説明

無電解ニッケルめっき用前処理液および無電解ニッケルめっきの前処理方法

【課題】無電解ニッケルめっきの異常析出の発生が充分なレベルまで低減された、無電解ニッケルめっき用前処理液を提供すること。
【解決手段】分子内に硫黄原子を含んだ複素環式化合物と有機溶剤とを含有する無電解ニッケルめっき用前処理液であって、前記複素環式化合物は、その濃度が前記無電解ニッケルめっき用前処理液の全容量基準で0.0005〜3g/Lであり、前記複素環式化合物の濃度をM(g/L)としたときに、前記有機溶剤は、その濃度が前記無電解ニッケルめっき用前処理液の全容量基準で5×M〜5000×MmL/Lである、無電解ニッケルめっき用前処理液。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無電解ニッケル用前処理液および無電解ニッケルめっきの前処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の情報化社会の発展は目覚しく、民生機器ではパソコン、携帯電話などの小型化、軽量化、高性能化、高機能化が進められ、産業用機器としては無線基地局、光通信装置、サーバ、ルータなどのネットワーク関連機器など、大型、小型を問わず、同じように機能の向上が求められている。また、情報伝達量の増加に伴い、年々扱う信号の高周波化が進む傾向にあり、高速処理および高速伝送技術の開発が進められている。実装関係についてみると、CPU、DSPや各種のメモリなどのLSIの高速化、高機能化と共に、新たな高密度実装技術としてシステムオンチップ(SoC)、システムインパッケージ(SiP)などの開発が盛んに行われている。
【0003】
このために、半導体チップ搭載基板やマザーボードも、高周波化、高密度配線化、高機能化に対応するために、ビルドアップ方式の多層配線基板が使用されるようになってきた。電子機器メーカ各社は、製品の小型・薄型・軽量化を実現するために競って高密度実装に取り組み、パッケージの多ピン狭ピッチ化の急速な技術進歩がなされ、プリント配線板への実装は従来のQFP(Quad Flat Package)からエリア表面実装のBGA(Ball Grid Array)やCSP(Chip Scale Package)実装へと進化した。
【0004】
ところで、半導体チップと半導体実装基板の接続方法は金ワイヤボンディングが一般的であり、基板側の端子には金ワイヤの接着層である金めっきが必要である。半導体チップの高速化、高集積化に伴い、基板の配線が微細化し、従来の電気めっきでの導体配線の引き回し等が困難になっている。このため、独立パターンへのめっきが可能な無電解めっきの必要性が高まっている。
【0005】
銅回路へ無電解ニッケル/金めっきを行う場合、無電解ニッケルめっきの前処理工程として銅配線上に金属パラジウムを置換析出させる活性化処理を行った後、無電解ニッケルめっきを施すのが一般的である。しかしながら、そのような活性化処理を経た銅配線に無電解ニッケルめっきを施した場合、銅の配線部のみならず、その周辺の樹脂などの絶縁部にも無電解ニッケルめっきが析出してしまうことがある。この現象は「異常析出」と呼ばれているが、これは配線のショート不良を発生する原因となる。
【0006】
そこで、上述の問題を防止するために、無電解ニッケルめっきの前処理工程の直前に、銅パターンを形成した基材を、チオ硫酸塩を含んだ溶液に浸漬する前処理方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特許第3387507号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
半導体チップの高速化、高集積化に伴い、基板の配線が微細化してきており、表面に比較的薄いめっき層を形成しておき、その上にめっきレジストを形成して、電気めっきで配線を必要な厚さに形成し、めっきレジストを剥離後に、比較的薄いめっき層をソフトエッチングで除去するというセミアディティブ法が使用され始めている。例えば、配線幅/配線間隔(以下、L/Sという。)=35μm/35μmレベルの微細配線を有する製品が量産化されてきている。
【0008】
このような超微細な配線上に無電解ニッケルめっきを施すため、本発明者らは上記特許文献1に記載の前処理方法を用いる無電解めっきの可能性について検討を行ったところ、特許文献1の前処理方法を用いても異常析出の抑制効果が弱く、無電解ニッケルめっきの異常析出が発生し、配線間の絶縁信頼性を十分に確保することが困難であることが判明した。
【0009】
そこで、本発明の目的は、無電解ニッケルめっきの異常析出の発生が充分なレベルまで低減された、無電解ニッケルめっき用前処理液および無電解ニッケルめっきの前処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明は、分子内に硫黄原子を含んだ複素環式化合物と有機溶剤とを含有する無電解ニッケルめっき用前処理液であって、上記複素環式化合物は、その濃度が前記無電解ニッケルめっき用前処理液の全容量基準で0.0005〜3g/Lであり、上記複素環式化合物の濃度をM(g/L)としたときに、上記有機溶剤は、その濃度が前記無電解ニッケルめっき用前処理液の全容量基準で5×M〜5000×MmL/Lである、無電解ニッケルめっき用前処理液を提供する。
【0011】
このような無電解ニッケルめっき用前処理液によれば、無電解ニッケルめっきの異常析出の問題を充分抑制でき、配線の短絡を十分防止しつつ微細パターンを有する銅配線上に無電解ニッケルめっきを施すことが可能となる。
【0012】
上記の有機溶剤濃度においては、分子内に硫黄原子を含んだ複素環式化合物が、2−アミノ−1,3,4−チアジアゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール、2−メルカプトイミダゾール、6−メルカプトプリン、2−メルカプトピリジン、2−メルカプトピリミジン、2−アミノチアゾール、2−アミノ−2−チアゾリン、4−アミノ−2,1,3−ベンゾチアゾール、5−アミノ−2−メルカプトベンゾイミダゾール、4−アミノ−6−メルカプトピラゾール、2,6−メルカプトプリンからなる群より選択される1種類以上の複素環式化合物を用いることが好ましい。
【0013】
このような複素環式化合物を用いた場合には、異常析出が特に有効に防止される。
【0014】
本発明の無電解ニッケルめっき用前処理液においては、分子内に硫黄を含んだ複素環式化合物が、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプト−2−チアゾリン、2−メルカプトベンゾオキサゾール、5−アミノ−1,3,4−チアジアゾール−2−チオール、6−アミノ−2−メルカプトベンゾチアゾール、3−アミノ−5−メルカプト−1,2,4−トリアゾールからなる群より選択される1種類以上の複素環式化合物であり、有機溶剤は、その濃度が前記無電解ニッケルめっき用前処理液の全容量基準で50×M〜5000×MmL/Lであることが好ましい。
【0015】
このような無電解ニッケルめっき用前処理液によれば、無電解ニッケルめっきの異常析出を防止できることに加えて、未析出(スキップ)の問題をも十分なレベルまで低減することが可能となる。
【0016】
