説明

熱処理システム及び乾燥装置

【課題】樹脂廃棄物と含水率の高い有機性廃棄物とを混合して熱分解させる場合に、安定して熱分解させることのできる熱処理システム、及び、高含水有機性廃棄物を効率よく乾燥させることのできる乾燥装置を提供する。
【解決手段】高含水有機性廃棄物14を乾燥させる乾燥装置30と、樹脂廃棄物12、および、乾燥装置30で乾燥された高含水有機性廃棄物14を収容し、樹脂廃棄物12と乾燥された高含水有機性廃棄物14とを混合して加熱することにより熱分解させる熱分解装置40とを備える。乾燥装置30は、前段乾燥炉132と後段乾燥炉134とを有して、前段乾燥炉132において高含水有機性廃棄物14を収容する容積は、後段乾燥炉134において高含水有機性廃棄物14を収容する容積より大きい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱処理システム及び乾燥装置に関する。本発明は、特に、樹脂廃棄物と高含水有機性廃棄物とを混合して熱分解する熱処理システム、及び、高含水有機性廃棄物を乾燥させる乾燥装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、生ごみ、食品残渣、紙おむつ、有機汚泥のような水分を多量に含む有機性廃棄物を炭化させる廃棄物処理設備が知られている。また、廃プラスチック等の樹脂廃棄物を熱分解して油化する油化装置が知られている。特許文献1には、有機性廃棄物を高温蒸気に曝すことで、有機性廃棄物を減水させて炭化させるとともに、蒸気中から油分を回収する有機性廃棄物の処理方法が記載されている。特許文献2には、廃プラスチックを熱分解及び油化して得られた油をガスタービンエンジンの燃料として利用して発電すると共に、上記ガスタービンの排熱を利用して、生ごみを乾燥、破砕する処理装置が記載されている。
【特許文献1】特開2001−123175号公報
【特許文献2】特開2001−334244号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1に記載された廃棄物処理設備においては、含水率の高い有機性廃棄物を廃棄物処理装置に投入しているので、廃棄物処理装置に供給された高温蒸気が廃棄物に含まれる水分の蒸発にも使用され、装置内の温度が変動する。その結果、炭化処理された廃棄物、及び、生成した油の組成が安定しない。また、特許文献2に記載された処理装置においては、投入された生ごみは乾燥、破砕されて減容化されるものの、当該生ごみを有効利用するには、別途、発酵させて堆肥化するなど、多大な労力及びエネルギーを浪費していた。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するために、本発明の第1の形態においては、廃棄物の熱処理システムであって、高含水有機性廃棄物を乾燥させる乾燥装置と、樹脂廃棄物、および、乾燥装置で乾燥された高含水有機性廃棄物を収容し、樹脂廃棄物と乾燥された高含水有機性廃棄物とを混合して加熱することにより熱分解させる熱分解装置とを備える熱処理システムが提供される。
【0005】
上記熱処理システムにおいて、乾燥装置は、高含水有機性廃棄物が投入され、投入された高含水有機性廃棄物を加熱および撹拌しながら搬送する前段乾燥炉と、前段乾燥炉に連結され、前段乾燥炉から搬送された高含水有機性廃棄物を加熱および撹拌しながら搬送して排出する後段乾燥炉とを有し、前段乾燥炉において高含水有機性廃棄物を収容する容積は、後段乾燥炉において高含水有機性廃棄物を収容する容積よりも大きくてもよい。
【0006】
上記熱処理システムにおいて、前段乾燥炉は、軸回りに回転して高含水有機性廃棄物を撹拌しつつ後段乾燥炉に向けて搬送する撹拌羽根と、撹拌羽根が撹拌する領域より下方に配され、高含水有機性廃棄物の搬送方向に延伸する溝部と、溝部に収容され、軸回りに回転して溝部内の高含水有機性廃棄物を搬送方向の反対方向に搬送するスクリューとを有してもよい。また、スクリューは、正転と逆転とを切替自在であってもよい。また、前段乾燥炉および後段乾燥炉は、前段乾燥炉および後段乾燥炉を加熱する気体が流れる加熱気体導入管を有し、加熱気体導入管の出口は、後段乾燥炉および前段乾燥炉の少なくとも一方に開口していてもよい。
【0007】
上記熱処理システムにおいて、熱分解装置による油化により生成した生成油と燃料とを混合して再生燃料を生成する廃油燃料化装置をさらに備え、熱分解装置は、廃油燃料化装置により生成された再生燃料を燃焼させてもよい。また、熱分解装置により生成された炭化物およびガスを焼却する焼却装置をさらに備え、焼却装置において生じた廃熱を用いて、乾燥装置を加熱してもよい。また、熱分解装置において生じた廃熱を用いて、乾燥装置を加熱してもよい。
【0008】
本発明の第2の形態においては、含水物を乾燥させる乾燥装置であって、含水物が投入され、投入された含水物を加熱および撹拌しながら搬送する前段乾燥炉と、前段乾燥炉に連結され、前段乾燥炉から搬送された含水物を加熱および撹拌しながら搬送して排出する後段乾燥炉とを有し、前段乾燥炉において含水物を収容する容積は、後段乾燥炉において含水物を収容する容積よりも大きい乾燥装置が提供される。
【0009】
上記乾燥装置においては、前段乾燥炉は、軸回りに回転して含水物を撹拌しつつ後段乾燥炉に向けて搬送する撹拌羽根と、撹拌羽根が撹拌する領域より下方に配され、含水物の搬送方向に延伸する溝部と、溝部に収容され、軸回りに回転して溝部内の含水物を搬送方向の反対方向に搬送するスクリューとを有してもよい。また、スクリューは、正転と逆転とを切替自在であってもよい。また、前段乾燥炉および後段乾燥炉は、前段乾燥炉および後段乾燥炉を加熱する気体が流れる加熱気体導入管を有し、加熱気体導入管の出口は、後段乾燥炉および前段乾燥炉の少なくとも一方に開口していてもよい。
