説明

熱遮断構造

【課題】電子部品間の熱伝達を遮断して、温度上昇による電子部品の機能低下を防止可能な熱遮断構造を提供すること。
【解決手段】本発明のある実施の形態において、熱遮断構造100は、固体撮像素子11を包囲する包囲剛体15を備える。包囲剛体15は、電磁波を吸収する剛体15aによる電磁波吸収層と、外気に比して減圧された減圧層15bとを有する多層断面構造からなる。剛体15aは、熱放射による熱エネルギーを吸収して、固体撮像素子11とDSP21と間における熱放射を遮断する。減圧層15bは、熱対流を抑制して、固体撮像素子11とDSP21と間における熱対流を遮断する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体素子等の電子部品の間における熱伝達を遮断する熱遮断構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、デジタル一眼レフカメラを始めとするデジタルスチルカメラ、またはデジタルビデオカメラ、被検体の臓器内部を観察するための内視鏡、撮像機能を備えた携帯電話機など、各種態様の電子撮像装置が登場している。電子撮像装置は、CCDまたはCMOS等の固体撮像素子を備えた撮像ユニットとレンズ等の光学系とを内蔵する。電子撮像装置は、光学系によって固体撮像素子の受光部に被写体の光学像を結像し、この固体撮像素子の光電変換処理によって被写体の画像を撮像する。
【0003】
また、近年、電子撮像装置においては、固体撮像素子の高画素化および高速処理化とともに、装置小型化の要望が高まっている。このため、電子撮像装置内に搭載する固体撮像素子およびDSP(Digital Signal Processor)等の電子部品の高性能化および高密度実装化が進行している。このような電子部品の高性能化および高密度実装化に伴い、電子部品の動作時の発熱量が増加するとともに、電子部品間における相互の熱伝達が生じ易くなり、熱伝達による電子部品の温度上昇によって、電子部品の機能低下が発生する。
【0004】
特に、固体撮像素子は、アナログ素子であり、近傍に配置された電子部品間の相互熱干渉に起因する熱の影響を受け易い。例えば、電子撮像装置の全体的な動作制御を行うDSPは、長時間動作しつつ発熱する半導体素子である。このような発熱源となり得るDSPと固体撮像素子との間の熱伝達は、固体撮像素子の温度上昇を引き起こし、この固体撮像素子の温度上昇に伴って暗電流等のノイズが発生する。この熱によるノイズは、画質低下等の固体撮像素子の機能低下を招来し、固体撮像素子による高画質撮像を困難にする。
【0005】
なお、上述したような電子部品間の相互の熱伝達を抑制する従来技術として、例えば、DSPと固体撮像素子との間にスペーサを介在させてDSPと固体撮像素子との間に空隙を形成するもの(特許文献1参照)もあれば、固体撮像素子に熱伝導可能に接続された放熱板と、集積回路に熱伝導可能に接続された放熱板との間に断熱部材を配置しているもの(特許文献2参照)もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第4036694号公報
【特許文献2】特開2007−174526号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、物体間の熱伝達には、原子または分子の振動あるいは自由電子の移動によって熱エネルギーが伝わる現象である熱伝導と、物体から熱エネルギーが電磁波として放出される現象である熱放射(熱輻射)と、気体等の流体の流れによって熱エネルギーが移動する現象である熱対流とがある。
【0008】
しかしながら、上述した特許文献1に開示された従来技術では、電子部品間の熱伝導を抑制することは可能であるが、熱放射を抑制することが困難であるため、熱放射によって伝達された熱エネルギーは電子部品の温度上昇を招来し、この温度上昇によって電子部品の機能が低下するという問題がある。
【0009】
また、上述した特許文献2に記載された従来技術では、電磁波として伝達される熱エネルギーを放熱板間の断熱部材によって吸収することは困難であるため、熱放射によって伝達された熱エネルギーによる電子部品の温度上昇を十分に軽減しきれず、この結果、温度上昇によって電子部品の機能が低下するという問題がある。
【0010】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、電子部品間の熱伝達を遮断して、温度上昇による電子部品の機能低下を防止可能な熱遮断構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかる熱遮断構造は、電磁波を吸収する電磁波吸収層と外気に比して減圧された減圧層とを有する多層断面構造からなり、第1の回路基板上の第1の電子部品を包囲する包囲剛体を備え、前記包囲剛体の外部に配置された第2の回路基板上の第2の電子部品と前記第1の電子部品との間における熱伝達を遮断することを特徴とする。
【0012】
また、本発明にかかる熱遮断構造は、上記の発明において、前記第1の回路基板と前記第2の回路基板とを接続する接続基板に配置され、前記接続基板に伝導された熱を吸収する吸熱体をさらに備えたことを特徴とする。
【0013】