本発明の無電解ニッケルめっき用前処理液においては、錯化剤、pH調整剤及び界面活性剤からなる群より選択される1種以上の化合物をさらに含有することが好ましい。
【0017】
このような化合物を含有させることで、異常析出の防止に加えて、銅表面の脱脂や錆の除去を単一の工程で行うことが可能となる。また、上記の無電解ニッケルめっき用前処理液は、銅配線が絶縁樹脂上に形成された配線基板に対して、無電解ニッケルめっき皮膜を付与するための活性化処理である置換パラジウムめっき処理前に用いることができる。
【0018】
また、本発明の無電解ニッケルめっき前処理方法は、無電解ニッケルめっき皮膜を付与するための活性化処理である置換パラジウムめっき処理に先立って、銅配線が絶縁樹脂上に形成された配線基板に、上記の無電解ニッケルめっき用前処理液を接触させる接触工程を備える。
【0019】
この接触工程を実施すれば、無電解ニッケルめっきの異常析出を充分抑制でき、配線の短絡を十分防止しつつ微細パターンを有する銅配線上に無電解ニッケルめっきを施すことが可能となる。
【0020】
また、本発明の無電解ニッケルめっき前処理方法は、無電解ニッケルめっき用前処理液を接触させる接触工程前に、配線基板の絶縁樹脂の表面を、物理的研磨プロセス、ドライプロセス若しくはウエットプロセス又はこれらを組み合わせたプロセスにより除去する除去工程をさらに備えることが好ましい。
【0021】
この工程を行うことによって、銅配線間の絶縁樹脂上の金属残渣を除去することができ、より確実に無電解ニッケルめっきの異常析出が抑制される。
【0022】
本発明はまた、上記の無電解ニッケルめっき用前処理方法によって得ることのできる前処理済み配線基板、並びに、この前処理済み配線基板に無電解めっきを施して得ることのできる配線基板を提供する。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、無電解ニッケルめっきの異常析出の発生を充分防止できる無電解ニッケルめっき用前処理液及び無電解ニッケルめっきの前処理方法を提供することができる。これにより、絶縁信頼性に優れた無電解ニッケルめっき皮膜を確実に形成することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明の無電解ニッケルめっき用前処理液の好適な実施形態について説明する。
【0025】
本発明の無電解ニッケルめっき用前処理液は、分子内に硫黄原子を含んだ複素環式化合物と、有機溶剤とを所定濃度含む。このような無電解ニッケルめっき用前処理液には、錯化剤、pH調整剤及び界面活性剤からなる群より選択される1種以上の化合物をさらに含有させることができる。
【0026】
分子内に硫黄原子を含んだ複素環式化合物としては、2−アミノ−1,3,4−チアジアゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール、2−メルカプトイミダゾール、6−メルカプトプリン、2−メルカプトピリジン、2−メルカプトピリミジン、2−アミノチアゾール、2−アミノ−2−チアゾリン、4−アミノ−2,1,3−ベンゾチアゾール、5−アミノ−2−メルカプトベンゾイミダゾール、4−アミノ−6−メルカプトピラゾール、2,6−メルカプトプリン、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプト−2−チアゾリン、2−メルカプトベンゾオキサゾール、5−アミノ−1,3,4−チアジアゾール−2−チオール、6−アミノ−2−メルカプトベンゾチアゾール、3−アミノ−5−メルカプト−1,2,4−トリアゾールなどを使用することができる。これらの中では、メルカプト基を有する複素環式化合物が好ましい。分子内に硫黄原子を含んだ複素環式化合物は単独で用いても、2種類以上組み合わせて用いてもよい。
【0027】
有機溶剤としては、アセトン、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、n−ブチルアルコールなどのアルコール類、ジ−n−プロピルエーテル、ジ−n−ブチルエーテル、ジアリルエーテルなどのエーテル類、ヘキサン、シクロへキサン、ヘプタン、オクタン、ノナンなどの脂肪族炭化水素、ベンゼン、メチルエチルケトン、シクロヘキサン等のケトン類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、Nメチルピロリドン等のアミド系溶剤、トルエン、フェノールなどの芳香族炭化水素などを用いることができる。なお、上記の有機溶剤に特に限定されず、種々の有機溶媒を用いることができる。これらの溶媒を1種類単独でも、2種類以上組み合わせても用いることができる。
【0028】
分子内に硫黄原子を含んだ複素環式化合物の濃度範囲は、無電解ニッケルめっき用前処理液の全容量基準で0.0005g/L〜3g/Lである。分子内に硫黄原子を含んだ複素環式化合物を含む溶液の濃度が0.0005g/L未満では、異常析出抑制効果が十分でなく、微細配線間の十分な絶縁信頼性を得ることができない。分子内に硫黄原子を含んだ複素環式化合物を含む溶液の濃度が3g/Lを超えると、無電解ニッケルめっき用前処理液が銅回路表面に多く残存するために、置換パラジウム反応による銅へのパラジウムの置換が抑制される。その結果として、無電解ニッケルめっき未析出(スキップ)の問題が生じる。
【0029】
本発明における分子内に硫黄原子を含んだ複素環式化合物の濃度範囲は、無電解ニッケルめっき用前処理液の全容量基準で0.0008g/L〜0.2g/Lがより好ましく、0.001g/L〜0.05g/Lがさらに好ましく、0.003g/L〜0.05g/Lが特に好ましい。このような濃度範囲にすることで、無電解ニッケルめっきの異常析出を、より確実に防止することができる。また、有機溶剤は、水と混合して用いることが好ましい。上記濃度範囲の有機溶剤を水と混合して用いることによって、広い濃度範囲で異常析出の発生を抑制することが可能となる。
【0030】
有機溶剤の濃度範囲は、分子内に硫黄原子を含んだ複素環化合物の濃度をM(g/L)とした場合、無電解ニッケルめっき用前処理液の全容量基準で5×Mml/L〜5000×Mml/Lである。有機溶剤の濃度が5×Mml/L未満では、無電解ニッケルめっきの未析出(スキップ)の発生頻度が高くなる傾向があり、5000×Mml/Lを超えると、異常析出を抑制する効果が弱くなる傾向がある。
【0031】
異常析出をより確実に防止する観点からは、分子内に硫黄原子を含んだ複素環式化合物が、2−アミノ−1,3,4−チアジアゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール、2−メルカプトイミダゾール、6−メルカプトプリン、2−メルカプトピリジン、2−メルカプトピリミジン、2−アミノチアゾール、2−アミノ−2−チアゾリン、4−アミノ−2,1,3−ベンゾチアゾール、5−アミノ−2−メルカプトベンゾイミダゾール、4−アミノ−6−メルカプトピラゾール、2,6−メルカプトプリンである場合は、有機溶剤の濃度は8×Mml/L〜5000×Mml/Lが好ましい。
【0032】
