焼成装置
【課題】 消費電力を削減し、装置の横幅寸法を縮小し、装置コストの削減を図ることのできる焼成装置を提供する。
【解決手段】 焼成装置は、焼成炉11と、焼成炉11内両側面にそれぞれ備えられているヒータ12と、互いに間隔をおいて炉長さ方向にのびた2つの搬送経路を有しかつ各搬送経路上で基板Pを搬送方向と平行に立てた状態で搬送する搬送装置13と、両搬送経路の間をのびている給気管31および排気管32とを備えている。
【解決手段】 焼成装置は、焼成炉11と、焼成炉11内両側面にそれぞれ備えられているヒータ12と、互いに間隔をおいて炉長さ方向にのびた2つの搬送経路を有しかつ各搬送経路上で基板Pを搬送方向と平行に立てた状態で搬送する搬送装置13と、両搬送経路の間をのびている給気管31および排気管32とを備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ等に用いられるガラス板のような基板を焼成するための焼成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の焼成装置としては、ローラハース式連続焼成装置と称されるものであって、焼成炉と、焼成炉内に長さ方向に連続して並べられた複数のセラミック製搬送ローラとを備えており、搬送ローラ上にセッターガラスを介して基板が載せられ、この状態で基板の熱処理が行われるようになっているものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
この従来装置には、以下のような問題点がある。第1に、熱容量の大きいセッターガラスを使用する必要があるため、セッターガラスの昇温のために多くの電力が消費されてしまう。第2に、装置の横幅寸法がセッターガラスの横幅寸法により規制されるため、装置の横幅寸法を縮小させることに限界がある。第3に、部品コストが高価なセラミックローラを使用しなければならないため、装置コストの削減することが困難である。
【特許文献1】特開2003−262473号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この発明の目的は、上記問題点を全て解決し、消費電力を削減し、装置の横幅寸法を縮小し、装置コストの削減を図ることのできる焼成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明による焼成装置は、焼成炉と、焼成炉内両側面にそれぞれ備えられているヒータと、互いに間隔をおいて炉長さ方向にのびた2つの搬送経路を有しかつ各搬送経路上で基板を搬送方向と平行に立てた状態で搬送する搬送手段と、両搬送経路の間をのびている給気管および排気管とを備えているいるものである。
【0006】
この発明による焼成装置では、セッターガラスのようなものを用いる必要が無いから、消費電力を削減することができる。さらに、基板を立てた状態で搬送するから、装置の横幅寸法を縮小することができる。さらに、セラミックローラのようなものを用いる必要が無いから、装置コストの削減を図ることができる。しかも、搬送中の基板を外側からヒータによって加熱し、その内側から給気管および排気管によって排塵・換気することができる。基板が、例えば、プラズマディスプレイ用パネルの場合、これに付着しているバインダー等を気化させかつ気化したガスを換気することができる。さらに、給気管および排気管の両側に2つの基板搬送経路が形成されているから、排塵・換気を効率良く行うことに加えて、基板を2列で効率良く搬送することができる。
【0007】
さらに、給気管が、給気主管と、給気主管から分岐させられた複数の給気枝管とよりなり、給気枝管の長さ方向に複数の給気口が形成されており、排気管が、排気主管と、各排気主管から分岐させられた複数の排気枝管とよりなり、排気枝管の長さ方向に複数の排気口が形成されていると、複数か所から給気および排気を行うことができる。
【0008】
また、給気主管および排気主管が基板搬送方向に所定距離をおいて上下方向にのびており、給気枝管および排気枝管が上下に隣接させられて搬送方向またはこれと反対方向にのびていると、給気枝管および排気枝管をコンパクトに配列することができる。
【0009】