【0010】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0012】
図1は、一実施形態に係る乾燥装置30を備える熱処理システム10の概要を表すブロック図である。熱処理システム10は、廃棄物の熱処理システムであって、樹脂廃棄物12と高含水有機性廃棄物14とを混合して加熱することにより熱分解させる。
【0013】
同図に示す通り、熱処理システム10は、高含水有機性廃棄物14を乾燥させる乾燥装置30と、樹脂廃棄物12、及び、乾燥装置30で乾燥された高含水有機性廃棄物14を収容して熱分解させる熱分解装置40とを備える。熱処理システム10は、熱分解装置40による油化により生成した生成油22と燃料とを混合して再生燃料24を生成する廃油燃料化装置50と、再生燃料24を貯留する再生燃料タンク52とを備える。熱処理システム10は、熱分解装置40により生成された炭化物21を冷却する炭化物冷却装置54と、炭化物冷却装置54で冷却された炭化物21を貯留する炭化物貯留槽56とを備える。熱処理システム10は、再生燃料24を燃焼させてスチーム29を発生させるボイラ60と、熱分解装置40により生成された炭化物21およびガスを焼却する焼却装置62とを備える。なお、高含水有機性廃棄物14は、含水物の一例であり、例えば、生ごみ、食品残渣、廃材、紙おむつ、有機汚泥などが挙げられる。
【0014】
乾燥装置30は、投入された高含水有機性廃棄物14を乾燥させることで、含水率が低く、減容された減水廃棄物15を生成する。乾燥装置30は、高含水有機性廃棄物14が投入される乾燥炉130と、乾燥炉130を加熱する気体が流れるジャケット136とを有する。ジャケット136は加熱気体導入管の一例であり、ジャケット136には、熱分解装置40において生じた排ガス26、及び、焼却装置62において生じた燃焼ガス27の少なくとも一方が導入され、間接的に高含水有機性廃棄物14を加熱する。ジャケット136を通過した排ガス26又は燃焼ガス27は、乾燥炉130の内部に流入して、直接、高含水有機性廃棄物14を加熱した後、乾燥炉130の外部に排出される。排ガス26若しくは燃焼ガス27は、ジャケット136に導入される前、若しくは、ジャケット136の内部で、外部の空気と混合されてもよい。
【0015】
これにより、熱分解装置40において生じた廃熱、及び、焼却装置62において生じた廃熱を用いて乾燥炉130を加熱することができ、システム内で発生した熱を有効利用することができる。つまり、廃熱をカスケード利用することにより、熱処理システム10全体の熱効率を向上させることができる。
【0016】
熱分解装置40は、樹脂廃棄物12及び減水廃棄物15を収容して、樹脂廃棄物12と減水廃棄物15とを混合して加熱することにより熱分解させることで、炭化物21、生成油22、及び、未凝縮ガス23を生成する。熱分解装置40は、樹脂廃棄物12及び減水廃棄物15を収容する熱分解炉42と、熱分解炉42を加熱する加熱部44と、熱分解炉42を加熱することで発生した乾留ガス20を冷却する乾留ガス冷却部46とを有する。
【0017】
樹脂廃棄物12及び減水廃棄物15を熱分解炉42に投入して、例えば、低酸素又は無酸素状態で350〜450度程度に加熱すると、樹脂廃棄物12及び減水廃棄物15の一部が熱分解して乾留ガス20が発生する。乾留ガス冷却部46において、熱分解炉42から発生した乾留ガス20を、例えば、熱交換器などにより25〜50度程度まで冷却すると、乾留ガス20に含まれる沸点の高い炭化水素などが凝縮・液化して、生成油22が得られる。また、乾留ガス20中の低沸点成分は、乾留ガス冷却部46では凝縮・液化せずに未凝縮ガス23として、乾留ガス冷却部46から排出される。
【0018】
一方、乾留ガス20が発生した後、熱分解炉42内には炭化物21が残留する。炭化物21は炭化した有機物を多く含むので、燃焼させることでエネルギーを回収することができる。また、炭化物21は、樹脂廃棄物12及び高含水有機性廃棄物14に含まれる金属片などを含む。特に、樹脂廃棄物12に電子基板等が含まれる場合、炭化物21は当該電子基板中のレアメタルを含む。
【0019】
また、熱分解装置40は、加熱部44において、廃油燃料化装置50により生成された再生燃料24を燃焼させてもよい。これにより、熱処理システム10内で生成した再生燃料24を利用するので、熱処理システム10の運転費用を低減することができる。
【0020】
廃油燃料化装置50は、A重油、軽油、灯油などの既成油16、又は、廃食用油18と、生成油22とを、例えば、乳化・混合装置などにより微細混合することで、再生燃料24を生成する。再生燃料24は、再生燃料タンク52に貯留され、例えば、加熱部44又はボイラ60の燃料として使用される。なお、既成油16又は廃食用油18は、燃料の一例であり、乳化・混合される燃料はこれらに限られるものではない。
【0021】
炭化物冷却装置54は、熱分解装置40から排出された炭化物21を、低酸素又は無酸素状態で冷却する。熱分解装置40で炭化処理された炭化物21は、高温のまま大気に触れると燃焼してしまうので、炭化物冷却装置54は、例えば、低酸素又は無酸素状態のまま放熱させたり、炭化物21に100〜120度程度のスチーム29等を吹き付けることで、炭化物21を100〜120度以下まで冷却する。冷却された炭化物21は、炭化物貯留槽56に貯留される。炭化物21は、粉砕された後、炭化物貯留槽56に貯留されてもよい。
【0022】
ボイラ60は、燃料を燃焼させて発生した熱により凝縮水28を加熱して、スチーム29を発生させる。燃料としては、例えば、再生燃料タンク52に貯留された再生燃料24を使用してもよい。
