説明

焼却設備

【課題】 焼却炉内の燃焼空間で、窒素酸化物(NOx)及びダイオキシンの発生を抑制するとともに、大気に放出される排気ガス量が抑制され、有害物質除去のための排出ガス処理装置の設備費用及びランニングコストを低減することができる焼却設備を提供することを目的としている。
【解決手段】 本発明の焼却設備は、焼却炉と焼却炉から排出される排ガスを処理する排ガス処理装置とを備えた焼却設備であって、焼却炉は、廃棄物を熱分解して得られる分解ガスを燃焼させる一次燃焼空間と一次燃焼空間からの燃焼ガスを燃焼させる二次燃焼空間とを有し、排ガス処理装置は冷却装置および/または熱回収装置およびそれより下流側に集塵装置を備え、冷却装置または熱回収装置と集塵装置との間の排ガスの一部を二次燃焼空間に供給する循環路を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、廃棄物を焼却処分する焼却設備に関し、特に焼却時に発生する燃焼ガスから窒素酸化物やダイオキシンなどを除去して大気に放出するのに好適な焼却設備に関する。
【背景技術】
【0002】
都市ごみや下水汚泥などの廃棄物を焼却処理する焼却設備には、焼却炉として、焼却灰が排出されるストーカー炉や流動床炉、或いは炉内でその残さを溶融スラグとして排出するシャフト炉などのガス化溶融炉が用いられている。いずれの焼却炉でも、最近では、焼却時に発生する燃焼ガスを、人体だけでなく大気など環境に対しても無害化して排出する必要があり、このためには、焼却炉内で窒素酸化物やダイオキシンなどの有害物質をできるだけ発生しないようにすることが望ましい。しかし、完全に有害物質を発生させないようにすることは難しい上、既存の焼却炉を改造する場合は技術的に限界があり、通常は発生した有害物質を除去する排ガス処理装置を併設して対処している。そのため、設備的に大規模になったり、ランニングコストがかかるという問題がある。
【0003】
上記の問題に対し、焼却設備の小型化を図るとともに、大気に排出される排ガス総量を減少させるとした焼却設備が、特許文献1に開示されている。この焼却設備は、ストーカ上で1次燃焼用ガスを受けて被燃焼物を燃焼させる一次燃焼空間と、この一次燃焼空間に連通して一次燃焼空間からの未燃焼ガスを燃焼させる二次燃焼空間を備え、二次燃焼空間と煙突をつなぐ煙道にバグフィルタを設けた焼却炉であって、バグフィルタ上流側の排ガスの一部を二次燃焼空間上流側に返送投入する第一再循環路を設け、再循環される排ガスにより二次燃焼空間の未燃焼ガスを攪拌混合させることを特徴としている。
【0004】
また、この焼却炉は、空気または酸素富化空気などの一次燃焼用ガスを、二次燃焼空間出口部における一次燃焼後の燃焼排ガス中の残存酸素濃度が所定の目標値になるように過剰投入することが大きな特徴である。これにより、一次燃焼空間における一次燃焼に消費されずに二次燃焼空間に移行した燃焼用ガスが、二次燃焼空間における二次燃焼用ガスとして利用され、別途外部から二次燃焼用ガスを供給しなくても二次燃焼空間における完全燃焼化を達成するための酸素量が確保できるとしている。さらに、バグフィルタ上流側の400℃から500℃の高温排ガスの一部を二次燃焼空間上流側に循環投入することで、燃焼排ガスの温度低下を引き起こすことなく、循環排ガスにより二次燃焼空間内の燃焼排ガスの混合攪拌が促進されるとともに、循環排ガスに残存する酸素が二次燃焼に再利用されるため、良好に完全燃焼化が達成できるとしている。その結果、排ガス総流量を大幅に低減できるので、煙道に設けた排ガス処理設備を小型化でき、設備費の低減が可能になるとしている。
