説明

無段変速機の変速制御装置

【課題】運転者の加速要求に対して駆動力が不足してしまうのを防止することができ、運転者の加速要求を満足することができる無段変速機の変速制御装置を提供すること。
【解決手段】アクセル開度と車速に基づいてエンジン3に接続されたCVT2の目標入力回転数NINTを設定し、目標入力回転数NINTにCVT2の実際の入力回転数NINを一致させるように制御し、実際の入力回転数NINが目標入力回転数NINTの上限値に達したときに目標入力回転数NINTを低下させるように変速制御を行うようにしたCVT2の電子制御装置100において、実際の入力回転数NINが目標入力回転数NINTの上限値に達したか否かを判定するとともに、キックダウンスイッチ109がオンになったか否かを判定し、キックダウンスイッチ109がオンになったものと判定したときに、実際の入力回転数NINが目標入力回転数NINTの上限値に達した場合であっても目標入力回転数NINTが低下する変速制御を禁止するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無段変速機の変速制御装置に関し、特に、CVT等の無段変速機の加速性を向上させるようにした無段変速機の変速制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来からベルト式無段変速機(CVT:Continuously Variable Transmission)が知られている。このベルト式無段変速機は、V溝状のプーリ溝を備えた駆動側のプライマリプーリと従動側のセカンダリプーリとにベルトを巻掛け、一方のプーリのプーリ溝の溝幅を拡大すると同時に他方のプーリのプーリ溝の溝幅を狭くすることにより、それぞれのプーリに対するベルトの巻掛け半径(有効径)を連続的に変化させて変速比を無段階に設定するように構成されている。
【0003】
このベルト式無段変速機において伝達されるトルクは、ベルトとプーリとを相互に接触させる方向に作用する荷重に応じたトルクとなるため、ベルトに張力を付与するようにプーリによってベルトを挟み付けている。
【0004】
また、変速は、上述したように、プーリ溝の溝幅を拡大・縮小させることにより行うように構成されており、具体的には、各プーリを固定シーブと可動シーブとによって構成し、可動シーブをその背面側に設けた油圧アクチュエータにより軸線方向に前後動させることにより変速を行うように構成されている。
【0005】
なお、このような無段変速機において、プライマリプーリのプーリ幅が小さく(プーリ径が大きく) セカンダリプーリのプーリ幅が大きく(プーリ径が小さい)、セカンダリプーリの回転数がプライマリプーリの回転数よりも高くなる場合を増速といい、プライマリプーリのプーリ幅が大きく(プーリ径が小さく)セカンダリプーリのプーリ幅が小さく(プーリ径が大きく)、セカンダリプーリの回転数がプライマリプーリの回転数よりも低くなる場合を減速という。
【0006】
このような構成を有す無段変速機の変速制御としては、アクセル開度および車速に基づいてプライマリプーリの目標入力回転数NINTを算出し、この目標入力回転数NINTにプライマリプーリの実際の入力回転数NINを一致させるように変速制御を行い、プライマリプーリの実際の入力回転数がアクセルペダルの踏み込みに応じた目標入力回転数NINTの上限回転数に達すると、目標入力回転数NINTを低下させる、所謂、シフトアップを行うようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−125072号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、このような従来の無段変速機の変速制御装置にあっては、プライマリプーリの実際の入力回転数がアクセルペダルの踏み込みに応じた目標入力回転数NINTの上限回転数に達すると、目標入力回転数NINTを低下させるようにしているため、運転者の加速要求が高い場合に駆動力が不足してしまい、運転者の加速要求を満足することができないという問題があった。
【0008】
本発明は、従来の問題を解決するためになされたもので、運転者の加速要求に対して駆動力が不足してしまうのを防止することができ、運転者の加速要求を満足することができる無段変速機の変速制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る無段変速機の変速制御装置は、(1)車両の運転条件に基づいて内燃機関に接続された無段変速機の目標入力回転数を設定し、前記目標入力回転数に無段変速機の実際の入力回転数を一致させるように制御し、前記実際の入力回転数が前記目標入力回転数の上限値に達したときに前記目標入力回転数を低下させるように変速制御を行うようにした無段変速機の変速制御装置において、前記実際の入力回転数が目標入力回転数の上限値に達したか否かを判定する変速判定手段と、所定値以上の加速要求があるか否かを判定する加速要求判定手段と、前記加速要求検出手段が所定値以上の加速要求であるものと判定したときに、前記実際の入力回転数が前記目標入力回転数の上限値に達した場合であっても前記目標入力回転数が低下する変速制御を禁止する変速制御禁止手段とを備えたものから構成されている。
【0010】
