説明

熱交換器

【課題】 熱交換されたドレンの排出を円滑に行うことができると共に、液体を加熱又は冷却する場合の装置の圧力損失を調節可能に構成した熱交換器を提供する。
【解決手段】 熱交換用外套タンク10の外套管50に媒体供給パイプ12とドレン排出パイプ22を接続し、ドレン回収タンク20内のドレンが設定レベルに達すると、ドレン回収タンク20に接続した媒体供給用の分岐パイプ19の電磁弁19Aを開くことにより、媒体をドレン回収タンク20に送り込んでドレンの排出を行う。上記外套管50の両端口に取付けた蓋板60,70の取付角度を変えるか、又は、交換することにより、熱交換する液体に合わせて圧力損失を調整する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、液体調味料食品などを短時間で効率的に加熱処理・冷却処理する場合に用いて好適な熱交換器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば液体調味料などの食品を短時間で且つ効率的に加熱処理・冷却処理を行おうとするとき、例えば特許文献1に記載されているように、金属パイプを温水や飽和蒸気のような熱媒、もしくは、冷水のような冷媒を満たした雰囲気中に配管して、この金属パイプ中を流れる液体と熱媒もしくは冷媒との間で熱交換を行うように構成した熱交換器が広く利用されていた。
【特許文献1】特開2002−181490号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記構成の熱交換器を用いて液体を加熱する場合、熱媒として蒸気と温水が使用されるが、蒸気加熱は温水加熱に比較して温度及び熱量が高い上に、その供給手段が安易なため、従来から多くの加熱装置の熱源として使用される。しかし、装置の使用に際して、低温加熱や過負荷が原因で蒸気供給が不足した場合には、当然蒸気温度は100℃
以下となって負圧状態(大気圧以下)になるため、装置内が真空状態になって熱交換されたドレンの排出が出来なくなる問題があった。
【0004】
また、液体調味料等を加熱又は冷却する場合に、液体の粘度と流量(流速)による装置の圧力損失が大きな問題となるが、高圧による成分変化や液送ポンプの性能等の問題もあって、一般的には0.8Mpa以下が適当とされており、必要とする流量(流速)を得られない問題があり、特に熱交換用の外套管を複数本並設した多管式(多段式)の熱交換器では、上述した各問題が顕著に現れる傾向があり、加えて、多管式熱交換器の場合は、液体の流速を一定に調整できない問題があった。
【0005】
従って本発明の技術的課題は、熱交換されたドレンの排出を円滑に行うことができると共に、液体を加熱又は冷却する場合の装置の圧力損失を調節可能と成し、且つ、多管式熱交換器における液体の流速を一定に調整できるように構成した熱交換器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1) 上記の技術的課題を解決するために、本発明の請求項1に係る熱交換器は、金属パイプを熱媒を満たした雰囲気中に配設して、この金属パイプ中を流れる液体と熱媒との間で熱交換を行う熱交換器であって、熱媒としてスチームを使用し、2次側の加熱される液体の任意設定温度に対して、スチーム供給源からのスチーム供給をプロセス制御弁を介して行うように構成する一方、上記熱交換器とドレン回収タンクの間に通気管とドレン回収管を配管し、通気管には上記スチームの供給開始に従って開く通気用自動バルブを設け、ドレン回収管には逆止弁を設けて、上記ドレン回収タンクには、回収したドレンの量を感知して任意の量をサイクルとしてドレン排出を可能にするドレン排出用レベルセンサと、上記スチーム供給源から送られて来るスチームをスチーム用自動バルブを介して送り込み可能にするスチーム送り込み管を設けると共に、上記ドレン排出用センサの感知時には、上記通気用自動バルブを閉とし、上記スチーム用自動バルブを開として、スチームの送り込みによるドレンの排出を可能にする一方、排出完了後は上記通気用自動バルブを開に、また、上記スチーム用自動バルブを閉に戻すように構成したことを特徴としている。
