説明

熱処理装置、熱処理方法、および、プラズマディスプレイパネル

【課題】被熱処理体の熱処理を実施する熱処理装置において、基板上への塵落下を防止するとともに、電力削減および製品品質の向上を実現できる熱処理装置、その方法、および、プラズマディスプレイパネルを提供する。
【解決手段】熱処理装置は、連続的に配置した連続炉を備え、各区画室は、互いに独立の処理空間となっている。ヒータ37,38によって昇温され、その各区画室内の各基板を所定温度に加熱処理する。各区画室内には、マッフルと呼ばれる耐熱性のガラス上板39a、ガラス側板39b,39cが設けられ、特に、ガラス上板39aは、基板から20〜60mm離れた位置に設置される。マッフルとして用いられるガラスは、日本電気硝子社製のネオセラム(商品名)が好適に用いられ、このネオセラムの表面に、金属を溶媒に溶かした溶液を塗布して有機金属化させた透明マッフルを使用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被熱処理体の熱処理を実施する熱処理装置、熱処理方法、および、プラズマディスプレイパネルに関する。
【背景技術】
【0002】
ディスプレイパネルとして、例えばプラズマディスプレイパネル(Plasma Display Panel:PDP)や液晶表示パネル、有機EL(Electro Luminescence)パネル、FED(Field Emission Display)、電気泳動ディスプレイパネルなどがある。
これらディスプレイパネル等を製造する工程においては、ディスプレイパネル等の表示面に各種処理が施された後、焼成処理が実施される。この焼成処理に使用される装置が熱処理装置であり、熱処理装置は、通常、連続した複数の焼成炉を備えている。ディスプレイパネルは搬送ローラーまたはカートに載せられ、連続炉の各焼成炉を順番に通過し、最後の焼成炉を過ぎたところで焼成が完了する。
【0003】
各焼成炉には、ヒーターの熱源として、主にニクロム線が使用されている。使用期間が長くなるうちにニクロム線に酸化被膜が発生し、ヒーター温度のON/OFFを繰り返す間に、この酸化被膜が落下することがある。これを基板に落下させないために、透明の超耐熱ガラスを使用することが多い。
【0004】
例えば、特許文献1に記載のような徐冷炉には、基板と発熱体との間に、熱線を透過する耐熱性ガラスセラミック板からなる防塵壁が形成されており、徐冷炉の内壁から発生する微粉等により、ガラス板の表面にキズや汚れが付くのを防止している。
【0005】
【特許文献1】特開平5−339021号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1では、熱線を透過する耐熱性ガラスセラミック板からなる防塵壁により、微粉等から保護することはできるが、炉内に耐熱性ガラスセラミック板を設置することによる影響が考えられる。
耐熱性ガラスセラミック板として、通称マッフルと呼ばれる透明の超耐熱ガラスを使用することが多い。材質としては、ネオセラム(商品名)を用いる。ネオセラムは、赤外線透過に優れており、可視域から約3μmまでを透過する。例えば、ニクロム線を熱源とした焼成炉の熱源近傍温度を一定に制御した場合、設定を600℃とすると、熱源の最高温度は750℃程度に達する。このときの放射中心波長は約3.5μmであり、3μm以下の放射エネルギーは、全体の30〜40%と推測される。この3μm以下の放射エネルギーがマッフルを透過し、直接基板に照射される。
【0007】
このため、赤外線の一部がマッフルを透過するので、マッフルに温度ムラが発生し、基板の温度分布を一定に保つためには、マッフルと基板との距離を大きくしなければならなかった。マッフルと基板との距離を大きくすることによって、ヒーターの設定温度を高めに設定しなければならないという問題が一例として挙げられる。また、装置内の寸法が大きくなることに伴い、熱容量が大きくなり、加熱効率が悪化するという問題が一例として挙げられる。
さらに、赤外線の一部が直接基板に照射されるので、基板内での局所加熱が発生し、誘電体焼成ムラやバス電極のb*値(黄変)の悪化を招くといった問題も一例として挙げられる。
【0008】
本発明は、このような実情などに鑑みて、被熱処理体の熱処理を実施する熱処理装置において、基板上への塵落下を防止するとともに、電力削減および製品品質の向上を実現できる熱処理装置、熱処理方法、および、プラズマディスプレイパネルを提供することを1つの目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載の発明は、加熱手段と、加熱手段に対して被熱処理体を覆うマッフルとを備えた熱処理装置であって、前記マッフルは、前記加熱手段から放射される赤外線の透過率が所定値以下となるように構成されていることを特徴とする熱処理装置である。