【特許文献1】特開2003−287210号公報(段落番号0016〜0018、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示された焼却炉によれば、二次燃焼空間出口までの燃焼空間を酸化雰囲気とすることから、燃焼空間では窒素酸化物の発生を防止することはできない。また、400℃から500℃の高温排ガスで第二燃焼空間を攪拌混合するので、二次燃焼は900℃から1000℃となると説明されているが、ダイオキシンは少なくとも1000℃以上でなければ分解されないことから、燃焼空間でダイオキシンも除去することはできない。従って、この焼却炉では、必ず排ガスからこれらを除去する装置を設ける必要があるが、ダイオキシンに対するバグフィルタは設置されているが、窒素酸化物に対する除去装置についての説明はない。また、このバグフィルタでは除去すべきダイオキシン量が多くなるため、処理能力の大きな装置とするか、頻繁にフィルタを交換するなど設備費用がかかるだけでなく、万一、装置トラブルが生じた場合、大量のダイオキシンが大気に放出される恐れがある。また、第一再循環路を流れる排ガスから煤塵を除去する除塵装置は400℃から500℃の高温排ガスに対応する必要があり、耐熱性の高いセラミックフィルタや焼結金属フィルタを濾材として用いなければならず、これらは高価である。また、従来と比較して一次燃焼用ガスの投入量を増加させる必要があるので、排ガス総流量が大幅に減少するとは考え難い。
【0006】
従って、本発明は、焼却炉内の燃焼空間で、窒素酸化物(NOx)及びダイオキシンの発生を抑制するとともに、大気に放出される排気ガス量が抑制され、有害物質除去のための排出ガス処理装置の設備費用及びランニングコストを低減することができる焼却設備を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の焼却設備は、焼却炉と焼却炉から排出される排ガスを処理する排ガス処理装置とを備えた焼却設備であって、焼却炉は、廃棄物を熱分解して得られる分解ガスを燃焼させる一次燃焼空間と一次燃焼空間からの燃焼ガスを燃焼させる二次燃焼空間とを有し、排ガス処理装置は冷却装置および/または熱回収装置およびそれより下流側に集塵装置を備え、冷却装置または熱回収装置と集塵装置との間の排ガスの一部を二次燃焼空間に供給する循環路を設けたことを特徴とする。
前記循環路から二次燃焼空間に供給される排ガスは、温度が100〜200℃、酸素含有率が空気の酸素含有率より低いことが望ましい。
また、前記循環路の二次燃焼空間への開口は、一次燃焼空間からのガスが流入する二次燃焼空間の上流に開口されていることが望ましい。
また、前記二次燃焼空間には空気供給口が設けられ、少なくとも二次燃焼空間の下流では酸化雰囲気でガスに残留する可燃成分を完全燃焼するように空気が供給されることが好ましい。従って、二次燃焼空間を出た排ガスには酸素が含有されており、その含有率は空気の酸素含有率より低い。
本発明は、一次燃焼空間と二次燃焼空間を用いることで、燃焼雰囲気を還元性から酸化性へと変化させながらガスの可燃成分を燃焼させ、窒素酸化物やダイオキシンなどの有害物質の発生を抑制するようにしたものであるが、二次燃焼空間での可燃成分の燃焼に冷却された酸素を含有する排ガスを混合することで、燃焼温度が急激に高くなったり、極部的に高くなったりすることが抑制され、有害物質の発生を抑止するのに有効である。また、外部から供給される空気量を減らすことができるので、その分大気に放出される排ガス量を減らすようにことができる。
本発明による前記焼却炉は、シャフト炉内に廃棄物とコークスを供給して廃棄物をガスと固形物とに分解するガス化溶融炉に適用することが好ましい。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、焼却炉内で窒素酸化物、ダイオキシンなどの有害物質の発生を抑制するとともに、大気へ放出される排ガス量を少なくすることができるので、この排ガスを処理するための装置を小規模のものとすることができ、設備費を低減したり、ランニングコストを下げることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の焼却設備の一実施の形態を図面を参照して説明する。