一方、分子内に硫黄原子を含んだ複素環式化合物が2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプト−2−チアゾリン、2−メルカプトベンゾオキサゾール、5−アミノ−1,3,4−チアジアゾール−2−チオール、6−アミノ−2−メルカプトベンゾチアゾール、3−アミノ−5−メルカプト−1,2,4−トリアゾールである場合は、有機溶剤の濃度は、無電解ニッケルめっき用前処理液の全容量基準で50×Mml/L〜5000×Mml/Lとすることが好ましい。有機溶剤の濃度範囲は、無電解ニッケルめっき用前処理液の全容量基準で100×Mml/L〜1500×Mml/Lがより好ましく、200×Mml/L〜1000×Mml/Lが特に好ましい。このような濃度範囲にすることによって、無電解ニッケルめっきの異常析出を防止に加えて、未析出(スキップ)の問題をも十分なレベルまで低減することができる。
【0033】
錯化剤としては、コハク酸、エチレンジアミンテトラ酢酸、エチレンジアミンテトラ酢酸のナトリウム(1−,2−,3−及び4−ナトリウム)塩、エチレンジアミントリ酢酸、ニトロテトラ酢酸及びそのアルカリ塩、グリコン酸、酒石酸、グルコネート、クエン酸、グルコン酸、コハク酸、ピロリン酸、グリコール酸、乳酸、リンゴ酸、マロン酸、トリエタノールアミングルコノ(γ)‐ラクトン等を使用できる。錯化剤として機能するものであればよく、これらの物質に限定されない。また、これらの錯化剤を1種類ないし2種類以上組み合わせて用いることも可能である。
【0034】
酸性のpH調整剤としては、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、酢酸、蟻酸、塩化第二銅、硫酸第二鉄などの鉄化合物、アルカリ金属塩化物、過硫酸アンモニウムなどから選ばれる化合物、またはこれらを組み合わせた水溶液、または、クロム酸、クロム酸−硫酸、クロム酸−フッ酸、重クロム酸、重クロム酸−ホウフッ酸などの酸性の6価クロムを含む水溶液などを使用することができる。アルカリ性のpH調整剤としては、上述した水酸化ナトリウムのほかに、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム等のアルカリ金属やアルカリ土類金属の水酸化物、エチレンジアミン、メチルアミン、2−アミノエタノール等のアミノ基を含有した化合物を一種以上含んだ溶液を使用できる。
【0035】
界面活性剤としては、カチオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン界面活性剤のいずれかまたはそれらの混合物などが使用できる。
【0036】
以下、図面を参照しつつ、無電解ニッケルめっき用前処理方法の実施形態を説明する。なお、図面の説明の理解を容易にするため一部を誇張して描いており、寸法比率は説明のものと必ずしも一致しない。
【0037】
図1は、実施形態に係る無電解ニッケルめっき前処理方法の工程図である。この無電解ニッケルめっき方法は、銅配線が絶縁樹脂上に形成された配線基板を得る配線形成工程S1と、配線基板の絶縁樹脂表面を物理的研磨等により除去する絶縁樹脂表面の除去工程S2と、配線基板を脱脂する脱脂工程S3と、この配線基板に対して無電解ニッケルめっき前処理を施す前処理工程S4と、銅配線表面をエッチングにより清浄化させるエッチング工程S5と、硫酸水溶液に浸漬し銅酸化物やスマットを除去させるスマット除去工程S6と、前処理を施した配線基板の銅配線上に無電解ニッケルめっき皮膜を形成するための置換パラジウムめっき処理を施す置換パラジウムめっき処理工程S7と、置換パラジウムめっき処理を施した銅配線上に無電解ニッケルめっき皮膜を形成する無電解ニッケルめっき処理工程S8を有する。
【0038】
以下、上述の各工程について詳述する。
【0039】
(配線形成工程S1)
配線形成工程S1では、基板上に銅配線が形成される。配線の形成方法としては、コア基板表面または層間絶縁層(ビルドアップ層)上に金属箔を形成し、金属箔の不要な箇所をエッチングで除去する方法(サブトラクト法)がある。
【0040】
コア基板や層間絶縁層(ビルドアップ層)は、絶縁材料からなり、絶縁材料としては、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、またはそれらの混合樹脂が使用できる。またビルドアップ層は熱硬化性の有機絶縁材料を主成分とするのが好ましい。熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、アクリル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、エポキシ樹脂、ポリベンゾイミダゾール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、シリコーン樹脂、シクロペンタジエンから合成した樹脂、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌラートを含む樹脂、芳香族ニトリルから合成した樹脂、3量化芳香族ジシアナミド樹脂、トリアリルトリメタリレートを含む樹脂、フラン樹脂、ケトン樹脂、キシレン樹脂、縮合多環芳香族を含む熱硬化性樹脂、ベンゾシクロブテン樹脂等を用いることができる。熱可塑性樹脂としては、ポリイミド樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、アラミド樹脂、液晶ポリマ等がある。
【0041】
絶縁材料には充填材を添加しても良い。充填材としては、シリカ、タルク、水酸化アルミニウム、ホウ酸アルミニウム、窒化アルミニウム、アルミナ等がある。
【0042】
サブトラクト法では、金属箔の配線となる箇所にエッチングレジストを形成し、エッチングレジストから露出した箇所に、化学エッチング液をスプレー噴霧して、不要な金属箔をエッチング除去して配線を形成する。
【0043】
金属箔として銅箔を用いる場合、エッチングレジストは、通常の配線板に用いることのできるエッチングレジスト材料を使用できる。例えば、レジストインクをシルクスクリーン印刷してエッチングレジストを形成できる。また、エッチングレジスト用ネガ型感光性ドライフィルムを銅箔の上にラミネートして、その上に配線形状に光を透過するフォトマスクを重ね、紫外線で露光し、露光しなかった箇所を現像液で除去してエッチングレジストを形成することができる。
【0044】
化学エッチング液には、塩化第二銅と塩酸の溶液、塩化第二鉄溶液、硫酸と過酸化水素の溶液、過硫酸アンモニウム溶液など、通常の配線板に用いる化学エッチング液を用いることができる。
【0045】
(絶縁樹脂表面の除去工程S2)
絶縁樹脂表面の除去工程S2は、配線基板の銅配線間に存在する残渣を除去することによって、無電解ニッケルめっきの異常析出をより確実に防止するために行われる。銅配線間の絶縁樹脂表面を除去する物理的研磨プロセスとしては、ジェットスクラブがある。ジェットスクラブで用いるアルミナ等の粒子の大きさは、粒子の大きさが配線のスペースよりも大きいと、配線の間に粒子が詰まる問題が発生するため、配線のスペースの広さに応じて決定する必要がある。特に、アルミナ等の粒子の平均直径が、配線のスペースの半分以下であることが好ましい。
【0046】
