説明

焼却システム

【課題】効率的で容易にエネルギーの有効利用および環境保全ができるシステムを提供する。
【解決手段】原料を生成する石油精製施設から廃棄され脱瀝残渣取得手段で取得した脱瀝残渣を燃焼原料として第一バーナー232で炉本体231内の燃焼室で燃焼させ、有機廃棄物取得手段220で乾燥微粉末の形態で取得したバイオマス系燃料を燃焼原料として第二バーナー233で炉本体231内の燃焼室で燃焼する。燃焼ガスとの熱交換で水蒸気を生成させて発電させ送電線へ供給する。エネルギー・素材産業の集積地と民生大消費地とが近接する京葉臨海コンビナートに設置するのみで、エネルギー問題と廃棄物の処理問題との双方を二酸化炭素の排出を削減して容易に解決できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば廃棄物などの資源化によるエネルギーの有効利用および環境保全が得られる焼却システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、二酸化炭素の排出による地球温暖化が懸念されており、地球温暖化防止のために二酸化炭素の排出を削減するため、植物由来のアルコールやバイオマス由来のアルコールを燃料油として利用することが提案されている。すなわち、大気中の二酸化炭素を炭素分として固定する植物などの農林産物やバイオマスを燃料として利用可能ないわゆるバイオアルコールは、大気中の二酸化炭素がネットで増大しないことから、このバイオアルコールあるいはバイオアルコールを用いて生成されるエチル−ターシャリ−ブチル−エーテル(Ethyl Tertiary Butyl Ether:ETBE)を燃料油に混合して利用することが知られている。
しかしながら、生成されるETBEには、原料のエタノールや副産物としてのブタノールなどが混入している。また、アルコールは吸水性が比較的高いことから、混合燃料油として混合するアルコールやETBE中に水分が混合するおそれが比較的高い。このため、バイオアルコールあるいはETBEの輸送経路中において、いわゆるドライコロージョンと称される配管などの腐食やパッキンの膨潤などの不都合が生じるおそれがある。また、自動車などの内燃機関に利用する場合、腐蝕などの不都合を生じないための構成を適用するなどの技術的対策も必要である。これらのように、利用分野における技術的な対策が必要であることから、バイオアルコールあるいはETBEは十分に利用されていないのが現実である。
【0003】
一方、各市町村や自治体などにおいて、下水処理により生じた余剰の活性汚泥の処理やごみ処理が大きな問題となっている。このため、活性汚泥や生ゴミなどを燃料源として利用すべく、いわゆるバイオチップと称される固形燃料に造粒することが実施されてきている。また、各製造業では、二酸化炭素問題や資源問題などにより、製品のリサイクル活動も実施されてきている。
しかしながら、バイオチップは熱量が比較的小さく、発電のためのタービンを動作させるには不十分である。また、バイオチップを発電などに利用するための設備を新たに建設することは、莫大な費用が掛かる。これらのことから、例えば市町村における温水プールなどに利用したり、発電のための石炭炉に一部を混合して利用したりする程度であり、大半は可燃ごみと一緒に焼却処理しているのが実情である。同様に、リサイクルにより回収された資源についても、一部は再利用できずに、タイヤなどのゴムやプラスチックなどの可燃性のものでは一部を炭化して固形燃料として造粒したりするなどにより資源化するものの、資源化のための設備が必要であったり、資源化の処理コストが資源化した燃料から得られるエネルギー分のコストに見合わず、事実上、資源化されずに焼却処理したり、資源化した固形燃料なども焼却処理しているのが実情である。
さらには、焼却処理により廃棄物や固形燃料などの減容にはなるものの、焼却灰などが生じるため、この焼却灰を処理する必要がある。このため、焼却灰の一部を、建材などに再利用したりしているものの、生成する焼却灰の量は安定しておらず、また焼却灰の組成も焼却処理するものに由来するため、建材として利用しにくい焼却灰も生成する。このため、建材メーカとしては、建材として利用できる焼却灰を安定して入手しにくいことから、焼却灰を利用した建材の効率的な製造ができない。したがって、焼却灰についても十分に有効利用されておらず、埋め立て処理しているのが実情であるとともに、埋め立て処理のための敷地の確保についても困難を来している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、石油コンビナートや製造業は、原油や資材の搬入や、精製油や製品の搬出、あるいは輸送などの点で、湾岸沿いに建造されている場合が多い。さらには、石油コンビナートでの精製や、化成品の製造、製造業における製品の製造などでは、多くの電力を必要とすることから、発電所なども隣接して建造されている場合も少なくない。例えば、アジア圏だけでも、日本国における京葉臨海コンビナート、中国における上海、韓国における麗川、シンガポールなど、複数の箇所に認められる。
そして、資材や原料、製品の流通のために、港湾施設や道路交通網、空港なども整備されているとともに、石油精製所や石油化学工場、各種製造業、発電所などの各施設は、燃料油や材料の供給や電力の供給などのために、互いにパイプラインや送電線にて接続されている。
しかしながら、上述したように、新たに設備を建造するための費用や、バイオチップや固形燃料などの製造のための処理や、発電などの資源として利用するための処理、埋め立て処理などの各種制約により、二酸化炭素の排出の削減のためのバイオマスの利用やバイオ燃料、資源の有効活用などは、各企業体毎あるいは同業団体毎などで一部対策されているものの、効率的な二酸化炭素の排出削減や資源の有効活用などが実施できていないのが実情である。
【0005】
本発明は、上述したような点などに鑑みて、効率的で容易にエネルギーの有効利用および環境保全が得られる焼却システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に記載の焼却システムは、内部に燃焼室を有する炉本体と、化石燃料を取得する化石燃料取得手段と、バイオマス系燃料を乾燥粉粒物の形態で取得する有機廃棄物取得手段と、前記化石燃料および前記バイオマス系燃料をそれぞれ個別あるいは2以上を同時に燃焼原料として燃焼させる複数のバーナーと、を具備したことを特徴とする。
この発明では、化石燃料と、乾燥粉粒物として有機廃棄物取得手段で取得したバイオマス系燃料とを、それぞれ個別あるいは2以上を同時に、複数のバーナーで燃焼原料として燃焼させる。
このように、例えば天災などによる被害木や廃材、製材などで生じるおが屑などの木材からの粉砕物である木材粉砕物、汚水処理により生成される余剰の活性汚泥の脱水物や乾燥粉粒物などの活性汚泥の粉粒物、生ゴミなどの可燃ごみの粉粒物など、熱量が比較的少なく、かついわゆるバイオチップと称される固形燃料として処理するのに比較的大きなエネルギーが必要である廃棄物を、例えば、石油精製施設から廃棄物として排出される脱瀝残渣や、常圧蒸留装置から排出される常圧残油あるいは減圧蒸留装置から排出される減圧残油、石炭炉で使用する石炭の粉砕などにより生じた微粉末、石油由来のコークスである石油コークスなどの熱量が比較的高い化石燃料とともに、燃焼させて焼却させる。このため、有効利用できない廃棄物などでも、例えば燃焼させて有効な電気エネルギーを発生させるなどに容易に利用でき、廃棄物を埋め立てるなどの処理も不要なことから埋立地の確保も容易に得られる。
そして、この焼却処理として、それぞれ独立した例えば第一バーナーと第二バーナーとで個別に燃焼させることにより、バーナーの設計が比較的に容易で、容易に製造できるとともに、燃焼制御が容易にできる。また、例えばバイオマス系燃料と化石燃料である石炭や石炭コークスなどの粉粒物とを混合して一つのバーナーで燃焼させることで、バーナーの燃焼原料としての形態が粉粒物で同一であることからバーナーの設計が比較的容易で、容易に製造できるとともに、燃焼制御が容易にできる。
さらには、例えば水蒸気を発生させて水蒸気を熱エネルギーとして利用することもでき、また水蒸気タービンによる発電させる分の熱量も十分に得られるので電気エネルギーとして有効利用できる。特に、日本国で顕著に認められる石油コンビナートなどのようなエネルギーおよび素材産業の集積地と民生大消費地とが近接する地域に設置するのみで、固形燃料として処理するための設備、固形燃料から有効的にエネルギーを発生させるための設備などを各企業や同業団体あるいは市町村などでそれぞれ建設する負荷がなく、現実に有効的に利用されていない廃棄物を資源として有効利用でき、電気エネルギーとして廃棄物の排出元へ供給されることとなり、エネルギーの循環サイクルが容易に構築でき、エネルギー問題と廃棄物の処理問題との双方を二酸化炭素の排出を削減して容易に解決できる。さらには、エネルギーおよび素材産業の集積地であるコンビナートに設置することで、コンビナート周辺の例えば港湾や港湾周辺の整備された鉄道、道路交通網、空港などの輸送経路を利用してバイオマス原料を各地から回収することも容易である。すなわち、コンビナート、特に臨海コンビナートで設置することが好ましい。
【0007】
本発明に記載の焼却システムは、セラミックス粉粒物を所定の温度に加熱しつつ循環させ前記セラミックス粉粒物および燃焼ガスを分離するサイクロンを備えた加熱流動床と、化石燃料を取得する化石燃料取得手段と、バイオマス系燃料を乾燥粉粒物の形態で取得する有機廃棄物取得手段と、前記化石燃料および前記バイオマス系燃料を前記加熱流動床内に投入する燃焼原料投入部と、を具備したことを特徴とする。
この発明では、化石燃料取得手段で取得した化石燃料と、有機廃棄物取得手段で乾燥粉粒物の形態で取得したバイオマス系燃料とを、セラミックス粉粒物を所定の温度に加熱しつつ循環させ前記セラミックス粉粒物および燃焼ガスを分離するサイクロンを備えた加熱流動床内へ燃焼原料投入部にて投入して燃焼させる。