【0023】
焼却装置62は、熱分解装置40で発生した未凝縮ガス23及び炭化物貯留槽56に貯留された炭化物21を燃焼させる。焼却装置62で発生した熱は、熱処理システム10内で有効利用され、例えば、乾燥装置30において高含水有機性廃棄物14を乾燥させたり、熱分解装置40、ボイラ60、焼却装置62に供給する空気を余熱するのに使用してもよい。
【0024】
焼却装置62においては、微粉炭ボイラ又は流動床ボイラを用いて、炭化物21を未凝縮ガス23と共に燃焼させてもよい。また、炭化物21を火格子上で燃焼させてもよい。
【0025】
排ガス処理装置70は、乾燥炉130から排出される臭気及び水蒸気を含むガスを処理して、大気中に排出する。排ガス処理装置70は、例えば、水が霧状に噴霧された処理容器中に上記ガスを導入することで、上記ガス中の臭気成分、水蒸気等を除去する。排ガス処理装置70は、乾燥炉130から上記ガスを吸引する吸引装置を有してもよい。
【0026】
レアメタル回収装置72は、焼却装置62で発生した焼却灰25に含まれるレアメタルを回収する。レアメタル回収装置72は、例えば、焼却灰25を酸で溶出させることでレアメタルを回収する。
【0027】
以上の構成により、本実施形態に係る熱処理システム10においては、高含水有機性廃棄物14が熱分解装置40に投入される前に、予め乾燥されて含水率が低くなっているので、熱分解装置40において加熱部44の熱が水分の蒸発に使用されることを抑制できる。その結果、熱分解装置40の熱分解炉42内の温度が安定して、生成油22の組成及び収率、又は、炭化物21若しくは未凝縮ガス23の組成等が安定する。
【0028】
図2乃至図5を用いて、一実施形態に係る乾燥装置30について説明する。図2に、乾燥装置30を水平方向に切断した場合の概要を表す断面図を示す。図3に、乾燥装置30のA−A'断面の概要を表す断面図を示す。図4に、乾燥装置30のB−B'断面の概要を表す断面図を示す。図5に、乾燥装置30のC−C'断面の概要を表す断面図を示す。
【0029】
図2に示す通り、乾燥装置30は、高含水有機性廃棄物14が投入される乾燥炉130と、乾燥炉130の外周の少なくとも一部を覆うように配されたジャケット136と、乾燥炉130から排出される乾燥された高含水有機性廃棄物14を減水廃棄物15として保持するホッパ138とを有する。また、乾燥装置30は、乾燥炉130及びジャケット136を下側から支持する脚部192、194、196、198を有する。
【0030】
乾燥炉130は、高含水有機性廃棄物14が投入され、投入された高含水有機性廃棄物14を加熱および撹拌しながら搬送する前段乾燥炉132と、前段乾燥炉132に連結され、前段乾燥炉132から搬送された高含水有機性廃棄物14を加熱および撹拌しながら搬送して排出する後段乾燥炉134とを含む。そして、本実施形態に係る乾燥装置30においては、前段乾燥炉132において高含水有機性廃棄物14を収容する容積は、後段乾燥炉134において高含水有機性廃棄物14を収容する容積より大きい。高含水有機性廃棄物14は、前段乾燥炉132に投入された当初はかさ密度が小さく、重量に対して大きな容積を占めるが、前段乾燥炉132内で乾燥される間に破砕又は発酵により減容され、重量に対して占める容積が減少するので、上記構成によれば、乾燥性能を低下させることなく、装置を小型化することができる。
【0031】
前段乾燥炉132は、高含水有機性廃棄物14の搬送方向に延伸する中空の筐体形状を有する。前段乾燥炉132は、水平方向と略平行に配され高含水有機性廃棄物14の搬送方向に延伸する略平板状の上面201と、上面201の下方に上面201と対向して配される底面202とを有する。
【0032】
底面202は、断面が略半円で、高含水有機性廃棄物14の搬送方向に延伸する湾曲部223及び湾曲部224が、高含水有機性廃棄物14の搬送方向に並列に連結された形状を有する。底面202は、湾曲部223と湾曲部224の連結部に沿って、水平方向と略垂直に配された略平板状の仕切板225を含む。仕切板225の垂直方向の高さは、例えば、湾曲部223の断面の半径の半分から当該半径と同程度に設定される。
【0033】
前段乾燥炉132は、高含水有機性廃棄物14の搬送方向に対して略垂直に配された略平板状の投入側側面203と、投入側側面203に対向して配された略平板状の排出側側面204とを有する。排出側側面204には、前段乾燥炉132の内部と後段乾燥炉134の内部とを連結する乾燥炉連結口250が設けられる。
【0034】
前段乾燥炉132は、水平方向に対して略垂直に配され高含水有機性廃棄物14の搬送方向に延伸する略平板状の一対の側面206及び側面207を有する。上面201及び底面202は、水平方向に平行で高含水有機性廃棄物14の搬送方向に垂直な方向(以下、幅方向と言う場合がある。)の両端において、側面206及び側面207と結合される。上面201、底面202、側面206、及び、側面207は、高含水有機性廃棄物14の搬送方向の両端において、投入側側面203及び排出側側面204と結合される。
【0035】
以上の構成により、前段乾燥炉132の内部には、湾曲部223の上方には前段乾燥室230が形成され、湾曲部224の上方には前段乾燥室240が形成される。なお、高含水有機性廃棄物14の搬送方向は、例えば、搬送方向に沿って水平方向から下向きに傾斜していてもよい。上面201又は底面202は、水平方向に対して傾斜して配されてもよい。
【0036】