ジェットスクラブのような物理的研磨によるプロセス等の方法によって除去する銅配線間の絶縁樹脂表面の深さは、0.005μm〜5μmの範囲が好ましい。さらに、0.01μm〜4μmの範囲がより好ましく、0.1μm〜2μmの範囲であることが特に好ましい。0.005μmよりも薄いと配線間樹脂上の金属残渣を取り除くことができずに、異常析出が発生する。一方、5μmよりも深いと、銅配線の下部までエッチングされる場合があり、配線の剥離が起こりやすくなる問題が発生する。
【0047】
(脱脂工程S3)
脱脂工程S3は、無電解ニッケルめっき用前処理液との接触工程の前処理として、溶剤、酸性水溶液またはアルカリ性水溶液を用いて配線表面を清浄化するために行う。脱脂工程S3において清浄化に用いる材料としては、界面活性剤を含んだ酸性水溶液またはアルカリ性水溶液が好ましい。また、清浄化は、アルカリ性水溶液による処理の後に、酸性溶液による処理で行うとよい。
【0048】
(接触工程S4)
無電解ニッケルめっき用前処理液との接触工程S4では、上記の洗浄・脱脂処理工程S3を経て得られる配線基板を、温度25℃で3分間、無電解ニッケルめっき用前処理液に浸漬する。このように無電解ニッケルめっき用前処理液に浸漬する方法が、接触処理の均一性の観点から好ましい。
【0049】
(エッチング工程S5)
エッチング工程S5では、無電解ニッケルめっき用前処理液との接触工程S4を経て得られる配線基板を過硫酸アンモニウム水溶液等の銅を溶解することが可能なエッチング液に浸漬し、銅表面を清浄化させる。
【0050】
(スマット除去工程S6)
スマット除去工程S6では、上記のエッチング工程S5を経て得られる配線基板を硫酸水溶液に浸漬し、銅酸化物やスマットを除去させる。
【0051】
(置換パラジウムめっき処理工程S7)
置換パラジウムめっき処理工程S7では、スマット除去工程S6を経て得られる配線基板をパラジウム化合物含有水溶液に浸漬して、銅配線表面上に、触媒となる金属パラジウム(Pd)を選択的に形成させる。
【0052】
(無電解ニッケルめっき工程S8)
無電解ニッケルめっき処理S8では、置換パラジウムめっき処理工程S7を経て得られる配線板を無電解ニッケルめっき液に浸漬して、銅配線上にのみ選択的に無電解ニッケルめっき皮膜を形成する。無電解ニッケルめっきは、Ni−P、Ni−P−Cu、Ni−B、Ni−P−B−Wなどのニッケル合金や純Niを無電解方法でめっきすることであり、ニッケルを含んでいればよく、合金の種類は特に限定しない。
【0053】
本発明の無電解ニッケルめっき前処理方法は、上記実施形態に限定されず他の実施形態も適用できる。以下、各工程における変形例を説明する。
【0054】
(配線形成工程S1)
配線基板形成工程S1では、前述したサブトラクト法のほか、コア基板表面またはビルドアップ層上に薄い金属層(シード層)を形成し、その後、電解めっきで必要な配線を形成した後、薄い金属層をエッチングで除去する方法(セミアディティブ法)や、コア基板表面またはビルドアップ層上の必要な箇所にのみめっきにより配線を形成する方法(フルアディティブ法)等が挙げられる。
【0055】
セミアディティブ法では、コア基板表面またはビルドアップ層上に、蒸着またはめっきによる方法、あるいは金属箔を貼り合わせる方法によって、シード層を形成する必要がある。
【0056】
蒸着による方法として、スパッタリングがある。シード層として、スパッタリングにより下地金属と薄膜銅層を形成する場合、薄膜銅層を形成するために使用されるスパッタリング装置は、2極スパッタ、3極スパッタ、4極スパッタ、マグネトロンスパッタ、ミラートロンスパッタ等を用いることができる。スパッタに用いるターゲットは、密着を確保するために、例えばCr、Ni、Co、Pd、Zr、Ni/Cr、Ni/Cu等の金属を下地金属として用い、5〜50nmスパッタリングする。その後、銅をターゲットにして200〜500nmスパッタリングしてシード層を形成できる。
【0057】
めっきによる方法としては、コア基板表面またはビルドアップ層上にめっき銅を、0.5〜3μm無電解銅めっきし、形成することができる。
【0058】
金属箔を貼り合わせる方法は、コア基板またはビルドアップ層に接着機能がある場合に、金属箔をプレスやラミネートによって貼り合わせることによりシード層を形成する。
【0059】
なお、薄い金属層を直接貼り合わせるのは非常に困難であるため、厚い金属箔を張り合わせた後にエッチング等により薄くする方法や、キャリア付金属箔を貼り合わせた後にキャリア層を剥離する方法などがある。例えば前者としてはキャリア銅/ニッケル/薄膜銅の三層銅箔があり、キャリア銅をアルカリエッチング液で、ニッケルをニッケルエッチング液で除去し、後者としてはアルミ、銅、絶縁樹脂などをキャリアとしたピーラブル銅箔などが使用でき、5μm以下のシード層を形成できる。また、厚み9〜18μmの銅箔を貼り付け、5μm以下になるように、エッチングにより均一に薄くし、シード層を形成してもかまわない。
【0060】
上記のいずれかの方法で形成されたシード層上に、めっきレジストを必要なパターンに形成し、シード層を介して電解銅めっきにより配線を形成することができる。その後、めっきレジストを剥離し、最後にシード層をエッチング等により除去して、配線が形成できる。
【0061】
フルアディティブ法では、コア基板またはビルドアップ層上の必要な箇所にのみ、めっきを行うことで配線を形成する。この配線形成には、通常のめっきによる配線形成技術を用いることができる。すなわち、コア基板に無電解めっき用触媒を付着させた後、めっきが行われない表面部分にめっきレジストを形成して、無電解めっきを行い配線を形成できる。
【0062】
(絶縁樹脂表面の除去工程S2)
銅配線間の絶縁樹脂表面を除去するプロセスとしては、上述したジェットスクラブ以外の他の物理的研磨プロセス、ドライプロセス、ウェットプロセス等がある。このうち、ドライプロセスの異方性エッチングによる方法が好ましい。また、ドライプロセス、ウェットプロセス、ジェットスクラブ等による物理的研磨によるプロセス等の方法を組み合わせて処理を行うことも可能である。ドライプロセス、ウェットプロセス、ジェットスクラブ等による物理的研磨プロセス等の方法によって除去する銅配線間の絶縁樹脂表面の深さは、0.005μm〜5μmの範囲が好ましい。さらに、0.01μm〜4μmの範囲がより好ましく、0.1μm〜2μmの範囲であることが特に好ましい。0.005μmよりも薄いと配線間樹脂上の金属残渣を取り除くことができずに、異常析出が発生する。一方、5μmよりも深いと、銅配線の下部までエッチングされる場合があり、配線の剥離が起こりやすくなる問題が発生する。
【0063】
<物理的研磨プロセス>
銅回路間の絶縁樹脂表面の除去に用いる物理的研磨プロセスとしては、上述したジェットスクラブの他に、高圧水洗やサンドブラストがある。
【0064】
<ドライプロセス>