この構成により、運転手の大きな加速要求がある場合に、実際の入力回転数が目標入力回転数の上限値に達した場合であっても、目標入力回転数を下げる変速制御を行わないので、無段変速機の入力回転数、すなわち、内燃機関の回転数が低下するのを防止することができる。このため、運転者の加速要求に対して駆動力不足となるのを防止して、運転者の加速要求を満足させることができる。
【0011】
また、本発明に係る無段変速機の変速制御装置は、(1)において、(2)前記変速制御禁止手段は、前記加速要求検出手段が判定した加速要求が所定値以上から所定値未満になった場合に、車両の運転条件に基づいて前記目標入力回転数を再設定するものから構成されている。
【0012】
この構成により、加速要求が所定値以上の場合の加速制御が終了したときに、車両の運転条件に基づいて目標入力回転数を再設定したので、運転手の加速要求が所定値以上から所定値未満になったときに、目標入力回転数を高くすることができる。
具体的には、例えば、リニア制御中に目標入力回転数が上限値に達して目標入力回転数を下げる毎に “1”ずつカウントアップしてカウントアップ値を記憶するような制御を行う場合には、カウントアップする毎に目標入力回転数が低下することになるため、目標入力回転数が下がり続けてしまうことが考えられる。
本発明では、加速要求が所定値以上の場合の加速制御が終了したときに、車両の運転条件に基づいて目標入力回転数を再設定、すなわち、カウントアップ値をリセットして目標入力回転数を高く設定するようにした。
【0013】
このため、運転手の加速要求が所定値以上から所定値未満になったときに、目標入力回転数がさらに低く設定されてしまうのを防止して、無段変速機の入力回転数が低下し続けてしまうのを防止することができる。
【0014】
また、本発明に係る無段変速機の変速制御装置は、(1)または(2)において、(3)前記変速制御禁止手段は、同一運転条件において、前記加速要求検出手段が判定した加速要求が所定値以上である場合に、前記加速要求が所定値未満である場合に比較して、前記目標入力回転数を高く設定するものから構成されている。
【0015】
この構成により、同一運転条件、例えば、同一車速である場合に所定値以上の加速要求があると、所定値未満の加速要求がある場合に比較して、目標入力回転数を高く設定するので、無段変速機の入力回転数を高くして運転者の加速要求に対して駆動力不足となるのを防止することができ、運転者の加速要求を満足させることができる。
【0016】
また、本発明に係る無段変速機の変速制御装置は、(1)〜(3)において、(4)前記変速制御禁止手段は、前記加速要求検出手段が判定した加速要求が所定値以上から所定値未満になった場合に、一定時間の間は前記目標入力回転数が低下するのを禁止するものから構成されている。
【0017】
この構成により、運転手の加速要求が所定値以上から所定値未満になった場合に、一定時間の間は目標入力回転数が低下するのを禁止したので、加速要求が所定値未満になった直後に目標入力回転数が直ちに低下するのを防止することができる。このため、無段変速機の入力回転数が急激に低下するのを防止して、運転者に違和感を与えるのを防止する。
【0018】
また、本発明に係る無段変速機の変速制御装置は、(1)〜(4)において、(5)前記変速制御禁止手段は、車速が増大するのに比例して、前記目標入力回転数が増大するように変速比を制御するものから構成されている。
【0019】
この構成により、アクセルを踏み込んでから車速の増大に伴って目標入力回転数を増加させるリニアシフト制御を行うことにより、無段変速機の入力回転数を車速の増大に伴って増大させることができる。このため、スムーズな加速を行うことができ、運転性を向上させることができる。
【0020】
また、本発明に係る無段変速機の変速制御装置は、(1)〜(5)において、(6)前記加速要求検出手段は、アクセルペダルの開度が所定開度になったことを検出するキックダウンスイッチを有し、前記キックダウンスイッチがオンしたときに加速要求が前記所定値以上と判定するものから構成されている。
【0021】
この構成により、非常に大きいアクセル操作量を検出することができるキックダウンスイッチがオンになったときに、目標入力回転数が低下する変速制御を禁止するので、非常に大きな運転者の加速要求に対して駆動力不足となるのを防止して、運転者の加速要求を満足させることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明は、運転者の加速要求に対して駆動力が不足してしまうのを防止することができ、運転者の加速要求を満足することができる無段変速機の変速制御装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明に係る無段変速機の変速制御装置の実施の形態について、図面を用いて説明する。
図1〜図7は本発明に係る無段変速機の変速制御装置の一実施の形態を示す図である。
まず、構成を説明する。図1において、車両に設けられたベルト式無段変速機2を含む動力伝達装置1は、例えば、横置き型FF(フロントエンジン・フロントドライブ)駆動車両に好適に採用されるものであり、内燃機関であるエンジン3を備えている。
【0024】