上面201は、高含水有機性廃棄物14が投入される廃棄物投入部210と、主に前段乾燥室230内のガスを排出する排気部370と、主に前段乾燥室240内のガスを排出する排気部470とを含む。廃棄物投入部210、排気部370、排気部470は、例えば、上面201上において、高含水有機性廃棄物14の搬送方向上流側に設けられる。排気部370及び排気部470は、例えば、廃棄物投入部210に隣接した位置、又は、廃棄物投入部210より搬送方向上流側に設けられる。
【0037】
廃棄物投入部210は、上面201を貫通して設けられた投入口212と、投入口212の上部に配された管状の投入部本体214と、投入部本体214の上部に配され、投入部本体214の外径よりも大径の円板形状を有するフランジ216と、フランジ216に連結された蓋部218とを有する。廃棄物投入部210は、例えば、上面201の搬送方向に垂直な方向における中央近傍に配される。
【0038】
排気部370は、上面201を貫通して設けられた排気口372と、排気口372の上部に配された管状の排気管374と、排気管374の上部に配され、排気管374の外径よりも大径の円板形状を有するフランジ376とを有する。排気部470は、上面201を貫通して設けられた排気口472と、排気口472の上部に配された管状の排気管474と、排気管474の上部に配され、排気管474の外径よりも大径の円板形状を有するフランジ476とを有する。
【0039】
底面202の湾曲部223は、湾曲部223の底部に配されて、高含水有機性廃棄物14の搬送方向に延伸する溝部340を含む。溝部340の断面形状は、例えば、コの字形状、U字形状であってもよい。溝部340における高含水有機性廃棄物14の搬送方向の両端は、投入側側面203及び排出側側面204に結合されて塞がれている。湾曲部224は、溝部340と同様の構造を有する溝部440を含む。
【0040】
前段乾燥室230は、高含水有機性廃棄物14を撹拌しつつ後段乾燥炉134に向けて搬送する撹拌部材310と、高含水有機性廃棄物14の搬送方向と略垂直に配される略平板状の邪魔板330とを含む。邪魔板330は、撹拌部材310と接触しない位置に配される。
【0041】
撹拌部材310は、高含水有機性廃棄物14の搬送方向に延伸して、前段乾燥炉132を貫通して配される略円柱状の軸311と、前段乾燥室230の内部に配されて、軸311回りに回転して高含水有機性廃棄物14を撹拌しつつ後段乾燥炉134に向けて搬送する撹拌羽根312とを有する。撹拌部材310は、前段乾燥炉132の外部に配されて、軸311を回転させる撹拌部材駆動部318とを有する。撹拌部材駆動部318は、例えば、モータが用いられる。
【0042】
軸311が前段乾燥炉132を貫通する部分には軸受313が配され、軸受313は、軸311を回転可能に支持する。軸311は、前段乾燥炉132の外部にプーリー314及びプーリー315を有する。プーリー314にはベルト316がかけまわされており、プーリー315にはベルト317が掛けまわされている。ベルト317の他端は撹拌部材駆動部318にかけまわされており、撹拌部材駆動部318の回転が軸311に伝達される。ベルト316は、軸311の回転を前段乾燥室240側に伝達する。
【0043】
撹拌羽根312が軸311に取り付けられた状態で、撹拌羽根312を軸方向に垂直な方向から見たとき、撹拌羽根312は軸方向に平行な面に対して傾斜する面を有する。当該面は、例えば、軸方向に平行な面から30〜60度傾いていてもよい。本実施形態においては、撹拌羽根312は軸311の周囲を約2/3回転するように取り付けられたスクリュー形状を有しており、撹拌羽根312は、軸311の軸方向に沿って、略等間隔に複数配されている。なお、撹拌羽根312は、短冊形、若しくは、くの字形の平板形状であってもよく、上記平板形状を有するへら状であってもよい。
【0044】
これにより、撹拌羽根312は、軸311回りに回転して高含水有機性廃棄物14を撹拌しつつ、高含水有機性廃棄物14を後段乾燥炉134に向けて搬送することができる。さらに、撹拌羽根312は、軸方向から見たときに扇形に切り欠かれた部分を有するので、搬送している高含水有機性廃棄物14をすくいあげ、邪魔板330に衝突させて粉砕しやすい。
【0045】
邪魔板330は、撹拌羽根312が搬送している高含水有機性廃棄物14を、撹拌羽根312と邪魔板330との間で挟み込んで破砕する。邪魔板330は、例えば、湾曲部223の底部に配され、幅方向及び搬送方向において撹拌羽根312を挟むように配される。湾曲部223の底部には、撹拌羽根312が撹拌する領域より下方に溝部340が配されており、邪魔板330は、溝部340の上端に沿って、高含水有機性廃棄物14の搬送方向に複数配される。邪魔板330は、例えば、中心角が約90度の扇形をした平板形状を有しており、上記扇形は、例えば、湾曲部223の内径の1/3から1/2程度の半径を有する。
【0046】
これにより、撹拌羽根312は、すくいあげた高含水有機性廃棄物14を邪魔板330に衝突させて破砕することができる。破砕された高含水有機性廃棄物14の一部は、溝部340の中へ落下する。
【0047】
溝部340は、溝部340に収容されて、溝部340内の高含水有機性廃棄物14を搬送方向の反対方向に搬送するスクリュー350と、溝部340の上端近傍に配されて、大きな高含水有機性廃棄物14が溝部340の内部に落下することを防止するストレーナ360とを有する。スクリュー350は、高含水有機性廃棄物14の搬送方向に延伸して、前段乾燥炉132を貫通して配される略円柱状の軸351と、スクリュー形状の羽根352とを有する。羽根352は、軸351回りに回転して、溝部340内にある高含水有機性廃棄物14を、撹拌部材310による高含水有機性廃棄物14の搬送方向と反対方向に搬送する。
【0048】