【0007】
(2) また、本発明の請求項2に係る熱交換器は、金属パイプを熱媒又は冷媒を満たした雰囲気中に配設して、この金属パイプ中を流れる液体と熱媒又は冷媒との間で熱交換を行う熱交換器であって、内部に多数の金属パイプを配管した熱媒用又は冷媒用外套タンクの両端口の内側に、各金属パイプの両端部を支持する支持板を設け、且つ、上記タンク両端口の夫々に左右の蓋板を取付けることにより、両端口の内部に上記各金属パイプの両端部が連通開口する上記液体の溜り室を区画形成すると共に、上記左右の蓋板が、少なくとも一方の蓋板をその中央部に上記一端側の溜り室に連通する上記液体の流入口を設けた構成とし、他方の蓋板をその中央部に上記他端側の溜り室に連通する熱交換を終えた液体の流出口を設けた構成とした1パス用蓋板と、一方の蓋板の内側面に、上記一端側の溜り室をその中央線部分で上下又は左右に2等分する中央仕切壁を設け、且つ、上記一方の蓋板には、上記中央仕切壁によって上下又は左右2室に2分割された一方の分割溜り室に連通する上記液体の流入口と、他方の分割溜り室に連通する熱交換を終えた液体の流出口を設けた構成とし、他方の蓋板を平板状に構成した2パス用蓋板と、によって構成されていて、これ等の蓋板を上記熱媒用又は冷媒用タンクの両端口に交換して取付けることができるように構成したことを特徴としている。
【0008】
(3) また、本発明の請求項3に係る熱交換器は、前記一方の蓋板の内側面に、前記一端側の溜り室をその中央部分で上下に2等分する中央仕切壁を設け、且つ、上記一方の蓋板には、上記再分割仕切壁によって上下2室に2分割されたいずれか一方の分割溜り室に連通する前記液体の流入口を設け、前記他方の蓋板には、上記中央仕切壁によって分割される上下の溜り室のうち、上記流入口が設けられている側とは反対側に、他方の分割溜り室を1/4に分割区画する分割仕切壁を設けて、この分割仕切壁によって区画された位置に、熱交換を終えた液体の流出口を設けた構成の3パス用蓋板を、上記熱媒用又は冷媒用外套タンクの両端口に交換自在に取付けるように構成したことを特徴としている。
【0009】
(4) また、本発明の請求項4に係る熱交換器は、前記一方の蓋板の内側面に、前記一端側の溜り室をその中央部分で左右又は上下に2等分する中央仕切壁と、この中央仕切壁によって2等分された一方の溜り室を更に上下又は左右2室の分割溜り室に2分割する分割仕切壁とを、略T字状に形成すると共に、前記他方の蓋板の内側面には、前記他端側の溜り室をその中央線の部分で上下又は左右に2等分する中央仕切壁を設け、且つ、上記一方の蓋板には、上記再分割仕切壁によって上下又は左右2室に2分割されたいずれか一方の分割溜り室に連通する前記液体の流入口と、他方の分割溜り室に連通する熱交換を終えた液体の流出口を設けた構成の4パス用蓋板を、上記熱媒用又は冷媒用外套タンクの両端口に交換自在に取付けるように構成したことを特徴としている。
【0010】
(5) 更に本発明の請求項5に係る熱交換器は、前記熱媒用又は冷媒用外套タンクを多管式に並設して、液体をこれ等各外套タンク内に順番に流通させることにより、熱交換を段階的に行うように構成すると共に、各外套タンクの蓋板に設けた各流出口と流入口の間を、内部に混合用のスクリューを設けた混合パイプを用いて連通接続したことを特徴としている。
【0011】
上記(1)で述べた手段によれば、2次(加熱液)側の任意設定温度に対して、スチーム供給をプロセス制御弁を介して適確に行うことを可能にする。この場合、通気用自動バルブは開のため、ドレン回収タンクと熱交換器は同圧状態となり、その結果、各熱交換器で発生したドレンは、ドレン回収管から逆止弁を経由してドレン回収タンクに落下集合される。また、集合されたドレンの量をレベルセンサが感知して、任意の量をサイクルとしてドレン排出を行う。