エンジン3の出力は、トルクコンバータ4から前後進切換装置5、ベルト式無段変速機(以下、単にCVTという)2、減速歯車6を介して差動歯車装置7に伝達され、左右の駆動輪8L、8Rに分配されるようになっている。すなわち、CVT2はエンジン3から左右の駆動輪(例えば、前輪)8L、8Rに至る動力伝達経路に設けられている。
【0025】
また、トルクコンバータ4は、エンジン3のクランク軸に連結されたポンプ翼車9pおよびタービン軸10を介して前後進切換装置5に連結されたタービン翼車9tと、一方向クラッチを介して非回転部材に回転可能に支持された固定翼車9sとを備えており、流体を介して動力伝達を行うようになっている。
【0026】
また、ポンプ翼車9pおよびタービン翼車9tの間には、ポンプ翼車9pおよびタービン翼車9tを一体的に連結して相互に一体回転させることができるようにするためのロックアップクラッチ(直結クラッチ)11が設けられている。
【0027】
前後進切換装置5は、ダブルピニオン型の遊星歯車装置から構成されており、トルクコンバータ4のタービン軸10はサンギヤ12sに連結され、CVT2の入力軸13はキャリア12cに連結されている。
【0028】
そして、キャリア12cとサンギヤ12sとの間に配設された前進クラッチ14が係合させられると、前後進切換装置5が一体回転させられてタービン軸10が入力軸13に直結され、前進方向の駆動力が駆動輪8L、8Rに伝達される。
【0029】
また、リングギヤ12rとハウジング15との間に配設された後進ブレーキ16が係合させられるとともに前進クラッチ14が開放されると、入力軸13はタービン軸10に対して逆回転させられ、後進方向の駆動力が駆動輪8L、8Rに伝達される。
【0030】
一方、CVT2は、入力軸13に設けられた有効径が可変のプライマリプーリ17と、出力軸18に設けられた有効径が可変のセカンダリプーリ19と、プライマリプーリ17およびセカンダリプーリ19のそれぞれに形成されたV溝に巻き掛けられた伝動ベルト20とを備えており、動力伝達部材として機能する伝動ベルト20にプライマリプーリ17およびセカンダリプーリ19のV溝の内壁面との間の摩擦力を介して動力伝達が行われるようになっている。
【0031】
具体的には、プライマリプーリ17は互いに対向して対向面によってV溝を形成する可動シーブ17Aと固定シーブ17Bとを備えており、可動シーブ17Aと固定シーブ17BのV溝に伝動ベルト20が巻き掛けられている。
【0032】
また、セカンダリプーリ19は互いに対向して対向面によってV溝を形成する可動シーブ19Aと固定シーブ19Bとを備えており、可動シーブ19Aと固定シーブ19BのV溝に伝動ベルト20が巻き掛けられている。
【0033】
プライマリプーリ17およびセカンダリプーリ19はそれぞれのV溝幅、すなわち伝動ベルト20の掛かり径を変更するための可動シーブ17Aに形成された入力側油圧シリンダ17aおよび可動シーブ19Aに形成された出力側油圧シリンダ19aを備えて構成されており、可動シーブ17Aの入力側油圧シリンダ17aに供給、あるいはそれから排出される作動油の流量が油圧制御回路31(図3参照)内の変速制御弁装置32によって制御されることにより、プライマリプーリ17およびセカンダリプーリ19のV溝幅が変化して伝動ベルト20の掛かり径(有効径) が変更され、変速比γ(=実際の入力回転数NIN/実際の出力回転数NOUT)が連続的に変化させられるようになっている。
【0034】
また、可動シーブ19Aの出力側油圧シリンダ19a内の油圧PBは、セカンダリプーリ19の伝動ベルト20に対する挟圧力および伝動ベルト20の張力にそれぞれ対応するものであって、伝動ベルト20の張力、すなわち、伝動ベルト20のプライマリプーリ17およびセカンダリプーリ19のV溝内壁面に対する押圧力に密接に関係しているので、ベルト張力制御圧、ベルト挟圧力制御圧、ベルト押圧力制御圧とも称され得るものであり、伝動ベルト20が滑りを生じないように、油圧制御回路31内の挟圧力制御弁33により調圧されるようになっている。
【0035】
図2および図3は油圧制御回路31の一例を示す図であり、図2はベルト張力制御圧の調圧作動に関連する回路、図3は変速比制御に関連する回路をそれぞれ示している。図2 において、オイルタンク34に還流した作動油は、エンジン3に直接的に連結されてエンジン3により回転駆動される、例えば、ギヤ式の油圧ポンプ35により圧送され、図示しないライン圧調圧弁によりライン圧PLに調圧された後、リニアソレノイド弁36および挟圧力制御弁33に元圧として供給される。
【0036】
リニアソレノイド弁36は、電子制御装置100(図4参照)から出力される励磁電流で連続的に制御されることにより、油圧ポンプ35から供給された作動油の油圧から、その励磁電流に対応した大きさの制御圧PSを発生させて挟圧力制御弁33に供給する。
【0037】
挟圧力制御弁33は、制御圧PSが高くなるに従って上昇させられる油圧PBを発生させ、可動シーブ19Aの出力側油圧シリンダ19aに供給することにより、伝動ベルト20が滑りを生じない範囲で可及的に伝動ベルト20に対する挟圧力、すなわち、伝動ベルト20の張力を小さくするように動作する。また、油圧PBは、その上昇に伴ってベルト挟圧力、すなわち、プライマリプーリ17およびセカンダリプーリ19と伝動ベルト20との間の摩擦力を増大させる。
【0038】