また、焼成炉内両側面に内方突出格子状ヒートバリアが設けられており、ヒータが、ヒートバリアのなす格子の目に相当する部分にそれぞれ配置されかつ個々に温度制御可能とする複数の発熱体よりなると、炉内各部の温度制御性能を高めることができ、炉内各部を所望の温度に加熱することができる。
【0010】
また、搬送手段が、基板の下縁部を受ける搬送体と、基板の上縁部の移動を案内するガイドとを備えていると、基板に自重を作用させることなく搬送することができる。
【0011】
また、搬送手段が、基板の上縁部を吊下げている吊金具と、吊金具を取付けた搬送チェーンと、基板の下縁部の移動を案内するガイドとを備えていると、搬送手段をシンプルに構成することができる。
【0012】
また、搬送手段が、搬送チェーンと、搬送チェーンの上方で基板の上縁部を吊下げている吊金具と、搬送チェーンおよび吊金具の間に介在させられている支持体とを備えていると、基板の下縁部を案内するガイドのようなものを必要としないから、搬送手段をシンプルに構成することができる。
【発明の効果】
【0013】
この発明によれば、消費電力を削減し、装置の横幅寸法を縮小し、装置コストの削減を図ることのできる焼成装置が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
この発明の実施の形態を図面を参照しながらつぎに説明する。
【0015】
以下の説明において、前後とは、基板が搬送されて進む側を前(図1の右側)、これと反対側を後といい、左右とは、後方から見て、その左右の側を左右というものとする。
【0016】
図1は、焼成炉11の全体構造を示すものである。焼成炉11の入口11Aから出口11Bにかけて、炉内は4つのセクションに区画されている。4つのセクションとはバーンアウトセクション、焼成セクション、徐冷セクションおよび冷却セクションである。これらの4つのセクションの温度温度プロフィルが図1に合わせて示されている。
【0017】
以下、バーンアウトセクションにおける構成を詳しく説明する。
【0018】
図2および図3を参照すると、焼成装置は、焼成炉11と、焼成炉11内を加熱するヒータ12と、焼成炉11内で基板Pを搬送方向と平行に立てた状態で搬送する搬送装置13とを備えている。
【0019】
焼成炉11は、上下に長い方形状の横断面をもつ前後方向にのびた水平角筒状のものであって、頂壁21、底壁22および左右側壁23、24よりなる。これらの炉壁21〜24は、セラミックファイバー成型断熱材よりなる。また、炉壁21〜24内面の所要か所には、発塵を押さえるための特殊コーティングが施されている。
【0020】
焼成炉11内は前後方向に連続して並んだ複数のゾーンZn(nは整数、図示はZ2、Z3、Z4)が形成されている。さらに、各ゾーンZn内には上下方向に並んだ複数、ここでは3つの区画D1、D2、D3が形成されている。
【0021】
焼成炉11内左右両側面には内方突出格子状ヒートバリア25がそれぞれ設けられている。ヒートバリア25は、焼成炉11の炉壁21〜24を形成している断熱材と同じ材料である。ヒートバリア25のなす格子の縦線は、隣り合う2つのゾーンZnの境界に対応するようにのびており、同横線は、各ゾーンZn内における隣り合う区画Dn(nは整数、図示はD1、D2、D3)の境界に対応するようにのびている。
【0022】
ヒータ12は、ヒートバリア25のなす格子の目に相当する部分にそれぞれ配置されている複数の発熱体26よりなる。各発熱体26は、蛇行状に成形された抵抗金属線よりなりかつ対応する側壁33、34内面に一体的に埋設されている。
【0023】
各ゾーンZnには給気管31および排気管32が備えられている。
【0024】
給気管31は、垂直状給気主管41と、給気主管41の長さ方向3か所から分岐させられた3つの水平給気枝管42とよりなる。給気主管41は、各ゾーンZnの前端部における左右方向中央部を頂壁21を貫通して上下方向にのびている。各給気枝管42は、横断面逆三角形状の周壁を有しかつ対応する区画D1、D2、D3の上端近くを後向きにのびている。周壁のV字状底部の長さ方向複数か所には2つずつで対をなす複数対の給気口43が下向きに形成されている。対をなす2つの給気口43は、垂直線に対して互いに反対方向を向く45度程度の角度をもたされている。