【0012】
ドレン排出時には、通気用自動バルブを閉とし、スチーム用自動バルブが開となってスチームをドレン回収タンクに送り込むため、そのスチームの圧力を利用してドレンを大気圧内に排出させ、完了と同時に通気用自動バルブが開、スチーム自動バルブが閉となり、この動作が反復される。
【0013】
上記(2)で述べた手段によれば、熱媒用又は冷媒用外套タンク内に配管した金属パイプの本数を例えば40本とした場合に、1パス用蓋板を外套タンクの両端口に取付けると、液体が同時に40本の金属パイプ内を流れることになるため、流速を遅くして圧力損失を少なくすることができる。
【0014】
この1パス用蓋板に代えて2パス用蓋板を外套タンクに取付けた場合は、液体が(往路)1/2分割された一方の溜り室→20本の金属パイプ→1/2分割された他方の溜り室→(往路)20本の金属パイプ→1/2分割された一方の溜り室の順に合計20本×2パス=40本の金属パイプ内を通って熱交換することができる。また、上記(3)で述べた3パス用蓋板をタンクの両端口に取付けた場合には、液体が同様に往路→復路→往路の順に合計20本+10本+10本=40本の金属パイプ内を通って熱交換が行われ、更に、上記(4)で述べた4パス用蓋板をタンクの両端口に取付けた場合は、液体が、同様に往路→復路を2回繰り返して合計10本×4パス=40本の金属パイプ内を通って熱交換することができるものであって、例えば定置式洗浄(CIP)時にこの4パス用蓋板を使用すれば、流速を速くして洗浄効果を高めることができる。従って、蓋板を上記1パス用〜4パス用の中から必要なものを選んで外套タンクに取付けることにより、液体の性質と粘度に合った流速で、また、成分変化等の問題を発生させることなく、目的に叶った熱交換を行うことを可能にする。
【0015】
上記(5)で述べた手段によれば、多管式に構成した外套タンクの本数を増減することにより、能力対応が自在であり、また、各外套タンクへの冷媒及び熱媒の供給をコントロールすることにより、加熱と冷却の組み合わせも可能とし、且つ、各タンク毎に加熱及び冷却の温度調節も可能とする。
【0016】
尚、熱交換器を冷却目的で使用する場合は、最終の外套タンクから流出する液体が目的の温度に冷却されていれば、特に他の問題は発生しない。しかし、熱交換が加熱目的、即ち、蒸煮と加熱殺菌が目的である場合は、任意の加熱温度と時間の双方が要求されることになる。ところが多管式の熱交換器の場合、各外套タンク内(金属パイプ内)での通過スピードが若干相違するため、加熱時間(流速)が不均一になる問題が発生するが、上記(5)で述べた手段によれば、多管式に構成した各外套タンクの流出口と注入口の間を結ぶ混合パイプによる攪拌作用と混合作用により、上記加熱時間、即ち、流速が不均一になる問題を大幅に改善して、上記蒸煮或いは加熱殺菌の目的を充分に達成することを可能にする。
【発明の効果】
【0017】
以上述べた次第で、本発明に係る熱交換器によれば、ドレン排出方法が従来のメカ式に比較して故障が少なく、多管式であっても各外套タンク毎に熱交換されたドレンの排出を確実に行うことができる飽和蒸気による低温加熱システムを提供することができる。また、冷媒又は熱媒用の外套タンクに対する蓋板の取付け角度を変えるか、交換するだけで、冷却又は加熱する液体の性質や粘度に合わせた流量(流速)で、熱交換を効果的に行うことができ、更に、多管式熱交換の問題点である加熱時間の不均一の問題も、パスの繰り返しによる混合、攪拌効果と、混合パイプの取付けによって大幅に改善して、優れた蒸煮及び加熱殺菌効果を発揮できるものであって、パイプ方向の切換えによって優れた熱交換作用と攪拌作用を効果的に発揮できる点と相俟って、特に、図1に例示したような自動包装システムにおける多管式加熱処理又は冷却処理に用いて、まことに好適なものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