また、本発明にかかる熱遮断構造は、上記の発明において、前記電磁波吸収層は、前記包囲剛体の外層をなし、前記減圧層は、前記外層によって密閉されて形成されることを特徴とする。
【0014】
また、本発明にかかる熱遮断構造は、上記の発明において、前記包囲剛体は、前記電磁波吸収層をなすとともに前記減圧層を密閉する電磁波吸収部材によって形成されることを特徴とする。
【0015】
また、本発明にかかる熱遮断構造は、上記の発明において、前記減圧層は、真空層であることを特徴とする。
【0016】
また、本発明にかかる熱遮断構造は、上記の発明において、電磁波を吸収する電磁波吸収層と外気に比して減圧された減圧層とを有する多層断面構造からなり、前記第2の電子部品を包囲する他の包囲剛体をさらに備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明にかかる熱遮断構造によれば、包囲剛体が、電磁波を吸収する電磁波吸収層と外気に比して減圧された減圧層とを有する多層断面構造からなり、第1の回路基板上の第1の電子部品を包囲し、この包囲剛体の外部に配置された第2の回路基板上の第2の電子部品と前記第1の電子部品との間における熱伝達を遮断するため、包囲剛体の電磁波吸収層によって熱放射による熱エネルギーを吸収でき、さらに、包囲剛体の減圧層によって熱対流を抑制できる。これによって、第1の電子部品および第2の電子部品間の熱伝達を遮断して、第1の電子部品および第2の電子部品の温度上昇を軽減でき、この結果、温度上昇による第1の電子部品および第2の電子部品の機能低下を防止できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、本発明の実施の形態にかかる熱遮断構造を備えた半導体装置の一構成例を示す断面模式図である。
【図2】図2は、包囲剛体の外形および多層断面構造の一例を示す模式図である。
【図3】図3は、本発明の実施の形態にかかる熱遮断構造の作用を説明するための模式図である。
【図4】図4は、本発明の実施の形態の変形例にかかる熱遮断構造を備えた半導体装置の一構成例を示す断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、本発明にかかる熱遮断構造の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下では、複数の電子部品の一例として電子撮像装置に内蔵される固体撮像素子およびDSPを例示し、固体撮像素子とDSPとの間における熱伝達を遮断する熱遮断構造を説明するが、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0020】
(実施の形態)
図1は、本発明の実施の形態にかかる熱遮断構造を備えた半導体装置の一構成例を示す断面模式図である。図1に示すように、この実施の形態にかかる半導体装置1は、被写体の画像を撮像する撮像部10と、撮像部10の動作を制御する制御部20と、撮像部10と制御部20とを電気的に接続する接続基板30とを備える。また、この半導体装置1には、これら撮像部10と制御部20との間における熱伝達を遮断する熱遮断構造100が構成されている。
【0021】
撮像部10は、被写体の画像を取得するためのユニットであり、図1に示すように、被写体の画像を撮像する固体撮像素子11と、固体撮像素子11等を実装する撮像基板12と、固体撮像素子11の機能面を保護するカバーガラス13と、撮像基板12上の固体撮像素子11を包囲する包囲剛体15とを備える。
【0022】
固体撮像素子11は、CCDまたはCMOSイメージセンサ等を用いて実現されるベアチップ状態の半導体素子(電子部品の一例)であり、被写体からの光を受光して、この被写体の画像を撮像する撮像機能を有する。具体的には、固体撮像素子11は、シリコン基板等のサブストレートの表面に、被写体からの光を受光する受光面および撮像機能に必要な各種回路を有する受光機能部11aと、この受光機能部11aと電気的に接続された電極端子上に固定される複数の突起電極11bとを備える。
【0023】
受光機能部11aは、2次元的に配置される複数の画素およびカラーフィルタ等を用いて実現される。受光機能部11aは、まず、カバーガラス13を含む光学系を介して被写体からの光を受光し、この受光した光を光電変換処理する。つぎに、受光機能部11aは、この光電変換処理によって得られた信号をもとに、被写体の画像信号を生成する。
【0024】
複数の突起電極11bは、受光機能部11aの外側周辺に形成された複数の電極パッドに固定される。なお、特に図示しないが、このように電極パッドに固定された複数の突起電極11bの各々は、固体撮像素子11のサブストレートに形成された回路配線等を介して、受光機能部11aと電気的に接続する。
【0025】
なお、複数の突起電極11bの各々は、ワイヤボンディング方式によって形成された金または銅等のスタッドバンプであってもよいし、めっき方式によって形成された金、銀、インジウムまたは半田等の金属バンプであってもよい。また、複数の突起電極11bの各々は、金属ボールまたは表面に金属めっきを施した樹脂ボールであってもよい。
【0026】