【0025】
排気管32は、垂直状排気主管44と、給気主管41の長さ方向4か所から分岐させられた4つの水平排気枝管45とよりなる。排気主管44は、各ゾーンZnの後端部における左右方向中央部を頂壁21を貫通して上下方向にのびている。各排気枝管45は、横断面正方形状の周壁を有しかつ前向きにのびている。4つの排気枝管45のうち、最上位の排気枝管45は、頂壁21下面と接触させられ、上から2番目と3番目の排気枝管45は、対応する給気枝管42の上面と接触させられ、最下位の排気枝管45は、底壁22上面と接触させられている。さらに、4つの排気枝管45のうち、最上位の排気枝管45周壁の平坦状底部には2つずつで対をなす複数対の排気口46が下向きに形成されているが、これ以外の2〜4番目の排気枝管45周壁の平坦状頂部には2つずつで対をなす複数対の排気口46が上向きに形成されている。対をなす2つずつの排気口46は、垂直線に対して互いに反対方向を向く45度程度の角度をもたされている。
【0026】
搬送装置13は、焼成炉11内底部近くに配置されている前後方向にのびた一列の搬送ローラ列51と、焼成炉11内頂部近くに配置されている前後方向にのびた左右一対のガイドローラ列52とを備えている。
【0027】
搬送ローラ列51は、前後方向に所定間隔をおいて1列に並べられかつ左右方向にのびた複数の水平搬送ローラ53よりなる。各搬送ローラ53の両端部は、最下位の発熱体26より下方で、最下位の排気枝管45の上方を横切るように両側壁23、24を貫通して側方に突出させられている。搬送ローラ53外面の、焼成炉11内にある部分には左右一対の環状基板受溝54が形成されている。両基板受溝54は、給気管31および排気管32を挟んでその両側に位置させられている。
【0028】
左右のガイドローラ列52は、同一構造のもので、両基板受溝54の間隔と同じ間隔をおい並んでいる。各ガイドローラ列52は、前後および左右方向に所定間隔をおいて2列に並べられた複数の垂直ガイドローラ55よりなる。左右のガイドローラ55は、基板Pの厚みよりも極僅かだけ大きい間隔をおいて垂直ローラ軸56に取付られている。ローラ軸56は、頂壁21に貫通させられている。
【0029】
2つの基板Pの下縁部が基板受溝54に進入させられ、その上縁部が左右のガイドローラ55で挟まれた状態で、2つの基板Pが同時に焼成炉11内を前向きに搬送されていく。このときに、図示しない駆動手段によって、全ての搬送ローラ53が図2中時計方向に同速度で回転駆動される。基板Pがプラズマディスプレイ用パネルの場合、その表面にはバインダ等が塗布されている。基板Pはその表面を内側に向けた状態で搬送される。予熱セクションを通過する際に、バインダー等は気化し、これが給気管31および排気管32によって炉11外へ効率良く導かれる。
【0030】
つぎに、搬送装置13のバリエーションを様々に説明する。以下の説明において、対応する部分には、便宜上、同一の符号を付して示す。
【0031】
図4には、1つの基板Pの下縁部を受ける搬送ローラ61と、同基板Pの上縁を案内するガイドローラ62とが示されている。搬送ローラ61外面には1つの環状基板受溝63が形成されている。ガイドローラ62外面には1つの環状基板押溝64が形成されている。
【0032】
図5は、2つの基板Pを同時に搬送する例を示すものである。図4に示す搬送ローラ61と同様の搬送ローラ61の外面には2つの基板受溝63が形成されている。同様に、ガイドローラ62外面には2つの環状基板押溝64が形成されている。
【0033】
図6では、基板Pの下縁部が搬送体71で受けられている。搬送体71は、セラミックコンベヤのチェーンまたはメッシュベルトコンベヤのベルトである。搬送体71には門形棒状支持金具72の下端部が取付られている。支持金具72の頂部には、基板Pの下縁部を進入させた上向き基板受ノッチ73が形成されている。基板Pの上縁部は、左右一対のガイドローラ74で挟まれている。
【0034】
図7は、図6に示す支持金具72と同様の支持金具72に左右一対の基板受ノッチ73が形成されている。2つの基板Pの上縁部は、左右二対のガイドローラ74の対をなすもの同士でそれぞれ挟まれている。
【0035】