軸351が前段乾燥炉132を貫通する部分には軸受353が配され、軸受353は軸351を回転可能に支持する。前段乾燥炉132の外部には、軸351を回転させるスクリュー駆動部358が配される。スクリュー駆動部358には、例えば、モータが用いられる。軸351は前段乾燥炉132の外部にプーリー354を有する。プーリー354にはベルト356がかけまわされており、ベルト356の他端はスクリュー駆動部358にかけまわされているので、スクリュー駆動部358の回転が軸351に伝達される。
【0049】
ストレーナ360は、高含水有機性廃棄物14の搬送方向の両端付近に、ストレーナ開口部362及びストレーナ開口部364を有する。ストレーナ開口部362及びストレーナ開口部364は、ストレーナ360の他部分より目の粗い網であってもよい。以上の構造により、乾燥炉連結口250まで搬送されてきた高含水有機性廃棄物14の一部が、ストレーナ開口部364から溝部340に落下して、スクリュー350により撹拌部材310による高含水有機性廃棄物14の搬送方向と逆方向に搬送される。これにより、高含水有機性廃棄物14により乾燥炉連結口250が詰まることを抑制でき、高含水有機性廃棄物14を効率よく後段乾燥炉134に搬送することができる。また、高含水有機性廃棄物14の平均滞留時間を長くすることができるので、後段乾燥炉134に搬送される高含水有機性廃棄物14の含水率を低減させることができる。
【0050】
スクリュー350は、正転と逆転とを切替自在であってもよい。これにより、スクリュー350を、時々、逆転させて溝部340内の高含水有機性廃棄物14を後段乾燥炉134側へ搬送することができる。
【0051】
前段乾燥室240は前段乾燥室230とほぼ同様の構造を有しており、高含水有機性廃棄物14を撹拌しつつ後段乾燥炉134に向けて搬送する撹拌部材410と、高含水有機性廃棄物14の搬送方向と略垂直に配される略平板状の邪魔板430とを含む。邪魔板430は邪魔板330と同様の構造を有しており、撹拌部材410と接触しない位置に配される。
【0052】
撹拌部材410は撹拌部材310と同様の構造を有しており、軸411と、撹拌羽根412とを有する。軸411は軸311と同様の構造を有しており、前段乾燥炉132を貫通する部分には軸受413が配され、前段乾燥炉132の外部にはプーリー414を有する。撹拌羽根412は撹拌羽根312と同様の構造を有するが、軸411に対する傾斜が軸311に対する撹拌羽根312の傾斜と逆になるように、撹拌羽根412が軸411に配される。これにより、軸311に対する撹拌羽根312の傾斜と軸411に対する撹拌羽根412の傾斜とが仕切板225を中心として略対称になる。
【0053】
プーリー414には、ベルト316がかけまわされており、撹拌部材駆動部318の回転が軸311を介して、軸411に伝達される。ベルト316は、軸311と軸411の間でハの字状にかけまわされてもよい。これにより、撹拌部材310と撹拌部材410とを逆向きに回転させることができ、高含水有機性廃棄物14を仕切板225側へ集めながら、後段乾燥炉134側へ搬送させることができる。
【0054】
溝部440は溝部340と同様の構造を有しており、スクリュー450と、ストレーナ460とを有する。スクリュー450はスクリュー350と同様の構造を有しており、軸351と同様の構造を有する軸451と、羽根352と同様の構造を有する羽根452とを有しており、軸451が前段乾燥炉132を貫通する部分には軸受453が配され、軸受453は軸451を回転可能に支持する。
【0055】
前段乾燥炉132の外部には、軸451を回転させるスクリュー駆動部458が配される。スクリュー駆動部458には、例えば、モータが用いられる。軸451は、前段乾燥炉132の外部にプーリー454を有する。プーリー454にはベルト456がかけまわされており、ベルト456の他端はスクリュー駆動部458にかけまわされているので、スクリュー駆動部458の回転が軸451に伝達される。
【0056】
なお、図2は、乾燥炉連結口250を含む平面で乾燥装置30を切断した断面図であり、図2において、撹拌部材310及び撹拌部材410は、説明のために点線で示されている。また、スクリュー350及びスクリュー450は、説明のために省略されている。
【0057】
ストレーナ460はストレーナ360と同様の構造を有しており、高含水有機性廃棄物14の搬送方向の両端付近に、ストレーナ開口部462及びストレーナ開口部464を有する。スクリュー450、スクリュー350と同様、正転と逆転とを切替自在であってもよい。
【0058】
後段乾燥炉134は、前段乾燥炉132より下方に配され、例えば、高含水有機性廃棄物14の搬送方向に前段乾燥炉132と直列に連結される。後段乾燥炉134は、高含水有機性廃棄物14の搬送方向に延伸する中空の筐体形状を有する。後段乾燥炉134は、水平方向と略平行に配されて高含水有機性廃棄物14の搬送方向に延伸する略平板状の上面501と、上面501の下方に上面501と対向して配されて高含水有機性廃棄物14の搬送方向に延伸する半円筒状の底面502とを有する。
【0059】
後段乾燥炉134は、高含水有機性廃棄物14の搬送方向に対して略垂直に配された略平板状の連結側側面503と、連結側側面503に対向して配された略平板状の排出側側面504とを有する。連結側側面503は前段乾燥炉132の排出側側面204と結合される。連結側側面503には、前段乾燥炉132の内部と後段乾燥炉134の内部とを連結する乾燥炉連結口250が設けられる。
【0060】