このように、例えば天災などによる被害木や廃材、製材などで生じるおが屑などの木材からの粉砕物である木材粉砕物、汚水処理により生成される余剰の活性汚泥の脱水物や乾燥粉粒物などの活性汚泥の粉粒物、生ゴミなどの可燃ごみの粉粒物など、熱量が比較的少なく、かついわゆるバイオチップと称される固形燃料として処理するのに比較的大きなエネルギーが必要である廃棄物を、例えば、石油精製施設から廃棄物として排出される脱瀝残渣や、常圧蒸留装置から排出される常圧残油あるいは減圧蒸留装置から排出される減圧残油、石炭炉で使用する石炭の粉砕などにより生じた微粉末、石油由来のコークスである石油コークスなどの化石燃料とともに、加熱流動床を用いて燃焼させて焼却できる。このため、有効利用できない廃棄物などでも、例えば燃焼させて有効な電気エネルギーを発生させるなどに容易に利用でき、廃棄物を埋め立てるなどの処理も不要なことから埋立地の確保も容易に得られる。
そして、この焼却処理として、比較的微粉状に造粒しにくいバイオマス系燃料でも粒状や塊状物として投入しても焼却できる加熱流動床で燃焼させて焼却するので、バイオマス系燃料として取得するための廃棄物の処理が容易にできる。
さらには、例えば水蒸気を発生させて水蒸気を熱エネルギーとして利用することもでき、また水蒸気タービンによる発電させる分の熱量も十分に得られるので電気エネルギーとして有効利用できる。特に、日本国で顕著に認められる石油コンビナートなどのようなエネルギーおよび素材産業の集積地と民生大消費地とが近接する地域に設置するのみで、固形燃料として処理するための設備、固形燃料から有効的にエネルギーを発生させるための設備などを各企業や同業団体あるいは市町村などでそれぞれ建設する負荷がなく、現実に有効的に利用されていない廃棄物を資源として有効利用でき、電気エネルギーとして廃棄物の排出元へ供給されることとなり、エネルギーの循環サイクルが容易に構築でき、エネルギー問題と廃棄物の処理問題との双方を二酸化炭素の排出を削減して容易に解決できる。さらには、エネルギーおよび素材産業の集積地であるコンビナートに設置することで、コンビナート周辺の例えば港湾や港湾周辺の整備された鉄道、道路交通網、空港などの輸送経路を利用してバイオマス原料を各地から回収することも容易である。すなわち、コンビナート、特に臨海コンビナートで設置することが好ましい。
【0008】
また、本発明では、前記化石燃料取得手段で取得する化石燃料は、原油を精製する石油精製施設から取得する重質油および微粉炭ならびに石油コークスのうちの少なくともいずれか1つである構成とすることが好ましい。
この発明では、燃焼助剤として利用する化石燃料として、原油を精製する石油精製施設から例えば廃棄される脱瀝残渣や、常圧蒸留装置から排出される常圧残油あるいは減圧蒸留装置から排出される減圧残油などの重質油、微粉炭および石油コークスのうちの少なくともいずれか1つを利用する。
このことにより、石油コンビナートなどから例えば廃棄される廃棄物である脱瀝残渣や、常圧蒸留装置から排出される常圧残油あるいは減圧蒸留装置から排出される減圧残油などの重質油、エネルギー産業や素材産業で利用される石炭を粉砕した微粉炭、石炭を利用するために貯蔵場や粉砕機などにて排出される石炭の微粉末、また石油コンビナートなどから容易に入手される石油由来の石油コークスなどを用いるので、燃焼助剤として入手しやすく、またエネルギー産業や素材産業によっては廃棄物として廃棄されるものを利用することとなり、より良好なエネルギーの循環サイクルが得られる。
特に、微粉炭や石油コークスなどについても、利用のために塊状や粒状などに成形して利用する必要がある微粉末のような廃棄物として排出されるものを対象とすることが好ましい。さらに、廃棄物である脱瀝残渣を用いることで、廃棄物のみを利用して焼却するので、重油や石炭などの化石燃料などの有効利用が得られる。なお、脱瀝残渣と併せて微粉炭や石油コークスを混入した脱瀝残渣を主要成分として燃焼させてもよい。
【0009】
そして、本発明では、前記有機廃棄物取得手段で取得するバイオマス系燃料は、木材粉砕物、汚水処理により生成される余剰の活性汚泥、ゴム系廃棄物、および、可燃ごみのうちの少なくともいずれか1つを含む構成とすることが好ましい。
この発明では、処理が煩雑で比較的大きな処理エネルギーが必要であり現実に有効的に利用されておらず廃棄物として処理されている例えば天災などによる被害木や廃材、製材などで生じるおが屑などの木材からの粉砕物である木材粉砕物、汚水処理により生成される余剰の活性汚泥の脱水物や乾燥粉粒物などの活性汚泥、生ゴミなどの可燃ごみ、金属が混在するタイヤなどのゴム系廃棄物を、バイオマス系燃料として利用する。
このように、バイオマス系燃料がバイオマス由来であることから焼却しても大気中の二酸化炭素がネットで増大しないので、例えば水蒸気を発生させて熱エネルギーとして利用したり、水蒸気にて発電させて電気エネルギーとして利用したりするなど、生成するエネルギーはバイオマス系燃料分がいわゆるクリーンエネルギーとして利用されることとなる。このため、生成されたエネルギーを、例えばエネルギーおよび素材産業の集積地さらには近接する民生大消費地で利用することで、エネルギーの循環サイクルが容易に構築でき、エネルギー問題と廃棄物の処理問題との双方を効率よく解決できる。
【0010】
また、本発明では、前記有機廃棄物取得手段は、プラスチック系廃棄物、バイオエタノール、および、エチル−ターシャリ−ブチル−エーテル(Ethyl Tertiary Butyl Ether)のうちの少なくともいずれか1つ以上を取得し、前記バイオマス系燃料とともに前記焼却炉へ供給する構成とすることが好ましい。
この発明では、例えば民生大消費地などで生じる不燃ごみや素材産業から不良品として再利用できずに廃棄されるプラスチックなどの熱量が比較的高いプラスチック系廃棄物や、熱量が比較的高いものの利用が限られた余剰のバイオエタノールあるいはバイオマス由来のETBEを、バイオマス系燃料と併せて利用する。
このように、比較的熱量が少ないバイオマス系燃料を例えば発電機で発電させるための水蒸気を発生させるために不足する分を、熱量が比較的多いプラスチック系廃棄物を燃焼助剤として用いることで、廃棄物処理問題を解決しつつ発熱量が増大して発電量が増大する。また、熱量が比較的多いバイオマス由来のバイオエタノールやETBEを燃焼助剤として用いることで、大気中の二酸化炭素がネットで増大せずに発熱量の増大による発電量の増大が得られる。特に、十分に利用されずに余剰となることにより別途処理する必要もなく、有効的にエネルギーとして利用できる。また、バイオマス由来のバイオエタノールやETBEを利用することによる化石燃料の使用量の低減により、化石燃料の燃焼により発生する大気中への二酸化炭素の排出をも削減できる。
【0011】
そして、本発明では、前記化石燃料および前記バイオマス系燃料の燃焼による燃焼ガスとの熱交換により水蒸気を生成させる熱交換器と、この熱交換器により生成した水蒸気により回転される水蒸気タービンを有した発電機と、を具備した構成とすることが好ましい。
この発明では、熱交換器により化石燃料およびバイオマス系燃料の燃焼による燃焼ガスとの熱交換により水蒸気を生成させ、発電機の水蒸気タービンを回転させて発電させる。
このことにより、単に廃棄物の焼却処理による減容のみならず、燃焼により電気エネルギーを発生できるので、例えば電力会社などで電気エネルギーを発生させるための化石燃料の燃焼分を削減でき、廃棄物処理およびエネルギー問題の双方を効率よく解決できる。
【0012】
また、本発明では、前記発電機で発電された電力を変圧して送電線へ供給する変圧器を具備した構成とすることが好ましい。
この発明では、発電機で発電した電力を変圧器にて変圧して送電線へ供給させる。
このことにより、廃棄物の燃焼により得られた電気エネルギーを、エネルギーおよび素材産業の集積地さらには近接する民生大消費地で利用することが容易にでき、エネルギーの循環サイクルが容易に構築でき、エネルギー問題と廃棄物の処理問題との双方を効率よく解決できる。
【0013】
そして、本発明では、前記送電線は、コンビナートに既設のものである構成とすることが好ましい。
この発明では、発電した電力を供給する送電線として、エネルギーおよび素材産業の集積地であるコンビナートに既に設けられているものを用いる。
このことにより、発電した電力を、変圧器を介して既設の送電線へ供給するのみで効率的な廃棄物からのエネルギーの循環サイクルが容易に得られ、電気エネルギーを有効利用することが容易にできる。特に、電力会社の発電所として発電のための燃料の輸送経路の一つである海上輸送経路を利用でき比較的多く設置されて送電線のネットワークも構築されている臨海コンビナートが好ましい。
【0014】
また、本発明では、前記発電機から排出される水蒸気を水蒸気パイプラインに供給する水蒸気供給管を具備した構成とすることが好ましい。
この発明では、熱交換器から発電に利用されて発電機から排出される水蒸気を、水蒸気供給管を介して水蒸気パイプラインに供給する。
このことにより、発電に利用した後の水蒸気を、例えばエネルギーおよび素材産業の集積地さらには近接する民生大消費地に設置した水蒸気パイプラインを用いて、エネルギーおよび素材産業の集積地さらには近接する民生大消費地で水蒸気を利用することで、廃棄物の燃焼による熱エネルギーとしても有効利用でき、さらに効率的な廃棄物からのエネルギーの循環サイクルが得られ、エネルギー問題と廃棄物の処理問題との双方を効率よく解決できる。さらに、バイオマス系燃料として利用するために例えば活性汚泥や生ゴミなどを乾燥するなどの施設で水蒸気を利用することで、廃棄物の処理による発電に利用するバイオマス系燃料の安定した取得が容易となる。
【0015】
そして、本発明では、前記水蒸気パイプラインは、コンビナートに既設あるいは新規の小規模施設の設置したものである構成とすることが好ましい。
この発明では、廃棄物の燃焼により得られる熱エネルギーである水蒸気を供給する水蒸気パイプラインとして、エネルギーおよび素材産業の集積地であるコンビナートに既に設けられているもの、あるいは、小規模設備を新規設置したものを用いる。