上述したような受光機能部11aおよび複数の突起電極11bを有する固体撮像素子11は、図1に示すように、接着剤11cを用いて撮像基板12にフリップチップ実装される。これによって、複数の突起電極11bの各々は、撮像基板12の電極端子(図示せず)に接続固定される。この結果、固体撮像素子11は、複数の突起電極11bを介して撮像基板12の回路配線と電気的に接続される。なお、上述した受光機能部11aが生成した画像信号は、これら複数の突起電極11bを介して、撮像基板12側に出力される。
【0027】
ここで、接着剤11cは、上述した固体撮像素子11と撮像基板12との電気的な接続状態を確保するためのものであり、受光機能部11a側に進入しないように固体撮像素子11と撮像基板12との間隙に充填される。なお、接着剤11cは、エポキシ系、フェノール系、シリコン系、ウレタン系またはアクリル系等の絶縁性接着剤であってもよいし、異方性導電フィルム(ACF)または異方性導電ペースト(ACP)等の異方性導電接着剤であってもよい。
【0028】
撮像基板12は、固体撮像素子11の撮像機能を実現するための回路と、受光機能部11aに対向する開口部12aとが形成された回路基板である。なお、撮像基板12は、外力の印加によって容易に変形可能な可撓性のフレキシブル回路基板であってもよいし、フレキシブル回路基板に比して変形し難いリジッド回路基板であってもよい。
【0029】
開口部12aは、固体撮像素子11の受光機能部11aに対応して設計された開口寸法、つまり、受光機能部11aの大きさに対して所定以上に大きい開口寸法を有し、この受光機能部11aに対する被写体からの光の入射を可能にする。
【0030】
このような撮像基板12には、図1に示すように、受光機能部11aと開口部12aとを対向させた態様にして、固体撮像素子11がフリップチップ実装される。この場合、撮像基板12は、固体撮像素子11によって開口部12aを閉塞するように、固体撮像素子11を搭載する。さらに、撮像基板12には、この搭載した固体撮像素子11を包囲する包囲剛体15が取り付けられる。
【0031】
また、撮像基板12には、特に図示しないが、固体撮像素子11と電気的に接続する回路配線と、撮像基板12の熱を放出するための放熱用の金属パターン(以下、放熱パターンという)とが形成されている。撮像基板12は、このような回路配線の電極端子を介して接続基板30と電気的に接続される。且つ、撮像基板12は、このような放熱パターンを介して接続基板30と熱伝導可能に接続される。
【0032】
カバーガラス13は、被写体からの光、すなわち固体撮像素子11の受光機能部11aが受光すべき光に対して透明な光学部材である。カバーガラス13は、図1に示すように、固体撮像素子11の受光機能部11aと対向する撮像基板12の開口部12aを閉じるように、接着剤14によって撮像基板12に固定される。このように撮像基板12に取り付けられたカバーガラス13は、固体撮像素子11の受光機能部11a側に被写体からの光を透過するとともに、受光機能部11aへの異物混入を防止し、且つ外力による破損等から受光機能部11aを保護する。
【0033】
包囲剛体15は、撮像基板12上の固体撮像素子11を包囲する多層断面構造の剛体である。図2は、包囲剛体の外形および多層断面構造の一例を示す模式図である。包囲剛体15は、図1,2に示すように、電磁波吸収性を有する剛体15aによって形成される。
【0034】
剛体15aは、フェライトまたはカーボン等の電磁波吸収部材であり、例えば図2に示すように、一端が開口した箱型の外形をなす中空な構造体に形成される。この剛体15aの開口端部、すなわち、包囲剛体15の開口端部は、図1に示すように、撮像基板12上の固体撮像素子11の外周部近傍に固定される。なお、このような撮像基板12と包囲剛体15との固定は、エポキシ系接着剤または熱伝導性接着剤等を用いて行われる。このように撮像基板12に固定された包囲剛体15は、図1に示すように、撮像基板12上の固体撮像素子11を包囲し、これによって、固体撮像素子11と包囲剛体15の外部とを遮断する。
【0035】
ここで、包囲剛体15は、電磁波を吸収する剛体15aの層、すなわち電磁波吸収層と、外気(包囲剛体15の外部雰囲気)に比して減圧された減圧層15bとを有する多層断面構造からなる。具体的には、包囲剛体15の多層断面構造は、図1,2に示すように、2つの電磁波吸収層によって減圧層15bを挟んだ3層断面構造である。この3層断面構造において、剛体15aは、包囲剛体15の外層をなし、包囲剛体15の電磁波吸収層は、外層である剛体15aによって形成される。
【0036】
一方、減圧層15bは、上述した剛体15aによって密閉された中空層であり、外気に比して減圧することによって形成される。具体的には、剛体15aの一部分に外気に通じる通気穴(図示せず)を形成し、この通気穴を通して剛体15a間の中空層を脱気(減圧処理)することによって、減圧層15bが形成される。なお、この剛体15aの通気穴は、減圧層15bを形成後、電磁波吸収部材等によって閉塞される。このようにして形成された減圧層15bは、外気に比して減圧されていれば空気を含んでもよいが、真空であることが望ましい。
【0037】
制御部20は、撮像部10を制御するためのユニットであり、図1に示すように、DSP21と、チップコンデンサ等の他の電子部品22と、DSP21および電子部品22を実装する制御基板23とを備える。DSP21は、上述した固体撮像素子11の動作を制御する半導体素子(電子部品の一例)であり、制御機能に必要な回路等が形成されたシリコン基板等のサブストレートの表面に、複数の突起電極21aを備える。
