマー材料
から成る群から選択される少なくとも1種の化合物を含み、該支持プラットフォームが該堆積コアの表面を部分的に覆った後、該堆積コアの水和による変化に続いて水性液体中で徐々に可溶化および/または徐々にゲル化するように、該堆積コアに施用された弾性支持体である支持プラットフォーム
を含む系が企図される。
【0111】
またさらなる態様は、NK拮抗剤および局所麻酔剤の制御放出のための系であって、
(a)有効量の(1)1種または複数種のNK拮抗剤および(2)局所麻酔剤を含み、規定の幾何学的形状を有する堆積コア、および
(b)該堆積コアに施用された支持プラットフォームであって、
(i)比率が1:9から9:1の範囲である、水または水性液体に接触すると膨潤するポリマー材料およびゲル化性ポリマー材料、および
(ii)膨潤性およびゲル化性の両方を有する単一のポリマー材料
から成る群から選択される少なくとも1種の化合物を含み、該支持プラットフォームが該堆積コアの表面を部分的に覆った後、該堆積コアの水和による変化に続いて水性液体中で徐々に可溶化および/または徐々にゲル化するように、該堆積コアに施用された弾性支持体である支持プラットフォーム
を含む系を提供する。
【0112】
その上またさらなる態様は、NK拮抗剤およびTRPV1受容体モジュレーターの制御放出のための系であって、
(a)有効量の(1)1種または複数種のNK拮抗剤および(2)TRPV1受容体モジュレーターを含み、規定の幾何学的形状を有する堆積コア、および
(b)該堆積コアに施用された支持プラットフォームであって、
(i)比率が1:9から9:1の範囲である、水または水性液体に接触すると膨潤するポリマー材料およびゲル化性ポリマー材料、および
(ii)膨潤性およびゲル化性の両方を有する単一のポリマー材料
から成る群から選択される少なくとも1種の化合物を含み、該支持プラットフォームが該堆積コアの表面を部分的に覆った後、該堆積コアの水和による変化に続いて水性液体中で徐々に可溶化および/または徐々にゲル化するように、該堆積コアに施用された弾性支持体である支持プラットフォーム
を含む系が企図される。
【0113】
別の態様は、NK拮抗剤およびCB2受容体モジュレーターの制御放出のための系であって、
(a)有効量の(1)1種または複数種のNK拮抗剤および(2)CB2受容体モジュレーターを含み、規定の幾何学的形状を有する堆積コア、および
(b)該堆積コアに施用された支持プラットフォームであって、
(i)比率が1:9から9:1の範囲である、水または水性液体に接触すると膨潤するポリマー材料およびゲル化性ポリマー材料、および
(ii)膨潤性およびゲル化性の両方を有する単一のポリマー材料
から成る群から選択される少なくとも1種の化合物を含み、該支持プラットフォームが該堆積コアの表面を部分的に覆った後、該堆積コアの水和による変化に続いて水性液体中で徐々に可溶化および/または徐々にゲル化するように、該堆積コアに施用された弾性支持体である支持プラットフォーム
を含む系を提供する。
【0114】
この支持プラットフォームは、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどのポリマー、グリセリドなどの可塑剤、ポリビニルピロリドンなどの結合剤、乳糖およびシリカなどの親水性の作用剤、および/またはステアリン酸マグネシウムおよびグリセリドなどの疎水性の作用剤を含んでよい。このポリマー(複数も)は、典型的には、支持プラットフォームの30から90重量%、例えば約35から40%を占める。可塑剤は、支持プラットフォームの少なくとも2重量%、例えば約15から20%を占めてよい。結合剤(複数も)、親水性の作用剤(複数も)および疎水性の作用剤(複数も)は、典型的には、支持プラットフォームの最大約50重量%、例えば約40から50%になる。
【0115】
錠剤コーティングは、1種または複数種の水に溶けないまたはあまり溶けない疎水性の賦形剤を含有してよい。このような賦形剤は、アルキルセルロース、例えばエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、およびその誘導体、ポリメタクリルポリマー、ポリビニルアセテートおよびセルロースアセテートのポリマー、脂肪酸またはそのエステルまたは塩、長鎖脂肪アルコール、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ステアリン酸ポリオキシエチレン、糖エステル、ラウロイルマクロゴル-32グリセリル、ステアロイルマクロゴル-32グリセリルなどを含めた公知の疎水性のセルロース誘導体およびポリマーのいずれかから選択してよい。ヒドロキシプロピルメチルセルロース材料は、好ましくは、E型のメトセル、およびUSPでの規定による29〜10型などといった低分子量および低粘度の材料から選択される。
【0116】
コーティングに疎水性を賦与する他の作用剤または賦形剤は、錠剤用賦形剤としての用途で知られる任意の蝋様物質から選択してよい。好ましくは、それらのHLB値は5未満、より好ましくは約2である。適当な疎水性の作用剤としては、カルナバ蝋、パラフィン、微結晶蝋、蜜蝋、セチルエステル蝋などの蝋様物質、またはリン酸カルシウム塩、例えば二塩基性リン酸カルシウムなどの非脂肪性の疎水性物質が挙げられる。
【0117】
このコーティングは、リン酸カルシウム塩、ベヘン酸グリセリル、およびポリビニルピロリドンまたはその混合物、ならびに1種または複数種の補助剤、希釈剤、滑沢剤または充填剤を含有してよい。
【0118】
コーティング中の成分は以下のようなものであってよく、一般に適当な比率量をコーティングの重量比として表してある。