下に、本発明に係る熱交換器の実施の形態を図面と共に説明すると、図1は本発明を実施した連続自動包装システムの構成図であって、図中、AとBは例えば液体調味料の原料を煮る蒸煮釜、Cはこれ等各蒸煮釜A,BよりポンプPを経て送られて来る蒸煮済みの液体調味料をストレージタンクDに送り込む供給管、ZはストレージタンクDよりポンプDPによって輸送管Eを通して送り込まれて来る蒸煮済みの液体調味料を、飽和蒸気水や温水等の熱媒、又は、冷水等の冷媒を用いて所定の温度に加熱処理或は冷却処理することができる本発明に係る熱交換器を示す。
【0019】
更に図中、Gは上記本発明に係る熱交換器Zによって熱交換されて取出管Wを通して送り出されて来る液体調味料を、自動包装機Jに送り込む供給管、Iは供給管Gの途中に三方自動切換弁Hを介して接続した返送管で、液体調味料が所定の温度に加熱又は冷却されていない場合や、自動包装機Jで処理しきれない液体調味料は、この返送管Iを通って再び上記のストレージタンクDに送り戻される仕組に成っている。
【0020】
また、JTは上記の自動包装機Jによって連続的に包装された液体調味料の包装袋、Kはこの帯状に連続する包装袋JTを梱包に適した所定の温度に冷却するストレート用冷却装置、Lは冷却された帯状に連続する包装袋JTをカッテイングするカッテイング装置であって、本発明に係る熱交換器Zはこの様に構成された包装ラインの中に組み込まれて用いられるが、図示したラインの構成は実施の一例であって、本発明は図示以外の包装ラインや、その他のラインに組み込んで使用可能であることは勿論である。
【0021】
次ぎに、上述した本発明に係る熱交換器Zの構造を図面と共に説明すると、図2は多管式(多段式)に構成した熱交換器Zの全体を説明した構成図、図3は熱交換器Zを構成する外套タンク10を拡大して示した一部断面正面図、図4と図5はその左側面図と右側面図、図6と図7は外套タンク10に取付ける蓋板60と70の斜視図、図8(イ)は図3のA−A線に沿った外套タンクの拡大断面図、(ロ)は(イ)のB−B線に沿った断面図、(ハ)は(ロ)のC−C線に沿った断面図であって、図1並びに図2に示した熱交換器Zは、図3乃至図5に示した構造の外套タンク10を直列に複数本接続することによって構成される。
【0022】
即ち、全体を太径の円管状に造った上述した外套タンク10は、図3に示すように、上側面に熱媒又は冷媒の流入口54を設けた外套管50の内部50Hに、処理用の液体が流れる多数本の金属パイプ50P…を並設すると共に、外套管50の両端部内側に、これ等各金属パイプ50P…の両端を支持するための支持板50E,50Fを設けることによって、夫々処理液体の溜り室50X,50Yを区画形成し、且つ、これ等各溜り室50X,50Yの口50A,50Bを夫々蓋板60,70によって塞ぐように構成されている。
【0023】
更に図3において、61と62は一方の蓋板60に設けた熱交換を受ける液体(以下単に液体と云う)の流入口と、熱交換を終えた液体の流出口、71は他方の蓋板70に設けたハンドル杆、51,52,53は外套管50の上面に設けた温度検知と、通気口と熱媒又は冷媒を外套管50から排出する場合に用いる空気の取入口を示し、55は外套管50の底面に設けた熱交換を終えたドレンの排出口、56,57,58は外套管50に取付けたケーシング(図示省略)の止め輪を示す。
【0024】
更に図4乃至図7において、63と64は各外套管50内で熱交換される液体の流路を設定するために、上記一方の蓋板60の内側面に上記一方の溜り室50Xを中央線の部分で左右又は上下に2分割できるように突出形成した中央仕切壁と、これ等2分割された一方の溜り室を更に2分割(1/4分割)することができるように突出形成した分割仕切壁で、これ等中央仕切壁63と分割仕切壁64は丁度略T字状を成すように構成されている。また、76は上記他方の蓋板70の内側面に、上記他方の溜り室50Yを中央線の部分で左右又は上下に2分割できるように突出形成した中央仕切壁を示す。