【0038】
複数の突起電極21aは、サブストレートに形成された複数の電極パッドに固定される。なお、特に図示しないが、このように電極パッドに固定された複数の突起電極21aの各々は、サブストレートに形成された回路配線等を介してDSP21の回路と電気的に接続する。
【0039】
なお、複数の突起電極21aの各々は、ワイヤボンディング方式によって形成された金または銅等のスタッドバンプであってもよいし、めっき方式によって形成された金、銀、インジウムまたは半田等の金属バンプであってもよい。また、複数の突起電極21aの各々は、金属ボールまたは表面に金属めっきを施した樹脂ボールであってもよい。
【0040】
このような構成を有するDSP21は、図1に示すように、接着剤21bを用いて制御基板23にフリップチップ実装される。これによって、複数の突起電極21aの各々は、制御基板23の電極端子(図示せず)に接続固定される。この結果、DSP21は、複数の突起電極21aを介して制御基板23の回路配線と電気的に接続される。なお、DSP21が固体撮像素子11を制御するための制御信号は、これら複数の突起電極21aを介して、制御基板23側に出力される。
【0041】
一方、電子部品22は、例えばチップコンデンサ等の電子部品であり、DSP21が正常に動作するために必要に応じて制御基板23の電極端子に実装される。なお、この電子部品22と制御基板23との固定は、接着剤22aを用いて行われる。
【0042】
ここで、接着剤21bは、DSP21と制御基板23との電気的な接続状態を確保するためのものであり、接着剤22aは、電子部品22と制御基板23との電気的な接続状態を確保するためのものである。なお、接着剤21b,22aは、エポキシ系、フェノール系、シリコン系、ウレタン系またはアクリル系等の絶縁性接着剤であってもよいし、ACFまたはACP等の異方性導電接着剤であってもよい。
【0043】
制御基板23は、DSP21の制御機能を実現するために必要な回路が形成された回路基板である。この制御基板23には、図1に示すように、DSP21がフリップチップ実装され、さらに、電子部品22が実装される。なお、制御基板23は、外力の印加によって容易に変形可能な可撓性のフレキシブル回路基板であってもよいし、フレキシブル回路基板に比して変形し難いリジッド回路基板であってもよい。
【0044】
また、制御基板23には、特に図示しないが、DSP21と電気的に接続する回路配線と、制御基板23の熱を放出するための放熱パターンとが形成されている。制御基板23は、このような回路配線の電極端子を介して接続基板30と電気的に接続される。且つ、制御基板23は、このような放熱パターンを介して接続基板30と熱伝導可能に接続される。
【0045】
接続基板30は、外力の印加によって容易に変形可能な可撓性のフレキシブル回路基板であり、上述した撮像基板12と制御基板23とを接続する。具体的には、接続基板30は、撮像基板12と電気的に接続する撮像基板側電極端子と、制御基板23と電気的に接続する制御基板側電極端子とを有する。また、接続基板30には、これら撮像基板側電極端子と制御基板側電極端子とを電気的に接続する回路が形成される。
【0046】
また、接続基板30は、撮像基板12からの熱を伝導する放熱パターンと、制御基板23からの熱を伝導する放熱パターンとを有する。接続基板30は、このような放熱パターンを介して、撮像基板12および制御基板23と接続される。
【0047】
このような構成を有する接続基板30には、撮像基板12および制御基板23が電気的且つ熱的に接続される。すなわち、撮像基板12および制御基板23は、接続基板30を介して電気的に接続されるとともに、接続基板30に対して熱伝導可能に接続される。また、可撓性を有する接続基板30を介して接続された撮像基板12および制御基板23は、図1に示すように、対向する態様で互いに近傍に位置する。
【0048】
一方、接続基板30には、図1に示すように、吸熱体31が配置される。吸熱体31は、接続基板30に伝導された熱を吸収する。具体的には、吸熱体31は、銅またはアルミニウム等の放熱性の高い金属または合金によって形成され、接続基板30の所定の位置(例えば放熱パターン上)に固定される。接続基板30上の吸熱体31は、撮像基板12側から接続基板30に伝導した熱と、制御基板23側から接続基板30に伝導した熱とを吸収し、吸収した熱を外部に放出する。これによって、吸熱体31は、接続基板30を介した撮像基板12と制御基板23との間の熱伝導を遮断する。詳細には、吸熱体31は、接続基板30を介した固体撮像素子11とDSP21との間の熱伝導を遮断する。
【0049】
ここで、上述した包囲剛体15および吸熱体31は、半導体装置1の熱遮断構造100を構成する。具体的には、包囲剛体15は、電磁波吸収部材である剛体15aの作用によって、固体撮像素子11とDSP21との間の熱放射を遮断し、減圧層15bの作用によって、固体撮像素子11とDSP21との間の熱対流を遮断する。一方、吸熱体31は、上述したように、接続基板30を介した固体撮像素子11とDSP21との間の熱伝導を遮断する。このような包囲剛体15および吸熱体31を有する熱遮断構造100は、固体撮像素子11とDSP21との間における全ての熱伝達(熱放射、熱対流、熱伝導)を遮断する。