【0119】
ポリビニルピロリドン(ポビドン)は、好ましくはコーティングの約1から25重量%、より詳細には4から12%、例えば6から8%の量で存在する。
【0120】
ベヘン酸グリセリルは、グリセロールとベヘン酸(C22脂肪酸)とのエステルである。ベヘン酸グリセリルは、そのモノエステル、ジエステルもしくはトリエステルの形態、またはその混合物として存在しうる。好ましくは、この物質のHLB値は5未満、より好ましくはおよそ2である。この物質は、コーティングの約5から85重量%、より詳細には10から70重量%、特定の好ましい実施形態では30から50%の量で存在してよい。
【0121】
リン酸カルシウム塩は、二塩基性のリン酸カルシウム二水和物であってよく、コーティングの約10から90重量%、好ましくは20から80%、例えば40から75%の量で存在してよい。
【0122】
このコーティングは、滑沢剤、着色剤、結合剤、希釈剤、流動促進剤および矯味剤または香味剤といった他の一般的な錠剤用賦形剤を含有してよい。
【0123】
賦形剤の例としては、酸化鉄などの着色剤(例えば黄酸化鉄)、ステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤、および二酸化ケイ素などの流動促進剤(例えばコロイド状二酸化ケイ素)が挙げられる。黄酸化鉄は、コーティングに対し約0.01から0.5重量%の量で使用してよく、ステアリン酸マグネシウムは、コーティングの1から20重量%、より好ましくは2から10%、例えば0.5から1.0%の量で存在させてよく、コロイド状シリカは、コーティングの0.1から20重量%、好ましくは1から10%、より好ましくは0.25から1.0%の量で使用してよい。
【0124】
コアは、薬剤物質の他に、速放性製剤において使用され当業者には周知の崩壊剤または複数の崩壊剤の混合物を含む。本発明の実施において有用な崩壊剤は、水性媒体の存在下で気泡を発しおよび/または膨潤し、それによりコーティング材料を機械的に崩壊させるのに必要な力が得られる材料であってよい。
【0125】
コアは、薬剤物質の他に、架橋ポリビニルピロリドンおよびクロスカルメロースナトリウムを含有しうる。
【0126】
以下は、企図されたコア材料の一覧である。量は、コアの重量に対する重量比として表してある。
【0127】
架橋ポリビニルピロリドンについては上述してあるが、崩壊剤として有用であり、コアについて開示した量でコア中に採用しうる。
【0128】
クロスカルメロースナトリウムは、崩壊剤として有用な、内部で架橋したカルボキシメチルセルロースナトリウム(Ac-Di-Solとしても知られる)である。
【0129】
崩壊剤は、コアに対して5から30重量%の量で使用してよい。しかしながら、特定の崩壊剤の量が多いと、崩壊剤が膨潤して薬剤物質の放出を変化させる可能性のあるマトリックスを形成する恐れがある。したがって、とりわけ、遅延時間の後の速やかな放出が求められる場合には、崩壊剤は最大10重量%、例えば約5から10重量%の量で採用されることが好ましい。
【0130】
このコアは、コーティング材料について上述したものなど一般的な錠剤用賦形剤を追加的に含んでよい。適当な賦形剤としては、滑沢剤、希釈剤および充填剤が挙げられ、これには乳糖(例えば一水和物)、酸化鉄、ステアリン酸マグネシウムおよびコロイド状シリカが包含されるが、これらに限定されない。
【0131】
乳糖一水和物は、グルコース部分1つとガラクトース部分1つとから成る二糖である。乳糖一水和物は、本発明の錠剤中で充填剤または希釈剤として作用しうる。この物質は、約10から90%、好ましくは20から80%、特定の好ましい実施形態では65から70%の範囲で存在させてよい。
【0132】
錠剤が適切なコーティング厚を有することを確実にするために、コアはコーティング内に正確に配置しなくてはならない。
【0133】
このようにすることで、遅延時間は信頼性が高く再現性のあるものとなり、対象内および対象間で生体利用性に差が生じることを避けられる。あるバッチの錠剤がコーティングに関して適切な幾何学的性質を有するコアを含有することを確実にするために、ロバスト制御機構を用いると有利である。オペレーターがバッチから無作為なサンプルを取り出してからそれを切り開いてコアの品質(すなわち、コアが損傷していないか、また、コアが正確に配置されているか)を物理的に検査することが必要であることから、制御には手間がかかることがある。さらに、サンプルのうちかなりの数の錠剤が不合格になれば、錠剤のバッチ全部が無駄になる可能性がある。出願人は、酸化鉄などの強い着色剤をコアに添加して、錠剤上に強い光を照射した際にコアが明白にコーティングと対比されるようにすると、コアの位置または完全性におけるいかなる欠陥も、打錠機に隣接して適切に配置されたカメラによって自動的にピックアップされ、錠剤がそこから排出されたときに錠剤を検査することが可能であることを見出している。
【0134】
また別の態様は、(a)1種または複数種のNK拮抗剤および(b)速放性の神経細胞興奮抑制剤を含む組成物を提供する。
【0135】
上に定義したとおりの成分(a)および(b)を含む組成物を、対象に、経口的に、経皮的に、または皮下に投与するステップを含む、対象への組成物の送達方法が提供される。
【0136】
一態様では、麻薬の完全送達および合法使用の患者に対する鎮痛作用を実現する一方、同時に、中毒者が乱用するための薬物の転用、粗悪化または粉化による不正使用の問題を効果的に排除する不正使用防止対応型の麻薬送達系が作製される。本発明の組成物および方法は、医療分野で訓練を受けた人には価値があると同時に、乱用しよう、またはそのような鎮痛剤の乱用で儲けようとする者に対しての価値または有用性は一切ない。
