説明

燃料電池用燃料サプライ

燃料電池用の燃料カートリッジが開示される。1つの燃料カートリッジは、外側ケーシング、燃料を含有する内側ライナー、および燃料サプライから燃料電池へ燃料を搬送するように適合化されたバルブ要素を含む。外側ケーシングおよび内側ライナーはブロー成型により製造され、燃料が燃料サプライから搬送される際に、内側ライナーが外側ケーシングから引き出される。他の燃料電池カートリッジは、外側ケーシング、燃料を含有する内側ライナー、および燃料サプライから燃料電池へ燃料を搬送するように適合化されたバルブ要素を含む。内側ライナーは外側ケーシングとバルブ要素が位置する領域で外側ケーシングと一体化されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、一般には、燃料電子サプライに関し、より具体的には、透過度が小さな燃料サプライおよびブロー成型の燃料サプライに関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池は、直接に、反応物質、すなわち燃料および酸素の化学エネルギを直流(DC)電気に直接変換する装置である。多くの漸増している用途において、燃料電池は、化石燃料の燃焼などの従来の発電よりも効率的であり、リチウムイオンバッテリーなどの携帯型蓄電池より効率的である。
【0003】
一般に、燃料電池技術はアルカリ燃料電池、高分子電解質燃料電池、りん酸燃料電池、溶融炭酸塩燃料電池、固体酸化物燃料電池、および酵素燃料電池のような様々な異なった燃料電池を含む。いくつかの燃料電池は圧縮水素(H)を燃料として利用する。圧縮された水素は一般に、高い圧力の下で保たれ、そのため、扱いが難しい。その上、大きい貯蔵タンクが通常必要で、消費者向け電子製品用に十分小さくすることができない。陽子交換膜(PEM)燃料電池は、水素燃料に改質されるメタノール(CHOH)、金属水素可物(例えば水素化ホウ素ナトリウム(NaBH))、炭化水素(例えばブタン)又は他の燃料を利用する。従来の改質燃料電池は、燃料を水素に変換させて燃料電池内で酸素と反応させるために改質材や気化および補助システムを必要とする。最近の進歩により、改質材または改質燃料電池が消費者向け電子製品に有望になっている。他のPEM燃料電池は直接にメタノール(CHOH)を使用する(「ダイレクトメタノール燃料電池」すなわちDMFC)。DMFCでは、メタノールが直接に燃料電池中で酸素と反応し、このDMFCは、最も簡単で可能性としては最も小さくなる燃料電池であり、消費者向け電子製品用の電力供給に最も有望である。固体酸化物燃料電池(SOFC)は炭化水素例えばブタンを高熱で変換して電気を生じる。SOFCは、燃料電池反応を起こさせるために1000°Cを越える比較的高温を必要とする。
【0004】
電気を発生させる化学反応は燃料電池のそれぞれのタイプごとに異なる。DMFCでは、各電極での化学電気反応と燃料電池に関する総合的な反応は以下の通り記述される:
【0005】
陽極での半反応:
CHOH + HO → CO + 6H + 6e
陰極での半反応:
+ 4H + 4e → 2H
全体の燃料電池反応:
CHOH + 1.5O → CO + 2H
【0006】
PEMを通る水素イオン(H)が陽極から陰極を通り抜けてマイグレーションするために、また、自由電子(e)がPEMを通り抜けられないため、電子は外部回路を通って流れなければならず、外部回路を通して電流を生じさせる。この外部回路は、モバイルすなわちセル電話、計算機、パーソナルデジタツアシスタンツ、ラップトップコンピュータ、電力ツールなどの有益な消費者向けの電子製品であってよい。
【0007】
DMFCは、特許文献1および特許文献2に開示されており、詳細はこれらに記載のとおりである。一般に、PEMはNafion(商標)などの高分子から作られており、DuPontから入手可能であり、厚さが約0.05mm〜約0.50mmの範囲のペルフルオスルホン酸ポリマー、その他である。陽極は、典型的には、白金ルテニウムなどの触媒の薄層によってサポートされたテフロン(Teflonized)のカーボン紙から製造される。陰極は、典型的には、白金粒子が膜の一面に接着されるガス拡散電極である。
【0008】
水素化ホウ素ナトリウム改質燃料電池の他の燃料反応は以下のようなものである:
NaBH(液体)+2HO→(加熱または触媒)→4(H)+(NaBO)(液体)
陽極での半反応:
→2H+2e
陰極での半反応:
2(2H+2e)+O→2H
適切な触媒は白金およびルテニウム、その他である。水素化ホウ素ナトリウムを改質して生成された水素燃料は燃料電池中で、酸化剤例えばOと反応させられ、電気(すなわち電子の流れ)および水の副産物を生成する。ホウ酸ナトリウム(NaBO)の副産物も改質プロセスで生成される。水素化ホウ素ナトリウム燃料電池は特許文献3に検討されており、参照してここに組み入れる。
【0009】
燃料電池アプリケーションにとってより重要な特徴の一つは燃料の貯蔵である。燃料サプライは燃料電池または当該燃料電池が給電する電子装置に容易に挿入できなくてはならない。さらに、燃料サプライは特異的な温度および/または圧力で遮断を行え、燃料の流れを停止して、燃料電池および/または当該燃料電池が給電する電子装置に損傷を与えないようになっていなければならない。さらに、燃料サプライは容易に交換でき、再充填できなくてはならない。燃料電池用の燃料カートリッジはこれら特許文献で検討されてきたけれども、燃料カートリッジの製造に関して知られていないことがある。
【特許文献1】米国特許第5992008号
【特許文献2】米国特許第5945231号
【特許文献3】米国公開特許出願2003/0082427
【発明の開示】
【0010】
この発明は燃料サプライの1または複数の部品がブロー成型される燃料電池用の燃料サプライに向けられている。
【0011】
この発明は、燃料電池用の燃料サプライであって、外側ケーシングと、燃料を含有する内側ライナーと、燃料を上記燃料サプライから燃料電池へ搬送するように設けられたバルブ要素とを有するものに向けられている。上記外側ケーシングおよび上記内側ライナーがブロー成型により製造され、上記燃料が上記燃料サプライから搬送される際に、上記内側ライナーが少なくとも部分的に上記外側ケーシングから引き出される。
【0012】
上記外側ケーシングおよび上記内側ライナーは相互に相性の良くないポリマーから製造されてよく、上記外側ケーシングおよび上記内側ライナーは実質的に同時に成型される。上記外側ケーシングおよび上記内側ライナーのうちの一方が、極性樹脂を有し、他方が非極性樹脂を有する。極性樹脂は、アクリロニトリルブタジエンスチレン、熱可塑性ポリエステル、ポリカーボネート、ポリビニルクロライド、ポリアミド、ポリアリーレンエーテル、または熱可塑性ポリウレタンを有する。非極性樹脂は高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリプロピレンまたはポリスチレンを有する。
【0013】
代替的には、上記外側ケーシングおよび上記内側ライナーのうちの一方が熱可塑性エラストマー、例えば、ブチルゴムから製造され、他方がアセタールまたはポリビニルクロライドから製造される。
【0014】
代替的には、上記外側ケーシングおよび上記内側ライナーの1つはポリエチレンを有し、他の1つはスリップ剤を有する。適切なスリップ剤は長鎖脂肪酸アミド、オレアミド、エルカミドまたは撥水性フィラーを含む。
【0015】
代替的には、中間層が上記外側ケーシングおよび上記内側ライナーの間に配され、かつ上記中間層は上記外側ケーシングまたは上記内側ライナーの少なくとも1つと相性が悪い。上記中間層はワックスであってよい。
【0016】
代替的には、上記外側ケーシングおよび上記内側ライナーは順次にブロー成型され、上記外側ケーシングがブロー成型され冷却された後に内側ライナーをブロー成型する。
【0017】
この発明は、燃料電池用の燃料サプライであって、外側ケーシングと、燃料を含有する内側ライナーと、燃料を上記燃料サプライから燃料電池へ搬送するように設けられたバルブ要素とを有するものに向けられている。好ましくは、上記内側ライナーは上記バルブ要素が位置する領域で上記外側ケーシングと一体化されている。好ましくは、上記外側ケーシングおよび上記内側ライナーがブロー成型により製造され、より好ましくは、上記外側ケーシングおよび上記内側ライナーが共押し出しブロー成型、または順次的なブロー成型により製造される。