このため、既設の水蒸気パイプラインに水蒸気供給管を接続するのみで効率的な廃棄物からのエネルギーの循環サイクルが容易に得られ、熱エネルギーを有効利用することが容易にできる。特に、海上輸送経路の利用も図れる臨海コンビナートに適用することが、立地上や水蒸気パイプライン網が既に構築されていることから好ましい。
【0016】
また、本発明では、前記化石燃料取得手段で取得した前記化石燃料を前記焼却炉へ供給する化石燃料供給手段と、前記有機廃棄物取得手段で取得した前記バイオマス系燃料を前記焼却炉へ供給する有機廃棄物供給手段と、前記化石燃料供給手段および前記有機廃棄物供給手段を制御し、供給する前記化石燃料および前記バイオマス系燃料の量比を制御する焼却制御手段と、を具備した構成とすることが好ましい。
この発明では、焼却制御手段により、化石燃料供給手段により化石燃料取得手段で取得した化石燃料を供給させる量と、有機廃棄物供給手段により有機廃棄物取得手段で取得したバイオマス系燃料を供給させる量との量比を、制御する。
このことにより、例えば、石油精製施設の運転条件による脱瀝残渣などの重質油や微粉炭、石油コークスなどの化石燃料の取得量、木材廃棄物や活性汚泥などの廃棄物の発生量に応じたバイオマス系燃料の取得量に応じて、安定して焼却処理ができ、廃棄物の安定した処理が得られる。また、燃焼による発生熱量を適宜制御することで、例えば必要な発電量や水蒸気量なども適宜制御可能となる。このことにより、エネルギー・素材産業、さらには近接する民生大消費地への安定したエネルギーの提供や発生する廃棄物の安定した処理が得られる。
【0017】
さらに、本発明では、前記有機廃棄物取得手段は、種別毎に前記バイオマス系燃料を取得する複数の貯蔵部を備えて、前記焼却制御手段は、前記貯蔵部から前記有機廃棄物供給手段にて供給される種別毎の供給量に応じて、前記化石燃料および前記バイオマス系燃料の量比を制御する構成とすることが好ましい。
この発明では、焼却制御手段により、複数の貯蔵部で種別毎に取得したバイオマス系燃料を有機廃棄物供給手段により供給する種別毎の供給量に応じて、化石燃料およびバイオマス系燃料の量比を制御する。
このことにより、例えば木材由来、活性汚泥由来、可燃ごみ由来などにより種別により異なる発熱量でも、種別に応じて供給する種別毎のバイオマス系燃料の供給量を認識することで、バイオマス系燃料の全体的な熱量を演算などにより容易に認識できるので、安定した焼却および発電量や水蒸気量などのエネルギー発生量の容易な制御などが得られる。
【0018】
また、本発明では、前記有機廃棄物取得手段は、加熱機と、粉砕機とを備え、前記加熱機により乾燥または炭化処理された後に前記粉砕機にて粉砕した前記バイオマス系燃料を供給して燃焼させる構成とすることが好ましい。
この発明では、有機廃棄物取得手段として、加熱機により例えば木材や活性汚泥、可燃ごみなどの廃棄物を乾燥あるいは炭化処理した後、粉砕機により粉砕して得られた粉粒物をバイオマス系燃料として取得する構成としている。
このため、あらかじめバイオマス系燃料を回収するために、素材産業や市町村あるいは自治体などにて廃棄物からバイオマス系燃料を製造させる設備を設ける必要が無く、バイオマス系燃料となる廃棄物の処理によるクリーンエネルギーの熱エネルギーや電気エネルギーとして生成できるバイオマス系燃料の安定した取得が容易となる。
【0019】
さらに、本発明では、前記化石燃料および前記バイオマス系燃料の燃焼による燃焼ガスとの熱交換により水蒸気を生成させる熱交換器を具備し、前記有機廃棄物取得手段の加熱機は、前記熱交換器で生成される水蒸気または前記発電機から排出される水蒸気の熱を利用する構成とすることが好ましい。
この発明では、熱交換器により燃焼による燃焼ガスとの熱交換にて生成した水蒸気、あるいは発電機から排出される水蒸気の熱を利用して、加熱器により例えば木材や活性汚泥、可燃ごみなどを乾燥あるいは炭化処理してバイオマス系燃料として取得する構成としている。
このため、例えば、発電機で発電に利用した後の水蒸気や、発電に利用する水蒸気を発生させた後の焼却炉の燃焼ガスの余熱分を利用して発生した水蒸気などをバイオマス系燃料の製造に利用することで、バイオマス系燃料から得られる熱量をより有効に利用できる。特に、発電機の設置位置に近接して配設する構成とすることで、熱損失も少なくなり、水蒸気を搬送するパイプラインなどの構成も小型化および簡略化できる。
【0020】
そして、本発明では、前記有機廃棄物取得手段は、製糖処理により廃棄されるカルシウムを主成分とする製糖廃棄物を取得し、前記バイオマス系燃料とともに供給して燃焼させる構成とすることが好ましい。
この発明では、製糖処理により廃棄されるカルシウムを主成分とする製糖廃棄物を有機廃棄物取得手段で取得し、バイオマス系燃料とともに供給して燃焼させる。
このことにより、化石燃料などの焼却により生じる硫黄分が、バイオマス系燃料とともに焼却炉へ供給する製糖廃棄物のカルシウムにより脱硫され、脱硫剤を別途添加することなく廃棄物を利用して除去でき、製糖廃棄物の処理と焼却により生じる硫黄分の脱硫処理の双方が得られる。また、エネルギーおよび素材産業の集積地であるコンビナート、特に臨海コンビナートに設置することで、エネルギーおよび素材産業の集積地に製糖施設がない場合でも、港湾などの輸送経路を利用して製糖廃棄物の各地からの回収も容易である。さらには、脱硫により生じる石膏は建材として利用でき、エネルギーおよび素材産業の集積地における素材産業での利用によるさらなる資源リサイクルが得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の焼却システムにおける一実施形態の構成を図面に基づいて説明する。なお、本実施の形態では、焼却システムとして臨海コンビナートである日本国京葉臨海コンビナートに設置した資源循環システムでの利用形態で説明するが、例えば日本国鹿島臨海コンビナート、中国における上海、韓国における麗川、シンガポールなどの各臨海地域、さらには内陸地域の工業地帯などに利用することもできる。また、資源循環システムに限らず、単に廃棄物を焼却処理する焼却システムとして利用したりしてもよい。
図1は、資源循環システムの全体的な概略構成を示す概念図である。図2は、資源循環システムの構成を示すブロック図である。図3は、焼却炉の概略構成を示す概念図である。図4は、焼却炉および発電機周辺の概略構成を示す概念図である。
【0022】
〔資源循環システムの全体構成〕
本発明の焼却システムを備えた資源循環システムは、エネルギーおよび素材産業から廃棄される有機廃棄物、さらには民生大消費地から廃棄される有機廃棄物を焼却するもので、さらには単に焼却するのみならず資源として利用してエネルギーを発生させ、発生したエネルギーを、エネルギーおよび素材産業の集積地や民生大消費地へ供給して利用するシステムである。この資源循環システムは、例えば、臨海コンビナートである日本国の京葉臨海コンビナートに設置される。すなわち、エネルギーおよび素材産業の集積地として、既に道路交通網や空港、港湾施設、送電線や各種パイプラインなどの資材物資の輸送経路が既に構築されており、物流の集積で、さらには首都圏に位置して人口が多い民生大消費地が近接する臨海工業地帯に設置されることが好ましい。特に、図1に示すように、石油精製プラントである石油精製施設11や電力会社の大型発電施設などのエネルギー産業である発電所12や、鉄鋼建材、化成品などの素材産業である製鉄所13、建材メーカ14、化学メーカ15、化成品メーカなどが集積する京葉臨海コンビナート10が好適である。
この資源循環システム100は、図2に示すように、エネルギー発生部200と、運転制御部300と、システム制御部400と、を備えている。
エネルギー発生部200は、化石燃料取得手段としての脱瀝残渣取得手段210と、有機廃棄物取得手段220と、焼却炉230と、熱交換器240と、発電機250と、変圧器260と、を備えている。
【0023】
脱瀝残渣取得手段210は、エネルギー産業である石油精製施設11で原油の処理により排出される化石燃料、例えば原油を精製する石油精製施設11から取得する重質油および微粉炭ならびに石油コークスのうちの少なくともいずれか1つを取得する。ここで、重質油としては、常圧蒸留装置から取得する常圧残油、減圧蒸留装置から取得する減圧残油、および脱瀝残渣のうちの少なくともいずれか1つである。なお、本実施形態では、化石燃料として、原油を精製する石油精製施設から廃棄される脱瀝残渣を主要成分として取得する構成を例示する。
この脱瀝残渣取得手段210は、脱瀝残渣を取得すなわち貯蔵する脱瀝残渣タンク211と、この脱瀝残渣タンク211内に貯蔵される脱瀝残渣を搬出する化石燃料供給手段としての脱瀝残渣供給手段212と、を備えている。
そして、脱瀝残渣タンク211には、貯蔵する脱瀝残渣の貯蔵量を検出する図示しない脱瀝残渣量検出手段を備えている。この脱瀝残渣量検出手段は、貯蔵量を検出可能な各種センサを利用できる。そして、脱瀝残渣量検出手段は、運転制御部300に接続され、検出する脱瀝残渣の貯蔵量に関する信号を運転制御部300へ出力する。なお、化石燃料取得手段として、例えば微粉炭や石油コークスなどを取得する場合、脱瀝残渣タンク211と別のタンクに貯蔵する構成としたり、脱瀝残渣タンク211に微粉炭や石油コークスを混合して併せて貯蔵する構成としたりしてもよい。
また、脱瀝残渣供給手段212は、貯蔵する脱瀝残渣を搬出可能に脱瀝残渣タンク211に設けられている。この脱瀝残渣供給手段212としては、例えば液送ポンプなどが利用される。そして、この脱瀝残渣供給手段212は、運転制御部300に接続され、運転制御部300による駆動制御により、所定量の脱瀝残渣を搬出する。
なお、脱瀝残渣タンク211および脱瀝残渣供給手段212には、脱瀝残渣が溶融状態で貯蔵あるいは搬出可能に、例えば水蒸気を流通する加温管や電気ヒータなどの図示しない加温手段を備えている。
【0024】
有機廃棄物取得手段220は、バイオマス系燃料を取得する。
この有機廃棄物取得手段220は、木材、活性汚泥、可燃ごみなどの廃棄物を処理しバイオマス系燃料に処理する前処理部221と、バイオマス系燃料を取得すなわち貯蔵する貯蔵部であるバイオマスタンク222と、バイオマスタンク222内に貯蔵されるバイオマス系燃料を搬出する有機廃棄物供給手段223と、を備えている。