【0137】
本発明の組成物としては、当該組成物の種類を考慮して、詳細に上述した成分に加え、当技術分野で従来用いられている他の作用剤を挙げうることは理解されるべきである。例えば、経口投与に適した作用剤としては、結合剤、甘味剤、糊料、香味剤、崩壊剤、コーティング剤、保存剤、滑沢剤および/または時間遅延剤などのさらなる作用剤を挙げうる。
【0138】
この製剤は、担体、希釈剤および賦形剤を含有してもよい。薬学的に許容できる担体、希釈剤および賦形剤、ならびに医薬組成物および製剤の調製方法についての詳細は、Remmingtons、Pharmaceutical Sciences第18版、1990、Mack Publishing Co.、Easton、Pennsylvania、USAで提供されている。
【0139】
一実施形態では、この活性作用剤は、動物用の組成物中で使用するために提供されてもよい。こうした活性作用剤は、当技術分野で公知の適切な任意の手段によって調製しうる。このような組成物の例としては、
(a)水性および非水性の溶液または懸濁液を含めた水薬、錠剤、巨丸剤、粉末、顆粒、飼料との混合用のペレット、舌に施用するためのペーストなどの経口投与、
(b)滅菌済の溶液もしくは懸濁液としての皮下、関節内、筋肉内もしくは静脈内用の注射または鼻腔内投与などによる非経口投与、
(c)クリーム、軟膏、ゲル、ローションなどの局所施用
に適用させたものが挙げられる。
【0140】
別の実施形態では、この活性作用剤は、経口で、好ましくは錠剤、カプセル、トローチまたは液体の形態で投与される。投与される組成物は、界面活性剤および/または可溶性促進剤を包含してよい。適当な可溶性促進剤はポリエトキシル化した水溶性のカスター油であり、適当な界面活性剤の一例は、Cremophor ELである。NK拮抗剤に適した用量範囲は、例えば、経口で6時間ごとに100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、1100、1200、1300、1400、1500など、100から1500mgである。モルヒネに適した用量範囲は、3から6時間ごとに2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、10、10.5、11、11.5、12、12.5、13、13.5、14、14.5、15、15.5、16、16.5、17、17.5、18、18.5、19、19.5、20など2.5から20mgであり、オキシコドンおよび他のオピオイドについては3から12時間ごとに2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、10、10.5、11、11.5、12、12.5、13、13.5、14、14.5、15、15.5、16、16.5、17、17.5、18、18.5、19、19.5、20、20.5、21、21.5、22、22.5、23、23.5、24、24.5、25、25.5、26、26.5、27、27.5、28、28.5、29、29.5、30、30.5、31、31.5、32、32.5、33、33.5、34、34.5、35、35.5、36、36.5、37、37.5、38、38.5、39、39.5、40、40.5、41、41.5、42、42.5、43、43.5、44、44.5、45、45.5、46、46.5、47、47.5、48、48.5、49、49.5、50ミリグラムなど、時間または体重当り2から50mgである。
【0141】
一態様では、フェンタニルは、100マイクログラム/時間の比率および濃度で投与される。
【0142】
別の態様では、トラマドールは、1時間または体重1kg当り20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100マイクログラムの比率で投与される。
【0143】
関連の一態様では、NSAIDは、1時間または体重1kg当り10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100マイクログラムで投与できる。
【0144】
さらなる態様では、ニューロステロイドは、1時間または体重1kg当り20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100マイクログラムで投与できる。
【0145】
カルシウムチャネル拮抗剤は、1時間または体重1kg当り0.1、1、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、153、154、155、156、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、180、181、182、183、184、185、186、187、188、189、190、191、192、193、194、195、196、197、198、199、200、201、202、203、204、205、206、207、208、209、210、211、212、213、214、215、216、217、218、219、220、221、222、223、224、225、226、227、228、229、230、231、232、233、234、235、236、237、238、239、240、241、242、243、244、245、246、247、248、249、250、251、252、253、254、255、256、257、258、259、260、261、262、263、264、265、266、267、268、269、270、271、272、273、274、275、276、277、278、279、280、281、282、283、284、285、286、287、288、289、290、291、292、293、294、295、296、29