【0050】
なお、以上のような構成を有する半導体装置1は、デジタルカメラおよびデジタルビデオカメラを始め、被検体の臓器内部を観察するための内視鏡、撮像機能を備えた携帯電話機等、各種態様の電子撮像装置の撮像ユニットとして適用することができる。
【0051】
つぎに、本発明の実施の形態にかかる熱遮断構造100の作用について説明する。図3は、本発明の実施の形態にかかる熱遮断構造の作用を説明するための模式図である。なお、図3において、波線矢印は、熱放射による熱エネルギーの流れを示し、一点鎖線矢印は、熱対流による熱エネルギーの流れを示し、破線矢印は、熱伝導による熱エネルギーの流れを示す。
【0052】
まず、DSP21が発熱源である場合を例示して、熱遮断構造100の作用を説明する。DSP21は、固体撮像素子11を制御するために動作する度に発熱し、この発熱した熱エネルギーは、熱放射、熱対流および熱伝導によってDSP21から伝達される。
【0053】
このようなDSP21によって放射された熱エネルギー、すなわち熱放射による熱エネルギーは、図3の波線矢印に示すように、DSP21から放射状に放出され、その後、熱遮断構造100の一つである包囲剛体15に到達する。
【0054】
ここで、熱放射による熱エネルギーは、電磁波として放出される。したがって、図3に示すDSP21からの熱放射による熱エネルギーは、包囲剛体15の電磁波吸収層である剛体15aによって吸収される。このため、DSP21からの熱放射による熱エネルギーは、剛体15aによって囲まれた状態の固体撮像素子11に伝わらず、この結果、DSP21から固体撮像素子11への熱放射は、包囲剛体15によって遮断される。なお、剛体15aによって吸収された熱エネルギーは、撮像基板12の放熱パターンを介して接続基板30に伝導する。
【0055】
一方、DSP21に接触する空気の対流によって伝わる熱エネルギー、すなわち熱対流による熱エネルギーは、図3の一点鎖線矢印に示すように、DSP21近傍の空気の対流に伴ってDSP21から伝達され、その後、熱遮断構造100の一つである包囲剛体15に到達する。
【0056】
ここで、包囲剛体15の減圧層15bは、上述したように、外気に比して減圧された中空層であり、真空状態に近い。したがって、減圧層15bにおいては、空気の対流が起こり難く、これによって、熱対流による熱エネルギーは、減圧層15b内部に伝わらない。なお、減圧層15b内部における空気の対流は、減圧層15bの気圧が低いほど起こり難くなる。さらには、減圧層15bが真空状態である場合、減圧層15b内部において、空気の対流は起こらない。
【0057】
このため、DSP21からの熱対流による熱エネルギーは、減圧層15bによって囲まれた状態の固体撮像素子11に伝わらず、この結果、DSP21から固体撮像素子11への熱対流は、包囲剛体15によって遮断される。なお、減圧層15bによって遮断された熱エネルギーは、剛体15aおよび撮像基板12の放熱パターンを介して接続基板30に伝導する。
【0058】
他方、DSP21から制御基板23に伝導する熱エネルギー、すなわち熱伝導による熱エネルギーは、図3の破線矢印に示すように、制御基板23から接続基板30に伝導し、その後、熱遮断構造100の一つである吸熱体31に到達する。
【0059】
ここで、吸熱体31は、図3に示すように、半導体装置1を内蔵する電子撮像装置の筐体40に固定されている。この状態の吸熱体31は、制御基板23から接続基板30に伝導した熱エネルギーを吸収し、その後、この吸収した熱エネルギーを筐体40に伝導させる。したがって、熱伝導による熱エネルギーは、吸熱体31から撮像基板12側に伝導しない。
【0060】
このため、DSP21からの熱伝導による熱エネルギーは、吸熱体31を境界にして撮像基板12側に位置する固体撮像素子11に伝わらず、この結果、DSP21から固体撮像素子11への熱伝導は、吸熱体31によって遮断される。なお、吸熱体31によって遮断された熱エネルギーは、筐体40に伝達された後、電子撮像装置の外部に放出される。
【0061】
上述したようにして、熱遮断構造100は、DSP21から固体撮像素子11への熱放射、熱対流および熱伝導を全て遮断する。このため、DSP21において発生した熱エネルギーは、固体撮像素子11に伝わらず、この結果、DSP21の発熱による固体撮像素子11の温度上昇を低減することができる。
【0062】
つぎに、固体撮像素子11が発熱源である場合を例示して、熱遮断構造100の作用を説明する。固体撮像素子11は、DSP21の制御に基づいて動作する度に発熱し、この発熱した熱エネルギーは、熱放射、熱対流および熱伝導によって固体撮像素子11から伝達される。
【0063】
このような固体撮像素子11によって放射された熱エネルギー、すなわち熱放射による熱エネルギーは、図3の波線矢印に示すように、固体撮像素子11から放射状に放出され、その後、包囲剛体15に到達する。
【0064】
ここで、固体撮像素子11からの熱放射による熱エネルギーは、電磁波として放出された熱エネルギーであるため、包囲剛体15の電磁波吸収層である剛体15aによって吸収される。このため、固体撮像素子11からの熱放射による熱エネルギーは、剛体15aの外部に位置するDSP21に伝わらず、この結果、固体撮像素子11からDSP21への熱放射は、包囲剛体15によって遮断される。なお、剛体15aによって吸収された熱エネルギーは、DSP21が発熱源である場合と同様に、撮像基板12の放熱パターンを介して接続基板30に伝導する。