【0025】
図4と図6に示した一方の蓋板60には、上記分割仕切壁64によって1/4分割される各溜り室50Xに連通する液体の流入穴61Hと、熱交換を終えた液体の流出穴62Hが開口形成されている。この様に形成された一方の蓋板60と、図7に示した他方の蓋板70は、これを図9の(ニ)に示した4パス用に使用するためのものである。また、図9の(ロ)に示した2パス用に使用する一方の蓋板60の内側面には、一方の溜り室50Xを上下に2分割することができる中央仕切壁67が突出形成され、且つ、この中央仕切壁67によって上下に2分割された板面には、上記の流入穴61Hと流出穴62Hが開口形成されていて、図9の(ロ)と(ニ)の2パスと4パスに用いる他方の蓋板70には、流出穴73は形成されていない。更に、図9の(ハ)に示した3パス用に使用する一方の蓋板60には、上記2分割用の中央仕切壁67と流入穴61Hが形成されているだけで、他方の蓋板70には、他方の溜り室50Yを1/4に分割して区画する略L字形状を成す分割区画壁72と、この区画壁72に囲まれた状態で流出穴73が形成されている。
【0026】
本発明の実施例では、図8に示す如く外套管50の内部に合計40本の金属パイプ50P…が配管されていて、前記各蓋板60と70の各中央仕切壁63,67,76は、各溜り室50X,50Yに連通する(臨む)合計40本の
金属パイプ50P…を、1ブロック=20本単位に区分することができ、また、分割仕切壁64と72は1ブロック=10本単位に区分することができる。尚、上記
金属パイプ50P…の本数は実施の一例であって、その増減が可能であることは勿論である。
【0027】
この様に構成した外套タンク10を用いて熱交換器Zを造るには、先ず、複数本の外套タンク10…を、図2に示す如く移動用のキャスターを備えた機枠フレーム1に多段式に架設すると共に、熱媒又は冷媒の媒体供給減1(図面の場合はスチーム供給源)に設けた媒体供給パイプ12を、夫々ボールバルブ17,18を介して各外套タンク10…の媒体取入口54に接続し、また、各ドレン排出口55に取付けたドレン排出パイプ22を、逆止弁23を介して上記機枠フレーム1の基台IT上に搭載したドレン回収タンク20に接続する。
【0028】
更に、前記ストレージタンクDよりポンプDPによって送られて来る液体調味料等の液体用輸送管Eの先端を、最下段の
外套タンク10に取付けた蓋板60の流入口61に接続し、また、該 蓋板60に設けた流出口62と、次段の外套タンク10に取付けた
蓋板60に設けた流入口61の間を、図10に示すように上下に接続口VR,VLを有し、内部に混合、攪拌用のスクリューVA,VBを備えた構造の混合パイプVで連通接続すれば、上記ストレージタンクDより送り込まれて来る液体を、各外套タンク10…の
金属パイプ50P…内で順々に熱交換して所定の温度に加熱又は冷却した後、最終段の外套タンク10の流出口62に接続した送出パイプWTを通して、前記図1に示した取出管Wに送り出される仕組みに成っている。
【0029】
前記媒体供給パイプ12には、ボールバルブ13とストレーナー14と減圧弁15が取付けられ、更に、制御装置40によって制御されて媒体の供給量を上記ストレージタンクDから送り込まれる流体を任意の温度に調節することができるプロセス制御弁16が設けられている。加えて、この媒体供給パイプ12には、媒体をボールバルブ19Bと第1電磁弁19Aを介して前述したドレン回収タンク20に送り込むことができる第1の分岐パイプ19が接続されている。また、第2の分岐パイプ12Xに設けたスチームトラップ12Kは、ドレン回収タンク20に設けたドレン排出パイプ20Aに接続されている。
【0030】