7、298、299、300、301、302、303、304、305、306、307、308、309、310、311、312、313、314、315、316、317、318、319、320、321、322、323、324、325、326、327、328、329、330、331、332、333、334、335、336、337、338、339、340、341、342、343、344、345、346、347、348、349、350、351、352、353、354、355、356、357、358、359、360、361、362、363、364、365、366、367、368、369、370、371、372、373、374、375、376、377、378、379、380、381、382、383、384、385、386、387、388、389、390、391、392、393、394、395、396、397、398、399、400ミリグラムの比率で投与できるが、これらに限定されない。
【0146】
体に、または体内に、または体腔に導入するための、NK拮抗剤を神経細胞興奮抑制剤と組み合わせた持続性または徐放性製剤でコーティングされた機械的器具も提供される。機械的器具の例としては、ステント、カテーテル、義肢、ピン、針、クモ膜下腔内インプラントなどが挙げられる。「クモ膜下腔内インプラント」が指す内容としては、小分子の通過または部分的な通過(栄養分および薬剤は受け入れ、細胞代謝産物は通過させないなど)を許容する半透膜を含む円筒状繊維または器具にあたるものが挙げられる。このインプラントは、有用なサイトカインおよび他の代謝物を外部に分泌する遺伝子改変細胞または培養細胞(幹細胞を包含する)を含有してもよい。このインプラントは、数日間、数週間、数ヶ月、またはさらには数年間、分子を放出するように(または細胞の副産物を取り込むように)設計してもよい。
【0147】
ステントは、例えば、典型的には管腔、内表面および外表面、ならびに外表面から内表面に達する開口部を有する。本発明は、ステントの表面をコーティングする方法にも及ぶ。ステントの少なくとも一部は、ステントの表面に堆積させた、コーティング材料を含有するコーティング溶液と接触させて設置する。繊維をステントの管腔を通して挿入すると、ステントと繊維との間で相対運動が生じ、開口部内のコーティング材料が相当除去される。
【0148】
この繊維の直径は、管腔の直径より相当小さくてよい。この繊維は、ステントをコーティング溶液に接触させた後またはその前のいずれかに、管腔を通して挿入できる。ステント-繊維間の相対運動は、ステントをコーティング溶液と接触させる前に生じさせてステントを清掃することができる。この繊維は、フィラメントでも、または複数のワイヤーを有するケーブルでも、いずれであってもよい。この繊維は、金属材料またはポリマー材料で作製できる。
【0149】
このステントは、コーティング溶液中に浸漬させることも、コーティング溶液で噴霧コーティングすることもできる。コーティング材料としては生体適合性ポリマーを挙げうるが、これは医薬として活性のある化合物を有していてもいなくてもいずれでもよい。
【0150】
一実施形態では、相対運動は発振器によって生じさせた振動運動である。この振動を変化させて(大きさおよび/または頻度)ステント上のコーティング溶液の厚さを変えることができる。別の実施形態では、相対運動を起振テーブルによって生じさせる。運動の種類にかかわらず、相対運動は、ステントがコーティング溶液と接触した後または接触している間のいずれかで生じさせることができる。
【0151】
ステント-繊維間の相対運動は、最初にステントを繊維長方向と実質的に平行な水平方向に動かすことと、続いてステントを繊維長方向と実質的に直交する垂直方向に動かすこととを包含できる。水平方向の運動は、反復の間に休止期間を入れながら繰り返すことができる。垂直方向の運動も繰り返すことができ、水平運動と垂直運動とを交互に行うことができる。
【0152】
相対運動を滑らかにするために、繊維を減衰補償器に連結させることができる。この減衰補償器は、繊維を発振器に接続する。一実施形態では、減衰補償器は、繊維に接続された第一および第二のフィラメントを含む。
【0153】
相対運動は、繊維に沿ったステントの運動であってよい。例えば、繊維の第一の末端を第一の支持体に第一の高さで取り付けることができ、繊維の第二の末端を第二の支持体に第二の高さで取り付ける。相対運動は、第一の高さが第二の高さとは異なることによる重力勾配で生じる。さらに、第一および第二の高さの少なくとも一方を連続的に増すか減らすかさせることにより、ステントは、第一および第二の支持体間を往復して動くことができる。このようにして、さまざまなコーティングをステントに施すことができる。
【0154】
相対運動は、繊維に対するステントの回転であってもよい。気体の流れがステントの表面の少なくとも一部に沿って通過して、繊維に対してステントを回転させることができる。この回転は、ステント-繊維間の他の相対運動と同時に生じてもよい。
【0155】
NK拮抗剤および神経細胞興奮抑制剤または薬学的に許容できるその塩、誘導体、相同体もしくは類似体、ならびに場合によりオピオイドおよび/または他の活性作用剤で少なくとも一部が被覆された外表面と、そこから時限送達するためにある量の活性材料がその中に組み込まれている疎水性の弾性材料の共形的なコーティングと、活性材料の時限送達後に非血栓形成性の表面が得られるように共形的なコーティングに結合させた手段とを有する、埋込み可能な医療器具も提供される。