リニアソレノイド弁36には、カットバック弁37のオン時にカットバック弁37から出力される制御圧PSが供給される油室36aが設けられる一方、カットバック弁37のオフ時には、リニアソレノイド弁36の油室36aへの制御圧PSの供給が遮断されて油室36aが大気に開放されるようになっており、カットバック弁37のオン時にはオフ時よりも制御圧PSの特性が低圧側に切換えられるようになっている。
【0039】
また、カットバック弁37は、トルクコンバータ4のロックアップクラッチ11のオン(係合)時に、図示しない電磁弁から信号圧PONが供給されることによりオンに切換えられるようになっている。
【0040】
図3において、変速制御弁装置32は、ライン圧PLの作動油を専ら可動シーブ17Aの入力側油圧シリンダ17aに供給し、かつその作動油流量を制御することによりアップ方向の変速速度を制御するアップ変速制御弁41および可動シーブ17Aの入力側油圧シリンダ17aから排出される作動油の流量を制御することにより、ダウン方向の変速速度を制御するダウン変速制御弁42から構成されている。
【0041】
アップ変速制御弁41は、ライン圧PLを導くライン油路Lと連通する入力ポート41aを有し、ライン油路Lと入力側油圧シリンダ17aとの間を開閉するスプール弁43と、スプール弁43を閉弁方向に付勢するスプリング44と、アップ側電磁弁45から出力される制御圧を導く制御油室46とを備えている。
【0042】
また、ダウン変速制御弁42は、ドレン油路Dと入力側油圧シリンダ17aとの間を開閉するスプール弁47と、スプール弁47を閉弁方向に付勢するスプリング48と、ダウン側電磁弁49から出力される制御圧を導く制御油室50とを備えている。
【0043】
アップ側電磁弁45およびダウン側電磁弁49は、電子制御装置100によってデューティ駆動されることにより、連続的に変化する制御圧を制御油室46および制御油室50に供給し、CVT2の変速比γをアップ側(変速比の小さくなる側)またはダウン側(変速比の大きくなる側)に連続的に変化させる。
【0044】
また、ダウン変速制御弁42の入力ポート42aには調圧弁51が接続されている。この調圧弁51は、スプリング53によって押圧されているピストン52の正面側に、ライン圧PLが供給される入力ポート54が形成され、かつピストン52の正面側と背面側とに連通した出力ポート55とを有するバルブから構成されており、出力ポート55がダウン変速制御弁42の入力ポート42aに連通されている。
【0045】
また、入力ポート54には開口面積の小さいダブルオリフィス56を介してライン圧PLが供給されている。すなわち、調圧弁51は、ライン圧PLからスプリング53の弾性力を減じた圧力の油圧になるようにライン圧PLを調圧し、この調圧されたライン圧PLが出力ポート55、すなわち、ダウン変速制御弁42の入力ポート42aに生じるように構成されている。
【0046】
図4は、本実施の形態の車両に設けられた電子制御装置100を示している。この電子制御装置100には、シフトレバー操作位置センサ102、アクセル操作量センサ103、エンジン回転数センサ104、スロットルセンサ105、プライマリ回転数センサ106、セカンダリ回転数センサ107、圧力センサ108、キックダウンスイッチ109、タイマ110および挟圧力制御弁33および変速制御弁装置32が接続されている。
【0047】
シフトレバー操作位置センサ102は、車両の室内に設けられたシフトレバー101の操作位置Pshを検出して操作位置Pshに応じた信号を電子制御装置100に出力するようになっている。
【0048】
アクセル操作量センサ103は、アクセルペダル63(図1参照)の開度papを検出して、運転者の加速要求を反映する信号としてアクセル開度papに応じた信号を電子制御装置100に出力するようになっている。
【0049】
エンジン回転数センサ104は、エンジン3の回転数Neを検出してエンジンの回転数Neに応じた信号を電子制御装置100に出力するようになっている。なお、エンジン回転数センサ104はエンジン3のクランクシャフトの回転数を検出する。
【0050】
スロットルセンサ105は、スロットルアクチュエータ61により駆動されるスロットル弁62(図1参照)の開度θthを検出してスロットル開度θthに応じた信号を電子制御装置100に出力するようになっている。
【0051】
プライマリ回転数センサ106は、プライマリプーリ17の入力軸13の実際の回転数を検出することにより、プライマリプーリ17の実際の入力回転数NINに応じた信号を電子制御装置100に出力するようになっている。なお、プライマリプーリ17の実際の入力回転数はエンジン3の回転数と同一回転数である。
【0052】
セカンダリ回転数センサ107は、セカンダリプーリ19の出力軸18の回転数を検出することにより、セカンダリプーリ19の実際の入力回転数NOUTに応じた信号を電子制御装置100に出力するようになっており、電子制御装置100はセカンダリ回転数センサ107の実際の回転数NOUTに基づいて車速を検出するようになっている。
【0053】
圧力センサ108は、可動シーブ19Aの出力側油圧シリンダ19aの内圧、すなわち、実際のベルト挟圧力制御圧を検出して油圧信号PBを電子制御装置100に出力するようになっている。
【0054】