【0018】
この発明は、燃料電池用の燃料サプライであって、外側ケーシングと、燃料を含有する内側ライナーと、燃料を上記燃料サプライから燃料電池へ搬送するように設けられたバルブ要素とを有するものに向けられている。上記内側ライナーがブロー成型により製造される。好ましくは、上記内側ライナーは上記外側ケーシングの中へとブロー成型される。代替的には、上記内側ライナーはブロー成型され、その後、上記外側ケーシングの中へと挿入される。上記内側ライナーの体積は十分に満たされたときに上記外側ケーシングの体積より大きくてよく、上記内側ライナーは少なくとも1つの折り畳み可能な側壁を有してよい。
【0019】
この発明は、燃料電池用の燃料サプライであって、外側ケーシングと、燃料を含有する内側ライナーと、燃料を上記燃料サプライから燃料電池へ搬送するように設けられたバルブ要素とを有するものに向けられている。上記外側ケーシングおよび/または上記内側ライナーが、改変されてその蒸気バリア性を向上させている。上記外側ケーシングおよび/または上記内側ライナーは気体バリアコーティングでコートされてよい。上記外側ケーシングおよび/または上記内側ライナーは気体バリアフィルムで包まれても良い。上記外側ケーシングおよび/または上記内側ライナーはフッ素化されてよく、酸化防止剤を含んでよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
添付図面に例示され、以下で詳細に説明されるように、この発明は、メタノールと水、メタノール/水混合液、濃度が変化するメタノール/水混合液または純粋なメタノールなどの燃料電池用の燃料を格納する燃料サプライ(燃料供給装置)に向けられている。メタノールは多くのタイプの燃料電池、例えば、DMFC、酵素(enzyme)燃料電池、改質燃料電池、その他に使用できる。燃料サプライは他のタイプの燃料電池の燃料、例えば、エタノールまたはアルコール、水素に改質できる化学物質、または、燃料電池の性能や効率を改善することができる他の化学物質を含んでも良い。燃料は、また、水酸化カリウム(KOH)電解質を含んでも良く、これは金属燃料電池またはアルカリ燃料電池とともに用いることができ、燃料サプライに貯蔵することができる。金属燃料電池に対しては、燃料はKOH電解質反応溶液に浸漬された液体担持亜鉛の形態をしており、電池空洞中の陽極は亜鉛粒子からなる粒状陽極である。KOH電解質溶液は、「1または複数の負荷に電力供給するように構成された燃料電池システムの使用方法」という題名で2003年4月24日に公開された米国公開特許出願2003/0077493に開示されており、参照してここに組みこむ。燃料は、また、メタノール、過酸化水素、および硫酸の混合物を含み、これはシリコンチップ状に形成された触媒を通過して流れ燃料電池反応を生成する。燃料は、また、液体水素化ホウ素ナトリウム(NaBH)および水を含み、これは上述のとおりである。燃料はさらに炭化水素燃料を含み、炭化水素燃料は、これに限定されないが、ブタン、灯油、アルコール、および天然ガスを含み、これは、「液体ヘテロインタフェース燃料電池デバイス」という題名で、2003年5月22日に公開された米国公開特許出願2003/0096150に開示されており、参照してここに組みこむ。燃料は、また、燃料と反応する液体酸化物を含む。したがって、この発明は、サプライ中に含有される、任意のタイプの燃料、電解質溶液、酸化物溶液または液体に制約されない。ここで使用される用語「燃料」は、燃料電池または燃料サプライ中で反応することができるすべての燃料を含み、また、上述の適切な燃料、電解質溶液、酸化物溶液、液体、および/または化学物質ならびにこれらの混合物のすべてを含むが、これに限定されない。
【0021】
ここで使用される用語「燃料サプライ」は、これに限定されないが、使い捨てカートリッジ、再充填可能/再使用可能カートリッジ、電子製品内に配置されるカートリッジ、電子製品の外部に配置されるカートリッジ、燃料タンク、燃料再充填タンク、燃料を貯蔵する他のコンテナ、および、燃料タンク、コンテナ、燃料電離又は燃料電池が電力供給する電子製品に結合された管材を含む。カートリッジはこの発明の例示的な実施例との関連で以下に説明されるが、これら実施例は他の燃料サプライにも適用可能であり、この発明は燃料サプライのいかなる特定のタイプにも限定されないことに留意されたい。
【0022】
この発明の燃料サプライは、燃料電池で使用されない燃料を貯蔵するのに使用しても良い。これらの用途は、これに限定されないが、シリコンチップ上に構築されたマイクロガスタービン用の炭化水素および水素燃料を貯蔵することであり、”Here Come the Microengines”、The Industrial Physicist(2001年12月/2002年1月)、pp.20−25に検討されている。他の用途は、内燃機関エンジン用の伝統的な燃料や、ポケットおよび実用ライター用の炭化水素例えばブタンおよび液体プロパンを貯蔵することである。
【0023】
図1〜3を参照すると、例示的な燃料カートリッジ10は任意の形状、サイズ、および寸法を取って燃料電池に燃料を供給できるようになっており、また燃料電池が、直接に燃料電池へと適合するように、また、電力を供給する電子装置上の予め定められた受けスロットと適合できるように、または燃料電池によって電力供給される充電器へと適合するようになっている。図4を参照すると、カートリッジ10は外側ケーシング12および内側ブラダーすなわちライナー14を具備し、これが燃料を内包する。好ましくは、外側ケーシング12はライナー14よりも堅固であり、内側ライナーを防護する。内側ライナーは好ましくは柔らかい。外側ケーシングおよび内側ライナーを有するカートリッジは、本出願人の2005年2月7日公開の米国特許出願公開US2005−0023236A1、「柔らかいナイナー付きの燃料カートリッジ」、および、本件出願人の2005年6月2日公開の米国特許出願公開US2005−0116190A1、「燃料と相性がよい材料を具備する燃料電池サプライ」に十分に開示されており、これらの内容は参照してここに組み入れる。
【0024】
前面16において、カートリッジ10は、ノズル18および充填ポート20を有する。充填ポート20は製造プロセスにおいて燃料をライナー14に運ぶために用いられ、予め定められた量に燃料、例えば、ライナー14の最大容量の約85%から95%をカートリッジに運んだ後にシールされる。燃料充填処理において、空気がバルブ18を介して排出され充填処理を容易にしてもよい。代替的には、充填ポート20を再充填バルブとしてカートリッジ10を複数回利用できるようにしてもよい。
【0025】
図1〜図3を参照すると、カートリッジ10の下面には少なくとも1本のレール17が形成され、このレール17が当該装置(図示しない)の表面に設けられた対応するレール上を滑動するようになっており、カートリッジの装着を容易にし、または、カートリッジの方向性を制御する。さらに、前面16は電気インタフェース19も規定し、これが所要の電気システムおよび接点を含み、カートリッジを電子装置に、または電子装置に電力供給する燃料電池に接続する。電気インタフェース19は、電子的に読み出し可能な燃料ゲージ、セキュリティ装置、または、EEPROMのような情報記憶装置、または読み出し/書き込み高周波タグに接続されてもよい。これら装置は、カートリッジ表面に取り付けられても、また、カートリッジの内部に配置されてもよい。燃料ゲージ、セキュリティ装置、および情報記憶装置は、本出願人の2005年6月2日公開の米国特許出願公開2005−0118468A1、「情報記憶装置を有する燃料電池システムおよび制御システム」に十分な開示されており、この出願内容は参照してここに組み入れる。
【0026】