【0156】
一実施形態では、この共形的なコーティングは、疎水性の弾性材料中に、細分化されたある量の生物活性材料を含む。
【0157】
以下の実施例は、例証の目的のみを意図しており、本明細書に記載したような方法、組成物、プロトコールおよび器具の一般性を限定することを意図してはいない。
【実施例1】
【0158】
疼痛治療におけるNK1拮抗剤の使用
実験は、雄のウィスターラット(体重150〜220g)で実施した。生理食塩水(陰性)対照およびガバペンチン(陽性)対照を用い、観察者盲検様式で3系列の実験を実施した。検査は、
1.単独で、また、フルピルチン(神経細胞興奮抑制剤の一例)と組み合わせて投与した、ある範囲の用量のアプレピタント(NK拮抗剤の一例)の鎮静作用を、オープンフィールド行動モニターを用いて試験した。これにより、鎮静作用を引き起こさずに鎮痛効果について試験するためにはどのくらいの用量の薬剤および薬剤の組合せが使用できるかを決定した。
2.単独で、また、フルピルチンと組み合わせて投与した、ある範囲の用量のアプレピタントを、カラギーナンの足底皮下注射により引き起こさせたアロディニア作用を改善する能力について試験した。
3.単独で、また、フルピルチンと組み合わせて投与した、ある範囲の用量のアプレピタントを、ストレプトゾトシンで誘導した糖尿病性神経障害により引き起こさせたアロディニアおよび痛覚過敏を改善する能力について試験した。
の3段階で実施した。
【0159】
オープンフィールド行動モニター
ラットの個体(治療群当りラット数匹)をオープンフィールド行動モニターの中に配置したが、この中のラットの動きは、箱を横切って格子状に照射される赤外線ビームが遮断される頻度および回数により、離れた場所でモニターできた。このモニター内での行動を、各ラットにおいて20分間測定した。これを、(1)生理食塩水の対照注射を受けたラット群、(2)これまでに確認されている鎮静作用をもたらさない最大用量としての50mg/kgのガバペンチン(薬剤陽性対照)の腹腔内投与を受けたラット群、または(3)ある範囲の用量で単独で、また、組み合わせて与えられるアプレピタントおよびフルピルチンの投与を含めたその後の薬理学的介入を受けたラット群において実施した。薬剤または薬剤の組合せによりラットに鎮静作用が生じると、記録される動きは減少した。ラットがオープンフィールドモニターに慣れるようになったため、この試験は各ラットについて1回のみの実験とした。
【0160】
これらの実験結果を表1および2に示す。これらの実験から、アプレピタント単独では、6.25mg/kgを含めその用量までは鎮静作用は引き起こされず、フルピルチン10mg/kgと組み合わせるときは最大3.12mg/kg用量のアプレピタントが鎮静作用を引き起こさずに使用できると結論された。こうした用量は、組み合わせて併用投与する場合のこれらの薬剤の鎮痛効果を検査する続いての実験用の最大用量の限度とした。
【0161】
カラギーナン足炎症
炎症は、受傷後の組織内へのいくつかの物質の放出を伴う。このような物質としては、プロスタグランジン、ブラジキニン、サブスタンスPなどの炎症性ペプチドおよびカルシトニン遺伝子関連ペプチド、ならびにいくつかのサイトカインも挙げられる。カラギーナン足炎症モデルは、カラギーナンの足底皮下注射(150μl当り6mg)によってラットの1本の足に炎症および浮腫を誘導することを伴う。これは、ラットをそっと抑えながら細針および注射器を用いて行う単回の足底皮下注射である。次に、ラットを、フォンフレイ毛による刺激からの逃避反射を用いた侵害受容閾値測定に供した(アロディニアを測定する)。足底皮下注射前のラット群で侵害受容閾値を測定した。この測定は、足底皮下注射後に3時間続けられ、その間に炎症が生じた。その段階では、アロディニアが生じていた。次に、各ラットは、ある用量のアプレピタントもしくはフルピルチン単独の、または両方の薬剤の組合せの、または対照の、腹腔内注射を受けた。次に、これに続く1時間についてのアロディニア侵害受容閾値の測定を使用して、該用量の単独薬剤、薬剤の組合せまたは対照の抗侵害受容効果を評価した。試験薬剤および対照についての用量反応曲線を、各用量での反復測定の平均値±標準誤差としてプロットした。
【0162】
これらの実験結果を図2および3に示す。この試験では、鎮静作用を生じない用量で与えられたフルピルチンまたはアプレピタントはいずれも、これらの化合物を単独で投与した場合は抗侵害受容効果を一切もたらさなかったことが見て取れる。しかしながら、それらを組み合わせて投与した場合、相乗作用が見られた。すなわち、フルピルチン2.5mg/kgをアプレピタント6.25mg/kgと組み合わせると、生理食塩水対照またはガバペンチン対照を上回る顕著な鎮痛効果がもたらされた。ガバペンチンおよびアプレピタントを組み合わせた場合は、鎮痛効果は見られなかった。
【0163】
【表1】

【0164】
【表2】

【実施例2】
【0165】
in vivoモデルにおける化合物スクリーニング
炎症に起因するヒトにおける疼痛のモデルとして使用される動物実験は、ラットにおけるカラギーナン足炎症である。雄のウィスターラットの片方の後足の足蹠内へのカラギーナン足底皮下注射により、3時間かけて後足の炎症および腫脹を引き起こさせる。これにより、足の圧迫による逃避反射の閾値が低下する。熱などの侵害刺激からの足逃避反射の測定(足フリック試験)を用いて、正常なラットの後足およびカラギーナン処置ラットの炎症のある後足における侵害受容閾値を測定するが、別の方法として、目盛りの付いたフォンフレイ毛によって炎症のある足上に加えられた圧迫からの足逃避反射を刺激反応として使用してもよい。これらの結果により実証された要点は、以下のとおりである。