【0065】
一方、固体撮像素子11に接触する空気の対流によって伝わる熱エネルギー、すなわち熱対流による熱エネルギーは、図3の一点鎖線矢印に示すように、固体撮像素子11近傍の空気の対流に伴って固体撮像素子11から伝達され、その後、包囲剛体15に到達する。
【0066】
ここで、包囲剛体15の減圧層15b内部における空気の対流は、上述したように、減圧層15bの気圧が低いほど、起こり難く、さらには、減圧層15bが真空状態である場合、減圧層15b内部において、空気の対流は起こらない。したがって、熱対流による熱エネルギーは、減圧層15b内部に伝わらない。
【0067】
このため、固体撮像素子11からの熱対流による熱エネルギーは、減圧層15bの外部に位置するDSP21に伝わらず、この結果、固体撮像素子11からDSP21への熱対流は、包囲剛体15によって遮断される。なお、減圧層15bによって遮断された熱エネルギーは、DSP21が発熱源である場合と同様に、剛体15aおよび撮像基板12の放熱パターンを介して接続基板30に伝導する。
【0068】
他方、固体撮像素子11から撮像基板12に伝導する熱エネルギー、すなわち熱伝導による熱エネルギーは、図3の破線矢印に示すように、撮像基板12から接続基板30に伝導し、その後、吸熱体31に到達する。
【0069】
ここで、吸熱体31は、上述したように、筐体40に固定された状態である。この状態の吸熱体31は、撮像基板12から接続基板30に伝導した熱エネルギーを吸収し、その後、この吸収した熱エネルギーを筐体40に伝導させる。したがって、熱伝導による熱エネルギーは、吸熱体31から制御基板23側に伝導しない。
【0070】
このため、固体撮像素子11からの熱伝導による熱エネルギーは、吸熱体31を境界にして制御基板23側に位置するDSP21に伝わらず、この結果、固体撮像素子11からDSP21への熱伝導は、吸熱体31によって遮断される。なお、吸熱体31によって遮断された熱エネルギーは、DSP21が発熱源である場合と同様に、筐体40を介して電子撮像装置の外部に放出される。
【0071】
上述したようにして、熱遮断構造100は、固体撮像素子11からDSP21への熱放射、熱対流および熱伝導を全て遮断する。このため、固体撮像素子11において発生した熱エネルギーは、DSP21に伝わらず、この結果、固体撮像素子11の発熱によるDSP21の温度上昇を低減することができる。
【0072】
以上、説明したように、本発明の実施の形態では、電磁波吸収層と中空の減圧層とを有する多層断面構造からなる包囲剛体によって、第1の回路基板上の第1の電子部品を包囲し、この包囲剛体の外部に位置する第2の回路基板上の第2の電子部品と第1の電子部品とを包囲剛体によって隔離するように構成した。このため、包囲剛体の電磁波吸収層によって熱放射による熱エネルギーを吸収でき、さらに、包囲剛体の減圧層によって熱対流を抑制でき、これによって、第1の電子部品および第2の電子部品間の熱放射および熱対流を遮断することができる。この結果、第1の電子部品および第2の電子部品間の相互熱干渉を抑制して、第1の電子部品および第2の電子部品の温度上昇を軽減でき、これによって、温度上昇による第1の電子部品および第2の電子部品の機能低下を防止することができる。
【0073】
また、本発明の実施の形態では、第1の回路基板と第2の回路基板とを接続する接続基板に吸熱体を配置し、この吸熱体によって、接続基板に伝導する熱を吸収するように構成した。このため、第1の回路基板側から接続基板に伝導した熱と、第2の回路基板側から接続基板に伝導した熱とを共に吸収して、装置外部に放出することができ、これによって、第1の電子部品および第2の電子部品間の熱伝導を遮断することができる。この結果、回路基板を介して接続された状態の第1の電子部品および第2の電子部品間の相互熱干渉を抑制して、第1の電子部品および第2の電子部品の温度上昇を軽減でき、これによって、温度上昇による第1の電子部品および第2の電子部品の機能低下を防止することができる。
【0074】
さらに、可撓性を有する接続基板を湾曲させて、第1の回路基板と第2の回路基板とを対向配置するように構成した。このため、装置筐体の内部に、第1の回路基板および第2の回路基板を高密度に配置することができ、これによって、装置筐体の小型化を阻害せずに第1の電子部品および第2の電子部品間の熱伝達を遮断することができる。
【0075】
本発明の実施の形態にかかる熱遮断構造を電子撮像装置内の半導体装置に適用することによって、この半導体装置内の固体撮像素子とDSPとの間における熱伝達を遮断することができる。このため、固体撮像素子およびDSP間の相互熱干渉を抑制して、固体撮像素子およびDSPの温度上昇を軽減することができ、この結果、温度上昇による固体撮像素子の機能低下およびDSPの機能低下を共に防止することができる。
【0076】
(変形例)
つぎに、本発明の実施の形態の変形例について説明する。上述した実施の形態では、包囲剛体15によって固体撮像素子11を包囲していたが、この変形例では、包囲剛体15と同様の多層構造からなる他の包囲剛体によって、制御基板23上のDSP21および電子部品22をさらに包囲している。