なお、有機廃棄物取得手段220は、前処理部221を備えず、あらかじめ処理されて生成されたバイオマス系燃料を取得する構成としてもよい。
【0025】
前処理部221は、例えば市町村や自治体などで回収した生ゴミなどの可燃ごみ、未利用木質資源である天災などにより被害を受けた被害木や市町村や自治体あるいは素材産業などからの廃材、下水処理場からの脱水後の活性汚泥、市町村や自治体あるいは素材産業などからの廃タイヤや廃棄物であるゴム系廃棄物などの有機廃棄物を、バイオマス系燃料として資源化するための処理をする。
そして、前処理部221は、例えば、加熱機221Aと、粉砕機221Bと、を備えている。
【0026】
加熱機221Aは、各有機廃棄物を加熱して乾燥あるいは炭化処理する。この加熱機221Aとしては、例えばトンネル型炉やロータリーキルンなど、各種乾燥炉や加熱炉が利用できる。なお、本実施形態では、有機廃棄物を炭化処理するトンネル型炉の構成を例示する。
そして、加熱機221Aは、ガイドレール上を回行移動され有機廃棄物を収容可能な台車を備えている。そして、台車の移動経路中に例えば水蒸気の熱や重油などの燃料油の燃焼熱などにて、移動される台車に収容された有機廃棄物を乾燥あるいは炭化処理する加熱窯が設けられている。この加熱窯には、乾燥や炭化処理により廃棄物から発生するガス分を回収して処理する排ガス処理部を備えている。この排ガス処理部は、ガス分を冷却する排ガス冷却部と、この排ガス冷却部で生じた液相分を回収する液相回収部と、排煙処理部と、などを備えている。なお、液相回収部で回収した液相分は、廃液として処理したり、水や親水性物と油脂分などの親油性物とに分離して回収し、親油性物は液体燃料として利用したりするなどしてもよい。すなわち、例えば未利用木質資源では乾燥や炭化処理の際に、水分や木酢液などが親水生物として回収され、防虫剤や防腐剤などに利用したりでき、親油性物は油脂分などであり、後述する焼却炉230で燃焼させる液体燃料などとして利用できる。また、ゴム系廃棄物の炭化処理の場合にも、回収される親油性物は液体燃料などとして利用できる。
【0027】
粉砕機221Bは、乾燥あるいは炭化処理された廃棄物を粉砕する。粉砕機221Bとしては、クラッシャやミルなど、各種構成が利用される。そして、廃棄物の粉砕としては、例えば平均粒径が数μm〜数百μmとなるように粉砕する。この粉砕、すなわち造粒としては、篩を用いるなどが例示できる。そして、加熱機221Aによる乾燥や炭化処理と、粉砕機221Bによる所定の粒径に粉砕した廃棄物は、バイオマス系燃料として回収される。すなわち、バイオマスタンク222へ搬送されて貯蔵される。このバイオマスタンク222への搬送としては、例えばベルトコンベヤなど、各種コンベヤが利用できる。
なお、粉砕機221Bは、加熱機221Aで乾燥あるいは炭化処理された廃棄物を粉砕するのみならず、例えば市町村や自治体あるいは廃棄物処理施設または各素材産業などであらかじめ形成された乾燥活性汚泥やいわゆるバイオチップなどの乾燥物や造粒物、あるいは炭化処理物を粉砕してもよい。
【0028】
また、前処理部221としては、例えば脱水後の活性汚泥である汚泥ケーキをチップ状に成形した後に加熱機221Aにて乾燥し、廃棄物をスラリ状に調整してスプレードライにて造粒するなど、各種方法が適用できる。また、粉砕後に磁石などにて金属を除去するなどの構成を設けてもよい。具体的には、廃タイヤなどの金属材料が混入する廃棄物の場合に、金属を除去する構成を設けるとよい。
そして、前処理部221としては、例えば活性汚泥や生ゴミ、未利用木質資源などを乾燥する際に、脱硫剤であるカルシウム源としての水酸化カルシウムや炭酸カルシウムなどを混合して加熱機221Aにて加熱処理したり、乾燥あるいは炭化処理後の廃棄物に脱硫剤を混合して粉砕・造粒したりしてもよい。これら脱硫剤としては、建材などの素材産業から廃棄されるものや、例えば製糖処理により廃棄されるカルシウムを主成分とする製糖廃棄物、いわゆるライムケーキなどを利用することができる。すなわち、これら廃棄物を混合することで、これら廃棄物をそれぞれ個々に処理する必要がなく、燃焼原料と同時に脱硫剤も混合できるので好適である。なお、カルシウム源としては、廃棄物に限らない。例えば、石灰石やカルシウム脱硫剤などの原材料を用いてもよい。
【0029】
バイオマスタンク222は、例えば、サイロなど、粉粒体を貯蔵可能な各種構成が利用できる。そして、バイオマスタンク222としては、廃棄物の種別毎に複数備えた構成とすることが好ましい。具体的には、木材廃棄物由来のバイオマス系燃料を貯蔵するタンク、可燃ごみ由来のバイオマス系燃料を貯蔵するタンク、ゴム系廃棄物由来のバイオマス系燃料を貯蔵するタンクなど、種別毎に貯蔵する構成とすることが好ましい。なお、一括貯蔵してもよい。
そして、各バイオマスタンク222には、貯蔵する各廃棄物由来のバイオマス系燃料の貯蔵量を検出する図示しないバイオマス系燃料量検出手段を備えている。このバイオマス系燃料量検出手段は、貯蔵量を検出可能な各種センサを利用できる。そして、バイオマス系燃料量検出手段は、運転制御部300に接続され、検出するバイオマス系燃料の貯蔵量に関する信号を運転制御部300へ出力する。
なお、バイオマスタンク222は、前処理部221で処理されたバイオマス系燃料を貯蔵するのみならず、例えば市町村や自治体あるいは廃棄物処理施設または各素材産業などであらかじめ造粒されたバイオマス系燃料を貯蔵してもよい。さらには、例えばあらかじめ粉粒物として造粒された水酸化カルシウムや炭化カルシウムなどをバイオマス系燃料と併せて貯蔵してもよい。
そして、バイオマスタンク222には、例えば下部に有機廃棄物供給手段223が接続される。有機廃棄物供給手段223は、例えばスクリュウコンベヤや圧縮空気をキャリヤとしてバイオマス系燃料を搬送する各種構成が利用できる。そして、各有機廃棄物供給手段223は、運転制御部300に接続され、運転制御部300による駆動制御により、所定量のバイオマス系燃料を搬出する。
なお、上述したように、有機廃棄物供給手段223に、搬送するバイオマス系燃料に水酸化カルシウムや炭酸カルシウムなどを添加して搬送するバイオマス系燃料に混合させる構成を設けてもよい。
【0030】
さらに、有機廃棄物取得手段220は、有機廃棄物タンク224を備えた構成としてもよい。すなわち、有機廃棄物タンク224は、例えば市町村や自治体などで回収したプラスチックなどの不燃ごみあるいは化成品などの素材産業などからの不良品などの廃棄物であるプラスチック系廃棄物を貯留する。貯留するプラスチック系廃棄物についても、上述したバイオマス系燃料と同様に粉粒物として造粒しておく。具体的には、裁断機や破砕機などにて粉粒状にしたり、一旦溶融してペレット状に成形した後に粉砕したりするなど、各種方法が利用できる。
また、有機廃棄物取得手段220は、バイオマス系のバイオエタノールやエチル−ターシャリ−ブチル−エーテル(Ethyl Tertiary Butyl Ether:ETBE)などのバイオ液体燃料を貯蔵する液体燃料タンク225を備えた構成としてもよい。
そして、有機廃棄物タンク224および液体燃料タンク225には、上述したように、貯蔵量を検出し、貯蔵量に関する信号を運転制御部300へ出力する各種センサなどが設けられている。
【0031】
焼却炉230は、脱瀝残渣取得手段210および有機廃棄物取得手段220に接続され、脱瀝残渣取得手段210の脱瀝残渣供給手段212から供給される脱瀝残渣と、有機廃棄物取得手段220の各有機廃棄物供給手段223からそれぞれ、あるいは混合されて供給されるバイオマス系燃料とを燃焼する。この焼却炉230は、例えば図3に示すように、炉本体231と、この炉本体231に設けられたバーナーである第一バーナー232およびバーナーである第二バーナー233と、を備えている。
炉本体231は、内部に図示しない焼却室を有した筒状に形成されている。そして、炉本体231の下部には、ダストを外部に排出可能に沈降回収するダスト回収部231Aが設けられている。また、炉本体231内には、焼却室内の温度を検出する図示しない温度検出手段が設けられている。この温度検出手段は、炉内温度を検出可能な各種センサなどが利用できる。そして、温度検出手段は、運転制御部300に接続され、検出した焼却室内の温度に関する信号を運転制御部300へ出力する。
第一バーナー232は、脱瀝残渣供給手段212から供給される脱瀝残渣を燃焼原料として燃焼させるバーナーである。
第二バーナー233は、有機廃棄物供給手段223から供給される微粉末のバイオマス系燃料を燃焼原料として燃焼させるバーナーである。
また、炉本体231の上部には、燃焼ガス処理部234が接続されている。燃焼ガス処理部234は、燃焼ガスから窒素酸化物や硫黄酸化物、塵埃などを除去する。具体的には、アンモニア水と接触させて硫黄酸化物を除去したり、電気集塵機などにて塵埃を除去したりする。
なお、第一バーナー232として、脱瀝残渣を燃焼させる構成に限らず、脱瀝残渣に石炭灰や石油コークスが混合されたものを燃焼原料として燃焼させてもよい。また、第二バーナー233として、バイオマス系原料に微粉炭や石油コークスを混合したものを燃焼原料として燃焼させてもよい。さらに、本発明では、2つのバーナー232,233に限らず、各組成物毎あるいはいくつかの組み合わせた燃焼原料を燃焼させる複数のバーナーを設けてもよい。さらには、1つのバーナーでそれぞれ化石燃料やバイオマス系燃料を混合して燃焼させてもよい。
【0032】
熱交換器240は、図3に示すように、例えば水から水蒸気を発生させる水蒸気発生部241を備えている。この水蒸気発生部241は、焼却炉230の炉本体231内に焼却室に臨んで配設され、焼却室内での燃焼ガスの熱により、水から水蒸気を発生させる。
そして、熱交換器240には、発生した水蒸気の温度、圧力、量などの水蒸気に関する性状を検出する図示しない水蒸気検出手段が設けられている。この水蒸気検出手段は、運転制御部300に接続され、検出した水蒸気に関する性状の信号を運転制御部300へ出力する。
なお、熱交換器240としては、例えば約550℃で約17MPaの水蒸気を200t/hで発生させる。すなわち、この程度の水蒸気の性状により、後述する発電機250である程度の電力を発電させることができる。