焼却設備は、図1に示すように、廃棄物を焼却する焼却炉1とそれに続く排ガス処理装置10を備えている。焼却炉1は、図2に断面図を示すように、一次燃焼空間をなすシャフト炉2と、それに連なる二次燃焼空間をなす二次燃焼炉3とを有し、廃棄物をガスと固形物とに分解するガス化溶融炉である。分解ガスは、十分に制御された雰囲気で燃焼させて有害物質を含まないか含んでも極めて低濃度の排ガスとされ、さらに排ガス処理装置10を経て大気中に放出される。固形物は、溶融状態としてメタルと主に酸化物からなるスラグとに二相分離して炉外に取り出される。取り出されたメタルとスラグは直ちに冷却・固化される。固化したスラグはガラス状であり、水にさらしても含有成分がしみ出すことはなく建設材料などとして再利用可能である。
【0010】
シャフト炉2は、炉底部22にコークス層25を形成し、この上に廃棄物26を積層し、コークス層25を燃焼させてこの熱で廃棄物26を燃焼及びガス化するものである。本実施例のシャフト炉2は、炉底部22近傍にプラズマトーチ21と、プラズマトーチ21の上方に第一の羽口23と第二の羽口24を設けている。プラズマトーチ21は同一高さの円周上に2ヶ所設け、プラズマトーチ21から吹き出す高温ガスの方向は平面的には炉体の直径方向、立面的には炉底部の底と垂直部の交点方向としている。第一の羽口23及び第二の羽口24は同じく円周上6ヶ所としている。第一の羽口23及び第二の羽口24から吹き込む空気は、後述する熱交換器12で二次燃焼後の高温排ガスと熱交換して高温になったものを使用している。
【0011】
プラズマトーチ21から吹き出す高温ガスは、窒素などの不活性ガスまたは空気や酸素富化空気などの酸素含有ガスである。コークス層25及び廃棄物層26に供給する空気の全てをコークス層25に設けるプラズマトーチから供給すると、コークス消費量の増大を招くため、第一の羽口23及び/又は第二の羽口24は廃棄物層26に設けることが好ましい。なお、コークス層25に酸素含有ガスを供給する羽口(図示せず)を設けることで、プラズマトーチ21を設けないようにすることもできる。
【0012】
シャフト炉2は、底部には溶融スラグ排出口27が設けてあり、略中間部には廃棄物26とコークス25を供給する材料供給口28が設けてある。材料供給口28の上部には第一の空気供給口31が設けてあり、フアン(図示せず)により燃焼支持ガス(通常は空気)を供給し、廃棄物26から発生した可燃ガスを燃焼する。第一の空気供給口31の上部でシャフト炉2の頂部近傍には排ガス口9が設けてあり、排ガス口9と二次燃焼炉3の上部とはダクト8を介して連接してある。図1に示すように、二次燃焼炉3の下流には排ガス処理装置10が連接され、一次冷却塔(冷却装置)11、熱交換器12、二次冷却塔(冷却装置)13、集塵機(集塵装置)14や排煙脱硝装置等が適宜設けられ、ガスは誘引ファン18で引かれて煙突19へと導かれる。一次冷却塔11では排ガスを450℃程度まで冷却し、二次冷却塔13ではダイオキシンの再合成反応が起きやすい温度領域である400〜200℃の温度範囲を急速冷却し再合成を抑えている。熱交換器12で第一の羽口23及び第二の羽口24に送られる空気を熱交換して高温にする。集塵機14としてはバグフィルタが好適であるが、その場合バグフィルタは高温では使用できないため上流側で排ガスの温度を下げておかなければならない。排ガスの温度を下げるのもとして冷却装置および/または熱回収装置を設けその下流側に集塵装置を設置する。冷却装置および/または熱回収装置を複数台設置するときは、そのうちの少なくても一部の装置が集塵装置の上流側に設置され、排ガス温度が集塵装置の使用に適した温度まで低下していればよい。冷却装置としては冷却塔が、熱回収装置としては熱交換器やボイラ等がそれぞれ好適に使用できる。
【0013】