銅回路間の絶縁樹脂表面の除去に用いるドライプロセスとしては、プラズマエッチング法、反応性イオンエッチング(RIE)法、反応性イオンビームエッチング(RIBE)法、大気圧プラズマエッチング法であればよい。プラズマエッチング法に用いる装置としては、バレル型、平行平板型、ダウンフロー型装置などがあり、特に限定はしない。反応性イオンエッチング(RIE)法に用いる装置としては、平行平板型、マグネトロン型、2周波型、ECR型、へリコン型、ICP型装置などがあり、特に限定はしない。反応性イオンビームエッチング(RIBE)法に用いる装置としては、ECR型、カウフマン型、ICP型装置などがあり、特に限定はしない。いずれもエッチングガスを適宜選択することが可能で、無機ガス、有機化合物蒸気あるいはこれらの混合物のいずれでも用いることができる。無機ガスとしては、たとえば、He、Ne、Ar、Kr、Xe、N、NO、NO、CO、CO、NH、SO、Cl、フレオンガス(CF、CH、C、C、CHF、CHFなど)、あるいはこれらの混合ガス、およびこれらのガスへOあるいはOを混入した混合ガス等が挙げられる。なかでもArは安定した樹脂表面を得ることができるので、より好ましいガスである。また、有機化合物蒸気は特に限定されるものではないが、例えば、該Arガス中に、適当な蒸気圧になるように適量の有機化合物蒸気を混合することも好ましく用いられる。有機化合物蒸気としては、有機珪素化合物、アクリル酸等の不飽和化合物、有機窒素化合物、有機フッ素化合物、一般有機溶媒などが挙げられるが、本発明に用いられる有機化合物はこれらのものに限定されるものではない。ドライプロセスにより銅回路間の絶縁樹脂表面の除去を行った場合、後処理として水または有機溶媒、さらにはそれらの混合溶液による超音波洗浄もしくは、アルカリ性溶液による洗浄を行うことがより好ましい。
【0065】
<ウエットプロセス>
銅回路間の絶縁樹脂表面を除去するウェットプロセスとして、アルカリ性の溶液あるいは酸化力の大きな酸化剤を含有する溶液さらにはそれらを組み合わせた溶液により処理する方法があげられるが、銅回路間の絶縁樹脂を0.002μm以上エッチングする溶液による処理であればよく、特に限定はしない。アルカリ性の溶液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム等のアルカリ金属やアルカリ土類金属の水酸化物、エチレンジアミン、メチルアミン、2−アミノエタノール等のアミノ基を含有した化合物を少なくとも一種以上含んだ溶液を用いることが可能で、さらに錯化剤を含んだ溶液であることが好ましい。酸化力の大きな酸化剤を含有する溶液としては、過マンガン酸塩、マンガン酸塩、クロム酸、クロム酸塩、重クロム酸塩を少なくとも一種以上含んだ溶液として用いることが可能である。
【0066】
(接触工程S4)
無電解ニッケルめっき用前処理液との接触時間は、用いる複素環化合物や有機溶剤の種類および濃度に応じて適宜変化させることができる。処理温度は、好ましくは10℃〜50℃の範囲、より好ましくは15℃〜40℃の範囲、さらに好ましくは20℃〜30℃の範囲である。このような温度範囲にすることにより、異常析出を抑制し、なおかつ無電解ニッケルめっきのスキップの発生を抑えることができる。
【実施例】
【0067】
以下に本発明を実施例に基づいて詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0068】
(実施例1)
(工程a:配線形成)
銅張り積層板であるMCL−E−679F(日立化成工業株式会社製、商品名)にエッチングレジストを形成し、不要な銅を塩化第二鉄エッチング液を用いてエッチングし、L/S=20μm/40μmの銅回路を形成した。
【0069】
(工程b:脱脂)
上記基板を、30g/Lの水酸化カリウム溶液に50℃で3分間浸漬し、1分間湯洗した後、5分間水洗した。
【0070】
(工程c:脱脂)
次に、硫酸および界面活性剤を主成分とする、脱脂液Z−200(株式会社ワールドメタル製、商品名)に50℃で3分間浸漬し、次いで2分間水洗した。
【0071】
(工程d:無電解ニッケルめっき用前処理液による前処理)
次に、2−アミノ−1,3,4−チアジアゾール(シグマアルドリッチ株式会社製、商品名)の濃度が1g/Lとなるように調整した、10%エタノール水溶液に、30℃で3分間浸漬し、50℃で1分間湯洗した後、5分間水洗した。
【0072】
(工程e:エッチング及びスマット除去)
次に、100g/Lの過硫酸アンモニウム溶液に1分間浸漬し、2分間水洗し、10%の硫酸で1分間浸漬し、2分間水洗した。
【0073】
(工程f:置換パラジウムめっき処理による活性化)
次に、めっき活性化処理液SA−100(日立化成工業株式会社製、商品名)に25℃で5分間、浸漬処理し、次いで2分間水洗した。
(工程g:無電解ニッケルめっき)
【0074】
次に、無電解ニッケルめっき液であるNIPS−100(日立化成工業株式会社製、商品名)に85℃で15分間浸漬処理し、L/S=20μm/40μmの銅回路(微細配線)上に無電解ニッケルめっきを行なった。
【0075】
(実施例2〜12)
実施例1の2−アミノ−1,3,4−チアジアゾールを下記表1に示した分子内に硫黄を含んだ複素環式化合物に変更した以外は実施例1と同様の工程を行った。なお用いた分子内に硫黄を含んだ複素環式化合物はすべてシグマアルドリッチ株式会社製である。
【0076】
(実施例13)
実施例1に示した工程aの次に、反応性イオンエッチング(RIE)法により、銅回路間の絶縁樹脂表面の除去を以下に示した条件で処理し、絶縁樹脂表面を0.5μmエッチング除去した。
装置名:プラズマ洗浄装置(三洋ハイテクノロジー製 SPC−100B)
パワー:600 W
ガスおよび流量:Ar 5 SCCM
処理時間:3 min
上記処理を行った後、実施例1に示した工程b〜gと同様の処理を行った。
【0077】
(実施例14)
実施例1に示した工程aの次に、銅回路間の絶縁樹脂表面の除去処理としてエチレンジアミン1水和物(関東化学株式会社製、商品名)10ml/Lの溶液に50℃で30分間浸漬し、絶縁樹脂表面を0.5μmエッチング除去した後、実施例1に示した工程b〜gと同様の処理を行った。
【0078】
(実施例15)
実施例1に示した工程aの次に、銅回路間の絶縁樹脂表面の除去処理として40%メチルアミン水溶液(関東化学株式会社製、商品名)10ml/Lの溶液に50℃で30分間浸漬し、絶縁樹脂表面を0.5μmエッチング除去した後、50℃で1分間湯洗し、さらに5分間水洗した。次に、実施例1に示した工程b〜gと同様の処理を行った。
【0079】
(実施例16)
実施例1に示した工程aの次に、銅回路間の絶縁樹脂表面の除去処理としてRESIST STRIPPER 9296(富士化学工業株式会社製、商品名)10ml/Lの水溶液に90℃で3分間浸漬し、絶縁樹脂表面を0.5μmエッチング除去した後、50℃で1分間湯洗し、5分間水洗した。次に、実施例1に示した工程b〜gと同様の処理を行った。
【0080】
(実施例17)
実施例1に示した工程aの次に、過マンガン酸塩による酸化力の大きな酸化剤を含有する溶液による銅回路間の絶縁樹脂表面の除去処理を行った。処理には、デスミア処理システム(商品名:サーキュポジット200MLB,シプレイ・ファーイースト株式会社製)を用いて行った。具体的には、膨潤処理としてサーキュポジットMLBコンディショナ211およびサーキュポジットZの混合水溶液(水:70体積%、コンディショナ211:20体積%、サーキュポジットZ:10体積%)により70℃で3分間浸漬処理した。次に除去処理としてサーキュポジットMLBプロモータ213AおよびサーキュポジットMLBプロモータ213Bの混合水溶液(水:75体積%、プロモータ213A:10体積%、プロモータ213B:15体積%)により70℃で3分間浸漬処理した。次に、中和処理としてサーキュポジットMLBニュートラライザ216−4(水:80体積%、ニュートラライザ216−4:20体積%)により40℃で5分間浸漬処理した。処理により、絶縁樹脂表面を0.5μmエッチング除去した。次に、実施例1に示した工程b〜gと同様の処理を行った。