【0033】
発電機250は、例えば、図4に示すように、熱交換器240に接続された復水型蒸気タービン251を備えている。そして、発電機250は、復水型蒸気タービン251に熱交換器240から水蒸気が供給されて復水型蒸気タービン251が回転し、発電する。
また、発電機250の復水型蒸気タービン251には、図1に示すように、水蒸気供給管255が接続されている。この水蒸気供給管255は、発電機250の復水型蒸気タービン251から回転で利用されて排出される水蒸気を水蒸気パイプライン257に供給する。この水蒸気パイプライン257は、京葉臨海コンビナート10に既設のものである。すなわち、水蒸気パイプライン257は、エネルギー産業および素材産業で水蒸気を共有するために設けられたものである。
そして、水蒸気供給管255には、水蒸気供給管255から水蒸気パイプライン257に供給する水蒸気の量である供給水蒸気量を検出する流量計などの図示しない水蒸気量検出手段が設けられている。この水蒸気量検出手段は、運転制御部300に接続され、検出した供給水蒸気量に関する信号を運転制御部300へ出力する。
【0034】
変圧器260は、発電機250に接続されるとともに、図1に示すように、京葉臨海コンビナート10に既設の送電線265に接続されている。この送電線265は、エネルギー産業である電力会社から供給される電力を送電する。そして、変圧器260は、発電機250で発電した電力を適宜変圧し、送電線265へ供給する。
また、変圧器260には、送電線265へ供給した供給電力量を検出する図示しない供給電力量検出手段が設けられている。この供給電力量検出手段は、運転制御部300に接続され、検出した供給電力量に関する信号を運転制御部300へ出力する。
【0035】
運転制御部300は、例えばコンピュータなどにて構成され、エネルギー発生部200の動作を制御する。この運転制御部300は、エネルギー発生部200の各動作部位の駆動状態をそれぞれ制御する各動作部位毎に設けられた各シーケンサを統括制御する。
そして、運転制御部300は、運転制御部300全体の動作制御をするOS(Operating System)上に展開されるプログラムとして構成された、焼却制御手段310などを備えている。
【0036】
焼却制御手段310は、脱瀝残渣供給手段212および有機廃棄物供給手段223を制御し、焼却炉230へ供給する脱瀝残渣およびバイオマス系燃料の量比、すなわち脱瀝残渣および各バイオマス系燃料の供給量を制御する。具体的には、焼却制御手段310は、運転制御部300に設けられ資源循環システム100の管理者が入力操作可能な図示しない入力操作部で入力操作された設定事項、例えば各バイオマス系燃料の焼却炉230への供給量、焼却炉230の燃焼温度、水蒸気の発生量や圧力などの発生状態、発電量などに基づいて、脱瀝残渣供給手段212および有機廃棄物供給手段223の動作を適宜制御し、脱瀝残渣の第一バーナー232への供給量および各バイオマス系燃料の第二バーナー233への供給量を、所定の割合となるようにする。
この供給量の所定の割合は、例えば、設定事項が各バイオマス系燃料の焼却炉230への供給量や各バイオマス系燃料の供給割合、バイオマス系燃料と脱瀝残渣との供給割合である場合、脱瀝残渣供給手段212および有機廃棄物供給手段223の動作を各搬出量が設定事項に対応する状態に制御する。
また、設定事項が焼却炉230の燃焼温度である場合、温度検出手段から出力される焼却室内の温度に関する信号に基づいて、検出した焼却室内の温度が設定された燃焼温度になるように、バイオマス系燃料と脱瀝残渣とを適宜供給させる状態に制御する。すなわち、木材由来、活性汚泥由来、可燃ごみ由来などの種別によりバイオマス系燃料の発熱量が異なるので、供給する種別のバイオマス系燃料の供給量により焼却炉230で燃焼させるバイオマス系燃料全体の熱量が演算でき、供給する脱瀝残渣の供給量が分かれば焼却炉230での全体の燃焼熱量が演算できる。このため、設定された燃焼温度に対する焼却室内の温度の過不足分の熱量を調整する状態に、バイオマス系燃料と脱瀝残渣とが所定の割合となるように供給させる制御をする。
さらに、設定事項が水蒸気の発生状態では、水蒸気検出手段から出力される熱交換器240で発生する水蒸気の性状に関する信号に基づいて、設定された水蒸気の発生状態となるように、焼却炉230の焼却室内の温度を変更させる制御、すなわちバイオマス系燃料と脱瀝残渣との供給量を適宜制御する。
同様に、設定事項が発電量である場合、変圧器260の供給電力量検出手段から出力される供給電力量に関する信号に基づいて、発電機250へ供給する水蒸気の圧力や量などを制御する。すなわち、所定の水蒸気を供給する状態に焼却炉230での熱量が得られるように、バイオマス系燃料と脱瀝残渣との供給量を適宜制御する。
このように、脱瀝残渣の供給状態と各バイオマス系燃料の供給状態により、廃棄物からエネルギーを取り出す運転制御ができる。
【0037】
また、運転制御部300は、各動作部位の動作状況をあらかじめ設定されている閾値と比較し、異常な動作状態か否かを常時監視し、異常な動作状態であることを認識すると、管理者に報知したり、動作を停止させたりする制御も可能である。
【0038】
システム制御部400は、資源循環システム100の稼働により発生するエネルギーの供給による決済処理する。
このシステム制御部400は、例えばコンピュータなどにて構成され、運転制御部300と送受信可能に接続されている。このシステム制御部400および運転制御部300の接続としては、例えばTCP(Transmission Control Protocol)/IP(Internet Protocol)などの汎用のプロトコルに基づくインターネット、イントラネット、LAN(Local Area Network)、無線媒体により情報が送受信可能な複数の基地局がネットワークを構成する通信回線網や放送網などのネットワーク、さらには、無線LANなどのように直接送受信するための媒体となる無線媒体自体などが例示できる。ここで、無線媒体としては、電波、光、音波、電磁波などのいずれの媒体をも適用できる。
そして、システム制御部400は、システム制御部400全体の動作制御をするOS(Operating System)上に展開されるプログラムとして構成された、売電請求金演算手段410と、売水蒸気請求金演算手段420と、決算手段430と、などを備えている。
【0039】
売電請求金演算手段410は、供給電力量検出手段で検出した供給電力量に基づいて送電線265に電力を供給する電力会社に対して請求する売電請求金額を演算する。
売水蒸気請求金演算手段420は、水蒸気量検出手段で検出した供給水蒸気量に基づいて水蒸気パイプライン257に接続され水蒸気を利用する施設に対して請求する水蒸気供給金額を演算する。
決算手段430は、演算した請求する金額の決算処理を金融機関にて管理する付加価値通信網に構築されたファームバンキングにより実施する。なお、決算手段430は、ファームバンキングにより決算処理を自動的に実施するのみならず、請求金の請求書を画面表示や印刷出力するなどして、管理者に決算処理を促す旨の表示処理や印刷処理を決算処理として実施する構成としてもよい。
【0040】
〔資源循環システムの動作〕
次に、上記一実施形態の動作について説明する。
【0041】
まず、製油所などの石油精製施設11で原油の精製により廃棄される脱瀝残渣を、例えばパイプラインなどにて脱瀝残渣取得手段210の脱瀝残渣タンク211へ流入させて貯蔵する。この貯蔵の際に例えば流入量が検出され、運転制御部300により、図示しない脱瀝残渣量検出手段で検出する脱瀝残渣の貯蔵量に関する信号に基づいて、脱硫残渣の脱瀝残渣タンク211への流入を監視、制御する。
一方、有機廃棄物取得手段220により、バイオマス系燃料を取得する。例えば、既に微粉末に造粒されたバイオマス系燃料が搬入された場合には、バイオマスタンク222へ直接投入して貯蔵させる。また、いわゆるバイオチップなどの造粒されたものが搬入された場合には、前処理部221の粉砕機221Bにより、所定の平均粒子径となる微粉末に粉砕して造粒し、バイオマスタンク222へ投入させる。さらに、未利用木質資材や活性汚泥ケーキ、生ゴミなどの可燃ゴミなどが搬入された場合には、前処理部221の加熱機221Aで乾燥あるいは炭化処理した後に粉砕機221Bにて微粉末に粉砕して造粒し、バイオマスタンク222へ投入させる。なお、バイオマスタンク222への投入の際には、由来の廃棄物の種別に応じて投入する。
【0042】
そして、運転制御部300は、図示しない管理者により入力操作部で入力操作された設定事項に基づいて、脱瀝残渣供給手段212および有機廃棄物供給手段223を制御して、脱瀝残渣タンク211に貯蔵された脱瀝残渣を焼却炉230の第一バーナー232へ供給するとともに、各バイオマスタンク222に貯蔵された各バイオマス系燃料を焼却炉230の第二バーナー233へ供給して燃焼させる。これら脱瀝残渣および各バイオマス系燃料の供給は、上述したように、設定事項に応じた所定の供給割合および供給量で供給される。
この焼却炉230でのバイオマス系燃料の燃焼の際、バイオマス系燃料中にライムケーキが混入あるいはライムケーキが焼却炉230へ別途供給されることで、脱瀝残渣の燃焼により比較的多く発生する硫黄分がライムケーキ中のカルシウムと反応し、硫酸カルシウムとして燃焼ガス中から除去、すなわち脱硫される。この脱硫により発生した硫酸カルシウムは、焼却炉230の炉本体231の下部に、脱瀝残渣およびバイオマス系燃料の燃焼により発生する灰分とともに堆積してダスト回収部231Aから排出され、例えば素材産業の建材メーカ14で建材の原料として利用される。
【0043】
そして、焼却炉230での燃焼により、熱交換器240の水蒸気発生部241にて、脱瀝残渣および各バイオマス系燃料の供給割合および供給量に応じた性状で発生する水蒸気により、発電機250の復水型蒸気タービン251が回転されて発電機250で発電される。
この発電機250にて発電された電力は、変圧器260で適宜変圧され、京葉臨海コンビナート10に既設の送電線265へ供給される。