二次燃焼炉3の上部には、第二の空気供給口32が設けてあり、ここから燃焼支持ガス(通常は空気)を供給して残存している可燃ガスを燃焼する。第二の空気供給口32は図示しないフアンに連結してあり、このフアンから空気が送られる。また、二次燃焼炉3の第二の空気供給口32の下流位置に、第三の空気供給口33を設ける。第三の空気供給口33は図示しないフアンに連結してあり、このフアンから燃焼支持用の空気が送られる。
【0014】
二次燃焼炉3の上部には、さらに、循環ガス供給口30が設けてあり、ここから二次燃焼炉3を通過した後の排ガスの一部(循環ガス)が戻されて供給される。循環ガスは、二次燃焼炉3上部の燃焼温度を抑制するために冷却された排ガスを用いる。循環ガスの温度は、100〜200℃程度が好ましいが、さらに好ましくは140〜180℃程度の範囲がよく、二次冷却塔13を通過した後で集塵機14に入る前の排ガスを取り込む。従って、二次燃焼炉3の上部と集塵機14前をつなぐ排ガス循環路5が形成される。循環路5には、バグフィルタ51、バルブ52、ファン53を装着するが、循環ガス温度は低いので高温仕様のものを用いる必要はない。
【0015】
次に、上述した焼却炉1における燃焼方法について説明する。
本実施の形態では、シャフト炉2内には、プラズマトーチ21、第一の羽口23、第二の羽口24及び第一の空気供給口31から空気が供給されるが、この総空気量は、コークス25や廃棄物26の可燃物質を全量酸化するに必要な化学量論量の60〜90%程度の酸素比を維持するような量とする。ここで、プラズマトーチ21及び第一、第二の羽口23、24から供給する空気量は、前記化学量論量の20〜50%程度の酸素比になるような範囲とする。なお、前記酸素比は下記式による。
酸素比=(供給酸素量+廃棄物中の有機酸素量)/(C×32/12+H×16/2)
ここで、供給酸素量は供給空気が含有している酸素量(kg/h)、Cは該酸素および廃棄物中の有機酸素と結合する炉内の有機化合物を含む廃棄物とコークス中の炭素量の合計(kg/h)、Hは該酸素および廃棄物中の有機酸素と結合する炉内の有機化合物を含む廃棄物とコークス中の水素量の合計(kg/h)である。但し、廃棄物中にハロゲン元素を含む場合にはハロゲン元素は水素と結合するのでその分の水素量は除く。
【0016】
シャフト炉2の下部には投入された廃棄物26及びコークスにより廃棄物層が形成される。廃棄物層の下には主にコークスからなる高温炉床がある。シャフト炉2の底部近くに設置されたプラズマトーチ21は酸素を含む支燃性ガスを2000〜2500℃のプラズマガスにして高温炉床に向けて供給する。高温炉床はプラズマトーチ21から供給されるプラズマガス及びコークスの燃焼により1500〜1700℃程度に保たれる。高温炉床における高温ガスは、その一部が炉底部の出滓口27から溶融物の排出に伴って外部に噴出するが、大部分は廃棄物層中を上昇する。材料供給口28から投入された廃棄物は廃棄物層の最上部を形成する。廃棄物は下から上昇してくる前述の高温ガスにより加熱され、徐々に降下しながら乾燥が進む。第一の羽口23と第二の羽口24から供給される支燃性ガスにより廃棄物の一部は燃焼し部分燃焼熱を発生する。この熱と高温ガスとにより廃棄物は600〜1000℃に加熱され可燃性の分解ガスと固形分とに熱分解される。固形分は炭素成分、灰分、金属等の不燃成分とからなる。固形分は更に降下して炭素成分は燃焼して燃焼ガスと灰分になる。灰分と不燃成分は高温炉床に達すると溶融し溶融スラグや溶融金属として出滓口27から排出される。出滓口27は閉塞させておき炉底部に溶融物がたまったら開口して出滓する間欠出滓でもよいが、常時開口しておき溶融物を排出し続ける連続出滓が操業の安定化や安全性の点で好ましい。
【0017】