【0081】
(比較例1)
実施例1に示した工程d(無電解ニッケルめっき用前処理液による前処理)を行なわなかった以外は、実施例1と同様の工程を行った。
【0082】
(比較例2)
実施例1に示した工程a〜cと同様の工程を経た後、下記組成の処理液に30℃で3分間浸漬し、50℃で1分間湯洗した後、5分間水洗した。続いて、実施例1に示した工程e〜gと同様の工程行った。
チオ硫酸カリウム(関東化学株式会社製、商品名):50g/L
pH:6pH調整剤:クエン酸ナトリウム(関東化学株式会社製、商品名)
【0083】
(比較例3)
実施例1に示した工程a〜cと同様の工程を経た後、下記組成の処理液に30℃で3分間浸漬し、50℃で1分間湯洗した後、5分間水洗した。続いて、実施例1に示した工程e〜gと同様の工程行った。
チオ硫酸ナトリウム(関東化学株式会社製、商品名):30g/L
pH:9pH調整剤:ピロリン酸カリウム(関東化学株式会社製、商品名)
【0084】
(比較例4)
実施例1に示した工程a〜cと同様の工程を経た後、下記組成の処理液に30℃で3分間浸漬し、50℃で1分間湯洗した後、5分間水洗した。続いて、実施例1に示した工程e〜gと同様の工程行った。
チオ硫酸アンモニウム(関東化学株式会社製、商品名):30g/L
pH:9
pH調整剤:ピロリン酸カリウム(関東化学株式会社製、商品名)
【0085】
(比較例5)
実施例1に示した工程a〜cと同様の工程を経た後、チオシアン酸カリウム(関東化学株式会社製、商品名)の濃度が1g/Lとなるように調整した、10%エタノール水溶液に、30℃で3分間浸漬し、50℃で1分間湯洗した後、5分間水洗した。続いて、実施例1に示した工程e〜gと同様の工程を行った。
【0086】
(比較例6〜9)
比較例5のチオシアン酸カリウムを下記表2に示した化合物に変更した以外は比較例5と同様の工程を行った。なお用いた化合物はすべて関東化学株式会社製である。
【0087】
(無電解ニッケルめっき析出性)
実施例1〜12及び比較例1〜9で処理したL/S=20μm/40μmの微細配線における、無電解ニッケルめっきの析出性を評価した。図2の写真に示したような異常析出の発生の無いものを○、図3の写真に示したような異常析出の発生の有るものを×として評価した。この結果を表1及び表2に示した。なお、実施例13〜17は、すべて○であり、比較例1〜4は、すべて×であった。
【0088】
【表1】



【0089】
【表2】



【0090】
(実施例18)
(工程a’:配線形成)
銅張り積層板としてMCL−E−679F(日立化成工業株式会社製、商品名)を用い、エッチングレジストを形成後、不要な銅を塩化第二鉄エッチング液によりエッチングして金ワイヤボンディング用接続端子(端子幅 : 50μm, 端子長さ : 200μm、スペース : 30μm、導体厚み : 18μm)を得た。図4は、この工程で形成された接続端子部を示す平面図であり、図4に示す接続端子部100は、絶縁樹脂2と絶縁樹脂2上に形成された金ワイヤボンディング用接続端子1とから構成される。
【0091】
(工程b’:ソルダーレジスト形成)
工程a’で得られた銅配線を形成した銅張り積層板にソルダーレジストPSR−4000 AUS5(太陽インキ製造株式会社 商品名)をロールコータで40μm塗布し、乾燥後に露光・現像し、開口部を有する感光性の絶縁樹脂層(ソルダーレジスト層)を形成した。これにより金ワイヤボンディング用接続端子が露出した絶縁樹脂層の開口部を有する配線基板を作製した。図5は、この工程で得られた配線基板の平面図である。図5に示す配線基板110は、絶縁樹脂2上に、金ワイヤボンディング用接続端子1、半導体チップの接続端子4及びこれらを繋ぐ接続配線5からなる配線が形成されており、金ワイヤボンディング用接続端子1部分が開口するように、絶縁樹脂2、半導体チップの接続端子4及び接続配線5上に、ソルダーレジスト層3が形成されている。
【0092】
(工程c’:脱脂)
上記基板を、30g/Lの水酸化カリウム溶液に50℃で3分間浸漬し、1分間湯洗した後、5分間水洗した。
【0093】
(工程d’:脱脂)
次に、硫酸および界面活性剤を主成分とする脱脂液Z−200(株式会社ワールドメタル製、商品名)に50℃で3分間浸漬し、2分間水洗した。
【0094】
(工程e’:無電解ニッケルめっき用前処理液との接触)
次に、2−メルカプトベンゾチアゾールを0.002g/L、アセトンを0.1ml/L含む無電解ニッケルめっき用前処理液に、25℃で3分間浸漬した。その後、50℃で1分間湯洗し、1分間水洗した。
【0095】
(工程f’:エッチング及びスマット除去)
次に、100g/Lの過硫酸アンモニウム溶液に1分間浸漬し、2分間水洗し、10%の硫酸で1分間浸漬し、2分間水洗した。
【0096】
(工程g’:置換パラジウムめっき処理)
次に、めっき活性化処理液であるSA−100(日立化成工業株式会社製、商品名)に25℃で5分間、浸漬処理し、2分間水洗した。
【0097】
(工程h’:無電解ニッケルめっき)
表3は、本実施例で使用した無電解ニッケルめっき液の成分と性状である。この無電解ニッケルめっき液に、置換パラジウムめっき処理を実施した配線基板を、85℃で10分間あるいは20分間浸漬処理することによって、無電解ニッケルめっき皮膜が約2.5μmと、約5μmの2種類のサンプルを作製し、1分間水洗した。
【0098】
【表3】



【0099】
(実施例19〜31)
実施例18の工程e’で用いた無電解ニッケルめっき用前処理液に代えて、表4に記載する実施例19〜31の硫黄原子を含んだ複素環式化合物と有機溶剤を含む無電解ニッケル用前処理液を用いたこと以外は、実施例18で行った工程a’〜h’と同様の工程を行った。
【0100】
(実施例32)
実施例18で実施した工程a’の次に、反応性イオンエッチング(RIE)法により、下記に示した条件で銅回路間の絶縁樹脂表面の除去を実施し、約0.5μmエッチングを行った。
装置名 :プラズマ洗浄装置(三洋ハイテクノロジー製 SPC−100B)
パワー : 600 W
ガスおよび流量 : Ar 5 SCCM
処理時間 : 3 min
上記処理を行った後、実施例18〜31に示した工程b’〜d’と同様の処理を行った。次に、実施例18と同様の組成の無電解ニッケルめっき用前処理液に、25℃で3分間浸漬し、50℃で1分間湯洗した後、1分間水洗した。次に、実施例18で行った工程f’〜h’と同様の工程を行った。
【0101】
(実施例33)
実施例18で行った工程a’の次に、エチレンジアミン1水和物(関東化学株式会社製、商品名)10ml/Lの溶液に50℃で30分間浸漬した後、50℃で5分間湯洗した後、3分間水洗した。次に、実施例18〜31で行った工程b’〜d’と同様の処理を行った。次に、表3に示した実施例18と同様の組成の無電解ニッケルめっき用前処理液に、25℃で3分間浸漬し、50℃で1分間湯洗した後、1分間水洗した。次に、実施例18で行った工程f’〜h’と同様の工程を行った。
【0102】
(実施例34)