図4を参照すると、ノズル18は二要素遮断バルブの第1のバルブ要素を収容している。二要素遮断バルブの第2の対応バルブ要素(図示しない)は図4に示されるバルブ要素と類似であり、燃料電池またはその燃料電池が電力を供給する電子装置の中またはその面上に設けられている。二要素遮断バルブは、本出願人の2005年2月3日公開の米国特許出願公開US2005−0022883A1、「連結バルブ付きの燃料カートリッジ」に十分な開示されている。この出願の内容は参照してここに組み入れる。バルブ18内に収容されている第1のバルブ要素はバルブ本体30、および、このバルブ本体30の内部に滑動可能に配置されたプランジャ32を具備する。バネ34が圧縮状態でバルブ本体30の内部に保持され、バネ支持部36により支持されている。バネ34はプランジャ32を外側方向にバイアスし、これにより内側Oリング38をバルブシート表面40に押しつけ、第1のバルブ要素の内部でシーリングを実現する。好ましくは、バネ支持部36は多孔質のフィラー、吸収材料、または保持材料42を内包し、第1のバルブ要素と通して流れる燃料の伝送を安定化させる。多孔質フィラー、吸収材料、または保持材料は、’004特許出願に十分に開示されている。多孔質のフィラー、吸収材料、または保持材料は第1の(第2の)バルブ要素のどこにでも配置でき、2つのバルブ要素の間に配置してもよい。これは、バルブ要素の上流または下流やバルブ要素の中に配置できる。
【0027】
一実施例では、第1のバルブ要素を開成するために、第2の対応バルブ要素の一部、例えばバルブ本体が、プランジャ32に接触してバネ34の力に抗してプランジャ32を押す。これにより、内側Oリング38がバルブシート表面40から離れて、燃料がライナーからフィラー42およびバネ支持部36を通して、またプランジャ32の周りを伝って燃料電池へと流れる。代替的には、第2のバルブ要素からの他のプランジャがプランジャ32と接触してこれをバネ34の力に抗して後方に押す。
【0028】
第1のバルブ要素は、外側Oリングを具備し、この外側Oリングが、第2のバルブ要素のバルブ本体が当該Oリングを通して挿入されるときに、第1のバルブ要素と第2のバルブ要素との間に要素間シーリングを実現する。好ましくは、要素間シールを、燃料がライナー14から運ばれる前に、確立する。有益なことに、外側Oリング44はカートリッジに結合可能であり、新たなカートリッジを装填したときにしたときに新品のOリングを利用できる。好ましくは、第2のバルブ要素内のシールが開成し、Oリング44が第2のバルブ要素をシーリングするまで、燃料は燃料電池に運ばれない。
【0029】
他のバルブをカートリッジ10に用いてもよく、それには、限定的ではないが、米国公開特許出願2003−0082427A1に開示されているバルブが含まれ、その内容は参照してここに組み入れる。この文献は自己シーリング冗長隔壁/ボール・バネバルブシステムを開示している。燃料サプライにポペット型のバルブが結合され、このバルブはバネにより隔膜(septum)またはシール表面に抗してバイアスされるボールを具備する。隔膜は空洞の針を受けるように構成され、針はバネに抗してボールを押してバルブを開成する。針が後退すると、ボールが隔膜に抗して押されシールを再形成し、隔膜が閉じて念入りのシールを実現する。ボールはプランジャ32と類似であり、隔膜はOリング38およびシーリング表面40と類似である。この発明はどのようなバルブにも限定されない。
【0030】
背面22において、カートリッジ10上にオプションの排気部を設けて、ライナーが充填されるときにカートリッジ中の空気を排出可能にしてもよい。オプションの排気部により、燃料をカートリッジから搬出するときにカートリッジに空気が流入するようにして、カートリッジ内に部分的な真空が形成されないようにし、また、液体がカートリッジから流出しないようにできる。好ましくは、排気部は、空気または他の気体をカートリッジに対し入出可能にし、他方、液体をカートリッジに対して入出不可能にする膜を具備する。そのような気体透過性、液体不透過性の膜は、本出願人の米国特許出願公開2005−0023236A1、および、1970年4月21日に発行された米国特許第3508708号、「気体透過性排出ストッパを具備する電気電池」、および、1985年12月31日に発行された米国特許第4562123号、「液体燃料電池」に開示されている。これら参考文献の開示は参照してここに組み入れる。そのような膜は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ナイロン、ポリアミド、ポリビニリデン、ポリプロピレン、ポリエチレン、または他のポリマー性膜から製造されて良い。商業的に入手できる膜は、W.L Gore Associates社からの撥水性PTFE微孔性膜、およびMillipore社からの類似の膜を含む。Goretex(商標)は適切な膜である。Goretex(商標)は、液体が通るには小さすぎながら気体を通すには十分な大きさの孔を含む微孔性膜である。
【0031】
この発明の1側面によれば、少なくとも外側ケーシング12およびライナー14は相互に一体に製造され、すなわち、実質的に同時にまたは実質的に同一の処理ステップで製造される。したがって、領域24では、バルブ18がカートリッジ10に装着され、ここで外側ケーシング12およびライナー14が、図4に最も良く示されるように、一体に結合して実質的に1つの一体の物体を形成する。一体構造の利点は、これに限定されないが、ライナーおよびケーシングの間で自ずとシーリングが実現され、また、それらを別々に製造してその後組み立てる工程を省略できて製造コストを抑制できるということ等である。バルブ18は、圧着、超音波融着、接着、UV結合、およびホットメルト等によりカートリッジ10に結合できる。一体型のカートリッジは種々の手法で製造できるけれども、好ましい製造手法はブロー成型であり、以下に説明する。
【0032】
ブロー成型の基本的な処理は当業界において知られている。これは、空洞製品、例えば、飲み物、洗剤、または他の液体を保持するプラスチックボトルを製造するのに使用される。一般的なブロー可能な樹脂は、種々の密度のポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリビニルクロライド、熱可塑性エラストマー、ポリスチレン、およびフルオロポリマー、その他を含む。ブロー成型の基本的な処理は、プラスチック樹脂の可塑化または溶融のステップ、溶融樹脂からプレフォームまたはパリソン(円筒成型材料)を形成するステップ、溶融樹脂が金型の壁面に接するまで発泡剤すなわち気体を用いて溶融樹脂をブローすなわち膨らませるステップ、および形成された空洞体を冷却/排出するステップを有する。基本的なブロー成型は、「ブロー成型を理解する」、Norman C. Lee、Hanser Gardner Publication(2000)を含む多くの参考文献に説明されており、参照してその内容をここに組み入れる。
【0033】
通常のブロー成型は押し出しブロー成型、および射出ブロー成型を含み、この押し出しブロー成型では、円筒径のパリソンが典型的には下方に押し出され、ブローピンがその内部に挿入され、それを膨らまし、射出ブロー成型では、パリソンが射出成型され、高温のうちに膨らますようにブロー金型に移される。他の処理は二軸ストレッチブロー成型、共押し出しブロー成型を含む。
【0034】
共押し出しブロー成型は押し出しブロー成型と類似であり、多層壁のコンテナを生成する。これらの層は、再生、すなわちリグリンドポリマー、または未使用のポリマーから製造される。層は、UV耐性、燃料耐性、または非透過性、その他の特殊な機能向けに設計されて良い。異なる層が一緒に一連のヘッドおよびダイの組立体に押し出され、その後、それらがパリソンとして押し出され膨らまされる。2から7つ以上の層が共押し出しブロー成型で実現できる。典型的には、それぞれの層がお互いに接着して単一の壁部を形成するようにそれぞれの層を選択する。多層のライナーまたはカートリッジはライナーの気体に対する透過性を減少させ、気体、すなわち周囲の気体がライナーまたはカートリッジに容易に浸入しないようにでき、またhメタノール蒸気がライナーまたはカートリッジから出ないようにできる。
【0035】
この発明の1側面によれば、外側ケーシング12およびライナー14付きのカートリッジ10が、共押し出しブロー成型により製造され、ライナー14および外側ケーシングが領域14またはその近くを除いて少なくとも部分的に相互に分離可能になっている。カートリッジ10はケーシングおよびライナーの間に1または複数の中間層を具備しても良く、また、ケーシングまたはライナーあるいはそれらの双方が多層構造であってよい。ライナー14が少なくとも部分的に外側ケーシング12と分離可能であれば、燃料が運ばれる際に、ライナー14の形が崩れてカートリッジ内に捕捉される残留燃料の量を減少させることができる。