【0077】
図4は、本発明の実施の形態の変形例にかかる熱遮断構造を備えた半導体装置の一構成例を示す断面模式図である。図4に示すように、この変形例にかかる半導体装置2は、上述した実施の形態にかかる半導体装置1の熱遮断構造100に代えて熱遮断構造200を備える。この熱遮断構造200は、上述した包囲剛体15および吸熱体31に加えて、制御基板23上のDSP21および電子部品22を包囲する包囲剛体25をさらに備えることによって構成される。その他の構成は上述した実施の形態と同じであり、同一構成部分には同一符号を付している。
【0078】
包囲剛体25は、制御基板23上のDSP21および電子部品22を包囲する多層断面構造の剛体である。具体的には、包囲剛体25は、上述した実施の形態における包囲剛体15と同様の多層断面構造からなり、図4に示すように、電磁波吸収性を有する剛体25aによって形成される。
【0079】
剛体25aは、フェライトまたはカーボン等の電磁波吸収部材であり、一端が開口した箱型の外形をなす中空な構造体に形成される。この剛体25aの開口端部、すなわち、包囲剛体25の開口端部は、図4に示すように、制御基板23上の部品実装領域(DSP21および電子部品22の実装領域)の外側近傍に固定される。なお、このような制御基板23と包囲剛体25との固定は、エポキシ系接着剤または熱伝導性接着剤等を用いて行われる。
【0080】
このように制御基板23に固定された包囲剛体25は、図4に示すように、制御基板23上のDSP21および電子部品22を包囲し、これによって、DSP21および電子部品22と包囲剛体25の外部とを遮断する。
【0081】
ここで、包囲剛体25は、電磁波を吸収する剛体25aの層、すなわち電磁波吸収層と、外気(包囲剛体25の外部雰囲気)に比して減圧された減圧層25bとを有する多層断面構造からなる。具体的には、包囲剛体25の多層断面構造は、図4に示すように、2つの電磁波吸収層によって減圧層25bを挟んだ3層断面構造である。この3層断面構造において、剛体25aは、包囲剛体25の外層をなし、包囲剛体25の電磁波吸収層は、外層である剛体25aによって形成される。
【0082】
一方、減圧層25bは、上述した剛体25aによって密閉された中空層であり、外気に比して減圧することによって形成される。具体的には、剛体25aの一部分に外気に通じる通気穴(図示せず)を形成し、この通気穴を通して剛体25a間の中空層を脱気(減圧処理)することによって、減圧層25bが形成される。なお、この剛体25aの通気穴は、減圧層25bを形成後、電磁波吸収部材等によって閉塞される。このようにして形成された減圧層25bは、外気に比して減圧されていれば空気を含んでもよいが、真空であることが望ましい。
【0083】
ここで、上述した包囲剛体15,25および吸熱体31は、半導体装置2の熱遮断構造200を構成する。なお、包囲剛体15および吸熱体31の熱遮断作用は、上述した実施の形態の場合と同様である。
【0084】
包囲剛体25は、電磁波吸収部材である剛体25aの作用によって、固体撮像素子11とDSP21との間の熱放射を遮断し、減圧層25bの作用によって、固体撮像素子11とDSP21との間の熱対流を遮断する。具体的には、包囲剛体25は、包囲剛体25の外部からDSP21に対する熱放射および熱対流を遮断するとともに、DSP21から包囲剛体25の外部に対する熱放射および熱対流を遮断する。なお、このようなDSP21に対する包囲剛体25の熱遮断作用は、上述した固体撮像素子11に対する包囲剛体15の熱遮断作用と同様である。
【0085】
上述したような包囲剛体15,25および吸熱体31を有する熱遮断構造200は、包囲剛体25の熱遮断作用を追加することによって、上述した実施の形態の場合に比して、固体撮像素子11とDSP21との間における全ての熱伝達(熱放射、熱対流、熱伝導)を一層効率的に遮断する。
【0086】
なお、以上のような構成を有する半導体装置2は、上述した実施の形態における半導体装置1と同様に、デジタルカメラおよびデジタルビデオカメラを始め、被検体の臓器内部を観察するための内視鏡、撮像機能を備えた携帯電話機等、各種態様の電子撮像装置の撮像ユニットとして適用することができる。
【0087】
以上、説明したように、本発明の実施の形態の変形例では、電磁波吸収層と中空の減圧層とを有する多層断面構造からなる他の包囲剛体によって、第2の回路基板上の第2の電子部品をさらに包囲するようにし、その他を実施の形態と同様に構成した。このため、この追加した包囲剛体によって、第2の電子部品から第1の電子部品に対する熱放射および熱対流を遮断できるとともに、第1の電子部品から第2の電子部品に対する熱放射および熱対流を一層効率的に遮断できる。この結果、第1の電子部品および第2の電子部品間の相互熱干渉を一層抑制して、第1の電子部品および第2の電子部品の温度上昇を一層軽減でき、これによって、温度上昇による第1の電子部品および第2の電子部品の機能低下を効率的に防止することができる。
【0088】
本発明の実施の形態の変形例にかかる熱遮断構造を電子撮像装置内の半導体装置に適用することによって、この半導体装置内の固体撮像素子とDSPとの間における熱伝達を一層効率的に遮断することができる。このため、固体撮像素子およびDSP間の相互熱干渉を一層抑制して、固体撮像素子およびDSPの温度上昇を効率的に軽減することができ、この結果、温度上昇による固体撮像素子の機能低下およびDSPの機能低下を共に効率的に防止することができる。