後段乾燥炉134は、水平方向に対して略垂直に配されて高含水有機性廃棄物14の搬送方向に延伸する略平板状の一対の側面506及び側面507を有する。上面501及び底面502は、水平方向と平行で高含水有機性廃棄物14の搬送方向に垂直な方向(以下、幅方向と言う場合がある。)の両端において、側面506及び側面507に結合される。高含水有機性廃棄物14の搬送方向の両端において、上面501、底面502、側面506、及び、側面507は、連結側側面503及び排出側側面504と結合される。
【0061】
以上の構成により、後段乾燥炉134の内部には後段乾燥室530が形成される。なお、高含水有機性廃棄物14の搬送方向は、例えば、搬送方向に沿って水平方向から下向きに傾斜していてもよい。上面501又は底面502は、水平方向に対して傾斜して配されてもよい。
【0062】
底面502は、前段乾燥炉132及び後段乾燥炉134で乾燥された高含水有機性廃棄物14を排出する廃棄物排出部510を含む。廃棄物排出部510は、底面502を貫通して設けられた排出口512と、排出口512の下方に配された筒状の排出部本体516と、排出口512又は排出部本体516の内部を塞ぐように配され、例えば、水平方向にスライドすることで排出口512を外部に対して連通及び封止するシャッタ514とを有する。
【0063】
底面502は、底面502の底部に配されて、高含水有機性廃棄物14の搬送方向に延伸する溝部640を含む。溝部640の断面形状は、例えば、コの字形状、U字形状であってもよい。溝部640おける高含水有機性廃棄物14の搬送方向の一端は連結側側面503に結合されており、他端は廃棄物排出部510に連結されている。
【0064】
側面506及び側面507は、それぞれ、側面506及び側面507を貫通して設けられた加熱ガス導入口526及び加熱ガス導入口527を含む。加熱ガス導入口526及び加熱ガス導入口527を介して、ジャケット136の内部と後段乾燥室530とが連結される。
【0065】
後段乾燥室530は前段乾燥室230又は前段乾燥室240と同様の構造を有しており、前段乾燥炉132から搬送された高含水有機性廃棄物14を撹拌しながら廃棄物排出部510に向けて搬送する撹拌部材610と、高含水有機性廃棄物14の搬送方向と略垂直に配される略平板状の邪魔板630とを含む。撹拌部材610と接触しない位置に配される。
【0066】
撹拌部材610は撹拌部材310と同様の構造を有しており、軸611と、撹拌羽根612とを有する。軸611は軸311と同様の構造を有しており、後段乾燥炉134を貫通する部分には軸受613が配され、軸受613は軸611を回転可能に支持する。後段乾燥炉134の外部には撹拌部材駆動部618が配され、軸611と結合されている。撹拌部材駆動部618としては、例えば、モータが用いられる。撹拌羽根612は、撹拌羽根312と同様の構造を有する。
【0067】
溝部640は溝部340と同様の構造を有しており、スクリュー650と、ストレーナ660とを有する。スクリュー650はスクリュー350と同様の構造を有しており、軸351と同様の軸651と、羽根352と同様の羽根652とを有しており、軸651が後段乾燥炉134を貫通する部分には軸受653が配され、軸受653は軸651を回転可能に支持する。
【0068】
後段乾燥炉134の外部には、軸651を回転させるスクリュー駆動部658が配され、軸651と結合されている。スクリュー駆動部658としては、例えば、モータが用いられる。
【0069】
ストレーナ660はストレーナ360と同様の構造を有しており、高含水有機性廃棄物14の搬送方向の両端付近に、ストレーナ開口部662及びストレーナ開口部664を有する。スクリュー650は、スクリュー350と同様、正転と逆転とを切替自在であってもよい。
【0070】
ジャケット136は、前段乾燥炉132の外周の少なくとも一部、例えば、底面202、投入側側面203、側面206、側面207を覆うように配された中空状の前段ジャケット150を含む。ジャケット136は、後段乾燥炉134の外周の少なくとも一部、例えば、底面502、連結側側面503、側面506及び側面507とを覆うように配された中空状の後段ジャケット160を含む。ジャケット136は加熱気体導入管の一例であり、ジャケット136の出口は、前段乾燥炉132および後段乾燥炉134の少なくとも一方に開口していてもよい。前段乾燥炉132および後段乾燥炉134を加熱する気体が流れる加熱気体導入管の他の例としては、高含水有機性廃棄物14の搬送方向に延伸して溝部340及び溝部440を挟むように配された配管であってもよく、上記配管は加熱ガス導入口526及び加熱ガス導入口527に結合されてもよい。
【0071】
前段ジャケット150は、前段乾燥炉132及び後段乾燥炉134を加熱する気体が流入する加熱ガス流入部152と、投入側側面203の一部、及び、排出側側面204の一部を外部に露出するジャケット開口部156及びジャケット開口部158とを有する。加熱ガス流入部152は、前段ジャケット150の内部と外部を連通する加熱ガス流入口153及び加熱ガス流入管154を有する。軸311、軸351、軸411、軸451は、ジャケット開口部156及びジャケット開口部158の内側の位置で投入側側面203及び排出側側面204を貫通する。これにより、前段乾燥室230及び前段乾燥室240の外部において、軸311、軸351、軸411、軸451が前段ジャケット150内の気体に加熱されることを抑制できる。
【0072】