キックダウンスイッチ109は、アクセルペダル63の背面側のフロアに設置されており、アクセルペダル63を大きく踏み込む、例えば、アクセル開度が100%になったときに、オン動作させられてキックダウン信号KDを電子制御装置100に出力する。
【0055】
タイマ110はキックダウンスイッチ109がオフになってからの時間を計時するようになっている。
【0056】
電子制御装置100は、CPU(central processing unit)、ROM(read only memory)RAM(random access memory)、入出力インターフェース等からなるマイクロコンピュータを含んで構成されており、RAMの一時記憶機能を利用しながらROMに予め記憶された変速制御プログラムに従って信号処理を行うことにより、好適な加速感および燃費が得られるようにCVT2の変速制御を実行するようになっている。
【0057】
図5を参照して、CVT2の変速モードの変速マップに基づいて説明する。図5に示す変速マップは、横軸を車速として、縦軸をプライマリプーリ17の目標入力回転数とし、パラメータをアクセル開度としたマップであり、このマップは電子制御装置100のROMに記憶されている。
【0058】
図5に示すように、アクセル開度をパラメータとして、CVT2の変速比が最小の状態(γmin)から最大の状態(γmax)までの範囲に、アクセル開度毎に車速とプライマリプーリ17の目標入力回転数NINT(目標値)との関係が規定される。
【0059】
この変速マップは、アクセル開度と車速とから運転者が必要とする目標エンジン出力を決定し、決定された目標エンジン出力をエンジン3の最適燃費線上で実現できるように決定されたプライマリプーリ17の目標入力回転数NINTであり、アクセル開度が大きくなるに従って変速比が最小の状態から変速比が最大の状態になるように設定されている。
【0060】
CVT2の変速制御においては、アクセル開度や車速の情報に基づいて、最適な変速比と変速速度とを実現できるように、プライマリプーリ17の目標入力回転数NINTが設定される。
【0061】
このとき、プライマリプーリ17の目標入力回転数NINTとプライマリ回転数センサ106から得られる実際の入力回転数NINが一致するように、変速制御弁装置32および挟圧力制御弁33に電子制御装置100から制御信号を出力して、変速比の最適化を図り、プライマリ回転数センサ106から得られる実際の入力回転数NINが目標入力回転数NINTになるように制御する。
【0062】
そして、目標入力回転数NINTの上限値に達したか否かを判定し、プライマリプーリ17の回転数の実際の入力回転数NINが目標入力回転数NINTの上限値に達したものと判定したときに、目標入力回転数NINTを低下させるシフトアップを行う。
【0063】
そして、シフトアップ後の目標入力回転数NINTにプライマリプーリ17の回転数の実際の入力回転数NINが一致するように制御を行い、実際の入力回転数NINが目標入力回転数NINTに一致したものと判定したときに、目標入力回転数NINTを低下させるシフトアップを行い、この制御を繰り返すことにより、車速を連続して増加させるようにする。
また、電子制御回路100は、プライマリプーリ17の回転数の実際の入力回転数NINが目標入力回転数NINTの上限値に達する毎に、目標入力回転数NINTが上限値に達したことを“1”ずつカウントアップしてカウントアップ値の合計をRAMの記憶領域に記憶する。
【0064】
また、目標入力回転数NINTは、シフトアップ後に車速が増大するのに比例して増大するように設定されており、実際の入力回転数NINは目標入力回転数NINTに一致するように回転数が増大するように制御され、エンジン3の回転数が増大するのに比例してプライマリプーリ17の回転数が増大する。
【0065】
また、電子制御装置100は、アクセル操作量センサ103に基づいて運転手の加速要求を判定し、キックダウンスイッチ109からのキックダウン信号KDが入力したときに、運転手が所定値以上の加速要求を行ったものと判定するようになっている。本実施の形態では、電子制御装置100およびキックダウンスイッチ109が加速要求判定手段を構成している。
【0066】
電子制御装置100は、キックダウンスイッチ109からキックダウン信号KDが入力すると、目標入力回転数NINTの上限値(上限回転数)に達した場合であっても、目標入力回転数NINTが低下する変速制御、すなわち、シフトアップを行うのを禁止して目標入力回転数NINTを所定回転数だけ上昇させる補正を行う。
【0067】
また、電子制御装置100は、キックダウン操作が終了してキックダウンスイッチ109がオンからオフになった時点で、図5に示す変速マップに基づいてアクセル開度papと車速から目標入力回転数NINTを再設定するようになっている。また、このときにはRAMの記憶領域に記憶されたカウントアップ値をリセットする。
【0068】
すなわち、電子制御装置100は、シフトアップが行われる毎に低くなるように設定された目標入力回転数NINTをキックダウンスイッチ109がオンになった時点でリセットし、図5に示す変速マップに基づいてアクセル開度papと車速とから運転者が必要とする目標エンジン出力を再度決定し、決定された目標エンジン出力をエンジン3の最適燃費線上で実現できるように決定されたプライマリプーリ17の目標入力回転数NINTを設定する。
【0069】