図8は、焼成炉11の頂部を搬送体71が移動するように配置され、搬送体71に吊金具81が取付られ、吊金具81によって基板Pの上縁部を吊持するように構成したものである。基板Pの下縁部は、左右のガイドローラ74に挟まれて案内されるようになっている。 図9は、図8の基本構造を2列化したものである。搬送体71には2つの吊金具81が取付られている。2つの基板Pの下縁部は、左右二対のガイドローラ74の対をなすもの同士でそれぞれ挟まれている。
【0036】
図10および図11を参照すると、搬送体71には基板支持体91が取付られている。基板支持体91は、立てた状態の基板Pの前後方向の長さよりも大きい間隔で搬送体71から開口同士を向合わるように立上りかつ同基板Pの上下方向の長さよりも大きい高さをもつ前後一対の横断面コ字状垂直縦材92と、開口を下に向けて両縦材92の上端同士を連絡している横断面コ字状水平横材93と、横材93から吊下げられかつ基板Pの上縁部を吊持している吊金具81とよりなる。
【0037】
図12は、図10および図11に示す基板支持体91によって2つの基板Pを同時に搬送するようにしたものである。基板支持体91の横材93には2つの吊金具81が左右に並んで取付られている。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】この発明による焼成装置の焼成炉の説明図である。
【図2】この発明による焼成装置の予熱セクションにおける垂直縦断面図である。
【図3】同焼成装置の横断面図である。
【図4】同焼成装置の搬送手段のバリエーションを示す説明図である。
【図5】同搬送手段の他のバリエーションを示す説明図である。
【図6】同搬送手段のさらなる他のバリエーションを示す説明図である。
【図7】同搬送手段のさらなる他のバリエーションを示す説明図である。
【図8】同搬送手段のさらなる他のバリエーションを示す説明図である。
【図9】同搬送手段のさらなる他のバリエーションを示す説明図である。
【図10】同搬送手段のさらなる他のバリエーションを示す説明図である。
【図11】図10を側方より見た説明図である。
【図12】同搬送手段のさらなる他のバリエーションを示す説明図である。
【符号の説明】
【0039】
11 焼成炉
12 ヒータ
13 搬送装置
25 ヒートバリヤ
26 発熱体
31 給気管
32 排気管
51 搬送ローラ列
52 ガイドローラ列
P 基板
Zn ゾーン
Dn 区画
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ等に用いられるガラス板のような基板を焼成するための焼成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の焼成装置としては、ローラハース式連続焼成装置と称されるものであって、焼成炉と、焼成炉内に長さ方向に連続して並べられた複数のセラミック製搬送ローラとを備えており、搬送ローラ上にセッターガラスを介して基板が載せられ、この状態で基板の熱処理が行われるようになっているものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
この従来装置には、以下のような問題点がある。第1に、熱容量の大きいセッターガラスを使用する必要があるため、セッターガラスの昇温のために多くの電力が消費されてしまう。第2に、装置の横幅寸法がセッターガラスの横幅寸法により規制されるため、装置の横幅寸法を縮小させることに限界がある。第3に、部品コストが高価なセラミックローラを使用しなければならないため、装置コストの削減することが困難である。
【特許文献1】特開2003−262473号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この発明の目的は、上記問題点を全て解決し、消費電力を削減し、装置の横幅寸法を縮小し、装置コストの削減を図ることのできる焼成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明による焼成装置は、焼成炉と、焼成炉内両側面にそれぞれ備えられているヒータと、互いに間隔をおいて炉長さ方向にのびた2つの搬送経路を有しかつ各搬送経路上で基板を搬送方向と平行に立てた状態で搬送する搬送手段と、両搬送経路の間をのびている給気管および排気管とを備えているいるものである。