実施例18で行った工程a’の次に、40%メチルアミン水溶液(関東化学株式会社製、商品名)10ml/Lの溶液に50℃で30分間浸漬した後、50℃で5分間湯洗した後、3分間水洗した。次に、実施例18〜31で行った工程b’〜d’と同様の処理を行った。次に、表3に示した実施例18と同様の組成の無電解ニッケルめっき用前処理液に、25℃で3分間浸漬し、50℃で1分間湯洗した後、1分間水洗した。次に、実施例18で行った工程f’〜h’と同様の工程を行った。
【0103】
(実施例35)
実施例18で行った工程a’の次に、RESIST STRIPPER 9296(富士化学工業株式会社製、商品名)10ml/Lの水溶液に90℃で3分間浸漬し、50℃で5分間湯洗した後、3分間水洗した。次に、実施例18〜31に示した工程b’〜d’と同様の処理を行った。次に、実施例18と同じ組成の無電解ニッケルめっき用前処理液に、25℃で3分間浸漬し、50℃で1分間湯洗した後、1分間水洗した。次に、実施例18で行った工程f’〜h’と同様の工程を行った。
【0104】
(実施例36)
実施例18で行った工程a’の次に、過マンガン酸塩による酸化力の大きな酸化剤を含有する溶液による処理を行った。処理には、デスミア処理システム(商品名 : サーキュポジット200MLB,シプレイ・ファーイースト株式会社製)を用いて行った。具体的には、膨潤処理としてサーキュポジットMLBコンディショナ211およびサーキュポジットZの混合水溶液(水: 70vol%、コンディショナ211 : 20vol%、サーキュポジットZ : 10vol%)により70℃で3分間浸漬処理した。次に除去処理としてサーキュポジットMLBプロモータ213AおよびサーキュポジットMLBプロモータ213Bの混合水溶液(水: 75vol%、プロモータ213A : 10vol%、プロモータ213B : 15vol%)により70℃で3分間浸漬処理した。次に、中和処理としてサーキュポジットMLBニュートラライザ216−4(水: 80vol%、ニュートラライザ216−4 : 20vol%)により40℃で5分間浸漬処理し、さらに3分間水洗した。次に、実施例18〜31で行った工程b’〜d’と同様の処理を行った。次に、表3に示した実施例18と同様の組成の無電解ニッケルめっき用前処理液に、25℃で3分間浸漬し、50℃で1分間湯洗した後、1分間水洗した。次に、実施例18で行った工程f’〜h’と同様の工程を行った。
【0105】
(実施例37)
実施例18で行った工程a’の次に、ウェットブラスト処理(ジェットスクラブ等による物理的研磨によるプロセス)により、銅回路間の絶縁樹脂表面の除去を下記に示した条件で行い、約0.5μmのエッチング処理をした。
装置名 :PFE−3000T(マコー株式会社製)
圧力 : 0.2MPa
微粒子 : アルミナ#2000(中心粒径 : 約6.7μm)
搬送速度 : 0.5 m/min
上記処理を行った後、実施例18〜31で行った工程b’〜d’と同様の処理を行った。次に、表3に示した実施例18と同様の組成の無電解ニッケルめっき用前処理液に、25℃で3分間浸漬し、50℃で1分間湯洗した後、5分間水洗した。次に、実施例18〜31で行った工程f’と同様の工程を行った。
【0106】
(参考例1)
実施例18の工程e’(無電解ニッケルめっき用前処理液との接触工程)を行わなかったこと以外、実施例18と同様の工程を行った。
【0107】
(参考例2〜31)
実施例18で行った工程a’〜d’と同様の工程を行った後、表5に記載する物質と溶媒からなる無電解ニッケル前処理液に、25℃で3分間浸漬し、50℃で1分間湯洗した後、1分間水洗した。続いて、実施例18に示した工程f’〜h’と同様の工程を行った。
【0108】
(参考例32)
実施例18で行った工程a’〜d’と同様の工程を経た後、下記に示した組成の溶液に、25℃で3分間浸漬し、50℃で1分間湯洗した後、1分間水洗した。続いて、実施例18で行った工程f’〜h’と同様の工程行った。
チオ硫酸ナトリウム(関東化学株式会社製、商品名) : 30g/L
pH : 9
pH調整剤 : ピロリン酸カリウム(関東化学株式会社製、商品名)
【0109】
(参考例33)
実施例32の工程e’(無電解ニッケルめっき用前処理との接触)を行わなかったこと以外、全て実施例32と同様の工程を行った。
【0110】
(参考例34)
実施例33の工程e’(無電解ニッケルめっき用前処理液との接触)を行わなかったこと以外、全て実施例33と同様の処理を行った。
【0111】
(参考例35)
実施例34の工程e’(無電解ニッケルめっき用前処理液との接触)を行わなかったこと以外、全て実施例34と同様の処理を行った。
【0112】
(参考例36)
実施例35の工程e’(無電解ニッケルめっき用前処理液との接触)を行わなかったこと以外、全て実施例35と同様の処理を行った。
【0113】
(参考例37)
実施例36の工程e’(無電解ニッケルめっき用前処理液との接触)を行わなかったこと以外、全て実施例36と同様の処理を行った。
【0114】
(参考例38)
実施例37の工程e’(無電解ニッケルめっき用前処理液との接触)を行わなかったこと以外、全て実施例37と同様の処理を行った。
【0115】
(無電解めっき析出性の評価)
実施例18〜37、参考例1〜38の処理を経て無電解ニッケルめっきを施した配線基板における、無電解ニッケルめっきの異常析出と無電解ニッケルめっきの未析出(スキップ)の発生状況を下記の基準により評価した。なお、評価は無電解ニッケルめっき皮膜の膜厚が2.5μmと5μmのものを個々に行った。
【0116】
(異常析出の評価)
図6は、無電解ニッケルめっきの異常析出の発生が無い接続端子部の平面図である。図6に示す接続端子部120では、絶縁樹脂7上に形成された金ワイヤボンディング用接続端子に相当する部分に、無電解ニッケル皮膜6が形成されている。絶縁樹脂7上には、ニッケルめっきの析出が殆ど見られず、異常析出がないため評価を◎とした。
【0117】
図7は、無電解ニッケルめっき皮膜が、金ワイヤボンディング用接続端子の外周に部分的にはみ出して析出している接続端子部の平面図である。図7に示す接続端子部120では、絶縁樹脂7上に形成された金ワイヤボンディング用接続端子に相当する部分に無電解ニッケル皮膜6が形成されているのみならず、金ワイヤボンディング用接続端子部分から多少はみ出すようにして絶縁樹脂7上に無電解ニッケル皮膜8が形成されている。無電解ニッケル皮膜が部分的にわずかに絶縁樹脂上に析出していることから評価を○とした。
【0118】
図8は、無電解ニッケルめっき皮膜が、端子間の絶縁樹脂表面と、端子の外周全体にはみ出して析出した接続端子部の平面図である。図8に示す接続端子部120では、絶縁樹脂7上に形成された金ワイヤボンディング用接続端子に相当する部分に無電解ニッケル皮膜6が形成されているのみならず、金ワイヤボンディング用接続端子の外周に無電解ニッケル皮膜8が形成され、更には金ワイヤボンディング用接続端子間の絶縁樹脂7上にも無電解ニッケル皮膜9が形成されている。無電解ニッケルめっきの異常析出により、配線間の絶縁信頼性が低下していることから評価を△とした。
【0119】
図9は、無電解ニッケルめっき皮膜が、端子間の絶縁樹脂表面と、端子の外周全体にはみ出して析出し、部分的に短絡している接続端子部の平面図である。図9に示す接続端子部120では、絶縁樹脂7上に形成された金ワイヤボンディング用接続端子に相当する部分に無電解ニッケル皮膜6が形成されているのみならず、金ワイヤボンディング用接続端子の外周に広範囲に無電解ニッケル皮膜8が形成され、外周に形成された無電解ニッケル皮膜8同士はつながって(短絡して)いる。このように、部分的に短絡していることから評価は×とした。
