説明

燃料配管

【課題】ホースとパイプの接続部における漏れを防止する。
【解決手段】 燃料の透過を阻止する層を含む多層構造の樹脂製のホース10,11と、前記ホース10,11と接続部7によって接続された金属製の燃料パイプ9とを備え、前記接続部において前記ホース10,11に前記燃料パイプ9が挿入されている燃料配管において、前記接続部7にチューブ18が被せられていることを特徴とする燃料配管であって、接続部のホース端面19においては、燃料の透過を阻止する層以外の透過層が露出している。そして、その接続部にチューブ18を被せることにより、その透過層が露出されなくなり、燃料の大気中への放出を抑制することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、液体燃料もしくは気体燃料の配管に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、環境問題への関心の高まりから、自動車の燃費向上が求められており、その一環として、燃料配管における燃料蒸発の量を極力低減することが求められている。そのため、燃料透過性の大きいゴムホースの内壁に何らかの非透過層を設けることが考えられる。例えば、特許文献1には、内側から内面層、補強層、外面層を順次積層してなるホースであって、前記内面層がガス不透過層と、該ガス不透過層の内側に配設された保護層とからなるホースが記載されている。
【0003】
また、ホース内部と外部との圧力差が増大すると、燃料の透過量が増大するので、燃料タンクにタンク圧制御弁を設け、エンジンの動作状態や、燃料温度や、タンク内部の圧力によってタンク圧制御弁の開度を調整するように構成された発明が特許文献2に記載されている。
【特許文献1】特開2004ー216665号公報
【特許文献2】特開2001ー165004号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の発明によれば、内面層にガス不透過層が設けられているので、ホース内部からホース外部への燃料の透過が抑制されるので、燃料配管からの燃料の蒸発を抑制することができる。
【0005】
また、特許文献2の発明によれば、エンジンの動作状態や、燃料温度や、タンク内部の圧力が燃料が蒸発する条件となった場合にタンク圧制御弁を開とするので、ホース内部の圧力を低下させることができ、ホース外部への燃料の透過を抑制することができる。
【0006】
しかし、特許文献1の発明では、金属パイプとの接続部のホース端面においては、燃料を透過する保護層は外部に露出している。したがって、保護層を経由して、燃料が外部に透過するので、ホース端面より、燃料が蒸発するという問題点がある。
【0007】
また、特許文献2の発明では、タンク圧制御弁の開閉を制御する制御装置の構成が複雑となる問題点がある。
【0008】
この発明は、上記の技術的課題を解決するためになされたものであり、燃料配管の接続部におけるホース端部の燃料の蒸発を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、本願発明は、ホースと金属パイプとの連結部に燃料不透過性の樹脂のチューブを設けたものである。より具体的には、請求項1の発明は、燃料の透過を阻止する層を含む多層構造の樹脂製の燃料ホースと、前記燃料ホースと接続部によって連結された金属製の燃料パイプとを備え、前記接続部において前記燃料ホースに前記燃料パイプが挿入されている燃料配管において、前記接続部にチューブが被せられていることを特徴とする燃料配管である。
【0010】
また、請求項2の発明は、請求項1において、前記チューブの燃料パイプ側の端の全周が燃料ホース内部に折り曲げられていることを特徴とする燃料配管である。
【0011】
さらに、請求項3の発明は、請求項1または2において、前記チューブが樹脂製であることを特徴とする燃料配管である。
【0012】
そして、請求項4の発明は、請求項1ないし3のいずれかにおいて、前記チューブが熱収縮性を有していることを特徴とする燃料配管である。
【0013】
そして、請求項5の発明は、請求項1ないし4のいずれかにおいて、前記燃料が気体であることを特徴とする燃料配管である。
【発明の効果】
【0014】
請求項1の発明によれば、接続部の燃料ホース端面においては、燃料の透過を阻止する層以外の透過層が露出している。そして、その接続部にチューブを被せることにより、その透過層が露出されなくなり、燃料の大気中への放出を抑制することができる。
【0015】
また、請求項2の発明によれば、接続部の燃料ホース端面にチューブが被さる。したがって、燃料ホース端面の露出が防止されるので、燃料の大気中への放出を抑制することができる。
【0016】
さらに、請求項3の発明によれば、前記チューブが樹脂製である。したがって、燃料の不透過度を上げることができるので、燃料の大気中への放出を抑制することができる。
【0017】
そして、請求項4の発明によれば、チューブ装着時に熱を加えることにより、チューブが収縮し、接続部とチューブとの密着度を向上させることができる。そのため、燃料の大気中への放出を抑制することができる。
【0018】
さらに、請求項5の発明によれば、チューブを被せることにより接続部の密閉度か向上するので、気体燃料の接続部からの漏れを抑制し、燃料の配管外への漏れを抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