【0006】
この発明による焼成装置では、セッターガラスのようなものを用いる必要が無いから、消費電力を削減することができる。さらに、基板を立てた状態で搬送するから、装置の横幅寸法を縮小することができる。さらに、セラミックローラのようなものを用いる必要が無いから、装置コストの削減を図ることができる。しかも、搬送中の基板を外側からヒータによって加熱し、その内側から給気管および排気管によって排塵・換気することができる。基板が、例えば、プラズマディスプレイ用パネルの場合、これに付着しているバインダー等を気化させかつ気化したガスを換気することができる。さらに、給気管および排気管の両側に2つの基板搬送経路が形成されているから、排塵・換気を効率良く行うことに加えて、基板を2列で効率良く搬送することができる。
【0007】
さらに、給気管が、給気主管と、給気主管から分岐させられた複数の給気枝管とよりなり、給気枝管の長さ方向に複数の給気口が形成されており、排気管が、排気主管と、各排気主管から分岐させられた複数の排気枝管とよりなり、排気枝管の長さ方向に複数の排気口が形成されていると、複数か所から給気および排気を行うことができる。
【0008】
また、給気主管および排気主管が基板搬送方向に所定距離をおいて上下方向にのびており、給気枝管および排気枝管が上下に隣接させられて搬送方向またはこれと反対方向にのびていると、給気枝管および排気枝管をコンパクトに配列することができる。
【0009】
また、焼成炉内両側面に内方突出格子状ヒートバリアが設けられており、ヒータが、ヒートバリアのなす格子の目に相当する部分にそれぞれ配置されかつ個々に温度制御可能とする複数の発熱体よりなると、炉内各部の温度制御性能を高めることができ、炉内各部を所望の温度に加熱することができる。
【0010】
また、搬送手段が、基板の下縁部を受ける搬送体と、基板の上縁部の移動を案内するガイドとを備えていると、基板に自重を作用させることなく搬送することができる。
【0011】
また、搬送手段が、基板の上縁部を吊下げている吊金具と、吊金具を取付けた搬送チェーンと、基板の下縁部の移動を案内するガイドとを備えていると、搬送手段をシンプルに構成することができる。
【0012】
また、搬送手段が、搬送チェーンと、搬送チェーンの上方で基板の上縁部を吊下げている吊金具と、搬送チェーンおよび吊金具の間に介在させられている支持体とを備えていると、基板の下縁部を案内するガイドのようなものを必要としないから、搬送手段をシンプルに構成することができる。
【発明の効果】
【0013】
この発明によれば、消費電力を削減し、装置の横幅寸法を縮小し、装置コストの削減を図ることのできる焼成装置が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
この発明の実施の形態を図面を参照しながらつぎに説明する。
【0015】
以下の説明において、前後とは、基板が搬送されて進む側を前(図1の右側)、これと反対側を後といい、左右とは、後方から見て、その左右の側を左右というものとする。
【0016】
図1は、焼成炉11の全体構造を示すものである。焼成炉11の入口11Aから出口11Bにかけて、炉内は4つのセクションに区画されている。4つのセクションとはバーンアウトセクション、焼成セクション、徐冷セクションおよび冷却セクションである。これらの4つのセクションの温度温度プロフィルが図1に合わせて示されている。
【0017】
以下、バーンアウトセクションにおける構成を詳しく説明する。
【0018】
図2および図3を参照すると、焼成装置は、焼成炉11と、焼成炉11内を加熱するヒータ12と、焼成炉11内で基板Pを搬送方向と平行に立てた状態で搬送する搬送装置13とを備えている。
【0019】
焼成炉11は、上下に長い方形状の横断面をもつ前後方向にのびた水平角筒状のものであって、頂壁21、底壁22および左右側壁23、24よりなる。これらの炉壁21〜24は、セラミックファイバー成型断熱材よりなる。また、炉壁21〜24内面の所要か所には、発塵を押さえるための特殊コーティングが施されている。
【0020】