【0010】
請求項10に記載の発明は、加熱手段と、加熱手段に対して被熱処理体を覆うマッフルとを備えた熱処理装置を用い、前記マッフルの前記加熱手段から放射される赤外線の透過率が所定値以下となる状態で熱処理することを特徴とする熱処理方法である。
【0011】
請求項11に記載の発明は、請求項1ないし請求項9のいずれかに記載の熱処理装置により熱処理された前記被熱処理体、または、前記請求項10に記載の熱処理方法により熱処理された前記被熱処理体を備えたことを特徴としたプラズマディスプレイパネルである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
〔1.第1の実施の形態〕
以下、本発明に係る一実施の形態を図面に基づいて説明する。
なお、本実施の形態ではプラズマディスプレイパネルを例示するが、これに限らず、本発明は液晶表示パネルや、有機ELパネル、FED、電気泳動ディスプレイパネルなどのディスプレイパネルのガラス基板、さらにはディスプレイパネルのガラス基板に限らず、各種板ガラスなどにも適用可能である。
プラズマディスプレイパネルの製造工程において、プラズマディスプレイの表面に各種処理が施された後、焼成処理が行われる。この焼成処理に使用される装置が熱処理装置である。
【0013】
[1-1.熱処理装置の構成]
熱処理装置の詳細な構成について、図面を参照して以下に説明する。
図1は、熱処理装置の概略構成を示すブロック図である。図2は、熱処理装置の断面図である。
【0014】
図1において、100は熱処理装置で、この熱処理装置100は、図示しない基板に熱処理を実施する装置で、例えばローラコンベヤ式のものが利用される。
このローラコンベヤ式の熱処理装置100は、搬送手段110と、連続加熱炉120と、制御部130と、を基本構成としている。
【0015】
搬送手段110は、連続加熱炉120へ基板を等速で搬送する。この搬送手段110は、熱処理コンベヤ111と、作業用コンベヤ112と、基板が載置可能で熱処理コンベヤ111および作業用コンベヤ112にて搬送される図示しないセッター3と、トラバーサ5,6と、を備えている。熱処理コンベヤ111および作業用コンベヤ112は、図2に示すように、軸方向が略平行に回転可能に配設された複数のローラ4と、ローラ4を回転させる図示しない駆動手段と、を備えている。トラバーサ5,6は、図1に示すように、熱処理コンベヤ111および作業用コンベヤ112の端部間を連絡するように配置されて一方から他方へセッター3を移載させる。
そして、熱処理コンベヤ111には、連続加熱炉120が設けられている。また、作業用コンベヤ112には、連続加熱炉120での熱処理を終えて戻って来るセッター3から処理済みの基板を降ろす積み降ろし作業領域11と、積み降ろしを終えたセッター3にこれから処理すべき基板を積み込むパネル搭載領域13とが装備されている。
【0016】
連続加熱炉120は、搬送手段110により搬送される基板に一連の熱処理を実施する。すなわち、連続加熱炉120は、図2に示すように、基板を載置するセッター3が内部を通過可能にトンネル状に構築され、加熱動作などは制御部130により制御される。そして、熱処理装置100は、被熱処理体である基板を搭載したセッター3を加熱動作中の連続加熱炉120中に搬送することにより基板に熱処理を施すものである。
連続加熱炉120は、図1に示すように、搬送手段110のセッター3の搬送方向に沿って複数、例えば17個連続して配置された区画室#1〜#17を備え、各区画室#1〜#17がそれぞれ独立して温度制御可能に構成されている。
各区画室#1〜#17は、セッター3が搬入可能な熱処理用空間を区画したもので、搬送手段110により搬入されるセッター3上の基板に対して所定の熱処理をする最小単位の処理室となるものである。具体的には、各区画室#1〜#17間には、区分する連続加熱炉120内を各区画室#1〜#17に区画する状態に仕切壁23が設けられている。そして、仕切壁23には、セッター3の出入りを可能にする開閉可能な開口23aが装備されている。なお、先頭の第1区画室#1のトラバーサ5側の端部、および最後尾の区画室#17のトラバーサ6側の端部には、区画室#1、#17内と外部との間を仕切る仕切壁25が装備されるが、これら仕切壁25にも同様に、セッター3の出入りを可能にする開口が設けられている。
【0017】