1.ある範囲の用量をラットに与えることにより、まず各薬剤について鎮静作用を伴わない最大用量を決定してから、次にオープンフィールド調査およびロータロッド試験の2試験を用いて鎮静作用を評価する。
2.カラギーナン足炎症を用いて、われわれは、各化合物は単独を使用すると、鎮静作用を伴わない最大量を使用しても抗侵害受容(鎮痛)効果は全くまたは部分的にしかもたらされないことを示す。
3.カラギーナン足炎症を用いて、われわれは、NK1拮抗剤をフルピルチンまたはオピオイドなどの別の化合物と組み合わせてラットに投与すると、いずれかの薬剤が単独投与の場合に鎮静作用を伴わない最大用量で達成できるレベルをはるかに上回る抗侵害受容効果がもたらされることを示す。
4.オープンフィールド行動およびロータロッド試験を用いて、われわれは、上の第3の項目に記載の抗侵害受容効果の向上をもたらす薬剤の組合せは鎮静作用を引き起こさず、したがってこの2つの化合物は、相互作用して疼痛緩和の向上をもたらすが鎮静作用の増加は引き起こさないことが証明されることを示す。
【0166】
方法
覚醒動物における実験的疼痛の調査のための一般的な方法およびガイドラインは、Zimmerman、Pain、16、109〜110頁、1983に記載されていた。実験は、雄のウィスターラット(140〜250g)で実施する。使用する抗侵害受容性の薬剤は全て、腹腔内経路(ip)を通して投与する。実験は、盲検様式、すなわち、この侵害受容試験を実施する者は各動物に投与される薬剤を知らない状態で実施する。侵害受容閾値は、カラギーナンの足底皮下注射により炎症を生じさせたラットの後足における侵害熱、フォンフレイ毛または足圧迫による逃避反射を用いて測定する。動物は複数の実験には使用しない。
【0167】
鎮静作用の評価
抗侵害受容性を試験する前に、各化合物について、鎮静作用を引き起こさない最大用量を決定する。これは、侵害受容試験パラダイムで観察される結果が、実際に抗侵害受容効果によるものであって鎮静作用または不注意によるものではないように行われる。
【0168】
ロータロッド試験
ラットは、この薬剤を投与されたことがなく、以前ロータロッド試験を受けたこともない。30〜60分の中断時間で分けられた1〜2分の訓練セッション2回のために最低速度に設定した加速機能付きロータロッドトレッドミル(7650 accelerator rotarod、Ugo Basile、Italy)上にラットを配置する。この調整期間の後、ビヒクル、薬剤、または薬剤の組合せの腹腔内注射を行う。5分後、1分当り4回転の定速のロータロッド上に動物を配置する。動物がドラムのグリップに足をかけるとトレッドミルの加速モードが選択され、これにより、ドラムの回転速度がその後1分ごとに1分当り20回転の率で直線的に増す。加速期間の開始時点から、ラットがドラムから落下するまでの時間を測定する。これが、各ラットについての対照(処置前)実績時間である。試験の打切り時間または最大実行時間は2分であるが、その理由は、正常で鎮静作用が起きていないラット全てが2分間走行しており、その時点で試験を終了しているためである。この試験を、30〜60分間の各走行の間に10分の中断時間をはさんで各ラットに実施する。これらの値を各薬剤について用量ごとに合わせて、平均値±SEMを計算する。
【0169】
オープンフィールド行動モニター
全領域にわたり格子状に配された赤外線ビームの遮断によって、その中の暗環境下での運動および探索的行動がモニターできる市販のオープンフィールド場(MedAssociates Inc.、St.Albans、Vermont、USA、05478)中でラットを観察する。観察は、薬剤の腹腔内投与の5分後に開始する。全ての場合において、総観察時間は20分である。行動モニターへの慣れを回避するため、動物は、鎮静作用のための本試験では1度の使用とする。休息時間は、赤外線ビームが新たに遮断されずに費やされた時間と定義する。
【0170】
実験の各セットは、マッチング対照を用いて実施する。ビヒクル処置対照のデータを、Tukey Kramerの事後検定を用いた一元分散分析を用いて、薬剤注射後のデータと比較する。この比較により、鎮静作用を引き起こす薬剤用量の決定が可能になる。
【0171】
カラギーナン足底皮下注射による炎症誘導
右の後足の実験的炎症は、生理食塩水中に希釈した2%カラギーナン100μl(Sigma-Aldrich Pty.Ltd.、Australia)の足底皮下注射により誘導する。炎症の誘導には2時間半を見込む(Greizerstein、Subst Alcohol Actions Misuse 4(6)、393〜9頁、1983、Honmuraら、Lasers Surg Med 13(4)、463〜9頁、1993、Mellerら、Neuroscience 60(2)、367〜74頁、1994)。
【0172】
足逃避反射の潜時の測定
Basile Plantar Test(Hargreaves' Method)により、研究者は、無拘束のラットにおいて、薬剤により生じさせた、熱刺激に対する末梢器官を介した反応を見分けることができる。それは基本的には移動可能な赤外線発生器から成り、オペレーターがガラス枠の下でそれを横に動かすが、その上にはPerspex(透明アクリル樹脂)製の囲いが3区画あり、その中にラットがいる。赤外線発生器のドラム中に配置された適当なセンサーを経由して、コントローラーが、動物の足の逃避反射の潜時を0.1秒単位で検出する。
【0173】