焼成炉11内は前後方向に連続して並んだ複数のゾーンZn(nは整数、図示はZ2、Z3、Z4)が形成されている。さらに、各ゾーンZn内には上下方向に並んだ複数、ここでは3つの区画D1、D2、D3が形成されている。
【0021】
焼成炉11内左右両側面には内方突出格子状ヒートバリア25がそれぞれ設けられている。ヒートバリア25は、焼成炉11の炉壁21〜24を形成している断熱材と同じ材料である。ヒートバリア25のなす格子の縦線は、隣り合う2つのゾーンZnの境界に対応するようにのびており、同横線は、各ゾーンZn内における隣り合う区画Dn(nは整数、図示はD1、D2、D3)の境界に対応するようにのびている。
【0022】
ヒータ12は、ヒートバリア25のなす格子の目に相当する部分にそれぞれ配置されている複数の発熱体26よりなる。各発熱体26は、蛇行状に成形された抵抗金属線よりなりかつ対応する側壁33、34内面に一体的に埋設されている。
【0023】
各ゾーンZnには給気管31および排気管32が備えられている。
【0024】
給気管31は、垂直状給気主管41と、給気主管41の長さ方向3か所から分岐させられた3つの水平給気枝管42とよりなる。給気主管41は、各ゾーンZnの前端部における左右方向中央部を頂壁21を貫通して上下方向にのびている。各給気枝管42は、横断面逆三角形状の周壁を有しかつ対応する区画D1、D2、D3の上端近くを後向きにのびている。周壁のV字状底部の長さ方向複数か所には2つずつで対をなす複数対の給気口43が下向きに形成されている。対をなす2つの給気口43は、垂直線に対して互いに反対方向を向く45度程度の角度をもたされている。
【0025】
排気管32は、垂直状排気主管44と、給気主管41の長さ方向4か所から分岐させられた4つの水平排気枝管45とよりなる。排気主管44は、各ゾーンZnの後端部における左右方向中央部を頂壁21を貫通して上下方向にのびている。各排気枝管45は、横断面正方形状の周壁を有しかつ前向きにのびている。4つの排気枝管45のうち、最上位の排気枝管45は、頂壁21下面と接触させられ、上から2番目と3番目の排気枝管45は、対応する給気枝管42の上面と接触させられ、最下位の排気枝管45は、底壁22上面と接触させられている。さらに、4つの排気枝管45のうち、最上位の排気枝管45周壁の平坦状底部には2つずつで対をなす複数対の排気口46が下向きに形成されているが、これ以外の2〜4番目の排気枝管45周壁の平坦状頂部には2つずつで対をなす複数対の排気口46が上向きに形成されている。対をなす2つずつの排気口46は、垂直線に対して互いに反対方向を向く45度程度の角度をもたされている。
【0026】
搬送装置13は、焼成炉11内底部近くに配置されている前後方向にのびた一列の搬送ローラ列51と、焼成炉11内頂部近くに配置されている前後方向にのびた左右一対のガイドローラ列52とを備えている。
【0027】
搬送ローラ列51は、前後方向に所定間隔をおいて1列に並べられかつ左右方向にのびた複数の水平搬送ローラ53よりなる。各搬送ローラ53の両端部は、最下位の発熱体26より下方で、最下位の排気枝管45の上方を横切るように両側壁23、24を貫通して側方に突出させられている。搬送ローラ53外面の、焼成炉11内にある部分には左右一対の環状基板受溝54が形成されている。両基板受溝54は、給気管31および排気管32を挟んでその両側に位置させられている。
【0028】
左右のガイドローラ列52は、同一構造のもので、両基板受溝54の間隔と同じ間隔をおい並んでいる。各ガイドローラ列52は、前後および左右方向に所定間隔をおいて2列に並べられた複数の垂直ガイドローラ55よりなる。左右のガイドローラ55は、基板Pの厚みよりも極僅かだけ大きい間隔をおいて垂直ローラ軸56に取付られている。ローラ軸56は、頂壁21に貫通させられている。
【0029】
2つの基板Pの下縁部が基板受溝54に進入させられ、その上縁部が左右のガイドローラ55で挟まれた状態で、2つの基板Pが同時に焼成炉11内を前向きに搬送されていく。このときに、図示しない駆動手段によって、全ての搬送ローラ53が図2中時計方向に同速度で回転駆動される。基板Pがプラズマディスプレイ用パネルの場合、その表面にはバインダ等が塗布されている。基板Pはその表面を内側に向けた状態で搬送される。予熱セクションを通過する際に、バインダー等は気化し、これが給気管31および排気管32によって炉11外へ効率良く導かれる。