そして、各区画室#1〜#17は、搬送手段110によりセッター3が搬送される搬送方向の長さ寸法が、基板が搭載されたセッター3の搬送方向における長さ寸法以上で、かつ、等速搬送されるセッター3が所定時間以上で処理空間内に滞在可能な長さ寸法に設計されている。なお、図1は、説明の都合上、搬送方向におけるセッター3と区画室#1〜#17の長さ寸法とに大きな寸法差がないように示すが、上述した長さ寸法に設計されている。
また、各区画室#1〜#17は、図2に示すように、両側面および上面および底面は、図2に示すように、炉体31を構成する炉体上壁32、炉体底壁33、炉体側壁34,35によって覆われ、上述した仕切壁23とにより互いに独立の処理空間を区画形成している。さらに、各炉体上壁32、炉体底壁33、炉体側壁34,35の外面には、図示しない断熱材が全面的に貼付されている。
そして、炉体上壁32および炉体底壁33には加熱手段としてのヒータ37,38が配設され、各区画室#1〜#17内を搬送される基板を所定温度に加熱処理する。すなわち、ヒータ37,38は、基板の搬送経路における鉛直方向での上下方向にそれぞれ配設されている。
さらに、各区画室#1〜#17内には、セッター3の搬送経路を覆うように、マッフル板39が設けられている。このマッフル板39は、耐熱性ガラスにて構成され、耐熱性のガラス上板39aと、ガラス側板39b,39cとを備えている。なお、ガラス上板39aは、基板から20〜60mm離れた位置に設置される。ガラス上板39a、ガラス側板39b,39cは、基板の搬送経路における鉛直方向の上側に位置するヒータ37や炉体上壁32などからの異物の落下による各基板の汚染を防止する。
【0018】
マッフル板39として用いられるガラスは、赤外線の透過率が低い超耐熱ガラスが使用される。通常、超耐熱ガラスは透明であるため、超耐熱ガラス自体を着色して赤外線を透過しないマッフルとする必要がある。具体的には、超耐熱ガラスとして、日本電気硝子社製のネオセラム(商品名)等が好適に用いられ、このネオセラムの表面に、金属を溶媒に溶かした溶液を塗布して有機金属化させた不透明なマッフルを使用することができる。ここで使用される金属としては、Bi、Pd、Cr、Fe、Ag、Si、Au等が挙げられる
【0019】
制御部130は、例えば熱処理装置100全体の動作制御をする。
【0020】
[1-2.熱処理装置の動作]
次に、上記熱処理装置の動作として、ディスプレイパネルの製造工程における熱処理方法について図面を参照して説明する。
まず、制御部130は、各区画室#1〜#17を所定の温度となる状態に、ヒータ37,38へ供給する電力を制御する。例えば、制御部130は、昇温工程と、本工程と、排気工程と、降温工程を各区画室#1〜#17に割り当て、ヒータ37,38による各区画室#1〜#17内の昇温・降温を実施する。そして、各区画室#1〜#17の温度が安定した状態で、パネル搭載領域13で基板が積み込まれたセッター3を、連続加熱炉120へ例えば500mm/分以上の等速で搬送させる。こうして、各温度に設定された連続加熱炉120を通過することにより、基板の焼成処理が行われる。
【0021】
[1-3.第1の実施の形態の作用効果]
上述した第1の実施の形態では、以下に示す作用効果を奏することができる。
【0022】
このような構成を備えた熱処理装置では、マッフル板39に、ネオセラムの表面を有機金属化することによって不透明にしたものを使用しているので、赤外線の透過率を低くすることができる。赤外線の透過率が低くなった分、マッフル板39はその赤外線を吸収して加熱され、一定の温度分布を維持することができる。そして、加熱されたマッフル板39により、基板の温度分布を一定に保つことができるようになり、基板に対して熱処理を行うことができる。
このため、ヒータ37はマッフル板39に近づけて配置できるとともに、マッフル板39と基板とも近接する状態に配置できることから、ヒータ37と基板との距離を短くでき、基板の温度変化に対する追従性も向上し、温度偏差の少ない高精度な温度制御ができる。このように、ヒータ37と基板との距離を短くすることで、炉体31の寸法を小さくすることができるので、熱処理装置100の省スペース化も可能となるとともに、より小さい熱容量での熱処理が可能となり、電力を削減することができる。
【0023】
また、マッフル板39の赤外線の透過率が低いので、基板に直接照射される赤外線も抑制される。このため、基板の局所加熱を防止できるので、基板の温度分布が一定に保たれ、基板自体の誘電体ムラやバス電極のb*(黄変度)の悪化を防止することができ、基板の品質を向上することができる。したがって、この基板を用いて製造することにより、品質の優れたプラズマディスプレイパネルを得ることができる。
【0024】
〔2.第2の実施の形態〕