廃棄物の熱分解により発生した分解ガスは、N2、 CO2、2Oの他にCO、H、未燃焼炭素、炭化水素、窒素酸化物、窒素化合物などを含んでおり、シャフト炉2内を上昇する。前記したように第一の羽口23と第二の羽口24とプラズマトーチ21から吹き込まれる総空気量は、前記化学量論量の20〜50%程度の酸素比になるような範囲としているため、発生するガス中には可燃ガスが多量に含まれ、しかも酸素はほとんど無い状態である。そのガスの温度は第一の空気供給口31の近傍では500℃を越えているから、第一の空気供給口31から空気を供給することで、ガスは点火燃料や補助燃料を加えることなく容易に燃焼して、その温度は約900℃となる。第一の空気供給口31から供給される空気は、前記したようにシャフト炉2内が化学量論量の60〜90%程度の酸素量を維持するように供給されるので、ガスは還元性燃焼雰囲気にて燃焼される。これによりNOxや窒素化合物の多くはNに分解される。この燃焼は不完全燃焼であるため、燃焼ガスにはNOxや窒素化合物の他CO、炭化水素、Hなどの還元性可燃成分が残留している。
【0018】
この燃焼ガスは、排ガス口9からダクト8を通って二次燃焼炉3へ導入される。二次燃焼炉3の上部では、燃焼ガスに残留する前記可燃成分を全量酸化するに必要な化学量論量以下、例えば量論比0.95の酸素供給量を維持するように、第二の空気供給口32からは空気が、循環ガス供給口30からは循環ガスが供給される。これによりほぼ還元性燃焼雰囲気の下で残存可燃成分のほとんどを燃焼させることができる。この時の燃焼温度は約1200℃程度に抑制され、窒素化合物のNOxへの再転化反応を防止しつつ窒素化合物をNに分解することができる。循環ガスは、後述するように酸素含有量が空気より少なく温度も低いので、燃焼温度を抑制することができ、NOxの発生抑制に有効である。その量は二次燃焼炉3から排出される排ガスの10〜20%程度、好ましくは15〜17%とするとよい。
【0019】
二次燃焼炉3の中下流では、第三の空気供給口33から供給される空気によって排ガスを完全燃焼させる。供給される空気量は、残留する可燃成分を全量酸化するに必要な化学量論量以上の酸素供給量、好ましくは量論比1.0〜1.3となるような量とする。従って、二次燃焼炉3の中下流部では、酸化性雰囲気となるが、ここに残存した可燃成分は僅かであり、NOxが発生するとしても極微量である。また、この部分における燃焼温度は1200℃程度は維持されるので、ダイオキシンを分解することができる。ここで酸素供給量の上限を量論比で1.3としたのは、二次燃焼炉3の上部へ戻す循環ガスの酸素濃度が高くなり過ぎないようにするためである。これにより、循環ガスは酸素を含有するが、その濃度は空気中の酸素濃度より低い。
【0020】
なお、シャフト炉2と二次燃焼炉3との間をダクト8でほぼ直角状に連結しているので、シャフト炉2からの燃焼ガスはこの間で激しく攪拌されて均一に混合される。また、ダクト8、第二の空気供給口32、循環ガス供給口30からの各流体を、二次燃焼炉3に旋回流をなすように供給することで良好に混合することができ、供給する空気量が前記化学量論的空気量の1.0〜1.3程度でもガス中の可燃ガスは充分に完全燃焼する。
【0021】
二次燃焼炉3から排出された燃焼ガスは、前述したように冷却塔、熱交換器を通過して冷却され、集塵機や脱硝装置、脱塩装置などで有害物質除去処理を施され、煙突から大気中に放出される。前述したように、本発明の焼却設備では、冷却装置と集塵機の間から循環ガスを取り込んで、二次燃焼炉に供給している。このため、集塵機及びそれ以降の装置を通過するガス量は、二次燃焼炉3から排出される燃焼ガス量から循環ガス量を除いた量、即ち羽口や空気供給口など外部から焼却炉1に供給された量となる。これは、循環ガスを用いない場合に比べ、外部から供給される空気量を、供給される循環ガスが含有している酸素量に相当する量だけ減らすことができることから、その分、集塵機以下の装置を小規模のものとすることができるとともに、大気へ放出される排ガス量を少なくすることができる。
【0022】