【0030】
つぎに、搬送装置13のバリエーションを様々に説明する。以下の説明において、対応する部分には、便宜上、同一の符号を付して示す。
【0031】
図4には、1つの基板Pの下縁部を受ける搬送ローラ61と、同基板Pの上縁を案内するガイドローラ62とが示されている。搬送ローラ61外面には1つの環状基板受溝63が形成されている。ガイドローラ62外面には1つの環状基板押溝64が形成されている。
【0032】
図5は、2つの基板Pを同時に搬送する例を示すものである。図4に示す搬送ローラ61と同様の搬送ローラ61の外面には2つの基板受溝63が形成されている。同様に、ガイドローラ62外面には2つの環状基板押溝64が形成されている。
【0033】
図6では、基板Pの下縁部が搬送体71で受けられている。搬送体71は、セラミックコンベヤのチェーンまたはメッシュベルトコンベヤのベルトである。搬送体71には門形棒状支持金具72の下端部が取付られている。支持金具72の頂部には、基板Pの下縁部を進入させた上向き基板受ノッチ73が形成されている。基板Pの上縁部は、左右一対のガイドローラ74で挟まれている。
【0034】
図7は、図6に示す支持金具72と同様の支持金具72に左右一対の基板受ノッチ73が形成されている。2つの基板Pの上縁部は、左右二対のガイドローラ74の対をなすもの同士でそれぞれ挟まれている。
【0035】
図8は、焼成炉11の頂部を搬送体71が移動するように配置され、搬送体71に吊金具81が取付られ、吊金具81によって基板Pの上縁部を吊持するように構成したものである。基板Pの下縁部は、左右のガイドローラ74に挟まれて案内されるようになっている。 図9は、図8の基本構造を2列化したものである。搬送体71には2つの吊金具81が取付られている。2つの基板Pの下縁部は、左右二対のガイドローラ74の対をなすもの同士でそれぞれ挟まれている。
【0036】
図10および図11を参照すると、搬送体71には基板支持体91が取付られている。基板支持体91は、立てた状態の基板Pの前後方向の長さよりも大きい間隔で搬送体71から開口同士を向合わるように立上りかつ同基板Pの上下方向の長さよりも大きい高さをもつ前後一対の横断面コ字状垂直縦材92と、開口を下に向けて両縦材92の上端同士を連絡している横断面コ字状水平横材93と、横材93から吊下げられかつ基板Pの上縁部を吊持している吊金具81とよりなる。
【0037】
図12は、図10および図11に示す基板支持体91によって2つの基板Pを同時に搬送するようにしたものである。基板支持体91の横材93には2つの吊金具81が左右に並んで取付られている。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】この発明による焼成装置の焼成炉の説明図である。
【図2】この発明による焼成装置の予熱セクションにおける垂直縦断面図である。
【図3】同焼成装置の横断面図である。
【図4】同焼成装置の搬送手段のバリエーションを示す説明図である。
【図5】同搬送手段の他のバリエーションを示す説明図である。
【図6】同搬送手段のさらなる他のバリエーションを示す説明図である。
【図7】同搬送手段のさらなる他のバリエーションを示す説明図である。
【図8】同搬送手段のさらなる他のバリエーションを示す説明図である。
【図9】同搬送手段のさらなる他のバリエーションを示す説明図である。
【図10】同搬送手段のさらなる他のバリエーションを示す説明図である。
【図11】図10を側方より見た説明図である。
【図12】同搬送手段のさらなる他のバリエーションを示す説明図である。
【符号の説明】
【0039】
11 焼成炉
12 ヒータ
13 搬送装置
25 ヒートバリヤ
26 発熱体
31 給気管
32 排気管
51 搬送ローラ列
52 ガイドローラ列
P 基板
Zn ゾーン
Dn 区画
【特許請求の範囲】
【請求項1】
焼成炉と、焼成炉内両側面にそれぞれ備えられているヒータと、互いに間隔をおいて炉長さ方向にのびた2つの搬送経路を有しかつ各搬送経路上で基板を搬送方向と平行に立てた状態で搬送する搬送手段と、両搬送経路の間をのびている給気管および排気管とを備えている焼成装置。