【0036】
1実施例において、ケーシングおよびライナーは相性がよくないポリマーから製造される。ここで用いられるように、相性がよくないとは、ブロー成型処理の間、相互に接着できないポリマーまたは樹脂を指し、相性がよいとは、補助的な接着剤やコンパティビライザなしで、ブロー成型処理において、相互に接着するポリマーまたは樹脂を指す。本出願人の米国特許出願公開2005−0116190A1で検討されるように、外側ケーシングおよび内側ライナーに適切な材料はつぎのものを含む。なお、当該出願公開の内容は参照してすでに組み入れている。
【表1】

【0037】
これら材料のいくつかはブロー成型可能である。燃料と接触する材料、例えば、アセタールポリオキシメチレン、フッ素化ポリエチレン、およびLDPEは、燃料に対して耐性がある。換言すれば、燃料、すなわち、エタノール、材料を減少させたり、劣化させたりしない。ライナー14は好ましくはフッ素化され、メタノールへの耐性を増大させ、メタノールの非透過性を増大させる。フッ素化および積層は、ポリマーにメタノール燃料に対する耐性を一層付与するための好ましい手法である。フッ素化は、ポリマー中の少なくとも1つの水素原子を除去してフッ素原子で置換する処理である。過フッ素化は、すべての水素原子をフッ素原子で置換するフッ素化を意味する。内側ライナー14または外側ケーシング12は、フッ素化ポリマーにより製造でき、より好ましくは、それはポリマーから製造され、その後、内側ライナーが事後的にフッ素化される。ここで使用されるように用語、フッ素化またはフッ素化される等はフッ素化ポリマーから製造されたものや、形成された後フッ素化されたものを含む。
【0038】
好ましくは、フッ素化されたものは、少なくとも1つの酸化防止剤を含む。ここで使用されるように、酸化防止剤は、ポリマーに対する酸素劣化の影響を最小化するためにポリマーに添加される任意の化学物質を含む。そのような劣化により、ポリマーがもろくなり、その透過率が大きくなり蒸気バリア特性が減少する。ポリマーに混合・ブレンド可能で、またポリマーの一部をなすように反応する任意の酸化防止剤を用いることができる。適切な酸化防止剤は、これに限定されないが、キノリン型の酸化防止剤、アミン型の酸化防止剤、フェノール形の酸化防止剤、亜燐酸型の酸化防止剤および混合物ならびにそれらのブレンドを含む。
【0039】
キノリン型の酸化防止剤の適切な例は、これに限定されないが、重合1,2−ジヒドロ−2,2,4−トリメチルキノリン−6−ドデシル−2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン、および6−エトキシ−2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリンである、米国特許第6569927号、Gelbinを参照されたい。
【0040】
アミン型の酸化防止剤の適切な例は、これに限定されないが、N−フェニル−N’−シクロヘキシル−p−フェニレンジアミン;N−フェニル−N’−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン;N−フェニル−N’−イソプロピル−p−フェニレンジアミン;N−フェニル−N’−(1,3−ジメチルブチル)−p−フェニレンジアミン;N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン;N,N’−bis−(1,4−ジメチルフェニル)−p−フェニレンジアミン;N,N’−ジ−ベータナフチル−p−フェニレンジアミン;混合ジアリール−p−N,N’−bis−(1−エチル−3−メチルペンチル)−p−フェニレンジアミン;およびN,N’−bis−(1メチルヘプチル)−p−フェニレンジアミンを含む。’927特許を参照されたい。
【0041】
フェノール形の酸化防止剤の適切な例は、これに限定されないが、1,2−bis(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロ桂皮酸オイル)ヒドラジン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−tris(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、1,3,5−tris(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−s−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)トリオン、1,3,5−tris(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)−s−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)トリオン、2−t−ブチル−4,6−ジメチルフェノール、2,2’−メチレンbis(4−エチル−6−t−ブチル−フェノール)、2,2’−メチレンbis(4−メチル−6−t−ブチル−フェノール)、2,4−ジメチル−6−オクチル−フェノール、2,4−ジメチル−6−t−ブチルフェノール、2,4,6−トリ−t−ブチルフェノール、2,4,6−トリイロプロピルフェノール、2,4,6−トリメチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−n−ブチルフェノール、2,6−ジオクタデシル−4−メチルフェノール、2,6−メチル−4−ジドデシルフェノール、1,3,5−トリ(2−ヒドロキシエチル)−5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオンとの3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロ桂皮酸トリエステル;ビス(3,3−ビス(4−ヒドロキシ−3−t−ブチルフェニル)ブタン酸)グリコールエステル、4−ヒドロキシメチル−2,6−ジ−t−ブチルフェノール、オクタデシル3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロ桂皮酸塩、テトラキス{メチレン(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロ桂皮酸塩)}メタン、2,2’−オキサミド−ビス{エチル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)}プロピオン酸塩、および、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼンを含む。’927特許を参照されたい。フェノール型の酸化防止剤の他の例は、Speelman等の米国特許第4839405号に見い出すことができる。
【0042】
亜燐酸型の酸化防止剤は、これに限定されないが、トリス(2,4−tert−ブチル−フェニル)亜燐酸塩、トリス(モノノニルフェニル)亜燐酸塩、トリス(ジノニルフェニル)亜燐酸塩、ジステアリルペンタエリトロトール亜燐酸塩、およびジオクチルペンタエリトリトール亜燐酸塩を含む。Ojeda等の米国特許第6326072号を参照されたい。
【0043】
代替的には、内側ライナーは少なくとも2つの層を具備するラミネートから製造しても良い。ラミネート用の材料はPP、PE、EVOH、EVA、ファイバガラス、マイクロガラス、およびPTFEから選択する。これについては先の表で検討したとおりである。有利なことに、PP、PE、EVAおよびPTFEは、ライナー14の多層ラミネートとして押し出しブロー成型可能である。以上に列挙した適切な材料は何ら制約するものではなく、他の材料を用いることもできる。
【0044】
ライナーに適したポリマーがケーシングに適したポリマーと相性が悪いかどうかの既知のテストを選択して用いて良い。このテストでは、ライナーのポリマーおよびケーシングのポリマーのサンプル、好ましくは粉状または繊維状のものを一緒に溶かす。ポリマーの溶融温度に応じてコンテナ、例えば溶融パンまたはセラミックるつぼ内で加熱して溶融させる。溶融物をつぎに冷却または急冷する。最初に溶けたポリマーがコンテナの底に浸入するので、冷却したブレンドを溶剤、例えばエタノールでエッチングして両成分を再混合する。ブレンドを再加熱して再溶融させ結晶成長させる。ブレンドの表面を顕微鏡で調べて、ポリマー成分が異なる層として存在し、そのため相性が悪いかどうかを判別する。さらに、表面を反射材料、例えばスパッタリング法の金で被覆して、その後、当該表面を走査電子顕微鏡で調べても良い。この手法は当業界では既知であり、www.rit.edu/〜bekpph/sem/Projects/Iyerで入手可能な「ポリプロピレン中のポリエチレン酸化物の分散の研究」、S.Iyer、2000年11月に十分に開示されている。本発明は非コンパチビリティを判別するどのような具体的なテストにも制約されない。