これにより、集塵機として触媒式バグフィルタを用いる場合、触媒式は高価なため、小型化による設備費の低減効果は大きい。また、活性炭や消石灰を投入する吸着式のものを用いる場合、その投入量は通過流量にほぼ比例するので消費量が減り、ランニングコストを下げることができる。また、排ガスを大気に誘引するためのファン16については、小型化により騒音の発生を小さくすることができる。
【0023】
以上の説明では、焼却炉に第一、第二、第三の空気供給口を設け、各々から空気を供給するとしたが、焼却炉の下流に排ガス処理装置を設けているので、燃焼制御にはある程度の柔軟性をもたせることができる。従って、必ずしも全ての空気供給口を設けなくても、また設けても全ての空気供給口から空気を供給しなくても、供給される空気量を適宜、設定及び制御して適用することもできる。例えば、第三の空気供給口33を設けずに、第二の空気供給口32から燃焼ガスに残留する前記可燃成分を全量酸化するに必要な化学量論量とほぼ同等の酸素供給量が維持されるような空気量を供給するようにしたり、二次燃焼炉の上部では、第二の空気供給口32から空気を供給しないで、循環ガス供給炉30から循環ガスだけを供給するようにすることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の焼却設備の概略構造を示す図である。
【図2】本発明における焼却炉の概略構成を示す縦断面図である。
【符号の説明】
【0025】
をなすシャフト炉2と、それに連なるをなす二次燃焼炉3
1…焼却炉
2…シャフト炉(一次燃焼空間)
3…二次燃焼炉(二次燃焼空間)
5…循環路
8…ダクト
10…排ガス処理設備
11,13…冷却塔(冷却装置)
14…集塵機(集塵装置,バグフィルタ)
21…プラズマトーチ
23…第一の羽口
24…第二の羽口
25…コークス
26…廃棄物、
30…循環ガス供給口
31…第一の空気供給口
32…第二の空気供給口
33…第三の空気供給口



















【特許請求の範囲】
【請求項1】
焼却炉と焼却炉から排出される排ガスを処理する排ガス処理装置とを備えた焼却設備であって、焼却炉は、廃棄物を熱分解して得られる分解ガスを燃焼させる一次燃焼空間と一次燃焼空間からの燃焼ガスを燃焼させる二次燃焼空間とを有し、排ガス処理装置は冷却装置および/または熱回収装置およびそれより下流側に集塵装置を備え、冷却装置または熱回収装置と集塵装置との間の排ガスの一部を二次燃焼空間に供給する循環路を設けたことを特徴とする焼却設備。
【請求項2】
前記循環路から二次燃焼空間に供給される排ガスは、温度が100〜200℃、酸素含有率が空気の酸素含有率より低いことを特徴とする請求項1記載の焼却設備。
【請求項3】
前記循環路の二次燃焼空間への開口は、一次燃焼空間からのガスが流入する二次燃焼空間の上流側に開口されていることを特徴とする請求項1又は2記載の焼却設備。
【請求項4】
前記二次燃焼空間には空気供給口が設けられ、少なくとも二次燃焼空間の下流側では酸化雰囲気で燃焼ガスに残留する可燃成分を完全燃焼するように空気が供給されることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の焼却設備。
【請求項5】
前記焼却炉は、シャフト炉内に廃棄物とコークスを供給して廃棄物をガスと固形物とに分解するガス化溶融炉であることを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の焼却設備。































【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−97915(P2006−97915A)
【公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−281736(P2004−281736)
【出願日】平成16年9月28日(2004.9.28)
【出願人】(000005083)日立金属株式会社 (2,051)
【Fターム(参考)】