また、電子制御装置100は、タイマ110からのキックダウン操作が終了してキックダウンスイッチ109がオンからオフになった時点からタイマ110を作動させ、このタイマ110がカウントアップされてこのカウントアップ値が所定時間Tに達するまでは、目標入力回転数NINTが低下するのを禁止し、キックダウンスイッチ109がオフになった直後に変速比がシフトアップして目標入力回転数NINTが低くなるのを禁止している。
【0070】
なお、本実施の形態では、電子制御装置100が変速判定手段および変速制御禁止手段を構成している。また、電子制御装置100は、タイマ110の計時時間をカウントアップし、このカウントアップした時点のカウントアップ値、すなわち、計時時間の合計が所定時間Tになったか否かを判定するようになっている。
【0071】
次に、本実施の形態の変速制御処理を図6に示す減速時のプライマリプーリ17の目標入力回転数と実際の入力回転数の推移を示すタイミングチャートとに基づいて説明する。
本実施の形態では、電子制御装置100のCPUは、ROMに記憶された図5に示す変速マップに基づいてアクセル開度papと車速とから運転者が必要とする目標エンジン出力を決定し、決定された目標エンジン出力をエンジン3の最適燃費線上で実現できるように決定されたプライマリプーリ17の目標入力回転数NINTを設定する。
【0072】
この目標入力回転数NINTは図6のY1、Y2で示すように車速の増大に比例して高くなるように設定されるものであり、アクセルペダル63を踏み込んでからプライマリプーリ17の実際の入力回転数NINが目標入力回転数NINTに一致するように上昇するリニアシフト制御が行われる。
【0073】
そして、実際の入力回転数NINがX1で示すように目標入力回転数NINTの上限値に達した場合に、変速マップに基づいて目標入力回転数NINTを低下させるシフトアップを行う。また、このときにRAMの記憶領域にカウント値を“1”カウントアップする。
【0074】
また、プライマリプーリ17の目標入力回転数NINTが低下する変速制御が行われたときに、目標入力回転数がY2で示すように車速の増大に比例して高くなるように設定されるので、アクセルペダル63を踏み込んでからプライマリプーリ17の実際の入力回転数NINが目標入力回転数NINTに一致するように上昇するリニアシフト制御が行われる。
【0075】
そして、実際の入力回転数NINが目標入力回転数NINTの上限値に達した場合に、目標入力回転数NINTを低下させるシフトアップを行う。また、このときにRAMの記憶領域にカウント値を“1”カウントアップする。本実施の形態では、このような変速比のシフトアップを繰り返し行うことにより、車速を連続して増加させるようにする。
【0076】
本実施の形態では、リニアシフト制御中にキックダウンスイッチ109がオンしたときの変速制御に特徴があり、キックダウンスイッチ109がオンをしたときの変速制御処理を図7のフローチャートに基づいて説明する。なお、図7のフローチャートは、電子制御装置100のROMに格納された変速制御プログラムであり、この変速制御プログラムはCPUによって実行される。
【0077】
まず、電子制御装置100のCPUは、キックダウンスイッチ109がオンしたか否かを判別し(ステップS1)、キックダウンスイッチ109がオンした場合には、シフトアップ補正が実施されるか否かを判別する(ステップS2)。すなわち、実際の入力回転数NINが目標入力回転数NINTの上限値に達したか否かを判別する。
【0078】
ここで、実際の入力回転数NINが目標入力回転数の上限値に達していないものと判断した場合には、すなわち、実際の入力回転数NINが目標入力回転数の上限値に達する前にキックダウンスイッチ109がオンになった場合には、ステップS4に進む。
【0079】
ステップS4では、目標入力回転数NINTを所定回転数上昇させ、実際の入力回転数NINが目標入力回転数NINTに一致するように実際の入力回転数NINの回転数を上昇させる(ステップS5)。
【0080】
また、実際の入力回転数NINが目標入力回転数NINTの上限値に達したものと判断した場合、すなわち、図6のX2に到達したものと判断した場合には、シフトアップを行うのを禁止する。具体的には、本来、シフトアップするのに必要な目標入力回転数の補正量をリセットして(ステップS3)、本来ならば目標入力回転数がYで示すようにシフトアップされてしまうことが禁止される
次いで、目標入力回転数NINTを所定回転数上昇させる(ステップS4)。すなわち、キックダウンスイッチ109がオンした場合には、車両の運転条件が同一、例えば、車速が同一であっても、キックダウンスイッチ109がオンしない場合のY2で示す目標入力回転数NINTに比べてY3で示すように目標入力回転数NINTを高く設定する。
【0081】
次いで、実際の入力回転数NINが目標入力回転数NINTに一致するように実際の入力回転数NINの回転数を上昇させる(ステップS5)。また、ステップS1でキックダウンスイッチ109がオンからオフになったものと判断した場合には、図5に示す変速マップに基づいてプライマリプーリ17の目標入力回転数NINTを再設定する(ステップS6)。
【0082】