この発電した電力の送電線265への供給時、運転制御部300は供給電力量検出手段で検出する供給電力量に関する信号を受信し、例えば表示手段での画面表示や印刷手段での印刷出力などにより、管理者へ認識可能に報知する。
また、運転制御部300は、供給電力量に関する信号をシステム制御部400へ出力する。
【0044】
また、運転制御部300は、例えばバルブなどの制御により、脱瀝残渣およびバイオマス系燃料の燃焼により発生され復水型蒸気タービン251を回転させて発電機250から排出される水蒸気を、水蒸気供給管255を介して水蒸気パイプライン257に供給する。
この水蒸気の水蒸気パイプライン257への供給時、運転制御部300は図示しない水蒸気量検出手段で検出する供給水蒸気量に関する信号を受信し、例えば表示手段での画面表示や印刷手段での印刷出力などにより、管理者へ認識可能に報知する。
また、運転制御部300は、供給水蒸気量に関する信号をシステム制御部400へ出力する。
【0045】
供給電力量および供給水蒸気量に関する信号を受信したシステム制御部400は、売電請求金演算手段410により、受信した供給電力量に応じて、送電線265を介して電力を供給する電力会社に対して請求する売電請求金額を演算する。
また、システム制御部400は、売水蒸気請求金演算手段420により、受信した供給水蒸気量に応じて、水蒸気パイプライン257に接続され水蒸気を利用する施設である素材産業に対して請求する水蒸気供給金額を演算する。この素材産業への請求としては、例えば水蒸気を利用した企業毎に使用量に応じて請求したり、水蒸気を利用する施設の組合団体などで水蒸気パイプラインや本システム100などの保守管理を実施し会費を徴収する会員制の団体に対して一括して請求したりするなどが例示できる。
そして、システム制御部400は、決算手段430により、演算した請求する金額である売電請求金額および水蒸気供給金額の決算処理を、例えば金融機関にて管理する付加価値通信網に構築されたファームバンキングにより実施する。
【0046】
〔実施形態の作用効果〕
上述したように、上記一実施の形態では、原油を精製する石油精製施設11から廃棄され脱瀝残渣取得手段210で取得した脱瀝残渣を燃焼原料として第一バーナー232で炉本体231内の燃焼室で燃焼させ、有機廃棄物取得手段220で乾燥粉粒物の形態で取得したバイオマス系燃料を燃焼原料として第二バーナー233で炉本体231内の燃焼室で燃焼させている。
このように、例えば天災や害虫などによる被害木や廃材、製材などで生じるおが屑などの未利用木質資源からの粉砕物である木材粉砕物、汚水処理により生成される余剰の活性汚泥の脱水物や乾燥粉粒物などの活性汚泥の粉粒物、生ゴミなどの可燃ごみの粉粒物など、熱量が比較的少なく、かついわゆるバイオチップと称される固形燃料として処理するのに比較的大きなエネルギーが必要である廃棄物を、石油精製施設11から廃棄物として排出される脱瀝残渣や、常圧蒸留装置から排出される常圧残油あるいは減圧蒸留装置から排出される減圧残油、石炭炉で使用する石炭の粉砕などにより生じた微粉末、石油由来のコークスである石油コークスなどの化石燃料とともに、それぞれ独立したバーナー232,233で燃焼させて焼却させる。このため、例えば重油などの燃料を用いて、焼却する必要がなく廃棄物のみを利用して焼却するので、化石燃料などの有効利用が得られ、廃棄物を焼却処理するための化石燃料の使用量を低減でき、化石燃料の使用量の低減による二酸化炭素の排出も低減でき、環境保全が得られるとともに、例えば廃棄物を埋め立てるなどの処理も不要なことから埋立地の確保も容易に得られる。
そして、この化石燃料およびバイオマス系燃料の焼却処理として、それぞれ独立したバーナー232,233で燃焼させているので、バーナー232,233の設計が比較的に容易で、容易に製造できるとともに、燃焼制御が容易にできる。さらには、例えば水蒸気を発生させて水蒸気を熱エネルギーとして利用することもでき、また復水型蒸気タービン251による発電させる分の熱量も十分に得られるので電気エネルギーとして有効利用できる。特に、日本国で顕著に認められる石油コンビナートなどのようなエネルギーおよび素材産業の集積地と民生大消費地とが近接する地域に設置するのみで、固形燃料として処理するための設備、固形燃料から有効的にエネルギーを発生させるための設備などを各企業や同業団体あるいは市町村などでそれぞれ建設する負荷がなく、現実に有効的に利用されていない廃棄物を資源として有効利用でき、電気エネルギーとして廃棄物の排出元へ供給されることとなり、エネルギーの循環サイクルが容易に構築でき、エネルギー問題と廃棄物の処理問題との双方を二酸化炭素の排出を削減して容易に解決できる。さらには、エネルギーおよび素材産業の集積地であるコンビナートに設置することで、コンビナート周辺の例えば港湾や港湾周辺の整備された鉄道、道路交通網、空港などの輸送経路を利用してバイオマス原料を各地から回収することも容易である。すなわち、コンビナート、特に海上輸送経路も利用できる臨海コンビナートで設置することが好ましい。さらには、港湾や空港、道路などを介して資材物資の搬入搬出量が多く、各種の素材産業の集積地であるとともに首都圏である民生大消費地が隣接する京葉臨海コンビナート10が好適である。
【0047】
また、処理が煩雑で比較的大きな処理エネルギーが必要であり現実に有効的に利用されておらず廃棄物として処理されている例えば被害木や廃材、製材などで生じるおが屑などの未利用木質資源からの粉砕物である木材粉砕物、汚水処理により生成される余剰の活性汚泥の脱水物や乾燥粉粒物などの活性汚泥、生ゴミなどの可燃ごみ、金属が混在するタイヤなどのゴム系廃棄物を、バイオマス系燃料として利用する。
このように、焼却炉230で焼却しても大気中の二酸化炭素がネットで増大しないので、生成される電気エネルギーはバイオマス系燃料分がいわゆるクリーンエネルギーとして利用されることとなる。このため、発電された電力をエネルギーおよび素材産業の集積地さらには近接する民生大消費地で利用することで、エネルギーの循環サイクルが容易に構築でき、エネルギー問題と廃棄物の処理問題との双方を効率よく解決できる。
【0048】
さらに、例えば民生大消費地などで生じる不燃ごみや素材産業から不良品として再利用できずに廃棄されるプラスチックなどの熱量が比較的高いプラスチック系廃棄物や、熱量が比較的高いものの利用が限られた余剰のバイオエタノールあるいはバイオマス由来のETBEを、バイオマス系燃料と併せて利用している。
このように、比較的熱量が少ないバイオマス系燃料を発電機250で発電させるための水蒸気を発生させるために不足する分を、熱量が比較的多いプラスチック系廃棄物を燃焼助剤として用いることで、廃棄物処理問題を解決しつつ発熱量が増大して発電量を増大できる。また、熱量が比較的多いバイオマス由来のバイオエタノールやETBEを燃焼助剤として用いることで、大気中の二酸化炭素がネットで増大せずに発熱量の増大による発電量の増大が得られる。特に、十分に利用されずに余剰となることにより別途処理する必要もなく、有効的にエネルギーとして利用できる。また、バイオマス由来のバイオエタノールやETBEを利用することによる脱瀝残渣などの化石燃料の使用量の低減により、化石燃料の燃焼により発生する大気中への二酸化炭素の排出をも削減できる。
【0049】
そして、熱交換器240により脱瀝残渣およびバイオマス系燃料の燃焼による燃焼ガスとの熱交換により水蒸気を生成させ、発電機250の復水型蒸気タービン251を回転させて発電させている。
このため、単に廃棄物の焼却処理による減容のみならず、燃焼により電気エネルギーを発生できるので、例えば電力会社などで電気エネルギーを発生させるための化石燃料の燃焼分を削減でき、廃棄物処理およびエネルギー問題の双方を効率よく解決できる。
【0050】
また、発電機250で発電した電力を変圧器260にて変圧して送電線265へ供給させている。
このため、廃棄物の燃焼により得られた電気エネルギーを、エネルギーおよび素材産業の集積地さらには近接する民生大消費地で利用することが容易にでき、エネルギーの循環サイクルが容易に構築でき、エネルギー問題と廃棄物の処理問題との双方を効率よく解決できる。
【0051】
そして、発電した電力を供給する送電線265として、エネルギーおよび素材産業の集積地である京葉臨海コンビナート10に既に設けられているものを用いている。
このため、発電した電力を、変圧器260を介して既設の送電線265へ供給するのみで効率的な廃棄物からのエネルギーの循環サイクルが容易に得られ、電気エネルギーを有効利用することが容易にできる。
【0052】
また、熱交換器240から発電に利用されて発電機250から排出される水蒸気を、水蒸気供給管255を介して水蒸気パイプライン257に供給している。
このため、発電に利用した後の水蒸気を、例えばエネルギーおよび素材産業の集積地さらには近接する民生大消費地に設置した水蒸気パイプライン257を用いて、エネルギーおよび素材産業の集積地さらには近接する民生大消費地で水蒸気を利用することで、廃棄物の燃焼による熱エネルギーとしても有効利用でき、さらに効率的な廃棄物からのエネルギーの循環サイクルが得られ、エネルギー問題と廃棄物の処理問題との双方を効率よく解決できる。さらに、バイオマス系燃料として利用するために例えば活性汚泥や生ゴミなどを乾燥するなどの施設で水蒸気を利用することで、廃棄物の処理による発電に利用するバイオマス系燃料の安定した取得が容易となる。
【0053】
そして、水蒸気パイプライン257として、エネルギー産業および素材産業の集積地である京葉臨海コンビナート10に既に設けられているものを用いている。
このため、既設の水蒸気パイプライン257に水蒸気供給管255を接続するのみで効率的な廃棄物からのエネルギーの循環サイクルが容易に得られ、熱エネルギーを有効利用することが容易にできる。
【0054】
また、運転制御部300の焼却制御手段310により、脱瀝残渣供給手段212により脱瀝残渣取得手段210で取得した脱瀝残渣を焼却炉230へ供給させる量と、有機廃棄物供給手段223により有機廃棄物取得手段220で取得したバイオマス系燃料を焼却炉230へ供給させる量との量比を、制御している。