更に図2において、52’は各外套タンク10の通気口52と前述したドレン回収タンク20の間を結ぶ通気パイプで、24と25はこの通気パイプ52’に設けたボールバルブと第2の電磁弁を示す。また、1段目の外套タンク10の通気口52には、ボールバルブ26とエアー操作弁27とバキュームブレーカー28が設けられ、更に、1段目の外套タンク10に設けたエアー取入口53には、ボールバルブ29を介して連成計30が取付けられ、加えて、各外套タンク10…のエアー取入口53には、夫々逆止弁31,39を介してエアーベント32及び38が取付けられている。
【0031】
また、前記ドレン回収タンク20にはドレン排出用レベルセンサー21が設けられ、このタンク20に接続したドレン排出パイプ20Aには、逆止弁33とストレーナー34とトラップ35(スチームトラップ)と逆止弁36が取付けられていて、その先端はドレン回収槽37に接続している。41は前記送出パイプWTから送出される熱交換を終えた液体の温度を検出する温度センサー、42,43は前記各外套管50の温度検出口51に取付けた媒体の温度検出用温度センサーで、これ等各温度センサー41,42,43で検出された温度データは前述した制御装置40に送られて、媒体の温度が適温に調節される仕組みに成っている。
【0032】
以上の如く構成した熱交換器Zは、制御装置40に設定された2次側(加熱液)の任意設定温度に対して、媒体供給源11からの媒体供給(スチーム供給)を、制御装置40がプロセス制御弁16を制御しながら行う。この場合、通気パイプ52’の第2の電磁弁25は開のため、ドレン回収タンク20と各外套タンク10の内部は同圧状態となり、従って、各外套タンク10内で発生したドレンは、ドレン排出パイプ22を通って落下して逆止弁23を経由してドレン回収タンク20に集合される。
【0033】
以上の如くドレン回収タンク20に集合されたドレンは、その量をレベルセンサー21が感知して任意の量をサイクルとしてドレン排出を行うが、ドレン排出に際しては、上記第2電磁弁25は閉となり、媒体供給用の第1の分岐パイプ19の第1電磁弁19Aが開となって、媒体(スチーム)をドレン回収タンク20内に送り込むため、その媒体圧力を利用してドレンをドレン排出パイプ20Aを通して大気圧内に排出する。排出が完了すると同時に、上記第1電磁弁19Aが閉、第2電磁弁25が開となって、この動作が反復される。
【0034】
次に、前述した各蓋板60,70に設けた流路設定用の中央仕切壁64による液体のリターンパス方法に付いて、図9を参照しながら説明する。
【0035】
図9(イ)は、上述した各仕切壁63,64,67,72,76を設けずに、一方の蓋板60の中央部に液体の流入口65を設け、他方の蓋板70の中央部に熱交換を終えた液体の流出口75を設けた1パス仕様の構成を示したものであって、外套管50内に設けた金属パイプ50Pの本数を図8の如く例えば40本とした場合に、流入口65から流入した液体はこれ等40本の金属パイプ50P…の内部を流速を遅く、圧力損失を少なくした状態で流れて、流出口75から流出される。
【0036】
図9(ロ)は、中央仕切壁67と流入穴61Hが流出穴62H及び設けた一方の蓋板60を外套管50の一端口50Aに取付け、他端口50Yには仕切壁や穴が設けられていない平板状の蓋板70を取付けることにより、液体が流れる金属パイプ50Pの本数を、往路20本、復路20本とした「2パス40本」の方式を示し、図9(ハ)は、一方の蓋板60に中央仕切壁67と流入穴61Hを設け、他方の蓋板70には分割区画壁72と流出口73を設けることにより、液体が流れる金属パイプ50Pの本数を、往路20本、復路10本、再往路10本とした「3パス40本」の方式を示す。更に図9(ニ)は、図6に示した中央仕切壁63と分割仕切壁64と流入穴61H及び流出穴62Hを有する一方の蓋板60を上記外套管50の一端口50Aに取付け、他端口50Yには、図7に示した中央仕切壁76を設けた他方の蓋板70を取付けることにより、液体が流れる金属パイプ50Pの本数を、往路10本、復路10本、再往路10本、再復路10本とした「4パス40本」とした方式を示す。そしてこの「4パス40本」の方式は、各金属パイプ50P…の内部を洗浄する定置式洗浄(CIP)の場合に用いて、高い洗浄効果を発揮することができる。