すなわち、Y1、Y2で示すように、シフトアップを繰り返すことにより、プライマリプーリ17の入力回転数が低下し続けているため、キックダウンスイッチ109がオンになったことを契機として、キックダウンスイッチ109がオンになる前の目標入力回転数NINTをリセットする。具体的には、RAMの記憶領域に記憶されたカウントアップ値をリセットし、キックダウンスイッチ109がオフになった時点の車速とアクセル開度pap、すなわち、車両の運転条件に基づいて目標入力回転数NINTを再設定する処理を行う。当然のことながら、キックダウンスイッチ109がオフになったときの目標入力回転数NINTは、Y4で示すようにキックダウンスイッチ109がオンになるときの目標入力回転数NINTよりも高くなる。
【0083】
このように、ステップS6では、変速マップに基づいてキックダウンスイッチ109がオフになったときの目標入力回転数NINTをキックダウンスイッチ109がオンになるときの目標入力回転数NINTよりも高く設定する処理を実施するのである。
【0084】
次いで、タイマ110を作動させてタイマ110からの計時情報Tをカウントアップした後(ステップS7)、タイマ110のカウントアップ値が所定時間Tに到達したか否かを判別する(ステップS8)。なお、この所定時間Tは3〜5秒に設定される。
【0085】
タイマ110のカウントアップ値が所定時間Tに達した場合には、実際の入力回転数NINが目標入力回転数NINTの上限値に達したか否かを判別する(ステップS9)。ステップS9でX3で示すように実際の入力回転数NINが目標入力回転数NINTの上限値に達した場合には、図5の変速マップに基づいて現在の目標入力回転数NINTからシフトアップするためのシフトアップ補正量を算出し、目標入力回転数NINTをシフトアップ補正量だけ低下されるシフトアップを行い、実際の入力回転数NINがY5で示す目標入力回転数NINTに一致するまで制御を行う。
【0086】
すなわち、ステップS7〜ステップS9では、キックダウンスイッチ109をオフした後に、所定時間Tの間だけシフトアップを禁止することにより、キックダウンスイッチ109をオフした直後に実際の入力回転数NINが目標入力回転数NINTの上限値に達した場合であっても、キックダウンスイッチ109をオフした直後にシフトアップされてしまうのを防止する処理を実行する。
【0087】
このように本実施の形態では、キックダウンスイッチ109がオンした場合に、実際の入力回転数NINが目標入力回転数NINTの上限値に達した場合であっても、目標入力回転数NINTを下げるシフトアップを行わないので、プライマリプーリ17の入力回転数が低下するのを防止することができる。このため、運転者の加速要求に対して駆動力不足となるのを防止して、運転者の加速要求を満足させることができる。
【0088】
また、本実施の形態では、キックダウンスイッチ109がオンからオフになった場合に、車両の運転条件に基づいて目標入力回転数NINTを再設定するようにしたので、プライマリプーリ17の入力回転数が低下し続けてしまうのを防止することができる。
【0089】
すなわち、キックダウンスイッチ109がオフになった時点で車両の運転条件に基づいて目標入力回転数を再設定、すなわち、カウントアップ値をリセットして目標入力回転数を高く設定することにより、キックダウンスイッチ109がオンからオフになった時点で目標入力回転数NINTがさらに低く設定されてしまうのを防止することができ、プライマリプーリ17の入力回転数が低下し続けてしまうのを防止することができる。
【0090】
また、本実施の形態では、車速が同一のときにキックダウンスイッチ109がオンになった場合に、キックダウンスイッチ109がオフである場合に比較して、目標入力回転数NINT(図6のY3)を高く設定したので、プライマリプーリ17の入力回転数を高くして運転者の加速要求に対して駆動力不足となるのを防止することができ、運転者の加速要求を満足させることができる。
【0091】
また、本実施の形態では、キックダウンスイッチ109がオンからオフになった場合に、所定時間Tの間は目標入力回転数NINTが低下するのを禁止するようにしたので、キックダウンスイッチ109がオフになった直後に目標入力回転数NINTが直ちに低下するのを防止することができる。このため、プライマリプーリ17の入力回転数が急激に低下するのを防止して、運転者に違和感を与えるのを防止する。
【0092】
また、本実施の形態では、アクセルペダル63を踏み込んでから車速の増大に伴って目標入力回転数NINTを増加させるリニアシフト制御を行うことにより、プライマリプーリ17の実際の入力回転数NINを車速の増大に伴って増大させることができる。このため、スムーズな加速を行うことができ、運転性を向上させることができる。
【0093】
また、本実施の形態では、電子制御装置100がアクセルペダル63の開度が所定開度になったことをキックダウンスイッチ109によって検出し、キックダウンスイッチ109がオンしたときに加速要求が所定値以上であるものと判定するので、非常に大きいアクセル操作量を検出することができるキックダウンスイッチ109がオンになったときに、目標入力回転数が低下する変速制御を禁止することができ、非常に大きな運転者の加速要求に対して駆動力不足となるのを防止して、運転者の加速要求を満足させることができる。
【0094】