後段ジャケット160は、前段ジャケット150と連結して配されて前段ジャケット150内の上記ガスが流入するジャケット連通口162及びジャケット連通口164と、排出側側面504を外部に露出するジャケット開口部166及びジャケット開口部168を有する。後段ジャケット160は、加熱ガス導入口526及び加熱ガス導入口527を覆うように配され、加熱ガス導入口526及び加熱ガス導入口527を介して後段乾燥室530の内部へ加熱ガスを導入させる。軸611及び軸651は、ジャケット開口部166及びジャケット開口部168の内側の位置で排出側側面504を貫通するので、後段乾燥室530の外部において、軸611及び軸651が後段ジャケット160内の気体に加熱されることを抑制できる。
【0073】
本実施形態においては、前段ジャケット150には、熱分解装置40において生じた排ガス26及び焼却装置62において生じた燃焼ガス27の少なくとも一方が導入される。これにより、熱分解装置40又は焼却装置62において生じた廃熱を用いて、前段乾燥炉132及び後段乾燥炉134を加熱することができ、熱処理システム10全体の熱効率を向上させることができる。
【0074】
上記気体は、ジャケット136を流れる間に前段乾燥炉132及び後段乾燥炉134を外部から加熱した後、加熱ガス導入口526及び加熱ガス導入口527を通過して、後段乾燥室530の内部へ導入される。後段乾燥室530の内部に導入された上記気体は、後段乾燥室530の内部を通過しながら高含水有機性廃棄物14を乾燥させる。後段乾燥室530内部の気体は、乾燥炉連結口250から前段乾燥室230又は前段乾燥室240に流入して、前段乾燥室230及び前段乾燥室240の内部を通過しながら高含水有機性廃棄物14を乾燥させた後、排気部370又は排気部470から乾燥装置30の外部に排出される。
【0075】
次に、乾燥装置30の動作について説明する。廃棄物投入部210から前段乾燥炉132に投入された高含水有機性廃棄物14は、仕切板225により前段乾燥室230と前段乾燥室240とに分配される。
【0076】
前段乾燥室230及び前段乾燥室240の内部においては、高含水有機性廃棄物14が撹拌部材310及び撹拌部材410により撹拌されながら、乾燥炉連結口250に向かって搬送される。高含水有機性廃棄物14は、前段乾燥室230及び前段乾燥室240の外部に配された前段ジャケット150を流れる気体、及び、乾燥炉連結口250から前段乾燥室230及び前段乾燥室240に流入してくる気体により加熱され、乾燥される。高含水有機性廃棄物14は、前段乾燥炉132の内部を搬送される間に、撹拌部材310と邪魔板330とにより破砕されて、又は、撹拌部材410と邪魔板430とにより破砕されて、減容される。
【0077】
高含水有機性廃棄物14の温度が70〜90度程度である場合には、乾燥による減容化とともに、発酵によっても高含水有機性廃棄物14が減容される。前段乾燥炉132内の高含水有機性廃棄物14は水分を多く含むので、前段乾燥室230及び前段乾燥室240に流入する気体の温度が250度程度より低い場合には、高含水有機性廃棄物14の温度が高温になりすぎることはない。前段乾燥室230及び前段乾燥室240に流入する気体の温度が120〜130度程度である場合には、高含水有機性廃棄物14の焦げ付きを防止できる。
【0078】
減容された高含水有機性廃棄物14は、乾燥炉連結口250を介して後段乾燥炉134の後段乾燥室530に投入される。後段乾燥室530に投入された高含水有機性廃棄物14は、撹拌部材610により撹拌されながら、廃棄物排出部510に向かって搬送される。高含水有機性廃棄物14は、後段乾燥室530の外部に配された後段ジャケット160を流れる気体、及び、加熱ガス導入口526及び加熱ガス導入口527から後段乾燥室530の内部に流入してくる気体により加熱され、乾燥される。高含水有機性廃棄物14は、後段乾燥炉134の内部を搬送される間に、撹拌部材610と邪魔板630とにより破砕されて減容される。以上の構成により、乾燥装置30は、高含水有機性廃棄物14の含水率を20〜30%程度にまで低減させることができる。
【0079】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】一実施形態に係る熱処理システム10の概要を表すブロック図。
【図2】一実施形態に係る乾燥装置30の水平方向の断面図。
【図3】一実施形態に係る乾燥装置30のA−A'断面図。
【図4】一実施形態に係る乾燥装置30のB−B'断面図。
【図5】一実施形態に係る乾燥装置30のC−C'断面図。
【符号の説明】
【0081】
10 熱処理システム、12 樹脂廃棄物、14 高含水有機性廃棄物、15 減水廃棄物、16 既成油、18 廃食用油、20 乾留ガス、21 炭化物、22 生成油、23 未凝縮ガス、24 再生燃料、25 焼却灰、26 排ガス、27 燃焼ガス、28 凝縮水、29 スチーム、30 乾燥装置、40 熱分解装置、42 熱分解炉、44 加熱部、46 乾留ガス冷却部、50 廃油燃料化装置、52 再生燃料タンク、54 炭化物冷却装置、56 炭化物貯留槽、60 ボイラ、62 焼却装置、70 排ガス処理装置、72 レアメタル回収装置、130 乾燥炉、132 前段乾燥炉、134 後段乾燥炉、136 ジャケット、138 ホッパ、150 前段ジャケット、152 加熱ガス流入部、153 加熱ガス流入口、154 加熱ガス流入管、155 フランジ、156 ジャケット開口部、158 ジャケット開口部、160 後段ジャケット、162 ジャケット連通口、164 ジャケット連通口、166 ジャケット開口部、168 ジャケット開口部、192 脚部、194 脚部、196 脚部、198 脚部、201 上面、202 底面、203 投入側側面、204 排出側側面、206 側面、207 側面、210 廃棄物投入部、212 投入口、214 投入部本体、216 フランジ、218 蓋部、223 湾曲部、224 湾曲部、225 仕切板、230 前段乾燥室、240 前段乾燥室、250 乾燥炉連結口、310 