【0037】
以上の構成から、外套管10に取付ける蓋板60、70を交換したり、その取付角度を変えることにより、圧力損失を4分の1迄変化させることが可能であって、熱交換する液体の性質や種類、或いは、熱交換の程度等に合わせて、上記方式を適宜選んで使用することにより、最適な熱交換を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明に係る熱交換器を実施した自動包装システムの一例を示した構成図。
【図2】本発明に係る多管式熱交換器の全体を説明した構成図。
【図3】本発明を構成する外套タンクの一部断面側面図。
【図4】図3に示した外套タンクを拡大して示した左側面図。
【図5】図3に示した外套タンクを拡大して示した右側面図。
【図6】本発明で用いる一方の蓋板の斜視図。
【図7】本発明で用いる他方の蓋板の斜視図。
【図8】(イ)は図3に示した外套タンクのA−A線に沿った拡大断面図、(ロ)は(イ)のB−B線に沿った断面図、(ハ)は(ロ)のC−C線に沿った断面図。
【図9】蓋板の交換による熱交換の変化を説明したものであって、(イ)は1パス40本の場合の説明図、(ロ)は2パス40本の場合の説明図、(ハ)は3パス40本の場合の説明図、(ニ)は4パス40本の場合の説明図。
【図10】本発明で使用する混合パイプの構成を説明した断面図。
【符号の説明】
【0039】
Z 熱交換器
10 外套タンク
12 媒体供給パイプ
19 第1の分岐パイプ
19A,25 電磁弁
20 ドレン回収タンク
21 ドレン排出用レベルセンサ
22 ドレン排出パイプ
50 外套管
50P 金属パイプ
50X 一方の溜り室
50Y 他方の溜り室
50A,50B 溜り室の口
54 媒体取入口
55 ドレン排出口
60,70 蓋板
61H,65 流入口
62H,75 流出口
63,76 中央仕切壁
64,72 分割仕切壁
V 混合パイプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属パイプを熱媒を満たした雰囲気中に配設して、この金属パイプ中を流れる液体と熱媒との間で熱交換を行う熱交換器であって、
熱媒としてスチームを使用し、2次側の加熱される液体の任意設定温度に対して、スチーム供給源からのスチーム供給をプロセス制御弁を介して行うように構成する一方、
上記熱交換器とドレン回収タンクの間に通気管とドレン回収管を配管し、通気管には上記スチームの供給開始に従って開く通気用自動バルブを設け、ドレン回収管には逆止弁を設けて、
上記ドレン回収タンクには、回収したドレンの量を感知して任意の量をサイクルとしてドレン排出を可能にするドレン排出用レベルセンサと、上記スチーム供給源から送られて来るスチームをスチーム用自動バルブを介して送り込み可能にするスチーム送り込み管を設けると共に、
上記ドレン排出用センサの感知時には、上記通気用自動バルブを閉とし、上記スチーム用自動バルブを開として、スチームの送り込みによるドレンの排出を可能にする一方、排出完了後は上記通気用自動バルブを開に、また、上記スチーム用自動バルブを閉に戻すように構成したことを特徴とする熱交換器。
【請求項2】
金属パイプを熱媒又は冷媒を満たした雰囲気中に配設して、この金属パイプ中を流れる液体と熱媒又は冷媒との間で熱交換を行う熱交換器であって、
内部に多数の金属パイプを配管した熱媒用又は冷媒用外套タンクの両端口の内側に、各金属パイプの両端部を支持する支持板を設け、且つ、上記タンク両端口の夫々に左右の蓋板を取付けることにより、両端口の内部に上記各金属パイプの両端部が連通開口する上記液体の溜り室を区画形成すると共に、
上記左右の蓋板が、少なくとも一方の蓋板をその中央部に上記一端側の溜り室に連通する上記液体の流入口を設けた構成とし、他方の蓋板をその中央部に上記他端側の溜り室に連通する熱交換を終えた液体の流出口を設けた構成とした1パス用蓋板と、