なお、本実施の形態では、運転者の加速要求を判定する手段として、キックダウンスイッチ109がオンになったときに加速要求と判定するようにしているが、これに限らず、アクセル操作量センサ103によってアクセルペダル63の開度papを検出し、アクセルペダル63の開度papが所定開度、例えば、95%以上になったときに加速要求があったものと判定したり、スロットルセンサ105によってスロットル弁62の開度θthを検出してスロットル弁62が95%以上開放されたときに、加速要求と判定するようにしても良い。
【0095】
また、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であってこの実施の形態に制限されるものではない。本発明の範囲は上記した実施の形態のみの説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【0096】
以上のように、本発明に係る無段変速機の変速制御装置は、運転者の加速要求に対して駆動力が不足してしまうのを防止することができ、運転者の加速要求を満足することができるという効果を有し、CVT等の無段変速機の加速性を向上させるようにした無段変速機の変速制御装置等として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】本発明に係る無段変速機の変速制御装置の一実施の形態を示す図であり、無段変速機を備えた車両用動力伝達装置の概略構成図である。
【図2】本発明に係る無段変速機の変速制御装置の一実施の形態の油圧制御回路を示す図であり、ベルト張力制御に関連する部分を示す図である。
【図3】本発明に係る無段変速機の変速制御装置の一実施の形態の油圧制御回路を示す図であり、変速比制御に関連する部分を示す図である。
【図4】本発明に係る無段変速機の変速制御装置の一実施の形態の回路構成を示す図である。
【図5】本発明に係る無段変速機の変速制御装置の一実施の形態の変速マップを示す図である。
【図6】本発明に係る無段変速機の変速制御装置の一実施の形態の目標入力回転数と実際の入力回転数の推移を示すタイミングチャートである。
【図7】本発明に係る無段変速機の変速制御装置の一実施の形態の変速制御処理のフローチャートを示す図である。
【符号の説明】
【0098】
2 CVT(無段変速機)
3 エンジン(内燃機関)
100 電子制御装置(変速判定手段、変速制御禁止手段)
109 キックダウンスイッチ(加速要求判定手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の運転条件に基づいて内燃機関に接続された無段変速機の目標入力回転数を設定し、前記目標入力回転数に無段変速機の実際の入力回転数を一致させるように制御し、前記実際の入力回転数が前記目標入力回転数の上限値に達したときに前記目標入力回転数を低下させるように変速制御を行うようにした無段変速機の変速制御装置において、
前記実際の入力回転数が前記目標入力回転数の上限値に達したか否かを判定する変速判定手段と、
所定値以上の加速要求があるか否かを判定する加速要求判定手段と、
前記加速要求検出手段が所定値以上の加速要求であるものと判定したときに、前記実際の入力回転数が前記目標入力回転数の上限値に達した場合であっても前記目標入力回転数が低下する変速制御を禁止する変速制御禁止手段とを備えたことを特徴とする無段変速機の変速制御装置。
【請求項2】
前記変速制御禁止手段は、前記加速要求検出手段が判定した加速要求が所定値以上から所定値未満になった場合に、車両の運転条件に基づいて前記目標入力回転数を再設定することを特徴とする請求項1に記載の無段変速機の変速制御装置。
【請求項3】
前記変速制御禁止手段は、同一運転条件において、前記加速要求検出手段が判定した加速要求が所定値以上である場合に、前記加速要求が所定値未満である場合に比較して、前記目標入力回転数を高く設定することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の無段変速機の変速制御装置。
【請求項4】
前記変速制御禁止手段は、前記加速要求検出手段が判定した加速要求が所定値以上から所定値未満になった場合に、一定時間の間は前記目標入力回転数が低下するのを禁止することを特徴とする請求項1〜請求項3の何れか一方に記載の無段変速機の変速制御装置。
【請求項5】
前記変速制御禁止手段は、車速が増大するのに比例して、前記目標入力回転数が増大するように変速比を制御することを特徴とする請求項1〜請求項4の何れか1項に記載の無段変速機の変速制御装置。
【請求項6】
前記加速要求検出手段は、アクセルペダルの開度が所定開度になったことを検出するキックダウンスイッチを有し、前記キックダウンスイッチがオンしたときに加速要求が前記所定値以上と判定することを特徴とする請求項1〜請求項5の何れか1項に記載の無段変速機の変速制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−232393(P2008−232393A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−76655(P2007−76655)
【出願日】平成19年3月23日(2007.3.23)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】