このため、例えば、石油精製施設11の運転条件による脱瀝残渣などの化石燃料の取得量、未利用木質資源である木材廃棄物や活性汚泥などの廃棄物の発生量に応じたバイオマス系燃料の取得量に応じて、焼却炉230で安定して焼却処理ができ、廃棄物の安定した処理が得られる。また、焼却炉230における焼却による発生熱量を適宜制御することで、必要な発電量や水蒸気量なども適宜制御可能となる。したがって、エネルギー・素材産業、さらには近接する民生大消費地への安定したエネルギーの提供や発生する廃棄物の安定した処理が得られる。
【0055】
さらに、焼却制御手段310により、複数のバイオマスタンク222で由来の廃棄物の種別毎に取得したバイオマス系燃料を、それぞれバイオマスタンク222に設けた有機廃棄物供給手段223により焼却炉230へ別途あるいは混合して供給する種別毎の供給量に応じて、脱瀝残渣およびバイオマス系燃料の量比を制御している。
このため、例えば木材由来、活性汚泥由来、可燃ごみ由来などにより種別により異なる発熱量でも、種別に応じて焼却炉230へ供給する種別毎のバイオマス系燃料の供給量を認識することで、バイオマス系燃料の全体的な熱量を演算などにより容易に認識できるので、焼却炉230でのより安定した焼却および発電量や水蒸気量などのエネルギー発生量の容易な制御などが得られる。
【0056】
また、有機廃棄物取得手段220として、加熱機221Aにより発電機250から排出される水蒸気の熱を利用して木材や活性汚泥、可燃ごみなどを乾燥あるいは炭化処理した後、粉砕機により粉砕して得られた粉粒物をバイオマス系燃料として取得し、焼却炉230へ供給する構成としている。
このため、あらかじめ造粒されたバイオマス系燃料を回収するために素材産業や市町村あるいは自治体などにて廃棄物からバイオマス系燃料を製造させる設備を設ける必要が無く、バイオマス系燃料の廃棄物の処理による発電に利用するバイオマス系燃料の安定した取得が容易となる。
さらに、例えば、発電機250で発電に利用した後の水蒸気や、発電に利用する水蒸気を発生させた後の焼却炉230の燃焼ガスの余熱分を利用して発生した水蒸気などをバイオマス系燃料の製造に利用することで、バイオマス系燃料から得られる熱量をより有効に利用できる。特に、発電機の設置位置に近接して配設する構成とすることで、熱損失も少なくなり、水蒸気を搬送するパイプラインなどの構成も小型化および簡略化できる。
【0057】
さらに、製糖処理により廃棄されるカルシウムを主成分とする製糖廃棄物(ライムケーキ)を有機廃棄物取得手段220で取得し、バイオマス系燃料とともに焼却炉230へ供給させている。
このことにより、原油由来の脱瀝残渣などの焼却により生じる硫黄分が、バイオマス系燃料とともに焼却炉230へ供給する製糖廃棄物のカルシウムにより脱硫され、脱硫剤を別途添加することなく、あるいは少ない添加量で廃棄物を利用して除去でき、製糖廃棄物の処理と焼却により生じる硫黄分の脱硫処理の双方が得られる。また、エネルギーおよび素材産業の集積地である京葉臨海コンビナート10に設置することで、エネルギーおよび素材産業の集積地に製糖施設がない場合でも、港湾を利用して製糖廃棄物の各地からの回収も容易である。さらには、脱硫により生じる石膏である硫酸カルシウムは建材として利用でき、エネルギーおよび素材産業の集積地における素材産業での利用によるさらなる資源リサイクルが得られる。また、燃焼による灰分も無機質であることから、石膏と併せて建材として利用でき、焼却による灰分の埋め立て処理なども不要となり、資源として有効利用できる。
そして、ライムケーキを焼却炉230へ投入する構成であることから、燃焼ガスを処理する燃焼ガス処理部234における脱硫処理の負荷を低減できる。したがって、脱硫処理のための設備の簡略化や小型化なども得られる。
さらに、焼却炉230の炉本体231の底部に灰分や硫酸カルシウムを回収するダスト回収部231Aを設けている。すなわち、バーナー232,233にて燃焼させるボイラ式の焼却炉230であることから、ダスト回収部231Aを設けて灰分や硫酸カルシウムとして回収することが容易にできる。
【0058】
また、変圧器260から送電線265へ供給する電力量を供給電力量検出手段で検出し、この検出した電力量に基づいてシステム制御部の売電請求金演算手段により電力会社に対して請求する売電請求金額を演算し、決算処理している。また、水蒸気供給管255を介して水蒸気パイプライン257に供給し、水蒸気量検出手段で供給した水蒸気量を検出し、システム制御部400の売水蒸気請求金演算手段420により、検出した供給水蒸気量に基づいて、水蒸気パイプライン257に接続され水蒸気を利用するエネルギー産業や素材産業に対して請求する水蒸気供給金額を演算し、決算している。
このように、資源化された廃棄物から得られるエネルギーの供給により請求する売電請求金額および水蒸気供給金額の決算を、例えばファームバンキングにより自動的に決算処理できるので、容易な運用管理ができる。
さらに、決算処理として、例えば、水蒸気を利用する施設の組合団体などで水蒸気パイプラインや本システム100などの保守管理を実施する会員制の団体に対して、この団体で徴収した会費を水蒸気供給金額として充当する形態で処理することで、よりエネルギー・素材産業間さらには市町村や自治体などの連携体制がより強固となり、互いのエネルギーおよび廃棄物処理問題の効果的な解決が円滑かつ有効的に機能できる。
【0059】
〔実施形態の変形〕
なお、以上説明した態様は、本発明の一態様を示したものであって、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的および効果を達成できる範囲内での変形や改良が、本発明の内容に含まれるものであることはいうまでもない。また、本発明を実施する際における具体的な構造および形状などは、本発明の目的および効果を達成できる範囲内において、他の構造や形状などとしても適用できる。
【0060】
すなわち、上述したように、京葉臨海コンビナート10に適用する場合に限らず、各地区の臨海コンビナート、さらには内陸地の工業地帯などにも適用できる。
【0061】
そして、脱瀝残渣を燃焼助剤として燃焼させる構成を例示したが、脱瀝残渣に限らず、例えば常圧蒸留装置から排出される常圧残油や減圧蒸留装置から排出される減圧残油などの重質油、石炭の微粉末である微粉炭、石油由来の石油コークス、など、各種化石燃料を用いてもよい。
なお、特に廃棄物として排出される化石燃料である脱瀝残渣、石炭の微粉末や石油コークスが好ましく、さらに微粉炭や石油コークスに比して再利用が困難な廃棄物である脱瀝残渣が好ましい。
さらに、脱瀝残渣を第一バーナー232で燃焼させたが、例えば微粉炭や石油コークスなどを燃焼させる場合には、それぞれ別々のバーナーを用いたり、あらかじめ脱瀝残渣や微粉炭、石油コークスなどを混合して1つのバーナーにて燃焼させたりするなど、各種構成が適用できる。そしてさらに、脱瀝残渣を第一バーナー232で燃焼で燃焼させ、微粉炭や石油コークスを、バイオマス系燃料と混合して併せて第二バーナー232で燃焼させるなどしてもよい。
【0062】
また、廃棄物として、バイオマス系燃料として、各種廃棄物をも処理する形態で説明したが、例えば設置箇所周辺の施設状況や廃棄物の回収・収集形態などに応じて、活性汚泥のみ、未利用木質資源のみ、生ゴミのみ、ゴム系廃棄物のみ、あるいはいずれかの組み合わせで焼却する構成としてもよい。そして、不燃ゴミであるプラスチック系廃棄物やバイオエタノールなどを用いなくてもよい。さらには、製糖廃棄物を用いず、各種カルシウム系廃棄物を利用してもよい。
【0063】
また、脱瀝残渣およびバイオマス系燃料を燃焼させる焼却炉230として、ボイラ式のものを例示したが、例えば図5に示すように、流動床式のものなどでもできる。
すなわち、図5に示す流動床式の焼却炉500は、砂などのセラミックス粉粒物を所定の温度に加熱しつつ循環させ上部にセラミックス粉粒物および燃焼ガスを分離するサイクロン510を備えた加熱流動床としてのコンバスタ520を備えている。このコンバスタ520には、脱瀝残渣やバイオマス系燃料を内部に投入する図示しない燃焼原料投入部が設けられている。また、サイクロン510には、分離した燃焼ガスを流通するダクト530が接続されている。そして、このダクト530内に熱交換により水蒸気を発生させる水蒸気発生部241が設けられている。また、ダクト530には燃焼ガス処理部234が接続され、燃焼ガスを処理して排気させる。
この図5に示す流動床式のものでは、焼却するバイオマス系燃料として、例えば径寸法が数cm程度の粒状物でもよく、微粉状に前処理しておく必要がなく、容易に処理できる。すなわち、セラミックス造粒物を所定の温度に加熱しつつ循環させセラミックス粉粒物と燃焼ガスとを分離するサイクロン510を備えたコンバスタ520を用いるので、比較的微粉状に造粒しにくいバイオマス系燃料でも例えば粒径が数cm程度の粒状や塊状物として投入しても焼却でき、バイオマス系燃料として取得するための廃棄物の処理が容易にできる。さらには、例えば石油精製で利用する流動式接触分解(fluid catalytic cracking:FCC)塔の技術を転用すればよく、バイオマス系燃料を焼却するための特別のバーナーや装置を建造する必要もなく、設備の製造や運転制御も比較的容易に得られる。
このように、上述の実施形態や図5に示す実施形態のように、発電のための水蒸気を発生させる焼却炉の構成としては、ボイラ式、流動床式、その他の各種構成を利用できる。
【0064】
また、水蒸気を使用して発電させる発電機250として、復水型蒸気タービン251を備えた構成を例示したが、水蒸気を使用するいずれの水蒸気タービンの構成を適用できる。
そして、発電に利用した水蒸気を利用して加熱機221Aで廃棄物を乾燥あるいは炭化処理する構成に限らず、例えば廃棄物を処理する施設やバイオマス系燃料を集積する場所近傍に加熱機221Aを別途設け、これら施設や集積場所で別途加熱により乾燥あるいは炭化処理してもよい。