足逃避反射閾値は、目盛りの付いたフォンフレイ毛を用いて、異なる圧迫に対して評価することもできるが、逃避反射閾値は、ラットに刺激からその足を引っ込めさせる原因となる、足にかかる最小の力である。
【0174】
侵害受容パラダイム
足逃避反射の潜時または閾値を、カラギーナン注射での炎症誘導前に各個体ラットについて10分ごとに測定し、安定した測定値が3つ得られるまで続ける。2時間半後、炎症が確認されたらすぐに足の閾値を再び測定し、10分間隔で3つの測定値を得る。試験薬剤またはビヒクルを注射してから、続く40〜60分間に10分間隔で、足フリックの潜時または機械的な(フォンフレイ)逃避反射閾値を測定する。このプロトコールを図1に示す。
【0175】
単独で、また、フルピルチン、レチガビン、NSAID'sおよびオピオイドなどの他の化合物と組み合わせて与えられた、鎮静作用を生じない範囲の用量の試験用ニューロキニン拮抗剤化合物について実験を実施するが、全てはビヒクル対照を用いた盲検様式で実施する。
【0176】
当業者には、本明細書に記載の本発明が、具体的に記載したもの以外に変形および改変しやすいものであることが理解されよう。本発明がそのような変形および改変の全てを包含することは理解されるべきである。また、本発明は、本明細書に記載した、または示したステップ、特徴、組成物および化合物の全てを、個々または集合的に、また、前記のステップまたは特徴の任意の2つ以上のありとあらゆる組合せをも包含する。
(参考文献)

【図面の簡単な説明】
【0177】
【図1】本発明の組成物の有効性を試験するために使用した疼痛プロトコールの図解である。
【図2】フォンフレイフィラメントを用いて評価したカラギーナン誘導性アロディニアの改善について、生理食塩水対照およびガバペンチン50mg/kgと比較したアプレピタントの用量反応曲線のグラフである。
【図3】フォンフレイフィラメントを用いて評価したカラギーナン誘導性アロディニアの改善について、生理食塩水対照およびガバペンチン50mg/kgと比較したフルピルチンの用量反応曲線のグラフであり、アプレピタント3.12mg/kgの併用投与の効果を示すものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
哺乳動物において明らかな鎮静作用を誘発せずに炎症性疼痛に対する鎮痛反応を誘発する方法であって、ある量のニューロキニン(NK)拮抗剤を神経細胞興奮抑制剤と組み合わせて哺乳動物に投与するステップを含み、前記組合せが、炎症過程に伴う疼痛のレベルを低下させるか、または前記疼痛の感覚を別の形で改善するうえで有効である方法。
【請求項2】
前記NK拮抗剤がNK1拮抗剤である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記NK1拮抗剤がアプレピタントである、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記神経細胞興奮抑制剤がフルピルチンまたは薬学的に許容できるその塩である、請求項1または2または3に記載の方法。
【請求項5】
前記神経細胞興奮抑制剤がレチガビンまたは薬学的に許容できるその塩である、請求項1または2または3に記載の方法。
【請求項6】
前記神経細胞興奮抑制剤がカリウムチャネル開口剤である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記神経細胞興奮抑制剤がオピオイドであるか、または薬学的に許容できるその塩、誘導体、相同体もしくは類似体である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記神経細胞興奮抑制剤がNMDA拮抗剤である、請求項4に記載の方法。
【請求項9】
前記神経細胞興奮抑制剤がTRPV1受容体モジュレーターである、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
フルピルチンが体重1kg当り約0.25mgから約20mgの量で投与される、請求項4に記載の方法。
【請求項11】
前記哺乳動物がヒトである、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
炎症性疼痛の症状を有する哺乳動物を基準にして哺乳動物を選択するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
炎症性疼痛を有する哺乳動物において鎮痛反応を誘発するための送達系であって、(1)NK拮抗剤、(2)神経細胞興奮抑制剤、および場合により(3)1種または複数種のさらなる活性作用剤の複合製剤または個別製剤を含む送達系。
【請求項14】
前記NK拮抗剤がNK1拮抗剤である、請求項13に記載の送達系。
【請求項15】
前記NK1拮抗剤がアプレピタントである、請求項13または14に記載の送達系。
【請求項16】
前記神経細胞興奮抑制剤がフルピルチンまたは薬学的に許容できるその塩である、請求項13または14または15に記載の送達系。
【請求項17】
前記神経細胞興奮抑制剤がレチガビンまたは薬学的に許容できるその塩である、請求項13または14または15に記載の送達系。
【請求項18】
前記神経細胞興奮抑制剤がカリウムチャネル開口剤である、請求項13に記載の送達系。
【請求項19】
前記神経細胞興奮抑制剤がオピオイドまたは薬学的に許容できるその塩、誘導体、相同体もしくは類似体である、請求項13に記載の送達系。
【請求項20】
前記神経細胞興奮抑制剤がNMDA拮抗剤である、請求項13に記載の送達系。
【請求項21】
前記神経細胞興奮抑制剤がカルシウムチャネル拮抗剤である、請求項13に記載の送達系。