【0045】
代替的には、内側ライナーおよび外側ケーシングに適切なポリマーは極性樹脂および非極性樹脂から選択でき、これらは相互に相性が悪い。極性樹脂はアクリルニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリビニルクロライド(PVC)、パリカーボネート(PC)、ナイロン(商標。例えば、ポリスルホンおよびポリアリーレンスルフィド)、ポリアレンエーテル(例えばポリフェニレン酸化物、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、アセテート、アクリル酸ポリビニルクロライドコポリマー)、および熱可塑性ポリウレタン(TPU)を含む。非極性樹脂は、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリプロピレン(PP)、およびポリスチレンを含む。極性樹脂は極性樹脂と相性がよく、非極性樹脂は非極性樹脂と相性がよいけれども、極性樹脂は非極性樹脂と相性が悪い。相性がよい極性または非極性樹脂をブロー成型に使用することについてはEdwards等の米国特許第6824860号に検討されており、その内容は参照してここに組み入れる。
【0046】
相性の悪いポリマーの他の例は、熱可塑性エラストマー(TPE)、例えばSantoropene(商標)、Vyram(商標)またはTrefsin(商標)を含み、これらはアセタールおよびPVCと相性が悪い。1例において、ケーシングをアセタールポリオキシメチレン(POM)とし、ライナーをTPEとすることができる。Trefsin(商標)はブチルゴムTPEであり、比較的、液体および気体の透過性が小さく、化学作用および熱への耐性がある。
【0047】
この発明の他の側面によれば、スリップ剤を用いて相性の悪さを増大させてもよい。1例において、ポリエチレン(PE)はスリップ剤例えば長鎖の脂肪酸アミドと相性が悪い。PEに溶融形態で一体化したスリップ剤はPEが冷える際にその表面にマイグレートしてくる。初期のマイグレート速度は、表面に薄膜が生成されるまでは、大きい。スリップ剤のこの薄膜は、ブロー成型カートリッジにおいて層を分離するのに役立つ。PEに適切なスリップ剤はオレイン酸のアミド(アレアミド)、およびエルカ酸のアミド(エルカミド)を含む。スリップ剤をライナーまたはケーシングあるいは任意の中間層に添加してライナーおよびケーシングの間の分離を助長して良い。代替的には、湿気を吸収するフィラー、例えば、炭酸カルシウムまたはタルクをポリマーに添加して相性の悪さを助長させてよい。
【0048】
また、PEをケーシングまたはライナーに選択したときには、ケーシングおよびライナーの間にワックスをブロー成型できる。ワックス、例えばパラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックスまたは合成ワックスはPEと相性が悪いことが知られている。
【0049】
この発明の他の側面によれば、共押し出しブロー成型を連続して実施して、その後、連続してまたは順次的にブロー成型を行う。まず、ケーシングが押し出され、所定の厚さおよび強度へとブローされる。ケーシングは十分に冷却され、その後、ライナーが押し出され冷却されたケーシングに対してブローされる。温度差により、ライナーはケーシングと結合せず、この結果、ライナーは、領域24を除いて、少なくとも部分的にケーシングと分離可能とされる。これは、一体化したケーシングおよびライナーを具備するカートリッジの製造方法の一例である、代替的には、ケーシングが冷却されるのを待たずに中間ワックス層を押し出し、その後ライナーを押し出してブローする。
【0050】
この発明の他の側面によれば、外側ケーシング12は予め製造しておく。換言すれば、内側ライナー14を具ロー成型する前に、それを製造しておく。外側ケーシング12は、射出成型、圧縮成型、またはブロー成型できる。内側ライナー14は予め製造された外側ケーシング12中に直接に挿入できる。ケーシング12が内側ライナー14と相性の悪い材料で製造され、あるいは、ケーシング12が冷却されていると、ライナー14はケーシング12と少なくとも分離可能であり、これについては先に説明した。代替的にはワックス層をケーシング12および内側ライナー14の間に配しても良い。
【0051】
外側ケーシング12が予め製造されている場合、内側ライナー14の体積は、それが膨らまされ、または、充填されたときに、外側ケーシング12の体積より大きくなるかもしれない。図5Aに示すように、ライナー14は体積において外側ケーシング12より大きくなり、ライナー14を外側ケーシング12に入れたときにその表面が外側ケーシングの内側で折り畳まれる。比較的大きな内側ライナーを具備する利点は、内側来菜14の直角コーナにおける局所的なストレスを開放することである。これを図4に示す。鋭角のコーナの壁の厚さは、典型的にはブロー成型の製品では小さくなっている。図5Aに示すライナーは鋭角なコーナがないので局所ストレスをなくすことができる。
【0052】
内側ライナー14を、容易に折り畳み可能または形状を崩す側壁、例えばアコーディオン形状の側壁、または図5Bに示すような折り畳まれた側壁を生成するような形状を有する金型中に、ブロー成型できる。図示のように、内側ライナー14は側部に少なくとも1つの折り目44を具備する。代替的には、内側ライナー14を図5Aに示すような形状にブロー成型し、折り目を事後的に形成しても良い。折り目を形成する利点は、燃料が引き出されるときに、ライナーの壁部が折り目に沿って燃料のライナーからの抽出を最大化するような予め定められた態様で形を崩すことができことができるという点であり、この際、少なくともエネルギまたは力を使って燃料をライナーまたはカートリッジから抜き出す。
【0053】
ケーシングおよびライナーをブロー成型した後、バルブ18を首の領域24に装着する。超音波融着機(図示しない)を用いて、首の領域24として示されるプラスチック材料を溶かしてバルブ本体30を外側ケーシング12にシーリングする。
【0054】
超音波エネルギを印可してプラスチック部品を結合させる手法は多くの産業分野で利用されている。超音波溶着では、固体電力源が電気エネルギを20kHzまたは40kHzの超音波エネルギに変換する。コンバータが電気エネルギを超音波機械振動エネルギに変換する。ホーンが超音波機械エネルギを、直接に、組み付け対象部品に伝達する。結合対象の部品の合わせ面における印可力、表面摩擦、および分子間摩擦の組み合わせにより、材料の溶融温度に達するまで温度が上昇していく。振動を停止させた後も力を加え続け、接合面における分子間結合または溶着が形成される。超音波溶着のより完全な検討はBIC社に付与された米国特許第6115902号、「カミソリの製造方法」に見いだせる。’902特許の内容は参照してここに組み入れる。シールを有効にするために、結合される材料は類似、または適合性がなければならない。好ましくは、結合される材料は化学的に類似しており、あるいは、類似の溶融温度を有し、おおよそ同時に溶融する。
【0055】
内側ライナーおよび/または外側ケーシングあるいはカートリッジ10の任意の他の部品を摩擦耐性または他の目的の保護材料の層でコートして良い。適切な保護材料は二酸化珪素(SiO)であり、これは蒸着またはスパッタリング法または他の既知の手法により被着できる。珪素分子は基板上にSiOとして融合し、ここでxは1または2である。他の適切な被着剤は、これに限定されないが、酸化アルミニウムAl、SnO、HSiW12(28HO)、錫モルデナイト/SnO複合体、ジルコニウム燐酸塩−燐酸塩/シリカ複合体、その他を含む。これらの被着物はEP特許出願公開1427044A2に開示されており、参照してその内容をここに組み入れる。
【0056】