【0120】
図10は、無電解ニッケルめっき皮膜が、端子及び絶縁樹脂全体を覆うように析出し、完全に短絡している接続端子部の平面図である。図10に示す接続端子部120では、絶縁樹脂7上に形成された金ワイヤボンディング用接続端子に相当する部分に無電解ニッケル皮膜6が形成されているのみならず、当該端子が形成されていない絶縁樹脂上に全面に無電解ニッケル皮膜8が形成され、完全に短絡が生じている。金ワイヤボンディング用接続端子が、完全に短絡していることから評価を××とした。
【0121】
上記の判断基準に基づいて、無電解ニッケルめっきの異常析出を調査し、◎および○を良好、△、×および××を不良として評価した。
【0122】
(スキップ有無の評価)
金ワイヤボンディング用接続端子1(端子幅 : 50μm, 端子長さ : 200μm、スペース : 30μm)350箇所全てに無電解ニッケルめっき皮膜が形成されたものを○、1箇所でも形成されないものがあった場合を×とした。
【0123】
無電解ニッケルめっき後の異常析出有無の評価結果とスキップ有無の評価結果を表6及び7に示した。実施例18〜37の結果から、この実施例では配線間における無電解ニッケルめっきの異常析出に加え、無電解ニッケルめっき未析出(スキップ)が防止されることがわかった。
【0124】
【表4】



【0125】
【表5】



【0126】
【表6】



【0127】
【表7】



【図面の簡単な説明】
【0128】
【図1】実施形態に係る無電解ニッケルめっき前処理方法の工程図である。
【図2】無電解ニッケルめっきの析出性が良好な、異常析出の発生がない、L/S=20μm/40μmの微細配線の電子顕微鏡写真である。
【図3】無電解ニッケルめっきの析出性が良好でない、異常析出の発生がある、L/S =20μm/40μmの微細配線の電子顕微鏡写真である。
【図4】接続端子部を示す平面図である。
【図5】ソルダーレジスト層を形成した配線基板の平面図である。
【図6】無電解ニッケルめっきの異常析出の発生が無い接続端子部の平面図である。
【図7】無電解ニッケルめっき皮膜が、金ワイヤボンディング用接続端子の外周に部分的にはみ出して析出している接続端子部の平面図である。
【図8】無電解ニッケルめっき皮膜が、端子間の絶縁樹脂表面と、端子の外周全体にはみ出して析出した接続端子部の平面図である。
【図9】無電解ニッケルめっき皮膜が、端子間の絶縁樹脂表面と、端子の外周全体にはみ出して析出し、部分的に短絡している接続端子部の平面図である。
【図10】無電解ニッケルめっき皮膜が、端子及び絶縁皮膜全体を覆うように析出し、完全に短絡している接続端子部の平面図である。
【符号の説明】
【0129】
1…金ワイヤボンディング用接続端子、2,7…絶縁樹脂、3…ソルダーレジスト層、4…半導体チップの接続端子、5…接続配線、6…金ワイヤボンディング用接続端子に相当する部分に形成された無電解ニッケル皮膜、8…金ワイヤボンディング用接続端子部分から多少はみ出すようにして形成された無電解ニッケル皮膜、9…金ワイヤボンディング用接続端子間の絶縁樹脂上に形成された無電解ニッケル皮膜、100,120…接続端子部、110…配線基板。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
分子内に硫黄原子を含んだ複素環式化合物と有機溶剤とを含有する無電解ニッケルめっき用前処理液であって、
前記複素環式化合物は、その濃度が前記無電解ニッケルめっき用前処理液の全容量基準で0.0005〜3g/Lであり、
前記複素環式化合物の濃度をM(g/L)としたときに、前記有機溶剤は、その濃度が前記無電解ニッケルめっき用前処理液の全容量基準で5×M〜5000×MmL/Lである、無電解ニッケルめっき用前処理液。
【請求項2】
前記分子内に硫黄原子を含んだ複素環式化合物が、2−アミノ−1,3,4−チアジアゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール、2−メルカプトイミダゾール、6−メルカプトプリン、2−メルカプトピリジン、2−メルカプトピリミジン、2−アミノチアゾール、2−アミノ−2−チアゾリン、4−アミノ−2,1,3−ベンゾチアゾール、5−アミノ−2−メルカプトベンゾイミダゾール、4−アミノ−6−メルカプトピラゾール、2,6−メルカプトプリンからなる群より選択される1種類以上の複素環式化合物である、請求項1記載の無電解ニッケルめっき用前処理液。
【請求項3】
前記分子内に硫黄原子を含んだ複素環式化合物が、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプト−2−チアゾリン、2−メルカプトベンゾオキサゾール、5−アミノ−1,3,4−チアジアゾール−2−チオール、6−アミノ−2−メルカプトベンゾチアゾール、3−アミノ−5−メルカプト−1,2,4−トリアゾールからなる群より選択される1種類以上の複素環式化合物であり、
前記有機溶剤は、その濃度が前記無電解ニッケルめっき用前処理液の全容量基準で50×M〜5000×MmL/Lである、請求項1記載の無電解ニッケルめっき用前処理液。
【請求項4】
錯化剤、pH調整剤及び界面活性剤からなる群より選択される1種以上の化合物をさらに含有する請求項1〜3のいずれか一項に記載の無電解ニッケルめっき用前処理液。
【請求項5】
銅配線が絶縁樹脂上に形成された配線基板に対して、無電解ニッケルめっき皮膜を付与するための活性化処理である置換パラジウムめっき処理前に用いられる、請求項1〜4のいずれか一項に記載の無電解ニッケルめっき用前処理液。
【請求項6】
無電解ニッケルめっき皮膜を付与するための活性化処理である置換パラジウムめっき処理に先立って、銅配線が絶縁樹脂上に形成された配線基板に、請求項1〜5のいずれかに記載された無電解ニッケルめっき用前処理液を接触させる接触工程を備える、無電解ニッケルめっき前処理方法。
【請求項7】
前記接触工程前に、前記銅配線間の前記絶縁樹脂表面を、物理的研磨プロセス、ドライプロセス若しくはウエットプロセス又はこれらを組み合わせたプロセスにより除去する除去工程を備える、請求項6記載の無電解ニッケルめっき用前処理方法。
【請求項8】
前記除去工程において、前記絶縁樹脂表面を、前記配線基板の厚さ方向に0.005〜5μm除去する、請求項7記載の無電解ニッケルめっき用前処理方法。
【請求項9】
請求項6〜8のいずれか一項に記載の方法によって得ることのできる、前処理済み配線基板。
【請求項10】
請求項9記載の前処理済み配線基板に無電解めっきを施して得ることのできる配線基板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−316350(P2006−316350A)
【公開日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−111259(P2006−111259)
【出願日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【出願人】(000004455)日立化成工業株式会社 (4,649)
【Fターム(参考)】