【請求項22】
前記神経細胞興奮抑制剤がNSAIDである、請求項13に記載の送達系。
【請求項23】
前記神経細胞興奮抑制剤がTRPV1受容体モジュレーターである、請求項13に記載の送達系。
【請求項24】
フルピルチンが体重1kg当り約0.25mgから約20mgの量で投与される、請求項16に記載の送達系。
【請求項25】
哺乳動物において明らかな鎮静作用を誘発せずに疾患または生理状態に伴う炎症性疼痛を治療する方法であって、有効量のNK拮抗剤および神経細胞興奮抑制剤を前記哺乳動物に投与するステップを含む方法。
【請求項26】
前記NK拮抗剤がNK1拮抗剤である、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記NK1拮抗剤がアプレピタントである、請求項25または26に記載の方法。
【請求項28】
前記神経細胞興奮抑制剤がフルピルチンまたは薬学的に許容できるその塩である、請求項25または26または27に記載の方法。
【請求項29】
前記神経細胞興奮抑制剤がレチガビンまたは薬学的に許容されるその塩である、請求項25または26または27に記載の方法。
【請求項30】
前記神経細胞興奮抑制剤がカリウムチャネル開口剤である、請求項25に記載の方法。
【請求項31】
前記神経細胞興奮抑制剤がオピオイドまたは薬学的に許容できるその塩、誘導体、相同体もしくは類似体である、請求項25に記載の方法。
【請求項32】
前記神経細胞興奮抑制剤がNMDA拮抗剤である、請求項25に記載の方法。
【請求項33】
前記神経細胞興奮抑制剤がカルシウムチャネル拮抗剤である、請求項25に記載の方法。
【請求項34】
前記神経細胞興奮抑制剤がNSAIDである、請求項25に記載の方法。
【請求項35】
前記神経細胞興奮抑制剤がナトリウムチャネル遮断剤である、請求項25に記載の方法。
【請求項36】
前記神経細胞興奮抑制剤がTRPV1受容体モジュレーターである、請求項25に記載の方法。
【請求項37】
フルピルチンが体重1kg当り約0.25mgから約20mgの量で投与される、請求項28に記載の方法。
【請求項38】
前記疾患が、ざ瘡、アンギナ、関節炎、誤嚥性肺炎、疾患、蓄膿、胃腸炎、炎症、腸インフルエンザ、NEC、壊死性腸炎、骨盤内炎症性疾患、咽頭炎、PID、胸膜炎、咽喉痛、赤み、発赤、咽喉炎、胃インフルエンザおよび尿路感染症、慢性炎症性脱髄性多発神経炎および術後痛および慢性炎症性脱髄性多発根神経炎から選択される、請求項25に記載の方法。
【請求項39】
NK拮抗剤および神経細胞興奮抑制剤または薬学的に許容できるその塩、誘導体、相同体もしくは類似体から選択される活性化合物の制御放出のための系であって、
(a)有効量の第一の活性化合物を含み、規定の幾何学的形状を有する堆積コア、および
(b)前記堆積コアに施用された支持プラットフォームであって、第二の活性化合物と、
(i)比率が1:9から9:1の範囲である、水または水性液体に接触すると膨潤するポリマー材料およびゲル化性ポリマー材料、および
(ii)膨潤性およびゲル化性の両方を有する単一のポリマー
から成る群から選択される少なくとも1種の化合物とを含有し、材料前記支持プラットフォームが前記堆積コアの表面を部分的に覆った後、前記堆積コアの水和による変化に続いて水性液体中で徐々に可溶化および/または徐々にゲル化するように、前記堆積コアに施用された弾性支持体である支持プラットフォーム
を含む系。
【請求項40】
NK拮抗剤および神経細胞興奮抑制剤の制御放出のための系であって、
(a)有効量の(1)NK拮抗剤および(2)神経細胞興奮抑制剤剤形を含む堆積コア、および
(b)前記堆積コアに施用された支持プラットフォームであって、
(i)比率が1:9から9:1の範囲である、水または水性液体に接触すると膨潤するポリマー材料およびゲル化性ポリマー材料、および
(ii)膨潤性およびゲル化性の両方を有する単一のポリマー
から成る群から選択される少なくとも1種の化合物を含み、材料前記支持プラットフォームが前記堆積コアの表面を部分的に覆った後、前記堆積コアの水和による変化に続いて水性液体中で徐々に可溶化および/または徐々にゲル化するように、前記堆積コアに施用された弾性支持体である支持プラットフォーム
を含む系。
【請求項41】
前記支持プラットフォームがヒドロキシプロピルメチルセルロースを含む、請求項39または40に記載の制御放出のための系。
【請求項42】
前記支持プラットフォームが、可塑剤、結合剤、親水性の作用剤および疎水性の作用剤を含む、請求項39または40に記載の制御放出のための系。
【請求項43】
対象の治療の方法であって、炎症性疼痛の症状を基準にして対象を選択するステップと、前記対象にNK拮抗剤および神経細胞興奮抑制剤を投与するステップとを含み、前記治療が明らかな鎮静作用を引き起こさない方法。
【請求項44】
前記対象がヒトである、請求項43に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2009−535364(P2009−535364A)
【公表日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−508049(P2009−508049)
【出願日】平成19年5月3日(2007.5.3)
【国際出願番号】PCT/AU2007/000587
【国際公開番号】WO2007/128056
【国際公開日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【出願人】(506207738)シーエヌエスバイオ ピーティーワイ リミテッド (2)
【Fターム(参考)】