【請求項2】
給気管が、給気主管と、給気主管から分岐させられた複数の給気枝管とよりなり、給気枝管の長さ方向に複数の給気口が形成されており、排気管が、排気主管と、各排気主管から分岐させられた複数の排気枝管とよりなり、排気枝管の長さ方向に複数の排気口が形成されている請求項1に記載の焼成装置。
【請求項3】
給気主管および排気主管が基板搬送方向に所定距離をおいて上下方向にのびており、給気枝管および排気枝管が上下に隣接させられて搬送方向またはこれと反対方向にのびている請求項2に記載の焼成装置。
【請求項4】
焼成炉内両側面に内方突出格子状ヒートバリアが設けられており、ヒータが、ヒートバリアのなす格子の目に相当する部分にそれぞれ配置されかつ個々に温度制御可能とする複数の発熱体よりなる請求項1〜3のいずれか1つに記載の焼成装置。
【請求項5】
搬送手段が、基板の下縁部を受ける搬送体と、基板の上縁部の移動を案内するガイドとを備えている請求項1〜4のいずれか1つに記載の焼成装置。
【請求項6】
搬送手段が、基板の上縁部を吊下げている吊金具と、吊金具を取付けた搬送チェーンと、基板の下縁部の移動を案内するガイドとを備えている請求項1〜4のいずれか1つに記載の焼成装置。
【請求項7】
搬送手段が、搬送チェーンと、搬送チェーンの上方で基板の上縁部を吊下げている吊金具と、搬送チェーンおよび吊金具の間に介在させられている支持体とを備えている請求項1〜4のいずれか1つに記載の焼成装置。
【請求項1】
焼成炉と、焼成炉内両側面にそれぞれ備えられているヒータと、互いに間隔をおいて炉長さ方向にのびた2つの搬送経路を有しかつ各搬送経路上で基板を搬送方向と平行に立てた状態で搬送する搬送手段と、両搬送経路の間をのびている給気管および排気管とを備えている焼成装置。
【請求項2】
給気管が、給気主管と、給気主管から分岐させられた複数の給気枝管とよりなり、給気枝管の長さ方向に複数の給気口が形成されており、排気管が、排気主管と、各排気主管から分岐させられた複数の排気枝管とよりなり、排気枝管の長さ方向に複数の排気口が形成されている請求項1に記載の焼成装置。
【請求項3】
給気主管および排気主管が基板搬送方向に所定距離をおいて上下方向にのびており、給気枝管および排気枝管が上下に隣接させられて搬送方向またはこれと反対方向にのびている請求項2に記載の焼成装置。
【請求項4】
焼成炉内両側面に内方突出格子状ヒートバリアが設けられており、ヒータが、ヒートバリアのなす格子の目に相当する部分にそれぞれ配置されかつ個々に温度制御可能とする複数の発熱体よりなる請求項1〜3のいずれか1つに記載の焼成装置。
【請求項5】
搬送手段が、基板の下縁部を受ける搬送体と、基板の上縁部の移動を案内するガイドとを備えている請求項1〜4のいずれか1つに記載の焼成装置。
【請求項6】
搬送手段が、基板の上縁部を吊下げている吊金具と、吊金具を取付けた搬送チェーンと、基板の下縁部の移動を案内するガイドとを備えている請求項1〜4のいずれか1つに記載の焼成装置。
【請求項7】
搬送手段が、搬送チェーンと、搬送チェーンの上方で基板の上縁部を吊下げている吊金具と、搬送チェーンおよび吊金具の間に介在させられている支持体とを備えている請求項1〜4のいずれか1つに記載の焼成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2006−29597(P2006−29597A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−204295(P2004−204295)
【出願日】平成16年7月12日(2004.7.12)
【出願人】(000167200)光洋サーモシステム株式会社 (180)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年7月12日(2004.7.12)
【出願人】(000167200)光洋サーモシステム株式会社 (180)
【Fターム(参考)】
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