つぎに、この発明の具体例について説明する。図3はこの発明を適用できる内燃機関の燃料供給系の図である。燃料タンク1が接続部7とホース11により接続され、このホース11には燃料ポンプ2が設けられている。また、接続部7は金属パイプ9にゴムホース11を挿入するように構成されている。金属パイプ9には燃料フィルタ3とレギュレータバルブ4が設けられている。そして、金属パイプ9はデリバリ5の入り口側と接続されている。デリバリ5には内燃機関のシリンダ内に燃料を噴射するインジェクタ6が設けられている。そして、デリバリ5の出口側の接続部8は金属パイプ9にホース10の一方が挿入されるように構成されている。そして、ホース10の他方が燃料タンクに接続されている。
【0020】
燃料タンク1に蓄えられた燃料は、燃料ポンプ2の働きにより、ホース11を経由して、燃料フィルタ3に送られる。そして、燃料フィルタ3により濾過された燃料は、レギュレータバルブ4により調圧され、デリバリ5に送られ、インジェクタ6より、シリンダ内に噴射され、シリンダ内で燃焼がおこなわれる。一方、インジェクタ6により、噴射されなかった燃料、すなわち残余燃料はデリバリ5の出口に接続されたホース10を経由して、燃料タンク1に戻される。
【0021】
図1は接続部7,8の詳細図である。ホース10,11はゴムや樹脂で構成された多層からなるホースであり、内側から内層12,バリア層13、中間層14、補強層15,カバー層16から構成されている。なお、バリア層13のみが燃料に対して不透過性を有している。そして、金属パイプ9の外径がホース10,11の内径よりも等しいか、やや大きくなるように構成されるとともに、ホース10,11に金属パイプ9が挿入されている。
【0022】
チューブ18は一方の端部がホース10,11のカバー層16の外側を覆い、他方の端部が燃料パイプ9の外側を覆うように設けられており、ホース10,11の端面19を覆って外部に露出しないようになっている。そして、金属パイプ9がホース10,11から脱落するのを防止するため、チューブ18の外側から、クランプ材17でクランプされている。
【0023】
次に、このチューブ18の機能を説明する。燃料は揮発性を有するため、ホース10,11に流れている燃料の一部は蒸気となって内層12に付着する。また、ホース10,11内部はホース10,11よりも圧力が高くなっている。そして、内層12は燃料を透過するので、ホース10,11の内部より内層12を透過してホース端面19に燃料が達するが、ホース端面19はチューブ18により覆われており、外部に露出していないので、ホース端面19からの燃料の大気中への放出を抑制することができる。
【0024】
また、図2に示すように燃料パイプ9の外側を覆っている他方の端部をホース10,11の内部に折り曲げてもよい。この構成によってもホース10,11の端面19の外部への露出は妨げられるので、燃料の大気中への放出を抑制することができる。
【0025】
さらに、チューブ18を樹脂製にすることによって、燃料の不透過度が向上し、燃料の大気中への放出を抑制することができる。
【0026】
また、チューブ18を熱収縮性のあるものとすることもできる。これによって、装着時に熱を加えることによって、装着の密着度を上げることができ、燃料の大気中への放出を抑制することができる。
【0027】
さらに、チューブ18を接続部7に被せることにより接続部7の密閉度が向上し、気体燃料の接続部7からの漏れを抑制することができる。
【0028】
なお、上記実施例においては、内燃機関の燃料配管について述べたが、内燃機関にかかわらずこの発明を適用することができる。また、燃料でなく、水や空気についてもこの発明を適用することができる。さらに、燃料は液体燃料に限定されず、気体燃料についてもこの発明を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】この発明が適用される内燃機関の燃料配管の例である。
【図2】接続部にチューブを被せた例である。
【図3】接続部にチューブを被せた他の例である。
【符号の説明】
【0030】
7…接続部、 9…燃料パイプ、 10,11…ホース、 13…バリア層、 18…チューブ、 19…ホース端面。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料の透過を阻止する層を含む多層構造の樹脂製の燃料ホースと、前記燃料ホースと接続部によって接続された金属製の燃料パイプとを備え、前記接続部において前記燃料ホースに前記燃料パイプが挿入されている燃料配管において、
前記接続部にチューブが被せられていることを特徴とする燃料配管。
【請求項2】
前記チューブの燃料パイプ側の端の全周が燃料ホース内部に折り曲げられていることを特徴とする請求項1に記載の燃料配管。
【請求項3】
前記チューブが樹脂製であることを特徴とする請求項1または2に記載の燃料配管。
【請求項4】
前記チューブが熱収縮性を有していることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の燃料配管。
【請求項5】
前記燃料が気体であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の燃料配管。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−307812(P2006−307812A)
【公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−134590(P2005−134590)
【出願日】平成17年5月2日(2005.5.2)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】