アルミニウムまたはクロムをライナーまたはケーシングにスプレーまたはペイントして部品を通じての気体の移動のバリアを形成しても良い。アルミニウムおよび他の金属はスパッタリング法により被着しても良い。溶媒中に懸濁可能な任意の低気体透過性の材料をペイントその他で被着できる。
【0057】
他の適切な被着剤は、これに限定されないが、エポキシアミンコーティングのクラスであり、これは水蒸気や他の気体、例えば酸素および二酸化炭素に耐性があり、カートリッジまたは内側ライナーの蒸気透過性を減少させる。そのような被着剤はBairocade(商標)被着剤として、オハイオ州、クレブランドのPPG Industries社から商業的に入手できる。この種の被着剤は静電気銃(electro−static gun)により塗布でき、赤外線オーブン中で硬化され、気体バリアを形成する。被着剤は、浸漬、スプレー、またはペイントにより塗布しても良い。これら被着剤は典型的には飲料ボトルまたは缶をコートするのに用いられ内部の飲料を防護する。
【0058】
他の適切な低気体透過性の被着剤は(i)実質的に非ゲル状の樹脂またはエポキシ官能性ポリエステのアミンとの反応による反応生成物、米国特許第6417202号に開示されているもの、(ii)カルボキシル化されたアミドポリマー、米国特許第4174333号に開示されているもの、および、(iii)液体媒体の溶解または分散と、ポリエポキシおよびアミノ酸の少なくとも部分的に中和させた反応生成物により準備された水ベースの被着組成物、米国特許第4283428号に開示されているものを含む。これらの特許文献の内容は参照してここに組み入れる。ポリビニリデンクロライドコポリマー(PVDC)も適切な被着剤である。
【0059】
この発明の他の側面によれば、クリアーな多結晶、アモルファス直鎖キシリレンポリマーを内側ライナーおよび/または外側ケーシングの内側および/または外側表面にコートして内側ライナーおよび外側ケーシングの気体透過性を減少させても良い。キシリレンポリマーは、Specialy Coating Systems社からParylene(商標)として商業的に入手できる。3つの適切なPalrylene樹脂は、Parylene N(ポリ−パラ−キシリレン)、Parylene C(ポリ−モノクロロ−キシリレン)、およびParylene D(ポリ−ジクロロ−パラ−キシリレン)である。これら樹脂は以下の構造をそれぞれ有する。
【0060】
Parylene N(ポリ−パラ−キシリレン)
【化1】

Parylene C(ポリ−モノクロロ−キシリレン)
【化2】

Parylene D(ポリ−ジクロロ−パラ−キシリレン)
【化3】

【0061】
キシリレンは基体、例えば、内側ライナーまたは外側ケーシング上に蒸着重合プロセスによりコートされる。このプロセスは基体モノマーから、中間的な液相を伴うことなく、コーティングを形成する。したがって、溶剤、柔軟剤、または促進剤は不要である。パウダー形態のダイマーのキシリレンが約150°Cに加熱され、蒸気状態に変化する。つぎにダイマー分子を690°C、0.5トールに加熱し、分子構造をモノマー構造に変化させる。蒸気のモノマーが基体に被着し、室温に冷却されると、モノマーがポリマーになり、基体に結合する。このプロセスはつぎのように説明される。
【化4】

この結果、鋭いエッジまたは突出して輪郭をともなう基体を、ピンホールや、空洞を伴うことなしに、一様にコートできる。約0.1ミルの薄さのコーティングを被着できる。キシリレンは、また有機溶剤、無機試薬および酸を含む多くの通常の溶剤に不溶性である。
【0062】
キシリレンは多くのプラスチック、例えばポリプロピレン、および高密度ポリエチレン、ならびに多くの金属、例えばステンレス鋼と相性がよい。一般に、キシリレンは、ステンレス鋼、タンタル、チタン、ニチノール、金、プラチナ、インコネル、イリジウム、銀、タングステン、これらの金属に任意の合金、炭素または炭素繊維、セルロースアセテート、ニトロセルロース、シリコーン、ポリエチレンテレフタレート、ポリウレタン、ポリアミド、ポリエステル、ポリオルトエステル、ポリ酸無水物、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、ポリプロピレン、高分子量ポリエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、これらポリマーの混合物またはコポリマー、ポリ乳酸、ポリグリコール酸またはこれらのコポリマー、ポリ酸無水物、ポリカプロラクトン、ポリヒドロキシブチレート吉草酸塩、またはこれらの混合物またはコポリマーと相性がよい。したがって、キシリレンにより、シール部材(例えばOリング38)、バルブ18の部品(例えばステンレス鋼のプランジャ32およびバネ34)、およびカートリッジ10の任意の他の部品をコートしてもよい。
【0063】
この発明の他の側面によれば、気体バリアフィルムで内側ライナーおよび/または外側ケーシングを包んでカートリッジの気体透過性を減少させる。適切なバリアフィルムは、二軸配向の熱可塑性ポリエステルフィルムである。このポリエステルフィルムは、エチレングリコールおよびジメチルテレフタレートから製造されたポリエチレンテレフタレートである。このポリエステルフィルムは、DuPont社からMylar(商標)として商業的に入手でき、典型的にはPVDCコポリマーで一方のサイドをコートされている。ポリエチレンテレフタレートをシリコーン酸化物で上述のようにコートしてバリア特性を改善してもよい。
【0064】
Mylar(商標)は加熱シール可能である。このフィルムは多くの一般的な溶媒に耐性があり、酸素および蒸気に対しるバリア特性が良好である。Mylar(商標)は多層ラミネートMylar SBL(商標。Super Barrier Laminate)としても入手可能である。このラミネートは、非フォイル性バリア層(メタライズコーティングおよびポリマーベースのコーティング)を有し、真空を維持できる機密シールを実現する加熱シールコーティングである。報告されている酸化伝送率は0.00004”cc/100sq.in./d(23°C/50%の相対湿度)未満であり、これは雰囲気気体の透過率の指標である。報告されている水蒸気伝送率は0.0003g/100sq.in./d(23°C/50%の相対湿度)である。
【0065】
他の適切なバリアフィルムは、「動的機械分析による薄膜フィルムポリマーの特性および透過率」、H.M.Herring、Lockheed Martin Engineering & Sciences for NASA Langley Langley Research Center、2003年6月においてテストされ開示されており、http://techreports.larc.nasa.gov/ltrs/PDF/2003/cr/NASA−2003−cr212422.pdfで入手可能であった。この参考文献の内容は参照してここに組み入れる。テストされたバリアフィルムは、ポリウレタン(3M社からPURとして入手可能)ポリエステル基体に結合されたエチレンビニルアルコール(EvalcaからEval−Fとして入手可能)、ポリアミド(DuPont社からKaptonとして入手可能)、ポリエチレンテレフタレート(Mylar(商標)としてDuPont社から入手可能)、およびフルオロポリマー(3M社からPaintRep.およびDuPont社kらTedlarとして入手可能)を含む。テスト結果によれば、ポリエチレンテレフタレート(Mylar)の良好な蒸気バリア特性が確かめられた。ポリウレタンのバリア特性は種々の条件下で2.5−3.0(×10−6)mol/m・sec・Paの範囲であり最も低い。フルオロポリマー(Tedlar)およびポリアミン(Kapton)のバリア特性は、種々の条件下で2.5−3.0(×10−6)mol/m・sec・Paより約1小さい。このため、ポリウレタンより大きな、または等価な基体倍リア特性を有するフィルムがこの発明の使用に適切である。換言すれば、適切なフィルムの気体または蒸気伝送率はポリウレタンお蒸気伝送率と同じかそれ以下でなければならない。好ましくは、蒸気透過率はポリウレタンの蒸気透過率より小さい。
【0066】