【0089】
なお、上述した実施の形態および変形例では、電磁波吸収層によって減圧層を挟んだ3層断面構造からなる包囲剛体を例示したが、これに限らず、本発明における熱遮断構造の一つである包囲剛体の多層断面構造は、少なくとも電磁波吸収層および減圧層(好ましくは真空層)を有するものであればよく、4層以上の断面構造からなる包囲剛体であってもよい。この場合、例えば断熱部材によって形成される断熱層を追加してもよい。
【0090】
また、上述した実施の形態および変形例では、電磁波吸収部材からなる剛体によって包囲剛体を形成していたが、これに限らず、包囲剛体を形成する剛体は、電磁波吸収性の低い剛体(樹脂、金属等)または断熱部材の表面に、電磁波吸収粒子または電磁波吸収塗料等によって形成される電磁波吸収層を有するものであってもよい。
【0091】
さらに、上述した実施の形態および変形例では、1つの包囲剛体によって1つまたは2つの電子部品(半導体素子を含む)を包囲していたが、これに限らず、1つの包囲剛体によって3つ以上の電子部品を包囲してもよい。特に、1つの包囲剛体によって3つ以上の半導体素子を包囲してもよい。
【0092】
また、上述した実施の形態および変形例では、熱遮断構造の一つである吸熱体31を接続基板30に配置していたが、これに限らず、熱遮断対象の電子部品間が接続基板30によって接続されていない場合、吸熱体31を設けなくてもよい。
【0093】
さらに、上述した実施の形態および変形例では、包囲剛体によって固体撮像素子またはDSPを包囲していたが、これに限らず、包囲剛体によって包囲される半導体素子は、固体撮像素子以外の半導体素子であってもよいし、DSP以外の半導体素子であってもよい。すなわち、本発明にかかる熱遮断構造を備えた半導体装置は、電子撮像装置に内蔵されるものに限定されない。
【0094】
また、上述した実施の形態および変形例では、包囲剛体の断面形状がコの字形状または多角形状であったが、これに限らず、包囲剛体の断面形状は、矩形状であってもよいし、円形状であってもよいし、楕円形状であってもよい。すなわち、包囲剛体によって包囲する電子部品に合わせて、所望の断面形状の包囲剛体を用いてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0095】
以上のように、本発明にかかる熱遮断構造は、電子部品間の熱遮断に有用であり、特に、電子部品間の熱伝達を遮断して、温度上昇による電子部品の機能低下を防止可能な熱遮断構造に適している。
【符号の説明】
【0096】
1,2 半導体装置
10 撮像部
11 固体撮像素子
11a 受光機能部
11b 突起電極
11c 接着剤
12 撮像基板
12a 開口部
13 カバーガラス
14 接着剤
15,25 包囲剛体
15a,25a 剛体
15b,25b 減圧層
20 制御部
21 DSP
21a 突起電極
21b 接着剤
22 電子部品
22a 接着剤
23 制御基板
30 接続基板
31 吸熱体
100,200 熱遮断構造

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁波を吸収する電磁波吸収層と外気に比して減圧された減圧層とを有する多層断面構造からなり、第1の回路基板上の第1の電子部品を包囲する包囲剛体を備え、
前記包囲剛体の外部に配置された第2の回路基板上の第2の電子部品と前記第1の電子部品との間における熱伝達を遮断することを特徴とする熱遮断構造。
【請求項2】
前記第1の回路基板と前記第2の回路基板とを接続する接続基板に配置され、前記接続基板に伝導された熱を吸収する吸熱体をさらに備えたことを特徴とする請求項1に記載の熱遮断構造。
【請求項3】
前記電磁波吸収層は、前記包囲剛体の外層をなし、
前記減圧層は、前記外層によって密閉されて形成されることを特徴とする請求項1または2に記載の熱遮断構造。
【請求項4】
前記包囲剛体は、前記電磁波吸収層をなすとともに前記減圧層を密閉する電磁波吸収部材によって形成されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の熱遮断構造。
【請求項5】
前記減圧層は、真空層であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の熱遮断構造。
【請求項6】
電磁波を吸収する電磁波吸収層と外気に比して減圧された減圧層とを有する多層断面構造からなり、前記第2の電子部品を包囲する他の包囲剛体をさらに備えたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の熱遮断構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−41196(P2011−41196A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−189273(P2009−189273)
【出願日】平成21年8月18日(2009.8.18)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】