一方の蓋板の内側面に、上記一端側の溜り室をその中央線部分で上下又は左右に2等分する中央仕切壁を設け、且つ、上記一方の蓋板には、上記中央仕切壁によって上下又は左右2室に2分割された一方の分割溜り室に連通する上記液体の流入口と、他方の分割溜り室に連通する熱交換を終えた液体の流出口を設けた構成とし、他方の蓋板を平板状に構成した2パス用蓋板と、によって構成されていて、これ等の蓋板を上記熱媒用又は冷媒用タンクの両端口に交換して取付けることができるように構成したことを特徴とする熱交換器。
【請求項3】
金属パイプを熱媒又は冷媒を満たした雰囲気中に配設して、この金属パイプ中を流れる液体と熱媒又は冷媒との間で熱交換を行う熱交換器であって、
内部に多数の金属パイプを配管した熱媒用又は冷媒用外套タンクの両端口の内側に、各金属パイプの両端部を支持する支持板を設け、且つ、上記タンク両端口の夫々に左右の蓋板を取付けることにより、両端口の内部に上記各金属パイプの両端部が連通開口する上記液体の溜り室を区画形成すると共に、
上記左右の蓋板を、少なくとも一方の蓋板の内側面に、前記一端側の溜り室をその中央部分で上下に2等分する中央仕切壁を設け、且つ、当該一方の蓋板には、上記中央仕切壁によって上下2室に2分割されたいずれか一方の分割溜り室に連通する前記液体の流入口を設けた構成とし、他方の蓋板には、上記中央仕切壁によって分割される上下の溜り室のうち、上記流入口が設けられている側とは反対側に、他方の分割溜り室を1/4に分割区画する分割仕切壁を設けて、この分割仕切壁によって区画された位置に、熱交換を終えた流体の流出口を設けた構成とした3パス用蓋板と成し、この3パス用蓋板を上記熱媒用又は冷媒用外套タンクの両端口に交換自在に取付けるように構成したことを特徴とする熱交換器。
【請求項4】
金属パイプを熱媒又は冷媒を満たした雰囲気中に配設して、この金属パイプ中を流れる液体と熱媒又は冷媒との間で熱交換を行う熱交換器であって、
内部に多数の金属パイプを配管した熱媒用又は冷媒用外套タンクの両端口の内側に、各金属パイプの両端部を支持する支持板を設け、且つ、上記タンク両端口の夫々に左右の蓋板を取付けることにより、両端口の内部に上記各金属パイプの両端部が連通開口する上記液体の溜り室を区画形成すると共に、
上記左右の蓋板を、少なくとも一方の蓋板の内側面に、前記一端側の溜り室をその中央部分で左右又は上下に2等分する中央仕切壁と、この中央仕切壁によって2等分された一方の溜り室を更に上下又は左右2室の分割溜り室に2分割する分割仕切壁とを、略T字状に形成した構成とし、他方の蓋板の内側面には、前記他端側の溜り室をその中央線の部分で上下又は左右に2等分する中央仕切壁を設け、且つ、上記一方の蓋板には、上記再分割仕切壁によって上下又は左右2室に2分割されたいずれか一方の分割溜り室に連通する前記液体の流入口と、他方の分割溜り室に連通する熱交換を終えた液体の流出口を設けた構成とした4パス用蓋板と成し、この4パス用蓋板を上記熱媒用又は冷媒用外套タンクの両端口に交換自在に取付けるように構成したことを特徴とする熱交換器。
【請求項5】
前記熱媒用又は冷媒用外套タンクを多管式に並設して、液体をこれ等各外套タンク内に順番に流通させることにより、熱交換を段階的に行うように構成すると共に、各外套タンクの蓋板に設けた各流出口と流入口の間を、内部に混合用のスクリューを設けた混合パイプを用いて連通接続したことを特徴とする請求項2、3又は4に記載の熱交換器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−78030(P2006−78030A)
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−260589(P2004−260589)
【出願日】平成16年9月8日(2004.9.8)
【出願人】(591182695)株式会社ビーエム昌和 (3)
【Fターム(参考)】