撹拌部材、311 軸、312 撹拌羽根、313 軸受、314 プーリー、315 プーリー、316 ベルト、317 ベルト、318 撹拌部材駆動部、330 邪魔板、340 溝部、350 スクリュー、351 軸、352 羽根、353 軸受、354 プーリー、356 ベルト、358 スクリュー駆動部、360 ストレーナ、362 ストレーナ開口部、364 ストレーナ開口部、370 排気部、372 排気口、374 排気管、376 フランジ、410 撹拌部材、411 軸、412 撹拌羽根、413 軸受、414 プーリー、430 邪魔板、440 溝部、450 スクリュー、451 軸、452 羽根、453 軸受、454 プーリー、456 ベルト、458 スクリュー駆動部、460 ストレーナ、462 ストレーナ開口部、464 ストレーナ開口部、470 排気部、472 排気口、474 排気管、476 フランジ、501 上面、502 底面、503 連結側側面、504 排出側側面、506 側面、507 側面、510 廃棄物排出部、512 排出口、514 シャッタ、516 排出部本体、526 加熱ガス導入口、527 加熱ガス導入口、530 後段乾燥室、610 撹拌部材、611 軸、612 撹拌羽根、613 軸受、618 撹拌部材駆動部、630 邪魔板、640 溝部、650 スクリュー、651 軸、652 羽根、653 軸受、658 スクリュー駆動部、660 ストレーナ、662 ストレーナ開口部、664 ストレーナ開口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃棄物の熱処理システムであって、
高含水有機性廃棄物を乾燥させる乾燥装置と、
樹脂廃棄物、および、前記乾燥装置で乾燥された前記高含水有機性廃棄物を収容し、前記樹脂廃棄物と前記乾燥された高含水有機性廃棄物とを混合して加熱することにより熱分解させる熱分解装置と
を備える熱処理システム。
【請求項2】
前記乾燥装置は、
前記高含水有機性廃棄物が投入され、投入された前記高含水有機性廃棄物を加熱および撹拌しながら搬送する前段乾燥炉と、
前記前段乾燥炉に連結され、前記前段乾燥炉から搬送された前記高含水有機性廃棄物を加熱および撹拌しながら搬送して排出する後段乾燥炉と
を有し、
前記前段乾燥炉において前記高含水有機性廃棄物を収容する容積は、前記後段乾燥炉において前記高含水有機性廃棄物を収容する容積よりも大きい請求項1に記載の熱処理システム。
【請求項3】
前記前段乾燥炉は、
軸回りに回転して前記高含水有機性廃棄物を撹拌しつつ前記後段乾燥炉に向けて搬送する撹拌羽根と、
前記撹拌羽根が撹拌する領域より下方に配され、前記高含水有機性廃棄物の搬送方向に延伸する溝部と、
前記溝部に収容され、軸回りに回転して前記溝部内の前記高含水有機性廃棄物を搬送方向の反対方向に搬送するスクリューと
を有する請求項2に記載の熱処理システム。
【請求項4】
前記スクリューは、正転と逆転とを切替自在である請求項3に記載の熱処理システム。
【請求項5】
前記前段乾燥炉および前記後段乾燥炉は、前記前段乾燥炉および前記後段乾燥炉を加熱する気体が流れる加熱気体導入管を有し、前記加熱気体導入管の出口は、前記後段乾燥炉および前記前段乾燥炉の少なくとも一方に開口している請求項2に記載の熱処理システム。
【請求項6】
前記熱分解装置による油化により生成した生成油と燃料とを混合して再生燃料を生成する廃油燃料化装置をさらに備え、
前記熱分解装置は、廃油燃料化装置により生成された前記再生燃料を燃焼させる請求項1に記載の熱処理システム。
【請求項7】
前記熱分解装置により生成された炭化物およびガスを焼却する焼却装置をさらに備え、
前記焼却装置において生じた廃熱を用いて、前記乾燥装置を加熱する請求項1に記載の熱処理システム。
【請求項8】
熱分解装置において生じた廃熱を用いて、前記乾燥装置を加熱する請求項1に記載の熱処理システム。
【請求項9】
含水物を乾燥させる乾燥装置であって、
前記含水物が投入され、投入された前記含水物を加熱および撹拌しながら搬送する前段乾燥炉と、
前記前段乾燥炉に連結され、前記前段乾燥炉から搬送された前記含水物を加熱および撹拌しながら搬送して排出する後段乾燥炉と
を有し、
前記前段乾燥炉において前記含水物を収容する容積は、前記後段乾燥炉において前記含水物を収容する容積よりも大きい乾燥装置。
【請求項10】
前記前段乾燥炉は、
軸回りに回転して前記含水物を撹拌しつつ前記後段乾燥炉に向けて搬送する撹拌羽根と、
前記撹拌羽根が撹拌する領域より下方に配され、前記含水物の搬送方向に延伸する溝部と、
前記溝部に収容され、軸回りに回転して前記溝部内の前記含水物を搬送方向の反対方向に搬送するスクリューと
を有する請求項9に記載の乾燥装置。
【請求項11】
前記スクリューは、正転と逆転とを切替自在である請求項10に記載の乾燥装置。
【請求項12】
前記前段乾燥炉および前記後段乾燥炉は、前記前段乾燥炉および前記後段乾燥炉を加熱する気体が流れる加熱気体導入管を有し、前記加熱気体導入管の出口は、前記後段乾燥炉および前記前段乾燥炉の少なくとも一方に開口している請求項9に記載の乾燥装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−136764(P2009−136764A)
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−315535(P2007−315535)
【出願日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【出願人】(507203836)株式会社虎昭産業 (1)
【Fターム(参考)】