他の適切なバリアフィルムは食品パッケージ業界で知られているものを含む。これは、ポリビニルアルコール(PVOH)、エチレンビニルアルコール(EVOH)、ポリビニリデンクロライドコポリマー(PVDCまたはSaran)、ナイロン樹脂(ナイロン6、ナイロン66および芳香族/非晶質ナイロンを含む)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリ(トリメチレンテレフタレート)(PTT)、レゾルシノールコポリマー、液晶ポリマー、脂肪族ポリケトン(PK)、およびこれらのブレンドおよびコポリマーを含む。これらバリアフィルムは、「プラスチックについての20年の回想:酸素バリアパッケージング材料」、G.StrupinskyおよびA.Brody、Rubbright*Brody,Inc.に十分に開示されている。
【0067】
他の適切なフィルムはポリビニルクロライド(PVC)も含むであろう。
【0068】
ここで開示されたバリアコーティングおよびバリアフィルムはライナーまたはケーシングの表面すべてを被覆しても良いし、表面により少ない領域を被覆しても良い。透過率の実質的な減少は100%未満のコーティング/フィルム被覆率出実現できる。例えば、ブル部18の回りの表面領域は被覆されないで残されていても良く、また、フィルムまたはコーティング中のピンホールの裂け目は、透過率の減少に対して著しい悪影響を与えないであろう。バリアコーティングはライナーまたはケーシングの内側および/または外側をコートできる。さらにライナーおよび/またはケーシングがバリアコートされ、かつバリアフィルムで包まれても良く、例えば、ライナーおよび/またはケーシングの一部がバリアコートされ、他の部分がバリアフィルムで包まれ、あるいはライナーおよび/またはケーシングがバリアコートされ、その後、コートされた表面がバリアフィルムで包まれても良い。
【0069】
ここに開示された発明の例示的な実施例がこの発明の目的を達成することは明らかであるが、当業者が種々の変形や他の実施例を構成できることは容易に理解できる。さらに、任意の実施例の特徴および/または要素を、単独で、または他の実施例の特徴および/または要素と組み合わせて使用できる。添付の特許請求の範囲は、これらすべての変形例や実施例を、その趣旨を逸脱することなくカバーすることを意図するものであることは、容易に理解できる。
【0070】
添付図面は明細書の一部を形成し、明細書との関連において理解されるべきであり、種々の図において類似の参照番号は類似の部分を示すために用いられる。添付図面は以下の通りである。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】ブロー成型により製造できる例示的な燃料カートリッジの斜視図である。
【図2】ブロー成型により製造できる例示的な燃料カートリッジの斜視図である。
【図3】ブロー成型により製造できる例示的な燃料カートリッジの斜視図である。
【図4】図1の例示的な燃料カートリッジの断面図である。
【図5A】例示的な内側ライナーの斜視図である。
【図5B】例示的な内側ライナーの斜視図である。
【符号の説明】
【0072】
10 燃料カートリッジ
12 外側ケーシング
14 内側ライナー
22 背面
24 領域
30 バルブ本体
32 プランジャ
34 バネ
36 バネ支持部
38 Oリング
42 フィラー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料電池用の燃料サプライであって、
外側ケーシングと、
燃料を含有する内側ライナーと、
燃料を上記燃料サプライから燃料電池へ搬送するように設けられたバルブ要素とを有し、
上記外側ケーシングおよび上記内側ライナーがブロー成型により製造され、上記燃料が上記燃料サプライから搬送される際に、上記内側ライナーが少なくとも部分的に上記外側ケーシングから引き出されることを特徴とする燃料電池用の燃料サプライ。
【請求項2】
上記外側ケーシングおよび上記内側ライナーは相互に相性の良くないポリマーから製造される請求項1記載の燃料サプライ。
【請求項3】
上記外側ケーシングおよび上記内側ライナーは実質的に同時に成型される請求項2記載の燃料サプライ。
【請求項4】
上記外側ケーシングおよび上記内側ライナーのうちの一方が、極性樹脂を有し、上記外側ケーシングおよび上記内側ライナーの他方が非極性樹脂を有する請求項2記載の燃料サプライ。
【請求項5】
上記極性樹脂は、アクリロニトリルブタジエンスチレン、熱可塑性ポリエステル、ポリカーボネート、ポリビニルクロライド、ポリアミド、ポリアリーレンエーテル、または熱可塑性ポリウレタンを有する請求項4記載の燃料サプライ。
【請求項6】
上記熱可塑性ポリエステルはポリエチレンナフタレート(PET)を有する請求項5記載の燃料サプライ。
【請求項7】
上記ポリアミドはナイロン、ポリスルホンまたはポリアリーレンスルフィドを有する請求項5記載に燃料サプライ。
【請求項8】
上記ポリアリーレンエーテルはポリフェニレンオキシド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、アセテート、またはアクリル酸ポリビニルクロライドを有する請求項5記載の燃料サプライ。
【請求項9】
非極性樹脂は高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリプロピレンまたはポリスチレンを有する請求項4記載の燃料サプライ。
【請求項10】
上記ポリマーの1つは熱可塑性エラストマーである請求項2記載の燃料サプライ。
【請求項11】
上記熱可塑性エラストマーはブチルゴムを有する請求項10記載の燃料サプライ。
【請求項12】
上記内側ライナーはブチルゴムを有する請求項11記載の燃料サプライ。
【請求項13】
他のポリマーはアセタールを有する請求項10記載の燃料サプライ。
【請求項14】
他のポリマーはポリビニルクロライドを有する請求項10記載の燃料サプライ。
【請求項15】
上記外側ケーシングおよび上記内側ライナーの少なくとも1つはポリエチレンを有し、かつ上記外側ケーシングおよび上記内側ライナー他の1つはスリップ剤を有する請求項1記載の燃料サプライ。
【請求項16】
上記スリップ剤は長鎖脂肪酸アミドを有する請求項15記載の燃料サプライ。
【請求項17】
上記長鎖脂肪酸アミドはオレアミドである請求項16記載の燃料サプライ。
【請求項18】
上記長鎖脂肪酸アミドはエルカミドである請求項16記載の燃料サプライ。
【請求項19】
上記外側ケーシングおよび上記内側ライナーの少なくとも1つは撥水性フィラーを有する請求項1記載の燃料サプライ。
【請求項20】
上記撥水性フィラーはタルクである請求項19記載の燃料サプライ。
【請求項21】
上記撥水性フィラーは炭酸カルシウムである請求項19記載の燃料サプライ。
【請求項22】
上記燃料サプライはさらに上記外側ケーシングおよび上記内側ライナーの間に配された中間層を有し、かつ上記中間層は上記外側ケーシングまたは上記内側ライナーの少なくとも1つと相性が悪い請求項1記載の燃料サプライ。
【請求項23】
上記中間層はワックスから製造される請求項22記載の燃料サプライ。
【請求項24】
上記ワックスはパラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、または合成ワックスを有する請求項23記載の燃料サプライ。
【請求項25】
上記外側ケーシングおよび上記内側ライナーは順次にブロー成型される請求項1記載の燃料サプライ。
【請求項26】
上記外側ケーシングがブロー成型され冷却された後に内側ライナーをブロー成型する請求項25記載の燃料サプライ。
【請求項27】
上記燃料サプライはさらに上記外側ケーシングおよび上記内側ライナーの間に配された中間層を有し、かつ上記中間層は上記外側ケーシングまたは上記内側ライナーの少なくとも1つと相性が悪く、かつ上記中間層が、上記外側ケーシングの後でかつ上記内側ライナーの前にブロー成型される請求項25記載の燃料サプライ。
【請求項28】
上記中間層はワックスから製造される請求項27記載の燃料サプライ。
【請求項29】
上記ワックスはパラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、または合成ワックスを有する請求項28記載の燃料サプライ。
【請求項30】
上記外側ケーシングおよび上記内側ライナーは同一のポリマーから製造される請求項25記載の燃料サプライ。
【請求項31】
上記外側ケーシングまたは上記内側ライナーの少なくとも1つは気体バリア材料でコートされる請求項1記載の燃料サプライ。