以下に、本発明に係る第2の実施の形態を説明する。なお、本実施の形態の熱処理装置は、第1の実施の形態の熱処理装置の耐熱材料を他の構成としたものなので、第1の実施の形態の構成と同一の構成については、説明を省略または簡略化する。
【0025】
[2-1.熱処理装置の構成]
本実施の形態において、マッフル板39として、表面を粗らした超耐熱ガラスを用いている。具体的には、第1の実施の形態で用いた、日本電気硝子社製のネオセラム(商品名)の表面をブラスト処理したものを使用する。マッフル板39の表面粗さは、Rmax 20μm程度が好ましい。
【0026】
[2-2.第2の実施の形態の作用効果]
上記第2の実施の形態では、マッフル板39の表面が粗面化されているので、赤外線がこの粗面に当たると散乱され、赤外線の透過率を低くすることができる。したがって、第1の実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0027】
[3.実施例]
上記実施の形態による効果を確認するための実施例について説明する。以下の実施例1〜2および比較例1に示すマッフル板39を炉体31内に設置し、プラズマディスプレイパネルの焼成工程において、以下の測定を行った。
【0028】
(実施例1)
ネオセラム(商品名)に対して、パラジウム、クロム、鉄、チタン、銀などを含む有機金属をアルコールなどの有機溶媒に溶かしたものを散布し、600℃程度で加熱して黒色化(不透明化)した。なお、基板とマッフルとの距離は20mmとした。
【0029】
(実施例2)
ネオセラム(商品名)の表面に、研磨材としてジルコニア粒子を用いたサンドブラスト装置を用いて、サンドブラスト処理を行い、粗面化した。このときの表面粗さRmaxは20μmであった。なお、基板とマッフルとの距離は20mmとした。
【0030】
(比較例1)
従来のものと同様の構造であり、マッフル板として、透明なネオセラム(商品名)を使用した。基板とマッフル板との距離は従来の150mmとした。
【0031】
実施例1および比較例1の基板に、赤外線熱放射源である「Nernst Lamps」(セラミックロッドを用いた光源)を用いて赤外線を照射し、基板の透過前と透過後の赤外線をカーボンに吸収させ、サーミスタで温度検出し、透過率を測定した。その結果を図3に示す。
図3は、波長と放射エネルギーの透過率との関係を示すグラフである。なお、500℃における炉内の放射分布も同時に示している。
図3によれば、実施例1における透過率は常に20%を下回っているが、実質的な透過率は0%であった。これは、比較例1の透過率が80%を超えているのと比べて、非常に低い。特に波長3μm以下で、顕著にその効果を得ることができることがわかる。
したがって、実施例1のような着色したマッフル板を用いることで、放射エネルギー(赤外線)の透過率を抑制できるので、マッフル板を一定の温度に保つことができ、その結果、基板の温度も一定に維持することができる。
【0032】
次に、実施例1および比較例1についての炉内のヒーター表面温度と時間との関係を図4に示した。
図4によれば、炉内の温度は時間の経過に伴って昇温していく様子が示されており、実施例1の温度は、どの時間であっても、比較例1の温度よりも低い温度で昇温していることがわかる。すなわち、実施例1では熱容量を小さくすることができ、電力削減という効果を得ることができる。
【0033】
また、実施例2および比較例1の基板に光源からの光を照射し、反射光のスペクトルを、コニカミノルタ製分光測色計「CM−2002」を用いて測定し、b*値(黄変度)を計測した。その結果を図5に示す。
なお、b*値(黄変度)は、バス電極を覆う誘電体層を焼成すると、バス電極中の銀成分が誘電体層内に拡散し、透明であるはずの誘電体層が黄色に変色する程度を表したもので、b*値(黄変度)が低いほど、基板に黄変がなく、品質が良いということになる。
図5によれば、実施例2のb*値は、比較例1のb*値よりも常に低い値を示している。したがって、実施例2の熱処理装置によって焼成された基板の品質が優れていることがわかる。
【0034】
[4.実施の形態の変形]
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成
できる範囲で以下に示される変形をも含むものである。
【0035】
すなわち、例えば第1の実施の形態において、熱処理装置は、ローラコンベヤ式の基板搬送手段を備える熱処理装置100に限らず、例えば、カート式の基板搬送手段を備える熱処理装置でもよい。
このようなカート式の熱処理装置を用いた場合でも、上述の各実施形態および比較例と同様の優れた効果を得ることができる。
【0036】