そして、バイオマス系燃料として、上述したように廃棄物を処理する施設や集積場所などに設けた加熱機221Aで嵌挿あるいは炭化処理したもの、さらには粉砕機221Bにて粉砕してあらかじめバイオマス系燃料として製造したものを取得する構成としてもよい。このような構成とすることで、廃棄物の減容による搬送のコスト低減などの効率化が得られる。
また、水蒸気の利用として水蒸気パイプライン257に供給するのみならず、例えば廃棄物の処理や脱瀝残渣の加温、焼却炉230における燃焼のための空気の予熱など、各種加温に利用できる。そして、水蒸気パイプライン257を利用するのみならず、新設したものを用いてもよい。
【0065】
そして、熱交換器240から発電に利用され発電機250から排出される水蒸気を、水蒸気供給管255を介して水蒸気パイプライン257に供給している。そして、水蒸気を利用するエネルギー産業や素材産業が水蒸気パイプライン257から水蒸気を引き抜いた水蒸気使用量を水蒸気使用量検出手段で検出し、演算手段の水蒸気利用料演算手段により、検出した水蒸気使用量に基づいて施設に対して請求する水蒸気利用請求金額を演算する構成としてもよい。
このように、発電に利用した後の水蒸気をエネルギーおよび素材産業の集積地さらには近接する民生大消費地に設置した水蒸気パイプライン257を用いて、エネルギーおよび素材産業の集積地さらには近接する民生大消費地で水蒸気を利用することで、電気エネルギーのみならず熱エネルギーとしても利用でき、さらに効率的な廃棄物からのエネルギーの循環サイクルが得られ、エネルギー問題と廃棄物の処理問題との双方を効率よく解決できる。さらに、バイオマス系燃料として利用するために例えば活性汚泥や生ゴミなどを乾燥するなどの施設で水蒸気を利用することで、廃棄物の処理による発電に利用するバイオマス系燃料の安定した取得が容易となる。
【0066】
また、資源化された廃棄物から得られるエネルギーの供給により請求する売電請求金額および水蒸気供給金額を演算し決算処理する構成を例示したが、例えば本システム100の運用管理を会員制の団体として実施し、この団体で徴収した会費に基づいて、保守管理するなどしてもよい。このように、本システム100をエネルギーおよび素材産業、さらには市町村あるいは自治体で共同運用する形態とすることで、よりエネルギー・素材産業間さらには市町村や自治体などの連携体制がより強固となり、互いのエネルギーおよび廃棄物処理問題の効果的な解決が円滑かつ有効的に機能できる。
また、上述したように、ファームバンキングによる自動的な決算処理をせずに、請求書を発行するなどしてもよい。
【0067】
その他、本発明の実施の際の具体的な構造および手順は、本発明の目的を達成できる範囲で他の構成に変更するなどしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明の一実施形態に係る資源循環システムの全体的な概略構造を表す概念図である。
【図2】前記一実施形態における資源循環システムの構成を示すブロック図である。
【図3】前記一実施形態における焼却炉の概略構成を示す概念図である。
【図4】前記一実施形態における焼却炉および発電機周辺の概略構成を示す概念図である。
【図5】本発明の他の実施形態における焼却炉の概略構成を示す概念図である。
【符号の説明】
【0069】
10……臨海コンビナートである京葉臨海コンビナート
11……施設としても機能するエネルギー産業である石油精製施設
12……施設としても機能するエネルギー産業である電力会社の発電所
13……施設としても機能する素材産業である製鉄所13
14……施設としても機能する素材産業である建材メーカ
15……施設としても機能する素材産業である化学メーカ15
100……焼却システムとしても機能する資源循環システム
210……化石燃料取得手段としての脱瀝残渣取得手段
212……化石燃料供給手段としての脱瀝残渣供給手段
220……有機廃棄物取得手段
221A…加熱器
221B…粉砕機
222……貯蔵部としてのバイオマスタンク
230,500…焼却炉
232……バーナーである第一バーナー
233……バーナーである第二バーナー
240……熱交換器
250……発電機
255……水蒸気供給管
257……水蒸気パイプライン
260……変圧器
265……送電線
310……焼却制御手段
510……サイクロン
520……加熱流動床としてのコンバスタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に燃焼室を有する炉本体と、
化石燃料を取得する化石燃料取得手段と、
バイオマス系燃料を乾燥粉粒物の形態で取得する有機廃棄物取得手段と、
前記化石燃料および前記バイオマス系燃料をそれぞれ個別あるいは2以上を同時に燃焼原料として燃焼させる複数のバーナーと、
を具備したことを特徴とした焼却システム。
【請求項2】
セラミックス粉粒物を所定の温度に加熱しつつ循環させ前記セラミックス粉粒物および燃焼ガスを分離するサイクロンを備えた加熱流動床と、
化石燃料を取得する化石燃料取得手段と、
バイオマス系燃料を乾燥粉粒物の形態で取得する有機廃棄物取得手段と、
前記化石燃料および前記バイオマス系燃料を前記加熱流動床内に投入する燃焼原料投入部と、
を具備したことを特徴とした焼却システム。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の焼却システムであって、
前記化石燃料取得手段で取得する化石燃料は、原油を精製する石油精製施設から取得する重質油および微粉炭ならびに石油コークスのうちの少なくともいずれか1つである
ことを特徴とした焼却システム。
【請求項4】
請求項3に記載の焼却システムであって、
前記石油精製施設から取得する重質油は、常圧蒸留装置から取得する常圧残油、減圧蒸留装置から取得する減圧残油、および脱瀝残渣のうちの少なくともいずれか1つである
ことを特徴とした焼却システム。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の焼却システムであって、
前記有機廃棄物取得手段で取得するバイオマス系燃料は、木材粉砕物、汚水処理により生成される余剰の活性汚泥、ゴム系廃棄物、および、可燃ごみのうちの少なくともいずれか1つ以上である
ことを特徴とした焼却システム。
【請求項6】
請求項5に記載の焼却システムであって、
前記有機廃棄物取得手段は、プラスチック系廃棄物、バイオエタノール、および、エチル−ターシャリ−ブチル−エーテル(Ethyl Tertiary Butyl Ether)のうちの少なくともいずれか1つ以上を取得し、前記バイオマス系燃料とともに前記焼却炉へ供給する
ことを特徴とした焼却システム。
【請求項7】
請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の焼却システムであって、
前記化石燃料および前記バイオマス系燃料の燃焼による燃焼ガスとの熱交換により水蒸気を生成させる熱交換器と、
この熱交換器により生成した水蒸気により回転される水蒸気タービンを有した発電機と、
を具備したことを特徴とした焼却システム。
【請求項8】
請求項7に記載の焼却システムであって、
前記発電機で発電された電力を変圧して送電線へ供給する変圧器を具備した
ことを特徴とした焼却システム。
【請求項9】
請求項8に記載の焼却システムであって、
前記送電線は、コンビナートに既設のものである
ことを特徴とした焼却システム。
【請求項10】
請求項7ないし請求項9のいずれかに記載の焼却システムであって、
前記発電機から排出される水蒸気を水蒸気パイプラインに供給する水蒸気供給管を具備した
ことを特徴とした焼却システム。
【請求項11】
請求項10に記載の焼却システムであって、
前記水蒸気パイプラインは、コンビナートに既設あるいは新規の小規模施設の設置したものである
ことを特徴とした焼却システム。
【請求項12】
請求項1ないし請求項11のいずれかに記載の焼却システムであって、
前記化石燃料取得手段で取得した前記化石燃料を前記焼却炉へ供給する化石燃料供給手段と、
前記有機廃棄物取得手段で取得した前記バイオマス系燃料を前記焼却炉へ供給する有機廃棄物供給手段と、
前記化石燃料供給手段および前記有機廃棄物供給手段を制御し、前記焼却炉へ供給する前記化石燃料および前記バイオマス系燃料の量比を制御する焼却制御手段と、を具備した
ことを特徴とした焼却システム。
【請求項13】
請求項12に記載の焼却システムであって、
前記有機廃棄物取得手段は、種別毎に前記バイオマス系燃料を取得する複数の貯蔵部を備えて、
前記焼却制御手段は、前記貯蔵部から前記有機廃棄物供給手段にて供給される種別毎の供給量に応じて、前記化石燃料および前記バイオマス系燃料の量比を制御する
ことを特徴とした焼却システム。
【請求項14】
請求項1ないし請求項13のいずれかに記載の焼却システムであって、
前記有機廃棄物取得手段は、加熱機と、粉砕機とを備え、前記加熱機により乾燥または炭化処理された後に前記粉砕機にて粉砕した前記バイオマス系燃料を供給して燃焼させる
ことを特徴とした焼却システム。
【請求項15】
請求項14に記載の焼却システムであって、
前記化石燃料および前記バイオマス系燃料の燃焼による燃焼ガスとの熱交換により水蒸気を生成させる熱交換器を具備し、
前記有機廃棄物取得手段の加熱機は、前記熱交換器で生成される水蒸気または前記発電機から排出される水蒸気の熱を利用する
ことを特徴とした焼却システム。
【請求項16】
請求項1ないし請求項15のいずれかに記載の焼却システムであって、
前記有機廃棄物取得手段は、製糖処理により廃棄されるカルシウムを主成分とする製糖廃棄物を取得し、前記バイオマス系燃料とともに供給して燃焼させる
ことを特徴とした焼却システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−138890(P2008−138890A)
【公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−322470(P2006−322470)
【出願日】平成18年11月29日(2006.11.29)
【出願人】(000183646)出光興産株式会社 (2,069)
【Fターム(参考)】