【請求項32】
上記外側ケーシングまたは上記内側ライナーの少なくとも1つは気体バリアフィルムで包まれる請求項1記載の燃料サプライ。
【請求項33】
燃料電池用の燃料サプライであって、
外側ケーシングと、
燃料を含有する内側ライナーと、
燃料を上記燃料サプライから燃料電池へ搬送するように設けられたバルブ要素とを有し、
上記内側ライナーは上記バルブ要素が位置する領域で上記外側ケーシングと一体化されていることを特徴とする燃料電池用の燃料サプライ。
【請求項34】
上記外側ケーシングおよび上記内側ライナーがブロー成型により製造される請求項33記載の燃料サプライ。
【請求項35】
上記外側ケーシングおよび上記内側ライナーが共押し出しブロー成型により製造される請求項34記載の燃料サプライ。
【請求項36】
上記外側ケーシングおよび上記内側ライナーが順次的なブロー成型により製造される請求項34記載の燃料サプライ。
【請求項37】
上記外側ケーシングおよび上記内側ライナーが同一のポリマーにより製造される請求項36記載の燃料サプライ。
【請求項38】
上記外側ケーシングおよび上記内側ライナーが極性ポリマーから製造される請求項36記載の燃料サプライ。
【請求項39】
上記外側ケーシングおよび上記内側ライナーが非極性ポリマーから製造される請求項36記載の燃料サプライ。
【請求項40】
上記外側ケーシングまたは上記内側ライナーの少なくとも1つが気体バリア材料でコートされる請求項33記載の燃料サプライ。
【請求項41】
上記気体バリア材料はエポキシ−アミンを有する請求項40記載の燃料サプライ。
【請求項42】
燃料電池用の燃料サプライであって、
外側ケーシングと、
燃料を含有する内側ライナーと、
燃料を上記燃料サプライから燃料電池へ搬送するように設けられたバルブ要素とを有し、
上記内側ライナーがブロー成型により製造されることを特徴とする燃料電池用の燃料サプライ。
【請求項43】
上記内側ライナーは上記外側ケーシングの中へとブロー成型される請求項42記載の燃料サプライ。
【請求項44】
上記内側ライナーはブロー成型され、その後、上記外側ケーシングの中へと挿入される請求項42記載の燃料サプライ。
【請求項45】
上記内側ライナーの体積は十分に満たされたときに上記外側ケーシングの体積より大きい請求項44記載の燃料サプライ。
【請求項46】
上記内側ライナーは少なくとも1つの折り畳み可能な側壁を有する請求項42記載の燃料サプライ。
【請求項47】
上記外側ケーシングまたは上記内側ライナーの少なくとも1つは気体バリアコーティングでコートされる請求項42記載の燃料サプライ。
【請求項48】
上記外側ケーシングまたは上記内側ライナーの少なくとも1つは気体バリアフィルムで包まれる請求項42記載の燃料サプライ。
【請求項49】
上記外側ケーシングまたは上記内側ライナーの少なくとも1つはフッ素化されている請求項42記載の燃料サプライ。
【請求項50】
上記外側ケーシングまたは上記内側ライナーの上記少なくとも1つは少なくとも1つの酸化防止剤を含有するポリマーから製造される請求項49記載の燃料サプライ。
【請求項51】
上記外側ケーシングまたは上記内側ライナーの少なくとも1つは少なくとも1つの酸化防止剤を含有するポリマーから製造される請求項42記載の燃料サプライ。
【請求項52】
燃料電池用の燃料サプライであって、
外側ケーシングと、
燃料を含有する内側ライナーと、
燃料を上記燃料サプライから燃料電池へ搬送するように設けられたバルブ要素とを有し、
上記外側ケーシングまたは上記内側ライナーの少なくとも1つが、改変されてその蒸気バリア性を向上させていることを特徴とする燃料電池用の燃料サプライ。
【請求項53】
上記外側ケーシングまたは上記内側ライナーの上記少なくとも1つは気体バリアコーティングでコートされている請求項52記載の燃料サプライ。
【請求項54】
上記バリアコーティングはエポキシ−アミンを有する請求項53記載の燃料サプライ。
【請求項55】
上記バリアコーティングはシリコーン酸化物を有する請求項53記載の燃料サプライ。
【請求項56】
上記バリアコーティングはアルミニウムまたはクロムを有する請求項53記載の燃料サプライ。
【請求項57】
上記バリアコーティングは、実質的に非ゲル状の樹脂またはエポキシ官能性のポリエステルをアミンと反応させた生成した反応生成物、カルボキシル化されたアミドポリマー、および液体媒体の溶解および分散により準備された水ベースのコーティング組成物、およびポリエポキシドおよびアミノ酸の少なくとも部分的に中和された反応生成物からなるグループから選択される請求項53記載の燃料サプライ。
【請求項58】
上記バリアコーティングはキシリレンを有する請求項53記載の燃料サプライ。
【請求項59】
上記キシリレンはポリ−モノクロロ−パラ−キシリレンを有する請求項58記載の燃料サプライ。
【請求項60】
上記キシリレンはポリ−パラ−キシリレンを有する請求項58記載の燃料サプライ。
【請求項61】
上記キシリレンはポリ−ジクロロ−パラ−キシリレンを有する請求項58記載の燃料サプライ。
【請求項62】
上記外側ケーシングまたは上記内側ライナーの少なくとも1つが気体バリアフィルムで包まれる請求項52記載の燃料サプライ。
【請求項63】
上記気体バリアフィルムはポリエチレンテレフタレートを有する請求項62記載の燃料サプライ。
【請求項64】
上記ポリエチレンテレフタレートはポリビニリデンクロライドコポリマーでコートされる請求項63記載の燃料サプライ。
【請求項65】
上記ポリエチレンテレフタレートはシリコーン酸化物でコートされる請求項63記載の燃料サプライ。
【請求項66】
上記ポリエチレンテレフタレートはラミネートの一部を形成する請求項63記載の燃料サプライ。
【請求項67】
上記気体バリアフィルムの蒸気伝送率は実質的にポリウレタンと同じかそれ以下である請求項62記載の燃料サプライ。
【請求項68】
上記気体バリアフィルムの蒸気伝送率はポリウレタンより小さい請求項67記載の燃料サプライ。
【請求項69】
上記気体バリアフィルムは、ポリビニルアルコール(PVOH)、エチレンビニルアルコール(EVOH)、ポリエステル基体に結合したEVOH、ポリビニリデンクロライドコポリマー(PVDCまたはSaran)、ナイロン樹脂、フルオロポリマー、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリ(トリメチレンテレフタレート)(PTT)、レゾルシノールコポリマー、液晶ポリマー、脂肪族ポリケトン(PK)、およびこれらのブレンドおよびコポリマーからなるグループから選択される請求項62記載の燃料サプライ。
【請求項70】
上記外側ケーシングまたは上記内側ライナーの少なくとも1つがフッ素化されている請求項52記載の燃料サプライ。
【請求項71】
上記外側ケーシングまたは上記内側ライナーの少なくとも1つが少なくとも1つの酸化防止剤を含む請求項70記載の燃料サプライ。
【請求項72】
上記酸化防止剤は、キノリン型の酸化防止剤である請求項71記載の燃料サプライ。
【請求項73】
上記酸化防止剤は、アミン型の酸化防止剤である請求項71記載の燃料サプライ。
【請求項74】
上記酸化防止剤は、フェノール型の酸化防止剤である請求項71記載の燃料サプライ。
【請求項75】
上記酸化防止剤は、亜燐酸塩型の酸化防止剤である請求項5記載の燃料サプライ。
【請求項76】
上記外側ケーシングまたは上記内側ライナーの上記少なくとも1つは少なくとも1つの酸化防止剤を含む請求項52記載の燃料サプライ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【公表番号】特表2008−517418(P2008−517418A)
【公表日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−524848(P2007−524848)
【出願日】平成17年7月27日(2005.7.27)
【国際出願番号】PCT/US2005/026667
【国際公開番号】WO2006/020399
【国際公開日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(501436665)ソシエテ ビック (73)
【氏名又は名称原語表記】SOCIETE BIC
【Fターム(参考)】