[5.実施の形態の作用効果]
プラズマディスプレイパネルの熱処理装置100において、連続加熱炉120の各炉体31内に、赤外線の透過率が低いマッフル板39が基板を覆うように配置されているので、マッフル板39の赤外線の透過率を低くすることができる。実施例の結果より、本実施の形態における不透明なマッフル板39の透過率は20%以下となっており、実質的には0%であった。したがって、マッフル板39の温度分布を一定に保つことができるので、マッフル板39と基板との距離を大きくしなくても、基板の温度分布を一定に保つことができる。すなわち、マッフル板39と基板との距離を20〜60mm程度に小さくできるので、炉体31の寸法が小さくなり、熱処理装置100の省スペース化が図れる。さらに、熱容量も小さくなり、消費電力の削減にもつながる。
すなわち、本実施の形態により、ヒータ37や炉体上壁32等からの異物の落下による各基板の汚染を防止することができるのはもちろんのこと、電力削減によるコスト低減と、製品品質の向上も可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る熱処理装置の概略構成を示すブロック図。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る熱処理装置の断面図。
【図3】実施例において従来技術と本発明における、放射エネルギーの透過率と、波長と、の関係を示す図。
【図4】実施例において従来技術と本発明における、焼成炉内の温度と、時間と、の関係を示す図。
【図5】実施例において従来技術と本発明における、バス電極のb*値と、焼成温度と、の関係を示す図。
【符号の説明】
【0038】
100 熱処理装置
110 搬送手段
120 連続加熱炉
130 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱手段と、加熱手段に対して被熱処理体を覆うマッフルとを備えた熱処理装置であって、
前記マッフルは、前記加熱手段から放射される赤外線の透過率が所定値以下となる状態に構成されていることを特徴とした熱処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の熱処理装置であって、
前記マッフルは、着色された耐熱性ガラスで構成されていることを特徴とした熱処理装置。
【請求項3】
請求項1に記載の熱処理装置であって、
前記マッフルは、表面が粗面となっている耐熱性ガラスで構成されていることを特徴とした熱処理装置。
【請求項4】
請求項1に記載の熱処理装置であって、
前記赤外線の透過率が20%以下となるように構成されていることを特徴とした熱処理装置。
【請求項5】
請求項1に記載の熱処理装置であって、
前記赤外線の透過率が実質的に0%となるように構成されていることを特徴とした熱処理装置。
【請求項6】
請求項1に記載の熱処理装置であって、
波長3μm以下の前記赤外線の透過率が20%以下となるように構成されていることを特徴とした熱処理装置。
【請求項7】
請求項1に記載の熱処理装置であって、
波長3μm以下の前記赤外線の透過率が実質的に0%となるように構成されていることを特徴とした熱処理装置。
【請求項8】
請求項1に記載の熱処理装置であって、
前記マッフルは、前記加熱手段から放射される赤外線を吸収してピーク波長が長波長側にずれた赤外線を放射することを特徴とした熱処理装置。
【請求項9】
請求項1に記載の熱処理装置であって、
前記マッフルは、被熱処理体との距離が20〜60mmとなるように配置されていることを特徴とした熱処理装置。
【請求項10】
加熱手段と、加熱手段に対して被熱処理体を覆うマッフルとを備えた熱処理装置を用い、前記マッフルの前記加熱手段から放射される赤外線の透過率が所定値以下となる状態で熱処理することを特徴とする熱処理方法。
【請求項11】
請求項1ないし請求項9のいずれかに記載の熱処理装置により熱処理された前記被熱処理体、または、前記請求項10に記載の熱処理方法により熱処理された前記被熱処理体を備えたことを特徴としたプラズマディスプレイパネル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−151371(P2008−151371A)
【公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−337823(P2006−337823)
【出願日】平成18年12月15日(2006.12.15)
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【Fターム(参考)】